JP2019204945A - 結合インダクタおよびスイッチング回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型であり、磁束漏れによる巻線での発熱の少ない結合インダクタを提供する。【解決手段】結合インダクタ1は、コア2と、互いに磁気結合した2つの巻線31,32とを有する。コア2には、一対のコア本体21,22と、コア本体21,22の間に配置された中央コア23とが設けられる。コア本体21,22は、巻線31,32の内周に挿入される中芯部4と、中芯部4から巻線31,32の外周と対向する領域まで延びた外殻部5とを有する。一方のコア本体21の中芯部4および外殻部5と、中央コア23とでエアギャップのない第1磁束経路M1を形成し、他方のコア本体22の中芯部4および外殻部5と中央コア23とでエアギャップのない第2磁束経路M2を形成する。中央コア23の初透磁率はコア本体21,22の初透磁率よりも小さくする。【選択図】図2
Description
本発明は、結合インダクタおよび当該結合インダクタを有するスイッチング回路に関する。
近年、蓄電池を内蔵した輸送機器(例えばハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池車等)や電子機器(例えばスマートフォン、パーソナルコンピュータ等)の電力変換回路は高出力を維持した上で小型軽量化、すなわち高電力密度化が求められている。
高電力密度化を実現する回路方式としてインターリーブ方式が注目されている。インターリーブ方式は電源を複数系統に分けて各相に位相差を持たせ、リップルなどを互いに打ち消し合う制御方式である。例えば2相のインターリーブ方式では、電流位相に180°の位相差をもたせてリップルを相殺する。インターリーブ方式を採用することにより、出力平滑コンデンサの小型軽量化やリップルの低減を図ることができる。
その一方で、インターリーブ方式では、インダクタの部品点数が増加するため、高電力密度化には限界がある。そこで、インターリーブ方式に加えて、各相のインダクタを磁気的に結合して利用する結合インダクタを採用することが検討されている。結合インダクタを使用する事で以下の効果が期待される。
(1)従来のインターリーブ方式では並列化させた相数に等しい数のインダクタが増加することになるが、結合インダクタを用いることで、各相の巻線を単一の磁性体コアに集約させることができるため、部品点数の削減が可能となる。
(2)一般的にコアサイズはコア内の最大磁束が大きく関係するが、逆結合で磁気的に結合させた結合インダクタでは、巻線の直流電流から発生する直流磁束を互いに打ち消す一方で、並列化させた回路間で発生する交流磁束を共有できるため、コア内の磁束を低減でき、インダクタのサイズ低減を図ることができる。
以上に述べた結合インダクタの一例として、二つのE形状コアと、二つのE形状コアで挟まれ、二つのコイルが巻回されたI形状コアと、一方のE形状コアの中央脚とI形状コアとの間に設けられた第1ギャップと、他方のE形状コアの中央脚とI形状コアとの間に設けられた第2ギャップとを有する結合トランス(特許第5934001号)が知られている。
しかしながら、特許文献1に記載された結合トランスでは、エアギャップを有するため、磁束漏れが発生する。磁束漏れが生じることで、巻線に渦電流が発生し、巻線が発熱源となる問題がある。また、磁束漏れによりインダクタンスが低下して重畳特性が悪化することとなる。そのため、狙った動作(例えば昇圧)を行うためにインダクタを大型化する必要がある。近年では、インターリーブ回路のスイッチング周波数がさらに高周波となる傾向にあり、かかる問題点が顕在化している。
そこで、本発明は、小型であり、磁束漏れによる巻線での発熱の少ない結合インダクタを提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明は、インターリーブ方式の2相のスイッチング回路に用いられ、コアと、互いに磁気結合した2つの巻線とを有する結合インダクタにおいて、前記コアが、一対のコア本体と、前記一対のコア本体の間に配置された中央コアとを有し、前記一対のコア本体のそれぞれが、前記巻線の内周に挿入される中芯部と、当該中芯部から前記巻線の外周と対向する領域まで延びた外殻部とを有し、前記一対のコア本体のうち、一方のコア本体の中芯部および外殻部と前記中央コアとでエアギャップのない第1磁束経路が形成されると共に、他方のコア本体の中芯部および外殻部と前記中央コアとでエアギャップのない第2磁束経路が形成され、前記中央コアの初透磁率を前記一対のコア本体の初透磁率よりも小さくしたことを特徴とする。
