JP2017139117A - 蓄電デバイス用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

蓄電デバイス用セパレータ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多孔質層用塗工液の塗工前、ポリオレフィン基材にコロナ処理を行わない場合であっても基材/多孔質層間の剥離強度に優れたセパレータを提供すること。【解決手段】(A)ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、(B)(b1)フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体、ポリアミド、ポリアミドイミド、及びポリイミドから選択される1種以上の樹脂と、(b2)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルの共重合体であって、不飽和カルボン酸単位を1質量%以上70質量%以下有し、前記不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基のうちの少なくとも一部がアンモニウム塩又はアルカリ金属塩になっている水溶性樹脂と、を含有する多孔質層を備えることを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータ。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス用セパレータ及びその製造方法に関する。詳しくは、優れた性能を示す蓄電デバイス用セパレータ、及び該セパレータを少ない工程数で容易に製造する方法に関する。
蓄電デバイスにおいては、正極と負極とを絶縁するとともに、電解液を保持して両極間のイオン伝導を司るセパレータが用いられている。近年では、携帯機器の多機能化及び軽量化、並びに車両の電動化乃至ハイブリッド化に伴い、蓄電デバイスには高い出力密度及び高い容量密度が求められている。
ポリオレフィン多孔膜は、電気絶縁性、イオン透過性等に優れ、適度のシャットダウン機能を有することから、セパレータ材料として広く用いられている。シャットダウン機能とは、デバイスが異常発熱を起こしたときにイオン透過性を抑制して電気化学反応の進行を停止させ、該デバイスの異常反応を安全にストップする機能である。ポリオレフィン多孔膜がシャットダウン機能に優れる機構は、異常発熱によってポリオレフィンが溶融してセパレータ中の細孔を閉塞させることによると考えられる。ポリオレフィン多孔膜はこのシャットダウン機能に優れることから、特に高出力密度及び高容量密度を要求される機器、例えば電気自動車、ハイブリッド自動車等における駆動電源としての蓄電デバイスにおけるセパレータとして適用されている。
ポリオレフィン多孔膜において、シャットダウン機能を含むセパレータとしての諸性能を向上すべく、該多孔膜に他の層を積層した多層構造のセパレータが検討されている。例えば特許文献1及び2には、それぞれ、ポリオレフィン多孔膜の少なくとも片面に、無機フィラーを含有する無機層を有する多層構造のセパレータが記載されている。
特開2014−097656号公報 特開2014−078515号公報 国際公開第2011/065765号 特開2010−21033号公報 特開2015−41601号公報 国際公開第2013/147071号 特開2015−162312号公報 国際公開第2013/073503号 国際公開第2014/147888号 国際公開第2012/137375号 国際公開第2013/028046号 国際公開第2012/029698号 国際公開第2011/118660号 国際公開第2012/029699号 特開2010−92882号公報
上記の特許文献1及び2の技術はいずれも所期の目標を満たすセパレータを提供することができ、従来技術に対して高い貢献を示す瞠目すべき技術である。これらの技術を追随模倣する後追いの特許文献も多数発表されている。
特許文献1及び2の技術及びこれらの模倣技術において、多層セパレータの製造は、基材としてのポリオレフィン多孔膜上に、無機層の構成材料を含有する塗工液を塗布して塗膜を形成し、然る後に塗膜を加熱し、場合により更に圧縮する方法によることが通常である。ここで、例えば特許文献3及び4に記載されているとおり、上記塗工液の塗布に先立って、基材上にコロナ放電処理を施すことが一般的である。
このコロナ放電処理は、基材表面の濡れ性を改良し、基材−無機層間の化学結合力を向上する目的でなされる。基材表面にコロナ放電処理を行わずに無機層を塗工形成しようとすると、塗工ハジキ等の濡れ不良が発生し、無機層の形成不良、剥れ等の問題が生じる場合がある。
コロナ放電処理は、基材表面をコロナ放電により攻撃してイオン種、ラジカル種等の活性種を発生させ、該活性種が周囲雰囲気中の酸素、窒素、水等と反応してカルボニル基、カルボキシル基、水酸基等に転化することにより、基材表面を改質する技術である。該処理は、基材表面種の化学結合を切断して活性種を発生する点で侵襲的な処理であり、基材を損なう場合がある。例えば、基材表面にシワ、凹凸等の形状不良が発生し、これが塗工不良を引き起こす場合がある。或いはこの形状不良領域に放電の電荷集中が起こり、基材内にボイド、ピンホール等の構造不良を引き起こす場合がある。このような構造不良は、セパレータの耐電圧不良を招来する。更に、コロナ放電処理を行うための放電装置周辺は極めて清浄に維持する必要があり、少しの汚れが放電の不均一乃至局所集中をもたらし、塗工ムラ、異物欠陥等の不良の原因となる。
従って当業者は、コロナ放電処理を行わずに製造することができ、絶縁性、イオン透過性、密着性、シャットダウン性等に優れる多層セパレータを強く望んでいる。
コロナ放電処理を行わずに無機層の形成を可能とするために、無機層中に特定の樹脂を含有させる技術が提案されている(特許文献5〜16)。
例えば特許文献5〜7には、樹脂(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体を多孔質層に含有させて用いることが提案されている。特許文献5〜7にかかる多孔質層を用いたセパレータについて本発明者らが検討したところ、高温サイクル特性等が劣ることが分かった(後述する比較例F5〜F8、及び比較例N5〜N8参照)。これらの特許文献においては、上記の(メタ)アクリル酸系共重合体以外の樹脂、例えば、フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を用いる多孔質層は検討されていない。
特許文献8〜12には、フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体を多孔質層に含有させて用いている。この技術について本発明者らが検討したところ、塗工前、ポリオレフィン基材にコロナ処理を行わない場合には、基材/多孔質層間の剥離強度が劣ることが分かった(後述する比較例F1及びF2参照)。これらの特許文献においては、多孔質層に対する添加剤としての(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体の効果は検討されていない。
特許文献13〜16には、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の樹脂を多孔質層に含有させて用いている。この技術について本発明者らが検討したところ、塗工前、ポリオレフィン基材にコロナ処理を行わない場合には、基材/多孔質層間の剥離強度が劣ることが分かった(後述する比較例N1及びN2参照)。これらの特許文献においては、多孔質層に対する添加剤としてのポリ(メタ)アクリル酸エステルの効果は検討されていない。
本発明は、このような事情に基づいてなされたものである。本発明の目的は、多孔質層用塗工液の塗工前、ポリオレフィン基材にコロナ処理を行わない場合であっても基材/多孔質層間の剥離強度に優れたセパレータ、及び該セパレータをコロナ放電処理なしで製造する方法を提供することである。本発明は更に、上記のような本発明のセパレータを用いて得られる、機械特性及び安全性に優れる蓄電デバイスをも提供する。
本発明は、以下の手段によって上記の目的を達成するものである。
[1] (A)ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、
(B)(b1)フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体、ポリアミド、ポリアミドイミド、及びポリイミドから選択される1種以上の樹脂と、
(b2)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルの共重合体であって、
不飽和カルボン酸単位を1質量%以上70質量%以下有し、
前記不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基のうちの少なくとも一部がアンモニウム塩又はアルカリ金属塩になっている水溶性樹脂と、
を含有する多孔質層
を備えることを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータ。
[2] 前記(B)多孔質層が無機フィラーを更に含有する、[1]に記載のセパレータ。
[3] 前記(b1)樹脂が、フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体及び芳香族ポリアミドから選択される、
[1]又は2に記載のセパレータ。
[4] 前記(b1)樹脂におけるフッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体が、該重合体の有機溶媒溶液を用いて得られたものである、
[1]〜[3]のいずれか一項に記載のセパレータ。
[5] 前記(b2)水溶性樹脂における不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基のうちの少なくとも一部がアンモニウム塩になっている、
[1]〜[4]のいずれか一項に記載のセパレータ。
[6] 前記(b2)水溶性樹脂における不飽和カルボン酸単位の含有量が1質量%以上28質量%以下である、
[1]〜[5]のいずれか一項に記載のセパレータ。
[7] 前記(b2)水溶性樹脂における不飽和カルボン酸単位の含有量が1質量%以上22質量%以下である、
[6]に記載のセパレータ。
[8] 前記(b2)水溶性樹脂の含有量が、(B)多孔質層の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下である、
[1]〜[7]のいずれか一項に記載のセパレータ。
[9] (A)ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、コロナ放電処理を行った後に、又はコロナ放電処理を行わずに、
(B)(b1)フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体、ポリアミド、ポリアミドイミド、及びポリアミドから選択される1種以上の樹脂と、
(b2)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルの共重合体であって、
不飽和カルボン酸単位を1質量%以上70質量%以下有し、
前記不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基のうちの少なくとも一部がアンモニウム塩又はアルカリ金属塩になっている水溶性樹脂と、
を含有する多孔質層を形成する工程を含むことを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
本発明により、多孔質層用塗工液の塗工前、ポリオレフィン基材にコロナ放電処理を行わない場合であっても、基材/多孔質層間の剥離強度に優れたセパレータ、及び該セパレータをコロナ放電処理なしで製造する方法が提供される。上記の本発明のセパレータを用いて製造される蓄電デバイスは、機械特性及び安全性に優れる。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、
(A)ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、(B)多孔質層を備えることを特徴とする。
<(A)ポリオレフィン多孔性基材>
本発明における(A)多孔性基材は、ポリオレフィン樹脂を含有する多孔性膜から成る基材である。基材がポリオレフィン樹脂を含有することにより、蓄電デバイスにおけるシャットダウン性能を効果的に発現することができる。
(A)多孔性基材におけるポリオレフィン樹脂の含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。とりわけ好ましくは、(A)多孔性基材が実質的にポリオレフィン樹脂のみから成る場合である。
(A)多孔性基材を構成するポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等から選択される1種以上の重合体又は共重合体を挙げることができる。
(A)多孔性基材におけるポリオレフィン樹脂としては、セパレータの耐熱性を向上する観点から、ポリプロピレンを含有するポリオレフィン樹脂が好ましい。該ポリプロピレンの立体構造は任意であり、アイソタクティック、シンジオタクティック、及びアタクティック、並びにこれらの混合のいずれをも使用することができる。耐熱性とコストとのバランスを考慮すると、アイソタクティックポリプロピレンを使用することが好ましい。
上記のポリプロピレンを含有するポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリプロピレンと、
エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等から選択される1種以上の重合体又は共重合体と、
の混合物を挙げることができる。セパレータのシャットダウン性能と電気特性とのバランスを考慮すると、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物がより好ましい。該ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等を挙げることができる。これらのうち、セパレータの強度向上の観点から、JIS K 7112に準拠して測定した密度が0.93g/cm以上のポリエチレンを使用することが、特に好ましい。
(A)多孔性基材におけるポリプロピレンの使用割合は、セパレータの耐熱性とシャットダウン性能とを両立させる観点から、1〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜70質量%、更に好ましくは4〜60質量%である。
