JP2017139332A - 半導体レーザ装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
レンズをキャップに固定する方法として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、キャップの開口部に溶融ガラスを滴下、固化することで、キャップの開口部にレンズを形成するものである。また、特許文献2には、接着剤によりレンズをキャップに固定する技術が開示されている。
また、上記特許文献2に記載の技術のようにレンズを接着剤により固定する方法の場合、製造過程においてレンズの光透過部分に接着剤が付着し、光出力が低下してしまうおそれがある。更には、キャップ内で反射された迷光等が接着剤に照射されることによって、接着剤に含有される揮発成分等がレンズ面に蒸着され、光出射面を汚して光出力が低下するといった問題も起こり得る。
そこで、本発明は、レンズ曲率の設計自由度の向上と光出力低下の防止とを実現することができる半導体レーザ装置およびその製造方法を提供することを課題としている。
このように、レンズをキャップの塑性変形により固定するため、レンズの曲率の設計自由度を向上させることができる。また、レンズの固定に際し、接着剤を使用する必要がない。そのため、接着剤によるレンズの汚れを防止することができ、半導体レーザ装置の光出力の低下を防止することができる。
さらに、上記の半導体レーザ装置において、前記キャップは、前記本体部の内側面に突出する突起部を有してもよい。この場合、突起部によってレンズの高さ方向位置を容易に定めることができる。したがって、半導体レーザ素子の発光点からレンズまでの距離を適切な距離に設定することが可能となる。
さらに、上記の半導体レーザ装置において、前記レンズは、その表面に反射防止膜を有していてもよい。これにより、光出力効率を向上させることができる。
また、上記の半導体レーザ装置において、前記キャップの前記本体部と前記レンズとの間に配置されたリング状のスペーサをさらに備えてもよい。この場合、レンズをキャップにかしめにより固定することができる。
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様は、ステムと、前記ステムに搭載され、レーザ光を出射する半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を包囲する筒状の本体部を有し、前記本体部の一端側が前記ステムに接合されるキャップと、前記キャップの前記本体部の他端側に、当該本体部の開口部を塞ぐように固定されたレンズと、を備え、前記本体部の前記他端側の外径が、前記一端側の外径よりも大きい。
このように、レンズをキャップの塑性変形により固定するため、レンズの曲率の設計自由度を向上させることができる。また、レンズの固定に際し、接着剤を使用する必要がない。そのため、接着剤によるレンズの汚れを防止することができ、半導体レーザ装置の光出力の低下を防止することができる。
さらに、上記の半導体レーザ装置の製造方法において、前記レンズを固定する工程の前に、前記レンズの表面に反射防止膜を形成する工程をさらに含んでもよい。この場合、光出力効率の高い半導体レーザ装置の実現が可能となる。
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態における半導体レーザ装置100の構成例を示す断面図である。
半導体レーザ装置100は、半導体レーザ素子を構成する半導体レーザチップ(以下、単に「チップ」という。)11とサブマウント12とを備える。
チップ11は、サブマウント12に固定され、所定の注入電流が供給された場合に、レーザ光Lを発振する。このチップ11は、半導体基板の主面に、エピタキシャル成長によって形成された多層の半導体層を備える構造を有する。サブマウント12の本体部の材料は、放熱性、絶縁性、チップ11との線膨張係数差およびコストなどを考慮して適宜選択される。サブマウント12の表面には、金(Au)によって電極配線が設けられており、チップ11は、その電極配線上に、例えば、金スズ(AuSn)はんだを介して接合される。
ステム21の円盤状の表面にはキャップ31が装着され、溶接などにより気密封止されている。キャップ31は、円筒状(円環状)の本体部31aと、本体部31aの内側面(内周面)に突出する突起部31bと、フランジ部31cとを備える。突起部31bは、キャップ31のステム21への固定側とは反対側の端部近傍に設けられている。フランジ部31cは、キャップ31のステム21への固定側端部に設けられている。このキャップ31は、例えば、切削加工により形成することができる。
さらに、キャップ31のステム21への固定側とは反対側の端部には、レンズ32が固定されている。このレンズ32は、チップ11から出射されるレーザ光Lを平行光として取り出すための光取出し窓である。レンズ32は、例えば非球面レンズであり、突起部31bに当接されることで高さ方向位置(チップ11の発光点からの距離)が定められている。
