JP2015204352A - リアクトルおよび注型樹脂 - Google Patents

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Takashi Takada
崇志 高田
中村 哲也
Tetsuya Nakamura
哲也 中村
浩平 吉川
Kohei Yoshikawa
浩平 吉川
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Abstract

【課題】コイルの放熱性と、注型樹脂の割れの抑制が両立されたリアクトル、およびそのようなリアクトルを与える注型樹脂を提供すること。【解決手段】リアクトル1は、コイル10と、コイル10が収容されたケース30と、ケース30の内部に充填された注型樹脂40と、を有する。コイル10は、ケース30の底面31に一体的に固定されている。注型樹脂40は、1.85g/cm3以下の比重と、0.7W/m・K以下の熱伝導率とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、リアクトルおよび注型樹脂に関し、さらに詳しくは、コイルが収容されたケースに注型樹脂が注入されたリアクトル、およびそれに用いられる注型樹脂に関する。
ハイブリッド自動車や、電気自動気車、燃料電池自動車等の車両に搭載されるDC−DCコンバータ等の電力変換装置には、コイルを備えてなるリアクトルが用いられる。リアクトルの構造は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。この種の従来一般のリアクトルにおいては、磁心(コア)を挿通されたコイルがケースの中に収容され、ケース内部の空間には、注型樹脂(封止樹脂)が充填されている。注型樹脂は、コイルの絶縁を維持する役割に加え、通電時に発熱するコイルの放熱(冷却)を促進するという役割を有する。そこで、注型樹脂には、熱伝導性を向上させる観点から、フィラーが混合されることが多い。
特開2012−253384号公報 特開2011−181747号公報
上記のように、リアクトルを構成する注型樹脂にフィラーを混合すると、注型樹脂の熱伝導性を向上させることができるが、引用文献2にも示されるように、大量のフィラーを混合すると、注型樹脂が脆くなってしまう等、注型樹脂の機械的特性が低下しやすくなる。また、図3(b)に模式的に示すように、大量のフィラー42を含む樹脂においては、樹脂成分41とフィラー粒子42の界面における欠陥を原因として、亀裂Cが発生しやすいと考えられている。
一方、リアクトルにおいて、コイルへの通電時、隣接するコイルターン間に働く相互作用により、コイルに振動が生じる。この振動が、欠陥起因の亀裂Cの発生を助長する可能性がある。また、注型樹脂の割れは、絶縁保持等、注型樹脂の機能も低下させる可能性があり、さらに、リアクトルの外観も損なう。
本発明の解決しようとする課題は、コイルの放熱性と、注型樹脂の割れの抑制が両立されたリアクトル、およびそのようなリアクトルを与える注型樹脂を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明にかかるリアクトルは、コイルと、前記コイルが収容されたケースと、前記ケースの内部に充填された注型樹脂と、を有し、前記コイルは、前記ケースの底面に一体的に固定され、前記注型樹脂は、1.85g/cm以下の比重と、0.7W/m・K以下の熱伝導率とを有することを要旨とする。
ここで、前記注型樹脂の体積抵抗率は、2×1010Ωcm以上であることが好ましい。
そして、前記注型樹脂は、70質量%以下のフィラーを含有しているとよい。
この場合、前記フィラーの平均粒径は、100μm以下であるとよい。
また、前記注型樹脂は、50℃において、5000mPa・s以下の粘度を有する硬化性樹脂であることが好ましい。
本発明にかかる注型樹脂は、1.85g/cm以下の比重と、0.7W/m・K以下の熱伝導率とを有することを要旨とする。
上記発明にかかるリアクトルにおいては、注型樹脂が1.85g/cm以下の比重を有している。通常、樹脂組成物に混合されるフィラーは、樹脂成分よりも大きな比重を有しているが、1.85g/cm以下との比重は、注型樹脂がフィラーを含んでいない、あるいは少量しか含んでいない状態に対応している。注型樹脂にフィラーが含まれないか、含まれても少量であることで、フィラーの存在に起因する注型樹脂の割れを抑制することができる。
