請求項1に記載の発明は、断熱区画された貯蔵室と、前記貯蔵室内にミストを噴霧させる霧化装置と、前記霧化装置に備えられたミスト噴霧を行う霧化電極と電圧印加部と前記霧化電極に固定された良熱伝導部材である冷却ピンと、前記霧化装置を収納する外郭ケースとを有し、前記外郭ケースには、ミストが通過する噴霧口と、前記噴霧口とは別個に冷気供給口を設けたもので、前記冷却ピンは前記外郭ケースから突出して構成し、前記貯蔵室の上部に配置した冷凍室との断熱仕切壁の凹部に前記霧化装置を設置し、前記冷凍室を前記冷却ピンの冷却源として利用するとともに、前記貯蔵室で発生した高湿空気を前記冷気供給口へ供給するように前記霧化装置を前記貯蔵室の吸込み風路側に配置したものである。
これによって、霧化装置周辺がミストを噴霧する為に高湿となりやすく、特にミストの噴き出し口周辺である外郭ケース内においては、水垢の発生や菌・カビの繁殖、および水分を介した漏電等も起こりやすい環境となる場合であっても、外郭ケースに噴霧口とは別の冷気供給口を備えることで、空気の出入り口が形成され、外郭ケース内に積極的に空気の流れを発生させることができ、外郭ケース内に水分が溜まることなく、流れる冷気と共に循環させることが可能となることで、水垢の発生および水分を介した漏電等が起こりにくいようにすることによって、微細ミストを生成、噴霧し保鮮性を向上させる場合でも、菌、カビの繁殖防止した冷蔵庫を提供する。
また、貯蔵室内に電圧を印加する霧化装置を備えても、外郭ケースによって使用者の手が霧化先端部や電圧印加部へ触れることを防止するので、使用者の安全性を確保しながら微細ミストを噴霧することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、外郭ケースに設けられた冷気供給口は、前記外郭ケースに収納されている霧化先端部より下方に位置するものである。
これによって、外郭ケースの中でも特に霧化先端部よりも下方側においては、噴霧されたミストの中で比較的粒子径が大きく重いものや、外郭ケース等に衝突して貯蔵室内へ噴霧されなかったミストが付着することで、より水垢の発生および水分を介した漏電等も起こりやすい環境となるが、外郭ケースに収納されている霧化先端部より下方に冷気供給口を位置させたことで、高湿な下方側の冷気を霧化部へ流すことで積極的に霧化部への結露させることで、外郭ケース内へ水分が溜まることなく、十分な湿度を有した冷気が霧化部へ供給されることで、比較的高湿状態の空気が冷気供給口から霧化部に効率よく安定に供給され、霧化先端部を含めた霧化部には効率よく水滴が生成、付着する。
また、霧化部より上方部分の仕切り壁に付着した水滴が落滴もしく外郭ケースを伝って落滴してきた場合でも、冷気供給口から水分が外郭ケース外へ排出されることにより、水分が霧化部の電圧印加部等の電気接続部へ侵入することを防止できる。
以下、本発明の冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図である。図2は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室近傍の正面図である。図3は図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
図において、冷蔵庫100の断熱箱体101は主に鋼板を用いた外箱102とABSなどの樹脂で成型された内箱103で構成され、その内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材が充填、周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。最上部に第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に第二の貯蔵室としての野菜室107、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室108が配置される構成となっている。
冷蔵室104は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、野菜室107は冷蔵室104と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃としている。冷凍室108は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。切換室105は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室105は製氷室106に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引出し式の扉を備えることが多い。なお、本実施の形態では切換室105を冷蔵/冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室104、野菜室107、冷凍は冷凍室108に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切り換えに特化した貯蔵室としても構わない。また、特定の温度帯に固定された貯蔵室でもかまわない。製氷室106は、冷蔵室104内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵する。
断熱箱体101の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室101bを形成して圧縮機109、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機109を配設する機械室は、冷蔵室104内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた断熱箱体101の最上部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機109を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使いやすい断熱箱体101の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体101の最下部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機109を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室107と冷凍室108の背面には冷気を生成する冷却室110が設けられ、その間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路と、各室と断熱区画するために構成された奥面仕切り壁111が構成されている。冷却室110内には、冷却器112が配設されており、冷却器112の上部空間には強制対流方式により冷却器112で冷却した冷気を冷蔵室104、切換室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に送風する冷却ファン113が配置され、冷却器112の下部空間には冷却時に冷却器112やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためのガラス管製のラジアントヒータ114が設けられ、さらにその下部には除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン115、その最深部から庫外に貫通したドレンチューブ116が構成され、その下流側の庫外に蒸発皿117が構成されている。
