JP2019157217A - バインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料 - Google Patents

バインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料 Download PDF

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Abstract

【課題】微細ながら積層する際の流動性が向上して動的特性が大幅に改善したバインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料を提供する。【解決手段】バインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料であって、金属粉末またはセラミックス粉末からなる平均粒径が2〜25μmの主原料粉末中に、一次粒子径が7〜40nmであるSiO2粉末等の流動化剤が0.01〜0.15wt%の割合で添加された微細粉末である。【選択図】図3

Description

本発明は、三次元物体成形用の積層造形用粉末材料に係り、特にバインダジェット法に用いる粉末材料において微細な粒度ながら積層が容易となる微細粉末材料に関する。
積層造形法による三次元物体の成形法として、原料粉末(金属粉や合金粉、あるいはセラミックス粉)をパウダーベッド上に積層しながら、一層を積層するごとにレーザビームや電子ビームをその一層の原料粉末に選択的に照射して直接焼結することを繰り返して、焼結部分を結合させ目的の三次元形状として得る選択焼結法が開発されている。しかしこの選択焼結法は、設備コストが高いことや限定された粒度範囲の粉末の使用が必須のためそれに伴う原料粉末の価格が高いことなどが原因で、普及が進んでいないのが現状である。そこで選択焼結法に代わり安価に実施可能な積層造形法として、バインダジェット法による焼結体の製造方法が提案、開発され、実用化が図られてきている(特許文献1、2等参照)。
バインダジェット法は、選択焼結法におけるレーザビームや電子ビームの照射に代えて、積層した原料粉末にバインダを選択的に印刷して原料粉末とバインダとの結合体を造形するもので、この後その結合体を焼結して三次元の焼結体を得る。このようなバインダジェット法は、選択焼結法と比べて簡便に焼結体が得られるとともに設備の点でコストを大幅に低減することができるという利点がある。また、原料粉末とバインダの結合体をパウダーベッド上に幾層にも重ねて造形することができるという効率的な点も、選択焼結法では得られない利点である。
特開2005−120475号公報 特開2014−522331号公報
原料粉末は、パウダーベッド上に均質な状態、すなわち密度が均一、かつ高密度で積層されることが焼結体の品質向上の面から望ましい。そのためには、上記選択焼結法で使用されているような流動性等の動的特性に優れた粉末の使用が必要になる。そのような粉末は、粒径が22〜50μm、あるいは50〜120μmといった粒度範囲の粉末である。この程度の粒度範囲の粉末は、流動性や充填性が高く、パウダーベッド上に均質、かつ高密度に積層することが可能である。しかし、粒度が粗いことから、後工程で焼結するバインダジェット法では使用しにくく、また、通常の工業的な粉末冶金における焼結工程において工業部品として必要な相対密度95%以上を確保することが困難であった。
そこで、粒度が細かい原料粉末を均一な密度で積層することが求められた。しかし、粒度が細かいと付着性が高くなることから流動性が低くなって均質に積層しにくいという問題が生じ、このため、現状では流動性の高い上記のような粒度の粉末を使用せざるを得なかった。このような積層しやすい比較的粗い原料粉末を用いて上記のようにバインダジェット法により粉末を積層した三次元結合体を造形し、その焼結体を得ると、焼結密度は相対密度で80%前後と低密度であった。十分な機械的特性が得られる焼結体の相対密度は95%以上とされるため、このような低密度では機械的特性が不十分であり、工業用部品や機能部品としての用途をなさない。