JP2017155276A - 三次元立体造形用粉体および三次元立体造形物 - Google Patents

三次元立体造形用粉体および三次元立体造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的強度に優れた三次元立体造形物を造形し得る三次元立体造形用粉体を提供すること。【解決手段】本発明により、三次元立体造形用粉体が提供される。この三次元立体造形用粉体は非水和反応母材粒子と水溶性接着粒子とを含む。非水和反応母材粒子の平均粒子径をX(μm)とし、三次元立体造形用粉体の見かけ体積に占める水溶性接着粒子の体積割合をY(体積%)とした場合に、以下の関係:5≦X≦60;0.8×(−0.77X+51)≦Y≦1.2×(−0.77X+51);を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、三次元立体造形用粉体および三次元立体造形物に関する。
三次元立体造形用粉体の薄層の少なくとも一部に水を含む造形液を混合して固化させ、該固化した薄層を繰り返し積層することで、三次元立体造形物を造形する技術が知られている(例えば特許文献1、2)。この種の積層造形に用いられる三次元立体造形用粉体の代表的な構成として、充填材および水溶性接着剤を含む構成が挙げられる。例えば、特許文献1には、充填材および水溶性接着剤を含み、充填材として澱粉、水溶性接着剤としてスクロースを含む粒子混合物が開示されている。同公報には、水を溶媒とする活性化流体を粒子混合物の層に射出した際、粒子混合物に含まれる水溶性接着剤が溶解して粒子混合物を湿潤し、充填材間を接着結合することで、物品の断面部分が形成されることが記載されている。
特許第3607300号公報 特許第5589817号公報
ところで、上記積層造形に用いられる三次元立体造形用粉体としては、得られた三次元立体造形物が破損を免れるように機械的強度に優れていることが求められてきている。特許文献1には、セルロースなどの強化用繊維を含む粒子混合物を用いることにより、最終的な物品の強度を補強する技術が記載されている。しかし、かかる技術を適用しても、調合によっては複雑な反応を経て造形体が形成されるため、成形直後に十分な強度が得られない場合があり得る。また、特許文献2には、三次元造形に用いられる粉体材料において、パウダーレオメータ測定により、トータルエネルギー量が特定範囲と測定される流動性を備えることで、平坦性を向上させる技術が記載されている。しかし、粉体材料の流動性に着目するのみでは上述のような高強度の三次元立体造形物を得ることはできない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、機械的強度に優れた三次元立体造形物を造形し得る、好適な三次元立体造形用粉体を提供することである。関連する他の目的は、そのような三次元立体造形用粉体を用いて造形された高強度の三次元立体造形物を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により三次元立体造形用粉体が提供される。ここで開示される三次元立体造形用粉体は、非水和反応母材粒子と水溶性接着粒子とを含んでいる。そして、前記非水和反応母材粒子の平均粒子径をX(μm)とし、前記三次元立体造形用粉体の見かけ体積に占める前記水溶性接着粒子の体積割合をY(体積%)とした場合に、以下の関係:5≦X≦60;0.8×(−0.77X+51)≦Y≦1.2×(−0.77X+51);を満たす。
ここで開示される三次元立体造形用粉体は、非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとが上記特定の関係を有する結果、水を含む造形液と混合した際、水溶性接着粒子が溶解して非水和反応母材粒子間に適切に行き渡るので、非水和反応母材粒子間に強い接着強度が発現する。そのため、上記構成の三次元立体造形用粉体を用いれば、従来に比して機械的強度に優れた、高品質な三次元立体造形物を製造することができる。
ここで開示される三次元立体造形用粉体の好ましい一態様では、前記非水和反応母材粒子の平均粒子径X(μm)が、10≦X≦50である。このような非水和反応母材粒子の平均粒子径の範囲内であると、機械的強度の向上がより高いレベルで実現され得る。
ここで開示される三次元立体造形用粉体の好ましい一態様では、前記水溶性接着粒子は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および多糖類からなる群から選択される少なくとも1種を主体として構成されている。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および多糖類のうちのいずれかを用いることで、非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとが前記特定の関係を有することによる性能向上効果(例えば機械的強度向上効果)が発揮されやすくなる。前記水溶性接着粒子は、ポリビニルアルコールまたはその誘導体を含むことが好ましい。
