JP6939121B2 - 膜分離装置 - Google Patents

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Description

本発明は、膜分離装置に関する。
半導体製造工程や電子部品の洗浄、医療器具の洗浄等においては、不純物を含まない高純度の純水が使用される。この種の純水は、一般に、地下水や水道水等の原水を逆浸透膜(以下、「RO膜」ともいう)で処理することにより製造される。
RO膜により純水を製造する際、原水に含まれる硬度成分がRO膜の表面にスケールとして析出する現象が発生する。また、原水に含まれる懸濁物質(例えば、不溶状態のコロイド状鉄)がRO膜の表面や細孔内に沈着する、いわゆるファウリングと呼ばれる現象も発生する。RO膜にスケールの析出やファウリングが発生すると、RO膜の透水能力(水透過係数)が低下する。その結果、透過水の流量が減少する。
そこで、炭酸カルシウム系スケールの析出を抑制するために、RO膜に軟水を供給するシステムが提案されている。このシステムは、RO装置の前処理として、陽イオン交換樹脂を用いた硬水軟化装置により、原水(硬水)を軟水化する(特許文献1参照)。
一方、スケールの析出やファウリングの発生していない状態のRO膜において、水透過係数は、供給される水(以下、「供給水」ともいう)の温度により変化する。RO膜は、供給水の温度が高くなるほど水透過係数が大きくなる。このため、RO膜に対して供給水を一定の圧力で供給しても、温度が高くなるほど透過水の流量は増加する。透過水の流量が増加すると、RO膜の一次側において溶質成分の濃縮が進行する。
一般に、硬水軟化装置では、原水に含まれるシリカ成分や懸濁物質は除去できない。このため、RO膜の一次側において溶質成分の濃縮が進行すると、シリカ系スケールの析出やファウリングが発生しやすくなる。すなわち、RO膜に軟水を供給した場合、炭酸カルシウム系スケールの析出は抑制できても、温度によってはシリカ系スケールの析出やファウリングの発生を抑制できない。
そこで、供給水の温度に関わらず、RO膜における透過水の流量を一定に保つため、流量フィードバック制御を行うシステムが提案されている。この流量フィードバック制御では、RO膜で製造される透過水の流量が目標値となるように、RO膜に供給水を送出する加圧ポンプの運転周波数がインバータにより制御される(特許文献2参照)。
特開2010−82610号公報 特開2005−296945号公報
しかし、供給水の水温やpHが変動した場合に、硬度系スケールが析出してしまうことがある。
本発明は、RO膜におけるシリカ系スケールの析出のみならず、硬度系スケールの析出やファウリングの発生を抑制することができる膜分離装置を提供することを目的とする。
本発明は、供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールと、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、供給水を吸入して前記逆浸透膜モジュールに向けて吐出する加圧ポンプと、入力された演算値信号に対応する駆動周波数を前記加圧ポンプに出力するインバータと、透過水の流量が予め設定された目標流量値となるように、系内の物理量を用いて前記加圧ポンプの駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する演算値信号を前記インバータに出力する制御部と、供給水、透過水又は濃縮水の温度を検出する温度検出手段と、装置外へ排出する濃縮水の排水流量を調節可能な排水流量調節手段と、前記透過水の流量を第1検出流量値として検出する第1流量検出部と、前記装置外へ排出する濃縮水の流量を第2検出流量値として検出する第2流量検出部と、を備える膜分離装置であって、前記排水流量調節手段は排水弁から構成され、前記制御部は、(i)予め取得された供給水のpH、硬度、Mアルカリ度、及び前記温度検出手段の検出温度値より、炭酸カルシウム溶解度に基づいて、濃縮水における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算し、(ii)予め取得された供給水のシリカ濃度、及び前記温度検出値から決定したシリカ溶解度に基づいて、濃縮水におけるシリカの許容濃縮倍率を演算し、(iii)前記炭酸カルシウムの許容濃縮倍率の演算値、前記シリカの許容濃縮倍率の演算値、及び透過水の前記目標流量値から排水流量を演算し、(iv)前記第2検出流量値が当該排水流量の演算値となるように、前記排水弁を制御し、膜分離装置は、前記炭酸カルシウムの許容濃縮倍率及び前記シリカの許容濃縮倍率に基づいて演算される許容回収率から所定偏差内の操作目標である、目標回収率を設定する目標回収率設定部を更に備え、前記制御部は、前記第1検出流量値と前記第2検出流量値とから算出される実測回収率が、前記目標回収率となるように、前記排水弁の開度を変更すると共に、前記実測回収率が、前記許容回収率から所定偏差内にある場合には、前記制御部は、前記排水弁の開度を固定し、前記実測回収率が、前記許容回収率から所定偏差外にある場合には、前記制御部は、前記排水弁の開度を変更する、膜分離装置に関する。
また、前記制御部は、濃縮倍率を係数として乗じて求められる濃縮水の炭酸イオン及び重炭酸イオンの濃度に基づいて、前記炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算することが好ましい。
また、供給水及び/又は濃縮水のpHを検出するpH検出手段を更に備え、
前記制御部は、供給水のpHとして前記pH検出手段により検出した検出pH値に基づいて、前記炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算することが好ましい。
また、前記供給水、前記透過水、又は前記濃縮水が流通する一つ以上のラインの腐食速度を分極抵抗法で検出する腐食速度検出手段を更に備え、前記制御部は、前記腐食速度検出手段で検出される腐食速度が所定の閾値を下回った場合には、排水量を増加させることが好ましい。
また、前記許容回収率の変化に応じて、該許容回収率が所定量変化する毎に、前記目標回収率設定部は、前記目標回収率を非連続的に変更することが好ましい。
