請求項1に記載の発明は、冷蔵庫本体は、貯蔵室と、前記貯蔵室の前面開口部を閉塞する扉と、前記貯蔵室内に設けられた複数の収納容器と、前記貯蔵室内に備えられたミスト噴霧手段とを有し、前記ミスト噴霧手段は前記貯蔵室の上方に隣接して位置する冷凍室との仕切壁に一部を埋設して配置され、前記ミスト噴霧手段は、静電霧化方式であり、前記貯蔵室天面に設けた冷気吸込経路に配置され、前記冷凍室からの冷却作用により、前記ミスト噴霧手段内部で空気中の水分を結露させた結露水を前記貯蔵室にミストとして噴霧するものであり、収納容器間の間隙から漏れ出た湿気を前記ミスト噴霧手段により回収し、収納容器間の隙間から再度前記収納容器内に返すことにより、前記収納容器内を十分に加湿し、野菜の鮮度を維持することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、収納容器は貯蔵室を上下に区画する上段収納容器と下段収納容器とを有し、前記ミスト噴霧手段は前記上段収納容器と前記下段収納容器との間隙近傍に配置されたものであり、前記上段収納容器と前記下段収納容器の間隙から漏れ出た湿気を前記ミスト噴霧手段により回収し、収納容器間の隙間から再度前記収納容器内に返すことにより、前記収納容器内を十分に加湿し、野菜の鮮度を維持することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上段収納容器の上部に蓋部材を備え、前記ミスト噴霧手段は、少なくともその一部が収納容器と蓋部材との間隙と同じ高さに配置されるものであり、前記上段収納容器と前記下段収納容器の間隙となるべく近接させ、湿度の比較的高い領域に前記ミスト噴霧手段を配置することにより、より確実に湿気を結露回収することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上段収納容器の上部に蓋部材を備え、前記ミスト噴霧手段の下端が蓋部材の底面よりも上方に配置されることにより、湿度の比較的高い領域に前記ミスト噴霧手段を配置し湿気を結露回収すると共に、ミスト噴霧時に下方にある前記上段収納容器と前記下段収納容器の間隙からミスト粒子を前記収納容器内に返すことが容易になる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図である。図2は、同実施の形態における冷蔵庫の縦断面図である。
図1、図2において、冷蔵庫本体1は外箱18と内箱19とで構成され、内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が充填され周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。最上段に第一の貯蔵室としての冷蔵室21、その冷蔵室21の下部に第四の貯蔵室としての切替室22と第五の貯蔵室としての製氷室23が横並びに設けられ、その切替室22と製氷室23の下部に第二の貯蔵室としての野菜室24、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室25が配置される構成となっている。
冷蔵室21は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃としている。また、野菜室24は冷蔵室21と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。冷凍室25は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
切替室22は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り替えることができる。例えば、ソフト冷凍(概ね−12℃〜−6℃程度)、パーシャルフリージング(概ね−5℃〜−1℃程度)、チルド(概ね−1℃〜1℃程度)等の冷蔵と冷凍の間の温度帯である。切替室22は製氷室23に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
なお、本実施の形態では切替室22を冷蔵、冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室21、野菜室24、冷凍は冷凍室25に委ねて、冷蔵と冷蔵の内間の上記温度帯のみの切替に特化した貯蔵室としてももちろん構わない。
製氷室23は、冷蔵室21内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵しておくスペースであり、切替室22に並設された間口の小さい独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
冷蔵庫本体1の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室26を形成して圧縮機27、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側の構成部品が収納されている。すなわち、圧縮機27を配設する機械室26は、冷蔵室21内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた冷蔵庫本体1の最上部の貯蔵室の後方領域に機械室26を設けて圧縮機27を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使い易い冷蔵庫本体1の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった冷蔵庫本体1の最下部の貯蔵室の後方領域に機械室を設けて圧縮機27を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室24と冷凍室25の背面には冷却室28が設けられ、冷却室28は断熱性を有する第一の冷却ダクト29により野菜室24及び冷凍室25から仕切られている。冷却室28内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷却器30が配設されており、冷却器30の上部空間には強制対流方式により冷却器30で冷却した冷気を冷蔵室21、切替室22、製氷室23、野菜室24、冷凍室25に送風する冷却ファン31が配置され、冷却器30の下部空間には冷却時に冷却器30や冷却ファン31に付着する霜を除霜する装置としてのガラス管製のラジアントヒータ32が設けられている。
第一の冷却ダクト29の外周には冷気、水漏れがないように、例えば軟質フォーム等のシール材が貼り付けられている。冷凍室25と野菜室24を仕切る第一の仕切壁33は発泡ポリスチレン等の断熱材で成形され取り外し可能である。
切替室22、製氷室23と野菜室24を仕切る第二の仕切壁34は、側面断面から見て略L字形の第二の仕切壁上板35と平板状の第二の仕切壁下板36で外郭を構成され、第二の仕切壁34の内部は硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されている。この時、前述したように野菜室24の上方には野菜室24よりも低い温度に調整された切替室22と製氷室23が配置されており、野菜室24は上方から間接的に冷却され第二の仕切壁下板36は冷却板として機能する。
略L字形の第二の仕切壁上板35の背面には、発泡ポリスチレン等の断熱材37で成形され、冷蔵室21と切替室22、製氷室23を冷却するための冷気が送風される風路を形成した第二の冷却ダクト38が設けられ、内部には冷蔵室21と切替室22の冷気の流れをそれぞれ調節するダンパー装置としてのツインダンパー39が設けられており、冷蔵室21と切替室22の冷気の流れをそれぞれ調節するダンパー装置をツインダンパー化することにより収容スペースのコンパクト化とコスト削減を図っている。
冷蔵室21と切替室22、製氷室23を仕切る第三の仕切壁40は、第三の仕切壁上板41と第三の仕切壁下板42とで外郭を構成され、第三の仕切壁40の内部には硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されている。冷蔵室21の背面には冷蔵室21の庫内に冷気を送風するための第三の冷却ダクト43が取り付けられており、第三の冷却ダクト43と第二の冷却ダクト38との接合面には、冷気、水漏れがないようにシール材が貼り付けられている。また、第一の冷却ダクト29と第一の仕切壁33と第三の冷却ダクト43は取り外しが可能であるが、第二の仕切壁34と第二の冷却ダクト38と第三の仕切壁40は冷蔵庫本体1のウレタン発泡前に取り付けられたものであるため取り外しができず、発泡断熱材20によって冷蔵庫本体1と強固に接合されている。
また、第一の冷却ダクト29の内部には冷蔵室21と、切替室22と、製氷室23と、冷凍室25を冷却するための冷気を送風する風路41が設けられている。さらに、冷蔵室21からの冷気を冷却器30へ戻す冷蔵室用帰還風路42と、切替室22からの冷気を冷却器30へ戻す切替室用帰還風路43と、製氷室23からの冷気を冷却器30へ戻す製氷室用帰還風路44とを備えている。さらに、第一の冷却ダクト29の上部には、冷蔵室用帰還風路42を流れる冷気の一部を野菜室24内に導入する野菜室用吐出口45が設けられている。この野菜室用吐出口45は収納容器を冷却する冷却手段として構成されているものである。また、第一の冷却ダクト29の野菜室24下部にあたる位置には野菜室24からの冷気を再び冷蔵室用帰還風路42へと戻す野菜室用吸込口46が設けられており、第一の冷却ダクト29の冷凍室25にあたる部位には、風路41からの冷気を冷凍室25内へ送風する第一の冷凍室用吐出口47と、第二の冷凍室用吐出口48が設けられている。また、第一の冷却ダクト29の下部には冷凍室25からの冷気を冷却器30へ戻す冷凍室用吸込口49が設けられている。
第二の冷却ダクト38には、ツインダンパー39を介して冷気を冷蔵室21へ送風する冷蔵室用風路50と、同じくツインダンパー39を介して冷気を切替室22へ送風する切替室用風路51と、切替室75内へ冷気を吐出する切替室用吐出口52と、風路41から直接に通じ、冷気を製氷室23へ送風する製氷室用風路53と、製氷室23内へ冷気を吐出する製氷室用吐出口54を備えている。また、切替室22からの冷気を冷却器30へ戻す切替室用帰還風路55と、製氷室23からの冷気を冷却器30へ戻す製氷室用帰還風路56と、冷蔵室21からの冷気を冷却器30へ戻す冷蔵室用帰還風路57とを備えている。
第三の冷却ダクト43には、冷気を冷蔵室21内へ導く冷蔵室用風路58と、冷蔵室用風路58からの冷気を冷蔵室21へ吐出する複数の冷蔵室用吐出口59が設けられている。また、第三の冷却ダクト43の下部には冷蔵室21からの冷気を冷却器30へと戻す冷蔵室用吸込口60と、冷蔵室用帰還風路61とが設けられている。
野菜室24は、その前面開口部を開放可能な扉62にて外気の流入が無いように閉塞されている。
この扉62には左右一対で野菜室24内に延伸された板状のスライドレール63が設けられており、この上に下段収納容器64が載置されている。扉62はこのスライドレール63の可動方向に沿って水平方向に引き出して開閉され、それに伴ない下段収納容器64も稼動して引き出される。さらに、下段収納容器64に下段収納容器64の上部に位置するとともに下段収納容器64の蓋部材である上段収納容器65が載置されており、下段収納容器64と同時に可動することになる。この時、上段収納容器65の底面面積は下段収納容器64の底面面積よりも小さく構成されている。本実施の形態ではこの上段収納容器65と下段収納容器64を前後方向に空間を設けて配置し、この空間内に比較的背の高い食品、例えばPETボトルや白菜等の長物野菜を収納可能としている。
また、野菜室24内には上段収納容器64の上部に位置する蓋部材である蓋66が配置されており、扉62が閉じている場合には上段収納容器65の上面開放部を閉塞する。さらに、扉62の開放時には蓋66は野菜室24内に残り、引き出されることはない。
第一の冷却ダクト29の一部にはミスト噴霧手段67が配置され、下段収納容器64と上段収納容器65との間隙171近傍に位置している。
また、上段収納容器65にはその一部に複数の空気流通穴68が設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機27の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機27への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器30に至る。冷却ファン31の動作により、各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器30内の冷媒は蒸発気化し、低温の冷気をダンパーなどで供給制御することで各室の所望の冷却を行う。冷却器30を出た冷媒は吸入管を経て圧縮機27へと吸い込まれる。
各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器30には、各貯蔵室内空気と熱交換した時に水分が付着し霜となる。制御基板(図示せず)から定期的に信号が出力され、圧縮機27を停止させ、ラジアントヒータ32に通電し、冷却器30の除霜を行う。
次に冷蔵庫本体1内の冷気の流れについて説明する。冷却ファン31から送風された冷気は、風路41を通じ下方と上方に振り分けられて送風される。下方に振り分けられた冷気は、第一の冷凍室用吐出口47と第二の冷凍室用吐出口48を通り冷凍室25内に吐出され、冷凍室25内の空気と熱交換し冷凍室用吸込口49を通って冷却室28に戻る。
