請求項1に記載の発明は、断熱区画された貯蔵室と、前記貯蔵室内において前記貯蔵室の環境と異なる環境に設定された区画と、前記区画内にミストを噴霧させる霧化部と、前記霧化部に備えられたミストが噴霧される霧化先端部と、前記霧化先端部の温度を調整する温度調整手段と、前記霧化先端部の温度を検知する温度検知手段とを有し、前記温度調整手段で前記霧化先端部を露点以下に調整し、空気中の水分を結露させて貯蔵室にミストを噴霧する冷蔵庫において、前記霧化部は霧化先端部である霧化電極と熱的に接続された伝熱接続部材を有し、温度調節手段によって前記伝熱接続部材を冷却または加熱することで間接的に前記霧化先端部の温度調整を行うもので、前記温度調整手段は、冷却手段と加熱手段とを有し、前記冷却手段は冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源であり、前記加熱手段はヒータであり、前記霧化部は前記貯蔵室の冷却室側の仕切り壁に取り付けたもので、前記伝熱接続部材は、良熱伝導部材からなる円柱状の金属ピンで構成され、前記霧化電極に比べ50倍以上の熱容量で、前記貯蔵室の冷却室側の仕切り壁の凹み部に嵌合した冷蔵庫である。
このように、霧化先端部が過剰に結露することを防止するための調整手段を備えたことにより、霧化電極に結露する液滴の大きさもしくは量を調整することができるので、結露状態が安定し、安定的にミスト噴霧を行うことができるとともに霧化先端部の過剰結露を防止し、霧化部の信頼性を向上させることができる。
また、霧化部の温度を検知する温度検知手段を備えているので、検知する温度に応じて冷蔵庫の運転状態(各室の温調制御)によらず、個別に電極冷却部材を介して霧化先端部の温度制御を行うことができるので、より効率的で、かつ省エネルギーで霧化先端部の温度調節を行うことができる。
また、赤外線センサーは、貯蔵室と保存室とを断熱区画する断熱仕切り部に設置されたものである。
また、貯蔵室内の余剰な水蒸気から容易に、確実に霧化電極に結露させ、また、その水量を調整することができ、微細ミストが生成され、噴霧された微細ミストが食品または青果物の表面に均一に付着し、食品の乾燥や青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させることができる。また、貯蔵室空間を高湿に維持できるので、ラップなしでの食品収納、また、青果物表面の細胞間隙や気孔等から、組織内に浸透し、萎んだ細胞内に水分が供給され、シャキッとした状態に復帰させることができる。
また、高湿環境においては、菌が繁殖しやすくなるが、本発明の微細ミストに含まれる反応性の非常に高いラジカルによって、同時に抗菌作用が働くので、貯蔵室空間や食品そのもののクリーン性を向上させることができる。
また、霧化部は霧化先端部である霧化電極と熱的に接続された伝熱接続部材を有し、温度調節手段によって前記伝熱接続部材を冷却または加熱することで間接的に前記霧化先端部の温度調整を行うものである。
これによって、冷却手段と加熱手段とを組み合わせることで容易に霧化先端部の温度を調整することができるので、霧化先端部に付着する水量を適切な範囲に調整することで放電が安定し、安定的にミスト噴霧を行うことができ、さらに霧化先端部の過剰結露を防止し、霧化部の信頼性を向上させることができるので、より保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
また、霧化電極先端に低温の液滴が残留しても、加熱手段によりその液温を上昇させることにより、液滴の表面張力を低下させることができ、それにより低電圧の高圧印加で微細ミストが発生できるので省エネルギー化が図れる。
また、霧化先端部を直接冷却することなく、伝熱接続部材を冷却することで間接的に霧化電極を冷却することができ、伝熱接続部材が霧化先端部よりも大きな熱容量を有することで、調整手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化先端部の温度を調整することができ、霧化先端部の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
さらに、霧化先端部が過剰結露を防止するための霧化先端部の温度制御も容易に行うことが可能となり、霧化先端部に結露する液滴の大きさもしくは量を調整することができるので、安定的に噴霧することができ、さらに信頼性を向上させることができる。また、霧化先端部を個別に温度調整できるので、霧化先端部および伝熱接続部材の温度が必要以上に上昇することなく、適切な範囲で確実に霧化先端部および伝熱接続部材を冷却、加温することができる。
また、霧化先端部の温度を調整する温度調整手段は、冷却手段と加熱手段とを有するものである
これによって、冷却手段と加熱手段とを組み合わせることで容易に霧化先端部の温度を調整することができるので、霧化先端部に付着する水量を適切な範囲に調整することで放電が安定し、安定的にミスト噴霧を行うことができ、さらに霧化先端部の過剰結露を防止し、霧化部の信頼性を向上させることができるので、より保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
また、冷却手段は冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源であり、加熱手段はヒータである。
これによって、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を有効に用いることで、簡単な構成で貯蔵室へ微細ミストを供給することができるので、霧化部の信頼性を向上させることができる。また、冷却手段用として装置および電力を必要としないので、省材料でかつ省エネルギーでのミスト噴霧を実現することができる。
さらに、冷蔵庫の運転状態(各室の温調制御)によらず、個別に伝熱接続部材を介して霧化先端部の加熱を行うことができるので、より効率的で、かつ省エネルギーで霧化先端部の温度調節を行うことができる。
また、霧化先端部の過剰結露を防止するために調整手段の加熱手段がヒータであることにより、霧化先端部の先端温度の温度制御を容易に行うことが可能となり、霧化先端部に結露する液滴の大きさもしくは量を調整することができるので、安定的に噴霧することができ、さらに信頼性を向上させることができる。
また、冷蔵庫本体は複数の貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却するための冷却器を収納する冷却室とを有し、霧化部は前記貯蔵室の冷却室側の仕切り壁に取り付けたものである。
これによって、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却される冷気の中でも最も低温となる冷却室の冷気もしくは冷気からの熱伝達を利用したパイプ、冷媒配管等の部材を冷却手段とすることができる。このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材および霧化電極の冷却を行うことができるので、より省エネルギーで霧化を行うことができる。
また、霧化部を仕切り壁に取り付けたことにより、霧化部が貯蔵室内に大きく出張らず間隙を有効に利用する位置に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加え、冷蔵庫本体は、貯蔵室もしくは冷却室に冷気を搬送するための少なくとも1つの風路を有し、冷却手段は冷却室で生成された冷気を用いるものである。
これによって、冷気を用いた間接的な熱伝導で伝熱接続部材および霧化先端部を冷却することで、霧化先端部が極度に冷却されることを防ぐことができる。霧化先端部が極度に冷却されると、それに伴い結露量が多大となり霧化部の負荷の増大による霧化部への入力液滴表面面積が大きくなり、それに伴い表面張力も大きくなり、静電気力による微細化ができず、霧化部の霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。さらに、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材および霧化電極の冷却を行うことができるので、より省エネルギーで電極に水滴を結露させ霧化を行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明に加え、加熱手段は霧化部と一体的に備えられたヒータである。
これによって、霧化先端部が過剰結露を防止するために調整手段に備えられた加熱手段がヒータであることにより、霧化先端部の温度制御を容易に行うことが可能となり、霧化先端部に結露する液滴の大きさもしくは量を調整することができるので、安定的に噴霧することができ、さらに信頼性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明に加え、温度調整手段に、冷却器または前記冷却器付近のより低温を熱搬送可能なヒートパイプを利用したものである。
これにより、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却される冷気の中でも最も低温となる冷却室で生成された冷気、もしくは冷却器そのものや冷媒配管等の部材からの熱源をヒートパイプで熱搬送することができる。このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して電極冷却部材を介して霧化電極の冷却を行うことができるので、省エネルギーで霧化を行うことができる。また、特別な装置および電力を必要としないので、省材料でかつ省エネルギーでのミスト噴霧を実現することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明に加え、温度調整手段は、ペルチェ素子を利用したものである。
これによって、ペルチェ素子への印加電圧だけで霧化電極の温度が調整でき、霧化電極を単独で任意の温度に容易に調節することが可能である。
また、入力電圧の反転等を行うだけで、冷却と加温の双方を実現できるので冷却手段や加熱手段としてのヒータなどの特別な装置を追加する必要がなく、簡単な構造で冷却と加温を行い、その温度応答性も速くなるので、より霧化部の精度を向上させることが可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明に加え、霧化部は、霧化電極と、前記霧化電極に対向する位置に配された対向電極とを備え、霧化電極と対向電極間に高圧電位差を発生させる電圧印加部を有したものである。
これによって、霧化電極近傍の電界が安定に構築できることによって微粒化現象、噴霧方向が定まり、収納容器内に噴霧する微細ミストの精度をより高めることができ、霧化部の精度を向上させることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明に加え、貯蔵室と、前記貯蔵室に備えられ基準電位部にアースされた保持部材とを有し、電圧印加部は霧化電極と前記保持部材との間に電位差を発生させるものである。
これにより、特に対向電極を持たなくても、貯蔵室側の一部にアースされた保持部材を備えることで、霧化電極と電位差を発生させて、ミスト噴霧を行うことができ、より簡単な構成で安定的な電界が構成されることにより安定的に霧化部から噴霧できる。
また、収納容器側に保持部材を取り付けると、収納容器全体が基準電位になっているので噴霧されるミストが収納容器全体に拡散することができる。さらに、周辺の物体への帯電も防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図である。図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷蔵室近傍の正面図である。図3は、図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。図4は、本発明の実施の形態1における機能ブロック図の一例を示す図である。図5は、本発明の実施の形態1における制御フロー図の一例を示す図である。
図において、冷蔵庫100の断熱箱体101は主に鋼板を用いた外箱102とABSなどの樹脂で成型された内箱103で構成され、その内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材や真空断熱材が充填、埋設されている。これにより、貯蔵室を断熱するのと同時に、複数の貯蔵室に区分されている。冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に第二の貯蔵室としての野菜室107、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室108が構成されている。
