第1の発明は、断熱区画された複数の貯蔵室と、冷却器を収納し前記複数の貯蔵室と風路を介して繋がる冷却室と、ミストを噴霧するミスト噴霧装置とを有し、前記ミスト噴霧装置は電圧を印加するコロナ放電を用いた霧化方式であり、前記複数の貯蔵室のうちの少なくとも一つの貯蔵室にミスト専用区画を有し、前記ミスト専用区画に貯留されたミストを供給する貯蔵室を切り換えることが可能な分流部を備えたもので、前記分流部は冷却ファンを備え、前記冷却ファンの作動の有無によってミストを供給する貯蔵室を切り換え、前記冷却ファンが作動していない場合には、前記ミスト噴霧装置が備えられた貯蔵室にミストが噴霧され、前記冷却ファンが作動している場合には、前記ミスト噴霧装置が備えられた貯蔵室以外の他の貯蔵室へミストが噴霧されるものである。これによって、ミスト噴霧装置から発生するミストは、まずミスト専用区画内に充満した上で、分流部によって必要な貯蔵室へ切り換えて確実に供給されるので、必要に応じた任意の貯蔵室へ速やかにミスト供給がなされる冷蔵庫を提供することが可能となる。
第2の発明は、第1の発明において、前記分流部は、さらにダンパーを備え、前記ダンパーの開閉によってミストを供給する貯蔵室を切り換える冷蔵庫である。
これによって、冷凍サイクル内の部品であるダンパーを利用してミストを分流させることができ、簡単な構成で確実に必要に応じた任意の貯蔵室へミスト供給を行うことが可能となる。
また、発生したミストの各貯蔵室への配分がより精度よく制御できる。特に、ミスト噴霧装置を設けた貯蔵室のミスト噴霧量の調整が容易であり、ミスト噴霧量の多少に応じて、ダンパー装置の開閉という簡易な動作で実施できる。
第3の発明は、第2の発明において、ダンパーは、風路に備えられ、ダンパーが閉まっている場合には、ミスト噴霧装置が備えられた貯蔵室にミストが噴霧されるとともに、前記ダンパーが開いている場合には、前記ミスト噴霧装置が備えられた貯蔵室以外の他の貯蔵室へミストが噴霧される冷蔵庫である。
これによって、ダンパーが閉まっている場合には、確実にミスト噴霧装置が備えられた貯蔵室へミストが噴霧され、ダンパーが開くことで必要に応じた任意の貯蔵室へミスト供給を行うことが可能となるので、より簡単な構成でミストを供給する貯蔵室の切り換えを行うことができる。
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、ミスト専用区画は、ミスト噴霧装置を覆う外郭ケースで形成しており、前記外郭ケース内空間は前記貯蔵室から前記風路へ冷気を戻す吸込み口と連通している冷蔵庫である。
これによって、ミスト噴霧装置から発生するミストは、まず外郭ケース内に充満した上で拡散するので、ミスト噴霧装置が設けられた貯蔵室に直接に全量が供給されることがない。さらに、外郭ケースは貯蔵室の吸込み口に連結されているため、冷気の流れに乗ってミストがその他の貯蔵室へ拡散できる経路を形成することが可能となる。
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、ミスト専用区画は、前記ミスト噴霧装置が備えられた貯蔵室と隣接する隣接貯蔵室との間の仕切り壁内に設けられており、前記ミスト専用区画は前記貯蔵室から前記風路へ冷気を戻す吸込み口と連通している冷蔵庫。
これによって、貯蔵室間のデッドスペースを上手く利用して、ミスト専用区画を設けることができ、ミスト専用区画が貯蔵室の内容積に影響せず、より大容量の収納量を備えた冷蔵庫を実現できる。
第6の発明は、第4の発明において、前記ミスト噴霧装置が設けられた貯蔵室内の冷気を前記冷却室に戻す吸込み口を覆い、かつ前記開口部を有する吸込み口カバーが設けられており、前記ミスト噴霧装置を収納する外郭ケースと前記吸込み口カバーとは連結されている冷蔵庫である。
これによって、貯蔵室内を設定温度に維持するため定期的に冷却室へ冷気を送り込むための吸込み口カバーと、ミスト噴霧装置を収納し開口部から貯蔵室内の相対的に高湿な冷気を取り込みミストを噴霧させ、その他貯蔵室へもミストを拡散させるための外郭ケースとを有することとなり、それぞれの機能を追求すべくカバー、ケースの本体や開口部等の形状やサイズの最適化を図ることができる。
第7の発明は、第1から第6のいずれかの発明において、ミスト噴霧装置は、空気中の水分を結露させることで生成する結露水を用いてミストが噴霧されるものであって、前記ミスト専用区画において前記ミスト噴霧装置に対する上流側に湿度供給口が設けられ、前記ミスト噴霧装置に対する下流側にミスト排出口が設けられている冷蔵庫である。
これによって、主に冷却ファンが停止している時に、外郭ケース内で拡散するミストを湿度供給口だけでなく、ミスト排出口からもミスト噴霧装置が設けられた貯蔵室へ供給することができる。
また、ミスト排出口の面積の大きさによって、ミスト噴霧装置が設けられた貯蔵室へのミスト供給量を調整することができ、他貯蔵室への過剰なミスト拡散を抑制することができ、冷蔵庫全室に対して均衡が取れたミスト拡散が実現される。
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明において、ミスト噴霧装置は、空気中の水分を結露させることで生成する結露水を用いてミストが噴霧されるものであって、前記ミスト専用区画において前記ミスト噴霧装置に対する上流側に湿度供給口が設けられ、前記ミスト噴霧装置に対する下流側にミスト拡散調整材が設けられている冷蔵庫である。
これによって、主に冷却ファンが停止している時に、外郭ケース内で拡散するミストを湿度供給口だけでなく、ミスト排出口からもミスト噴霧装置が設けられた貯蔵室へ供給することができる。
また、ミスト排出口の面積の大きさによって、ミスト噴霧装置が設けられた貯蔵室へのミスト供給量を調整することができ、他貯蔵室への過剰なミスト拡散を抑制することができ、冷蔵庫全室に対して均衡が取れたミスト拡散が実現される。
