JP2015050387A - リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 - Google Patents

リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】取付補助部材を用いることなく非平面状の取付面に安定的に載置させることができるリアクトルを提供する。
【解決手段】少なくとも一つのコイル素子を有するコイルと、閉磁路を形成する磁性コアと、を組み合わせた組合体を備えるリアクトルである。リアクトルに備わる磁性コアは、コイル素子に覆われる内側コア部と、コイル素子に覆われることなく露出すると共に、組合体が取り付けられる非平面状の取付面に接触する外側コア部と、を有する。そして、その外側コア部における非平面状の取付面に対向する対向面は、非平面状の取付面上に取り付けられた状態の組合体をコイル素子の周面側から側面視したときに、非平面状の取付面に沿って湾曲もしくは傾斜する部分を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁部品を構成するリアクトル、リアクトルを用いたコンバータ、コンバータを用いた電力変換装置に関するものである。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。リアクトルは、例えばハイブリッド自動車や電気自動車などの車両に搭載されるコンバータに利用される。そのリアクトルは、少なくとも一つのコイル素子を有するコイルと、閉磁路を形成する磁性コアと、を組み合わせた組合体を備える(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−135191号公報
近年、リアクトルを車両に搭載するにあたり、車両の駆動ユニット内にリアクトルを配置することが検討されている。駆動ユニットは、モータや発電機、トランスミッションなどを筐体の内部に納めた車両の基幹部であり、その内部にATF(Automatic Transmission Fluid)などの冷媒が供給されている。リアクトルはその動作時に発熱するため、駆動ユニット内にリアクトルを配置すれば、駆動ユニット内のATFでリアクトルを冷却できるという利点があると考えられる。また、リアクトルはその動作時にかなりの騒音を発生させるため、駆動ユニット内にリアクトルを配置すれば、リアクトルの騒音が車外に漏れることを抑制できるという利点もあると考えられる。
駆動ユニットなどの内部は、殆ど湾曲面もしくは傾斜面の組み合わせで構成されているため、そのような箇所にリアクトルの組合体を安定して取り付けることが困難であった。そのため、駆動ユニットの内部に組合体を取り付けるには、例えばL字状の棚のような取付補助部材に組合体を取り付け、その取付補助部材を、駆動ユニット内の比較的平板な箇所に固定するなど、追加の部材が必要であると考えられる。しかし、このような構成では、相当程度の設置空間を必要とするし、仮に設置空間を確保できたとしても、駆動ユニット内のATFの流れを阻害する恐れがあるなどの問題が懸念される。また、駆動ユニットの内部に限らず、リアクトルの組合体を非平面状の取付面に取り付ける必要性が生じた場合、その非平面状の取付面の近傍に、取付補助部材を含めたリアクトルの設置空間を十分確保できない可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、取付補助部材を用いることなく非平面状の取付面に安定的に載置させることができるリアクトルを提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、リアクトルを用いたコンバータ、およびそのコンバータを利用した電力変換装置を提供することにある。
本発明のリアクトルは、少なくとも一つのコイル素子を有するコイルと、閉磁路を形成する磁性コアと、を組み合わせた組合体を備えるリアクトルである。このリアクトルに備わる磁性コアは、コイル素子に覆われる内側コア部と、コイル素子に覆われることなく露出すると共に、組合体が取り付けられる非平面状の取付面に接触する外側コア部と、を有する。そして、その外側コア部における非平面状の取付面に対向する対向面は、非平面状の取付面上に取り付けられた状態の組合体をコイル素子の周面側から側面視したときに、非平面状の取付面に沿って湾曲もしくは傾斜する部分を有する。
本発明のリアクトルは、取付補助部材を用いることなく非平面状の取付面に安定して固定することができる。
実施例1に記載されるリアクトルの概略斜視図である。 実施例1に記載されるリアクトルの縦断面図である。 実施例1に記載されるリアクトルの分解斜視図である。 実施例2に記載されるリアクトルの概略斜視図である。 実施例2に記載されるリアクトルの縦断面図である。 実施例2に記載されるリアクトルの分解斜視図である。 実施例3に記載されるリアクトルの概略斜視図である。 実施例3に記載されるリアクトルの縦断面図である。 実施例3に記載されるリアクトルの分解斜視図である。 実施例4に記載されるリアクトルの概略斜視図である。 実施例4に記載されるリアクトルの縦断面図である。 実施例4に記載されるリアクトルの分解斜視図である。 実施例5に記載されるリアクトルの概略斜視図である。 実施例5に記載されるリアクトルの縦断面図である。 実施例5に記載されるリアクトルの分解斜視図である。 実施例6に記載されるリアクトルの概略斜視図である。 実施例6に記載されるリアクトルの縦断面図である。 実施例6に記載されるリアクトルの分解斜視図である。 実施例7に記載されるリアクトルの分解斜視図である。 実施例8に記載されるリアクトルの概略斜視図である。 実施例8に記載されるリアクトルの縦断面図である。 ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す概略構成図である。 コンバータを備える電力変換装置の一例を示す概略回路である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
