JP2017149378A - ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動ブレーキ制御時の車両の姿勢安定性を向上できるブレーキ装置を提供する。【解決手段】自動ブレーキ制御を行うブレーキ装置1であって、左右前輪FL、FRの各ホイールシリンダ61、62に液圧を伝達する第1及び第2のブレーキ液圧回路11、12と、各ホイールシリンダ61、62に供給される液圧を個別に調節可能なブレーキアクチュエータ2と、ブレーキアクチュエータ2を制御するブレーキ制御部3と、車両のヨー方向の挙動を検出する挙動検出センサ4を備え、ブレーキアクチュエータ2は、自動ブレーキ制御時に各ブレーキ液圧回路11、12の液圧を加圧するポンプP1、P2と、各ブレーキ液圧回路11、12の液圧を個別に調節する調圧弁21、22を有し、ブレーキ制御部3は、自動ブレーキ制御時に、ヨー方向の挙動に基づいて、制動力が低い方のホイールシリンダ61、62に供給される液圧を増圧するように調圧弁21、22を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、走行中の車両がその前方の物体と衝突する可能性がある場合などに、自動的に車両の車輪に制動力を発生させるブレーキ装置に関する。
自動車などの車両に、車輪に制動力を発生させるブレーキ装置が搭載されている。自動車のブレーキ装置としては、液圧式のものが多く採用されており、ブレーキペダルが接続されたマスタシリンダから各車輪に設けられた各ホイールシリンダに液圧を伝達するブレーキ液圧回路を備える。液圧式のブレーキ装置では、運転者のブレーキペダルの操作に応じてマスタシリンダにより液圧を付与し、ブレーキ液圧回路を介して各ホイールシリンダに液圧を供給することで、各車輪のブレーキパッドに圧力をかけ、各車輪に制動力を発生させる。
自動車の走行安全性を高めるため、アンチロックブレーキシステム(ABS)、ビークルスタビリティコントロール(VSC)、トラクッションコントロール(TCS)などの機能を有するブレーキ装置が開発されている。このようなブレーキ装置は、各ホイールシリンダに供給される液圧を個別に調節するブレーキアクチュエータがブレーキ液圧回路に設けられおり、ブレーキ制御部により各車輪の制動力を個別に制御することで、ABS制御やVSC制御を実行する。ブレーキアクチュエータは、各ホイールシリンダの液圧制御(増圧、保持、減圧)を行うために、電動モータにより駆動するポンプや、調圧弁、保持弁、減圧弁などの電磁制御弁などから構成される。
更に、最近では、レーダやカメラなどのセンサを用いて車両前方の物体を検出し、走行中の車両が前方の物体と衝突する可能性がある場合に、自動的に車両の車輪に制動力を発生させる自動緊急ブレーキ(AEB)機能を有するブレーキ装置が開発されている。自動ブレーキ制御を行うブレーキ装置では、自動ブレーキ制御時にブレーキ液圧回路に設けられたブレーキアクチュエータのポンプを駆動し、ポンプにより液圧を加圧して各ホイールシリンダに液圧を供給することで、運転者がブレーキペダルの操作を行わない場合でも各車輪に制動力を発生させる(例えば、特許文献1、2を参照)。
特開平11−124022号公報 特開2009−29173号公報
自動ブレーキ(AEB)制御時に、車両の姿勢の安定性を向上することが望まれる。
前後左右にそれぞれ車輪を有する自動車のブレーキ装置では、一般に、ブレーキ液圧回路が2系統以上に分かれており、例えば、左前輪及び右後輪のホイールシリンダが属する系統と右前輪及び左後輪のホイールシリンダが属する系統との2系統(X字型系統)とする場合が多い。また、後輪よりも前輪に制動力が多く配分されている。
