以下、本開示の実施の形態の例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態によって本開示が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1による冷蔵庫の縦断面図である。図2は、本開示の実施の形態1の冷蔵庫の野菜室の縦断面図である。図3は、本開示の実施の形態1の冷蔵庫で用いられる結露検知部および従来の湿度検知部の湿度応答の特性を示す図である。
図1および図2に示すように、本開示の実施の形態1の冷蔵庫1は、断熱箱体2を備える。断熱箱体2は、主に鋼板を用いた外箱3と、ABSなどの樹脂で成型された内箱4と、外箱3と内箱4との間の空間に充填発泡される、例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材とからなる。断熱箱体2は、周囲の雰囲気と断熱され、内部は、複数の貯蔵室に区分されている。
断熱箱体2の最上部には、第一の貯蔵室としての冷蔵室5が設けられている。冷蔵室5の下方には、第四の貯蔵室としての切換室6と、第五の貯蔵室としての製氷室7とが、互いに左右横並びに設けられている。切換室6および製氷室7の下方には、第二の貯蔵室としての野菜室8が設けられている。断熱箱体2の最下部には、第三の貯蔵室としての冷凍室9が配置されている。
冷蔵室5は、冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃~5℃に設定される。野菜室8は、冷蔵室5と同等もしくは若干高い温度の2℃~7℃に設定される。冷凍室9は、冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常-22℃~-15℃で設定されている。なお、冷凍室9は、冷凍保存状態の向上のために、例えば-30℃または-25℃の低温で設定されることもある。切換室6は、1℃~5℃で設定される冷蔵温度帯、2℃~7℃で設定される野菜用温度帯、および、通常-22℃~-15℃で設定される冷凍温度帯に加え、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切換えることができる。切換室6は、製氷室7に並設された、独立扉を備えた貯蔵室であり、引出し式の扉を備えることが多い。
尚、本実施の形態では、切換室6を、冷蔵温度帯から冷凍の温度帯までの温度帯で、所望の温度帯に切換え可能な貯蔵室として例示しているが、冷蔵は、冷蔵室5および野菜室8に委ね、冷凍は、冷凍室9に委ねて、冷蔵温度帯と冷凍温度帯の中間の温度帯のみの切換えに特化した貯蔵室として構成されていてもよい。また、切換室6は、特定の温度帯に固定された貯蔵室として構成されていてもよい。
断熱箱体2の天面部は、図1に示すように、冷蔵庫1の背面側に向かって階段状に凹みが設けられた形状を有する。この階段状の凹部に、機械室2aが形成されている。機械室2aには、圧縮機10、および、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機10が配設される機械室2aは、断熱箱体2の最上部の後方部分において、冷蔵室5の内部側に食い込むように形成されている。
尚、本実施の形態における、以下に述べる本開示の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体2の最下部の貯蔵室後方領域に機械室が設けられて、そこに圧縮機10が配置されるタイプの冷蔵庫にも適用することができる。また、本開示の冷蔵庫1は、冷凍室9と野菜室8の配置が入れ替えられた、いわゆるミッドフリーザの構成を有する冷蔵庫であってもよい(後述する実施の形態5参照)。
図1に示すように、野菜室8および冷凍室9の背面側には、冷気を生成する冷却室11が設けられている。野菜室8と冷却室11との間もしくは冷凍室9と冷却室11との間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路(図示せず)と、各室と断熱区画するために構成された背面仕切壁12が構成されている。
図1に示すように、冷却室11内には、冷却器13が配設されている。冷却室11内の、冷却器13の上方の空間には、強制対流方式により冷却器13で冷却した冷気を冷蔵室5、切換室6、製氷室7、野菜室8、および冷凍室9に送風する冷却ファン14が配置されている。冷却室11内の、冷却器13の下方の空間には、冷却時に冷却器13並びにその周辺に付着する霜および氷を除霜するためのガラス管製のラジアントヒータ15が設けられている。さらにその下方には、除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン16、および、ドレンパン16の最深部から庫外に貫通したドレンチューブ17が設けられている。ドレンチューブ17の下流側の庫外には、蒸発皿18が設けられている。
野菜室8には、野菜室8の引出し扉19に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器20と、下段収納容器20の上に載置された上段収納容器21とが配置されている。引出し扉19が閉ざされた状態で、主に上段収納容器21を略密閉するための蓋体22が、野菜室8の上部に備えられた第一の仕切壁23および内箱4に保持されている(図1参照)。
