請求項1に記載の発明は、仕切り壁によって断熱区画された貯蔵室と、前記貯蔵室内にミストを噴霧させる霧化部とを有し、前記霧化部は、電位差を発生させる電圧印加部と、前記電圧印加部に電気的に接続された霧化電極と、前記霧化電極に接続された伝熱冷却部材と、冷凍サイクルで生成した冷気を前記貯蔵室に供給するダンパとを有し、前記伝熱接続部材は金属ピンで長手方向に向かって熱伝達が行われるもので、前記伝熱接続部材を前記冷凍サイクルで生成した冷気で冷却することで間接的に前記霧化電極を露点以下に冷却し、前記霧化電極に空気中の水分を結露させて貯蔵室にミストとして噴霧するとともに前記霧化電極に付着する水量を調整する調整手段を有したもので、前記調整手段は、前記ダンパの動作と連動して前記電圧印加部をON/OFFするものとした冷蔵庫である。
このように、霧化先端部が過剰に結露することを防止するための水量を調節する調整手段を備えたことにより、霧化電極に結露する液滴の大きさもしくは量を調整することができるので、結露状態が安定し、安定的にミスト噴霧を行うことができるとともに霧化先端部の過剰結露を防止し、霧化部の信頼性を向上させることができる。
また、これによって、ミスト噴霧用の水を供給するための除霜水ホースや浄化フィルター、もしくは専用タンクと水搬送手段とその経路、さらに水道直結の水供給経路などの複雑な構成を要することなく、簡単な構成で霧化させる水量を調整することができる。
また、貯蔵室内の余剰な水蒸気から容易に、確実に霧化電極に結露させ、また、その水量を調整することができ、微細ミストが生成され、噴霧された微細ミストが野菜等の青果物の表面に均一に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させることができる。また、青果物表面の細胞間隙や気孔等から、組織内に浸透し、萎んだ細胞内に水分が供給され、シャキッとした状態に復帰させることができる。
また、霧化電極に接続された伝熱接続部材を有し、調節手段によって前記伝熱接続部材を冷却または加熱することで間接的に前記霧化電極の温度調整を行うものである。
これによって、霧化先端部を直接冷却することなく、伝熱接続部材を冷却することで間接的に霧化電極を冷却することができ、伝熱接続部材が霧化先端部よりも大きな熱容量を有することで、調整手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化先端部の温度を調整することができ、霧化先端部の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加え、冷蔵庫本体は複数の貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却するための冷却器を収納する冷却室とを有し、霧化部は前記貯蔵室の冷却室側の仕切り壁に取り付けたものである。
これによって、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却される冷気の中でも最も低温となる冷却室の冷気もしくは冷気からの熱伝達を利用したパイプ等の部材を冷却手段とすることができる。このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材および霧化電極の冷却を行うことができるので、より省エネルギで霧化を行うことができる。
また、霧化部を仕切り壁に取り付けたことにより、霧化部が貯蔵室内に大きく出張らず間隙を有効に利用する位置に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明に加え、冷蔵庫本体は複数の貯蔵室を有し、霧化部を備えた貯蔵室の天面側には前記霧化部を備えた貯蔵室よりも低温に保たれた低温貯蔵室が備えられ、前記霧化部は前記霧化部を備えた貯蔵室の天面側の仕切り壁に取り付けたものである。
これによって、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁に設置され、その冷却源で霧化部の伝熱接続部材を介して霧化電極を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、簡単な構成で霧化部を備えることができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。
また、天面から噴霧できるので収納容器全体に拡散しやすく、また、人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明に加え、貯蔵室と、前記貯蔵室に備えられ基準電位部にアースされた保持部材とを有し、電圧印加部は霧化電極と前記保持部材との間に電位差を発生させるものである。
これにより、特に対向電極を持たなくても、貯蔵室側の一部にアースされた保持部材を備えることで、霧化電極と電位差を発生させて、ミスト噴霧を行うことができ、より簡単な構成で安定的な電界が構成されることにより安定的に霧化部から噴霧できる。
また、収納容器側に保持部材を取り付けると、収納容器全体が基準電位になっているので噴霧されるミストが収納容器全体に拡散することができる。さらに、周辺の物体への帯電も防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図である。図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室近傍の正面図である。図3は、図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。図4は、本発明の実施の形態1における霧化電極の温度挙動と霧化状態を示す放電電流モニター電圧値を示した実験結果を示す図である。図5は、本発明の実施の形態1における霧化電極温度と霧化電極近傍湿度の相関から求められた結露適正範囲を示した実験結果を示す図である。図6は、本発明の実施の形態1における機能ブロック図の一例を示す図である。図7は、本発明の実施の形態1における制御フロー図の一例を示す図である。
図において、冷蔵庫100の断熱箱体101は主に鋼板を用いた外箱102とABSなどの樹脂で成型された内箱103で構成され、その内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材が充填されている。これにより、貯蔵室を断熱するのと同時に、複数の貯蔵室に区分されている。冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に第二の貯蔵室としての野菜室107、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室108が構成されている。
冷蔵室104は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、野菜室107は冷蔵室104と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃としている。冷凍室108は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。切換室105は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室105は製氷室106に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引出し式の扉を備えることが多い。なお、本実施の形態では切換室105を冷蔵,冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室104,野菜室107、冷凍は冷凍室108に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切り換えに特化した貯蔵室としても構わない。また、特定の温度帯に固定された貯蔵室でもかまわない。製氷室106は、冷蔵室104内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵する。
断熱箱体101の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室を形成して圧縮機109、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機109を配設する機械室は、冷蔵室104内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた断熱箱体101の最上部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機109を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使いやすい断熱箱体101の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体101の最下部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機109を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室107と冷凍室108の背面には冷気を生成する冷却室110が設けられ、その間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路141と、各貯蔵室を断熱区画するための断熱材152とで構成された奥面仕切り壁111が備えられている。風路141と冷却室仕切り板401によって区画された冷却室110内には、冷却器112が配設されており、冷却器112の上部空間には強制対流方式により冷却器112で生成した冷気を冷蔵室104、切換室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に送風する冷却ファン113が配置され、冷却器112の下部空間には冷却時に冷却器112やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためのガラス管製のラジアントヒータ114が設けられ、さらにその下部には除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン115、その最深部から庫外に貫通したドレンチューブ116が構成され、その下流側の庫外に蒸発皿117が構成されている。
野菜室107には、野菜室107の引出し扉118に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器119と、下段収納容器119に載置された上段収納容器120が配置されている。
引出し扉118が閉ざされた状態で主に上段収納容器120を略密閉するための蓋体122が野菜室上部の第一の仕切り壁123及び内箱103に保持されている。引出し扉118が閉ざされた状態で蓋体122と上段収納容器120の上面の左右辺、奥辺が密接し、上面の前辺は略密接している。さらに、上段収納容器120の背面の左右下辺と下段収納容器119の境界部は、上段収納容器120が稼働する上で接触しない範囲で食品収納部の湿気が逃げないよう隙を詰めている。
蓋体122と第一の仕切り壁123の間には、奥面仕切り壁111に構成された野菜室用吐出口124から吐出された冷気の風路が設けられている。また、下段収納容器119と第二の仕切り壁125との間にも空間が設けられ冷気風路を構成している。野菜室107の背面側に位置する奥面仕切り壁111の下部には、野菜室107内を冷却し熱交換された冷気が冷却器112に戻るための野菜室用吸込口126が設けられている。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった扉に取り付けられたフレームと内箱に設けられたレールにより開閉するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。また、蓋体122、野菜室吐出口、吸い込み口、風路構成については、収納容器の形態によりそれらは最適化される。
奥面仕切り壁111は、主にABSなどの樹脂を用いた奥面仕切り壁表面151と発泡スチロールなどを用いて風路141野菜室107の間を隔離、断熱性を確保する断熱材152とで構成されている。また、各室へ冷気を循環するための風路141と、冷却室110との間を隔離する冷却室仕切り板401を備えている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
霧化装置である静電霧化装置131は主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる伝熱接続部材である金属ピン134に固定され、電気的にも電圧印加部から配線されている一端を含めて接続している。
この伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極135に比べて50倍以上好ましくは100倍以上の大きな熱容量を有するものであり、例えば、アルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、金属ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱部材で覆われていることが望ましい。
また、長期的に霧化電極135と金属ピン134の熱伝導の維持も必要であるので、接続部に湿度等の侵入を防止するためにエポキシ部材などを流しこみ、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極135と金属ピン134を固定する。また、熱抵抗を低下させるために霧化電極135を金属ピン134に圧入等により固定してもよい。
さらに、金属ピン134は、貯蔵室と冷却器112もしくは風路を断熱するための断熱材内で冷温を熱伝導させる必要があるので、その長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、その長さを30mm以上にした場合は、その効果は低下する。
なお、貯蔵室に設置された静電霧化装置131が高湿環境下にあり、その湿度が金属ピン134に影響する可能性があるので、金属ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択したほうが好ましい。
金属ピン134は外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭ケース137から突起して構成されている。また、霧化電極135に対向している位置で貯蔵室側にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取付けられ、その延長上に噴霧口132が構成されている。
霧化電極135近傍では、ミスト噴霧のため、常に放電が起こるため、霧化電極135先端では、磨耗を生じる可能性がある。冷蔵庫100は、10年以上運転することになるので、霧化電極135の表面は、強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
さらに、霧化部139の近傍に電圧印加部133が構成され、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されている。
対向電極136は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
電圧印加部133は、冷蔵庫本体の制御手段146と通信、制御され、冷蔵庫100もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
さらに、静電霧化装置131を固定している奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間には、貯蔵室の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するための仕切り壁ヒータ154が設置されている。さらに静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である金属ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための金属ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが奥面仕切り壁111の凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bに嵌めあわされている。
