以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、本発明の冷蔵庫の一例として、上方部分に冷蔵貯蔵空間を有し、下方部分に冷凍貯蔵空間を有する冷蔵庫を例に挙げて説明する。但し、本発明の冷蔵庫の各貯蔵空間の配置は、これに限定はされない。
<冷蔵庫の全体構成>
まず、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を示す正面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1は、上段に第1の冷蔵室(貯蔵室)11、中段右側に第2の冷蔵室12、下段に第1の冷凍室13、及び、中段左側に第2の冷凍室14を備えている。第1の冷蔵室11には、例えば、左右に分割された観音開きの冷蔵室扉が設けられている。第2の冷蔵室12には、例えば、引き出し式の冷蔵室扉が設けられている。第1の冷凍室13には、例えば、引き出し式の冷凍室扉が設けられている。第2の冷凍室14は、製氷室14aと中段冷凍室14bという2つの空間にさらに分割されている。例えば、製氷室14a及び中段冷凍室14bには、それぞれ引き出し式の扉が設けられている。
以上のように、本実施の形態に係る冷蔵庫1は、上段部、中段部、及び下段部に区分けされて、各貯蔵空間が設けられている。そして、冷蔵庫1の中段部に、第2の冷蔵室12及び第2の冷凍室14が、左右方向に並列に配置されている。ここで、左右方向とは、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1を正面から見て左右の方向(上下方向と直交する横方向)のことをいう。なお、本明細書中では、冷蔵庫1において、各種扉が設けられている面を冷蔵庫1の前面と呼び、該前面と対向している冷蔵庫1の面を背面と呼ぶ。
続いて、冷蔵庫1の内部の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、冷蔵庫1の中段部及び下段部の背面側の断面構成を示す。特に、図2では、第2の冷凍室14などの背面に設けられた冷却室15の構成を示す。
図1に示すように、冷蔵庫1は、断熱構造を有する断熱箱体17によってその外形が形成されている。そして、冷蔵庫1の内部は、断熱構造を有する仕切り壁18によって、各貯蔵空間(第1の冷蔵室11、第2の冷蔵室12、第1の冷凍室13、及び、第2の冷凍室14)に区画されている。
冷蔵庫1の内部には、冷凍サイクルが設けられている。冷凍サイクルは、冷媒が流通する冷媒管(冷媒流路)を介して、圧縮機21、凝縮器(図示せず)、膨張器(図示せず)、及び、冷却器24が接続されて構成されている。膨張器は、キャピラリーチューブ(毛細管)と、該キャピラリーチューブに対して冷媒の流通方向の上流側に設けられた膨張弁とで構成されている。
図2に示すように、冷却器24は、第2の冷凍室14の背面に設けられた冷却室15内に配置されている。冷却室15内には、冷却器24の他に、冷却ファン16(送風機)及び除霜ヒータ45などが備えられている。
冷却ファン16は、冷却室15と各貯蔵室との間で空気を循環させるために設けられている。すなわち、冷却ファン16は、冷凍サイクルの運転時などに冷却器24によって生成された冷気を、各流路を経由して各貯蔵室へ送出するとともに、各貯蔵室に供給された冷気を、冷却室15内へ戻す。除霜ヒータ45は、冷却器24の下部に配置されており、後述する除霜運転時に使用される。
また、圧縮機21は、冷蔵庫1の背面側の下部に設けられた機械室57内に配置されている。機械室57の内部には、圧縮機21の他に、除霜運転時などに排出されるドレン水を受けるためのドレン受皿47などが設けられている。また、図2に示すように、除霜ヒータ45とドレン受皿47との間には、断熱箱体17を貫通するように、ドレンパイプ46が形成されている。
除霜ヒータ45は、例えば所定の時間で通電し、冷却器24に付着した霜を取るための除霜運転を行う。除霜運転が行われるとドレン水がドレンパイプ46を介してドレン受皿47に導かれる。ドレン受皿47に貯水されたドレン水は圧縮機21の熱により蒸発する。このようにして除霜運転が行われることにより、冷却器24に付着した霜を除去することができる。
また、冷蔵庫1の内部には、制御部50(図5参照)が設けられている。この制御部50が、冷凍サイクルの運転の制御を行っている。すなわち、制御部50が圧縮機21を駆動させることによって、冷凍サイクルの運転が開始され、冷凍サイクル内を冷媒が流通する。圧縮機21により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器で放熱しながら凝縮される。続いて、高温の冷媒は膨張器で膨張して低温低圧となり、蒸発器としての冷却器24に送られる。冷却器24に流入する冷媒は冷却室15内を流通する冷気と熱交換され、吸熱しながら蒸発して低温のガス冷媒となって圧縮機21に送られる。このように、冷媒が循環して冷凍サイクルが運転されるとともに、冷却器24と熱交換した気流によって冷気が生成される。