図2に示すように、蓋体22と第一の仕切壁23との間には、背面仕切壁12に配設された野菜室8用の吐出口24から吐出された冷気の風路が設けられている。また、野菜室8付近の背面仕切壁12には、冷却部材25が埋設されている。冷却部材25は、一端が冷却室11に接着されている。冷却部材25の他端には、結露センサ26が装着されている。
さらに、下段収納容器20と下段収納容器20の下の第二の仕切壁27との間にも、空間が設けられ、冷気風路が設けられている(図2参照)。野菜室8の背面側に設けられた背面仕切壁12の下部には、野菜室8内を冷却し、熱交換された冷気が冷却器13に戻るための野菜室8用の吸込口が設けられている。
背面仕切壁12は、ABSなどの樹脂で構成された表面と冷却室11とを隔離している。また、背面仕切壁12は、断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材で構成されている。
次に、結露センサ26付近の構成について、もう少し詳細に説明する。
図2に示すように、冷却室11に一端が接着された冷却部材25は、断熱性のある背面仕切壁12を貫通して設けられている。冷却部材25の他端には、結露センサ26が熱的に密着固定されている。具体的には、結露センサ26の配線基板の、構成部品が実装されていない面に、例えば、放熱シリコンシートまたは衝撃吸収する高熱伝導樹脂材料を介して、冷却部材25が固定されている。さらに、ネジ止め等で物理的に冷却部材25が結露センサ26の配線基板に固定されれば更に良い。尚、冷却部材25としては、極めて高熱伝導の材料が良く、アルミ等の金属および高熱伝導樹脂成型品等が好ましい。
結露センサ26は、結露検知素子と発熱部26aと検知回路部(図示せず)とが、配線基板に実装されて構成されている。結露検知素子は、水付着なしの乾燥状態と、水が付着した結露状態との物理量の変化が大きいほど好ましい。本実施の形態では、ポリアミドなどの吸湿樹脂とカーボンなどの導電体粉の混合物が用いられている。図3に示すように、一般的に、容量式の湿度センサに使用される樹脂だけでは、90%RH以上の高湿度では、湿度変化に対する応答性が小さく、また、高湿度と結露との判別が不可能である。この点、本開示の混合物を用いれば、結露時に吸湿樹脂が非常に大きく膨潤し、導電体同志間の接触率を非常に小さくすることができるので、乾燥時と結露時の抵抗値変化を大きく変化させることができる。例えば、通常乾燥状態で数kΩの抵抗値が、結露すると数百kΩと高抵抗になり、100倍以上の変化量として捉えることができる。これにより、未結露状態と結露発生状態とを判別することが可能である。
また、図2に示すように、下段収納容器20の背面側には、下段収納容器20と連通した結露センサ室29が設けられている。結露センサ室29の結露センサ26と当接する部分には、結露センサ26外形よりも大きな開口寸法を持つセンサ挿入口部材30が装着されている。結露センサ26は、引出し扉19が閉扉された時に、結露センサ26が下段収納容器20の内部に設置されるよう構成されている。センサ挿入口部材30としては、放射状スリットがあるゴム製グロメット等を用いれば、結露センサ26が挿入される時の結露センサ26との衝撃緩和、および、結露センサ26が挿入された後の結露センサ室29の気密性確保を実現することができる。
以上のように構成された冷蔵庫1について、以下その動作および作用を説明する。
まず、冷蔵庫1の冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により、冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機10の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)で、ある程度、凝縮液化する。冷媒は、さらに冷蔵庫1の側面および背面、並びに冷蔵庫1の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し、冷蔵庫1の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。凝縮液化した冷媒は、その後、キャピラリーチューブでは、圧縮機10への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて、低温低圧の液冷媒となって冷却器13に至る。
ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン14の動作により、搬送される各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器13内の冷媒は、蒸発気化する。この時、冷却室11内で各貯蔵室を冷却するための冷気が生成される。
冷却室11内で生成された低温の冷気は、冷却ファン14から冷蔵室5、切換室6、製氷室7、野菜室8、および冷凍室9に、風路並びに冷却ダンパ31を用いて分流される。各貯蔵室に供給される冷気の量は、各貯蔵室がそれぞれの目的温度帯に冷却されるように、冷却ダンパ31により調整される。