よって、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側には凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bが備えられており、すなわち冷却室110側は断熱材152が野菜室107の背面側の仕切り壁における他の部分よりも薄くなっており、この薄い断熱材152を熱緩和部材として、背面から冷却室110の冷気もしくは暖気が熱緩和部材である断熱材152を介して金属ピン134を冷却するように設置されている。
また、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
このように簡単な構造で調整手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材および霧化電極の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接する為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から調整手段によって冷却されることとなる。
また、このように断熱材152は熱緩和部材として金属ピン134の少なくとも冷却手段側を覆っているが、好ましくは金属ピンの凸部134aの表面全体をほぼ覆うことが望ましく、この場合には金属ピン134の長手方向と直交する横方向のからの熱侵入が少なくなり、凸部134a側の端部134b側から長手方向に向かって熱伝達が行われる為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から調整手段によって冷却されることとなる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御手段からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体の側面や背面、また冷蔵庫本体の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリ(図示せず)に至る。その後、キャピラリでは圧縮機109への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器112に至る。ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン113の動作により各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器112内の冷媒は蒸発気化する。この時、冷却室110で各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。低温冷気は冷却ファン113から冷蔵室104、切替室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に冷気を風路やダンパを用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。特に、野菜室107は、冷蔵室104を冷却した後、その空気を冷却器112に循環させるための冷蔵室戻り風路の途中に構成された野菜室用吐出口124から野菜室107に吐出し、上段収納容器120や下段収納容器119の外周に流し間接的に冷却し、その後、野菜室用吸込口126から再び冷却器112に戻る循環風路になっている。また、野菜室107の温度制御については、冷気の配分や仕切り壁に備えられた仕切り壁ヒータ154などのON/OFF運転で行っており、これらの制御により2℃から7℃になるように調整されている。なお、一般的には庫内温度検知手段をもたないものが多い。
野菜室107の奥面に設置されている奥面仕切り壁111には、凹部が構成され、この箇所に静電霧化装置131が取り付けられている。ここで、霧化部139である金属ピン134の後方は最深凹部111bがあり、断熱材の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成され、他の箇所より低温状態になる。本実施の形態の冷蔵庫においては、この程度の厚みが金属ピンと調整手段との間に位置する熱緩和部材としての適切なものとなる。これにより、奥面仕切り壁111は凹部111aが構成され、この箇所の最背面の最深凹部111bに金属ピン134の凸部134aが突出した形状の静電霧化装置131が嵌めこまれて、取り付けられている。
金属ピン134背面の冷凍室吐出風路141には、冷凍サイクルの運転により冷却器112で冷気が生成され、冷却ファン113により−15〜−25℃程度の冷気が吐出、風路表面から熱伝導で金属ピン134が0〜−6℃程度に冷却される。このとき、金属ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、金属ピン134に固定された霧化電極135も金属ピン134を介して0〜−6℃程度に冷却される。
ここで、野菜室は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態を保持するので、霧化先端部である霧化電極135は露点以下となり、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着する。
水滴が付着した霧化電極135に負電圧、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー分裂により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。なお、電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μA、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力であるため庫内温度への影響は微小である。
具体的には、霧化電極135を基準電位側(0V)、対向電極136を高電圧側(+7kV)とすると霧化電極135先端に付着した結露水により、対向電極136の距離が接近し、これにより空気絶縁層が破壊され、放電が開始する。このとき結露水は帯電し、また、液滴表面において、表面に発生した静電気力は表面張力を超え、微細な粒子が発生する。さらに対向電極136がプラス側のため、帯電した微細ミストは引き寄せられ、微細粒子がさらにレイリー分裂により超微粒化され、ラジカルを含んだ数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストが対向電極136に引き寄せられ、その慣性力により、貯蔵室に向けて、微細ミストが噴霧される。
上記における実験結果を図4および、図5に示す。
図4の横軸は時間、縦軸は放電電流モニター電圧値を示しており、放電電流モニター電圧値は、電極間に電流が流れる、つまり、放電現象がおき、微細ミストが発生したときのみ電圧値が下がるように設定され、出力されている。
冷蔵庫100において、冷却器112の温度が下がり始める、つまり冷凍サイクルの運転が開始したとき、野菜室107の冷却も開始する。このとき、野菜室107にも冷気が流れるため、乾燥状態となり、霧化電極135も乾燥する傾向にある。
次に冷蔵室ダンパ(図示せず)が閉じると冷蔵室吐出空気温度が上昇し、冷蔵室104や野菜室107の温度、湿度は上昇する。このとき、冷凍室吐出冷気温度は次第に低下するので、金属ピン134はさらに冷却され、高湿環境に推移した野菜室107に設置された霧化部139の霧化電極135は結露しやすくなる。そして、霧化電極135先端で液滴が成長し、液滴先端と対向電極136間の距離がある一定距離になると空気絶縁層が破壊され、放電現象が開始し、霧化電極135先端より微細ミストが噴霧される。このとき、電極間に微小電流が流れるため図に示す波形のように放電電流モニター電圧値が下がる。その後、圧縮機109が停止、冷却ファン113が停止し、金属ピン134の温度は上昇するものの霧化部139雰囲気は引き続き高湿なため霧化は継続する。
ところが、冷却器112についた霜、氷を融解し、除去する除霜時には、冷却器112の温度が0℃を超える。このとき、静電霧化装置背面の冷凍室吐出風路の温度も上昇し、この温度上昇に伴って金属ピン134も加温され、霧化電極135の温度も上昇し、先端に付着した結露水は、蒸発し、霧化電極が乾燥する。
また、除霜ヒータは、冷却器の温度がある程度上がるとともに切れるという特性を有しているため、電極および伝熱接続部材の温度が上がりすぎることなく、適切な範囲で確実に電極および伝熱接続部材を昇温できるという効果を有する。
なお、本実施の形態では加熱手段は除霜ヒータのみでなく金属ピンヒータ158を備えるものとしたが、金属ピンヒータ158を備えずに除霜ヒータのみで調整手段の加熱手段を構成してもよく、過剰結露が生じた場合でも、このように冷却器の除霜時のタイミングと合わせて伝熱接続部材を介して霧化先端部である霧化電極が加熱されることで特別な構成を有することなく簡単に過剰な水滴を除去することが可能となる。このように、調整手段として特別なヒータを用いることなく、冷凍サイクル中に備えられている除霜ヒータを用いることで、特別な装置および電力を必要としないので、省材料でかつ省エネルギでのミスト噴霧を実現することができる。また、冷却器の除霜時に対応でき、さらに信頼性を向上させている。
冷蔵庫100の実使用状態を考慮したとき、使用される環境、開閉動作、食品収納状態により、野菜室107の湿度状況、加湿量は変化するので霧化先端部である霧化電極135に結露する量が過剰になることも想定でき、場合によれば、霧化電極135全体を覆うほどの液滴になり、放電による静電気力が表面張力を勝ることができず、霧化できない。よって、冷蔵室ダンパが開動作のとき、冷気による除湿に加え、加熱手段である金属ピンヒータ158を通電することにより霧化電極135を加熱する。これにより、付着している水滴の蒸発を促進させ、過剰結露を防止し、継続的・安定的に霧化を行うことができる。また、過剰結露により、液滴が成長し、奥面仕切り壁111などの水たれによる品質劣化を防止することもできる。
このように霧化電極135は、冷蔵庫100の冷凍サイクルを利用して、図5に示すように結露と乾燥を繰り返し、噴霧を断続的に行う。これにより霧化電極先端の水量を調整し、過剰結露の防止を行い、継続的な霧化を実現している。
このように霧化電極135を直接冷却もしくは加熱することなく、伝熱接続部材である金属ピン134を冷却もしくは加熱することで間接的に霧化電極135の温度調節をすることができ、伝熱接続部材134が霧化電極135よりも大きな熱容量を有することで、調節手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化電極の温度を調整することができ、霧化電極の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化電極135に対向する位置に配された対向電極136を備え、霧化電極135と対向電極136間に高圧電位差を発生させる電圧印加部133を有することで、霧化電極135近傍の電界が安定に構築できることによって微粒化現象、噴霧方向が定まり、収納容器内に噴霧する微細ミストの精度をより高めることができ、霧化部139の精度を向上させることができ、信頼性の高い静電霧化装置131置を提供することができる。
さらに、伝熱接続部材である金属ピン134は熱緩和部材を介して冷却もしくは加温されるので、上記のように霧化電極135を金属ピン134で間接的に温度を変化させるものにさらに、熱緩和部材である断熱材152を介して二重構造で間接的に温度を変化させることができ、霧化電極135が極度に冷却もしくは加温されることを防ぐことができる。霧化電極135が極度に冷却されると、それに伴い結露量が多大となり霧化部139の負荷の増大による静電霧化装置131への入力の増大および霧化部139の霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部139の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化電極135が極度に加熱されると、電圧印加部および霧化部周辺の貯蔵室温度が急激に上がり、電気部品の故障や収納物の温度上昇による冷却不良等の不具合が発生するが、こういった霧化部139の温度上昇による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化電極135を伝熱接続部材と熱緩和部材とを介して二重構造で間接的に温度調節することで、調節手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134の温度調節は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、温度調節手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接する為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材である金属ピン134および霧化先端部である霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の霧化部においては、伝熱接続部材である金属ピン134によって霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接する為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
このように調整手段である冷却手段を金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側に配置することで、調整手段である冷却手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができ安定して霧化電極の温度調節を行うことが可能となる。
また、霧化部が取り付けられている奥面仕切り壁111は、貯蔵室側の一部に凹部111aがあり、この凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bに凸部134aを有した霧化部が挿入されることによって、熱緩和部材として貯蔵室の仕切り壁を構成する断熱材152を用いることができ、特別な熱緩和部材を備えることなく断熱材の厚みを調整することで霧化電極が適度に冷却されるような熱緩和部材を備えることができ、霧化部139をより簡単な構成にすることができる。
また、凹部111aに霧化部139および最深凹部111bに凸部134aを有する金属ピン134を挿入することで、二段の凹部で霧化部をガタツキなく確実に仕切り壁に取り付けることができると共に、貯蔵室である野菜室107側への出っ張りを抑えることができ、人の手にも触れにくいので安全性を向上させることができる。
また、貯蔵室である野菜室107の奥面仕切り壁111を挟んだ外側に霧化部139が出っ張らないので、風路面積に影響を与えず、風路抵抗を増加させることによる冷却量の低下を防ぐことができる。
また、野菜室107の一部に凹部があり、そこに霧化部139が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱接続部材を確実に冷やすとともに、それ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるのでケース内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134は、ある程度の熱容量を確保できているので冷却風路からの熱伝導の応答を緩和することができるので、霧化電極の温度変動を抑制することができ、また蓄冷部材としての働きを有することになるので、霧化電極の結露発生の時間を確保し、凍結も防止することができる。さらに、良熱伝導性の金属ピン134と断熱材を組み合わせることにより損失なく良好に冷熱を伝導することができ、さらに金属ピン134と霧化電極135の接合部の熱抵抗を抑えているので霧化電極135と金属ピン134の温度変動が良好に追従する。また、接合に関しても湿度が侵入することができないので、長期的に熱接合性が維持される。
また、貯蔵室が高湿環境下にあり、その湿度が金属ピン134に影響する可能性があるので、金属ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行っているので、さび等が発生せず、表面熱抵抗の増加が抑制され、安定した熱伝導が確保できる。
