JP2017154470A - インクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 宛名面となるべき面のオフセット印刷時に刷版の汚染がほとんど無く良好なオフセット印刷適性を有するとともに、良好なインクジェット印字耐水性とインクジェット印字適性を有するインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を提供すること。
【解決手段】 葉書の宛名面となるべき側の面に、少なくとも、カチオン性樹脂と水溶性バインダとを有する、インクジェットプリンタ対応葉書の原紙であって、前記カチオン性樹脂の重量平均分子量は2万以下であり、前記カチオン性樹脂と水溶性バインダの宛名面となるべき面への付着方法が掻き落とし工程を有する後計量方式であり、前記掻き落とし工程が接触式であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法に関し、更に詳しくは、宛名面となる面のオフセット印刷適性とインクジェット印字適性とが共に良好なインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法に関するものである。
インクジェット記録方式は、染料インクや顔料インクの液滴をノズルから吐出し、記録紙上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用インク、記録媒体の技術的進歩によって、インクジェット印字品質の高い記録が可能になってきている。
このようなインクジェットプリンタは一般家庭にも普及しており、一般家庭において葉書を作成する際にインクジェットプリンタを用いることも増えてきており、よりインクジェット印字品位の高いインクジェット用葉書が求められている。インクジェット用葉書は一般的に宛名面側へは宛先住所や宛名、郵便番号をモノクロインクジェット印字し、宛名面側とは反対の面(以下、通信面ということがある)には写真画像や、イラストなどがカラーインクジェット印字されることが多い。そのためインクジェット用葉書は表裏で異なるインクジェット適性が必要とされており、宛名面側は降雨時の郵送などで紙面が濡れた場合でも、宛先が判読できるように、インクが流れ落ちたり滲んだりしないようなインクジェット印字耐水性と、モノクロインクジェット印字による文字の記録が好適に行えるようなインクジェット印字適性が求められる。一方で通信面は、好適にカラーインクジェット印字が行えるよう、高品位のインクジェット印字適性が求められる。
また、葉書は宛名面側にオフセット印刷機にて、郵便番号枠や切手貼付枠などを印刷するのが一般的であるため、宛名面側には前述したインクジェット印字耐水性とインクジェット印字適性を満たすと同時に、オフセット印刷に対する適性も必要となる。
高いインクジェット印字適性とインクジェット印字耐水性とを同時に得るために、特許文献1には、カチオン性高分子の数平均分子量とカチオン化度を限定したインクジェット用紙が記載されている。また特許文献2には、カチオン性高分子の付着量を限定したインクジェット用紙が開示されている。
特開2004−114627号公報 特開2007−136967号公報
しかしながら、特許文献1又は2のインクジェット用紙は、高いインクジェット印字適性とインクジェット印字耐水性は得られるものの、良好なオフセット印刷適性を得ることができないという問題がある。
宛名面側の郵便番号枠や切手貼付枠の印刷は主にオフセット印刷方式でなされる。オフセット印刷方式では印刷ブランケットを湿し水で濡らした状態で印刷が行われる。紙と湿し水とが接触した際に、紙から湿し水へ移行し、湿し水中で溶解又は懸濁する物質がある場合は、湿し水が汚染され、結果的に刷版が汚れるトラブルが発生する原因となることがある。紙から湿し水へ溶出する物質としては、例えば水溶性高分子や水溶性金属塩がある。水溶性高分子として一般的に紙中に添加されるものとしては、澱粉などのバインダやインクジェットインク定着剤としてのカチオン性高分子などがある。
このように、宛名面のインクジェット印字適性の向上や高い耐水性を得るためには、インクジェットインク定着剤としてカチオン性高分子や水溶性金属塩を用紙に含有させる必要があるが、その一方で、インクジェットインク定着剤は湿し水へ溶出しやすく、結果的に刷版を汚染することで、オフセット印刷適性を損ねてしまう問題があった。
本発明は上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、宛名面となる面のオフセット印刷時に刷版の汚染がほとんど無く良好なオフセット印刷適性を有するとともに、良好なインクジェット印字耐水性とインクジェット印字適性を有するインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明者等は、鋭意検討した結果、次の構成によってこれらの課題を解決できることを見出し本発明に至った。すなわち本発明に係るインクジェットプリンタ対応葉書の原紙は、葉書の宛名面となるべき側の面に、少なくとも、カチオン性樹脂と水溶性バインダとを有する、インクジェットプリンタ対応葉書の原紙であって、前記カチオン性樹脂の重量平均分子量は2万以下であり、前記カチオン性樹脂と水溶性バインダの宛名面となるべき面への付着方法が掻き落とし工程を有する後計量方式であり、前記掻き落とし工程が接触式であることを特徴とする。
ここで「後計量方式」とは、カチオン性樹脂及び水溶性バインダを原紙へ過剰となるように付着させた後、掻き落とすなどして付着量をコントロールする方式である。また、「掻き落とし工程が接触式」とは、前述の後計量方式掻き落とし工程において、物体を紙面に接触させて過剰分を掻き落とす方式を意味する。
