JP2014027025A - リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 - Google Patents

リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な構成で従来よりも強固にケースと蓋とを係合させることができるリアクトルを提供する。
【解決手段】コイルと磁性コアの組合体10、ケース6、封止樹脂5、および蓋9を備えるリアクトル1である。コイル2は、巻線を巻回してなる部材である。磁性コア3は、コイル2の内部に挿通される部材である。ケース6は、コイル2と磁性コア3の組合体10を収納する部材である。封止樹脂5は、ケース6の内部に充填され、組合体10を覆う部材である。蓋9は、ケース6の開口部の少なくとも一部を覆う部材である。リアクトル1に備わる蓋9は、その内面に設けられ、封止樹脂5に埋設されるアンカー部9Cを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイルと磁性コアの組合体をケースに収納し、ケース内に封止樹脂を充填してケースの開口部に蓋を被せたリアクトル、リアクトルを用いたコンバータ、およびコンバータを用いた電力変換装置に関する。
リアクトルやモータといった、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内部に挿通される磁性コアとを備える磁性部品が種々の分野で利用されている。例えば、特許文献1は、ハイブリッド自動車といった車両に載置されるコンバータの回路部品に利用されるリアクトルを開示している。この特許文献1のリアクトルは、並列に配置される一対のコイル素子を有するコイルと、環状の磁性コアとの組合体を備える。この組合体はケースの内部に収納された状態で封止樹脂によって封止され、ケースの開口部は蓋で閉じられている。蓋を設けることで、ケース内の組合体や封止樹脂を物理的・化学的に保護することができる。また、この特許文献1のリアクトルでは、スナップフィット構造、即ち、蓋の外縁部に設けられる環状の留め具と、ケースの外壁面から突出する係合爪と、を係合させる構造によって、ケースから蓋が外れることを防止している。
意匠登録第1426962公報
しかし、環状の留め具と係合爪との係合によるスナップフィット構造では、ケースに対する蓋の固定が十分でない場合がある。近年、ハイブリッド自動車や電気自動車など、電力を駆動源に利用する車両の発達が目覚ましく、そのような車両に搭載されるリアクトルは、高周波・大電流で使用される傾向にある。高周波で使用されるリアクトルの組合体は激しく振動するため、スナップフィット構造によってケースに取り付けた蓋ががたつくことで激しい騒音が生じたり、最悪の場合はケースから蓋が外れてしまう恐れがある。蓋ががたつくのは、係合爪と留め具とを係合させたときに両者の間に微小ながらクリアランスができるからである。このクリアランスは、係合爪への留め具の係合のし易さを確保するために必要なものである。仮にこのクリアランスがなければ、係合爪に留め具を係合させるときに、両者の位置が少しずれただけで極端に両者を係合させ難く、最悪の場合、留め具が折損する恐れもある。
上記問題点を踏まえて、ケースと蓋との係合をスナップフィット構造よりも強固にするために、両者をボルトで止めることも考えられる。ボルト留め構造であれば、蓋のがたつきと脱落を効果的に防止できる。しかし、ボルト留め構造は、リアクトルの部品点数の増加と作業工程の増加を招き、リアクトルの生産性が低下する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、簡単な構成で従来よりも強固にケースと蓋とを係合させることができるリアクトルを提供することにある。また、本発明の別の目的は、本発明のリアクトルを用いたコンバータ、およびそのコンバータを用いた電力変換装置を提供することにある。
本発明のリアクトルは、コイルと、磁性コアと、ケースと、封止樹脂と、蓋と、を備える。コイルは、巻線を巻回してなる部材である。磁性コアは、コイルの内部に挿通される部材である。ケースは、コイルと磁性コアの組合体を収納する部材である。封止樹脂は、ケースの内部に充填され、組合体を覆う部材である。蓋は、ケースの開口部の少なくとも一部を覆う部材である。これらの部材を備える本発明のリアクトルの蓋は、その内面に設けられ、封止樹脂に埋設されるアンカー部を備える。
上記構成のように、蓋の内面に、封止樹脂に埋設されるアンカー部を設けることで、スナップフィット構造を採用した従来構成よりも、蓋ががたついたり、ケースから蓋が外れることを効果的に防止できる。それは、蓋に設けられるアンカー部がケースに充填される封止樹脂に埋設されて固定されるため、封止樹脂を介して蓋がケースと一体化されるからである。しかも、封止樹脂に埋設されるアンカー部と封止樹脂との間に実質的にクリアランスがなく、組合体を収納するケースが振動すれば、その振動にほぼ同調して蓋も振動するため、蓋のがたつきがほぼ生じることがなくなる。その結果、蓋のがたつきによる騒音を効果的に抑制でき、またケースから蓋が外れることも効果的に抑制できる。
また、上記構成のリアクトルは、ケースに封止樹脂を充填し、封止樹脂が硬化する前にケースに蓋を取り付けるだけで作製することができる。つまり、本発明のリアクトルは、ボルトでケースに蓋を固定するリアクトルのように、その作製にあたって特に部品点数や作業工程が増加することもなく、生産性に優れる。
本発明のリアクトルの一形態として、アンカー部は棒状に形成されている形態を挙げることができる。その場合、棒状に形成されたアンカー部には、アンカー部の径方向に張り出す張出部を設けると良い。
