本明細書における実施例の詳細な説明は、添付の図面を参照しているが、これらの図面は、本開示における、ある特定の実施例を示すものである。したがって、これらとは異なる構造及び動作を有する他の実施例も、本開示の範囲から必ずしも逸脱するものではない。なお、異なる図面において、同じ符号は同一の要素又はコンポーネントを示している。
本明細書における特定の文言は、単に便宜のために用いられているのであって、説明している例を限定するものとして解釈されるべきではない。例えば、「近位」、「遠位」、「頂部」、「底部」、「上側」、「下側」、「左」、「右」、「水平」、「垂直」、「上方」、「下方」等に関する用語は、単に、図面に示す構成や説明される図面の配向を基準とした相対的な位置関係を説明しているにすぎない。実際、実施例のコンポーネントは、多くの異なる配向をとることができる。したがって、方向に関する用語は、図示を目的として用いられているものであって、限定的な意味はない。なお、本開示の範囲を逸脱することなく、他の実施例を用いたり、構造的又は論理的観点に基づき変更を加えたりすることが可能である。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるべきではなく、本開示の範囲は、添付する請求の範囲により規定される。
図1は、本開示の実施例による飽和抑制式電磁装置100の例を示す端部斜視図である。図1に示す飽和抑制式電磁装置100は、線形インダクタ又は変圧器として構成することができる。飽和抑制式電磁装置100は、コア102を含み、矢印で示すように、当該コア102において、この内部を流れる磁束104が生成される。図1に示す例において、コア102は、積層構造体106を含む長状コアである。積層構造体106は、積層又は隣接して設けられた複数のプレート108又は複数の層を含む。プレート108は、シリコン合金鋼、鉄ニッケル系合金、又は、本明細書で説明する磁束と同様の磁束104を生成可能な他の金属材料から形成されうる。例えば、コア102は、約20重量%の鉄および約80重量%のニッケルを含む鉄ニッケル系合金であってもよい。プレート108は、飽和抑制式電磁装置100の用途および当該電磁装置100が設けられている環境に応じて、実質的に方形又は矩形であってもよいし、これら以外の幾何学形状であってもよい。例えば、実質的に方形又は矩形の各プレート108は、特定の用途に適した、任意の多角形の形状とすることができる。他の例において、コア102は、一体構造体を含むものであってもよい。
プレート108の各々には開口部が形成されており、これらの開口部を整列させることにより、コア102を貫通する1つの開口部110、すなわち通路が形成されている。この場合、プレート108は、当該プレートの開口部が互いに整列した状態で、互いに積層されている。開口部110、すなわち通路は、実質的にコア102の中央又は中央部に形成されており、かつ、積層体の各プレート108が規定する平面に対して実質的に垂直に延びている。他の例において、特定の磁束を形成する目的、或いは所定の制約条件を満たす目的から、開口部110を、各プレート108が規定する平面において、コア102の中央部からずれて形成してもよい。開口部110の断面は、開口部110の高さよりも大きい長さを有する長状スロット112を規定している。
開口部110内にはスペーサ114が設けられており、コア102を貫通している。スペーサ114は、コア102を通るチャネル116を規定している。チャネル116の断面は、チャネル116の高さに比して横に長い長状アパーチャ118を規定している。
一次導体巻線120は、チャネル116に受容されるとともに、各プレート108の平面に垂直なコア102を貫通している。図1に示す例では、一次導体巻線120は、複数の導電体122又は複数のワイヤを含んでいる。なお、一次導体巻線120は、少なくとも1つの導電体を含むものであればよい。また、それらの導電体は、チャネル116を複数回に亘って通過する、或いは、巻回される構成であってもよい。他の例においては、一次導体巻線120は、単一の導電体であってもよい。例えば、一次導体巻線120は、リボン形状の導電体であってもよい。