(A)多孔性基材におけるポリプロピレンの割合は、高い方が、得られるセパレータを用いて製造された蓄電素子の高温サイクル特性がより優れることとなる傾向にある。これは、ポリプロピレンの割合が高いことにより、充放電時の基材の酸化が起こり難くなり、その結果サイクル特性が良好になるためと推察される。
ポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量は、3万〜1,200万であることが好ましく、より好ましくは5万〜200万、更に好ましくは10万〜100万である。(A)多孔性基材の成形性、厚み安定性、及びシャットダウン性能の発現性の観点から、この範囲の分子量が好ましい。
本発明における(A)多孔性基材は、ポリオレフィン樹脂の他に、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の成分を含有していてもよい。この他の成分としては、例えば、酸化防止剤、金属石鹸、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色料等を挙げることができる。これら他の成分の含有割合は、(A)多孔性基材の全質量に対する他の成分合計の質量割合として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。
(A)多孔性基材は、多孔構造を有する。該多孔構造により、蓄電デバイスに組み込まれたときに、イオン伝導性、耐電圧性、及び機械的強度のすべてに優れたものとなる。
(A)多孔性基材の平均孔径は、0.035〜0.060μmであることが好ましく、0.040〜0.060μmであることがより好ましく、0.042〜0.060μmであることが更に好ましい。曲路率は、1.1〜1.7であることが好ましく、1.15〜1.67であることがより好ましく、1.1〜1.7であることが更に好ましい。孔数は、100〜500個/μmであることが好ましく、120〜450個/μmであることが好ましく、140〜400個/μmであることが更に好ましい。これら平均孔径、曲路率、及び孔数は、気液法により測定することができる。
適度のイオン伝導性及び耐電圧特性の観点から、
(A)多孔性基材の気孔率は、50〜90%であることが好ましく、52〜75%であることがより好ましく、55〜70%であることが更に好ましく;
(A)多孔性基材の厚みは、5〜22μmであることが好ましく、7〜20μmであることがより好ましい。
[(A)多孔性基材の製造方法]
上記のような(A)多孔性基材は、公知の方法又はこれに当業者による適宜の変更を加えた方法により、製造することができる。
例えば、上記のポリオレフィン樹脂又はその混合物と、可塑剤と、を溶融混錬してポリオレフィン樹脂組成物とし、該ポリオレフィン樹脂組成物をシート状に成形した後、可塑剤を抽出する手法によることができる。
上記可塑剤としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂組成物における可塑剤の含有割合は、シート成形性と耐延伸性とのバランスをとる観点から、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
ポリオレフィン樹脂組成物の溶融混錬は、公知の混錬装置、例えば、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等によって行うことができる。混錬温度及び混錬時間は、ポリオレフィン樹脂組成物の組成及びセパレータの具体的使用目的等に応じて、当業者により適宜に設定される。
溶融混錬されたポリオレフィン樹脂組成物は、シート状に成形される。成形は、例えば、T−ダイを介して溶融混錬物を押出した後、例えば一対の冷却ロール間に挟持してシート状に成形する手法を挙げることができる。
成形後のシートは、好ましくは延伸される。この延伸は、同時二軸延伸であることが好ましい。延伸倍率は、MD方向に4〜10倍、TD方向に4〜10倍、面倍率として20〜100倍の範囲とすることが、膜強度と生産性のバランスの観点から好ましい。
次いで、シート状のポリオレフィン組成物から可塑剤を抽出除去してシートを多孔化することにより、本発明において好適に使用される(A)多孔性基材とすることができる。
抽出溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶媒;エタノール、イソプロパノール等のアルコール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン等を挙げることができる。
このようにして本発明における(A)多孔性基材を製造することができる。
得られた(A)多孔性基材は、これをそのままセパレータの製造に供してもよいし、更に親水化、架橋、熱固定等の操作を施した後に、セパレータの製造に供してもよい。
本発明における(A)多孔性基材としては、市販品を用いてもよい。
本発明における(A)多孔性基材として適用できる市販品としては、例えば、セルガード社製のCG2300、同2400、同2500、同3559、同5550、同5559等;
宇部興産社製のユーポア;
東レバッテリーセパレータフィルム社製のセティーラ;
Entek社製のLP;
等を挙げることができる。
<(B)多孔質層>
本発明における(B)多孔質層は、
(b1)フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体、ポリアミド、ポリアミドイミド、及びポリイミドから選択される1種以上の樹脂と、
(b2)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルの共重合体であって、
不飽和カルボン酸単位を1質量%以上70質量%以下有し、
前記不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基のうちの少なくとも一部がアンモニウム塩又はアルカリ金属塩になっている水溶性樹脂と、
を含有する。(B)多孔質層は、更に、(b3)無機フィラー等の他の成分を含有することができる。
[(b1)樹脂]
本発明における(B)多孔質層に含有される(b1)樹脂は、フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体、ポリアミド、ポリアミドイミド、及びポリイミドから選択される。
−フッ素原子を含有するビニル化合物の(共)重合体−
フッ素原子を含有するビニル化合物の(共)重合体は、
フッ素原子を含有するビニル化合物のみから成るモノマーの単独重合体若しくは共重合体であるか、又は
フッ素原子を含有するビニル化合物と、該化合物と共重合可能な他のモノマーとの共重合体
であることができる。
上記フッ素原子を含有するビニル化合物としては、例えば、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン等を挙げることができる。これらのうち、フッ化ビニリデンを必須の構成要素として使用することが、電解液との親和性(濡れ性)が高い点、耐酸化性に優れる点、等の観点から好ましい。
上記フッ素原子を含有するビニル化合物と共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、トリクロロエチレン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等)、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体におけるフッ素原子を有するビニル化合物単位の共重合割合は、原料コストを低廉にするとの観点から、10質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上とすることがより好ましい。特に、フッ化ビニリデンを、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上の共重合割合で含有することが、得られるセパレータの力学強度を高いレベルに設定するとの観点から好適である。
本発明におけるフッ素原子を含有するビニル化合物の(共)重合体としては、フッ化ビニリデン(共)重合体を使用することが好ましく、特に好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/トリクロロエチレン共重合体、及びフッ化ビニリデン/(メタ)アクリル酸共重合体から選択される1種以上を使用することである。
フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは、好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは1×10〜2×10であり、更に好ましくは5×10〜1×10である。このような分子量範囲の(共)重合体を使用することにより、耐酸化性により優れることとなり、好ましい。
フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体の融点は、好ましくは150℃以上であり、より好ましくは180℃以上であり、更に好ましくは210℃以上である。融点の上限は特に限定されない。フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体の融点が上記好ましい範囲であると、耐熱破膜温度が十分に高くなり、高い安全性を確保できる。
このような、フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体は、上記のモノマーを使用して公知の方法、例えば、乳化重合、溶液重合等によって、合成することができる。
本発明におけるフッ素原子を含有するビニル化合物の(共)重合体としては、市販品を使用してもよい。このような市販品としては、例えば、VINYCOAT PVDF AQ360、同361、同362等(東日本塗料社製);
KFポリマーW#1100、同W#1300、同W#1700、同W#7200、同W#9100、同W#9300、同L#1120、同L#7208、同L#9130、同#9210、同W#9300、同L#9305、等(クレハ化学社製);kynar hsv900(アルケマ社製);solef6020、solef60 10、solef1015、solef5130(ソルベイ社製)等を挙げることができる。
−ポリアミド−
(b1)樹脂としてのポリアミドは、例えば、多価カルボン酸クロリドとジアミンとを用いる酸クロリド法、多価カルボン酸とジイソシアネートを用いるジイソシアネート法等により、合成することができる。
酸クロリド法における多価カルボン酸クロリドを構成する多価カルボン酸、及びジイソシアネート法における多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸;トリカルボン酸;テトラカルボン酸等を挙げることができる。
これらの具体例としては、
脂肪族ジカルボン酸として、例えば、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)等を;
脂環族ジカルボン酸として、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸、ダイマー酸等を;
芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等を;
トリカルボン酸として、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸等を;
テトラカルボン酸として、例えば、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルテトラカルボン酸等を、それぞれ挙げることができる。
これらのうち、重合性、溶剤溶解性、及び電解液性耐の観点からは、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく;
シャットダウン特性からは、ダイマー酸、分子量が1,000以上のジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリルブタジエン)、又はカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)が好ましい。
上記酸クロリド法に用いられるジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン等を挙げることができる。具体的には、
脂肪族ジアミンとして、例えば、イソホロンジアミン(ジイソシアネート)を必須成分とするが、その一部を置き換える成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を;
脂環族ジアミンとして、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン等を;
芳香族ジアミンとして、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン、オルトトリジン等を、それぞれ挙げることができる。
これらのうち、反応性、コスト、及び電解液耐性の観点からは、ジシクロヘキシルメタンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、又はナフタレンジアミンが好ましい。
上記ジイソシアネート法に用いられるジイソシアネートとしては、上記に例示したジアミンのアミノ基をイソシアネート基に置換して成る化合物等を挙げることができる。
本発明におけるポリアミドとしては、耐熱性、耐酸化性をより高くするとの観点から、芳香族ポリアミドが好ましい。芳香族ポリアミドは、例えば、
芳香族多価カルボン酸クロリドと芳香族ジアミンとを用いる酸クロリド法、又は
芳香族多価カルボン酸と芳香族ジイソシアネートを用いるジイソシアネート法
によって合成することができる。
本発明におけるポリアミドは、示差走査熱量計で測定したガラス転移温度Tgが70℃以上であることが好ましい。このことにより、メルトダウン温度が十分に高くなり、そのため、蓄電素子の正極と負極とが短絡する危険を回避することが可能となる。一方でTgを400℃未満とすることにより、ポリアミドの加工性及び溶解性が良好となるため、好ましい。
ポリアミドの対数粘度は、溶融温度及び機械的強度の維持、並びに加工性及び溶解性の観点から、0.5dL/g〜2.0dL/gとすることが好ましい。
本発明におけるポリアミドは、上記のようなモノマーを使用して、例えば溶液重合により、触媒の存在下又は不存在下に合成することができる。溶液重合における溶媒としては、極性溶媒を好適に使用することができる。具体的には、例えば、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等である。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン;フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属塩等を、好ましく使用することができる。