冷却ファン作動時には湿度供給口やミスト排出口から貯蔵室内の高湿な冷気が外郭ケース内に取り込まれるが、湿度供給口からの高湿冷気の風速が大きくなると、ミスト噴霧装置において結露を発生させられないことがあるが、外郭ケースにおけるミスト噴霧装置に対する上流側に湿度供給口が設けられ、ミスト噴霧装置に対する下流側にミスト拡散調整材が設けられていることで、吸い込み口を通りその他貯蔵室へ拡散するミストはミスト拡散調整材が障壁となり、他貯蔵室への過剰なミスト拡散を抑制することができ、冷蔵庫全室に対して均衡が取れたミスト拡散が実現される。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図、図2は本発明の実施の形態1の冷蔵庫におけるミスト噴霧装置の要部断面図、図3は本発明の実施の形態1の冷蔵庫における風路と各貯蔵室の位置関係を示す模式図、図4は本発明の実施の形態1の冷蔵庫における吸込みカバーと外郭ケースの配置を示す断面図、図5は本発明の実施の形態1の冷蔵庫における野菜室の上面図、図6は本発明の実施の形態1の冷蔵庫におけるミスト噴霧装置の制御パターンを示すタイミングチャート図である。
図において、冷蔵庫100の冷蔵庫本体である断熱箱体101は、主に鋼板を用いた外箱102と、ABSなどの樹脂で成型された内箱103と、外箱102と内箱103との間の空間に発泡充填される硬質発泡ウレタン101bとで構成され、周囲と断熱され、仕切り壁101Cによって複数の貯蔵室に断熱区画されている。最上部に第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切替室105と第五
の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切替室105と製氷室106の下部に第二の貯蔵室としての冷凍室107、そして最下部に第三の貯蔵室としての野菜室108が配置されるており、それぞれの貯蔵室には扉104a、105a、106a、107a、118が設けられる構成となっている。
冷蔵室104は冷蔵保存のために凍らない温度である冷蔵温度帯に設定されており、通常1℃〜5℃とし、野菜室108は冷蔵室104と同等の冷蔵温度帯もしくは若干高い温度設定の野菜温度帯2℃〜7℃としている。冷凍室107は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
切替室105は、冷蔵温度帯、野菜温度帯、冷凍温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切替室105は製氷室106に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
なお、本実施の形態では、切替室105を、冷蔵と冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室104と野菜室108、冷凍は冷凍室107に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切り換えに特化した貯蔵室としても構わない。また、特定の温度帯に固定された貯蔵室でも構わない。
製氷室106は、冷蔵室104内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵する。
断熱箱体101の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室101aを形成して、機械室101aに、圧縮機109、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機109を配設する機械室101aは、冷蔵室104内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。
このように、手が届きにくくデッドスペースとなっていた断熱箱体101の最上部の貯蔵室後方領域に機械室101aを設けて圧縮機109を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使いやすい断熱箱体101の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
冷凍サイクルは、圧縮機109と凝縮器(図示せず)と減圧器であるキャピラリーと冷却器112とアキュムレーター112aを冷媒配管112bによって順に備えた一連の冷媒流路から形成されており、冷媒として炭化水素系冷媒である例えばイソブタンが封入されている。
圧縮機109はピストンがシリンダ内を往復動することで冷媒の圧縮を行う往復動型圧縮機である。断熱箱体101に、三方弁や切替弁を用いる冷凍サイクルの場合は、それらの機能部品が機械室101a内に配設されている場合もある。
また、本実施の形態では冷凍サイクルを構成する減圧器をキャピラリーとしたが、パルスモーターで駆動する冷媒の流量を自由に制御できる電子膨張弁を用いてもよい。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体101の最下部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機109を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
冷凍室107の背面には冷気を生成する冷却室110が設けられ、風路141と区画されており、各貯蔵室と断熱区画するために構成された奥面仕切り壁111が構成されている。冷却室110内には、冷却器112が配設されており、冷却器112の上部空間には強制対流方式により冷却器112で冷却した冷気を冷蔵室104、切替室105、製氷室106、野菜室108、冷凍室107に送風する冷却ファン203が配置される。
