JP2013004933A - リアクトル、およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用時における振動と、それに伴う騒音を抑制できるリアクトル、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】コイル部材2と磁性コア3とを組み合わせてなる組合体10、およびこの組合体10を内部に収納するケース4を備えるリアクトル1である。ケース4は、組合体10の周囲を囲む側壁部41と、側壁部41とは別部材の底板部40とを組み合わせてなり、底板部40のケース4内面側には、底板部40とコイル2a,2bとの間に介在される放熱層42が形成されている。底板部40に備わる放熱層42と、組合体10の磁性コア2のうちコイル2a,2bから露出する部分と、の間には常温硬化性の弾性接着剤からなる接着層8が形成されている。上記構成を備えるリアクトル1であれば、弾性を有する接着層8により、リアクトル1の使用時におけるコア片の振動を吸収でき、その結果、騒音を抑制できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド自動車の車両に搭載される車載用DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトル、およびその製造方法に関するものである。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の1つに、リアクトルがある。例えば、特許文献1は、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータに利用されるリアクトルを開示している。このリアクトルは、並列した状態で連結される一対のコイルを有するコイル部材と、両コイルの内部を貫通するようにこれらコイルに嵌め込まれる環状の磁性コアとを組み合わせてなる組合体を備える。また、この組合体をケースに収納し、樹脂で封止した構成を備えるリアクトルもある。
上記リアクトルの組合体を構成する磁性コアは、通常、複数のコア片と、コア片の間に介在されるギャップ板とを組み合わせてなる。その組み合わせの際、コア片とギャップ板との接着にはエポキシ樹脂系の接着剤やウレタン樹脂系の接着剤が用いられている(例えば、特許文献1の段落0041参照)。
特開2008−21688号公報
しかし、上記特許文献1のリアクトルには、使用に伴ってケース内の組合体が振動し、その組合体の振動に起因して騒音が発生するという問題があった。交流磁界中にある組合体の磁性コアは、磁歪により伸縮を繰り返すことで振動し、磁性コア自身が騒音を発するし、振動した磁性コアがケースの底部などに接触することでも騒音が発生する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的の一つは、ケース内における組合体の振動を抑制し、その振動に起因する騒音を低減できるリアクトル、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、リアクトルの構成を見直す過程で、ケース内におけるケース底面と組合体との接着方法に着目した。そして、ケース底面と組合体との接着、特にケース底面と磁性コアとの接着に常温硬化性の弾性接着剤を用いることで、上記目的を達成できるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
本発明リアクトルは、並列した状態で連結される一対のコイルを有するコイル部材と、両コイルの内部を貫通する環状の磁性コアと、の組合体をケースの内部に収納してなるリアクトルである。この本発明リアクトルに備わるケースは、組合体の周囲を囲む側壁部と、側壁部とは別部材の底板部と、その底板部のケース内面側に形成され、底板部とコイルとの間に介在される放熱層と、を有する。そして、本発明リアクトルは、その放熱層と、前記磁性コアのうち前記コイルから露出する部分との間に、常温硬化性の弾性接着剤からなる接着層を備えることを特徴とする。
本発明リアクトルは、常温硬化性の弾性接着剤が硬化することで形成される接着層が底板部のケース内面側と組合体の磁性コアとの間に配されているため、使用時における磁性コアの振動が抑制されるし、ケースの底板部と磁性コアとの接触も抑制される。その結果、本発明リアクトルは、従来よりも使用時における騒音の小さなリアクトルとなる。