さらに、霧化電極135表面がニッケルメッキや金メッキや白金メッキを用いているので、霧化電極先端の放電による磨耗が抑制され、これにより、霧化電極135先端の形状が維持できるので、長期に噴霧することが可能となり、また、その先端の液滴形状も安定する。
なお、霧化電極135から微細ミストが噴霧されるとき、イオン風が発生する。このとき、湿度供給口138より、新たに高湿な空気が霧化部139に流入するため、連続して噴霧することができる。
発生した微細ミストは、下段収納容器119内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器120にも微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。野菜室107内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルなどのラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある。さらに、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
ここで、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極と対向電極間に電流がながれない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできる。
次に図6の本実施の形態の一例の機能ブロック図を説明する。
静電霧化装置131から出力される放電電流モニター電圧値211と、霧化電極温度検知手段212と、扉開閉検知部213の信号を冷蔵庫本体の制御手段215に入力し、静電霧化装置131の高圧を印加させるための電圧印加部133と仕切り壁ヒータ154と金属ピンヒータ158の動作を決定する。例えば、霧化電極温度検知手段212により霧化電極温度が露点以下と制御手段215で判定されたとき、静電霧化装置131の電圧印加部の高圧を発生させる。また、霧化電極135が凍結の可能性のある温度や、扉開閉動作が頻繁におこなわれ、野菜室107内が非常に高湿であり、霧化電極135が過剰結露状態と想定される場合、仕切り壁ヒータ154もしくは、金属ピンヒータ158に通電、加熱させ、霧化電極135表面に付着している結露水を融解・蒸発させ、霧化電極135の水量を調整する。
なお、霧化電極温度検知手段212を用いているが、冷蔵庫100の冷凍サイクルから温度挙動の推定が容易である場合、温度検知手段はなくてもよい。また、冷蔵室ダンパ214の挙動により貯蔵室内の湿度が変動するので、冷蔵室ダンパ214と連動して、電圧印加部133をON/OFFさせてもよい。
さらに、実施例では冷蔵室ダンパ214としているが、野菜室ダンパでもかまわない。
次に図7の本実施の形態の一例の制御フローを説明する。
霧化電極135温度を制御するため、霧化電極温度判定を行う。ステップ250で霧化電極温度調整モードにいると、ステップ251で霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第1の値T1より高い場合(例えばT1=6℃)、霧化電極135は温度が高温のため結露していない、もしくは、庫内温度が高いと判定し、ステップ252に移行、静電霧化装置131の高圧発生を停止するとともに、金属ピン134を加熱する、例えば、金属ピンヒータ158の通電を停止させる。もし、霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第1の値T1より低い場合、ステップ253に移行する。ステップ253において霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第2の値T2より高い場合(例えばT2=−6℃)、霧化電極135は適温であると判定し、ステップ254に移行、静電霧化装置131の高圧発生を発生させる。ただし、金属ピン134を加熱する手段は動作させない。もし、霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第2の値T2より低い場合、ステップ255に移行する。次に、ステップ255において、霧化電極温度Tfがあらかじめプログラムされた第3の値T3より高い場合(例えばT3=−10℃)、霧化電極135は、過冷状態であると判定し、ステップ256に移行する。ステップ256により霧化電極135の放電は継続するものの、凍結防止のため金属ピンヒータ158や仕切り壁ヒータ154などの加熱手段を動作させる。もし、ステップ255で霧化電極温度TfがT3より低いと判定したときは、霧化電極が凍結していると想定し、放電を停止させ、金属ピンヒータ158や仕切り壁ヒータ154などの加熱手段を動作させ、霧化電極135を加熱・昇温させ、優先的に霧化電極135に付着した霜・氷を融解する。
ステップ252、ステップ254、ステップ256、ステップ257終了後は、一定時間経過後、初期ステップに戻り、制御を引き続き行い霧化電極135の水量調整を行う。
以上のように、本実施の形態1においては、断熱区画された貯蔵室と、貯蔵室内にミストを噴霧させる静電霧化装置を備え、霧化部には高電圧を発生する電圧印加部に電気的に接続させる霧化電極と、霧化電極に対向する位置に配された対向電極と、霧化電極の水量を調整する手段を構成し、霧化電極に空気中の水分を結露させて貯蔵室にミストとして噴霧することにより、貯蔵室内の余剰な水蒸気から容易に、確実に霧化電極に結露させることができるとともに、霧化電極先端の水量を調整することで安定的・継続的に霧化電極と対向電極間でコロナ放電が起こり、これによりナノレベルの微細ミストが生成、噴霧された微細ミストが野菜等の青果物の表面に均一に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させることができる。また、青果物表面の細胞間隙や気孔等から、組織内に浸透し、萎んだ細胞内に水分が供給され、シャキッとした状態に復帰させることができる。
また、霧化電極と対向電極と間で放電させるので、電界が安定に構築できることによって噴霧方向が定まり、収納容器内に微細ミストが噴霧しやすくなる。
また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果を高めることができる。
また、噴霧されたミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、ミストと野菜の電位を利用して野菜表面にミストを付着させることができるので、保鮮の効率が向上すると同時に脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果もさらに向上する。
また、霧化電極に貯蔵室内の余剰な水蒸気を結露させ、水滴を付着させ、ミストを噴霧することからミスト噴霧用の水を供給する為の除霜ホースや浄化フィルター、もしくは水道直結の水供給経路、貯水タンクなどが不要であり、また、ポンプやキャピラリなどの送水手段等も使用しておらず、複雑な構成を要することなく、簡単な構成で貯蔵室へ微細ミストを供給することができる。
このように簡単な構成で安定的に貯蔵室へ微細ミストを供給することができるので、冷蔵庫の故障の可能性を大幅に低減することができ、信頼性をより高めた上で冷蔵庫の品質を向上させることができる。
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材を用いたときの劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
さらに、超音波振動による超音波霧化ではないので、水の欠損による圧電素子の破壊、その周囲部材の変形の心配がなく、また、貯水タンクが不必要であり、入力も小さいので庫内の温度影響が少ない。
さらに、電圧印加部が収納されている部分についても奥面仕切り壁111に埋め込まれて、冷却されているので基板の温度上昇を抑えることができる。これにより、貯蔵室内の温度影響を少なくすることができると同時に基板の信頼性も向上する。
また、本実施の形態では、貯蔵室を断熱区画するための仕切り壁を備え、静電霧化装置は仕切り壁に取り付けたことにより、貯蔵室内の間隙に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
また、本実施の形態では、静電霧化装置の霧化電極を冷却・加熱し、霧化電極先端の結露量を調整できる調整手段は、熱伝導性のよい金属片からなる金属ピンであって、その金属片を冷却・加熱する手段は、冷却器で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導とヒータの加熱手段であるため、断熱材の壁厚とヒータ入力値を調整することで金属ピンおよび霧化電極の温度を簡単に設定することができ、また、断熱材を挟むことにより冷気の漏れがないのとヒータ等の加熱手段を備えているのでケース外郭などの着霜や結露などの信頼性低下を防止することができる。
また、本実施の形態では、静電霧化装置が取り付けられている奥面仕切り壁111は、貯蔵室側の一部に凹部があり、そこに静電霧化装置の水量調整手段である金属片が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、静電霧化装置を取り付けている部分以外は、断熱性が確保できる壁厚が確保できるのでケース内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
また、本実施の形態では、冷却器と貯蔵室を断熱区画するための仕切り壁には、貯蔵室もしくは冷却器に冷気を搬送するための少なくとも1つの風路と、貯蔵室や他の風路と熱影響がないよう断熱された断熱材が備えられ、静電霧化装置の霧化電極の温度を可変するための手段は、熱伝導性のよい金属片であって、その金属片の温度を調節する手段は、冷却器で生成された冷気とヒータなどの加熱手段を用いて調整することにより、確実の霧化電極の温度を調整することができる。 さらに、霧化電極先端が過剰結露を防止するために水量調整手段の一つとしてヒータなどの加熱手段を備えたことにより、先端温度の温度制御により先端液滴の大きさ・量を調整することができるので、安定的に噴霧することができ、さらに抗菌能力の向上ができる。 なお、微細ミスト発生時にオゾンも微量ながら発生するが、放電電流値が極めて小さいため、また、基準電位を0V、対向電極を+7kVのプラス側で放電させるため、人が感じる濃度にはならない。さらに、静電霧化装置のON/OFF運転により、貯蔵室内のオゾン濃度を調整することが出来るので、その濃度を適度に調整することにより、オゾン過多による野菜の黄化などの劣化を防止し、かつ、野菜表面の殺菌、抗菌作用を高めることが出来る。
なお、本実施の形態では、霧化電極を基準電位側(0V)と対向電極(+7kV)間に高圧電位差を発生させたが、対向電極を基準電位側(0V)とし、霧化電極に印加(−7kV)し、高圧電位差を発生させてもよい。この場合、貯蔵室に近い対向電極が基準電位側になるので、人が対向電極に近づいても感電等を起こさない。また、霧化電極に−7kVにした場合、貯蔵室側を基準電位側とすれば、特に対向電極を持たなくてもよい場合もある。
なお、本実施の形態では、金属ピンを冷却するための風路は、冷凍室吐出風路としたが、製氷室の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でもかまわない。これにより、静電霧化装置の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、伝熱接続部材である金属ピンを冷却する冷却手段は、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、電極冷却部を任意の温度に冷却することができ、霧化電極を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置の霧化電極周囲には、保水材を設けなかったが、保水材を配設してもよい。これにより、霧化電極近傍で生成された結露水を霧化電極周囲に保持することができるので霧化電極に適時に供給することができる。
なお、本実施の形態において、冷蔵庫の貯蔵室は野菜室としたが、冷蔵室や切替室などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。
また、本実施の形態では、金属ピンを用いたが、良熱伝導部材であればよく、例えば、高熱伝導性の高分子材料を用いてもかまわない。この場合、軽量化と加工性が向上し、その構成が安価になる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、発泡スチロールなどを用いた断熱材152とで構成されている。また風路156と冷却室110とを隔離、断熱性を確保するための冷却室仕切り板401が備えられている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に凹部111aおよび貫通部111cを設け、さらに伝熱接続部材である金属ピン134が貫通部111cに挿入されることで霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
このとき、伝熱接続部材である金属ピン134の一部は断熱材を貫通し、低温風路156の一部に露出している。また、低温風路は、金属ピン背面の貫通部111c近傍で、断熱材凹部155が構成されており、風路が一部拡大している。
さらに、静電霧化装置131の霧化部139近傍には、霧化先端部である霧化電極135と金属ピン134の温度を調整するための加熱手段である金属ピンヒータ158が構成されている。
なお、金属ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択したほうが好ましい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
奥面仕切り壁111の比較的高湿度環境である箇所の一部について、断熱材152が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、金属ピン134の側壁近傍の断熱材152の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成されている。これにより、奥面仕切り壁111は凹部111aが構成され、この箇所に静電霧化装置131が取り付けられている。
金属ピン134は背面にある低温風路156に一部が露出している。冷凍サイクルの運転により冷却器112で生成し、冷却ファン113により野菜室温度より低温の冷気と加熱手段である金属ピンヒータ158や仕切り壁ヒータ154によって、金属ピン134が例えば0〜−6℃程度に調整される。このとき、金属ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、霧化電極135も0〜−6℃程度に調節される。
このとき、低温風路156の断熱材凹部近傍に向けて徐々に拡大されるので風路抵抗が下がるので冷却ファン113の風量が増加し、冷凍サイクル効率が向上する。
水滴が付着した霧化電極135に負電圧、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー分裂により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μA、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
発生した微細ミストは、下段収納容器119内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器120にも微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。野菜室107内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
以上のように、本実施の形態2においては、冷却器と貯蔵室を断熱区画するための仕切り壁には断熱材が備えられ、静電霧化装置の霧化電極135(霧化先端部)の温度を露点以下に調整する手段は、熱伝導性のよい金属片からなる伝熱接続部材である金属ピン134であって、その金属ピン134の温度を調整する調整手段は、冷却器で生成された冷気からなる冷却手段と、金属ピン近傍に備えられた加熱手段であることにより、確実の霧化電極の温度を調整することができる。