冷蔵室104は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、野菜室107は冷蔵室104と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃としている。冷凍室108は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。切換室105は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室105は製氷室106に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引出し式の扉を備えることが多い。なお、本実施の形態では切換室105を冷蔵,冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室104,野菜室107、冷凍は冷凍室108に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切り換えに特化した貯蔵室としても構わない。また、特定の温度帯に固定された貯蔵室でもかまわない。製氷室106は、冷蔵室104内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵する。
断熱箱体101の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室101aを形成して圧縮機109、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機109を配設する機械室101aは、冷蔵室104内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。
よって、従来一般的であった冷蔵庫(断熱箱体101の最下部の貯蔵室後方領域に機械室101aを設けて圧縮機109を配置するタイプの冷蔵庫)では、手が届きにくくデッドスペースとなっていた断熱箱体101の最上部の貯蔵室後方領域に機械室101aを設けて圧縮機109を配置することにより、断熱箱体101の最下部にあった機械室101aのスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、使用者にとって使いやすく、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体101の最下部の貯蔵室後方領域に機械室101aを設けて圧縮機109を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
また、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、各貯蔵室のレイアウトとして、野菜室107が断熱箱体101の最下部に位置し、その上部に冷凍室108を位置させるタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室107と冷凍室108の背面には冷気を生成する冷却室110が設けられ、その間および冷蔵室104の背面には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路141と、その各貯蔵室を断熱区画するための断熱材152とで構成された奥面仕切り壁111が備えられている。風路141と冷却室仕切り板401によって区画された冷却室110内には、冷却器112が配設されており、冷却器112の上部空間には強制対流方式により冷却器112で生成した冷気を冷蔵室104、切換室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に送風する冷却ファン113が配置され、冷却器112の下部空間には冷却時に冷却器112やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためのガラス管製の除霜ヒータ114が設けられ、さらにその下部には除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン115、その最深部から庫外に貫通したドレンチューブ116が構成され、その下流側の庫外に蒸発皿117が構成されている。
冷蔵室104は、通常回転式扉121が取り付けられ、回転扉121の庫内側には上下に多段の収納ケース127が取り付けられている。また、庫内には差し替え自在な収納トレイ128が多段に設置されている。さらに、冷蔵室104最下段のトレイと仕切り壁123の間には、引き出し式の独立した区画であるケース129が設置され、ケース129内の収納空間は冷蔵室104の環境と異なる環境に設定できるようになっている。例えば、ケース129を略密閉系に構成して、冷蔵室104の温度より高湿で若干低い1℃程度のチルド温度や、−2〜−3℃のパーシャル温度に設定することが可能であり、収納食品に合わせた温度帯を提供している。
また、このように、貯蔵室(冷蔵室104)の環境と異なる環境に設定された区画とは、その区画内の空間(ケース129内の空間)が上記記載のような温度帯の変更に加えて、湿度や風の流れ、充満している冷気の性質等が異なることで、異なる環境の収納空間を実現するものである。
また、このように、貯蔵室(冷蔵室104)の環境と異なる環境に設定するとは、上記記載のような温度帯の変更に加えて、湿度や風の流れ、充満している冷気の性質等が異なることで、異なる環境の収納空間を実現するものである。
奥面仕切り壁111に構成され、各収納トレイ128のほぼ間には冷蔵室用吐出口124から吐出される冷気の風路が設けられている。また、奥面仕切り壁111の下部で、最下段のトレイ128の上部には、冷蔵室104内を冷却し熱交換された冷気が冷却器112に戻るための冷蔵室用吸込口126が設けられている。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、冷蔵室吐出口、吸い込み口、風路構成については、収納容器の形態、冷却方式によりそれらは最適化される。
また、野菜室107には、野菜室107の引出し扉118に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器119と、下段収納容器119に載置された上段収納容器120が配置されている。
引出し扉118が閉ざされた状態で主に上段収納容器120を略密閉するための蓋体122が野菜室107の上部の第一の仕切り壁125a及び内箱103に保持されている。引出し扉118が閉ざされた状態で蓋体122と上段収納容器120の上面の左右辺、奥辺が密接し、上面の前辺は略密接している。さらに、上段収納容器120の背面の左右下辺と下段収納容器119の境界部は、上段収納容器120が可動する上で接触しない範囲で食品収納部の湿気が逃げないよう隙を詰めている。
蓋体122と第一の仕切り壁125aの間には、奥面仕切り壁に構成された野菜室用吐出口(図示しない)から吐出される冷気の風路が設けられている。また、下段収納容器119と第二の仕切り壁125bとの間にも空間が設けられ冷気風路を構成している。野菜室107の背面側に位置する奥面仕切り壁の下部には、野菜室107内を冷却し熱交換された冷気が冷却器112に戻るための野菜室用吸込口が設けられている。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった扉に取り付けられたフレームと内箱に設けられたレールにより開閉するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。また、蓋体122、野菜室吐出口、吸い込み口、風路構成については、収納容器の形態によりそれらは最適化される。
また、冷凍室108内の構成ついては、野菜室107の構成とほぼ同様となっている。
冷蔵室104の奥面仕切り壁111は、主にABSなどの樹脂を用いた奥面仕切り壁表面151と発泡スチロールなどを用いて風路141と冷蔵室104の間を隔離する断熱性を確保する断熱材152とで構成されている。ここで、冷蔵室104最下部に設置したケース129の背面側に霧化装置である静電霧化装置131が備えられており、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるような凹部111aもしくは貫通穴を設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。このように、霧化装置が配置される空間と断熱区画された隣接したより低温の冷気が流れる空間との温度差のある箇所に霧化装置を設けることで、隣接空間の冷温冷気を冷却手段として霧化装置に霧化装置が配置される空間からの水分を霧化装置に結露させることで、水分供給を行うことができる。この結露方式での水分供給方法について、より詳しくは後述の金属ピン134の説明の部分にて説明を行う。
通常このケース129は、チルド温度帯に設定した他の冷蔵室104の空間と独立した空間として使用している。
霧化装置である静電霧化装置131は主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。
霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が設置され、霧化電極135は、高電圧発生回路133からの配線で電気的に接続され、アルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる伝熱接続部材である円柱状の金属ピン134の一端でほぼ中心に固定されて接続している。
また、その電気接続部周囲はエポキシ樹脂などの樹脂でモールドされ、長期的な熱伝導の維持や電気接続部への湿度等の侵入を防止するとともに、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極135と伝熱接続部材である金属ピン134を固定する。なお、熱抵抗を低下させるために霧化電極135を伝熱接続部材である金属ピン134に圧入等により固定してもよい。
伝熱接続部材である金属ピン134は、例えば、直径10mm程度、長さが15mm程度の円柱形状で構成されており、直径1mm程度、長さが5mm程度の霧化電極135に比べて50倍以上、好ましくは100倍以上の大きな熱容量を有するアルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、伝熱接続部材である金属ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱部材で覆われていることが望ましい。
さらに、伝熱接続部材である金属ピン134は、貯蔵室と冷却器112もしくは風路を断熱するための断熱材内で冷温を熱伝導させる必要があるので、その長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、その長さを30mm以上にした場合は、その効果は低下する。
なお、貯蔵室に設置された静電霧化装置131が高湿環境下にある場合、その湿度が伝熱接続部材である金属ピン134に影響する可能性があるので、伝熱接続部材である金属ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択したほうが好ましい。
また、本実施の形態では金属ピン134の形状は円柱としたので、断熱材152の凹部111aに嵌め込む際に、少し嵌め合い寸法がきつくても静電霧化装131を回転させながら圧入し取り付けることができるので、より隙間なく金属ピン134を取り付けることができる。また、金属ピン134の形状は直方体や正多角形体でもよく、これらの多角形の場合は、円柱と比較して位置決めがしやすく、正確な位置に霧化装置を備えることができる。
さらに、金属ピン134の中心軸上に霧化電極135を取り付けることより金属ピン134を取り付ける時、回転させても対向電極136と霧化電極135の距離を一定に保つことができ、安定した放電距離を確保できる。
伝熱接続部材である金属ピン134は外郭ケース137に固定され、伝熱接続部材である金属ピン134自体は外郭ケース137から突起して構成されている。また、霧化電極135に対向している位置で貯蔵室側にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取付けられ、その延長上に噴霧口132が構成されている。
霧化電極135近傍では、ミスト噴霧のため、高電圧印加による放電が起こるため、霧化電極135先端では、磨耗を生じる可能性がある。冷蔵庫100は、一般的に10年以上の長時間運転することが多く、霧化電極135の表面は、耐摩耗性を確保するため強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。また、霧化電極135と電圧印加部133との電気接合部は、カシメや圧入等によって接続されており、その電気接合部周囲は、エポキシ樹脂等の樹脂でモールドされている。これによって、霧化電極135と電気接続部の取り付け不良等により発生するリークや異常発熱等を防止でき、安全性を確保することができる。また湿気侵入による材料劣化等を防止できるので、部品の信頼性が向上する。
さらに、霧化部139の近傍に電圧印加部133が構成され、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されている。
対向電極136は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
電圧印加部133は、冷蔵庫本体の制御手段146と通信、制御され、冷蔵庫100もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