ここで開示される三次元立体造形用粉体の好ましい一態様では、前記非水和反応母材粒子は、Al、Zr,Ti、Zn、NiおよびFeからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む金属またはそれらの合金を主体として構成されている。これらの元素を含む金属または合金は、高硬度かつ水に対して高い安定性を示すため、本発明の目的に適した非水和反応母材粒子として好適に使用し得る。
ここで開示される三次元立体造形用粉体の好ましい一態様では、前記非水和反応母材粒子は、Al、Zr,Ti、Zn、Ni、FeおよびSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を主体として構成されている。これらの金属元素または半金属元素を含む酸化物は、高硬度かつ水に対して高い安定性を示すため、本発明の目的に適した非水和反応母材粒子として好適に使用し得る。
また、本発明によると、ここに開示されるいずれかの三次元立体造形用粉体の固化物(すなわち水を含む造形液と混合した後の溶解固化物、硬化物)からなる三次元立体造形物が提供される。この三次元立体造形物は、上述した三次元立体造形用粉体を用いて造形されていることから、従来に比して機械的強度に優れたものであり得る。
図1は水溶性接着粒子の体積割合Yと曲げ強度との関係を示すグラフである。 図2は水溶性接着粒子の体積割合Yと曲げ強度との関係を示すグラフである。 図3は非水溶性母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Y(極大値)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<三次元立体造形用粉体>
ここに開示される技術の好ましい一態様に係る三次元立体造形用粉体は、三次元立体造形物を造形するために用いられる三次元立体造形用粉体である。この三次元立体造形用粉体は、少なくとも非水和反応母材粒子と水溶性接着粒子とを含む混合粉体からなる。そして、非水和反応母材粒子の平均粒子径をX(μm)とし、三次元立体造形用粉体の見かけ体積に占める水溶性接着粒子の体積割合をY(体積%)とした場合に、
以下の関係:
5≦X≦60;
0.8×(−0.77X+51)≦Y≦1.2×(−0.77X+51);
を満たす。
ここで「見かけ体積」とは、粒子間の隙間を含む体積をいう。三次元立体造形用粉体の見かけ体積に対する水溶性接着粒子の体積割合Yは、三次元立体造形用粉体を構成する粉体材料のかさ密度と含有量とから算出することができる。具体的には、三次元立体造形用粉体が例えば非水和反応母材粒子および水溶性接着粒子のみを含む場合、以下の式(1)を用いてYを求めることができる。
Y(体積%)=100×(B/A)÷{(B/A)+(D/C)} (1)
A:非水和反応母材粒子のゆるめ嵩密度(g/cm
B:三次元立体造形用粉体中の非水和反応母材粒子の含有量(質量%)
C:水溶性接着粒子のゆるめ嵩密度(g/cm
D:三次元立体造形用粉体中の水溶性接着粒子の含有量(質量%)
ここでゆるめ嵩密度とは、初期嵩密度もしくは嵩比重ともいい、内体積が既知の容器に圧力を掛けずに粉体材料を流し入れて充填したときに、充填した粉体の質量を容器の内体積で除した値をいう。この際、容器のタッピングは行わないものとする。非水和反応母材粒子のゆるめ嵩密度は、例えばJIS R 1628に準拠して測定された値が採用され得る。また、水溶性接着粒子のゆるめ嵩密度は、例えばJIS R 1628に準拠して測定された値が採用され得る。
ここに開示される三次元立体造形用粉体は、上記式(1)で求められる水溶性接着粒子の体積割合Yが非水和反応母材粒子の平均粒子径Xとの間で0.8×(−0.77X+51)≦Y≦1.2×(−0.77X+51)の関係を満たすように設定されている。このことにより、前記関係を満たさない従来の三次元立体造形用粉体に比較して、水を含む造形液と混合した際、機械的強度に優れた三次元立体造形物を造形することができる。このような効果が得られる理由としては、特に限定的に解釈されるものではないが、例えば以下のように考えられる。すなわち、水溶性接着粒子の体積割合Yが0.8×(−0.77X+51)よりも小さい三次元立体造形用粉体は、非水和反応母材粒子の周囲に水溶性接着粒子が少ないため、水を含む造形液と混合した際、非水和反応母材粒子同士をつなぐ接着成分が不足する。そのため、得られた三次元立体造形物の機械的強度が低下傾向になり得る。また、水溶性接着粒子の体積割合Yが1.2×(−0.77X+51)よりも大きい三次元立体造形用粉体は、非水和反応母材粒子の周囲に水溶性接着粒子が多量に存在するため、水を含む造形液と混合した際、水溶性接着粒子に造形液が吸収されてしまい、三次元立体造形物全体が柔らかくなる。そのため、三次元立体造形物の機械的強度が反って低下傾向になり得る。これに対し、0.8×(−0.77X+51)≦Y≦1.2×(−0.77X+51)を満足する三次元立体造形用粉体は、平均粒子径Xの非水和反応母材粒子の周囲に水溶性接着粒子が適量存在しているため、水を含む造形液を混合した際、水溶性接着粒子が溶解して非水和反応母材粒子間に適切に行き渡る。そのため、非水和反応母材粒子間に強い接着強度が発現し、また三次元立体造形物全体の柔軟化も起こりにくい。このことが三次元立体造形物の機械的強度の向上に寄与するものと考えられる。