次に、冷却室15において冷却器24と熱交換されて得られる冷気の流路について、説明する。
冷却室15は、各流路を介して、第1の冷蔵室11及び第2の冷蔵室12と、第1の冷凍室13及び第2の冷凍室14とにそれぞれ接続されている。また、上述したように、冷却室15内には、主な構成要素として、冷却器24及び冷却ファン16が備えられている。
冷蔵庫1には、冷却室15と第1の冷蔵室11との間に、第1の冷気送出流路31(冷気通路)が設けられている。本実施形態では、第1の冷気送出流路31は、第1の冷蔵室11の下方位置で2つの経路に分岐している(図1参照)。
また、第1の冷蔵室11と第2の冷蔵室12との間には、冷蔵空間接続流路33が設けられている。さらに、第2の冷蔵室12と冷却室15との間に、第1の冷気戻り流路34が設けられている。
一方、冷却室15と第2の冷凍室14との間には、第2の冷気送出流路35が設けられている(図2参照)。また、第2の冷気送出流路35と第1の冷凍室13との間には、第2の冷気送出流路35から分岐した冷凍冷気ダクト36が設けられている(図1参照)。また、第1の冷凍室13と第2の冷凍室14との間には、冷凍空間接続流路37が設けられている(図1参照)。さらに、第2の冷凍室14と冷却室15との間には、第2の冷気戻り流路38が設けられている。
そして、第1の冷気送出流路31には、冷却室15からの冷気送出口、あるいはその近傍に、冷蔵庫送りダンパ41が設けられている。さらに、第1の冷気送出流路31には、第1の冷蔵室11との境界面に複数の冷気吹き出し口31aが形成されている。本実施形態では、冷蔵庫送りダンパ41の真上に、1つの冷気吹き出し口31aが設けられている。また、2つに分岐した各経路の両脇に、複数の冷気吹き出し口31aが、上下方向にそれぞれ3個ずつ並んで設けられている。
一方、第2の冷気送出流路35には、冷却室15からの冷気送出口、あるいはその近傍に冷凍庫送りダンパ43が設けられている。さらに、第2の冷気送出流路35には、第2の冷凍室14との境界面に複数の冷気吹き出し口35aが形成されている。
上記の構成により、冷却室15内で冷却器24と熱交換されて低温となった冷気は、各ダンパの開閉状態に応じて、第1の冷蔵室11及び第2の冷蔵室12と、第1の冷凍室13及び第2の冷凍室14とに、それぞれ供給される。これにより、各貯蔵室を冷蔵保存に適した温度あるいは冷凍保存に適した温度に維持することができる。
なお、本実施の形態の冷蔵庫1においては、冷却室15から第1の冷蔵室11へ冷気を供給する流路の他に、第1の冷蔵室11内の冷気を循環させるための流路として、冷気循環通路(冷気通路)32が設けられている(図1など参照)。この冷気循環通路32は、第1の冷気送出流路31(冷気通路)と同様に、第1の冷蔵室11の背面に設けられている。図1に示すように、冷気循環通路32は、主に、第1の冷気送出流路31の2つに分岐した経路の間に配置されている。
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1には、冷却室15から第1の冷蔵室11へ冷気を供給する流路(第1の冷気送出流路31、冷気供給用ダクトともいう)と、第1の冷蔵室11内の冷気を循環させるための流路(冷気循環通路32、冷気循環用ダクトともいう)とが設けられている。そして、第1の冷蔵室11内の温度に応じて、どちらのダクトを用いて冷気の送出を行うかが決定される。ここでは、冷気供給用ダクトを用いて冷却室15から冷気を供給する運転を冷気供給モードと呼ぶ。また、冷気循環用ダクトを用いて第1の冷蔵室11内の冷気を循環させるモードを冷気循環モードと呼ぶ。
図3には、冷気循環モードにおいて、第1の冷蔵室11内の空気が、冷気循環通路32との間で循環する様子を示す。図3では、第1の冷気送出流路31については図示を省略している。冷気循環モードは、冷蔵室内の温度が設定温度よりも低い場合など、これ以上冷蔵室内の温度を下げる必要性が低い場合に選択される。冷気循環モードが選択されて第1の冷蔵室11内の空気を循環させることで、冷蔵室内の温度を均一にすることができる。
冷気循環モードが選択されると、図3に示すように、冷却室15と第1の冷気送出流路31との間の冷蔵庫送りダンパ41が閉じられ、冷却室15からの冷気の供給が停止する。
図3に示すように、冷気循環通路32には、第1の冷蔵室11内へ空気を送出する空気吹出し口32aが複数個設けられている。また、冷気循環通路32には、第1の冷蔵室11内の空気を通路内に流入させる空気流入口32bが複数個設けられている。
