JP6394852B2 - リアクトル - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載用DC−DCコンバータや電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトルに関する。
リアクトルやモータといった、巻線を巻回してなる巻回素子を有するコイルと、一部がその巻回素子の内部に挿通される磁性コアと、を備える磁性部品が種々の分野で利用されている。そのような磁性部品として、例えば特許文献1には、ハイブリッド自動車といった車両に載置されるコンバータの回路部品に利用されるリアクトルが開示されている。
特許文献1には、コイルと磁性コアの組立体の少なくとも一部を樹脂で覆って、組立体の外周を機械的に保護したリアクトルが開示されている。例えば特許文献1の図1には、組立体の少なくとも一部を外側樹脂部でモールドすることで、組立体を機械的に保護したモールドタイプのリアクトルが開示されている。また、特許文献1の図9には、有底容器状のケースの内部に組立体を収納し、ケース内にポッティング樹脂を充填することで、組立体を機械的に保護したケース収納型のリアクトルが開示されている。
特開2011−199238号公報
上記モールドタイプのリアクトルとケース収納型のリアクトルにはそれぞれ次のような問題があった。
まず、モールドタイプのリアクトルでは、組立体の外周を樹脂モールドするだけで組立体を保護する外側樹脂部(樹脂モールド部)を形成することができるので、モールドタイプのリアクトルは生産性に優れる。しかし、冷却ベースなどの設置対象にリアクトルを固定する固定部材の取付部を樹脂モールド部に設ける必要があるため、固定部材の取り付けに伴って樹脂モールド部が損傷する恐れがある。例えば、取付部として樹脂モールド部にボルト孔を形成する場合、ボルトの締付応力がボルト孔近傍の樹脂モールド部に作用し、樹脂モールド部にクラックなどが発生する可能性がある。特許文献1では、樹脂モールド部に金属カラーを埋め込むことでボルト孔を形成し、金属カラーにボルトの締付応力を受けさせているものの、締付応力による金属カラーの撓みによって樹脂モールド部にクラックが発生する可能性もある。
一方、ケース収納型のリアクトルでは、固定部材の取付部をケースに形成することができるため、固定部材によってケース内のポッティング樹脂にクラックが発生する可能性は非常に低い。しかし、組立体が損傷しないようにケース内に組立体を収納するのに手間と時間がかかるし、ケース内にポッティング樹脂を充填・硬化するのに手間と時間がかかる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、生産性に優れ、かつ設置対象にリアクトルを固定する際に樹脂モールド部に損傷が生じ難いリアクトルを提供することにある。
本発明のリアクトルは、巻線を巻回して構成される巻回素子を有するコイルと、前記巻回素子の内部に挿入される部分を有する磁性コアと、を備えるリアクトルであって、前記コイルと前記磁性コアとの組立体の外周を取り囲む枠体部を有するリアクトル固定具と、前記組立体と前記リアクトル固定具とを一体化し、前記組立体を保護する樹脂モールド部と、を備える。この本発明のリアクトルにおける前記樹脂モールド部は、前記リアクトル固定具の一部と機械的に係合する係合部を有し、前記枠体部は、前記枠体部における前記樹脂モールド部が設けられていない位置に、リアクトルを設置対象に固定する固定部材を取り付けるための取付部を有する。
本発明のリアクトルは、生産性に優れ、かつ設置対象にリアクトルを固定する際に樹脂モールド部に損傷が生じ難いリアクトルである。
実施形態1のリアクトルの概略斜視図である。 実施形態1のリアクトルの概略透視図である。 図1の黒矢印の方向から見たリアクトルの部分断面図である。 実施形態1のリアクトルに備わる組立体の概略斜視図である。 実施形態1のリアクトルに備わるリアクトル固定具の概略斜視図である。 実施形態3のリアクトルの概略斜視図である。 実施形態3のリアクトルの概略透視図である。 図6の黒矢印の方向から見たリアクトルの部分断面図である。 実施形態3のリアクトルに備わるリアクトル固定具の概略斜視図である。 実施形態5のリアクトルの概略上面図である。 図10の黒矢印の方向から見たリアクトルの部分断面図である。 実施形態6のリアクトルの概略上面図である。 実施形態7のリアクトルの概略上面図である。 ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す概略構成図である。 コンバータを備える電力変換装置の一例を示す概略回路である。
・本発明の実施形態の説明
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
<1>実施形態のリアクトルは、巻線を巻回して構成される巻回素子を有するコイルと、前記巻回素子の内部に挿入される部分を有する磁性コアと、を備えるリアクトルであって、前記コイルと前記磁性コアとの組立体の外周を額縁状に取り囲む枠体部を有するリアクトル固定具と、前記組立体と前記リアクトル固定具とを一体化し、前記組立体を保護する樹脂モールド部と、を備える。このリアクトルにおける前記樹脂モールド部は、前記リアクトル固定具の一部と機械的に係合する係合部を有し、前記枠体部は、前記枠体部における前記樹脂モールド部が設けられていない位置に、リアクトルを設置対象に固定する固定部材を取り付けるための取付部を有する。