そして、このような構成によれば、宛名面となるべき面にはカチオン性樹脂により印字耐水性が付与されながらも、掻き落とし工程を有する後計量方式にてカチオン性樹脂及び水溶性バインダを付着させたため、カチオン性樹脂と水溶性バインダが刷版を汚すことがなく、宛名面となるべき面に高いインクジェット印字適性とインクジェット印字耐水性とを維持しながら、良好なオフセット印刷品位を有するインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記カチオン性樹脂の付着量が、0.001〜0.5g/m2であることが好ましい。
このような構成によれば、カチオン性樹脂の付着量が適切な範囲であるため、印字耐水性に優れながらも、宛名面となるべき面のオフセット印刷時の刷版の汚れが更に低減され、る。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記カチオン性樹脂と前記水溶性バインダとは、それらを含む塗工層として存在し、前記塗工層は、白色顔料及び/又は金属塩を含まないものであってもよい。
このような構成によれば、オフセット印刷時にピッキング等のトラブルが起こりにくく、湿し水もより汚れにくくなり、よりオフセット印刷適性に優れたインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記水溶性バインダが、澱粉及び/又はポリビニルアルコールであることが好ましい。
このような構成によれば、宛名面となるべき面のオフセット印刷時に刷版の汚れを更に低減し、より良好なオフセット印刷適性を有するインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を得ることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記カチオン性樹脂のカチオン化度が、2.0〜8.0meq/gであることが好ましい。
このような構成によれば、より耐水性とオフセット印刷適性のバランスに優れたインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記カチオン性樹脂はポリアミン系樹脂を含むものであってもよい。
このような構成によれば、宛名面となるべき面の耐水性と刷版の汚染抑制効果により優れたインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を製造することができる。
本発明により、宛名面となるべき面の、オフセット印刷時の刷版の汚れが殆ど無く、かつモノクロインクジェット印字による文字の記録が好適に行えるインクジェット印字適性と、紙面が濡れた場合にもインクが流れ落ちたり滲んだりして印字された宛先などの文字が判別できなくなることのないインクジェット印字耐水性とを有するインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法を提供することができる。
実施例及び比較例におけるインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の組成等を示す図表(その1)である。 実施例及び比較例におけるインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の組成等を示す図表(その2)である。 実施例及び比較例によるインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の物性を示す図表である。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本発明に係るインクジェットプリンタ対応葉書の原紙は、支持体の宛名面となる面に重量平均分子量が2万以下のカチオン性樹脂と水溶性バインダを付着させ、前記カチオン性樹脂と水溶性バインダの宛名面となるべき面への付着方法が掻き落とし工程を有する後計量方式であり、前記掻き落とし工程が接触式であることを特徴とするものである。
(支持体)
本発明において、支持体の材質は特に限定されないが、パルプを主成分とする紙支持体であることが好ましい。紙支持体に使用するパルプは、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)若しくはNBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)若しくはCGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプを使用することができる。必要に応じて、木材パルプ以外に、非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維などを適宜用いてもよいが、褪色性、インクジェット適性及びコストの観点から、その量は20質量%以下が好ましく、10質量%以下であればより好ましい。
本発明において、紙支持体には填料を配合することが好ましい。紙支持体に使用する填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、焼成クレー、二酸化チタン又は水酸化アルミニウムなどの公知の填料を併用することができる。
また、本発明において紙支持体には、パルプ及び填料以外に、内添サイズ剤、湿潤紙力増強剤などの内添紙力増強剤、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤又はピッチコントロール剤などの各種助剤を、各製品に合わせて好適に配合することができる。内添サイズ剤は、各種公知のものが使用でき、特に限定されず、例えば、強化ロジンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤、AKD(アルキルケテンダイマー)又はASA(アルケニル無水コハク酸)である。内添紙力増強剤としては、従来公知の紙力増強剤を使用することが可能であり、例えば、澱粉系紙力増強剤、ポリアクリルアミド系紙力増強剤又はポリビニルアルコール系紙力増強剤である。