ここに開示される三次元立体造形用粉体としては、水溶性接着粒子の体積割合Yが、非水和反応母材粒子の平均粒子径Xとの間で、0.85×(−0.77X+51)≦Y≦1.15×(−0.77X+51)を満足するように設定されていることがより好ましく、0.9×(−0.77X+51)≦Y≦1.1×(−0.77X+51)であることがさらに好ましく、0.95×(−0.77X+51)≦Y≦1.05×(−0.77X+51)であることが特に好ましい。水溶性接着粒子の体積割合Yが−0.77X+51に近い値を示す三次元立体造形用粉体は、溶解した水溶性接着粒子が非水和反応母材粒子間に適切に行き渡り、三次元立体造形物全体の柔軟化が起こりにくい。したがって、ここに開示される技術の適用効果が適切に発揮され得る。ここに開示される技術は、例えば水溶性接着粒子の体積割合Yと非水和反応母材粒子の平均粒子径Xとの関係が0.98×(−0.77X+51)≦Y≦1.02×(−0.77X+51)である態様で特に好ましく実施され得る。
<非水和反応母材粒子>
ここに開示される三次元立体造形用粉体は、非水和反応母材粒子を含有する。ここで「非水和反応母材粒子」とは、該粒子に水が接触したときに水和反応(典型的には水和物の生成や水酸化物の生成)が起こらない、あるいは起こったとしても該粒子の表面の微視的な範囲のみに限定され、該粒子の大部分は実質的に水と反応しない物質をいう。したがって、例えば非水和反応母材粒子1モルに対して微量(例えば0.1モル以下、好ましくは0.01モル以下、より好ましくは0.001モル以下)の水分子が該粒子表面で局所的に反応する場合は、ここでいう非水和反応母材粒子の概念に包含され得る。水和反応が起こる物質の典型例として、石膏、セメントなどが挙げられる。非水和反応母材粒子は、造形対象である三次元立体造形物の母材を構成する成分である。
非水和反応母材粒子の材質や性状は、三次元立体造形用粉体が非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとの間で前記関係を満たす限りにおいて特に制限はない。例えば、非水和反応母材粒子は無機粒子、有機粒子および有機無機複合粒子のいずれかであり得る。非水和反応母材粒子としては、無機粒子が好ましく、なかでも金属または半金属の化合物からなる粒子が好ましい。例えば、周期表の第4族〜第14族に属するいずれかの元素を含む酸化物、窒化物、炭化物;等を主体として構成される非水和反応母材粒子を好適に用いることができる。なかでもAl、Zr,Ti、Zn、Ni、FeおよびSiのうちのいずれかの金属元素または半金属元素を含む酸化物、窒化物、炭化物;等を主体として構成される非水和反応母材粒子が好ましい。あるいは、周期表の第4族〜第13族に属するいずれかの元素を含む金属またはそれらの合金を主体として構成された非水和反応母材粒子を採用してもよい。なかでもAl、Zr,Ti、Zn、NiおよびFeのうちのいずれかの金属元素を含む金属またはそれらの合金を主体として構成された非水和反応母材粒子が好ましい。
具体的には、酸化アルミニウム(例えばアルミナ)粒子、酸化ジルコニウム(例えばジルコニア)粒子、酸化チタン(例えばチタニア)粒子、酸化ケイ素(例えばシリカ)粒子、酸化亜鉛粒子、酸化鉄粒子、酸化ニッケル粒子、酸化セリウム(例えばセリア)粒子、酸化マグネシウム(例えばマグネシア)粒子、酸化クロム粒子、二酸化マンガン粒子、チタン酸バリウム粒子、炭酸カルシウム粒子、炭酸バリウム粒子等の酸化物粒子;アルミニウム粒子、ニッケル粒子、鉄粒子等の金属粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;等のいずれかを主体として構成される非水和反応母材粒子が挙げられる。非水和反応母材粒子は1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、シリカ粒子、酸化亜鉛粒子、チタン酸バリウム粒子、アルミニウム粒子、ニッケル粒子、鉄粒子は、高強度の三次元立体造形物を形成し得る点で好ましい。そのなかでも、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、シリカ粒子がさらに好ましく、アルミナ粒子が特に好ましい。