上記構成とすることで、アンカー部の突出方向と反対方向にアンカー部を引き抜く力に対して張出部が引っ掛かりとなるため、ケースから蓋が外れ難くなる。また、アンカー部に設けた張出部が封止樹脂と立体的に係合するので、蓋のがたつきを効果的に抑制することができる。このような張出部を備える棒状のアンカー部の具体的な構成は、図6(B)〜(G)を参照する実施形態2で説明する。なお、アンカー部が一様な径を有する棒状、あるいは先細りの棒状であっても、スナップフィット構造よりはケースと蓋とを強固に固定することができ、その結果として蓋のがたつきを効果的に抑制できる。
本発明のリアクトルの一形態として、アンカー部は、環状に形成され、かつ、ケースは、その内壁面からケースの内方に突出し、環状に形成されたアンカー部に係合する係合爪を備える形態を挙げることができる。この構成は、従来ケースの外側に設けていたスナップフィット構造をケースの内側に設け、このスナップフィット構造ごと封止樹脂に埋設させた構成である。
上記構成とすることで、棒状のアンカー部を備える構成よりも、ケースから蓋を外れ難くすることができる。それは、環状のアンカー部が封止樹脂に固定されているだけでなく、当該アンカー部が直接ケースにも係合しているからである。もちろん、本発明のリアクトルにおいて、この環状のアンカー部と、上述した棒状のアンカー部とを併用しても構わない。
本発明のリアクトルの一形態として、ケースは、底板部と、この底板部とは別個に作製され、固定部材により底板部に取り付けられる側壁部と、を備える形態を挙げることができる。その場合、蓋と側壁部とは樹脂製とすると良い。
底板部と側壁部とを別個に作製することで、ケースの生産性を向上させることができる。底板部と側壁部とが最初から一体になったケースを作製することは難しいからである。例えば、金型にケースの構成材料を充填して底板部付きのケースを作製する場合、そのケースの作製のための金型が複雑になるし、複雑な金型からケースを抜く作業も煩雑になる。
また、ケースの側壁部と、ケースに被せる蓋を樹脂製とすることで、これらの部材を複雑形状にすることが容易になる。これら側壁部と蓋には、それらの主たる機能(側壁部であれば組合体を包囲する機能、蓋であればケースの開口部を覆う機能)の他に、追加の機能を持たせたいというニーズがある。例えば、次に示す本発明のリアクトルの一形態に示すように、側壁部に端子台としての機能を持たせたり、蓋部に端子部材を保護するカバーの機能を持たせたりすることが挙げられる。このような機能を発揮する複雑形状の部位を側壁部と蓋に形成するには、複雑形状の成形が容易な樹脂で側壁部と蓋を形成することが有利である。
側壁部と蓋が樹脂製である本発明のリアクトルの一形態として、側壁部は、コイルの端部に取り付けられる端子部材を固定するための端子台を備え、蓋は、端子台上に配置される端子部材の上面をカバーする端子カバー部を備える形態を挙げることができる。
側壁部に端子台を一体に設けることで、端子台を別個に用意する必要がなく、部品点数が少ない、生産性に優れるリアクトルとすることができる。また、蓋に端子カバー部を設けることで、端子台上の端子部材を効果的に保護することができる。
本発明のコンバータは、本発明のリアクトルを備える。
高周波での使用においても蓋ががたつき難い本発明のリアクトルを用いた本発明のコンバータは、本発明のコンバータを備える機器(例えば、ハイブリット自動車などの車両)の静粛性の向上に寄与する。
本発明の電力変換装置は、本発明のコンバータを備える。
高周波での使用においても蓋ががたつき難い本発明のリアクトルを用いた本発明の電力変換装置は、本発明の電力変換装置を備える機器(例えば、ハイブリット自動車などの車両)の静粛性の向上に寄与する。
本発明のリアクトルは、簡単に作製することができ、しかも高周波・大電流で使用した場合でも、ケースに取り付けた蓋ががたつくことで騒音が生じたり、ケースから蓋が外れたりすることが殆どない。
実施形態1に係るリアクトルの斜視図であって、ケースに蓋を取り付ける前の状態が示されている。 (A)は実施形態1のリアクトルに備わる蓋の外面斜視図、(B)は蓋の内面斜視図である。 実施形態1のリアクトルに備わるケースの分解斜視図である。 組合体の分解斜視図である。 ケースに組合体を収納する手順を示す説明図である。 (A)は実施形態2に係るリアクトルに備わる蓋の内面斜視図、(B)〜(G)は張出部を有するアンカー部の概略断面図である。 (A)は実施形態3に係るリアクトルの分解斜視図、(B)は(A)に図示される蓋の内面斜視図である。 実施形態4に係るリアクトルに備わるケースの側壁部と蓋の概略斜視図である。 ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す概略構成図である。 本発明コンバータを備える本発明電力変換装置の一例を示す概略回路である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
<実施形態1>
図1〜3を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。図1に示すリアクトル1は、コイルと磁性コアの組合体10をケース6に収納した状態で封止樹脂5により封止し、ケース6の開口部を蓋9で閉じた構成を備える。このリアクトル1の特徴とするところは、蓋9の内面(ケース6の内部空間に対向する面)に、ケース6内の封止樹脂5に埋設されるアンカー部9Cを設けたことにある。以下、本実施形態1のリアクトル1の各構成を詳細に説明する。
[組合体]
組合体10は、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内部に挿入される磁性コアと、を備えていれば良く、これらコイルと磁性コアの形態は特に限定されない。組合体10の具体的な構成については、後述するリアクトル1の製造方法において図4を参照して説明する。
[ケース]
ケース6は、その内部に組合体10を収納することができる箱状の部材である(図3を合わせて参照)。本実施形態では、ケース6は、組合体10を載置する底板部60と、底板部60とは別個に作製された側壁部61と、で構成される。つまり、このケース6では、側壁部61は後から底板部60に取り付けられる。このケース6の側壁部61の内周面には、後述する蓋9に備わる環状のアンカー部9Cが引っ掛かる係合爪6Cが設けられている。