レンズ32がキャップ31に固定された状態では、図3の実線に示すように、キャップ31の本体部31aのレンズ固定側の外径R2は、キャップ31の本体部31aのステム固定側の外径R3よりも大きい。また、キャップ31の本体部31aのレンズ固定側の外径R2は、キャップ31のフランジ部31cの外径R1よりも小さい。つまり、R1>R2>R3の関係が成り立つ。
図4に示すように、先ずチップ11をサブマウント12に接合し、チップ11が接合されたサブマウント12をステム21のヒートシンク部21aに接合する。次に、チップ11とステム21に固定された電極22とを、Auワイヤ24によって電気的に接合(ワイヤボンディング)する。また、サブマウント12表面の電極配線とステム21に固定された電極23とを、Auワイヤ25によって電気的に接合(ワイヤボンディング)する。なお、電極22および23は、それぞれステム21とは電気的に絶縁されている。
また、レンズ32の光入射面および光出射面をARコーティングした後、上述した図2に示すように、キャップ31の一端を塑性変形させてレンズ32をキャップ31に固定する。そして、図5に示すように、チップ11およびサブマウント12が接合されたステム21の円盤状の表面に、レンズ32が固定されたキャップ31を装着し、溶接により気密封止する。
そして、図6に示すように、チップ11の発光点位置とレンズ32の中心位置とを一致させ、図中矢印に示すようにキャップ側封止電極41に荷重を加える。このとき、キャップ側封止電極41とステム側封止電極42との間に電圧を印加し、プロジェクション31dに電流を集中させ溶接する。これにより、キャップ31とレンズ32とステム21とで仕切られた空間は、気密空間となる。この気密空間のリーク量は、例えば10-6[Pa・m3/sec]以下であることが好ましい。
なお、上記の半導体レーザ装置100の製造方法では、レンズ32が固定されたキャップ31をステム21に接合している。しかしながら、半導体レーザ装置100の製造方法は、上記の方法に限定されない。例えば、キャップ31をステム21に接合した後、キャップ31にレンズ32を固定してもよい。ただし、チップ11の発光点位置とレンズ32の中心位置とのアライメント精度を向上させるためには、レンズ32が固定されたキャップ31をステム21に接合する方が好ましい。
このように、レンズ32を、キャップ31の塑性変形により固定するため、レンズ32の固定に接着剤を使用する必要がない。そのため、製造過程や使用過程において接着剤により光出射面が汚れることを防止することができる。したがって、半導体レーザ装置100の光出力の低下を防止することができる。
さらに、キャップ31は、本体部31aの内側面(内周面)に突出する突起部31bを有する。そのため、この突起部31bによってレンズ32の高さ方向位置を容易に定めることができる。したがって、チップ11の発光点からレンズ32までの距離を適切な距離に設定することが可能となる。
また、レンズ32をキャップ31に圧入して固定するので、気密性を確保した構成とすることができる。このように、キャップ31、レンズ32およびステム21によって気密空間を形成し、チップ11およびサブマウント12を気密封止することができるので、高品質な半導体レーザ装置100を実現することができる。
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
上述した第一の実施形態では、レンズを圧入してキャップに固定する場合について説明したが、第二の実施形態では、レンズをキャップにかしめ固定する場合について説明する。
図10は、第二の実施形態における半導体レーザ装置110の構成例を示す断面図である。この図10に示す半導体レーザ装置110において、上述した図1に示す半導体レーザ装置100と同一構成を有する部分には図1と同一符号を付し、以下、構成の異なる部分を中心に説明する。
キャップ31のステム21への固定側とは反対側の端部には、レンズ33が固定されている。レンズ33は、例えば非球面レンズである。レンズ33は、突起部31bによって高さ方向位置(チップ11の発光点からの距離)が定められている。このレンズ33は、リング状のスペーサ34を介してキャップ31の塑性変形によってキャップ31に固定されている。
スペーサ34は、例えばアルミニウムを用いることができる。なお、スペーサ34に用いる材料は、塑性変形可能な材料であればよく、上記に限定されない。ただし、気密性確保のため、硬度の低いAl系材料を用いることが好ましい。
以上の構成により、上述した第一の実施形態と同様に、光出力の低下の防止とレンズ曲率の設計自由度の向上とを実現することができる。
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。
上述した第一および第二の実施形態では、キャップ31に突起部31bを設ける場合について説明したが、第三の実施形態では、突起部31bを設けずにレンズを固定する場合について説明する。