自動ブレーキ制御時は、車輪に大きな制動力を発生させる必要があり、各系統のブレーキ液圧回路に設けられたブレーキアクチュエータを制御して、ポンプにより液圧を十分に加圧して、各車輪のホイールシリンダに供給する液圧を大幅に高める。その際、ブレーキアクチュエータの調圧弁がそれぞれ作動して、各系統のブレーキ液圧回路の液圧を調節することで、各ブレーキ液圧回路に属するそれぞれのホイールシリンダに供給される液圧を調節する。調圧弁は、通電電流によって開度が制御され、自動ブレーキ制御時には、両系統のブレーキ液圧回路の液圧が等しくなるように各調圧弁が同じ開度で制御される。
しかしながら、調圧弁の精度ばらつきにより、両系統のブレーキ液圧回路の液圧に差が生じ、一方のブレーキ液圧回路に属する左前輪のホイールシリンダの液圧と他方のブレーキ液圧回路に属する右前輪のホイールシリンダの液圧に差が生じる場合がある。この場合、車両が直進している状態で自動ブレーキが作動したとき、左右前輪にそれぞれ発生する制動力の差によって車両にヨー方向の挙動が発生することがある。つまり、制動力が高い側に車両が曲がるなど、車両の姿勢安定性が低下する。左右前輪の制動力の差が大きいと、車両の姿勢安定性が大きく損なわれる。特に、車両が高速域で走行している状態では、左右前輪の制動力の差によって車両に発生するヨー方向の挙動が大きくなることから、車両のヨー方向の挙動を抑制し、車両の姿勢安定性を確保することは重要である。
また、ブレーキパッドの摩擦係数(μ)のばらつきなどによっても、左右前輪の制動力に差が生じることがあり、この場合も同様に、車両にヨー方向の挙動が発生して車両の姿勢安定性が低下する。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、自動ブレーキ制御時の車両の姿勢安定性を向上できるブレーキ装置を提供することにある。
(1)本発明の一態様に係るブレーキ装置は、運転者のブレーキ操作によらず、自動的に車両の車輪に制動力を発生させる自動ブレーキ制御を行う。前記ブレーキ装置は、マスタシリンダから左右前輪の各ホイールシリンダにそれぞれ液圧を伝達する第1及び第2のブレーキ液圧回路と、ブレーキアクチュエータと、ブレーキ制御部と、挙動検出センサとを備える。前記ブレーキアクチュエータは、前記ブレーキ液圧回路に設けられ、前記各ホイールシリンダに供給される液圧を個別に調節可能である。前記ブレーキ制御部は、前記ブレーキアクチュエータを制御して、前記各前輪の制動力を個別に制御する。前記挙動検出センサは、前記車両のヨー方向の挙動を検出する。前記ブレーキアクチュエータは、自動ブレーキ制御時に前記各ブレーキ液圧回路の液圧を加圧するポンプと、前記各ブレーキ液圧回路の液圧を個別に調節する調圧弁とを有する。前記ブレーキ制御部は、自動ブレーキ制御時に、前記挙動検出センサが検出したヨー方向の挙動に基づいて、前記各前輪のうち制動力が低い方のホイールシリンダに供給される液圧を増圧するように前記調圧弁を制御する。
(2)本発明の別の一態様に係るブレーキ装置は、運転者のブレーキ操作によらず、自動的に車両の車輪に制動力を発生させる自動ブレーキ制御を行う。前記ブレーキ装置は、マスタシリンダから左右前輪の各ホイールシリンダにそれぞれ液圧を伝達する第1及び第2のブレーキ液圧回路と、ブレーキアクチュエータと、ブレーキ制御部と、挙動検出センサとを備える。前記ブレーキアクチュエータは、前記ブレーキ液圧回路に設けられ、前記各ホイールシリンダに供給される液圧を個別に調節可能である。前記ブレーキ制御部は、前記ブレーキアクチュエータを制御して、前記各前輪の制動力を個別に制御する。前記挙動検出センサは、前記車両のヨー方向の挙動を検出する。前記ブレーキアクチュエータは、自動ブレーキ制御時に前記各ブレーキ液圧回路の液圧を加圧するポンプを有する。前記ブレーキ制御部は、自動ブレーキ制御時に、前記挙動検出センサがヨー方向の挙動を検出した場合、前記ポンプにより前記各ブレーキ液圧回路の液圧をABSが作動する領域まで増圧して、ABS制御を実行する。