野菜室107には、野菜室107の引出し扉118に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器119と、下段収納容器119に載置された上段収納容器120が配置されている。
引出し扉118が閉ざされた状態で主に上段収納容器120を略密閉するための蓋体122が野菜室上部の第一の仕切り壁123及び内箱103に保持されている。引出し扉118が閉ざされた状態で蓋体122と上段収納容器120の上面の左右辺、奥辺が密接し、上面の前辺は略密接している。さらに、上段収納容器120の背面の左右下辺と下段収納容器119の境界部は、上段収納容器120が稼働する上で接触しない範囲で食品収納部の湿気が逃げないよう隙を詰めている。
蓋体122と第一の仕切り壁123の間には、奥面仕切り壁111に構成された野菜室用吐出口124から吐出された冷気の風路が設けられている。また、下段収納容器119と第二の仕切り壁125との間にも空間が設けられ冷気風路を構成している。野菜室107の背面の奥面仕切り壁111の下部には、野菜室107内を冷却し熱交換された冷気が冷却器112に戻るための野菜室用吸込み口126が設けられている。
このように、野菜室107は、仕切り壁である第一の仕切り壁123、第二の仕切り壁125、奥面仕切り壁111によって、区画されており、この区画された野菜室107の貯蔵室空間に対してミストを噴霧する霧化装置が備えられている。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった扉に取り付けられたフレームと内箱に設けられたレールにより開閉するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り部表面151と風路や冷却室110を隔離、断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成されている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部を設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が、噴霧方向が貯蔵室空間へ向くように設置されている。
霧化装置である静電霧化装置131は主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137には、噴霧口132とそれとは別個に噴霧口132を設けた面と直交する外郭ケース137の下面部分の面に外郭ケース137内への冷気供給口である湿度供給口138が構成されており、霧化部139と電圧印加部133を内部に収納している。霧化部139は、ミスト噴霧が行われる霧化先端部を有するである霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材である冷却ピン134に固定されている。
また、この冷気供給口である湿度供給口138は、湿度供給口138と結露を行う霧化先端部である霧化電極135とを結ぶ最短距離d1に対して、湿度供給口138と噴霧口132とを結ぶ最短距離であるd2の方が短くなる箇所を有するように設けられている。
このように、霧化部139の霧化先端部を有する霧化電極135よりも下方側の外郭ケース137に冷気供給口が備えられている。
冷却ピン134が外郭ケース137に固定され、冷却ピン134自体は外郭から突起して構成されている。また、霧化電極135に対向している位置で貯蔵室側にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取り付けられ、その延長上に噴霧口132が構成されている。
さらに、霧化部139の近傍に電圧印加部133が構成され、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されている。
電圧印加部133は、冷蔵庫本体の制御手段146と通信、制御され、冷蔵庫100もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
なお、霧化装置である静電霧化装置131を固定している奥面仕切り表面151には、貯蔵室の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
このように、霧化装置は、側壁の中でもヒータ等の加熱手段154が備えられている仕切り壁に備えられており、少なくとも霧化装置の下方側にも加熱手段154が配置されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体の側面や背面、また冷蔵庫本体の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機109への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器112に至る。ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン113の動作により搬送する冷凍室吐出風路1141などの各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器112内の冷媒は蒸発気化する。この時、冷却室内で各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。低温の冷気は冷却ファン113から冷蔵室104、切換室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に冷気を風路やダンパを用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。特に、野菜室107は、冷気の配分や加熱手段(図示せず)などのON/OFF運転により2℃から7℃になるように調整され、一般的には庫内温度検知手段をもたないものが多い。
野菜室107は、冷蔵室104を冷却した後、その空気を冷却器112に循環させるための冷蔵室戻り風路140の途中に構成された野菜室用吐出口124から野菜室107に吐出し、上段収納容器120や下段収納容器119の外周に流し間接的に冷却し、その後、野菜室用吸込み口126から再び冷却器112に戻る。
奥面仕切り壁111の比較的高湿度環境である箇所の一部について、断熱材152が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、冷却ピン134の後方の断熱材の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成されている。これにより、奥面仕切り壁111は凹部が構成され、この箇所に静電霧化装置131が、噴霧方向が貯蔵室空間へ向くように取り付けられている。
冷却ピン背面にある冷凍室吐出風路141には、冷却システムの運転により冷却器112で生成し、冷却ファン113により−15〜−25℃程度の冷気が流れ、風路表面からの熱伝導で冷却ピン134が例えば0〜−6℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、霧化電極も0〜−6℃程度に冷却される。
ここで、野菜室は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、霧化電極135は露点以下となる。
