JP2013179259A - リアクトル、コンバータ及び電力変換装置、並びにリアクトル用コア材料 - Google Patents
リアクトル、コンバータ及び電力変換装置、並びにリアクトル用コア材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013179259A JP2013179259A JP2012252671A JP2012252671A JP2013179259A JP 2013179259 A JP2013179259 A JP 2013179259A JP 2012252671 A JP2012252671 A JP 2012252671A JP 2012252671 A JP2012252671 A JP 2012252671A JP 2013179259 A JP2013179259 A JP 2013179259A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coil
- magnetic
- composite material
- core portion
- reactor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F27/00—Details of transformers or inductances, in general
- H01F27/24—Magnetic cores
- H01F27/255—Magnetic cores made from particles
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F27/00—Details of transformers or inductances, in general
- H01F27/02—Casings
- H01F27/022—Encapsulation
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F27/00—Details of transformers or inductances, in general
- H01F27/24—Magnetic cores
- H01F27/26—Fastening parts of the core together; Fastening or mounting the core on casing or support
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F37/00—Fixed inductances not covered by group H01F17/00
-
- H—ELECTRICITY
- H02—GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
- H02M—APPARATUS FOR CONVERSION BETWEEN AC AND AC, BETWEEN AC AND DC, OR BETWEEN DC AND DC, AND FOR USE WITH MAINS OR SIMILAR POWER SUPPLY SYSTEMS; CONVERSION OF DC OR AC INPUT POWER INTO SURGE OUTPUT POWER; CONTROL OR REGULATION THEREOF
- H02M3/00—Conversion of dc power input into dc power output
- H02M3/02—Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac
- H02M3/04—Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters
- H02M3/10—Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode
- H02M3/145—Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode using devices of a triode or transistor type requiring continuous application of a control signal
- H02M3/155—Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode using devices of a triode or transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Dc-Dc Converters (AREA)
Abstract
【課題】製造が容易で、磁性コアを構成する複合材料における磁性粉末の分布が不均一になることを抑制することができるリアクトルを提供する。
【解決手段】リアクトル1aは、巻線2wを巻回して形成した筒状のコイルを樹脂モールド部21によって覆ったコイル成形体20と、コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3とを具える。磁性コア3は、コイルの内側に配置される内側コア部31と、コイルの外周側に配置される外側コア部32とを具え、外側コア部32は、連結コア部32cと端部コア部32eとを有する。そして、磁性コア3の少なくとも一部(連結コア部32c)は、磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混合した複合材料のシートで構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】リアクトル1aは、巻線2wを巻回して形成した筒状のコイルを樹脂モールド部21によって覆ったコイル成形体20と、コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3とを具える。磁性コア3は、コイルの内側に配置される内側コア部31と、コイルの外周側に配置される外側コア部32とを具え、外側コア部32は、連結コア部32cと端部コア部32eとを有する。そして、磁性コア3の少なくとも一部(連結コア部32c)は、磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混合した複合材料のシートで構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド自動車や電気自動車などの駆動源に電力を利用する車両に搭載される車載用DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトル、このリアクトルを具えるコンバータ及びこのコンバータを具える電力変換装置、並びにリアクトルに具える磁性コアを構成するリアクトル用コア材料に関する。特に、製造が容易で、磁性コアを構成する複合材料における磁性粉末の分布が不均一になることを抑制することができるリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば特許文献1、2には、ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるコンバータに利用されるリアクトルが開示されている。リアクトルは、巻線を巻回してなる筒状のコイルと、コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを具える。磁性コアの形状としては、複数のコア部品を組み合わせて環状コアとしたり、複数のコア部品を組み合わせてポット型コアとすることが挙げられる。磁性コアを構成するコア部品には、電磁鋼板を積層した積層鋼板、表面に絶縁被膜を有する磁性粉末を加圧成形した圧粉成形体、磁性粉末とバインダとなる樹脂とを混合した複合材料などが利用されている。特許文献1、2では、磁性コアのうち、コイルの外側を覆う箇所を磁性粉末と樹脂との混合物(複合材料)により形成している。
また、リアクトルは、例えばケースに収納され、コンバータケースに収容されて固定される。
一般的に複合材料の樹脂には、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂が用いられており、磁性コアの一部をこのような樹脂を含む複合材料で形成した場合、次のような問題がある。
従来では、磁性コアの一部を複合材料で形成する際、磁性粉末と流動性のある上記樹脂とを混合し、この混合流体を成形型(ケース)に注入して、成形・硬化させている。よって、成形時の複合材料の厚さが厚く、また、硬化前は、樹脂が流動性のある液状のため、磁性粉末が沈降したりするなど、磁性粉末を均一に分散させた状態で硬化させることが難しい。そのため、複合材料における磁性粉末の分布が不均一になり、設計値通りのインダクタンスを実現することが難しくなる場合がある。このような磁性粉末の分布が不均一になる問題を解消するため、例えば、非磁性粉末のフィラーを混合流体に添加して磁性粉末の沈降を抑制したり、混合流体を少量ずつ注入し、複数回に分けて硬化させて形成することが考えられるが、製造性の低下を招く。
そこで、本発明の目的の一つは、製造が容易で、磁性コアを構成する複合材料における磁性粉末の分布が不均一になることを抑制することができるリアクトル及びリアクトル用コア材料を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このリアクトルを具えるコンバータ及びこのコンバータを具える電力変換装置を提供することにある。
本発明は、複合材料のシートを磁性コアの材料に使用することで上記目的を達成する。
本発明のリアクトルは、筒状のコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを具える。そして、上記磁性コアの少なくとも一部は、磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成されていることを特徴とする。
本発明のリアクトル用コア材料は、リアクトルに具える磁性コアを構成するものである。そして、本発明のリアクトル用コア材料は、磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートであることを特徴とする。
シート状の複合材料であれば、成形時の厚さが薄いため、磁性粉末が沈降したりする前に、磁性粉末を均一に分散させた状態で硬化させ易く、硬化成形後の複合材料における磁性粉末の分布が不均一になることを抑制し易い。そのため、複合材料のシートは、磁性粉末の分布が不均一になることを抑制することができ、磁性粉末が均一に分散した状態になり易い。よって、この複合材料のシートを磁性コアの材料に使用することで、複合材料を使用しながら、設計値通りのインダクタンスを実現し易い。この複合材料のシートで磁性コアの少なくとも一部を形成する場合、所定の大きさに成形したシートをそのまま用いてもよいし、このシートを重ね合わせたり、折り重ねたりして多層にして用いてもよいし、このシートを丸めて柱状や筒状にして用いてもよい。或いは、後述するように、このシートをコイルの外周側に巻き付けて、磁性コアのうち、コイルの外側に配置される箇所(即ち、コイルから露出する部分)の少なくとも一部を形成してもよい。この場合、複合材料のシートをコイルの外周側に多層に巻き付けてもよいし、上記のようにして多層にしたものをコイルの外周側に巻き付けたり、装着してもよい。
複合材料のシートは、複合材料をシート状に成形することで得ることができ、製造も容易である。成形方法には、ロール成形、カレンダ成形、コンプレッション成形、インジェクション成形、トランスファー成形、プレス成形、押出成形などを利用することができる。このとき、成形と同時に硬化させることができる。複合材料のシートの厚さは、必要に応じて適宜設定すればよく、後述するように多層にする場合は、薄型化が可能である。複合材料のシートの1枚あたりの厚さは、例えば0.5mm以上20mm以下とすることが挙げられる。複合材料のシート1枚(1層)で磁性コアの一部を形成する場合、所望の磁性コアの厚さに応じて、複合材料のシートの厚さを適宜決定すればよい。
上記樹脂としては、例えばミラブル型シリコーンゴムやミラブル型ウレタンゴムなどのゴムを使用することが好ましい。従来では、複合材料の樹脂にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂といった流動性の高い液状の樹脂が用いられており、成形硬化時に、磁性粉末が沈降したりするなど問題がある。複合材料の樹脂が上記樹脂(ゴム)であれば、硬化前では流動性が低く、従来用いられていた樹脂に比較して高い粘性を有しているため、磁性粉末とゴムとを混練した後に磁性粉末が沈降などし難く、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させた状態を維持することができる。よって、この複合材料のシートは、磁性粉末が均一に分散しながら、製造性が高く、この複合材料のシートを磁性コアの材料に使用することで、設計値通りのインダクタンスを実現できる。また、リアクトルでは、コイルへの通電時に振動し、磁性コアからケースなどの別の構成部材に振動が伝わって、振動に起因する騒音が発生する虞がある。さらに、通電時にリアクトルが高温になることから、磁性粉末と樹脂の熱膨張係数差に起因して、複合材料にクラックが生じる虞がある。これに対し、複合材料における樹脂が上記樹脂(ゴム)であれば、硬化後であっても弾性を有し、軟らかいため、複合材料が振動を吸収して、振動による騒音を低減することができる。また、磁性粉末とゴムとの間で熱膨張係数差が生じても、ゴムが変形することにより、複合材料にクラックが生じることを抑制できる。特に、複合材料の樹脂がミラブル型シリコーンゴムであれば、耐熱性が高く、高温でも劣化し難い。
本発明のリアクトル及びリアクトル用コア材料において、上記樹脂がミラブル型シリコーンゴムであることが好ましい。
複合材料のバインダとなる樹脂として、実質的にミラブル型シリコーンゴムを使用した場合、十分な耐熱性を得ることができる。ミラブル型シリコーンゴムは、硬化後の伸び率100%以上の弾性を有するゴム(高分子ポリマー)であり、室温(25℃)でのヤング率が0.1〜50MPa程度である。この範囲を満たすことで、複合材料のシートとしての形状を保持しながら、振動吸収効果やクラック抑制効果が得られる。これに対し、従来の複合材料に用いられている樹脂は、硬化後のヤング率が、エポキシ樹脂の場合、3.0〜30GPa程度である。また、硬化後のミラブル型シリコーンゴムは、重合度3000〜10000の線状ポリマーを主成分とし、他方、従来の硬化後のシリコーン樹脂は、重合度100〜2000の線状ポリマーを主成分とする。