なお、本明細書において、非水和反応母材粒子の組成について「Aを主体として構成される」とは、当該非水和反応母材粒子に占めるAの割合(Aの純度)が、質量基準で90%以上(好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、例えば99%以上)であることをいう。
非水和反応母材粒子の形状(外形)は、三次元立体造形用粉体が非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとの間で前記関係を満たす限りにおいて特に制限はない。球形であってもよく、非球形であってもよい。機械的強度、製造容易性等の観点から、略球形の非水和反応母材粒子を好ましく使用し得る。
非水和反応母材粒子の平均粒子径Xは、5μm≦X≦60μmであり得る。非水和反応母材粒子の平均粒子径Xが小さすぎると、三次元立体造形用粉体が流動しにくくなるため、造形時に該粉体を薄層状に充填する際の成形性が低下する場合があり得る。上記非水和反応母材粒子の平均粒子径Xは、成形性等の観点からは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上(例えば40μm以上)である。また、非水和反応母材粒子の平均粒子径Xは、概ね60μm以下である。非水和反応母材粒子の平均粒子径Xが大きすぎると、造形時に該粉体を薄層状に充填した後、該粉体が流動しやすくなるため、三次元立体造形物の各層が積層ずれを起こす場合があり得る。上記非水和反応母材粒子の平均粒子径Xは、積層ずれを抑制する等の観点からは、好ましくは55μm以下、より好ましくは50μm以下、特に好ましくは45μm以下である。例えば平均粒子径Xが10μm≦X≦50μm(典型的には30μm≦X≦50μm)である非水和反応母材粒子が、成形性と積層ずれ抑制とを両立させる観点から好適である。
なお、本明細書中において「平均粒子径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒子径、すなわち50%体積平均粒子径(D50径)を意味するものとする。より具体的には、レーザ回析・散乱式粒度分布測定装置を用い、圧縮空気による粒子の分散は行わず、乾式測定した50%体積平均粒子径である。
非水和反応母材粒子のゆるめ嵩密度は、三次元立体造形用粉体が非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとの間で前記関係を満たす限りにおいて特に制限はないが、概ね0.8g/cm以上であり得る。非水和反応母材粒子のゆるめ嵩密度は、好ましくは0.9g/cm以上、より好ましくは1g/cm以上である。非水和反応母材粒子のゆるめ嵩密度は、例えば1.25g/cm以上、典型的には1.5g/cm以上であってもよい。非水和反応母材粒子のゆるめ嵩密度の上限は特に限定されないが、例えば3g/cm以下にすることが適当であり、好ましくは2.5g/cm以下、より好ましくは2g/cm以下(例えば1.8g/cm以下)である。ここに開示される技術は、例えば非水和反応母材粒子のゆるめ嵩密度が、1g/cm以上2.1g/cm以下である態様で特に好ましく実施され得る。
三次元立体造形用粉体における非水和反応母材粒子の含有量は、三次元立体造形用粉体が非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとの間で前記関係を満たす限りにおいて特に制限はない。非水和反応母材粒子の含有量は、三次元立体造形用粉体の全量を100質量部とした場合に、通常は60質量部以上であり、機械的強度向上等の観点から、好ましくは65質量部以上、より好ましくは75質量部以上、例えば80質量部以上、典型的には85質量部以上、例えば90質量部以上であってもよい。非水和反応母材粒子の含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは99質量部以下であり、より好ましくは98質量部以下であり、例えば96質量部以下であってもよい。このような非水和反応母材粒子の含有量の範囲内であると、本構成の効果を一層高いレベルで発揮することができる。
<水溶性接着粒子>
ここに開示される三次元立体造形用粉体は水溶性接着粒子を含有する。ここで「水溶性接着粒子」とは、液温90℃の水100質量部に接着粒子2質量部を添加し4時間攪拌したときに、該接着粒子の全部もしくは一部が溶解することで、該接着粒子を溶解した水溶液が水よりも高い粘性を発現する樹脂粒子をいう。好ましい一態様では、上記水の粘度をA(mPa・s)とした場合に、上記接着粒子が溶解した水溶液の粘度が1.2×A(好ましくは1.5×A、より好ましくは2.0×A)を上回る程度に粘性が発現する。水溶性接着粒子は、水を含む造形液と混合した際、水に溶解して非水和反応母材粒子同士を接着する成分である。