また、本実施の形態では、静電霧化装置が取り付けられている仕切り壁は、貯蔵室側の一部に凹部があり、そこに静電霧化装置の冷却手段である金属片が挿入されているので、確実に金属片を冷却することができ、また、風路面積が徐々に広がることにより風路抵抗が減少、もしくは同等になるので冷却量の低下を防ぐことができる。また、金属ピンの風路への露出表面積とヒータ入力量で霧化電極の温度を容易に調整することができる。
なお、本実施の形態では、金属ピンを風路の凹部に設置しているが、金属ピンが適正温度を確保できるなら風路側に凹部を設けなくてもよい。この場合、風路が容易に加工できる。
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1および2で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1および2と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図に示すように、野菜室107と製氷室106の温度帯を区切るために断熱性を確保した第一の仕切り壁123に霧化装置である静電霧化装置131は、組み込まれており、特に霧化部139の伝熱接続部材である金属ピン134部については、その断熱材が凹形状になっており、その近傍に金属ピンヒータ158が構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている第一の仕切り壁123の厚さは、霧化先端部である霧化電極135が固定されている金属ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている凹部123aの壁厚は他の部分より薄く構成されており、さらに金属ピン134が保持されている最深凹部123bの壁厚は凹部123aよりもさらに薄く構成されている。そのため、比較的低温である製氷室からの熱伝導により金属ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することが出来る。ここで、霧化電極135の先端温度を露点以下にすれば、霧化電極135近傍の水蒸気は霧化電極135に結露し、水滴が確実に生成される。
また、外気温度変動や速氷等の製氷室106の温調が変動し、霧化電極135が過冷になる場合があるため、霧化電極135近傍に設置された金属ピンヒータ158で霧化電極135の温度を調整することにより霧化電極135先端の水量を最適化する。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことが出来る。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、野菜容器内に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、その中には緑の菜っ葉ものや果物等も保存されている。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態に復帰する。
また、発生した微細ミストは、オゾンやOHラジカルなどを保持しており、これらは強い酸化力を保持する。そのため、発生した微細ミストが野菜室内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することが出来ると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することが出来る。
現在、冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されているものが主流になっている。
この、炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。
仮に、圧縮機の停止時に冷凍システムから可燃性冷媒であるイソブタンが漏洩した場合には、空気よりも重いので、下方に漏洩することになる。このとき、奥面の仕切り壁111より、庫内へ冷媒が漏洩する可能性がある。特に、冷媒の滞留量が多い冷却器112から漏洩する場合には、漏洩量が多くなる可能性があるが、静電霧化装置131を具備する野菜室107は、冷却器112より上方に設置されているため、漏洩しても野菜室には漏洩することがない。
また、仮に野菜室107に漏洩したとしても、冷媒は空気より重いため貯蔵室下部に滞留する。よって、静電霧化装置131が貯蔵室天面に設置されているため、静電霧化装置131付近が可燃濃度になることは極めて低い。
以上のように、本実施の形態3は、貯蔵室を区画するための仕切り壁と、貯蔵室の天面側には低温貯蔵室が備えられ、静電霧化装置は天面の仕切り壁に取り付けたことにより、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁に設置され、その冷却源で静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので収納容器全体に拡散しやすく、また、人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を分裂させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
また、静電霧化装置を蒸発器より上方に配置していることから、イソブタンやプロパンなどの可燃性冷媒を用いて冷凍サイクルを構成した場合であって、かつ、冷媒が漏洩した場合も、空気より重いため冷媒が野菜室に充満することはないので安全である。
また、野菜室内においても静電霧化部を貯蔵室の上方に設置しているので、冷媒が漏洩しても、貯蔵室の下部に滞留するので着火することはない。
なお、貯蔵室内は冷媒配管等に直接面している部分がないので、冷媒が漏洩することはない。よって、可燃性冷媒に着火することはない。
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から3で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から3と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成されている。また風路156と冷却室110とを隔離する、冷却室仕切り板401が備えられている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131は、主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が設置され、霧化電極135は良熱伝導材を用いた霧化電極側固定部材202で固定されている。
霧化電極側固定部材202の背面には貫通部111cが備えられ、霧化電極135の温度を調整するためのペルチェ素子を含んだペルチェモジュール201の片面に隣接している。また、ペルチェモジュール201のもう一面にも良熱伝導部材を用いた風路側熱伝導部材203が隣接しており、さらに風路側熱伝導部材203にも熱交換部材204が構成されており、貫通部111cに備えられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
霧化電極135背面にある低温風路156は、冷凍サイクルの運転により冷却器112で冷気を生成し、低温風路内を冷気が搬送される。このとき、ペルチェ素子を含んだペルチェモジュール201に電圧を印加させると、その印加方向と、印加電圧値により霧化電極を露点以下に調整できる。例えば、霧化電極135に対して冷却が必要としたとき、ペルチェモジュールの吸熱面を霧化電極側、放熱面を風路側として電圧を印加する。反対に、霧化電極135に対して加熱が必要としたとき、ペルチェモジュール201の吸熱面を風路側、放熱面を霧化電極135側として電圧を印加する。これにより、霧化電極135先端に適時、水が確保でき、安定した霧化が可能となる。
以上のように、本実施の形態においては、静電霧化装置の霧化電極に付着する水量を調整手段は、ペルチェ素子を利用することにより、ペルチェ素子への印加電圧だけで霧化電極の温度が調整でき、また、電圧の反転等を行えば、冷却・加温の双方できるのでヒータなどの追加の必要がない。
また、本実施の形態では、ペルチェモジュール201への印加電圧の微調整で極めて細かい温度制御が可能となるため、霧化電極の先端水量の細かい制御ができる。
また、本実施の形態では、ペルチェモジュールが加熱手段と冷却手段を兼ねることから特に加熱手段が不必要となるため、構成部品が簡素化される。
なお、本実施の形態では、霧化部近傍に温度センサや湿度センサを設けていないが、設置することによりさらに精密な制御が可能となり、安定した噴霧が可能となる。
なお、風路側熱伝導部材203熱交換部材204を一体にしてもかまわない。これにより両部材間の接触熱抵抗がなくなるので熱伝導が良好になり、応答性がよくなる。
また、霧化電極135と霧化電極側固定部材を一体にしてもかまわない。これにより両部材間の接触熱抵抗がなくなるので熱伝導が良好になり、応答性がよくなる。
このように、ペルチェ素子への印加電圧だけで霧化電極の温度が調整でき、霧化電極を単独で任意の温度に調節することが可能である。
また、電圧の反転等を行うだけで、冷却と加温の双方を実現できるので冷却手段や加熱手段としてのヒータなどの特別な装置を追加する必要がなく、簡単な構造で冷却と加温の双方を行い、その温度応答性も速くなるので水量の調整手段の応答性も向上した上で任意の温度へと調節することが可能となり、より霧化部の精度を向上させることが可能となる。
(実施の形態5)
図11は、本発明の実施の形態5における静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から4で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から4と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において霧化装置である静電霧化装置131は、主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が外郭ケース137に固定されており、霧化電極135は伝熱接続部材である金属ピン134が備えられ、その近辺には霧化電極135の温度を調整できるように加熱手段である金属ピンヒータ158が構成されている。また、霧化電極135に対向している位置で貯蔵室側にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取り付けられ、その延長上に噴霧口132が構成されている。
静電霧化装置131の背面には貯蔵室を冷却するための冷却器301が隣接されており、静電霧化装置131は奥面仕切り壁111の凹部111aに固定されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
圧縮機109で高温高圧に圧縮された冷媒は凝縮器(図示せず)で放熱され、低温になる。ここでキャピラリなどの減圧装置(図示せず)により冷媒が減圧され、低温の状態で冷却器301へ冷媒が流れる。ここで、冷却器301は比較的低温状態となり、その熱伝導で霧化電極135が露点以下になり、先端が結露する。ここで、霧化電極と対向電極間に電圧印加部で発生した高電圧を両極間に印加すると微細ミストが発生し、野菜室内に噴霧される。
以上のように、本実施の形態においては、霧化装置である静電霧化装置の霧化先端部(霧化電極135)に結露させる水量の調整手段は、冷却手段として貯蔵室を冷却するための冷却器301を利用し、加熱手段として熱交換器を利用することにより、冷蔵庫の冷却源である冷却器301で直接霧化先端部(霧化電極135)を冷却することができ、その温度応答性も速くなる。
このように、温度調整手段を冷凍サイクルに利用して伝熱接続部材および霧化電極の温度を調整することができるので、より省エネルギで霧化電極の温度調節を行うことができる。
また、調節手段の加熱手段として熱交換器を利用することで、冷凍サイクル内で発生したエネルギを回収し、有効利用することが可能となるので、冷凍サイクルの熱効率がより向上し、省エネルギを実現した冷蔵庫を提供することができる。
なお、本実施の形態では、冷凍サイクルに関して、冷却器の温度を調整するために膨張弁を用いてもよい。これによりその絞り量で冷却器の温度が調整できる。
(実施の形態6)
図12は本発明の実施の形態6における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から5で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から5と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された貯蔵室を区画する仕切り壁である奥面仕切り壁表面151と、野菜室107と冷凍室吐出風路141との間の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152とで構成される。また、貯蔵室を冷却する冷気が通る風路である冷凍室吐出風路141と冷却室110とを隔離するための仕切り板401を備えており、また、奥面仕切り壁表面151には、貯蔵室の温度調節をするためにヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に凹部111aを設け、その箇所に静電霧化装置131が埋設されている。
静電霧化装置131は霧化部に備えられた霧化先端部である霧化電極135を冷却手段によって露点温度以下に冷却することで、霧化部周辺の空気中の水分を霧化電極に結露させて生成した結露水をミストとして噴霧させるものである。
この結露を行う際に、本実施の形態では冷却手段として風路である冷凍室吐出風路141を流れる低温冷気を冷却手段とし、また霧化電極135を直接冷却するのではなく、霧化電極135よりも大きな熱容量を有する伝熱接続部材である金属ピン134を介して霧化電極135を冷却しているものである。
また、凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bを設け、伝熱接続部材である金属ピン134がこの最深凹部111bに備えられている。
この最深凹部111bの背面側すなわち冷却室110側の断熱材152は、金属ピン134を冷却するために薄く形成されることが理想的であるが、発泡スチロール等の成型において、極端な薄肉部を設けることは、困難であり、また、強度不足や成型不良による割れ、穴あきなどの不具合が発生する可能性が高くなり、品質の劣化が懸念される場合がある。
そこで、本実施の形態では、金属ピン134の背面近傍の断熱材に突起部402を設けることにより、平面部に比べて金属ピン134周辺の剛性を高めた上で、断熱材の壁厚を確保してさらに剛性を高めた形状とした。また、突起部162によって金属ピン134を側面側と背面側の両方から冷却することができる構成とし、熱伝導のための表面積を増加させた。
また、突起部162の形状について斜面を円錐状にすることにより、風路抵抗の増加を抑制することで、風量低下を抑制する。
また、金属ピン134の近傍には、金属ピンの温度を調整するための金属ピンヒータ403が構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
伝熱接続部材である金属ピン134は熱緩和部材である断熱材を介して冷却されるので、霧化電極135を伝熱接続部材である金属ピン134で間接的に冷却するものにさらに、熱緩和部材である断熱材152を介して二重構造で間接的に冷却することができ、また、金属ピンヒータ403により霧化先端部である霧化電極135の温度を調整することにより極度に冷却されることを防ぐことができる。霧化電極135が極度に冷却されると、それに伴い結露量が多大となり霧化部139の負荷の増大による静電霧化装置131への入力の増大および霧化部139の凍結などによる霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部139の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化電極135を伝熱接続部材と熱緩和部材とを介して二重構造で間接的に冷却することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部の中で凸部134a側の端部134b側が冷却手段に最も近接する為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側およびその側面部側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