複合材料の樹脂がミラブル型のシリコーンゴムやウレタンゴムなどの場合、複合材料は、磁性粉末と硬化前の上記ゴムとを配合し、混練することにより得ることができる。また、鎖状高分子間を架橋して弾性や強度を向上させるために、硬化剤(加硫剤)を添加し、加熱することにより硬化させる。加硫剤としては、例えばパーオキサイド系の加硫剤を用いることができる。ミラブル型シリコーンゴムの場合、硬化温度は、通常、150〜200℃、硬化時間は、通常、5〜60分間である。ただし、ミラブル型シリコーンゴムでは、加硫剤を添加した場合は、硬化後に低分子シロキサンがゴム成分内に残留することから、低分子シロキサンを除去するために、硬化後に熱処理を施すことが好ましい。低分子シロキサンは、接点障害の原因となることが知られており、複合材料に低分子シロキサンが残留していると、複合材料から低分子シロキサンが発生し、リアクトルの周囲に配置された電子部品などに接点障害などの不具合を生じさせる虞がある。そこで、複合材料の低分子シロキサン量を低減することで、低分子シロキサンの発生を抑制し、接点障害などの不具合を回避することができる。また、熱処理により、架橋を促進させることができ、強度をより高めることができる。この熱処理は、複合材料のシートをコイルに配置(取り付け)して複合材料のシートで磁性コアの一部を形成した後に行ってもよいし、複合材料のシートに対して行ってもよい。
上記熱処理としては、例えば、150℃以上220℃以下に加熱した状態で30分以上4時間以下に保持することが挙げられる。加熱温度を150℃以上及び保持時間を30分以上とすることで、複合材料に残存する低分子シロキサンを低減する効果が得られ易い。また、加熱温度を220℃以下とすることで、コイルなどの他の構成部材も含めて熱処理する場合に、他の構成部材に与える影響を抑制することができる。一方、製造効率の観点から、保持時間は4時間以下とすることが好ましい。
上記複合材料のシートが多層であってもよく、シートを多層にして磁性コアの一部を形成することで、所定の磁気特性を確保すると共に、シート1枚あたりの厚さを薄くすることができる。シートの厚さを薄くすることによって、上記熱処理を施した際に内部まで熱が伝わり易く、低分子シロキサンを除去し易くなる。多層にする場合、複合材料のシートの1枚あたりの厚さは、例えば、0.5mm以上2.0mm以下とすることが挙げられる。シートを重ね合わせて多層にする場合、層ごとに配合が異なる複合材料のシートで形成し、層ごとに比透磁率などの磁気特性を変えることが可能である。また、シートの厚さを薄くすることで、シートを曲げたり、巻き付けたりし易くなる。
本発明のリアクトル及びリアクトル用コア材料の一形態としては、複合材料中の磁性粉末の含有量が、30体積%以上75体積%以下であることが挙げられる。
複合材料を100%とするとき、磁性粉末の含有量が30体積%以上であることで、飽和磁束密度などの磁気特性を確保し易い。一方、磁性粉末の含有量が75体積%以下であることで、樹脂(例、ミラブル型シリコーンゴム)との混合が行い易く、製造性を高めることができ、また、磁性粉末を均一に分散させ易い。複合材料中の磁性粉末の含有量は、下限がより好ましくは40体積%以上であり、上限がより好ましくは65体積%以下であり、更に好ましくは60体積%以下である。例えば磁性粉末として鉄を主成分とする磁性粉末を用いた場合、複合材料中の磁性粉末の含有量を30体積%以上とすることで、0.6T以上の飽和磁束密度を得易く、40体積%以上とすることで、0.8T以上の飽和磁束密度を得易い。一方、複合材料中の磁性粉末の含有量を65体積%以下とすることで、磁性粉末と樹脂との混合がより行い易く、かつ、磁性粉末をより均一に分散させ易い。さらに、60体積%以下とすることで、磁性粉末と樹脂との混合がより一層行い易く、かつ、磁性粉末をより一層均一に分散させ易い。
本発明のリアクトルの一形態としては、コイルが、横並びされた一対のコイル素子を具えることが挙げられる。
この形態によれば、巻線を螺旋状に巻回してコイル(コイル素子)を形成した場合、直線状の一つのコイル素子で構成されたコイルに比較して、同じ巻数(ターン数)とするとき、コイル(両コイル素子)の一端側から他端側までの長さを短くできる。したがって、リアクトルの小型化を図ることができる。
本発明のリアクトルの一形態としては、磁性コアのうち、コイルの外側に配置される箇所の少なくとも一部が、上記複合材料のシートで構成されていることが挙げられる。
この場合、複合材料のシートをコイルの外周側に巻き付けたり、このシートを多層に積層した積層体や丸めて巻回した巻回体をコイルの外側に配置することで、磁性コアの一部(コイルの外側の配置される箇所)を形成することができる。また、上記シートをコイルの外周側に巻き付けて磁性コアの一部を形成する際、多層に巻き付けてもよい。シートを多層に巻き付けるときは、シートを一方向に複数回巻き付けて多層にしてもよいし、シートを折り返しながら多層に巻き付けてもよい。この場合、上記シートをコイルの外周側に巻き付けるのみで磁性コアの一部を形成できるので、リアクトルの組立作業性に優れる。
ここで、磁性コアのうち、コイルの外周側に配置される箇所は、例えば、複合材料のシートを丸めるなどして予め筒状にした筒状体をコイルの外周側に装着することで形成することも可能である。一方、磁性コアのうち、コイルの内側に配置される箇所を複合材料のシートで形成してもよく、この場合、例えば、シートを積層したり巻回するなどして柱状にした柱状体をコイルの内側に挿通することで形成することが可能である。このように、複合材料のシートで筒状体や柱状体のコア部品を予め作製しておくことで、リアクトルの製造工程を簡略化することができる。また、磁性コアにおいて、コイルの外側に配置される箇所(以下、外側コア部と呼ぶ)が上記複合材料で構成されていることで、外側コア部からケースなどの別の構成部材に伝わる振動を外側コア部自体が吸収して、振動に起因する騒音を効果的に低減することができる。
本発明のリアクトルの一形態としては、磁性コアのうち、コイルの内側に配置される箇所が、圧粉成形体で構成されていることが挙げられる。
この形態によれば、磁性コアにおいて、コイルの内側に配置される箇所(以下、内側コア部と呼ぶ)が圧粉成形体で構成され、コイルの外側に配置される箇所の少なくとも一部が上記複合材料のシートで構成されていることで、内側コア部の飽和磁束密度が外側コア部よりも高くなるように設計し易い。内側コア部の飽和磁束密度を高くすることで、内側コア部の断面積を小さくできるため、リアクトルを小型にすることができる。また、外側コア部の比透磁率が内側コア部よりも低くなるように設計し易く、外側コア部の比透磁率を低くすることで、磁性コア全体の比透磁率を調整して、例えば、磁性コアをギャップレス構造とすることができる。ギャップレス構造とすることで、漏れ磁束を低減することができる。
本発明のリアクトルの一形態としては、磁性コアの全体が、上記複合材料のシートで構成されていることが挙げられる。
この形態によれば、外側コア部だけでなく、内側コア部も上記複合材料のシートで構成されていることで、内側コア部からコイルを介してケースなどの別の構成部材に伝わる振動を内側コア部自体が吸収して、振動に起因する騒音をより効果的に低減することができる。また、磁性コアの材料として上記シートのみを用いることから、別の材料を用いる必要がなく、製造コストの削減を図ることが可能である。
本発明のリアクトルは、コンバータの構成部品に好適に利用することができる。本発明のコンバータは、上記した本発明のリアクトルを具える。コンバータとしては、スイッチング素子と、スイッチング素子の動作を制御する駆動回路と、スイッチング動作を平滑にするリアクトルとを具え、スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換する形態が挙げられる。
また、本発明のコンバータは、電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。本発明の電力変換装置は、上記した本発明のコンバータを具える。電力変換装置としては、入力電圧を変換するコンバータと、コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを具え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動する形態が挙げられる。
本発明のコンバータ及び電力変換装置は、本発明のリアクトルを具えることで、製造性に優れ、車載部品などに好適に利用することができる。
本発明のリアクトル及びリアクトル用コア材料は、複合材料のシートを磁性コアの材料に使用することで、製造が容易である。また、本発明のコンバータ及び電力変換装置は、上記した本発明のリアクトルを具えることで、製造性に優れ、車載部品などに好適に利用することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、以下の説明では、リアクトルを設置対象に設置したときに設置側を下側、その対向側(反対側)を上側として説明する。
《実施形態1》
図1〜図3を参照して、実施形態1に係るリアクトルを説明する。リアクトル1aは、巻線2wを巻回してなるコイル2(図3参照)と、コイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3とを具える。リアクトル1aは、代表的には、冷却ベースなどの設置対象に設置して使用され、必要に応じてケース(図示せず)に収納する。冷却ベースは、代表的には、冷却水などの流動性のある冷媒が循環される循環経路などといった冷却機構を具える。磁性コア3は、コイル2の内側に配置される柱状の内側コア部31と、コイル2の外側に配置される外側コア部32とを具える。このリアクトル1aの特徴とするところは、磁性コア3の少なくとも一部が、磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成されている点にある。以下、各構成部材をより詳細に説明する。
図1〜図3を参照して、実施形態1に係るリアクトルを説明する。リアクトル1aは、巻線2wを巻回してなるコイル2(図3参照)と、コイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3とを具える。リアクトル1aは、代表的には、冷却ベースなどの設置対象に設置して使用され、必要に応じてケース(図示せず)に収納する。冷却ベースは、代表的には、冷却水などの流動性のある冷媒が循環される循環経路などといった冷却機構を具える。磁性コア3は、コイル2の内側に配置される柱状の内側コア部31と、コイル2の外側に配置される外側コア部32とを具える。このリアクトル1aの特徴とするところは、磁性コア3の少なくとも一部が、磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成されている点にある。以下、各構成部材をより詳細に説明する。
[コイル]
コイル2は、図3に示すように、1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回してなる筒状体であり、一つのコイル素子で構成されている。巻線2wは、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁性材料(代表的にはポリアミドイミドといったエナメル材料)からなる絶縁被覆を具える被覆線が好適である。導体は、断面形状が長方形状である平角線、円形状である丸線、多角形状である異形線などの種々の形状のものを利用できる。ここでは、コイル(コイル素子)2は、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメルからなる被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されたエッジワイズコイルである。エッジワイズコイルは、占積率を高めて小型なコイルとし易く、リアクトルの小型化に寄与する。
コイル2は、図3に示すように、1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回してなる筒状体であり、一つのコイル素子で構成されている。巻線2wは、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁性材料(代表的にはポリアミドイミドといったエナメル材料)からなる絶縁被覆を具える被覆線が好適である。導体は、断面形状が長方形状である平角線、円形状である丸線、多角形状である異形線などの種々の形状のものを利用できる。ここでは、コイル(コイル素子)2は、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメルからなる被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されたエッジワイズコイルである。エッジワイズコイルは、占積率を高めて小型なコイルとし易く、リアクトルの小型化に寄与する。
コイル2の端面形状(=コイル2の軸に直交する方向の断面形状)は、図3に示すように、円形状が代表的である。円筒状のコイルは、巻線に平角線を用いた場合でも巻回し易く、コイルの製造性に優れる上に、小型なコイルにし易い。コイル2の端面形状は、非円形状とすることも可能である。例えば、楕円などの実質的に曲線のみからなる形状、多角形(例えば、長方形など)の各角部を丸めた形状や直線と円弧とを組み合わせてなるレーストラック形状といった直線と曲線とを組み合わせてなる形状などが挙げられる。
コイル2を形成する巻線2wの両端部は、図1などに示すように、ターン部分から適宜引き延ばされて外側コア部32から引き出されており、絶縁被覆が剥がされて露出した導体に銅やアルミニウムなどの導電性材料からなる端子部材(図示せず)が接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続され、コイル2への通電可能となる。巻線2wの導体と端子部材との接続には、TIG溶接などの溶接、圧着などが利用できる。ここでは、巻線2wの両端部がコイル2の一端側において、コイル2の軸方向に平行に引き出されるように、巻線2wの両端部を折り曲げている。なお、巻線2wの両端部の引き出し方向は一例であり、適宜変更することが可能である。
リアクトル1aは、冷却ベースやケースなどの設置対象に設置したとき、設置対象の設置面に対してコイル2の軸方向が略平行となるように横置き(横型配置形態)としたり、設置対象の設置面に対してコイル2の軸方向が略直交となるように縦置き(縦型配置形態)とすることができる。
[コイル成形体]