紙支持体を抄紙する方法としては特に限定されるものではなく、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機又はツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造できる。
また、紙支持体には、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤を塗布する場合には他の塗工層やインク受容層等の下に設ける。ここで用いることができる表面サイズ剤としては特に限定しないが、例えばアルキルケテンダイマーサイズ剤、アルケニル無水コハク酸サイズ剤、ロジン系サイズ剤、ワックス系サイズ剤等が挙げられる。また、紙支持体の坪量は、特に限定されないが、通常150〜250g/m2であることが好ましい。
(カチオン性樹脂)
先にも述べたように、本発明に係るインクジェットプリンタ対応葉書の原紙は、宛名面となるべき面側に重量平均分子量が2万以下のカチオン性樹脂を付着させる。ここで用いるカチオン性樹脂は、重量平均分子量が2万以下であることが重要であり、1万以下であればより好ましい。カチオン性樹脂の重量平均分子量が2万を超えると、宛名面となる面のオフセット印刷時に湿し水を汚し、結果的に刷版を汚染してしまう。
オフセット印刷は、刷版に乗せたインキをブランケットを介して紙面へと転写することで印刷が行われるものである。一般的にオフセット印刷で使用される刷版は、親油性を持つ画線部と親水性の非画線部から構成されており、湿し水を非画線部へ塗布することで非画線部の親水性が向上し、これによりインクを刷版に乗せた際にインクが画線部のみに付着するようになる。
オフセット印刷においては、紙由来の溶出物や懸濁物が湿し水を介して刷版を汚染、摩耗することで、画線部の親油性の破壊や非画線部の親水性の破壊が起こり、印刷汚れが発生する場合がある。このような溶出物、懸濁物の原因物質の一つとしてインクジェットインク定着剤として用いられるカチオン性樹脂が挙げられる。一般的にはカチオン性樹脂は重量平均分子量が大きいほど水への溶解度が低くなり、紙中から湿し水へのカチオン性樹脂の溶出量は低くなるため、重量平均分子量が高いカチオン性樹脂を用いた方が、湿し水及び刷版の汚れは抑制されると考えられている。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、むしろ重量平均分子量が比較的小さいカチオン性樹脂を用いることで刷版の汚れを抑制できることを発見し、本発明に至った。原因は不明であるが、溶出したカチオン性樹脂が刷版に接触し、刷版の親油性または親水性を破壊する作用が、重量平均分子量が小さくなるほど低減し、逆に重量平均分子量が大きいカチオン性樹脂ほど高くなるためではないかと推測される。
本発明においてカチオン性樹脂の重量平均分子量の下限は特に限定はしないが、500以上であることが好ましい。重量平均分子量が500を下回ると、オフセット印刷時の湿し水への溶出量が増加し、湿し水を介してインク練りローラーを汚染し、ローラースリップ等を引き起こすことで宛名面となる面のオフセット印刷適性を低下させるおそれがある。尚、カチオン性樹脂の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー法にて測定可能である。
本発明において、カチオン性樹脂の宛名面となるべき面への付着量は特に限定しないが、付着量が0.001〜0.5g/m2であることが好ましく、0.01〜0.2g/m2であればより好ましく、0.015〜0.1g/m2であれば特に好ましく、0.015〜0.05g/m2であれば最も好ましい。カチオン性樹脂の付着量が0.5g/m2を超えると宛名面となる面へのオフセット印刷時に刷版を汚染してしまうおそれがある。一方、カチオン性樹脂の付着量が0.001g/m2未満になると、カチオン性樹脂の量が十分ではないためインクジェット印字耐水性を満足できないおそれがある。
本発明において、宛名面となるべき面に付着させるカチオン性樹脂のカチオン化度は特に限定しないが、カチオン化度が2.0〜8.0meq/gであることが好ましく、2.0〜7.5meq/gであればより好ましく、2.0〜7.0meq/gであれば特に好ましい。カチオン化度が2.0meq/gを下回ると宛名面となる面のインクジェット印字耐水性に劣るおそれがあり、8.0meq/gを超えると宛名面となる面へのオフセット印刷時に刷版を汚染するおそれがある。尚、カチオン性樹脂のカチオン化度はコロイド滴定法にて測定可能である。
本発明において用いるカチオン性樹脂としては、インクジェットインクの定着剤として一般的に用いられるものを適宜選択して用いることができ、このようなカチオン性樹脂としては、例えば、ポリエチレンイミン系樹脂、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン系樹脂、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド系樹脂、ポリアリルアミン系樹脂、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、その他第4級アンモニウム塩類又はカチオン変性ポリウレタン樹脂などがあり、これらのうち1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、宛名面となる面のインクジェット印字耐水性の向上に優れ、オフセット印刷時の刷版をより汚染し難いという点からポリアミン系樹脂が好ましい。
本発明に係るインクジェットプリンタ対応葉書の原紙は、宛名面となるべき面にカチオン性樹脂とともに、水溶性バインダを付着させる。水溶性バインダを付着させることで、宛名面となる面へのオフセット印刷時にカチオン性樹脂が湿し水へ溶出することを抑制できるとともに、ピッキングなどの紙面強度不足に由来するトラブルを抑制することもできる。