風路141にはダンパー装置241が設けられ風路内の風量調整を行なうもので、本実施の形態では冷蔵室104への風量調整により室内の温度を所定の温度範囲となるようにしている。
また、冷却器112の下部空間には冷却時に冷却器112やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためのガラス管製のラジアントヒータ114が設けられている。
野菜室108には、野菜室108の引き出し扉118に取り付けられたフレームに載置された収納容器119が配置されている。
野菜室108の上部には、野菜室108内を冷却し熱交換された冷気が冷却器112に戻るための野菜室用の吸込み口126と野菜室108の上部に設置される吸込み口カバー126aが吸込み口126を覆うように設けられている。なお、熱交換された冷気は吸込み口カバー126aに設けた開口部から取り込まれ吸込み口126を通り、冷却室110まで運ばれて、冷却されたのち冷蔵庫内を循環していく。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった扉に取り付けられたフレームと内箱に設けられたレールにより開閉するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂と、風路141や冷却室110を隔離し、貯蔵室の断熱性を確保するための発泡スチロールなどの断熱材とで構成されている。
野菜室108の上部には外郭ケース127が設けられており、その内部にミスト噴霧装置131が設置されている。
本実施の形態では、ミスト専用区画は、ミスト噴霧装置を覆う外郭ケース127で形成しており、外郭ケース127内空間はミスト噴霧装置131が備えられた貯蔵室である野菜室108から風路141へ冷気を戻す吸込み口と連通している。
ミスト噴霧装置131は、空気中の水分を結露させることで生成する結露水を用いてミストが噴霧されるものであって、主に霧化部139、電圧印加部133、伝熱冷却部材である冷却ピン134で構成され、外郭ケース127には湿度供給口138が設けられている。
霧化部139は、その先端からミストを噴霧する霧化電極であって白金やチタンなどで構成されている。霧化部139は、アルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材からなる伝熱冷却部材である冷却ピン134とアルミナなどの電気絶縁材料を介して近接し、冷却ピン134のほぼ中心部に位置するように固定されている。
また、冷却ピン134の素材はアルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、冷却ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱材152で覆われていることが望ましい。
また、本実施の形態では、冷却ピン134の形状を円柱としたので、断熱材152に嵌め込む際に、少し嵌め合い寸法がきつくてもミスト噴霧装置131を回転させながら圧入し取り付けることができるので、より隙間無く冷却ピン134を取り付けることができる。
また、冷却ピン134の形状は直方体や正多角形体でもよく、これらの多角形の場合は、円柱と比較して位置決めがしやすく、正確な位置にミスト噴霧装置131を備えることができる。
冷却ピン134は断熱材152の内部を介してその先端を冷凍室107側に凸状に延出させている突出部134aを有している。この突出部134aの先端面および周囲には断熱材を備えず、冷凍室内壁となるABSなどの樹脂で成型された内壁も同様に凸状に冷蔵室107側に延出している。この延出部は、冷凍室107を引き出し式の貯蔵室としているので、内部の収納容器によって扉を開けた場合でも使用者の目に入らない配置としている。
冷凍室107の温度は−22℃〜−15℃であり、冷却ピン134の先端を延出することで、より効果的に冷却ピン134の全体を冷却することができる。あるいは、冷却ピン134の先端表面を冷凍室107に露出させるという構成でも良い。さらには、冷却ピン134を断熱材152の中に埋め込んだ状態でも良いが、この場合は冷却ピン134の冷却効果が本実施の形態の場合よりも小さくなる。
ここで、冷凍室107の冷気によって冷却された冷却ピン134は熱伝導によって霧化部139を冷却し、露点以下の温度となった霧化部139の表面に結露が生じ、この結露水を用いてミストが噴霧されることとなる。
また、霧化部139に対向している位置で貯蔵室(野菜室108)側にドーナツ型の内部が中空となった円盤状の対向電極136が、霧化部139の先端と一定距離を保つように取付けられている。
さらに、霧化部139の近傍に電圧印加部133が構成され、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されている。
霧化部139近傍では、ミスト噴霧のため、常に放電が起こるため、霧化部139先端では、磨耗を生じる可能性がある。冷蔵庫100は、一般に10年以上の長期間にわたって運転することになるので、霧化部139の表面には表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
対向電極136は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
電圧印加部133は、冷蔵庫本体の制御手段146と通信、制御され、冷蔵庫100もしくはミスト噴霧装置131からの入力信号で高電圧印加のON/OFFを行う。
