JP2017140600A - 膜分離装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スケールの析出を抑えながら高い回収率を実現することができる膜分離装置の提供。【解決手段】膜分離装置は、供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールと、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、供給水を吸入して逆浸透膜モジュールに向けて吐出する加圧ポンプと、第1制御部と、供給水、透過水又は濃縮水の温度を検出する温度検出手段と、装置外へ排出する濃縮水の排水流量を調節可能な排水弁とを備え、第1制御部は、(i)予め取得された供給水のシリカ濃度ST204と、検出温度値及び予め取得された供給水のpH値から決定したシリカ溶解度とに基づいて、濃縮水におけるシリカの許容濃縮倍率を演算ST206し、(ii)許容濃縮倍率の演算値、及び透過水の目標流量値から排水流量を演算ST207し、(iii)濃縮水の実際排水流量が排水流量の演算値となるように、排水弁を制御ST208する膜分離装置。【選択図】図3

Description

本発明は、膜分離装置に関する。
半導体製造工程や電子部品の洗浄、医療器具の洗浄等においては、不純物を含まない高純度の純水が使用される。この種の純水は、一般に、地下水や水道水等の原水を逆浸透膜(以下、「RO膜」ともいう)で処理することにより製造される。
RO膜を用いた水処理システムの一例として、供給水の温度に関わらず、RO膜における透過水の流量を一定に保つ流量フィードバック制御を行うシステムが提案されている(特許文献1参照)。流量フィードバック制御では、RO膜で製造される透過水の流量が目標値となるように、RO膜に供給水を送出する加圧ポンプの運転周波数がインバータにより制御される。
特許文献1のシステムは、流量フィードバック制御に加えて、さらなる追加制御を行うものである(例えば「温度フィードフォワード制御」)。温度フィードフォワード制御は、透過水の回収率を最大としつつ、RO膜モジュールにおけるシリカ系スケールの析出を抑制することを目的とする。具体的には、供給水のシリカ濃度と、供給水の温度から決定したシリカ溶解度と、透過水の目標流量値とを関連付けることで、許容濃縮倍率を超えない範囲で回収率が最大となる濃縮水の目標排水流量を決定している。
特開2015−127056号公報
RO膜の回収率は、RO膜を使用する水処理システムのランニングコストに大きく関わるため、回収率をできるだけ高く維持することが求められる。特許文献1の温度フィードフォワード制御のような制御以外にも、スケールの析出を抑えながらもできるだけ高い回収率を維持できる技術の開発が望まれている。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、スケールの析出を抑えながら、より高い回収率を実現することができる膜分離装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一態様である膜分離装置は、供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールと、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、供給水を吸入して前記逆浸透膜モジュールに向けて吐出する加圧ポンプと、入力された演算値信号に対応する駆動周波数を前記加圧ポンプに出力するインバータと、透過水の流量が予め設定された目標流量値となるように、系内の物理量を用いて前記加圧ポンプの駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する演算値信号を前記インバータに出力する第1制御部と、供給水、透過水又は濃縮水の温度を検出する温度検出手段と、装置外へ排出する濃縮水の排水流量を調節可能な排水弁と、を備え、前記第1制御部は、(i)予め取得された供給水のシリカ濃度と、前記温度検出手段の検出温度値及び予め取得された供給水のpH値から決定したシリカ溶解度とに基づいて、濃縮水におけるシリカの許容濃縮倍率を演算し、(ii)当該許容濃縮倍率の演算値、及び透過水の前記目標流量値から排水流量を演算し、(iii)濃縮水の実際排水流量が当該排水流量の演算値となるように、前記排水弁を制御する。
前記膜分離装置において、前記第1制御部は、(i)予め取得された供給水の硬度と、前記温度検出手段の検出温度値及び予め取得された供給水のpH値から決定した炭酸カルシウム溶解度とに基づいて、濃縮水における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算し、(ii)炭酸カルシウムの許容濃縮倍率がシリカの許容濃縮倍率よりも小さい場合には、シリカの許容濃縮倍率に代えて、炭酸カルシウムの許容濃縮倍率の演算値、及び透過水の前記目標流量値から排水流量を演算し、(iii)濃縮水の実際排水流量が当該排水流量の演算値となるように、前記排水弁を制御してもよい。
前記膜分離装置において、pHを調整するためのpH調整剤を供給水に添加するpH調整剤添加装置と、前記pH調整剤添加装置から供給されるpH調整剤の添加量を制御するための第2制御部とをさらに備え、前記第2制御部は、(i)供給水の温度とpH値と回収率との関係を表す目標pH算出テーブルと、前記検出温度とに基づいて目標pH値を算出し、(ii)供給水のpH値を前記目標pH値に維持するようにpH調整剤の添加量を制御し、前記第1制御部は、前記予め取得された供給水のpH値として、前記目標pH値を使用してもよい。