一方、注型樹脂にフィラーが混合されない、あるいは少量しか混合されないことで、注型樹脂の熱伝導率が低くなり、コイルの放熱に寄与しにくくなるが、コイルがケースの底面に一体的に固定されていることで、ケース底面を介したコイルからの放熱が効率的に行われる。これにより、注型樹脂の熱伝導率が、0.7W/m・K以下であっても、リアクトル全体として、十分な放熱性を確保することができる。従って、コイルの放熱性と注型樹脂の割れの抑制が両立される。
また、注型樹脂の体積抵抗率が、2×1010Ωcm以上である場合には、注型樹脂によって、コイルターン間での絶縁が十分に保持される。
そして、上記のように、注型樹脂は、1.85g/cm以下の比重と0.7W/m・K以下の熱伝導率を有する限りにおいて、フィラーを含有しても、含有しなくてもよいが、フィラーを含有している場合には、フィラーによって、注型樹脂の熱伝導率が高められ、注型樹脂を介したコイルの放熱が起こりやすくなる。また、フィラーの含有量が70質量%以下であることで、フィラーに起因する注型樹脂の割れが抑制される。
この場合、フィラーの平均粒径が、体積分布評価における累積粒度分布で95%の時の値で、100μm以下であれば、コイルターン間の空間に注型樹脂が浸透しやすく、コイルからの放熱の促進とコイルターン間の絶縁保持に効果を奏しやすい。
また、注型樹脂が、50℃において、5000mPa・s以下の粘度を有する硬化性樹脂である場合には、注型樹脂をケース内に注入するに際し、狭窄部へも浸入しやすく、高い注型性が得られる。
上記発明にかかる注型樹脂を用いれば、上記のように、コイルの放熱性と注型樹脂の割れの抑制が両立されたリアクトルを得ることができる。
本発明の一実施形態にかかるリアクトルを示す斜視図である。注型樹脂は除いて示している。 上記リアクトルの断面図である(断面を示すハッチングは適宜省略している)。 注型樹脂の状態を示す模式図であり、(a)はフィラーの量が少ない場合、(b)はフィラーの量が多い場合を示している。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1および図2に、本発明の一実施形態にかかるリアクトル1および、リアクトル1を構成するコイル10を示す。リアクトル1は、全体の物理的な構造としては、特許文献1に記載されるリアクトルと同様の構造を有し、後述する注型樹脂40の構成に特徴を有する。
<リアクトルの全体構成>
図1,2に示すように、リアクトル1は、コイル10と磁心20の組合体を、ケース30に収容した構造を基本としてなる。
コイル10は、導体線の外周を絶縁被覆層によって被覆した素線を、螺旋状に巻き回したものである。コイル10は、2本の直線部10a,10aを、巻き回し方向を揃えて2本並べた全体形状を有している。導体線は、例えば、銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属よりなる。絶縁被覆層は、例えば、ポリアミドイミドに代表されるエナメル材よりなる。また、素線の形状としては、放熱(冷却)性を上げ、また巻き回しの密度を高める観点から、平角線であることが好ましい。そして、コイル10は、固定の容易性等の観点から、角柱の角を丸めた形状を有する角型コイルとして形成されることが好ましい。
コイル10は、各直線部10aの中空部に磁心20が挿入された組合体とされ、ケース30中に収容される。磁心20は、例えば、磁性材料よりなるコア部21と非磁性材料よりなるギャップ部22が交互に接続された構造を有する。組合体においては、さらに、コイル10と磁心20の間に適宜インシュレータが介在されてもよい(不図示)。
ケース30は、コイル10と磁心20の組合体が載置され、固定される底面31と、底面31の外周に立設された側壁面32を有し、底面31と対向する側壁面32の上部には、開口部33が設けられている。底面31は、高い熱伝導性を有し、コイル10の放熱(冷却)を促進できるように、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属よりなることが好ましい。一方、側壁面32は、絶縁性等の観点から、樹脂材料よりなることが好ましい。底面31と側壁面32の間には、注型樹脂40の漏出を防止するパッキン(不図示)が適宜設けられる。