上記構成によれば、ボルトやステーなどの固定部材を用いて設置対象にリアクトルを取り付ける際、固定部材によって樹脂モールド部が損傷することを回避することができる。それは、固定部材を取り付ける取付部が、リアクトル固定具の枠体部のうち、樹脂モールド部と重複しない位置に設けられており、固定部材を取り付ける際の応力が樹脂モールド部に直接作用することがないからである。
また、上記構成によれば、ケース収納型のリアクトルの作製に要求されるほどの手間と時間をかけることなく、組立体を樹脂モールド部で機械的に保護したリアクトルを生産することができる。特に、後述する枠体部のみからなるリアクトル固定具であれば、モールドタイプのリアクトルと同程度の手間と時間でリアクトルを生産することができる。
さらに、組立体を保護する樹脂モールド部は、リアクトル固定具の一部に機械的に係合する係合部を介して、リアクトル固定具に固定されている。そのため、リアクトル固定具から組立体が外れることを効果的に防止することができる。
<2>実施形態のリアクトルとして、リアクトル固定具は貫通孔を有し、係合部は、樹脂モールド部が貫通孔に入り込み、貫通孔の縁部に引っ掛かるように拡がることで形成されている形態を挙げることができる。
リアクトル固定具に貫通孔を設け、その貫通孔の縁部に機械的に係合する係合部を形成することで、より強固に樹脂モールド部をリアクトル固定具に固定することができる。
<3>実施形態のリアクトルとして、前記リアクトル固定具は、前記枠体部に一体に設けられ、前記組立体の一部を収納する凹状収納部を備える形態を挙げることができる。
凹状収納部を備えるリアクトル固定具を用い、組立体の設置対象側の部分を凹状収納部に収納させることで、当該部分をリアクトル固定具で保護することができる。また、凹状収納部を高熱伝導性の材質で構成すれば、リアクトルの放熱性を高めることもできる。さらに、凹状収納部と組立体との隙間を小さくすれば、樹脂モールド部の樹脂量を少なくすることができる。樹脂量が少なくなれば、樹脂モールド部の形成時間、および樹脂の硬化時間を短くすることができるので、リアクトルの生産性を向上させることができる。
<4>実施形態のリアクトルとして、前記取付部は、前記固定部材を構成するボルトを挿通させるボルト孔である形態を挙げることができる。
固定部材にボルトを用いることで、リアクトル固定具を設置対象にネジ止めするだけで設置対象にリアクトルを強固に固定することができる。また、リアクトル固定具にボルト孔を形成するだけで、リアクトル固定具に取付部を形成することができるので、リアクトル固定具の作製を含むリアクトルの生産性を向上させることができる。
<5>実施形態のリアクトルとして、前記リアクトル固定具は、前記磁性コアに接触することで、前記リアクトル固定具に対する前記組立体の位置のうち、前記巻回素子の軸方向における位置を決める位置決め部を備える形態を挙げることができる。
リアクトル固定具に位置決め部を設けることで、リアクトル固定具と組立体とを樹脂でモールドする際、位置決めのための部材を別途用意する必要がなくなる。加えて、リアクトル固定具と組立体とを組み合わせるだけでリアクトル固定具に対する組立体の位置を決めることができ、リアクトルの生産性を向上させることができる。また、このようにリアクトル固定具に対する組立体の位置が設計通りの位置に決まっていれば、設置対象にリアクトルを固定した後にリアクトルに電源を接続し易くすることができる。
・本発明の実施形態の詳細
以下、本発明のリアクトルの実施形態を図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
<実施形態1>
≪全体構成≫
図1〜5を参照して、実施形態1のリアクトル1αを説明する。図1はリアクトル1αの概略斜視図、図2はリアクトル1αの部分透視図、図3は図1の黒矢印の方向から見たリアクトル1αの部分断面図である。また、図4はリアクトル1αの構成部材の一つである組立体1の概略斜視図、図5はリアクトル1αの構成部材の一つであるリアクトル固定具4の概略斜視図である。なお、図1においては、リアクトル1αの構成部材の一つである樹脂モールド部5をクロスハッチングで示している。
図1,2に示すように、本実施形態のリアクトル1αは、従来のリアクトルと同様にコイルと磁性コアの組立体1を備え、その紙面下側の面を冷却ベースなどの設置対象に接触させた状態で使用される。図1の概略斜視図と図2の部分透視図とを比較すれば分かるように、組立体1のごく一部(後述するコイルの端部2a,2b)以外は、リアクトル1αの外観上からは確認できないようになっている。この本実施形態のリアクトル1αはさらに、設置対象にリアクトル1αを固定するために用いられるトレイ状のリアクトル固定具4と、このリアクトル固定具4と組立体1とを一体化し、組立体1を保護する樹脂モールド部5と、を備える。これらリアクトル固定具4と樹脂モールド部5の構成が、従来のリアクトルとの相違点である。以下、リアクトル1αに備わる各構成を詳細に説明する。