<1>実施形態のリアクトルは、少なくとも一つのコイル素子を有するコイルと、閉磁路を形成する磁性コアと、を組み合わせた組合体を備えるリアクトルである。このリアクトルに備わる磁性コアは、コイル素子に覆われる内側コア部と、コイル素子に覆われることなく露出すると共に、組合体が取り付けられる非平面状の取付面に接触する外側コア部と、を有する。そして、その外側コア部における非平面状の取付面に対向する対向面は、非平面状の取付面上に取り付けられた状態の組合体をコイル素子の周面側から側面視したときに、非平面状の取付面に沿って湾曲もしくは傾斜する部分を有する。
非平面状の取付面は、その一部に、湾曲面および傾斜面の少なくとも一方を有する取付面である。その非平面状の取付面における湾曲面に沿って外側コア部の少なくとも一部を湾曲させる、もしくは非平面状の取付面における傾斜面に沿って外側コア部の少なくとも一部を傾斜させることで、取付補助部材を用いることなく、非平面状の取付面上に安定的にリアクトルの組合体を取り付けて固定することができる。また、上記構成によれば、取付補助部材を省略することができるので、取付補助部材を用いた構成よりもリアクトルの設置空間を小さくすることができる。そのため、実施形態のリアクトルは、リアクトルの設置空間を十分に確保できない設置箇所における非平面状の取付面にも設置することができる。
なお、リアクトルにおける『コイル素子に覆われる内側コア部』とは、磁性コアのうち、コイル素子の内側に実質的に配置されている領域をいい、『コイル素子から露出する外側コア部』とは、磁性コアのうち、コイル素子が実質的に配置されていない領域をいう。例えば、磁性コアが複数のコア片から構成されている場合(ギャップ材が無い場合。但し、エアギャップは許容する)や、複数のコア片と少なくとも一つのギャップ材とから構成されている場合、コイル素子の内側に配置されているコア片やギャップ材は勿論、コイル素子の内側に配置される部分を含むコア片やギャップ材も、内側コア部に含む。具体的には、一つのコア片の中央部分(このコア片の大部分)がコイル素子の内側に配置され、このコア片の端部及びその近傍がコイル素子から露出されている場合にこのコア片は、内側コア部とみなす。複数のコア片の集合体(代表的には、接着剤や粘着テープなどで固定された一体物)の大部分がコイル素子の内側に配置され、残部(例えば、複数のコア片のうち、集合体の端部を構成するコア片の全部又は一部分)がコイル素子から露出されている場合にこの集合体は、内側コア部とみなす。なお、この集合体もギャップ材を含むことを許容する。
<2>実施形態のリアクトルとして、コイル素子および内側コア部が、その一端側から他端側にかけて上記対向面(外側コア部における非平面状の取付面に対向する面)側、またはその反対側に突出するように湾曲している形態を挙げることができる。
上記構成によれば、非平面状の取付面と組合体との間の隙間を小さくすることができる。特に、コイル素子を非平面状の取付面に接触させる、もしくは高熱伝導性の放熱板を介してコイル素子を非平面状の取付面に接触させることで、リアクトルの放熱性を向上させることができる。
<3>実施形態のリアクトルとして、コイル素子および内側コア部が、その一端側から他端側にかけて上記対向面(外側コア部における非平面状の取付面に対向する面)側、またはその反対側に突出するように折れ曲がっている形態を挙げることができる。
上記構成によれば、非平面状の取付面と組合体との間の隙間を小さくすることができる。また、折れ曲がった内側コア部は、後述する実施例3や実施例6に示すように、複数のコア部材を組み合わせるだけで容易に作製することができるため、リアクトルの生産性を向上させることができる。
<4>実施形態のリアクトルとして、コイル素子および内側コア部が、その一端側から他端側にかけて直線状に延びている形態を挙げることができる。
上記構成によれば、リアクトルを生産性良く製造することができる。それは、真っ直ぐに延びる直線状の内側コア部をコイル素子の内部に挿入する場合、コイル素子のターンが崩れたり、内側コア部がコイル素子の内部を損傷したりといったことが生じ難いからである。また、直線状の内側コア部の場合、内側コア部の作製の際に内側コア部を型抜きし易いという利点や、金型の割面をどこにするかといった金型構成の制約が少ないという利点がある。
<5>実施形態のリアクトルとして、コイルはコイル素子を二つ備え、これらコイル素子は互いに並列されている形態を挙げることができる。
コイル素子が二つ並列されたコイルを備える二素子型のリアクトルは、コイル素子が一つのコイルを備える単素子型のリアクトルよりも磁気特性に優れる。そのため、二素子型のリアクトルは、大電流で利用されるハイブリッド自動車などのコンバータに好適である。但し、二素子型のリアクトルの設置に要する設置空間は、コイル素子が多い分だけ、単素子型のリアクトルの設置空間よりも大きい。しかし、大きな設置空間を要する二素子型のリアクトルであっても、外側コア部の湾曲形状によってリアクトルの設置空間をコンパクトにすることができる。
<6>実施形態のコンバータは、実施形態のリアクトルを備える。
上記コンバータは、このコンバータを備える機器、例えばハイブリッド自動車のコンパクト化に寄与する可能性がある。それは、コンバータのリアクトルが湾曲取付面に取り付け可能に構成されているため、当該リアクトルを機器内のデッドスペースなどに配置することができるからである。
<7>実施形態の電力変換装置は、実施形態のコンバータを備える。
上記電力変換装置は、この電力変換装置を備える機器、例えばハイブリッド自動車のコンパクト化に寄与する可能性がある。それは、電力変換装置に備わるコンバータのリアクトルが湾曲取付面に取り付け可能に構成されているため、当該リアクトルを機器内のデッドスペースなどに配置することができるからである。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、凹形状に窪んだ湾曲面のみからなる非平面状の取付面(以下、湾曲取付面)にリアクトルの組合体を取り付けた実施例を説明する。
<実施例1>
