JP2017153433A - 高ルチン含有ダッタンソバふすま及びそば粉の製造方法、並びに高ルチン含有食品素材の製造方法 - Google Patents

高ルチン含有ダッタンソバふすま及びそば粉の製造方法、並びに高ルチン含有食品素材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダッタンソバのふすまを飲用または食用とするための加工方法、加工物から嗜好性の高い飲料や食品の加工方法を提供。ダッタンソバふすまをルチン含有量の変動が少なくかつ効率的な製造方法、かつソバ粉の収量及びルチン含有量も向上させる方法を提供。
【解決手段】ダッタンソバの玄ソバの水分含量を8〜15%に調整し、製粉にて得られた粉砕物から20〜30メッシュ通過60〜70メッシュ不通過の画分をふすまとして回収し、60〜70メッシュ通過画分をそば粉として回収するダッタンソバのふすま及びそば粉の製造方法。水分含量16%のダッタンソバの玄ソバを粉砕したときに、30メッシュ通過60メッシュ不通過のふすま画分の歩留りが8〜11%の範囲であるダッタンソバのふすま及びそば粉の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、高ルチン含有ダッタンソバふすま及びそば粉の製造方法及び高ルチン含有食品素材の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、高ルチン含有のダッタンソバのふすま及びそば粉の製造法と加工法、並びに加工されたダッタンソバふすまを用いた飲料や食品の製造に関するものである。
ダッタンソバはタデ科の一年草である。ダッタンソバは主に子実を麺や茶といった食品素材として用いられている。ダッタンソバの子実には機能性成分のルチンが普通種ソバと比べ、品種により20〜1,000倍も多い。子実から得られた粉を材料として製造されたルチン高含有の食品・飲料について、すでに開示されている(特許文献1−2)。種子の殻を取り除いて得たソバの実、もしくはソバの種子を蒸熱してアルファー化して粉砕したものについても開示がある(特許文献3−5)。
特開2012-244927号公報 特開2013-81440号公報 特開2007-166943号公報 特開2007-143473号公報 特開2007-135415号公報
ダッタンソバは一般的にはソバ粉の状態で流通している。ソバ粉は、玄ソバのままロール製粉し、粉砕物を部類で分別することにより得ている。その際篩いに残った残渣のうち大きな物はソバ殻などであり、通常は廃棄され、粒径の小さい残渣画分はふすまである。通常、玄ソバの約1割がふすまとなる。
ふすまの極一部は家畜飼料等に利用されることはあるが、大部分は廃棄処分されている。ダッタンソバの栽培面積は約350haであり、収量を100kg/10aと仮定した場合、35トンのふすまが廃棄物として処理されていることになる。そのため、ダッタンソバふすまの有効利用が求められている。
しかし、従来、ダッタンソバのふすまを有効利用する提案は無かった。本発明者らは、ダッタンソバふすまの有効利用法を検討した。しかし、ダッタンソバふすまの食味は、そのままでは到底、飲食用として利用できる物ではなかった。
そこで本発明の第1の目的は、ダッタンソバのふすまを飲用または食用に用いるための加工方法、および飲用または食用に加工したダッタンソバふすまを利用し、嗜好性の高い飲料や食品の加工方法を開発することにある。
本発明者らは、ダッタンソバのふすまを飲用または食用に用いることができる方法を開発するに当たり、ダッタンソバのふすまに含まれるルチン含有量について検討した。その結果、ダッタンソバのふすまに含まれるルチン含有量及び収量は、ソバ粉の製造条件により変動することが判明した。そこで、ダッタンソバのふすまに含まれるルチン含有量及び収量を高め、かつバッチごとの品質を安定化させるためには、ルチン含有量の変動を小さくする(安定化させる)必要があることが判明した。さらに、その際、ソバ粉の収量及びルチン含有量についても、ふすまに含まれるルチン含有量及び収量と同様に変動することが判明した。
そこで本発明の第2の目的は、そこで本発明は、ルチン含有量の高いダッタンソバふすまを、ルチン含有量の変動が少なく、かつ効率的に製造することができ、かつソバ粉の収量及びルチン含有量も向上させることができる方法を提供することにある。