≪組立体1≫
リアクトル固定具4と樹脂モールド部5の説明に先立ち、公知の構成である組立体1の構成を図4に基づいて簡単に説明する。組立体1は、コイル2と磁性コア3とを組み合わせることで構成されている。
[コイル]
本実施形態におけるコイル2は、一対の巻回素子2A,2Bと、両巻回素子2A,2Bを連結する連結部2Rと、を備える。各巻回素子2A,2Bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行になるように並列されている。また、連結部2Rは、両巻回素子2A,2Bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。このコイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各巻回素子2A,2Bを別々の巻線により作製し、各巻回素子2A,2Bの巻線の端部同士を溶接や圧着などにより接合することで形成しても良い。
コイル2は、銅やアルミニウム、マグネシウム、あるいはその合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線を好適に利用できる。本実施形態では、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を利用し、各巻回素子2A,2Bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにしたエッジワイズコイルである。また、各巻回素子2A,2Bの端面形状を長方形の角部を丸めた形状としているが、端面形状は、円形状など適宜変更することができる。
コイル2の両端部2a,2bは、巻回素子2A,2Bから引き延ばされて、端子部材(図示せず)に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置(図示せず)が接続される。
[磁性コア]
磁性コア3は、環状の閉磁路を形成する部材であって、巻回素子2A,2Bの内部に挿通される一対の内側コア部31と、巻回素子2A,2Bに覆われることなく両巻回素子2A,2Bから突出する一対の外側コア部32と、に分けることができる。各コア部31,32の形状は概ね柱状であれば特に限定されない。
磁性コア3は、複数の分割コアを組み合わせて構成することができる。どのような分割コアを組み合わせて磁性コア3とするかは特に限定されない。例えば、各内側コア部31に対応する一対の分割コア、各外側コア部32に対応する一対の分割コア、の合計4つを組み合わせて磁性コア3を構成しても良い。あるいは、一対の内側コア部31と一方の外側コア部32とが一体化したU字状の分割コアと、他方の外側コア部32に対応する分割コアと、を組み合わせて磁性コア3を構成しても良い。その他、複数の分割コアを繋ぐことで磁性コア3における内側コア部31あるいは外側コア部32を形成しても良く、例えば、分割コアとギャップ板とを交互に繋いで内側コア部31を構成することが挙げられる。
磁性コア3は、電磁鋼板を積層した積層体で構成しても良いし、軟磁性粉末を加圧成形した圧粉成形体で構成しても良いし、樹脂中に軟磁性粉末を分散させた複合材料で構成しても良い。これら積層体、圧粉成形体、複合材料を組み合わせて磁性コア3を構成することもできる。例えば、内側コア部31を圧粉成形体で構成し、外側コア部32を複合材料で構成することが挙げられる。
[その他]
組立体1はさらに、コイル2と磁性コア3との絶縁を確保するボビン(図示せず)を備えることが好ましい。具体的には、コイル2の巻回素子2A,2Bの端面と外側コア部32における内側コア部31に対向する端面との間、および巻回素子2A,2Bの内周面と内側コア部31の外周面との間にボビンを設けることが挙げられる。
≪リアクトル固定具≫
本実施形態におけるリアクトル固定具4の全体形状は、図5に示すように、トレイ状となっている。このリアクトル固定具4は、組立体1の外周を額縁状(picture frame−like)に取り囲む枠体部41と、枠体部41に一体に設けられ、組立体1の設置対象側の部分(図2の紙面下側の部分)を収納する凹状収納部42と、を備える。リアクトル固定具4と組立体1との位置関係については、適宜図2を参照のこと。
[枠体部]
枠体部41は、組立体1の側面を取り囲む形状であれば特に限定されない。組立体1の側面とは、リアクトル1αを設置対象に固定したときに、側方を向く面のことである。本実施形態の枠体部41は、板状の部材であって、その中央部分に組立体1の側周面形状に沿った組立体挿通孔4Hを有する部材であり、土星の環のように組立体1の側面を取り囲む。なお、組立体1の外側コア部32の端面(例えば、図4の紙面左下の符号32の指示線が指し示す矩形面)を設置対象に向けて取り付ける場合や、巻回素子2Aまたは巻回素子2Bの側面(例えば、紙面右下の符号2Bの指示線が指し示す面)を設置対象に向けて取り付ける場合も、その取付状態のときに側面となる部分を取り囲むように枠体部41を設ける。その場合、組立体挿通孔4Hの輪郭形状も、当該取付状態のときに側面となる部分の形状に沿った形状とすると良い。