本実施の形態では、電圧印加部133をミスト噴霧装置131内に設置しており、貯蔵室(野菜室108)内は低温高湿雰囲気となるため、電圧印加部133の基板表面上には、防湿のためのボールド材やコーティング材を塗布している。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。
ここで低温低圧の液冷媒は各貯蔵室内の冷気と熱交換され、冷却器112内の冷媒は蒸発気化する。蒸発気化時には周囲から気化熱を奪うことで、冷却室110内で各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。低温冷気は冷却ファン203から冷蔵室104、切替室105、製氷室106、野菜室108、冷凍室107に冷気を風路141やダンパー装置241を用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。特に、野菜室108は、冷気の配分や加熱手段(図示せず)などのON/OFF運転により2℃から7℃になるように調整され、一般的には庫内温度検知手段を持たないものが多い。
冷蔵庫100の各貯蔵室を循環する冷気の流れを図3により説明する。各貯蔵室の冷気は、冷却ファン203が作動することで風路141を通じて冷却室110へ戻ってくる構造となっている。戻ってきた冷気は冷却器112を通過するときに熱交換されて冷却されて、風路を通じて各貯蔵室へと供給される。
この風路141において、冷却器112から各貯蔵室へ冷気が流れる風路141を吐出風路141aとし、各貯蔵室を冷却した後の冷気が書く貯蔵室から冷却器112へ冷気が流れる風路141を吸込み風路141bとし、風路141の簡単な構造を図3に示した。
まず冷却室110で熱交換された冷気は、冷凍室107、切替室105、製氷室106へ供給されるとともに、冷却器112から冷蔵室104へ流れる吐出風路141a内に備えられたダンパー装置241が開いている時には、冷蔵室104へ冷気が供給される。また、ダンパー装置241を通過した冷気は冷蔵室104内へ向かう風路141と枝分かれした野菜室108へ通じる吐出風路141aを通じて、野菜室108へと供給される。
なお、各貯蔵室を冷却した後の冷気は再び、吸込み風路141bを通じて冷却室110へと戻ることとなり、このサイクルを繰り返すことで冷蔵庫を所定の温度に冷却する。
ここで野菜室108を循環した冷気は、吸込み風路141bへの入り口である吸込み口126を通じて冷却室110へと戻るが、図4、図5に示す通り、ミスト噴霧装置131はミスト専用区画である外郭ケース127に収納されており、外郭ケース127には野菜室108の高湿冷気を取り込むための開口部である湿度供給口138が設けられている。
取り込まれた高湿冷気は冷凍温度帯からの熱伝導によって露点以下となった霧化部139で冷却されて、結露してミストが噴霧される。この時、噴霧されたミストはミスト専用区画内に充満したうえで、分流部によって、野菜室108へ供給されるか、他の貯蔵室へ供給されるかが変化する。
本実施の形態では、分流部に冷却ファン203を備え、冷却ファン203の作動の有無によってミストを供給する貯蔵室を切り換える構成としている。
具体的には、冷却ファン203が停止している場合には、ミスト専用区画内に充満しているミストは開口部147を介して、野菜室108内へと供給され、冷却ファン203が作動しているときは、外郭ケース127は吸込み口126と連結しているので、吸込み口126、風路141を通じて冷却室110へミストが運ばれて、冷却室を介して吐出風路
141aに流れる冷気の流れに乗って冷蔵庫100の各貯蔵室に供給される。
また、吸込み口カバー126aは吸込み口126と連結しており、野菜室108の冷気を開口部147から取り入れて、吸込み口126、吸込み風路141bを通じて冷却室110へ運ぶようになっている。
ここで、本実施の形態では外郭ケース127と吸込み口カバー126aとは連通し、さらに連結している。なお、外郭ケース127が吸込み口カバー126aを兼用されることもあり、その場合、湿度供給口138が開口部147の役割も兼用することができる。
冷却ピン134を冷却する冷却手段である冷凍室107内の冷凍温度帯の冷気は、冷却システムの運転により冷却器112で生成し、冷却ファン203により−15〜−25℃程度の冷気が流れ、伝熱冷却部材である冷却ピン134が例えば0〜−10℃程度に冷却される。
このとき、冷却ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、冷却ピン134を介して霧化部139も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
ここで、野菜室108の温度は2℃から7℃で、冷却ピン134の野菜室208側は、周辺の空気と10℃以上の温度差が生じ、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので霧化部139は露点温度以下となり、霧化部139に水が生成し、水滴が付着する。
水滴が付着した霧化部139に電圧印加部133により高電圧(例えば4〜10kV)を印加させてコロナ放電が起こし、霧化部139の先端の水滴が、静電エネルギーにより微細化され、霧化される。さらに液滴が帯電しているためレイリー分裂により数nmレベルの電荷をもったナノレベルの微細ミストと同時に、オゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μAレベルであり、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力となる。