そこで、内部の空孔に銅を溶侵させれば密度を向上させることができるが、そのような焼結体は金属材料的な価値は低く、装飾品等に使用される程度できわめて用途が限定的であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、微細ながら積層する際の流動性が向上して動的特性が大幅に改善し、これにより原料粉末の均質な積層状態を得ることができ、しかも安価かつ簡便に製造することができるバインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、工業的な焼結条件、例えば1350℃前後の焼結温度で初期の相対密度95%以上が得られ、空孔に銅などの溶侵の必要性が生じない微細な粉末を用いながら流動性が確保され、これによって通常の粉末冶金製品と同等の金属あるいはセラミックスからなる高品質な焼結体を得ることができる積層造形用粉末材料を鋭意検討したところ、含有率のほとんどを占める微細な主原料粉末中に、流動化剤として、ナノサイズである超微粒子のSiO粉末(シリカ粉末)やTiO粉末(チタニア粉末)、あるいはAl粉末(アルミナ粉末)のうちの一種、または二種以上の混合粉末を、ある範囲の添加量で添加することにより、バインダジェット法において原料粉末をパウダーベッド上に積層する際の粉末の動的特性を大幅に改善すること、ならびに従来使用することができなかった微細粉末の均質な積層状態が得られることを見いだした。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、本発明の積層造形用粉末材料は、金属粉末またはセラミックス粉末からなる平均粒径が2〜25μmの主原料粉末中に、一次粒子径が7〜40nmの流動化剤が0.01〜0.15wt%の割合で添加されていることを特徴とする。
本発明の主原料粉末としては、ステンレス、高速度鋼、ニッケル基耐熱鋼、低炭素鋼等の粉末冶金や金属射出成形法(MIM:Metal Injection Molding)等で使用されている粉末全般、またはアルミナや炭化ケイ素等のセラミック射出成形に使用されている粉末のうちの少なくとも一種、または二種以上の混合粉末が挙げられる。この主原料粉末の平均粒径は、2μm未満では、微細粉末の均質な流動性と積層状態を得ることが困難である。一方、25μm超では、バインダジェット法で得た三次元の粉末成形体を通常の金属粉末の焼結温度で焼結した場合において、焼結密度が工業的に要求される95%以上を確保しにくい。したがって主原料粉末の平均粒径は2〜25μmが適切であり、好ましくは5〜15μm、さらに好ましくは7〜10μmである。
また、本発明の主原料粉末に添加する流動化剤は、SiO粉末、TiO粉末、Al粉末のうちの一種、または二種以上の混合粉末が好適に用いられる。これら流動化剤は、ナノサイズの超微粒子粉末であって、その一次粒子径は、7nm未満では、粒子の凝集が生じて主原料粉末との混合時に均質な分散状態が得られない。一方、40nm超では、製造する上で球状のナノ粒子が不規則化するため主原料粉末に対する潤滑効果(流動化効果)が低下する。したがって流動化剤の一次粒子径は7〜40nmが適切であり、好ましくは7〜30nm、さらに好ましくは10〜20nmである。
また、上記流動化剤の添加量は、0.01wt%未満では、流動性を改善させる効果がなく、適切な積層状態が得られない。一方、0.15wt%超では、積層時にホッパーからの適切な切り出しができず流体状となってホッパーから流失するおそれがある。ホッパーから流出すると適切な積層状態が得られず、成形そのものがなされない。したがって流動化剤の添加量は0.01〜0.15wt%が適切であり、好ましくは0.02〜0.07wt%、さらに好ましくは0.025〜0.05wt%である。
さらに本発明の積層造形用粉末材料は、応力伝達率が75%以上であることを特徴とする。
本発明の積層造形用粉末材料によれば、微細ながら積層する際の流動性が向上して動的特性が大幅に改善し、これにより原料粉末の均質な積層状態を得ることができ、しかも安価かつ簡便に製造することができるといった効果を奏する。また、本発明の積層造形用粉末材料を用いてバインダジェット法により三次元成形体を造形し、その成形体を焼結して得られる焼結体は、緻密かつ均質な金属組織を有することにより十分な機械的特性を備えた高品質なものとなる。
本発明の一実施形態に係る三次元焼結体の成形方法の工程を模式的に示す図である。 図1に示すホッパーによる原料粉末の積層の状況を示す断面図である。 実施例1の焼結体の金属組織を示す顕微鏡写真である。 比較例1の焼結体の金属組織を示す顕微鏡写真である。 比較例2の焼結体の金属組織を示す顕微鏡写真である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、バインダジェット法で三次元物体を積層造形し、造形した目的形状の結合体を焼結して焼結体を成形する方法の工程を模式的に示している。