また、前記検出温度値の変化に応じて、前記検出温度値が所定量変化する毎に、前記目標回収率設定部は、前記目標回収率を非連続的に変更することが好ましい。
本発明によれば、RO膜におけるシリカ系スケールの析出のみならず、硬度系スケールの析出やファウリングの発生を抑制することができる膜分離装置を提供することができる。
第1実施形態に係る水処理システム1の全体構成図である。 第1実施形態の制御部10が流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態の制御部10が排水弁制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。 許容回収率と目標回収率との関係を示す図である。 第2実施形態に係る水処理システム1Aの全体構成図である。 第3実施形態に係る水処理システム1Bの全体構成図である。 第3実施形態の制御部10Bが排水弁制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る水処理システム1について、図面を参照しながら説明する。水処理システム1は、例えば、淡水から純水を製造する純水製造システムに適用される。図1は、第1実施形態に係る水処理システム1の全体構成図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る水処理システム1は、原水ポンプ2と、硬水軟化装置3と、再生液供給手段としての塩水タンク4と、温度検出手段としての温度センサ(以下では、「温度検出手段」とも呼称する)5と、を備える。また、水処理システム1は、加圧ポンプ6と、インバータ7と、逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール8と、流量検出手段としての流量センサ9と、制御部10と、排水弁11と、を備える。このうち、加圧ポンプ6、RO膜モジュール8、流量センサ9及び制御部10は、本実施形態における膜分離装置を構成する。また、図1では、電気的な接続の経路を破線で示す。
また、水処理システム1は、原水ラインL1と、軟水ラインL2と、塩水ラインL3と、排水ラインL4と、を備える。更に、水処理システム1は、透過水ラインL5と、濃縮水ラインL6と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
原水ラインL1の上流側の端部は、原水W1の供給源(不図示)に接続されている。一方、原水ラインL1の下流側の端部は、硬水軟化装置3のプロセス制御バルブ(不図示)に接続されている。
原水ポンプ2は、原水ラインL1に設けられている。原水ポンプ2は、供給源から供給された水道水や地下水等の原水W1を、硬水軟化装置3に向けて圧送する。原水ポンプ2は、制御部10と電気的に接続されている。原水ポンプ2の運転(駆動及び停止)は、制御部10により制御される。
原水ラインL1及び原水ポンプ2は、軟化プロセスにおいて、電気伝導率が150mS/m以下、且つ全硬度が500mgCaCO/L以下の原水W1を、硬水軟化装置3に供給する。
硬水軟化装置3は、原水W1に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)を、陽イオン交換樹脂床においてナトリウムイオン(又はカリウムイオン)に置換して軟水W2を製造する設備である。
塩水タンク4は、硬水軟化装置3の陽イオン交換樹脂床を再生する塩水W3を貯留する。塩水タンク4には、塩水ラインL3の上流側の端部が接続されている。塩水ラインL3の下流側の端部は、プロセス制御バルブと連通し、プロセス制御バルブを構成する各種ラインとそれぞれ接続されている。
塩水ラインL3には、塩水弁(不図示)が設けられている。塩水弁は、塩水ラインL3を開閉する。塩水弁は、硬水軟化装置3のプロセス制御バルブに組み込まれている。塩水弁において、弁体の駆動部は、制御部10と不図示の信号線を介して電気的に接続されている。塩水弁における弁の開閉は、制御部10により制御される。塩水タンク4は、再生プロセスにおいて、陽イオン交換樹脂床を再生する塩水W3を圧力タンク31へ送出する。
温度センサ5は、軟水ラインL2を流通する軟水W2の温度を検出する機器である。また、温度センサ5は、制御部10と電気的に接続されている。温度センサ5で検出された軟水W2の温度(以下、「検出温度値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
加圧ポンプ6は、硬水軟化装置3から送出された軟水W2を吸入し、RO膜モジュール8に向けて吐出する装置である。加圧ポンプ6は、インバータ7(後述)と電気的に接続されている。加圧ポンプ6には、インバータ7から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ6は、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。
インバータ7は、加圧ポンプ6に周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路である。インバータ7は、制御部10と電気的に接続されている。インバータ7には、制御部10から電流値信号が入力される。インバータ7は、入力された電流値信号に対応する駆動周波数を加圧ポンプ6に出力する。
RO膜モジュール8は、硬水軟化装置3により製造された軟水W2を、溶存塩類が除去された透過水W5と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W6とに膜分離処理する設備である。RO膜モジュール8は、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO膜モジュール8は、これらRO膜エレメントにより軟水W2を膜分離処理し、透過水W5及び濃縮水W6を製造する。RO膜モジュール8の一次側入口ポートは、軟水ラインL2を介して硬水軟化装置3(プロセス制御バルブ)の下流側に接続されている。
RO膜モジュール8の二次側ポートには、透過水ラインL5の上流側の端部が接続されている。RO膜モジュール8で得られた透過水W5は、透過水ラインL5を介して需要箇所等に送出される。また、RO膜モジュール8の一次側出口ポートには、濃縮水ラインL6の上流側の端部が接続されている。RO膜モジュール8で得られた濃縮水W6は、濃縮水ラインL6を介して、RO膜モジュール8の外に排出される。濃縮水ラインL6の下流側には、排水弁11(後述)が接続されている。