前記膜分離装置において、前記第2制御部は、前記目標pH算出テーブルに基づき、前記検出温度において回収率が最大となるpH値を目標pH値として算出し、供給水のpH値を前記目標pH値に維持するようにpH調整剤の添加量を制御してもよい。
前記膜分離装置において、供給水の硬度成分を減少させて軟化させる硬水軟化装置をさらに備え、前記pH調整剤添加装置は、pHを増加させるアルカリ性薬剤を薬剤として添加してもよい。
本発明の膜分離装置によれば、スケールの析出を抑えながら、より高い回収率を実現することができる。
第1実施形態に係る水処理システム1の全体構成図 第1実施形態の制御部8が流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャート 第1実施形態の制御部8が温度・pHフィードフォワード回収率制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャート 第2実施形態の制御部8が温度・pHフィードフォワード回収率制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャート 第3実施形態に係る水処理システム1の全体構成図 第3実施形態の制御部8がpH調整制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャート 模式的な目標pH算出テーブルを示す図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態によって本発明が限定されるものではない。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る水処理システム1について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る水処理システム1の全体構成図である。水処理システム1は、例えば、淡水から純水を製造する純水製造システムに適用される。
図1に示すように、第1実施形態に係る水処理システム1は、加圧ポンプ2と、温度検出手段としての温度センサ3と、pH検出手段としてのpHセンサ4と、インバータ5とを備える。また、水処理システム1は、逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール6と、流量検出手段としての流量センサ7と、制御部8と、第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11と、を備える。このうち、加圧ポンプ2、RO膜モジュール6、流量センサ7及び制御部8は、本実施形態における膜分離装置を構成する。図1では、電気的な接続の経路を破線で示す。
水処理システム1は、原水ラインL1と、透過水ラインL2と、濃縮水ラインL3と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
原水ラインL1の上流側の端部は、原水W1の供給源(不図示)に接続されている。一方、原水ラインL1の下流側の端部は、RO膜モジュール6に接続されている。
加圧ポンプ2は、原水ラインL1に設けられている。加圧ポンプ2は、供給源から供給された水道水や地下水等の原水W1を、RO膜モジュール6に向けて圧送する。加圧ポンプ2は、インバータ5(後述)と電気的に接続されている。加圧ポンプ2には、周波数が変換された駆動電力がインバータ5から供給される。加圧ポンプ2は、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。
温度センサ3は、原水ラインL1を流通する原水W1の温度を検出する機器である。温度センサ3は、接続部J1において原水ラインL1に接続されている。また、温度センサ3は、制御部8と電気的に接続されている。温度センサ3で検出された原水W1の温度(以下、「検出温度値」ともいう)は、制御部8へ検出信号として送信される。
pHセンサ4は、原水ラインL1を流通する原水W1のpHを検出する機器である。pHセンサ4は、接続部J2において原水ラインL1に接続されている。また、pHセンサ4は、制御部8と電気的に接続されている。pHセンサ4で検出された原水W1のpH(以下、「検出pH値」ともいう)は、制御部8へ検出信号として送信される。
インバータ5は、加圧ポンプ2に対して、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路である。インバータ5は、制御部8と電気的に接続されている。インバータ5には、制御部8から電流値信号が入力される。インバータ5は、入力された電流値信号に対応する駆動周波数を加圧ポンプ2に出力する。
RO膜モジュール6は、原水W1を、溶存塩類が除去された透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3とに膜分離処理する設備である。RO膜モジュール6は、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO膜モジュール6は、これらRO膜エレメントにより原水W1を膜分離処理し、透過水W2及び濃縮水W3を製造する。RO膜モジュール6の一次側入口ポートには、原水ラインL1の下流側の端部が接続されている。
RO膜モジュール6の二次側ポートには、透過水ラインL2の上流側の端部が接続されている。RO膜モジュール6で得られた透過水W2は、透過水ラインL2を介して需要箇所等に送出される。また、RO膜モジュール6の一次側出口ポートには、濃縮水ラインL3の上流側の端部が接続されている。RO膜モジュール6で得られた濃縮水W3は、濃縮水ラインL3を介して、RO膜モジュール6の外に排出される。濃縮水ラインL3の下流側には、第1排水バルブ9、第2排水バルブ10及び第3排水バルブ11(後述)が接続されている。