図1に示す焼結体の成形方法は、はじめに、図1(A)に示すように、所定の面積を有する水平にセットされたパウダーベッド11上に、ホッパー12から原料粉末Pを自然落下させつつ供給して敷き詰め、所定厚さの一層の原料粉末層PLを形成する。原料粉末層PLは、図2に示すように、ホッパー12と連動して移動するローラ13により表面が加圧されることで、平坦、かつ均一な厚さになるよう均される。一層の原料粉末層PLの厚さは例えば40〜50μm程度とされるが、概ね100μm以下の範囲で適宜に設定される。
次に、図1(B)に示すように、積層した原料粉末層PLに、インクジェットディスペンサ14からバインダBを選択的に噴出させる。バインダBの噴出を受けた部分の原料粉末PはバインダBによって結合し硬化する。インクジェットディスペンサ14は、目的とする三次元の焼結体の形状に応じた三次元データに基づきコンピュータ制御されて、原料粉末層PL上を駆動させられる。
次に、選択的にバインダBで結合させられた最初の原料粉末層PLの上に、再びホッパー12から原料粉末Pを供給するとともにローラ13で平坦化し、二層目の原料粉末層PLを積層する。次いで、二層目の原料粉末層PLに、インクジェットディスペンサ14からバインダBを選択的に噴出させ、原料粉末をバインダによって結合させる。このように、選択的にバインダBによる結合部分が形成された原料粉末層PL上に原料粉末Pを積層して次の原料粉末層PLを形成し、次いでその原料粉末層PLにバインダBを選択的に噴出させるという工程を多数回繰り返して、多層の原料粉末層PLの内部に、バインダBと原料粉末Pとの結合体Gを造形する(図1(C)に示す)。一体の三次元結合体を造形するため、上下に隣接して重畳する原料粉末層PLは少なくとも部分的にバインダBの供給部分が重畳して互いに結合し、これにより上下に連続する結合体Gが造形される。
次に、図1(D)に示すように、上記結合体Gを原料粉末層PLの内部から取り出す。結合体Gを原料粉末層PLの内部から取り出すには、結合体Gを囲んでおりバインダが印刷されておらず結合されていない積層された原料粉末Pを、例えば吸入ノズルを用いて吸入するなどの方法で除去することができる。バインダBで結合されていない原料粉末Pの除去方法はこれに限られず適宜方法が選択される。次いで、取り出した結合体Gを所定の焼結条件で焼結し、焼結体を得る。
以上が本実施形態に係るバインダジェット法を用いた三次元形状の焼結体の成形方法である。続いて、上記原料粉末PおよびバインダBについて詳細を説明する。
[原料粉末]
原料粉末は、微細な主原料粉末中に、流動化剤として、超微粒子のSiO粉末、TiO粉末、Al粉末のうちの一種、または二種以上の混合粉末を微量添加したものとする。
・主原料粉末
主原料粉末としては、金属粉末またはセラミックス粉末が用いられる。金属粉末としては、ステンレス、高速度鋼、ニッケル基耐熱鋼、低炭素鋼等の粉末冶金や金属射出成形法(MIM:Metal Injection Molding)等で使用されている粉末全般が挙げられる。また、セラミックス粉末としては、アルミナや炭化ケイ素等が挙げられる。
主原料粉末の粒度は、平均粒径が2〜25μmのものが用いられる。これは、2μm未満では、微細粉末の均質な流動性と積層状態を得ることが困難であり、25μm超では、バインダジェット法で得た三次元の粉末成形体を通常の金属粉末の焼結温度で焼結した場合において、焼結密度が工業的に要求される95%以上を確保しにくいという理由からである。この範囲中では、5〜15μmが好ましく、7〜10μmがさらに好ましい。例えば−22μmと表記される平均粒径が10μm程度の粉末、あるいは−15μmと表記される平均粒径が7.5μm程度の粉末が市販されており、これらが好適であって入手可能である。
・流動化剤
本発明の流動化剤の粒度は、一次粒子径が7〜40nmのものが用いられる。これは、7nm未満では、粒子の凝集が生じて主原料粉末との混合時に均質な分散状態が得られず、40nm超では、製造する上で球状のナノ粒子が不規則化するため主原料粉末に対する潤滑効果が低下するという理由からである。この範囲中では、7〜30nmが好ましく、10〜20nmがさらに好ましい。本発明の流動化剤としては、上記のようにSiO粉末、TiO粉末、Al粉末のうちの一種、または二種以上の混合粉末が用いられ、これらはいずれのものも同等の効果を示す。