冷却ファン31から送風された冷気の内、上方に振り分けられた冷気は、冷蔵室用風路50とツインダンパー39の冷蔵室側を経由して冷蔵室用吐出口59から冷蔵室21に至る。また一部は切替室用風路51とツインダンパー39の切替室側を経由して切替室用吐出口52から切替室22に至る。ここで制御基板(図示せず)から信号を出力しツインダンパーを動作させ、冷気の流れをコントロールし、冷蔵室21と切替室22の温度制御を行い所定の温度に庫内温度を調整する。
冷蔵室21内に送風された冷気は、冷蔵室21内の空気と熱交換し、冷蔵室用吸込口60から吸入され、冷蔵室用帰風路61、冷蔵室用帰還風路57、冷蔵室用帰還風路42を通り冷却室28に戻る。ここで冷蔵室21の戻り冷気の一部は、冷蔵室用帰還風路42の途中に設けられた野菜室用吐出口45により野菜室24内に流入し、蓋66と第二の仕切壁34との間を通り、上段収納容器65の手前部分から下段収納容器64内に入る。一旦下段収納容器64内に入った冷気は、再び下段収納容器64の手前部分から下段収納容器64下部を通り野菜室用吸込口46から吸入され、冷蔵室用帰還風路42に合流する。この一連の動作でも分かるように野菜室24は冷蔵室21の戻り冷気を利用して冷却していることになる。
切替室22に送風された冷気は、切替室22内の空気と熱交換し切替室用帰還風路55を通り冷却室28に戻る。
上段収納容器65には蓋66がその上方開口部を閉塞しており、収納食品に直接冷気があたり、乾燥することを防いでいる。また、下段収納容器64と上段収納65の前後方向での空間には、一般にPETボトル等の飲料が置かれることが多く、この部分には冷気が直接触れることになり、冷却スピードを確保している。
下部収納容器64内部に収納された食品からは、投入時からの時間経過に伴い水分が蒸散する。この時、蒸散した水分を含んだ空気は、野菜室用吐出口45から吐出され蓋66の上部空間を通じて下段収納容器64内に流入した冷気の一部の流れに沿って下段収納容器64と下段収納容器64の蓋部材である上段収納容器65の背面の間隙171から収納容器外に流出し、近傍に配置されたミスト噴霧手段67へと到達する。ミスト噴霧手段67は風路41によりその内部が周囲温度よりも低く冷却されており、ミスト噴霧手段67内部で空気中の水分が結露することになる。この結露した水を下段収納容64と上段収納容器65の間隙171から収納容器内部にミスト状に噴霧する。結果、収納食品からの蒸散水はミスト噴霧手段67により、再び収納食品自体に返されることになる。
このように、ミスト噴霧手段67を下段収納容器64と上段収納容器65との間隙171近傍に備えることで、収納容器内の高湿度の冷気を回収し、より微細な拡散性の高い微細ミストに変えて、下段収納容器64と上段収納容器65との間隙171近傍から収納容器内へ噴霧することで、拡散性が高く、野菜の鮮度保持効果の高い微細ミストで収納容器を満たすことが可能となる。
また、野菜室用吐出口45から吐出された冷気の一部は、下段収納容器64上段収納容器65との背面を通り野菜室用吸込口46から吸入される。下段収納容器64と上段収納容器65の背面の間隙171から収納容器外に流出した収納食品からの蒸散水を含んだ空気は、この収納容器背面の冷気の流れに沿って下方に流れており、ミスト噴霧手段67はこの冷気流通経路内に配置されるので、効率的に蒸散水を回収することができる。
なお、ミスト噴霧手段67と下段収納容器64と上段収納容器65との間隙171とはその上下位置関係としては、図2に示すものに限定されるものではなく、多少のずれがあってもよい。概ねミスト噴霧手段67の一部が下段収納容器64と下段収納容器64の蓋部材である上段収納容器65との間隙171と同一高さであればほぼ同一の作用、効果を得ることが可能である。
なお、収納容器外に流出する冷気の風量は少量であり、上記のミスト噴霧を妨げることはない。また、ミスト噴霧に必要な程度の水分をミスト噴霧手段67に供給することは可能である。さらには、この収納容器外に流出する冷気は下段収納容器64内の食品の鮮度を低下させることがない程度に微量に抑えられている。
この時噴霧されるミスト粒子は、例えば0.005μm〜20μm程度であり非常に微細なものである。なお、ミスト噴霧手段67には、例えば超音波により水を微粒子化して噴霧するもの、静電霧化方式によるもの、ポンプ方式で噴霧するもの等を用いればよい。
このようにして食品からの水分の蒸散−結露−ミスト噴霧のサイクルを繰り返す訳であるが、本実施の形態によれば、PETボトルのような冷却スピードが気になる食品は吐出冷気で直接的に冷却し、かつ、葉野菜のように萎れが気になる食品についてはミスト噴霧により鮮度を維持することができる。
この時、図示はしないが野菜室24内部の側壁はヒータ等の加熱手段で適度に加熱されており、収納容器外へ拡散したミスト粒子および、野菜からの蒸散水が結露することは無い。
また、上段収納容器65の空気流通穴68は、上段収納容器65内の過剰な結露を防ぐ役割をはたしている。
なお、第一の冷却ダクトのミスト噴霧手段67の取付部をその周囲よりも薄い壁厚に設定すればより局部的にミスト噴霧手段67を冷却することができる。
また、第二の仕切壁下板36は冷却板として機能し、収納容器内を冷却するのであるが、第二の仕切壁下板36は上段収納容器65よりも大きく構成され、PETボトル等の収納部との間に障害物が無い為、PETボトル等の飲料を比較的早く冷却することが可能である。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵室、切替室、製氷室、野菜室、冷凍室等の貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、貯蔵室の前面開口部を閉塞する扉と、前記貯蔵室内に設けられ、食品を収納し互いに上下に配置される複数の収納容器と、収納容器内を冷却する冷却ダクトに設けられた吐出風路、仕切壁からなる冷却手段と、収納容器内に水をミスト状に噴霧するミスト噴霧手段とからなり、ミストが直接噴霧される収納容器である下段収納容器64と下段収納容器64の上部に位置する蓋部材である上段収納容器65との間隙171近傍にミスト噴霧手段を配置することにより、上段収納容器65と下段収納容器64の間隙171から漏れ出た湿気をミスト噴霧手段により効率良く回収し、再度収納容器内に返すことにより、収納容器内を十分に加湿し、野菜の鮮度を保持することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段を貯蔵室に設けられた冷却ダクトに設けたことにより、ミスト噴霧手段を冷却ダクトの低温部で冷却することにより湿気を結露回収することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段の一部を上段収納容器と下段収納容器との間隙171と同じ高さに配置することにより、より確実に湿気を結露回収することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に超音波方式を用いており、粒子径数μmの微細なミストを発生させることができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に静電霧化方式を用いてもよく、粒子径数nmから数μmの微細なミストを発生させることができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の縦断面図である。
図3において、冷蔵庫本体1は外箱18と内箱19とで構成され、内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が充填され周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。最上段に第一の貯蔵室としての冷蔵室21、その冷蔵室21の下部に第四の貯蔵室としての切替室22と第五の貯蔵室としての製氷室23が横並びに設けられ、その切替室22と製氷室23の下部に第二の貯蔵室としての野菜室24、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室25が配置される構成となっている。
冷蔵室21は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃としている。また、野菜室24は冷蔵室21と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。冷凍室25は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
切替室22は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り替えることができる。例えば、ソフト冷凍(概ね−12℃〜−6℃程度)、パーシャルフリージング(概ね−5℃〜−1℃程度)、チルド(概ね−1℃〜1℃程度)等の冷蔵と冷凍の間の温度帯である。切替室22は製氷室23に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
なお、本実施の形態では切替室22を冷蔵、冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室21、野菜室24、冷凍は冷凍室25に委ねて、冷蔵と冷蔵の内間の上記温度帯のみの切替に特化した貯蔵室としてももちろん構わない。
製氷室23は、冷蔵室21内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵しておくスペースであり、切替室22に並設された間口の小さい独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
冷蔵庫本体1の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室26を形成して圧縮機27、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側の構成部品が収納されている。すなわち、圧縮機27を配設する機械室26は、冷蔵室21内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた冷蔵庫本体1の最上部の貯蔵室の後方領域に機械室26を設けて圧縮機27を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使い易い冷蔵庫本体1の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった冷蔵庫本体1の最下部の貯蔵室の後方領域に機械室を設けて圧縮機27を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室24と冷凍室25の背面には冷却室28が設けられ、冷却室28は断熱性を有する第一の冷却ダクト29により野菜室24及び冷凍室25から仕切られている。冷却室28内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷却器30が配設されており、冷却器30の上部空間には強制対流方式により冷却器30で冷却した冷気を冷蔵室21、切替室22、製氷室23、野菜室24、冷凍室25に送風する冷却ファン31が配置され、冷却器30の下部空間には冷却時に冷却器30や冷却ファン31に付着する霜を除霜する装置としてのガラス管製のラジアントヒータ32が設けられている。
第一の冷却ダクト29の外周には冷気、水漏れがないように、例えば軟質フォーム等のシール材が貼り付けられている。冷凍室25と野菜室24を仕切る第一の仕切壁33は発泡ポリスチレン等の断熱材で成形され取り外し可能である。
切替室22、製氷室23と野菜室24を仕切る第二の仕切壁34は、側面断面から見て略L字形の第二の仕切壁上板35と平板状の第二の仕切壁下板36で外郭を構成され、第二の仕切壁34の内部は硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されている。この時、前述したように野菜室24の上方には野菜室24よりも低い温度に調整された切替室22と製氷室23が配置されており、野菜室24は上方から間接的に冷却され第二の仕切壁下板36は冷却板として機能する。
略L字形の第二の仕切壁上板35の背面には、発泡ポリスチレン等の断熱材37で成形され、冷蔵室21と切替室22、製氷室23を冷却するための冷気が送風される風路を形成した第二の冷却ダクト38が設けられ、内部には冷蔵室21と切替室22の冷気の流れをそれぞれ調節するダンパー装置としてのツインダンパー39が設けられており、冷蔵室21と切替室22の冷気の流れをそれぞれ調節するダンパー装置をツインダンパー化することにより収容スペースのコンパクト化とコスト削減を図っている。
冷蔵室21と切替室22、製氷室23を仕切る第三の仕切壁40は、第三の仕切壁上板41と第三の仕切壁下板42とで外郭を構成され、第三の仕切壁40の内部には硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されている。冷蔵室21の背面には冷蔵室21の庫内に冷気を送風するための第三の冷却ダクト43が取り付けられており、第三の冷却ダクト43と第二の冷却ダクト38との接合面には、冷気、水漏れがないようにシール材が貼り付けられている。また、第一の冷却ダクト29と第一の仕切壁33と第三の冷却ダクト43は取り外しが可能であるが、第二の仕切壁34と第二の冷却ダクト38と第三の仕切壁40は冷蔵庫本体1のウレタン発泡前に取り付けられたものであるため取り外しができず、発泡断熱材20によって冷蔵庫本体1と強固に接合されている。