野菜室8には、冷蔵室5を冷却した後の空気が、冷蔵室5を冷却した後の空気を冷却器13に循環させるための冷蔵室戻り風路の途中に設けられた、野菜室8用の吐出口24から吐出し、供給される。吐出口24から吐出された空気は、上段収納容器21および下段収納容器20の外周に流れ、上段収納容器21および下段収納容器20を間接的に冷却し、その後、野菜室8用の吸入口28から再び冷却器13に戻って冷却される。吐出口24の上流には、循環空気を加熱するための加熱部33が設けられている(図2参照)。
冷却器13で通常-20℃以下に冷却された空気は、野菜室8内で平均的に2~7℃にまで温度上昇するため、野菜室8内で上段収納容器21および下段収納容器20の外(収納容器外空間34)の空気は、平均相対湿度が約15~30%RHと乾燥している。一方で、上段収納容器21および下段収納容器20の内部の野菜は、保存中も生理活性を有し、水分の蒸散を続けるため、上段収納容器21および下段収納容器20の内部の空気は、高湿度である。上段収納容器21および下段収納容器20の内部に野菜が収納保存されて、温度および湿度が安定状態になると、野菜室8周辺の冷蔵庫1内は、湿度の高い順に、上段収納容器21および下段収納容器20の内部>収納容器外空間34>冷却室11の3つのゾーンに分かれる。蓋体22と上段収納容器21との間の隙間、および、上段収納容器21と下段収納容器20との隙間などから、収納容器外空間34の乾燥空気と、上段収納容器21および下段収納容器20の内部の高湿度空気とが入れ替わることにより、上段収納容器21および下段収納容器20から湿度が排出される。湿度の排出は、冷却ダンパ31が開かれ、乾燥空気が野菜室8内に吐出される際に促進される。
蒸散された湿度を上段収納容器21および下段収納容器20の外に排出しなければ、結露が発生し、これが野菜に接触すると、微生物が増えて水腐れする危惧がある。また、水蒸気排出が過多になれば、上段収納容器21および下段収納容器20の内部の湿度が下がりすぎて、野菜の蒸散を促進して萎びさせる危惧がある。両方のリスクのバランスを考慮して、90~95%RHが、多くの野菜について適切な保存湿度とされる。本実施の形態では、結露検知部である結露センサ26と、水蒸気排出部である冷却ダンパ31と、加熱部33とを用いて、上段収納容器21および下段収納容器20の内部を適度に調湿することで、結露がない高湿状態を維持させている。
次に、結露センサ26を用いて結露を事前検知する動作について説明する。冷却室11に一端が接着された冷却部材25は、冷気により冷却され、熱伝導により結露センサ26を冷却する。結露センサ26が冷却されると、結露センサ26内の結露検知素子も冷却され、下段収納容器20内の環境温度よりも低温になる。従って、下段収納容器20が高湿に推移して行くと、下段収納容器20内空気よりも結露検知素子の方が低温で露点温度も低いので、下段収納容器20内よりも早く(事前)に結露が検知できる。具体的な例として、野菜室8内が6℃に設定されている場合で、相対湿度95%RHを検知するには、結露検知素子の温度を5.3℃に設定にすれば良い。冷却部材25の体積、冷却室11との接触熱伝導率、および、冷却部材25と結露センサ26との接触熱伝導率などの構造的なハード面の調整、並びに、冷却部材25の冷却時間(冷却ファン14運転時間)、および、冷却開始からの結露センサ26の検知タイミング等の制御的なソフト面での調整で、希望の露点温度に対応することができる。
次に、結露センサ26の結露検知結果に基づいて、水蒸気排出を開始させる方法について説明する。図4は、本開示の実施の形態1における冷蔵庫の制御ブロック図である。図5は、実施の形態1における冷蔵庫の制御フローチャートである。制御部50は、温度センサ32(図2参照)および結露センサ26の検知結果に基づいて、本実施の形態における水蒸気排出部である冷却ダンパ31および加熱部33の動作を制御し、野菜室8の温度調節および湿度調節をおこなう(図2参照)。
図5のフローチャートに示すように、まず、制御部50が、温度センサ32の検知結果に基づいて、野菜室8の冷却が必要かどうかを判定する(STEP1)。制御部50は、冷却が必要と判断した場合は、冷却ダンパ31を開いて野菜室8の温度を所定の範囲内に調整する(STEP2~STEP4)。温調完了後、結露センサ26により、結露の事前検知が行われる(STEP5)。結露が事前検知された場合は、冷却ダンパ31が開かれ、加熱部33により循環空気を加熱する(STEP6)ことにより、乾燥空気を野菜室8に導入することで、水蒸気排出が行われる。冷却ダンパ31の開動作のみでは、野菜室8の温度が目標値を下回るため、加熱部33を同時に作動させて温度調整する。温度調整を湿度調整よりも先に実施するのは、温度が湿度よりも、野菜の蒸散作用および呼吸を含めて、鮮度に与える影響が大きいからである。例えば、同じ90%RHで20℃と5℃の蒸散(乾燥)リスクを比較すると、20℃では野菜表面と空気との間で約1.8mmHgの蒸気圧差があるのに対して、5℃では約0.7mmHgしかないため、蒸散リスクは約6割減となる。加えて、温度を20℃から5℃に低下させることで、多くの野菜の呼吸速度が約1/10に低減し、呼吸基質である糖および有機酸の消費が抑制されて食味を保つことができる。