重合温度は、例えば60〜300℃とすることができ、重合時間は、例えば30分〜20時間とすることができる。
本発明におけるポリアミドとしては、市販品を使用してもよい。このような市販品としては、例えば、Arlen(三井化学社製)、Amodel(ソルベイアドバンストポリマーズ社製)等を挙げることができる。
−ポリアミドイミド−
(b1)樹脂としてのポリアミドイミドは、例えば、トリメリット酸クロリドとジアミンとを用いる酸クロリド法、トリメリット酸無水物とジイソシアネートを用いるジイソシアネート法等により、合成することができる。
酸クロリド法及びジイソシアネート法における酸成分としては、トリメリット酸を必須的に用いることが好ましいが、これ以外の酸成分を併用してもよい。このような酸成分としては、トリメリット酸以外の多塩基酸(例えば、テトラカルボン酸、ジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等)を用いることができる。
具体的には、
テトラカルボン酸として、例えば、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリット酸、プロピレングリコールビストリメリット酸等を;
脂肪族ジカルボン酸として、例えば、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)等を;
脂環族ジカルボン酸として、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸、ダイマー酸等を;
芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等を、それぞれ挙げることができる。
これらのうち、電解液耐性の観点からは、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、シャットダウン特性からは、ダイマー酸、分子量が1000以上のジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリルブタジエン)、又はジカルボキシポリ(スチレンーブタジエン)が好ましい。
ポリアミドイミドを合成するためのジアミン及びジイソシアネートとしては、それぞれ、ポリアミドを合成するために好適に用いられるジアミン及びジイソシアネートとして上記に例示したものと同じ化合物を使用することができる。
ポリアミドイミドの対数粘度は、メルトダウン特性の発現及び機械的強度の維持、並びに加工性及び溶解性の観点から、0.5dL/g〜2.0dL/gとすることが好ましい。
ポリアミドイミドは、上記のようなモノマーを使用して、ポリアミドを合成する場合と同様の手法の溶液重合により、合成することができる。
本発明におけるポリアミドイミドとしては、市販品を使用してもよい。このような市販品としては、例えば、UイミドワニスIP(ユニチカ製)等を挙げることができる。
−ポリイミド−
本発明におけるポリイミドは、例えば、先ず、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応によりポリアミド酸(ポリアミック酸)を合成し、次いで該ポリアミド酸を脱水閉環してイミド化する手法により、得ることができる。
上記テトラカルボン酸二無水物としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
これらの具体例としては、
脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば、エチレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリテート等を;
脂環族テトラカルボン酸二無水物として、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物等を;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えば、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等を、それぞれ挙げることができる。
ジアミンとしては、ポリアミドを合成するために好適に用いられるジアミンとして上記に例示したものと同じ化合物を使用することができる。
ポリアミド酸の合成は、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素等の適当な有機溶媒中で、例えば−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃の温度において、例えば10分〜24時間、好ましくは30分〜12時間の反応時間で行われる。
ポリアミド酸を脱水閉環してイミド化するには、ポリアミド酸を加熱する方法、ポリアミック酸に脱水剤及び脱水触媒を作用させる方法等によることができる。
脱水閉環を加熱による場合の加熱温度は、好ましくは50℃〜200℃であり、より好ましくは60℃〜170℃である。加熱時間は、好ましくは1時間〜24時間であり、より好ましくは1時間〜12時間である。
上記脱水剤としては、酸無水物、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等を用いることができる。脱水触媒としては、第3級アミン、例えば、ピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等を挙げることができる。
触媒による脱水閉館反応の反応温度は、好ましくは0℃〜180℃であり、より好ましくは10℃〜150℃である。反応時間は、好ましくは1時間〜120時間であり、より好ましくは2〜30時間である。
本発明におけるポリイミドは、前駆体ポリアミド酸が有していたアミド酸単位のすべてがイミド化された完全イミド化物であってもよいし、アミド酸単位の一部のみをイミド化し、アミド酸単位とイミド単位とが併存する部分イミド化物であってもよい。
ポリイミドについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、500〜50,000であることが好ましく、1,000〜30,000であることがより好ましい。
本発明における(b1)樹脂としては、フッ素原子を含有するビニル化合物の(共)重合体(特にフッ化ビニリデン(共)重合体)又は芳香族ポリアミドが好ましい。これらは、原料モノマーが安価であり、室温合成が可能なため、セパレータの製造コストの削減に資することの他、本発明にかかるセパレータを用いた蓄電デバイスにおいて、セル屈曲性、高温サイクル特性等の効果の発現を促進する点で、好ましい。
芳香族ポリアミドは、ポリアミドイミド及びポリイミドと比較した場合に、原料コストが低廉であり、合成がし易い等の点で有利であり、好ましい。
本発明における(B)多孔質層を形成するに際して、フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、及びポリイミドから選択される(b1)樹脂は、
実質的に溶媒を含まない単離状態で供給されてもよいし、
粒子状の樹脂を含有するラテックスとして供給されてもよいし、或いは、
有機溶媒に溶解された溶液として供給されてもよい。
ラテックスの分散媒としては、水、水と水溶性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン等)との混合溶媒等を挙げることができる。(共)重合体溶液における有機溶媒としては、例えば、上記の水溶性有機溶媒等を使用することができる。
(B)多孔質層を形成する樹脂がフッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体を含む場合、該重合体の有機溶媒溶液を用いて得られたものであるであることが、本発明にかかるセパレータを用いた蓄電デバイスにおけるセル屈曲性の観点で好ましい。
(b1)樹脂が単離状態又はラテックスとして供給される場合、該(b1)樹脂は粒子状であってもよいし、粒子以外の形状であってもよい。(b1)樹脂が粒子状である場合、その粒子径は、平均粒径として、50〜500nmであることが好ましく、60〜460nmであることがより好ましい。
(b1)樹脂が粒子状であると、そうでない場合と比較して、セル屈曲性が良好となる。その理由は詳らかではないが、粒子状の(b1)樹脂を含有する多孔質層は、その剛性が大きくなるためと考えられる。
(b1)樹脂の含有割合は、(B)多孔質層の全質量に対して、50質量%以上であることが、得られるセパレータを用いて得られる蓄電素子の安全性及び耐熱性の観点から好ましい。この値は、60質量%以上であることがより好ましい。
(b1)樹脂の含有割合の上限は任意である。例えば、99.9質量%以下とすることができ、好ましくは99.8質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、特には95質量%以下であることが好ましい。
[(b2)樹脂]
本発明における(B)多孔質層に含有される(b2)樹脂は、不飽和カルボン酸と、不飽和カルボン酸エステルと、場合により使用されるその他のモノマーと、の共重合体であって、不飽和カルボン酸単位を1質量%以上70質量%以下有し、前記不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基のうちの少なくとも一部が、アンモニウム塩又はアルカリ金属塩になっている水溶性樹脂である。
不飽和カルボン酸の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の、モノ又はジカルボン酸を挙げることができ、これらから選択される1種以上を使用することができる。これらの中でも生産性及びコストの観点から、アクリル酸及びメタクリル酸から選択される1種以上が好ましい。
上記不飽和カルボン酸におけるカルボキシル基を塩として使用する場合のカウンターカチオンは、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンである。これらのうち、最終製品に残留した場合でもデバイスの充放電機能に悪影響を与える程度が少ないこと、及び得られるセパレータにおける基材/多孔質層間の剥離強度をより高くするとの観点から、アンモニウムイオン又はナトリウムイオン(塩としてはアンモニウム塩又はナトリウム塩)が好ましく、アンモニウムイオン(塩としてはアンモニウム塩)がより好ましい。
上記のとおり、(b2)樹脂において、カルボキシル基の少なくとも一部はアンモニウム塩又はアルカリ金属塩になっている。(b2)樹脂中のカルボキシル基のうち、塩になっている割合は、(b2)樹脂を良好な水溶性とすべき観点から、50モル%以上であることが好ましく、75モル%以上であることがより好ましく、更に好ましくは80モル%以上である。特には100モル%であってもよい。
上記不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル等の単官能(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、(メタ)アクリル酸アリル等の多官能(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸3[4〔1−トリフルオロメチル−2,2−ビス〔ビス(トリフルオロメチル)フルオロメチル〕エチニルオキシ〕ベンゾオキシ]2−ヒドロキシプロピル等の含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
上記その他のモノマーとしては、例えば、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、α−オレフィン等を挙げることができる。これらの具体例としては、
芳香族ビニル化合物として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等を;
共役ジエンとして、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を;
α−オレフィンとして、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等を;
それぞれ挙げることができる。
(b2)水溶性樹脂における不飽和カルボン酸単位の含有割合は、該セパレータのポリオレフィン/多孔質層間の剥離強度、及び得られるセパレータを用いた蓄電デバイスの高温サイクル特性をより良好に設定するとの観点から、1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、3質量%以上28質量%以下がより好ましく、5質量%以上22質量%以下であることが更に好ましい。
不飽和カルボン酸単位の含有割合が上記範囲にあると、剥離強度、及び得られるセパレータを用いた蓄電デバイスの高温サイクル特性が良好となるメカニズムは定かではないが、下記のとおりであると考えられる。
(b2)樹脂中のカルボキシル基は、水系塗工液の濡れ性を向上する部位である。塗工液が有機系溶媒を含有している場合であっても、後述の好ましい態様では、有機溶媒として水と親和性が高い溶剤を使用しているため、(b2)樹脂中のカルボキシル基の存在によって、該塗工液の濡れ性が向上すると考えられる。
また、カルボキシル基は極性が高いことから、多孔質膜に無機フィラーを用いた場合には、該無機フィラーとの親和性も高い。
一方で、不飽和カルボン酸エステル単位は低極性であり、ポリオレフィン多孔性基材も低極性であるため、両者の親和性が高い。
このようにして、多孔質層は、ポリオレフィン多孔性基材上に濡れ性よく形成され、更に、多孔質層中の(b2)樹脂が結着材のように働くため、基材/多孔質層間の剥離強度が向上するものと考えられる。特に、不飽和カルボン酸単位の含有割合が上記範囲にあるときは、濡れ性の向上と極性とがバランスよく作用し、剥離強度がより高くなると考えられる。
そして、ポリオレフィン多孔性基材と多孔質層との間の剥離強度が高いセパレータを具備する蓄電素子は充放電時に基材と多孔質層との間の剥離が発生し難くなるため、高温サイクル特性が向上すると考えられる。
(b2)樹脂のガラス転移温度Tgは、−20〜150℃であることが好ましく、−10〜120℃であることがより好ましい。このガラス転移温度は、ASTM E1356−08に準拠して、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分にて測定される値である。
(b2)樹脂について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリアクリル酸ナトリウム換算の重量平均分子量Mwは、得られるセパレータにおける基材/多孔質層間の剥離強度をより強くするとの観点から、5,000〜500,000であることが好ましく、7,000〜200,000であることがより好ましい。