一対のコア本体は、磁性粉末を主体として形成するのが好ましい。中芯部と外殻部は、磁性粉末を使用したものであれば、同一材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。
中央コアは、磁性粉末と樹脂粉末を主体として形成するのが好ましい。
以上に述べた結合インダクタは、前記コアを設置するための設置面に対し、前記巻線軸が前記設置面と平行になるように配置されるのが好ましい。
前記コア本体の外殻部に、当該外殻部を前記設置面に取り付けるための取り付け部材と係合する係合部を設けるのが好ましい。
各巻線は、巻線軸が冷却領域と平行となるように配置するのが好ましい。
以上に述べた結合インダクタを使用して、インターリーブ方式の2相のスイッチング回路を形成するのが好ましい。
本発明によれば、小型であり、磁束漏れによる巻線での発熱の少ない結合インダクタを提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る結合インダクタ1の巻線軸に沿った方向での断面図であり 、図2は、この結合インダクタの斜視図であって、巻線軸に沿って半割した状態を示す 図である。図1および図2に示すように、この結合インダクタ1は、コア2と、2つの 巻線31,32を有する。
コア2は、それぞれに巻線31,32を保持した一対のコア本体21,22と、一対のコア本体21,22の間に配置された中央コア23とを有する。コア本体21,22の構成は共通するので、以下の説明では、主に一方のコア本体21の構成を説明し、特に必要がない限り他方のコア本体22の説明は省略する。
コア本体21は巻線軸方向(図1の上下方向)に延びる中芯部4と、中芯部4の一端(基端)から、巻線軸方向と直交する方向で中芯部4と対向する領域まで延びた外殻部5とを有する。
外殻部5は、巻線軸方向に延びて巻線31,32の外周と対向する外側部51と、巻線軸と直交する方向に延びて、中芯部4の一端(基端)と外側部51の一端(基端)とを連結する連結部52とを有する。本実施形態では、外殻部5を有底円筒状としたポット形のコア本体21,22を使用する場合を例示している。そのため、外側部51は円筒状に形成され、底部となる連結部52は円板状に形成されている。また、中芯部4は円柱状に形成されている。2つの巻線31,32のうち一方の巻線31(第1巻線)は、一方のコア本体21の中芯部4に巻回され、外側部51の内径側に収容される。他方の巻線32(第2巻線)も同様に、他方のコア本体22の中芯部4に巻回され、外側部51の内径側に収容される。
第1巻線31および第2巻線32は、コア2内で巻線軸方向に離間して配置される。第1巻線31および第2巻線32の巻き数は同じであり、同じ導電材料で形成され、かつ同じ断面寸法を有する。従って、第1巻線31および第2巻線32は等しいインダクタンスを有する。また、第1巻線31および第2巻線32は逆極性となるように接続される。具体的には、第1巻線31および第2巻線32の巻線方向は逆であり、図2に示すように、両巻線31,32に直流電流I1,I2を流した際には、各中芯部4を通る磁束φ1,φ2が互いに打ち消し合う方向となるように両巻線31,32が接続される。
以上に述べた中芯部4と外殻部5(外側部51および連結部52を含む)を有するコア本体21,22は、同一材料で一体に形成される。例えば、軟磁性粉末(磁性粉末)を圧縮成形した後、焼鈍処理を施すことでコア本体21,22が形成される。軟磁性粉末としては、純鉄系、アモルファス系、軟磁性合金系、ナノ結晶系等の軟磁性金属粉末に樹脂等からなる絶縁被膜をコーティングしたものが使用される。中芯部4と外殻部5は、同一材料で形成する他、異なる材料で形成してもよい。
コア本体21,22の間に介在する中央コア23は、コア本体21,22と別材料により、コア本体21,22と別体の板状に形成される。中央コア23を巻線軸方向から見た時の輪郭は、コア本体21,22の外殻部5を巻線軸方向から見た時の輪郭と一致させる。
中央コア23の初透磁率(初透磁率は、磁界0 A/m時の比透磁率を意味する)は、空気の初透磁率よりは大きいが、コア本体21,22の初透磁率よりも小さくする。この中央コア23は、例えば上述した軟磁性金属粉末にフェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂粉末を混合し、これを圧縮成形して焼鈍処理を施すことで形成される。このように中央コア23を磁性粉末と樹脂粉末を主体として形成することで、磁性粉末を主体として形成されるコア本体21,22よりも初透磁率を低くすることができる。