コイル2は、そのままでも利用できるが、ここでは、コイル2の表面を絶縁性樹脂からなる樹脂モールド部21によって覆ったコイル成形体20としている。樹脂モールド部21は、コイル2を一定の形状に保持する機能を有しており、リアクトルの組み立て時などにおいて、コイル2が伸縮せず、コイル2の取り扱いが容易になる。また、樹脂モールド部21は、コイル2とその周辺に配置される他の構成部材(磁性コア3)との間の絶縁性を高める機能を有する。
コイル2は、そのままでも利用できるが、ここでは、コイル2の表面を絶縁性樹脂からなる樹脂モールド部21によって覆ったコイル成形体20としている。樹脂モールド部21は、コイル2を一定の形状に保持する機能を有しており、リアクトルの組み立て時などにおいて、コイル2が伸縮せず、コイル2の取り扱いが容易になる。また、樹脂モールド部21は、コイル2とその周辺に配置される他の構成部材(磁性コア3)との間の絶縁性を高める機能を有する。
樹脂モールド部21は、図1などに示すように、コイル2を形成する巻線2wにおける磁性コア3と接触する箇所に設けられており、巻線2wのターン部分全体(内周面及び外周面、並びに両端面)と巻線2wの両端部(外側コア部32から引き出される部分を除く)とを覆う。ただし、樹脂モールド部21によるコイル2の被覆領域は適宜選択することが可能である。例えば、巻線2wのターン部分の一部が樹脂モールド部21によって覆われず、露出した形態とすることができる。しかし、本例のように、巻線2wのターン部分の表面全体を実質的に樹脂モールド部21によって被覆した形態とすると、コイル2と内側コア部31との間やコイル2と外側コア部32との間に絶縁性樹脂を確実に介在させることができ、コイル2に対する絶縁性を高められる。
この樹脂モールド部21は、コイル2と内側コア部31とを一体に保持する機能を有し、コイル成形体20は、コイル2と内側コア部31とが樹脂モールド部21によって一体にモールドされている。このようなコイル成形体20を利用することで、リアクトル1aの組み立てにあたり、部品点数を削減でき、組立作業性に優れる。また、コイル2の内周面と内側コア部31の外周面との間に介在する樹脂モールド部21の厚さを調整することで、絶縁性の向上の他、コイル2に対する内側コア部31の位置決めも行うことができる。ここでは、コイル2と内側コア部31との間に介在する樹脂モールド部21の厚さが均一的であり、この絶縁性樹脂によって、コイル2と内側コア部31とが同軸に配置されている。また、コイル2の外周面や端面を覆う樹脂モールド部21の厚さも概ね均一的である。
樹脂モールド部21の厚さは、適宜選択することができ、例えば、0.1mm〜10mm程度が挙げられる。樹脂モールド部21の厚さは、厚いほど絶縁性の向上を図ることができ、薄いほど放熱性の向上を図ることができ、0.1mm〜3mm程度が好ましい。ここでは、樹脂モールド部21の外形をコイル2の外形に沿った形状、つまり、コイル2と相似形状としており、絶縁性樹脂は、コイル成形体20の全体に亘って、実質的に均一な厚さで存在する。なお、所望の機能(絶縁特性、形状保持など)を満たせば、樹脂モールド部21の厚さが部分的に異なっていてもよい。例えば、コイル2が円筒状で、樹脂モールド部21の外形を角柱状などとすることができる(この場合、角部における絶縁性樹脂の厚さが厚くなり易い)。
また、樹脂モールド部21は、必要に応じて、コイル2を自由長よりも圧縮した状態に保持する機能を有するため、コイル2の長さを自然長よりも短くでき、リアクトルの小型化に寄与する。
その他、内側コア部31の両端面31e及びその近傍が樹脂モールド部21によって覆われず露出しており、内側コア部31の両端面31eが外側コア部32に接する形態としているが、内側コア部31の少なくとも一方の端面31eが樹脂モールド部21によって覆われた形態とすることができる。このとき、内側コア部31の端面31eを覆う樹脂モールド部21は、ギャップとして機能する。
樹脂モールド部21を形成する絶縁性樹脂は、コイル2と磁性コア3との間を十分に絶縁可能な程度の絶縁特性と、リアクトル1aの使用時における最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性とを有し、トランスファー成形や射出成形などが可能な樹脂が好適に利用できる。例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。また、樹脂モールド部21には、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを絶縁性樹脂に混合したものを利用すると、絶縁性に優れる上に放熱性にも優れる。例えば、熱伝導率が1W/m・K以上、更に2W/m・K以上を満たすものが放熱性に優れて好ましい。ここでは、樹脂モールド部21にフィラーを含有したエポキシ樹脂(熱伝導率:2W/m・K)を利用している。
樹脂モールド部21を具えるコイル成形体20の製造には、例えば、特開2009−218293号公報に記載された製造方法を利用することができ、射出成形やトランスファー成形、注型成形などの種々の成形方法を利用することができる。成形用金型には、コイル2と共に内側コア部31を配置することで、コイル2、樹脂モールド部21及び内側コア部31を具えるコイル成形体20を製造することができる。なお、内側コア部31を有していないコイル成形体、つまり、コイル2と樹脂モールド部21とを具えるコイル成形体とすることができる。この場合、内側コア部31に代わって中子を利用して、コイル成形体を製造するとよい。このコイル成形体では、コイル2の内側に設ける樹脂モールド部21の厚さを調整することで、上述のように当該樹脂モールド部21を内側コア部31の位置決めに利用できる。
コイル2における巻線2wのターン部分から引き延ばされた巻線2wの端部(引出箇所)には、ターン部分に比較して、高電圧が加わる場合がある。よって、巻線2wの引出箇所のうち、少なくとも磁性コア3(外側コア部32)との接触箇所には、樹脂モールド部21で覆ったり、絶縁紙や絶縁テープ(例えば、ポリイミドテープ)、絶縁フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)などの絶縁材を適宜巻き付けたり、絶縁材をディップコーティングしたり、絶縁性チューブ(熱収縮チューブ及び常温収縮チューブのいずれでもよい)を配置したりすると、コイル2と磁性コア3(特にここでは外側コア部32)との間の絶縁性を高められる。
[磁性コア]
磁性コア3は、図1、図2に示すように、筒状のコイル2の内側に挿通された柱状の内側コア部31と、内側コア部31の少なくとも一方の端面31e(ここでは両端面)及びコイル2の外周側に配置された外側コア部32とを具え、コイル2を励磁した際に閉磁路を形成する。リアクトル1aでは、磁性コア3の少なくとも一部(この例では、磁性コア3のうち、コイル2の外周側に配置される外側コア部32の少なくとも一部)が、磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成されている。また、この複合材料の樹脂には、ミラブル型シリコーンゴムが用いられている。
磁性コア3は、図1、図2に示すように、筒状のコイル2の内側に挿通された柱状の内側コア部31と、内側コア部31の少なくとも一方の端面31e(ここでは両端面)及びコイル2の外周側に配置された外側コア部32とを具え、コイル2を励磁した際に閉磁路を形成する。リアクトル1aでは、磁性コア3の少なくとも一部(この例では、磁性コア3のうち、コイル2の外周側に配置される外側コア部32の少なくとも一部)が、磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成されている。また、この複合材料の樹脂には、ミラブル型シリコーンゴムが用いられている。
(内側コア部)
内側コア部31は、コイル2の内周形状に沿った円柱体である。内側コア部31は、コイル2の軸方向の長さよりも若干長く、コイル2内に挿通配置された状態において、内側コア部31の両端面31e及びその近傍の外周面がコイル2の端面から若干突出しており、この状態が樹脂モールド部21によって維持されている。内側コア部31において、コイル2の各端面から突出する長さ(以下、突出長さと呼ぶ)は、適宜選択することができる。ここでは、突出長さを等しくしているが、異ならせてもよいし、コイル2のいずれか一方の端面からのみ突出部分が存在するように、内側コア部の長さやコイルに対する内側コア部の配置位置を調整することができる。例えば、内側コア部31の一端面側の突出長さを長くして、この一端面が外側コア部32から露出した形態とすることができる。内側コア部の長さとコイルの長さとが等しい形態、内側コア部の長さがコイルの長さよりも短い形態とすることもできるが、内側コア部31の長さがコイル2の長さと同等以上であると、コイル2がつくる磁束を内側コア部31に十分に通過させることができて好ましい。
内側コア部31は、コイル2の内周形状に沿った円柱体である。内側コア部31は、コイル2の軸方向の長さよりも若干長く、コイル2内に挿通配置された状態において、内側コア部31の両端面31e及びその近傍の外周面がコイル2の端面から若干突出しており、この状態が樹脂モールド部21によって維持されている。内側コア部31において、コイル2の各端面から突出する長さ(以下、突出長さと呼ぶ)は、適宜選択することができる。ここでは、突出長さを等しくしているが、異ならせてもよいし、コイル2のいずれか一方の端面からのみ突出部分が存在するように、内側コア部の長さやコイルに対する内側コア部の配置位置を調整することができる。例えば、内側コア部31の一端面側の突出長さを長くして、この一端面が外側コア部32から露出した形態とすることができる。内側コア部の長さとコイルの長さとが等しい形態、内側コア部の長さがコイルの長さよりも短い形態とすることもできるが、内側コア部31の長さがコイル2の長さと同等以上であると、コイル2がつくる磁束を内側コア部31に十分に通過させることができて好ましい。
磁性コア3は、その全体が一様な材質から構成される形態としたり、部分的に材質が異なる形態とすることができる。ここでは、磁性コア3は部分的に材質が異なる形態としており、内側コア部31が圧粉成形体で構成されている。
圧粉成形体は、代表的には、軟磁性材料(例えば、鉄基材料(鉄族金属や鉄合金)、希土類金属など)からなる軟磁性粒子の表面に絶縁材料(例えば、シリコーン樹脂やリン酸塩など)からなる絶縁被覆を具える軟磁性粉末や、この軟磁性粉末に加えて適宜結合剤(例えば、熱可塑性樹脂などの樹脂や高級脂肪酸など)を混合した混合粉末を加圧成形後、適宜熱処理を施すことで製造することができる。熱処理によって成形時に軟磁性粒子に導入された歪みを除去することができ、低損失な圧粉成形体とすることができる。熱処理温度は、高いほど歪みを除去できるが、絶縁被覆を熱により損傷しない温度以下が好ましい。上記結合剤は、この熱処理により消失したり、シリカなどの絶縁物に変化したりする。上記製造方法によって、軟磁性粒子の周囲が絶縁被覆(例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物など)で覆われ、当該粒子間に絶縁物が介在する圧粉成形体が得られる。絶縁被覆を具える圧粉成形体は、絶縁性に優れ、渦電流損を低減することができる。軟磁性材料をフェライトとする場合、絶縁被覆を具えていなくても、絶縁性に優れる。
圧粉成形体は、複雑な立体形状であっても比較的容易に成形可能である上に、外側コア部32を構成する複合材料よりも飽和磁束密度を高め易い。例えば、軟磁性材料の材質や、軟磁性粉末と結合剤との混合比、絶縁被覆を含む種々の被膜の量などを調整したり、成形圧力を調整したりすることで、圧粉成形体の磁気特性(特に、飽和磁束密度)を変化させることができる。飽和磁束密度が高い軟磁性粉末(フェライトよりも鉄基材料が好ましい)を用いたり、結合剤の配合量などを低減して軟磁性材料の割合を高めたり、成形圧力を高くしたりすることで、飽和磁束密度が高い圧粉成形体が得られる。圧粉成形体には、公知のものを利用することができる。圧粉成形体における磁性粉末の含有量は、圧粉成形体を100%とするとき、体積割合で75体積%超が望ましく、80体積%以上がより望ましい。
柱状の内側コア部31は、所望の形状の金型を用いて成形した一体物としたり、圧粉成形体からなる複数のコア片を積層した積層体としたりすることができる。積層体は、接着剤や接着テープなどで固定して一体物とすることができる。ここでは、内側コア部31は、ギャップ材やエアギャップが介在していない中実体である。ギャップを有さないことで小型にできる上に、ギャップ部分の漏れ磁束がコイル2に影響を及ぼさないため、コイル2と内側コア部31とを近接でき(樹脂モールド部21の厚さを薄くでき)、この点からもリアクトル1aを小型にできる。さらに、ギャップの省略により、損失の低減や、大電流の通電時におけるインダクタンスの低下の低減を図ることができる。なお、磁性コア3は、アルミナ板などの非磁性材料からなるギャップ材やエアギャップを介在した形態とすることができる。
(外側コア部)
外側コア部32は、図1、図2に示すように、コイル成形体20(具体的には、コイル2の端面を覆う樹脂モールド部21から構成される両端面及びコイル2の外周面を覆う樹脂モールド部21から構成される外周面、内側コア部31の両端面31e及びその近傍)を覆っている。外側コア部32は、連結コア部32cと、端部コア部32eとを有する。連結コア部32cは、コイル2の外周面を覆う樹脂モールド部21から構成される外周面に配置される。端部コア部32eは、コイル2の端面を覆う樹脂モールド部21から構成される両端面及び内側コア部31の両端面31e及びその近傍に配置される。そして、外側コア部32の一部が内側コア部31の両端面31eに連結するように設けられていることで、磁性コア3は閉磁路を形成する。
外側コア部32は、図1、図2に示すように、コイル成形体20(具体的には、コイル2の端面を覆う樹脂モールド部21から構成される両端面及びコイル2の外周面を覆う樹脂モールド部21から構成される外周面、内側コア部31の両端面31e及びその近傍)を覆っている。外側コア部32は、連結コア部32cと、端部コア部32eとを有する。連結コア部32cは、コイル2の外周面を覆う樹脂モールド部21から構成される外周面に配置される。端部コア部32eは、コイル2の端面を覆う樹脂モールド部21から構成される両端面及び内側コア部31の両端面31e及びその近傍に配置される。そして、外側コア部32の一部が内側コア部31の両端面31eに連結するように設けられていることで、磁性コア3は閉磁路を形成する。
この外側コア部32(連結コア部32c及び端部コア部32e)は、磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料で構成されている。
複合材料を構成する樹脂は、ミラブル型シリコーンゴムであり、バインダとして機能する。この複合材料は、代表的には、磁性粉末と硬化前のミラブル型シリコーンゴムとを配合し、混練した後、硬化させることにより得ることができる。