枠体部41の厚みは、枠体部41を構成する材質によって適宜選択することができる。
(貫通孔)
枠体部41には、後述する樹脂モールド部5の一部が入り込む貫通孔4Bが形成されている。この貫通孔4Bは、枠体部41ではなく、後述する実施形態2で説明するように凹状収納部42に設けても構わない。貫通孔4Bの位置における樹脂モールド部5の形成状態については、樹脂モールド部5の項目において詳しく説明する。
貫通孔4Bの形状は特に限定されない。本実施形態では、スリット状の貫通孔4Bを枠体部41に形成している。スリット状の貫通孔4Bの他に、丸孔状の貫通孔や多角孔状の貫通孔とすることもできる。
また、貫通孔4Bの数も特に限定されないが、二つ以上とすることが好ましい。本実施形態では、組立体挿通孔4Hの四隅に近い位置にそれぞれ一つずつ、合計四つのスリット状の貫通孔4Bを形成している。あるいは、組立体挿通孔4Hの対角位置にある二隅に近い位置にそれぞれ一つずつ、合計二つのスリット状の貫通孔4Bを形成しても良い。その他、スリット状の各貫通孔4Bの代わりに、2〜4個の丸孔状あるいは多角孔状の貫通孔を並べても構わない。いずれにせよ、組立体挿通孔4Hの近傍で、著しい枠体部41の強度の低下を招かない位置であれば、どのような貫通孔4Bを幾つ設けても構わない。
(取付部)
枠体部41には、リアクトル1αを設置対象に固定するための固定部材が取り付けられる取付部4Aが形成されている。本実施形態では、ボルトによってリアクトル1αを設置対象に固定することを想定しており、取付部4Aはボルト孔としている。固定部材としてボルトを用いることで、簡単かつ強固にリアクトル1αを設置対象に固定することができる。
取付部4Aの位置は、後述する樹脂モールド部5に重複しない限り、特に限定されない。代表的には、枠体部41の角の近傍の位置に取付部4Aを形成することが挙げられる。また、取付部4Aの数も特に限定されないが、二つ以上とすることが好ましい。本実施形態では、枠体部41の四つの角にそれぞれ一つずつ、合計四つの取付部4Aを形成し、ボルトによるリアクトル1αの取付強度を向上させている。その他、枠体部41の対角位置の二つの角にそれぞれ一つずつ、合計二つの取付部4Aを形成するだけでも十分な取付強度を確保することができる。
[凹状収納部]
凹状収納部42は、組立体1の設置対象側の部分を収納する有底状であれば良い。本実施形態の凹状収納部42は、組立体1の設置対象側の外形に沿った内周面形状を有しており、コイル2の設置対象側の部分を収納する深底部420と、外側コア部32の設置対象側の部分を収納する浅底部421と、で構成されている(図3を合わせて参照)。本実施形態では、外側コア部32の設置対象側の面が浅底部421の内周面に接触し、コイル2の設置対象側の面は深底部420の内周面に接触せずに浮いた状態となっている。
凹状収納部42の深さ(即ち、深底部420の深さ)は、従来のケース収納型のリアクトルのケース、即ちコイルの上端面よりもケースの上端面の方が高いケースよりも浅ければ良い。凹状収納部42の深さが浅ければ浅いほど、凹状収納部42と組立体1との隙間の体積が小さくなり、後述する樹脂モールド部5を形成し易くなる。そのため、凹状収納部42の深さは、組立体1の高さの半分以下とすることが好ましい。実際、本実施形態の凹状収納部42の深さは、組立体1のおおよそ下半分を収納することができる深さとなっており、組立体1のおおよそ上半分は、枠体部41よりも上方に突出している。もちろん、当該深さは、実施形態の例示よりも浅くても良く、例えば組立体1の高さの1/3以下、1/4以下、1/5以下とすることができる。但し、凹状収納部42の深さは、凹状収納部42が組立体1を収納する機能を十分に発揮できるように、組立体1の高さの1/10以上とすることが好ましい。
枠体部41と凹状収納部42を含むリアクトル固定具4の材質は、金属製であることが好ましい。金属は靱性に優れるため、リアクトル固定具4に組立体1を設置する際、リアクトル1αを設置対象に固定する際、およびリアクトル1αを使用する際のいずれにおいても、割れなどの不具合が生じ難い。金属材であれば、金属板を用意して打ち抜きやプレスするだけでリアクトル固定具4を成形できるという利点もある。また、リアクトル固定具4は、組立体1のコイル2に近接する部材であるため、非磁性であることが好ましい。リアクトル固定具4に適した金属材の具体例としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、あるいはマグネシウム合金などを挙げることができる。なお、リアクトル固定具4の材質は金属に限定されるわけではなく、例えば非磁性の樹脂などとすることもできる。セラミックスとしては、アルミナなどを挙げることができるし、樹脂としてはPPS(Polyphenylene Sulfide)樹脂、PBT(Polybutylene terephthalate)樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどを挙げることができる。
≪樹脂モールド部≫