なお、濃縮水ラインL3から排出された濃縮水W3の一部を、加圧ポンプ2の上流側における原水ラインL1に還流させてもよい。濃縮水W3の一部を原水ラインL1に還流させることにより、RO膜モジュール6の表面での水流速を所定範囲に保つことができる。
本実施形態におけるRO膜モジュール6は、膜表面に架橋全芳香族ポリアミドからなる負荷電性のスキン層が形成された逆浸透膜(不図示)を有する。この逆浸透膜は、濃度500mg/L、pH7.0、温度25℃の塩化ナトリウム水溶液を、操作圧力0.7MPa、回収率15%で供給したときの水透過係数が、1.5×10−11m3・m−2・s−1・Pa−1以上、且つ塩除去率が99%以上となる性能を有する。
操作圧力とは、JIS K3802−1995「膜用語」で定義される平均操作圧力である。操作圧力は、RO膜モジュール6の一次側の入口圧力と一次側の出口圧力との平均値を指す。回収率とは、RO膜モジュール6への供給水(ここでは塩化ナトリウム水溶液)の流量Qfに対する透過水の流量Qpの割合(すなわち、Qp/Qf×100)をいう。
水透過係数は、透過水の流量[m3/s]を膜面積[m2]及び有効圧力[Pa]で除した値である。水透過係数は、逆浸透膜の水の透過性能を示す指標である。すなわち、水透過係数は、単位有効圧力を作用させたときに単位時間に膜の単位面積を透過する水の量を意味する。有効圧力は、JIS K3802−1995「膜用語」で定義される。有効圧力は、操作圧力(平均操作圧力)から浸透圧差及び二次側圧力(背圧)を差し引いた圧力である。
本実施形態の水透過係数の条件を満たす逆浸透膜は、逆浸透膜エレメントとして市販されている。逆浸透膜エレメントとしては、例えば、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等を用いることができる。
流量センサ7は、透過水ラインL2を流通する透過水W2の流量を検出する機器である。流量センサ7は、接続部J3において透過水ラインL2に接続されている。流量センサ7は、制御部8と電気的に接続されている。流量センサ7で検出された透過水W2の流量(以下、「検出流量値」ともいう)は、制御部8へ検出信号として送信される。
第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11は、濃縮水ラインL3から排出された濃縮水W3の排水流量を調節する弁である。上述した濃縮水ラインL3の下流側は、分岐部J4及びJ5において、第1排水ラインL4、第2排水ラインL5及び第3排水ラインL6に分岐している。
第1排水ラインL4には、第1排水バルブ9が設けられている。第2排水ラインL5には、第2排水バルブ10が設けられている。第3排水ラインL6には、第3排水バルブ11が設けられている。
第1排水バルブ9は、第1排水ラインL4を開閉することができる。第2排水バルブ10は、第2排水ラインL5を開閉することができる。第3排水バルブ11は、第3排水ラインL6を開閉することができる。
第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11は、それぞれ定流量弁機構(不図示)を備える。定流量弁機構は、第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11において、それぞれ異なる流量値に設定されている。例えば、第1排水バルブ9は、開状態において、RO膜モジュール6の回収率が95%となるように排水流量が設定されている。第2排水バルブ10は、開状態において、RO膜モジュール6の回収率が90%となるように排水流量が設定されている。第3排水バルブ11は、開状態において、RO膜モジュール6の回収率が80%となるように排水流量が設定されている。
濃縮水ラインL3から排出される濃縮水W3の排水流量は、第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11を選択的に開閉することにより、段階的に調節できる。例えば、第2排水バルブ10のみを開状態とし、第1排水バルブ9及び第3排水バルブ11を閉状態とする。この場合には、RO膜モジュール6の回収率を90%とすることができる。また、第1排水バルブ9及び第2排水バルブ10を開状態とし、第3排水バルブ11のみを閉状態とする。この場合には、RO膜モジュール6の回収率を85%とすることができる。従って、本実施形態において、濃縮水W3の排水流量は、第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11を選択的に開閉することにより、回収率を65%〜95%までの間で、5%毎に段階的に調節できる。
第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11は、それぞれ制御部8と電気的に接続されている。第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11における弁体の開閉は、制御部8からの駆動信号により制御される。
制御部8は、CPU及びメモリ含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。また、制御部8は、透過水W2の流量が予め設定された目標流量値となるように、透過水W2の検出流量値をフィードバック値として、加圧ポンプ2の駆動周波数を演算する。そして、制御部8は、演算した駆動周波数の演算値に対応する電流値信号をインバータ5に出力する(以下、「流量フィードバック水量制御」ともいう)。この流量フィードバック制御は、流量センサ7により透過水W2の流量が正常に検出されているときに実行される制御モードである。