係合爪6Cは、ケース6の上方から下方に向かうに従い、ケース6内周面からの突出量が漸次大きくなる断面三角形状の突起である。この係合爪6Cは、ケース6内への組合体10の配置の邪魔とならない位置に複数設けることが好ましい。本実施形態では、ケース6の四つの内壁面のうち、ケース6内に配置される組合体10のコイル素子2A,2B(図4参照)の並列方向にある二つの内壁面にそれぞれ二つずつ設けられている。一つの内壁面に設けられる二つの係合爪6Cは、コイル素子2A,2Bの軸方向に3cm〜8cm程度離隔して配置されている。
上記係合爪6Cの両サイドには、ケース6の高さ方向に延びるガイド突起6G,6Gが設けられている。これらガイド突起6G,6Gは、後述する環状のアンカー部9Cを係合爪6Cに係合させるときに、アンカー部9Cを両側から挟み込む一対の突条であって、アンカー部9Cを係合爪6Cに案内する役割を持つ。
[封止樹脂]
封止樹脂5は、組合体10を収納した状態にあるケース6の内部に充填され、ケース6内の組合体10のほぼ全てを覆う(リアクトル1に電力を供給する端子部材8a,8bが接続されるコイル2の端部2a,2bを除く)。この封止樹脂5によって、ケース6内での組合体10の位置を固定することができる。また、封止樹脂5によって、組合体10を機械的な衝撃や腐食雰囲気から保護することができる。その他、封止樹脂5は、リアクトル1を動作させたときに組合体10で発生した熱をケース6側に逃がす放熱経路としての役割も持つ。
[蓋]
蓋9は、組合体10を収納したケース6の開口部に被せられて、当該開口部を閉じる部材である(図2を合わせて参照)。蓋9によって、ケース6内の組合体10、および封止樹脂5を外部環境から保護することができる。
この蓋9の内面、即ち、ケース6に蓋9を被せたときに、ケース6の内部空間に対向する面には、アンカー部9Cが形成されている。本実施形態のアンカー部9Cは、環状に形成されており、上述したケース6の側壁部61の内壁面に設けられた係合爪6Cに係合し、ケース6に対する蓋9の位置を決めると共に、ケース6に蓋9を固定する役割を持つ。
ここで、アンカー部9Cは、ケース6の内周面に形成される係合爪6Cに係合する関係上、ケース6に蓋9を取り付ければ、当該アンカー部9Cもケース6の内部に配置される。つまり、封止樹脂5が硬化する前に、ケース6に蓋9を取り付ければ、アンカー部9Cは封止樹脂5に埋設した状態になる。この状態で封止樹脂5を硬化させれば、環状のアンカー部9Cと係合爪6Cとのクリアランスが封止樹脂5で埋められ、しかも、アンカー部9Cが封止樹脂5で固定される。その結果、ケース6に取り付けられた蓋9ががたつくことが殆どなく、ましてや蓋9がケース6から外れたりすることなどまず有り得ない。
[効果]
以上説明した構成を備えるリアクトル1は、ケース6に蓋9を取り付けるだけで、ケース6と蓋9とを強固に固定することができ、生産性に優れる。また、ケース6と蓋9とが強固に固定されているため、リアクトル1を高周波で使用しても、振動によってケース6に取り付けた蓋9ががたついたり、蓋9がケース6から外れたりすることが殆どない。蓋9のがたつきが効果的に抑制されることで、リアクトル1の使用に伴う騒音の発生を効果的に防止できる。そのため、リアクトル1を備える機器(例えばハイブリッド自動車など)の静粛性を向上させることができる。
[用途]
上記構成を備えるリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
[リアクトルの製造方法]
以上説明したリアクトル1は、例えば、次に示す工程α〜εに従って作製することができる。
[α]組合体10を作製する。
[β]組合体10をケースに収納する。
[γ]ケース内に封止樹脂を充填する。
[δ]ケースに蓋を取り付ける。
[ε]封止樹脂を硬化させる。
以下、各手順を順次説明すると共に、本実施形態のリアクトル1に備わる各構成を詳細に説明する。
[α]組合体10を作製する
本実施形態の組合体10を図4に基づいて説明する(適宜、図1、図3も参照する)。組合体10を構成するコイル2と磁性コア3は次の通りである。もちろん、組合体10の構成は、以下に説明する構成に限定されるわけではない。
[構成部材]
〔コイル〕
コイル2は、一対のコイル素子2A,2Bと、両コイル素子2A,2Bを連結するコイル素子連結部2rとを備える。各コイル素子2A,2Bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行するように横並びに並列されている。また、コイル素子連結部2rは、コイル2の他端側(図4において紙面右側)において両コイル素子2A,2Bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。このコイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各コイル素子2A,2Bを別々の巻線により作製し、各コイル素子2A,2Bの巻線の端部同士を半田付けや圧着などにより接合することで形成しても良い。
コイル2は、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線を好適に利用できる。本実施形態では、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を利用し、各コイル素子2A,2Bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにしたエッジワイズコイルである。また、各コイル素子2A,2Bの端面形状を長方形の角部を丸めた形状としているが、端面形状は、円形状など適宜変更することができる。