このように霧化電極135を伝熱接続部材である金属ピン134を介して熱伝導で冷やすため、霧化電極135では、結露生成、ミストの発生ができ、その他の箇所については断熱性を確保していることにより、例えば、外郭ケース137の結露などを防止している。
さらに静電霧化装置131と冷凍室風路141の間は、連通している箇所がないので低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材および霧化電極の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極135から最も距離の離れた遠い部分である端部134b側から冷却することで、金属ピン134の大きな熱容量を冷却した上で、金属ピン134によって霧化電極135が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化部が取り付けられている奥面仕切り壁111は、貯蔵室側の一部に凹部111aがあり、この凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bに凸部134aを有した霧化部が挿入されることによって、熱緩和部材として貯蔵室の仕切り壁を構成する断熱材152を用いることができ、特別な熱緩和部材を備えることなく断熱材の厚みを調整することで霧化電極が適度に冷却されるような熱緩和部材を備えることができ、霧化部139をより簡単な構成にすることができる。
また、奥面仕切り壁111内の背面側に備えられた風路141では、一部円錐状の突起部162が断熱材152で形成されるものの冷気の流れ方向に対して、抵抗にならないように緩やかな斜面で形成されているので冷却能力劣化を防止しているとともに金属ピン134に対しては熱伝導面積が増加しているので金属ピンに対する冷却効率が向上している。 このように、本実施の形態では、金属ピン134の背面近傍の断熱材に突起部162を設けることにより、平面部に比べて金属ピン134周辺の剛性を高めた上で、断熱材の壁厚を確保してさらに剛性を高めた場合でも、金属ピンを側面側と背面側の両方から冷却することができるので、熱伝導のための表面積を増加させることができ、金属ピン134の冷却効率を低下させることなく金属ピン134周辺の剛性を高めることができる。
また、突起部の形状において斜面を円錐状にすることにより、冷気は、冷気の流れ方向に対して曲面である突起部162の外周をなめるように流れるので風路抵抗の増加を抑制すると共に、金属ピンが側壁の外周から均一に冷却されることで、金属ピン134をムラなく冷却でき、金属ピン134を介して霧化電極135を効率よく冷却することができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134は、ある程度の熱容量を確保できているので冷却風路からの熱伝導の応答を緩和することができるので、霧化電極の温度変動を抑制することができ、また蓄冷の働きを有することになるので、霧化電極の結露発生の時間を確保し、凍結も防止することができる。
また、霧化装置を静電霧化装置131としたことで、発生した微細ミストは、非常に小さい微粒子のため拡散性が高く、野菜室107全体へ微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
ここで、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極と対向電極間に電流がながれない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできるので、庫内への熱負荷の抑制と省エネルギが図れる。
以上のように、本実施の形態6においては、霧化部の凸部である金属ピン背面の断熱材について、円錐状の突起部を設けることにより、金属ピンへの冷却能力を確保しつつ断熱壁の剛性を向上させることで断熱材の成型を容易にすることができ、また、冷凍室吐出風路の流路抵抗を最小限に抑えることで、金属ピンへの冷却能力を確保することができる。
また、本実施の形態では、断熱材の壁厚を確実に確保することにより、野菜室107と隣接する別区画の冷凍室吐出風路141との間に冷温冷気の漏れがないのでケース外郭などの着霜や結露などの信頼性低下を防止することができる。
なお、本実施の形態では、金属ピンを冷却するための冷却手段としての風路は、冷凍室吐出風路としたが、製氷室の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でもかまわない。また、風路に限らず野菜室107よりも低温の貯蔵室内の冷気を用いても良い。これにより、静電霧化装置の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、伝熱接続部材である金属ピンを冷却する冷却手段は、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、電極冷却部を任意の温度に冷却することができ、霧化電極を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
また、本実施の形態では、伝熱接続部材である金属ピンを冷却する冷却手段は低温冷気としたが、ペルチェ効果を用いたペルチェ素子を補助部品として用いてよく、この場合、ペルチェへの供給電圧により霧化電極先端の温度を極めて細かい温度で制御できる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置の外郭と断熱材の凹部の間には、緩衝材を用いていないが、金属ピンへの湿度侵入防止やがたつき防止のためウレタンフォームなどの緩衝材を静電霧化装置の外郭ケースもしくは断熱材の凹部に構成するとさらに望ましく、金属ピンへの湿度流入を防止でき、断熱材に結露することを防止できる。
なお、本実施の形態では、霧化電極周囲には、保水材を設けなかったが、保水材を配設してもよい。これにより、霧化電極近傍で生成された結露水を霧化電極周囲に保持することができるので霧化電極に適時に供給することができる。さらに、野菜室内に保水材や密閉化手段を講じることにより、高湿度を維持することもできる。
なお、本実施の形態において、冷蔵庫の貯蔵室は野菜室としたが、冷蔵室や切替室などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。
(実施の形態7)
図13は本発明の実施の形態7における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜6で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜6で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と野菜室107と冷凍室吐出風路141との間の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成される。また、冷凍室吐出風路141と冷却室110とを隔離するための仕切り板401を備えており、また、奥面仕切り壁表面151には、貯蔵室の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131は主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。霧化部139は、霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材からなる伝熱接続部材である金属ピン134に固定されて接続し、また、電気的にも電圧印加部から配線されている一端を含め接続している。
この伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極135に比べて50倍以上、好ましくは100倍以上の大きな熱容量を有するものであり、例えば、アルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、金属ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱部材で覆われていることが望ましい。
また、凹部111aの背面側に貫通部405が設けられ、伝熱接続部材である金属ピン134の凸部134aがこの貫通部405に備えられている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が備えられる貫通部405は、発泡スチロール等の成型において、本実施の形態のような貫通孔を設けると、断熱壁の剛性が低下し、強度不足や成型不良による割れ、穴あきなどの不具合が発生する可能性が高くなり、品質の劣化が懸念される場合がある。
そこで、本実施の形態では、貫通部405近傍の断熱材に突起部162を設けることにより、平面部に比べて貫通部405周辺の剛性を高めた上で、断熱材の壁厚を確保してさらに剛性を高めた形状とした。また、突起部162によって金属ピンを側面側と背面側の両方から冷却することができる構成とした。
金属ピン134を直接風路内に設置すると、冷却過多になり霧化電極135の結露量が過多になるもしくは、凍結する可能性があるが、風路抵抗の増加を抑制する目的で、突起部162の形状について斜面を円錐状にしている。
また、金属ピン134の背面近傍の断熱材に貫通孔である貫通部405を設け、そこに金属ピン134を挿入し、その周囲に金属ピンカバー406を設置することにより、断熱性を確保する。
なお、図示はしないが、貫通部405と金属ピンカバー406に緩衝材を設け、シール性を確保してもよい。
さらに、孔開口部407に図示はしないが、テープなどを貼付することにより冷気の遮断を行ってもよい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
伝熱接続部材である金属ピン134は金属ピンカバー406を介して冷却されるので、霧化電極135を金属ピン134で間接的に冷却するものにさらに、熱緩和部材である金属ピンカバー406を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化電極135が極度に冷却されることを防ぐことができる。霧化電極135が極度に冷却されると、それに伴い結露量が多大となり霧化部139の負荷の増大による静電霧化装置131への入力の増大および霧化部139の凍結などによる霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部139の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化電極135を伝熱接続部材と熱緩和部材とを介して二重構造で間接的に冷却することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接する為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
このように、本実施の形態では、貫通部405近傍の断熱材に突起部162を設けることにより、貫通部405周辺の剛性を高めた場合でも、金属ピンを側面側と背面側の両方から冷却することができるので、熱伝導のための表面積を増加させることができ、金属ピン134の冷却効率を低下させることなく金属ピン134周辺の剛性を高めることができる。
また、突起部の形状は斜面を円錐状にすることにより、冷気は、冷気の流れ方向に対して曲面である突起部162の外周をなめるように流れるので風路抵抗の増加を抑制すると共に、金属ピンが側壁の外周から均一に冷却されることで、金属ピン134をムラなく冷却でき、金属ピン134を介して霧化電極135を効率よく冷却することができる。
また、断熱材152の金属ピン134背面の一部のみ孔である貫通部405を設け、薄肉部が構成されていないので、発泡スチロールの成型が容易にでき、また、組み立て時の破損などの問題がない。
さらに、本実施の形態の構成では、金属ピンカバー406の背面側の冷却手段(低温の冷気)と接する部分が熱緩和部材となるので、熱緩和部材の熱緩和の状態は金属ピンカバー406の冷気と接する部分の厚みを変えることによって調整することができるので、容易に金属ピンの冷却状態を変えられることができ、例えば様々な貯蔵容量の冷蔵庫に適用する場合でも、それぞれの冷却負荷によって金属ピンカバー166の厚みを変えることで、対応することができる。
さらに金属ピンカバーと貫通部405の間には隙間がなく、また貫通部405の開口部407はテープなどにより冷気を遮断しているのでいので、連通している箇所がなく、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極135から最も距離の離れた遠い部分である端部134b側から冷却することで、金属ピン134の大きな熱容量を冷却した上で、金属ピン134によって霧化電極135が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
発生した微細ミストは、下段収納容器119内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器120にも微細ミストは到達する。また、霧化装置を静電霧化装置131としたことで、発生した微細ミストは、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、噴霧する野菜室107全体へ到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
また、本実施の形態のように、霧化電極を冷却することで空気中の水分を結露させた結露水をミスト噴霧に用いる場合に、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極と対向電極間に電流が流れないが、この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできるので、庫内への熱負荷の抑制と省エネルギが図れる。
以上のように、本実施の形態7においては、霧化部の凸部である金属ピンの構成について、断熱材に貫通孔である貫通部405を設け、その箇所に金属ピンを挿入し、その周囲に金属ピンカバーを設けることにより、金属ピンへの冷却能力を確保しつつ断熱材の成型を容易にすることができる。
また、このように金属ピンの側面および背面部を一体成型された金属ピンカバー406で覆うことによって、背面部に配置されたである冷凍室吐出風路141からの冷気が金属ピンの周囲に侵入することをより効果的に防止している。
また、本実施の形態7においては、金属ピン周囲に緩衝材を設けていないが、設けてもよい。これにより孔と金属ピンカバー間を密着させることができ、冷気もれを防止できる。
また、本実施の形態7においては、孔の開口部にテープなどの遮蔽物を設置していないが、設置してもよい。これによりさらに、冷気もれを防止できる。
なお、本実施の形態では、金属ピンを冷却するための風路は、冷凍室吐出風路としたが、製氷室の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でもかまわない。これにより、静電霧化装置の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、伝熱接続部材である金属ピンを冷却する冷却手段は、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、電極冷却部を任意の温度に冷却することができ、霧化電極を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
また、本実施の形態では、伝熱接続部材である金属ピンを冷却する冷却手段は、ペルチェ効果を用いたペルチェ素子を補助部品として用いてよく、この場合、ペルチェへの供給電圧により霧化電極先端の温度を極めて細かい温度で制御できる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置の外郭と断熱材の凹部の間には、緩衝材を用いていないが、金属ピンへの湿度侵入防止やがたつき防止のためウレタンフォームなどの緩衝材を静電霧化装置の外郭ケースもしくは断熱材の凹部に構成してもかまわない。これにより、金属ピンへの湿度流入を防止でき、断熱材に結露することを防止できる。