一例では、空気吹出し口32aは冷気循環通路32の上部に配置され、空気流入口32bは冷気循環通路32の下部に配置されている。また、冷気循環通路32内には、上方から順に、湿度センサ51、イオン発生器52、及び送風ファン42(送風機)などが備えられている。
図3に示すように、本実施形態では、冷気循環通路32はその下方で2つに分岐しており、分岐した各経路の下端部分に空気流入口32bがそれぞれ設けられている。また、分岐路が合流した主経路の下方に、送風ファン42が配置されている。送風ファン42は、下方から上方への空気の流れを作る。
イオン発生器52は、送風ファン42の真上に配置されている。イオン発生器52からは、主としてマイナスイオンが発生する。イオン発生器52から出されるマイナスイオンは、その上方に配置された湿度センサ51を除電するために利用される。なお、ここで、「湿度センサを除電する」とは、湿度センサ及びその周囲に発生した静電気の一部又は全てを取り除く(すなわち、静電気量を減少させる)ことを意味する。
なお、本発明において、イオン発生器52は、食品の鮮度保持能力の向上、あるいは、脱臭又は抗菌作用を促すための静電霧化装置であってもよい。イオン発生器52として、静電霧化装置を用いることで、湿度センサ51を除電するだけでなく、冷蔵室内の消臭及び除菌を行うこともできる。静電霧化装置は、殺菌剤や消臭剤を含む液体を帯電部で静電霧化し、帯電した微粒子を水滴として噴霧する。静電霧化装置としては、例えば、特許文献(特開2005−270669)に開示されている液体噴霧装置などを用いることができる。
湿度センサ51は、イオン発生器52よりも上方に配置されている。本実施形態では、湿度センサ51は、冷気循環通路32の上方に配置されている。湿度センサ51は、第1の冷蔵室11内の湿度を測定する。そして、得られた湿度に基づいて、制御部50は冷蔵室11内の湿度制御を行う。冷蔵室11の湿度制御は、従来の冷蔵庫に備えられている湿度制御機能などを用いて行うことができる。例えば、冷蔵庫1が本来備えている除湿機能を調整することで、冷蔵室11の湿度制御を行うことができる。冷蔵室11内の湿度を上昇させたい場合には、冷蔵庫1の除湿機能を低下させればよい。また、冷蔵室11内の湿度を低下させたい場合には、冷蔵庫1の除湿機能を増大させればよい。
これにより、冷蔵室内の乾燥を防いだり、冷蔵室内を適度な湿度に維持したりすることができる。冷蔵室内を適度な湿度に保つことで、食品の過度な乾燥を抑えつつ、庫内の結露を抑制することができる。湿度センサ51が、第1の冷蔵室11などの貯蔵室ではなく、冷蔵室11の背面に設けられた冷気循環通路32に配置されることで、貯蔵室に置かれる食品の影響によるセンサの精度低下を抑えることができる。
空気吹出し口32aは、冷気循環通路32を流れる空気を第1の冷蔵室11へ送出する。空気吹出し口32aは、冷気循環通路32の上方部分に複数個設けられている。本実施の形態では、湿度センサ51とイオン発生器52との間に4個の空気吹出し口32aが設けられており、湿度センサ51の真上に1個の空気吹出し口32aが設けられている。但し、本発明はこれに限定はされない。
冷気循環通路32は、以上のような構成を有することにより、通路内の空気を空気吹出し口32aから送出するとともに、第1の冷蔵室11内の空気を空気流入口32bから流入させる。つまり、冷気循環モードが選択されると送風ファン42が運転を開始する。そして、冷気循環通路32内の空気は、図3中矢印で示すように下方から上方へと流れ、第1の冷蔵室11との間で空気が循環される。
<イオン発生器を用いた湿度センサの除電>
続いて、イオン発生器52を用いて湿度センサ51及びその周囲に発生した静電気を抑える方法について説明する。図4には、冷蔵庫1の冷気循環通路32内で、プラスに帯電した湿度センサ51の周囲を除電する様子を模式的に示す。
本実施形態において用いられる湿度センサ51は、例えば、静電容量型の高分子膜湿度センサである。この高分子膜湿度センサでは、2つの電極の間に挟まれた高分子膜の誘電率が、水分の吸収及び放出に伴って変化することを利用して周囲の湿度を測定する。これにより高精度の湿度測定を行うことができる。
しかし、高分子膜湿度センサなどのように比較的高精度の湿度センサは、その周辺に帯電した物が存在すると、その帯電した物体と干渉して正確な湿度を測ることができないという問題がある。特に、冷蔵庫内に湿度センサを設置する場合には、帯電の問題が顕著になる。これは、冷蔵庫の庫内の内壁として、帯電しやすい樹脂部品が多く用いられているためである。冷蔵庫を運転させて、庫内に冷気を循環させると、樹脂部品で形成された冷蔵室の内壁などが時間とともに帯電する。