本発明における(b2)樹脂は、公知の方法又はこれに対して当業者による適宜の変更を加えた方法を用いる重合反応により、製造することができる。これらのポリマーにおける重合成分として不飽和カルボン酸の塩を使用する場合には、不飽和カルボン酸として重合反応に供した後に塩としてもよいし、不飽和カルボン酸塩としたうえで重合反応に供してもよい。
(b2)樹脂は市販品として入手してもよい。(b2)樹脂として好適に使用できる市販品としては、例えば、アロンA−6114、アロンA−6712、アロンA−6001、アロンA−6330、ジュリマーAT−210、ジュリマーAT−510、ジュリマーAT−613、ジュリマーET−325、ジュリマーAC−203(以上、東亞合成社製);
SNディスパーザント5027、(サンノプコ社製);
ヨドゾールGH800F、ヨドゾールGH810F(アクゾノーベル社製);
ポイズ2100(花王社製);
等を挙げることができる。
これらの中でも、得られるセパレータにおけるポリオレフィン多孔性基材/多孔質層間の剥離強度の観点から、アロンA−6712、ジュリマーAT−510、ジュリマーAT−613、ジュリマーET−325、又はSNディスパーザント5027が好ましく、ジュリマーAT−510、ジュリマーAT−613、又はジュリマーET−325がより好ましい。
本発明における(b2)樹脂の含有割合は、(B)多孔質層の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが、該セパレータのポリオレフィン基材と多孔質層の剥離強度の観点から好ましい。この値はより好ましくは0.2質量%以上3質量%以下である。
(B)多孔質層の形成に際して、(b2)樹脂は水溶液又は水溶性有機溶媒の溶液として供給されることが好ましい。
[(b3)無機フィラー]
(B)多孔質層に含有され得る(b3)無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等を挙げることができる。これらのうち、得られるセパレータの電気化学特性に悪影響を及ぼさず、耐熱性を効果的に向上するとの観点から、アルミナ、水酸化酸化アルミニウム、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト等が好ましく;
水酸化酸化アルミニウム、カオリン等が、より好ましい。
(b3)無機フィラーの平均粒径は、0.1〜4.0μmであることが好ましく、0.2〜3.5μmであることがより好ましく、0.4〜3.0μmであることが更に好ましい。(b3)無機フィラーの平均粒径を上記範囲に調整することにより、得られるセパレータの耐熱性、特に耐熱収縮性に優れることとなり、好ましい。
(B)多孔質層における(b3)無機フィラーの使用割合は、上記(b1)樹脂及び(b2)樹脂、並びに存在する場合には後述のその他の樹脂の合計100質量部に対して該無機フィラーの質量が占める割合として、0.1〜1,000質量部とすることが好ましく、0.5〜700質量部とすることがより好ましく、更に1〜500質量部とすることが好ましい。(b3)無機フィラーの使用割合をこの範囲に設定することにより、得られるセパレータを用いた蓄電デバイスにおいて、安全性がより高くなるとの利点が得られる。
(B)多孔質層に無機フィラーを含有している場合と、していない場合と比較すると、無機フィラーを含有する方が、セル屈曲性が良好である。その詳細なメカニズムは定かではないが、無機フィラーが芯材として働き、機械的強度が向上されているためと考えられる。
[その他の成分]
本発明における(B)多孔質層は、上記の成分以外のその他の成分を含有していてもよい。ここで使用されるその他の成分としては、例えば、その他の樹脂等を挙げることができる。
上記その他の樹脂としては、例えば、多糖類、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
多糖類としては、例えば、セルロース、プルラン等、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。セルロールの誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロース等を;
プルランの誘導体としては、例えば、シアノエチルプルラン等を、
それぞれ挙げることができる。
(B)多孔質層におけるその他の樹脂の使用割合は、該(B)多孔質層の全質量に対して、50質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましい。この範囲の使用割合とすることにより、本発明が所期する効果を損なうことがない。
[(B)多孔質層の形成方法]
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、(A)多孔性基材の少なくとも片面上に、(B)多孔質層を形成することにより、製造することができる。
(B)多孔質層の形成は、
(A)多孔性基材の少なくとも片面上に、(B)多孔質層の各成分を含有する被膜を形成し、次いで、必要に応じて該被膜を硬化する方法によって、好ましく行うことができる。
上記被膜の形成は、塗工法又は転写法によることが好ましい。
被膜の硬化は、加熱処理又は凝固液との接触処理によることが好ましい。
被膜の形成に先立って、(A)多孔性基材に対してコロナ放電処理を行ってもよいし、行わなくともよい。しかしながら、本発明における(B)多孔質層は、コロナ放電処理を行わなくても効率的に形成されることができるから、上述したようなコロナ放電処理に起因する数々の不都合が生じる危険性を甘受して、敢えて該処理を行う実益はない。また、コロナ放電処理を行わない方が、得られるセパレータの透気度に優れることとなる。
従って、被膜の形成に先立って、(A)多孔性基材に対してコロナ放電処理を行わないことが好ましい。
塗工法による被膜の形成は、(A)多孔性基材の少なくとも片面上に上記塗工液を塗布し、次いで必要に応じて媒体を除去する方法によることができる。
上記塗工液は、(B)多孔質層の各成分が所望の割合で混合され、適当な媒体中に溶解又は分散されて成るものである。
上記媒体としては、特に(b2)樹脂の溶解性の観点から、水性媒体とすることが好ましい。この水性媒体は、水及び水溶性有機溶媒から選択される1種以上から成る媒体であることができる。水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール等を挙げることができる。
塗工液の固形分濃度は、好ましくは5〜70質量%であり、より好ましくは10〜50質量%である。
塗工方法としては、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等の適宜の方法を採用することができる。
上記の塗工により、基材上に形成された塗膜から媒体を除去するには、例えば、
10〜40℃の環境下に、例えば1〜60分静置する方法;
除去すべき媒体を溶解する液体を満たした容器に含浸する方法、
等を採用することができる。
転写法による被膜の形成は、例えば、以下の手法によることができる。
先ず、適当な基材フィルム上に上記の塗工液を塗布し、低湿度ゾーン及び高湿度ゾーンを順次に通過させて(B)多孔質層成分をゲル化させて、基材フィルム上にゲル化した(B)多孔質層の構成成分を含有する層(多孔質層成分層)を有する転写フィルムを製造する。次いで、該転写フィルムの(B)多孔質層成分層を(A)多孔性基材上に積層して積層体とすることにより、(A)多孔性基材上に被膜を形成することができる。
上記基材フィルムとしては、例えばポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(特にポリエチレン又はポリプロピレン)等を用いることができる。塗工液の調製、及び基材フィルム上への塗工液の塗工は、それぞれ、塗工法について説明したのと同様にして実施することができる。
低湿度ゾーンは、例えば、絶対湿度4g/m以下、好ましくは3g/m以下の湿度、及び20℃〜50℃の温度に調整されることが好ましい。高湿度ゾーンは、例えば、絶対湿度6g/m〜25g/m、好ましくは8g/m〜15g/mの湿度、及び20℃〜50℃の温度に調整されることが好ましい。各ゾーンの通過時間は、低湿度ゾーンについて3秒〜20秒、高湿度ゾーンについて3秒〜20秒とすることが好ましい。
転写法によって上記のようにして得られた被膜は、積層体から基材フィルムを剥離せずに、又は基材フィルムを剥離した後に、次工程の被膜の硬化に供される。積層体から基材フィルムを剥離せずに被膜硬化工程に供した場合、基材フィルムは該皮膜工程後の任意の時に剥離することができる。
次いで、上記のように塗工法又は転写法によって形成された被膜を、必要に応じて硬化することにより、(A)多孔性基材上に(B)多孔質層を有する本発明のセパレータを得ることができる。
被膜の硬化を加熱処理による場合、例えば
50〜80℃の温度において、例えば1〜60分加熱する方法;
熱風乾燥炉を通過させることにより、加熱する方法、
等を採用することができる。
被膜の硬化を凝固液との接触処理による場合、該凝固液としては、(b1)樹脂及び(b2)樹脂のうちの1種以上に対する貧溶媒を用いることができる。例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン水溶液、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びトリプロピレングリコール(TPG)の混合水溶液等を挙げることができる。接触温度は例えば10〜40℃であり、接触時間は例えば1〜60分である。凝固液を満たした容器に含浸する方法も取ることが出来る。
被膜の硬化を凝固液との接触処理によった場合には、接触後に洗浄及び乾燥を行うことが好ましい。
上記の工程によって得られたセパレータは、これをそのまま、又は必要に応じて公知の方法によるプレス、好ましくは熱プレスを行ったうえで、使用に供することができる。この任意的なプレスにおいて、プレス圧は、0.98〜19MPaとすることが好ましく;
プレス温度は、40秒〜120℃とすることが適切である。
<セパレータ>
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、上記のような(A)多孔性基材及び(B)多孔質層を有する。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、絶縁性、イオン透過性、密着性、シャットダウン性等の諸性能に優れ、高い出力密度及び高い容量密度を示す蓄電デバイスのセパレータとして特に好適である。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、(A)多孔性基材に対して侵襲的なコロナ放電処理を行わずに、塗布法によって(B)多孔質層を形成することにより、製造することができる。従って、該セパレータは、コロナ放電処理に起因する種々の不都合が回避されたものとすることができる。
<蓄電デバイス>
本発明のセパレータは、蓄電デバイスのセパレータとして好適に適用される。
この蓄電デバイスは、本発明のセパレータを備えるものである限り、それ以外の構成は特に限定されず、従来知られているものと同様であってもよい。本発明のセパレータを備える蓄電デバイスとしては、特に限定されないが、例えば、非水電解液電池等の電池、コンデンサ、キャパシタ等であることができる。
以下、蓄電デバイスが非水電解液電池である場合についての好適な態様について説明する。
正極、負極、及び非水電解液に限定はなく、公知のものを用いることができる。
正極材料としては、例えば、LiCoO、LiNiO、スピネル型LiMnO、オリビン型LiFePO等のリチウム含有複合酸化物等が、負極材料としては、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、各種合金材料等が挙げられる。
非水電解液としては、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が、電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩が挙げられる。
上記蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、下記のようにして製造される。すなわち、本発明のセパレータを例えば幅10〜500mm(好ましくは80〜500mm)、長さ200〜4000m(好ましくは1000〜4000m)の縦長形状のセパレータとして作製する。次に、当該セパレータを、正極及び負極とともに、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ねて積層物を得る。次いで、その積層物を、円筒形の又は扁平な渦巻状に巻回して巻回体を得る。そして、当該巻回体を外装体内に収納し、更に電解液を注入する等の工程を経ることにより、蓄電デバイスが得られる。
また、上記蓄電デバイスは、セパレータ、正極、及び負極を平板状に形成した後、正極−セパレータ−負極−セパレータ−正極、又は負極−セパレータ−正極−セパレータ−負極の順に積層して積層体を得た後、外装体内に収容し、そこに電解液を注入する等の工程を経て製造することもできる。
上記外装体の形状としては、例えば、電池缶、袋状のフィルム等を用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。しかしながら本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
以下における各種物性の測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。特に記載のない限り、各種測定及び評価は、室温23℃、1気圧、及び相対湿度50%の条件下で行った。
<測定方法及び評価方法>
[粘度平均分子量Mv]
ASRM−D4020に準拠して、デカリン溶剤中、135℃における極限粘度[η]を求めた。この[η]値を用いて、下記数式の関係から粘度平均分子量Mvを算出した。
ポリエチレンの場合:[η]=0.00068×Mv0.67
ポリプロピレンの場合:[η]=1.10×Mv0.80
[気孔率]
ポリオレフィン多孔性基材から10cm×10cm角のサンプルを切り取り、その体積(cm)及び質量(g)を求めた。これらの値を用い、該多孔性基材の密度を0.95(g/cm)として、気孔率を下記数式:
気孔率(%)=(1−質量/体積/0.95)×100
により計算した。
[透気度(秒/100cc)]
JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計G−B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度とした。
[突刺強度(g)]