また、本発明リアクトルは、従来よりも生産性良く製造されたリアクトルである。それは、リアクトルに備わる磁性コアの作製にあたり熱硬化性接着剤ではなく常温硬化性接着剤を利用しているためである。特許文献1に示すような従来のリアクトルにおいてコア片とギャップ板との接合に利用されていたエポキシ樹脂系やウレタン樹脂系の接着剤には、耐熱性を考慮して熱硬化性のものが用いられていた。そのため、リアクトルの製造工程において、熱硬化性接着剤を硬化させるために、バッチ炉などの加熱設備が必要であるし、加熱の時間も必要であった。これに対して、常温硬化性接着剤を用いれば、従来必要であった熱硬化性接着剤の硬化処理を行う必要がなく、そのことが本発明リアクトルの生産性の向上に寄与する。
さらに、本発明リアクトルは、ケースを備える構成とすることで、外部からの物理的な衝撃から組合体を保護することができるし、組合体の放熱性を向上させることもできる。特に、側壁部と底板部とを分けた構成とすることで、ケース内への組合体の配置(位置合わせも含む)が容易になる。また、底板部とコイルとの間に放熱層を介在させることで、リアクトルの放熱性を向上させることができる。
本発明リアクトルの製造方法は、並列した状態で連結される一対のコイルを有するコイル部材と、両コイルの内部を貫通する環状の磁性コアと、の組合体をケースの内部に収納してなるリアクトルを作製するリアクトルの製造方法であって、以下の工程A〜Dを備えることを特徴とする。
[工程A]…組合体を用意する。
[工程B]…組み合わせることでケースとなる側壁部と底板部とを用意する。
[工程C]…底板部に形成した放熱層とコイルとが接触するように、底板部上に組合体を載置する。
[工程D]…底板部に載置した組合体の外周を取り囲むように、側壁部と底板部とを係合させる。
ここで、上記工程Cでは、底板部と、組合体の磁性コアのうちコイルから露出する部分と、を常温硬化性の弾性接着剤により接着する。
上記本発明リアクトルの製造方法によれば、弾性を有する接着層によって、ケース内に組合体を固定した本発明リアクトルを作製することができる。また、本発明リアクトルの製造方法によれば、ケースの底板部と組合体との接着に常温硬化性の弾性接着剤を利用しているため、熱硬化性接着剤を用いたときのような硬化処理を行う必要がなくなる。その分だけ、リアクトルの製造工程を簡素化することができ、リアクトルの生産性を向上させることができる。
以下、本発明リアクトルの好ましい形態について詳細に説明する。
本発明リアクトルの一形態として、接着層のショア硬度は、D10〜D60であることが好ましい。
本発明者は、特に上記範囲のショア硬度を有する接着層であれば、ケース内における組合体(磁性コア)の振動を効果的に抑制できることを見出した。制振の観点から、特に好ましい接着層のショア硬度は、D10〜D50である。
本発明リアクトルの一形態として、接着層のガラス転移点は、−40℃〜70℃であることが好ましい。
接着層のガラス転移点が上記範囲にあれば、リアクトルの使用温度において接着層が硬化することがない。そのため、リアクトルを使用している間中、接着層の弾性を維持することができる。その結果、リアクトルの使用に伴うケース内での組合体(磁性コア)の振動を効果的に抑制することができる。
本発明リアクトルの構成によれば、使用に伴って騒音が発生し難いリアクトルとすることができる。また、本発明リアクトルの構成によれば、簡単かつ短時間で作製できるリアクトルとすることができる。
実施形態1に記載されるリアクトルの概略を示す分解斜視図である。 図1に示すリアクトルの組合体の概略を示す分解斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
<実施形態1>
≪全体構成≫
図1に示すリアクトル1は、コイル部材2と磁性コア3とを組み合わせてなる組合体10と、組合体10を収納するケース4と、を備える。ケース4は一面が開口した箱体であり、このケース4内に配置された組合体10は、コイル部材2を形成する巻線2wの端部を除いて封止樹脂(図示せず)に埋設される。このリアクトル1の最も特徴とするところは、後述するように、外側コア部33,34と、ケース4の底板部40と、の接合に常温硬化性の弾性接着剤を用いたことにある。以下、リアクトル1の各構成を詳細に説明し、次いで当該リアクトル1の製造方法を説明する。
≪組合体≫
[コイル部材]