実施例1のリアクトル1αを図1〜3に基づいて説明する。図1はリアクトル1α(組合体10α)の概略斜視図、図2はリアクトル1αの縦断面図、図3はリアクトル1αの概略分解斜視図である。
≪リアクトルの全体構成≫
図1〜3に示すリアクトル1αは、巻線を巻回してなるコイル2αと、閉磁路を形成する磁性コア3αと、を組み合わせた組合体10αを備える。リアクトル1α(組合体10α)は、紙面下方に窪んだ凹形状の湾曲取付面9に取り付けられた状態で使用される。組合体10αが取り付けられる湾曲取付面9としては、リアクトル1αを設置する部材の表面、例えばハイブリッド自動車の駆動ユニット内に配置される発電機の表面などを挙げることができる。当該部材の表面に放熱板を設置し、その放熱板の上に組合体10αを取り付ける場合、放熱板の表面を湾曲取付面9と見做す。また、リアクトル1αが組合体10αを収納するケースを備える構成である場合、ケースの内底面を湾曲取付面9と見做す。
組合体10αに備わるコイル2αは一対のコイル素子2A,2Bを有する。一方、磁性コア3αは、各コイル素子2A,2Bに覆われる内側コア部31,31と、各コイル素子2A,2Bに覆われずに露出する外側コア部32,32と、を備える(特に図2を参照)。このリアクトル1αの最も特徴とするところは、図2に示すように、外側コア部32における湾曲取付面9に対向する対向面32sが、湾曲取付面9上に取り付けられた状態の組合体10αをコイル素子2A,2Bの周面側から側面視したときに、湾曲取付面9に沿って湾曲していることである。言い換えれば、組合体1αを側面視したときの対向面32sの稜線が、外側コア部32の外縁部(内側コア部31から離れた位置にある縁部)から内縁部(内側コア部31の側の縁部)にかけて湾曲している。以下、リアクトル1αの各構成を詳細に説明する。なお、湾曲取付面9における組合体10αが取り付けられる側を上方、その反対側を下方として説明を行なう。この点は、後述する全ての実施例においても同様である。
≪コイル≫
組合体10α(リアクトル1α)に備わるコイル2αは、図3に示すように一対のコイル素子2A,2Bと、両コイル素子2A,2Bを連結する連結部2rと、を備える。コイル2αを構成する巻線には、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被膜を備える被覆線を好適に利用できる。
コイル素子2A,2Bは、図示するように角筒状に形成されていても良いし、円筒状に形成されていても良い。また、連結部2rは、図示するように巻線をU字状に屈曲させることで形成しても良いし、後述する実施例4に示すようにコイル素子2A,2Bとは別に用意した部材で形成しても良い。
コイル2αの両端部2a,2bは、ターン形成部分から引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2αに電力供給を行なう電源などの外部装置(図示せず)が接続される。
≪磁性コア≫
本実施例の組合体10α(リアクトル1α)に備わる磁性コア3αは、図3に示すように、上方から見たときに概略U字状の二つのコア部材30α,30αと、二枚のギャップ材3g,3gと、を組み合わせて構成される。各コア部材30αは、基部30Aと、基部30Aからコイル2に向かって延びる一対の突出部30B,30Bと、を備える。両コア部材30α,30αの突出部30B,30Bの間にはギャップ材3gが介在されており、ギャップ材3gによって磁性コア3αのインダクタンスが調整されている。なお、本実施例の二つのコア部材30αは同じ形状であるが、異なる形状であっても構わない。例えば、一方のコア部材30αの突出部30Bが、他方のコア部材30αの突出部30Bよりも短くなっていても良い。
コア部材30αにおける基部30Aは、コイル素子2A,2Bに覆われずに露出する外側コア部32に相当する部分である。この基部30A(外側コア部32)の上端面は突出部30B,30Bの上端面と面一になっており、基部30Aの下端面は突出部30B,30Bの下端面から下方に突出している。基部30Aにおける湾曲取付面9に対向する部分(以下、支持脚部320)は、湾曲取付面9に接触し、組合体10αを湾曲取付面9上に安定させる役割を果たす(図2を合わせて参照)。また、支持脚部320は、外側コア部32の磁路断面積(磁束に直交する外側コア部32の断面積)を大きくし、磁性コア3αを磁気飽和し難くする役割も果たす。この支持脚部320の形状は、本実施例のリアクトル1αに特有のものであり、その形状については、組合体10αの取付状態を説明する際に改めて説明する。なお、基部30Aの上端面は突出部30Bの上端面よりも上方に突出していても構わない。そうすることで、外側コア部32の磁路断面積を大きくすることができる。
一方、コア部材30αの突出部30B,30Bは、ギャップ材3gと共に、コイル素子2A,2Bの内部に配置される内側コア部31を構成する部分である。突出部30B,30Bはそれぞれ、コイル素子2A,2Bの約半分の長さを有する。二つのコア部材30α,30αをそれぞれ、コイル素子2A,2Bの両端側からコイル素子2A,2Bの内部に挿入したとき、一方のコア部材30αの突出部30Bと、他方のコア部材30αの突出部30Bと、両突出部30B,30Bに挟まれるギャップ材3gと、で内側コア部31が形成される。突出部30Bの端面は、突出部30Bの軸方向に直交しており、ギャップ材3gの厚さは一様となっている。
以上説明したコア部材30αは、軟磁性金属粉末を圧縮して形成した圧粉成形体で構成しても良いし、樹脂中に軟磁性金属粉末を分散させた複合材料で構成しても良いし、電磁鋼板を積層した積層体で構成しても良い。特に、本実施例のような複雑な形状のコア部材30αの場合、成形性に優れる複合材料で構成することが好ましい。一方、ギャップ材3gは、アルミナや不飽和ポリエステルなどの非磁性材料や、ポリフェニレンスルフィド樹脂などの非磁性材料と磁性材料(磁性材料の例は、鉄粉などの軟磁性粉末)とを含む混合物などで構成することができる。
≪組合体の取付状態≫