具体的には、霧化部139を基準電位側(0V)、対向電極136を高電圧側(+7kV)とすると、霧化部139先端に付着した結露水は、霧化部139と対向電極136間の冷気絶縁層が破壊され、静電気力でコロナ放電が起こる。このとき結露水は帯電し、微細な粒子となる。さらに対向電極136がプラス側のため帯電した微細ミストは引き寄せられ、液滴がさらに微粒化され、ラジカルを含んだ数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストが対向電極136に引き寄せられ、その慣性力により、外郭ケース127内に微細ミストが噴霧される。
なお、霧化部139に水がないときは、放電距離が離れ、冷気の絶縁層を破壊することができず、放電現象が起こらない。これにより霧化部139と対向電極136間に電流が流れず、霧化は起こらない。
また、霧化部139を直接冷却することなく、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却することで間接的に霧化部139を冷却することができ、伝熱冷却部材である冷却ピン134が霧化部139よりも大きな熱容量を有するようにすることで、霧化部139に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化部139を冷却することができ、また、蓄冷の役割を果たすことにより霧化部139の急激な温度変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
霧化部139の温度が1K下がれば、その先端の水生成スピードは約10%程度上昇す
る。しかし、霧化部139が極度に冷却されると結露スピードが急激になり、それに伴い結露量が多大となり霧化部139の負荷の増大によるミスト噴霧装置131への入力の増大および霧化部139の凍結、霧化不良が懸念されるが、本実施の形態ではこのような霧化部139の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱冷却部材である冷却ピン134の形状は、円柱状や直方体や正多角形体でもよいが、円柱の方が断熱材152に嵌め込むとき、ミスト噴霧装置131を傾けながら取り付けることができる。逆に、多角形の場合は、円柱より位置決めがしやすい。
また、伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、冷却ピン134を熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気との熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部139を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材である冷却ピン134および霧化部135の冷却を行うことができるので、省エネルギーで霧化を行うことができる。
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱冷却部材である冷却ピン134の霧化部139から最も距離の離れた遠い部分である冷凍室107に延出する部分から冷却することで、冷却ピン134の大きな熱容量を冷却した上で、冷却ピン134によって霧化部139が冷却されることで、冷却手段である冷蔵温度帯の冷気の温度変化が霧化部139に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
このように、伝熱冷却部材である冷却ピン134は、ある程度の熱容量を確保できており、冷凍室107の冷気との熱伝導の応答を緩和することができるので、霧化部139の温度変動を抑制することができ、また蓄冷部材としての働きを有することになるので、霧化部139の結露発生の時間を確保し、凍結も防止することができる。
霧化電極135で発生した微細ミストは、ミスト専用区画である外郭ケース127内に噴霧されるが、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、開口部である湿度供給口138を通じて野菜室108にも微細ミストが拡散する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室108内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
ここで、霧化部139に水がないときは、放電距離が離れ、冷気の絶縁層を破壊することができず、放電現象が起こらない。これにより霧化部139と対向電極136間に電流が流れない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできる。
また、本実施の形態において、電圧印加部133はポッチング材やコーティング材よる防湿・防水構造をとることにより回路の保護を行っている。
なお、電圧印加部133を貯蔵室外に設置する場合は、上記対応を行わなくてもよい。
ミスト噴霧装置131からミストを噴霧するタイミングは図6によって説明する。まず、冷蔵庫100において冷却ファン203は冷却室110で生成する冷気を全貯蔵室へ供給するために定期的にON/OFFをしており、ON時に冷却ファン203が動作し、OFF時に冷却ファン203は停止している状態となる。
また、分流部としてのダンパー装置241は冷蔵室104、野菜室108へ冷却室110で生成する冷気を分配するために定期的に開閉しており、この開閉に伴って冷蔵室104、野菜室108へのミスト供給を切り換えることが可能となる。
ここで本実施の形態1では、分流部としての冷却ファン203が動作する時に高電圧が印加される場合(噴霧2)があり、この時に発生したミストが吸込み口126を通じて冷却室110へと取り込まれるとともに、冷却室110と連通している冷凍室107、切替室105、製氷室106へとミストが供給される。