そして、外郭ケース137に設けた冷気供給口である湿度供給口138から入った空気中の水分が結露し、この結露水が霧化部139でミストになった上で噴霧口132から噴霧されることによって外郭ケース137内において空気の出入り口が形成されるため貯蔵室内の空気対流に影響されて霧化電極135部を含めて空気流れが発生し、野菜などからの蒸散による比較的高湿状態の空気が湿度供給口138から霧化電極135に効率よく安定に供給され、先端を含め、霧化電極135には水滴が生成、付着する。
また、この冷気供給口である湿度供給口138は、湿度供給口138と結露を行う霧化先端部である霧化電極135とを結ぶ最短距離d1に対して、湿度供給口138と噴霧口132とを結ぶ最短距離であるd2の方が短くなる箇所を有するように設けられているので、湿度供給口138から外郭ケース137内へ流入した冷気のうち、一部が結露を促進する為に霧化電極135周辺へと流れ込み、一部が霧化電極135を通らずに湿度供給口138から噴霧口132へショートカットする最も通気抵抗の少ない風路を通るので、これらのショートカットした風路を通った冷気によって、より外郭ケース137内に積極的に空気の流れを発生させることができ、外郭ケース137内に水分が溜まることなく、流れる冷気と共に循環させることが可能となる。
なお、このような霧化先端部である霧化電極135を通らずに湿度供給口138から噴霧口132へショートカットする最も通気抵抗の少ない風路を形成する際に、湿度供給口138と結露を行う霧化先端部である霧化電極135とを結ぶ最短距離d1に対して、湿度供給口138と噴霧口132とを結ぶ最短距離であるd2の方が短くなる箇所を有するものとしたが、他の手段によって、最も通気抵抗の少ない風路を作ることも可能であり、同様の効果を有することができる。
またこのとき、湿度供給口138を貯蔵室底面側である外郭ケース137の下面部分に設けているため、霧化部139により結露した結露水が外郭ケース137の下側に溜まった場合でも、この開口部より結露水を外郭ケース外へと排出することができる。すなわち、この開口部が冷気供給口である湿度供給口としての機能だけでなく、落下結露水の水抜き穴としての機能を果たすことができるので、落下結露水が溜まることによる水垢の発生および結露水が電圧印加部へ侵入することを防ぐことができ、静電霧化装置131の安全性を高めることができる。
このように、本願発明では噴霧口132もしくは湿度供給口138のいずれの開口部も外郭ケース137の上面以外の面に設けられていることで、低温密閉空間である冷蔵庫の貯蔵室内で仮に貯蔵室内の外郭ケース137よりも上方部に溜まった貯蔵室内の結露水が外郭ケース137に落下したとしても、外郭ケース137の上面に開口部を有しないので、外郭ケース137外から外郭ケース137内に水滴が落下することを防止することができ、より漏電やショート等を防いだ安全性の高い冷蔵庫を提供することが可能となる。
また、外郭ケース137の下面部分に湿気供給口138が設けられる構成としたことで、外郭ケース137の上面は閉塞されて開口部がないために外郭ケース137内において結露が発生しやすくなる場合でも、外郭ケース137の下面部に水抜き穴の機能を有し、さらに冷気が流れる開口部である湿気供給口138を備えることで、外郭ケース137内の水垢の発生、菌・カビの繁殖を防止することができる。
また、霧化装置および外郭ケース137は、湿度供給口138から高湿度の冷気を取り入れることができるように、図1に示すように主に噴霧を行う収納容器である下段収納容器119の上端部の直上部に湿度供給口138を備えることによって、収納容器からの高湿度の冷気が湿度供給口138へ流入しやすくなり、より効率よく結露水を生成し、ミスト噴霧を行うことができる。
また、霧化装置は、側壁の中でもヒータ等の加熱手段154が備えられている仕切り壁に備えられていることによって、他の側壁と比較して、加熱手段154によって、上昇気流が発生しやすい仕切り壁に霧化装置の霧化部を収納した外郭ケース137が備えられることになり、その下面側が冷気供給口として開口しているので、その上昇気流に乗ってより、冷気が外郭ケース内へ流入しやすくなり、さらに外郭ケース137内に積極的に空気の流れを発生させることができ、外郭ケース137内に水分が溜まることなく、流れる冷気と共に循環させ、また霧化部で結露してミストとして循環することが可能となる。
また、少なくとも霧化装置の下方側にも加熱手段154が配置されていることで、より確実に冷気供給口への上昇気流が発生することによって冷気が外郭ケース内へ流入しやすくなり、さらに外郭ケース137内に積極的に空気の流れを発生させることができ、湿度供給口138がより外郭ケース137内の冷気の流れを発生させるという冷気供給口としての役割をより促進し、冷気供給口としての役割を効果的に果しているものである。
また、霧化装置および外郭ケース137は、湿度供給口138から高湿度の冷気を取り入れることができるように、図2に示すような貯蔵室の左右方向の中心に対して、冷気の出口である野菜室用吸込み口126側に霧化装置を配置している。これによって、収納容器からの高湿な冷気は、冷気の出口である野菜室用吸込み口126側に多く流れることから、貯蔵室の左右方向においては冷気の出口である冷気の出口である野菜室用吸込み口126側がより高湿度となる為、収納容器からの高湿度の冷気が湿度供給口138へ流入しやすくなり、より効率よく結露水を生成し、ミスト噴霧を行うことができる。
また、霧化装置周辺はミストを噴霧する為に高湿となりやすく、特に外郭ケース137内においては、水垢の発生および水分を介した漏電等も起こりやすい環境となるが、本実施の形態のように冷気供給口を備えることで、空気の出入り口が形成され、外郭ケース137内に積極的に空気の流れを発生させることができ、外郭ケース137内に水分が溜まることなく、流れる冷気と共に循環させることが可能となる。
また、外郭ケース137の中でも特に霧化部である霧化電極135よりも下方側においては、噴霧されたミストの中で比較的粒子径が大きく重いものや、外郭ケース等に衝突して貯蔵室内へ噴霧されなかったミストが付着することで、より水垢の発生および水分を介した漏電等も起こりやすい環境となるが、本実施の形態では、冷気供給口を水分の付着しやすい外郭ケース137の霧化部よりも下方側に備えたことで、高湿な下方側の冷気を霧化部へ流すことで積極的に霧化部への結露させることで、外郭ケース137内へ水分が溜まることなく、十分な湿度を有した冷気が霧化部へ供給されることで、比較的高湿状態の空気が湿度供給口138から霧化電極135に効率よく安定に供給され、霧化部の先端を含めた霧化電極135には水滴が生成、付着する。
さらに、本実施の形態においては、静電霧化装置131を用いていることにより、発生する微細ミストは粒子径も数nm〜数十nmレベルの極めて小さく、高圧印加により霧化電極も除菌され、発生する微細ミストも噴霧口付近に付着して、水貯めを作ることがなく、また、酸化力の強いOHラジカル等やオゾンを含んだ微細ミストであるため、噴霧口付近の菌の繁殖を防止することが可能であり、水垢も防止できる。
また奥面仕切り壁111に付着した結露水が直接落滴した場合や外郭ケース137を伝って落滴した場合でも湿度供給口138から外郭ケース137の外部へと排出されるので電圧印加部133へ侵入することを防止できる。
このように、野菜室107内の水蒸気から容易に、かつ確実に霧化電極135に結露させることができ、水供給装置等の複雑は装置が不要となり簡単な構成でミスト噴霧を行うことができる。
また、静電霧化装置でミスト噴霧を行うことで微細ミストが生成され、霧化されて噴霧された微細ミストが野菜等の青果物の表面に均一に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させることができる。