水蒸気排出が開始されてから所定時間経過したら(STEP7でY)、再度結露センサ26により結露の事前検知が行われる(STEP8)。結露が事前検知された際には、制御部50は、水蒸気排出を継続させ、検知されなかった場合は、水蒸気排出を停止させる(STEP9)。なお、他の停止制御方法として、結露センサ26とは別に、湿度センサ(図示せず)を上段収納容器21および下段収納容器20の内部または野菜室8内または吸入口28内に設置して、湿度センサが精度よく検知できる範囲の閾値(例えば80%RH)を下回った場合に、水蒸気排出を停止させてもよい。
上記のように、温度調整および水蒸気排出を制御することによって、上段収納容器21および下段収納容器20の内部の温度と湿度を目標の範囲内に維持することができ、野菜の鮮度をより長く維持することができる。
また、本実施の形態の説明では、下段収納容器20に結露センサ26が設けられる場合について説明したが、上段収納容器21に設けられていてもよい。さらに、野菜室8に限らず、高湿専用の貯蔵室が設けられる場合であっても、同様の構成および動作の考え方を適用すれば応用できる。
(実施の形態2)
図6は、本開示の実施の形態2における冷蔵庫の野菜室の閉扉時の縦断面図である。図7は、本開示の実施の形態2における冷蔵庫の制御ブロック図である。本開示の実施の形態2における冷蔵庫1の構成および動作は、実施の形態1の冷蔵庫1の構成および動作と共通の部分が多いため、共通部分については、実施の形態1と同じ符号を用いて詳細な説明を省略し、異なる部分を中心に、以下に説明する。
図6に示すように、本開示の実施の形態2における冷蔵庫1において、引出し扉19が閉ざされた状態で、蓋体22および上段収納容器21の上面の左辺、右辺、前辺、および後辺が密接するように、ゴムパッキンなど軟性材料が、蓋体22または上段収納容器21の上面に設けられている。さらに、上段収納容器21の左辺、右辺、前辺、および後辺と、下段収納容器20との境界部は、上段収納容器21が稼働する上で接触しない範囲で、食品が収納される下段収納容器20の湿気が逃げないよう、上記材料などで隙が詰められている。また、上段収納容器21は、下段収納容器20と重なる底面の一部に、通気口を複数有している。通気口により、上段収納容器21および下段収納容器20の内部の湿度は均一化される。後述する水蒸気排出部を稼働させた際に、最も高湿の上段収納容器21および下段収納容器20の内部に流入する空気は、中間湿度である収納容器外空間34の空気となり、最も低湿の冷却室11空気が流入する場合と比較して、湿度変動を穏やかに抑えることができる。このような構成により、水蒸気排出部を稼働させた際に、急激に上段収納容器21および下段収納容器20の内部の湿度が低減して、葉野菜など乾燥しやすい野菜がしなびるリスクを低減させることができる。
さらに、本実施の形態の冷蔵庫1の下段収納容器20は、図6に示すように、その内部にメッシュ状の穴を複数面に持つ通気口つき内部収納容器35を有する。内部収納容器35は、下段収納容器20の内面との間に所定距離の隙間を有するように設けられる。
さらに、野菜室8背面には、収納容器外空間34の空気を撹拌する野菜室ファン36が設けられる。野菜室ファン36の風量は、吐出口24から流入する循環空気の風量に比べて十分大きいために、冷却ダンパ31の開時および閉時ともに、収納容器外空間34の空気温度を実質的に均一にすることができる。また、引出し扉19の閉扉時で、かつ、後述するフラップ38の閉時は、撹拌空気が上段収納容器21および下段収納容器20内に流入することはない。なお、別の均温化の手段として、上段収納容器21および下段収納容器20の背面または全体を、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属で構成してもよい。また、吐出口24を野菜室8内の複数の箇所に分岐させて配設してもよい(図示せず)。
さらに、野菜室8の背面側に、本実施の形態の水蒸気排出部である可変開口部37が設けられている。可変開口部37は、内部が通風路である筒状の筐体、および筐体を背面側に開口するフラップ38、およびフラップ38を駆動する駆動機構(図示せず)から成る。引出し扉19が閉じられることによって、可変開口部37と下段収納容器20とが連通するように、下段収納容器20の背面に接続部39が設けられている。下段収納容器20の背面の接続部39内は、メッシュ状の通気口が設けられている。引出し扉19の閉扉時に、フラップ38が閉じられることによって、下段収納容器20は、略密閉状態となる。また、フラップ38が開かれることにより、下段収納容器20は、収納容器外空間34と連通する。このような構成とすることで、下段収納容器20に電力などを供給するハーネスを接続することなく、下段収納容器20と収納容器外空間34との水蒸気排出の程度を可変に制御することができる。ハーネス接続がないので、ユーザが下段収納容器20を断熱箱体2から取り外して洗うなどが可能となり、メンテナンス性が向上する。また、フラップ38は、多段階の部分開閉が可能となるように、開閉程度あるいは開閉角度を調整可能に構成されていてもよい。このような構成により、フラップ38開時の湿度の急激な低下を防ぐことが可能となる。また、このような構成により、水蒸気排出部を稼働させた際に、急激に上段収納容器21および下段収納容器20の内部の湿度が低減して、葉野菜など乾燥しやすい野菜が萎びるリスクを低減させることができる。