水溶性接着粒子の材質や性状は、三次元立体造形用粉体が非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとの間で前記関係を満たす限りにおいて特に制限はない。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および多糖類のいずれかを主体として構成された水溶性接着粒子が好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂の好適例として、例えばビニルアルコール系樹脂、イソブチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が例示される。ビニルアルコール系樹脂は、典型的には、主たる繰返し単位としてビニルアルコール単位を含む樹脂(PVA)である。当該樹脂において、全繰返し単位のモル数に占めるビニルアルコール単位のモル数の割合は、通常は50%以上(例えば50%〜90%)であり、好ましくは65%以上、より好ましくは75%以上、例えば85%以上である。全繰返し単位が実質的にビニルアルコール単位から構成されていてもよい。PVAにおいて、ビニルアルコール単位以外の繰返し単位の種類は特に限定されず、例えば酢酸ビニル単位等であり得る。カルボキシル基変性PVA、スルホン酸基変性PVA、リン酸基変性PVAなどのアニオン変性PVA、カチオン変性PVA、あるいはエチレン、長鎖アルキル基を有するビニルエーテル、ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド、アルファオレフィンなどを共重合した変性PVA;等を使用してもよい。PVAの重合度については特に制限されないが、例えば100〜5000(好ましくは500〜3000)であり得る。イソブチレン系樹脂は、イソブチレンの単独重合体であってもよいし、イソブチレンと他の単量体との共重合体(イソブチレン共重合体)であってもよい。イソブチレン共重合体において、イソブチレンと共重合する他の単量体としては特に限定されない。例えば、エチレン性二重結合を有するモノマーが挙げられる。エチレン性二重結合を有するモノマーとしては、例えば、(無水)マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタル酸、(無水)イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン等が挙げられる。化学変性したイソブチレン共重合体を用いてもよい。イソブチレン共重合体の分子量については特に制限されないが、例えば3×10〜2×10(好ましくは5×10〜1.7×10)であり得る。ポリアミド系樹脂としては、例えばポリカプロアミド(ナイロン−6)などのナイロンを化学変性した水溶性ナイロンが挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば親水性基を有する成分がポリエステル中に共重合成分として導入された水溶性ポリエステルが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、ビニルアルコール系樹脂およびイソブチレン系樹脂は強接着力を有する点で好ましく用いることができる。
熱硬化性樹脂の好適例としては、例えばメラミン系樹脂が例示される。メラミン系樹脂は、メラミンとアルデヒドとの重合反応によって得られるメラミン樹脂であってもよいし、メラミン樹脂の形成に用いられる単量体(またはその初期重合体)と他の単量体(またはその初期重合体)との共重合体樹脂であってもよい。メラミン樹脂において、メラミンと重合するアルデヒドとしては特に限定されない。例えばメラミンとホルムアルデヒドとの重合反応によって得られるメラミン樹脂を好ましく用いることができる。
多糖類の好適例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;アラビアゴム、キサンタンゴム、カードラン、澱粉、デキストリン、グルコマンナン、アガロース、カラギナン、グアーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、クインシードガム、プルラン、寒天、コンニャクマンナンなどの天然高分子化合物;が例示される。なかでも、接着性等の観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、キサンタンゴムを好ましく用いることができる。
ここに開示される三次元立体造形用粉体に含有させ得る水溶性接着粒子の他の例として、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンの共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムの共重合体、アルギン酸ナトリウム、スクロース、デキストロース、フルクトース、ラクトース、ゼラチン;等を主体として構成された水溶性接着粒子が挙げられる。上述した水溶性接着粒子は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、水溶性接着粒子の組成について「Aを主体として構成される」とは、当該水溶性接着粒子に占めるAの割合(Aの純度)が、質量基準で90%以上(好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、例えば99%以上)であることをいう。