以上に述べたコア本体21,22を、中央コア23を間に挟んで突き合わせるように配置し、接着等の固定手段により中央コア23と一体化することで、結合インダクタ1が完成する。この一体化に際しては、コア本体21,22の中芯部4の他端(先端)同士、およびコア本体21,22の外殻部5(本実施形態では外側部52)の他端(先端)同士が巻線軸方向で対向するように二つのコア本体21,22が配置され、各中芯部4の先端同士の間および外側部51の先端同士の間に中央コア23が配置される。この時、各コア本体21,22の中芯部4の先端および外側部51の先端は、何れも中央コア23に接触させる。
以上に述べた結合インダクタ1は、図3に示す、インターリーブ方式を採用した2相のスイッチング回路に配置される。ここでいうスイッチング回路は、スイッチングに伴って高周波電流が流れる回路を意味する。図3では、スイッチング回路の一例として、DC−DC昇圧チョッパ回路の概略構成を示している。
図3に示すように、電源Eは、結合インダクタ1における第1巻線31の一端、および第2巻線32の一端と接続される。第1巻線31の他端は、第1ダイオードD1のアノードおよび第1スイッチング素子Q1の一端と接続され、第2巻線32の他端は、第2ダイオードD2のアノードおよび第2スイッチング素子Q2の一端と接続される。第1スイッチング素子Q1の他端、および第2スイッチング素子Q2の他端は接地側に接続される。第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2は、図示しない制御装置からの制御信号により一定周期で開閉動作を繰り返す。この時、第2スイッチング素子Q2は、第1スイッチング素子Q1から180°位相をずらして開閉動作を繰り返す。
第1ダイオードD1のカソード、および第2ダイオードD2のカソードから出力された電圧および電流は平滑用コンデンサCにより平滑化され、負荷Rにより消費される。
昇圧チョッパ回路を単体で構成するシングルフェーズ方式の場合、出力側の平滑用コンデンサに送られる電流が断続的となるため、平滑用コンデンサは激しい充電と放電を繰り返す。そのため、平滑用コンデンサに大きな容量が必要となり、平滑用コンデンサが大型化する。これに対し、昇圧チョッパ回路を並列化して動作させる図3のインターリーブ方式(マルチフェーズ方式)では、各相を交互にスイッチングさせるように制御を行うため、平滑用コンデンサCの蓄積電荷変動が低減され、平滑用コンデンサCの小型化を達成することができる。
また、結合インダクタ1を使用することで、各相のインダクタを磁気的に相互結合し等価的に一つのインダクタで昇圧動作を行っているので、各相で励磁された直流成分の磁束および交流成分の磁束のうち、直流成分の磁束が結合によって相互に打ち消し合う(交流成分の磁束は共有され、あるいは強め合う)。そのため、高インダクタンスが保たれ、インダクタ電流のリプルが低減される。また、インダクタンスを小さくすることができ、インダクタの小型化を図ることができる。
図4に本実施形態の結合インダクタ1の中央コア23付近における磁束の流れを示す。図示のように、巻線31,32で生じる磁束φ1,φ2のうち、直流成分φ1a,φ2aが中央コア23付近で互いに打ち消し合う。また、磁束φ1,φ2のうちの交流成分φ1b,φ2bが中央コア23に分流し、外殻部5の外側部51、および連結部52を介して中芯部4に還流する。つまりコア2には、第1コア本体21の中芯部4並びに外殻部5(外側部51および連結部52)と、中央コア23とからなる第1磁束経路M1が形成されると共に、第2コア本体22の中芯部4並びに外殻部5(外側部51および連結部52)と、中央コア23とからなる第2磁束経路M2が形成される。また、各磁束経路M1,M2は、それぞれ2つのループ状の磁束経路を有する。中央コア23の初透磁率がコア本体21,22の初透磁率よりも低いため、第1磁束経路M1および第2磁束経路M2を通る磁束の量は磁束φ1,φ2の量よりも小さい。
このように、直流成分による磁束を低減できる一方で、交流成分の磁束φ1b,φ2bが循環する第1磁束経路M1および第2磁束経路M2が形成されるため、結合インダクタ1のインダクタンスが大きくなる。従って、コア2に発生する磁束を減らしてコア2を小型化することができる。これによりリプル幅を小さくすると共に、重畳特性を良化することができる。
また、第1磁束経路M1および第2磁束経路M2にエアギャップが形成されていないため、漏れ磁束が小さくなる。従って、この漏れ磁束が第1巻線31および第2巻線32に到達し、各巻線で渦電流を生じることによる両巻線31,32の発熱を防止することができる。またインダクタンスの低下も防止することができる。これにより小型でありながら巻線31,32での発熱の小さい結合インダクタ1を提供することが可能となる。