上記一態様に係るブレーキ装置は、自動ブレーキ制御時に車両のヨー方向の挙動に基づいて、左右前輪のうち制動力が低い方のホイールシリンダの液圧を増圧するように調圧弁を制御する。これにより、制動力が低い方のホイールシリンダの液圧が増圧され、左右前輪の制動力の差が小さくなることから、車両のヨー方向の挙動を抑制し、車両の姿勢安定性を向上できる。
上記別の一態様に係るブレーキ装置は、自動ブレーキ制御時に車両のヨー方向の挙動を検出した場合、ポンプにより液圧をABSが作動する領域まで増圧して、ABS制御を実行する。ABSが作動することにより、左右前輪の制動力の差がなくなる(路面依存となる)ことから、車両のヨー方向の挙動を抑制し、車両の姿勢安定性を向上できる。
実施形態に係るブレーキ装置の概略構成図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るブレーキ装置の具体的に説明する。ここでは、左右の前輪FL、FRと左右の後輪RL、RRとの計4輪の車輪Wを有する車両(四輪自動車)のブレーキ装置に適用した場合を例に挙げて説明する。各車輪Wには、それぞれのホイールシリンダ61、62、63、64が設けられている。
[実施形態1]
<ブレーキ装置>
実施形態1のブレーキ装置1は、液圧式ブレーキ装置であり、マスタシリンダ5からブレーキ液圧回路10が2系統に分かれており、マスタシリンダ5から左前輪FL及び右後輪RRの各ホイールシリンダ61及び64に液圧を伝達する第1ブレーキ液圧回路11と、マスタシリンダ5から右前輪FR及び左後輪RLの各ホイールシリンダ62及び63に液圧を伝達する第2ブレーキ液圧回路12とを備える。各ブレーキ液圧回路11、12には、ブレーキオイルが充填されている。マスタシリンダ5には、倍力装置70を介してブレーキペダル7が接続されており、マスタシリンダ5は、ブレーキペダル7に加えられた踏力に応じてブレーキオイルを加圧し、ブレーキオイルに液圧を付与する。倍力装置70は、ブレーキペダル7に加えられた踏力を増幅する装置であり、この例では、エンジン(図示せず)の吸入負圧を利用する真空式ブレーキブースタである。ブレーキ装置1は、自動ブレーキ制御を行わない通常時、運転者のブレーキペダル7の操作(踏力)に応じてマスタシリンダ5により液圧が付与され、各ブレーキ液圧回路11、12を介して各車輪Wのホイールシリンダ61〜64に液圧が供給される。これにより、各車輪Wのブレーキパッド(図示せず)に圧力をかけ、各車輪Wに制動力を発生させる。
このブレーキ装置1は、走行中の車両がその前方の物体と衝突する可能性がある場合に、運転者のブレーキ操作によらず、自動的に車輪Wに制動力を発生させる自動ブレーキ(AEB)制御を行い、衝突を回避したり、衝突による被害を軽減する。ブレーキ装置1は、ブレーキアクチュエータ2と、ブレーキアクチュエータ2を制御するブレーキ制御部(ブレーキECU)3と、車両のヨー方向の挙動を検出する挙動検出センサ4とを備える。ブレーキアクチュエータ2は、ブレーキ液圧回路10に設けられ、第1ブレーキ液圧回路11に属するホイールシリンダ61及び64に供給される液圧と、第2ブレーキ液圧回路12に属するホイールシリンダ62及び63に供給される液圧とを個別に調節可能である。ブレーキアクチュエータ2は、各ブレーキ液圧回路11、12の液圧を加圧するポンプP1、P2と、各ブレーキ液圧回路11、12の液圧を個別に調節する調圧弁21、22とを有する。