また、霧化電極135と電圧印加部133を外郭ケース137内に収納することで、使用者の手が霧化電極135や電圧印加部133へ触れることを防止するので、貯蔵室内で高電圧を印加しても使用者の安全性を確保しながら微細ミストを噴霧することができる。
水滴が付着した霧化電極135に負電圧、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー分裂により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μAレベルであり、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
霧化電極135から微細ミストが噴霧されるとき、イオン風が発生する。このときも噴霧口132と別個に設けた湿度供給口138より、新たに高湿な空気が霧化電極135部に流入するため、連続して噴霧することができる。
発生した微細ミストは、下段収納容器119内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器120にも微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。野菜室107内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
ここで、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極と対向電極間に電流がながれない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできる。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室(野菜室107)と、貯蔵室(野菜室107)内にミストを噴霧させる静電霧化装置131を備え、霧化部139には高電圧を発生する電圧印加部133に電気的に接続させる霧化電極135と、霧化電極135に対向する位置に配された対向電極136と、霧化電極135を露点以下にするための冷却手段を構成し、霧化電極135に空気中の水分を結露させて貯蔵室(野菜室107)にミストとして噴霧することにより、貯蔵室(野菜室107)内の余剰な水蒸気から容易に、確実に霧化電極135に結露させることができ、対向電極136との間の高電圧のコロナ放電によってナノレベルの微細ミストが生成され、霧化されて噴霧された微細ミストが野菜等の青果物の表面に均一に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させることができる。また、青果物表面の細胞間隙や気孔等から、組織内に浸透し、萎んだ細胞内に水分が供給され、シャキッとした状態に復帰させることができる。
また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果を高めることができる。
また、噴霧されたミストは直接、野菜容器(上段収納容器120、下段収納容器119)内の食品に噴霧することができ、ミストと野菜の電位を利用して野菜表面にミストを付着させることができるので、保鮮の効率がよい。
さらに、霧化電極135に貯蔵室(野菜室107)内の余剰な水蒸気を結露させ、水滴を付着させ、ミストを噴霧することから貯水タンクなどが不要であり、また、ポンプやキャピラリなどの送水手段も使用していないので、安価に構成することが可能となる。
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材を用いたときの劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
さらに、超音波振動による超音波霧化ではないので、貯水タンクが不必要であり、また、入力も小さいので庫内の温度影響が少ない。
さらに、電圧印加部133が収納されている部分についても奥面仕切り壁111に埋め込まれて、冷却されているので基板の温度上昇を抑えることができる。これにより、貯蔵室(野菜室107)内の温度影響を少なくすることができる。
また、本実施の形態では、各貯蔵室を冷却するための冷却器112と、冷却器112と貯蔵室を断熱区画するための奥面仕切り壁111を備え、静電霧化装置131を奥面仕切り壁111に取り付け、静電霧化装置131の外郭ケース137に噴霧口132とは別個に霧化電極135への湿度供給口(冷気供給口)138を、噴霧口132を設けた面と垂直する外郭ケース137の底面側の面に備えることにより、空気の出入り口を形成するため貯蔵室(野菜室107)内の空気対流に影響されて霧化電極135部にも空気流れが発生し、効率よく安定に霧化電極135に貯蔵室(野菜室107)内の空気中の水分(湿度)を供給でき、結露を促進させることができると同時に、湿度供給口(冷気供給口)138を外郭ケース137の底面側の面に設けていることで、奥面仕切り壁111に付着した結露水が落滴して湿度供給口(冷気供給口)138から電圧印加部133へ侵入することを防止できるので安全性を向上することができる。
また、霧化電極135から微細ミストが噴霧されるとき、イオン風が発生するが、このとき、湿度供給口(冷気供給口)138より、新たに空気が霧化電極135部に流入するため、噴霧口132付近で循環流(ショートサーキット)が発生することなく連続して安定して噴霧することができる。
また、貯蔵室(野菜室107)内の間隙に設置できるので収納容積を減少することがなく、さらに、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
なお、微細ミスト発生時にオゾンも発生する。静電霧化装置131のON・OFF運転により、貯蔵室(野菜室107)内のオゾン濃度を調整することが出来る。オゾン濃度を適度に調整することにより、オゾン過多による野菜の黄化などの劣化を防止し、かつ、野菜表面の殺菌、抗菌作用を高めることが出来る。
なお、本実施の形態では、冷却ピン134を冷却するための風路は、冷凍室吐出風路141としたが、製氷室106の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でもかまわない。これにより、静電霧化装置131の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置131の霧化電極135周囲には、保水材を設けなかったが、保水材が配設してもよい。これにより、霧化電極135近傍で生成された結露水を霧化電極135周囲に保持することができるので霧化電極135に適時に供給することができる。
なお、本実施の形態において、静電霧化装置131を設ける冷蔵庫100の貯蔵室を、野菜室107としたが、冷蔵室104や切換室105などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。
なお、本実施の形態では、霧化電極135を冷却する手段として、冷却器112で生成した冷気流れによる風路141表面からの熱伝導としたが、ペルチェ効果を利用したペルチェ素子を冷却ピン134に直接配置して冷却しても構わない。この場合、ペルチェ素子への印加電圧の調整で微妙な温度制御ができるので、先端の最適な温度調整が可能になる。
なお、本実施の形態では、噴霧口132とは別個に噴霧口132を設けた面と垂直する外郭ケース137の下面(底面)部分に湿度供給口(冷気供給口)138を設けたが、この噴霧口132として、外郭ケース137の下面部分のほぼ全体を開口しても良く、その場合には外郭ケース137の下方側から多量の空気を外郭ケース137内へ導入することができるので、外郭ケース137内での空気抵抗を低減することができ、より効率よく霧化部での結露を促すことができる。また、下面部分のほぼ全体が開口していることで、結露水が外郭ケース137に溜まることを防止することができ、結露水が直接落滴した場合や外郭ケース137を伝って落滴した場合でも湿度供給口(冷気供給口)138から外郭ケース137の外部へと速やかに排出されるので電圧印加部133へ侵入することを防止し、静電霧化装置131の安全性をより向上させることができる。