ここで用いることができる水溶性バインダとしては、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉若しくは両性澱粉などの澱粉類、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク又はポリビニルアルコールなどの水溶性高分子類が例示でき、これらの中から目的に応じて1種あるいは2種以上を適宜選択して使用できる。本発明においては、宛名面となるべき面のオフセット印刷時に刷版の汚れを更に低減し、良好なオフセット印刷適性を得られるという理由からこれらの中でも澱粉、ポリビニルアルコール、若しくはこれらの併用が好ましい。
本発明において宛名面となるべき面への水溶性バインダの付着量は特に限定しないが、好ましくは0.010〜5.0g/m2であり、0.015〜4.0g/m2であればより好ましく、0.020〜3.0g/m2であれば特に好ましい。
本発明に係るインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法においては、カチオン性樹脂及び水溶性バインダを掻き落とし工程を有する後計量方式で宛名面となるべき面へ付着させ、掻き落とし工程としては接触式を採用する。また、付着方法をブレードコータ方式とすると、より良好なオフセット印刷適性を得ることができるため好ましい。
ここで、「後計量方式」とは、カチオン性樹脂及び水溶性バインダを原紙へ過剰となるように付着させた後、掻き落とすなどして付着量をコントロールする方式であり、エアナイフコータ方式、ブレードコータ方式、ロッドコータ方式などがある。これに対して前計量方式とは事前に付着量を量り取って付着させる方式であり、カーテンコータ方式、ゲートロールコータ方式、サイズプレス方式などがある。なお、カチオン性樹脂や水溶性バインダの付着量については、BM計(B/M計と表すこともある)にて測定することで特定することが出来る。
また、後計量方式のうち掻き落とす工程としては、物体を紙面上に接触させて掻き落とす方式である接触式と、接触させずに掻き落とす方式である非接触式とがある。接触式としてはブレードコータ方式、ロッドコータ方式などがあり、非接触式としてはエアナイフコータ方式などがある。掻き落とし工程を有する後計量方式以外の付着方法でカチオン性樹脂及び水溶性バインダを付着させると、得られた原紙は宛名面となるべき面にオフセット印刷を施す際に湿し水を汚し、結果的に刷版を汚染してしまう。
掻き落とし工程を有する後計量方式を採用することで好ましい結果が得られるのは、次のような理由からではないかと考えられる。カチオン樹脂および水溶性バインダのような高分子物質は、紙表面のような多孔質表面からその内部に入り込む際に低分子物質に比べると内部へ入り込みにくいと推測される。このため、前計量方式であるカーテンコータ方式、サイズプレス方式、ゲートロールコータ方式、若しくは後計量方式であっても掻き落とし工程が非接触式であるエアナイフコータ方式などの付着方法でカチオン樹脂および水溶性バインダのような高分子物質を含む塗工液を塗工した場合には、これらの高分子物質が紙内部へ入り込みにくく選択的に紙表面に残されてしまい、紙表面に残存した高分子物質が宛名面となる面のオフセット印刷時に湿し水を汚すことで結果的に刷版を汚染してしまうものと考えられる。
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、カチオン性樹脂および水溶性バインダの宛名面となるべき面への付着方法として接触式の掻き落とし工程を有する後計量方式を採用することで、刷版の汚れを抑制できることを発見し、本発明に至った。付着方法として接触式の掻き落とし工程を有する後計量方式を採用することで、掻き落とし工程時にカチオン樹脂や水溶性バインダのような高分子物質が原紙内部へ押し込まれて紙表面に残り難くなり、その結果としてオフセット印刷時にこれら高分子物質が湿し水へ溶出しにくく、良好なオフセット印刷適性を得ることができると推測される。
本発明に係るインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法においては、宛名面となるべき面にインクジェットインク受容層としての白色顔料を含む塗工層を設けないことが好ましい。ここで白色顔料とは、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン、タルク、クレー等のいわゆる塗工紙の塗工層に用いられる顔料を意味する。塗工層に白色顔料を含む場合、宛名面となる面へ印字したインクジェット記録画像の品位を向上させることができるものの、オフセット印刷時にピッキングなどの強度不足に起因するトラブルが発生するおそれがある。更には、前述したとおり、葉書の宛名面は主にモノクロインクジェット印字がなされるため、写真画像やイラストをカラーインクジェット印字する通信面ほど高度な記録画像の品位を求められない中で、宛名面となるべき面にインクジェットインク受容層としての白色顔料を含む塗工層を設けることはオーバースペックとなり、コスト的にも不利となる。従って、本発明の好ましい実施形態としては、宛名面となる面に、カチオン性樹脂と水溶性バインダとを主成分とする白色顔料を含まないクリア塗工層を設けるものである。なお、白色顔料以外の着色顔料については、本発明の目的を損なわない範囲で用いても良い。
本発明に係るインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法においては、宛名面となるべき面にインクジェットインク定着剤としての金属塩を実質的に含有させないことが好ましい。ここで「実質的に含有させない」とは、インクジェット適性を向上させる目的での意図的な含有は行わないということを意味し、例えば歩留まり助剤としての微量の添加や、工業用水中に含まれるごく微量の金属塩等については実質的な含有には該当しないものと考える。