一次導体巻線120を流れる電流は、導電体122の各々の周り、又は、一次導体巻線120の周囲に磁場を生成する。磁場は電磁エネルギーを有している。スペーサ114は、電磁エネルギー又は磁束104のうちの所定量を吸収する構造或いは構成(configuration)124を有している。電磁エネルギー又は磁束104の残りの部分は、コア102によって吸収され、コア102を流れる磁束が生成される。このようなスペーサ114の構成124により、スペーサ114に吸収される電磁エネルギーの分量又は磁束の分量の調節が可能となるので、コア102の飽和を防止したり、飽和抑制のためのより高い抵抗性を電磁装置100に持たせたりすることができる。一次導体巻線120を流れる電流に応じてコア102が飽和状態となるが、その場合には、コア102が吸収又は受容しうる電磁エネルギー又は磁束の最大量或いはそれ以上の量が生成されている。
スペーサ114は、コア102の内面128に接するスペーサ114の外壁とチャネル116を規定するスペーサ114の内壁130との間で、所定の厚み「T」を有する。一例によれば、スペーサ114の厚み「T」は、コア102の内面128とコア102の外面132との間における、コア102の厚み「W」以上となっている。例えば、スペーサ114の厚み「T」は、コア102の厚み「W」の約2倍である。図2も参照すると、図2は、本開示の他の例による飽和抑制式電磁装置200の例を示す端面図である。飽和抑制式電磁装置200は、図1に示す飽和抑制式電磁装置100と類似しているが、スペーサ114の厚み「T」が、コア102の厚み「W」よりも小さい点が異なる。他の例において、スペーサ114の厚み「T」は、コア102の厚み「W」と等しくてもよい。
スペーサ114の構成124は、一次導体巻線120とコア102との間の磁気結合を、予め設定された所定量だけ小さくするように適合化されている。ここで所定量とは、コア102の飽和を防止する量、又は、コア102の飽和の原因となりうる電磁エネルギー若しくは磁束の大きさを低減しうる量である。一例において、スペーサ114は、非磁性材料又は非鉄材料を含みうる。他の例においては、図3に示すように、スペーサ114の構成124によって、磁束に対する抵抗および吸収の量(「磁束抵抗吸収量」)300を規定してもよい。図3も参照すると、図3は、本開示のさらなる例による飽和抑制式電磁装置302の例を示す端面図である。飽和抑制式電磁装置302は、図1に示す飽和抑制式電磁装置100と類似しているが、スペーサ114が、上記の磁束抵抗吸収量300を規定する構成124を含む点が異なる。スペーサ114は、一または複数の磁束抵抗特性及び/又は一または複数の磁束吸収特性を有する材料を含む。例えば、スペーサ114には、所定濃度の導電性又は半導電性の粒子304が含浸されており、当該粒子が、一定量の電磁エネルギー又は磁束104を吸収するとともに、電磁エネルギー又は磁束104を熱エネルギーに変換することにより、コア102の飽和を防ぐことができる。上記所定濃度の導電性又は半導電性の粒子304は、所定の材料から選択されるものであってもよい。非限定的な例として、粒子304に用いられる材料としては、カーボン粒子、アルミニウム粒子、鉄粒子のほか、所定量の電磁エネルギー若しくは磁束104を吸収することができる他の粒子が挙げられる。したがって、導電性又は半導電性の粒子304の濃度及び粒子のタイプを管理又は調節することによって、スペーサ114により吸収される電磁エネルギー又は磁束104の量を制御することができる。
スペーサ114において、導電性又は半導電性の粒子304の濃度を高くすると、スペーサ114が吸収する電磁エネルギー又は磁束104はより多くなり、コア102が受け取る電磁エネルギー又は磁束104はより少なくなる。これに基づき、スペーサ114を形成する際に、導電性又は半導電性の粒子304の濃度及び材料のタイプを調節してもよい。そうすれば、スペーサ114が吸収する電磁エネルギー又は磁束104の量を所望の値とし、かつ/又は、コア102に入る電磁エネルギー及びコア102を流れる磁束104の大きさを所定量だけ低減することができ、ひいては、一次導電巻線に入力される特定の電圧及び電流に起因する飽和を防止することができる。また、一次導体巻線120の電流により生成される磁束104の総量を不変として比較した場合、本実施例のコア102の内面128における磁場密度は、相対的に小さい。すなわち、飽和抑制式電磁装置302のコア102は、スペーサ114を用いない場合に比べ、より大きな電流が一次導体巻線120を流れたときに飽和状態となる、あるいは、最大量の電磁エネルギー又は磁束を吸収する。これは、本明細書で説明するスペーサ114の構成124に基づくものである。