コイル2の両端部2a,2bは、ターン形成部分から引き延ばされて、端子部材8a,8bに接続される(図1を参照)。この端子部材8a,8bを介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置(図示せず)が接続される。
〔磁性コア〕
磁性コア3は、各コイル素子2A,2Bの内部に配置される一対の内側コア部31,31(点線丸囲みを参照)と、コイル2から露出されている一対の外側コア部32,32とを環状に組み合わせて形成される。ここで、本実施形態では、内側コア部31,31は、その外周面に一体に形成される被覆樹脂40を備えるコア部品4A,4Bの形態で用いられている。被覆樹脂40は、いわば従来構成におけるボビンと同じ役割を果たすものと考えて良い。これらコア部品4A,4Bは同形状の部材であり、コア部品4Aを水平方向に180°回転させれば、コア部品4Bになる。従って、コア部品4Bの各部にはコア部品4Aと同一の符号を付し、以降はコア部品4Aを例にして説明する。
(コア部品)
コア部品4Aは、柱状の内側コア部31の外周面に被覆樹脂40を一体に形成した部材である。端的に言えば内側コア部31と、筒状ボビンと、枠状ボビンとが一体に形成された部材がコア部品4Aである。
内側コア部31は、図4の右下の点線丸囲みに示すように、略直方体状の磁性材料からなるコア片31mと、コア片31mよりも低透磁率のギャップ材31gとを交互に連結した積層柱状体である。本例ではコア片31mとギャップ材31gの数が同数となっており、内側コア部31の一端面(紙面左側端面)にはギャップ材31gが、他端面(紙面右側端面)にはコア片31mが配置されている。なお、点線丸囲みの内側コア部31は、図中のコア部品4Bに配置されたときの向きで示されている。つまり、コア部品4Aにおける内側コア部31は、図示する内側コア部31を水平方向に180°回転させた向き、即ち紙面左側端部にコア片31mが、紙面右側端部にギャップ材31gが配置される。
内側コア部31に一体化された被覆樹脂40は、枠状部42Aと、周面被覆部41oAと、係合筒部43Aと、を備える。周面被覆部41oAと係合筒部43Aとは、枠状部42Aの一面側から並列された状態で突出している。
周面被覆部41oAは、上述した内側コア部31の周面を、その長手方向のほぼ全長に亘って覆っており、従来構成における筒状ボビンの役割を担っている。この周面被覆部41oAの先端側部分は他の部分よりも薄肉に形成されており、この薄肉の部分(係合部417)を、コア部品4Aに対向するコア部品4Bの係合筒部43Aに挿入できるようになっている。そのため、コア部品4A,4Bを互いに近づけると、両コア部品4A,4Bの係合筒部43Aと係合部417とが嵌め合わされ、両コア部品4A,4Bが環状に繋がった状態となる。
上記周面被覆部41oAが繋がる枠状部42Aの部分には、内側コア部31の端面31eを被覆する端部被覆部41eAが形成されており、コア部品4Aの内側コア部31の端面31eが直接外側コア部32に接触しないようになっている。この端部被覆部41eAは、内側コア部31と外側コア部32の間に配置されるギャップの役割を果たす。
上記係合筒部43Aが繋がる枠状部42Aの部分には、内側コア部31を挿通させることができる大きさの貫通孔430が形成されている。貫通孔430は、係合部417に対応する矩形孔である。ここで、コア部品4Aの係合筒部43Aに挿入されるコア部品4Bの内側コア部31の端面にはギャップ材31gが配置されているので、コア部品4Bの内側コア部31はギャップ材31gを介して外側コア部32に繋がる。
枠状部42Aにおける周面被覆部41oAと係合筒部43Aとの間には仕切り部46Aが設けられている。仕切り部46Aは、コア部品4A,4Bに嵌め込まれるコイル2の両コイル素子2A,2Bの間に配置され、両コイル素子2A,2Bの離隔状態を保持するものである。これによって、両コイル素子2A,2B間の絶縁を確実にすることができる。
以上説明した被覆樹脂40の構成材料には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6、ナイロン66、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂などの熱可塑性樹脂を利用することができる。
(外側コア部)
外側コア部32,32は、例えばその上面が略ドーム状の柱状コア片である。紙面左側に配置される一方の外側コア部32は、内側コア部31,31の一端側(紙面左側)の面に対向し、紙面右側に配される他方の外側コア部32は、上記内側コア部31,31の他端側(紙面右側)に対向している。その結果、内側コア部31,31と外側コア部32,32とで環状の磁性コア3が形成される。
(コア片の材質)
上記内側コア部31と外側コア部32を構成する各コア片には、鉄などの鉄属金属やその合金などに代表される軟磁性粉末を用いた圧粉成形体や、軟磁性粉末を含む樹脂からなる成形硬化体、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、電磁鋼板)を複数積層した積層体などが利用できる。
内側コア部31,31を構成するコア片31mと、外側コア部32,32とは、磁気特性を異ならせても良い。例えば、コア片31mと外側コア部32とで使用する材質を異ならせることで両者の磁気特性を異ならせても良いし、コア片31mを成形硬化体、外側コア部32を圧粉成形体とすることで両者の磁気特性を異ならせても良い。一般に、成形硬化体に含まれる磁性粉末の量は、圧粉成形体と比較して少ない傾向にあるため、『成形硬化体の比透磁率<圧粉成形体の比透磁率』となる。そのため、内側コア部31のコア片31mを成形硬化体、外側コア部32を圧粉成形体とすれば、大電流で使用した場合でも磁気飽和し難い磁性コア3(リアクトル1)とすることができる。なお、成形硬化体からなる一つのコア片31mと、そのコア片31mの一端側に貼り合わされる一枚のギャップ材31gとで内側コア部31を形成しても良い。
[組立手順]