樹脂モールド部5は、図1,2に示すように、組立体1とリアクトル固定具4とを一体化すると共に、組立体1の外周を覆うことで、組立体1を機械的に保護する部材である。本実施形態における樹脂モールド部5は、外観上、リアクトル固定具4から突出する組立体1の上半分を覆っている(コイルの端部2a,2bを除く)。また、樹脂モールド部5は、外観上では確認できないが、組立体1とリアクトル固定具4との隙間に入り込んでおり、組立体1とリアクトル固定具4とを一体化させている。
ここで、樹脂モールド部5の一部は、リアクトル固定具4の一部に機械的に係合する係合部5Bを形成しており、この係合部5Bによって樹脂モールド部5がリアクトル固定具4から脱落しないようになっている。より具体的には、図3の部分断面図に示すように、樹脂モールド部5の一部である係合部5Bが、リアクトル固定具4の枠体部41に設けられる貫通孔4Bに入り込み、貫通孔4Bの縁部に引っ掛かるように拡がることで、樹脂モールド部5とリアクトル固定具4とが機械的に係合している。つまり、係合部5Bが、枠体部41を含む平面に交差する方向(図3にあっては紙面上方向)に樹脂モールド部5がリアクトル固定具4から外れることを抑制する抜け留めとして機能する。上記貫通孔4Bの縁部における貫通孔4Bの径方向外方への係合部5Bの拡がり(図3にあっては紙面左方向への係合部5Bの拡がり)が大きいほど、両者4,5の係合強度は向上する。また、係合部5Bにおける拡がった部分の厚み(図3にあっては紙面上下方向の係合部5Bの厚さ)が厚くなるほど、両者4,5の係合強度は向上する。貫通孔4Bの外方への係合部5Bの拡がりは1mm以上(あるいは2mm以上)とすれば良く、拡がった部分の厚みは1mm以上(あるいは2mm以上)とすれば良い。
樹脂モールド部5を構成する樹脂としては、例えば不飽和ポリエステルを利用することができる。不飽和ポリエステルは、割れ難く、安価であるので好ましい。その他、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、PPS樹脂、PBT樹脂、ABS(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene)樹脂などで樹脂モールド部5を構成することもできる。また、これらの樹脂にセラミックスフィラーを含有させて、樹脂モールド部5の放熱性を向上させても良い。セラミックスフィラーとしては、例えば、アルミナやシリカなどの非磁性粉末を利用することができる。
上記構成を備える樹脂モールド部5は、金型成形によって形成することができる。例えば、金型の内部にリアクトル固定具4を配置すると共に、リアクトル固定具4の凹状収納部42に組立体1を嵌め込んだ状態とする。そして、金型内に樹脂モールド部5の材料となる樹脂を充填すれば、組立体1とリアクトル固定具4とを一体化する樹脂モールド部5を形成することができる。
≪効果≫
以上説明した構成を備えるリアクトル1αは、生産性に優れる。従来のケース収納型のリアクトルに要求される手間と時間をかけることなく、リアクトル1αを作製することができるからである。従来のケースは組立体全体を収納する深さを持っているため、ケースに組立体を収納し難く、また収納の際に組立体が損傷しないように相当程度の慎重さが求められる。これに対して、本実施形態のリアクトル1αの作製においては、リアクトル固定具4に組立体1を嵌め込み易く、ケースへの組立体の収納に求められるほどの慎重さを必要としない。また、ケース収納型のリアクトルの作製においては、深底のケース内に樹脂を充填する際、組立体とケースとの隙間が小さくなっている箇所が多いため、当該隙間に余すところなく樹脂を充填させ難いという課題があった。これに対して、本実施形態のリアクトル1αの作製においては、組立体の上半分がリアクトル固定具4から突出しており、組立体1とリアクトル固定具4との隙間が小さくなっている箇所が少ないため、当該隙間に余すところなく樹脂を充填させることが容易である。
リアクトル1αは、ボルトなどの固定部材を用いた設置対象への固定の際に、組立体1を保護する樹脂モールド部5に損傷が生じ難く、所定の性能を長期にわたって発揮する。固定部材を取り付ける取付部4Aが、リアクトル固定具4の枠体部41のうち、樹脂モールド部5と重複しない位置に設けられており、固定部材を取り付ける際の応力が樹脂モールド部5に直接作用しないからである。
また、取付部4Aが設けられる枠体部41が額縁状に繋がっていることも、樹脂モールド部5の損傷の抑制に大きく寄与している。例えば、本実施形態と異なり、取付部となる複数の金具を樹脂モールド部に一体化させた場合、各金具に作用する応力に差が生じると、樹脂モールド部に捩れ応力が作用して、樹脂モールド部に割れが発生する恐れがある。各金具に作用する応力差は、各金具への固定部材の取付時にも、取付後のリアクトルの使用時にも生じ得る。これに対して、本実施形態のリアクトル1αのように額縁状に繋がった枠体部41を備える場合、枠体部41の各取付部4Aに作用する応力に差が生じても、枠体部41全体でその応力差を吸収することができるので、非常に樹脂モールド部5に割れが発生し難い。
さらに、樹脂モールド部5が、係合部5Bを介してリアクトル固定具4の一部に機械的に係合することで、樹脂モールド部5がリアクトル固定具4から脱落しないようになっている。特に本実施形態のように、係合部5Bが貫通孔4Bに入り込む構成の場合、単に係合部5Bがリアクトル固定具4に係合するよりも、樹脂モールド部5がリアクトル固定具4から脱落し難い。