なお、濃縮水ラインL6から排出された濃縮水W6の一部を、加圧ポンプ6の上流側における軟水ラインL2に還流させてもよい。濃縮水W6の一部を軟水ラインL2に還流させることにより、RO膜モジュール8の表面での水流速を所定範囲に保つことができる。
本実施形態におけるRO膜モジュール8は、膜表面に架橋全芳香族ポリアミドからなる負荷電性のスキン層が形成された逆浸透膜(不図示)を有する。この逆浸透膜は、濃度500mg/L、pH7.0、温度25℃の塩化ナトリウム水溶液を、操作圧力0.7MPa、回収率15%で供給したときの水透過係数が、1.5×10−11・m−2・s−1・Pa−1以上、且つ塩除去率が99%以上となる性能を有する。
このような性能に設定された逆浸透膜は、淡水の脱塩処理において、供給水の硬度が低いほど、電気伝導率(EC)で評価したときの塩除去率(すなわち、(供給水EC−透過水EC)/供給水EC×100)が高くなる。そのため、スプリット・フロー再生を行う硬水軟化装置3で製造された高純度の軟水W2(実力値として、0.8mgCaCO以下)を恒常的に供給することで、高い塩除去率(通常、98.5%以上)を維持できる。
操作圧力とは、JIS K3802−1995「膜用語」で定義される平均操作圧力である。操作圧力は、RO膜モジュール8の一次側の入口圧力と一次側の出口圧力との平均値を指す。回収率とは、RO膜モジュール8への供給水(ここでは塩化ナトリウム水溶液)の流量Qfに対する透過水の流量Qpの割合(すなわち、Qp/Qf×100)をいう。
水透過係数は、透過水の流量[m/s]を膜面積[m]及び有効圧力[Pa]で除した値である。水透過係数は、逆浸透膜の水の透過性能を示す指標である。すなわち、水透過係数は、単位有効圧力を作用させたときに単位時間に膜の単位面積を透過する水の量を意味する。有効圧力は、JIS K3802−1995「膜用語」で定義される。有効圧力は、操作圧力(平均操作圧力)から浸透圧差及び二次側圧力(背圧)を差し引いた圧力である。
塩除去率は、膜を透過する前後の特定の塩類の濃度(ここでは塩化ナトリウム濃度)から計算される値である。塩除去率は、逆浸透膜の溶質の阻止性能を示す指標である。塩除去率は、供給水の濃度Cf及び透過水の濃度Cpから、(1−Cp/Cf)×100により求められる。
本実施形態の水透過係数及び塩除去率の条件を満たす逆浸透膜は、逆浸透膜エレメントとして市販されている。逆浸透膜エレメントとしては、例えば、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等を用いることができる。
流量センサ9は、透過水ラインL5を流通する透過水W5の流量を検出する機器である。流量センサ9は、制御部10と電気的に接続されている。流量センサ9で検出された透過水W5の流量(以下、「検出流量値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
排水弁11は、濃縮水ラインL6から排出される濃縮水W6の排水流量を調節する弁である。濃縮水ラインL6から排出される濃縮水W6の排水流量は、排水弁11を開閉することにより、調節できる。排水弁11は、制御部10と電気的に接続されている。排水弁11における弁体の開閉は、制御部10からの駆動信号により制御される。
制御部10は、CPU及びメモリ含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部10は、不図示の軟水流量センサ、塩水流量センサから入力された検出信号等に基づいて、硬水軟化装置3のプロセス制御バルブの動作を制御する。制御部10のメモリには、第1実施形態における硬水軟化装置3の運転を実施する制御プログラムが予め記憶されている。制御部10のCPUは、メモリに記憶された制御プログラムに従って、上述した軟化プロセスST1〜補水プロセスST6を順に切り換えるように、プロセス制御バルブ32を制御する。
また、制御部10は、透過水W5の流量が予め設定された目標流量値となるように、透過水W5の検出流量値をフィードバック値として、加圧ポンプ6の駆動周波数を演算する。そして、制御部10は、演算した駆動周波数の演算値に対応する電流値信号をインバータ7に出力する(以下、「流量フィードバック水量制御」ともいう)。この流量フィードバック制御は、流量センサ9により透過水W5の流量が正常に検出されているときに実行される制御モードである。
ここで、制御部10による流量フィードバック水量制御について説明する。図2は、制御部10が流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図2に示すステップST11において、制御部10は、透過水W5の目標流量値Qp´を取得する。この目標流量値Qp´は、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
ステップST12において、制御部10は、内部のタイマ(不図示)による計時tが制御周期である100msに達したか否かを判定する。このステップST12において、制御部10により、タイマによる計時が100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST13へ移行する。また、ステップST12において、制御部10により、タイマによる計時が100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST12へ戻る。
ステップST13(ステップST12:YES判定)において、制御部10は、流量センサ9で検出された透過水W5の検出流量値Qpを取得する。
ステップST14において、制御部10は、ステップST13で取得した検出流量値(フィードバック値)QpとステップST11で取得した目標流量値Qp´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Uを演算する。なお、速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期(100ms)毎に操作量の変化分を演算し、これを前回の操作量に加算することで今回の操作量を決定する。