また、第一の冷却ダクト29の内部には冷蔵室21と、切替室22と、製氷室23と、冷凍室25を冷却するための冷気を送風する風路41が設けられている。さらに、冷蔵室21からの冷気を冷却器30へ戻す冷蔵室用帰還風路42と、切替室22からの冷気を冷却器30へ戻す切替室用帰還風路43と、製氷室23からの冷気を冷却器30へ戻す製氷室用帰還風路44とを備えている。さらに、第一の冷却ダクト29の上部には、冷蔵室用帰還風路42を流れる冷気の一部を野菜室24内に導入する野菜室用吐出口45が設けられている。この野菜室用吐出口45は収納容器を冷却する冷却手段として構成されているものである。また、第一の冷却ダクト29の野菜室24下部にあたる位置には野菜室24からの冷気を再び冷蔵室用帰還風路42へと戻す野菜室用吸込口46が設けられており、第一の冷却ダクト29の冷凍室25にあたる部位には、風路41からの冷気を冷凍室25内へ送風する第一の冷凍室用吐出口47と、第二の冷凍室用吐出口48が設けられている。また、第一の冷却ダクト29の下部には冷凍室25からの冷気を冷却器30へ戻す冷凍室用吸込口49が設けられている。
第二の冷却ダクト38には、ツインダンパー39を介して冷気を冷蔵室21へ送風する冷蔵室用風路50と、同じくツインダンパー39を介して冷気を切替室22へ送風する切替室用風路51と、切替室75内へ冷気を吐出する切替室用吐出口52と、風路41から直接に通じ、冷気を製氷室23へ送風する製氷室用風路53と、製氷室23内へ冷気を吐出する製氷室用吐出口54を備えている。また、切替室22からの冷気を冷却器30へ戻す切替室用帰還風路55と、製氷室23からの冷気を冷却器30へ戻す製氷室用帰還風路56と、冷蔵室21からの冷気を冷却器30へ戻す冷蔵室用帰還風路57とを備えている。
第三の冷却ダクト43には、冷気を冷蔵室21内へ導く冷蔵室用風路58と、冷蔵室用風路58からの冷気を冷蔵室21へ吐出する複数の冷蔵室用吐出口59が設けられている。また、第三の冷却ダクト43の下部には冷蔵室21からの冷気を冷却器30へと戻す冷蔵室用吸込口60と、冷蔵室用帰還風路61とが設けられている。
野菜室24は、その前面開口部を開放可能な扉62にて外気の流入が無いように閉塞されている。
この扉62には左右一対で野菜室24内に延伸された板状のスライドレール63が設けられており、この上に下段収納容器64が載置されている。扉62はこのスライドレール63の可動方向に沿って水平方向に引き出して開閉され、それに伴ない下段収納容器64も稼動して引き出される。さらに、下段収納容器64の上部には上段収納容器65が載置されておりこの上段収納容器65が下段収納容器64の上部に位置する蓋部材となるとともに下段収納容器64と同時に可動することになる。この時、上段収納容器65の底面面積は下段収納容器64の底面面積よりも小さく構成されている。本実施の形態ではこの上段収納容器65と下段収納容器64を前後方向に空間を設けて配置し、この空間内に比較的背の高い食品、例えばPETボトルや白菜等の長物野菜を収納可能としている。
第一の冷却ダクト29の一部にはミスト噴霧手段67が配置され、下段収納容器64と下段収納容器64の蓋部材である上段収納容器65との間隙171近傍に位置している。
また、上段収納容器65にはその一部に複数の空気流通穴68が設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機27の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機27への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器30に至る。冷却ファン31の動作により、各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器30内の冷媒は蒸発気化し、低温の冷気をダンパーなどで供給制御することで各室の所望の冷却を行う。冷却器30を出た冷媒は吸入管を経て圧縮機27へと吸い込まれる。
各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器30には、各貯蔵室内空気と熱交換した時に水分が付着し霜となる。制御基板(図示せず)から定期的に信号が出力され、圧縮機27を停止させ、ラジアントヒータ32に通電し、冷却器30の除霜を行う。
次に冷蔵庫本体1内の冷気の流れについて説明する。冷却ファン31から送風された冷気は、風路41を通じ下方と上方に振り分けられて送風される。下方に振り分けられた冷気は、第一の冷凍室用吐出口47と第二の冷凍室用吐出口48を通り冷凍室25内に吐出され、冷凍室25内の空気と熱交換し冷凍室用吸込口49を通って冷却室28に戻る。
冷却ファン31から送風された冷気の内、上方に振り分けられた冷気は、冷蔵室用風路50とツインダンパー39の冷蔵室側を経由して冷蔵室用吐出口59から冷蔵室21に至る。また一部は切替室用風路51とツインダンパー39の切替室側を経由して切替室用吐出口52から切替室22に至る。ここで制御基板(図示せず)から信号を出力しツインダンパーを動作させ、冷気の流れをコントロールし、冷蔵室21と切替室22の温度制御を行い所定の温度に庫内温度を調整する。
冷蔵室21内に送風された冷気は、冷蔵室21内の空気と熱交換し、冷蔵室用吸込口60から吸入され、冷蔵室用帰風路61、冷蔵室用帰還風路57、冷蔵室用帰還風路42を通り冷却室28に戻る。ここで冷蔵室21の戻り冷気の一部は、冷蔵室用帰還風路42の途中に設けられた野菜室用吐出口45により野菜室24内に流入し、上段収納容器65の上部を流れ、上段収納容器65の手前部分から下段収納容器64内に入る。一旦下段収納容器64内に入った冷気は、再び下段収納容器64の手前部分から下段収納容器64下部を通り野菜室用吸込口46から吸入され、冷蔵室用帰還風路42に合流する。この一連の動作でも分かるように野菜室24は冷蔵室21の戻り冷気を利用して冷却していることになる。
切替室22に送風された冷気は、切替室22内の空気と熱交換し切替室用帰還風路55を通り冷却室28に戻る。
下部収納容器64内部に収納された食品からは、投入時からの時間経過に伴い水分が蒸散する。この時、蒸散した水分を含んだ空気は、野菜室用吐出口45から吐出され、上段収納容器65の上部及び上段収納容器65に設けられた空気流通穴68を通して下段収納容器64内に流入した一部の流れに沿って、下段収納容器64と下段収納容器の蓋部材である上段収納容器65の背面の間隙171から収納容器外に流出し、近傍に配置されたミスト噴霧手段67へと到達する。ミスト噴霧手段67は風路41によりその内部が周囲温度よりも低く冷却されており、ミスト噴霧手段67内部で空気中の水分が結露することになる。この結露した水を下段収納容64と上段収納容器65の間隙171から直接下段収納容器内部にミスト状に噴霧する。この下段容器64内に噴霧されたミストが上段収納容器65の空気流通穴68を通して上段収納容器65へと供給される。結果、収納食品からの蒸散水はミスト噴霧手段67により、再び収納食品自体に返されることになる。
また、野菜室用吐出口45から吐出された冷気の一部は、下段収納容器64上段収納容器65との背面を通り野菜室用吸込口46から吸入される。下段収納容器64と上段収納容器65の背面の間隙171から収納容器外に流出した収納食品からの蒸散水を含んだ空気は、この収納容器背面の冷気の流れに沿って下方に流れており、ミスト噴霧手段67はこの冷気流通経路内に配置されるので、効率的に蒸散水を回収することができる。
なお、ミスト噴霧手段67と下段収納容器64と上段収納容器65との間隙171とはその上下位置関係としては、図2に示すものに限定されるものではなく、多少のずれがあってもよい。概ねミスト噴霧手段67の一部が下段収納容器64と上段収納容器65との間隙171と同一高さであればほぼ同一の作用、効果を得ることが可能である。
なお、収納容器外に流出する冷気の風量は少量であり、上記のミスト噴霧を妨げることはない。また、ミスト噴霧に必要な程度の水分をミスト噴霧手段67に供給することは可能である。さらには、この収納容器外に流出する冷気は下段収納容器64内の食品の鮮度を低下させることがない程度に微量に抑えられている。
この時噴霧されるミスト粒子は、例えば0.005μm〜20μm程度であり非常に微細なものである。なお、ミスト噴霧手段67には、例えば超音波により水を微粒子化して噴霧するもの、静電霧化方式によるもの、ポンプ方式で噴霧するもの等を用いればよい。
このようにして食品からの水分の蒸散−結露−ミスト噴霧のサイクルを繰り返す訳であるが、本実施の形態によれば、PETボトルのような冷却スピードが気になる食品は吐出冷気で直接的に冷却することができ、さらには果物等の萎れにくいものは上段収納容器65に収納して同様に直接的に冷却し、葉野菜のように萎れが気になる食品については下段収納容器64に収納する事によりミスト噴霧され鮮度を維持することができる。
この時、図示はしないが野菜室24内部の側壁はヒータ等の加熱手段で適度に加熱されており、収納容器外へ拡散したミスト粒子および、野菜からの蒸散水が結露することは無い。
なお、第一の冷却ダクトのミスト噴霧手段67の取付部をその周囲よりも薄い壁厚に設定すればより局部的にミスト噴霧手段67を冷却することができる。
また、第二の仕切壁下板36は冷却板として機能し、収納容器内を冷却するのであるが、第二の仕切壁下板36は上段収納容器65よりも大きく構成され、PETボトル等の収納部との間に障害物が無い為、PETボトル等の飲料を比較的早く冷却することが可能である。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵室、切替室、製氷室、野菜室、冷凍室等の貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、貯蔵室の前面開口部を閉塞する扉と、前記貯蔵室内に設けられ、食品を収納し互いに上下に配置される複数の収納容器と、収納容器内を冷却する冷却ダクトに設けられた吐出風路、仕切壁からなる冷却手段と、収納容器内に水をミスト状に噴霧するミスト噴霧手段とからなり、ミストが噴霧される収納容器とその蓋部材との間隙171近傍、すなわち上段収納容器と下段収納容器との間隙171近傍にミスト噴霧手段を配置することにより、上段収納容器と下段収納容器の間隙171から漏れ出た湿気をミスト噴霧手段により効率良く回収し、再度収納容器内に返すことにより、収納容器内を十分に加湿し、野菜の鮮度を保持することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段を貯蔵室に設けられた冷却ダクトに設けたことにより、ミスト噴霧手段を冷却ダクトの低温部で冷却することにより湿気を結露回収することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段の一部を上段収納容器と下段収納容器との間隙171と同じ高さに配置することにより、より確実に湿気を結露回収することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に超音波方式を用いており、粒子径数μmの微細なミストを発生させることができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に静電霧化方式を用いてもよく、粒子径数nmから数μmの微細なミストを発生させることができる。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の縦断面図である。
図4において、冷蔵庫本体1は外箱18と内箱19とで構成され、内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が充填され周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。最上段に第一の貯蔵室としての冷蔵室21、その冷蔵室21の下部に第四の貯蔵室としての切替室22と第五の貯蔵室としての製氷室23が横並びに設けられ、その切替室22と製氷室23の下部に第二の貯蔵室としての野菜室24、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室25が配置される構成となっている。
冷蔵室21は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃としている。また、野菜室24は冷蔵室21と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。冷凍室25は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
切替室22は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り替えることができる。例えば、ソフト冷凍(概ね−12℃〜−6℃程度)、パーシャルフリージング(概ね−5℃〜−1℃程度)、チルド(概ね−1℃〜1℃程度)等の冷蔵と冷凍の間の温度帯である。切替室22は製氷室23に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
なお、本実施の形態では切替室22を冷蔵、冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室21、野菜室24、冷凍は冷凍室25に委ねて、冷蔵と冷蔵の内間の上記温度帯のみの切替に特化した貯蔵室としてももちろん構わない。
製氷室23は、冷蔵室21内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵しておくスペースであり、切替室22に並設された間口の小さい独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