<実施形態2>
実施形態1では、樹脂モールド部5の一部(係合部)を、リアクトル固定具4の枠体部41の位置に機械的に係合させ、リアクトル固定具4からの樹脂モールド部5の脱落を防止する構成とした。これに対して、実施形態2では、樹脂モールド部5の一部(係合部)を、リアクトル固定具4の凹状収納部42の位置に機械的に係合させ、リアクトル固定具4からの樹脂モールド部5の脱落を防止する構成を説明する。その説明にあたっては、主として図5を利用する。
樹脂モールド部5(図1,2参照)の一部(係合部)を、凹状収納部42の位置に係合させるには、リアクトル固定具4の凹状収納部42の位置に貫通孔(図示せず)を形成する。例えば、凹状収納部42のうち、外側コア部32に対応する浅底部421の底部や側壁部、あるいは深底部420の側壁部に、貫通孔4Bを設けることが挙げられる。この場合、貫通孔から凹状収納部42の外方に樹脂モールド部5の一部(係合部)が突出することになるが、設置対象へのリアクトル1α(図1,2参照)の取り付けの邪魔とはならない。
以上説明した実施形態2の構成によっても、係合部が抜け止めとして機能し、リアクトル固定具4からの樹脂モールド部5の脱落を効果的に防止することができる。また、この構成によれば、枠体部41の部分に樹脂モールド部5を拡げる必要がなく、樹脂モールド部5の量を実施形態1の構成よりも少なくすることができる。
<実施形態3>
実施形態3では、図6〜9に基づいて枠体部41のみからなるリアクトル固定具4’を備えるリアクトル1βを説明する。図6はリアクトル1βの概略斜視図、図7はリアクトル1βの部分透視図、図8は図6の黒矢印の方向から見たリアクトル1βの部分断面図、図9はリアクトル1βに備わるリアクトル固定具4’の概略斜視図である。リアクトル1βに備わる組立体1は、図4に示す実施形態1,2の組立体1と同じである。なお、図6においては、リアクトル1βの樹脂モールド部5’をクロスハッチングで示している。
≪リアクトル固定具≫
実施形態3のリアクトル1βのリアクトル固定具4’は、枠体部41のみから構成されている(図9参照)。そのため、リアクトル1βにおいては、組立体1の外周面全体を覆うように樹脂モールド部5’が形成され、その樹脂モールド部5’の高さ方向中間部にリアクトル固定具4’が嵌まり込んだような状態となる。
実施形態3におけるリアクトル固定具4’は、図9に示すように、位置決め部4Cを備える。この位置決め部4C以外の構成は、実施形態1のリアクトル固定具4における枠体部(図5参照)の構成と同じである。位置決め部4Cは、枠体部41(即ち、リアクトル固定具4)に対する組立体1の位置のうち、巻回素子2A,2B(図4参照)の軸方向における位置を決める部材である。
本実施形態における位置決め部4Cは、図9に示すように、組立体挿通孔4Hの縁から組立体挿通孔4Hの中心に向かって突出する一対の突起である。各突起は、組立体1に備わる一方の外側コア部32と他方の外側コア部32の外側端面に接触し、組立体1を巻回素子2A,2Bの軸方向に圧縮する(図4の組立体1を合わせて参照)。その結果、リアクトル固定具4’に対する組立体1の位置が決まる。
位置決め部4Cを構成する突起は、その角が丸められていることが好ましい(特に、紙面右奥側の位置決め部4Cを参照)。突起の角を丸めることで、リアクトル固定具4’と組立体1とを組み合わせる際、組立体1が損傷すること、本実施形態においては外側コア部32が損傷することを抑制することができる。
ここで、位置決め部4Cの数および突出方向は、図9に示す例に限定されるわけではない。例えば、組立体挿通孔4Hの四隅の位置、即ち四つの貫通孔4Bの近傍の位置に設けられる四つの突起によって位置決め部4Cを形成しても構わない。その場合、各突起が、図4に示す外側コア部32の外方側の湾曲面に接触し、リアクトル固定具4’に対する組立体1の位置を決めることができる。
≪樹脂モールド部≫
本実施形態の樹脂モールド部5’は、図6,7に示すように、組立体1の上半分だけでなく、下半分も覆っている。また、樹脂モールド部5’は、図8に示すように、枠体部41に設けられる貫通孔4Bよりも枠体部41の外縁側に拡がっており、樹脂モールド部5’の一部が貫通孔4Bに入り込んでいる。この場合、樹脂モールド部5’のうち、リアクトル1βを上面視したときに枠体部41に重複する部分が係合部5B’として機能する。その結果、リアクトル固定具4’と、樹脂モールド部5’と、が強固に固定される、即ちリアクトル固定具4’と、樹脂モールド部5’でモールドされた組立体1と、が強固に固定される。
なお、樹脂モールド部5’は、組立体1の設置対象側の面、具体的には図4の組立体1の外側コア部32の下端面、あるいは巻回素子2A,2Bの下端面を覆っていなくても構わない。つまり、組立体1の設置対象側の面は、樹脂モールド部5’から露出していても構わない。この構成であれば、リアクトル1βを冷却ベースなどの設置対象に固定したときに、リアクトル1βから設置対象への放熱効率を高めることができる。
≪効果≫