次に、リアクトル1αの組合体10αの取付状態を図2に基づいて詳細に説明する。図2に示すように、本実施例のリアクトル1αに備わる外側コア部32は、下方である湾曲取付面9に向かって突出する支持脚部320を備え、その支持脚部320の下端部は、湾曲取付面9に沿った湾曲形状となっている。より具体的には、支持脚部320の下方への突出量は、内側コア部31から遠い外縁部で最も小さく、内側コア部31に近づくに従って徐々に大きくなり、内側コア部31の最も近い内縁部で最も大きくなっている。そのため、支持脚部320における湾曲取付面9に対向する対向面32sは、湾曲取付面9上に取り付けられた組合体10αをコイル素子2Aの周面側から側方視したときに、湾曲取付面9に沿って下方に膨らんだ状態に湾曲している。対向面32sの外形は湾曲取付面9にぴったり沿うようになっており、そのため取付補助部材を用いることなく、湾曲取付面9上に組合体10α(リアクトル1α)を安定した状態で取り付けることができる。
湾曲取付面9に対する組合体10αの固定手段は特に限定されない。例えば、接着剤などで支持脚部320の対向面32sを湾曲取付面9に接着することで湾曲取付面9に組合体10αを固定する。あるいは、両端が湾曲取付面9に固定される門型のバンドやステーの中間部を組合体10αの上面に引っ掛けて、湾曲取付面9に組合体10αを固定しても良い。その他、外側コア部32の側方に張り出す固定部を外側コア部32に一体に形成し、その固定部をボルトによって湾曲取付面9に留めることで、湾曲取付面9に組合体10αを固定しても良い。
一方、本実施例のリアクトル1αにおける内側コア部31と、内側コア部31を内部に収納するコイル素子2A(図1、図3に示すコイル素子2Bも同様)は、真っ直ぐな形状となっている。別の言い方をすれば、内側コア部31の軸線、およびコイル素子2Aの軸線が共に、直線状に延びている。そのため、コイル素子2Aの下端面と湾曲取付面9との間には隙間が形成されている。しかし、このリアクトル1αの占有空間は、湾曲取付面9の上に取付補助部材を取り付けて、その取付補助部材の上に組合体を取り付けた構造のリアクトルの占有空間よりも格段に小さい。
本実施例のように内側コア部31の軸線とコイル素子2Aの軸線とが直線状に延びていれば、組合体10を組み立て易いという利点がある。コイル素子2Aに内側コア部31を挿入する際に、コイル素子2Aのターンが崩れ難く、また内側コア部31がコイル素子2Aの内周面に接触し難いからである。
また、液体冷媒が供給される箇所に本実施例1のリアクトル1αを設置する場合、上述したコイル素子2A,2Bと湾曲取付面9との間の隙間を液体冷媒の流路とすることができるため、液体冷媒によりリアクトル1αの冷却効率を向上させることができるという利点がある。液体冷媒が供給される箇所としては、例えばハイブリッド自動車の駆動ユニット内を挙げることができ、その場合の液体冷媒としてはATFを挙げることができる。
≪その他の構成≫
内側コア部31,31の外周と、コイル素子2A,2Bの内周面と、の間には絶縁性のボビン部材を配置することができる。また、外側コア部32,32における内側コア部31側の端面と、コイル素子2A,2Bの端面と、の間にも絶縁性の枠状ボビンを配置することができる。これらボビン部材および枠状ボビンを用いることで、磁性コア3αとコイル2αとの間の絶縁性を確保し易くなる。ボビン部材と枠状ボビンの代わりに、磁性コア3αの外周の少なくとも一部を樹脂でモールドしても良い。これらの構成は、後述する全ての実施例においても同様に設けることができる。
≪変形例1−1≫
本実施例における湾曲取付面9は、紙面下方に窪んだ凹形状となっているが、紙面上方に膨らんだ凸形状となっていても構わない。その場合、外側コア部32(本実施例では、コア部材30αの基部30A)の支持脚部320を長くして、コイル2αの下端面が湾曲取付面9に干渉しないようにすると共に、支持脚部320の形状を、湾曲取付面9の凸形状に沿った形状とすれば良い。その他、平坦面もしくは湾曲面と、この面を挟み込む二つの傾斜面と、を備える凹形状もしくは凸形状の非平面状の取付面にリアクトルの組合体を取り付けても良い。その場合、支持脚部320の形状を傾斜面に沿った形状とすれば良い。これらの変更は、後述する全ての実施例においても同様に行うことができる。
<実施例2>
実施例2では、コイル2βの軸方向中間部が下方に凸(即ち、外側コア部32の取付面32s側に凸)となるように湾曲したリアクトル1βを図4〜図6に基づいて説明する。図4はリアクトル1β(組合体10β)の概略斜視図、図5はリアクトル1βの縦断面図、図6はリアクトル1βの概略分解斜視図である。以下、コイル2βの軸方向の湾曲状態と、コイル2βの軸方向を湾曲させるための構成を中心に説明する。説明を行なわなかった構成については、実施例1と同様の構成を採用することができる(以降の実施例についても同様)。
実施例2のリアクトル1βは、コイル素子2A,2Bの位置(内側コア部31,31)で下方に凸となるように緩やかに湾曲している。より具体的には、図5に示すように、コイル素子2Aと内側コア部31が湾曲取付面9に向かって湾曲していることで、リアクトル1βが全体的に湾曲している。
本実施例では、実施例1と同様に、一対のコア部材30βと二枚のギャップ材3g,3gとで磁性コア3βを構成している(特に、図6を参照)。このコア部材30βのうち、外側コア部32となる基部30Aは実施例1とほぼ同様の構成を有する。具体的には、基部30Aが、湾曲取付面9に接触するように突出する支持脚部320を備え、その支持脚部320の対向面32sが湾曲取付面9に沿った湾曲形状を備えている(図5を合わせて参照)。そのため、取付補助部材なしに組合体10βが湾曲取付面9上に安定した状態で取り付けられる。一方、コア部材30βのうちの内側コア部31の一部となる突出部30Bは、実施例1とは異なる構成、具体的には下方に凸となるように湾曲した構成を有している。突出部30Bの端面(ギャップ材3gに接触する面)は、基部30Aの端面とほぼ平行になっており、そのためギャップ材3gの厚みはほぼ一様となっている。ギャップ材3gの上端側と下端側の断面は緩やかな湾曲形状に形成されている。