本発明の第1の目的に関しては、ルチン含有量の高いダッタンソバふすまを、所定の条件で焙煎等の加熱加工することで、嗜好性の高い飲料や食品用の食品素材とすることができることを見出した。
本発明の第2の目的に関しては、本発明者らは、玄ソバの水分含量をバッチごとに安定化(変動を少なく)し、かつより低くした上で、製粉することで、ソバ粉及びふすまのルチン含有量を高め、かつ安定化にする(バッチごとの変動を少なくする)ことができ、さらには、ソバ粉の収量を向上させ、かつふすまの収量も向上させることができることを見出した。
これらの知見に基づいて、本発明は完成された。
本発明は、以下の通りである。
[1]
ダッタンソバの玄ソバの水分含量を8〜15%に調整する工程(1)、
水分含量を調整した玄ソバを製粉する工程(2)、及び
得られた粉砕物をふるいで分けして、20〜30メッシュ通過60〜70メッシュ不通過の画分をふすまとして回収し、60〜70メッシュ通過画分をそば粉として回収する工程(3)、
を含むダッタンソバのふすま及びそば粉の製造方法であって、
前記玄ソバの製粉は、溝付きロールによる多段粉砕により行い、かつ
前記多段粉砕は、水分含量16%のダッタンソバの玄ソバを粉砕したときに、30メッシュ通過60メッシュ不通過のふすま画分の歩留りが8〜11%の範囲である、方法。
[2]
工程(3)において、25〜30メッシュ通過60メッシュ不通過の画分をふすまとして回収し、60〜65メッシュ通過画分をそば粉として回収する、請求項1に記載の製造方法。
[3]
ダッタンソバのふすまはルチンの含有量が、4,000mg/100gDW以上であり、かつ
そば粉のルチンの含有量が、800mg/100gDW以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
[4]
ダッタンソバのふすまはルチンの含有量が、7,000mg/100gDW以上であり、かつ
そば粉のルチンの含有量が、1,000mg/100gDW以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
[5]
工程(1)における水分含量調整を11〜13%の範囲とし、
ダッタンソバのふすまはルチンの含有量が、8,000mg/100gDW以上であり、かつそば粉のルチンの含有量が、1,000mg/100gDW以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
[6]
工程(2)における製粉を溝付きロールによる2段又は3段粉砕により行う、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
[7]
ルチンの含有量が4,000mg/100gDW以上であるダッタンソバのふすまを加熱加工して、ルチンの含有量が4,000mg/100gDW以上であるルチン含有食品素材を得ることを含む、ルチン含有食品素材の製造方法。
[8]
前記ダッタンソバのふすまのルチンの含有量が7,000mg/100gDW以上であり、
前記ルチン含有食品素材のルチンの含有量が7,000mg/100gDW以上である請求項7に記載の製造方法。
[9]
加熱加工は、200〜250℃の範囲で加熱することで行う、請求項7又は8に記載の製造方法。
[10]
加熱加工は、焙煎、スチーム、高温ヒーターおよび/またはオーブンである請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
[11]
ルチン含有食品素材が抽出飲料用である請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法。
[12]
ルチン含有食品素材が、他の飲食品又は食用素材への添加剤である請求項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、嗜好性の高い飲料や食品を提供することができるダッタンソバふすまの焙煎品を提供することができる。さらに本発明によれば、ルチン含有量が高いソバ粉及びふすまを、高い収量で製造することができる。その際、バッチごと玄ソバの水分含量を適切にコントロールすることで、ソバ粉及びふすまのルチン含有量等の品質もコントロールすることができ、品質の安定化が可能である。