以上説明したリアクトル1βは、実施形態1,2のリアクトル1αと同様の効果を奏する。また、リアクトル固定具4’が枠体部のみからなるシンプルな構成であれば、生産性良くリアクトル固定具4’を作製することができ、リアクトル固定具4’の作製を含むリアクトル1βの生産性を向上させることができる。
<実施形態4>
実施形態3で説明した位置決め部4Cは、実施形態1,2で説明した凹状収納部42を備えるリアクトル固定具4に設けることもできる。その場合、実施形態3と同様にリアクトル固定具4の枠状体41に位置決め部を設けても良いし、凹状収納部42に位置決め部を設けても良い(図5参照)。いずれにせよ、組立体1に備わる一対の外側コア部32を挟み込むように位置決め部を形成することが好ましい。
<実施形態5>
実施形態5では、図10,11に基づいて、リアクトル固定具6に貫通孔を設けることなく、樹脂モールド部7をリアクトル固定具6に機械的に係合させたリアクトル1γを説明する。図10はリアクトル1γの概略上面図であり、図11は図10の黒矢印の方向から見たリアクトル1γの部分断面図である。なお、図10においては、樹脂モールド部7を仮想線(二点鎖線)にて示す。
≪リアクトル固定具≫
図10,11に示すリアクトル1γに備わるリアクトル固定具6は枠体部61のみから構成されている。枠体部61の四つの角の位置であって樹脂モールド部7と重複しない位置には、リアクトル1γを設置対象に固定する際に利用するボルト孔(取付部6A)が設けられている。また、枠体部61の組立体挿通孔6H(組立体1が挿通される孔)の四隅の部分には、凹部6Bが設けられている。凹部6Bは、図11に示すように、枠体部61の厚み方向中間部が枠体部61の外方に凹むことで形成されている。なお、凹部6Bは無くても構わない。
≪樹脂モールド部≫
リアクトル1γに備わる樹脂モールド部7は、図11に示すように、組立体1の全周を覆っている。この樹脂モールド部7は、枠体部61の外縁側に拡がっており、その拡がった部分(係合部7B)が枠体部61の組立体挿通孔6Hの縁に機械的に係合している。また、樹脂モールド部7の一部は、枠体部61の凹部6Bに入り込んでおり、その入り込んだ部分も凹部6Bに機械的に係合する係合部7Bを形成している。このように、係合部7Bは、樹脂モールド部7のうち、組立体挿通孔6Hを介して枠体部61における内縁部の表裏に亘る部分で構成され、リアクトル固定具6と樹脂モールド部7とを固定する機能を発揮する。なお、本実施形態では樹脂モールド部7は枠体部61における外縁部の表裏には亘っていない。樹脂モールド部が枠体部の外縁部の表裏に亘っている構成については実施形態7で説明する。
<実施形態6>
実施形態6では、リアクトル固定具6’の枠体部61’に樹脂の通り道となる切欠き6B’を設けたリアクトル1δを図12に基づいて説明する。
実施形態6の枠体部61’は、組立体挿通孔6Hの四隅の部分が、リアクトル1δの外方に向かって切り欠かれた状態となっている。この切欠き6B’は、樹脂モールド部7’で組立体1とリアクトル固定具6’とを一体化させるときに、樹脂の通り道として機能する。このような構成を備える実施形態6のリアクトル1δにおいては、リアクトル1δを上面視したとき、樹脂モールド部7’における枠体部61’に重複する部分が、樹脂モールド部7’とリアクトル固定具6’とを機械的に係合させる係合部として機能する。
<実施形態7>
実施形態7では、実施形態5,6のリアクトル1γ,1δとは異なるリアクトル固定具8と樹脂モールド部9とを備えるリアクトル1εを図13に基づいて説明する。図13はリアクトル1δの概略上面図であって、この図13では樹脂モールド部9を仮想線(二点鎖線)で示している。
≪リアクトル固定具≫
図13に示すリアクトル1εに備わるリアクトル固定具8は枠体部81のみから構成されている。この枠体部81の四つの角は径方向外方に舌片状に張り出しており、その張出部にボルト孔(取付部8A)が形成されている。取付部8Aは、リアクトル1εを設置対象に固定する際に利用される孔であって、樹脂モールド部9と重複しないようになっている。一方、このリアクトル固定具8における組立体挿通孔8Hは、組立体1の輪郭形状に沿った形状をしており、凹みや切欠きを有さない。
≪樹脂モールド部≫
このリアクトル1εにおける樹脂モールド部9は、枠体部81における張出部を除く部分を覆うように設けられている。言い換えれば、このリアクトル1εでは、枠体部81のうち、張出部のみが樹脂モールド部9から露出した状態となっている。この樹脂モールド部9は、枠体部81の外縁を超える位置まで拡がり、枠体部81の側端面のうち、張出部の側端面を除く部分をも覆っている。そのため、枠体部81が樹脂モールド部9に上下から挟み込まれた状態となっている。この場合、図13に示すようにリアクトル1εを上面視したとき、樹脂モールド部9における枠体部81に重複する部分が、樹脂モールド部9とリアクトル固定具8とを機械的に係合させる係合部9Bとして機能する。
<実施形態8>
実施形態1〜7のリアクトル1α〜1εは、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。以下、実施形態のリアクトル1を車載用電力変換装置に適用した例を図14,15に基づいて簡単に説明する。