一方、コイル素子2A,2Bは、元々湾曲しておらず、その内部に突出部30B(内側コア部31)を挿入したときに突出部30B(内側コア部31)の湾曲に沿って湾曲する(図6では便宜上、湾曲した状態のコイル素子2A,2Bを示している)。巻線を螺旋状に巻回することで構成されるコイル素子2A,2Bは湾曲させ易いため、内側コア部31の湾曲形状に沿って容易に湾曲する。もちろん、コイル素子2A,2Bとして、内側コア部31が挿入されていない状態で湾曲しているものを利用しても構わない。
ここで、内側コア部31が挿入され、下方に凸となるように湾曲したコイル素子2A,2Bの上方側では、コイル素子2A,2Bの各ターンの間隔が詰まっており、各ターン間に隙間は殆どない(特に、図5を参照)。一方、湾曲したコイル素子2A,2Bの下方側では、コイル素子2A,2Bの各ターンの間隔が開いており、各ターン間に比較的大きな隙間が形成されている(特に、図5を参照)。このようにコイル素子2A,2Bの上方側と下方側とでターン間の隙間の大きさに差があることは、リアクトル1βの磁気特性に殆ど悪影響を与えない。
実施例2のリアクトル1βによれば、図5に示すように、コイル素子2Aの下端面と湾曲取付面9との間には隙間が形成され難い。そのため、リアクトル1βの占有空間を、実施例1のリアクトル1αよりも小さくすることができる。また、コイル素子2A,2Bと内側コア部31の湾曲度合いを調節することで、コイル素子2A,2Bの下端面を湾曲取付面9に接触させることができ、コイル素子2A,2Bを介した湾曲取付面9への放熱を促進することができる。
≪変形例2−1≫
なお、湾曲取付面9が紙面上方に膨らんだ凸形状となっている場合、変形例1−1で言及したように、リアクトル1βの支持脚部320の取付面32sの形状を、湾曲取付面9の凸形状に沿った形状とする。この支持脚部320の形状の変更に加えて、コイル2βの軸方向中間部(即ち、コイル素子2A,2Bおよび内側コア部31,31の軸方向中間部)が上方に凸(即ち、取付面32sとは反対側に凸)となるように湾曲したリアクトル1βとしても良い。そうすることで、変形例1−1のように支持脚部320を長くすることなく、コイル2βの下端面が湾曲取付面9に干渉することを防止できる。
<実施例3>
実施例3では、コイル2γの軸方向中間部が下方に凸となるように折れ曲がったリアクトル1γを図7〜図9に基づいて説明する。図7はリアクトル1γ(組合体10γ)の概略斜視図、図8はリアクトル1γの縦断面図、図9はリアクトル1γの概略分解斜視図である。以下、コイル2γの軸方向の屈曲状態と、コイル2γの軸方向を屈曲させるための構成を中心に説明する。
実施例3のリアクトル1γは、コイル素子2A,2Bの位置(内側コア部31,31)で下方に凸となるようにV字状に折れ曲がっている。より具体的には、図8に示すように、コイル素子2Aと内側コア部31が湾曲取付面9側に折れ線状に折れ曲がっていることで、リアクトル1γが全体的に屈曲している。なお、屈曲箇所は一つに限定されるわけではなく、複数であっても構わない。
本実施例では、実施例1と同様に、一対のコア部材30γと二枚のギャップ材3g,3gとで磁性コア3γを構成している(特に、図9を参照)。このコア部材30γのうち、外側コア部32となる基部30Aは、実施例1,2と同様に、組合体10γの取付状態を安定化させる対向面32sを有する支持脚部320を備える。
一方、コア部材30γのうち、内側コア部31の一部となる突出部30Bは、その軸線が基部30Aの突出部30B側の端面に直交するように形成されている。その突出部30Bの上端側の長さは、突出部30Bの下端側の長さよりも短くなっており、突出部30Bの端面(ギャップ材3gに対向する面)は、上方側を向くように基部30Bの端面に対して傾斜している(図8を合わせて参照)。そのため、一対のコア部材30γと二枚のギャップ材3g,3gとを組み合わせて磁性コア3γを作製すれば、磁性コア3γの内側コア部31が、内側コア部31の長さ方向中間部でV字状に折れ曲がった内側コア部31となる。基部30Bの端面が傾斜していることで、ギャップ材3gの厚みが一様となっている。図8に示すギャップ材3gの上端側と下端側の断面はV字状に形成されている。
なお、コア部材30γの突出部30Bを、基部30Aから斜めに延びるように構成することでも、内側コア部31をその中間部でV字状に折れ曲がった状態とすることができる。具体的には、基部30Aの突出部30B側の端面に対して突出部30Bの軸線が下方側に傾斜した状態となるように突出部30Bを形成すると共に、突出部30Bの端面が、基部30Aの突出部30B側の端面とほぼ平行になるようにする。そうすることで、ギャップ材3gを介して二つのコア部材30γの突出部30Bの端面同士を合わせたときに、内側コア部31の中間部が折れ線状に折れ曲がった状態とすることができる。
一方、実施例3のコイル素子2A,2Bは、元々屈曲しているものを利用することもできるし、屈曲していないものを利用することもできる。元々屈曲していないコイル素子2A,2Bの場合、コイル素子2A,2Bの内部にコア部材30γの突出部30Bを挿入することで、コイル素子2A,2Bが、内側コア部31の屈曲に沿って屈曲する(図9では便宜上、屈曲した状態のコイル素子2A,2Bを示している)。
ここで、下方に凸となるように屈曲したコイル素子2A,2Bの軸方向中間部における下方側のターン間に大きな隙間が形成されている。この隙間の位置で多少磁束が漏れることがあるが、そのことはリアクトル1γの磁気特性に大きな悪影響を及ぼさない。
≪変形例3−1≫
湾曲取付面9が紙面上方に膨らんだ凸形状となっている場合、支持脚部320の形状の変更に加えて、コイル2γの軸方向中間部が上方に凸となるように折れ曲がったリアクトル1γとしても良い。そうすることで、コイル2γの下端面が湾曲取付面9に干渉することを防止できる。
<実施例4>
実施例4では、湾曲取付面9上で二つのコイル素子2A,2Bが高さ方向に並ぶリアクトル1δを図10〜図12に基づいて説明する。図10はリアクトル1δ(組合体10δ)の概略斜視図、図11はリアクトル1δの縦断面図、図12はリアクトル1δの概略分解斜視図である。