組合体10を構成するコイル部材2は、図1,2を適宜参照して説明する。コイル部材2は、一対のコイル2a,2bと、両コイル2a,2bを連結するコイル連結部2rとを備える。各コイル2a,2bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で、中空の角筒状に形成され、各軸方向が平行するように横並びに並列されている。また、連結部2rは、コイル部材2の他端側(図1,2において紙面右側)において両コイル2a,2bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。
本実施形態におけるコイル部材2は、銅やアルミニウムなどの平角導体の外周に絶縁被覆(代表的にポリイミドアミド)を備える1本の巻線2wからなっており、コイル2a,2bの部分は巻線2wを螺旋状にエッジワイズ巻きすることで角筒状に形成されている。もちろん、巻線2wの断面は平角状に限定されるわけではなく、円形状や、楕円形状、多角形状などであっても良いし、巻回形状も楕円筒状であっても良い。なお、各コイル2a,2bを別々の巻線により作製し、各コイル2a,2bを形成する巻線の端部を溶接などにより接合することでコイル部材を作製しても良い。
コイル部材2を形成する巻線2wの両端部は、コイル部材2の一端側(図1,2において紙面左側)においてターン形成部分から適宜引き延ばされてケース4の外部に引き出される。引き出された巻線2wの両端部では絶縁被覆が剥がされ、その絶縁被覆から露出した導体部分には、導電性の端子金具(図示せず)が接続される。この端子金具を介して、コイル部材2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。
[磁性コア]
磁性コア3の説明は、図2を参照して行う。磁性コア3は、各コイル2a,2bの内部に配置される一対の内側コア部31,32と、コイル部材2から露出されている一対の外側コア部33,34とを有する。各内側コア部31,32はそれぞれ直方体状であり、各外側コア部33,34は例えばドーム状面を有する柱状体である。離隔して配置される内側コア部31,32の一端(紙面左側)同士は、一方の外側コア部33を介して繋がり、コア部31,32の他端(紙面右側)同士は、他方の外側コア部34を介して繋がっている。その結果、内側コア部31,32と外側コア部33,34とで環状の磁性コア3が形成される。
内側コア部31(32)は、略直方体状の磁性材料からなる分割コア(コア片)31mと、分割コア31mよりも低透磁率のギャップ板31gとを交互に積層して構成された積層体であり、外側コア部33,34は、底面と上面とがドーム状面の柱状のコア片である。各コア片は、磁性粉末を用いた成形体や、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、電磁鋼板)を複数積層した積層体が利用できる。なお、内側コア部31,32を構成する分割コア31mと、外側コア部33,34とは、使用する磁性材料を異ならせることで、磁気特性を異ならせても良い。
コア片を構成する成形体は、例えば、Fe,Co,Niといった鉄族金属、Fe−Si,Fe−Ni,Fe−Al,Fe−Co,Fe−Cr,Fe−Si−AlなどのFe基合金、希土類金属やアモルファス磁性体といった軟磁性材料からなる粉末を用いた圧粉成形体、上記粉末をプレス成形後に焼結した焼結体、上記粉末と樹脂との混合体を射出成形や注型成型などした成形硬化体が挙げられる。その他、コア片として、金属酸化物の焼結体であるフェライトコアを使用することなどが挙げられる。成形体は特に、種々の立体形状の磁性コアを容易に形成することができるので、好ましい。
一方、ギャップ板31gは、アルミナやガラスエポキシ樹脂、不飽和ポリエステルといった非磁性材料から構成しても良いし、これら非磁性材料中に軟磁性材料を分散させた構成としても良い。いずれにせよ、ギャップ板31gは、コア片よりも低透磁率となるようにする。
コア片31m,33,34とギャップ板31gとの接着には、常温硬化性の弾性接着剤を利用することが好ましい。硬化した常温硬化性の弾性接着剤は、コア片31m,33,34とギャップ板31gとの間に接着層7として残存する。なお、図2では、内側コア部31の分解図において、複数ある接着層7の一つをクロスハッチングにより例示しているが、実際は、コア片31m,33,34とギャップ板31gとの間の全てに接着層7が形成されている。使用する常温硬化性接着剤には、後述するケース4の底板部40と組合体10の外側コア部33,34との接着に利用するものと同じものを利用できる。