連結コア部32cは、磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混練した複合材料のシートをコイル成形体20の外周面に巻き付けて形成している。具体的には、図2に示すように、コイル成形体20の外周面下側が露出するように、1枚の複合材料のシートを巻き付けて形成した。コイル成形体20の外周面の一部(ここでは下側)が露出するように連結コア部32cを形成することで、この面から放熱対象に放熱し易くして、コイル2からの放熱性を向上させることができる。このとき、複合材料のシートを硬化前の状態でコイル成形体20の外周面に巻き付けた後、硬化させてもよいし、硬化成形した複合材料のシートをコイル成形体20の外周面に巻き付けてもよい。また、複合材料のシートの内周面には、コイル成形体20の外形(コイル2の軸に直交する方向の断面外形)に応じた凹凸が設けられており、コイル成形体20の外周面とこの面に接する連結コア部32cの内周面との間に隙間が形成されないよう密着させている。或いは、コイル成形体20の外形が平滑となるようにコイル成形体20の外周面の凹部を複合材料で埋めた後、その上から更に複合材料のシートを巻き付けて連結コア部32cを形成することで、コイル成形体20と連結コア部32cとの間に隙間が形成されないようにしてもよい。また、コイル成形体20の凹部、具体的には、コイル2の他端側から一端側に軸方向に引き延ばされた他方の巻線2wの端部とターン部分とで形成される角部2r(図3参照)を複合材料のシートの巻き始め位置にしたり、この角部2rに複合材料のシートを折り込むようにして巻き付けることで、コイル成形体20と連結コア部32cとの間に形成される隙間を低減できる。連結コア部32cの厚さは、例えば平均で2mm以上20mm以下とすることが挙げられる。
複合材料のシートは、磁性粉末と硬化前のミラブル型シリコーンゴムとを配合して混練した複合材料をシート状に成形したものである。成形方法には、ロール成形、カレンダ成形、コンプレッション成形、インジェクション成形、トランスファー成形、プレス成形、押出成形などを利用することができ、成形と同時に硬化させることができる。ここでは、1枚の複合材料のシートで連結コア部32cを形成しているが、軸方向や周方向に分割されていてもよく、軸方向に分割する場合、複合材料のシートが軸方向に連結するように接着剤やプライマー、接着テープなどで接続するとよい。一方、周方向に分割する場合は、コイル成形体20の外形に合わせて複合材料のシートを密着するように配置し易く、周方向に隣り合う複合材料同士を接続しても接続しなくてもよい。また、連結コア部32cを形成する際、複合材料のシートを多層に巻き付けてもよい。複合材料のシートの厚さは、必要に応じて適宜設定すればよく、多層にする場合は、例えば0.5mm以上2.0mm以下とすることが挙げられる。
複合材料のシートは、それ自体が樹脂(ミラブル型シリコーンゴム)による粘着性を有することから、コイル成形体20の外周面に巻き付けることで、連結コア部32cを形成することが可能であるが、連結コア部32cをコイル成形体20に密着固定するため、接着剤やプライマー、接着テープなどで固定してもよい。その他、連結コア部32cの周囲をバンドなどで締め付けて固定してもよい。また、連結コア部32cは、コイル2の軸方向の長さよりも若干短く、コイル成形体20の外周面に配置された状態において、コイル成形体20の両端面及びその近傍の外周面が連結コア部32cの端面から若干突出している。
端部コア部32eは、上記複合材料を金型に押し付けて所定の形状にプレス成形した複合材料の成形体である。成形方法には、コンプレッション成形、インジェクション成形、トランスファー成形や、押出成形なども利用することができる。端部コア部32eは、略円板状に成形されている。端部コア部32eにおけるコイル成形体20の端面及び内側コア部31の端面31eに対向する内面には、図2に示すように、内側コア部配置溝321、並びに、コイル配置溝322が形成されている。内側コア部配置溝321には、コイル2(コイル成形体20)の端面から突出する内側コア部31の突出部分が嵌合される。コイル配置溝322には、連結コア部32cの端面から突出するコイル成形体20の突出部分が嵌合される。これにより端部コア部32eの位置決めが行い易く、組立作業性に優れる。また、コイル成形体20の一端側(即ち、巻線2wの両端部が引き出される側)に配置される端部コア部32eには、巻線2wの両端部を引き出すための引出孔323が設けられている。連結コア部32cも端部コア部32eと同様に、所定の形状(例えば略筒状)にプレス成形した複合材料の成形体としてもよい。
ここでは、図1、図2に示すように、連結コア部32cの両端面と端部コア部32eの内面縁部とを連結するように接続することで一体化しており、連結コア部32cと端部コア部32eの外形(コイル2の軸に直交する方向の断面外形)が一致している。別の形態としては、連結コア部32cの少なくとも一方の端部をコイル(コイル成形体)の端面から突出させて、その突出個所の内側に凹部を形成し、この凹部内に端部コア部32eを嵌合して、連結コア部32cの端部内周面と端部コア部32eの外周面とを接続して一体化することも可能である。連結コア部32cと端部コア部32eとは、接着剤やプライマー、接着テープなどで接続してもよいし、連結コア部32c及び端部コア部32eの周囲をバンドなどで締め付けて接続してもよい。なお、連結コア部32c及び端部コア部32eは、いずれも複合材料で形成されており、それ自体が樹脂(ミラブル型シリコーンゴム)による粘着性を有することから、両者を貼り合わせることで接続することも可能である。端部コア部32eと内側コア部31との接続も同様に、接着剤などで接続することが可能である。外側コア部32もギャップ材やエアギャップが介在しておらず、磁性コア3は、その全体に亘ってギャップが設けられていないギャップレス構造である。
また、連結コア部32cと端部コア部32eとを別部材とし、両者を接続して一体化することで、外側コア部32を構成しているが、リアクトル1aがケースを具える場合は、このケースを外側コア部32の成形型(注型)に利用して、外側コア部32を形成してもよい。具体的には、コイル2と内側コア部31とを一体化したコイル成形体20をケースの所定の位置に配置した状態で、上記複合材料をケースに充填することで、連結コア部32cと端部コア部32eとが一体になった外側コア部32を形成することが可能である。この場合、外側コア部32の成形と同時に、外側コア部32と内側コア部31とを複合材料の樹脂により接合することができる。
複合材料には、ミラブル型シリコーンゴムの弾性や強度を向上させるために、加硫剤を添加している。ただし、加硫剤を添加した場合は、硬化後に低分子シロキサンがゴム成分内に残留することから、低分子シロキサンを除去するために、硬化後に熱処理を施すとよい。熱処理としては、例えば、150℃以上220℃以下に加熱した状態で30分以上4時間以下に保持することが挙げられる。この熱処理は、連結コア部32cや端部コア部32eをコイル成形体20に取り付けた状態、即ち磁性コア3を組み上げた状態で行ってもよいし、複合材料のシートや成形体に対して行ってもよい。上述のように複合材料のシートを多層にする場合は、シートの厚さを薄くすることができ、上記熱処理を施した際に内部まで熱が伝わり易く、低分子シロキサンを除去し易くなる。
複合材料の磁性粉末は、上述した内側コア部31を構成する軟磁性粉末と同様の組成でも異なる組成でもよい。複合材料は、非磁性の樹脂(ここではミラブル型シリコーンゴム)を含有することから、複合材料における軟磁性粉末と圧粉成形体を構成する軟磁性粉末とが同じ組成であっても、当該圧粉成形体よりも飽和磁束密度が低く、かつ比透磁率も低くなる。よって、外側コア部32の比透磁率を内側コア部31よりも低くすることができる。
複合材料の磁性粉末は、単一種でも、材質の異なる複数種の粉末を混合したものでもよい。外側コア部32を構成する複合材料における磁性粉末は、純鉄粉や鉄合金粉末といった鉄基材料からなるものが好ましい。鉄基材料などのように、複合材料の磁性粉末も金属材料で構成される場合には、圧粉成形体の場合と同様に上述した絶縁被覆を具える被覆粉末であると、磁性粒子間の絶縁性を高められ、渦電流損を低減できる。
複合材料における磁性粉末の平均粒径は、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上500μm以下が挙げられる。磁性粉末は、粒径が異なる複数種の粉末を含んでいてもよい。微細な粉末と粗大な粉末とを混合した磁性粉末を複合材料の原料に用いた場合、飽和磁束密度が高く、低損失なリアクトルが得られ易い。なお、複合材料における磁性粉末と原料に用いる粉末とは、その大きさが実質的に同じであり(維持されており)、平均粒径が上記範囲を満たす磁性粉末を原料に用いると、流動性が高く、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させ易く、複合材料の製造性に優れる。
複合材料における磁性粉末の含有量は、複合材料を100%とするとき、体積割合で30体積%以上75体積%以下が望ましい。磁性粉末が30体積%以上であると、外側コア部32、延いては磁性コア3全体の飽和磁束密度といった磁気特性を確保し易い。磁性粉末が75体積%以下であると、樹脂との混合が行い易く、複合材料の製造性に優れる。
その他、複合材料に、磁性粉末及び樹脂(ここではミラブル型シリコーンゴム)に加えてフィラー、代表的には、アルミナやシリカなどのセラミックスといった非磁性材料の粉末を混合してもよい。セラミックスなどの熱伝導性に優れるフィラーを混合することで、放熱性の向上に寄与することができる。フィラーの含有量は、複合材料を100質量%とするとき、0.2質量%以上、更に0.3質量%以上、特に0.5質量%以上とすると、放熱性の向上効果を得易く、20質量%以下、更に15質量%以下、特に10質量%以下とすると、磁性粉末や樹脂の割合の低下を抑制できる。フィラーは、磁性粉末よりも微粒にすると磁性粒子間に介在させ易く、当該フィラーの含有による磁性粉末の割合の低下を抑制し易い。
ここでは、複合材料の磁性粉末に、平均粒径75μm以下の鉄基材料(純鉄)からなる粒子の表面に絶縁被覆を具える被覆粉末を用い、複合材料中の磁性粉末の含有量を40体積%としている。また、複合材料のバインダとなる樹脂には、ミラブル型シリコーンゴムのみ使用している。そして、複合材料は、磁性粉末と硬化前のミラブル型シリコーンゴム(パーオキサイド系の加硫剤を含む)とを体積比で40:60の割合で配合し、混練することにより得ている。複合材料のシートや成形体は、180℃で20分間加熱して硬化させた後、最終的に熱処理を施しており、熱処理条件は、加熱温度180℃、保持時間2時間とした。
外側コア部32は、閉磁路が形成できればよく、その形状は特に問わない。上述のように、コイル成形体20を複合材料よって覆う形態では、当該複合材料(外側コア部32)によって、コイル2(コイル成形体20)を外部環境や機械的応力から保護することができる。また、連結コア部32cからコイル成形体20の一部が露出するようにしており、この露出面から熱を放熱対象に伝え易くして、放熱性を高めることができる。
(磁気特性)
上述のように、磁性コア3は、部分的に異なる材料で構成されており、磁気特性が異なる。具体的には、内側コア部31は、外側コア部32よりも飽和磁束密度が高く、外側コア部32は、内側コア部31よりも比透磁率が低い。より具体的には、内側コア部31は、飽和磁束密度:1.0以上、より好ましくは外側コア部32の1.2倍以上、比透磁率:50以上500以下、外側コア部32は、飽和磁束密度:0.6T以上、かつ内側コア部31の飽和磁束密度未満、比透磁率:5以上50以下、内側コア部31及び外側コア部32からなる磁性コア3全体の比透磁率は10以上50以下が望ましい。一定の磁束を得る場合、内側コア部の飽和磁束密度の絶対値が高いほど、また、内側コア部の飽和磁束密度が外側コア部よりも相対的に大きいほど、内側コア部の断面積を小さくし易い。そのため、内側コア部の飽和磁束密度が高い形態は、全体の飽和磁束密度が均一的な磁性コアと同じ磁束を得る場合、内側コア部の断面積を小さくできるため、リアクトルの小型化に寄与する。内側コア部31の飽和磁束密度は、1.8T以上、更に2T以上が好ましく、外側コア部32の飽和磁束密度の1.5倍以上、更に1.8倍以上が好ましく、いずれも上限は設けない。圧粉成形体に代えて、珪素鋼板に代表される電磁鋼板の積層体を利用すると、内側コア部の飽和磁束密度を更に高め易い。一方、外側コア部32の比透磁率を内側コア部31よりも低くすると、内側コア部31に磁束を通し易い。ところで、外側コア部32の比透磁率を内側コア部31よりも高くすれば、外部への漏れ磁束を低減し易くなる。
上述のように、磁性コア3は、部分的に異なる材料で構成されており、磁気特性が異なる。具体的には、内側コア部31は、外側コア部32よりも飽和磁束密度が高く、外側コア部32は、内側コア部31よりも比透磁率が低い。より具体的には、内側コア部31は、飽和磁束密度:1.0以上、より好ましくは外側コア部32の1.2倍以上、比透磁率:50以上500以下、外側コア部32は、飽和磁束密度:0.6T以上、かつ内側コア部31の飽和磁束密度未満、比透磁率:5以上50以下、内側コア部31及び外側コア部32からなる磁性コア3全体の比透磁率は10以上50以下が望ましい。一定の磁束を得る場合、内側コア部の飽和磁束密度の絶対値が高いほど、また、内側コア部の飽和磁束密度が外側コア部よりも相対的に大きいほど、内側コア部の断面積を小さくし易い。そのため、内側コア部の飽和磁束密度が高い形態は、全体の飽和磁束密度が均一的な磁性コアと同じ磁束を得る場合、内側コア部の断面積を小さくできるため、リアクトルの小型化に寄与する。内側コア部31の飽和磁束密度は、1.8T以上、更に2T以上が好ましく、外側コア部32の飽和磁束密度の1.5倍以上、更に1.8倍以上が好ましく、いずれも上限は設けない。圧粉成形体に代えて、珪素鋼板に代表される電磁鋼板の積層体を利用すると、内側コア部の飽和磁束密度を更に高め易い。一方、外側コア部32の比透磁率を内側コア部31よりも低くすると、内側コア部31に磁束を通し易い。ところで、外側コア部32の比透磁率を内側コア部31よりも高くすれば、外部への漏れ磁束を低減し易くなる。
なお、ここでいう上記各コア部の比透磁率とは、次のようにして求めたものをいう。コア部と同じ材料で、外径34mm、内径20mm、厚さ5mmのリング状試験片を作製する。この試験片に、一次側300巻き、二次側20巻きの巻線を施して、試験片のB‐H初磁化曲線をH=0〜100エルステッド(Oe)の範囲で測定する。この測定には、例えば、理研電子株式会社製BHカーブトレーサ「BHS‐40S10K」を使用することができる。そして、得られたB‐H初磁化曲線の勾配(B/H)の最大値を求め、それをコア部の比透磁率とする。ここでの磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線である。