本実施例のリアクトル1δに備わるコイル2δの外観形状は、実施例1のコイル2αとほぼ同じ形状を備えている。但し、湾曲取付面9上におけるコイル2δの向きが、実施例1とは異なる。具体的には、コイル2δのコイル素子2Bが湾曲取付面9上に配置され、そのコイル素子2Bの上方にコイル素子2Aが配置されている。つまり、湾曲取付面9上に二階建て状にコイル素子2A,2Bが配置されている。
一方、リアクトル1δに備わる磁性コア3δは、図12に示すように、概略F字状のコア部材30δ,30δを組み合わせて構成される。各コア部材30δは、基部30A’と突出部30B’とを備え、基部30A’は外側コア部32を構成し、突出部30B’は内側コア部31の一部を構成する。
コア部材30δの突出部30B’の構成は、実施例1〜3のコア部材30α〜30γの突出部30Bと同じ構成を備えている。一方、コア部材30δの基部30A’は、突出部30B’の並列方向、即ちコイル素子2A,2Bの並列方向(積み上げ方向)のうち、コイル素子2B側に突出する支持脚部320’を備える。支持脚部320’におけるコイル素子2B側の端面は、湾曲取付面9に対向する対向面32s’となっており、この対向面32s’が湾曲取付面9に接触している(特に、図11を参照)。本例における対向面32s’も、他の実施例と同様に、湾曲取付面9に沿った形状に湾曲しており、この対向面32s’によって、取付補助部材を用いることなく、湾曲取付面9上に組合体10δを安定した状態で取り付けることができる。
以上説明した実施例4の構成によれば、湾曲取付面9の幅が狭い箇所であっても湾曲取付面9上に組合体10δを安定的に取り付けることができる。また、本実施例のリアクトル1δでは、図11に示すように、コイル素子2Bの下端面と湾曲取付面9との間に隙間が形成されているので、リアクトル1δを液体冷媒が供給される箇所に設置した場合、当該隙間を液体冷媒の通り道とすることができる。その結果、リアクトル1δの放熱性を向上させることができる。さらに、本実施例のリアクトル1δでは、コイル2δの端部2a,2bがコイル素子2A,2Bの端面方向に引き出されているため、リアクトル1δの占有空間の幅を小さくすることができる。
なお、図12に示すコア部材30δの基部30A’(外側コア部32)は、組合体10δの幅方向にコア部材30δの突出部30B’(内側コア部31)よりも張り出す張出部を備えていても構わない。組合体10δの幅方向とは、コイル素子2A,2Bの積み上げ方向(並列方向)と、コイル素子2A,2Bの長さ方向と、に直交する方向である。この組合体10δの幅方向に張り出す張出部を設けることで、外側コア部32の磁路面積を大きくすることができ、その結果、磁気飽和し難い磁性コア3δ(リアクトル1δ)とすることができる。張出部の張出幅は、コイル素子2A,2Bの幅(上記組合体10δの幅方向におけるコイル素子2A,2Bの長さ)と同等以下とすることが好ましい。もちろん、張出部の張出幅は、コイル素子2A,2Bの幅よりも1mm〜3mm程度拡げても構わない。
<実施例5>
実施例5では、湾曲取付面9上で二つのコイル素子2A,2Bが高さ方向に並び、かつコイル2εの軸方向中間部が下方に凸となるように湾曲したリアクトル1εを図13〜図15に基づいて説明する。図13はリアクトル1ε(組合体10ε)の概略斜視図、図14はリアクトル1εの縦断面図、図15はリアクトル1εの概略分解斜視図である。
実施例5のリアクトル1εは、コイル素子2A,2Bの位置(内側コア部31,31)で下方に凸となるように緩やかに湾曲している。より具体的には、図14に示すように、コイル素子2A,2Bと内側コア部31,31が湾曲取付面9に向かって湾曲していることで、リアクトル1εが全体的に湾曲している。
本実施例では、実施例4と同様に、一対のコア部材30εと二枚のギャップ材3g,3gとで磁性コア3εを構成している(特に、図15を参照)。このコア部材30εのうち、外側コア部32となる基部30A’は、実施例4と同様に、組合体10εの取付状態を安定化させる対向面32s’を有する支持脚部320’を備える。一方、コア部材30εのうちの内側コア部31の一部となる突出部30B’は、実施例4と異なる構成、具体的には下方に凸となるように湾曲した構成を有している。
一方、コイル素子2A,2Bは、元々湾曲しておらず、その内部に突出部30B’(内側コア部31)を挿入したときに突出部30B’(内側コア部31)の湾曲に沿って湾曲する(図15では便宜上、湾曲した状態のコイル素子2A,2Bを示している)。巻線を螺旋状に巻回することで構成されるコイル素子2A,2Bは湾曲させ易いため、内側コア部31の湾曲形状に沿って容易に湾曲する。もちろん、コイル素子2A,2Bとして、内側コア部31が挿入されていない状態で湾曲しているものを利用しても構わない。なお、本実施例のコイル2εの連結部2r’は、コイル素子2A,2Bとは別部材となっている。コイル素子2A,2Bとは別部材の連結部2r’を利用することで、例えば、コイル素子2A,2Bの内部に突出部30B’を挿入した後にコイル素子2A,2Bを連結させるといったことが可能になる。この場合、コイル素子2A,2Bの内部に突出部30B’を挿入し易い。
ここで、内側コア部31が挿入され、下方に凸となるように湾曲したコイル素子2A,2Bの上方側では、コイル素子2A,2Bの各ターンの間隔が詰まっている(図14を参照)。特に、上方側に配置されるコイル素子2Aの上方側では各ターン間に隙間は殆どない。一方、湾曲したコイル素子2A,2Bの下方側では、コイル素子2A,2Bの各ターンの間隔が開いており、各ターン間に比較的大きな隙間が形成されている。当該隙間はコイル素子2A,2Bの軸方向中間部が最も大きくなっている。このようなコイル素子2A,2Bの上方側と下方側とでターン間の隙間の大きさに差があることは、リアクトル1εの磁気特性に殆ど悪影響を与えない。