また、電圧印加部133は静電霧化装置131に設置され、貯蔵室内の低温高湿雰囲気なるため、その基板表面上には、防湿のためのモールド材やコーティング材を塗布している。
ただし、電圧印加部を貯蔵室外の高温部に設置した場合、ほぼ高電圧印加が常時運転である場合、貯蔵室内が低湿である場合などには、コーティング材をなくすことは可能である。
さらに静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である金属ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露や凍結を防止するための加熱手段としてチップ抵抗等の抵抗発熱体であるヒータ154が霧化部139近傍の伝熱接続部材である金属ピン134の凸部134a側の端面134bに静電霧化装置131と一体的に備えられている。また、ヒータ154は、断熱材152を熱緩和部材として、風路141からの熱影響を直接受けないように断熱材152を介して配置されている。
また、霧化電極135先端の温度を検知するためにサーミスタ212などの温度検知手段が伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極135に近い方に備えられている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが奥面仕切り壁111の凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bに嵌めあわされている。
よって、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側には凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bが備えられており、すなわち風路141側は断熱材152が冷蔵室104の背面側の仕切り壁111における他の部分よりも薄くなっており、この薄い断熱材152を熱緩和部材として、背面からの冷気もしくは暖気が熱緩和部材である断熱材152を介して金属ピン134を冷却するように設置されている。
また、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。また、加熱手段は冷蔵庫100の除霜運転時に発生する暖気の利用や抵抗発熱体であるヒータ154を加熱源として伝熱接続部材である金属ピン134を加熱するとともに、霧化電極135先端の温度を検知するために設けたサーミスタ212などの温度検知手段の検知温度により抵抗発熱体であるヒータ154の入力を可変または通電率を変化させるように制御している。これによって、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露や凍結を防止するとともに、霧化先端部である霧化電極135に供給する結露量を調整できるので、安定した霧化を実現することができる。
このように簡単な構造で調整手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材である金属ピン134および霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギーで霧化を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部139の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接する為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から調整手段によって冷却されることとなる。
さらに、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露や凍結を防止するための加熱手段としてチップ抵抗等の抵抗発熱体であるヒータ154が霧化部139近傍の伝熱接続部材である金属ピン134の凸部134a側の端面134bに静電霧化装置131と一体的に備えられ、霧化電極135先端の温度を検知するためにサーミスタ212などの温度検知手段が伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極135に近い方に備えられているので、冷蔵庫100の冷凍サイクルの状態(温度制御状態)における霧化電極冷却手段である金属ピン134の温度変動を抑制し、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露や凍結を防止するとともに、霧化先端部である霧化電極135に供給する結露量を調整できるので、より安定した霧化を実現することができる。
また、このように断熱材152は熱緩和部材として金属ピン134の少なくとも冷却手段側を覆っているが、好ましくは金属ピンの凸部134aの表面全体をほぼ覆うことが望ましく、この場合には金属ピン134の長手方向と直交する横方向のからの熱侵入が少なくなり、凸部134a側の端部134b側から長手方向に向かって熱伝達が行われる為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から調整手段によって冷却されることとなる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御手段からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫100本体の側面や背面、また冷蔵庫100本体の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫100本体の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリ(図示せず)に至る。その後、キャピラリでは圧縮機109への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器112に至る。ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン113の動作により各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器112内の冷媒は蒸発気化する。この時、冷却室110で各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。低温冷気は冷却ファン113から冷蔵室104、切替室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に冷気を風路やダンパを用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。冷蔵室104は、冷却室110で生成された−15〜−25℃程度の冷気は、冷却ファン113、ダンパ(図示しない)を通り、各収納トレイ128間に設けた冷蔵室用吐出口124から吐出し、冷蔵室104を設定温度(1〜5℃)に冷却し、最下段収納トレイ128の上部に設けた冷蔵室用吸い込み口126から再び冷却器112に戻る循環風路となっている。
このように、ケース129内は冷蔵室用吐出口124から吐出し冷蔵室内を冷却して冷蔵室用吸い込み口126から冷却器112へと戻る冷蔵室内の風が流れる冷却風路とは独立して備えられることで、ケース129内の環境は冷蔵室内の環境とは異なる環境に維持することが可能となる。
また、野菜室107は、冷蔵室104を冷却した後、その空気を冷却器112に循環させるための冷蔵室戻り風路の途中に構成された野菜室用吐出口から冷蔵室104からの戻り空気の一部または全部が野菜室107に吐出し、上段収納容器120や下段収納容器119の外周に流し間接的に冷却し、その後、野菜室用吸込口から再び冷却器112に戻る循環風路になっている。また、野菜室107の温度制御については、冷気の配分や仕切り壁に備えられた仕切り壁ヒータ(図示しない)などのON/OFF運転で行っており、これらの制御により2℃から7℃になるように調整されている。なお、一般的には庫内温度検知手段をもたないものが多い。
冷蔵室104の奥面に設置されている奥面仕切り壁111には、凹部が構成され、この箇所に静電霧化装置131が取り付けられている。ここで、霧化部139に構成されている伝熱接続部材である金属ピン134の後方には最深凹部111bがあり、断熱材の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成され、他の箇所より低温状態になる。本実施の形態の冷蔵庫100においては、この程度の厚みが金属ピンと調整手段との間に位置する熱緩和部材としての適切なものとなる。これにより、奥面仕切り壁111は凹部111aが構成され、この箇所の最背面の最深凹部111bに金属ピン134の凸部134aが突出した形状の静電霧化装置131が嵌めこまれて、取り付けられている。
伝熱冷却部材である金属ピン134背面の風路141には、冷凍サイクルの運転により冷却器112で冷気が生成され、冷却ファン113により−15〜−25℃程度の冷気が吐出されており、この冷凍温度帯の冷気が冷却源となって風路141表面を介して熱伝導で金属ピン134が−5〜−15℃程度に冷却される。このとき、金属ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、金属ピン134に固定された霧化電極135も金属ピン134を介して−5〜−15℃程度に冷却される。
ここで、一般的に低湿環境となる冷蔵室104においても、冷蔵室104内の温度が1℃〜5℃であるため、金属ピン134との霧化先端部である霧化電極135は露点以下となり、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着する。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことができる。
水滴が付着した霧化電極135を負電圧側、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギーにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー分裂により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。なお、電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μA、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力であるため庫内温度への影響は微小である。
具体的には、霧化電極135を基準電位側(0V)、対向電極136を高電圧側(+7kV)とすると霧化電極135先端に付着した結露水が霧化電極135先端に引き寄せられテーラーコーンと呼ばれる略円錐形状を形成し、対向電極136との距離が接近し、これにより空気絶縁層が破壊され、放電が開始する。このとき結露水は帯電し、また、液滴表面に発生した静電気力は表面張力を超え、微細な粒子が発生する。さらに対向電極136がプラス側のため、帯電した微細ミストは引き寄せられ、微細粒子がさらにレイリー分裂により超微粒化され、ラジカルを含んだ数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストが対向電極136に引き寄せられ、その慣性力により、貯蔵室に向けて、微細ミストが噴霧される。
なお、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。また、過剰に結露して水分過多のときは、水滴を微細化するための静電エネルギーが表面張力に勝ることができず放電現象がおこらない。これにより霧化電極135と対向電極136間に電流がながれない。
冷蔵庫100において、冷却器112の温度が下がり始める、つまり冷凍サイクルの運転が開始したとき、冷蔵室104の冷却も開始する。このとき、冷蔵室104にも冷気が流れるため、乾燥状態となり、霧化電極135も乾燥する傾向にある。
次に冷蔵室ダンパ(図示せず)が閉じると冷蔵室吐出空気温度が上昇し、冷蔵室104や野菜室107の温度、湿度は上昇する。このとき、冷却室110内の冷気温度は次第に低下するので、金属ピン134はさらに冷却され、高湿環境に推移した冷蔵室104に設置された霧化部139の霧化電極135は結露しやすくなる。そして、霧化電極135先端で液滴が成長し、液滴先端と対向電極136間の距離がある一定距離になると空気絶縁層が破壊され、放電現象が開始し、霧化電極135先端より微細ミストが噴霧される。その後、圧縮機109が停止、冷却ファン113が停止し、金属ピン134の温度は上昇するものの霧化部139の雰囲気は引き続き高湿であり、また、伝熱接続部材である金属ピン134の熱容量が大きく急激な温度変動を行わない、いわゆる蓄冷の働きをするため霧化は継続する。
そして、再び圧縮機109が運転を開始すると冷蔵室ダンパ(図示せず)が開となり冷気が冷却ファン113により各貯蔵室に搬送し始め、貯蔵室内は低湿状態へ移行し、これにより霧化部139も低湿状態となり、霧化電極135は乾燥し、霧化電極135の液滴は減少もしくは消滅する。