図4に示すように、本実施形態では、巻線を巻回してなるコイル2を用意し、このコイル2に複数の分割片からなる磁性コア3を組み付けることで組合体10を完成させた。具体的には、コイル2にコア部品4A,4Bを組み付け、さらにその組物を外側コア部32,32で挟み込む。もちろん、組上がった磁性コア3に巻線を巻回することでコイル2を形成し、組合体10を完成させても良い。これら複数の分割片同士は、例えば熱硬化型の接着剤などで接合することが好ましい。接着剤が分割片同士の衝突を抑制するクッション材として機能することが期待でき、リアクトル1の使用時の騒音を抑制できるからである。
[その他の組合体]
図4の示す組合体10とは異なり、上記内側コア部31,31をコア部品4A,4Bの形態とすることなく組合体を作製しても良い。例えば、内側コア部31,31と、外側コア部32,32と、一対の筒状ボビンと、一対の枠状ボビンと、を用意する。そして、筒状ボビンを外周に嵌め込んだ内側コア部31,31を外側コア部32,32で挟み込むことで、磁性コア3を完成させても良い。その場合も、内側コア部31と外側コア部32とを接着剤を介して接合すれば、リアクトル1の使用時におけるコア部31,32同士の衝突を抑制でき、その結果としてリアクトル1の使用時の騒音を抑制できる。なお、上記筒状ボビンは分割片を組み合わせる構成であっても良い。
[β]組合体10をケース6に収納する。
上記[α]で作製した組合体10をケース6に収納するにあたり、本実施形態では、図5に示すように、ケース6と、絶縁シート7Aと、接着シート7Bとを用意した。まず、用意した部材について説明する。
[用意した部材]
〔ケース〕
ケース6の説明では、主として図3を参照するものとする。本実施形態で用意したケース6は、平板状の底板部60と、この底板部60とは別個に作製した側壁部61と、を組み合わせることで形成されている。両者60,61は、その材質を異ならせることもできるし、同じとすることもできる。
(底板部)
底板部60は、組合体10(図5参照)を支持しつつ、組合体10からリアクトル1の取付対象(例えば、冷却ベース)への放熱経路として機能する板状の部材である。具体的には、底板部60の一面側(紙面上方側)が組合体10を搭載する搭載面であり、底板部60の他面側(紙面下方側)がリアクトル1を冷却する冷却ベース(図示せず)への取付面である。
底板部60の四隅にはそれぞれ、リアクトル1を冷却ベースに取り付けるための第一取付孔H1が設けられている。また、当該四隅のうち、対角位置にある二つの隅には、第二取付孔H2が設けられている。
上記構成を備える底板部60は、コイル2に近接して配置されるため、非磁性材料から構成することが好ましい。また、底板部60は、組合体10の放熱経路に利用されるため、熱伝導性に優れる金属材料から構成する。つまり、底板部60は、アルミニウムやその合金、あるいはマグネシウムやその合金などの非磁性金属から構成する。上記列挙した非磁性金属は軽量であるため、軽量化が望まれている車載部品の構成材料に適する。この底板部60の厚さは、強度、磁束の遮蔽性を考慮して、2〜5mm程度とすることが好ましい。
(側壁部)
側壁部61は、上方と下方に開口部を有する筒状の部材であって、既に説明したように、その内壁面の上方開口部寄りの位置に係合爪6Cとガイド突起6Gを有する。この側壁部61の下方縁部にはフランジ部61Fが設けられている。フランジ部61Fの輪郭形状は、上述した底板部60の輪郭形状にほぼ一致し、そのフランジ部61Fには、底板部の第一取付孔H1と第二取付孔H2に対応する位置に第三取付孔H3と第四取付孔H4が形成されている。
また、側壁部61には、ケース6に組合体10を収納したときに組合体10の外側コア部32,32の周面と上面を包囲するコアカバー部6A,6Bが設けられている(図1を合わせて参照)。つまり、コアカバー部6A,6Bは、外側コア部32,32の外周面形状に対応した形状となっており、コアカバー部6A,6Bを形成することで、ケース6に充填する封止樹脂5の量が少なくて済む。それによって、封止樹脂5の充填時間の短縮化、硬化時間の短縮化といった生産性の面でのメリットが得られる(もちろん、コスト面でのメリットもある)。また、コアカバー部6A,6Bには、ケース6に収納した組合体10がケース6から脱落することを防止する機能もある。コアカバー部6A,6Bが設けられていることで、側壁部61の上方開口部が組合体10よりも小さくなっているからである。このコアカバー部6A,6Bの内周面と、外側コア部32,32の外周面とのクリアランスは、0.5〜5.0mm程度とすることが好ましい。
上記コアカバー部6A,6Bのうち、紙面手前側(組合体10のコイル2の端部2a,2bが配置される側)のコアカバー部6Aには、円筒状の端子台6Sa,6Sbが二つ設けられている。端子台6Sa,6Sbにはネジ穴が切ってあり、各端子台6Sa,6Sbに端子部材8a,8bをネジ止めできるようになっている(図1を合わせて参照)。一方、紙面奥側(コイル2のコイル素子連結部2rが配置される側)のコアカバー部6Bには、後述する温度測定部材80(図1を合わせて参照)の取付部となるスライドレール6Rが設けられている。
その他、側壁部61の内周面のうち、コアカバー部6Bの側の位置には、温度測定部材80の取り付けの際に利用されるフック6Fが設けられている。
上記構成を備える側壁部61は、樹脂で構成することが好ましい。樹脂であれば、例えば、射出成形などで複雑な形状に形成することが容易であるからである。側壁部61を構成する樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂などを利用することができる。これらの樹脂は、電気絶縁性に優れることから、組合体10のコイル2と側壁部61との間の絶縁を確保し易い。これら樹脂には、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、および炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスフィラーが含有されていても良く、そうすることで、側壁部61の絶縁性および放熱性を向上させることができる。