冷蔵庫本体1の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室26を形成して圧縮機27、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側の構成部品が収納されている。すなわち、圧縮機27を配設する機械室26は、冷蔵室21内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた冷蔵庫本体1の最上部の貯蔵室の後方領域に機械室26を設けて圧縮機27を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使い易い冷蔵庫本体1の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった冷蔵庫本体1の最下部の貯蔵室の後方領域に機械室を設けて圧縮機27を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室24と冷凍室25の背面には冷却室28が設けられ、冷却室28は断熱性を有する第一の冷却ダクト29により野菜室24及び冷凍室25から仕切られている。冷却室28内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷却器30が配設されており、冷却器30の上部空間には強制対流方式により冷却器30で冷却した冷気を冷蔵室21、切替室22、製氷室23、野菜室24、冷凍室25に送風する冷却ファン31が配置され、冷却器30の下部空間には冷却時に冷却器30や冷却ファン31に付着する霜を除霜する装置としてのガラス管製のラジアントヒータ32が設けられている。
第一の冷却ダクト29の外周には冷気、水漏れがないように、例えば軟質フォーム等のシール材が貼り付けられている。冷凍室25と野菜室24を仕切る第一の仕切壁33は発泡ポリスチレン等の断熱材で成形され取り外し可能である。
切替室22、製氷室23と野菜室24を仕切る第二の仕切壁34は、側面断面から見て略L字形の第二の仕切壁上板35と平板状の第二の仕切壁下板36で外郭を構成され、第二の仕切壁34の内部は硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されている。この時、前述したように野菜室24の上方には野菜室24よりも低い温度に調整された切替室22と製氷室23が配置されており、野菜室24は上方から間接的に冷却され第二の仕切壁下板36は冷却板として機能する。
略L字形の第二の仕切壁上板35の背面には、発泡ポリスチレン等の断熱材37で成形され、冷蔵室21と切替室22、製氷室23を冷却するための冷気が送風される風路を形成した第二の冷却ダクト38が設けられ、内部には冷蔵室21と切替室22の冷気の流れをそれぞれ調節するダンパー装置としてのツインダンパー39が設けられており、冷蔵室21と切替室22の冷気の流れをそれぞれ調節するダンパー装置をツインダンパー化することにより収容スペースのコンパクト化とコスト削減を図っている。
冷蔵室21と切替室22、製氷室23を仕切る第三の仕切壁40は、第三の仕切壁上板41と第三の仕切壁下板42とで外郭を構成され、第三の仕切壁40の内部には硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されている。冷蔵室21の背面には冷蔵室21の庫内に冷気を送風するための第三の冷却ダクト43が取り付けられており、第三の冷却ダクト43と第二の冷却ダクト38との接合面には、冷気、水漏れがないようにシール材が貼り付けられている。また、第一の冷却ダクト29と第一の仕切壁33と第三の冷却ダクト43は取り外しが可能であるが、第二の仕切壁34と第二の冷却ダクト38と第三の仕切壁40は冷蔵庫本体1のウレタン発泡前に取り付けられたものであるため取り外しができず、発泡断熱材20によって冷蔵庫本体1と強固に接合されている。
また、第一の冷却ダクト29の内部には冷蔵室21と、切替室22と、製氷室23と、冷凍室25を冷却するための冷気を送風する風路41が設けられている。さらに、冷蔵室21からの冷気を冷却器30へ戻す冷蔵室用帰還風路42と、切替室22からの冷気を冷却器30へ戻す切替室用帰還風路43と、製氷室23からの冷気を冷却器30へ戻す製氷室用帰還風路44とを備えている。さらに、第一の冷却ダクト29の上部には、冷蔵室用帰還風路42を流れる冷気の一部を野菜室24内に導入する野菜室用吐出口45が設けられている。この野菜室用吐出口45は収納容器を冷却する冷却手段として構成されているものである。また、第一の冷却ダクト29の野菜室24下部にあたる位置には野菜室24からの冷気を再び冷蔵室用帰還風路42へと戻す野菜室用吸込口46が設けられており、第一の冷却ダクト29の冷凍室25にあたる部位には、風路41からの冷気を冷凍室25内へ送風する第一の冷凍室用吐出口47と、第二の冷凍室用吐出口48が設けられている。また、第一の冷却ダクト29の下部には冷凍室25からの冷気を冷却器30へ戻す冷凍室用吸込口49が設けられている。
第二の冷却ダクト38には、ツインダンパー39を介して冷気を冷蔵室21へ送風する冷蔵室用風路50と、同じくツインダンパー39を介して冷気を切替室22へ送風する切替室用風路51と、切替室75内へ冷気を吐出する切替室用吐出口52と、風路41から直接に通じ、冷気を製氷室23へ送風する製氷室用風路53と、製氷室23内へ冷気を吐出する製氷室用吐出口54を備えている。また、切替室22からの冷気を冷却器30へ戻す切替室用帰還風路55と、製氷室23からの冷気を冷却器30へ戻す製氷室用帰還風路56と、冷蔵室21からの冷気を冷却器30へ戻す冷蔵室用帰還風路57とを備えている。
第三の冷却ダクト43には、冷気を冷蔵室21内へ導く冷蔵室用風路58と、冷蔵室用風路58からの冷気を冷蔵室21へ吐出する複数の冷蔵室用吐出口59が設けられている。また、第三の冷却ダクト43の下部には冷蔵室21からの冷気を冷却器30へと戻す冷蔵室用吸込口60と、冷蔵室用帰還風路61とが設けられている。
野菜室24は、その前面開口部を開放可能な扉62にて外気の流入が無いように閉塞されている。
この扉62には左右一対で野菜室24内に延伸された板状のスライドレール63が設けられており、この上に下段収納容器64が載置されている。扉62はこのスライドレール63の可動方向に沿って水平方向に引き出して開閉され、それに伴ない下段収納容器64も稼動して引き出される。さらに、下段収納容器64の上部には上段収納容器65が載置されており、下段収納容器64と同時に可動することになる。このように、上段収納容器65は下段収納容器64の蓋部材としての機能を有している。この時、上段収納容器65の底面面積は下段収納容器64の底面面積よりも小さく構成されている。本実施の形態ではこの上段収納容器65と下段収納容器64を前後方向に空間を設けて配置し、この空間内に比較的背の高い食品、例えばPETボトルや白菜等の長物野菜を収納可能としている。
また、野菜室24内には蓋66が配置されており、扉62が閉じている場合には上段収納容器65の上面開放部を閉塞する。さらに、扉62の開放時には蓋66は野菜室24内に残り、引き出されることはない。
第一の冷却ダクト29の一部にはミスト噴霧手段67が配置され、ミスト噴霧手段67の下端は上段収納容器65の底面よりも上方にある。
また、上段収納容器65にはその一部に複数の空気流通穴68が設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機27の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機27への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器30に至る。冷却ファン31の動作により、各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器30内の冷媒は蒸発気化し、低温の冷気をダンパーなどで供給制御することで各室の所望の冷却を行う。冷却器30を出た冷媒は吸入管を経て圧縮機27へと吸い込まれる。
各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器30には、各貯蔵室内空気と熱交換した時に水分が付着し霜となる。制御基板(図示せず)から定期的に信号が出力され、圧縮機27を停止させ、ラジアントヒータ32に通電し、冷却器30の除霜を行う。
次に冷蔵庫本体1内の冷気の流れについて説明する。冷却ファン31から送風された冷気は、風路41を通じ下方と上方に振り分けられて送風される。下方に振り分けられた冷気は、第一の冷凍室用吐出口47と第二の冷凍室用吐出口48を通り冷凍室25内に吐出され、冷凍室25内の空気と熱交換し冷凍室用吸込口49を通って冷却室28に戻る。
冷却ファン31から送風された冷気の内、上方に振り分けられた冷気は、冷蔵室用風路50とツインダンパー39の冷蔵室側を経由して冷蔵室用吐出口59から冷蔵室21に至る。また一部は切替室用風路51とツインダンパー39の切替室側を経由して切替室用吐出口52から切替室22に至る。ここで制御基板(図示せず)から信号を出力しツインダンパーを動作させ、冷気の流れをコントロールし、冷蔵室21と切替室22の温度制御を行い所定の温度に庫内温度を調整する。
冷蔵室21内に送風された冷気は、冷蔵室21内の空気と熱交換し、冷蔵室用吸込口60から吸入され、冷蔵室用帰風路61、冷蔵室用帰還風路57、冷蔵室用帰還風路42を通り冷却室28に戻る。ここで冷蔵室21の戻り冷気の一部は、冷蔵室用帰還風路42の途中に設けられた野菜室用吐出口45により野菜室24内に流入し、蓋66と第二の仕切壁34との間を通り、上段収納容器65の手前部分から下段収納容器64内に入る。一旦下段収納容器64内に入った冷気は、再び下段収納容器64の手前部分から下段収納容器64下部を通り野菜室用吸込口46から吸入され、冷蔵室用帰還風路42に合流する。この一連の動作でも分かるように野菜室24は冷蔵室21の戻り冷気を利用して冷却していることになる。
切替室22に送風された冷気は、切替室22内の空気と熱交換し切替室用帰還風路55を通り冷却室28に戻る。
上段収納容器65には蓋66がその上方開口部を閉塞しており、収納食品に直接冷気があたり、乾燥することを防いでいる。また、下段収納容器64と上段収納65の前後方向での空間には、一般にPETボトル等の飲料が置かれることが多く、この部分には冷気が直接触れることになり、冷却スピードを確保している。
下部収納容器64内部に収納された食品からは、投入時からの時間経過に伴い水分が蒸散する。この時、蒸散した水分を含んだ空気は、野菜室用吐出口45から吐出され蓋66の上部空間を通じて下段収納容器64内に流入した冷気の一部の流れに沿って下段収納容器64と上段収納容器65の背面の間隙171から収納容器外に流出し、近傍に配置されたミスト噴霧手段67へと到達する。ミスト噴霧手段67は風路41によりその内部が周囲温度よりも低く冷却されており、ミスト噴霧手段67内部で空気中の水分が結露することになる。この結露した水を上段収納容器64の後方の空間に噴霧するが、ミスト粒子は自身の重みでもって自然に落下して行き、ミスト噴霧手段67の下方に位置する下段収納容64と上段収納容器65の間隙171から収納容器内部に拡散していく。結果、収納食品からの蒸散水はミスト噴霧手段67により、再び収納食品自体に返されることになる。
また、野菜室用吐出口45から吐出された冷気の一部は、下段収納容器64上段収納容器65との背面を通り野菜室用吸込口46から吸入される。下段収納容器64と上段収納容器65の背面の間隙171から収納容器外に流出した収納食品からの蒸散水を含んだ空気は、この収納容器背面の冷気の流れに沿って下方に流れており、ミスト噴霧手段67はこの冷気流通経路内に配置されるので、効率的に蒸散水を回収することができる。
なお、収納容器外に流出する冷気の風量は少量であり、上記のミスト噴霧を妨げることはない。また、ミスト噴霧に必要な程度の水分をミスト噴霧手段67に供給することは可能である。さらには、この収納容器外に流出する冷気は下段収納容器64内の食品の鮮度を低下させることがない程度に微量に抑えられている。
この時噴霧されるミスト粒子は、例えば0.005μm〜20μm程度であり非常に微細なものである。なお、ミスト噴霧手段67には、例えば超音波により水を微粒子化して噴霧するもの、静電霧化方式によるもの、ポンプ方式で噴霧するもの等を用いればよい。
このようにして食品からの水分の蒸散−結露−ミスト噴霧のサイクルを繰り返す訳であるが、本実施の形態によれば、PETボトルのような冷却スピードが気になる食品は吐出冷気で直接的に冷却し、かつ、葉野菜のように萎れが気になる食品についてはミスト噴霧により鮮度を維持することができる。
この時、図示はしないが野菜室24内部の側壁はヒータ等の加熱手段で適度に加熱されており、収納容器外へ拡散したミスト粒子および、野菜からの蒸散水が結露することは無い。
また、上段収納容器65の空気流通穴68は、上段収納容器65内の過剰な結露を防ぐ役割をはたしている。
なお、第一の冷却ダクトのミスト噴霧手段67の取付部をその周囲よりも薄い壁厚に設定すればより局部的にミスト噴霧手段67を冷却することができる。