ここで、制御部8による流量フィードバック水量制御について説明する。図2は、制御部8が流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図2に示すステップST101において、制御部8は、透過水W2の目標流量値Qp´を取得する。この目標流量値Qp´は、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
ステップST102において、制御部8は、内部のタイマ(不図示)による計時tが制御周期である100msに達したか否かを判定する。このステップST102において、制御部8により、タイマによる計時が100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST103へ移行する。また、ステップST102において、制御部8により、タイマによる計時が100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST102へ戻る。
ステップST103(ステップST102:YES判定)において、制御部8は、流量センサ7で検出された透過水W2の検出流量値Qpを取得する。
ステップST104において、制御部8は、ステップST103で取得した検出流量値(フィードバック値)QpとステップST101で取得した目標流量値Qp´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Uを演算する。なお、速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期(100ms)毎に操作量の変化分を演算し、これを前回の操作量に加算することで今回の操作量を決定する。
ステップST105において、制御部8は、操作量U、目標流量値Qp´及び加圧ポンプ2の最大駆動周波数(50Hz又は60Hzの設定値)に基づいて、加圧ポンプ2の駆動周波数Fを演算する。
ステップST106において、制御部8は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(4〜20mA)に変換する。
ステップST107において、制御部8は、変換した電流値信号をインバータ5に出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
制御部8はさらに、原水W1の温度とpH値に基づいて、透過水W2の回収率制御を行う(以下、「温度・pHフィードフォワード回収率制御」ともいう)。第1実施形態は、流量フィードバック水量制御を行うRO装置において、シリカのスケールを析出させない範囲で高い回収率を実現するために、供給水である原水W1の温度とpH値に基づいて回収率を制御するものである。この温度・pHフィードフォワード回収率制御は、上述した流量フィードバック水量制御と並行して実行される。
次に、制御部8による温度・pHフィードフォワード回収率制御について説明する。図3は、制御部8が温度・pHフィードフォワード回収率制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図3に示すステップST201において、制御部8は、透過水W2の目標流量値Qp´を取得する。この目標流量値Qp´は、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
ステップST202において、制御部8は、原水W1のシリカ(SiO2)濃度Csを取得する。このシリカ濃度Csは、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。原水W1のシリカ濃度は、事前に原水W1を水質分析することにより得ることができる。なお、原水ラインL1において、不図示のセンサにより原水W1のシリカ濃度を計測してもよい。
ステップST203において、制御部8は、温度センサ3から原水W1の検出温度値Tを取得する。
ステップST204において、制御部8は、pHセンサ4から原水W1の検出pH値「Ph」を取得する。原水W1のpH値は、事前に原水W1を水質分析することにより取得することもできる。
ステップST205において、制御部8は、取得した検出温度値Tおよび検出pH値「Ph」に基づいて、水に対するシリカ溶解度Ssを決定する。ここで、供給水のpHが同じでも、供給水の温度が上昇するほど、シリカの溶解度も増加する。また、供給水の温度が同じでも、供給水のpHが基準値(中性)から下降又は上昇するほど、シリカの溶解度は増加する。このような傾向を踏まえ、供給水に関してpHおよび温度とそれに対応するシリカ溶解度の関係を実験などにより予め測定しておき、データとして制御部8に記憶しておく。当該データに基づき、測定された供給水の温度とpH値の両方から、シリカ溶解度Ssを決定する。
ステップST206において、制御部8は、前のステップで取得又は決定したシリカ濃度Cs、及びシリカ溶解度Ssに基づいて、濃縮水W3におけるシリカの許容濃縮倍率Nsを演算する。シリカの許容濃縮倍率Nsは、下記の式(1)により求めることができる。
Ns=Ss/Cs (1)
例えば、シリカ濃度Csが20mgSiO2/L、温度25℃およびpH(具体値を追記)におけるシリカ溶解度Ssが100mgSiO2/Lであれば、許容濃縮倍率Nsは“5”となる。
ステップST207において、制御部8は、前のステップで取得又は演算した目標流量値Qp´、及び許容濃縮倍率Nsに基づいて、回収率が最大となる排水流量(目標排水流量Qd´)を演算する。目標排水流量Qd´は、下記の式(2)により求めることができる。
Qd´=Qp´/(Ns−1) (2)