[ボビン]
本実施形態の組合体10は、コイル部材2と磁性コア3との間の絶縁性を高めるためのボビン5を備えている。ボビンの構成材料には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの絶縁性材料が利用できる。ボビン5は、内側コア部31(32)の外周に配置される内側ボビン51(52)と、コイル部材2の端面(コイルのターンが環状に見える面)に当接される一対の枠状ボビン53,54とを備えた構成が挙げられる。
内側ボビン51は、断面]状の絶縁材料から構成される一対のボビン片51a,51bからなる(内側ボビン52も同様の構成)。ボビン片51a(51b)は、内側コア部31の上面全体(下面全体)と、左面および右面の一部を覆う構成である。そのため、内側コア部31に取り付けた両ボビン片51a,51bは互いに接触しないようになっている。このような構成とすることで、内側ボビン51(52)の材料を低減できるし、内側コア部31(32)と封止樹脂との接触面積を大きくできる。なお、内側ボビン51は、内側コア部31に取り付けたときに、内側コア部31の外周面の全周に沿って配置される筒状体としても良い。
枠状ボビン53,54は、平板状で、各内側コア部31,32がそれぞれ挿通される一対の開口部を有しており、内側コア部31,32を導入し易いように、内側コア部31,32の側に突出する短い筒状部を備える。また、枠状ボビン54には、コイル連結部2rが載置され、コイル連結部2rと外側コア部32との間を絶縁するためのフランジ部54fを備える。
≪ケース≫
ケース4の説明は、図1を参照して行う。上記組合体10が収納されるケース4は、平板状の底板部40と、底板部40に立設する枠状の側壁部41とを備え、底板部40と側壁部41とが別部材で構成されている。
[底板部及び側壁部]
(底板部)
底板部40は、リアクトル1が冷却ベースなどの固定対象に設置されるときに固定対象に固定される矩形板の部材である。この底板部40は、ケース4を組み立てたとき、内側に配置される一面に放熱層42が形成されている。また、底板部40は、四隅のそれぞれから突出したフランジ部400を有しており、各フランジ部400にはそれぞれ、固定対象にケース4を固定するボルト(図示せず)が挿通されるボルト孔400hが設けられている。ボルト孔400hは、後述する側壁部41のボルト孔411hに連続するように設けられている。ボルト孔400h,411hは、ネジ加工が成されていない貫通孔、ネジ加工がされたネジ孔のいずれも利用でき、個数なども適宜選択することができる。
≪放熱層≫
底板部40は、コイル部材2のコイル設置面が接触する箇所に放熱層42を備える。放熱層42は、図1に示すように、外側コア部33,34のコア設置面に対応する箇所に亘って形成されていても良い。この放熱層42は、熱伝導率が2W/m・K超の絶縁性材料により構成されていることが好ましい。放熱層42の熱伝導率は高いほど好ましく、3W/m・K以上、特に10W/m・K、更に20W/m・K、とりわけ30W/m・K以上の絶縁性材料により構成されていることが好ましい。このような熱特性を満たす放熱層42の構成材料としては、例えば、金属元素、又はSiの酸化物、炭化物、及び窒化物から選択される一種の材料といったセラミックスなどの非金属無機材料が挙げられる。セラミックスとしては、例えば、窒化珪素(Si)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ほう素(BN)、炭化珪素(SiC)などを挙げられる。
上記セラミックスにより放熱層42を形成する場合、例えば、PVD法やCVD法といった蒸着法を利用することができる。あるいは、上記セラミックの焼結板を適宜な接着剤で底板部40に接合することで放熱層42を形成しても良い。その他、放熱層42は、上記セラミックスからなるフィラーを含有する絶縁性樹脂(例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂)で構成しても良い。絶縁性樹脂にフィラーを含有させたものを利用すれば、放熱性と電気絶縁性に優れた放熱層42を形成することができる。このような放熱層42は、フィラーを含有する絶縁性樹脂を底板部40に塗布したり、スクリーン印刷することで形成できる。特に、放熱層42が接着剤であれば、コイル2と放熱層42との密着性を向上させることができる。