流動化剤の上記主原料粉末に対する添加量は、0.01〜0.15wt%とされる。これは、0.01wt%未満では、流動性を改善させる効果がなく、0.15wt%超では、積層時にホッパーからの適切な切り出しができず流体状となってホッパーから流失し、適切な積層、ひいては成形が不可能になるおそれがあるからである。この範囲中では、0.02〜0.07wt%が好ましく、0.025〜0.05wt%がさらに好ましい。
[バインダ]
バインダは、エチレングリコールを10〜25%含む混合溶液や、エチレングリコールモノブチルエーテルを2.5〜10%含む混合溶液等が用いられるが、これらに限定はされず、適宜なものが選択される。
表1に示すように、平均粒径が10μm(−22μm)のSUS316Lを主原料粉末とし、この主原料粉末中に一次粒子径が30nmのシリカ粉末(AEROSIL(登録商標)RX300・日本アエロジル(株))を0.025wt%および0.15wt%添加した粉末を、それぞれ実施例1、2の原料粉末とした。これに対し、平均粒径が10μm(−22μm)のSUS316Lの粉末のみを比較例1の原料粉末とし、平均粒径が35μm(22−53μm)のSUS316Lの粉末のみを比較例2の原料粉末とした。すなわち、比較例1は実施例1、2とSUS316Lの粒度は微細で同じであるがシリカ粉末の添加が無し、比較例2は実施例1、2よりもSUS316Lの粒度が大きくてシリカ粉末の添加が無し、というものである。
Figure 2019157217
1.流動性を評価する粉体動摩擦角、応力伝達率、圧縮率の測定
実施例1、2および比較例1、2の原料粉末を、JIS−Z8835に準拠する流動性評価装置(粉末層せん断力測定装置NS−S500型、ナノシーズ社製)を用い、粉体動摩擦角、応力伝達率、圧縮率を測定した。粉体動摩擦角はその数値が小さいほど流動性がよく、応力伝達率はその数値が大きいほど流動性がよく、圧縮率はその数値が小さいほど流動性がよい。これらの結果を表1に併記する。なお、実験条件として、実験用セルは内径30mmのSUS製セルを用い、粉体層に負荷する垂直荷重は30N、60N、90Nの3条件とした。応力伝達率は、30Nの荷重試験で得られた数値を用いた。サンプル量は30gとし、特別な前処理は行わず測定に供した。
表1に示すように、比較例1の粉末は実施例1、2の粉末と比較して粉体動摩擦角が大きく流動性が悪い。これは、実施例1、2において、流動化剤の効果が得られ、圧密時の流動性が向上していることが考えられる。比較例2においては、実施例1、2および比較例1に比べて、粒子径が大きいために粉体動摩擦角が小さくなり、他の例に比較してよい流動性が得られている。
応力伝達率の評価において、実施例1、2の粉末は、比較例1の粉末と比較して応力伝達率が大きくなり流動性がよくなった。比較例1は、SUS製セル壁面との摩擦力が大きく、加えた荷重の応力が伝達しにくい、すなわち流動性が低いことを示しているが、これに対し実施例1、2の粉末は高い応力伝達率を示し、流動化剤により流動性が改善したことを示している。
圧縮率の評価では、比較例1の粉末は実施例1、2の粉末と比較して圧縮率が大きく流動性が悪い。これは、実施例1、2において、同じく流動化剤の効果が得られ、測定を開始する前の(プレスする前の)自然充填状態において、比較例1よりも密度が高くなり、結果として圧縮率が小さな値が得られたと考えられる。つまり、自然充填時の流動性の向上が、流動化剤を添加することにより発現している。
また、シリカ粉末(流動化剤)は、最大の効果を得るためには適切な添加量が存在し、実施例1は実施例2よりも添加量が少ないにも関わらず、応力伝達率と圧縮率の評価では高い流動性を示している。比較例2は、シリカ粉末が添加されていないものの、主原料粉末の粒子径が大きいために流動性は高くなるが、シリカ粉末を0.15wt%添加した実施例2と同程度となった。これらのことから、流動性の低い平均粒径が10μm(−22μm)のSUS316Lの粉末にシリカ粉末の微粒子を適量添加することで、流動性が向上することが確かめられた。
2.付着力の測定
実施例1、2および比較例1の原料粉末について粒子の付着力の測定を行い、平均粒径が10μm(−22μm)のSUS316Lの粉末に対するSiO粉末の添加がいかに付着力を低減して流動性を高めるかを調べた。測定方法は、日立工機社製の遠心法付着力測定装置(CS150NX)を用い、平均付着力F50(nN)を算出した。その結果を表1に併記する。なお、当該装置による平均付着力の算出原理は次の通りである。