一方、上記各コア部の飽和磁束密度は、上記試験片に対して電磁石で10000(Oe)の磁界を印加し、十分に磁気飽和させたときの磁束密度とする。
[ケース]
リアクトル1aは、ケースを具え、コイル2と磁性コア3との組物がケースに収納された形態としてもよい。ケースの形状や大きさは、例えば、上述の配置形態に応じて適宜設定すればよい。ケースは、収納物(コイル2や磁性コア3など)を外部環境や機械的応力から保護する機能を有する他、放熱経路として利用することができる。そのため、ケースの材料には、熱伝導性に優れる材料、好ましくは鉄などの磁性粉末よりも熱伝導率が高い材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金といった金属を好適に利用できる。アルミニウムやマグネシウム、その合金は、軽量であることから、リアクトルの軽量化に寄与する。また、アルミニウムやマグネシウム、その合金は、非磁性材料かつ導電性材料であることから、ケース外部への漏れ磁束も効果的に抑制できる。金属から構成される場合、ケースは、鋳造や切削加工、塑性加工などにより、容易に製造できる。その他、ケースは樹脂で構成することも可能である。ケースを樹脂で構成する場合は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ウレタン樹脂、PPS樹脂、アクリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)樹脂などが利用できる。この場合、放熱性を高める観点から、アルミナやシリカなどの熱伝導性に優れるセラミックスのフィラーを混合してもよい。ケースを樹脂で構成することで、軽量で安価に製造できる。
リアクトル1aは、ケースを具え、コイル2と磁性コア3との組物がケースに収納された形態としてもよい。ケースの形状や大きさは、例えば、上述の配置形態に応じて適宜設定すればよい。ケースは、収納物(コイル2や磁性コア3など)を外部環境や機械的応力から保護する機能を有する他、放熱経路として利用することができる。そのため、ケースの材料には、熱伝導性に優れる材料、好ましくは鉄などの磁性粉末よりも熱伝導率が高い材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金といった金属を好適に利用できる。アルミニウムやマグネシウム、その合金は、軽量であることから、リアクトルの軽量化に寄与する。また、アルミニウムやマグネシウム、その合金は、非磁性材料かつ導電性材料であることから、ケース外部への漏れ磁束も効果的に抑制できる。金属から構成される場合、ケースは、鋳造や切削加工、塑性加工などにより、容易に製造できる。その他、ケースは樹脂で構成することも可能である。ケースを樹脂で構成する場合は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ウレタン樹脂、PPS樹脂、アクリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)樹脂などが利用できる。この場合、放熱性を高める観点から、アルミナやシリカなどの熱伝導性に優れるセラミックスのフィラーを混合してもよい。ケースを樹脂で構成することで、軽量で安価に製造できる。
[用途]
上記構成を具えるリアクトル1aは、コイル2への通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的にはハイブリッド自動車や電気自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用できる。
上記構成を具えるリアクトル1aは、コイル2への通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的にはハイブリッド自動車や電気自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用できる。
[リアクトルの大きさ]
リアクトル1aを車載部品とする場合、リアクトル1aは、ケースを具える場合は、ケースを含めた容量が0.2リットル(200cm3)〜0.8リットル(800cm3)程度であることが好ましい。より具体的には、端面形状が円形状のコイルの場合、内径:20mm〜80mm、巻き数:30〜70、円柱状の内側コア部の場合、直径:10mm〜70mm、長さ(コイルの軸方向に沿った長さ):20mm〜120mmが挙げられる。
リアクトル1aを車載部品とする場合、リアクトル1aは、ケースを具える場合は、ケースを含めた容量が0.2リットル(200cm3)〜0.8リットル(800cm3)程度であることが好ましい。より具体的には、端面形状が円形状のコイルの場合、内径:20mm〜80mm、巻き数:30〜70、円柱状の内側コア部の場合、直径:10mm〜70mm、長さ(コイルの軸方向に沿った長さ):20mm〜120mmが挙げられる。
[効果]
リアクトル1aは、磁性コア3の一部(ここでは連結コア部32c)が磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成され、複合材料のバインダとなる樹脂として、ミラブル型シリコーンゴムを使用している。複合材料がシート状であるので、複合材料における磁性粉末の分布が不均一になることを抑制することができ、製造も容易である。特に、複合材料の樹脂がミラブル型シリコーンゴムであるので、流動性が低く、粘性を有しているため、磁性粉末と樹脂とを混合した後に磁性粉末が沈降などし難く、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させた状態を維持することができる。よって、この複合材料のシートは、磁性粉末が均一に分散しながら、製造性が高い。この複合材料のシートを磁性コア3の材料に使用することで、設計値通りのインダクタンスを実現できる。その他、複合材料のシートをコイル2の外周側に巻き付けて磁性コア3の一部を形成しており、リアクトルの組立作業性に優れる。また、複合材料における樹脂がゴムであるので、弾性を有し、軟らかいため、複合材料が振動を吸収して、振動による騒音を低減することができると共に、磁性粉末と樹脂との間で熱膨張係数差が生じても、樹脂が変形することにより、複合材料にクラックが生じることを抑制できる。さらに、ミラブル型シリコーンゴムであれば、耐熱性が高く、高温でも劣化し難い。
リアクトル1aは、磁性コア3の一部(ここでは連結コア部32c)が磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成され、複合材料のバインダとなる樹脂として、ミラブル型シリコーンゴムを使用している。複合材料がシート状であるので、複合材料における磁性粉末の分布が不均一になることを抑制することができ、製造も容易である。特に、複合材料の樹脂がミラブル型シリコーンゴムであるので、流動性が低く、粘性を有しているため、磁性粉末と樹脂とを混合した後に磁性粉末が沈降などし難く、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させた状態を維持することができる。よって、この複合材料のシートは、磁性粉末が均一に分散しながら、製造性が高い。この複合材料のシートを磁性コア3の材料に使用することで、設計値通りのインダクタンスを実現できる。その他、複合材料のシートをコイル2の外周側に巻き付けて磁性コア3の一部を形成しており、リアクトルの組立作業性に優れる。また、複合材料における樹脂がゴムであるので、弾性を有し、軟らかいため、複合材料が振動を吸収して、振動による騒音を低減することができると共に、磁性粉末と樹脂との間で熱膨張係数差が生じても、樹脂が変形することにより、複合材料にクラックが生じることを抑制できる。さらに、ミラブル型シリコーンゴムであれば、耐熱性が高く、高温でも劣化し難い。
したがって、リアクトル1a、及び上記複合材料のシートからなるリアクトル用コア材料は、製造が容易で、複合材料における磁性粉末の分布が不均一になることを抑制することができる他、振動による騒音を低減することができる。
《実施形態2》
図4〜図6を参照して、実施形態2に係るリアクトルを説明する。実施形態2のリアクトル1bは、上記実施形態1のリアクトル1aと基本的な構成は同様であり、以下では相違点を中心に説明する。
図4〜図6を参照して、実施形態2に係るリアクトルを説明する。実施形態2のリアクトル1bは、上記実施形態1のリアクトル1aと基本的な構成は同様であり、以下では相違点を中心に説明する。
コイル2を形成する巻線2wの両端部の引き出し方法が異なり、図6に示すように、コイル2の一端側において、巻線2wの一方の端部がコイル2の径方向に引き出されると共に、他方の端部がコイル2の軸方向に平行に引き延ばされ、かつ、コイル2の径方向に引き出されるように折り曲げている。コイル2は、実施形態1と同様に、その表面が樹脂モールド部21によって覆われて、その形状が保持されたコイル成形体20としている。
外側コア部32は、図4、図5に示すように、コイル成形体20の実質的に全てを覆っている。外側コア部32を構成する連結コア部32cは、図5に示すように、コイル成形体20の外周面を覆うように、複合材料のシートを多層に巻き付けることで形成されている。複合材料のシート内周面には、実施形態1と同様に、コイル成形体20の外形に応じた凹凸が設けられており、コイル成形体20と連結コア部32cとの間に隙間が形成されないようにしている。或いは、実施形態1で説明したように、コイル成形体20の外周面の凹部を複合材料で埋めた後、その上からシートを巻き付けてもよい。また、コイル成形体20の凹部、具体的には、他方の巻線2wの端部とターン部分とで形成される角部2r(図6参照)をシートの巻き始め位置にしたり、この角部2rにシートを折り込むようにして巻き付けることでも、コイル成形体20と連結コア部32cとの間に形成される隙間を低減できる。
一方、端部コア部32eは、実施例1と同様に、図5に示すように、コイル成形体20の端面及び内側コア部31の端面31eに対向する内面に内側コア部配置溝321、並びに、コイル配置溝322が形成されている。また、コイル成形体20の一端側(即ち、巻線2wの両端部が引き出される側)に配置される端部コア部32eの内面には、巻線2wの両端部を引き出すための引出溝324が設けられている。
《実施形態3》
図7〜図9を参照して、実施形態3に係るリアクトルを説明する。実施形態3のリアクトル1cは、上記実施形態1のリアクトル1aと基本的な構成は同様であり、以下では相違点を中心に説明する。
図7〜図9を参照して、実施形態3に係るリアクトルを説明する。実施形態3のリアクトル1cは、上記実施形態1のリアクトル1aと基本的な構成は同様であり、以下では相違点を中心に説明する。
コイル2を形成する巻線2wの両端部の引き出し方法が異なり、図9に示すように、コイル2の両端部において、巻線2wの両端部がそれぞれターン部分からコイル2の径方向に引き出されている。コイル2は、実施形態1と同様に、その表面が樹脂モールド部21によって覆われて、その形状が保持されたコイル成形体20としている。
外側コア部32は、図7、図8に示すように、コイル成形体20の実質的に全てを覆っている。外側コア部32を構成する連結コア部32cは、図8に示すように、コイル成形体20の外周面を覆うように、複合材料のシートを多層に巻き付けることで形成されている。この場合、巻線2wの端部とターン部分とがコイル2の軸方向に重複しないので(図9参照)、巻線2wのターン部分を被覆する樹脂被覆部21の外周面にシートを密着して巻き付け易い。
一方、端部コア部32eは、実施例1と同様に、図8に示すように、コイル成形体20の端面及び内側コア部31の端面31eに対向する内面に内側コア部配置溝321、並びに、コイル配置溝322が形成されている。また、コイル成形体20の両端側に配置される各端部コア部32eの内面には、巻線2wの各端部を引き出すための引出溝324が設けられている。
《実施形態4》
上記実施形態1では、コイル2の表面が樹脂モールド部21で覆われたコイル成形体20を具え、樹脂モールド部21によって、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高めた形態を説明した。その他、例えば、コイル2の外面(端面を含む)や内周面に絶縁テープを貼り付けたり、コイル2の外面(端面を含む)や内周面を絶縁紙や絶縁シートで覆ったりすることでも、上述の絶縁性を高める効果が得られる。或いは、内側コア部31の外周やコイル2の外周に筒状のインシュレータを配置した形態とすることができる。インシュレータの構成材料には、PPS樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂が好適に利用できる。このインシュレータは、内側コア部31やコイル2の径方向に分割可能な分割片とすると、内側コア部31の外周やコイル2の外周に容易に配置でき、組立作業性に優れる。内側コア部31の外周に配置する筒状体として、両端の周縁から外方に突出する環状のフランジを具える形態とすると、このフランジによりコイル2の端面を覆うことが可能であり、好ましい。
上記実施形態1では、コイル2の表面が樹脂モールド部21で覆われたコイル成形体20を具え、樹脂モールド部21によって、コイル2と磁性コア3との間の絶縁性を高めた形態を説明した。その他、例えば、コイル2の外面(端面を含む)や内周面に絶縁テープを貼り付けたり、コイル2の外面(端面を含む)や内周面を絶縁紙や絶縁シートで覆ったりすることでも、上述の絶縁性を高める効果が得られる。或いは、内側コア部31の外周やコイル2の外周に筒状のインシュレータを配置した形態とすることができる。インシュレータの構成材料には、PPS樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂が好適に利用できる。このインシュレータは、内側コア部31やコイル2の径方向に分割可能な分割片とすると、内側コア部31の外周やコイル2の外周に容易に配置でき、組立作業性に優れる。内側コア部31の外周に配置する筒状体として、両端の周縁から外方に突出する環状のフランジを具える形態とすると、このフランジによりコイル2の端面を覆うことが可能であり、好ましい。
《実施形態5》