実施形態1のブレーキ装置1の特徴の1つは、自動ブレーキ制御時に、挙動検出センサ4が検出したヨー方向の挙動に基づいて、左右前輪FL、FRのうち制動力が低い方のホイールシリンダ61、62に供給される液圧を増圧するように調圧弁21、22を制御する。以下、ブレーキ装置1の各構成要素について説明する。
(ブレーキ液圧回路)
第1及び第2のブレーキ液圧回路11、12は、互いに独立したブレーキ系統を構成している。第1ブレーキ液圧回路11は、マスタシリンダ5から左前輪FL及び右後輪RRのホイールシリンダ61及び64に接続され、マスタシリンダ5からの液圧を各ホイールシリンダ61及び64に伝達する。第2ブレーキ液圧回路12は、マスタシリンダ5から右前輪FR及び左後輪RLのホイールシリンダ62及び63に接続され、マスタシリンダ5からの液圧を各ホイールシリンダ62及び63に伝達する。この例に示すマスタシリンダ5は、タンデム式マスタシリンダであり、第1マスタシリンダ室51と第2マスタシリンダ室52とを有し、ピストン53によって第1マスタシリンダ室51と第2マスタシリンダ室52とに区画されている。第1ブレーキ液圧回路11は、マスタシリンダ5の第1マスタシリンダ室51に連通し、第2ブレーキ液圧回路12は、マスタシリンダ5の第2マスタシリンダ室52に連通している。
(ブレーキアクチュエータ)
ブレーキアクチュエータ2は、AEB機能の他、ABS機能やVSC機能などを有する。ブレーキアクチュエータ2は、ブレーキ液圧回路10に設けられ、各ホイールシリンダ61〜64に供給される液圧を個別に調節可能であり、ブレーキ制御部3によって各車輪Wの制動力を個別に制御して、自動ブレーキ(AEB)制御だけでなく、ABS制御やVSC制御なども可能である。ブレーキアクチュエータ2は、各ブレーキ液圧回路11、12の液圧を加圧するポンプP1、P2と、各ブレーキ液圧回路11、12の液圧を個別に調節する調圧弁21、22とを有する。ポンプP1、P2は、各ブレーキ液圧回路11、12に設けられ、1つの電動モータMによって駆動する。各ポンプP1、P2は、それぞれ調圧弁21、22の上流側からブレーキオイルを吸引し、加圧して調圧弁21、22の下流側に供給することで、自動ブレーキ制御時に各ブレーキ液圧回路11、12の液圧を加圧する。調圧弁21、22は、通電電流によって開度が制御可能な電磁制御弁であり、個別に制御可能である。調圧弁21は、第1ブレーキ液圧回路11上に設けられ、第1ブレーキ液圧回路11の液圧を調節して、左前輪FL及び右後輪RRのホイールシリンダ61及び64に供給される液圧を調節する。調圧弁22は、第2ブレーキ液圧回路12上に設けられ、ブレーキ液圧回路12の液圧を調節して、右前輪FR及び左後輪RLのホイールシリンダ62及び63に供給される液圧を調節する。
また、ブレーキアクチュエータ2は、各ホイールシリンダ61、62、63、64に供給される液圧を個別に調節する保持弁231、232、233、234及び減圧弁241、242、243、244を有する。保持弁231〜234は、各ホイールシリンダ61〜64に対してそれぞれ設けられており、各ブレーキ液圧回路11、12上の調圧弁21、22の下流側にそれぞれ配置されている。減圧弁241〜244は、各ホイールシリンダ61〜64に対してそれぞれ設けられており、保持弁231〜234の下流側にそれぞれ配置されている。保持弁231〜234は常開型の電磁制御弁、減圧弁241〜244は常閉型の電磁制御弁であり、それぞれ個別に開閉制御が可能である。