これにより、冷蔵室内に湿度センサが設置されていると、周囲の内壁に発生した静電気の影響で、湿度センサの精度が低下し、正確な湿度が測定できなくなってしまう。特に、湿度センサが、冷気循環通路32や冷気送出流路31などに配置されていると、これらの通路内は人の手が触れないため、放電される機会もなく、周囲の帯電による湿度センサの精度低下がより深刻になることが懸念される。
そこで、本実施形態に係る冷蔵庫1では、湿度センサ51が配置されている冷気循環通路32内に、静電気を抑制するためのイオン発生器52が設けられている。図4に示すように、冷蔵庫1においては、冷気循環通路32の内部の湿度センサ51は、通路を形成する樹脂部品の性質上、プラスに帯電する。そこで、本実施形態では、イオン発生器52として、帯電した正電位とは反対の負の電位を有するイオン(すなわち、マイナスイオン)を発生するイオン発生器52を用いることが好ましい。
上記の構成によれば、プラスに帯電した湿度センサ51の周囲には、それと反対の電位を有するイオン発生器52からのマイナスイオンが作用する。これにより、互いの電位が打ち消し合い、湿度センサ51の周囲の静電気を減少させることができる。
なお、本実施形態では、プラスに帯電する性質を有する樹脂部品を用いて冷気循環通路32を形成しているため、マイナスイオンを発生させるイオン発生器52を用いている。しかし、本発明はこれに限定はされず、湿度センサの周囲が正負いずれの電位に帯電しやすいかに応じて、イオン発生器から発生させるイオンの種類を適宜変更することができる。また、本実施形態では、マイナスイオンを発生させるイオン発生器を用いているが、プラスとマイナスの両方のイオンを発生させるイオン発生器を用いてもよい。
さらに、イオン発生器を、湿度センサ周囲の除電を行うためだけではなく、貯蔵室内の除菌及び消臭を行うために使用してもよい。
次に、冷気循環通路32内における、湿度センサ51とイオン発生器52との位置関係について、図4を参照しながら説明する。図4では、冷気循環通路32内を通過する空気の流れを矢印で示している。送風ファン42が運転を開始すると、冷気循環通路32内では、図4に示すように下から上へと空気が流れる。
そして、イオン発生器52は、送風ファン42によって形成される空気の流通方向において、湿度センサ51よりも上流側に配置されていることが好ましい。これにより、イオン発生器52から発生したイオンを、湿度センサ51の方へより確実に導くことができる。イオン発生器52から発生したマイナスイオンのうち、湿度センサ51の周囲で消失しなかったマイナスイオンは、冷気循環通路32の上端に配置された空気吹出し口32aから第1の冷蔵室11へ送出される。
なお、図4では図示していないが、冷気循環通路32には、湿度センサ51とイオン発生器52との間にも、空気吹出し口32aが設けられている。これにより、イオン発生器52から発生した一部のマイナスイオンは、湿度センサ51上を通ることなく、空気吹出し口32aから第1の冷蔵室11へ送出される。第1の冷蔵室11へ送出されたマイナスイオンは、貯蔵室内の消臭又は除菌などに利用することができる。
以上のように、本実施形態では、イオン発生器52は、湿度センサ51よりも空気の流通方向の上流側に配置されているが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されない。本発明に係る冷蔵庫においては、イオン発生器から発生するイオンが湿度センサにかかるような位置関係で、イオン発生器及び湿度センサが配置されていればよい。つまり、イオン発生器からのイオンが湿度センサにかかる程度に、イオン発生器は湿度センサの近傍に配置されていればよい。
<湿度センサの制御方法>
続いて、冷蔵庫1において、湿度センサ51による動作を制御する方法について説明する。図5には、本実施形態に係る冷蔵庫1において、湿度センサ51の動作制御に関係する構成を示す。
図5に示すように、冷蔵庫1は、湿度センサ51、イオン発生器52、冷蔵庫送りダンパ41、冷却ファン16、送風ファン42、及びタイマ53などを備えている。これらの構成要素は、制御部50に接続されており、制御部50からの指令に基づいて、動作を開始したり停止したりする。
例えば、冷蔵庫1が、冷却室15から冷蔵室11へ冷気を供給する冷気供給モードで運転しているときは、冷蔵庫送りダンパ41は開状態であり、冷却ファン16は動作状態(ON状態)となっている。そして、冷蔵庫1の運転モードが冷気供給モードから冷気循環モードへ移行すると、制御部50は、冷蔵庫送りダンパ41を開状態から閉状態に変更する。さらに、制御部50は、送風ファン42の運転を開始するとともに、イオン発生器52の動作も開始させる。