さらに本発明を利用することで、ダッタンソバふすまを活用した新規事業の創出が可能となり、ダッタンソバ産地の活性化にも貢献できると思われる。本発明によるルチンを多く含んだダッタンソバふすまを利用した食品は、生活習慣病などの予防に効果を発揮することが期待できる。
玄ソバ水分含量とふすま歩留まりの関係を示す。 玄ソバ水分含量とふすまのルチン含有量の関係を示す。 ふすま歩留まりとふすまのルチン含有量の関係を示す。 玄ソバ水分含量とそば粉歩留まりの関係を示す。 玄ソバ水分含量とそば粉のルチン含有量の関係を示す。 そば粉歩留まりとそば粉のルチン含有量の関係を示す。 ふすま歩留まりとそば粉歩留まりの関係を示す。 ふすまのルチン含有量そば粉のルチン含有量の関係を示す。
<ダッタンソバのふすま及びそば粉の製造方法>
本発明のダッタンソバのふすま及びそば粉の製造方法は、以下の工程(1)〜(3)を含む。
工程(1)、ダッタンソバの玄ソバの水分含量を8〜15%に調整する。
工程(2)、水分含量を調整した玄ソバを製粉する。及び
工程(3)、得られた粉砕物をふるいで分けして、20〜30メッシュ通過60〜70メッシュ不通過の画分をふすまとして回収し、60〜70メッシュ通過画分をそば粉として回収する。
さらに、前記玄ソバの製粉は、溝付きロールによる多段粉砕により行い、かつ前記多段粉砕は、水分含量16%のダッタンソバの玄ソバを粉砕したときに、30メッシュ通過60メッシュ不通過のふすま画分の歩留りが8〜11%の範囲である条件で実施する。
上記工程(1)〜(3)を含み、上記玄ソバの製粉条件を満たす方法により、ルチンの含有量が、4,000mg/100gDW以上であるダッタンソバのふすま、及びルチンの含有量が、800mg/100gDW以上であるダッタンソバのそば粉を製造することができる。
本発明で用いるダッタンソバの品種には特に制限はないが、例えば、ダッタンソバ品種「満天きらり」を用いることができる。但し、この品種に限らず、その他のダッタンソバ品種でも良い。具体的には「北海T8号」などがある。
本発明においては、工程(1)の製粉において、ダッタンソバの玄ソバの水分含量を8〜15%に調整する。
本発明者らの検討の結果、上記製粉条件においては、ダッタンソバの玄ソバの製造条件(製粉条件及び篩分け条件)を一定にしても、ダッタンソバの玄ソバの水分含量が変化すると、ダッタンソバのそば粉及びふすまの収量及びルチン含量が大きく変動することが、判明した。そこで本発明では、玄ソバの水分含量を調整する。通常、ダッタンソバの玄ソバは収穫後、検査基準である16%の水分含量となるように乾燥処理に付される。しかし、流通中やその後の保存中に水分含量は変化する可能性があり、変化する場合、多くは、水分含量が増加する。しかし、玄ソバからそば粉を製造する場合、再度、水分含量を測定し、必要により乾燥させるなどして水分含量を調整することはなく、そのまま、製粉及び篩分けに供されて、そば粉が得られ、ふすまは廃棄される。
本発明の工程(1)では、製粉工程(2)及び篩分け工程(3)の前に、ダッタンソバの玄ソバの水分含量を8〜15%に調整する。収穫直後の玄ソバであれば、乾燥して、水分含量を8〜15%に調整する。水分含量を調整されて流通している玄ソバを原料とする場合には、この玄ソバの水分含量は、16%以上であるのでこれを乾燥して、水分含量を8〜15%に調整する。乾燥方法には特に制限はないが、例えば、平型乾燥機を用いて40℃で2日間の通風乾燥で10%以下に落とすことができる。
乾燥の程度は、水分含量を11〜13%に調整するのが、そば粉及びふすまの収量とルチン含有量がいずれも高いという観点から好ましい。ダッタンソバふすまのルチン含量は4,000mg/100gDW以上、好ましくは7,000mg/100gDW以上、より好ましくは8,000mg/100gDW以上である。
工程(2)における玄ソバの製粉は、溝付きロールによる多段粉砕により行い、かつ前記多段粉砕は、水分含量16%のダッタンソバの玄ソバを粉砕したときに、30メッシュ通過60メッシュ不通過のふすま画分の歩留りが8〜11%の範囲である条件で実施する。工程(2)における製粉を溝付きロールによる2段又は3段粉砕により行うことが好ましい。