またこの時、ダンパー装置241が開いている場合には、冷蔵室104へ吐出風路141aを通じてミストが供給される。
また、分流部である冷却ファン203が動作しない時にも高電圧が印加される時(噴霧1)があり、このときミストは野菜室108内に噴霧される。このように冷却ファン203が停止している場合は、ミストは吸込み口126を通過することはなく、外郭ケース127内に充満した後、拡散し、湿度供給口138や吸込み口カバー126aの開口部147を通じて野菜室108内に供給される。
以上のように、本実施の形態1においては、ミスト噴霧装置131は野菜室108内のミスト専用区画に設けられた外郭ケース127内に収納されており、外郭ケース127は野菜室108から冷却室110へ室内冷気を戻す吸込み口126と連結されており、外郭ケース127における野菜室108に対する面に開口部である湿度供給口138が設けられている。この時、分流部である冷却ファン203の作動の有無によってミストを供給する貯蔵室を切り換えるものであり、冷却ファン203が作動していない場合には、ミスト噴霧装置が備えられた貯蔵室である野菜室108にミストが噴霧され、冷却ファン203が作動している場合には、ミスト噴霧装置が備えられた貯蔵室以外の他の貯蔵室へミストが噴霧される。
さらに、外郭ケース127は野菜室108の吸込み口126に連結されているため、ミストがその他の貯蔵室へ拡散できる経路が形成されるとともに、ミストは冷却ファン203が動作するときに噴霧されているので、冷却ファン203による強制対流を利用して、他の貯蔵室へミストが自ずと供給される構成が冷蔵庫100において実現できる。
よって、冷凍サイクル内の部品である冷却ファン203を利用して、冷気の流れに乗せた強制対流によってミストを分流させることができ、簡単な構成で確実に必要に応じた任意の貯蔵室へミスト供給を行うことが可能となる。
なお、ミスト噴霧装置131が設けられた野菜室108へのミストの供給は、ミスト専用区画を形成する外郭ケース127に設けられた湿度供給口138を通じて、主に冷却ファン203が動作しないときに行われる。
また、コロナ放電で霧化をおこなう方式である静電霧化を用いた場合には、ナノレベル
の微細ミストが生成され、この微細ミストが霧化されて噴霧されることで野菜等の青果物の表面に均一に付着し、食品の保鮮性を向上させることができる。
さらに、発生した微細ミストに、オゾンやOHラジカルなどが含まれ、これらの酸化力により、野菜室108内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することができると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することができる。
また、本実施の形態では、ミスト噴霧装置131が設けられた野菜室108の室内冷気を冷却室110に戻す吸込み口126を覆い、かつ湿度供給口138を有する吸込み口カバー126aが設けられており、ミスト噴霧装置131を収納する外郭ケース127と吸込み口カバー126aとが連結されている。
これによって、野菜室108内を設定温度に維持するため定期的に冷却室110へ冷気を送り込むための吸込み口カバー126aと、ミスト噴霧装置131を収納し湿度供給口138から野菜室108内の高湿冷気を取り込み結露水を発生させるので、ミストが備えられている貯蔵室だけでなく、その他貯蔵室へも十分な量のミストを供給するためのミスト専用区画を有することとなり、それぞれの機能を追求すべく外郭ケース127、吸込み口カバー126aの本体や開口部等の形状やサイズの最適化を図ることができる。
また、本実施の形態では、冷却室110と、貯蔵室とが繋がる風路141において、冷却室110から貯蔵室への戻り風路には、開閉可能なダンパー装置241を有しており、ダンパー装置241が開いているとき、ミスト噴霧装置によりミストが噴霧される時があるので、生成したミストは、ダンパー装置241が開いているときに風路141を通じてミスト噴霧装置131が設けられた野菜室108以外の冷蔵室104にもミストを供給することができる。
なお、ミスト噴霧装置131が設けられた野菜室108へのミストの供給は、外郭ケース127に設けられた湿度供給口138や吸込み口カバー126aに設けられた開口部147を通じて、主にダンパー装置241が閉じているときに行われる。
なお、本実施の形態において、ミスト噴霧装置131(の霧化部139)でミストが噴霧される貯蔵室を野菜室108としたが、冷蔵室104や切替室105などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、冷蔵庫の商品構成によってミスト専用区画をどの貯蔵室に設置するかを適宜選択することが可能となる。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の縦断面図、図8は本発明の実施の形態2の冷蔵庫における風路と各貯蔵室の位置関係を示す模式図、図9は本発明の実施の形態2の冷蔵庫における吸込みカバーと外郭ケースの配置を示す断面図である。
なお、実施の形態1と同様の構成および同様の技術思想が適用できる部分については、説明を省略するが、実施の形態1の構成に本実施の形態を組み合わせて実施することで不具合がない限り組み合わせて適用することが可能である。
図7〜9に示すように、本実施の形態では野菜室108からの冷気を冷却室110へ戻すための吸込み口126にダンパー装置241が設けられている。ここでダンパー装置は開閉可能であり、開いている時は野菜室の冷気を冷却室へと送りことはもちろんのこと、ミスト噴霧装置131で発生したミストを冷却室へ送り込み、風路を通じて冷蔵室104等の全貯蔵室へミストが拡散していく。