上述したように、イオン発生器52から発生するイオンの作用により、湿度センサ51の周囲は除電される。このとき、湿度センサ51がON状態であると、除電の影響によって湿度センサの出力信号が急激に変動し、測定誤差が発生する可能性がある。そのため、イオン発生器52が運転中のとき(すなわち、除電が行われているとき)は、湿度センサ51の動作を停止させることが好ましい。
以下では、湿度測定を行う場合の湿度センサ51の動作の一例について説明する。図6には、制御部50による湿度測定制御の流れを示す。湿度測定を行う頻度については特に限定はされないが、例えば、所定の時間間隔で測定してもよいし、冷蔵庫1の運転モードが冷気循環モードから冷気供給モードへ移行したときに測定してもよい。
先ず、制御部50が、湿度センサ51による湿度測定の実行を決定する(図6でスタート)と、制御部50は、イオン発生器52の動作を停止させる。そして、制御部50は、イオン発生器52の動作が停止したことを確認する(図6のS11でYES)。次に、制御部50は、送風ファン42の動作が停止したことを確認する(図6のS12でYES)。イオン発生器52及び送風ファン42の何れかが動作を停止していない場合(S11又はS12でNO)は、S11に戻り、再度動作の停止を確認する。
制御部50は、イオン発生器52及び送風ファン42の動作が停止したことを確認すると、タイマ53を作動させる(図6のS13)。そして、タイマ53から所定時間(例えば、60秒)経過したことが通知されると(図6のS14でYES)、制御部50は、湿度センサ51をON状態とする(S6のS15)。これにより、湿度センサ51は動作を開始し、庫内の湿度測定が行われる。
以上のような方法で湿度センサ51の動作制御を行うことで、イオン発生器52から発生するイオンの影響により、湿度センサ51の出力信号が変動する可能性を抑えることができる。
なお、上述した湿度センサの動作制御は、一例であり、本発明はこれに限定されない。但し、湿度センサの測定誤差を減少させるためには、イオン発生器の動作が停止しているときに、湿度センサが湿度を計測することが好ましい。具体的には、イオン発生器が動作を開始する直前に、湿度センサが湿度を計測するという方法も可能である。また、後述する実施形態のように、湿度センサとイオン発生器との間のダンパが設けられている場合には、ダンパによって、湿度センサとイオン発生器と間の経路が閉じられているときに、湿度センサは湿度を計測するのがよい。
<効果>
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1には、冷気循環通路32内に、湿度センサ51及びイオン発生器52が設けられている。そして、イオン発生器52から発生したイオン(本実施形態では、マイナスイオン)が、湿度センサの周囲に発生する静電気を抑えるように構成されている。ここで、湿度センサの周囲に発生する静電気を抑えるとは、湿度センサの周囲に発生した静電気量を減少させることを意味する。
上記の構成によれば、湿度センサが、その周囲に発生した静電気の影響を受けて、精度が低下することを抑えることができる。そのため、冷蔵室内の湿度をより正確に測定することが可能となる。
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、湿度センサを設置する場所が第1の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点のみを説明する。
上述した第1の実施形態では、冷気循環通路32に湿度センサ51が配置されている構成について説明した。しかし、本発明では、湿度センサ51の設置場所を適宜変更することができる。そこで、第2の実施形態として、湿度センサ51が冷気送出流路131(冷気供給路)に設置されている構成について説明する。
図4には、第2の実施形態に係る冷蔵庫に設けられている冷気送出流路131の構成を模式的に示す。冷気送出流路131には、下から順に、送風ファン42、イオン発生器52、及び湿度センサ51が設けられている。図4では、冷気送出流路131内を通過する空気の流れを矢印で示している。送風ファン42が運転を開始すると、冷気送出流路131内では、図4に示すように下から上へと空気が流れる。
以上のように、本発明の冷蔵庫においては、冷気送出流路131内に湿度センサ51及びイオン発生器52が備えられていてもよい。これにより、冷却室15から冷気を供給する冷気供給モードのときに、湿度センサ51周囲の除電を行うことができる。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。