ステップST15において、制御部10は、操作量U、目標流量値Qp´及び加圧ポンプ6の最大駆動周波数(50Hz又は60Hzの設定値)に基づいて、加圧ポンプ6の駆動周波数Fを演算する。
ステップST16において、制御部10は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(4〜20mA)に変換する。
ステップST17において、制御部10は、変換した電流値信号をインバータ7に出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST11へリターンする)。
また、制御部10は、予め取得された供給水のpH、硬度、シリカ濃度、Mアルカリ度、及び前記温度検出手段の検出温度値より、炭酸カルシウム溶解度とシリカ溶解度とに基づいて、濃縮水W6の排水流量制御を行う(以下、「排水流量制御」ともいう)。この排水流量制御は、上述した流量フィードバック水量制御と並行して実行される。
より具体的には、とりわけ、炭酸カルシウム溶解度は、供給水の水温、硬度、pH、Mアルカリ度によって影響を受け、変化する。従って、炭酸濃度が炭酸カルシウムの溶解度を超えない最大の濃縮倍率である第1許容濃縮倍率と、シリカ濃度がシリカ溶解度を超えない最大の濃縮倍率である第2許容濃縮倍率を、供給水の温度と水質を加味した上で求め、これらの許容濃縮倍率に基づいて、制御部10は、濃縮水W6の排水流量を制御する。
次に、制御部10による排水流量制御について説明する。図3は、制御部10が排水流量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。
ステップST21において、制御部10は、RO膜に供給されるRO供給水である軟水W2の水質、具体的には、予め取得された軟水W2のpH値、及びMアルカリ度から、理論式に基づき、軟水W2中のHCO (重炭酸イオン)、CO 2−(炭酸イオン)、CO(遊離炭酸)の各濃度(以下ではこれを、「各炭酸濃度」とも呼称する)を算出する。
ステップST22において、制御部10は、理論式に基づいて算出された軟水W2中の上記の各炭酸濃度のうち、「遊離炭酸はRO膜を通過するため濃縮されず、重炭酸イオン及び炭酸イオンは濃縮される」と仮定した上で、重炭酸イオン濃度と炭酸イオン濃度とにそれぞれ、濃縮倍率を係数として乗じることにより、濃縮倍率毎に濃縮水W6中の各炭酸濃度を算出する。更に、制御部10は、予め取得した軟水W2の硬度、pH値、水温を考慮して求めた炭酸カルシウム溶解度と比較して、炭酸濃度が当該炭酸カルシウム溶解度を超えない最大の濃縮倍率を、第1許容濃縮倍率として算出する。ここで、第1許容濃縮倍率の算出方法としては、例えば、
(1)算出された濃縮水W6中の各炭酸濃度に基づいて、ステップS21で用いたのと同一の理論式から、濃縮水W6のpH値、及びMアルカリ度を算出し、それらと、検出温度値、及び硬度とから、ランゲリア指数を計算し、ランゲリア指数にて許容される濃縮倍率を求める、具体的には、ランゲリア指数がプラスにならないような濃縮倍率のうちで最大の濃縮倍率を、第1許容濃縮倍率とする;
(2)濃縮水W6中の炭酸濃度から計算される炭酸カルシウムの溶解度積が、検出温度値に基づいて定められる炭酸カルシウムの溶解度積未満となる第1許容濃縮倍率を求める;
といった方法を用いることが可能である。
ステップST23において、制御部10は、予め取得した軟水W2のシリカ濃度と軟水W2の温度から求められるシリカ溶解度とに基づいて、シリカ濃度がシリカ溶解度を超えない最大の濃縮倍率を第2許容濃縮倍率として算出する。
ステップST24において、制御部10は、算出された第1許容濃縮倍率及び第2許容濃縮倍率と透過水W5の水量より、目標とする濃縮水W6の排水流量を決定し、その目標排水流量となるように、排水弁11を制御する。より具体的には、例えば、制御部10は、実際の濃縮倍率が、第1許容濃縮倍率と第2許容濃縮倍率とのうち、低い方の濃縮倍率となるように、目標排水流量を決定し、その目標排水量となるように、排水弁11を制御してもよい。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST21へリターンする)。
なお、ステップS22で算出した許容濃縮倍率を用いて、許容回収率を算出することができる。具体的には、濃縮倍率をN、許容回収率をXとした場合に、「許容回収率X[%]=100×(N−1)/N」なる数式を用いて、濃縮倍率から許容回収率を算出することができる。図4は、この許容回収率と目標回収率との関係を示す。なお、上記のように、許容回収率を決定するパラメータには、軟水W2中の炭酸濃度、硬度、pH、水温等が含まれるが、図4は、これらのパラメータのうち、水温のみが変化したと仮定した場合の、許容回収率と目標回収率との変化の例を示す。
図4に見られるように、水温が5℃→10℃→15℃→20℃→25℃→30℃→35℃→40℃と5℃刻みで上昇するのに従い、許容回収率は、71%→73%→73%→71%→69%→67%→64%→62%と変化するものとする。なお、図4のグラフにおいては、許容回収率は、直線状に順次変化しているが、これには限定されず、例えば曲線状に変化してもよい。
この際、例えば水温が5℃から10℃に上昇するのに従い、許容回収率は71%から73%に上昇するが、目標回収率設定部としての制御部10は、目標回収率を、許容回収率の変化に合致するように71%から73%に直線状に上昇させるのではなく、71%のままで据え置き、許容回収率が71%から73%に2%分上昇し終えた時点をもって、階段状に73%に上昇させる。
水温が10℃から15℃に上昇する際は、許容回収率は73%で変化が無いため、目標回収率設定部としての制御部10は、目標回収率を73%のまま変化させない。
水温が15℃から20℃に上昇する際は、許容回収率は73%から71%に下降するが、目標回収率設定部としての制御部10は、目標回収率を、許容回収率の変化に合致するように73%から71%に直線状に下降させるのではなく、許容回収率が下降し始めた時点において、目標回収率を73%から71%に、2%分だけ、階段状に下降させる。