特に制限されるものではないが、水溶性接着粒子の平均粒子径は、通常は0.1μm以上であり、好ましくは1μm以上である。水溶性接着粒子の平均粒子径の上限は、凡そ250μm以下とすることが適当であり、好ましくは200μm以下である。
水溶性接着粒子のゆるめ嵩密度は、三次元立体造形用粉体が非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとの間で前記関係を満たす限りにおいて特に制限はないが、概ね0.2g/cm以上であり得る。水溶性接着粒子のゆるめ嵩密度は、好ましくは0.3g/cm以上、より好ましくは0.4g/cm以上である。水溶性接着粒子のゆるめ嵩密度は、例えば0.5g/cm以上であってもよい。水溶性接着粒子のゆるめ嵩密度の上限は特に限定されないが、例えば1g/cm以下にすることが適当であり、好ましくは0.8g/cm以下、より好ましくは0.7g/cm以下(例えば0.6g/cm以下)である。ここに開示される技術は、例えば水溶性接着粒子のゆるめ嵩密度が、0.3g/cm以上0.6g/cm以下である態様で特に好ましく実施され得る。
三次元立体造形用粉体における水溶性接着粒子の含有量は、三次元立体造形用粉体が非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとの間で前記関係を満たす限りにおいて特に制限はない。水溶性接着粒子の含有量は、三次元立体造形用粉体の全量を100質量部とした場合に、通常は1質量部以上であり、機械的強度向上等の観点から、好ましくは2質量部以上、例えば4質量部以上、典型的には8質量部以上であってもよい。水溶性接着粒子の含有量の上限は、特に限定されないが、例えば40質量部以下であり、機械的強度向上等の観点から、好ましくは35質量部以下、例えば30質量部以下、例えば20質量部以下、典型的には15質量部以下、例えば10質量部以下であってもよい。
ここに開示される技術において、水溶性接着粒子と非水和反応母材粒子とは、相互に接着しておらず、それぞれ独立した粒子として存在していてもよい。このように水溶性接着粒子と非水和反応母材粒子とがそれぞれ独立した粒子として存在することで、所望の三次元立体造形用粉体を簡易に実現できる。あるいは、非水和反応母材粒子の表面に水溶性接着粒子を付着させてもよい。すなわち、非水和反応母材粒子の一部または全部を水溶性接着粒子で被覆(コーティング)してもよい。このことによって、非水和反応母材粒子間に所要量の水溶性接着粒子が確実に存在するため、水溶性接着粒子を溶解した水が非水和反応母材粒子間に効率よく行き渡る。そのため、前述した三次元立体造形物強度向上効果をより効果的に発揮させることができる。
ここに開示される三次元立体造形用粉体は、本構成の効果を損なわない範囲で、分散剤、増粘剤、印刷助剤等の、三次元立体造形用粉体に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよく、本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
ここに開示される三次元立体造形用粉体の調製方法は特に限定されない。例えば、ポリミックス等の周知の混合方法を用いて、三次元立体造形用粉体に含まれる各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
ここに開示される三次元立体造形用粉体は、層状に充填した三次元立体造形用粉体の薄層の少なくとも一部に水を含む造形液を混合して固化させ、該固化した薄層を繰り返し積層することにより三次元立体造形物を造形する積層造形に用いられ得る。造形される三次元立体造形物の形状はとくに制限されない。ここに開示される三次元立体造形用粉体は、種々の三次元立体形状の造形物の造形に好ましく適用され得る。
<造形液>
ここに開示される三次元立体造形用粉体は、典型的には水を含む造形液と混合される態様で、三次元立体造形物の造形に用いられる。上記造形液に用いられる溶媒は、水を含むものであればよい。溶媒としては、純水、超純水、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水等を好ましく用いることができる。ここに開示される造形液は、必要に応じて、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)をさらに含有してもよい。通常は、造形液に含まれる溶媒の40体積%以上が水であることが好ましく、50体積%以上(典型的には50〜100体積%)が水であることがより好ましい。かかる造形液は、造形時に三次元立体造形用粉体100質量部に対して例えば20質量部〜80質量部(典型的には40質量部〜60質量部)の比率で混合され得る。