サンプル(粉末)を付着させた基板(SUS304製の鏡面基板)を高速遠心機にセットして所定回転数で遠心分離し、粒子の分離状態を記録する。この際、粒子に作用する分離力を粒子密度(ρ)、粒子径(d)、回転数、回転半径(r)から算出する。初期の粒子付着量に対して回転後の粒子残留率を画像解析により測定し、50%の粒子が分離する分離力(この場合、分離力は付着力、または摩擦量と同等)を算出し、平均付着力F50を算出する。粒子の残留率Rが50%となる回転角速度ωを算出し、次式より平均付着力F50を算出する。
F50=(π/6)・ρ・d3・r・ω2
表1に示すように、実施例1、2は比較例1と比べそれぞれ粒子付着力がおよそ四分の一、十分の一以下であった。付着力は流動性の向上と密接に関係しており、SiO粉末の添加が流動性を格段に向上させることが確かめられた。また、過剰な添加量により、付着力が低減し過ぎて、積層時にホッパーからの適切な切り出しができず流体状となってホッパーから流失し(フラッシュアウト)、適切な積層、ひいては成形が不可能になるおそれがある。これ以上の付着力の低下は逆に積層には不適切であり、適切な付着力が存在することも確認された。
3.焼結体の評価
実施例1、2および比較例1、2の原料粉末を用いて、図1で模式的に示したようなバインダジェット法により同様形状の三次元結合体を造形し、それら成形体を、真空焼結炉により真空中において1350℃:2時間加熱、という条件で焼結した。
3−1.金属組織写真
実施例1、2および比較例1、2の焼結体につき、適宜に研磨して鏡面仕上げした後、腐食させて、金属組織を顕微鏡写真で撮影した。図3〜図5は、それぞれ実施例1、比較例1、2の焼結体の金属組織写真である。
3−2.相対密度
実施例1、2および比較例2の焼結体につき、相対密度をアルキメデス法によって調べた。その結果を表1に併記する。
4.焼結体の評価
実施例1、2の原料粉末による焼結体は、相対密度が95%と機械的特性として十分な値を示した。また、図3に示すように実施例1の金属組織は微細な結晶が均質な状態で緻密に分布しており、積層の痕跡や欠陥部分もみられない。なお、実施例2の焼結体も相対密度が実施例1と同様であって金属組織も同様に緻密であった。これは、原料粉末の積層工程においてホッパーから供給される原料粉末の流動性が良好で原料粉末が均質に積層されているためであり、粒度が細かいながら緻密かつ均質な金属組織を有する高品質な焼結体が得られている。
一方、比較例1の焼結体は、図4に示すように原料粉末の積層状態は波状を呈して密度分布に偏りが生じており、不規則な組織となっている。これは、原料粉末が細かく、かつシリカ粉末が添加されていないため、積層時の流動性が低く、供給された状態で表面に凹凸が生じており、それをローラで均すことにより均一な密度分布が得られないことに起因する。比較例1のような焼結体は密度分布に偏りがあるため品質に劣り、工業用部品や機能部品としては不十分なものである。なお、このように品質的に不十分な比較例1については相対密度の測定は割愛した。
比較例2の焼結体は原料粉末の粒度が粗いため積層時の流動性は良好で、図5に示すように結晶の分布も概ね均一ではあるが、大きな空孔が分散し、相対密度が80%と低い。したがって十分な機械的特性が得られず、工業用部品や機能部品としての用途をなさない。
5.コストについて
実施例1、2および比較例1に用いた平均粒径が10μmのSUS316Lの粉末のように、このレベルの微細な粉末材料は、比較例2の粒度が大きい粉末材料よりも需要が格段に多いため安価である。例えば普及しているMIM(Metal Injection Molding)用の粉末材料がそれに当たる。そしてこのような微細な粉末材料による成形体を焼結する際は、比較例2程度の比較的粒度の大きい粉末材料を用いた場合よりも低い温度で焼結することができ、よって設備にコストをかける必要がないか、あるいは少なくて済む。これらのことから本発明によれば、工業用部品や機能部品となる焼結体を、バインダジェット法で簡便に、かつコストを抑えて製造することができる。
本発明は、バインダジェット法により三次元の焼結体を成形する際に利用可能な技術である。
11…パウダーベッド
12…ホッパー
13…ローラ
14…インクジェットディスペンサ
P…原料粉末
PL…原料粉末層
B…バインダ
G…結合体