なお、別の可変開口部の態様として、フラップ38の代わりに、複数枚の薄板の重なり程度を変えることにより開口面積を変化させる絞り羽(図示せず)が用いられてもよい。あるいは、可変開口部37の代わりに、上段収納容器21を前面方向あるいは上方に押して、下段収納容器20との密閉程度を変化させて、上段収納容器21と下段収納容器20との境界部の隙間を可変とするプランジャ機構(図示せず)が野菜室8背面に設けられてもよい。
可変開口部37内に、吸放湿材40が設けられてもよい。吸放湿材40の例としては、ゼオライトなど多孔質の鉱物を不織布などの表面に固定したもの、アクリル酸など吸湿性の樹脂を不織布などに埋設したもの、および親水性の官能基を修飾して吸湿性を増したセルロースなどである。フラップ38閉時に、野菜から蒸散される湿度を吸収し、フラップ38開時に、野菜から蒸散される湿度を収納容器外空間34に放湿する。吸放湿材40を設けることで、フラップ38が開けられた際に、下段収納容器20内の湿度が急激に減少して野菜が乾燥したり、フラップ38が閉じられた際に、下段収納容器20内の湿度が急激に上昇して結露したりすることを防ぐ役割を果たす。
以上のように構成された冷蔵庫1について、以下その動作および作用を説明する。
上段収納容器21および下段収納容器20の内部は、温度および湿度の分布が不均一になりがちで、単一の結露センサ26で代表値を検知することが困難であるという課題がある。本実施の形態では、上記課題を解決するため、均温化部である野菜室ファン36および均湿化部である内部収納容器35が設けられている。以下、均温化部である野菜室ファン36および均湿化部である内部収納容器35の作用を説明する。均温化部がなければ、野菜室8は、吐出口24および冷却器13の位置する背面側が低温化し、熱侵入のある扉側および側面側が比較的高温になる。上段収納容器21および下段収納容器20の壁面および内部も同様な温度分布を持つようになる。野菜室8内で温度の不均一分布が存在すると、野菜室8内の高温部分の野菜は、生理活性が促進されて蒸散速度が増す。蒸散された湿度が拡散および対流によって低温部分に移動すると、壁面および低温の野菜の表面で結露が発生する。このような部分結露のある状況で、単一の結露センサによる水蒸気排出をおこなっても、部分結露が残ったり高温部分が乾燥気味になったりという問題は解決しない。一方、均温化部により上段収納容器21および下段収納容器20の壁面の温度分布を解消させると、上段収納容器21および下段収納容器20の内部の局所的な蒸散促進および結露を防止できる。よって、結露センサ26と可変開口部37とによる湿度制御を行うことにより、上段収納容器21および下段収納容器20の内部のどの場所に置かれた野菜でも結露させることなく、高湿に維持することが可能になる。
次に、内部収納容器35がなければ、ユーザが下段収納容器20の容積に対して多量の野菜を収納すると、野菜の体積によって下段収納容器20内の空気の拡散および対流が制約されて、湿度が空間的に不均一に分布することがある。例えば、蒸散速度の大きい葉野菜の近くでは湿度が高くなったり、蒸散速度の小さい根菜の近くでは湿度が相対的に低くなったりする可能性が考えられる。そのような場合、下段収納容器20の背面に設けられた結露センサ室29内の一箇所に結露センサ26を設けても、下段収納容器20および上段収納容器21の平均的な湿度を測定することができない。一方、内部収納容器35によって、野菜と下段収納容器20の内面との間に所定距離の隙間が維持されるようにすると、下段収納容器20に多量の野菜が収納された場合でも、下段収納容器20内で空気の拡散は妨げられない。さらに、前記隙間と連通する位置に結露センサ26を設けることによって、平均的な湿度を測定することができる。よって、このような構成により、比較的大きな収納容器の体積に対して、単一の結露センサ26が設けられても、代表的な湿度に対応して、結露の事前検知が可能になる。なお、本実施の形態では、下段収納容器20内に内部収納容器35が設けられる例を示しているが、上段収納容器21に内部収納容器35が設けられても同様な効果が期待できる。
次に、本開示の実施の形態2における冷蔵庫1の、野菜投入直後の運転動作を説明する。図7は、本開示の実施の形態2における冷蔵庫の制御ブロック図である。図8は、本開示の実施の形態2における冷蔵庫の野菜室の引出し扉19開閉検知後の制御フローチャートである。制御部50は、温度センサ32と結露センサ26と扉開閉センサとの検知結果に基づいて、冷却ダンパ31、野菜室ファン36、可変開口部37、および、結露センサ26の発熱部26aの動作を制御する。図8に示すように、制御部50は、扉開閉センサにより、引出し扉19の開閉を検知すると、温度センサ32の検知情報に基づいて、熱負荷の投入を判定する(STEP11)。熱負荷が投入された場合(STEP11でY)は、冷却ダンパ31が開かれている際の温度の低下速度が比較的小さく、熱負荷が投入されなかった場合(STEP11でN)は、温度の低下速度が比較的大きい。制御部50は、予め実験などにより求めておいた熱負荷の判定閾値を用いて、熱負荷の投入の有無を判定する。熱負荷の投入が判定された場合(STEP11でY)は、可変開口部37および冷却ダンパ31を共に開けて(STEP12)、低温の循環空気を積極的に下段収納容器20内に導入して、投入された野菜を速く冷やす。なお、このとき、野菜室ファン36を稼働させてもよい。この場合、循環空気による野菜の乾燥防止よりも野菜の冷却を優先して行うことによって、野菜の鮮度維持効果は高くなる。