なお、側壁部61は金属で形成することもできる。例えば、アルミニウムなどの非磁性金属で側壁部61を構成すれば、側壁部61に電磁波シールドの機能を持たせることができる。
〔その他のケース〕
上記構成と異なり、組合体10を収納するケース6として、底板部60と側壁部61とが繋ぎ目なく一体になったケース6を利用することもできる。また、ケース6として、コンバータケースを利用することもできる。
〔絶縁シートおよび接着シート〕
図5に示すように、絶縁シート7Aと接着シート7Bは、ケース6の底板部60に組合体10を接着させるためのシート状部材である。絶縁シート7Aは、非磁性金属からなる底板部60と組合体10との間の絶縁を確保するため部材であって、接着剤などで底板部60に貼り付けられる。一方、接着シート7Bは、その両面が粘着質で柔らかく、複雑な凹凸形状を有する組合体10を絶縁シート7Aに強固に密着させるための部材である。
絶縁シート7Aには所定の耐電圧特性(リアクトル1においては2.5kV/50μm以上)が求められる。また、絶縁シート7Aは、コイル2(コイル素子2A,2B)で発生した熱を効果的に底板部60に伝達できるように、0.1W/m・K以上の優れた熱伝導性を有することが好ましく、その熱伝導率は高いほど好ましい(特に好ましくは2.0W/m・K以上)。
一方、接着シート7Bには、コイル2と底板部60との間を十分に絶縁可能な程度の絶縁特性と、リアクトル1の使用時における最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性が求められる。例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性の絶縁性樹脂が接着シート7Bに好適に利用できる。この絶縁性樹脂には、側壁部61の説明の際に例示したセラミックスフィラーが含有されていても良く、そうすることで、接着シート7Bの絶縁性および放熱性を向上させることができる。接着シート7Bの熱伝導率は、絶縁シート7Aと同等程度が好ましい。
〔その他〕
本実施形態のリアクトル1は、リアクトル1の運転時における組合体10の温度を監視するための温度測定部材80を備える。温度測定部材80は、熱電対などの公知の温度センサ81と、その温度センサ81に接続される配線82と、配線82の端部を保持する筒状の保持部83と、を備える。筒状の保持部83の一側開口部に上記配線82が挿入され、保持部83の内部に配線82が保持されている。そのため、リアクトル1の外部にある測定機器の配線を、保持部83の他側開口部に挿入すれば、温度センサ81と測定機器とが電気的に接続される。また、保持部83の外周面にはスライド溝が形成されており、上述したケース6の側壁部61に設けられるスライドレール6Rに保持部83を取り付けることができるようになっている。
[組合体10の収納手順]
まず、底板部60の上面に接着剤を用いて絶縁シート7Aを取り付け、その絶縁シート7Aの上に接着シート7Bと組合体10を載置する。接着シート7Bは柔軟性を有するため、組合体10の下面の凹凸に入り込み、底板部60に対して組合体10が固定される。なお、底板部60の上面に接着剤を塗布もしくは印刷し、その上に組合体10を載置することで底板部60に組合体10を固定しても良い。
次に、組合体10の上方から側壁部61を被せ、ネジ63(固定部材)を用いて側壁部61と底板部60とを一体化する。このネジ止めには、側壁部61の第四取付孔H4と、底板部60の第二取付孔H2を用いる。
最後に、組合体10のコイル2の端部2a,2bに端子部材8a,8bを取り付けると共に、温度測定部材80を配置する。端子部材8a,8bは、滑り台のような形状をしており、その一端をコイル2の端部2a,2bに圧接や溶接し、その中間部をネジにより端子台6Sa,6Sbに固定する。そうすることで、端子部材8a,8bの他端(即ち、リアクトル1に電力を供給する電気機器との接続端)が、ケース6の上端(即ち、側壁部61の上端)よりも低い位置に配置される。
一方、温度測定部材80の配置にあたり、温度センサ81は組合体10のコイル素子2A,2B間に配置されるようにする(図1を合わせて参照)。また、配線82は、コイル素子2A,2B間の溝に這わせて、側壁部61のフック6Fに引っかけ、保持部83はスライドレール6Rに嵌め込む。
[γ]ケース6内に封止樹脂5を充填する。
図1に示す封止樹脂5としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを利用することができる。また、これらの樹脂に、側壁部61の説明の際に例示したセラミックスフィラーを含有させると、封止樹脂5の放熱性を向上させることができる。
ケース6への封止樹脂5の充填量は、適宜選択することができる。但し、蓋9に備わるアンカー部9Cが封止樹脂5に埋設されるように、封止樹脂5の充填量を選択する。例えば、アンカー部9Cが係合する係合爪6Cの上端よりも高い位置とすることが挙げられる。ケース6の側壁部61の縁一杯にまで封止樹脂5を充填しても構わない。
[δ]ケース6に蓋9を取り付ける。
図1、図2に示すように、本実施形態の蓋9は、側壁部61の上方開口部全てを覆う大きさを備える。さらに、この蓋9は、ケース6に取り付けたときに側壁部61の上方開口部から張り出す端子カバー部90を備える。
上記構成を備える蓋9をケース6に取り付ける。既に説明したように、蓋9の内面にはアンカー部9Cが設けられており、蓋9をケース6に取り付ければ、蓋9のアンカー部9Cは、ケース6に充填される封止樹脂5に埋設し、ケース6の係合爪6Cに係合する。このとき、係合爪6Cの両サイドにガイド突起6G,6Gが形成されているため、アンカー部9Cがスムースに係合爪6Cに案内される。また、蓋9をケース6に取り付ければ、蓋9の端子カバー部90によって端子部材8a,8bの一部(端子台6Sa,6Sbに固定される部分)が覆われ、その覆われた部分が機械的衝撃から保護される。