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーでポリオレフィン多孔性基材を固定した。次に、固定された多孔性基材の中央部を、先端の曲率半径0.5mmの針を用いて、突刺速度2mm/秒で、25℃雰囲気下において突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(g)を得た。
[ガラス転移温度の測定]
ポリマーのガラス転移温度は、下記の方法によって測定した。
試料約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。測定条件は下記のとおりとした。
1段目昇温プログラム:70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
2段目降温プログラム:110℃から毎分40℃の割合で降温。−50℃に到達後5分間維持。
3段目昇温プログラム:−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
ベースライン(得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線)と、変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
[粒子径の測定]
ポリマー粒子の平均粒径は、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用して測定した。測定条件は、ローディングインデックス=0.15〜0.3、測定時間300秒とし、得られたデータにおける50%粒子径の数値を平均粒子径とした。
[ポリオレフィン多孔性基材/多孔質層間の剥離強度]
各実施例及び比較例で得たセパレータの多孔質層に対して、幅12mm×長さ100mmのテープ(3M社製、製品名:スコッチ600)を貼り付けた。このテープをサンプルから50mm/分の速度で剥がすときの力を、90°剥離強度測定器(IMADA社製、製品名IP−5N)を用いて測定した。得られた剥離強度の値を、接着層と基材の剥離強度として、下記評価基準により評価した。
◎:剥離強度が98N/m以上
○:剥離強度が49N/m以上98N/m未満
△:剥離強度が9.8N/m以上49N/m未満
×:剥離強度が9.8N/m未満
[セル屈曲性]
a.正極の作製
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を96質量部と、正極導電剤としてカーボンブラック粉末を2質量部と、正極バインダー(結着剤)としてポリフッ化ビニリデンを2質量部と、を乾式混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させて正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを、正極集電体となる厚さ13μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥した後、圧延することにより、正極を作製した。この時の正極活物質層の充填密度及び厚みは、集電体の両面に正極活物質層が形成されている部分において、それぞれ、3.95g/cc及び140μmであった。
b.負極の作製
炭素系活物質(人造黒鉛)を97質量部と、ケイ素系活物質(SiOx)(x=1.05)を3質量部と、を混合した。
得られた混合物を98質量部と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)を1質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の微粒子を1質量部と、を混合し、これらを水に分散させて負極合剤スラリーを得た。
この負極合剤スラリーを負極集電体となる厚さ8μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥した後、圧延した。次いで、圧延後の負極合剤をPVDFの融点以上の温度である170℃で加熱した。これにより、炭素系活物質及びケイ素系活物質の表面にPVDF微粒子を融着させた。以上の工程により、負極を作製した。この時の負極活物質層の充填密度及び厚みは、集電体の両面に負極活物質層が形成されている部分において、それぞれ、1.75g/cc及び137μmであった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=3:7(質量比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.2mol/Lとなるように溶解させることにより、非水電解液を調製した。
d.電池組立
a.で調製された正極と、b.で調製された負極と、各実施例及び比較例で製作されたセパレータとを、それぞれ切り出して、重ね合わせた後、室温にて長手方向に巻回してつぶして、扁平状巻回電池素子を作製した。この電池素子を、内側から外側に向かってポリプロピレン/アルミ/ナイロン(nylon)の3層からなる厚み120μmのラミネートフィルムに挿入し、電極端子を外に取り出したうえで外装材の3辺を熱融着した。電池素子を収容した外装部材内に、前記非水電解液を注入し、24時間以上放置した後、減圧下において外装材の残りの1辺を熱融着して減圧封止した。これを金属板間で80℃3分間加熱することにより、厚み2mm×幅30mm×高さ30mmである電池を得た。
上記の二次電池について、25℃で56mAの定電流で4.35Vまで充電し、続いて充電電流14mAまで定電圧充電を行った後、56mAで終止電圧2.75Vまで定電流放電を行った。
e.屈曲性評価
上記の充放電を行った二次電池について、島津製作所社製卓上型精密万能試験機AGS−Xを用いて座屈強度(耐座屈性)を測定した。具体的には、二次電池を、15mmの間隙を持った治具に載せ、間隙直径2mmφの曲率及び幅30mmの圧子を捲回素子に対して平行になるように配置した後、圧子で下方に5mm/分の速度で押して行く時に掛かる荷重を計測し、該荷重の最大値を二次電池の座屈点とみなし、この値を座屈強度とした。各二次電池の座屈強度は下記の基準で評価した。
A:座屈強度が3500mN/mm以上
B:座屈強度が3000mN/mm以上3500mN/mm未満
C:座屈強度が2500mN/mm以上3000mN/mm未満
D:座屈強度が2000mN/mm以上2500mN/mm未満
E:座屈強度が2000mN/mm未満
[高温サイクル特性]
(a)正極の製造
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)94重量%、導電剤としてカーボンブラック3重量%、及びバインダーとしてフッ化ポリビニリデン3重量%をN−メチルピロリドン(NMP)溶媒に添加して、正極活物質組成物を調製した。この正極活物質組成物をアルミニウム(Al)薄膜に塗布及び乾燥した後、ロールプレスを施すことにより、正極を製造した。
(b)負極の製造
負極活物質として黒鉛98重量%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1重量%、及びバインダーとしてスチレン−ブタジエンラバー1重量%を蒸溜水に添加して、負極活物質組成物を調製した。この負極活物質組成物を銅箔に塗布及び乾燥した後、ロールプレスを施すことにより、負極を製造した。
(c)電解液の製造
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びエチルプロピオネートを3:1:6の体積比にて混合した混合溶媒に、1.1モル/LのLiPF及び0.2モル/LのLiN(CFSO(別名「LiTFSi」)を添加することにより、電解液を調製した。
(d)リチウム二次電池の作製
上記で製造した正極と負極との間に、各実施例及び比較例で得たセパレータを介在させた電極組立体を製造し、上記の電解液を注液することにより、リチウム二次電池を作製した。
(e)高温サイクル試験
各実施例及び比較例のセパレータを用いて上記のようにして作製された電池を、23℃の環境下において、0.7Cの充電電流で電池電圧が4.35Vとなるまで定電流充電を行った後、電池電圧4.35Vにて定電圧充電を行い、充電電流が0.05Cとなった時点で充電を終了した。この後、0.7Cの放電電流で電池電圧が3.0Vとなるまで定電流放電した。同様の条件で2サイクル充放電を行い、2サイクル目の放電容量を測定した。
続いて、環境温度を65℃とした以外は上記充放電条件と同じ条件で300サイクルの充放電を繰り返し、300サイクル目の放電容量を測定した。高温環境下における300サイクル後の容量維持率を、下記数式により算出、以下の基準で評価した。この充放電容量保持率が大きい電池ほど、高温サイクル特性に優れる。
充放電容量保持率[%]=(300サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100
A:充放電容量保持率が90%以上
B:充放電容量保持率が85%以上90%未満
C:充放電容量保持率が80%以上85%未満
D:充放電容量保持率が75%以上80%未満
E:充放電容量保持率が75%未満
<基材の製造>
(基材S1の製造)
Mvが70万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが30万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレン5質量部と、
を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドし、ポリオレフィン混合物を得た。
得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。
同時に、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を、上記押出機のシリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
押し出される全混合物中、流動パラフィンの割合が65質量部、及びポリオレフィン濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
上記のポリオレフィン混合物及び流動パラフィンを二軸押出機中で230℃に加熱しながら溶融混練し、T−ダイを経て表面温度80℃に制御された冷却ロール上に押し出した。この押出物を、冷却ロールに接触させて冷却固化するキャスト法により、シートを得た。
得られたシートを、同時二軸延伸機を用いて、温度112℃において倍率7×6.4倍に延伸した。次いで、延伸物を塩化メチレンに浸漬して流動パラフィンを抽出除去した後、乾燥し、更にテンター延伸機を用いて温度130℃において横方向に2倍延伸した。その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行うことにより、ポリオレフィン多孔性基材である基材S1を得た。
(基材S2)
基材S2としては、セルガード社製の品名「CG2500」(乾式、ポリプロピレン製)を使用した。
上記の基材S1及びS2について、上述の手法によって測定した各種物性を、表1に示した。
Figure 2017139117
<(b2)樹脂の合成及び該樹脂を含有する塗工液の調製>
(サンプルA)
攪拌機及びコンデンサを備えた槽型反応器に、脱イオン水170g及びイソプロピルアルコール250gを仕込み80℃に保持した。
この反応器に、40質量%のメタクリル酸アンモニウム(アンモニウム塩90モル%)水溶液137g、アクリル酸メチル76g、及びメタクリル酸メチル117gから成る単量体混合物(合計330g)と、濃度15質量%の過硫酸アンモニウム水溶液60gとを、5時間かけて滴下供給した。滴下終了後、反応液を80℃において3時間保持して重合を行った後、水を加えて希釈することにより、サンプルAを40質量%含有する水分散体を得た。
得られたサンプルAの重量平均分子量(以下、「Mw」という)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件下で測定したところ、Mwは10,000であった。
使用装置:HLC8020システム〔東ソー(株)製〕
カラム:G4000PWxl、G3000PWxl、及びG2500PWxl〔東ソー(株)製〕を直列に連結して使用
溶離液:0.1MNaCl+リン酸バッファー(pH7)
検量線:ポリアクリル酸Na(創和科学製)を使用して作成
(サンプルB)
上記サンプルAの調製において、単量体混合物として、メタクリル酸ナトリウム32g、アクリル酸メチル117g、及びメタクリル酸メチル181gから成る単量体混合物を使用した以外は、サンプルAと同様にして、Mw10,000のサンプルBを含む水溶液(固形分濃度40質量%、pH7)を得た。
<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>
(アクリル系共重合体)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を装着した反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(商品名、第一工業製薬株式会社製、25質量%水溶液)0.5質量部(固形分換算0.125質量部)と、「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製、25質量%水溶液)0.5質量部(固形分換算0.125質量部)と、を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液)を7.5質量部(固形分換算0.15質量部)添加した。
過硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に、上記反応容器中への原料モノマー乳化液の滴下を開始し、150分掛けて全量を滴下した。
滴下した乳化液は、表2における原料モノマー等「1A」欄に記載した種類及び量(固形分換算量)のモノマー、開始剤、及びイオン交換水をホモミキサーにより5分間混合して調製したものである。
乳化液の滴下終了後、反応容器の内部温度を、80℃のまま90分間維持した後、室温まで冷却して、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンに水酸化アンモニウム水溶液(25質量%水溶液)を加えてpH=9.0に調整することにより、ポリマー1A(Tg:−30℃、平均粒径160nm)を40質量%含有するラテックスを得た。このラテックスは、一部を後述の比較例F8及び比較例N8で用いた。
Figure 2017139117
表2中の各成分の略称は、それぞれ、以下の意味である。
MMA:メチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
BMA:n−ブチルメタクリレート
EHA:2−エチルへキシルアクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
AM:アクリルアミド
A−TMPT:商品名、新中村化学工業株式会社製、トリメチロールプロパンポリアクリレート