コイル10と磁心20の組合体は、開口部33からケース30に収容され、底面31上に載置されて、底面31に対して一体的に固定される。底面31へのコイル10の固定は、接着性を有する絶縁性樹脂材料を含んでなる接合層(不図示)を介して行われる。つまり、コイル10は、接合層を介して、底面31に直接接触しており、コイル10と底面31の間に、注型樹脂40は介在しない。このように、コイル10がケース30の底面31に一体的に固定されることで、コイル10が通電によって発熱しても、ケース30の底面31を介して、効率的に放熱(冷却)が行われる。接合層は、コイル10と底面31との間の絶縁を保持しながら、コイル10を底面31に一体的に固定できるものであれば、どのような樹脂組成物よりなってもよく、2層以上からなってもよい。例えば、接合層を、コイル10側に配置される接着層と底面31側に配置される放熱層から構成する形態が挙げられる。接着層は、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤等、高い絶縁性と接着性を有する樹脂材料より構成すればよく、放熱層は、金属酸化物、炭化物、窒化物等の無機化合物より構成すればよい。
コイル10と磁心20の組合体を収容したケース30の内部の空間には、注型樹脂40が充填されている。注型樹脂40は、コイル10とケース30の側壁面32の間の空間を満たすとともに、コイル10のコイルターン(螺旋の各ピッチ)の間の空間を満たしている。注型樹脂40は、コイル10の絶縁を保つ役割を果たす。ここで、コイル10の絶縁とは、コイル10全体の外部に対する絶縁のみならず、コイルターン間の絶縁も含むものである。また、注型樹脂40は、コイル10の放熱(冷却)を促進する役割も果たし、コイル10の放熱(冷却)は、上記のようにケース30の底面31を介して進行するとともに、注型樹脂40を介しても進行する。
リアクトル1は他に、端子81、各種センサ82等、運転および制御に必要な部材を適宜備える。組み上げられたリアクトル1は、ケース30の底面31にて、DC−DCコンバータ中等、所定の取付部位に固定される。底面31と接触する取付部位には、適宜、水冷機構等の冷却機構が設けられてもよい。この場合、コイル10は、底面31を介して、冷却機構によって積極的に冷却されることになる。
<注型樹脂の構成>
本実施形態にかかるリアクトル1において用いられる注型樹脂40は、樹脂成分(有機高分子成分)41に、必要に応じてフィラー42が混合されてなる。
注型樹脂40は、1.85g/cm以下の比重を有する。一般に、樹脂組成物において、樹脂成分41に混合されるフィラー42は、樹脂成分41よりも大きな比重を有する。典型的には、樹脂成分41の比重は0.9〜1.25g/cm程度であるのに対し、フィラー42の比重は1.8〜5.0g/cm程度である。よって、注型樹脂40がフィラー42を含有する場合に、注型樹脂40の比重は、樹脂成分41の比重よりも大きくなるが、フィラー42の含有量は、注型樹脂40全体としての比重が1.85g/cmを超えない範囲に、制限されている。
このように、注型樹脂40の比重は、フィラー42の含有量を間接的に制限するパラメータであるが、注型樹脂40の比重が1.85g/cm以下とされていることで、リアクトル1全体の質量が抑えられるという効果も奏される。これは、リアクトル1が搭載される車両の燃費低減にもつながる。なお、注型樹脂40の比重の下限値は、特に定められないが、実質的な下限値は、フィラー42を含有しない場合の値であり、0.9g/cm程度である。注型樹脂40の比重は、例えばJIS K5400に準拠した方法等、公知の方法にて評価することができる。
また、注型樹脂40は、0.7W/m・K以下の熱伝導率を有する。フィラー42を含有しない注型樹脂40の典型的な熱伝導率は、0.2W/m・K程度であるが、注型樹脂40にフィラー42を多量に混合すると、注型樹脂40の熱伝導度が高くなる。本注型樹脂40においては、上記のように、比重が1.85g/cm以下に制限されており、フィラー42は含有されないか、含有されていても少量である。このことと対応して、本注型樹脂40の熱伝導率は、0.7W/m・K以下の値に留まっている。