図4Aは、本開示の他の例による、飽和抑制式電磁装置400の例を示す端面図である。飽和抑制式電磁装置400は、変圧器として構成可能であり、例えば、チャネル116及びコア102を通る一次導体巻線402と二次導体巻線404とを含む。この点を除けば、飽和抑制式電磁装置400は、飽和抑制式電磁装置100、200、302と同一である。例えば、一次導体巻線402は、複数の導電体ワイヤ406を含み、二次導体巻線404は、複数の導電体ワイヤ408を含む。一次導体巻線402の複数の導電体ワイヤ406は、チャネル116において互いに隣接して設けられていてもよい。二次導体巻線の複数の導電体ワイヤ408も、チャネル116において互いに隣接して設けられていてもよい。一次導体巻線402及び二次導体巻線404は、チャネル116において互いに隣接して設けられていてもよい。
導電体ワイヤ406及び408は、図4Aの例においては、円形断面を有しているが、他の断面形状を有する導電体ワイヤを用いることもできる。そのような断面形状としては、例えば、本願と同じ譲受人に譲渡され、参照により本明細書に盛り込まれている米国特許第9,159,487号「線形電磁装置(Linear Electromagnetic Device)」に記載されているような方形断面又は矩形断面などが挙げられる。
図4Bを参照すると、図4Bは、図4Aの飽和抑制式電磁装置400を含む電気回路410の例を示すブロック概略図である。例えば、一次導体巻線402は、電力の供給源412に電気的に接続され、二次導体巻線404は、負荷414に接続される。
図1〜4における例示的な電磁装置100、200、302、400は、軽量化された新たなインダクタ又は変圧器として設計することができる。これは、コア102の一部を重量のより軽いスペーサ114に置き換えており、且つ、スペーサ114及び安価な製造技術を用いて、調節可能な小さいインダクタンス値を実現することが可能であることによる。一次導体巻線120とコア102との間に挿入された非磁性材料を含むスペーサ114は、当該スペーサ114の厚み「T」に対応する、一次導体巻線120とコア102の内面128との間の離間距離を実現する。この離間距離により、調節可能にインダクタンスが低減されるので、電磁装置100、200、302、400の実効インダクタンス(effective inductance)を低減させることができる。また、インダクタンス及び飽和の低減により、電磁装置100、200、302、400は、ノイズ信号により適切に応答することができる。
本明細書に説明されているように、他の例においては、スペーサ114には、インダクタ効率をさらに低減するために、導電性又は半導電性の粒子304が含浸されている。例えば、30アンペア直流(A DC)信号は、わずかな部分を除き、コア102の大部分を飽和状態とする。ノイズがこの30A DC信号上に付加されると、コア102は、飽和によりノイズに対して適切に応答できない場合がある。これに対し、スペーサ114を用いると、コア102は、ノイズに応答しうる。スペーサ114によれば、磁束104の全体量は同じであるが、コア102の内面128におけるエネルギー密度が低減される。コア102の内面128におけるエネルギー密度が低くなると、コア102を貫通する電磁エネルギー又は磁束104の量が少なくなる。また、電磁装置100、200、302、400は、必要な材料が少なくてすむとともに、インダクタンスをより低くすることができる。さらに、電磁装置100、200、302、400は、飽和状態とならざるをえないコア102の一部をスペーサ114と置き換えることにより、軽量化することができる。本明細書の説明に係る電磁装置100、200、302、400の例は、小型で軽量化されたインダクタの実現に資するものであり、これらのインダクタは、従来、高電流によりコア102が飽和状態又は略飽和状態となり、装置の信号フィルタリング機能が低下する状況にあったのに対し、より高い電流用のフィルタに要求される誘導条件(induction requirements)を満たし得るように構成されている。
図5は、本開示の例による、電磁装置の飽和を防止するための方法500の例を示すフローチャートである。ブロック502において、内部で磁束を生成可能なコアが用意される。コアは、図1に示す例示的なコア102と同様の長状コアであり、積層された複数のプレート又は薄層を有する積層構造体を含む。他の例において、コアは、一体構造で形成されてもよい。開口部は、コアを通って形成されている。開口部は、例えば、コアの実質的な中央に形成され、開口部の断面は、コアを通る長状スロットを規定している。