次に本実施形態に係る結合インダクタ1について、その効果を確認する確認試験を行ったので、その詳細および結果を説明する。
[確認試験1]
実施例として図2に示す結合インダクタを使用した。また、比較例1として、図5に示すように、実施例の結合インダクタ1のうち、一方の巻線(第2巻線)を省略したものを使用した。実施例については2つの巻線に位相差180°の電圧を印加した時の通電電流よりインダクタンス値を測定した。比較例1については、交流電流を通電した時のインダクタンス値を測定した。また、それぞれ直流重畳電流を与えない時(重畳電流0A)と37.5Aの直流重畳電流を与えた時のインダクタンス値、および重畳電流0Aと37.5Aの時のインダクタンスの変化率を測定した。なお、実施例および比較例1におけるコア本体21,22はアモルファス系圧粉磁性材(初透磁率70)で形成し、中央コア23はアモルファス系圧粉磁性材と樹脂材の混合材(初透磁率13)で形成している。
実施例として図2に示す結合インダクタを使用した。また、比較例1として、図5に示すように、実施例の結合インダクタ1のうち、一方の巻線(第2巻線)を省略したものを使用した。実施例については2つの巻線に位相差180°の電圧を印加した時の通電電流よりインダクタンス値を測定した。比較例1については、交流電流を通電した時のインダクタンス値を測定した。また、それぞれ直流重畳電流を与えない時(重畳電流0A)と37.5Aの直流重畳電流を与えた時のインダクタンス値、および重畳電流0Aと37.5Aの時のインダクタンスの変化率を測定した。なお、実施例および比較例1におけるコア本体21,22はアモルファス系圧粉磁性材(初透磁率70)で形成し、中央コア23はアモルファス系圧粉磁性材と樹脂材の混合材(初透磁率13)で形成している。
なお、巻線2つに位相差180°の電流を通電させる際に、LCRメータで測定されるインダクタンス値が回路動作時にそのまま作用するわけではない。そこで、この確認試験1(下記の確認試験2も含む)では、下記の式1および式2から求めたインダクタンスLの値を比較対象としている。両式におけるVinおよびVoutは、実施例および比較例のインダクタにおける入力電圧および出力電圧を表す。また、dはデューティ比、ΔIはリプル電流幅、fはスイッチング周波数(50kHz)を表す。
d=1−Vin/Vout …式1
L=(Vin/ΔI)×(1/f)×d …式2
L=(Vin/ΔI)×(1/f)×d …式2
実施例および比較例1について、重畳電流を0Aおよび37.5Aとした時のインダクタンス値を図6に示し、重畳電流を0Aから37.5Aに変化させた時のインダクタンスの変化率を図7に示す。
図6および図7の表から明らかなように、重畳電流0Aの時、実施例のインダクタンス値は比較例とほぼ同等となる。その一方で、重畳電流を与えた時には実施例の方が比較例1よりもインダクタンス値が大きくなり、インダクタンスの変化率も実施例の方が比較例1よりも小さい。従って、実施例は、比較例1に比べて十分なリプル電流の抑制効果を有しつつ重畳特性の良化を達成できることが確認された。
[確認試験2]
次に、確認試験1で使用した実施例と、当該実施例において、中央コア23をコア本体21,22と同一材料で形成した結合インダクタ(中央コア23とコア本体21,22の初透磁率が等しい)を比較例2として、それぞれについて重畳電流の有無によるインダクタンス値およびインダクタンスの変化率を測定した。測定結果を図8および図9に示す。
次に、確認試験1で使用した実施例と、当該実施例において、中央コア23をコア本体21,22と同一材料で形成した結合インダクタ(中央コア23とコア本体21,22の初透磁率が等しい)を比較例2として、それぞれについて重畳電流の有無によるインダクタンス値およびインダクタンスの変化率を測定した。測定結果を図8および図9に示す。
図8および図9に示す結果から、中央コア23の初透磁率をコア本体21,22の初透磁率よりも小さくした実施例では、比較例2よりも0A重畳時のインダクタンス値が小さいが、重畳電流の有無によるインダクタンスの変化率が比較例2よりは小さい。従って、実施例では、比較例2に比べ、重畳特性の更なる良化を達成できることが確認された。
次に以上に述べた結合インダクタ1の設置構造を説明する。