宛名面となるべき面に金属塩を含有させることで当該面のインクジェットインクの定着性を向上させることができるものの、その一方でオフセット印刷時に湿し水中に溶出する金属塩が版を侵食するなどし、印刷汚れを引き起こすおそれがある。本発明においてインクジェット定着剤として含有させない金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等が例示できる。
即ち、本発明においては、宛名面となるべき面には、カチオン性樹脂と水溶性バインダとを主成分とし、白色顔料及び金属塩を含まないクリア塗工層を設けることが好ましい。なお、ここで金属塩を排除するのは湿し水への溶出を防ぐことが目的なので、通信面となるべき面については金属塩を用いてもよい。
本発明において、宛名面となるべき面の塗工層の乾燥塗工量は0.011〜6.0g/m2とすることが好ましく、より好ましくは0.025〜5.0g/m2であり、特に好ましくは0.035〜3.0g/m2である。
また、宛名面となるべき面に含有させる水溶性バインダの配合量は、カチオン性樹脂の含有量に対して0.02%以上を含有させることが好ましく、より好ましくは1%以上であり、特に好ましくは3%以上である。水溶性バインダの配合量の上限については特に設けないが、2000%以下であることが好ましい。水溶性バインダの配合量が0.02%未満の場合には、カチオン性樹脂が溶出しやすくなり、オフセット印刷の版もちを低下させるおそれがある。一方、水溶性バインダの配合量が2000%を超える場合には、インクジェットインクの吸収性を阻害しインクジェット印字耐水性を低下させるおそれがある。
本発明において宛名面となるべき面には、必要に応じて分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、架橋剤、増粘剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料などの各種助剤を必要に応じて適宜含んでも良い。
本発明に係るインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法においては、当該原紙のステキヒトサイズ度(JIS P 8122)が20〜350秒となるように調整することが好ましい。ステキヒトサイズ度が20秒を下回ると、宛名面を印刷する際、ブランケットから紙面への湿し水転移量が多くなり、ブランケット上の湿し水が減少し、版汚れが発生しやすくなるおそれがある。逆にステキヒトサイズ度が350秒を超えると、宛名面となるべき面へのインクジェット印字時にインクの吸収性が低下し、インクジェットインクが塗工層表面に残り易くなるため、宛名面となるべき面のインクジェット印字耐水性が劣るおそれがある。尚、ステキヒトサイズ度は、サイズ剤の種類や含有量の調整など、公知の方法でコントロールすることができる。
本発明においては、宛名面となるべき面とは反対面である通信面となるべき面には顔料とバインダを含むインク受容層を設けることが好ましい。通信面となるべき面は一般的には写真画像やイラストなどをインクジェット印字するため、宛名面となる面よりも、より高い品位の記録画像が得られるようなインクジェット印字適性が求められるため、インク受容層を設けることでより高品位のインクジェット記録画像を得ることができる。
インク受容層に使用する顔料としては、例えば合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなど公知の顔料1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、より高いインクジェット適性を得ることができることから、非晶質シリカを用いることが好ましい。
また、インク受容層に用いるバインダとしては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルビロリドン、ポリエチレン酢酸ビニル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアマイドなど公知のバインダ1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明においてインク受容層には、必要に応じてインク定着剤、分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、架橋剤、増粘剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、蛍光増白剤、着色顔料、着色染料などの各種助剤を必要に応じて適宜配合してもよい。
インク受容層を塗工する方式としては、特に限定することはなく、一般に使用されている塗工装置が使用される。例えばエアナイフコータ、ブレードコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、チャンプレックスコータ、メータリングブレード式のサイズプレスコータ、ショートドウェルコータ、スプレーコータ又はゲートロールコータ、リップコータなどの公知の各種塗工装置を用いることができる。
本発明においてインク受容層の乾燥塗工量は、5〜15g/m2であることが好ましい。乾燥塗工量が5g/m2に満たないと、インク受容層が支持体表面を完全に覆うことが難しく、被覆不良により高品位のインクジェット記録画像が得られないおそれがある。一方、乾燥塗工量が15g/m2を超えると、インク受容層と支持体間の界面強度が実用に耐えられないレベルとなるおそれがある。
また、インク受容層の塗工後の乾燥方式としては、公知の乾燥機、例えば熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などを使用することができる。
本発明においては、支持体上にインク受容層を塗工、乾燥した後にキャレンダー処理を行うことが好ましい。キャレンダー処理装置としては、通常のスーパーキャレンダー、グロスキャレンダー、シューニップキャレンダー又はソフトキャレンダーなどが用いられる。その際の加圧装置形態、加圧ニップ数及び温度条件などの処理条件を適宜調節して処理することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特に断らないかぎり、部および%はそれぞれ質量部、質量%を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