なお、このように、外郭ケース137の底面に備えた湿度供給口(冷気供給口)138に水抜き穴としての機能を持たす際には、外郭ケース137の底面部の中で最も低い面に湿度供給口(冷気供給口)138を設けることで、外郭ケース137内に水分が溜まることなく、重力によって速やかに排出されるので、より望ましい。また、よりスムーズに水分の排出が行えるように外郭ケース137の底面に下方への傾斜を持たせ、底面の中で最も低い面である最底面部に水抜き穴としての機能を持たす湿度供給口(冷気供給口)138を備えると良い。
特に、扉が閉まっている状態では貯蔵室内が低温で密閉状態にある冷蔵庫においては、壁面に発生した結露水が落下する可能性があるが、本実施の形態のように外郭ケース137の上面部は閉塞されており、開口部を有しないことによって、外郭ケース137外の上方部の結露水が外郭ケース137内へと落下および流入することを防ぐことができ、外郭ケース137外の結露水が霧化電極や電圧印加部へと落下してくることによる漏電や霧化不良等の危険性を低減することが可能である。
さらに、外郭ケース137の上面部は閉塞されていることによって、外郭ケース137の内部の高湿度環境によって結露水が上面部の外郭ケース137の内部側に発生する可能性があるが、そういった場合でも、下面部に冷気供給口を備えることによって、上面部の閉塞により落下結露水が溜まりやすい状況においても、湿度供給口(冷気供給口)138から外郭ケース137の外部へと速やかに排出されるので電圧印加部133へ侵入することを防止し、静電霧化装置131の安全性をより向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、霧化装置として静電霧化装置131を例に挙げて詳細な説明を行ったが、霧化装置は静電霧化装置131に限らず、超音波霧化装置やエジェクタ霧化装置であっても、それらの霧化装置のミスト噴霧が行われる霧化先端部を収納する外郭ケース137に対して同様の技術が適用でき、特に霧化装置への水分補給方法が貯蔵室内の空気中の水分を霧化部139に結露させた結露水を用いてミスト噴霧を行う場合においては、冷気供給口を湿度供給口138として効果的に結露を行う為に高湿度の冷気を外郭ケース137内へ取り込む為の技術については、同様の技術を適用することが可能である。
なお、本実施の形態においては、冷気供給口として湿度供給口138を例に挙げて詳細な説明を行ったが、このような冷気供給口として主に高湿の冷気を取り入れる目的の湿度供給口138が有効であるのは、本実施の形態で説明したような貯蔵室(野菜室107)内の空気中の水分を霧化部139に結露させた結露水を用いてミスト噴霧を行う場合であるが、同様の構成で、例えば貯水タンクに保持された貯留水を静電霧化装置131へ供給してミスト噴霧を行うといった場合であっても、本実施の形態で説明したような静電霧化装置131周辺がミストを噴霧する為に高湿となりやすく、特に外郭ケース137内においては、水垢の発生および水分を介した漏電等も起こりやすい環境となるといった課題は共通であるので、静電霧化装置131への水分補給方法は結露方式に限らず、貯水タンクに保持された貯留水を静電霧化装置131へ供給する水分補給方法であっても、同様の技術が適用できる。
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の図2のB−B部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態においては、実施の形態1で説明した部分と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1と同一の構成および効果が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図4に示すように、静電霧化装置131の外郭ケース137には、噴霧口132とそれとは別個に噴霧口132を設けた面と垂直する外郭ケース137の貯蔵室側面側の面に、障害物が存在しない下段収納容器119と上段収納容器120の間の空間に位置するように冷気供給口である湿度供給口138が構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。なお、冷却ピン134の冷却手段およびミスト噴霧の動作・作用については実施の形態1と同様であるため説明は省略する。
外郭ケース137に設けた湿度供給口138から入った空気が霧化部139でミストになった上で噴霧口132から噴霧されることで空気の出入り口を形成するため貯蔵室内の空気対流に影響されて霧化電極135部を含めて外郭ケース137内に空気流れが発生し、野菜などからの蒸散による比較的高湿な状態の空気が湿度供給口138から霧化電極135に効率よく安定に供給され、先端を含め、霧化電極135には水滴が生成、付着する。
以上のように、本実施の形態においては、各貯蔵室(野菜室107)を冷却するための冷却器112と、冷却器112と貯蔵室を断熱区画するための奥面仕切り壁111を備え、静電霧化装置131を奥面仕切り壁111に取り付け、静電霧化装置131の外郭ケース137に噴霧口132とは別個に霧化電極135への湿度供給口(冷気供給口)138を、噴霧口132を設けた面と垂直する外郭ケース137の側面側の面に、障害物が存在しない下段収納容器119と上段収納容器120の間の空間に位置するように備えることにより、空気の出入り口を形成するため貯蔵室(野菜室107)内の空気対流に影響されて霧化電極135部にも空気流れが発生し、効率よく安定に霧化電極135に貯蔵室(野菜室107)内の空気中の水分(湿度)を供給でき、結露を促進させることができる。
また、特にミスト噴霧が行われる為に外郭ケース137内においては、水垢の発生および水分を介した漏電等も起こりやすい環境となるが、本実施の形態のように冷気供給口を備えることで、空気の出入り口が形成され、外郭ケース137内に積極的に空気の流れを発生させることができ、外郭ケース137内に水分が溜まることなく、流れる冷気と共に循環させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、冷気供給口である湿度供給口138を噴霧口132とは別個に噴霧口132を設けた面と垂直する外郭ケース137の側面部分に設けたが、冷気供給口として、外郭ケース137の側面の底面部を開口するとなお良く、その場合には外郭ケース137の下方側から多量の空気を外郭ケース137内へ導入することができるので、外郭ケース137内での空気抵抗を低減することができ、より効率よく霧化部139での結露を促すことができる。また、側面の底面部分が開口していることで、結露水が外郭ケース137に溜まることを防止する水抜き穴としての機能を果たすことができ、結露水が直接落滴した場合や外郭ケース137を伝って落滴した場合でも湿度供給口138から外郭ケース137の外部へと速やかに排出されるので電圧印加部133へ侵入することを防止し、静電霧化装置の安全性をより向上させることができる。なお、このように、外郭ケース137の側面に備えた冷気供給口に水抜き穴としての機能を持たす際には、外郭ケース137の底面部の中で最も低い面の延長上に冷気供給口を設けることで、外郭ケース137内に水分が溜まることなく、重力によって速やかに排出されるので、より望ましい。