また、第二の仕切壁下板36は冷却板として機能し、収納容器内を冷却するのであるが、第二の仕切壁下板36は上段収納容器65よりも大きく構成され、PETボトル等の収納部との間に障害物が無い為、PETボトル等の飲料を比較的早く冷却することが可能である。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵室、切替室、製氷室、野菜室、冷凍室等の貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、貯蔵室の前面開口部を閉塞する扉と、前記貯蔵室内に設けられ、食品を収納し互いに上下に配置される複数の収納容器と、収納容器内を冷却する冷却ダクトに設けられた吐出風路、仕切壁からなる冷却手段と、収納容器内に水をミスト状に噴霧するミスト噴霧手段とからなり、収納容器の内、ミストが噴霧される収納容器とその蓋部材との間隙171近傍、すなわち上段収納容器と下段収納容器との間隙171近傍にミスト噴霧手段を配置することにより、上段収納容器と下段収納容器の間隙から漏れ出た湿気をミスト噴霧手段により効率良く回収し、再度収納容器内に返すことにより、収納容器内を十分に加湿し、野菜の鮮度を保持することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段を貯蔵室に設けられた冷却ダクトに設けたことにより、ミスト噴霧手段を冷却ダクトの低温部で冷却することにより湿気を結露回収することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段の下端を上段収納容器の底面よりも上方に配置することにより、下方にある上段収納容器と下段収納容器の間隙へのミスト拡散性を向上させることができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に超音波方式を用いており、粒子径数μmの微細なミストを発生させることができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に静電霧化方式を用いてもよく、粒子径数nmから数μmの微細なミストを発生させることができる。
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4における冷蔵庫の縦断面図である。
図5において、冷蔵庫本体1は外箱18と内箱19とで構成され、内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が充填され周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。最上段に第一の貯蔵室としての冷蔵室21、その冷蔵室21の下部に第四の貯蔵室としての切替室22と第五の貯蔵室としての製氷室23が横並びに設けられ、その切替室22と製氷室23の下部に第二の貯蔵室としての野菜室24、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室25が配置される構成となっている。
冷蔵室21は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃としている。また、野菜室24は冷蔵室21と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。冷凍室25は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
切替室22は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り替えることができる。例えば、ソフト冷凍(概ね−12℃〜−6℃程度)、パーシャルフリージング(概ね−5℃〜−1℃程度)、チルド(概ね−1℃〜1℃程度)等の冷蔵と冷凍の間の温度帯である。切替室22は製氷室23に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
なお、本実施の形態では切替室22を冷蔵、冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室21、野菜室24、冷凍は冷凍室25に委ねて、冷蔵と冷蔵の内間の上記温度帯のみの切替に特化した貯蔵室としてももちろん構わない。
製氷室23は、冷蔵室21内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵しておくスペースであり、切替室22に並設された間口の小さい独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
冷蔵庫本体1の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室26を形成して圧縮機27、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側の構成部品が収納されている。すなわち、圧縮機27を配設する機械室26は、冷蔵室21内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた冷蔵庫本体1の最上部の貯蔵室の後方領域に機械室26を設けて圧縮機27を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使い易い冷蔵庫本体1の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった冷蔵庫本体1の最下部の貯蔵室の後方領域に機械室を設けて圧縮機27を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室24と冷凍室25の背面には冷却室28が設けられ、冷却室28は断熱性を有する第一の冷却ダクト29により野菜室24及び冷凍室25から仕切られている。冷却室28内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷却器30が配設されており、冷却器30の上部空間には強制対流方式により冷却器30で冷却した冷気を冷蔵室21、切替室22、製氷室23、野菜室24、冷凍室25に送風する冷却ファン31が配置され、冷却器30の下部空間には冷却時に冷却器30や冷却ファン31に付着する霜を除霜する装置としてのガラス管製のラジアントヒータ32が設けられている。
第一の冷却ダクト29の外周には冷気、水漏れがないように、例えば軟質フォーム等のシール材が貼り付けられている。冷凍室25と野菜室24を仕切る第一の仕切壁33は発泡ポリスチレン等の断熱材で成形され取り外し可能である。
切替室22、製氷室23と野菜室24を仕切る第二の仕切壁34は、側面断面から見て略L字形の第二の仕切壁上板35と平板状の第二の仕切壁下板36で外郭を構成され、第二の仕切壁34の内部は硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されている。この時、前述したように野菜室24の上方には野菜室24よりも低い温度に調整された切替室22と製氷室23が配置されており、野菜室24は上方から間接的に冷却され第二の仕切壁下板36は冷却板として機能する。
略L字形の第二の仕切壁上板35の背面には、発泡ポリスチレン等の断熱材37で成形され、冷蔵室21と切替室22、製氷室23を冷却するための冷気が送風される風路を形成した第二の冷却ダクト38が設けられ、内部には冷蔵室21と切替室22の冷気の流れをそれぞれ調節するダンパー装置としてのツインダンパー39が設けられており、冷蔵室21と切替室22の冷気の流れをそれぞれ調節するダンパー装置をツインダンパー化することにより収容スペースのコンパクト化とコスト削減を図っている。
冷蔵室21と切替室22、製氷室23を仕切る第三の仕切壁40は、第三の仕切壁上板41と第三の仕切壁下板42とで外郭を構成され、第三の仕切壁40の内部には硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されている。冷蔵室21の背面には冷蔵室21の庫内に冷気を送風するための第三の冷却ダクト43が取り付けられており、第三の冷却ダクト43と第二の冷却ダクト38との接合面には、冷気、水漏れがないようにシール材が貼り付けられている。また、第一の冷却ダクト29と第一の仕切壁33と第三の冷却ダクト43は取り外しが可能であるが、第二の仕切壁34と第二の冷却ダクト38と第三の仕切壁40は冷蔵庫本体1のウレタン発泡前に取り付けられたものであるため取り外しができず、発泡断熱材20によって冷蔵庫本体1と強固に接合されている。
また、第一の冷却ダクト29の内部には冷蔵室21と、切替室22と、製氷室23と、冷凍室25を冷却するための冷気を送風する風路41が設けられている。さらに、冷蔵室21からの冷気を冷却器30へ戻す冷蔵室用帰還風路42と、切替室22からの冷気を冷却器30へ戻す切替室用帰還風路43と、製氷室23からの冷気を冷却器30へ戻す製氷室用帰還風路44とを備えている。さらに、第一の冷却ダクト29の上部には、冷蔵室用帰還風路42を流れる冷気の一部を野菜室24内に導入する野菜室用吐出口45が設けられている。この野菜室用吐出口45は収納容器を冷却する冷却手段として構成されているものである。また、第一の冷却ダクト29の野菜室24下部にあたる位置には野菜室24からの冷気を再び冷蔵室用帰還風路42へと戻す野菜室用吸込口46が設けられており、第一の冷却ダクト29の冷凍室25にあたる部位には、風路41からの冷気を冷凍室25内へ送風する第一の冷凍室用吐出口47と、第二の冷凍室用吐出口48が設けられている。また、第一の冷却ダクト29の下部には冷凍室25からの冷気を冷却器30へ戻す冷凍室用吸込口49が設けられている。
第二の冷却ダクト38には、ツインダンパー39を介して冷気を冷蔵室21へ送風する冷蔵室用風路50と、同じくツインダンパー39を介して冷気を切替室22へ送風する切替室用風路51と、切替室75内へ冷気を吐出する切替室用吐出口52と、風路41から直接に通じ、冷気を製氷室23へ送風する製氷室用風路53と、製氷室23内へ冷気を吐出する製氷室用吐出口54を備えている。また、切替室22からの冷気を冷却器30へ戻す切替室用帰還風路55と、製氷室23からの冷気を冷却器30へ戻す製氷室用帰還風路56と、冷蔵室21からの冷気を冷却器30へ戻す冷蔵室用帰還風路57とを備えている。
第三の冷却ダクト43には、冷気を冷蔵室21内へ導く冷蔵室用風路58と、冷蔵室用風路58からの冷気を冷蔵室21へ吐出する複数の冷蔵室用吐出口59が設けられている。また、第三の冷却ダクト43の下部には冷蔵室21からの冷気を冷却器30へと戻す冷蔵室用吸込口60と、冷蔵室用帰還風路61とが設けられている。
野菜室24は、その前面開口部を開放可能な扉62にて外気の流入が無いように閉塞されている。
この扉62には左右一対で野菜室24内に延伸された板状のスライドレール63が設けられており、この上に下段収納容器64が載置されている。扉62はこのスライドレール63の可動方向に沿って水平方向に引き出して開閉され、それに伴ない下段収納容器64も稼動して引き出される。さらに、下段収納容器64の直上部には上段収納容器65が載置されており、下段収納容器64と同時に可動することになる。このように、上段収納容器65は下段収納容器64の蓋部材である。この時、上段収納容器65の底面面積は下段収納容器64の底面面積よりも小さく構成されている。本実施の形態ではこの上段収納容器65と下段収納容器64を前後方向に空間を設けて配置し、この空間内に比較的背の高い食品、例えばPETボトルや白菜等の長物野菜を収納可能としている。
また、野菜室24内には上段収納容器65の直上部に位置する蓋66が配置されており、扉62が閉じている場合には上段収納容器65の上面開放部を閉塞する。さらに、扉62の開放時には蓋66は野菜室24内に残り、引き出されることはない。
第一の冷却ダクト29の一部にはミスト噴霧手段67が配置され、ミスト噴霧手段67の上端はミストが直接噴霧される空間を形成する下段収納容器65の上端よりも下方にある。
また、上段収納容器65にはその一部に複数の空気流通穴68が設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機27の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機27への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器30に至る。冷却ファン31の動作により、各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器30内の冷媒は蒸発気化し、低温の冷気をダンパーなどで供給制御することで各室の所望の冷却を行う。冷却器30を出た冷媒は吸入管を経て圧縮機27へと吸い込まれる。
各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器30には、各貯蔵室内空気と熱交換した時に水分が付着し霜となる。制御基板(図示せず)から定期的に信号が出力され、圧縮機27を停止させ、ラジアントヒータ32に通電し、冷却器30の除霜を行う。
次に冷蔵庫本体1内の冷気の流れについて説明する。冷却ファン31から送風された冷気は、風路41を通じ下方と上方に振り分けられて送風される。下方に振り分けられた冷気は、第一の冷凍室用吐出口47と第二の冷凍室用吐出口48を通り冷凍室25内に吐出され、冷凍室25内の空気と熱交換し冷凍室用吸込口49を通って冷却室28に戻る。
冷却ファン31から送風された冷気の内、上方に振り分けられた冷気は、冷蔵室用風路50とツインダンパー39の冷蔵室側を経由して冷蔵室用吐出口59から冷蔵室21に至る。また一部は切替室用風路51とツインダンパー39の切替室側を経由して切替室用吐出口52から切替室22に至る。ここで制御基板(図示せず)から信号を出力しツインダンパーを動作させ、冷気の流れをコントロールし、冷蔵室21と切替室22の温度制御を行い所定の温度に庫内温度を調整する。