また、第1及び第2の実施形態に係る冷蔵庫のように、冷蔵室へ送出される空気が通過する冷気通路(具体的には、冷気循環通路32、冷気送出流路131など)に湿度センサを配置することで、湿度センサが食品などの貯蔵物や、ユーザの手などに触れることを避けることができる。また、冷蔵室内に湿度センサを配置した場合に起こり得る冷蔵庫の貯蔵容積の低下を抑えることができる。
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、冷蔵室背面に設けられた冷気供給通路及びイオン発生器の構成が第1の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点のみを説明する。
上述した第1の実施形態に係る冷蔵庫には、マイナスイオンを発生するイオン発生器が設けられていた。しかし、本発明においては、イオン発生器から発生するイオンの種類はマイナスイオンに限定されない。そこで、第3の実施形態として、プラスイオアンとマイナスイオンの両方を発生するイオン発生器が、冷気供給通路内に設けられている構成について説明する。また、第3の実施形態では、イオン発生器から発生するイオンが冷蔵室へ送出される経路と、イオン発生器から発生するイオンが湿度センサ側へ送られる経路との間で切り換え可能な構成の例について説明する。
図7(a)には、第3の実施形態に係る冷蔵庫200の上方部分(第1の冷蔵室211部分)の断面構成を示す。なお、図7(a)では、イオン発生器252から発生するイオンを湿度センサ251の除電に使用する場合の冷気の流れを示している。
図7(a)に示すように、冷蔵庫200は、上段に冷蔵室211、下段に冷凍室(図示せず)を備えている。冷蔵室211には、左右の何れかの端部から開閉する方式の扉211aが設けられている。本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面とする。そして、前面に対向する面を背面とする。冷蔵室200の扉211aには、パッキン211bが設けられている。図7(a)に示すように、パッキン211bは、冷蔵室311の扉311aが閉まった状態のときに、断熱箱体217と扉211aとの間に位置し、冷蔵室211内を密閉する。
冷蔵庫200には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体217が設けられている。断熱箱体217は、冷蔵庫200の外周を覆うように設けられている。
そして、冷蔵室211内には、上から順に、複数の移動式棚221と、複数の仕切棚222a、222bとが配置されている。仕切棚222a及び222bは、冷蔵室211の内壁に固定されており、通常の使用時には取り外しできないようになっている。仕切棚222aと仕切棚222bとの間は、チルド室212となっている。また、仕切棚222bの下方は、野菜室213となっている。
また、冷蔵室211の背面には、冷気の通路である冷気送出流路231が設けられている。冷気送出流路231には、下方に位置する冷却室(図示せず)からの冷気送出口、あるいはその近傍に、冷蔵庫送りダンパ241が設けられている。冷気送出流路231には、上下方向に複数の冷気吹き出し口231aが形成されている。
また、冷気送出流路231内には、冷蔵庫送りダンパ241の上方に送風ファン242が設けられている。送風ファン242が作動することで、冷気吹き出し口231aを介して冷蔵室211内に冷気を送り込むことができる。
以上の構成により、冷却室から供給された冷気は、冷気送出流路231内を通過した後、冷気吹き出し口231aから冷蔵室211内に送出される。図7(a)では、冷気の流れを矢印で示している。
なお、本実施形態に係る冷蔵庫200においては、冷気吹き出し口231aの下方に、もう一つの吹き出し口231bが設けられている。この吹き出し口231bは、イオン発生器252の近傍に配置されている。そのため、吹き出し口231bからは、イオンをより多く含む冷気が冷蔵室211内に送出される。したがって、吹き出し口231bは、本発明のイオン送出口に相当する。
また、冷蔵室211と冷気送出流路231との間には、冷却板245が配置されている。つまり、冷却板245は、冷蔵室211の背面の一部を構成している。冷却板245は、熱伝導率の高い金属板で形成される。冷蔵室211の背面に冷却板245が設けられていることで、冷蔵室211内の貯蔵物を輻射冷却することができる。
続いて、冷気送出流路231内のより具体的な構成について説明する。図7(a)に示すように、冷気送出流路231には、下から順に、送風ファン242、イオン発生器252、経路切り換えダンパ(経路切り換え部)243、及び湿度センサ251が設けられている。