(実施の形態8)
図14は本発明の実施の形態8における図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜7で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜7で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と野菜室107と冷凍室吐出風路141との間の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成される。また、冷凍室吐出風路141と冷却室110とを隔離するための仕切り板401を備えており、また、奥面仕切り壁表面151には、貯蔵室の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に貫通部405を設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131は主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。
静電霧化装置131は霧化部139に備えられた霧化先端部である霧化電極135を冷却手段によって露点温度以下に冷却することで、霧化部周辺の空気中の水分を霧化電極に結露させて生成した結露水をミストとして噴霧させるものである。
この結露を行う際に、本実施の形態では冷却手段として風路である冷凍室吐出風路141を流れる低温冷気を冷却手段とし、また霧化電極135を直接冷却するのではなく、霧化電極135よりも大きな熱容量を有する伝熱冷却部材である金属ピン134を介して霧化電極135を冷却しているものである。
霧化部139は、霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材からなる伝熱接続部材である金属ピン134に固定されて接続し、また、電気的にも電圧印加部から配線されている一端を含め接続している。
この伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極135に比べて50倍以上、好ましくは100倍以上の大きな熱容量を有するものであり、例えば、アルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、金属ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱部材で覆われていることが望ましい。
金属ピン134を直接風路内に設置すると、冷却過多になり霧化電極135の結露量が過多になるもしくは、凍結する可能性がある。
そこで、霧化電極135の背面近傍の断熱材に貫通孔405を設け、そこに金属ピン134を挿入し、その周囲に金属ピンカバー406を設置することにより、断熱性を確保することで、金属ピン134が直接冷却手段に接せず熱緩和部材である断熱材を介して接することになる。
この時、略円柱状の金属ピン134の側面側がすべて断熱材で覆われている構成となる。
また、貫通孔405の開口部407は冷凍室吐出風路141と冷却室110を仕切る仕切り板401により風路と遮蔽され、シール性を確保している。
孔開口部407に図示はしないが、テープなどを貼付することにより冷気の遮断を行ってもよい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
伝熱接続部材である金属ピン134は断熱材152の突起部402を介して側面側から冷却されるので、霧化電極135を金属ピン134で間接的に冷却するものにさらに、断熱材152の突起部402を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化電極135が極度に冷却されることを防ぐことができる。
また、円柱状の金属ピン134の周囲を断熱材が円錐状に囲っており、最も断熱壁が薄い側が霧化電極135から最も遠い側であるので、金属ピンの側面外周部の特に開口部407近傍に位置する部分を最も強く、他の部分も側壁の外周面から均一に冷却することが可能となる。
また、金属ピンの風路側の端面は仕切り板401で風路と遮蔽されており、さらに突起部402の端面をある程度距離を確保し、仕切り板401を圧接させることにより、沿面距離を確保することで、さらに、冷気が金属ピンに直接当たることを防止している。また、これにあわせてテープなどを端面に貼付し、シール性を向上させてもよい。このように貫通孔405の開口部407を仕切り板401に固定することによって、外気温度や庫内温度、霜取り制御等で温度変化が大きい冷蔵庫において、熱変形が生じた場合でも、より確実に金属ピン135および霧化部139を固定することができる。
この時、本実施の形態の伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接する為、金属ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
また、断熱材152の金属ピン134背面の一部のみ孔を設け、薄肉部が構成されていないので、発泡スチロールの成型が容易にでき、また、組み立て時の破損などの問題がない。
さらに金属ピンカバーと貫通孔405との間には隙間がなく、また貫通孔405の開口部407はテープなどにより冷気を遮断しているのでいので、連通している箇所がなく、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
さらに、奥面仕切り壁111を薄型化でき、庫内の収納量をさらに大きくできる。
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極135から最も距離の離れた遠い部分である端部134bが最も強く冷却されることで、金属ピン134の大きな熱容量を冷却した上で、金属ピン134によって霧化電極135が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
発生した微細ミストは、下段収納容器119内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器120にも微細ミストは到達する。
また、霧化装置を静電霧化装置131としたことで、発生した微細ミストは、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、噴霧する野菜室107全体へ到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
ここで、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極と対向電極間に電流がながれない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできるので、庫内への熱負荷の抑制と省エネルギが図れる。
以上のように、本実施の形態8においては、霧化部の凸部である金属ピンと断熱材および冷却室の構成について、断熱材に孔を設け、その箇所に金属ピンを挿入し、金属ピンの端面を仕切り板にその周囲に金属ピンカバーを設けることにより、伝熱接続部材である金属ピン134は断熱材152の突起部402を介して冷却されるので、霧化電極135を金属ピン134で間接的に冷却するものにさらに、断熱材152の突起部402を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化電極135が極度に冷却されることを防ぐことができる。また、金属ピンの風路側の端面は仕切り板401で風路と遮蔽されており、さらに突起部402の端面をある程度距離を確保し、仕切り板401を圧接させることにより、沿面距離を確保することで、さらに、冷気が金属ピンに直接当たることを防止している。
これにより、金属ピンの過冷を防止し、また、冷気漏れなどによる貯蔵室の過冷や結露を防止できる。
また、本実施の形態では、金属ピン134の背面近傍の断熱材に突起部162を設けることにより、平面部に比べて金属ピン134周辺の剛性を高めた上で、金属ピンを側面側から冷却することができるので、熱伝導のための表面積を増加させることができ、金属ピン134の冷却効率を低下させることなく金属ピン134周辺の剛性を高めることができる。
また、突起部の形状については斜面を円錐状にすることにより、冷気は、冷気の流れ方向に対して曲面である突起部162の外周をなめるように流れるので風路抵抗の増加を抑制すると共に、金属ピンが側壁の外周から均一に冷却されることで、金属ピン134をムラなく冷却でき、金属ピン134を介して霧化電極135を効率よく冷却することができる。
また、突起部の形状を円柱状としても良く、その場合には金属ピン134の側面から均一に金属ピン134を冷却することができるので、よりムラなく冷却できる。
また、本実施の形態においては、貫通孔405の開口部407側面の断熱壁を仕切り板401に固定することによって、外気温度や庫内温度、霜取り制御等で温度変化が大きい冷蔵庫において、熱変形が生じた場合でも、より確実に金属ピン135および霧化部139を固定することができる。
また、本実施の形態8においては、金属ピン周囲に緩衝材を設けていないが、設けてもよい。これにより金属ピンと孔を密着させることができ、冷気もれを防止できる。
また、本実施の形態8においては、孔の開口部にテープなどの遮蔽物を設置していないが、設置してもよい。これによりさらに、冷気もれを防止できる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置の外郭と断熱材の貫通孔407との間には、緩衝材を用いていないが、金属ピンへの湿度侵入防止やがたつき防止のためウレタンフォームなどの緩衝材を静電霧化装置の外郭ケースもしくは断熱材の凹部に構成してもかまわない。これにより、金属ピンへの湿度流入を防止でき、断熱材に結露することを防止できる。
(実施の形態9)
図15は本発明の実施の形態9における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図、図16は冷蔵庫の野菜室上部仕切り壁の図15のB−B部の平面図、図17は冷蔵庫の野菜室上部仕切り壁の図16のC−C部の正面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜8で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜8で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、冷蔵庫100の断熱箱体101は主に鋼板を用いた外箱102とABSなどの樹脂で成型された内箱103で構成され、その内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材が充填、周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。本実施例においては、野菜室107が冷蔵庫の最下部に構成され、その上部に冷凍温度帯の温度設定を行っている冷凍室108もしくは製氷室がその上に構成され、その間を仕切り壁で仕切り、貯蔵室として区画されている。
冷凍室108の背面には冷気を生成する冷却室110が設けられ、その間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路と、各室と断熱区画するために構成された奥面仕切り壁111が構成されている。
冷却室の冷却器で生成された冷気は、各室に冷却ファンにより搬送される。ここで本実施例の野菜室107は、上部冷却器で生成された冷気を直接もしくは他室で熱交換された戻り風路を利用して、野菜室吐出風路182を介して野菜室に流れ、野菜室吸込み風路421から再び冷却器112に戻る。
野菜室上面には冷凍室と区画するために仕切り壁414が構成されている。
仕切り壁414は、ABSなどの樹脂で構成された野菜室側仕切り板413と冷凍室側仕切り板412とその間に断熱性を確保するための発泡スチロールやウレタンなどで構成された断熱材411で構成されている。ここで、仕切り壁414の野菜室側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部を設け、その箇所に静電霧化装置131とミスト風路417が設置されている。
静電霧化装置131は主に霧化部139、電圧印加部133で構成されている。霧化部139は、霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる伝熱接続部材である金属ピン134に固定され、電気的にも電圧印加部から配線されている一端を含め接続している。
この伝熱接続部材である金属ピン134は霧化電極135に比べて50倍以上、好ましくは100倍以上の大きな熱容量を有するものであり、例えば、アルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、金属ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱部材で覆われていることが望ましい。
また、長期的に霧化電極135と金属ピン134の熱伝導の維持も必要であるので、接続部に湿度等の侵入を防止するためにエポキシ部材などを流しこみ、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極135と金属ピン134を固定する。また、熱抵抗を低下させるために霧化電極135を金属ピン134に圧入等により固定してもよい。
さらに、金属ピン134は、貯蔵室と冷却器112もしくは風路を断熱するための断熱材内で冷温を熱伝導させる必要があるので、その長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、その長さを30mm以上にした場合は、その効果は低下すると同時に仕切り壁が厚くなり庫内収納量が減少する。
なお、貯蔵室に設置された静電霧化装置131が高湿環境下にあり、その湿度が金属ピン134に影響する可能性があるので、金属ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択したほうが好ましい。
伝熱接続部材である金属ピン134は、断熱材411の一部に設けられた凹部にはめ合わせられ断熱材411に固定され、霧化電極135は金属ピン134とL字型に突起した形で取り付けられている。これは、庫内収納量を大きくするために仕切り壁の薄型化に寄与している。
よって、伝熱接続部材である金属ピン134の霧化電極の反対側の端面は、ABSやPPなどの樹脂で成型された冷凍室側の仕切り板に圧接され、冷凍室の冷気から仕切り板を介し、熱伝導で霧化電極を冷却させ、その先端に結露させ、水を生成する。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材および霧化電極の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
また、霧化電極135に対向している位置で貯蔵室側にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取付けられ、その延長上にミスト風路417が形成されている。
ミスト風路417は、野菜室107と冷凍室108を区画する仕切り壁414の凹部に設けられている。
仕切り壁414は、断熱性と庫内容量を確保するため一般に25mm〜45mmで構成されている。この凹部にミスト風路を設ける。
ミスト風路417は、野菜室から湿度を供給するためのミスト吸込み口423とミストを野菜室へ噴霧するミスト吐出口416があり、このミスト吸込み口から霧化部に高湿な空気を流入し、霧化部の霧化電極は冷凍室から熱伝導で金属ピンを介して冷却されているため、霧化電極先端は結露する。
霧化電極先端と対向電極間に高電圧を印加さえることによりミストを発生させ、発生したミストは、ミスト風路417を通過して、ミスト吐出口416より野菜室に噴霧される。
さらに、霧化部139と電気的に接続された電圧印加部133が構成され、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に配線、接続されている。