ここで、底板部40に備わる放熱層42における外側コア部33,34と接触する部分(図1に示す放熱層42のクロスハッチング部分)では、コア片31m,33,34とギャップ材31gとの接着に用いた常温硬化性の弾性接着剤により放熱層42と外側コア部33,34とを接着させておく。そうすることで、放熱層42と外側コア部33,34との間に常温硬化性の弾性接着剤からなる接着層8が形成され、ケース4内における組合体10(磁性コア3)の振動を抑制できる。
使用する常温硬化性接着剤は、硬化して接着層8となったときに、当該接着層8のショア硬度がD10〜D60となる接着剤を利用することが好ましい。接着剤層8のより好ましいショア硬度はD10〜D50である。また、当該接着層8のガラス転移点が−40℃〜70℃の範囲となる常温硬化性の弾性接着剤を利用することも好ましい。接着剤層8のより好ましいガラス転移点−40℃〜50℃である。このような特性を満たす常温硬化性接着剤としては、例えばアクリルゴムなどを挙げることができる。アクリルゴムとしては、例えば、株式会社スリーボンドの試供品13X−200を利用することができる。
(側壁部)
側壁部41は、筒状の枠体であり、一方の開口部を底板部40により塞いでケース4を組み立てたとき、上記組合体10の周囲を囲むように配置され、他方の開口部が開放される。ここでは、側壁部41は、リアクトル1を固定対象に設置したときに設置側となる領域が上記底板部40の外形に沿った矩形状であり、開放された開口側の領域が組合体10の外周面に沿った曲面形状である。
その他、側壁部41には、端子金具を固定できる端子台(図示せず)を設けても良い。例えば、図1に示すケース4の上部開口部で、外側コア部33の略台形状面を覆うように庇状部を設け、その庇状部の上面を端子台として利用すると良い。
(取り付け箇所)
側壁部41の設置側の領域は、底板部40と同様に、四隅のそれぞれから突出するフランジ部411を備える取り付け箇所が形成され、各フランジ部411には、ボルト孔411hが設けられている。ボルト孔411hは、側壁部41の構成材料のみにより形成すれば良い。その他、フランジ部411の位置に金属筒をインサート成形し、当該金属筒をボルト孔411hとして利用しても良い。その場合、フランジ部411のクリープ変形を抑制できる。
ボルト以外の底板部40と側壁部41との連結方法として、適宜な接着剤を利用しても良い。接着剤を利用する場合、底板部40と側壁部41のいずれか一方に凸部を形成し、他方には当該凸部に嵌合する凹部を形成し、底板部40に対する側壁部41の位置を一義的に決められるようにしておくことが好ましい。この場合、側壁部41にはボルト孔411hを形成せずに、固定対象に対するリアクトル1の固定は、底板部40を固定対象にボルト締めすることで行なうと良い。そうすることで、後述するように底板部40を金属材料で、側壁部41を樹脂材料で形成する場合、ボルト締めによる樹脂材料のクリープ変形を抑制でき、固定対象に対するリアクトル1の固定状態がゆるむことを抑制できる。
(材質)
ケース4の構成材料は、例えば、金属材料とすることができる。金属材料は一般に、優れた熱伝導性を有するため、放熱性に優れたケース4を作製することができる。具体的な金属材料としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、銀や、それらの合金、あるいはステンレスなどを利用することができる。特に、アルミニウムやその合金であれば、軽量で耐食性に優れたケース4を作製することができる。金属材料によりケース4を形成する場合、ダイキャストといった鋳造の他、プレス加工などの塑性加工により形成することができる。
また、ケース4の構成材料として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂など非金属材料を利用することもできる。これらの樹脂材料は、電気絶縁性に優れるものが多いことから、組合体10とケース4との間の絶縁性を高められる。これら樹脂材料にセラミックスからなるフィラー(後述する封止樹脂のフィラーを参照)を混合した形態とすると、放熱性を向上することができる。樹脂によりケース4を形成する場合、射出成形を好適に利用することができる。
ここで、ケース4を構成する底板部40の構成材料と側壁部41の構成材料は、適宜選択することができる。底板部40と側壁部41とを同種の構成材料で作製しても良いし、異種の構成材料で作製しても良い。特に、底板部40をアルミニウムなどの金属材料、側壁部41をPBT樹脂などの樹脂材料で構成することが好ましい。そうすることで、底板部40を介して組合体10の熱を速やかに冷却ベース(リアクトル1が取り付けられる固定対象)に放熱でき、かつ、側壁部41により組合体10を外部から効果的に絶縁することができる。