その後、許容回収率が71%となり更に下降し始めた時点をもって、目標回収率設定部としての制御部10は、目標回収率を、71%から70%に、1%分だけ、階段状に下降させる。
以下、許容回収率の下降に応じて、目標回収率設定部としての制御部10は、目標回収率を1%刻みで下降させる。
上記のように、図4に示す例においては、許容回収率が70%以上の領域においては、目標回収率設定部としての制御部10は、目標回収率を2%刻みで上昇・下降させる一方で、許容回収率が70%未満の領域においては、目標回収率設定部としての制御部10は、目標回収率を1%刻みで、上昇・下降させる。節水効果の大きい低回収率領域においては、目標回収率を、例えば1%刻みのように小さなスパンで変化させ、濃縮度への影響度の大きい高回収率領域においては、目標回収率を、例えば2%刻みのように、大きなスパンで変化させる。これにより、流量センサとして、安価で高精度ではない流量センサを使用しても、膜詰まりリスクと節水効果のバランスが取れた回収率制御を実現することが可能となる。
なお、図4に示す例においては、許容回収率の変化分が、1%刻み又は2%刻みで変化する毎に、目標回収率が段階的に変化しているが、これはあくまで一例であって、これには限定されない。例えば、水温の変化分が、所定の幅だけ変化する毎に、目標回収率が段階的に変化してもよい。
図4に示すように、段階的に変化する目標回収率に合わせて、制御部10が排水弁11を制御する際には、実測回収率が、許容回収率から所定偏差内にある場合には、制御部10は、排水弁11の開度を固定し、実測回収率が、許容回収率から所定偏差外にある場合には、制御部10は、排水弁11の開度を変更することが可能である。
また、上記のように、制御部10は、流量フィードバック水量制御と排水流量制御の2つの制御を並行して実行するが、例えば、特許第5787040号に記載の技術を援用することにより、これらの制御に加えて、制御部10は、透過水W5の水質を検知し、この水質が要求水質を満たすように、許容濃縮倍率を演算してもよい。
より具体的には、特許第5787040号においては、制御部が、ユーザから入力された、透過水に要求される純度の指標である目標電気伝導度と、電気伝導度センサで測定された測定電気伝導度とを取得し、測定電気伝導度と目標電気伝導度との偏差がゼロになるよう、排水バルブを制御している。本実施形態においてもこれと同様に、制御部10は、透過水W5の目標電気伝導度と、実際に検知される測定電気伝導度とに基づいて、許容濃縮倍率を演算し、この許容濃縮倍率を満たすように、排水弁11の開度を変更してもよい。
更に、制御部10は、電気伝導度の代わりに、又は、電気伝導度に加えて、シリカ濃度に基づく要求水質を満たすように、許容濃縮倍率を演算し、この許容濃縮倍率を満たすように、排水弁11の開度を変更してもよい。
上述した第1実施形態に係る水処理システム1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
第1実施形態に係る水処理システム1において、制御部10は、透過水の流量が予め設定された目標流量値となるように、系内の物理量を用いて加圧ポンプ6の駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する演算値信号を加圧ポンプ6のインバータ7に出力すると共に、予め取得された供給水のpH、硬度、Mアルカリ度、及び検出温度値より、炭酸カルシウム溶解度に基づいて、濃縮水における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算し、予め取得された供給水のシリカ濃度、及び前記温度検出値から決定したシリカ溶解度に基づいて、濃縮水におけるシリカの許容濃縮倍率を演算し、炭酸カルシウムの許容濃縮倍率の演算値、シリカの許容濃縮倍率の演算値、及び透過水の目標流量値から排水流量を演算し、濃縮水の実際排水流量が当該排水流量の演算値となるように、排水弁11を制御する。
これにより、供給水の水温やpHが変動した場合でも、硬水軟化装置の再生不良等により硬度リーク量が増加した場合でも、透過水の回収率を最大としつつ、RO膜モジュール8におけるシリカ系スケール及び炭酸カルシウム系スケールの析出をより確実に抑制することができる。
また、第1実施形態においては、濃縮倍率に応じて算出される各炭酸イオン濃度を加味して、許容濃縮倍率を求めることができると共に、更に検出pH値を用いることで、その各炭酸イオン濃度をより正確に求めることができる。
また、第1実施形態に係る水処理システム1において、制御部10は、透過水の水質が要求水質を満たすように、許容濃縮倍率を演算すると共に、この要求水質は、透過水の電気伝導度、及び/又は、シリカ濃度に係る基準に従って定められる。
これにより、透過水の水質を維持した上で、透過水の回収率を最大とすることが可能となる。
また、第1実施形態に係る水処理システム1において、制御部10は、濃縮倍率を係数として乗じて求められる濃縮水の炭酸イオン及び重炭酸イオンの濃度に基づいて、許容濃縮倍率を演算する。
これにより、ランゲリア指数を用いて許容濃縮倍率を求めようとする際には、各炭酸イオン濃度より予め濃縮水のMアルカリを演算しておく必要があるが、溶解度積から許容濃縮倍率を求める場合には、必ずしも濃縮水のMアルカリ度を介在させなくとも、濃縮水の各炭酸イオン濃度があれば、制御部10は、許容濃縮倍率を演算できる。
また、第1実施形態に係る水処理システム1において、制御部10は、実測回収率が目標回収率となるように、排水弁11の開度を変更すると共に、実測回収率が許容回収率から所定偏差内にある場合には、制御部10は、排水弁11の開度を固定し、実測回収率が、許容回収率から所定偏差外にある場合には、制御部10は、排水弁11の開度を変更する。
これにより、実測回収率が許容回収率から所定偏差内にある場合には、制御部10は、排水弁11の開度を固定することにより、排水弁11の制御頻度を減らすこととなり、排水弁11が延命される。
また、第1実施形態に係る水処理システム1において、目標回収率設定部としての制御部10は、許容回収率の変化に応じて、許容回収率が所定量変化する毎に、目標回収率を非連続的に変更してもよく、検出温度値の変化に応じて、検出温度値が所定量変化する毎に、目標回収率を非連続的に変更してもよい。