(紙支持体の作製)
カナディアンスタンダードフリーネス500mlcsfの広葉樹さらしクラフトパルプ100部、タルク5部、カチオン澱粉1部及び酸性ロジンサイズ(商品名:AL1212、星光PMC社製)0.5部に水を加えて紙料を調製し、これを用いて、長網多筒式抄紙機を用いて紙支持体を作製した。この紙支持体に、ポリアクリルアミド系紙力剤(商品名:ST5017、星光PMC社製)を乾燥塗工量が片面当り1g/m2となるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥し、その後にスチールカレンダーを用いて線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
(インク受容層塗工液の調製)
顔料として、合成非晶質シリカ(商品名:ニップジェルBY400、東ソーシリカ社製)100部に、水と、pH調整剤として酢酸0.5部を添加し、カウレス分散機にて分散して固形分濃度26%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、ポリビニルアルコール15部(商品名:PVA−117、クラレ社製)、ポリエチレン酢酸ビニルバインダ35部(商品名:スミカフレックス450、住友化学社製)、及びインク定着剤15部(商品名:ハイマックスSC−700L、ハイモ社製)を添加、撹拌し、更に水を添加して固形分濃度が20%の塗工液を得た。
(インク受容層の形成)
得られたインク受容層用塗工液を紙支持体の一方の面(通信面となるべき面)に乾燥塗工量が10g/m2となるようにエアナイフコータで塗工し、エアドライヤーで熱風乾燥した後に、ソフトカレンダーを用いて線圧30kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
(クリア塗工層用塗工液の調製)
カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を0.3%、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、クラレ社製)を0.1%、消泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製)を0.0005%を添加し、更に水を添加して撹拌し、クリア塗工層用塗工液を調製した。
(クリア塗工層用塗工液の塗工)
得られたクリア塗工層用塗工液を紙支持体のインク受容層を設けた面とは反対面(宛名面となるべき面)に、ブレードコータを用いて、前記カチオン性樹脂の乾燥塗工重量が0.050g/m2となるように塗工、乾燥した。その後、キャレンダー処理を行い、坪量190g/m2、ステキヒトサイズ度210秒のインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例2)
クリア塗工層用塗工液の塗工において、宛名面となるべき面のカチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.100g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例3)
クリア塗工層用塗工液の塗工において、宛名面となるべき面のカチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.015g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例4)
クリア塗工層用塗工液の塗工において、宛名面となるべき面のカチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.200g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用葉書用紙を作製した。
(実施例5)
クリア塗工層用塗工液の塗工において、宛名面となるべき面のカチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.010g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例6)
クリア塗工層用塗工液の塗工において、宛名面となるべき面のカチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.500g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例7)
クリア塗工層用塗工液の塗工において、宛名面となるべき面のカチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.001g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例8)
クリア塗工層用塗工液の調製において、カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を、カチオン性樹脂(商品名:ジェットフィックス220、重量平均分子量1000、カチオン化度5.00meq/g、里田化工社製)に変更し、クリア塗工層用塗工液の塗工において、カチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.050g/m2に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例9)