KH1025:商品名「アクアロンKH1025」、第一工業製薬株式会社製、25質量%水溶液
SR1025:商品名「アデカリアソープSR1025」、株式会社ADEKA製、25質量%水溶液
NaSS:商品名「スピノマーNaSS」、東ソー有機化学株式会社製、p−スチレンスルホン酸ナトリウム
APS:過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液)
(ポリアクリロニトリル)
攪拌機、温度計、及び冷却管を装着した1.0リットルのセパラブルフラスコ内に、窒素雰囲気下、アクリロニトリル(和光純薬社製)47.5g、メタクリル酸(Aldrich社製)2.5g、過硫酸カリウム(和光純薬社製)0.235mg、α−メチルスチレンダイマー(和光純薬社製)135mg、及び溶媒としての精製水(和光純薬社製)450mlを加えて、反応液を調製した。この反応液を激しく攪拌しながら、60℃において3時間、及び80℃において8時間、順次に攪拌し、反応を行うことにより、ポリアクリロニトリル49gを含有する分散液を得た(収率98%)。未反応モノマーを60℃、133hPa(100Torr)における減圧留去により30分かけて除去した後、室温まで冷却することにより、ポリアクリロニトリル粒子を10質量%含有する水分散体(PAN)を得た。
実施例F1
(1)塗工液の調製
(b1−1)樹脂として、VINYCOAT PVDF AQ360(商品名、東日本塗料社製、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる微粒子を含む水系エマルション)を用いた。このポリフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデン/アクリル酸共重合体(フッ化ビニリデン:70mol%)であり、微粒子の平均粒子径は250nm(0.25μm)であった。
上記VINYCOAT PVDF AQ360をイオン交換水により希釈して微粒子濃度を10質量%に調整した後、(b2)樹脂としてポリマーA(後述の水溶性ポリマーを含有する水溶液)を、(b1−1)樹脂微粒子100質量部に対する固形分換算量として1質量部を加えることにより、多孔質層形成用の塗工液を調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、その両面に、それぞれ、#6バーコータを用いて上記で調製した塗工液を当量塗布し、60℃において乾燥することにより、片面当たりの目付けが2.2g/mの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表F1に示した。
実施例F2
(1)塗工液の調製
(b1−1)樹脂として、KFポリマー#9300(商品名、クレハ化学社製、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(モル比98.9/1.1)、重量平均分子量195万)を用いた。この樹脂を、ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール(質量比7/3)からなる混合溶媒中に5質量%の濃度で溶解した後、(b2)樹脂としてポリマーAを、(b1−1)樹脂100質量部に対する固形分換算量として1質量部を加えることにより、多孔質層形成用の塗工液を調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、ディップコーティング法により上記で調製した塗工液をその両面に当量塗布した後、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール(質量比57/30/13)からなる凝固液(40℃)に浸漬して固化することにより、片面当たりの目付けが2.2g/mの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表F1に示した。
実施例F3
(1)塗工液の調製
(b1−1)樹脂としてVINYCOAT PVDF AQ360を固形分換算で1質量部、無機フィラーとして平均粒径が880nmである水酸化マグネシウム98質量部、及びその他の樹脂としてカルボキシメチルセルロース1質量部をイオン交換水中に均一に分散して、固形分濃度を24.8質量%とした後、(b2)樹脂としてポリマーAを、(b1−1)樹脂微粒子、無機フィラー、及びカルボキシメチルセルロースの合計100質量部に対する固形分換算量として1質量部を加えることにより、多孔質層形成用の塗工液を調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
上記で調製した塗工液を用いた他は実施例F1の「(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)」と同様にして、片面当たりの目付けが5.3g/mの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表F1に示した。
実施例F4
(1)塗工液の調製
(b1―1)樹脂としてKFポリマー#9300を固形分換算で10質量部と、その他の樹脂としてシアノエチルプルラン1.75質量部とを、アセトンに投入し、50℃の温度において12時間以上撹拌して溶解させ、ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液に、無機フィラーとしてチタン酸バリウム(BaTiO)粉末を、(b1)樹脂とその他の樹脂との合計10質量部に対して90質量部となるように添加し、ボールミルによって12時間以上振とうして、スラリーを得た。このスラリー中の無機フィラー粒子の平均粒径は600nmであった。
上記スラリーに、(b2)樹脂としてポリマーAを、(b1―1)樹脂とその他の樹脂と無機フィラーとの合計100質量部に対する固形分換算量として1質量部を加えることにより、多孔質層形成用の塗工液を調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
上記で調製した塗工液を用いた他は実施例F2の「(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)」と同様にして、片面当たりの目付けが5.0g/mの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表F1に示した。
実施例F5
(1)塗工液の調製
(b1―1)樹脂として、フッ化ビニリデン(VDF)/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体(VDF:75〜85質量%、CTFE:25〜20質量%、重量平均分子量:28万)を用いた。
上記共重合体の10質量部をアセトン190質量部中に投入し、50℃において12時間以上撹拌して溶解させ、ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液に、無機フィラーとして平均粒径0.7μm、BET表面積4m/gのアルミナ粒子90質量部を添加し、分散させてスラリーを得た。
上記スラリーに、(b2)樹脂としてポリマーAを、(b1―1)樹脂と無機フィラーとの合計100質量部に対する固形分換算量として1質量部を加えることにより、多孔質層形成用の塗工液を調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、ディップコーティング法により上記で調製した塗工液をその両面に当量塗布した後、60℃において乾燥することにより、片面当たりの目付けが5.0g/mの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表F1に示した。
実施例F6〜F16
実施例F5において、使用したポリオレフィン多孔質基材及び(b2)樹脂の種類、並びに各成分の配合量(いずれも固形分換算値)を、それぞれ、表F1に記載のとおりとした他は実施例F5と同様にして多孔質層形成用塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを作製して評価した。
評価結果は、表F1に示した。
実施例F17
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をした後に塗工を行った他は、上記実施例F5と同様にして、セパレータを製造して評価した。
評価結果は表F1に示した。
比較例F1
実施例F3において、(b2)樹脂を使用しなかった他は実施例F3と同様にして多孔質層形成用塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを作製して評価した。
評価結果は、表F1に示した。
比較例F2
実施例F4において、(b2)樹脂を使用しなかった他は実施例F4と同様にして多孔質層形成用塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを作製して評価した。
評価結果は、表F1に示した。
比較例F3
本比較例では、(b1―1)樹脂を使用せず、代わりにその他の樹脂を使用して塗工液を調製し、評価した。
(1)塗工液の調製
上記<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(アクリル系共重合体)で得たポリマー1Aを含有する水分散体10質量部(固形分換算値)に、平均粒径0.7μm、BET表面積4m/gのアルミナ粒子を、アクリル系共重合体の固形分:アルミナの質量比が10:90となるように混合し、分散させてスラリーを製造した。
このスラリーに、(b2)樹脂としてポリマーAを、アクリル系共重合体の固形分とアルミナとの合計100質量部に対する固形分換算量として1質量部を加えることにより、多孔質層形成用の塗工液を調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、グラビアコーターを用いて上記で調製した塗工液をその両面に当量塗布した後、60℃において乾燥することにより、片面当たりの厚さが2.0μmの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表F1に示した。
比較例F4〜F6
比較例F3において、使用したポリオレフィン多孔質基材及び(b2)樹脂の種類、を、それぞれ、表F1に記載のとおりとした他は比較例F3と同様にして多孔質層形成用塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを作製して評価した。
評価結果は、表F1に示した。
比較例F7
(1)塗工液の調製
硫酸バリウム(体積平均粒子径0.5μm、比表面積5.5g/m2)を100部、(b2)樹脂として、下記サンプルC(固形分濃度40質量%)分散液を1.5質量部(固形分換算値)添加し、上記<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(アクリル系共重合体)で得たポリマー1Aを含有する水分散体を5質量部(固形分換算値)、及び水を混合した。水の量は、固形分濃度が50質量%となるように調整した。メディアレス分散装置を用いて混合物を処理し、分散させ、多孔質層形成用塗工液を得た。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、グラビアコーターを用いて上記で調製した塗工液をその両面に当量塗布した後、60℃において乾燥することにより、片面当たりの厚さが2.0μmの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表F1に示した。
比較例F8
(1)塗工液の調製
上記<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(ポリアクリロニトリル)で得たポリアクリロニトリル粒子を含有する水分散体100質量部(ポリアクリロニトリル粒子換算量として10質量部)、上記<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(アクリル系共重合体)a.ポリマー1Aの製造で得たポリマー1Aを含有する分散液1.0質量部(固形分換算値)、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.15質量部(固形分換算値)を混合した。このスラリーに、(b2)樹脂としてポリマーFを、ポリアクリロニトリル、アクリル系共重合体、及びCMCの固形分の合計100質量部に対する固形分換算量1質量部及び水を混合した。水の量は、固形分濃度が50質量%となるように調整した。メディアレス分散装置を用いて混合物を処理し、分散させ、多孔質層形成用塗工液を得た。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、グラビアコーターを用いて上記で調製した塗工液をその両面に当量塗布した後、60℃において乾燥することにより、片面当たりの厚さが2.0μmの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表F1に示した。
参考例F1及びF2
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をした後に塗工を行った他は、
参考例F1は上記比較例F1と同様に、
参考例F2は上記比較例F2と同様にして、それぞれ、セパレータを製造して評価した。
評価結果は表F1に示した。
Figure 2017139117
Figure 2017139117
Figure 2017139117
上記の表F1における「酸モノマー比」とは、当該ポリマーにおけるカルボキシル基を有するモノマーの共重合割合を表し、「カチオン種」とは当該モノマーのカルボキシル基のカウンターカチオンの種類を表す。
表F1における各成分の略称は、それぞれ、以下の意味である。
<(b1―1)樹脂>
AQ360:東日本塗料社製、商品名「VINYCOAT PVDF AQ360」、フッ化ビニリデン/アクリル酸共重合体(フッ化ビニリデン:70mol%)からなる平均粒子径250nmの微粒子を含む水系エマルション
#9300:クレハ化学社製、商品名「KFポリマー#9300」、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(モル比98.9/1.1)、重量平均分子量195万
ポリ(VdF−CTFE):フッ化ビニリデン(VDF)/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体(VDF:75〜85質量%、CTFE:25〜20質量%、重量平均分子量28万)
<(b2)樹脂>
ポリマーA:東亞合成社製、商品名「ジュリマーAT−613」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%、Tg=76℃、固形分濃度25質量%