本発明の発明者は、工業的な焼結条件、例えば1350℃前後の焼結温度で初期の相対密度95%以上が得られ、空孔に銅などの溶侵の必要性が生じない微細な粉末を用いながら流動性が確保され、これによって通常の粉末冶金製品と同等の金属あるいはセラミックスからなる高品質な焼結体を得ることができる積層造形用粉末材料を鋭意検討したところ、含有率のほとんどを占める微細な主原料粉末中に、流動化剤として、ナノサイズである超微粒子のSiO粉末(シリカ粉末)やTiO 粉末(チタニア粉末)、あるいはAl粉末(アルミナ粉末)のうちの一種、または二種以上の混合粉末を、ある範囲の添加量で添加することにより、バインダジェット法において原料粉末をパウダーベッド上に積層する際の粉末の動的特性を大幅に改善すること、ならびに従来使用することができなかった微細粉末の均質な積層状態が得られることを見いだした。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、本発明の積層造形用粉末材料は、パウダーベッド上にホッパーから横方向に吐出されながら自然落下されつつ供給され、その表面が加圧されて100μm以下の厚さの一層の原料粉末層として繰り返し積層され、該一層の原料粉末層が形成されるごとに、該原料粉末層にバインダが供給されるバインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料であって、金属粉末またはセラミックス粉末からなる平均粒径が2〜25μmの主原料粉末中に、一次粒子径が7〜40nmの流動化剤が0.01〜0.15wt%の割合で添加されていることを特徴とする。
また、本発明の主原料粉末に添加する流動化剤は、SiO粉末、TiO 粉末、Al粉末のうちの一種、または二種以上の混合粉末が好適に用いられる。これら流動化剤は、ナノサイズの超微粒子粉末であって、その一次粒子径は、7nm未満では、粒子の凝集が生じて主原料粉末との混合時に均質な分散状態が得られない。一方、40nm超では、製造する上で球状のナノ粒子が不規則化するため主原料粉末に対する潤滑効果(流動化効果)が低下する。したがって流動化剤の一次粒子径は7〜40nmが適切であり、好ましくは7〜30nm、さらに好ましくは10〜20nmである。
[原料粉末]
原料粉末は、微細な主原料粉末中に、流動化剤として、超微粒子のSiO粉末、TiO 粉末、Al粉末のうちの一種、または二種以上の混合粉末を微量添加したものとする。
・流動化剤
本発明の流動化剤の粒度は、一次粒子径が7〜40nmのものが用いられる。これは、7nm未満では、粒子の凝集が生じて主原料粉末との混合時に均質な分散状態が得られず、40nm超では、製造する上で球状のナノ粒子が不規則化するため主原料粉末に対する潤滑効果が低下するという理由からである。この範囲中では、7〜30nmが好ましく、10〜20nmがさらに好ましい。本発明の流動化剤としては、上記のようにSiO粉末、TiO 粉末、Al粉末のうちの一種、または二種以上の混合粉末が用いられ、これらはいずれのものも同等の効果を示す。

Claims (4)

  1. 金属粉末またはセラミックス粉末からなる平均粒径が2〜25μmの主原料粉末中に、一次粒子径が7〜40nmの流動化剤が0.01〜0.15wt%の割合で添加されていることを特徴とするバインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料。
  2. 前記流動化剤は、SiO粉末、TiO粉末、Al粉末のうちの一種、または二種以上の混合粉末であることを特徴とする請求項1に記載のバインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料。
  3. 応力伝達率が70%以上、圧縮率が20%以下、粉体動摩擦角が32°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のバインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料。
  4. 前記主原料粉末は、ステンレス、高速度鋼、ニッケル基耐熱鋼、低炭素鋼、アルミナ、炭化ケイ素のうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバインダジェット法に用いる積層造形用粉末材料。
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