さらに、霧化部139近傍の伝熱接続部材である金属ピン134の凸部134a側の端面134bに設けた抵抗発熱体であるヒータ154を加熱源として伝熱接続部材である金属ピン134を加熱するとともに、霧化電極135先端の温度を検知するために設けたサーミスタ212などの温度検知手段の検知温度により抵抗発熱体であるヒータ154の入力を可変または通電率を変化させるように制御しているので、冷蔵庫100の冷凍サイクルの状態(温度制御状態)における霧化電極冷却手段である金属ピン134の温度変動を抑制し、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露や凍結を防止するとともに、霧化先端部である霧化電極135に供給する結露量を調整できるので、安定した霧化を実現することができる。
冷蔵庫100の通常冷却時は、このようなサイクルを定期的に繰り返しながら、サーミスタ212などの温度検知手段の検知温度により抵抗発熱体であるヒータ154の入力を可変または通電率を変化させるように制御することにより、霧化電極先端の液滴を一定の範囲で調整してさらに安定した霧化を実現している。
さらに、抵抗発熱体であるヒータ154の入力を位相制御することで、細かい制御が可能となり、より最適な温調制御が可能となる。
ここで、冷却器112についた霜、氷を融解し、除去する除霜時には、冷却器112の温度が0℃を超える。このとき、静電霧化装置131背面の風路141の温度も上昇し、この温度上昇に伴って金属ピン134も加温され、霧化電極135の温度も上昇し、先端に付着した結露水は、蒸発し、霧化電極が乾燥する。
また、除霜ヒータは、冷却器の温度がある程度上がるとともに切れるという特性を有しているため、霧化電極135および伝熱接続部材である金属ピン134の温度が上がりすぎることなく、適切な範囲で確実に霧化電極135および伝熱接続部材である金属ピン134を昇温できるという効果を有する。さらに、サーミスタ212などの温度検知手段の検知温度により抵抗発熱体であるヒータ154の入力を可変または通電率を変化させるように制御することにより、より安定した温度制御を可能としている。
また、過剰結露または凍結防止のため、定期的に抵抗発熱体であるヒータ154の入力または通電率を上げて、霧化電極135先端の結露状態をリセット(乾燥)させることも可能である。
なお、本実施の形態では加熱手段は除霜ヒータのみでなく金属ピンヒータ154を備えるものとしたが、金属ピンヒータ154を備えずに除霜ヒータのみで調整手段の加熱手段を構成してもよく、過剰結露が生じた場合でも、このように冷却器112の除霜時のタイミングと合わせて伝熱接続部材である金属ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135が加熱されることで特別な構成を有することなく簡単に過剰な水滴を除去することが可能となる。このように、調整手段として特別なヒータを用いることなく、冷凍サイクル中に備えられている除霜ヒータを用いることで、特別な装置および電力を必要としないので、省材料でかつ省エネルギーでのミスト噴霧を実現することができる。また、冷却器112の除霜時に対応でき、さらに信頼性を向上させている。
冷蔵庫100の実使用状態を考慮したとき、使用される環境、扉の開閉動作、食品収納状態により、貯蔵室内のの湿度状況、加湿量は変化するので霧化先端部である霧化電極135に結露する量が過剰になることも想定でき、場合によれば、霧化電極135全体を覆うほどの液滴になり、放電による静電気力が表面張力を勝ることができず、霧化できない。よって、冷蔵室ダンパが開動作のとき、冷気による除湿に加え、加熱手段である金属ピンヒータ154を通電することにより霧化電極135を加熱する。これにより、付着している水滴の蒸発を促進させ、過剰結露を防止し、継続的・安定的に霧化を行うことができる。また、過剰結露により、液滴が成長し、奥面仕切り壁111などの水たれによる品質劣化を防止することもできる。
このように霧化電極135は、冷蔵庫100の冷凍サイクルを利用して、結露と乾燥を繰り返し、噴霧を断続的に行う。これにより霧化電極先端の水量を調整し、過剰結露の防止を行い、継続的な霧化を実現している。
また、霧化電極135を直接冷却もしくは加熱することなく、伝熱接続部材である金属ピン134を冷却もしくは加熱することで間接的に霧化電極135の温度調節をすることができ、伝熱接続部材134が霧化電極135よりも大きな熱容量を有することで、調節手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化電極135の温度を調整することができ、霧化電極135の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化電極135に対向する位置に配置された対向電極136を備え、霧化電極135と対向電極136間に高圧電位差を発生させる電圧印加部133を有することで、霧化電極135近傍の電界が安定に構築できることによって微粒化現象、噴霧方向が定まり、収納容器内に噴霧する微細ミストの精度をより高めることができ、霧化部139の精度を向上させることができ、信頼性の高い静電霧化装置131置を提供することができる。
さらに、伝熱接続部材である金属ピン134は熱緩和部材である断熱材152を介して冷却もしくは加温されるので、上記のように霧化電極135を金属ピン134で間接的に温度を変化させるものにさらに、熱緩和部材である断熱材152を介して二重構造で間接的に温度を変化させることができ、霧化電極135が極度に冷却もしくは加温されることを防ぐことができる。霧化電極135の温度が1K下がれば、その先端の水生成スピードは約10%程度上昇する。しかし、霧化電極135が極度に冷却されると、それに伴い結露量が多大となり霧化部139の負荷の増大による静電霧化装置131への入力の増大および霧化部139の霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部139の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
さらに、伝熱接続部材である金属ピン134の中心軸上に霧化電極135を取り付けることより伝熱接続部材である金属ピン134を取り付け時、回転させても対向電極136と霧化電極135の距離が一定に保つことができ、安定した放電距離を確保できる。
また、霧化電極135が極度に加熱されると、電圧印加部133および霧化部139周辺の貯蔵室温度が急激に上がり、電気部品の故障や収納物の温度上昇による冷却不良等の不具合が発生するが、こういった霧化部139の温度上昇による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化電極135を伝熱接続部材である金属ピン134と熱緩和部材152とを介して二重構造で間接的に温度調節することで、調節手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極135の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134の温度調節は、冷却室110で生成された冷気およびサーミスタ212などの温度検知手段の検知温度により加熱源となる抵抗発熱体であるヒータ154の入力を可変または通電率を変化させるように制御しており、伝熱接続部材である金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、温度調節手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却、温度検知しながらの加熱制御を行うことができる。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材である金属ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギーで霧化を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の霧化部においては、伝熱接続部材である金属ピン134によって霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部139の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接する為、伝熱接続部材である金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
また、加熱手段である抵抗発熱体であるヒータ154とも霧化部139の中で凸部134a側の端部134bに設置している為、伝熱接続部材である金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から加熱手段である抵抗発熱体であるヒータ154によって加熱されることとなる。
このように調整手段である冷却手段および加熱手段を共に伝熱接続部材である金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側に配置することで、調整手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができ安定して霧化電極の温度調節を行うことが可能となる。
また、霧化部139が取り付けられている奥面仕切り壁111は、貯蔵室側の一部に凹部111aがあり、この凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bに凸部134aを有した霧化部139が挿入されることによって、熱緩和部材152として貯蔵室の仕切り壁を構成する断熱材152を用いることができ、特別な熱緩和部材を備えることなく断熱材の厚みを調整することで霧化電極135が適度に冷却されるような熱緩和部材152を備えることができ、霧化部139をより簡単な構成にすることができる。
また、凹部111aに霧化部139および最深凹部111bに凸部134aを有する金属ピン134を挿入することで、二段の凹部で霧化部139をガタツキなく確実に仕切り壁111に取り付けることができると共に、貯蔵室である冷蔵室104側への出っ張りを抑えることができ、人の手にも触れにくいので安全性を向上させることができる。
また、貯蔵室である冷蔵室104の奥面仕切り壁111を挟んだ外側に霧化部139が出っ張らないので、風路面積に影響を与えず、風路抵抗を増加させることによる冷却量の低下を防ぐことができる。
また、冷蔵室104の一部に凹部があり、そこに霧化部139が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱接続部材134を確実に冷やすとともに、それ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるので貯蔵室内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134は、ある程度の熱容量を確保できているので冷却風路からの熱伝導の応答を緩和することができるので、霧化電極135の温度変動を抑制することができ、また蓄冷部材としての働きを有することになるので、霧化電極135での結露発生の時間を確保し、凍結も防止することができる。さらに、良熱伝導性の金属ピン134と断熱材152を組み合わせることにより損失なく良好に冷熱を伝導することができ、さらに金属ピン134と霧化電極135の接合部の熱抵抗を抑えているので霧化電極135と金属ピン134の温度変動が良好に追従する。また、接合に関しても湿度が侵入することができないので、長期的に熱接合性が維持される。
また、貯蔵室が高湿環境下になる場合、その湿度が金属ピン134に影響する可能性があるので、金属ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行っているので、さび等が発生せず、表面熱抵抗の増加が抑制され、安定した熱伝導が確保できる。
さらに、霧化電極135表面がニッケルメッキや金メッキや白金メッキを用いているので、霧化電極先端の放電による磨耗が抑制され、これにより、霧化電極135先端の形状が維持できるので、長期に噴霧することが可能となり、また、その先端の液滴形状も安定する。
なお、霧化電極135から微細ミストが噴霧されるとき、イオン風が発生する。このとき、湿度供給口138より、新たに高湿な空気が霧化部139に流入するため、連続して噴霧することができる。
発生した微細ミストは、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、貯蔵室内の自然対流にしたがって貯蔵室内に拡散噴霧されるので微細ミストの効果は貯蔵室全体にいきわたる。
噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。貯蔵室内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。また、加工済みの食品、例えばハムやサンドイッチなども乾燥すると劣化しやすいものが多く、霧化されたミストによって貯蔵室空間が高湿化されるため、乾燥を抑制でき、保鮮性が向上する。