玄ソバの製粉は、石臼または溝付きロールを用いる粉砕機で行われる。溝付きロールを用いる粉砕機では、多段式の溝付きロールを用いることが一般的である。本発明の玄ソバの製粉においても、溝付きロールによる多段粉砕が採用される。同じ粉砕装置を用いても、粉砕条件によっては玄ソバの粉砕状態が変化する。本発明では、溝付きロールによる多段粉砕により行い、かつ粉砕条件を、水分含量16%のダッタンソバの玄ソバを粉砕したときに、30メッシュ通過60メッシュ不通過のふすま画分の歩留りが8〜11%の範囲である条件とする。粉砕条件は、装置の運転条件を規定することで設定することもできるが、機構や構造等が異なる装置の間では画一的な規定が困難である。そこで、本発明では、上記多段粉砕で得られる、ふすま画分の歩留りが特定の範囲である条件として規定する。この場合の玄ソバはダッタンソバ品種「満天きらり」とする。ダッタンソバの玄ソバの水分含量を16%と一定の値とすることで、水分含量の違いによる粉砕への影響を排除できる。ふすま画分は、30メッシュ通過60メッシュ不通過とする。このふすま画分の歩留りが8〜11%の範囲である条件とすることで、その他の要件を満足する方法で有れば、ルチンの含有量が、4,000mg/100gDW以上であるダッタンソバのふすま、及びルチンの含有量が、800mg/100gDW以上であるダッタンソバのそば粉を製造することができる。ふすま画分の歩留りは8〜11%の範囲であるが、ふすま画分の歩留りは8%である粉砕条件は、相対的に粉砕強度が低く、ふすま画分の歩留りが11%である粉砕条件は、相対的に粉砕強度が高い。
工程(3)では、工程(2)で得られた粉砕物をふるいで分けする。
篩分けは、粉砕物を玄ソバの殻と粉体とを分離するための第1の篩と、粉体を大粒のふすまと小粒のソバ粉を分離するための第2の篩を用いる。
第1の篩は、粉砕物を玄ソバの殻と粉体とを分離するという観点から、メッシュは、例えば、20〜30の範囲、好ましくは、25〜30メッシュの範囲であることができる。第2の篩は、小粒のソバ粉の品質とソバ粉の歩留り等を考慮して適宜決定できるが、メッシュは、例えば、60〜70の範囲、好ましくは60〜65の範囲、より好ましくは60メッシュである。この工程で、ふすま及びそば粉が得られる。工程(3)においては、好ましくは25〜30メッシュ通過60メッシュ不通過の画分をふすまとして回収し、60〜65メッシュ通過画分をそば粉として回収する。より好ましくは30メッシュ通過60メッシュ不通過の画分をふすまとして回収し、60メッシュ通過画分をそば粉として回収する。
本発明の製造方法により得られるふすまは、ルチンの含有量が、4,000mg/100gDW以上、好ましくは7,000mg/100gDW以上、より好ましくは8,000mg/100gDW以上である。また、ダッタンソバのそば粉は、ルチンの含有量が、800mg/100gDW以上、好ましくは1,000mg/100gDW以上である。
<ルチン含有食品素材の製造方法>
本発明のルチン含有食品素材の製造方法は、ルチンの含有量が4,000mg/100gDW以上であるダッタンソバのふすまを加熱加工して、ルチンの含有量が4,000mg/100gDW以上であるルチン含有食品素材を得ることを含む。
ルチンの含有量が4,000mg/100gDW以上であるダッタンソバのふすまは、前述の本発明のダッタンソバのふすま及びそば粉の製造方法により製造されたものであることができる。但し、この方法に限定される意図ではない。ダッタンソバのふすまは、好ましくはルチンの含有量が7,000mg/100gDW以上であり、ルチンの含有量が7,000mg/100gDW以上であるルチン含有食品素材を得る。
加熱加工は、200〜250℃の範囲で加熱することで行うことができ、好ましくは220〜240℃、より好ましくは230℃前後の温度である。加熱加工の時間は、温度及び得られる加熱加工品の品質等により適宜決定できるが、例えば、1〜20分間の範囲である。加熱加工温度が230℃前後の場合には、5〜15分間の範囲であることが好ましい。加熱手段は焙煎、スチーム、高温ヒーターおよび/またはオーブンなど、何れであってもよい。