冷蔵室21内に送風された冷気は、冷蔵室21内の空気と熱交換し、冷蔵室用吸込口60から吸入され、冷蔵室用帰風路61、冷蔵室用帰還風路57、冷蔵室用帰還風路42を通り冷却室28に戻る。ここで冷蔵室21の戻り冷気の一部は、冷蔵室用帰還風路42の途中に設けられた野菜室用吐出口45により野菜室24内に流入し、蓋66と第二の仕切壁34との間を通り、上段収納容器65の手前部分から下段収納容器64内に入る。一旦下段収納容器64内に入った冷気は、再び下段収納容器64の手前部分から下段収納容器64下部を通り野菜室用吸込口46から吸入され、冷蔵室用帰還風路42に合流する。この一連の動作でも分かるように野菜室24は冷蔵室21の戻り冷気を利用して冷却していることになる。
切替室22に送風された冷気は、切替室22内の空気と熱交換し切替室用帰還風路55を通り冷却室28に戻る。
上段収納容器65の蓋部材である蓋66が上段収納容器65によって形成される空間の上方開口部を閉塞しており、収納食品に直接冷気があたり、乾燥することを防いでいる。また、下段収納容器64と上段収納65の前後方向での空間には、一般にPETボトル等の飲料が置かれることが多く、この部分には冷気が直接触れることになり、冷却スピードを確保している。
下部収納容器64内部に収納された食品からは、投入時からの時間経過に伴い水分が蒸散する。この時、蒸散した水分を含んだ空気は、野菜室用吐出口45から吐出され蓋66の上部空間を通じて下段収納容器64内に流入した冷気の一部の流れに沿って下段収納容器64と下段収納容器64の蓋部材である上段収納容器65の背面の間隙171から収納容器外に流出する。
この時収納容器の背面の空間には、野菜室用吐出口45から野菜室用吸込口46への冷気の流れも存在し、収納容器外に流出した湿気も野菜室用吸込口46へ吸い込まれていく。この結果、上段収納容器65と下段収納容器64との間隙171から野菜室用吸込口46へかけての領域は比較的多湿に維持される。ミスト噴霧手段67はその上端が下段収納容器64の上面よりも下方にあるため、比較的多湿な領域に配置されることになる。
ミスト噴霧手段67は風路41により、その内部が周囲温度よりも低く冷却されており、ミスト噴霧手段67内部で空気中の水分が結露することになる。
このミスト噴霧手段67内部で結露した水分をミスト粒子として噴霧するわけであるが、野菜室24内を冷気が循環している状態では、噴霧されたミスト粒子は野菜室用吸込口46から出て行ってしまう。しかしながら、圧縮機27が停止している場合や、ツインダンパー39の冷蔵室側が閉じている場合は野菜室24内は自然対流の状態になり、噴霧されたミスト粒子はこの自然対流に乗って野菜室24内部を循環することになる。
結果、収納食品からの蒸散水はミスト噴霧手段67により、再び収納食品自体に返されることになる。
この時噴霧されるミスト粒子は、例えば0.005μm〜20μm程度であり非常に微細なものである。なお、ミスト噴霧手段67には、例えば超音波により水を微粒子化して噴霧するもの、静電霧化方式によるもの、ポンプ方式で噴霧するもの等を用いればよい。
このようにして食品からの水分の蒸散−結露−ミスト噴霧のサイクルを繰り返す訳であるが、本実施の形態によれば、PETボトルのような冷却スピードが気になる食品は吐出冷気で直接的に冷却し、かつ、葉野菜のように萎れが気になる食品についてはミスト噴霧により鮮度を維持することができる。
この時、図示はしないが野菜室24内部の側壁はヒータ等の加熱手段で適度に加熱されており、収納容器外へ拡散したミスト粒子および、野菜からの蒸散水が結露することは無い。
また、上段収納容器65の空気流通穴68は、上段収納容器65内の過剰な結露を防ぐ役割をはたしている。
なお、第一の冷却ダクトのミスト噴霧手段67の取付部をその周囲よりも薄い壁厚に設定すればより局部的にミスト噴霧手段67を冷却することができる。
また、第二の仕切壁下板36は冷却板として機能し、収納容器内を冷却するのであるが、第二の仕切壁下板36は上段収納容器65よりも大きく構成され、PETボトル等の収納部との間に障害物が無い為、PETボトル等の飲料を比較的早く冷却することが可能である。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵室、切替室、製氷室、野菜室、冷凍室等の貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、貯蔵室の前面開口部を閉塞する扉と、前記貯蔵室内に設けられ、食品を収納し互いに上下に配置される複数の収納容器と、収納容器内を冷却する冷却ダクトに設けられた吐出風路、仕切壁からなる冷却手段と、収納容器内に水をミスト状に噴霧するミスト噴霧手段とからなり、収納容器の内、ミストが噴霧される収納容器とその蓋部材との間隙近傍、すなわち上段収納容器と下段収納容器との間隙近傍にミスト噴霧手段を配置することにより、上段収納容器と下段収納容器の間隙から漏れ出た湿気をミスト噴霧手段により効率良く回収し、再度収納容器内に返すことにより、収納容器内を十分に加湿し、野菜の鮮度を保持することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段を貯蔵室に設けられた冷却ダクトに設けたことにより、ミスト噴霧手段を冷却ダクトの低温部で冷却することにより湿気を結露回収することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段の上端を下段収納容器の上端よりも下方に配置することにより、効率良く湿気を結露回収することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に超音波方式を用いており、粒子径数μmの微細なミストを発生させることができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に静電霧化方式を用いてもよく、粒子径数nmから数μmの微細なミストを発生させることができる。
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5における冷蔵庫の縦断面図である。図7は本発明の実施の形態5における冷蔵庫の詳細平面図である。
図6、図7において、冷蔵庫本体101は外箱118と内箱119とで構成され、内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材120が充填され周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。最上段に第一の貯蔵室としての冷蔵室121、その冷蔵室121の下部に第四の貯蔵室としての上段冷凍室122と第五の貯蔵室としての製氷室123が横並びに設けられ、その上段冷凍室122と製氷室123の下部に第三の貯蔵室としての下段冷凍室125、そして最下部に第二の貯蔵室としての野菜室124が配置される構成となっている。
冷蔵室121は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃としている。また、野菜室124は冷蔵室121と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。上段冷凍室122と下段冷凍室125は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
製氷室123は、冷蔵室121内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵しておくスペースであり、上段冷凍室122に並設された間口の小さい独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
冷蔵庫本体101の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室126を形成して圧縮機127、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側の構成部品が収納されている。すなわち、圧縮機127を配設する機械室126は、冷蔵室121内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた冷蔵庫本体101の最上部の貯蔵室の後方領域に機械室126を設けて圧縮機127を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使い易い冷蔵庫本体101の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった冷蔵庫本体101の最下部の貯蔵室の後方領域に機械室を設けて圧縮機127を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
上段冷凍室122と製氷室123、下段冷凍室125の背面には冷却室128が設けられ、冷却室128は断熱性を有する第一の冷却ダクト129により上段冷凍室122、製氷室123及び下段冷凍室125と仕切られている。冷却室128内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷却器130が配設されており、冷却器130の上部空間には強制対流方式により冷却器130で冷却した冷気を冷蔵室121、上段冷凍室122、製氷室123、野菜室124、下段冷凍室125に送風する冷却ファン131が配置され、冷却器130の下部空間には冷却時に冷却器130や冷却ファン131に付着する霜を除霜する装置としてのガラス管製のラジアントヒータ132が設けられている。
第一の冷却ダクト129の外周には冷気、水漏れがないように、例えば軟質フォーム等のシール材が貼り付けられている。下段冷凍室125と野菜室124を仕切る第一の仕切壁133は硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材120が発泡充填されている。
冷蔵室121と上段冷凍室122、製氷室123を仕切る第三の仕切壁140は、内部に硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されており、第三の仕切壁140の奥部には発泡ポリスチレン等の断熱材137で成形され冷蔵室121を冷却するための冷気が送風される連結風路150が形成され、その風路内には冷蔵室121の冷気の流れを調節するダンパー装置としてのシングルダンパー139が設けられている。
冷蔵室121の背面には冷蔵室121の庫内に冷気を送風するための第三の冷却ダクト143が取り付けられており、第三の冷却ダクト143と第三の仕切壁140との接合面には、冷気、水漏れがないようにシール材が貼り付けられている。
第一の冷却ダクト129と第三の冷却ダクト143は取り外しが可能であるが、第一の仕切壁133と第三の仕切壁140は冷蔵庫本体101のウレタン発泡前に取り付けられたものであるため取り外しができず、発泡断熱材120によって冷蔵庫本体101と強固に接合されている。
また、第一の冷却ダクト129の内部には冷蔵室121と、上段冷凍室122と、製氷室123と、下段冷凍室125を冷却するための冷気を送風する風路141が設けられている。さらに、冷蔵室121からの冷気を野菜室124に送風する冷蔵室用帰還風路142が設けられ、下段冷凍室125と野菜室124を仕切る硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材120が発泡充填された第一の仕切壁133の奥部には、発泡ポリスチレン等の断熱材137で成形された連結風路151と冷蔵室用帰還風路142が軟質フォーム等のシール材でシールされている。また、第一の冷却ダクト129には上段冷凍室122内に冷気を吐出する上段冷凍室用吐出口152、製氷室123内に冷気を吐出する製氷室用吐出口154、下段冷凍室125内に冷気を吐出する下段冷凍室用吐出口147が設けられ、上段冷凍室122、製氷室123、下段冷凍室125内で熱交換された冷気を冷却器130に戻す冷凍室用吸込口149が設けられている。
野菜室124は、その前面開口部を開放可能な扉162にて外気の流入が無いように閉塞されている。この扉162には左右一対で野菜室124内に延伸された板状のスライドレール163が設けられており、この上に下段収納容器164が載置されている。扉162はこのスライドレール163の可動方向に沿って水平方向に引き出して開閉され、それに伴い下段収納容器164も稼動して引き出される。さらに、下段収納容器164の直上部には上段収納容器165が載置されており、下段収納容器164と同時に可動することになる。このように、上段収納容器165は、下段収納容器164の直上部に位置する蓋部材である。この時、上段収納容器165の底面面積は下段収納容器164の底面面積よりも小さく構成されている。また、上段収納容器165にはその一部に複数の空気流通穴168が設けられている。本実施の形態ではこの上段収納容器165と下段収納容器164を前後方向に空間を設けて配置し、この空間内に比較的背の高い食品、例えばPETボトルや白菜等の長物野菜を収納可能としている。また、野菜室124内には蓋166が配置されており、扉162が閉じている場合には上段収納容器165の上面開放部を閉塞する。よって、この蓋166は上段収納容器165の直上部に位置する蓋部材である。さらに、扉162の開放時には蓋166は野菜室124内に残り、引き出されることはない。