ポリマーB:東亞合成社製、商品名「ジュリマーAT−210」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%、Tg=−7.5℃、固形分濃度30質量%
ポリマーC:東亞合成社製、商品名「ジュリマーET−325」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=5質量%、Tg=28℃、固形分濃度30質量%
ポリマーD:東亞合成社製、商品名「ジュリマーAT−510」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%、Tg=27.5℃、固形分濃度30質量%
サンプルA:上述の<(b2)樹脂の合成及び該樹脂を含有する塗工液の調製>
(サンプルA)で得られた共重合体を含む水分散体(不飽和カルボン酸単位含有量=22質量%)
ポリマーE:サンノプコ社製、商品名「SNディスパーザント5027」、アクリル酸アンモニウム/アクリル酸エステル共重合体(不飽和カルボン酸単位含有量=28質量%)
ポリマーF:東亞合成社製、商品名「アロン−A−6114」、アクリル酸ナトリウム/アクリル酸エステル共重合体(不飽和カルボン酸単位含有量≒70質量%)
サンプルB:上述の<(b2)樹脂の合成及び該樹脂を含有する塗工液の調製>
(サンプルB)で得られた共重合体を含む水分散体(不飽和カルボン酸単位含有量=10質量%)
ポリマーH:サンノプコ社製、商品名「SNディスパーザント5468」、ポリアクリル酸アンモニウム(不飽和カルボン酸単位含有量=100質量%)(ポリマーHは(b2)水溶性樹脂に該当しないが、便宜上表3〜5中(b2)欄に記載する)
サンプルC:特開2015−162312号公報実施例1に記載の方法により調製したブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸/エチレンジメタクリレート共重合体(共重合質量比=11/57/30/0.7)を含む(非水溶性)水分散体(不飽和カルボン酸単位含有量=44質量%、固形分濃度40質量%)(サンプルCは(b2)水溶性樹脂に該当しないが、便宜上表3〜5中(b2)欄に記載する)
<その他の樹脂>
PAN:上記<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(ポリアクリロニトリル)で得たポリアクリロニトリルを含む水分散体
CMC:カルボキシメチルセルロース
CRS:シアノエチルプルラン(製品名アノレジンCR−V、信越化学社製)
1A:<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(アクリル系共重合体)a.ポリマー1Aの製造で得たポリマー1Aを含むラテックス
<無機フィラー>
MgO:水酸化マグネシウム、平均粒径=880nm
BaTiO3:チタン酸バリウム、平均粒径=500nm
Al2O3:アルミナ、平均粒径0.7μm、BET表面積4m/g
焼成カオリン:カオリナイト(AlSi(OH))を主成分とする湿式カオリンを高温焼成処理したもの、平均粒径1.8μm
BaSO4:硫酸バリウム(体積平均粒子径0.5μm、比表面積5.5g/m2)
実施例N1
(1)(b1―2)樹脂の合成
温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を装着した4ツ口フラスコに、セバチン酸1モル、イソホロンジイソシアネート(IPDI)1モル、及びフッ化カリウム0.02モルを、固形分濃度が50質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、180℃で5時間攪拌して重合反応を行った。その後、NMPを加えて固形分濃度を10質量%に調整することにより、ポリアミド樹脂(PA1)を含有する溶液を得た。得られたポリアミド樹脂(PA1)の対数粘度は0.65dl/g、ガラス転移温度は130℃であった。
(2)転写フィルムの作製
(b1−2)樹脂として上記のポリアミド樹脂(PA1)を含有する溶液48質量部に、NMP48質量部及びエチレングリコール13質量部をこの順で加えて希釈した後、(b2)樹脂としてポリマーAの水溶液(水溶液)を、ポリアミド樹脂(PA1)100質量部に対する固形分換算量として1質量部加えることにより、多孔質層形成用の塗工液を調製した。
基材フィルムとしての、厚み50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム(東洋紡績製、品名「E5101」)の片面に、上記の塗工液をブレードコート法にて塗布した後、温度25℃及び絶対湿度1.8g/mの低湿度ゾーンを8秒間で通過させ、引き続き温度25℃及び絶対湿度12g/mの高湿度ゾーンを5秒間で通過させて、PETフィルム状に半ゲル状態のポリアミド樹脂(PA1)層を有する転写フィルムを得た。
(3)多孔質層の形成(セパレータの製造)
転写フィルムが高湿度ゾーンから出た1.7秒後に、ポリオレフィン多孔膜S1を上記転写フィルムのポリアミド樹脂側に重ね、NMPを5質量%含有する水溶液中に進入させた後、純水で洗浄し、更に70℃の熱風乾燥炉を通過させて乾燥することにより、膜厚2.6μmの多孔質質層を片面に有するセパレータを製造した。転写フィルムの積層に際して、ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理を行わなかった。
(4)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表N1に示した。
実施例N2
(1)(b1―2)樹脂の合成
温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を装着した4ツ口フラスコに、トリメリット酸無水物(TMA)1モル、o−トリジンジイソシアネート(TODI)0.8モル、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)0.2モル、及びフッ化カリウム0.01モルを、固形分濃度が20質量%となるようにNMPと共に仕込み、100℃において5時間攪拌下に重合反応を行った。反応終了後、反応混合物の固形分濃度が14質量%となるようにNMPで希釈することにより、ポリアミドイミド樹脂(PAI1)を含有する溶液を合成した。得られたポリアミドイミド樹脂(PAI1)の対数粘度は1.35dl/g、ガラス転移温度は320℃であった。
(2)転写フィルムの作製
(b1−2)樹脂として上記のポリアミドイミド樹脂(PAI1)を含有する溶液にNMPを加えて希釈した後、(b2)樹脂としてポリマーAの水溶液を、ポリアミドイミド樹脂(PAI1)100質量部に対する固形分換算量として1質量部加えて、塗工液を調合した。この塗工液調合の作業は、湿度10%以下の乾燥気流中で行い、吸湿を極力防止した。前記塗工液の水分率は0.2質量%であった。
上記の塗工液を用い、基材フィルムとして厚み50μm、表面線状オリゴマー量68μg/mのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムを使用した他は上記実施例N1と同様にして、PETフィルム状に半ゲル状態のポリアミドイミド樹脂(PAI1)層を有する転写フィルムを得た。
(3)多孔質層の形成(セパレータの製造)
上記の転写フィルムを用いて上記実施例N1と同様に操作することにより、膜厚2.9μmの多孔質層を片面に有するセパレータを製造した。
(4)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表N1に示した。
実施例N3
(1)(b1―2)樹脂の合成
NMP4,200gに塩化カルシウム272.7gを溶解した後、パラフェニレンジアミン132.9gを添加して完全に溶解させ、溶液を得た。得られた溶液に、テレフタル酸ジクロライド243.3gを徐々に添加して重合し、パラアラミド樹脂(PA2)を含有する溶液を得た。
(2)塗工液の調製
上記のパラアラミド樹脂(PA2)を含有する溶液をNMPで希釈して、固形分濃度を2.0質量%に調整した後、ここに無機フィラーとして、アルミナ(1)(日本アエロジル社製、アルミナC、平均粒子径0.02μm)2g、及びアルミナ(2)(住友化学株式会社製スミコランダム、AA03、平均粒子径0.3μm)2gを加えた。更に、(b2)樹脂としてポリマーAの水溶液を、パラアラミド樹脂(PA2)、アルミナ(1)、及びアルミナ(2)の合計100質量部に対する固形分換算量として1質量部加えた。得られた混合物を、ナノマイザーで3回処理し、1,000メッシュの金網でろ過した後、減圧下で脱泡することにより、多孔質層形成用の塗工液を調製した。この塗工液において、パラアラミド樹脂(PA2)及びアルミナ(アルミナ(1)及びアルミナ(2))の合計質量に対するアルミナの質量は、67質量%である。
(3)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1を、厚み100μmのPETフィルム上に固定し、テスター産業株式会社製バーコータを用いて上記の塗工液を塗工した。塗工に際してポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理を行わなかった。
次いで、上記PETフィルム、ポリレフィン多孔性基材S1、及び塗工膜を一体としたまま、貧溶媒である水中に浸漬させ、パラアラミド多孔質層(耐熱性多孔質層)を析出させた。その後、PETフィルムを剥離することにより、膜厚4μmのパラアラミド多孔質層(耐熱性多孔質層)を片面に有する層厚16μmのセパレータを得た。
(4)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表N1に示した。
実施例N4
(1)塗工液の調製
本実施例における(b1―2)樹脂としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(帝人テクノプロダクツ社製、登録商標「コーネックス」、以下「PA3」)を用いた。
このポリメタフェニレンイソフタルアミドを、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)とから成る混合溶媒(質量比50:50)に溶解させ、ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液に、無機フィラーとして水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、キスマ−5P、平均粒子径1.0μm)を分散させた。ここに更に、ポリマーAの水溶液を、PA3及び無機フィラーの合計100質量部に対する固形分換算量として1質量部加えることにより、塗工液を調製した。
この塗工液は、PA3の濃度が5.5質量%であり、そして、PA3と無機フィラーとの質量比が25:75となるように調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
マイヤーバーを2本対峙させ、その間に上記の塗工液を適量載置した。
ポリオレフィン多孔性基材S1にコロナ放電処理を施すことなく、上記塗工液が載置されたマイヤーバー間を通過させて、基材S1の表裏両面に前記塗工液を塗工した。ここで、マイヤーバー間のクリアランスは20μmに設定し、マイヤーバーは2本とも番手#6を用いた。
塗工後の基材S1を40℃の凝固液(水:DMAc:TPG=50:25:25[質量比])に浸漬した後、水洗及び乾燥を行うことにより、基材の表裏両面に多孔質層が形成されたセパレータを得た。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表N1に示した。
実施例N5
(1)塗工液の調製
本実施例における(b1−2)樹脂としては、上記実施例N2の「(1)(b1)樹脂の合成」において得られたポリアミドイミド樹脂(PAI1)を用いた。
該ポリアミドイミド樹脂(PAI1)を含有する溶液、平均粒径0.5μmのアルミナ粒子(アルミナ(3))、及びNMPを26(固形分換算値):34:40の質量比で混合した。ここに、(b2)樹脂として、ポリマーAの水溶液を、PAI1及びアルミナの合計100質量部に対する固形分換算値として1質量部加え、混合液とした。この混合液を、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製、登録商標「トレセラム」、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)を用いて6時間浸透分散させた後、濾過限界5μmのフィルターで濾過することにより、多孔質層形成用塗工液を調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、その両面に、それぞれ、グラビアコーターを用いて上記で調製した塗工液を当量塗布した。その後、温度25℃及び絶対湿度1.8g/mの低湿度ゾーンを8秒間で通過させ、引き続き温度25℃及び絶対湿度12g/mの高湿度ゾーンを5秒間で通過させた。次いで、NMP5質量%を含有する水中に10秒間浸漬した。更に、純水で洗浄した後、70℃の熱風乾燥炉を通過させて乾燥することにより、膜厚1.5μmの多孔質膜を両面に有するセパレータを得た。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表N1に示した。
実施例N6
(1)塗工液の調製
本実施例では、(b1―2)樹脂として、新日本理化株式会社製、品名「リカコート」(新日本理化株式会社製、品名「リカコート」、ポリマー濃度20質量%のポリイミド樹脂のNMP溶液)を用いた。
このポリイミド樹脂溶液に、平均粒子径0.8μmの水酸化アルミニウム(昭和電工社製;H−43M)を、ポリマー質量に対して4倍量(体積比としては2.2倍)入れて分散し、分散液を得た。次いでこの分散液に、(b2)樹脂として、ポリマーAの水溶液を、ポリイミド樹脂(固形分)及び水酸化アルミニウムの合計100質量部に対する固形分換算値として1質量部加えた。更に、固形分濃度が4.5質量%となるようにNMPを加えで希釈することにより、多孔質層形成用塗工液を調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
マイヤーバーを2本対峙させ、その間に上記の塗工液を適量載置した。
ポリオレフィン多孔性基材S1にコロナ放電処理を施すことなく、上記塗工液が載置されたマイヤーバー間を通過させて、基材S1の表裏両面に前記塗工液を塗工した。ここで、マイヤーバー間のクリアランスは30μmに設定し、マイヤーバーは2本とも番手#6を用いた。
塗工後の基材S1を50℃の凝固液(水:NMP=50:50[質量比])に浸漬した後、水洗及び乾燥を行うことにより、基材の表裏両面に多孔質層が形成されたセパレータを得た。このセパレータにおける多孔質層の塗工量は、両面合計で5.94g/mであった。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表N1に示した。