可変開口部37および冷却ダンパ31が開けられてから所定時間経過後(STEP13)、制御部50は、冷却ダンパ31を閉じて(STEP14)、温度センサ32の検知情報により、冷却完了の判定を行う(STEP15)。投入された熱負荷が野菜室の所定温度まで低下していなければ、温度の上昇速度が相対的に速い。予め実験などによって冷却完了の判定の閾値(所定温度)を求めることで冷却完了を判定する。投入された熱負荷が野菜室の所定温度まで低下しており、冷却完了と判定されたら(STEP15でY)、制御部50は、可変開口部37を閉じる(STEP16)。一方、STEP11で熱負荷の投入がなかったと判定された場合は、即時に可変開口部37を閉じる。この場合、扉開閉によって流入した外気が上段収納容器21および下段収納容器20の内部で冷やされて結露する可能性があるが、少量で一時的な結露発生であり、野菜保存期間全体でみれば無視できる程度であるため、制御部50は、結露の事前検知も水蒸気排出も行わない。なお、所定の頻度以上に扉開閉が行われたz場合には、制御部50は、結露の事前検知および水蒸気排出を行うよう構成されていてもよい。
次に、本開示の実施の形態2における冷蔵庫1の湿度制御の動作を説明する。図9は、本開示の実施の形態2における冷蔵庫の水蒸気排出制御フローチャートである。図10は、本開示の実施の形態2の冷蔵庫の水蒸気排出制御シーケンス図である。図9のフローチャートに示すように、投入された野菜の冷却(図8のフローチャート)および野菜室8の温度調整(図5のSTEP1~STEP4に相当)は、既に完了しているものとする。冷蔵庫1の湿度制御では、制御部50は、野菜室ファン36をONし(STEP21)、野菜室ファン36を所定時間稼働させた後(STEP22)、結露センサ26により、結露の事前検知を行う(STEP23)。結露が事前検知された場合(STEP23でY)、冷却ダンパ31が閉じていれば(STEP24でY)、可変開口部37を開いて、下段収納容器20内の湿度を拡散させ、自然対流によって収納容器外空間34に排出する(STEP25)。同時に、制御部50は、野菜室ファン36を停止(OFF)して、収納容器外空間34の中間湿度の空気が急激に下段収納容器20内に流入することを防いで、下段収納容器20内の野菜の乾燥が起こらないようにする。また、同時に、制御部50は、結露センサ26の発熱部26aに通電を開始(ON)して、結露検知素子(図示せず)の濡れを乾燥させる。STEP25の動作開始から所定時間経過後(STEP26)、制御部50は、発熱部26aを停止(OFF)(STEP27)して、冷却ダンパ31が閉じていれば(STEP28でY)、再度結露を事前検知する(STEP29)。結露が検知されなければ(STEP29でN)、制御部50は、可変開口部37を閉じて水蒸気排出を停止させる(STEP30)。同時に、制御部50は、野菜室ファン36の運転を開始(ON)させて、STEP22に戻る(STEP30)。なお、STEP24で、冷却ダンパが開いている場合(STEP24でN)は、制御部50は、水蒸気排出を延期する(図10のタイミングA~タイミングBまでの延期)。また、STEP28で冷却ダンパが開いている場合(STEP28でN)は、制御部50は、可変開口部37を閉じて、水蒸気排出を即時に停止させる(STEP30)。これらの制御は、最も湿度の低い循環空気が下段収納容器20に流入して野菜が乾燥することを防ぐためである。以上のように、下段収納容器20内の湿度の急激な低下を防ぐ制御をしながら、水蒸気排出をすることによって、野菜の乾燥を防ぎつつ、結露を防止することが可能になる。
なお、フラップ38の耐久時間を延長させるなどのために、可変開口部37の開閉頻度を減らしたい場合は、図11に示すような水蒸気排出制御フローチャートに示す制御としてもよい。すなわち、水蒸気排出を所定時間実施した後(図11のSTEP21~STEP26)、STEP31で、制御部50は、センサ強冷を実行させて、結露センサ26の結露検知素子の温度を通常よりも下げる。センサ強冷の具体例としては、圧縮機10の回転数を上げるなどの方法がある。結露検知素子の温度を下げると、通常よりも下段収納容器20の湿度が低い状態でも結露が発生し(例えば、下段収納容器20内の温度が6℃の場合、結露センサ26を4.5℃まで冷却すると、90%RHでも結露が発生する)、水蒸気排出停止の閾値湿度が低減する。このため、水蒸気排出の開始と停止の閾値の幅が拡大して、フラップの開閉頻度が低減する。
なお、図11に示すフローチャートのSTEP21~STEP30は、図9に示すSTEP21~STEP30と同じである。
次に、冷蔵庫1の非定常時の運転状況下での湿度制御について説明する。電源投入直後など、野菜室8が所定温度まで冷えていない状況では、湿度制御運転よりも冷却が優先される。熱負荷の投入直後と同様に、制御部50は、下段収納容器20内に直接冷気が導入されるよう、可変開口部37を開ける。また、デフロスト中およびデフロスト後それぞれの所定時間は、冷却室11内は、温度が高く、また、湿度の高い空気が満たされるため、制御部50は、冷却ファン14を止めて、冷却ダンパ31を閉じ、可変開口部37を閉じる。