ここに開示される造形液は、本構成の効果を損なわない範囲で、染料、有機顔料、無機顔料、湿潤剤、流量増加剤等の、造形液に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよく、本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
<造形方法>
ここに開示される三次元立体造形用粉体は、例えば以下の操作を含む態様で、三次元立体造形物の造形(製造)に使用することができる。以下、ここに開示される三次元立体造形用粉体を用いて三次元立体造形物を造形する方法の好適な一態様につき説明する。この造形は、造形対象となる三次元立体造形物に対応する三次元データ等に基づいて立体を造形する3Dプリンタを用いて行われ得る。かかる3Dプリンタは、水を含む造形液を滴下するインクジェットと、三次元立体造形用粉体が配置される裁置台とを有し得る。
三次元立体造形物を造形するに際しては、ここに開示されるいずれかの三次元立体造形用粉体を用意する。三次元立体造形用粉体を用意することには、ポリミックス等の周知の混合方法を用いて三次元立体造形用粉体に含まれる各成分を混合する、等が含まれる。
次いで、下記の操作1〜3を繰り返すことで、層状固形物を順次積層して三次元立体造形物を造形する。
操作1:上記三次元立体造形用粉体を、造形対象となる三次元立体造形物の各層に対応する厚さ(例えば0.01mm〜0.3mm)となるように、裁置台上に層状に充填する。
操作2:層状に充填された三次元立体造形用粉体のうち固化すべき部分(すなわち造形対象となる三次元立体造形物の一部に相当する部分)に対してインクジェットヘッドから水を含む造形液を滴下する。そして当該滴下部分に含まれる水溶性接着粒子を溶解して非水和反応母材粒子間を接着することで、層状固形物を形成(固化)する。
操作3:裁置台を鉛直下方に上記三次元立体造形物の各層に対応する厚さの分だけ下降させる。
その後、固化されなかった三次元立体造形用粉体を最終的に取り除くことで、三次元立体造形物の造形が完了する。ここに開示される三次元立体造形用粉体を用いて造形された三次元立体造形物は、造形後に焼成してもよい。焼成の温度は、特に制限されず、例えば600℃〜1800℃の範囲とすることが好ましい。これにより、より高強度な三次元立体造形物が形成され得る。また必要に応じて、造形後の三次元立体造形物を焼成助剤に浸してから焼成してもよい。これにより一層高強度な三次元立体造形物が形成され得る。
<三次元立体造形物の製造方法>
ここに開示される技術には、例えば、三次元立体造形物の製造方法の提供が含まれ得る。すなわち、ここに開示される技術によると、非水和反応母材粒子と水溶性接着粒子とを含む三次元立体造形用粉体を用意する工程と、層状に充填した該三次元立体造形用粉体の薄層の少なくとも一部に水を含む造形液を混合して固化させ、該固化した薄層を繰り返し積層することにより三次元立体造形物を造形する工程と、を含む三次元立体造形物の製造方法が提供される。この三次元立体造形物の製造方法では、上記三次元立体造形用粉体を用意する工程において、非水和反応母材粒子の平均粒子径X(μm)が5≦X≦60であり、かつ、該非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと三次元立体造形用粉体のみかけ体積に占める水溶性接着粒子の体積割合Y(体積%)とが0.8×(−0.77X+51)≦Y≦1.2×(−0.77X+51)を満足するように設定された三次元立体造形用粉体が用意される。上記製造方法は、ここに開示される三次元立体造形用粉体および造形方法の内容を好ましく適用することにより実施され得る。上記製造方法によると、従来に比して機械的強度に優れた、高品質な三次元立体造形物が提供される。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<三次元立体造形用粉体>
非水和反応母材粒子および水溶性接着粒子をポリミックスで30秒間攪拌して各例に係る三次元立体造形用粉体を調製した。各例に係る三次元立体造形用粉体について、使用した非水和反応母材粒子の種類、含有量、平均粒子径X、水溶性接着粒子の種類、含有量、体積割合Yを表1,2に纏めて示す。なお、各例の非水和反応母材粒子の平均粒子径Xは、前述の方法に準じて求めたものである。また、各例の三次元立体造形用粉体における水溶性接着粒子の体積割合Yは、前述の方法に準じて求めたものである。なお、PVAとしては日本酢ビ・ポバール株式会社製ポバールJP−05Sを使用した。また、アルミナとしては、昭和電工株式会社製砥材WA240〜2500を使用した。
Figure 2017155276
Figure 2017155276
<圧壊強度測定>