上記実施形態1では、内側コア部31が圧粉成形体で構成され、外側コア部32が複合材料で構成された形態を説明した。その他、内側コア部も磁性粉末と樹脂(ミラブル型シリコーンゴム)とを混合した複合材料やそのシートで構成された形態とすることができる。つまり、磁性コアの全体が上記複合材料やそのシートで構成された形態とすることができる。この場合、内側コア部と外側コア部とは、同じ複合材料で構成することができる。そして、各コア部を構成する複合材料の磁性粉末の含有量は30体積%以上75体積%以下とし、各コア部の飽和磁束密度は0.6T以上、好ましくは1.0T以上、比透磁率は5以上50以下、好ましくは10以上35以下、より好ましくは20以上30以下とすることが挙げられる。磁性コア全体の比透磁率は5以上50以下とすることが挙げられる。この構成では、例えば、柱状に成形した複合材料の成形体、若しくは複合材料のシートを柱状に積層又は巻回した積層体又は巻回体からなる内側コア部を用意し、この内側コア部をコイルの内側に配置して一体化したコイル成形体を作製する。そして、複合材料やそのシートで外側コア部を構成し、閉磁路を形成するように外側コア部をコイル成形体の外側に配置することで、磁性コアを構成する。或いは、上記したコイル成形体を成形型の所定の位置に配置し、複合材料を成形型に充填して、複合材料からなる外側コア部を成形してもよい。これにより、内側コア部と外側コア部とを同じ複合材料で形成すれば、各コア部を別々に形成しても、各コア部を同じ複合材料で構成することができる。リアクトルがケースを具える場合は、上記成形型にケースを利用してもよい。
上記実施形態1では、内側コア部31が圧粉成形体で構成され、外側コア部32が複合材料で構成された形態を説明した。その他、内側コア部も磁性粉末と樹脂(ミラブル型シリコーンゴム)とを混合した複合材料やそのシートで構成された形態とすることができる。つまり、磁性コアの全体が上記複合材料やそのシートで構成された形態とすることができる。この場合、内側コア部と外側コア部とは、同じ複合材料で構成することができる。そして、各コア部を構成する複合材料の磁性粉末の含有量は30体積%以上75体積%以下とし、各コア部の飽和磁束密度は0.6T以上、好ましくは1.0T以上、比透磁率は5以上50以下、好ましくは10以上35以下、より好ましくは20以上30以下とすることが挙げられる。磁性コア全体の比透磁率は5以上50以下とすることが挙げられる。この構成では、例えば、柱状に成形した複合材料の成形体、若しくは複合材料のシートを柱状に積層又は巻回した積層体又は巻回体からなる内側コア部を用意し、この内側コア部をコイルの内側に配置して一体化したコイル成形体を作製する。そして、複合材料やそのシートで外側コア部を構成し、閉磁路を形成するように外側コア部をコイル成形体の外側に配置することで、磁性コアを構成する。或いは、上記したコイル成形体を成形型の所定の位置に配置し、複合材料を成形型に充填して、複合材料からなる外側コア部を成形してもよい。これにより、内側コア部と外側コア部とを同じ複合材料で形成すれば、各コア部を別々に形成しても、各コア部を同じ複合材料で構成することができる。リアクトルがケースを具える場合は、上記成形型にケースを利用してもよい。
上記の例では、コイル成形体を用いる場合を例に説明したが、コイルをそのまま利用するなど、コイル成形体としない形態とすることも可能である。この場合、例えば、実施形態4で説明したように、コイルの外面(端面を含む)や内周面に絶縁テープを貼り付けたり、コイルの外面(端面を含む)や内周面を絶縁紙や絶縁シートで覆った形態とすると、コイルと磁性コア(内側コア部や外側コア部)との間の絶縁性を高められる。或いは、コイルと磁性コアとの接触箇所、具体的には、コイルの内周面又は内側コア部の外面(外周や端面)や、コイルの外面(端面を含む)にインシュレータを配置した形態としてもよい。
また、内側コア部と外側コア部とは、磁性粉末の材質や含有量が異なる複合材料で構成することもできる。この構成では、例えば、磁性粉末の材質を同じとする場合、磁性粉末の含有量を変更することで、飽和磁束密度や比透磁率を調整することができ、所望の特性の複合材料を得易いという利点もある。具体的な形態としては、内側コア部と外側コア部とが磁性粉末の材質や含有量が異なる複合材料やそのシートで構成され、実施形態1と同様に内側コア部の飽和磁束密度が高く、外側コア部の比透磁率が低い形態とすることが挙げられる。或いは逆の形態、つまり内側コア部の比透磁率が低く、外側コア部の飽和磁束密度が高い形態とすることが挙げられる。複合材料における磁性粉末の配合量を多くすると、飽和磁束密度が高くかつ比透磁率が高い複合材料が得られ易く、上記配合量を少なくすると、飽和磁束密度が低くかつ比透磁率が低い複合材料が得られ易い。所望の組成の原料によって、例えば、複合材料やそのシートからなる柱状やブロック状のコア部品を別途作製しておき、このコア部品を内側コア部や外側コア部に利用することができる。内側コア部及び外側コア部を構成する各複合材料はいずれも、磁性粉末の含有量を30体積%以上75体積%以下とし、各コア部の飽和磁束密度は0.6T以上、好ましくは1.0T以上、比透磁率は5以上50以下、好ましくは10以上35以下、より好ましくは20以上30以下とすることが挙げられる。磁性コア全体の比透磁率は5以上50以下とすることが挙げられる。
なお、上記実施形態1では、連結コア部32cと端部コア部32eとを別部材とした形態を説明したが、連結コア部と端部コア部とは、同じ複合材料で構成してもよいし、磁性粉末の材質や含有量が異なる複合材料で構成してもよい。さらに、端部コア部を圧粉成形体で構成してもよいし、磁性粉末と樹脂(エポキシ樹脂など)とを混合した従来の複合材料で構成してもよい。
ところで、磁性コアの一部(例えば、内側コア部)を圧粉成形体や電磁鋼板の積層体といった比透磁率が高い磁性体で構成した場合、インダクタンスを調整するため、隣り合うコア片間又はコア部間に上記磁性体よりも比透磁率が低い材料(代表的にはアルミナなどの非磁性材料)からなるギャップ材を介在させてもよい。ギャップ材には、非磁性材料の他、比透磁率が1.05以上2以下の磁性材料を用いることも可能である。このような磁性材料からなるギャップ材の一例としては、PPS樹脂などの非磁性材料と鉄粉などの磁性材料とを含む混合物が挙げられる。磁性コアがギャップ材を具える場合、磁性コア全体の比透磁率は、ギャップ材も含めた比透磁率とする。
《実施形態6》
上記実施形態1では、筒状のコイル2を一つ具える(即ち、コイル2が一つのコイル素子を具える)形態を説明した。その他、巻線を螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子を具える形態とすることができる。一対のコイル素子は、各素子の軸が平行するように横並び(並列配置)され、巻線の一部を折り返してなる連結部により連結された形態が挙げられる。各コイル素子を別々の巻線によって形成し、両コイル素子を形成する巻線の一端部同士をTIG溶接などの溶接、圧着、半田付けなどで接合した形態、一端部同士を別途用意した連結部材を介して連結した形態とすることもできる。
上記実施形態1では、筒状のコイル2を一つ具える(即ち、コイル2が一つのコイル素子を具える)形態を説明した。その他、巻線を螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子を具える形態とすることができる。一対のコイル素子は、各素子の軸が平行するように横並び(並列配置)され、巻線の一部を折り返してなる連結部により連結された形態が挙げられる。各コイル素子を別々の巻線によって形成し、両コイル素子を形成する巻線の一端部同士をTIG溶接などの溶接、圧着、半田付けなどで接合した形態、一端部同士を別途用意した連結部材を介して連結した形態とすることもできる。
図10、図11を参照して、実施形態6に係るリアクトルを説明する。実施形態6のリアクトル1Aは、コイル2及び磁性コア3の構成が上記実施形態1のリアクトル1aと異なる。以下では、説明を簡略化するために相違点を中心に説明する。
コイル2は、図11に示すように、一対のコイル素子2a,2bで構成され、各コイル素子の軸が平行となるように横並び(並列)に配置されている。このコイル2(コイル素子2a,2b)は、1本の連続する巻線2wにより形成され、具体的には、一方のコイル素子2aを一端側から他端側に向かって形成した後、他端側で巻線2wをU字状に屈曲させて折り返し、他方のコイル素子2bを他端側から一端側に向かって形成している。両コイル素子2a,2bの巻回方向は同一である。両コイル素子2a,2bは電気的には直列に接続されている。そして、コイル2(コイル素子2a,2b)の一端側から巻線2wの両端部をコイル2の径方向(図11では上方)に引き出している。また、コイル素子2a,2bの端面形状が各角部を丸めた長方形状であるが、上述したようにコイル素子2a,2bの端面形状は円形状やレーストラック形状など、適宜選択できる。各コイル素子2a,2bの内側にはそれぞれ、内側コア部31が配置される。
また、コイル2は、実施形態1と同様に、その表面が樹脂モールド部21によって覆われたコイル成形体20としており、コイル2と内側コア部31とが樹脂モールド部21によって一体にモールドされている。勿論、コイル2は、その表面を樹脂モールド部によって覆われたコイル成形体としない形態とすることも可能である。この場合、例えば、実施形態4で説明したように、コイル2の外面(端面を含む)や内周面に絶縁テープを貼り付けたり、コイル2の外面(端面を含む)や内周面を絶縁紙や絶縁シートで覆った形態とすると、コイル2と磁性コア3(後述する内側コア部31や外側コア部32)との間の絶縁性を高められる。或いは、コイル2と磁性コア3との接触箇所、具体的には、コイル2の内周面又は内側コア部31の外面(外周や端面)や、コイル2の外面(端面を含む)にインシュレータを配置した形態としてもよい。
内側コア部31は、各コイル素子2a,2bの内側にそれぞれ配置され、各コイル素子2a,2bの内周形状に沿った角柱体である。この例では、内側コア部31は、磁性粉末と樹脂(ミラブル型シリコーンゴム)とを混合した複合材料のシートを多層に積層した積層体で構成されている。一方、外側コア部32は、図10及び図11に示すように、ブロック状であり、両内側コア部31を挟むように両内側コア部31の両端にそれぞれ配置されている。この例では、外側コア部32は、内側コア部31と同じように、上記した複合材料のシートを多層に積層した積層体で構成されている。そして、外側コア部32が両内側コア部31の各端面31eに連結されることで、内側コア部31と外側コア部32とにより環状の磁性コア3が構成され、磁性コア3に閉磁路が形成される。外側コア部32は、上記複合材料のシートで形成されており、それ自体が粘着性を有することから、外側コア部32を内側コア部31に貼り付けることで両者を接続することができる。内側コア部31と外側コア部32とは、例えば接着剤などで接続してもよい。
上記した例では、磁性コアの全体が、磁性粉末と樹脂(ミラブル型シリコーンゴム)とを混合した複合材料のシートで構成されている。そして、実施形態5で説明したように、内側コア部と外側コア部とは、磁性粉末の材質や含有量が同じ又は異なる複合材料で構成することができる。この場合、内側コア部と外側コア部として、それぞれ所定の形状に成形した複合材料の成形体、若しくは複合材料のシートを所定の形状に積層又は巻回した積層体又は巻回体からなるコア部品を利用することが挙げられる。例えば、複合材料のシートで構成した内側コア部をコイルの内側に配置して一体化したコイル成形体を成形型の所定の位置に配置した後、内側コア部と同じ又は異なる複合材料を成形型に充填して、複合材料からなる外側コア部を成形することで磁性コアを構成することが挙げられる。或いは、内側コア部と同じ又は異なる複合材料やそのシートで外側コア部を構成し、閉磁路を形成するように外側コア部をコイル成形体の外側に配置することで磁性コアを構成してもよい。リアクトルがケースを具える場合は、上記成形型にケースを利用してもよい。
ここで、内側コア部と外側コア部とを上記複合材料で構成する場合、実施形態5で説明したように、各コア部を構成する複合材料はいずれも、磁性粉末の含有量を30体積%以上75体積%以下とし、各コア部の飽和磁束密度は0.6T以上、好ましくは1.0T以上、比透磁率は5以上50以下、好ましくは10以上35以下、より好ましくは20以上30以下とすることが挙げられる。磁性コア全体の比透磁率は5以上50以下とすることが挙げられる。また、内側コア部と外側コア部とを磁性粉末の材質や含有量が異なる複合材料で構成する場合、内側コア部の飽和磁束密度が高く、外側コア部の比透磁率が低い形態としたり、或いは逆の形態、つまり内側コア部の比透磁率が低く、外側コア部の飽和磁束密度が高い形態とすることが挙げられる。複合材料における磁性粉末の配合量を多くすると、飽和磁束密度が高くかつ比透磁率が高い複合材料が得られ易く、上記配合量を少なくすると、飽和磁束密度が低くかつ比透磁率が低い複合材料が得られ易い。例えば、磁性粉末の材質を同じとする場合、磁性粉末の含有量を変更することで、飽和磁束密度や比透磁率を調整することができ、所望の特性の複合材料を得易い。
上記したリアクトル1Aにおいて、内側コア部31と外側コア部32のうち一方を圧粉成形体で構成してもよいし、磁性粉末と樹脂(エポキシ樹脂など)とを混合した複合材料やそのシートで構成してもよい。なお、磁性コアの一部(例えば、内側コア部)を圧粉成形体や電磁鋼板の積層体といった比透磁率が高い磁性体で構成した場合は、実施形態5で説明したように、隣り合うコア片間又はコア部間にギャップ材を介在させてもよい。
リアクトル1Aでは、図11に示すように、内側コア部31と外側コア部32とを、複合材料のシートを上下方向(各コイル素子の軸方向と並列方向の双方に直交する方向)に多層に積層した積層体で構成している。その他、図12に示すように、リアクトル1Aにおいて、内側コア部31と外側コア部32の少なくとも一方を、複合材料のシートを左右方向(両コイル素子の並列方向)に多層に積層した積層体で構成してもよい。或いは、図13(但し、図13では、コイル(コイル成形体)は省略している)に示すように、内側コア部31と外側コア部32の少なくとも一方を、複合材料のシートを前後方向(各コイル素子の軸方向)に多層に積層した積層体で構成してもよい。また、各コア部を複合材料のシートを多層に積層して形成する他、図14に示すように、内側コア部31と外側コア部32の少なくとも一方を、複合材料のシートを多層に巻回した渦巻き状の巻回体で構成してもよい。この場合、1枚ではなく複数のシートをロール状に巻回して形成してもよい。さらに、内側コア部31と外側コア部32のうち一方を、上記シートを上下方向に多層に積層した積層体で構成し、他方を左右方向又は前後方向に多層に積層した積層体で構成してもよい。或いは、一方を左右方向に多層に積層した積層体で構成し、他方を上下方向又は前後方向に多層に積層した積層体で構成してもよい。一例としては、内側コア部31を左右方向に積層した積層体で構成し、外側コア部32を上下方向に積層した積層体で構成することが挙げられる。内側コア部31と外側コア部32のうち一方を積層体で構成し、他方を巻回体で構成してもよい。