[封止樹脂]
ケース4内には、絶縁性樹脂からなる封止樹脂を充填する。その際、巻線2wの端部は、ケース4の外部に引き出して、封止樹脂から露出させる。封止樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。この封止樹脂には、絶縁性および熱伝導性に優れるフィラー、例えば、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、ムライト、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを含有させ、封止樹脂の放熱性を向上させておくことが好ましい。
ケース4内に封止樹脂を充填する場合、未硬化の樹脂が底板部40と側壁部41との隙間から漏れることを防止するために、パッキン6を配置することが好ましい。本実施形態におけるパッキン6は、コイル部材2と磁性コア3との組合体10の外周に係合可能な大きさを有する環状体であり、合成ゴムから構成されるものを利用しているが、適宜な材質のものが利用できる。
以上説明したリアクトル1は、電気自動車やハイブリッド自動車などの電力変換装置に使用できる。このような用途のリアクトルの通電条件は、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である。
≪リアクトルの製造≫
上記構成を備えるリアクトル1は、以下のようにして製造することができる。
まず、コイル部材2と磁性コア3とを組み合わせることで組合体10を形成する。具体的には、図2に示すように分割コア31mとギャップ板31gとを常温硬化性の弾性接着剤で接着することで内側コア部31(32)を形成する。
次に、作製した内側コア部31(32)の外周に内側ボビン51(52)を配置させた状態で、内側コア部31(32)を各コイル2a(2b)に挿入する。そして、枠状ボビン53を介して、内側コア部31,32の一端同士を繋ぐように外側コア部33を配置すると共に、枠状ボビン54を介して、内側コア部31,32の他端同士を繋ぐように外側コア部34を配置して、組合体10を形成する。内側コア部31(32)の端面は、枠状ボビン53(54)の開口部から露出されて外側コア部33(34)の内側の端面に接触する。内側コア部31(32)と外側コア部33(34)との接着にも、常温硬化性の弾性接着剤を利用すると良い。
一方、図1に示すようにアルミニウム板を所定の形状に打ち抜いて底板部40を形成し、一面に所定の形状の接着剤を兼ねる放熱層42をスクリーン印刷により形成する。そして、この放熱層42の上に、上述のようにして組み立てた組合体10を載置することで、組合体10を底板部40に固定する。ここで、外側コア部33,34のコア設置面と放熱層42との接着だけでなく、コイル2a,2bのコイル設置面と放熱層42との接着にも常温硬化性の弾性接着剤を用いてもかまわない。
他方、射出成形などにより所定の形状に構成した側壁部41を、上記組合体10の外周を囲むように組合体10の上方から被せる。その際、底板部40の外縁部に沿うようにパッキン6を配置しておく。そして、別途用意したボルト(図示せず)により、底板部40と側壁部41とを一体化する。この工程により、箱状のケース4が組み立てられると共に、ケース4内に組合体10が収納された状態とすることができる。
最後に、ケース4内に封止樹脂を充填して、封止樹脂を硬化させることで、リアクトル1を完成させる。
≪効果≫
以上説明した構成を備えるリアクトル1は、簡単かつ短時間で作製することができる。それは、磁性コア3の組み立ての際、コア片31m,33,34とギャップ板31gとの接合に常温硬化性の弾性接着剤を利用しているためである。常温硬化性の弾性接着剤を利用すれば、熱硬化性接着剤を使用してコア片31m,33,34とギャップ板31gとを接合する場合に必要であった硬化処理を省略でき、その硬化処理の分だけ、リアクトル1の作製工程を短縮できる。