実施例N7〜N17
上記実施例N3において、(b2)樹脂の種類及び使用量を、それぞれ、表N1に記載のとおりに変更した他は実施例N3と同様にして塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを製造して評価した。評価結果は、表N1に示した。
実施例N18
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をした後に塗工を行った他は、上記実施例N3と同様にして、セパレータを製造して評価した。
評価結果は表N1に示した。
比較例N1
実施例N3において、(b2)樹脂としてのポリマーAの水溶液を添加しなかった他は実施例N3と同様にして塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを製造して評価した。評価結果は、表N1に示した。
比較例N2
実施例N5において、(b2)樹脂としてのポリマーAの水溶液を添加しなかった他は実施例N5と同様にして塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを製造して評価した。評価結果は、表N1に示した。
比較例N3
本比較例では、(b1―2)樹脂を使用せず、代わりにその他の樹脂を使用して塗工液を調製し、評価した。
(1)塗工液の調製
上記の<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(アクリル系共重合体)c.ポリマー1Aを含有する水分散体の調製において得られたアクリル系共重合体を含有する水分散体に、平均粒径0.7μm、BET比表面積4m/gのアルミナ(アルミナ(4))を、ポリマー:アルミナの質量比が10:90になるように加えた。
このスラリーに、(b2)樹脂として、ポリマーAの水溶液を、アクリル系共重合体及びアルミナの合計100質量部に対する固形分換算値として1質量部加えることにより、多孔質層形成用塗工液を調製した。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、その片面に、グラビアコーターを用いて上記で調製した塗工液を塗布し、温度60℃において乾燥することにより、膜厚2.0μmの多孔質膜を有するセパレータを得た。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表N1に示した。
比較例N4〜N6
上記比較例N3において、基材の種類、(b2)樹脂の種類及び使用量を、それぞれ、表N1に記載のとおりに変更した他は比較例N3と同様にして塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを製造して評価した。評価結果は、表N1に示した。
比較例N7
(1)塗工液の調製
硫酸バリウム(体積平均粒子径0.5μm、比表面積5.5g/m2)を100部、(b2)樹脂として、下記サンプルC(固形分濃度40質量%)分散液を1.5質量部(固形分換算値)添加し、上記<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(アクリル系共重合体)で得たポリマー1Aを含有する水分散体を5質量部(固形分換算値)、及び水を混合した。水の量は、固形分濃度が50質量%となるように調整した。メディアレス分散装置を用いて混合物を処理し、分散させることにより、多孔質層形成用塗工液を得た。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、グラビアコーターを用いて上記で調製した塗工液をその両面に当量塗布した後、60℃において乾燥することにより、片面当たりの厚さが2.0μmの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表N1に示した。
比較例N8
(1)塗工液の調製
上記<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(ポリアクリロニトリル)で得たポリアクリロニトリル粒子を含有する水分散体100質量部(ポリアクリロニトリル粒子換算量として10質量部)、上記<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(アクリル系共重合体)a.ポリマー1Aの製造で得たポリマー1Aを含有する分散液1.0質量部(固形分換算値)、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.15質量部(固形分換算値)を混合した。このスラリーに、(b2)樹脂としてポリマーFを、ポリアクリロニトリル、アクリル系共重合体、CMCの固形分の合計100質量部に対する固形分換算量1質量部及び水を混合した。水の量は、固形分濃度が50質量%となるように調整した。メディアレス分散装置を用いて混合物を処理し、分散させ、多孔質層形成用塗工液を得た。
(2)多孔質層の形成(セパレータの製造)
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をすることなく、グラビアコーターを用いて上記で調製した塗工液をその両面に当量塗布した後、60℃において乾燥することにより、片面当たりの厚さが2.0μmの多孔質層を両面に有するセパレータを製造した。
(3)評価
上記で得たセパレータを用いて上述の手法に従って各種の評価を行った。
評価結果は、表N1に示した。
参考例N1及びN2
ポリレフィン多孔性基材S1に対してコロナ放電処理をした後に塗工を行った他は、
参考例N1は上記比較例N1と同様に、
参考例N2は上記比較例N2と同様にして、それぞれ、セパレータを製造して評価した。
評価結果は表N1に示した。
Figure 2017139117
Figure 2017139117
Figure 2017139117
上記の表N1における「酸モノマー比」とは、当該ポリマーにおけるカルボキシル基を有するモノマーの共重合割合を表し、「カチオン種」とは当該モノマーのカルボキシル基のカウンターカチオンの種類を表す。
表F1における各成分の略称は、それぞれ、以下の意味である。
<(b1−2)樹脂>
PA1:上記実施例N1の「(1)(b1)樹脂の合成」で得られた、セバチン酸及びIPDIから合成されたポリアミド樹脂
PAI1:上記実施例N2の「(1)(b1)樹脂の合成」で得られた、TMA、TODI、及びTDIから合成されたポリアミドイミド樹脂
PA2:上記実施例N3の「(1)(b1)樹脂の合成」で得られた、パラフェニレンジアミン及びテレフタル酸ジクロライドから合成されたパラアラミド樹脂
PA3:ポリメタフェニレンイソフタルアミド、帝人テクノプロダクツ社製、登録商標「コーネックス」
PI1:新日本理化株式会社製、品名「リカコート」、ポリマー濃度20質量%のポリイミド樹脂のNMP溶液
<(b2)樹脂>
ポリマーA:東亞合成社製、商品名「ジュリマーAT−613」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%、Tg=76℃、固形分濃度25質量%
ポリマーB:東亞合成社製、商品名「ジュリマーAT−210」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%、Tg=−7.5℃、固形分濃度30質量%
ポリマーC:東亞合成社製、商品名「ジュリマーET−325」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=5質量%、Tg=28℃、固形分濃度30質量%
ポリマーD:東亞合成社製、商品名「ジュリマーAT−510」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%、Tg=27.5℃、固形分濃度30質量%
サンプルA:上述の<(b2)樹脂の合成及び該樹脂を含有する塗工液の調製>
(サンプルA)で得られた共重合体を含む水分散体
ポリマーE:サンノプコ社製、商品名「SNディスパーザント5027」、アクリル酸アンモニウム/アクリル酸エステル共重合体(不飽和カルボン酸単位含有量=28質量%)
ポリマーF:東亞合成社製、商品名「アロン−A−6114」、アクリル酸ナトリウム/アクリル酸エステル共重合体(不飽和カルボン酸単位含有量≒70質量%)
サンプルB:上述の<(b2)樹脂の合成及び該樹脂を含有する塗工液の調製>
(サンプルB)で得られた共重合体を含む水分散体(不飽和カルボン酸単位含有量=10質量%)
ポリマーH:サンノプコ社製、商品名「SNディスパーザント5468」、ポリアクリル酸アンモニウム(不飽和カルボン酸単位含有量=100質量%)(ポリマーHは(b2)水溶性樹脂に該当しないが、便宜上表6〜8中(b2)欄に記載する)
サンプルC:特開2015−162312号公報実施例1に記載の方法により調製したブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸/エチレンジメタクリレート共重合体(共重合質量比=11/57/30/0.7)を含む(非水溶性)水分散体(不飽和カルボン酸単位含有量=44質量%、固形分濃度40質量%)(サンプルCは(b2)水溶性樹脂に該当しないが、便宜上表6〜8中(b2)欄に記載する)
<その他の樹脂>
アクリル系:<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(アクリル系共重合体)c.ポリマー1Aを含有する水分散体の調製において得られたアクリル系共重合体を含有する水分散体
PAN:<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(ポリアクリロニトリル)で得られたポリアクリロニトリル粒子を含有する水分散体
1A:<その他の樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製(比較例)>(アクリル系共重合体)a.ポリマー1Aの製造で得られたポリマー1Aを含むラテックス
CMC:カルボキシメチルセルロース
<無機フィラー>
アルミナ(1):日本アエロジル社製、アルミナC、平均粒子径0.02μm、
アルミナ(2):住友化学株式会社製スミコランダム、AA03、平均粒子径0.3μm
アルミナ(3):平均粒径0.5μmのアルミナ粒子
アルミナ(4):平均粒径0.7μm、BET比表面積4m/gのアルミナ
Al(OH)3:昭和電工社製、品名「H−43M」、平均粒子径0.8μmの水酸化アルミニウム
Mg(OH)2:協和化学工業社製、品名「キスマ−5P」、平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム
焼成カオリン:カオリナイト(AlSi(OH))を主成分とする湿式カオリンを高温焼成処理したもの、平均粒径1.8μm
BaSO4:硫酸バリウム(体積平均粒子径0.5μm、比表面積5.5g/m

Claims (9)

  1. (A)ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、
    (B)(b1)フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体、ポリアミド、ポリアミドイミド、及びポリイミドから選択される1種以上の樹脂と、
    (b2)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルの共重合体であって、
    不飽和カルボン酸単位を1質量%以上70質量%以下有し、
    前記不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基のうちの少なくとも一部がアンモニウム塩又はアルカリ金属塩になっている水溶性樹脂と、
    を含有する多孔質層
    を備えることを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータ。
  2. 前記(B)多孔質層が無機フィラーを更に含有する、請求項1に記載のセパレータ。
  3. 前記(b1)樹脂が、フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体及び芳香族ポリアミドから選択される、
    請求項1又は2に記載のセパレータ。
  4. 前記(b1)樹脂におけるフッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体が、該重合体の有機溶媒溶液を用いて得られたものである、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のセパレータ。
  5. 前記(b2)水溶性樹脂における不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基のうちの少なくとも一部がアンモニウム塩になっている、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のセパレータ。
  6. 前記(b2)水溶性樹脂における不飽和カルボン酸単位の含有量が1質量%以上28質量%以下である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のセパレータ。
  7. 前記(b2)水溶性樹脂における不飽和カルボン酸単位の含有量が1質量%以上22質量%以下である、
    請求項6に記載のセパレータ。
  8. 前記(b2)水溶性樹脂の含有量が、(B)多孔質層の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下である、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載のセパレータ。
  9. (A)ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、コロナ放電処理を行った後に、又はコロナ放電処理を行わずに、
    (B)(b1)フッ素原子を有するビニル化合物の(共)重合体、ポリアミド、ポリアミドイミド、及びポリアミドから選択される1種以上の樹脂と、
    (b2)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルの共重合体であって、
    不飽和カルボン酸単位を1質量%以上70質量%以下有し、
    前記不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基のうちの少なくとも一部がアンモニウム塩又はアルカリ金属塩になっている水溶性樹脂と、
    を含有する多孔質層を形成する工程を含むことを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
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