通常時には、調圧弁21、22及び保持弁231〜234が開状態、減圧弁241〜244が閉状態にされる。自動ブレーキ制御時には、ポンプP1、P2により各ブレーキ液圧回路11、12の液圧が所定圧以上に加圧されると共に、調圧弁21、22の開度が制御され、調圧弁21、22で各ブレーキ液圧回路11、12の液圧が調節される。これにより、各ブレーキ液圧回路11、12に属するホイールシリンダ61及び64、ホイールシリンダ62及び63の液圧がそれぞれ調節される。
保持弁231〜234が閉状態にされることで各ホイールシリンダ61〜64の液圧が保持され、更に、減圧弁241〜244が開状態にされることで、各ホイールシリンダ61〜64の液圧が減圧される。これにより、各車輪Wの制動力を個別に制御することが可能であり、アンチロックブレーキ(ABS)制御が可能である。減圧弁241〜244が開状態のとき、ブレーキオイルがリザーバ25に貯留される。
(ブレーキ制御部)
ブレーキ制御部3は、ブレーキアクチュエータ2を制御して、車両の走行状態に応じて各車輪Wの制動力を個別に制御する。具体的には、ブレーキアクチュエータ2のポンプP1、P2を駆動する電動モータMの駆動制御や、調圧弁21、22、保持弁231〜234及び減圧弁241〜244の開閉制御などを行う。このブレーキ制御部3は、自動ブレーキ制御の他、ABS制御やVSC制御などを実行可能である。ブレーキ制御部3は、マイクロコンピュータで構成された電子制御ユニット(ECU)である。
ブレーキ装置1は、車両前方の物体を検出する物体検出センサ8を備えており、その検出結果に基づいて車両が物体と衝突する可能性があるとブレーキ制御部3が判断した場合に、ブレーキ制御部3により自動ブレーキ制御を実行する。物体検出センサ8としては、例えば赤外線レーザ、ミリ波レーダ、カメラなどを利用できる。実施形態1のブレーキ装置1では、ブレーキ制御部3は液圧増圧制御部3Aを有し、液圧増圧制御部3Aが、自動ブレーキ制御時に、挙動検出センサ4が検出したヨー方向の挙動に基づいて、左右前輪FL、FRのうち制動力が低い方のホイールシリンダ61、62に供給される液圧を増圧するように調圧弁21、22を制御する。自動ブレーキ制御時の動作については後述する。
(挙動検出センサ)
挙動検出センサ4は、車両のヨー方向の挙動を検出する。挙動検出センサ4としては、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサの他、車両に発生する横方向(走行方向と交差する方向)の加速度を検出する横加速度センサを利用することが挙げられる。その他、挙動検出センサ4には、車輪の回転速度(車輪速度)を検出する車輪速センサを利用することも可能である。車両が直進している状態で自動ブレーキ制御時に車両にヨー方向の挙動が発生している状況では、左右前輪FL、FRの制動力差に起因して車輪速度に差が生じる。具体的には、左右前輪FL、FRのうち制動力が低い方の車輪速度が速くなる。したがって、左右前輪FL、FRに設けられた車輪速センサによって、車両のヨー方向の挙動を検出することができる。この例では、各車輪Wに車輪速センサ(図示せず)が取り付けられている。
<制御動作>
実施形態1のブレーキ装置1の自動ブレーキ制御時の動作について説明する。自動ブレーキ制御では、まず、ブレーキ制御部3によって、ポンプP1、P2により各ブレーキ液圧回路11、12の液圧を加圧し、各車輪Wのホイールシリンダ61〜64に液圧を供給することで、各車輪Wに制動力を発生させる。このとき、ブレーキ制御部3により調圧弁21、22が所定の開度に制御され、各ブレーキ液圧回路11、12の液圧を調節して、左前輪FL及び右後輪RRのホイールシリンダ61及び64、右前輪FR及び左後輪RLのホイールシリンダ62及び63の液圧がそれぞれ調節される。この状態では、ポンプP1、P2により各ブレーキ液圧回路11、12の液圧をABSが作動しない範囲で加圧し、基本的にはABSが作動していない。