また、本実施形態のリアクトル1では、使用に伴う騒音を抑制することができる。それは、コア片(外側コア部)33,34のコア設置面と、底板部40の放熱層42との接合にも弾性を有する接着層8が利用されており、その接着層8によって外側コア部33,34のコイル軸方向への伸縮を抑制されるからである。その結果、外側コア部33,34の振動が抑制されるし、外側コア部33,34と底板部40との接触も抑制される。さらに、本実施形態のリアクトル1では、コア片31m,33,34とギャップ板31gとの接合にも弾性を有する接着層7が利用されており、その接着層7によってコア片31m,33,34自身の振動が抑制され、かつ隣接するコア片31m,33,34同士や、コア片31m,33,34とギャップ板31gとの接触も抑制される。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。
本発明リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車などの車載用コンバータといった電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
1 リアクトル
2 コイル部材 2a,2b コイル 2r コイル連結部 2w 巻線
3 磁性コア
31,32 内側コア部 31m 分割コア(コア片) 31g ギャップ板
33,34 外側コア部(コア片)
4 ケース
40 底板部 400 フランジ部 400h ボルト孔
42 放熱層
41 側壁部 411 フランジ部 411h ボルト孔
5 ボビン
51,52 内側ボビン 51a,51b ボビン片
53,54 枠状ボビン 54f フランジ部
6 パッキン
7,8 接着層
10 組合体

Claims (5)

  1. 並列した状態で連結される一対のコイルを有するコイル部材と、両コイルの内部を貫通する環状の磁性コアと、の組合体をケースの内部に収納してなるリアクトルであって、
    前記ケースは、
    前記組合体の周囲を囲む側壁部と、
    前記側壁部とは別部材の底板部と、
    前記底板部のケース内面側に形成され、当該底板部と前記コイルとの間に介在される放熱層と、
    を有し、
    前記底板部と、前記磁性コアのうち前記コイルから露出する部分との間に、常温硬化性の弾性接着剤からなる接着層を備えることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記接着層のショア硬度は、D10〜D60であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記接着層のガラス転移点は、−40℃〜70℃であることを特徴とする請求項1または2に記載のリアクトル。
  4. 前記常温硬化性の弾性接着剤は、アクリルゴムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリアクトル。
  5. 並列した状態で連結される一対のコイルを有するコイル部材と、両コイルの内部を貫通する環状の磁性コアと、の組合体をケースの内部に収納してなるリアクトルを作製するリアクトルの製造方法であって、
    前記組合体を用意する工程Aと、
    組み合わせることで前記ケースとなる側壁部と底板部とを用意する工程Bと、
    前記底板部に形成した放熱層と前記コイルとが接触するように、当該底板部上に前記組合体を載置する工程Cと、
    前記底板部に載置した組合体の外周を取り囲むように、前記側壁部と底板部とを係合させる工程Dと、
    を備え、
    前記工程Cにおいて、前記底板部と、前記組合体の磁性コアのうちコイルから露出する部分と、を常温硬化性の弾性接着剤により接着することを特徴とするリアクトルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015204352A (ja) * 2014-04-14 2015-11-16 株式会社オートネットワーク技術研究所 リアクトルおよび注型樹脂
JP2015204353A (ja) * 2014-04-14 2015-11-16 株式会社オートネットワーク技術研究所 リアクトルおよび注型樹脂
JP2015204354A (ja) * 2014-04-14 2015-11-16 株式会社オートネットワーク技術研究所 リアクトルおよび注型樹脂
JP2017168587A (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 株式会社タムラ製作所 リアクトル

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