霧化電極135近傍では、ミスト噴霧のため、常に放電が起こるため、霧化電極135先端では、磨耗を生じる可能性がある。冷蔵庫100は、10年以上運転することになるので、霧化電極135の表面は、強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
対向電極136は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
電圧印加部133は、冷蔵庫本体の制御手段146と通信、制御され、冷蔵庫100もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
なお、静電霧化装置131を固定している仕切り壁414には、風路内の結露を防止するためヒータ等の加熱手段418が設置されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている仕切り壁414の断熱材411の厚さは、霧化電極135が固定されている金属ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている箇所の壁厚は他の部分より薄く構成されている。そのため、比較的低温である冷凍室からの熱伝導により金属ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することが出来る。ここで、霧化電極135の先端温度を露点以下にすれば、霧化電極135近傍の水蒸気は霧化電極135に結露し、水滴が確実に生成される。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことが出来る。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、野菜容器内に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、その中には緑の菜っ葉ものや果物等も保存されている。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態に復帰する。
また、発生した微細ミストは、オゾンやOHラジカルなどを保持しており、これらは強い酸化力を保持する。そのため、発生した微細ミストが野菜室内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することが出来ると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することが出来る。
以上のように、本実施の形態9は、冷蔵庫本体は複数の貯蔵室を有し、霧化部を備えた貯蔵室である野菜室の天面側には霧化部を備えた貯蔵室である野菜室よりも低温に保たれた低温貯蔵室である冷凍室が備えられ、霧化部は野菜室の天面側の仕切り壁に取り付けた。
これによって、霧化部を備えた貯蔵室の上部に冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室がある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁に霧化部を設置することで、上部貯蔵室の冷気で霧化部の伝熱接続部材である金属ピンを冷却し、霧化電極135が冷却され、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、簡単な構成で霧化部を備えることができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。
貯蔵室を区画するための仕切り壁と、貯蔵室の天面側には低温貯蔵室が備えられ、静電霧化装置は天面の仕切り壁に取り付けたことにより、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁に設置され、その冷却源で静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので収納容器全体に拡散しやすい。
また、霧化部139を野菜室107の収納空間内に備えず、野菜室側仕切り板413の奥側に備えているので、人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を分裂させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
(実施の形態10)
図18は本発明の実施の形態10における冷蔵庫の超音波霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜9で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜9で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、野菜室107と冷凍室吐出風路141との間の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成される。また、冷凍室吐出風路141と冷却室110とを隔離するための仕切り板401を備えており、また、奥面仕切り壁表面151には、貯蔵室の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に霧化装置である超音波霧化装置460が設置されている。
このように、霧化装置である超音波霧化装置460は側壁の中でもヒータ等の加熱手段154を備える奥面仕切り壁111に備えられており、少なくとも超音波霧化装置460よりも下方側に加熱手段154が備えられているものとする。
超音波霧化装置460は、霧化部であるホーン部461、電極部462、圧電素子463、電極部464、金属ピン465で構成されたホーン型超音波振動子468と、それらを固定、囲う外郭ケース467、外郭ケースの備えられたミストを野菜室内に噴霧するための噴霧口469で構成されている。また、奥面仕切り壁111に貫通部405を備え、貫通部405に金属ピン465が備えられている。霧化先端部であるホーン部461は、切削加工や焼結加工等により底面部から先端部に向けて凸部状となっている。ホーン先端部461aは、矩形もしくは円形上に加工され、その断面積比は約1/5以下でホーン部461の側面形状は圧電素子463の発振周波数に依存しており、ホーン部461、電極部462、圧電素子463、電極部464の順に一体的に形成され、各接続間にエポキシやシリコン系の接着剤で接着固定し、圧電素子463で発生する振動をホーン先端部461aで最大振幅となるように構成されている。
また、圧電素子、電極部はここでは図示しないが円筒系で構成されており、その中心部は空間である。ここに金属ピンが構成され、ホーン部と圧着、固定されている。
ホーン型超音波振動子468の外郭はシリコン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂等でコーティングがされている(図示せず)。
霧化先端部であるホーン部461は、熱伝導性の高い材質としており、例えばアルミニウム、チタン、ステンレス等の金属が挙げられる。特に、軽量で、熱伝導性が高く、超音波伝達時の振幅の増幅性能の点からするとアルミニウムを主成分とするもの選択することが好ましいが、冷蔵庫のような耐腐食性が必要でかつ長寿命化の配慮が必要なものにはSUS304やSUS316Lのようなステンレスを主成分とするものを選択すると、経年劣化が起こりにくく長期に渡る信頼性が確保できる為望ましい。
噴霧口469は、外郭ケース467の一部に矩形や円形の孔が設けられ、霧化部から液体が霧化発生する方向、つまりホーン部461のホーン先端部461aと対向する部分の外郭ケース467に圧電素子の振幅方向の一端に孔が設けられている。
霧化装置である超音波霧化装置460は霧化部に備えられた霧化先端部であるホーン461を冷却手段によって露点温度以下に冷却することで、霧化部周辺の空気中の水分をホーン部461に結露させて生成した結露水をホーン先端部461aからミストとして噴霧させるものである。
また、扉開閉等で多湿状態が続き、ホーン部461に必要以上の結露水が供給された時、排水口138より排水する。この排水口138は、外郭ケース467内に溜まった水を外部へ排出する水抜き穴という機能に加え、外郭ケース467内へ冷気を取り入れる冷気供給口の機能も果たしている。
排水された結露水は、仕切り壁111の奥面仕切り壁表面151を沿い流れるが、ごく微量なため野菜室の対流や背面のヒータにより蒸発する。この時、壁面にヒータ等の加熱手段154が備えられていることで他の側面壁と比較して奥面仕切り壁111周辺は上昇気流が発生しやすい。よって、この奥面仕切り壁111に霧化部が備えられ、さらに霧化部を収納する外郭ケース467の下面部に備えられている冷気供給口の機能を果たす排水口138から再高湿度の冷気が流れ込み、より結露を促進させることが可能になる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
野菜室107内の余分な水蒸気を奥面仕切り壁111の一部の設置された超音波霧化装置460の金属ピン465は、ミストが噴霧されている貯蔵室である野菜室よりも低温冷気が流れている冷凍室風路により冷却される。そして、金属ピン465とホーン部461が圧着しているため霧化先端部であるホーン部461が熱伝導により冷却され、野菜室の高湿空気に含まれる水蒸気が低温化されたホーン部461によりホーン部に結露することで結露水が生成され、先端部461aに付着する。
この状態で高圧・発振回路に通電し、高電圧を所定の周波数(例えば80k〜210kHz)で発振させ、電極部462、電極部464に印加すると、圧電素子462は振動を起こし、供給された霧化部であるホーン部461の先端部461aに付着した水の表面にはキャピラリ波が発生し、先端の水は数μmから数十μmの微粒子化され、その振動方向にミストとして霧化する。その微粒子ミストは、噴霧口469を通過させることで、ホーン部461の先端部461a以外から発生した粒子径の大きいミストは矩形や円形の噴霧口469の外周壁に衝突し、貯蔵室内へ噴霧されずケース内に残るので、比較的小さい粒子径のミストのみを分級し、微細ミストのみが貯蔵室である野菜室107へと噴霧される。
また、超音波霧化装置460を一定間隔、例えば1分間ON、9分間OFFのようなインターバルで通電し、霧化発生の霧化量を調整しながら野菜室107に噴霧し、野菜室107をすばやく加湿する。これにより、野菜室107は高湿化でき、野菜からの蒸散が抑えられるのと同時に、圧電素子463で発生する振動をホーン部461先端であるホーン先端部461aで最大振幅となるようにエネルギを集中していることから、圧電素子部463は1Wから2W程度の低発熱量に抑えられ、野菜室107への温度影響を軽減することができる。
圧電素子463を覆うコーティング材は、平均10年程度の長期使用が前提となる冷蔵庫においてはコーディング材の劣化を防ぐ為、超音波伝達時の振幅の増幅性能の点から柔軟性がある為に繰り返し振動を受けても劣化しにくいシリコン樹脂を主成分とするもの選択することが好ましく、ホーン部461、電極部462、圧電素子部463、電極部464とのそれぞれの結合部における液体や水蒸気の侵入を防ぎ、接着剤の劣化を防ぎ、寿命信頼性の向上に寄与し、冷蔵庫に搭載した場合の実負荷に耐え得る構成となる。
なお、外郭ケース467とホーン型超音波振動子の隙間には、水漏れ防止や共振防止のためにパッキン材(図示せず)を用いてもよい。これにより、上記に記載したような液体や水蒸気の侵入をより確実に防ぐとともに騒音も低減できる。なお、具体的には、フッ素系のパッキン材を用いることにより寿命信頼性が向上する。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された比較的高湿環境である野菜室と、野菜室に液体を噴霧するためのホーン型超音波霧化装置を備え、ホーン先端に結露水を生成するためホーン部に金属ピンを設置することにより、先端に結露させ、それを直接噴霧させることにより野菜室内の品質を保持することができる。
なお、本実施の形態において、霧化させる液体は、静菌力、消臭力を持つ金属イオンを含む、例えば、亜鉛イオン水、銀イオン水、銅イオン水などでもかまわない。これにより貯蔵室内に発生する菌の抑制効果を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、金属ピン465を備える部分の断熱材152の形状は図18で示すものを例に挙げたが、金属ピン465を配置する部分に関する形状は実施の形態1〜7で説明したような形状にしても同様の効果を奏するのは言うまでもない。
なお、本実施の形態においては、霧化装置は超音波霧化装置460としたが、実施の形態1〜7で説明した静電霧化装置や、それ以外のエジェクタ方式等の霧化装置であっても、空気中の水分を積極的に結露させた水を用いてミスト噴霧を行うものであれば、他の霧化装置であっても良く、上記実施の形態で説明した技術思想を適用することができる。
(実施の形態11)
本発明の実施の形態11における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図は、図1とほぼ同じであり、本発明の実施の形態11の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図は、図2と同じである。図19は本発明の実施の形態11の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図2のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。また、図20a,図20b,図20c,図20dは本発明の実施の形態11の冷蔵庫における冷蔵庫のタイムチャートである。
本実施の形態では、実施の形態1〜10で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜10で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111の貯蔵室(野菜室107)内側の壁面の一部に凹部および貫通部165を設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131が設置されている奥面仕切り壁表面151は、凸部191となっており、静電霧化装置131は奥面仕切り壁表面の凸部191と断熱材152に挟まれた状態で設置されている。
奥面仕切り壁表面の凸部191には、静電霧化装置131に備えられた噴霧口132の延長線上に孔(噴霧口)192が備えられ、また、同様に静電霧化装置131の外郭ケースの一部に構成された湿度供給口13近傍に湿度供給口193が構成されている。
この金属ピン134が備えられる貫通部165は、発泡スチロール等の成型において、2mm程度の薄肉部を設けると、断熱壁の剛性が低下し、強度不足や成型不良による割れ、穴あきなどの不具合が発生する可能性が高くなり、品質の劣化が懸念される場合がある。
そこで、本実施の形態では、金属ピン134が備えられる貫通部165近傍の奥面仕切り壁111の断熱材152に、冷凍室吐出風路141に突出する突起部162を設けることにより、冷凍室吐出風路141に突起部162を設けず冷凍室吐出風路141における金属ピン134側の面を平面にした場合に比べて、貫通部165周辺の剛性を高めた上で、断熱材152の壁厚を確保してさらに剛性を高めた形状とした。また、突起部162によって金属ピン134を側面側と背面側の両方から冷却することができる構成とした。
さらに、風路抵抗の増加を抑制する目的で、突起部162の外周面を先端に向かうほど細くなる円錐状の斜面にしている。
この際、金属ピン134を直接風路(冷凍室吐出風路141)内に設置すると、冷却過多になり霧化電極135の結露量が過多になるもしくは、凍結する可能性がある。
そこで、金属ピン134の背面近傍の断熱材に孔(貫通部165)を設け、そこに金属ピン134を挿入し、その周囲に断熱性がありかつ防水性の高い材料であるPSやPPなどの樹脂で成形された金属ピンカバー166を設置することにより、断熱性を確保する。
また、金属ピンカバー166は断熱性を持った絶縁テープなどでも構わない。
なお、図示はしないが、孔(貫通部165)と金属ピンカバー166に緩衝材を設け、シール性を確保することにより冷凍室吐出風路141からの冷気が金属ピン134の周囲に侵入し、貯蔵室内に流入し、貯蔵室内を過冷、凍結状態になることを効果的に防止することができる。