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、図14に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、図14では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態としても良い。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図15に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、電界効果トランジスタ(FET),絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上記実施形態1〜7に記載のリアクトル1α〜1εを用いる。生産性に優れるリアクトル1α〜1εを用いることで、電力変換装置1100(コンバータ1110を含む)の生産性の向上を図ることができる。
ここで、上記車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施形態1〜4のリアクトル1α,1βなどと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上記実施形態1〜7のリアクトル1α〜1εなどを利用することもできる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、巻回素子を一つしか持たないリアクトルにも、本発明の構成を適用することができる。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載される双方向DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。
1α,1β,1γ,1δ,1ε リアクトル
1 組立体
2 コイル
2A,2B 巻回素子 2R 連結部 2a,2b 端部
3 磁性コア
31 内側コア部 32 外側コア部
4,4’,6,6’,8 リアクトル固定具
41,61,61’,81 枠体部
42 凹状収納部 420 深底部 421 浅底部
4A,6A,8A 取付部(ボルト孔) 4B 貫通孔 4C 位置決め部
6B 凹部 6B’ 切欠き
4H,6H,8H 組立体挿通孔
5,5’,7,7’,9 樹脂モールド部
5B,5B’,7B,7B’,9B 係合部
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子
1112 駆動回路
L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪

Claims (5)

  1. 巻線を巻回して構成される巻回素子を有するコイルと、前記巻回素子の内部に挿入される部分を有する磁性コアと、を備えるリアクトルであって、
    前記コイルと前記磁性コアとの組立体の側面を額縁状に取り囲む板状の枠体部からなるリアクトル固定具と、
    前記組立体と前記リアクトル固定具とを一体化し、前記組立体を保護する樹脂モールド部と、を備え、
    前記樹脂モールド部は、前記リアクトル固定具の一部と機械的に係合する係合部を有し、
    前記枠体部は、前記枠体部における前記樹脂モールド部が設けられていない位置に、リアクトルを設置対象に固定する固定部材を取り付けるための取付部を有するリアクトル。
  2. 巻線を巻回して構成される巻回素子を有するコイルと、前記巻回素子の内部に挿入される部分を有する磁性コアと、を備えるリアクトルであって、
    前記コイルと前記磁性コアとの組立体の側面を額縁状に取り囲む板状の枠体部と、前記枠体部に一体に設けられ、前記組立体の設置対象側の一部を収納する凹状収納部と、からなるリアクトル固定具と、
    前記組立体と前記リアクトル固定具とを一体化し、前記組立体を保護する樹脂モールド部と、を備え、
    前記樹脂モールド部は、前記リアクトル固定具の一部と機械的に係合する係合部を有し、
    前記枠体部は、前記枠体部における前記樹脂モールド部が設けられていない位置に、リアクトルを設置対象に固定する固定部材を取り付けるための取付部を有し、
    前記凹状収納部の深さは、前記組体の高さの半分以下であるリアクトル。
  3. 前記リアクトル固定具は、貫通孔を有し、
    前記係合部は、前記樹脂モールド部が前記貫通孔に入り込み、前記貫通孔の縁部に引っ掛かるように拡がることで形成されている請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記取付部は、前記固定部材を構成するボルトを挿通させるボルト孔である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. 前記リアクトル固定具は、前記磁性コアに接触することで、前記リアクトル固定具に対する前記組立体の位置のうち、前記巻回素子の軸方向における位置を決める位置決め部を備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
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