ステップST208において、制御部8は、濃縮水W3の実際排水流量QdがステップST207で演算した目標排水流量Qd´となるように、第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11の開閉を制御する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。
上述した第1実施形態に係る水処理システム1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
第1実施形態に係る水処理システム1によれば、制御部8は、流量フィードバック水量制御と並行して、温度・pHフィードフォワード回収率制御を実行する。このような温度・pHフィードフォワード回収率制御を実行することにより、RO膜モジュール6におけるシリカ系スケールの析出を抑制しながら、透過水W2に関してより高い回収率を実現することができる。特にST205、ST206で説明したように、供給水の温度とpH値の両方の値から、シリカの許容濃縮倍率Nsを算出して回収率制御を行っている。このように供給水の温度だけでなくpH値も考慮することで、温度だけを考慮する場合よりも、供給水の実際の状態をより正確に把握することができ、シリカの許容濃縮倍率Nsを精度良く算出することができる。よって、シリカ系スケールの析出を精度良く抑えながら、透過水W2に関してより高い回収率を実現することができる。
上述した第1実施形態の回収率制御によれば、(i)予め取得された供給水のシリカ濃度Csと、検出温度値T及び予め取得された供給水のpH値から決定したシリカ溶解度Ssとに基づいて、濃縮水W3におけるシリカの許容濃縮倍率Nsを演算する。さらに、(ii)当該許容濃縮倍率Nsの演算値、及び透過水W2の目標流量値Qp´から排水流量Qd´を演算する。最後に、(iii)濃縮水W3の実際排水流量が当該排水流量Qd´の演算値となるように、第1排水弁9〜第3排水弁11を制御する。このような制御により、シリカ系スケールが析出しない範囲で透過水W2の回収率をできるだけ向上させることができ、透過水W2に関してより高い回収率を実現することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、シリカ系スケールに着目したが、その他のスケール成分に着目してもよい。特に、淡水ではシリカだけでなく、炭酸カルシウムもスケールとして出やすいため、第2実施形態では、シリカだけでなく炭酸カルシウムについても、ST201−ST206と同様の処理を行い、許容濃縮倍率を算出する。具体的なフローは図4の通りである。水処理システム1の構成は第1実施形態と同じ(図1)であるため、説明と図示を省略する。
図4に示すように、図3と同様のST201〜ST206(シリカ)を実施しながら、新たなST209〜ST211(炭酸カルシウム)を並行して実施する。ST209は、ST202と並行して実施し、ST210およびST211は、ST205およびST206と並行して実施する。ST201〜ST206の内容は、図3を用いて説明した内容と同様であるため説明を省略する。
ステップST209において、制御部8は、原水W1の硬度Hdを取得する。硬度は、カルシウム硬度ないし単なる硬度(カルシウム硬度+マグネシウム硬度)であり、第2実施形態では、炭酸カルシウムの濃度を表す指標として用いる。硬度Hdは、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。原水W1の硬度Hdは、事前に原水W1を水質分析することにより得ることもできる。なお、原水ラインL1において、不図示のセンサにより原水W1の硬度を計測してもよい。
ステップST210において、制御部8は、ST203で取得した検出温度値TおよびST204で取得した検出pH値「Ph」に基づいて、水に対する炭酸カルシウム溶解度Scを決定する。本発明者らは、シリカと同様に、炭酸カルシウムについても、供給水の温度およびpH値と、スケール析出(炭酸カルシウムの溶解度)の相関性があることを見出した。具体的には、供給水の温度が上昇するほど、炭酸カルシウムの溶解度は低下し、供給水のpHが上昇するほど、炭酸カルシウムの溶解度は低下することから、それに応じてシリカ濃度によるスケール管理に加えて炭酸カルシウム濃度によるスケール管理が重要であるという知見を見出した。このような傾向を踏まえ、供給水に関してpHおよび温度とそれに対応する炭酸カルシウムの溶解度の関係を予め把握しておき、データとして制御部8に記憶しておく。当該データに基づき、供給水の温度とpH値の両方から、炭酸カルシウム溶解度Scを決定する。
ステップST211において、制御部8は、ST209で取得した硬度Hd、及びST210で決定した炭酸カルシウム溶解度Scに基づいて、濃縮水W3における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncを演算する。炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncは、下記の式(3)により求めることができる。
Nc=Sc/Hd (3)
ステップST212において、制御部8は、前のステップで取得又は演算した目標流量値Qp´、許容濃縮倍率Ns、及び許容濃縮倍率Ncに基づいて、回収率が最大となる排水流量(目標排水流量Qd´)を演算する。具体的には、シリカの許容濃縮倍率Nsと炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncのうち、小さい方の許容濃縮倍率を選択する。次に、選択された許容濃縮倍率を用いて、目標排水流量Qd´を以下の通り演算する。
小さい方の許容濃縮倍率として、シリカの許容濃縮倍率Nsが選択された場合には、目標排水流量Qd´は、下記の式(4)により求めることができる。