さらに、ナノレベルの微細ミストは、OHラジカルなどのラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある。さらに、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加促進、汚れ分解などの効果がある。
ここで、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。また、過剰に結露して水分過多のときは、水滴を微細化するための静電エネルギーが表面張力に勝ることができず放電現象がおこらない。これにより霧化電極135と対向電極間136に電流がながれない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできる。
また、本実施の形態において、電圧印加部133は貯蔵室内の比較的低温で高湿になる可能性のある位置に設置されており、電圧印加部はポッチング材やコーティング材による防湿・防水構造をとることにより回路の保護を行っている。しかし、電圧印加部133を貯蔵室外の高温部に設置した場合、ほぼ高電圧印加が常時運転である場合、貯蔵室内が低湿である場合などには、コーティング材をなくすことは可能である。
霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露や凍結を防止するための加熱手段としてチップ抵抗等の抵抗発熱体であるヒータ154は、霧化部139近傍の伝熱接続部材である金属ピン134の凸部134a側の端面134bに静電霧化装置131と一体的に備えるとともに断熱材152を介して風路141から隔離されている。ヒータ154は、霧化電極135先端の温度を制御し、霧化先端部である霧化電極135に供給する結露量を調整しているので、冷蔵庫100側で静電霧化装置131設置により、特別にな熱源を設けなくて良いので、構成が簡素化できる。
ここで、抵抗発熱体であるヒータ154は、伝熱接続部材である金属ピン134の凸部134a側の端面134bに設けるように説明したが、金属ピン134の胴部に巻き付ける等の設置方法でも可能であり、同じ効果が得られる。
次に図3において、静電霧化装置131から出力される放電電流モニター電圧値と、霧化電極温度検知手段212からの出力信号を冷蔵庫100本体の制御手段146に入力し、静電霧化装置131の高圧を印加させるための電圧印加部133と抵抗発熱体であるヒータ158の動作を決定する。例えば、霧化電極温度検知手段212により霧化電極温度が露点以下と制御手段146で判定されたとき、静電霧化装置131の電圧印加部133の高圧を発生させる。また、霧化電極135が凍結の可能性のある温度や、扉開閉動作が頻繁におこなわれ、野菜室107内が非常に高湿であり、霧化電極135が過剰結露状態と想定される場合、抵抗発熱体であるヒータ158に通電、加熱させ、霧化電極135表面に付着している結露水を融解・蒸発させ、霧化電極135の水量を調整する。
ここで、サーミスタ212などの温度検知手段の検知温度により抵抗発熱体であるヒータ158の入力を可変または通電率を変化させるように制御することにより、より安定した温度制御を可能とし、過剰結露または凍結防止のため、定期的に抵抗発熱体であるヒータ158の入力または通電率を上げて、霧化電極135先端の結露状態をリセット(乾燥)させることも可能となるが、このように霧化電極温度検知手段212を用いているが、冷蔵庫100の冷凍サイクルから温度挙動の推定が容易である場合、温度検知手段はなくてもよい。また、冷蔵室ダンパの挙動により貯蔵室内の湿度が変動するので、冷蔵室ダンパと連動して、電圧印加部133をON/OFFさせてもよい。
次に図4の本実施の形態の一例の機能ブロック図を説明する。
静電霧化装置131から出力される放電電流モニター電圧値211と、霧化電極温度検知手段212と、扉開閉検知部213の信号を冷蔵庫100本体の制御手段146に入力し、静電霧化装置131の高圧を印加させるための電圧印加部133と金属ピンヒータ154の動作を決定する。例えば、霧化電極温度検知手段212により霧化電極温度が露点以下と制御手段215で判定されたとき、静電霧化装置131の電圧印加部の高圧を発生させる。また、霧化電極135が凍結の可能性のある温度や、扉開閉動作が頻繁におこなわれ、野菜室107内が非常に高湿であり、霧化電極135が過剰結露状態と想定される場合、仕切り壁ヒータ154もしくは、金属ピンヒータ154に通電、加熱させ、霧化電極135表面に付着している結露水を融解・蒸発させ、霧化電極135の水量を調整する。
なお、霧化電極温度検知手段212を用いているが、冷蔵庫100の冷凍サイクルから温度挙動の推定が容易である場合、温度検知手段はなくてもよい。また、冷蔵室ダンパ214の挙動により貯蔵室内の湿度が変動するので、ダンパ214と連動して、電圧印加部133をON/OFFさせてもよい。
次に図5の本実施の形態の一例の制御フローを説明する。
霧化電極135温度を制御するため、霧化電極温度判定を行う。ステップ250で霧化電極温度調整モードにいると、ステップ251で霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第1の値T1より高い場合(例えばT1=6℃)、霧化電極135は温度が高温のため結露していない、もしくは、庫内温度が高いと判定し、ステップ252に移行、静電霧化装置131の高圧発生を停止するとともに、金属ピン134を加熱する、例えば、金属ピンヒータ154の通電を停止させる。もし、霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第1の値T1より低い場合、ステップ253に移行する。ステップ253において霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第2の値T2より高い場合(例えばT2=−6℃)、霧化電極135は適温であると判定し、ステップ254に移行、静電霧化装置131の高圧発生を発生させる。ただし、金属ピン134を加熱する手段は動作させない。もし、霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第2の値T2より低い場合、ステップ255に移行する。次に、ステップ255において、霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第3の値T3より高い場合(例えばT3=−10℃)、霧化電極135は、過冷状態であると判定し、ステップ256に移行する。ステップ256により霧化電極135の放電は継続するものの、凍結防止のため金属ピンヒータ154などの加熱手段を動作させる。もし、ステップ255で霧化電極温度TfがT3より低いと判定したときは、霧化電極が凍結していると想定し、放電を停止させ、金属ピンヒータ154などの加熱手段を動作させ、霧化電極135を加熱・昇温させ、優先的に霧化電極135に付着した霜・氷を融解する。
ステップ252、ステップ254、ステップ256、ステップ257終了後は、一定時間経過後、初期ステップに戻り、制御を引き続き行い霧化電極135の水量調整を行う。
ここで、抵抗発熱体であるヒータ154の動作させて加熱時間の短縮や省エネルギー効果を得ることも可能である。
また、抵抗発熱体であるヒータ154の制御動作としてON/OFF制御としたが、抵抗発熱体であるヒータ158への入力を位相制御することで細かい制御が可能となり、さらに最適な入力で温調制御することができる。
以上のように、本実施の形態1においては、断熱区画された貯蔵室と、貯蔵室内にミストを噴霧させる静電霧化装置を備え、霧化部は高電圧を発生する電圧印加部に電気的に接続させる霧化電極と、霧化電極に対向する位置に配された対向電極とを構成し、静電霧化装置と一体で霧化電極先端の温調用加熱源として抵抗発熱体と霧化電極先端部の温度を検知する温度検知手段を設け、霧化電極に空気中の水分を結露させて貯蔵室にミストとして噴霧することにより、貯蔵室内の水蒸気から容易に、確実に霧化電極に結露させることができるとともに、霧化電極先端の水量を調整することで安定的・継続的に霧化電極と対向電極間でコロナ放電が起こり、これによりナノレベルの微細ミストが生成、噴霧された微細ミストが野菜等の青果物、ハムやサンドイッチなどの調理済み食品などに均一に付着し、青果物からの蒸散を抑制、食品の乾燥を抑制し、保鮮性を向上させることができる。また、青果物表面の細胞間隙や気孔等から、組織内に浸透し、萎んだ細胞内に水分が供給され、シャキッとした状態に復帰させることができる。
また、霧化電極と対向電極と間で放電させるので、電界が安定に構築できることによって噴霧方向が定まり、収納容器内に微細ミストが噴霧しやすくなる。
また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果を高めることができる。
また、噴霧されたミストは直接、収納された食品に噴霧することができ、食品表面にミストを付着させることができるので、保鮮の効率が向上すると同時に脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果もさらに向上する。
また、霧化電極に貯蔵室内の余剰な水蒸気を結露させ、水滴を付着させ、ミストを噴霧することからミスト噴霧用の水を供給する為の除霜ホースや浄化フィルター、もしくは水道直結の水供給経路、貯水タンクなどが不要であり、また、ポンプやキャピラリなどの送水手段等も使用しておらず、複雑な構成を要することなく、簡単な構成で貯蔵室へ微細ミストを供給することができる。
このように簡単な構成で安定的に貯蔵室へ微細ミストを供給することができるので、冷蔵庫の故障の可能性を大幅に低減することができ、信頼性をより高めた上で冷蔵庫の品質を向上させることができる。
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材を用いたときの劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
さらに、超音波振動による超音波霧化ではないので、水の欠損による圧電素子の破壊、その周囲部材の変形の心配がなく、また、貯水タンクが不必要であり、入力も小さいので庫内の温度影響が少ない。
さらに、超音波振動による超音波霧化ではないので、超音波の周波数発信に伴う共振等の騒音、振動に対する考慮をしなくてもよい。
さらに、電圧印加部が収納されている部分についても奥面仕切り壁に埋め込まれて、冷却されているので基板の温度上昇を抑えることができる。これにより、貯蔵室内の温度影響を少なくすることができると同時に基板の信頼性も向上する。
また、本実施の形態では、貯蔵室を断熱区画するための仕切り壁を備え、静電霧化装置は仕切り壁に取り付けたことにより、貯蔵室内の間隙に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
また、本実施の形態では、静電霧化装置の霧化電極を冷却・加熱し、霧化電極先端の結露量を調整できる調整手段は、熱伝導性のよい金属片からなる金属ピンであって、その金属片を冷却・加熱する手段は、冷却器で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導とヒータの加熱手段であるため、断熱材の壁厚とヒータ入力値を調整することで金属ピンおよび霧化電極の温度を簡単に設定することができ、また、断熱材を挟むことにより冷気の漏れがないのとヒータ等の加熱手段を備えているのでケース外郭などの着霜や結露などの信頼性低下を防止することができる。
また、本実施の形態では、静電霧化装置が取り付けられている奥面仕切り壁は、貯蔵室側の一部に凹部があり、そこに静電霧化装置の水量調整手段である金属片が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、静電霧化装置を取り付けている部分以外は、断熱性が確保できる壁厚が確保できるのでケース内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
また、本実施の形態では、冷却器と貯蔵室を断熱区画するための仕切り壁には、貯蔵室もしくは冷却器に冷気を搬送するための少なくとも1つの風路と、貯蔵室や他の風路と熱影響がないよう断熱された断熱材が備えられ、静電霧化装置の霧化電極の温度を可変するための手段は、熱伝導性のよい金属片であって、その金属片の温度を調節する手段は、冷却器で生成された冷気とヒータなどの加熱手段を用いて調整することにより、確実の霧化電極の温度を調整することができる。
さらに、霧化電極先端が過剰結露を防止するために水量調整手段の一つとしてヒータなどの加熱手段を備えたことにより、先端温度の温度制御により先端液滴の大きさ・量を調整することができるので、安定的に噴霧することができ、さらに抗菌能力の向上ができる。
なお、微細ミスト発生時にオゾンも微量ながら発生するが、放電電流値が極めて小さいため、また、基準電位を0V、対向電極を+7kVのプラス側で放電させるため、人が感じる濃度にはならない。さらに、静電霧化装置のON/OFF運転により、貯蔵室内のオゾン濃度を調整することができるので、その濃度を適度に調整することにより、オゾン過多による野菜の黄化などの劣化を防止し、かつ、野菜表面の殺菌、抗菌作用を高めることができる。