次に、冷蔵庫1が、野菜室8の引出し扉19が開閉される時間帯を学習し予測して、これを野菜室8の湿度制御と組み合わせる場合について説明する。制御部50は、引出し扉19の開閉センサ(図示せず)の検知結果と、内蔵タイマおよびカレンダ情報とに基づいて、開扉の頻度が高い曜日および時間帯を学習予測する。扉開閉の多い時間帯には、外気に含まれる水蒸気が下段収納容器20内に侵入して結露が発生しがちであるので、結露発生を予防するため、予め下段収納容器20内の湿度が通常よりも低めとなるよう下段収納容器20内の湿度を制御する。学習予測のための情報として、図7で説明した熱負荷の投入判定情報および他の貯蔵室の扉の開閉情報が用いられてもよい。また、冷蔵庫1の周囲に人の存在を検知する赤外線センサ、照度の変化を検知する照度センサ、音情報を検知する音センサ、および、携帯電話の発信する各種電波を検知する電波検知部などを設けて、それらの情報に基づいて扉開閉の多い時間帯を予測してもよい。
本実施の形態における冷蔵庫1は、実施の形態1における冷蔵庫1と比較して次の特徴を持つ。まず、均温化部および均湿化部によって、単一の結露センサ26によって上段収納容器21および下段収納容器20の代表的な湿度情報を検知することが可能となる。また、上段収納容器21および下段収納容器20の密閉度を向上させることにより、中間湿度の空気を収納容器外空間34に貯留したり、可変開口部37の開タイミングを冷却ダンパ31の開タイミングと重ならないようにしたり、フラップ38の開閉を多段階に制御したり、吸放湿材40を設けたりすることで、水蒸気排出の際に野菜が乾燥するリスクを低減できる。また、水蒸気排出部を可変開口部37として冷却ダンパ31と独立させることで、食品の急冷運転優先と湿度制御優先とを切り替えて運転可能となる。
(実施の形態3)
次に、本開示の実施の形態3の冷蔵庫1について説明する。
図12は、本開示の実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の縦断面図である。本開示の実施の形態3における冷蔵庫1の構成および動作は、実施の形態1および実施の形態2における冷蔵庫1の構成および動作と共通の部分が多いため、共通部分については、実施の形態1および実施の形態2と同じ符号を用いて詳細な説明を省略し、異なる部分を中心に、以下に説明する。
図12に示すように、本実施の形態の冷蔵庫1において、結露センサ26は、結露センサ室29内に設けられている。結露センサ26は、非接触給電装置41により給電され、検知情報を電波として制御部50に伝達する。背面仕切壁12の、結露センサ26と相対する位置には、冷却室11に貫通する吹き出し口42が設けられている。吹き出し口42から出る冷気により、結露センサ26が冷却される。このような構成により、冷却部材25(図2参照)およびセンサ挿入口部材30(図6参照)は不要となり、引出し扉19を閉じる際に、結露センサ26を貫入する抵抗がなくなり、スムーズな閉扉および開扉が可能となる。また、吹き出し口42から出る冷気が下段収納容器20の本体に直接当たらないため、冷気によって下段収納容器20の内面が結露するリスクはない。
本実施の形態のフラップ38は、強磁性材料で構成されており、バネなどによって通常は閉じている。野菜室8背面の、フラップ38と相対する位置に設けられた電磁石43への通電によって、フラップ38が開く。実施の形態2の可変開口部37に比較すると、引出し扉19が閉じられる際に、接続部39(図6参照)を貫入する抵抗がなくなり、スムーズな閉扉および開扉が可能となる。
吸放湿材40は、可変開口部37内のフラップ38上に設けられる。一般に、吸放湿材は、高温化させたり、乾燥空気と平衡させたりすることによって、放湿を促進することができる。フラップ38が開かれた際に、吸放湿材40がラジアントヒータ15に近づくよう、吸放湿材40を配置することによって、ラジアントヒータ15からの熱を受けて放湿を促進させることができる。また、フラップ38が開かれた際に、野菜室ファン36をONにして、放湿を促進させることも可能である。
以上のように構成された冷蔵庫1について、以下その動作および作用を説明する。
図13は、本開示の実施の形態3の冷蔵庫の野菜室の湿度制御フローチャートである。図13のSTEP31~STEP34は、図9のSTEP21~STEP24とそれぞれ同様である。
下段収納容器20の容積および奥行寸法に対して可変開口部37の面積が小さい場合は、可変開口部37を開口させた際に、下段収納容器20の可変開口部37近辺と引出し扉19側とで湿度の差が生じやすい。そのような状態で可変開口部37の開閉を制御しても、引出し扉19側で結露が生じるリスクおよび可変開口部37近辺で野菜が乾燥するリスクが高い。図13に示すような本実施の形態の湿度制御によれば、そのような場合に、下段収納容器20内の湿度分布を改善させることができる。本実施の形態の湿度制御では、可変開口部37が開かれる際(図13のSTEP35)に野菜室ファン36を停止しない(図9のSTEP25および図13のSTEP35参照)。本実施の形態の冷蔵庫1は、野菜室ファン36と可変開口部37との距離が、実施の形態2の冷蔵庫1と比較して、小さくなるよう構成されている(図6と図12とを比較参照)。このような構成により、下段収納容器20内の空気をより効率よく撹拌することができる。よって、本実施の形態によれば、より効率的に、下段収納容器20内の湿度分布が均一化されて、下段収納容器20内の位置に関わらず、野菜周辺の空気は結露せずに高湿度を保つことが可能になる。なお、図13のSTEP36~STEP38は、図9のSTEP26、STEP28およびSTEP29とそれぞれ同様である。上述の通り、本実施の形態の湿度制御では、可変開口部37が開かれる際(図13のSTEP35)に野菜室ファン36を停止しないので、図13のSTEP39では、野菜室ファン36はONのままで、発熱部26aをOFFする。