これまで、巻線の周りにコアを配置した形態のインダクタ(ポット形、PQ形、EE形等)は、巻線軸方向が設置面と直交するような向きに配置する場合が多い。本実施形態のように、巻線軸方向に二つの巻線31,32を配置した結合インダクタ1において、設置面からインダクタの放熱を行う際に、これまでと同様に巻線軸方向が設置面と直交するような向きに結合インダクタ1を配置すると、設置面から離れた巻線と設置面に近い巻線とで、放熱性の差異から温度上昇量に差を生じ、設置面から離れた巻線での温度上昇幅が大きくなる。そのため、二つの巻線の磁気特性がばらつくおそれがある。
これまで、巻線の周りにコアを配置した形態のインダクタ(ポット形、PQ形、EE形等)は、巻線軸方向が設置面と直交するような向きに配置する場合が多い。本実施形態のように、巻線軸方向に二つの巻線31,32を配置した結合インダクタ1において、設置面からインダクタの放熱を行う際に、これまでと同様に巻線軸方向が設置面と直交するような向きに結合インダクタ1を配置すると、設置面から離れた巻線と設置面に近い巻線とで、放熱性の差異から温度上昇量に差を生じ、設置面から離れた巻線での温度上昇幅が大きくなる。そのため、二つの巻線の磁気特性がばらつくおそれがある。
放熱性を確保するため、ヒートシンク等の放熱用の別部品を使用すれば、結合インダクタ全体の体格の大型化を招き、小型化を達成することが困難となる。
以上に述べた課題を解決して、結合インダクタの小型化および特性の安定化を図るため、図10に示すように、結合インダクタ1は、基板等に設けた設置面60に対し、巻線軸が設置面60と平行となるような姿勢で設置するのが好ましい。なお、以下に説明する設置構造では、結合インダクタ1の外殻部5を、巻線31,32の外周面と対峙する対向二面を開口させた形態(例えばPQ形)に形成した場合を例示している。この場合、冷却効果を高めるため、外殻部5の開口部を設置面60に向けるのが好ましい。
独立した二つの巻線31,32を有する結合インダクタ1においては、各巻線31,32を流れる電流に与える特性、例えばリプル電流抑制効果を一致させなければならない。従って、二つの巻線における温度上昇量を一致させる必要がある。図10に示すような設置姿勢を採用することにより、二つの巻線31,32の各部と設置面60の間の距離が巻線軸方向で一定となり、二つの巻線31,32の放熱性が均一化されるため、巻線31,32の温度上昇幅を均一化して磁気特性のばらつき、例えば各巻線31,32におけるリプル電流抑制効果のばらつきを抑えることができる。また、放熱用の別部品の設置が不要となるので、結合インダクタ1全体の体格も小型化することができる。
設置面60は自然空冷させる他、水冷を行い、あるいはファンによって強制空冷することもできる。
この他、設置面60以外の領域を自然空冷、強制空冷、あるいは水冷により冷却することもできる。例えば図16の上側に示すように、設置面60と対向して配置されたファン71からの送風で結合インダクタ1を冷却することも可能である。この場合、結合インダクタ1のうち、ファン71に面した領域(外殻部5の開口部)が最も熱引きの大きい領域、すなわち冷却領域70となる。このように設置面60と対向する領域以外が冷却領域70となる場合、各巻線31,32は、各巻線軸Oが当該冷却領域70と平行となる向きに配置するのが好ましい。各巻線軸Oと冷却領域70の間の距離は等しくする。図16の右側に示すように、送風方向が設置面60と平行となるようにファンを配置した場合も(この場合のファンを符号71’で示す)、送風方向と平行な外殻部5の領域(外殻部5の開口部)が最も熱引きの大きい冷却領域70となる限り、各巻線31,32は、その巻線軸Oが冷却領域70と平行になるように配置するのが好ましい。
コア2を結合インダクタ1の設置面60に固定する際の固定構造としては、図11に示すように、金具等の取り付け部材61を、コア本体21,22の対向する外側部51間に掛け渡すと共に、両外側部51の表面に沿わせ、取り付け部材61の両端を設置面60にねじ止め等により固定する構造が考えられる。この場合、図10に示すように、コア本体21,22の一部、例えば外側部51の端面51aに取り付け部材61が嵌合する溝62を設けるのが好ましい。これにより、溝62の側壁が係合部となって取り付け部材61と係合するため、結合インダクタ1の固定力が高まる。
また、図12(a)(b)に示すように、連結部52の端面52aの下端にねじ孔63を設け、図13に示すように取り付け部材64をこのねじ孔63にねじ固定して、さらに取り付け部材64を設置面60にねじ等で固定することも考えられる。この場合も連結部52に設けたねじ孔が取り付け部材と係合する係合部となるため、結合インダクタ1の固定力が高まる。ねじ孔63は、外側部51の外側面51bに形成してもよい。ねじ孔63は、ねじ孔63にねじ込んだねじが巻線31,32と接触しないような位置に設ける。