クリア塗工層用塗工液の調製において、カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を、カチオン性樹脂(商品名:DK6852、重量平均分子量5500、カチオン化度7.56meq/g、星光PMC社製)に変更し、クリア塗工層用塗工液の塗工において、カチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.050g/m2に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例10)
クリア塗工層用塗工液の調製において、カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を、カチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC−500、重量平均分子量2000、カチオン化度7.93meq/g、ハイモ社製)に変更し、クリア塗工層用塗工液の塗工において、カチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.050g/m2に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例11)
クリア塗工層用塗工液の調製において、カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を、カチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC−505E、重量平均分子量2000、カチオン化度4.45meq/g、ハイモ社製)に変更し、クリア塗工層用塗工液の塗工において、カチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.050g/m2に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例12)
クリア塗工層用塗工液の調製において、カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を、カチオン性樹脂(商品名:ユニセンスCP−201、重量平均分子量20000、カチオン化度4.30meq/g、センカ社製)に変更し、クリア塗工層用塗工液の塗工において、カチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.050g/m2に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例13)
インク受容層を形成しなかった以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例14)
クリア塗工層用塗工液の調製において、水溶性金属塩(硫酸マグネシウム)0.01%を加えた以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例15)
クリア塗工層用塗工液の塗工において、宛名面となるべき面のカチオン性樹脂の乾燥塗工重量を1.000g/m2に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(実施例16)
クリア塗工層用塗工液の塗工において、塗工方法をブレードコータからロッドコータに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(比較例1)
クリア塗工層用塗工液の調製において、カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を、カチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC−700L、重量平均分子量250000、カチオン化度4.4meq/g、ハイモ社製)に変更し、クリア塗工層用塗工液の塗工において、カチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.050g/m2に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(比較例2)
クリア塗工層用塗工液の調製において、カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を、カチオン性樹脂(商品名:ハイマックスSC−700L、重量平均分子量250000、カチオン化度4.4meq/g、ハイモ社製)に変更し、クリア塗工層用塗工液の塗工において、カチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.001g/m2に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(比較例3)
クリア塗工層用塗工液の調製において、カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を、カチオン性樹脂(商品名:ユニセンスCP−101A、重量平均分子量30000、カチオン化度5.2meq/g、センカ社製)に変更し、クリア塗工層用塗工液の塗工において、カチオン性樹脂の乾燥塗工重量を0.050g/m2に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(比較例4)
クリア塗工層用塗工液の塗工において、塗工方法をブレードコータからエアナイフコータに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(比較例5)
クリア塗工層用塗工液の調製において、カチオン性樹脂(商品名:HP−258A、重量平均分子量10000、カチオン化度6.72meq/g、センカ社製)を塗工液に添加しなかった以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
(比較例6)