このように、第3の実施形態に係る冷蔵庫200は、冷気循環通路ではなく、冷気供給流路内に湿度センサ及びイオン発生器を備えている。この点については、第2の実施形態と同様である。但し、冷気循環通路内に湿度センサ及びイオン発生器が設けられている冷蔵庫に、第3の実施形態の構成を適用することも可能である。
冷蔵庫200において、送風ファン242及び湿度センサ251の構成については、第1及び第2の実施形態と同様の構成を適用できる。イオン発生器252は、マイナスイオンとプラスイオンの両方を発生させる。このようなイオン発生器としては、例えば、特許文献(特開2010−54170)に開示されているイオン発生装置を適用することができる。
経路切り換えダンパ243は、湿度センサ251とイオン発生器252との間に配置されている。経路切り換えダンパ243は、イオン発生器252からのイオンを冷蔵室11へ直接送出する経路と、イオン発生器252からのイオンを湿度センサ251側へ送る経路との間で、経路の切り換えを行う。
図7(a)は、経路切り換えダンパ243が、イオン発生器252からのイオンを湿度センサ251側へ送る経路を形成している状態を示す。このとき、経路切り換えダンパ243は、吹き出し口231bを塞ぐように位置している。そのため、イオン発生器252から発生するイオンは、吹き出し口231bから送出されることなく、主として湿度センサ251が配置されている上方へ送出される。
これにより、例えば、湿度センサ251近傍が正の電位に帯電している場合には、イオン発生器252から発生するマイナスイオンの作用により、湿度センサ251近傍の除電を行うことができる。なお、イオン発生器252は、プラスイオンも発生するため、もし湿度センサ251近傍が負の電位に帯電している場合であっても、イオン発生器252から発生するプラスイオンの作用により、湿度センサ251近傍の除電を行うことができる。
経路切り換えダンパ243は、図7(a)において矢印で示すように、回転移動する。これにより、冷気送出流路231内を通過する冷気の流通経路は切り換えられる。図7(b)には、経路切り換えダンパ243が、湿度センサ251とイオン発生器252との間の経路を塞ぐように位置している状態を示す。
このとき、冷気送出流路231内の冷気は、主として吹き出し口231bから冷蔵室211内へ送出される。これにより、冷蔵室211内へは、イオンをより多く含む冷気を送出することができる。そのため、イオンによる除菌消臭効果をより高めることができる。
本実施形態では、イオン発生器252からプラスイオン及びマイナスイオンの両方が発生する。このように正負それぞれの極性を有するイオンが一度に発生すると、プラスイオンとマイナスイオンとが互いに反応し、イオンがより早く消失してしまう可能性が高くなる。本実施形態の構成によれば、経路切り換えダンパ243を用いて経路の切り換えを行うことで、発生したイオンを、より早い段階で吹き出し口231bから冷蔵室211内へ送出することができる。
なお、本実施形態では、イオン送出口に相当する吹き出し口231bは、イオン発生器252と湿度センサ251との間に配置されている。しかし、本発明は、必ずしもこの構成に限定はされない。例えば、イオン発生器の上流側で、冷気通路が2つに分岐しており、この分岐点に経路切り換え部が設けられているという構成も可能である。この場合、分岐した一方の経路にイオン送出口が設けられ、他方の経路に湿度センサが設けられる。
<第4の実施形態>
第1から第3の実施形態では、冷蔵庫内の湿度を測定する湿度センサが設けられている冷蔵庫について説明した。しかし、本発明は、冷蔵庫外の湿度を測定する湿度センサに応用することもできる。そこで、第4の実施形態として、冷蔵庫外の湿度を測定する湿度測定ステムを備えた冷蔵庫について説明する。
例えば、特許文献(特開2013−238378号公報)には、冷蔵庫の間口部分の結露を抑えることを目的として、間口部に発露防止部が設けられている冷蔵庫が開示されている。そして、この冷蔵庫には、外気の湿度を検知する湿度センサが設けられている。このような湿度センサは、例えば冷蔵庫の天面などの庫外に配置されており、庫外の環境の影響を受けて、湿度センサが正常に動作しない可能性がある。ここで説明する湿度測定システムは、例えば、このような冷蔵庫に適用することができる。
図8には、第4の実施形態に係る冷蔵庫300の外観を示す。冷蔵庫300は、上段に冷蔵室311、下段に冷凍室312などを備えている。冷蔵室311には、左右に分割された観音開き式の冷蔵室扉311aが設けられている。本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面とする。そして、前面に対向する面を背面とする。
冷蔵庫300の天面301には、湿度測定システム310が設けられている。湿度測定システム310は、直方体状の箱型を有しており、内部に湿度センサなどが配置されている。