また、本実施の形態では噴霧口132を外郭ケース137の下面部に備えたので、噴霧口132が結露水が外郭ケース137に溜まることを防止する水抜き穴としての機能を果たすことができ、結露水が直接落滴した場合や外郭ケース137を伝って落滴した場合でも湿度供給口138から外郭ケース137の外部へと速やかに排出される。
このように、本願発明では噴霧口132もしくは湿度供給口138のいずれの開口部も外郭ケース137の上面以外の面に設けられていることで、低温密閉空間である冷蔵庫の貯蔵室内で仮に貯蔵室内の外郭ケース137よりも上方部に溜まった貯蔵室内の結露水が外郭ケース137に落下したとしても、外郭ケース137の上面に開口部を有しないので、外郭ケース137外から外郭ケース137内に水滴が落下することを防止することができ、より漏電やショート等を防いだ安全性の高い冷蔵庫を提供することが可能となる。
また、外郭ケース137の下面部分に噴霧口132が設けられる構成としたことで、外郭ケース137の上面は閉塞されて開口部がないために外郭ケース137内において結露が発生しやすくなる場合でも、外郭ケース137の下面部に水抜き穴の機能を有する噴霧口132を備えることで、外郭ケース137内の水垢の発生、菌・カビの繁殖を防止することができる。
特に、扉が閉まっている状態では貯蔵室内が低温で密閉状態にある冷蔵庫においては、壁面に発生した結露水が落下する可能性があるが、本実施の形態のように外郭ケース137の上面部は閉塞されており、開口部を有しないことによって、外郭ケース137外の上方部の結露水が外郭ケース137内へと落下および流入することを防ぐことができ、外郭ケース137外の結露水が霧化電極や電圧印加部へと落下してくることによる漏電や霧化不良等の危険性を低減することが可能である。
さらに、外郭ケース137の上面部は閉塞されていることによって、外郭ケース137の内部の高湿度環境によって結露水が上面部の外郭ケース137の内部側に発生する可能性があるが、そういった場合でも、側面の底面部分に冷気供給口を備えることによって、上面部の閉塞により落下結露水が溜まりやすい状況においても、湿度供給口(冷気供給口)138から外郭ケース137の外部へと速やかに排出されるので電圧印加部133へ侵入することを防止し、静電霧化装置131の安全性をより向上させることができる。
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3における冷蔵庫の野菜室近傍の縦断面図である。
本実施の形態においては、実施の形態1および2で説明した部分と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1および2と同一の構成および効果が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図5に示すように、野菜室107と製氷室106の温度帯を区切るために断熱性を確保した第一の仕切り壁123に静電霧化装置131は噴霧方向が貯蔵室空間へ向くように組み込まれており、特に霧化部である冷却ピン134部については、その断熱材が凹形状になっている。
静電霧化装置131の外郭ケース137には、噴霧口132とそれとは別個に噴霧口132を設けた面と垂直する外郭ケース137の貯蔵室奥面側の面に湿度供給口138が構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている第一の仕切り壁123の厚さは、霧化電極135が固定されている冷却ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている箇所の壁厚は他の部分より薄く構成されている。そのため、比較的低温である製氷室からの熱伝導により冷却ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することができ、霧化電極135の先端温度は露点以下になる。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことが出来る。
そして、外郭ケース137に設けた噴霧口132と湿度供給口138が空気の出入り口を形成するため貯蔵室内の空気対流に影響されて霧化電極135部を含めて空気流れが発生し、野菜などからの蒸散による比較的高湿状態の空気が湿度供給口138から霧化電極135に効率よく安定に供給され、先端を含め、霧化電極135には水滴が生成、付着する。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、野菜容器内に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、その中には緑の菜っ葉ものや果物等も保存されている。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態に復帰する。
また、発生した微細ミストは、オゾンやOHラジカルなどを保持しており、これらは強い酸化力を保持する。そのため、発生した微細ミストが野菜室内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することが出来ると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することが出来る。
現在、冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されているものが主流になっている。
この、炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。
仮に、圧縮機の停止時に冷凍システムから可燃性冷媒であるイソブタンが漏洩した場合には、空気よりも重いので、下方に漏洩することになる。このとき、奥面の仕切り壁111より、庫内へ冷媒が漏洩する可能性がある。特に、冷媒の滞留量が多い冷却器112から漏洩する場合には、漏洩量が多くなる可能性があるが、静電霧化装置131を具備する野菜室107は、冷却器112より上方に設置されているため、漏洩しても野菜室には漏洩することがない。
また、仮に野菜室107に漏洩したとしても、冷媒は空気より重いため貯蔵室下部に滞留する。よって、静電霧化装置131が貯蔵室天面に設置されているため、静電霧化装置131付近が可燃濃度になることは極めて低い。
以上のように、本実施の形態においては、貯蔵室(野菜室107)を区画するための仕切り壁123と、貯蔵室(野菜室107)の天面側には低温貯蔵室(製氷室106)が備えられ、冷凍室108や製氷室106のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁123に静電霧化装置131を設けることで、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので収納容器(下段収納容器119、上段収納容器120)全体に拡散させ易い。
また、静電霧化装置131の外郭ケース137に噴霧口132とは別個に霧化電極135への湿度供給口(冷気供給口)138を、噴霧口132を設けた面と垂直する外郭ケース137の奥面側の面に備えることにより、空気の出入り口を形成するため貯蔵室(野菜室107)内の空気対流に影響されて霧化電極135部にも空気流れが発生し、効率よく安定に霧化電極135に貯蔵室(野菜室107)内の空気中の水分(湿度)を供給でき、結露を促進させることができると同時に、湿度供給口(冷気供給口)138を外郭ケース137の奥面側の面に設けていることで、湿度供給口(冷気供給口)138から電圧印加部133へ人の手が触れることを防止できるので、安全性を向上させることができる。