(実施の形態4)
次に、本開示の実施の形態4の冷蔵庫1について説明する。
図14および図15は、本開示の実施の形態4の冷蔵庫における野菜室の縦断面図である。本開示の実施の形態4における冷蔵庫1の構成および動作は、実施の形態1~実施の形態3における冷蔵庫1の構成および動作と共通の部分が多いため、共通部分については、実施の形態1~実施の形態3と同じ符号を用いて詳細な説明を省略し、異なる部分を中心に、以下に説明する。
本開示の実施の形態4の冷蔵庫1では、野菜室8の天面、より具体的には、下段収納容器20の蓋体22の内面は、図15に示すように、その一部に最も高い部分(最高部)を有し、その他の部分は最高部に向かって傾斜した構造を有する。野菜から蒸散される蒸気は、野菜の呼吸熱による発熱のため熱せられて、下段収納容器20中の平均温度よりも高い。このため、自然対流によって、下段収納容器20内の蒸気は、図15中の矢印Zのように、傾斜した蓋体22の内面に沿って移動し、最終的に最高部に集まる。蓋体22の内面の最高部は、下段収納容器20内の蒸気が集まり、最も湿度が高まり易く、したがって結露しやすい。よって、結露センサ26は、蓋体22の内面の最高部あるいはその近辺に設けられることが好ましい。
本実施の形態における水蒸気排出部は、膜状の固体電解質と電極とから成る電解方式除湿装置44で構成されている(図14参照)。電解方式除湿装置44は、膜の片側に存在する水分子を電気分解によって電解質に分解した上で、膜の反対側に移動させて再度水分子として放出するものである。水蒸気排出部に電解方式除湿装置44を用いることにより、湿度のみを選択的に排出することができる。電解方式除湿装置44は、湿度以外のガス成分およびその他粒子状成分などを下段収納容器20から漏らしたくない場合などに適する。また、電解方式除湿装置44は、通電によってその動作を制御できるので、レスポンスよく微調整して制御したい場合に適する。本実施の形態では、電解方式除湿装置44は、断熱箱体2側に設けられた非接触給電装置41によって給電される。このような構成により、下段収納容器20は、ハーネスなどによって断熱箱体2と物理的に接続する必要がない。よって、このような構成により、ハーネスによる接続を要する場合に比べて、上段収納容器21および下段収納容器20を取り外すことが容易であり、メンテナンス性がよい。
また、図15に示すように、結露センサ26と電解方式除湿装置44とは、下段収納容器20の背面上でできるだけ距離をおいて設けられることが好ましい。このような構成により、結露センサ26による検知結果は、下段収納容器20の、より全体的な状況を反映することになる。電解方式除湿装置44に限らず、どのような水蒸気排出部でも共通するが、水蒸気排出中は、水蒸気排出部の近くは、湿度が下段収納容器20全体平均よりも低い。このため、結露センサ26を水蒸気排出部の近くに配置すると、下段収納容器20のどこか別の箇所で結露する虞がある。よって、結露センサ26を水蒸気排出部の近くに配置することは避ける方がよい。
(実施の形態5)
次に、本開示の実施の形態5の冷蔵庫1について説明する。
図16は、本開示の実施の形態5における冷蔵庫の野菜室の縦断面図である。本開示の実施の形態5の冷蔵庫1における野菜室58は、図1の冷蔵庫1における最下段の冷凍室9の位置に設けられている(実施の形態1で述べた、いわゆるミッドフリーザの構成を有する冷蔵庫)。また、本開示の実施の形態5の冷蔵庫1においては、冷却室が背面部には設けられておらず、背面の上部に設けられている(図示なし)。本実施の形態における冷蔵庫1の構成および動作は、実施の形態1~実施の形態4の冷蔵庫1と共通の部分が多いため、共通部分については、実施の形態1~実施の形態4と同じ符号を用いて詳細な説明を省略し、異なる部分を中心に、以下に説明する。
図16に示すように、本開示の実施の形態5の冷蔵庫1においては、冷却部材25は、吐出口24の直下で、かつ吐出口24と野菜室ファン36との間に設けられている。吐出口24から吐出される冷却室からの循環空気は、野菜室ファン36によって、収納容器外空間34の空気と混ぜ合わせられる前に、冷却部材25と接触する。吐出された循環空気は、収納容器外空間34よりも低温であるため、冷却部材25は、収納容器外空間34よりも低い温度に維持される。このようにして、冷却部材25は、冷却室に接することなく、結露センサ26を冷却して、結露の事前検知を可能にする。
以上説明した実施の形態1~実施の形態5における各構成および各機能は、各実施の形態で例示した態様においてのみ実施されるものと解されるべきではなく、異なる実施の形態における構成および機能(動作)が、複数組み合わされて実施された冷蔵庫も、本開示の範囲に含まれる。例えば、実施の形態1の結露センサ室29の構成(図2参照)と、実施の形態3のフラップ38の構成(図12参照)とが組み合わされて実施された冷蔵庫も、本開示の範囲に含まれる。