しかし、本リアクトル1においては、上記のように、コイル10がケース30の底面31に一体的に固定され、底面31を介して効率的に放熱(冷却)されているため、注型樹脂40の熱伝導率が0.7W/m・K以下であっても、リアクトル1全体として、十分な放熱(冷却)性を確保することができる。リアクトル1において、通電時にコイル10が発熱し、放熱(冷却)が効果的になされなければ、コイル10や磁心20が加熱され、リアクトル1の出力特性が低下する。また、コイル10からの発熱により、はんだ部の溶断や接着部の剥離等、コイル10周辺に配置された他の部材にも影響を及ぼし、走行中の車両の停止や、部材の不可逆的な損傷等にもつながる可能性がある。しかも、導体抵抗の温度特性によりコイル10の発熱は、加速度的に進む。しかし、本リアクトル1においては、全体として、十分な放熱(冷却)性が確保されることで、このような事態を回避し、安定な出力を得ることができる。
注型樹脂40の熱伝導率の下限値は、特に定められないが、実質的な下限値は、フィラー42を含有しない場合の値であり、0.2W/m・K程度である。また、注型樹脂40の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法、熱線法、ホットディスク法等、公知の方法にて評価することができる。
以上のように、本リアクトル1においては、全体として高い放熱(冷却)性が確保されることにより、注型樹脂40におけるフィラー42の含有量を、注型樹脂40の比重が1.85g/cm以下に収まる範囲にまで低減することができる。これにより、多量のフィラー42の含有に起因する注型樹脂40の割れを防止することができる。つまり、図3(b)に示すように、注型樹脂40中におけるフィラー42の密度が高い場合には、フィラー粒子42同士の接触面積や、フィラー42/樹脂成分41界面の面積が大きくなる。フィラー粒子42同士の接触部位においては、粒子表面の欠陥等、界面異常が発生しやすく、界面異常が形成された部位は、樹脂成分41における亀裂Cの起点となりやすい。また、発生した亀裂Cは、フィラー42/樹脂成分41界面に沿って進展しやすい。注型樹脂40の割れは、特に、リアクトルが、低温と高温を繰り返して印加される冷熱衝撃を受けた場合に、起こりやすい。これに対し、本リアクトル1の注型樹脂40においては、図3(a)に示すように、フィラー42の密度が低いため、フィラー粒子42同士が接触する確率が低く、またフィラー42/樹脂成分41の界面の面積も小さい。よって、フィラー42に起因する樹脂成分41の亀裂の発生や進展が、抑制される。このような注型樹脂40の割れの抑制は、冷熱衝撃を受けた際にも、発揮される。
注型樹脂40において、亀裂の発生や進展が抑制されていることにより、コイル10の絶縁性の保持やコイル10からの放熱という注型樹脂40の役割が保持されやすい。また、注型樹脂40の亀裂によるリアクトル1の外観の悪化も抑制することができる。
上記のように、注型樹脂40におけるフィラー42の含有量は、注型樹脂40の比重および熱伝導率が所定の上限値を超えないように定められるが、フィラー42の含有量が注型樹脂40全体に対しておおむね70質量%以下であれば、比重および熱伝導率が、上記上限値を超えない値となる場合が多い。また、注型樹脂40に割れが発生するのが抑制される。フィラー42の含有量は、例えば、JIS K7250に規定される方法等、公知の方法にて確認することができる。
注型樹脂40の粘度は、フィラー42の含有量に大きく依存する。注型樹脂40の比重および熱伝導率が上記上限値を超えないような含有量でフィラー42が注型樹脂40に含有されている場合には、50℃における注型樹脂の粘度は、おおむね5000mPa・s以下となる。また、注型樹脂40の粘度が高すぎると、ケース30への注入時に、狭窄部に浸入しにくくなり、空気の巻き込みも起こりやすくなるが、50℃における粘度が5000mPa・s以下に抑えられていれば、このような現象が発生しにくく、高い注型性を得ることができる。なお、注型性の観点から注型樹脂40の粘度を規定するに際し、50℃における値ではなく、注型時の状態における値を対象とするのが直接的ではあるが、注型樹脂40が50℃において5000mPa・s以下の粘度を有していれば、注型時の状態で、十分な注型性が得られるとみなすことができる。注型樹脂40の粘度は、注型性の観点から、低いほど好ましいので、特に下限値は設けられない。注型樹脂40の粘度は、JIS Z8803に準拠してB型粘度計を用いて測定する方法等、公知の方法で評価することができる。