自動ブレーキ制御時に、挙動検出センサ4が車両のヨー方向の挙動を検出した場合、ブレーキ制御部3(液圧増圧制御部3A)は、そのヨー方向の挙動に基づいて、左前輪FL及び右前輪FRのうち制動力が低い方のホイールシリンダ61、62に供給される液圧を増圧する。具体的には、調圧弁21、22のうち、制動力が低い方のホイールシリンダ61、62が属するブレーキ液圧回路11、12における調圧弁21、22の開度を小さくするように制御する。例えば、左前輪FLの制動力が低い場合は、調圧弁21の開度を小さくし、第1ブレーキ液圧回路11の液圧を増圧して、ホイールシリンダ61に供給される液圧を増圧する。逆に、右前輪FRの制動力が低い場合は、調圧弁22の開度を小さくし、第2ブレーキ液圧回路12の液圧を増圧して、ホイールシリンダ62に供給される液圧を増圧する。
<作用効果>
実施形態1のブレーキ装置1によれば、調圧弁の精度ばらつきやブレーキパッドのμのばらつきなどによって、自動ブレーキ制御時に車両にヨー方向の挙動が発生した場合に、調圧弁21、22を制御して、左右前輪FL、FRのうち制動力が低い方のホイールシリンダ61、62に供給される液圧が増圧される。したがって、左右前輪FL、FRの制動力の差が小さくなることから、車両のヨー方向の挙動を抑制し、車両の姿勢安定性を向上できる。
[実施形態2]
実施形態2のブレーキ装置について説明する。実施形態2のブレーキ装置の基本的構成は、図1に示す実施形態1のブレーキ装置1と同様であり、自動ブレーキ制御時の制御動作が実施形態1と主に相違する。以下、実施形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
実施形態2のブレーキ装置1の特徴の1つは、自動ブレーキ制御時に、挙動検出センサ4がヨー方向の挙動を検出した場合、ポンプP1、P2により各ブレーキ液圧回路11、12の液圧をABSが作動する領域まで増圧して、ABS制御を実行する。
(ブレーキ制御部)
実施形態2のブレーキ装置1では、ブレーキ制御部3はABS実行制御部3Bを有し、ABS実行制御部3Bが、自動ブレーキ制御時に、挙動検出センサ4がヨー方向の挙動を検出した場合、ポンプP1、P2により各ブレーキ液圧回路11、12の液圧をABSが作動する領域まで増圧して、ABS制御を実行する。ABS制御は、各車輪Wのロックを車輪速センサにより検知し、各保持弁231〜234及び各減圧弁241〜244を制御して、各ホイールシリンダ61〜64の液圧を個別に調節することで、各車輪Wの制動力を個別に制御することにより行う。
<制御動作>
実施形態2のブレーキ装置1では、自動ブレーキ制御時に、挙動検出センサ4が車両のヨー方向の挙動を検出した場合、ブレーキ制御部3(ABS実行制御部3B)は、ポンプP1、P2により各ブレーキ液圧回路11、12の液圧をABSが作動する領域まで増圧する。つまり、ABSが作動していない状態から強制的にABSを作動させ、ABS制御を実行する。具体的には、ポンプP1、P2の出力を上げ、各ブレーキ液圧回路11、12の液圧をABSが作動する領域まで増圧して、各ホイールシリンダ61、62に供給する。これにより、ABSが作動して、ABS制御を実行する。このとき、調圧弁21、22は閉状態とすることが挙げられる。
ここで、運転者がブレーキペダル7を操作してブレーキをかけた場合(自動ブレーキが作動していない場合)に、ABS実行制御部3Bは、車輪Wがロックしたことを車輪速センサから検知し、ロックした場合、ポンプP1、P2を駆動し、保持弁231〜234及び減圧弁241〜244によって、各ホイールシリンダ61〜64の液圧を個別に制御するABS制御を行う。