目標回収率を段階的に制御することにより、排水弁11の制御頻度が更に減らされ、排水弁11が延命される。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る水処理システム1Aについて、図5を参照しながら説明する。図5は、第2実施形態に係る水処理システム1Aの全体構成図である。第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、第2実施形態では、第1実施形態と重複する説明を適宜に省略する。
図5に示すように、第2実施形態に係る水処理システム1Aは、原水ポンプ2と、硬水軟化装置3と、塩水タンク4と、温度センサ5と、加圧ポンプ6と、インバータ7と、RO膜モジュール8と、制御部10Aと、排水弁11と、pH測定手段としての第1pHセンサ12及び第2pHセンサ13と、硬度測定手段としての硬度センサ14と、シリカ濃度測定手段としてのシリカ濃度センサ15と、流量測定手段としての第1流量センサ16及び第2流量センサ17と、透過水弁18とを備える。
第1pHセンサ12は、軟水ラインL2を流通する軟水W2のpHを測定する機器である。第1pHセンサ12は、制御部10と電気的に接続されている。第1pHセンサ12で測定された軟水W2のpH値(以下、「測定pH値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
第2pHセンサ13は、濃縮水ラインL6を流通する濃縮水W6のpHを測定する機器である。第2pHセンサ13は、制御部10と電気的に接続されている。第2pHセンサ13で測定された濃縮水W6のpH値(以下、「測定pH値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
硬度センサ14は、軟水ラインL2を流通する軟水W2のカルシウム硬度(硬度リーク量:炭酸カルシウム換算値)を測定する機器である。硬度センサ14は、制御部10と電気的に接続されている。硬度センサ14で測定された軟水W2のカルシウム硬度(以下、「測定硬度値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
シリカ濃度センサ15は、軟水ラインL2を流通する軟水W2のシリカ濃度を測定する機器である。シリカ濃度センサ15は、制御部10と電気的に接続されている。シリカ濃度センサ15で測定された軟水W2のシリカ濃度(以下、「測定シリカ濃度値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
第1流量センサ16は、透過水ラインL5を流通する透過水W5の流量を検出する機器である。第1流量センサ16は、制御部10と電気的に接続されている。第1流量センサ16で検出された透過水W5の流量(以下、「第1検出流量値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
第2流量センサ17は、濃縮水ラインL6を流通する濃縮水W6の流量を検出する機器である。第2流量センサ17は、制御部10と電気的に接続されている。第2流量センサ17で検出された濃縮水W6の流量(以下、「第2検出流量値」ともいう)は、制御部10へ検出信号として送信される。
透過水弁18は、透過水ラインL5を流通する透過水W5の流量を調節する弁である。透過水ラインL5を流通する透過水W5の流量は、透過水弁18を開閉することにより、調節できる。透過水弁18は、制御部10と電気的に接続されている。透過水弁18における弁体の開閉は、制御部10からの駆動信号により制御される。
前述の第1実施形態に係る水処理システム1では、ステップST21において、制御部10は、予め取得された軟水W2のpH、及びMアルカリ度から、理論式に基づき、軟水W2中のHCO (重炭酸イオン)、CO 2−(炭酸イオン)、CO(遊離炭酸)の各濃度を算出する。また、ステップST22において、制御部10は、算出された濃縮水W6中の当該炭酸濃度と検出温度値における炭酸カルシウム溶解度に基づいて第1許容濃縮倍率を算出する。更に、ステップST23において、制御部10は、予め取得した軟水W2のシリカ濃度と軟水W2の温度から求められるシリカ溶解度とに基づいて、シリカ濃度がシリカ溶解度を超えない最大の濃縮倍率を第2許容濃縮倍率として算出する。
一方、第2実施形態に係る水処理システム1Aにおいて、制御部10Aは、図3と同様のフローチャートにより、第1許容濃縮倍率及び第2許容濃縮倍率を算出し、排水弁11を制御するが、ステップST22において、予め取得されたデータではなく、リアルタイムで得られた、軟水W2の硬度、pH値、水温を考慮して求めた濃縮水W6中の炭酸濃度と検出温度値における炭酸カルシウム溶解度に基づいて、第1許容濃縮倍率を算出する。また、制御部10Aは、軟水W2のpH値だけではなく、濃縮水W6のpH値にも基づいて、第1許容濃縮倍率を算出する。具体的には、第1実施形態に係る水処理システム1において演算により得られた濃縮水W6中の炭酸濃度から理論式により算出された濃縮水の算出pH値を用いたのに代えて、リアルタイムで得られる濃縮水W6の検出pH値を用いる。また、制御部10Aは、ステップST23において、予め取得されたデータではなく、リアルタイムで得られたシリカ濃度に基づいて、第2許容濃縮倍率を算出する。
上述した第2実施形態に係る水処理システム1Aによれば、例えば、以下のような効果が得られる。
上記の繰り返しとなるが、第2実施形態に係る水処理システム1Aにおいては、制御部10Aは、予め取得されたデータではなく、リアルタイムで得られた、軟水W2の硬度、pH値、水温を考慮して求めた炭酸カルシウム溶解度と比較して、炭酸濃度が、当該炭酸カルシウム溶解度を超えない最大の濃縮倍率を、第1許容濃縮倍率として算出する。また、制御部10Aは、軟水W2のpH値だけではなく、濃縮水W6のpH値にも基づいて、許容濃縮倍率を算出する。更に、制御部10Aは、予め取得されたデータではなく、リアルタイムで得られた、軟水W2のシリカ濃度に基づいて、第2許容濃縮倍率を算出する。