ブロック504において、スペーサは、コアの開口部内に設けられ、当該コアを貫通する。スペーサは、コアを通るチャネルを規定する。スペーサは、一次巻線と飽和抑制式電磁装置のコアとの間の磁気結合を、コアの飽和を防止する所定の量だけ小さくするように適合化された構成を有する。スペーサの当該構成は、磁束抵抗特性又は磁束吸収特性を有する材料をスペーサに含ませたものとして実現しうる。スペーサの構成は、例えば、所定濃度の導電性又は半導電性の粒子をスペーサに含浸させることにより実現可能であり、当該所定濃度の粒子は、磁束を一定量吸収するとともに、磁束を熱エネルギーに変換して、コアの飽和を防ぐ。
ブロック506において、一次導体巻線は、スペーサのチャネル及びコアを通って延設される。一次導体巻線は、チャネルを通る単一の導体ワイヤ又は複数の一次導体ワイヤである。各導体は、所定の断面を含む。例えば、各導体は、飽和抑制式電磁装置の設計及び/又は用途に応じて、円形、方形、矩形、又は他の断面を有する。導体ワイヤは、チャネル内において、一列で互いに隣接して設けられてもよいし、他の構成で設けられてもよい。
ブロック508では、飽和抑制式電磁装置による変圧器を構成するために、1つ又は複数の二次巻線がチャネルを通って延設される。1つ又は複数の二次導体巻線の各々は、チャネルを通って延びる単一の二次導体ワイヤ又は複数の二次導体ワイヤを含む。1つ又は複数の二次導体ワイヤは、例えば、円形、方形、矩形、又はこれら以外の形状の所定断面を含む。二次導体ワイヤは、チャネル内において、一列で互いに隣接して設けられてもよいし、他の構成で設けられてもよい。二次導体巻線は、チャネル内において、一次導体巻線に隣接して設けられてもよい。
ブロック510において、一次導体巻線は、例えば、電力の供給源に接続される。飽和抑制式電磁装置が変圧器として構成されている場合、二次導体巻線は、例えば、負荷に接続される。
ブロック512において、一次導体巻線の周りに磁場を生成するために、当該一次導体巻線に電流が流される。磁場は、電磁エネルギーを有する。上述したように、スペーサは、電磁エネルギー又は磁束のうちの一部である所定量を吸収しうる構成を含み、電磁エネルギーの残りの部分は、コアによって吸収されることにより当該コアを流れる磁束が生成される。スペーサに吸収あるいは受容される電磁エネルギー又は磁束の上記所定量は、スペーサの構成に基づき定まる。例えば、上記所定量は、チャネルとコアの内面との間のスペーサの大きさすなわち厚みに応じて定まるとともに、当該スペーサを形成する材料の種類にも対応して定まりうる。なお、この材料は、スペーサ内において所定の電気特性又は磁気特性を有することにより、電磁エネルギーを吸収してこれを熱エネルギーに変換するものであってもよい。このような構成を有するスペーサによれば、従来より高い電流が一次導体巻線を流れる場合であっても、飽和抑制式電磁装置のコアが飽和すること、すなわち磁束の吸収量が最大となることを防止することができる。
図面におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施例による、システム、方法、及びコンピュータプログラム製品の実現可能な実施形態のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。この点において、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、又は、命令の一部を表すこともあり、これらは、特定の1つ又は複数の論理機能を実行するための1つ又は複数の実行可能な命令を含む。いくつかの代替の実施形態において、ブロックで述べられている機能は、図示の順序とは異なる順序で実行してもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、その機能に応じて、実質的に同時に実行されてもよいし、逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、及び、ブロック図及び/又はフローチャート図におけるブロックの組み合わせは、特定の機能若しくは動作を実行するか、或いは、特定用途のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する特定用途のハードウェアベースのシステムによって実施することができる。