なお、本実施の形態では、霧化電極を基準電位側(0V)と対向電極(+7kV)間に高圧電位差を発生させたが、対向電極を基準電位側(0V)とし、霧化電極に印加(−7kV)し、高圧電位差を発生させてもよい。この場合、貯蔵室に近い対向電極が基準電位側になるので、人が対向電極に近づいても感電等を起こさない。また、霧化電極に−7kVにした場合、貯蔵室側を基準電位側とすれば、特に対向電極を持たなくてもよい場合もある。
なお、本実施の形態では、金属ピンを冷却するための風路は、冷凍室吐出風路としたが、製氷室の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でもかまわない。これにより、静電霧化装置の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、加熱源としてチップ抵抗のような抵抗発熱体で説明したが、一般的なシーズヒータ、PTCヒータ等を使用することも可能であり、また、設置位置を金属ピンの胴周囲に取り付け、または巻き付けることも可能であり、さらに、静電霧化装置の外郭ケースの金属ピン近傍に設置することも可能である。
なお、本実施の形態では、伝熱接続部材である金属ピンを冷却する冷却手段は、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、電極冷却部を任意の温度に冷却することができ、霧化電極を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置の霧化電極周囲には、保水材を設けなかったが、保水材を配設してもよい。これにより、扉開閉時に侵入する暖湿気や除霜運転時に発生する高湿空気を有効に保持することができる。よって、霧化電極近傍で生成された結露水を霧化電極周囲に保持することができるので霧化電極に適時に供給することができ、貯蔵室内が低湿環境においても水分供給が可能となる。また、霧化電極周囲に限らず、貯蔵室全体または一部、さらにケース全体またはケースの一部に設置して、水分を確保することも可能である。
なお、本実施の形態において、冷蔵庫の貯蔵室は冷蔵室としたが、野菜室や切替室などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。また、冷蔵室の最下部に設置したケースの奥面に静電霧化装置を配置する形態で説明したが、この場所に限らず、冷蔵室上部奥面に静電霧化装置を配置して、冷蔵室全体にミストを噴霧することも可能である。
また、本実施の形態では、金属ピンを用いたが、良熱伝導部材であればよく、例えば、高熱伝導性の高分子材料を用いてもかまわない。この場合、軽量化と加工性が向上し、その構成が安価になる。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、発泡スチロールなどを用いた断熱材152とで構成されている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に凹部111aおよび貫通部111cを設け、さらに伝熱接続部材である金属ピン134が貫通部111cに挿入されることで霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
このとき、伝熱接続部材である金属ピン134の一部は断熱材を貫通し、風路156の一部に露出している。また、風路156は、金属ピン134背面の貫通部111c近傍で、断熱材凹部155が構成されており、風路が一部拡大している。
さらに、静電霧化装置131の霧化部139近傍には、霧化先端部である霧化電極135と金属ピン134の温度を調整するための加熱手段であるチップ抵抗等の抵抗発熱体である金属ピンヒータ154が構成されている。また、ヒータ154は、断熱材152を熱緩和部材として、風路141からの熱影響を直接受けないように断熱材152を介して配置されている。
また、霧化電極135先端の温度を検知するためにサーミスタ212などの温度検知手段が伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極135に近い方に備えられている。
なお、金属ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択したほうが好ましい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
奥面仕切り壁111の一部について、断熱材152が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、金属ピン134の側壁近傍の断熱材152の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成されている。これにより、奥面仕切り壁111は凹部111aが構成され、この箇所に静電霧化装置131が取り付けられている。
金属ピン134は背面にある風路156に一部が露出している。冷凍サイクルの運転により冷却器112で生成し、冷却ファン113により低温の冷気と加熱手段である金属ピンヒータ154などによって、金属ピン134が例えば−5〜−15℃程度に調整される。このとき、金属ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、霧化電極135も−5〜−15℃程度に調節される。
このとき、風路156の断熱材凹部155近傍に向けて徐々に拡大されるので風路抵抗が下がるので冷却ファン113の風量が増加し、冷凍サイクル効率が向上する。
水滴が付着した霧化電極135に負電圧、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギーにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー分裂により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μA、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
発生した微細ミストは、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、貯蔵室内の自然対流にしたがって貯蔵室内に拡散噴霧されるので微細ミストの効果は貯蔵室全体にいきわたる。
噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。貯蔵室内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。また、加工済みの食品、例えばハムやサンドイッチなども乾燥すると劣化しやすいものが多く、霧化されたミストによって貯蔵室空間が高湿化されるため、乾燥を抑制でき、保鮮性が向上する。
さらに、ナノレベルの微細ミストは、OHラジカルなどのラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある。さらに、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加促進、汚れ分解などの効果がある。
以上のように、本実施の形態2においては、冷却器と貯蔵室を断熱区画するための仕切り壁には断熱材が備えられ、静電霧化装置の霧化電極(霧化先端部)の温度を露点以下に調整する手段は、熱伝導性のよい金属片からなる伝熱接続部材である金属ピン134であって、その金属ピン134の温度を調整する調整手段は、冷却器で生成された冷気からなる冷却手段と、金属ピン近傍に備えられた加熱手段であることにより、確実の霧化電極の温度を調整することができる。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことができる。
また、本実施の形態2では、静電霧化装置が取り付けられている仕切り壁は、貯蔵室側の一部に凹部があり、そこに静電霧化装置の冷却手段である金属片が挿入されているので、確実に金属片を冷却することができ、また、風路面積が徐々に広がることにより風路抵抗が減少、もしくは同等になるので冷却量の低下を防ぐことができる。また、金属ピンの風路への露出表面積とヒータ入力量で霧化電極の温度を容易に調整することができる。
なお、本実施の形態では、金属ピンを風路の凹部に設置しているが、金属ピンが適正温度を確保できるなら風路側に凹部を設けなくてもよい。この場合、風路が容易に加工できる。
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1および2で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1および2で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と冷蔵室104と風路141との間の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成される。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
また、凹部111aの背面側に貫通部405が設けられ、伝熱接続部材である金属ピン134の凸部134aがこの貫通部405に備えられている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が備えられる貫通部405は、発泡スチロール等の成型において、本実施の形態のような貫通孔を設けると、断熱壁の剛性が低下し、強度不足や成型不良による割れ、穴あきなどの不具合が発生する可能性が高くなり、品質の劣化が懸念される場合がある。
そこで、本実施の形態では、貫通部405近傍の断熱材に突起部162を設けることにより、平面部に比べて貫通部405周辺の剛性を高めた上で、断熱材の壁厚を確保してさらに剛性を高めた形状とした。また、突起部162によって金属ピンを側面側と背面側の両方から冷却することができる構成とした。
金属ピン134を直接風路内に設置すると、冷却過多になり霧化電極135の結露量が過多になるもしくは、凍結する可能性があるが、風路抵抗の増加を抑制する目的で、突起部162の形状を斜面を円錐状にしている。
また、金属ピン134の背面近傍の断熱材に貫通孔である貫通部405を設け、そこに金属ピン134を挿入し、その周囲に金属ピンカバー406を設置することにより、断熱性を確保する。
なお、図示はしないが、貫通部405と金属ピンカバー406に緩衝材を設け、シール性を確保してもよい。
さらに、孔開口部407に図示はしないが、テープなどを貼付することにより冷気の遮断を行ってもよい。
さらに、静電霧化装置131の霧化部139近傍には、霧化先端部である霧化電極135と金属ピン134の温度を調整するための加熱手段であるチップ抵抗等の抵抗発熱体である金属ピンヒータ154が構成されている。また、ヒータ154は、断熱材152を熱緩和部材として、風路141からの熱影響を直接受けないように断熱材152を介して配置されている。また、金属ピン134と金属ピンカバー406の間に設置されている。
また、霧化電極135先端の温度を検知するためにサーミスタ212などの温度検知手段が伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極135に近い方で、金属ピン134と金属ピンカバー406の間に備えられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
伝熱接続部材である金属ピン134は金属ピンカバー406を介して冷却されるので、霧化電極135を金属ピン134で間接的に冷却するものにさらに、熱緩和部材である金属ピンカバー406を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化電極135が極度に冷却されることを防ぐことができる。霧化電極135が極度に冷却されると、それに伴い結露量が多大となり霧化部139の負荷の増大による静電霧化装置131への入力の増大および霧化部139の凍結などによる霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部139の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化電極135を伝熱接続部材と熱緩和部材とを介して二重構造で間接的に冷却することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接する為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
このように、本実施の形態では、貫通部405近傍の断熱材に突起部162を設けることにより、貫通部405周辺の剛性を高めた場合でも、金属ピンを側面側と背面側の両方から冷却することができるので、熱伝導のための表面積を増加させることができ、金属ピン134の冷却効率を低下させることなく金属ピン134周辺の剛性を高めることができる。
また、突起部の形状を斜面を円錐状にすることにより、冷気は、冷気の流れ方向に対して曲面である突起部162の外周をなめるように流れるので風路抵抗の増加を抑制すると共に、金属ピンが側壁の外周から均一に冷却されることで、金属ピン134をムラなく冷却でき、金属ピン134を介して霧化電極135を効率よく冷却することができる。