なお、図示するコイル素子2Aのターン数とコイル素子2Bのターン数とは同数であるが、異ならせることもできる。両コイル素子2A,2Bのターン数を異ならせたとしても、リアクトル1εの磁気特性が低下することはない。例えば、湾曲取付面9側に配置されるコイル素子2Bのターン数を、コイル素子2Aのターン数よりも多くすることが挙げられる。そうすることで、コイル2εの総ターン数を多くすることができ、リアクトル1εの磁気特性を向上させることができる。また、両コイル素子2A,2Bのターン数を調整して、両コイル素子2A,2Bのターン間に形成される隙間の大きさを揃えても良く、そうすることで、ATFがコイル素子2A,2Bの全てのターン間にくまなく供給されるようにすることができる。
実施例5のリアクトル1εによれば、図14に示すように、コイル素子2Bの下端面と湾曲取付面9との間には隙間が形成され難い。そのため、リアクトル1εの占有空間を、実施例4のリアクトル1δよりも小さくすることができる。また、コイル素子2A,2Bと内側コア部31の湾曲度合いを調節することで、コイル素子2A,2Bの下端面を湾曲取付面9に接触させることができ、コイル素子2Bを介した湾曲取付面9への放熱を促進することができる。
なお、湾曲取付面9が紙面上方に凸形状であれば、リアクトル1εの軸方向中間部も紙面上方に凸となるように湾曲させる。
<実施例6>
実施例6では、湾曲取付面9上で二つのコイル素子2A,2Bが高さ方向に並び、かつコイル2ζの軸方向中間部が下方に凸となるように折れ曲がったリアクトル1ζを図16〜図18に基づいて説明する。図16はリアクトル1ζ(組合体10ζ)の概略斜視図、図17はリアクトル1ζの縦断面図、図18はリアクトル1ζの概略分解斜視図である。
実施例6のリアクトル1ζは、コイル素子2A,2Bの位置(内側コア部31,31)で下方に凸となるようにV字状に折れ曲がっている。より具体的には、図17に示すように、コイル素子2A,2Bと内側コア部31,31が湾曲取付面9側に折れ線状に折れ曲がっていることで、リアクトル1ζが全体的に屈曲している。なお、屈曲箇所は一つに限定されるわけではなく、複数であっても構わない。
本実施例では、実施例4と同様に、一対のコア部材30ζと二枚のギャップ材3g,3gとで磁性コア3ζを構成している(特に、図18を参照)。このコア部材30ζのうち、外側コア部32となる基部30A’は、実施例4,5と同様に、組合体10ζの取付状態を安定化させる対向面32s’を有する支持脚部320’を備える。
一方、コア部材30ζのうち、内側コア部31の一部となる突出部30B’は、その軸線が基部30A’の突出部30B’側の端面に直交するように形成されている。その突出部30B’の上端側の長さは、突出部30B’の下端側の長さよりも短くなっており、突出部30B’の端面(ギャップ材3gに対向する面)は、上方側を向くように基部30B’の端面に対して傾斜している(図17を合わせて参照)。そのため、一対のコア部材30ζと二枚のギャップ材3g,3gとを組み合わせて磁性コア3ζを作製すれば、磁性コア3ζの内側コア部31が、内側コア部31の長さ方向中間部でV字状に折れ曲がった内側コア部31となる。
なお、コア部材30ζの突出部30B’を、基部30A’から斜めに延びるように構成することでも、内側コア部31をその中間部でV字状に折れ曲がった状態とすることができる。具体的には、基部30A’の突出部30B’側の端面に対して突出部30B’の軸線が下方側に傾斜した状態となるように突出部30B’を形成すると共に、突出部30B’の端面が、基部30A’の突出部30B’側の端面とほぼ平行になるようにする。そうすることで、ギャップ材3gを介して二つのコア部材30ζの突出部30Bの端面同士を合わせたときに、内側コア部31の中間部が折れ線状に折れ曲がった状態とすることができる。
一方、実施例6のコイル素子2A,2Bは、元々屈曲しているものを利用することもできるし、屈曲していないものを利用することもできる。元々屈曲していないコイル素子2A,2Bの場合、コイル素子2A,2Bの内部にコア部材30ζの突出部30Bを挿入することで、コイル素子2A,2Bが、内側コア部31の屈曲に沿って屈曲する(図18では便宜上、屈曲した状態のコイル素子2A,2Bを示している)。
ここで、下方に凸となるように屈曲したコイル素子2A,2Bの軸方向中間部における下方側のターン間に大きな隙間が形成されている。この隙間の位置で多少磁束が漏れることがあるが、そのことはリアクトル1ζの磁気特性に大きな悪影響を及ぼさない。
なお、湾曲取付面9が紙面上方に凸形状であれば、リアクトル1ζの軸方向中間部も紙面上方に凸となるように屈曲させる。
<実施例7>
実施例7では、磁性コア3ηの分割状態が実施例1〜6とは異なるリアクトル1ηを図19に基づいて説明する。図19は、リアクトル1ηの分解斜視図である。このリアクトル1ηの組合体10ηを構成するコイル2ηは、実施例1の図3に示すコイル2αと同じである。一方、組合体10ηを構成する磁性コア3ηの全体形状は、実施例1の図3に示す磁性コア3αと同じであるが、その分割状態が異なる。
本実施例では、内側コア部31を構成するコア部材30ηと、外側コア部32を構成するコア部材30ηと、を組み合わせることで磁性コア3ηを構成している。コア部材30ηは、さらに直方体状の複数の分割コア片31mとギャップ材31gとを交互に積層した構成を備えている。
この実施例7の構成であれば、磁性コア3ηの磁気特性を容易に調整することができる。例えば、外側コア部32を複合材料で構成し、内側コア部31の分割コア片31mを圧粉成形体で構成するなどして、磁性コア3ηの磁気特性を調整する。
実施例7の変形例として、図19に示す内側コア部31を一つの大きな直方体状のコア部材で構成しても構わない。その場合、内側コア部31を構成するコア部材と、外側コア部32を構成するコア部材と、の間にギャップ材を介在させることが好ましい。
なお、実施例2〜6における磁性コア3β〜3ζも、本実施例7や実施例7の変形例のような分割状態の磁性コア、即ち内側コア部31を構成するコア部材と、外側コア部32を構成するコア部材と、を組み合わせてなる磁性コアとしても良い。
<実施例8>
実施例8では、コイル素子2Cを一つだけ備えるリアクトル1θ(組合体10θ)を図20,21に基づいて説明する。図20は、リアクトル1θの概略斜視図、図21は、リアクトル1θの縦断面図である。