Qd´=Qp´/(Ns−1) (4)
一方、小さい方の許容濃縮倍率として、炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncが選択された場合には、目標排水流量Qd´は、下記の式(5)により求めることができる。
Qd´=Qp´/(Nc−1) (5)
ステップST213において、制御部8は、濃縮水W3の実際排水流量QdがステップST212で演算した目標排水流量Qd´となるように、第1排水バルブ9〜第3排水バルブ11の開閉を制御する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。
上述した第2実施形態の回収率制御によれば、制御部8は、第1実施形態と同様の回収率制御に加えて、ST209〜ST211を実行する。すなわち、(i)予め取得された供給水の硬度Hdと、検出温度値T及び予め取得された供給水のpH値から決定した炭酸カルシウム溶解度Scとに基づいて、濃縮水W3における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncを演算する。さらに、(ii)炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncがシリカの許容濃縮倍率Nsよりも小さい場合には、シリカの許容濃縮倍率Nsに代えて、炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncの演算値、及び透過水W2の目標流量値Qp´から排水流量Qd´を演算する。最後に、(iii)濃縮水W3の実際排水流量が当該排水流量Qd´の演算値となるように、第1排水弁9〜第3排水弁11を制御する。
このように、第2実施形態の回収率制御は、シリカの許容濃縮倍率Nsと炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncのうち、小さい方の許容濃縮倍率を選択して、排出流量と回収率を決定するものである。これにより、シリカと炭酸カルシウムの両方を析出させないようにしながら、より高い回収率を実現することができるという新たな効果を奏する。
第2実施形態では特に、ST210、ST211で説明したように、供給水の温度とpH値の両方の値から、炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncを算出し、当該許容濃縮倍率Ncをシリカの許容濃縮倍率Nsと比較して回収率制御を行っている。このように供給水の温度だけでなくpH値も考慮することで、温度だけを考慮する場合よりも、供給水の実際の状態をより正確に把握することができ、炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncを精度良く算出することができる。このように、炭酸カルシウムスケールが析出しない範囲で可能な限り高い回収率で運転することにより、シリカスケールに加えて炭酸カルシウムスケールの析出も抑制しながら、透過水W2に関してより高い回収率を実現することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る水処理システム1Aについて、図5、図6を参照しながら説明する。図5は、第3実施形態に係る水処理システム1Aの全体構成図である。図6は、第1、第2実施形態で行う制御フローに加えて新たに行う制御フローである。
第3実施形態では、主に第1、第2実施形態との相違点について説明する。第3実施形態では、第1、第2実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、第3実施形態では、第1、第2実施形態と重複する説明を適宜省略する。
図5に示すように、第3実施形態に係る水処理システム1Aは、新たな構成として、原水ポンプ12と、硬水軟化装置13と、再生液供給手段としての塩水タンク14と、pH調整剤添加装置15とを備える。第3実施形態は、硬水軟化装置13を用いてRO膜モジュール6に供給する供給水の軟化処理を行うとともに、pH調整剤添加装置15を用いてpH調整を行うことで、より高い回収率を実現するものである。
原水ラインL7の上流側の端部は、原水W1の供給源(不図示)に接続されている。一方、原水ラインL7の下流側の端部は、硬水軟化装置13に接続されている。
原水ポンプ12は、原水ラインL7に設けられている。原水ポンプ12は、供給源から供給された水道水や地下水等の原水W1を、硬水軟化装置13に向けて圧送する。原水ポンプ12は、制御部8と電気的に接続されている。原水ポンプ12の運転(駆動及び停止)は、制御部8により制御される。
原水ラインL7及び原水ポンプ12は、軟化プロセスにおいて、電気伝導率が150mS/m以下、且つ全硬度が500mgCaCO3/L以下の原水W1を、硬水軟化装置13に供給する。
硬水軟化装置13は、原水W1に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)を、陽イオン交換樹脂床(不図示)においてナトリウムイオン(又はカリウムイオン)に置換して軟水W5を製造する設備である。
塩水タンク14は、陽イオン交換樹脂床を再生する塩水W4を貯留する。塩水タンク14には、塩水ラインL9の上流側の端部が接続されている。塩水ラインL9の下流側の端部は、プロセス制御バルブ(不図示)と連通し、プロセス制御バルブを構成する各種ラインとそれぞれ接続されている。
塩水ラインL9には、塩水弁(不図示)が設けられている。塩水弁は、塩水ラインL9を開閉する。塩水弁は、プロセス制御バルブに組み込まれている。塩水弁において、弁体の駆動部は、不図示の信号線を介して制御部8と電気的に接続されている。塩水弁における弁の開閉は、制御部8により制御される。塩水タンク14は、再生プロセスにおいて、陽イオン交換樹脂床を再生する塩水W4を圧力タンク(不図示)へ送出する。