さらに本開示は、以下の付記による例を含む。
付記1.内部で磁束(104)を生成可能なコア(102)と;前記コアを通る開口部(110)と;前記開口部内に設けられ、前記コアを貫通するとともに、前記コアを通るチャネル(116)を規定するスペーサ(114)と;前記スペーサの前記チャネルに受容され、前記コアを貫通する一次導体巻線(120)と、を備える飽和抑制式電磁装置(100,200,302,400)であって、前記一次導体巻線を流れる電流は、前記一次導体巻線の周りに磁場を生成し、前記磁場は、電磁エネルギーを有しており、前記スペーサは、前記電磁エネルギーの所定量を吸収する構成を有しており、前記電磁エネルギーの残りの部分は、前記コアによって吸収されることにより、前記コアを流れる磁束が生成される、飽和抑制式電磁装置(100,200,302,400)。
付記2.前記スペーサの前記構成は、前記一次導体巻線と前記コアとの間の磁気結合を、前記コアの飽和を防止する所定量だけ小さくするように適合化されている、付記1に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記3.前記スペーサの前記構成は、磁束抵抗吸収量(300)を規定する、付記1に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記4.前記スペーサは、非磁性材料を含む、付記1に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記5.前記スペーサは、磁束抵抗特性又は磁束吸収特性を有する材料を含む、付記1に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記6.前記スペーサには、前記磁束を一定量吸収するとともに、前記磁束を熱エネルギーに変換して前記コアの飽和を防ぐ所定濃度の導電性又は半導電性の粒子(304)が含浸されている、付記1に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記7.前記導電性又は半導電性の粒子は、カーボン粒子、アルミニウム粒子、及び鉄粒子のうちの少なくとも1つを含む、付記6に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記8.前記スペーサは、前記コアの内面(128)に接する外壁(126)と前記チャネルを規定する内壁(130)との間で、所定の厚み(T)を有する、付記1に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記9.前記スペーサの前記所定の厚みは、前記コアの厚み以上である、付記8に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記10.磁場密度は、前記コアの内面では相対的に小さく、前記一次導体巻線の前記電流により生成される磁束の総量は変わらない、付記1に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記11.前記コアは、一体構造体、又は、互いに積層された複数のプレート(108)を含む積層構造体(106)のうちの一方を含む長状コアである、付記1に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記12.内部で磁束を生成可能なコア(102)と;前記コアを通り、断面が長状スロット(112)を規定する開口部(110)と;前記開口部内に設けられ、前記コアを貫通するとともに、前記コアを通るチャネル(116)を規定するスペーサであって、前記チャネルの断面が長状アパーチャ(118)を規定するスペーサと;前記スペーサの前記チャネルに受容され、前記コアを貫通する一次導体巻線(120)と、を備える飽和抑制式電磁装置(100,200,302,400)であって、前記一次導体巻線を流れる電流は、前記一次導体巻線の周りに磁場を生成し、前記磁場は、電磁エネルギーを有し、前記スペーサは、前記電磁エネルギーの所定量を吸収する構成(124)を含み、前記電磁エネルギーの残りの部分は、前記コアによって吸収されることにより、前記コアを流れる磁束が生成される、飽和抑制式電磁装置(100,200,302,400)。