注型樹脂40は、2×1010Ωcm以上の体積抵抗率を有することが好ましい。注型樹脂40がこの値以上の体積抵抗率を有していれば、コイル10において、コイルターン間の絶縁破壊が起こる可能性が低減される。注型樹脂40の体積抵抗率は、主として用いられる樹脂成分41に依存するが、フィラー42が導電性を有する場合には、低い値になることがある。注型樹脂40の体積抵抗率は、絶縁保持の観点から、高いほど好ましく、特に上限値は設けられない。注型樹脂40の体積抵抗率は、JIS K6911に規定される方法等、公知の方法によって評価することができる。
また、注型樹脂40の絶縁破壊電圧は、15kV/mm以上であることが好ましい。注型樹脂40がこの値以上の絶縁破壊電圧を有していれば、コイル10において、コイルターン間の絶縁破壊が起こる可能性が低減される。注型樹脂40の絶縁破壊電圧は、主として用いられる樹脂成分41に依存するが、フィラー42が導電性を有する場合には、低い値になることがある。注型樹脂40の絶縁破壊電圧は、絶縁保持の観点から、高いほど好ましく、特に上限値は設けられない。注型樹脂40の絶縁破壊電圧は、JIS K6911に規定される方法等、公知の方法によって評価することができる。
注型樹脂40を構成する樹脂成分41およびフィラー42の具体的な種類は、1.85g/cm以下の比重と0.7W/m・K以下の熱伝導率を注型樹脂40において実現できるものであれば、特に制限されない。
注型樹脂40を構成する樹脂成分41としては、流動性の高い状態で、コイル10とケース30の側壁面32の間の空間や、コイルターン間の空間に、隙間なく浸透させて充填してから、固化させられる点において、硬化性樹脂を用いることが好ましい。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、二液反応硬化性樹脂等を挙げることができる。特に、ケース30中に充填した注型樹脂40を容易に固化させられる点において、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。また、樹脂種としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレア樹脂などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
注型樹脂40を構成するフィラー42としては、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、ベリリウム化合物、窒化アルミニウム、酸化セリウム、ジルコン、タルク、マイカ、カーボン類等を挙げることができる。これらのうち、アルミナおよびシリカが特に一般的である。他にも、Al,B,Be,Ce,Si,Na,Mg,O,N,Cの少なくとも1元素、望ましくは2元素以上を含む無機化合物のうち、非磁性で絶縁性のものを、好適なフィラー42として挙げることができる。また、フィラー粒子42は、体積分布評価における累積粒度分布で95%の時の値で、100μm以下の平均粒径を有することが好ましい。リアクトル1におけるコイルターン間の距離が典型的には数100μm程度であることを考えると、フィラー粒子42が100μm以下の粒径を有することで、注型樹脂40をコイルターン間に浸透させやすく、コイルターン間の絶縁保持を効果的に行うことができる。
注型樹脂40は、樹脂成分41とフィラー42の他に、着色用顔料、粘度調整剤、老化防止剤、保存安定剤、分散剤などの添加剤を適宜含有してもよい。なお、注型樹脂40にこれらの添加剤が添加される場合に、上記で規定される比重および熱伝導率をはじめとする注型樹脂40の諸物性値は、添加剤を添加した状態で得られる値である。
以下に本発明の実施例、比較例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
<試験試料の作製>
図1のような構造を有するリアクトルを作製した。そして、注型樹脂をケース内に注入し、硬化させて、実施例1〜5および比較例1〜3にかかるリアクトルを作製した。用いた注型樹脂の成分と諸物性を、下記表1にまとめて示す。
注型樹脂の各物性値は、室温において、以下の方法によって測定したものである。
・比重:JIS K5400
・熱伝導率:熱線法により測定
・粘度:JIS Z8803に準拠し、B型粘度計を使用
・体積抵抗率:JIS K6911
・絶縁破壊電圧:JIS K6911
<試験方法>
[冷熱衝撃による割れの評価]