リアクトル1θのコイル2θは、コイル素子2Cを一つだけ備え、この一つのコイル素子2Cから端部2c,2dが引き出されている。コイル2θは、湾曲取付面9上で横向きに寝た状態、即ちコイル素子2Cの周面が湾曲取付面9に対向した状態で配置されている。
リアクトル1θの磁性コア3θは、コイル素子2Cに覆われる内側コア部31と、コイル素子2Cに覆われずに露出する外側コア部32とを備える。内側コア部31は、コイル素子2Cの内部形状に対応した円筒状の磁性体(コア部材)で構成されている。
一方、外側コア部32は、円筒状分割片32Aと、この円筒状分割片32Aの両端部に配置される一対の板状分割片32B,32Bとに分かれている。これら分割片32A,32B,32Bのうち、板状分割片32B,32Bにおける湾曲取付面9に対向する部分の一部が切り欠かれている。板状分割片32Bにおける切り欠かれた部分の面は、湾曲取付面9上に取り付けられた状態の組合体10θをコイル素子2Cの周面側から側面視したときに、湾曲取付面9に沿って湾曲する対向面32Bsとなっている(特に、図21を参照)。なお、円筒状分割片32Aと板状分割片32B,32Bの下端面全体を、湾曲取付面9に沿って湾曲する対向面としても良い。
<実施例9>
実施例1〜8で説明したリアクトル1α〜1θは、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
上記リアクトル1α〜1θを、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両に載置される電力変換装置の構成部品に利用した例を、図22,23に基づいて説明する。
ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両1200は、図22に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、図22では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態としても良い。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図23に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上記実施例1〜8に記載のリアクトル1α〜1θのいずれかを用いる。
ここで、上記車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施例のリアクトルなどと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上記実施例のリアクトルなどを利用することもできる。
なお、本発明は実施例に示される構成に限定されるわけではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内の全ての変更が含まれることを意図する。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載される双方向DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品であるリアクトルに利用することができる。
1α,1β,1γ,1δ,1ε,1ζ,1η,1θ リアクトル
10α,10β,10γ,10δ,10ε,10ζ,10η,10θ 組合体
2α,2β,2γ,2δ,2ε,2ζ,2η,2θ コイル
2A,2B,2C コイル素子 2r,2r’ 連結部
2a,2b,2c,2d 端部
3α,3β,3γ,3δ,3ε,3ζ,3η,3θ 磁性コア
3g ギャップ材
30α,30β,30γ,30δ,30ε,30ζ コア部材
30η,30η コア部材
30A,30A’ 基部 30B,30B’ 突出部
31 内側コア部 31m 分割コア片 31g ギャップ材
32 外側コア部 320,320’ 支持脚部
32A 円筒状分割片 32B 板状分割片
32s,32s’,32Bs 対向面
9 湾曲取付面
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子 1112 駆動回路
L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪

Claims (7)

  1. 少なくとも一つのコイル素子を有するコイルと、閉磁路を形成する磁性コアと、を組み合わせた組合体を備えるリアクトルであって、
    前記磁性コアは、
    前記コイル素子に覆われる内側コア部と、
    前記コイル素子に覆われることなく露出すると共に、前記組合体が取り付けられる非平面状の取付面に接触する外側コア部と、を有し、
    前記外側コア部における前記非平面状の取付面に対向する対向面は、前記非平面状の取付面上に取り付けられた状態の前記組合体を前記コイル素子の周面側から側面視したときに、前記非平面状の取付面に沿って湾曲する部分および傾斜する部分の少なくとも一方を有するリアクトル。
  2. 前記コイル素子および前記内側コア部が、その一端側から他端側にかけて前記対向面側、またはその反対側に突出するように湾曲している請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記コイル素子および前記内側コア部が、その一端側から他端側にかけて前記対向面側、またはその反対側に突出するように折れ曲がっている請求項1に記載のリアクトル。
  4. 前記コイル素子および前記内側コア部が、その一端側から他端側にかけて直線状に延びている請求項1に記載のリアクトル。
  5. 前記コイルは前記コイル素子を二つ備え、これらコイル素子は互いに並列されている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 請求項1に記載のリアクトルを備えるコンバータ。
  7. 請求項6に記載のコンバータを備える電力変換装置。
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