付記13.前記スペーサの前記構成は、前記一次導体巻線と前記コアとの間の磁気結合を、前記コアの飽和を防止する所定量だけ小さくするように適合化されている、付記12に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記14.前記スペーサは、非磁性材料を含む、付記13に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記15.前記スペーサは、磁束抵抗特性又は磁束吸収特性を有する材料を含む、付記13に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記16.前記スペーサには、前記磁束を一定量吸収するとともに、前記磁束を熱エネルギーに変換して前記コアの飽和を防ぐ所定濃度の導電性又は半導電性の粒子(304)が含浸されている、付記15に記載の飽和抑制式電磁装置。
付記17.内部で磁束を生成可能なコアを用意し(502);前記コアを通るチャネルが規定されるように、前記コアの開口部内に前記コア内を延びるスペーサを設け(504);前記スペーサの前記チャネル及び前記コアを通って一次導体巻線を延設し(506);前記一次導体巻線に電流を流すことにより前記一次導体巻線の周りに磁場を生成させる(512)、各工程を有する、電磁装置の飽和を防止する方法(500)であって、前記磁場は、電磁エネルギーを有し、前記スペーサは、前記電磁エネルギーの所定量を吸収する構成を有し、前記電磁エネルギーの残りの部分は、前記コアによって吸収されることにより、前記コアを流れる磁束が生成される、方法。
付記18.さらに、一次導体巻線と前記コアとの間の磁気結合が前記コアの飽和を防止する所定量だけ小さくなるように、前記スペーサを構成する、付記17に記載の方法。
付記19.前記スペーサを構成する際、磁束抵抗特性又は磁束吸収特性を有する材料を前記スペーサに含ませる、付記18に記載の方法。
付記20.前記スペーサを構成する際、前記スペーサに対して、前記磁束を一定量吸収するとともに、前記磁束を熱エネルギーに変換して前記コアの飽和を防ぐ所定濃度の導電性又は半導電性の粒子(304)を含浸させる、付記19に記載の方法。
本明細書で使用されている用語は、特定の実施例を説明する目的のためだけのものであり、本発明の実施例を限定することを意図したものではない。本明細書での使用において、不定あるいは特定の対象を示す単数形の文言は、文脈によって明示的に排除されない限り、複数形の文言も含むことを意図している。また、「具備する」等の所有あるいは存在等に関する用語が本明細書で使われている場合、これらは、記載に係る特徴、部分、工程、動作、要素、及び/又はコンポーネントが存在することを意味するが、他の特徴、部分、工程、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループが、1つ又は複数存在すること、或いは追加されることを排除するものではない。
以下の特許請求の範囲における、全ての「手段又はステップ+機能」要素に対応する構成、材料、動作、及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の要素と組み合わせて、当該機能を発揮できる他の任意の構成、材料、又は動作を含むものである。本発明の記載は、例示および説明のために提示したものであり、すべてを網羅することや、開示した形態での発明の実施に限定することを意図するものではない。本発明の実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、多くの改変または変形が当業者には明らかであろう。実施例は、本発明の実施例の原理及び実際の用途を最も的確に説明するために、且つ、当業者が、本発明の実施例を理解することによって、想定した特定の用途に適した種々の改変を加えた様々な実施形態を想定できるよう、選択且つ記載したものである。
本明細書には特定の実施例を図示及び説明したが、当業者ならば分かるように、同じ目的を達成するよう設計された任意の構成を、説明した特定の実施例の代用とすることが可能であり、また、本発明の実施例は、他の環境下の他の用途も有するものである。本出願は、本発明のいかなる改変または変形例をも範囲に含ませることを意図している。以下の特許請求の範囲は、本発明の実施例の範囲を、本明細書に記載した特定の実施例に限定することを意図したものではない。