[ε]封止樹脂5を硬化させる。
封止樹脂5を硬化させる方法は、封止樹脂5に何を使用するかによって変化する。例えば、封止樹脂5が常温硬化性樹脂であれば時間の経過、熱硬化性樹脂であれば熱処理である。例えば封止樹脂5がエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂である場合、蓋9を取り付けたケース6ごと、100〜160℃×50〜300分間の熱処理を施せば良い。
封止樹脂5を硬化させれば、蓋9のアンカー部9Cは、封止樹脂5に埋設された状態で固定されるため、蓋9はケース6から外れなくなる。
なお、完成したリアクトル1を冷却ベースに取り付ける際は、ケース6の第三取付孔H3にネジを打てば良い。
<変形実施形態1−1>
実施形態1の蓋9は、ケース6の開口部全体を覆っているが、開口部の一部のみを覆う構成としても良い。例えば、図2において端子カバー部90の部分のみからなる蓋9としても良い。その場合、端子カバー部90(=蓋9)の内面に、アンカー部9Cを形成する。もちろん、ケース6の側壁部61には、蓋9のアンカー部9Cに対応する位置に係合爪6Cを形成する。
<実施形態2>
実施形態2では、実施形態1で説明したリアクトルの蓋にさらに構成を追加したリアクトルを図6に基づいて説明する。なお、本実施形態2のリアクトルと、実施形態1のリアクトルの相違点は、ケースの開口部を閉じる蓋のみである。従って、本実施形態2では、蓋に形成されるアンカー部の構成についてのみ説明する。図6にも、蓋しか示さない。
図6(A)に示すように、本実施形態2の蓋9の内面には、スナップフィット構造の一部を構成するアンカー部9Cに加え、棒状のアンカー部9Dが設けられている。このアンカー部9Dは、一様な太さの円柱状であり、かつ図1に示すケース6内に充填した封止樹脂5に埋設される長さを有する。このような棒状のアンカー部9Dを追加することで、ケース6に対する蓋9の固定をより一層、強固にすることができ、蓋9のがたつきと脱落を効果的に防止することができる。なお、アンカー部9Dの軸は、蓋9の平面に対して垂直である必要はない。
ここで、アンカー部9Dの形状は、円筒状に限定されるわけではなく、例えば、多角柱状としても良い。また、アンカー部9Dにおいて、アンカー部9Dの軸方向に引っ掛かりを有する形状としても良い。例えば、図6(B)〜(E)に示すように、アンカー部9Dの先端に、アンカー部9Dの径方向に張り出す張出部9bを形成する。張出部9bの張り出し方は特に限定されず、図6(B),(C),(D)に示すように、径方向の全周に向かって張り出していても良いし、図6(E)に示すように、径方向の一部に向かって張り出していても良い。また、張出部9b以外の部分が一様な径を有する必要はなく、例えば、図6(D)に示すように、張出部9b以外の部分が先端に向かって徐々に細くなっていても良い。さらに、図6(F)に示すように、アンカー部9Dの軸方向中間部が膨出したようにアンカー部9Dの径方向に張り出していても良い。その他、図6(G)に示すように、アンカー部9D全体が、先端に向かうに従って徐々に太くなっていても良く、この場合、アンカー部9D全体が張出部9bとなる。
棒状のアンカー部9Dは、環状のアンカー部9Cと異なり、太さ・長さ・形状を比較的自由に設定することができる。例えば、アンカー部9Dを太くすれば、折損し難いアンカー部9Dとすることができる。
以上説明した実施形態2の構成によっても、ケース6に対する蓋9のがたつきと脱落を効果的に防止することができる。
<実施形態3>
実施形態3では、棒状のアンカー部9Dのみを有する蓋9を備えるリアクトルを図7に基づいて説明する。この本実施形態3のリアクトルと、実施形態1のリアクトルの相違点は、ケース6の側壁部61の一部と、ケース6の開口部を閉じる蓋9のみである。従って、本実施形態3では、相違点についてのみ説明する。
図7(A)に示すように、本実施形態3の蓋9のコアカバー部6Aには、幅広の溝状の端子台6Sa,6Sbが形成されている。また、この溝状の端子台6Sa,6Sbに合わせて、端子部材8a,8bもほぼ平坦な形状に形成されている。そのため、端子台6Sa,6Sbに端子部材8a,8bを取り付けたときに、端子部材8a,8bが溝に嵌まり込み、安定する。
一方、図7(B)に示すように、蓋9の内面には、棒状のアンカー部9Dが設けられている。このアンカー部材9Dは、円柱状の基部と、その基部の先端に設けられる半円状の張出部9bと、を備えている。この棒状のアンカー部9Dの存在により、ケース6に対する蓋9の固定を強固にすることができ、蓋9のがたつきと脱落を効果的に防止することができる。
上記蓋9はさらに、端子台6Sa,6Sbの形状に対応した端子カバー部90を備える。端子カバー部90は、略ドーム形状の輪郭を有する平板状の部分と、蓋9の上面から突出する箱状の部分と、からなる。平板状の部分は、コアカバー部6Aの上面全体を覆い、端子部材8a,8bを保護する。また、箱状の部分は、蓋9の内面に開口している(特に、図7(B)を参照)。そのため、ケース6に蓋9を取り付ければ、箱状の部分の内部に、端部2a,2bと端子部材8a,8bとの接合部全体が収納・保護される。
以上説明した実施形態3の構成では環状のアンカー部を設けていないので、蓋9を作製するための金型を簡素化することができる。
<実施形態4>
実施形態4では、実施形態1で説明した蓋と側壁部とにさらに構成を追加したリアクトルを図8に基づいて説明する。蓋と側壁部以外の構成は、実施形態1と同様であるため、以下では蓋と側壁部のみを説明する。図8にも、蓋と、ケースのみしか示さない。
図8に示すように、ケース6の側壁部61には、係合筒部(ケース側押圧係合部)6Pが二つ設けられている。一方の係合筒部6Pは、コアカバー部6A上の端子台6Sa,6Sbの間に設けられている。他方の係合筒部6Pは、他方のコアカバー部の側で、かつ側壁部61の内壁面に設けられている。これら係合筒部6P,6Pの内径は一様である。