続いて、湿度測定システム310及び冷蔵室311のより具体的な構成について、図9を参照しながら説明する。図9には、冷蔵庫300の上方部分(第1の冷蔵室311部分)の断面構成を示す。
図9に示すように、冷蔵庫300には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体317が設けられている。断熱箱体317は、冷蔵庫300の外周を覆うように設けられている。そして、冷蔵室311内には、複数の移動式棚及び複数の仕切棚などが配置されている。冷蔵室311の下方には、チルド室及び野菜室などが設けられている。
また、冷蔵室311の背面には、冷気の通路である冷気送出流路331が設けられている。冷気送出流路331には、下方に位置する冷却室(図示せず)からの冷気送出口、あるいはその近傍に、冷蔵庫送りダンパ341が設けられている。冷気送出流路331には、上下方向に複数の冷気吹き出し口331aが形成されている。
また、冷気送出流路331内には、冷蔵庫送りダンパ341の上方に冷却ファン342が設けられている。冷却ファン342が作動することで、冷気吹き出し口331aを介して冷蔵室311内に冷気を送り込むことができる。
以上の構成により、冷却室から供給された冷気は、冷気送出流路331内を通過した後、冷気吹き出し口331aから冷蔵室311内に送出される。図9では、冷気の流れを矢印で示している。
また、冷蔵庫300の天面301には、湿度測定システム310が設置されている。湿度測定システム310は、湿度センサ351、イオン発生器352、及び送風ファン353などを備えている。湿度センサ351、イオン発生器352、及び送風ファン353それぞれの具体的な構成については、第1から第3の実施形態において説明した構成と同様の構成を適用することができる。
また、湿度センサ351とイオン発生器352との間には、送風口354が設けられている。図9に示すように、送風口354は、冷蔵庫300の本体側の冷蔵室311と扉311aとの隙間に対応する位置に配置されている。
湿度センサ351は、冷蔵庫300の前側端部に配置されている。湿度センサ351の近傍には、外気との連通口(図示せず)が設けられている。これにより、湿度センサ351は、庫外の湿度を測定することができる。
イオン発生器352は、冷蔵室311の上方の間口部近傍に配置されている。そして、送風ファン353は、イオン発生器352の後方に配置されている。これにより、送風ファン353が運転を開始すると、湿度測定システム310内では、図9において矢印で示すように、後方から前方へと空気が流れる。
そして、冷蔵室311の扉311aが閉まった状態では、イオン発生器352から発生するイオンを湿度センサ351の方へ送出することができる。これにより、湿度センサ351の周囲を除電することができる。また、湿度センサ351の前方に開口部を設けて、冷蔵庫外にイオンを放出してもよい。これにより、冷蔵庫外の空気を除菌、清浄することができる。
なお、冷蔵室311の扉311aには、パッキン311bが設けられている。図9に示すように、パッキン311bは、冷蔵室311の扉311aが閉まった状態のときに、断熱箱体317と扉311aとの間に位置し、冷蔵室311内を密閉する。そのため、冷蔵室311の扉311aが閉まった状態では、イオン発生器352からのイオンは冷蔵室内に入らない。
一方、冷蔵室311の扉311aが開いた状態では、送風口354が解放状態となるため、イオン発生器352で発生したイオンは、図8の矢印で示すように、冷蔵室311の上方から間口部分へ向けて送出される。イオン発生器352から発生するイオンには、除菌作用がある。そのため、冷蔵室311の扉311aを開けた際に、外部から雑菌などが侵入することを抑えることができる。
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫300には、湿度センサ351及びイオン発生器352を有する湿度測定システム310が備えられている。そのため、冷蔵庫300が置かれている周囲環境の湿度を測定することができる。また、湿度測定システム310内のイオン発生器352から発生したイオンは、湿度センサ351の周囲を除電するために利用される。これにより、湿度センサ351の周囲が帯電することによる精度低下を抑えることができる。
なお、上述した第4の実施形態に係る湿度測定システムは、冷蔵庫以外の装置(例えば、空気清浄器、空気調和機など)に適用することもできる。この湿度測定システムによれば、湿度センサの周囲に発生した静電気を抑えることができ、湿度センサの精度低下を抑えることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。