一方、ダンパー装置241が閉じている時は野菜室108の冷気とミスト噴霧装置131で発生したミストは吸込み口126を通過することができず、冷気とミストともに野菜室108内に拡散していくこととなる。
以上のように、本実施の形態2においては、ミスト噴霧装置131が設けられた野菜室108の室内冷気を冷却室110に戻す吸込み口126にダンパー装置241が設けられているので、発生したミストの各貯蔵室への配分がより精度よく制御できる。特に、ミスト噴霧装置131を設けた野菜室108のミスト噴霧量の調整が容易であり、ミスト噴霧量の多少に応じて、ダンパー装置241の開閉という簡易な動作で実施できる。
また、現在、冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されているものが主流になっている。
この炭化水素であるイソブタンは冷気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重であり、圧縮機109の停止時に冷凍システムから可燃性冷媒であるイソブタンが漏洩した場合には冷気よりも重いので下方に滞留することになる。したがって、仮に冷却器112からイソブタンが野菜室108に漏洩したとしても、ミスト噴霧装置131が野菜室108の上面に設置されているため、ミスト噴霧装置131付近が可燃濃度になる可能性を極めて低くすることができるので、ミスト噴霧装置131に高電圧を印加する場合でも、安全性を確保することができる。
(実施の形態3)
図10は本発明の実施の形態3の冷蔵庫における吸込みカバーと外郭ケースの配置を示す断面図、図11は本発明の実施の形態3の冷蔵庫における野菜室の上面図、図12は本発明の実施の形態3の冷蔵庫における外郭カバーの構造を示す立体図である。
なお、実施の形態1または実施の形態2と同様の構成および同様の技術思想が適用できる部分については、説明を省略するが、実施の形態1または実施の形態2の構成に本実施の形態を組み合わせて実施することで不具合がない限り組み合わせて適用することが可能である。
本実施の形態では、図10〜12に示すように外郭ケース127にミスト噴霧装置131に対して上流側に開口部としての湿度供給口142、下流側にそれぞれ開口部としてのミスト排出口143が設けられている。ここで上流、下流とは冷気の流れに応じて述べており、吸い込み口カバー126aから遠い場所に位置するものを上流側とし、他方側すなわち貯蔵室側に位置するものを下流側としている。
また、外郭ケース127は図11に示すように接続部147にて吸い込み口カバー126aと連結しており、冷却ファン203が動作時にミスト噴霧装置131で発生したミストは吸い込み口126に吸い込まれ、その後冷蔵庫100の全室へと拡散していく。
本実施の形態における外郭ケース127の内部の構造は図12に示す通りであり、ミスト噴霧装置131と制御基板144を収納しており、湿度供給口142、ミスト排出口143や冷蔵庫100への取り付けや外郭ケース127の強度確保のための各種リブが構成されている。
ミスト噴霧装置131の冷却ピン134の上面にはブチルテープ145とアルミテープ146を貼付しており、アルミテープ146は冷凍室107の底面に接している。
ここで、ブチルテープ145は冷却ピン134を隙間なく取り付けるため寸法公差を吸
収する目的で貼付している。また、アルミテープ146は冷却ピン134のおよそ中間部まで貼付することでブチルテープ145において形成される温度勾配の影響を低減し、冷凍室107の冷気を有効に活用して霧下部139を効果的に冷却させている。
湿度供給口142とミスト排出口143はそれぞれ複数の穴で構成しており、本実施の形態では穴の寸法はともに縦12mm、横4mmの長方形としている。この程度の寸法であれば冷蔵庫100の運転中にも使用者が誤って指などを外郭ケース127の内部で入れることがないので、ミスト噴霧装置131で印加される電圧によって使用者が感電する心配がない。
制御基板144は高圧印加部133を有しており、霧化部139と対向電極136との間に高電圧を定期的にON/OFFさせる役割を持っている。
以上のように、本実施の形態3においては、外郭ケース127に貯蔵室108と連通する湿度供給口142、ミスト排出口143が設けられており、湿度供給口142はミスト噴霧装置131に対して上流側に設けられ、ミスト排出口143はミスト噴霧装置131に対して下流側に設けられているので、主に冷却ファン203が停止しているときに、外郭ケース127内で四方へ拡散するミストを湿度供給口142、ミスト排出口143からもれなく貯蔵室108へ供給することができる。
また、ミスト排出口143の面積の大きさによって、ミスト噴霧装置131が設けられた貯蔵室108へのミスト供給量を調整することができ、他貯蔵室への過剰なミスト拡散を抑制することができ、冷蔵庫全室に対して均衡が取れたミスト拡散が実現される。
さらに、冷却ファン203作動時には湿度供給口142、ミスト排出口143から貯蔵室108内の高湿な冷気を取り込むが、風の流れは湿度供給口143からミスト排出口の方向に流れており、ミスト噴霧装置131へ供給される高湿冷気は湿度供給口142から取り込まれたものだけとなるが、湿度供給口142から取り込む高湿冷気の風速が大きくなると、ミスト噴霧装置131において結露を発生することができないことがある。
ここで本実施の形態ではミスト排出口143が設置されているので、湿度供給口142から取り込む高湿冷気の風速を低減してミスト噴霧装置131において結露を発生できるように調整することができ、ミスト噴霧の安定性を高めることができる。
(実施の形態4)