また、断熱材152の金属ピン134背面の一部のみ孔である貫通部405を設け、薄肉部が構成されていないので、発泡スチロールの成型が容易にでき、また、組み立て時の破損などの問題がない。
さらに、本実施の形態の構成では、金属ピンカバー406の背面側の冷却手段(低温の冷気)と接する部分が熱緩和部材となるので、熱緩和部材の熱緩和の状態は金属ピンカバー406の冷気と接する部分の厚みを変えることによって調整することができるので、容易に金属ピンの冷却状態を変えられることができ、例えば様々な貯蔵容量の冷蔵庫に適用する場合でも、それぞれの冷却負荷によって金属ピンカバー166の厚みを変えることで、対応することができる。
さらに金属ピンカバーと貫通部405の間には隙間がなく、また貫通部405の開口部407はテープなどにより冷気を遮断しているのでいので、連通している箇所がなく、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極135から最も距離の離れた遠い部分である端部134b側から冷却することで、金属ピン134の大きな熱容量を冷却した上で、金属ピン134によって霧化電極135が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
発生した微細ミストは、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、貯蔵室内の自然対流にしたがって貯蔵室内に拡散噴霧されるので微細ミストの効果は貯蔵室全体にいきわたる。
噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。貯蔵室内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。また、加工済みの食品、例えばハムやサンドイッチなども乾燥すると劣化しやすいものが多く、霧化されたミストによって貯蔵室空間が高湿化されるため、乾燥を抑制でき、保鮮性が向上する。
さらに、ナノレベルの微細ミストは、OHラジカルなどのラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある。さらに、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加促進、汚れ分解などの効果がある。
以上のように、本実施の形態3においては、霧化部の凸部である金属ピンの構成について、断熱材に貫通孔である貫通部405を設け、その箇所に金属ピンを挿入し、その周囲に金属ピンカバーを設けることにより、金属ピンへの冷却能力を確保しつつ断熱材の成型を容易にすることができる。
また、このように金属ピンの側面および背面部を一体成型された金属ピンカバー406で覆うことによって、背面部に配置されたである風路141からの冷気が金属ピンの周囲に侵入することをより効果的に防止している。
また、本実施の形態3においては、金属ピン周囲に緩衝材を設けていないが、設けてもよい。これにより孔と金属ピンカバー間を密着させることができ、冷気もれを防止できる。
また、本実施の形態7においては、孔の開口部にテープなどの遮蔽物を設置していないが、設置してもよい。これによりさらに、冷気もれを防止できる。
なお、本実施の形態3では、金属ピンを冷却するための風路は、冷凍室吐出風路としたが、製氷室の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でもかまわない。これにより、静電霧化装置の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態3では、伝熱接続部材である金属ピンを冷却する冷却手段は、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、金属ピンを任意の温度に冷却することができ、霧化電極を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
また、本実施の形態では、伝熱接続部材である金属ピンを冷却する冷却手段は、ペルチェ効果を用いたペルチェ素子を補助部品として用いてよく、この場合、ペルチェへの供給電圧により霧化電極先端の温度を極めて細かい温度で制御できる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置の外郭と断熱材の凹部の間には、緩衝材を用いていないが、金属ピンへの湿度侵入防止やがたつき防止のためウレタンフォームなどの緩衝材を静電霧化装置の外郭ケースもしくは断熱材の凹部に構成してもかまわない。これにより、金属ピンへの湿度流入を防止でき、断熱材に結露することを防止できる。
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から3で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1および2で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
冷蔵室104の奥面仕切り壁111は、主にABSなどの樹脂を用いた奥面仕切り壁表面151と発泡スチロールなどを用いて風路141と冷蔵室104の間を隔離する断熱性を確保する断熱材152とで構成されている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
霧化装置である静電霧化装置131は主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。
さらに静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である金属ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露や凍結を防止するための加熱手段としてチップ抵抗等の抵抗発熱体であるヒータ154が霧化部139近傍の伝熱接続部材である金属ピン134の凸部134a側の端面134bに静電霧化装置131と一体的に備えられている。また、ヒータ154は、断熱材152を熱緩和部材として、風路141からの熱影響を直接受けないように断熱材152を介して配置されている。
また、霧化電極135先端の温度を検知するためにサーミスタ212などの温度検知手段が伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極135に近い方に備えられている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが奥面仕切り壁111の凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bに嵌めあわされている。
よって、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側には凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bが備えられており、すなわち風路141側は断熱材152が冷蔵室104の背面側の仕切り壁111における他の部分よりも薄くなっており、この薄い断熱材152を熱緩和部材として、背面からの冷気もしくは暖気が熱緩和部材である断熱材152を介して金属ピン134を冷却するように設置されている。
さらに、金属ピン134には勘合穴134cがあけられており、その勘合穴134cに冷熱搬送手段となるヒートパイプ150が取り付けられている。取り付けにおいては、ヒートパイプ150と勘合穴134cとの接触熱抵抗が小さくなるように接合されている。具体的には、エポキシや熱拡散コンパウンドを介して、隙間なく勘合されている。固定のために、圧入もしくはハンダ付け等により固定されている。
ヒートパイプ150は、管の内壁に毛細管構造を持たせた金属製のパイプであり、内部は真空で、少量の水もしくは代替フロンなどが封入されている。ヒートパイプ150の一端を熱源に接触させて加熱または冷却すると、内部の液体が蒸発して気化し、このとき潜熱(気化熱)として熱が取り込まれる。そして熱が高速に(ほぼ音速で)移動し、そこで冷やされてまた液体に戻り、熱を放出します(凝縮潜熱による熱放出)。液体は毛細管構造を通って(もしくは重力によって)元の場所へ戻るので、連続的に効率よく熱を移動させることができる。
ヒートパイプ150は、風路141との冷気の影響を直接受けないように、周囲を熱緩和部材である断熱材152で覆われるように設置されている。そのとき、断熱材152に貫通口を設け、ヒートパイプ150を挿入して設置している。なお、組立性を考慮して断熱材152を分割して、ヒートパイプ150を挟み込むように組み立てても構わない。
さらに、ヒートパイプ150の金属ピン134側と反対側に位置する端面は、冷却器112に熱的に直接または間接的に取り付けられている。
これによって、冷却器112からの冷凍サイクル中の最も低い冷熱源から熱搬送できるので、金属ピン134および霧化電極135の冷却スピードを向上させることができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気も用いているので、冷却手段としては、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけでなく、冷却器112の熱を直接利用することができる。
なお、ヒートパイプ150と金属ピン134または冷却器112の接続部では、結露による電蝕の可能性があるので、同金属で構成することが望ましい。
また、加熱手段は冷蔵庫100の除霜運転時に発生する暖気の利用や抵抗発熱体であるヒータ154を加熱源として伝熱接続部材である金属ピン134を加熱するとともに、霧化電極135先端の温度を検知するために設けたサーミスタ212などの温度検知手段の検知温度により抵抗発熱体であるヒータ154の入力を可変または通電率を変化させるように制御している。これによって、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露や凍結を防止するとともに、霧化先端部である霧化電極135に供給する結露量を調整できるので、安定した霧化を実現することができる。
このように簡単な構造で調整手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源で2通りの冷却方法を利用して伝熱接続部材である金属ピン134および霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギーかつ効率的に霧化を行うことができる。
なお、本実施の形態4では、金属ピンに勘合口を設けたが、金属ピンの加工性を考慮して貫通口を設けてヒートパイプを取り付けても構わない。
また、本実施の形態4では、ヒートパイプの金属ピン134側と反対側に位置する端面は、冷却器112に熱的に直接または間接的に取り付けられている説明をしたが、端面を冷却器112で熱交換された直後の冷気、すなわち冷却室110内に露出させても構わない。また、冷蔵室直下で冷蔵室温度帯より低い温度帯の貯蔵室の冷却風路内、例えば、製氷室または冷蔵温度以外の切替室の冷却風路内に露出させても構わない。これによって、ヒートパイプの長さを短くすることができるので、小型化、低コスト化、さらには組立性を向上させることができる。
また、本実施の形態4では、霧化電極の温度調整用に設けた金属ピンヒータ金属ピンヒータ側に設置したが、ヒートパイプの金属ピン134側と反対側に位置する端面側に取り付けても構わない。これによって、熱搬送の上流側で温度調整が可能となるので、効率的に、かつヒータへの入力を低減することができる。
また、本実施の形態4では、金属ピンヒータをチップ抵抗のような抵抗発熱体で説明したが、一般的なシーズヒータ、PTCヒータ等を使用することも可能であり、また、設置位置を金属ピンまたはヒートパイプの胴周囲に取り付け、または巻き付けることも可能である。
(実施の形態5)
図9は、本発明の実施の形態5における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から4で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から4と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成されている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131は、主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が設置され、霧化電極135は良熱伝導材を用いた金属ピン134で固定されている。
断熱材152には貫通部111cが備えられ、貫通部111cには、金属ピン134と霧化電極135の温度を調整するためのペルチェ素子を含んだペルチェモジュール201とが挿入されており、金属ピン134の端面部134bとペルチェモジュール201の片面が熱的に接続されている。また、ペルチェモジュール201のもう一面にも良熱伝導部材を用いた風路側熱伝導部材203が熱的に接続されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