各例の三次元立体造形用粉体を用いて三次元積層造形物を造形した。具体的には、3D Systems社製ProJet460Plusを使用して縦4mm×横40mm×厚さ3mmの試験片を造形し、室温で24時間乾燥した。そして、該試験片の曲げ強度(圧壊強度)をJIS R 1601に準拠する方法で測定した。結果を表1、2の「強度」欄および図1、2に示す。図1は、例A〜Eについて水溶性接着粒子の体積割合Y(体積%)と曲げ強度(MPa)との関係を示すグラフである。図2は、例F〜Hについて水溶性接着粒子の体積割合Y(体積%)と曲げ強度(MPa)との関係を示すグラフである。ここでは曲げ強度が0.3MPa以上のものを良品と判定した。かかる曲げ強度は、造形後の三次元立体造形物を造形装置から破損なく取り出し得るために必要な強度である。
表1、2および図1、2に示されるように、非水和反応母材粒子の平均粒子径Xにかかわらず、水溶性接着粒子の体積割合Yを0(ゼロ)から増加させると、曲げ強度はいったん増大傾向を示し、そして中間で極大値をとった後、再び減少傾向に転じた。すなわち、水溶性接着粒子の体積割合Yが多すぎても少なすぎても、曲げ強度は低下傾向を示すことが確認された。また、非水和反応母材粒子の平均粒子径Xが小さくなるに従い、水溶性接着粒子の体積割合Yが小さい側に曲げ強度の極大値がシフトした。このことから、非水和反応母材粒子の平均粒子径Xが小さくなるに従い、同様の強度を得るための水溶性接着粒子の体積割合Yが増えることが確認された。
非水和反応母材粒子の平均粒子径Xを横軸に、各平均粒子径Xにおいて上記極大値を示したときの水溶性接着粒子の体積割合Yを縦軸に取ったときのグラフを図3に示す。すなわち、図3は非水溶性母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yの極大値との関係を示すグラフである。
図3に示すように、プロットされた各点は概ね直線上に乗り、直線近似を行うと、Y=−0.77X+51となった。そして、曲げ強度0.3MPa以上を実現し得る水溶性接着粒子の体積割合Yは、概ね0.8×(−0.77X+51)≦Y≦1.2×(−0.77X+51)の範囲であった。この結果から、0.8×(−0.77X+51)≦Y≦1.2×(−0.77X+51)を満たす三次元立体造形用粉体を用いることにより、三次元立体造形物の機械的強度を向上し得ることが確認できた。
なお、アルミナに代えてシリカもしくはジルコニアを用いた例F〜Hの三次元立体造形用粉体ならびにPVAに代えてデキストリンを用いた例I〜Jの三次元立体造形用粉体についても、アルミナおよびPVAを用いた例A〜Eの三次元立体造形用粉体と同様に、Y=−0.77X+51の直線上に乗り、ほほ同様の性能を有していた。このことから、非水和反応母材粒子の平均粒子径Xと水溶性接着粒子の体積割合Yとをここに開示される適切な関係に調整することよる性能向上効果(機械的強度向上効果)は、非水和反応母材粒子および水溶性接着粒子の種類に関係なく得られることが確かめされた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (7)

  1. 非水和反応母材粒子と水溶性接着粒子とを含む三次元立体造形用粉体であって、
    前記非水和反応母材粒子の平均粒子径をX(μm)とし、前記三次元立体造形用粉体の
    見かけ体積に占める前記水溶性接着粒子の体積割合をY(体積%)とした場合に、
    以下の関係:
    5≦X≦60;
    0.8×(−0.77X+51)≦Y≦1.2×(−0.77X+51);
    を満たす、三次元立体造形用粉体。
  2. 前記非水和反応母材粒子の平均粒子径X(μm)が、10≦X≦50である、請求項1に記載の三次元立体造形用粉体。
  3. 前記水溶性接着粒子は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および多糖類からなる群から選択される少なくとも1種を主体として構成されている、請求項1または2に記載の三次元立体造形用粉体。
  4. 前記水溶性接着粒子は、ポリビニルアルコールまたはその誘導体を含む、請求項1〜3の何れか一つに記載の三次元立体造形用粉体。
  5. 前記非水和反応母材粒子は、Al、Zr,Ti、Zn、NiおよびFeからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む金属またはそれらの合金を主体として構成されている、請求項1〜4の何れか一つに記載の三次元立体造形用粉体。
  6. 前記非水和反応母材粒子は、Al、Zr,Ti、Zn、Ni、FeおよびSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を主体として構成されている、請求項1〜5の何れか一つに記載の三次元立体造形用粉体。
  7. 請求項1〜6の何れか一つに記載の三次元立体造形用粉体の固化物からなる、三次元立体造形物。
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