図13は本発明の実施の形態4の冷蔵庫における吸込みカバーと外郭ケースの配置を示す断面図、図14は本発明の実施の形態4の冷蔵庫における野菜室の上面図、図15は本発明の実施の形態4の冷蔵庫における外郭カバーの構造を示す立体図、図16は本発明の実施の形態4の冷蔵庫におけるミスト拡散調整材の形状例を示す立体図である。
なお、実施の形態1から実施の形態3と同様の構成および同様の技術思想が適用できる部分については、説明を省略するが、実施の形態1から実施の形態3の構成に本実施の形態を組み合わせて実施することで不具合がない限り組み合わせて適用することが可能である。
本実施の形態では、図13〜15に示すように外郭ケース127の接続部147にミスト拡散調整材148が接続部147の断面積を絞るように設けられており、ミスト噴霧装置131で発生したミストが冷却ファン203動作時に吸い込み口126の方向へ拡散するときに障壁となり、ミスト拡散量の調整がされることになる。
なお、本実施の形態ではミスト排出口143を設けているが、ミスト拡散調整材148により冷蔵室104や野菜室108などの各貯蔵室へのミスト分配量を調整することが可能であるのでミスト排出口143を省略することもできる。
また、ミスト拡散調整材148の作用はミスト噴霧装置131で発生したミストの吸い込み口126方向への拡散を抑制するものであり、接続部147の断面積を絞ることができるのであれば形状は問われない。図15ではミスト拡散調整材148は四角形の板状としているが、図16に示すようにL字型のミスト拡散調整材148aや開口部149を有するミスト拡散調整材148bであってもよい。
以上のように、本実施の形態4においては、外郭ケース127においてミスト噴霧装置131に対する上流側に湿度供給口142が設けられ、ミスト噴霧装置131に対する下流側にミスト拡散調整材148が設けられているので、ミスト噴霧装置131で発生したミストはミスト拡散調整材148が障壁となり、吸い込み口126方向への拡散が抑制され、冷凍室107や冷蔵室104などへの過剰なミスト拡散を抑制することができ、冷蔵庫全室に対して均衡が取れたミスト拡散が実現される。
(実施の形態5)
図17は本発明の実施の形態5における冷蔵庫の一部の縦断面図である。
本実施の形態は、貯蔵室の配置構成を冷蔵室の隣接貯蔵室に野菜室を設置したものである。
なお、実施の形態1から実施の形態4と同様の構成および同様の技術思想が適用できる部分については、説明を省略するが、実施の形態1から実施の形態3の構成に本実施の形態を組み合わせて実施することで不具合がない限り組み合わせて適用することが可能である。
図のようにミスト専用区画510を形成する外殻ケース127は、ミスト噴霧装置131が備えられた貯蔵室として野菜室108側が常にミスト専用区画510と連通しており、隣接する隣接貯蔵室として、野菜室とおよそ10℃未満の庫内温度差の貯蔵室である冷蔵室との間の仕切り壁内に設けられている。このように隣接貯蔵室との温度差が10℃未満である場合には、仕切り壁内に断熱材を注入することなく、このような仕切り壁のみの空気断熱で断熱性を保持することが可能であるので、仕切り壁内の空間を用いてミスト専用区画を形成することができる。
このように隣接区画との温度差が小さい場合には、冷凍温度帯で冷却することで結露を行うことで水供給を行うタイプは配置上難しいため、冷蔵室側から取り外し可能な水タンク501をミスト噴霧装置131に備えている。
このような水タンクを備えたミスト噴霧装置131はミスト専用区画を形成する外郭ケース127内に備えられている。
また、外郭ケース内は風路141と連通しており、ミスト専用区画に貯留されたミストが風路141を介してミスト噴霧装置131が備えられた貯蔵室である野菜室108以外の貯蔵室へ分流部によって供給することができる。
また、本実施の形態では貯蔵室間の仕切り壁内にミスト噴霧装置131が備えられているので、どちら側の貯蔵室がミスト噴霧装置131が備えられている貯蔵室であるのかが一義的には判断できないが、本実施の形態のように常に連通している開口部143が野菜室108側にあり、自然拡散によると野菜室108に多量のミストが噴霧されることから
、本発明におけるミスト噴霧装置131を備えた貯蔵室は野菜室108であると定義する。
この分流部による分流方法は実施の形態1と同様に風路141内に備えられた冷却ファン203の作動の有無によってミストを供給する貯蔵室を切り換える構成や、ダンパー装置241の開閉によってミストを供給する貯蔵室を切り換える構成が適用できるものとする。
以上のように構成された冷蔵庫によると、貯蔵室間のデッドスペースを上手く利用して、ミスト専用区画を設けることができ、ミスト専用区画が貯蔵室の内容積に影響せず、より大容量の収納量を備えた冷蔵庫を実現できる。
また、風路141とこの仕切り壁内の外郭ケース127を連通することで、簡単な構成で分流手段を用いて必要な貯蔵室にミストを供給することが可能となる。
また、結露方式でなくても水タンク501を用いてコロナ放電による霧化を行うことができる。
なお、本実施の形態では、ミスト噴霧装置131が備えられた貯蔵室と隣接貯蔵室との温度差が10℃未満であるものとしたが、冷蔵温度帯と冷凍温度帯といった10℃〜20℃といった、前記ミスト専用区画は前記貯蔵室から前記風路へ冷気を戻す吸込み口と連通している場合には、仕切り壁内に断熱材が注入されているので、仕切り壁内を隣接貯蔵室と貫通させることは難しいが、一部の断熱壁に凹部を形成し、横に長く広いミスト専用空間を形成することが可能である。
なお、本実施の形態においては、水タンク501を隣接貯蔵室の間に備え、着脱可能で使用者が水補給を行う構成としたが、例えば、冷蔵室104内に備えられている自動製氷用のタンクから分岐させて自動でタンクに水を供給する方式であっても良く、水供給の手間が省け、使用者にとって使い勝手のよいミスト噴霧装置131を備えることが可能となる。