霧化電極135背面にある風路141は、冷凍サイクルの運転により冷却器112で冷気を生成し、風路141内を冷気が搬送される。このとき、ペルチェ素子を含んだペルチェモジュール201に電圧を印加させると、その印加方向と、印加電圧値により霧化電極135を露点以下に調整できる。例えば、霧化電極135に対して冷却が必要としたとき、ペルチェモジュールの吸熱面を霧化電極側、放熱面を風路側として電圧を印加する。反対に、霧化電極135に対して加熱が必要としたとき、ペルチェモジュール201の吸熱面を風路側、放熱面を霧化電極135側として電圧を印加する。これにより、霧化電極135先端に適時、水が確保でき、安定した霧化が可能となる。
以上のように、本実施の形態5においては、静電霧化装置131の霧化電極135の温度調整手段にペルチェモジュール201を利用することにより、ペルチェモジュール201への印加電圧だけで霧化電極135の温度が調整でき、また、電圧の反転等を行えば、冷却・加温の双方できるのでヒータなどの追加の必要がない。
また、本実施の形態5では、ペルチェモジュール201への印加電圧の微調整で極めて細かい温度制御が可能となるため、霧化電極の先端水量の細かい制御ができる。
また、本実施の形態5では、ペルチェモジュールが加熱手段と冷却手段を兼ねることから特に加熱手段が不必要となるため、構成部品が簡素化される。
なお、本実施の形態5では、霧化部139近傍に設けた温度検知手段212や、さらに設けていないが湿度センサを設置することによりさらに精密な制御が可能となり、安定した噴霧が可能となる。
このように、ペルチェ素子への印加電圧だけで霧化電極の温度が調整でき、霧化電極を単独で任意の温度に調節することが可能である。
また、電圧の反転等を行うだけで、冷却と加温の双方を実現できるので冷却手段や加熱手段としてのヒータなどの特別な装置を追加する必要がなく、簡単な構造で冷却と加温の双方を行い、その温度応答性も速くなるので水量の調整手段の応答性も向上した上で任意の温度へと調節することが可能となり、より霧化部の精度を向上させることが可能となる。
(実施の形態6)
図10は、本発明の実施の形態6における冷蔵庫の縦断面図である。図11は、本発明の実施の形態6における冷蔵庫の図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から5で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から5と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において冷蔵庫100は、各貯蔵室を冷却するための冷却器が2つ設置されている。1つは、冷凍温度帯の貯蔵室用の冷却器112である。もう1つは、冷蔵温度帯の貯蔵室用の冷却器170である。おのおのの冷却器は冷媒配管で連結されているが、冷却風路は独立しているものである。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫100本体の側面や背面、また冷蔵庫100本体の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫100本体の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリ(図示せず)に至る。その後、キャピラリでは圧縮機109への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器112に至る。ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン113の動作により各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器112内の冷媒は蒸発気化する。この時、冷却室110で各貯蔵室を冷却するための冷気(−15〜−25℃)を生成する。低温冷気は冷却ファン113から切替室105、製氷室106、冷凍室108に冷気を風路やダンパを用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。一方、第二の冷却器170へは、流路調整弁(図示しない)などにより冷媒流路を第二の冷却器170の方へ切り替えるか、もしくは分流させる。その後、減圧量を調整できる、例えば膨張弁(図示しない)を用いることにより冷却器170の蒸発温度を調整し、ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン172の動作により冷蔵室104または野菜室107内の空気と熱交換され、冷却器170内の冷媒は蒸発気化する。この時、を冷却するための冷気(−15〜−25℃)を生成する。
冷蔵室104の奥面に設置されている奥面仕切り壁111には、凹部が構成され、この箇所に静電霧化装置131が取り付けられている。ここで、霧化部139に構成されている伝熱接続部材である金属ピン134の後方には最深凹部111bがあり、断熱材の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成され、他の箇所より低温状態になる。本実施の形態の冷蔵庫100においては、この程度の厚みが金属ピンと調整手段との間に位置する熱緩和部材としての適切なものとなる。これにより、奥面仕切り壁111は凹部111aが構成され、この箇所の最背面の最深凹部111bに金属ピン134の凸部134aが突出した形状の静電霧化装置131が嵌めこまれて、取り付けられている。
伝熱冷却部材である金属ピン134背面の風路141には、冷凍サイクルの運転により冷却器112で冷気が生成され、冷却ファン113により−15〜−25℃程度の冷気が吐出、風路表面から熱伝導で金属ピン134が−5〜−15℃程度に冷却される。このとき、金属ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、金属ピン134に固定された霧化電極135も金属ピン134を介して−5〜−15℃程度に冷却される。
ここで、一般的に低湿環境となる冷蔵室104においても、霧化先端部である霧化電極135は露点以下となり、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着する。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことができる。
なお、本実施の形態6において、実施の形態1から5で説明したものより、冷蔵室104の冷却に独立した冷却器を用いているので、より高湿環境が得られやすい。したがって、水収集がしやすく、効率的にミストを噴霧させることができる。
また、高湿環境を作りやすい反面、菌が繁殖しやすい環境でもある。しかし、本発明の微細ミストに含まれる反応性の非常に高いラジカルによって、同時に抗菌作用が働くので、貯蔵室空間や食品そのもののクリーン性を向上させることができる。
(実施の形態7)
図12は、本発明の実施の形態7における冷蔵庫の図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から6で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から6と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において霧化装置である静電霧化装置131は、主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が外郭ケース137に固定されており、霧化電極135は伝熱接続部材である金属ピン134が備えられ、その近辺には霧化電極135の温度を調整できるように加熱手段である金属ピンヒータ154が構成されている。また、霧化電極135に対向している位置で貯蔵室側にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取り付けられ、その延長上に噴霧口132が構成されている。
静電霧化装置131の背面には貯蔵室を冷却するための冷却器170が隣接されており、静電霧化装置131は奥面仕切り壁111の凹部111aに固定されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
冷却器170は比較的低温状態となり、その熱伝導で霧化電極135が露点以下になり、先端が結露する。ここで、霧化電極135と対向電極136間に電圧印加部で発生した高電圧を両極間に印加すると微細ミストが発生し、冷蔵室104内に噴霧される。
以上のように、本実施の形態7においては、霧化装置である静電霧化装置131の霧化先端部(霧化電極135)に結露させる温度調整手段は、冷却手段として貯蔵室を冷却するための冷却器170を利用することにより、冷蔵庫100の冷却源である冷却器170で直接霧化先端部(霧化電極135)を冷却することができ、その温度応答性も速くなる。
このように、温度調整手段を冷凍サイクルを利用して伝熱接続部材および霧化電極135の温度を調整することができるので、より省エネルギーで霧化電極の温度調節を行うことができる。
(実施の形態8)
図13は、本発明の実施の形態8における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から7で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から7と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図に示すように、冷蔵室104と切替室105および製氷室106の温度帯を区切るために断熱性を確保した仕切り壁123に霧化装置である静電霧化装置131は、組み込まれており、特に霧化部139の伝熱接続部材である金属ピン134部については、その断熱材が凹形状になっており、その近傍に金属ピンヒータ154が構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている仕切り壁123の厚さは、霧化先端部である霧化電極135が固定されている金属ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている凹部123aの壁厚は他の部分より薄く構成されており、さらに金属ピン134が保持されている最深凹部123bの壁厚は凹部123aよりもさらに薄く構成されている。そのため、比較的低温である製氷室からの熱伝導により金属ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することができる。ここで、霧化電極135の先端温度を露点以下にすれば、霧化電極135近傍の水蒸気は霧化電極135に結露し、水滴が確実に生成される。
また、外気温度変動や速氷等の製氷室106の温調が変動し、霧化電極135が過冷になる場合があるため、霧化電極135近傍に設置された金属ピンヒータ154で霧化電極135の温度を調整することにより霧化電極135先端の水量を最適化する。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことができる。
噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。貯蔵室内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。また、加工済みの食品、例えばハムやサンドイッチなども乾燥すると劣化しやすいものが多く、霧化されたミストによって貯蔵室空間が高湿化されるため、乾燥を抑制でき、保鮮性が向上する。
さらに、ナノレベルの微細ミストは、OHラジカルなどのラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある。さらに、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加促進、汚れ分解などの効果がある。
以上のように、本実施の形態8は、冷蔵庫本体は複数の貯蔵室を有し、霧化部を備えた貯蔵室の底面側には前記霧化部を備えた貯蔵室よりも低温に保たれた低温貯蔵室が備えられ、前記霧化部は前記霧化部を備えた貯蔵室の底面側の仕切り壁に取り付けたものである。
これによって、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却される冷気の中でも最も低温となる冷却室の冷気もしくは冷気からの熱伝達を利用したパイプ、冷媒配管等の部材を冷却手段とすることができる。このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材および霧化電極の冷却を行うことができるので、より省エネルギーで霧化を行うことができる。
また、霧化部を仕切り壁に取り付けたことにより、霧化部が貯蔵室内に大きく出張らず間隙を有効に利用する位置に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去できるので節水ができ、かつ低入力化ができる。