<作用効果>
実施形態2のブレーキ装置1によれば、自動ブレーキ制御時に車両にヨー方向の挙動が発生した場合に、ポンプP1、P2により左右前輪FL、FRの各ホイールシリンダ61、62に供給される液圧をABSが作動する領域まで増圧して、ABS制御を実行する。これにより、ABSが作動して、各ホイールシリンダ61、62の液圧がこれ以上上昇せず、ABS制御によって、左右前輪FL、FRの制動力の差がなくなる(路面依存となる)ことから、車両のヨー方向の挙動を抑制し、車両の姿勢安定性を向上できる。
本発明は、これらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のブレーキ装置は、四輪自動車のブレーキ装置に好適に利用できる。
1 ブレーキ装置
10 ブレーキ液圧回路
11 第1ブレーキ液圧回路
12 第2ブレーキ液圧回路
2 ブレーキアクチュエータ
P1、P2 ポンプ M 電動モータ
21、22 調圧弁
231、232、233、234 保持弁
241、242、243、244 減圧弁
25 リザーバ
3 ブレーキ制御部
3A 液圧増圧制御部
3B ABS実行制御部
4 挙動検知センサ
5 マスタシリンダ
51 第1マスタシリンダ室
52 第2マスタシリンダ室
53 ピストン
61、62、63、64 ホイールシリンダ
7 ブレーキペダル
70 倍力装置
8 物体検出センサ
W 車輪
FL 左前輪 FR 右前輪
RL 左後輪 RR 右後輪

Claims (2)

  1. 運転者のブレーキ操作によらず、自動的に車両の車輪に制動力を発生させる自動ブレーキ制御を行うブレーキ装置であって、
    マスタシリンダから左右前輪の各ホイールシリンダにそれぞれ液圧を伝達する第1及び第2のブレーキ液圧回路と、
    前記ブレーキ液圧回路に設けられ、前記各ホイールシリンダに供給される液圧を個別に調節可能なブレーキアクチュエータと、
    前記ブレーキアクチュエータを制御して、前記各前輪の制動力を個別に制御するブレーキ制御部と、
    前記車両のヨー方向の挙動を検出する挙動検出センサとを備え、
    前記ブレーキアクチュエータは、自動ブレーキ制御時に前記各ブレーキ液圧回路の液圧を加圧するポンプと、前記各ブレーキ液圧回路の液圧を個別に調節する調圧弁とを有し、
    前記ブレーキ制御部は、自動ブレーキ制御時に、前記挙動検出センサが検出したヨー方向の挙動に基づいて、前記各前輪のうち制動力が低い方のホイールシリンダに供給される液圧を増圧するように前記調圧弁を制御するブレーキ装置。
  2. 運転者のブレーキ操作によらず、自動的に車両の車輪に制動力を発生させる自動ブレーキ制御を行うブレーキ装置であって、
    マスタシリンダから左右前輪の各ホイールシリンダにそれぞれ液圧を伝達する第1及び第2のブレーキ液圧回路と、
    前記ブレーキ液圧回路に設けられ、前記各ホイールシリンダに供給される液圧を個別に調節可能なブレーキアクチュエータと、
    前記ブレーキアクチュエータを制御して、前記各前輪の制動力を個別に制御するブレーキ制御部と、
    前記車両のヨー方向の挙動を検出する挙動検出センサとを備え、
    前記ブレーキアクチュエータは、自動ブレーキ制御時に前記各ブレーキ液圧回路の液圧を加圧するポンプを有し、
    前記ブレーキ制御部は、自動ブレーキ制御時に、前記挙動検出センサがヨー方向の挙動を検出した場合、前記ポンプにより前記各ブレーキ液圧回路の液圧をABSが作動する領域まで増圧して、ABS制御を実行するブレーキ装置。
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