特に、本発明における加熱加工ダッタンソバふすまは、上記の本発明の高ルチンダッタンソバふすまを230℃で5分間処理することにより、ルチン含量を維持したまま雑味が抑えられ、良食味・良風味で長期の保存性を持つ食品素材を得ることが可能である。加熱加工ダッタンソバふすまのルチン含量は4,000mg/100gDW以上、好ましくは7,000mg/100gDW以上、より好ましくは8,000mg/100gDW以上である。
本発明における加工ふすまは、これまでにないレベルの高ルチン含有の食品素材であることから、幅広い飲料や食品の開発に利用することができる。本発明のルチン含有食品素材は、例えば、抽出飲料用とすることができる。あるいは本発明のルチン含有食品素材は、他の飲食品又は食用素材への添加剤とすることもできる。より具体的には、飲料として、例えば、茶飲料、スープ類、甘味料や香料を添加した飲料、青汁、及びスムージー、食品として、例えば、菓子類(ようかん、ういろ、まんじゅう、クッキー、ビスケット、クラッカー、ボーロ、スナック、スポンジケーキ、アイスクリーム、飴、チョコレート、及び団子等)、パン類(食パン、菓子パン、ベーグル、蒸しパン、及びバターロール等)、麺類(そば、うどん、冷麺、パスタ、及びそうめん等)、調味料(ドレッシング等)、ミックス粉(から揚げ粉、天ぷら粉、パン用ミックス粉、ホットケーキミックス粉、お好み焼きミックス粉、及びたこ焼きミックス粉等)、ふりかけ、及びサプリメントに用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
実施例1
・北海道道東地区の圃場で、ダッタンソバを以下の条件で播種した。
a). ダッタンソバ品種:「満天きらり」
b). 施肥:S644 30Kg/10a(N 1.8kg/10a、P2O5 7.2kg/10a、K2O 4.2kg/10a )
c). 播種:条播(150粒/m2
d). 栽培面積:1.0a
・成熟期に手作業による高刈りで収穫した。2週間の乾燥の後脱穀し、約15kgの玄ソバを得た。8〜23%水分に調整した玄ソバをロール製粉する。ロール製粉はブラベンダー・テストミル、クォドルマント・ジュニア型(溝付きロール多段(3段)、ブレーキロール型粉砕機)で行った。粉砕条件は、水分含量16%のダッタンソバの玄ソバを粉砕したときに、30メッシュ通過60メッシュ不通過のふすま画分の歩留りは、8〜11%の範囲であった(図1参照)。
得られた粉砕物を30メッシュのふるいと60メッシュのふるいで分けた。30メッシュを通過せずに残った画分はゴミ、30メッシュ通過60メッシュ不通過の画分はふすま、60メッシュ通過画分はダッタンソバ粉とした。ふすま歩留りは約5〜16%であり、水分とふすま歩留まりとの間には負の相関性が認められた(図1)。特に11〜13%水分に調整した玄ソバを製粉した場合、ふすま歩留りは約14%(図1)、ルチン含量は約8,000mg/100gDWで高ルチンの素材を得るのに効率が良かった(図2)。16%水分含量で玄ソバは流通しているが、この条件では、ふすま歩留まりは約10%(図1)、ルチン含量は約7,500mg/100gDW(図2)といずれも十分な値であった。また、ふすま歩留りが10〜14%でふすまのルチン含量は約8,000mg/100gDWであった(図3)。
一方、ダッタンソバの製粉歩留りもふすま歩留りと同様に玄ソバの水分含量が低下すると上昇した(図4)。粉のルチン含量も玄ソバの水分含量が下がる上昇した(図5)。製粉歩留りが高くなるにつれて粉のルチン含量は増加した(図6)。さらに、粉とふすまの歩留まりとルチン含量との関係を調査した結果、製粉歩留りとともにふすま歩留りも高まること(図7)、ふすまのルチン含量の増加は粉のルチン含量の増加ももたらすことが確認された(図8)。以上のことから効率的にふすまが得られる条件は製粉歩留りや粉とふすまのルチン含量の向上にも寄与する。
実施例2
得られたダッタンソバふすま(ルチン含量約7,500mg/100gDW)を180〜230℃で5〜10分間焙煎加工した。これらの条件ではルチンの消失は確認されなかった(表1)。テンパリング(水分調整)条件の異なる玄ソバを製粉して得られたダッタンソバふすまを230℃で3分焙煎した後、熱湯抽出してふすま茶を試作して試飲した結果、無処理(水分9%)から19%テンパリングまで良食味であった(表2)。生ふすま茶は青臭く雑味があるため焙煎ふすまよりも劣っていた。適正な焙煎の尺度として色の変化が指標になる。焙煎時間が長くなるに従いL*、a*、b*の数値が変化する(表3〜5)。特にa*は焙煎が進むにつれて上昇したことから適正な焙煎程度を定める尺度になる。230℃、5分間の焙煎でa*は4.8を示したことから(表4)、5前後が適正である。