野菜室124の背面には野菜室用吐出風路144と野菜室用吐出口145が設けられ、野菜室124の天面である第一の仕切壁133の下面には野菜室用吸込風路148と野菜室用吸込口146が設けられており、ミスト噴霧手段167が上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向の空間上部に相当する第一の仕切壁133にその一部を埋設して備えられている。このように野菜室124にミスト噴霧手段167が備えられており、野菜室124外から冷気吐出口である野菜室用吐出口145を通って冷気が流入し、冷気吸入口である野菜室用吸込口146を通って野菜室124外へと冷気が流出する冷気の流れにおいて、蓋部材である上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向における前部の間隙172近傍にあたる第一の仕切壁133にミスト噴霧手段167が備えられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機127の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機127への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器130に至る。冷却ファン131の動作により、各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器130内の冷媒は蒸発気化し、低温の冷気をダンパーなどで供給制御することで各室の所望の冷却を行う。冷却器130を出た冷媒は吸入管を経て圧縮機127へと吸い込まれる。
各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器130には、各貯蔵室内空気と熱交換した時に水分が付着し霜となる。制御基板(図示せず)から定期的に信号が出力され、圧縮機127を停止させ、ラジアントヒータ132に通電し、冷却器130の除霜を行う。
次に冷蔵庫本体101内の冷気の流れについて説明する。冷却ファン131から送風された冷気は、風路141を通じ下方と上方に振り分けられて送風される。下方に振り分けられた冷気は、下段冷凍室用吐出口147から冷凍室125内に吐出され、冷凍室125内の空気と熱交換し冷凍室用吸込口149を通って冷却室128に戻る。
冷却ファン131から送風された冷気の内、上方に振り分けられた冷気はさらに上段冷凍室122、製氷室123、冷蔵室121に細分され、上段冷凍室122と製氷室123にはそれぞれ上段冷凍室用吐出口152と製氷室用吐出口154から吐出され熱交換した後冷凍室用吸込口149を通って冷却室128に戻る。また冷蔵室121用に振り分けられた冷気は、連結風路150内に設けられたシングルダンパー139を経由し第三の冷却ダクト143を通り冷蔵室121内に吐出される。ここで制御基板(図示せず)から信号を出力しシングルダンパー139を動作させ、冷気の流れをコントロールし、冷蔵室121の温度制御を行い所定の温度に庫内温度を調整する。
冷蔵室121内で熱交換された冷気は、冷蔵室用帰還風路142を通り第一の仕切壁133の奥部に形成された連結風路151を経由し、野菜室用吐出風路144、野菜室用吐出口145から野菜室に124内に吐出される。野菜室に124内の空気と熱交換した冷気は、野菜室用吸込口146から吸い込まれ野菜室用吸込風路148を通り冷却室128に戻る。この一連の動作でも分かるように野菜室124は冷蔵室121の戻り冷気を利用して冷却していることになる。
野菜室124に備えられた上段収納容器165には蓋166がその上方開口部を閉塞しており、収納食品に直接冷気があたり、乾燥することを防いでいる。また、下段収納容器164と上段収納容器165の前後方向での空間には、一般にPETボトル等の飲料が置かれることが多く、この部分には冷気が直接触れることになり、冷却スピードを確保している。
下段収納容器164内部に収納された食品からは、投入時からの時間経過に伴い水分が蒸散する。この時蒸散した水分を含んだ空気は、野菜室124内に吐出された冷気の流れに乗り、上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向における前部の間隙172近傍にあたる第一の仕切壁133に配置されたミスト噴霧手段167へと到達する。ミスト噴霧手段167は野菜室124の上部に位置する下段冷凍室125によりその内部が周囲温度よりも低く冷却されており、ミスト噴霧手段167内部で空気中の水分が結露することになる。この結露した水を収納容器内部にミスト状に噴霧する。結果、収納食品からの蒸散水はミスト噴霧手段167により、再び収納食品自体に返されることになる。
このように野菜室124内には、上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向における前部の間隙172近傍であり、ミスト噴霧手段167が上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向の空間上部に相当する第一の仕切壁133にその一部を埋設して備えられている。
これによって、野室用吐出口145から貯蔵室内に流入した冷気が野菜室用吸込口146を通って野菜室146外へと流れる冷気の流れは、流れている冷気の量が多い為に比較的冷気の流速が早くなり、収納容器内の冷気が引っ張られ高湿度の冷気が冷気流通経路上に漏れ出てくることで、収納容器内から漏れ出た湿気を効率良く回収し、ミスト噴霧手段167に結露させることができ、この結露水を微細ミストに変えて、拡散性の高い微細ミストを再度収納容器内に返すことができ、収納容器内を微細ミストで十分に加湿し、野菜の鮮度を維持することができる。
また、冷蔵室121が所望の温度に到達しシングルダンパー139を動作させ冷気の流れを停止させた状態においては、野菜室124内も冷気の強制的な対流は無くなる。この時下段収納容器164と上段収納容器165の前後方向での空間は、蓋等で密閉されていないために野菜室124内においては開放空間であるため、下段収納容器164内部に収納された食品から蒸散した水分を含んだ空気は、上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向における前部の間隙172から自然対流により野菜室124内上部に移動する。野菜室124内上部に移動した水分を含んだ空気は、内部が周囲温度よりも低く冷却されたミスト噴霧手段167内部で空気中の水分が結露することになる。この結露した水を収納容器内部にミスト状に噴霧する。結果、収納食品からの蒸散水はミスト噴霧手段167により、再び収納食品自体に返されることになる。
このように、野菜室124内に野室用吐出口145から冷気が吐出されていない条件においても、上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向における前部の間隙172近傍であり、ミスト噴霧手段167が上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向の空間上部に相当する野菜室124の天面にミスト噴霧手段167を備えていることで、収納容器内から漏れ出た湿気を効率良く回収し、ミスト噴霧手段167に結露させることができ、この結露水を微細ミストに変えて、拡散性の高い微細ミストを再度収納容器内に返すことができ、収納容器内を微細ミストで十分に加湿し、野菜の鮮度を維持することができる。
この時噴霧されるミスト粒子は、例えば0.005μm〜20μm程度であり非常に微細なものである。なお、ミスト噴霧手段167には、例えば超音波により水を微粒子化して噴霧するもの、静電霧化方式によるもの、ポンプ方式で噴霧するもの等を用いればよい。
このようにして食品からの水分の蒸散−結露−ミスト噴霧のサイクルを繰り返す訳であるが、本実施の形態によれば、PETボトルのような冷却スピードが気になる食品は吐出冷気で直接的に冷却し、かつ、葉野菜のように萎れが気になる食品についてはミスト噴霧により鮮度を維持することで、食品の特性に応じた冷却を行うことができる。
この時、図示はしないが野菜室124内部の側壁はヒータ等の加熱手段で適度に加熱されており、収納容器外へ拡散したミスト粒子および、野菜からの蒸散水が結露することは無い。
また、上段収納容器165の空気流通穴168は、上段収納容器165内の過剰な結露を防ぐ役割を果たしている。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵室、上段冷凍室、製氷室、下段冷凍室、野菜室等の貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、貯蔵室の前面開口部を閉塞する扉と、前記野菜室内に設けられ、食品を収納し互いに上下に配置される複数の収納容器と、仕切壁からなる冷却手段と、収納容器内に水をミスト状に噴霧するミスト噴霧手段とからなり、上段収納容器と下段収納容器の間隙近傍にミスト噴霧手段を配置することにより、上段収納容器と下段収納容器の間隙から漏れ出た湿気をミスト噴霧手段により効率良く回収し、再度収納容器内に返すことにより、収納容器内を十分に加湿し、野菜の鮮度を保持することができる。
また、本実施の形態においては、前記野菜室内に配置され、前記野菜室内の天面に前記ミスト噴霧手段を一部埋設したものであり、前記下段冷凍室により前記ミスト噴霧手段を前記野菜室内よりも低温に冷却することにより、前記冷気吐出口と前記冷気吸込口間を流通する湿気を効率良く結露回収することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に超音波方式を用いており、粒子径数μmの微細なミストを発生させることができ、また多量の噴霧量にも対応することができるので、より収納容器内を微細ミストで十分に加湿し、野菜の鮮度を維持することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に静電霧化方式を用いてもよく、粒子径数nmから数μmの微細なミストを発生させることができ、また噴霧したミストがマイナスの電荷を帯びることで、より野菜等への付着率を向上させることができ、野菜の鮮度を維持することができる。
(実施の形態6)
図8は、本発明の実施の形態6における冷蔵庫の縦断面図、図9は本発明の実施の形態6における冷蔵庫の詳細平面図、図10は、本発明の実施の形態6の別の形態における冷蔵庫の縦断面図、図11は本発明の実施の形態6の別の形態における冷蔵庫の詳細平面図である。
図8、図9において、冷蔵庫本体101は外箱118と内箱119とで構成され、内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材120が充填され周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。最上段に第一の貯蔵室としての冷蔵室121、その冷蔵室121の下部に第四の貯蔵室としての上段冷凍室122と第五の貯蔵室としての製氷室123が横並びに設けられ、その上段冷凍室122と製氷室123の下部に第三の貯蔵室としての下段冷凍室125、そして最下部に第二の貯蔵室としての野菜室124が配置される構成となっている。
冷蔵室121は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃としている。また、野菜室124は冷蔵室121と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。上段冷凍室122と下段冷凍室125は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
製氷室123は、冷蔵室121内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵しておくスペースであり、上段冷凍室122に並設された間口の小さい独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
冷蔵庫本体101の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室126を形成して圧縮機127、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側の構成部品が収納されている。すなわち、圧縮機127を配設する機械室126は、冷蔵室121内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた冷蔵庫本体101の最上部の貯蔵室の後方領域に機械室126を設けて圧縮機127を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使い易い冷蔵庫本体101の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった冷蔵庫本体101の最下部の貯蔵室の後方領域に機械室を設けて圧縮機127を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
上段冷凍室122と製氷室123、下段冷凍室125の背面には冷却室128が設けられ、冷却室128は断熱性を有する第一の冷却ダクト129により上段冷凍室122、製氷室123及び下段冷凍室125と仕切られている。冷却室128内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷却器130が配設されており、冷却器130の上部空間には強制対流方式により冷却器130で冷却した冷気を冷蔵室121、上段冷凍室122、製氷室123、野菜室124、下段冷凍室125に送風する冷却ファン131が配置され、冷却器130の下部空間には冷却時に冷却器130や冷却ファン131に付着する霜を除霜する装置としてのガラス管製のラジアントヒータ132が設けられている。
第一の冷却ダクト129の外周には冷気、水漏れがないように、例えば軟質フォーム等のシール材が貼り付けられている。下段冷凍室125と野菜室124を仕切る第一の仕切壁133は硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材120が発泡充填されている。