pH調整剤添加装置15は、硬水軟化装置13により製造された軟水W5のpHを調整するためにpH調整剤を添加する装置である。pH調整剤添加装置15は、接続部J7にて軟水ラインL8に接続している。軟水W5にpH調整剤を添加することで、pH調整された軟水W6を製造する。第2実施形態では、pH調整剤として、pH値を増加させるアルカリ性薬剤(水酸化ナトリウムなど)を用いる。
RO膜モジュール6は、pH調整された軟水W6を、溶存塩類が除去された透過水W7と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W8とに膜分離処理する設備である。RO膜モジュール6の一次側入口ポートは、軟水ラインL8を介して硬水軟化装置13の下流側に接続されている。
第3実施形態におけるRO膜モジュール6としては、第1実施形態と同じRO膜モジュール6が使用される。当該RO膜モジュール6が有する逆浸透膜は、淡水の脱塩処理において、供給水の硬度が低いほど、電気伝導率(EC)で評価したときの塩除去率(すなわち、(供給水EC−透過水EC)/供給水EC×100)が高くなる。そのため、例としてスプリット・フロー再生を行う硬水軟化装置13で製造された高純度の軟水W5(実力値として、0.8mgCaCO3以下)を恒常的に供給することで、高い塩除去率(通常、98.5%以上)を維持できる。
塩除去率は、膜を透過する前後の特定の塩類の濃度(ここでは塩化ナトリウム濃度)から計算される値である。塩除去率は、逆浸透膜の溶質の阻止性能を示す指標である。塩除去率は、供給水の濃度Cf及び透過水の濃度Cpから、(1−Cp/Cf)×100により求められる。
本実施形態の水透過係数及び塩除去率の条件を満たす逆浸透膜は、前述した逆浸透膜エレメントとして市販されている。
制御部8は、不図示の軟水流量センサ、塩水流量センサから入力された検出信号等に基づいて、硬水軟化装置13のプロセス制御バルブの動作を制御する。制御部8のメモリには、硬水軟化装置13の運転を実施する制御プログラムが予め記憶されている。
制御部8は、第1、第2実施形態と同様に、流量フィードバック水量制御(図2)と、温度・pHフィードバック回収率制御(図3)を行うとともに、追加の制御として、図6に示すpH調整制御を行う。図6に示すフローチャートの処理は、水処理システム1Aの運転中において、繰り返し実行される。
図6に示すステップST301において、制御部8は、RO膜モジュール6への供給水(軟水W6)の温度とpH値と回収率との関係を表す「目標pH算出テーブル」を準備する。当該テーブルは、供給水の温度およびpH値に応じて、シリカがスケール析出する限界値の回収率を定めたものである。目標pH算出テーブルは、原水ごとに予め用意することができる。
ステップST302において、制御部8は、温度センサ3により検出される供給水の検出温度に基づいて、目標pH算出テーブルから、当該検出温度において回収率が最大となるpH値を目標pH値として算出する。具体的な方法の一例について、図7を用いて説明する。
図7は、模式的な目標pH算出テーブルを示している。図7に示すように、3種類の温度(15℃、20℃、25℃)と、3種類のpH(7.5、8.0、8.5)に関して、シリカスケールが析出する限界値となる回収率が予め測定されている。これらのデータが、目標pH算出テーブルとして制御部8に記憶されている。
図7に示す例では、測定された供給水の温度が15℃の場合、回収率が最も高くなるpHは8.5である。よって、pH値8.5を目標pH値として算出すればよい。一方、測定された供給水の温度が20℃の場合、回収率が最も高くなるpHは8.0である。よって、pH値8.0を目標pH値として算出すればよい。さらに、測定された供給水の温度が25℃の場合、回収率が最も高くなるpHは7.5である。よって、pH値7.5を目標pH値として算出すればよい。
ステップST303において、制御部8は、目標pH値となるようにpH調整剤の添加量を定めるとともに、当該添加量を添加するようにpH調整剤添加装置15を制御する。
ステップST304において、制御部8は、算出した目標pH値を、供給水のpH値として取得する。制御部8は、取得した供給水のpH値を、前述した図3、4におけるST204の検出pH値「Ph」として使用する。
上述した第3実施形態による制御によれば、(i)供給水(軟水W6)の温度とpH値と回収率との関係を表す目標pH算出テーブルと、検出温度とに基づいて目標pH値を算出する(ST301−ST302)。さらに、(ii)供給水のph値を目標pH値に維持するようにpH調整剤の添加量を制御する(ST303)。さらに、予め取得された供給水のpH値として、当該目標pH値を使用する(ST304)。
上記制御は、以下の原理に基づくものである。すなわち、硬水軟化装置13を設けて原水W1に軟化処理を実施することにより、原水W1における炭酸カルシウムを含む硬度成分を減少させることができる。これにより、前述したST207(図4)で取得する硬度Hdが減少するため、炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncは増加する(ST209)。よって、もう一方のシリカの許容濃縮倍率Nsを増加させるように調整することができれば、シリカと炭酸カルシウムの両方を析出させない範囲で、より高い回収率が実現可能となる。その手段として、pH調整剤添加装置15を設けて、軟水W5にpH調整剤を投入し、理想のpH値となるように調整する。具体的には、アルカリ性薬剤を軟水W5に添加することにより、軟水W5のpH値を増加させる(軟水W6となる)。本発明者らは、溶液のpH値が中性付近の値よりも増加すると、シリカの溶解度も大幅に上がることに着目した。そこで、アルカリ性薬剤を軟水W5に添加することにより、シリカの溶解度が大幅に増加して、シリカの許容濃縮倍率Nsを大きく増加させることができる。pH値を増加させると、炭酸カルシウムの溶解度は下がるが、硬水軟化装置13による軟水処理で既に減少しているので、影響は少ない。このように、第3実施形態では、軟水処理によって炭酸カルシウムの許容濃縮倍率Ncを増加させつつ、軟水W5のpH調整によってシリカの許容濃縮倍率Nsも増加させている。このように、炭酸カルシウムとシリカのそれぞれの許容濃縮倍率を増加させた上で、回収率制御することにより、シリカと炭酸カルシウムの両方のスケール析出を抑えながら、より高い回収率を実現することができる。