なお、複合材料のシートを多層にしてコア部を構成する場合、隣り合うシート層間に僅かな隙間や界面などが存在することが多いため、シートが重なり合う方向には磁束が流れ難くいと考えられる。つまり、例えば図12及び図14に示す外側コア部32や図13に示す内側コア部31のように、各シートの面がコア部を流れる磁束の方向と交差(直交を含む)すると、磁束の流れが阻害され易い、即ち、磁気抵抗が大きくなり易い。そこで、例えば図11に示す内側コア部31及び外側コア部32や図12及び図14に示す内側コア部31、図13に示す外側コア部32のように、各シートの面がコア部を流れる磁束の方向と平行であると、磁束の流れが阻害されることが少なく、漏れ磁束も低減し易い。
一方、各シートの面がコア部を流れる磁束の方向と交差(直交を含む)する形態では、隣り合うシート層間の僅かな隙間や界面などが、ギャップの役割をする。そのため、コイルに大電流を通電して比較的大きな磁場を印加しても、磁性コアの磁気飽和が抑制されるので、インダクタンスの低下を抑制できる。
各コア部を複合材料のシートで構成する場合の各コア部におけるシートの面と磁束の方向との関係としては、以下の組み合わせが考えられる。
(1)内側コア部のシートの面がコア部を流れる磁束の方向と平行で、かつ、外側コア部のシートの面がコア部を流れる磁束の方向と平行である場合。
この場合、磁性コア全体の磁気抵抗を最も小さくすることができ、漏れ磁束を最も低減できる。
この場合、磁性コア全体の磁気抵抗を最も小さくすることができ、漏れ磁束を最も低減できる。
(2)内側コア部のシートの面がコア部を流れる磁束の方向と平行で、外側コア部のシートの面がコア部を流れる磁束の方向と交差(直交を含む)する場合。
この場合、内側コア部での磁気抵抗を小さくできると共に、外側コア部によって磁気飽和を抑制できる。特に、内側コア部での漏れ磁束を低減できるので、漏れ磁束がコイルに鎖交することによる損失を抑制し易い。
この場合、内側コア部での磁気抵抗を小さくできると共に、外側コア部によって磁気飽和を抑制できる。特に、内側コア部での漏れ磁束を低減できるので、漏れ磁束がコイルに鎖交することによる損失を抑制し易い。
(3)内側コア部のシートの面がコア部を流れる磁束の方向と交差(直交を含む)し、外側コア部のシートの面がコア部を流れる磁束の方向と平行な場合。
この場合、内側コア部によって磁気飽和を抑制できると共に、外側コア部での磁気抵抗を小さくできる。加えて、この場合では、内側コア部での漏れ磁束は増えるが、内側コア部はコイル内に配置されることから、リアクトル外部への漏れ磁束を小さくできる。そのため、リアクトルの外部に設けられた外部機器への漏れ磁束による影響を低減し易い。
この場合、内側コア部によって磁気飽和を抑制できると共に、外側コア部での磁気抵抗を小さくできる。加えて、この場合では、内側コア部での漏れ磁束は増えるが、内側コア部はコイル内に配置されることから、リアクトル外部への漏れ磁束を小さくできる。そのため、リアクトルの外部に設けられた外部機器への漏れ磁束による影響を低減し易い。
(4)内側コア部のシートの面がコア部を流れる磁束の方向と交差(直交を含む)し、かつ、外側コア部のシートの面がコア部を流れる磁束の方向と交差(直交を含む)する場合。
この場合、磁気飽和を抑制する効果を大きくすることができる。特に、各シート面が磁束の方向と直交する場合は、磁気飽和の抑制効果が最も大きくなると期待できる。
この場合、磁気飽和を抑制する効果を大きくすることができる。特に、各シート面が磁束の方向と直交する場合は、磁気飽和の抑制効果が最も大きくなると期待できる。
なお、磁性コア(コア部)において、複合材料のシートの面が磁束の方向と平行又は交差するように配置する場合、磁路の全てに亘って、シートの面が磁束の方向と平行又は交差していなくてもよい。例えば、「シートの面が磁束の方向と平行である」という場合、磁路における磁束の曲がる部分においてはシートの面と磁束の方向が交差することを許容する。「シートの面が磁束の方向と平行又は交差している」とは、全磁路のうち、70%以上程度がシートの面が磁束の方向と平行又は交差していればよい。
《実施形態7》
次に、ケースを具えるリアクトルの一実施形態を、図15を参照して説明する。図15に示す実施形態7は、上記実施形態6のリアクトル1Aにおいて、コイル2と磁性コア3との組物が収納されるケース4を具える形態である。このようにケース4を具える場合は、図15に示すように、ケース4に封止樹脂6を充填して、コイル2と磁性コア3との組物を封止樹脂6で封止してもよい。これにより、コイル2(コイル成形体20)や磁性コア3(外側コア部32)を封止樹脂6で覆うことができ、これら部材を外部環境や機械的応力から保護することができる。封止樹脂6としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、PPS樹脂などが好適に利用できる。封止樹脂6には、放熱性を高める観点から、アルミナやシリカなどの熱伝導性に優れる高いセラミックスのフィラーを混合してもよい。
次に、ケースを具えるリアクトルの一実施形態を、図15を参照して説明する。図15に示す実施形態7は、上記実施形態6のリアクトル1Aにおいて、コイル2と磁性コア3との組物が収納されるケース4を具える形態である。このようにケース4を具える場合は、図15に示すように、ケース4に封止樹脂6を充填して、コイル2と磁性コア3との組物を封止樹脂6で封止してもよい。これにより、コイル2(コイル成形体20)や磁性コア3(外側コア部32)を封止樹脂6で覆うことができ、これら部材を外部環境や機械的応力から保護することができる。封止樹脂6としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、PPS樹脂などが好適に利用できる。封止樹脂6には、放熱性を高める観点から、アルミナやシリカなどの熱伝導性に優れる高いセラミックスのフィラーを混合してもよい。
〔コンバータ、電力変換装置〕
上記した本発明に係る実施形態1〜7のリアクトルは、例えば、車両などに搭載されるコンバータの構成部品や、このコンバータを具える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
上記した本発明に係る実施形態1〜7のリアクトルは、例えば、車両などに搭載されるコンバータの構成部品や、このコンバータを具える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、図16に示すように、メインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを具える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを具える。なお、図16では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを具える形態であってもよい。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図17に示すように、複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを具え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、FET、IGBTなどのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上記実施形態1〜7のリアクトルを具える。振動による騒音を低減することが可能なリアクトル1aなどを具えることで、電力変換装置1100やコンバータ1110は静粛性に優れる。
なお、車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を具える。コンバータ1110は、代表的には、DC-DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC-DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150の中には、DC-DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施形態1〜7のリアクトルなどと同様の構成を具え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上記実施形態1〜7のリアクトルなどを利用することもできる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能である。例えば、複合材料の配合(磁性粉末及び樹脂(ミラブル型シリコーンゴム)の含有量など)、磁性粉末の材質や粒径、コイル及び磁性コアの形状やサイズなどを適宜変更することが可能である。
(付記1)
磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成されているコア部品。
磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成されているコア部品。
上記複合材料のシートは、これまでの本発明の説明で述べたように、リアクトルに具える磁性コアの材料に用いる他、各種磁気部品に具える磁性コアの材料として利用することが可能である。上記複合材料のシートは、上述したように、磁性粉末の分布が不均一になることを抑制することができ、磁性粉末が均一に分散した状態になり易い。よって、この複合材料のシートを磁性コアの材料に使用することで、狙い通りの磁気特性を実現し易い。磁性コアの少なくとも一部を構成するコア部品をこの複合材料のシートで構成する場合は、所定の大きさに成形したシートをそのまま用いてもよいし、このシートを重ね合わせたり、折り重ねたりして多層にして用いてもよいし、このシートを丸めて柱状や筒状にして用いてもよい。上記複合材料のシートは製造も容易である。なお、磁性コアは、1つのコア部品のみで構成されていたり、複数のコア部品で構成されていることがある。
(付記2)
上記樹脂が、ミラブル型シリコーンゴムである付記1に記載のコア部品。
上記樹脂が、ミラブル型シリコーンゴムである付記1に記載のコア部品。
上述したように、複合材料の樹脂がミラブル型シリコーンゴムであるので、磁性粉末と樹脂とを混練した後に磁性粉末が沈降などし難く、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させた状態を維持することができる。よって、この複合材料のシートは、磁性粉末が均一に分散しながら、製造性が高く、この複合材料のシートを磁性コア(コア部品)の材料に使用することで、狙い通りの磁気特性を実現し易い。また、複合材料における樹脂がゴムであれば、硬化後であっても弾性を有し、軟らかい。そのため、複合材料が振動を吸収して、振動による騒音を低減したり、磁性粉末と樹脂との間で熱膨張係数差が生じても、樹脂が変形することにより、複合材料にクラックが生じることを抑制できる。特に、ミラブル型シリコーンゴムであれば、耐熱性が高く、高温でも劣化し難い。
(付記3)
上記シートが、多層である付記1又は2に記載のコア部品。
上記シートが、多層である付記1又は2に記載のコア部品。
複合材料のシートを多層にすることで、所定の磁気特性を確保しながら、シート1枚あたりの厚さを薄くすることができる。上述したように、シートの1枚あたりの厚さは、例えば、0.5mm以上2.0mm以下とすることが挙げられ、シートの厚さを薄くすることで、シートを曲げたり、巻き付けたりし易くなる。
(付記4)
少なくとも一部が付記1〜3のいずれかに記載のコア部品で構成されている磁性コア。
少なくとも一部が付記1〜3のいずれかに記載のコア部品で構成されている磁性コア。
上記磁性コアは、少なくとも一部が上記コア部品で構成されており、このコア部品が上記複合材料のシートで構成されているので、上述したように、狙い通りの磁気特性を実現し易く、製造性も高い。上記磁性コアにおいて、磁性コアの全体が上記コア部品、即ち上記複合材料のシートで構成されていてもよいし、磁性コアの一部のみ上記コア部品で構成されていてもよい。つまり、上記磁性コアは、1つのコア部品のみで構成されていてもよいし、複数のコア部品で構成されていてもよい。
(付記5)
コイルと、このコイルが配置される磁性コアを具える磁気部品であって、前記磁性コアが付記4に記載の磁性コアである磁気部品。
コイルと、このコイルが配置される磁性コアを具える磁気部品であって、前記磁性コアが付記4に記載の磁性コアである磁気部品。
上記磁気部品としては、リアクトルの他、例えば、チョークコイル、トランス、磁気センサ、電流センサなどが挙げられる。
(付記6)
上記磁性コアの少なくとも一部を構成する上記コア部品における上記複合材料のシートの面が、上記磁性コアに流れる磁束の方向と平行である付記5に記載の磁気部品。
上記磁性コアの少なくとも一部を構成する上記コア部品における上記複合材料のシートの面が、上記磁性コアに流れる磁束の方向と平行である付記5に記載の磁気部品。
上記コイルへの通電により上記磁性コアに磁束が流れるとき、上記コア部品における上記複合材料のシートの面が磁束の方向と平行であると、上記コア部品での磁気抵抗を小さくできる。特に、上記磁性コアの全体が上記コア部品で構成されており、上記コア部品のシートの面が磁束の方向と平行である場合、磁性コアにおける磁気抵抗をより小さくできる。
(付記7)
上記磁性コアのうち、上記コイルの内側に配置される箇所が、上記コア部品で構成され、このコア部品における上記複合材料のシートの面が、上記磁性コアに流れる磁束の方向と平行である付記5に記載の磁気部品。
上記磁性コアのうち、上記コイルの内側に配置される箇所が、上記コア部品で構成され、このコア部品における上記複合材料のシートの面が、上記磁性コアに流れる磁束の方向と平行である付記5に記載の磁気部品。
上記コイルの内側に配置される上記コア部品のシートの面が磁束の方向と平行である場合、上記磁性コアにおいて、上記コイルの内側に配置される箇所の磁気抵抗を小さくできるため、その箇所での漏れ磁束を低減できる。したがって、漏れ磁束がコイルに鎖交することによる損失を抑制できる。
(付記8)
上記磁性コアの少なくとも一部を構成する上記コア部品における上記複合材料のシートの面が、上記磁性コアに流れる磁束の方向と交差している付記5に記載の磁気部品。
上記磁性コアの少なくとも一部を構成する上記コア部品における上記複合材料のシートの面が、上記磁性コアに流れる磁束の方向と交差している付記5に記載の磁気部品。
上記コア部品における上記複合材料のシートの面が磁束の方向と交差していると、大きな磁場中でも、磁性コアの磁気飽和を抑制できる。特に、上記磁性コアの全体が上記コア部品で構成されており、上記コア部品のシートの面が磁束の方向と交差している場合、磁性コアの磁気飽和をより抑制できる。
(付記9)