また、特にミスト噴霧が行われる為に外郭ケース137内においては、水垢の発生および水分を介した漏電等も起こりやすい環境となるが、本実施の形態のように冷気供給口を備えることで、空気の出入り口が形成され、外郭ケース137内に積極的に空気の流れを発生させることができ、外郭ケース137内に水分が溜まることなく、流れる冷気と共に循環させることが可能となる。
さらに、本実施の形態においては、底面部分が噴霧口132として開口していることで、この噴霧口132が、結露水が外郭ケース137に溜まることを防止する水抜き穴としての機能を果たすことができ、結露水が直接落滴した場合や外郭ケース137を伝って落滴した場合でも噴霧口132から外郭ケース137の外部へと速やかに排出されるので電圧印加部133へ侵入することを防止し、静電霧化装置の安全性をより向上させることができる。なお、このように、外郭ケース137の底面に備えた噴霧口132に水抜き穴としての機能を持たす際には、外郭ケース137の底面部の中で最も低い面に噴霧口132を設けることで、外郭ケース137内に水分が溜まることなく、重力によって速やかに排出されるので、より望ましい。
特に、扉が閉まっている状態では貯蔵室内が低温で密閉状態にある冷蔵庫においては、壁面に発生した結露水が落下する可能性があるが、本実施の形態のように外郭ケース137の上面部は閉塞されており、開口部を有しないことによって、外郭ケース137外の上方部の結露水が外郭ケース137内へと落下および流入することを防ぐことができ、外郭ケース137外の結露水が霧化電極や電圧印加部へと落下してくることによる漏電や霧化不良等の危険性を低減することが可能である。
さらに、外郭ケース137の上面部は閉塞されていることによって、外郭ケース137の内部の高湿度環境によって結露水が上面部の外郭ケース137の内部側に発生する可能性があるが、そういった場合でも、底面部分が噴霧口132として開口していることによって、上面部の閉塞により落下結露水が溜まりやすい状況においても、水抜き穴としての機能を有する噴霧口132から外郭ケース137の外部へと速やかに排出されるので電圧印加部133へ侵入することを防止し、静電霧化装置131の安全性をより向上させることができる。
また、霧化電極135と電圧印加部133を外郭ケース137内に収納することで、使用者の手が霧化電極135や電圧印加部133へ触れることを防止するので、貯蔵室(野菜室107)内で高電圧を印加しても使用者の安全性を確保しながら微細ミストを噴霧することができる。
さらに、霧化部139および冷却ピン134を凹形状の部分に備えているので、貯蔵室(野菜室107)内への出っ張りが少なく、より、使用者の手が霧化電極135や電圧印加部133へ触れにくくするので、貯蔵室(野菜室107)内で高電圧を印加しても使用者の安全性をさらに高めることができる。さらに、天面側の奥面側に外郭ケース137を備えているので、より安全性を向上させることができる。
また、天面から噴霧できるので収納容器(下段収納容器119、上段収納容器120)全体にミストを拡散させやすい。
また、本実施の形態の霧化部139は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を分裂させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器(下段収納容器119、上段収納容器120)内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極135先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
また、静電霧化装置131を蒸発器(冷却器112)より上方に配置していることから、イソブタンやプロパンなどの可燃性冷媒を用いて冷凍サイクルを構成した場合であって、かつ、冷媒が漏洩した場合も、空気より重いため冷媒が野菜室107に充満することはないので安全である。
また、野菜室107内においても静電霧化部139を貯蔵室(野菜室107)の上方に設置しているので、冷媒が漏洩しても、貯蔵室(野菜室107)の下部に滞留するので着火することはない。
なお、貯蔵室(野菜室107)内は冷媒配管等に直接面している部分がないので、冷媒が漏洩することはない。よって、可燃性冷媒に着火することはない。
(実施の形態4)
図6は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の野菜室近傍の縦断面図である。また、図7は本発明の実施の形態4における別形態の冷蔵庫の野菜室近傍の縦断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から3で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から3で説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分や同一の効果が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態4は冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に冷凍室108が構成され、冷凍室108のさらに下部に野菜室107が構成されている。
野菜室107と冷凍室108の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁125があり、第二の仕切り壁125の奥側と冷凍室108奥面には仕切り壁201が構成され、仕切り壁201と冷蔵庫の断熱箱体101の間には、冷却器112が設置され、その下部には、冷却器に付着した霜を融解するためのラジアントヒータ114と融解した水を受けるためのドレンパン115が設置され、各室に冷気を搬送するための冷却ファン113を含めこれらで冷却室110を構成している。この冷却室110と野菜室を仕切る第2の仕切り壁125に霧化装置である静電霧化装置131は、図12のように冷却室110の冷却源を利用するように設置されており、特に霧化部139の伝熱接続部材である冷却ピン134部については、その第二の仕切り壁125の断熱材が凹形状になっており、その近傍に加熱手段154が構成されている。
野菜室107には、野菜室107の引出し扉118に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器119と、下段収納容器119に載置された上段収納容器120が配置されている。
下段収納容器119は、仕切り体167より扉118側の飲料収納部166にペットボトルや缶、ビンなどを収納する飲料収納部166と飲料と食品収納の空間を仕切るための飲料仕切り板167が構成されている。
また、野菜室107を冷却するための風路構成は、図12に示すとおり、野菜室107の奥面に冷蔵室からの風路もしくは、冷凍室からの風路を利用した野菜室吐出風路202が構成され、野菜室107よりやや低温の空気が野菜室吐出風路202を経由して、野菜室吐出口124より野菜室107の下段収納容器119の奥面から底面に向けて流出する。そして、その冷気の流れは、下段収納容器119の底面から前面に流れ、収納容器前方の飲料収納部166に流れこみ、さらに、第2の仕切り壁125の下面に設置された野菜室吸込み口126に流れ、野菜室吸込み風路203より冷却器112に循環している。
また、上段収納容器120は、その底面側の一部が下段収納容器119内に配置されており、この下段収納容器119内に配置されている上段収納容器120に複数の空気流通孔171が設けられている。
また、上段収納容器120の底面は、凹凸形状で形成された波型形状としている。