クリア塗工層用塗工液の調製において、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、クラレ社製)を塗工液に添加しなかった以外は実施例1と同様にしてインクジェットプリンタ対応葉書の原紙を作製した。
各実施例及び比較例で得られたインクジェットプリンタ対応葉書の原紙について、その組成を図1,2に、物性を図3にそれぞれ示す。なお、各物性の評価については、以下に示す方法で行った。
(1)版もち
オフセット印刷機(リョービ3302M、リョービ社製)を用いて、宛名面となるべき面に郵便番号枠、切手貼付け枠及びテストパターンをオフセット印刷し、刷版の汚れを目視で確認して、以下の4段階で版もちを評価した。なお刷版はポジタイプCTP版、インキはオフセット用油性インク(金赤)、オフセット用油性インク(紫)、湿し水は市販品(ECOLITY S−Z1、FUJIFILM社製)の2%液を使用した。
◎:20万枚以上印刷しても版の汚れがなく、版もちが非常に良い。合格。
○:20万枚以上印刷すると版が汚れるが、版もちが良い。合格。
○△:15万枚以上印刷すると版が汚れるが、実用上問題ない。合格。
△:10万枚以上印刷すると版が汚れるが、実用上問題ない。合格。
×:10万枚未満の印刷で版が汚れ、実用できない。不合格。
(2)耐水性
家庭用インクジェットプリンタ(EP−805A、EPSON社製)を用いて宛名面となるべき面に、フォントサイズ10ポイント(JISZ8305)の住所、郵便番号のテストパターンを印字後、印字部に水を0.1ml滴下し、自然乾燥させた。水を滴下した部分のインクの流れ出し、文字の判読性を目視で確認して、耐水性を以下の4段階で評価した。
◎:インクの流れ出しがなく、文字が判読できる。合格。
○:インクの流れ出しが僅かにあるものの、文字が判読できる。合格。
△:少々インクの流れ出しがあるものの、文字が判読でき実用上問題ない合格。
×:インクが流れ出し、文字が判読できない。不合格。
(3)滲み
家庭用インクジェットプリンタ(EP−805A、EPSON社製)を用いて宛名面となるべき面に、フォントサイズ7ポイント(JISZ8305)の住所、郵便番号のテストパターンを印字して、文字の滲みを目視で評価した。
◎:滲みが全くなく、実用上問題ない。
○:滲みが僅かに発生しているが、実用上問題ない。
△:滲みが発生し判読が難しく、実用不可レベル。
×:滲みが発生し判読できず、実用不可レベル。
図3から明らかなように、実施例1〜16で得られたインクジェットプリンタ対応葉書の原紙はいずれも版もち、耐水性、滲みの各評価に優れるものであった。
また、実施例13の結果から、本発明において通信面となるべき面のインク受容層の有無は、宛名面となるべき面のオフセット印刷適性やインクジェット印刷適性に影響を与えないことがわかる。
また、実施例14の結果から、水溶性金属塩の添加は版もちに影響を与えるが、歩留まり助剤としての使用量程度ならば、実用可能な範囲であるといえる。
これに対して比較例1〜3で得られたインクジェットプリンタ対応葉書の原紙は、オフセット印刷時に刷版の汚れが増し、版もちが悪くなった。これは宛名面となるべき面に付着しているカチオン性樹脂の重量平均分子量が2万を超えたことが原因であると考えられる。
また、比較例4で得られたインクジェットプリンタ対応葉書の原紙は、重量平均分子量が2万以下のカチオン性樹脂を用いたにも拘わらずオフセット印刷時に刷版の汚れがまして版もちが悪くなった。これはクリア塗工層用塗工液をエアナイフコータで塗工したことが原因であると考えられる。
また、比較例5で得られたインクジェットプリンタ対応葉書の原紙は、宛名面側の耐水性が著しく劣るものとなった。これは宛名面となるべき面にカチオン性樹脂が付着していなかったことが原因であると考えられる。
また、比較例6で得られたインクジェットプリンタ対応葉書の原紙は、オフセット印刷時に刷版の汚れがまして版もちが悪くなった。これは宛名面となるべき面に水溶性バインダが付着していなかったことが原因であると考えられる
以上述べたように、本発明によれば、インクジェット印字適性と耐水性とに優れ、しかもオフセット印刷時に刷版を汚さないインクジェットプリンタ対応葉書の原紙が得られる。

Claims (6)

  1. 葉書の宛名面となるべき側の面に、少なくとも、カチオン性樹脂と水溶性バインダとを有する、インクジェットプリンタ対応葉書の原紙であって、
    前記カチオン性樹脂の重量平均分子量は2万以下であり、前記カチオン性樹脂と水溶性バインダの宛名面となるべき面への付着方法が掻き落とし工程を有する後計量方式であり、前記掻き落とし工程が接触式であることを特徴とするインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法。
  2. 前記カチオン性樹脂の付着量が、0.001〜0.5g/m2であることを特徴とするインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法。
  3. 前記カチオン性樹脂と前記水溶性バインダとは、それらを含む塗工層として存在し、
    前記塗工層は、白色顔料及び/又は金属塩を含まない、ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法。
  4. 前記水溶性バインダが、澱粉及び/又はポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法。
  5. 前記カチオン性樹脂のカチオン化度が、2.0〜8.0meq/gであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法。
  6. 前記カチオン性樹脂はポリアミン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ対応葉書の原紙の製造方法。
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