ルチン含量は原料の生ふすまのルチン含量である。「美味しい」は各人の主観によるが、風味の良さと雑味、エグミの有無を基準とする。
実施例3
焙煎したふすまを前述のふすま茶への利用の他に適量の食塩との混合によるふりかけや納豆などの薬味、調味料等にも利用した結果、いずれも良食味のものが得られた。
本発明は、ダッタンソバに関連する飲食品分野に有用である。

Claims (12)

  1. ダッタンソバの玄ソバの水分含量を8〜15%に調整する工程(1)、
    水分含量を調整した玄ソバを製粉する工程(2)、及び
    得られた粉砕物をふるいで分けして、20〜30メッシュ通過60〜70メッシュ不通過の画分をふすまとして回収し、60〜70メッシュ通過画分をそば粉として回収する工程(3)、
    を含むダッタンソバのふすま及びそば粉の製造方法であって、
    前記玄ソバの製粉は、溝付きロールによる多段粉砕により行い、かつ
    前記多段粉砕は、水分含量16%のダッタンソバの玄ソバを粉砕したときに、30メッシュ通過60メッシュ不通過のふすま画分の歩留りが8〜11%の範囲である、方法。
  2. 工程(3)において、25〜30メッシュ通過60メッシュ不通過の画分をふすまとして回収し、60〜65メッシュ通過画分をそば粉として回収する、請求項1に記載の製造方法。
  3. ダッタンソバのふすまはルチンの含有量が、4,000mg/100gDW以上であり、かつ
    そば粉のルチンの含有量が、800mg/100gDW以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. ダッタンソバのふすまはルチンの含有量が、7,000mg/100gDW以上であり、かつ
    そば粉のルチンの含有量が、1,000mg/100gDW以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 工程(1)における水分含量調整を11〜13%の範囲とし、
    ダッタンソバのふすまはルチンの含有量が、8,000mg/100gDW以上であり、かつそば粉のルチンの含有量が、1,000mg/100gDW以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  6. 工程(2)における製粉を溝付きロールによる2段又は3段粉砕により行う、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. ルチンの含有量が4,000mg/100gDW以上であるダッタンソバのふすまを加熱加工して、ルチンの含有量が4,000mg/100gDW以上であるルチン含有食品素材を得ることを含む、ルチン含有食品素材の製造方法。
  8. 前記ダッタンソバのふすまのルチンの含有量が7,000mg/100gDW以上であり、
    前記ルチン含有食品素材のルチンの含有量が7,000mg/100gDW以上である請求項7に記載の製造方法。
  9. 加熱加工は、200〜250℃の範囲で加熱することで行う、請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 加熱加工は、焙煎、スチーム、高温ヒーターおよび/またはオーブンである請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. ルチン含有食品素材が抽出飲料用である請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. ルチン含有食品素材が、他の飲食品又は食用素材への添加剤である請求項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
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