第二の仕切り壁125は、主にABSなどの樹脂で外殻が構成され、その内部には発泡ウレタンや発泡スチロールなどを用い、野菜室107と冷凍室108、冷却室110を断熱しているとともに、貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹形状になっており、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131の外郭ケース137には、噴霧口132とそれとは別個に噴霧口132を設けた面と垂直する外郭ケース137の貯蔵室奥面側の下方の面に湿度供給口138が構成されている。
静電霧化装置131を固定している第2の仕切り壁125には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である冷却ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための加熱手段154が霧化部139近傍に設置されている。
よって、伝熱接続部材である冷却ピン134の背面側は冷却室110側に近接した配置となっている。
ここで、伝熱接続部材である冷却ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、冷却ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。なお、ミスト噴霧の動作・作用については実施の形態1から3と同様であるため説明は省略する。
静電霧化装置131が設置されている第二の仕切り壁125の厚さは、冷凍室108および冷却室110と野菜室を断熱区画するための壁厚が必要であるが、その一方、霧化先端部である霧化電極135が固定されている冷却ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている壁厚は他の部分より薄く構成されている。さらに冷却ピン134が保持されている最深凹部の壁厚はさらに薄く構成されている。そのため、低温である冷却室110からの熱伝導により冷却ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することが出来、霧化電極135の先端温度は露点以下となる。
ここで、外気温度変動により冷凍室108の温調が変動し、霧化電極135が過冷になる場合があるため、霧化電極135近傍に設置された加熱手段154で霧化電極135の温度を調整することにより霧化電極135先端の水量を最適化することができる。
そして、外郭ケース137に設けた噴霧口132と湿度供給口138が空気の出入り口を形成するため貯蔵室内の空気対流に影響されて霧化電極135部を含めて空気流れが発生し、野菜などからの蒸散による比較的高湿状態の空気が湿度供給口138から霧化電極135に効率よく安定に供給され、先端を含め、霧化電極135には水滴が生成、付着する。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、野菜容器内に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、その中には緑の菜っ葉ものや果物等も保存されている。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態に復帰する。
また、発生した微細ミストは、オゾンやOHラジカルなどを保持しており、これらは強い酸化力を保持する。そのため、発生した微細ミストが野菜室内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することが出来ると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することが出来る。
以上のように、本実施の形態においては、貯蔵室(野菜室107)を区画するための仕切り壁125と、貯蔵室(野菜室107)の天面側には低温貯蔵室(冷凍室108、冷却室110)が備えられ、冷凍室108や冷却室110のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁125に静電霧化装置131を設けることで、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので収納容器(下段収納容器119、上段収納容器120)全体に拡散させ易い。
また、低温で乾燥した冷気をPETボトル等の飲料が置かれることが多い飲料仕切り板167の手前部分の収納飲料収納部166に多量に入れて、次に野菜室の手前側から流入した冷気が背面側へと流れるにつれて湿度が高くなっていくので、扉側よりも奥面側の湿度を相対的高くすることで、奥面側に配置された静電霧化装置131周辺は高湿度の雰囲気として静電霧化装置131で空気中の水分が結露しやすい環境にすることができる。さらに、貯蔵室内の水分を結露させた水滴を用いて静電霧化装置131によって噴霧されたミストは、粒子径がナノレベルで細かく拡散性の高い微細ミストとなって上段収納容器120を満たした上で、下段収納容器119へと流入して保湿を行うようにしている。
また、静電霧化装置131の外郭ケース137に噴霧口132とは別個に霧化電極135への湿度供給口(冷気供給口)138を、噴霧口132を設けた面と垂直する外郭ケース137の奥面側の面に備えることにより、空気の出入り口を形成するため貯蔵室(野菜室107)内の空気対流に影響されて霧化電極135部にも空気流れが発生し、効率よく安定に霧化電極135に貯蔵室(野菜室107)内の空気中の水分(湿度)を供給でき、結露を促進させることができると同時に、湿度供給口(冷気供給口)138を外郭ケース137の奥面側の面に設けていることで、湿度供給口(冷気供給口)138から電圧印加部133へ人の手が触れることを防止できるので、安全性を向上させることができる。
また、特にミスト噴霧が行われる為に外郭ケース137内においては、水垢の発生および水分を介した漏電等も起こりやすい環境となるが、本実施の形態のように冷気供給口を備えることで、空気の出入り口が形成され、外郭ケース137内に積極的に空気の流れを発生させることができ、外郭ケース137内に水分が溜まることなく、流れる冷気と共に循環させることが可能となる。
また、霧化電極135と電圧印加部133を外郭ケース137内に収納することで、使用者の手が霧化電極135や電圧印加部133へ触れることを防止するので、貯蔵室(野菜室107)内で高電圧を印加しても使用者の安全性を確保しながら微細ミストを噴霧することができる。
さらに、霧化部139および冷却ピン134を凹形状の部分に備えているので、貯蔵室(野菜室107)内への出っ張りが少なく、より、使用者の手が霧化電極135や電圧印加部133へ触れにくくするので、貯蔵室(野菜室107)内で高電圧を印加しても使用者の安全性をさらに高めることができる。さらに、天面側の奥面側に外郭ケース137を備えているので、より安全性を向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部139は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を分裂させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器(下段収納容器119、上段収納容器120)内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極135先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。