以上、上述の第1実施形態−第3実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の第1実施形態−第3実施形態に限定されない。例えば、第3実施形態では、温度・pHフィードフォワード制御と、pH調整制御の両方を制御部8が実施する場合について説明したが、別々の制御部により実施してもよい(すなわち、第1制御部と第2制御部)。
また第3実施形態では、硬水軟化装置13による軟水処理とpH調整剤添加装置15によるpH調整処理とを行う場合について説明したが、どちらか片方だけの処理を行ってもよい。
また第3実施形態では、pH調整剤としてアルカリ性薬剤を用いてアルカリ側にpH調整を行う(pHを増加させる)場合について説明したが、特に軟水処理を行わない場合には、酸側にpH調整する(pHを減少させる)場合であってもよい。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
1 水処理システム
2 加圧ポンプ
3 温度センサ(温度検出手段)
4 pHセンサ(pH検出手段)
5 インバータ
6 RO膜モジュール
7 流量センサ(流量検出手段)
8 制御部
9 第1排水バルブ(排水弁)
10 第2排水バルブ(排水弁)
11 第3排水バルブ(排水弁)
12 原水ポンプ
13 硬水軟化装置
14 塩水タンク
15 pH調整剤添加装置
L1 原水ライン
L2 透過水ライン
L3 供給水ライン
L4 第1排水ライン
L5 第2排水ライン
L6 第3排水ライン
L7 原水ライン
L8 軟水ライン
L9 塩水ライン

Claims (5)

  1. 供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールと、
    入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、供給水を吸入して前記逆浸透膜モジュールに向けて吐出する加圧ポンプと、
    入力された演算値信号に対応する駆動周波数を前記加圧ポンプに出力するインバータと、
    透過水の流量が予め設定された目標流量値となるように、系内の物理量を用いて前記加圧ポンプの駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する演算値信号を前記インバータに出力する第1制御部と、
    供給水、透過水又は濃縮水の温度を検出する温度検出手段と、
    装置外へ排出する濃縮水の排水流量を調節可能な排水弁と、を備え、
    前記第1制御部は、(i)予め取得された供給水のシリカ濃度と、前記温度検出手段の検出温度値及び予め取得された供給水のpH値から決定したシリカ溶解度とに基づいて、濃縮水におけるシリカの許容濃縮倍率を演算し、(ii)当該許容濃縮倍率の演算値、及び透過水の前記目標流量値から排水流量を演算し、(iii)濃縮水の実際排水流量が当該排水流量の演算値となるように、前記排水弁を制御する、膜分離装置。
  2. 前記第1制御部は、(i)予め取得された供給水の硬度と、前記温度検出手段の検出温度値及び予め取得された供給水のpH値から決定した炭酸カルシウム溶解度とに基づいて、濃縮水における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算し、(ii)炭酸カルシウムの許容濃縮倍率がシリカの許容濃縮倍率よりも小さい場合には、シリカの許容濃縮倍率に代えて、炭酸カルシウムの許容濃縮倍率の演算値、及び透過水の前記目標流量値から排水流量を演算し、(iii)濃縮水の実際排水流量が当該排水流量の演算値となるように、前記排水弁を制御する、請求項1に記載の膜分離装置。
  3. pHを調整するためのpH調整剤を供給水に添加するpH調整剤添加装置と、
    前記pH調整剤添加装置から供給されるpH調整剤の添加量を制御するための第2制御部とをさらに備え、
    前記第2制御部は、(i)供給水の温度とpH値と回収率との関係を表す目標pH算出テーブルと、前記検出温度とに基づいて目標pH値を算出し、(ii)供給水のpH値を前記目標pH値に維持するようにpH調整剤の添加量を制御し、
    前記第1制御部は、前記予め取得された供給水のpH値として、前記目標pH値を使用する、請求項1又は2に記載の膜分離装置。
  4. 前記第2制御部は、前記目標pH算出テーブルに基づき、前記検出温度において回収率が最大となるpH値を目標pH値として算出し、供給水のpH値を前記目標pH値に維持するようにpH調整剤の添加量を制御する、請求項3に記載の膜分離装置。
  5. 供給水の硬度成分を減少させて軟化させる硬水軟化装置をさらに備え、
    前記pH調整剤添加装置は、pHを増加させるアルカリ性薬剤を薬剤として添加する、請求項3又は4に記載の膜分離装置。
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