図12は、第三の実施形態における半導体レーザ装置120の構成例を示す断面図である。この図12に示す半導体レーザ装置120において、上述した図1に示す半導体レーザ装置100と同一構成を有する部分には図1と同一符号を付し、以下、構成の異なる部分を中心に説明する。
キャップ35は、円筒状(円環状)の本体部35aと、本体部35aの端部に設けられたフランジ部35bとを備える。フランジ部35bは、キャップ35のステム21への固定側端部に設けられている。このキャップ35は、例えば、プレス加工により形成することができる。また、キャップ35は、塑性変形可能な材料により構成されている。キャップ35の材料としては、上述したキャップ31と同様の材料を使用することができる。
以上の構成により、上述した第一および第二の実施形態と同様に、光出力の低下の防止とレンズ曲率の設計自由度の向上とを実現することができる。また、本実施形態では、キャップ35は、上述したキャップ31のように本体部31aの内側面に突出する突起部31bを有していないため、プレス加工等により容易に製造することができ安価である。
なお、上記各実施形態においては、圧入や、かしめ固定によりレンズをキャップに固定する場合について説明したが、レンズがキャップの塑性変形により固定されていればよく、固定方法は上記に限定されない。例えば、キャップを予め加熱して熱膨張させておき、キャップの内径と同径またはそれ以下のレンズをキャップの円筒内部に配置した後、キャップを冷却してもよい。この場合にも、キャップを冷却した結果、レンズはキャップの塑性変形により固定される。
また、キャップに固定するレンズの形状は、上述した形状に限定されない。レンズの形状は、チップ11からのレーザ光を平行光、集光、発散光など、用途に応じたビーム形状で出射可能であり、且つキャップとの接触面(レンズ外周側面)において気密性を確保できる形状であればよい。
Claims (10)
- ステムと、
前記ステムに搭載され、レーザ光を出射する半導体レーザ素子と、
塑性変形可能な材料により構成され、前記半導体レーザ素子を包囲する筒状の本体部を有し、前記本体部の一端側が前記ステムに接合されるキャップと、
前記キャップの前記本体部の他端側に、当該本体部の開口部を塞ぐように固定されたレンズと、を備え、
前記レンズは、前記キャップの前記本体部の塑性変形により当該本体部に固定されていることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 前記本体部の前記他端側の外径が、前記一端側の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
- 前記キャップは、前記本体部の内側面に突出する突起部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザ装置。
- 前記半導体レーザ素子は、前記キャップ、前記レンズおよび前記ステムによって気密封止されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記レンズは、その表面に反射防止膜を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記キャップの前記本体部と前記レンズとの間に配置されたリング状のスペーサをさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
- ステムと、
前記ステムに搭載され、レーザ光を出射する半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子を包囲する筒状の本体部を有し、前記本体部の一端側が前記ステムに接合されるキャップと、
前記キャップの前記本体部の他端側に、当該本体部の開口部を塞ぐように固定されたレンズと、を備え、
前記本体部の前記他端側の外径が、前記一端側の外径よりも大きいことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 半導体レーザ素子をステムに固定する工程と、
塑性変形可能な材料により構成された筒状の本体部の一端を塑性変形させ、前記本体部の開口部を塞ぐようにレンズを固定する工程と、
前記キャップの前記本体部の他端側を前記ステムに接合する工程と、を含むことを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 前記レンズを固定する工程は、
前記本体部の前記開口部に前記レンズを挿入する工程と、
前記本体部と前記レンズとの間にリング状のスペーサを挿入する工程と、
前記スペーサを塑性変形させる工程と、を含むことを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 前記レンズを固定する工程の前に、前記レンズの表面に反射防止膜を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
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