これにより、より正確な第1許容濃縮倍率及び第2許容濃縮倍率の算出が可能になると共に、制御部10は、軟水W2のpH値だけではなく、濃縮水W6のpH値にも基づいて、第1許容濃縮倍率を算出する。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る水処理システム1Bについて、図6を参照しながら説明する。図6は、第3実施形態に係る水処理システム1Bの全体構成図である。第3実施形態では、主に第2実施形態との相違点について説明する。第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と重複する説明を適宜に省略する。
図6に示すように、第3実施形態に係る水処理システム1Bは、原水ポンプ2と、硬水軟化装置3と、塩水タンク4と、温度センサ5と、加圧ポンプ6と、インバータ7と、RO膜モジュール8と、制御部10Bと、排水弁11と、pH測定手段としての第1pHセンサ12及び第2pHセンサ13と、硬度測定手段としての硬度センサ14と、シリカ濃度測定手段としてのシリカ濃度センサ15と、流量測定手段としての第1流量センサ16及び第2流量センサ17と、透過水弁18と、腐食速度検出手段としての腐食速度センサ19とを備える。
腐食速度検出手段としての腐食速度センサ19は、原水ラインL1、軟水ラインL2、排水ラインL4のうちの一つ以上のラインの腐食速度を分極抵抗法で検出する機器である。本実施形態においては、腐食速度センサ19は、軟水ラインL2の腐食速度を検出する。腐食速度センサ19が軟水ラインL2の腐食速度を分極抵抗法で検出することにより、ラインの腐食速度は連続的に検出される。腐食速度センサ19は、制御部30Bと電気的に接続されている。後述するように、制御部10Bは、腐食速度センサ19で連続的に検出される腐食速度に基づいて、排水弁11を制御する。
腐食速度センサ19は、所定の間隔を空けて設置されている一対の電極(図示せず)を備えている。本実施形態においては、一対の電極は、鉄(Fe)製の電極である。腐食速度センサ19は、ラインを流通する水(本実施形態においては、軟水ラインL2を流通する軟水W2)に一対の電極を浸し、電極間に電圧を印加することで、分極抵抗(腐食反応抵抗、電荷移動抵抗)を測定し、ライン(配管)の腐食速度を算出する。
腐食速度センサ19が検出するライン(配管)の腐食速度と供給水に含まれるスケール成分との関係について説明する。一般に、スケールの要因となる硬度やシリカ等のスケール成分が多くなり、金属表面のスケール化が進行すると、腐食は抑制されていく傾向がある。このことから、腐食速度が低下した場合には、水質がスケール傾向のある水質へと変化したことを意味することが多い。反対に、腐食速度が増加した場合には、水質がスケール傾向の低い水質に変化したことを意味することが多い。そのため、腐食速度センサ19の検出する腐食速度は、供給水のスケール傾向を推定する指標となる。
次に、制御部10Bによる排水流量制御について説明する。図6は、制御部10Bが排水流量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートの処理は、水処理システム1Bの運転中において、繰り返し実行される。
ステップST31において、制御部10Bは、軟水W2の水質、具体的には、予め取得された軟水W2のpH値、及びMアルカリ度から、理論式に基づき、軟水W2中のHCO (重炭酸イオン)、CO 2−(炭酸イオン)、CO(遊離炭酸)の各濃度(以下ではこれを、「各炭酸濃度」とも呼称する)を算出する。
ステップST32において、制御部10Bは、理論式に基づいて算出された軟水W2中の上記の各炭酸濃度のうち、「遊離炭酸はRO膜を通過するため濃縮されず、重炭酸イオン及び炭酸イオンは濃縮される」と仮定した上で、重炭酸イオン濃度と炭酸イオン濃度とにそれぞれ、濃縮倍率を係数として乗じることにより、濃縮倍率毎に各炭酸濃度を算出する。更に、制御部10は、予め取得した軟水W2の硬度、pH値、水温を考慮して求めた炭酸カルシウム溶解度と比較して、炭酸濃度が当該炭酸カルシウム溶解度を超えない最大の濃縮倍率を、第1許容濃縮倍率として算出する。ここで、第1許容濃縮倍率の算出方法としては、例えば、
(1)ランゲリア指数を計算し、ランゲリア指数にて許容される濃縮倍率を求める、具体的には、ランゲリア指数がプラスにならないような濃縮倍率のうちで最大の濃縮倍率を、第1許容濃縮倍率とする;
(2)直接、原水W1の温度における炭酸カルシウムの溶解度積未満となるような、許容される炭酸濃度から、第1許容濃縮倍率を求める;
といった方法を用いることが可能である。
ステップST33において、制御部10Bは、予め取得した軟水W2のシリカ濃度と軟水W2の温度から求められるシリカ溶解度とに基づいて、シリカ濃度がシリカ溶解度を超えない最大の濃縮倍率を第2許容濃縮倍率として算出する。
ステップST34において、腐食速度センサ19は、腐食速度を検出し、検出された腐食速度を、制御部10Bに送信する。
ステップST35において、制御部10Bは、算出された第1許容濃縮倍率、第2許容濃縮倍率、検出された腐食速度、及び透過水W5の水量より、目標とする濃縮水W6の排水流量を決定し、その目標排水流量となるように、排水弁11を制御する。より具体的には、例えば、検出された腐食速度が所定の閾値を上回る通常時において、制御部10は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、実際の濃縮倍率が、第1許容濃縮倍率と第2許容濃縮倍率とのうち、低い方の濃縮倍率となるように、目標排水流量を決定する。一方、検出された腐食速度が所定の閾値以下となる非常時において、制御部10は、スケール傾向が強いと判断し、回収率を下げることを目的に排水量を増やすように、排水弁11を制御してもよい。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST21へリターンする)。
上述した第3実施形態に係る水処理システム1Bによれば、例えば、以下のような効果が得られる。
第3実施形態に係る水処理システム1Bにおいて、制御部10Bは、炭酸カルシウムの許容濃縮倍率の演算値、シリカの許容濃縮倍率の演算値、及び透過水の目標流量値に加え、腐食速度センサ19で検出される腐食速度に基づいて、スケール傾向を判定する。
これにより、分極抵抗法によって連続的に検出される腐食速度に基づいて回収率を調整するように排水弁を制御することができる。従って、簡便に供給水の水質を検出し、スケール析出を抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