上記磁性コアの少なくとも一部を構成する上記コア部品における上記複合材料のシートの面が、上記磁性コアに流れる磁束の方向と直交している付記8に記載の磁気部品。
上記磁性コアの少なくとも一部を構成する上記コア部品における上記複合材料のシートの面が、上記磁性コアに流れる磁束の方向と直交している付記8に記載の磁気部品。
上記コア部品における上記複合材料のシートの面が磁束の方向と直交していると、磁気飽和の抑制効果が最も大きくなると期待できる。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載されるDC-DCコンバータや空調機のコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。本発明のリアクトル用コア材料は、リアクトルに具える磁性コアに利用することができる。
1a,1b,1c,1A リアクトル
2 コイル 2w 巻線 2r 角部
2a,2b コイル素子
20 コイル成形体 21 樹脂モールド部
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面
32 外側コア部 32c 連結コア部 32e 端部コア部
321 内側コア部配置溝 322 コイル配置溝
323 引出孔 324 引出溝
4 ケース
6 封止樹脂
1100 電力変換装置 1110 コンバータ 1120 インバータ
1200 車両
1111 スイッチング素子 1112 駆動回路 L リアクトル
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1210 メインバッテリ 1220 モータ
1230 サブバッテリ 1240 補機類 1250 車輪
2 コイル 2w 巻線 2r 角部
2a,2b コイル素子
20 コイル成形体 21 樹脂モールド部
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面
32 外側コア部 32c 連結コア部 32e 端部コア部
321 内側コア部配置溝 322 コイル配置溝
323 引出孔 324 引出溝
4 ケース
6 封止樹脂
1100 電力変換装置 1110 コンバータ 1120 インバータ
1200 車両
1111 スイッチング素子 1112 駆動回路 L リアクトル
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1210 メインバッテリ 1220 モータ
1230 サブバッテリ 1240 補機類 1250 車輪
Claims (12)
- 筒状のコイルと、
前記コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
前記磁性コアの少なくとも一部は、磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートで構成されているリアクトル。 - 前記樹脂が、ミラブル型シリコーンゴムである請求項1に記載のリアクトル。
- 前記シートが、多層である請求項1又は2に記載のリアクトル。
- 前記複合材料中の前記磁性粉末の含有量が、30体積%以上75体積%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のリアクトル。
- 前記コイルが、横並びされた一対のコイル素子を具える請求項1〜4のいずれか一項に記載のリアクトル。
- 前記磁性コアのうち、前記コイルの外側に配置される箇所の少なくとも一部が、前記シートで構成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のリアクトル。
- 前記磁性コアのうち、前記コイルの内側に配置される箇所が、圧粉成形体で構成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載のリアクトル。
- 前記磁性コアの全体が、前記シートで構成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のリアクトル。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のリアクトルを具えるコンバータ。
- 請求項9に記載のコンバータを具える電力変換装置。
- リアクトルに具える磁性コアを構成するリアクトル用コア材料であって、
磁性粉末と樹脂とを混合した複合材料のシートであるリアクトル用コア材料。 - 前記樹脂が、ミラブル型シリコーンゴムである請求項11に記載のリアクトル用コア材料。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012252671A JP2013179259A (ja) | 2012-02-08 | 2012-11-16 | リアクトル、コンバータ及び電力変換装置、並びにリアクトル用コア材料 |
PCT/JP2013/050179 WO2013118524A1 (ja) | 2012-02-08 | 2013-01-09 | リアクトル、コンバータ及び電力変換装置、並びにリアクトル用コア材料 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012024953 | 2012-02-08 | ||
JP2012024953 | 2012-02-08 | ||
JP2012252671A JP2013179259A (ja) | 2012-02-08 | 2012-11-16 | リアクトル、コンバータ及び電力変換装置、並びにリアクトル用コア材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013179259A true JP2013179259A (ja) | 2013-09-09 |
Family
ID=48947293
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012252671A Pending JP2013179259A (ja) | 2012-02-08 | 2012-11-16 | リアクトル、コンバータ及び電力変換装置、並びにリアクトル用コア材料 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013179259A (ja) |
WO (1) | WO2013118524A1 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110832607A (zh) * | 2017-07-04 | 2020-02-21 | Tdk电子股份有限公司 | 存储器扼流圈 |
JP2020053432A (ja) * | 2018-09-21 | 2020-04-02 | 株式会社オートネットワーク技術研究所 | リアクトル |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014139988A (ja) * | 2013-01-21 | 2014-07-31 | Sumitomo Electric Ind Ltd | コア部材、リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 |
CN104715886B (zh) | 2013-12-12 | 2018-11-13 | 伊顿公司 | 一种集成电感器 |
CN112236835B (zh) * | 2018-06-15 | 2022-06-28 | 阿尔卑斯阿尔派株式会社 | 线圈封入压粉成形芯、电感元件以及电子/电气设备 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05251245A (ja) * | 1992-03-06 | 1993-09-28 | Sony Corp | 収縮性被覆材、インダクタンス素子、並びに配線材又は/及び回路部品 |
JP2007227426A (ja) * | 2006-02-21 | 2007-09-06 | Nec Tokin Corp | 磁性混和物及びそれを用いたインダクタ |
JP2008053670A (ja) * | 2006-08-25 | 2008-03-06 | Taiyo Yuden Co Ltd | ドラム型コアを用いたインダクタ及びドラム型コアを用いたインダクタの製造方法 |
JP5341306B2 (ja) * | 2006-10-31 | 2013-11-13 | 住友電気工業株式会社 | リアクトル |
JP4944626B2 (ja) * | 2006-12-18 | 2012-06-06 | ピップ株式会社 | 磁気治療器具および磁気治療器具製造方法 |
-
2012
- 2012-11-16 JP JP2012252671A patent/JP2013179259A/ja active Pending
-
2013
- 2013-01-09 WO PCT/JP2013/050179 patent/WO2013118524A1/ja active Application Filing
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110832607A (zh) * | 2017-07-04 | 2020-02-21 | Tdk电子股份有限公司 | 存储器扼流圈 |
CN110832607B (zh) * | 2017-07-04 | 2021-08-17 | Tdk电子股份有限公司 | 存储器扼流圈 |
US11244780B2 (en) | 2017-07-04 | 2022-02-08 | Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft | Storage choke |
JP2020053432A (ja) * | 2018-09-21 | 2020-04-02 | 株式会社オートネットワーク技術研究所 | リアクトル |
US20220115175A1 (en) * | 2018-09-21 | 2022-04-14 | Autonetworks Technologies, Ltd. | Reactor |
JP7215036B2 (ja) | 2018-09-21 | 2023-01-31 | 株式会社オートネットワーク技術研究所 | リアクトル |
US12073980B2 (en) * | 2018-09-21 | 2024-08-27 | Autonetworks Technologies, Ltd. | Reactor |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2013118524A1 (ja) | 2013-08-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6048910B2 (ja) | リアクトル、コイル成形体、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP5867677B2 (ja) | リアクトル、コンバータ及び電力変換装置 | |
JP6176516B2 (ja) | リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP5983942B2 (ja) | リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP6065609B2 (ja) | リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 | |
WO2013051421A1 (ja) | リアクトル、リアクトル用コイル部品、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP6024886B2 (ja) | リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP2009033051A (ja) | リアクトル用コア | |
WO2012008329A1 (ja) | リアクトル及びコイル部品 | |
JP5958792B2 (ja) | リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP2012238836A (ja) | リアクトル、複合材料、リアクトル用コア、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP2013143454A (ja) | リアクトル、コア部品、リアクトルの製造方法、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP6048652B2 (ja) | リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 | |
WO2013118524A1 (ja) | リアクトル、コンバータ及び電力変換装置、並びにリアクトル用コア材料 | |
JP5945906B2 (ja) | リアクトルの収納構造体、および電力変換装置 | |
JP2013179186A (ja) | リアクトル、リアクトル用部品、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP2013162069A (ja) | リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 | |
WO2013168538A1 (ja) | リアクトル、コンバータ、電力変換装置、および樹脂コア片の製造方法 | |
JP6070928B2 (ja) | リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 | |
JP2015050298A (ja) | リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 | |
WO2013118528A1 (ja) | リアクトル、コンバータ及び電力変換装置、並びにリアクトル用コア部品 | |
JP2013106004A (ja) | リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 | |
JP5305118B2 (ja) | リアクトル、及び昇圧コンバータ | |
WO2013073283A1 (ja) | リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 | |
WO2014112480A1 (ja) | コア部材、リアクトル、コンバータ、および電力変換装置 |