各リアクトルについて、−40℃と150℃にて、各1.5時間の通電を行うサイクルを500回繰り返した。その後、目視にて、注型樹脂に割れ(亀裂)が発生しているかどうかを確認した。割れの有無は、注型樹脂の表面および切断面において確認した。表面にも切断面にも割れが発生していなかったものを合格「○」とし、表面または切断面のいずれか少なくとも一方に割れが発生していたものを不合格「×」とした。
[注型性]
リアクトルのケースに注型樹脂を注入した際に、注型樹脂中に気泡が混入されるかどうかを観察することで、注型樹脂の注型性を評価した。気泡混入の有無は、硬化直後の注型樹脂の表面および切断面において確認した。表面にも切断面にも気泡が観察されなかったものを合格「○」とし、表面または切断面のいずれか少なくとも一方に気泡が観察されたものを不合格「×」とした。
[出力特性]
リアクトルに通電を行い、通電に伴う昇温によって出力特性が低下するかどうかを評価した。
<試験結果>
各実施例および比較例にかかるリアクトルについて、注型樹脂の構成および物性を表1に示す。表中の物性値は、粘度以外については、室温での測定値である。また、表2に、各実施例および比較例にかかるリアクトルについての冷熱衝撃による割れおよび注型性の評価結果を示す。出力特性の評価については、いずれのリアクトルにおいても、昇温に伴う出力特性の低下は認められず、十分な放熱が行われていることが確認された。
Figure 2015204352
Figure 2015204352
試験結果によると、いずれも1.85g/cm以下の比重と0.7W/m・K以下の熱伝導率を有する注型樹脂を用いた実施例1〜5のリアクトルにおいては、冷熱衝撃によって注型樹脂に割れが生じていない。出力特性の評価結果と合わせて、注型樹脂の割れの防止と放熱(冷却)効率が両立されていることが分かる。また、これらの実施例に用いられた注型樹脂は、小さい粘度を有していることと対応して、高い注型性を有している。
一方、比較例1,3においては、注型樹脂の比重が1.85g/cmを超えており、熱伝導率も0.7W/m・Kを超えている。比較例1においては、冷熱衝撃によって注型樹脂に割れが発生しており、これは、1.85g/cmを超える比重を注型樹脂に与えるほどフィラーを多量に混合していることの影響であると考えられる。また、比較例3においては、とりわけ注型樹脂の比重が大きいことに対応し、粘度が大きくなっているため、注型性が低くなっている。これにより、割れの評価を行うに値するリアクトルを得ることができず、割れの評価を行えなかった。比較例2においては、注型樹脂の比重は1.85g/cm以下であったが、熱伝導率が0.7W/m・Kを超えており、冷熱衝撃によって割れが観察された。これは、比較的低比重のフィラー成分を多く含むことで、注型樹脂中に欠陥が多く形成されているためであると解釈される。このように、注型樹脂の比重が小さくても、多くの欠陥を発生する可能性があることから、比重のみではなく、フィラー添加量の影響を同じく受けやすい熱伝導率を規定することが重要である。
10 コイル
20 磁心
30 ケース
31 底面
32 側壁面
40 注型樹脂
41 樹脂成分
42 フィラー(粒子)

Claims (6)

  1. コイルと、前記コイルが収容されたケースと、前記ケースの内部に充填された注型樹脂と、を有し、
    前記コイルは、前記ケースの底面に一体的に固定され、
    前記注型樹脂は、1.85g/cm以下の比重と、0.7W/m・K以下の熱伝導率とを有することを特徴とするリアクトル。
  2. 前記注型樹脂の体積抵抗率は、2×1010Ωcm以上であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記注型樹脂は、70質量%以下のフィラーを含有していることを特徴とする請求項1または2に記載のリアクトル。
  4. 前記フィラーの平均粒径は、100μm以下であることを特徴とする請求項3に記載のリアクトル。
  5. 前記注型樹脂は、50℃において、5000mPa・s以下の粘度を有する硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 1.85g/cm以下の比重と、0.7W/m・K以下の熱伝導率とを有することを特徴とする注型樹脂。
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