冷蔵室121と上段冷凍室122、製氷室123を仕切る第三の仕切壁140は、内部に硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材20が発泡充填されており、第三の仕切壁140の奥部には発泡ポリスチレン等の断熱材137で成形され冷蔵室121を冷却するための冷気が送風される連結風路150が形成され、その風路内には冷蔵室121の冷気の流れを調節するダンパー装置としてのシングルダンパー139が設けられている。
冷蔵室121の背面には冷蔵室121の庫内に冷気を送風するための第三の冷却ダクト143が取り付けられており、第三の冷却ダクト143と第三の仕切壁140との接合面には、冷気、水漏れがないようにシール材が貼り付けられている。
第一の冷却ダクト129と第三の冷却ダクト143は取り外しが可能であるが、第一の仕切壁133と第三の仕切壁140は冷蔵庫本体101のウレタン発泡前に取り付けられたものであるため取り外しができず、発泡断熱材120によって冷蔵庫本体101と強固に接合されている。
また、第一の冷却ダクト129の内部には冷蔵室121と、上段冷凍室122と、製氷室123と、下段冷凍室125を冷却するための冷気を送風する風路141が設けられている。さらに、冷蔵室121からの冷気を野菜室124に送風する冷蔵室用帰還風路142が設けられ、下段冷凍室125と野菜室124を仕切る硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材120が発泡充填された第一の仕切壁133の奥部には、発泡ポリスチレン等の断熱材137で成形された連結風路151と冷蔵室用帰還風路142が軟質フォーム等のシール材でシールされている。また、第一の冷却ダクト129には上段冷凍室122内に冷気を吐出する上段冷凍室用吐出口152、製氷室123内に冷気を吐出する製氷室用吐出口154、下段冷凍室125内に冷気を吐出する下段冷凍室用吐出口147が設けられ、上段冷凍室122、製氷室123、下段冷凍室125内で熱交換された冷気を冷却器130に戻す冷凍室用吸込口149が設けられている。
野菜室124は、その前面開口部を開放可能な扉162にて外気の流入が無いように閉塞されている。この扉162には左右一対で野菜室124内に延伸された板状のスライドレール163が設けられており、この上に下段収納容器164が載置されている。扉162はこのスライドレール163の可動方向に沿って水平方向に引き出して開閉され、それに伴い下段収納容器164も稼動して引き出される。さらに、下段収納容器164には上段収納容器165が載置されており、下段収納容器164と同時に可動することになる。この時、上段収納容器165の底面面積は下段収納容器164の底面面積よりも小さく構成されている。また、上段収納容器165にはその一部に複数の空気流通穴168が設けられている。本実施の形態ではこの上段収納容器165と下段収納容器164を前後方向に空間を設けて配置し、この空間内に比較的背の高い食品、例えばPETボトルや白菜等の長物野菜を収納可能としている。また、野菜室124内には蓋166が配置されており、扉162が閉じている場合には上段収納容器165の上面開放部を閉塞する。さらに、扉162の開放時には蓋166は野菜室124内に残り、引き出されることはない。また、上段収納容器65の蓋部材である蓋166には、第一の仕切壁133に取り付けられたミスト噴霧手段167の真下に相当する部分にミスト噴霧手段167から噴霧されたミストが上段収納容器165に流入する開口部であるミスト噴霧口169が開口している。このように、上段収納容器65と蓋部材である蓋166との間隙173近傍にミスト噴霧装置167が備えられている。
このように野菜室124にミスト噴霧手段167が備えられており、野菜室124外から冷気吐出口である野菜室用吐出口145を通って冷気が流入し、冷気吸入口である野菜室用吸込口146を通って野菜室124外へと冷気が流出する冷気の流れにおいて、上段収納容器165と蓋166との間隙173近傍にあたる第一の仕切壁133にミスト噴霧手段167が備えられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機127の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機127への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器130に至る。冷却ファン131の動作により、各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器130内の冷媒は蒸発気化し、低温の冷気をダンパーなどで供給制御することで各室の所望の冷却を行う。冷却器130を出た冷媒は吸入管を経て圧縮機127へと吸い込まれる。
各貯蔵室内の空気と熱交換されて冷却器130には、各貯蔵室内空気と熱交換した時に水分が付着し霜となる。制御基板(図示せず)から定期的に信号が出力され、圧縮機127を停止させ、ラジアントヒータ132に通電し、冷却器130の除霜を行う。
次に冷蔵庫本体101内の冷気の流れについて説明する。冷却ファン131から送風された冷気は、風路141を通じ下方と上方に振り分けられて送風される。下方に振り分けられた冷気は、下段冷凍室用吐出口147から冷凍室125内に吐出され、冷凍室125内の空気と熱交換し冷凍室用吸込口149を通って冷却室128に戻る。
冷却ファン131から送風された冷気の内、上方に振り分けられた冷気はさらに上段冷凍室122、製氷室123、冷蔵室121に細分され、上段冷凍室122と製氷室123にはそれぞれ上段冷凍室用吐出口152と製氷室用吐出口154から吐出され熱交換した後冷凍室用吸込口149を通って冷却室128に戻る。また冷蔵室121用に振り分けられた冷気は、連結風路150内に設けられたシングルダンパー139を経由し第三の冷却ダクト143を通り冷蔵室121内に吐出される。ここで制御基板(図示せず)から信号を出力しシングルダンパー139を動作させ、冷気の流れをコントロールし、冷蔵室121の温度制御を行い所定の温度に庫内温度を調整する。
冷蔵室121内で熱交換された冷気は、冷蔵室用帰還風路142を通り第一の仕切壁133の奥部に形成された連結風路151を経由し、野菜室用吐出風路144、野菜室用吐出口145から野菜室に124内に吐出される。野菜室に124内の空気と熱交換した冷気は、野菜室用吸込口146から吸い込まれ野菜室用吸込風路148を通り冷却室128に戻る。この一連の動作でも分かるように野菜室124は冷蔵室121の戻り冷気を利用して冷却していることになる。
野菜室124に備えられた上段収納容器165には蓋部材である蓋166がその上方開口部を閉塞しており、収納食品に直接冷気があたり、乾燥することを防いでいる。また、下段収納容器164と上段収納容器165の前後方向での空間には、一般にPETボトル等の飲料が置かれることが多く、この部分には冷気が直接触れることになり、冷却スピードを確保している。
下段収納容器164及び上段収納容器165内部に収納された食品からは、投入時からの時間経過に伴い水分が蒸散する。この時蒸散した水分を含んだ空気は、野菜室124内に吐出された冷気の流れに乗り上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向における奥部の間隙173近傍にあたる第一の仕切壁133に配置されたミスト噴霧手段167へと到達する。ミスト噴霧手段167は野菜室124の上部に位置する下段冷凍室125によりその内部が周囲温度よりも低く冷却されており、ミスト噴霧手段167内部で空気中の水分が結露することになる。この結露した水をミスト噴霧手段167の直下に相当する部位に設けられたミスト噴霧口169から上段収納容器165内部に直接ミスト状に噴霧する。結果、収納食品からの蒸散水はミスト噴霧手段167により、再び収納食品自体に返されることになる。このように、上段収納容器65と蓋部材である蓋166との間隙173近傍にミスト噴霧装置167が備えられていることによってミストが直接噴霧される空間を形成する上段収納容器65内の冷気が引っ張られ高湿度の冷気が上段収納容器165と蓋166との間隙173であるミスト噴霧口169から冷気流通経路上に漏れ出てくることで、収納容器内から漏れ出た湿気を効率良く回収し、ミスト噴霧手段167に結露させることができ、この結露水を微細ミストに変えて、拡散性の高い微細ミストを再度収納容器内に返すことができ、収納容器内を微細ミストで十分に加湿し、野菜の鮮度を維持することができる。
また、冷蔵室121が所望の温度に到達しシングルダンパー139を動作させ冷気の流れを停止させた状態においては、野菜室124内も冷気の強制的な対流は無くなる。この時下段収納容器164内部に収納された食品から蒸散した水分を含んだ空気は、上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向における奥部の間隙173から自然対流により野菜室124内上部に移動する。野菜室124内上部に移動した水分を含んだ空気は、内部が周囲温度よりも低く冷却されたミスト噴霧手段167内部で空気中の水分が結露することになる。この結露した水を収納容器内部にミスト状に噴霧する。結果、収納食品からの蒸散水はミスト噴霧手段167により、再び収納食品自体に返されることになる。
このように、野菜室124内に野室用吐出口145から冷気が吐出されていない条件においても、野菜室124の天面であり上段収納容器165と下段収納容器164の前後方向における奥部の間隙173の近傍にミスト噴霧手段167を備えていることで、収納容器内から漏れ出た湿気を効率良く回収し、ミスト噴霧手段167に結露させることができ、この結露水を微細ミストに変えて、拡散性の高い微細ミストを再度収納容器内に返すことができ、収納容器内を微細ミストで十分に加湿し、野菜の鮮度を維持することができる。
この時噴霧されるミスト粒子は、例えば0.005μm〜20μm程度であり非常に微細なものである。なお、ミスト噴霧手段167には、例えば超音波により水を微粒子化して噴霧するもの、静電霧化方式によるもの、ポンプ方式で噴霧するもの等を用いればよい。
このようにして食品からの水分の蒸散−結露−ミスト噴霧のサイクルを繰り返す訳であるが、本実施の形態によれば、PETボトルのような冷却スピードが気になる食品は吐出冷気で直接的に冷却し、かつ、葉野菜のように萎れが気になる食品についてはミスト噴霧により鮮度を維持することで、食品の特性に応じた冷却を行うことができる。
この時、図示はしないが野菜室124内部の側壁はヒータ等の加熱手段で適度に加熱されており、収納容器外へ拡散したミスト粒子および、野菜からの蒸散水が結露することは無い。
また、上段収納容器165の空気流通穴168は、上段収納容器165内の過剰な結露を防ぐ役割を果たしている。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵室、上段冷凍室、製氷室、下段冷凍室、野菜室等の貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、貯蔵室の前面開口部を閉塞する扉と、前記野菜室内に設けられ、食品を収納し互いに上下に配置される複数の収納容器と、仕切壁からなる冷却手段と、収納容器内に水をミスト状に噴霧するミスト噴霧手段とからなり、上段収納容器と下段収納容器の間隙近傍にミスト噴霧手段を配置することにより、上段収納容器と蓋との間隙173から漏れ出た湿気をミスト噴霧手段により効率良く回収し、再度収納容器内に返すことにより、収納容器内を十分に加湿し、野菜の鮮度を保持することができる。
また、本実施の形態においては、前記野菜室内に配置され、前記野菜室内の天面に前記ミスト噴霧手段を一部埋設したものであり、前記下段冷凍室により前記ミスト噴霧手段を前記野菜室内よりも低温に冷却することにより、前記冷気吐出口と前記冷気吸込口間を流通する湿気を効率良く結露回収することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に超音波方式を用いており、粒子径数μmの微細なミストを発生させることができ、また多量の噴霧量にも対応することができるので、より収納容器内を微細ミストで十分に加湿し、野菜の鮮度を維持することができる。
また、本実施の形態においては、ミスト噴霧手段に静電霧化方式を用いてもよく、粒子径数nmから数μmの微細なミストを発生させることができ、また噴霧したミストがマイナスの電荷を帯びることで、より野菜等への付着率を向上させることができ、野菜の鮮度を維持することができる。
なお、本実施の形態6では、上段収納容器65と蓋部材である蓋166との間隙173をミスト噴霧手段167の直下に相当する蓋166に設けられた開口部であるミスト噴霧口169としたが、本実施の形態6の別の形態として図10および図11に示すようにミスト噴霧手段167は天面壁である第一の仕切壁133と背面壁との角部もしくは天面壁の最奥部に設けた場合には上段収納容器65と蓋部材である蓋166との間隙173は蓋部材である蓋166とミストが直接噴霧される上段収納容器65との隙間部に設けたものでもよく、その場合には蓋166に開口部を設けることなく、隙間173を設けることができるので、蓋166に特別な加工を施すことなく、より簡単な構成で間隙173を設けることができる。
また、上記構成によると、蓋166の背面側を上段収納容器65の背面側よりも手前に構成しておくといった簡単な構成で間隙173を設けることができ、ミスト噴霧手段167および蓋166とを取り付ける際に、ミスト噴霧口169と蓋166が接触せずかつ正しい位置に備えるといったミスト噴霧口169との位置決め等を行う製造工程を省くことができ、より簡単な構成で確実に間隙173を設けることが可能となる。