排水弁11の弁開度を制御することにより、濃縮水W6の排水流量を調節する例について説明した。これに限らず、複数の排水バルブを並列に設けた構成とし、排水バルブの開弁数を増減することにより、濃縮水W6の排水流量を段階的に調節するように制御してもよい。これによれば、濃縮水W6の排水流量を調節することができる。
また、上記の実施形態に係る水処理システム1、1A、1Bは、硬水軟化装置3を備えるが、これは必須ではない。更に、温度センサ5による温度検出位置や、温度センサ5自体の数は、原水ラインL1及び軟水ラインL2の長さや、外気と水温の温度差を踏まえて、適宜変更や増設をしてもよい。
腐食速度センサ19が、軟水ラインL2の腐食速度を分極抵抗法で検出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、腐食速度センサ19が腐食速度を検出するラインは、原水ラインL1又は排水ラインL4であってもよい。更に、腐食速度センサ19が腐食速度を検出するラインは、原水ラインL1、軟水ラインL2、及び排水ラインL4のうちの二つ以上のラインであってもよい。
また、腐食速度センサ19に備えられる一対の電極は、鉄(Fe)製の電極である例について説明したが、これに限定されない。電極の素材は任意に選択することができ、鉄(Fe)以外の素材でも問題ない。
1,1A,1B 水処理システム
3 硬水軟化装置
5 温度センサ(温度検出手段)
6 加圧ポンプ
7 インバータ
8 RO膜モジュール
9 流量センサ(流量検出手段)
10,10A,10B 制御部
11 排水弁
12 第1pHセンサ
13 第2pHセンサ
14 硬度センサ(硬度測定手段)
15 シリカ濃度センサ(シリカ濃度測定手段)
16 第1流量センサ(流量検出手段)
17 第2流量センサ(流量検出手段)
18 透過水弁
19 腐食速度センサ(腐食速度検出手段)
L1 原水ライン
L2 軟水ライン
L3 塩水ライン
L4 排水ライン
L5 透過水ライン
L6 濃縮水ライン
W1 原水
W2 軟水
W3 塩水
W4 排水
W5 透過水
W6 濃縮水

Claims (6)

  1. 供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールと、
    入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、供給水を吸入して前記逆浸透膜モジュールに向けて吐出する加圧ポンプと、
    入力された演算値信号に対応する駆動周波数を前記加圧ポンプに出力するインバータと、
    透過水の流量が予め設定された目標流量値となるように、系内の物理量を用いて前記加圧ポンプの駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する演算値信号を前記インバータに出力する制御部と、
    供給水、透過水又は濃縮水の温度を検出する温度検出手段と、
    装置外へ排出する濃縮水の排水流量を調節可能な排水流量調節手段と、
    前記透過水の流量を第1検出流量値として検出する第1流量検出部と、
    前記装置外へ排出する濃縮水の流量を第2検出流量値として検出する第2流量検出部と、
    を備える膜分離装置であって、
    前記排水流量調節手段は排水弁から構成され、
    前記制御部は、(i)予め取得された供給水のpH、硬度、Mアルカリ度、及び前記温度検出手段の検出温度値より、炭酸カルシウム溶解度に基づいて、濃縮水における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算し、(ii)予め取得された供給水のシリカ濃度、及び前記温度検出値から決定したシリカ溶解度に基づいて、濃縮水におけるシリカの許容濃縮倍率を演算し、(iii)前記炭酸カルシウムの許容濃縮倍率の演算値、前記シリカの許容濃縮倍率の演算値、及び透過水の前記目標流量値から排水流量を演算し、(iv)前記第2検出流量値が当該排水流量の演算値となるように、前記排水弁を制御し、
    膜分離装置は、前記炭酸カルシウムの許容濃縮倍率及び前記シリカの許容濃縮倍率に基づいて演算される許容回収率から所定偏差内の操作目標である、目標回収率を設定する目標回収率設定部を更に備え、
    前記制御部は、前記第1検出流量値と前記第2検出流量値とから算出される実測回収率が、前記目標回収率となるように、前記排水弁の開度を変更すると共に、前記実測回収率が、前記許容回収率から所定偏差内にある場合には、前記制御部は、前記排水弁の開度を固定し、前記実測回収率が、前記許容回収率から所定偏差外にある場合には、前記制御部は、前記排水弁の開度を変更する、膜分離装置。
  2. 前記制御部は、濃縮倍率を係数として乗じて求められる濃縮水の炭酸イオン及び重炭酸イオンの濃度に基づいて、前記炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算する請求項1に記載の膜分離装置。
  3. 供給水及び/又は濃縮水のpHを検出するpH検出手段を更に備え、
    前記制御部は、供給水のpHとして前記pH検出手段により検出した検出pH値に基づいて、前記炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算する、請求項に記載の膜分離装置。
  4. 前記供給水、前記透過水、又は前記濃縮水が流通する一つ以上のラインの腐食速度を分極抵抗法で検出する腐食速度検出手段を更に備え、
    前記制御部は、前記腐食速度検出手段で検出される腐食速度が所定の閾値を下回った場合には、排水量を増加させる、請求項1〜のいずれか1項に記載の膜分離装置。
  5. 前記許容回収率の変化に応じて、該許容回収率が所定量変化する毎に、前記目標回収率設定部は、前記目標回収率を非連続的に変更する、請求項1に記載の逆浸透膜分離装置。
  6. 前記検出温度値の変化に応じて、前記検出温度値が所定量変化する毎に、前記目標回収率設定部は、前記目標回収率を非連続的に変更する、請求項1に記載の逆浸透膜分離装置。
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