以上の説明では、コア本体21,22の形状としてポット形(図1、図2、図4、図5)やPQ形(図10〜図13)を例示したが、コア本体21,22の形状は以上の例示には限定されず、巻線31,32を券回した中芯部4と、中芯部4から巻線31,32の外周と対向する領域まで延びた外殻部5とを有するものであれば、他の形態のものも採用することができる。例えばコア本体21,22として、図14に示すE形コアや図15に示すER形コアを使用することもできる。なお、以上に述べたポット形、PQ形、E形、ER形等の用語は、JIS C2560−1の規定に準拠するものである。
また、以上の説明では、結合インダクタ1を昇圧チョッパ回路に配置する場合を例示したが、以上に述べた結合インダクタ1は、インターリーブ方式の二相のスイッチング回路を有するものであれば任意の回路に使用できる。例えば、PFC(power factor correction)回路、コンバータ回路、インバータ回路等における変圧用途、インバータ用途、コンバータ用途等に使用することができる。
1 結合インダクタ
2 コア
4 中芯部
5 外殻部
31 第1巻線
32 第2巻線
51 外側部
52 連結部
60 設置面
61 取り付け部材
62 溝(係合部)
63 ねじ孔(係合部)
64 取り付け部材
70 冷却領域
O 巻線軸
2 コア
4 中芯部
5 外殻部
31 第1巻線
32 第2巻線
51 外側部
52 連結部
60 設置面
61 取り付け部材
62 溝(係合部)
63 ねじ孔(係合部)
64 取り付け部材
70 冷却領域
O 巻線軸
Claims (7)
- インターリーブ方式の2相のスイッチング回路に用いられ、コアと、互いに磁気結合した2つの巻線とを有する結合インダクタにおいて、
前記コアが、一対のコア本体と、前記一対のコア本体の間に配置された中央コアとを有し、
前記一対のコア本体のそれぞれが、前記巻線の内周に挿入される中芯部と、当該中芯部から前記巻線の外周と対向する領域まで延びた外殻部とを有し、
前記一対のコア本体のうち、一方のコア本体の中芯部および外殻部と前記中央コアとでエアギャップのない第1磁束経路が形成されると共に、他方のコア本体の中芯部および外殻部と前記中央コアとでエアギャップのない第2磁束経路が形成され、
前記中央コアの初透磁率を前記一対のコア本体の初透磁率よりも小さくしたことを特徴とする結合インダクタ。 - 前記一対のコア本体が、磁性粉末を主体として形成されている請求項1に記載の結合インダクタ。
- 前記中央コアが、磁性粉末と樹脂粉末を主体として形成されている請求項1または2に記載の結合インダクタ。
- 前記コアを設置するための設置面に対し、前記巻線軸が前記設置面と平行になるように配置される請求項1〜3何れか1項に記載の結合インダクタ。
- 前記コア本体の外殻部に、当該外殻部を前記設置面に取り付けるための取り付け部材と係合する係合部を設けた請求項4に記載の結合インダクタ。
- 巻線軸が冷却領域と平行となるように前記各巻線を配置した請求項1〜5の何れか1項に記載の結合インダクタ。
- 請求項1〜6に記載した結合インダクタを有する、インターリーブ方式の2相のスイッチング回路。
Applications Claiming Priority (2)
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JP2018096185 | 2018-05-18 | ||
JP2018096185 | 2018-05-18 |
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JP2019204945A true JP2019204945A (ja) | 2019-11-28 |
Family
ID=68727340
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2019204945A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7451469B2 (ja) | 2021-09-17 | 2024-03-18 | 矢崎総業株式会社 | 結合インダクタ |
-
2019
- 2019-03-26 JP JP2019059062A patent/JP2019204945A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7451469B2 (ja) | 2021-09-17 | 2024-03-18 | 矢崎総業株式会社 | 結合インダクタ |
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