一方、蓋9の内面には、その内面から突出する係合突起部9Pが二つ設けられている。これら係合突起部9P,9Pは、係合筒部6P,6Pに対応する位置に設けられている。ここで、係合突起部9P,9Pの先端側には周方向に並ぶ複数のフィンが形成され、しかもそれらフィンの包絡円は、係合突起部9Pの先端にいくほど小さくなっている。つまり係合突起部9Pは先細りの形状となっており、蓋9をケース6に取り付けるときに、係合突起部9Pを係合筒部6Pの孔に挿入し易くなっている。また、フィンの根元側の包絡円は、係合筒部6Pの内径よりも若干大きくなっているため、係合筒部6Pへの係合突起部9Pの挿入量が大きくなると、フィンが撓んで係合突起部9Pが係合筒部6Pの孔に圧入された状態となる。
以上説明した実施形態4の構成によっても、ケース6に対する蓋9のがたつきと脱落を効果的に防止することができる。
<実施形態5>
実施形態1〜4、変形実施形態のリアクトルは、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、図9に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、図9では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態としても良い。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図10に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、FET,IGBTなどのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上記実施形態、変形実施形態に記載のリアクトルを用いる。軽量で扱い易いこれらリアクトルを用いることで、電力変換装置1100(コンバータ1110を含む)の軽量化を図ることができる。
ここで、上記車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施形態や変形例のリアクトルなどと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上記実施形態のリアクトルなどを利用することもできる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、コイル素子を一つしか持たないリアクトルにも、本発明の構成を適用することができる。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載される双方向DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。
1 リアクトル
10 組合体
2 コイル
2A,2B コイル素子 2r コイル素子連結部 2a,2b 端部
3 磁性コア
31 内側コア部 31m コア片 31g ギャップ材 31e 端面
32 外側コア部
4A,4B コア部品
40 被覆樹脂
41oA 周面被覆部 417 係合部
41eA 端部被覆部
42A 枠状部 430 貫通孔
43A 係合筒部
46A 仕切り部
5 封止樹脂
6 ケース
60 底板部 H1 第一取付孔 H2 第二取付孔
61 側壁部
61F フランジ部 H3 第三取付孔 H4 第四取付孔
6A,6B コアカバー部 6Sa,6Sb 端子台
6C 係合爪 6G ガイド突起 6F フック 6R スライドレール
6P 係合筒部(ケース側押圧係合部)
63 ネジ(固定部材)
7A 絶縁シート 7B 接着シート
8a,8b 端子部材
80 温度測定部材 81 温度センサ 82 配線 83 保持部
9 蓋
90 端子カバー部
9C アンカー部(環状)
9D アンカー部(棒状) 9b 張出部
9P 係合突起部(蓋側押圧係合部)
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子 1112 駆動回路
L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪

Claims (7)

  1. 巻線を巻回してなるコイルと、
    そのコイルの内部に挿通される磁性コアと、
    これらコイルおよび磁性コアの組合体を収納するケースと、
    前記ケースの内部に充填され、前記組合体を覆う封止樹脂と、
    前記ケースの開口部の少なくとも一部を覆う蓋と、
    を備えるリアクトルであって、
    前記蓋は、その内面に設けられ、前記封止樹脂に埋設されるアンカー部を備えるリアクトル。
  2. 前記アンカー部は、棒状に形成されており、
    前記棒状に形成されたアンカー部は、アンカー部の径方向に張り出す張出部を備える請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記アンカー部は、環状に形成されており、
    前記ケースは、その内壁面からケースの内方に突出し、前記環状に形成されたアンカー部を係止する係合爪を備える請求項1に記載のリアクトル。
  4. 前記ケースは、
    底板部と、
    前記底板部とは別個に作製され、固定部材により前記底板部に取り付けられる側壁部と、を備え、
    前記蓋と前記側壁部とは樹脂製である請求項1〜3のいずれか一項に記載のリアクトル。
  5. 前記側壁部は、前記コイルの端部に取り付けられる端子部材を固定するための端子台を備え、
    前記蓋は、前記端子台上に配置される端子部材の上面をカバーする端子カバー部を備える請求項4に記載のリアクトル。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のリアクトルを備えるコンバータ。
  7. 請求項6に記載のコンバータを備える電力変換装置。
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