この金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが奥面仕切り壁111の断熱材152の凹部111aより小さく、貫通部165なっている凹部に嵌めあわされ、貫通部165の冷凍室吐出風路141側の開口部167は、冷気遮断部材であるアルミテープなどのテープ194を断熱材152に貼り付け、冷気を遮断している。
開口部167に貼り付けたテープは、冷却室仕切り板161で圧接してもよく、これによりテープ194はがれにくい構成となる。さらに冷却室110から金属ピン134の背面側134bから冷却室仕切り板161を介して冷熱を伝達している。
ただし、ある程度の寸法誤差等が存在するため、金属ピン134と金属ピンカバー166の間にはある程度の空隙196が存在し、その空隙196を埋めるために比較的熱伝導性が優れ、空間の空隙を埋める空隙埋設部材197a,197b,197cであるブチルや熱拡散コンパウンドが、金属ピン134と金属ピンカバー166もしくは、金属ピンカバー166とテープ184の間に埋設されている。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
金属ピン134は金属ピンカバー166を介して冷却されるので、霧化先端部である霧化電極135を金属ピン134で間接的に冷却するものに、さらに、熱緩和部材である金属ピンカバー166を介して二重構造で間接的に冷却するとき、金属ピン134と金属ピンカバー166の間、もしくは金属ピンカバー166とテープ194との間には、加工精度上、空隙196ができる可能性があり、仮に空隙196ができると、その空間の熱伝導性が非常に悪くなり、金属ピン134が十分冷却できなくなり、金属ピン134温度および霧化電極135温度がバラツキ、場合によっては、霧化電極先端が結露しにくくなる。
これを防ぐために、上記空隙に空隙埋設部材197a,197b,197cとしてブチルや熱拡散コンパウンドなどの空隙すなわち空気層と比較してより熱伝導性のよい部材を埋設することによりテープ194から金属ピンカバー166、金属ピンカバー166から金属ピン134への熱伝導を確保することにより、霧化電極135への冷却能力を確保する。
また、金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いて、冷凍室吐出風路141から断熱材152を介して金属ピン134の側面から冷却するものと、冷却室110の冷却室仕切り板161、テープ194を介して熱伝導で金属ピン134背面の端部134bより冷却することが可能である。
このように、本実施の形態では、貫通部165近傍の断熱材152に冷凍室吐出風路141に突出する突起部162を設けることにより、貫通部165周辺の剛性を高めた場合でも、金属ピン134を側面側と背面側の両方から冷却することができるので、熱伝導のための表面積を増加させることができ、伝熱冷却部材である金属ピン134の冷却効率を低下させることなく金属ピン134周辺の剛性を高めることができる。
また、突起部162の外周面を先端に向かうほど細くなる円錐状の斜面にすることにより、冷気は、冷気の流れ方向に対して曲面である突起部162の外周をなめるように流れるので風路抵抗の増加を抑制すると共に、伝熱冷却部材である金属ピン134が側壁の外周から均一に冷却されることで、金属ピン134をムラなく冷却でき、金属ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135を効率よく冷却することができる。
また、断熱材152の金属ピン134背面の一部のみ貫通孔である貫通部165を設け、薄肉部が構成されていないので、発泡スチロールの成型が容易にでき、また、組み立て時の破損などの問題がない。
さらに金属ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく、また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断しているので、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(野菜室107)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
また、加工精度、組み立て精度上でどうしても発生する金属ピンカバー166と金属ピン134の間に生じる空隙発生による伝熱劣化については、ブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保し、冷却能力を確保する。テープ194と金属ピンカバー166の間に生じる空隙196についても同様に対応できる。
これらの冷却により霧化電極135が結露し、対向電極135と霧化電極136間で高圧放電を発生させることにより生じる微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、奥面仕切り壁表面151に設置された孔(噴霧口)192より野菜室107内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、野菜室107内全体に微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、仮に霧化電極135にて異常に結露が発生した場合でも、霧化電極135の下方に湿度供給口138が開口し、その延長線上に奥面仕切り壁表面151にも湿度供給口193が構成されているので、水が霧化部139に貯留され、異常が発生することはない。
次に図20a〜図20dのタイムチャートにより、冷蔵庫の動作を含め、静電霧化装置131、金属ピンヒータ158の動作を説明する。
通常、冷蔵庫100において、冷凍室108、冷蔵室104の庫内温度が規定温度より上昇すると各室を冷却するため圧縮機109の運転が開始される。(図20aのA点)このとき、冷蔵室104を冷却、温度調整するための冷蔵室ダンパの動作が閉から開となり、冷蔵室104およびその風路経路上の下流にある野菜室107の冷却が開始され、これらの風路を通って冷気が貯蔵室へ流入することによって、これら貯蔵室は比較的、低湿状態なる。ここで、静電霧化装置131の霧化電極135の氷結防止、および乾燥促進のため金属ピンヒータ158を冷蔵室ダンパ開の間、ヒータ入力を印加する。すなわち野菜室へ冷気が流入している場合には乾燥を促進するように制御を行う。
次に冷蔵室104が規定温度まで冷却され、冷蔵室ダンパが開から閉へ移行すれば、野菜室107内へ冷気の流入がなくなることで野菜室107の貯蔵室内湿度が上昇するので、金属ピンヒータ158の印加を停止させ、霧化電極135の結露・噴霧モードに移行する。(図20aのB点)このとき、微細ミストを発生させるため、静電霧化装置131の電圧印加部133の高圧印加をONにする。その後、霧化電極135が冷却され、また霧化電極135周辺が高湿度化することで霧化電極先端が結露しはじめ、ある一定以上に成長すると対向電極136と霧化電極135間の高圧放電によりナノレベルの微細ミストが発生し、貯蔵室内に噴霧される。すなわち野菜室へ冷気の流入が停止している場合に、霧化電極が結露するように制御を行う。
その後、冷凍室108が規定温度に冷却されると圧縮機109が停止し(図20aのC点)、冷却が停止、冷却器112の温度が上昇するのでさらに野菜室内の湿度が上昇し、さらに霧化しやすい環境となる。また、このとき、金属ピン134はある程度の熱容量を備えているので急激に温度上昇せず、冷却された状態を保持しているので引き続き、霧化電極135は冷却され、霧化電極先端は結露することで、ミストを噴霧することができる。
そして、再び冷凍室108、冷蔵室104が規定以上の温度になり、再び圧縮機109が運転を開始する。(図20aのA点)このとき、圧縮機109の動作開始直後は、霧化電極先端の結露水は存在し、また急激に乾燥もしないので、A点からΔt1時間だけ、例えば3分から10分間、電圧印加部133の高圧印加を継続する。これにより、噴霧時間を延長でき、保鮮性が向上する。
また、図20bに示すとおり、乾燥モードから結露・噴霧モードへの移行直後は、霧化電極先端に水が付着していることは大変少ないので、B点からΔt2分、例えば5分〜10分程度(E点)高圧印加開始を遅延させることにより、十分に結露が行われてからミスト噴霧を行うことで効率よく噴霧ができ、省エネが図れる。
ただし、冷蔵庫の周囲環境が低温環境の場合には、冷蔵室ダンパが開となって冷蔵室を冷却する時間は極めて短くなる。
そこで、外気温度がある一定温度以下の場合、もしくは冷蔵室104の負荷が比較的少ない場合、上記のダンパとの連動のみでは霧化電極135の乾燥を行うのが難しくなるが、金属ピンヒータ158の動作を図20aで示す冷蔵室ダンパと連動する方式ではなく、図20cのような圧縮機109との連動にすることにより、金属ピンヒータ158の加熱時間を確保し、霧化電極135の氷結防止、乾燥促進を行うことができる。そして、電極に結露をさせてミストを噴霧させる為の電圧印加部133の高圧印加は、圧縮機109が停止中に通電し、霧化電極135と対向電極136間に高圧を印加する。ただし、図20aで説明した、A点からD点の高圧印加の継続は行う。これにより、低温環境下でも安定したミストの噴霧が可能となる。
さらに、図20dに示すように金属ピンヒータ158の入力に余裕がある場合、霧化電極の冷却時間を確保するため、圧縮機109の運転開始からΔt3分間(A点からF点)、通常時よりヒータの加熱量を大きくし、強力に氷結防止、乾燥促進を行うことで乾燥時間を短縮することができる。これにより、ヒータ停止後のすべての時間は冷却に利用することができ、霧化電極先端が結露しやすくなるのでミスト噴霧時間が長くなり、これにより野菜に付着するミスト量も増加するので保鮮度が向上する。
さらにここでは、詳細な説明は、省略するが、冷却器の除霜時や除霜直後は、高湿度の冷気を取り込みやすくなる為、霧化電極135は比較的、噴霧のしやすい環境下になるので、高圧を印加させて結露・噴霧モードへ移行するほうが望ましい。また、除霜直後の霧化電極は比較的高温状態となっているので金属ピンヒータ158はある一定時間停止し田後に、高圧を印加してミスト噴霧を行うとよい。
このように、結露・噴霧モードと乾燥モードを繰り返して霧化装置である静電霧化装置131の霧化電極135の状態を適切に制御することによって、より噴霧効率を上昇させることができ、省エネルギでミスト噴霧を行うことが可能となり、さらに、霧化先端部である霧化電極135を冷却する際の温度管理を行いやすくなるので、より精度の高い噴霧量に制御することができる。
以上のように、本実施の形態11においては、霧化部139の凸部134aである金属ピン134の構成について、断熱材152に貫通孔である貫通部165を設け、その箇所に金属ピン134を挿入し、その周囲に金属ピンカバー166を設け、金属ピンカバー166と金属ピン134間の空隙196、もしくは貫通部165の開口部167に貼付されたテープ194と金属ピン134の間の空隙196については、熱伝導部材を構成することにより、それら空隙196をなくし、冷却風路もしくは、冷却室110からの熱伝導を確保する。
また、貫通部165の開口部167に貼付されたテープ194は冷却室110と冷凍室吐出風路141を仕切るための冷却室仕切り板161で押さえつけ、はがれを防止しているので品質の安定性が確保でき、また、霧化電極135、金属ピン134に対しての熱伝導による冷却能力確保もできる。
なお、本実施の形態11においては、金属ピン134周囲に緩衝材を設けていないが、設けてもよい。これにより貫通孔(貫通部165)と金属ピンカバー166間を密着させることができ、冷気もれを防止できる。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である金属ピン134を冷却するための風路を、冷凍室吐出風路141としたが、製氷室106の吐出風路や、冷凍室108戻り風路などの低温風路でも構わない。これにより、静電霧化装置131の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である金属ピン134を冷却する冷却手段を、冷蔵庫100の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫100の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、伝熱冷却部材である金属ピン134を任意の温度に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極135を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
なお、本実施の形態では霧化部を冷却する伝熱冷却部材である金属ピン134と冷却手段との間に空気層ができないように、金属ピン134と冷却手段との間の空隙に空隙埋設部材197a,197b,197cであるブチルや熱拡散コンパウンドなどの空気層と比較してより熱伝導性のよい部材で空隙196を埋めるものとしたが、伝熱冷却部材である金属ピン134と冷却手段との間に空気層がないものとすればこの限りでなく、例えば金属ピン134を壁面である冷却室仕切り板161に圧接して固定することで空気層をなくすことにより金属ピン134への熱伝導を確保することができ、より簡単な構成で霧化先端部である霧化電極135を冷却する際の温度管理を適切に行うことができる。
(実施の形態12)
本発明の実施の形態12における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図は、図1とほぼ同じであり、本発明の実施の形態12の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図は、図2と同じである。図21は本発明の実施の形態12の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図2のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜11で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜11で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111の貯蔵室(野菜室107)内側の壁面の一部に貫通部165を設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131が設置されている奥面仕切り壁表面151は、凸部191となっており、静電霧化装置131は奥面仕切り壁表面151の凸部191と断熱材152に挟まれた状態で設置されている。
静電霧化装置131の金属ピン134は、その外周を覆うように断熱性がありかつ防水性の高い材料であるPSやPPなどの樹脂で成形された金属ピンカバー166が取り付けられた状態で断熱材152の貫通部165に嵌め合わせされる。
このとき金属ピンカバー166は、周囲の断熱材152と圧接状態になっており、金属ピン134に水が付着したとき、断熱材152が付着し、断熱材内部に浸透、凍結、破損することを防止している。
ただし、金属ピン134の端部134bについては、背面からの冷却能力を確保するため、金属ピンカバー166の形状は、円筒状で構成されており、金属ピン134の端部134bのみ開放状態となり、貫通部165の開口部167は、アルミテープなどのテープ194を断熱材152に貼り付け、冷気を遮断している。
ここで、金属ピン134の端部134bはテープ194の密着するように張り合わせされ、熱伝導性を確保している。
なお、金属ピンカバー166は断熱性を持った絶縁テープなどでも構わない。
ただし、ある程度の寸法誤差等が存在するため、金属ピン134と金属ピンカバー166の間にはある程度の空隙196が存在し、その空隙196を埋めるために比較的熱伝導性が優れ、空間の空隙を埋める空隙埋設部材197dであるブチルや熱拡散コンパウンドのような熱伝導保持材が金属ピン134と金属ピンカバー166に埋設されている。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
金属ピン134は冷却風路もしくは、冷却室110を仕切る冷却室仕切り板161からテープ194、空隙埋設部材197dであるブチルを介して冷却、もしくは金属ピン側面の断熱材から冷却されている。ここで、テープ194を介して二重構造で間接的に冷却するとき、金属ピンカバー166とテープ194との間には、加工精度上、空隙196ができる可能性があり、仮に空隙196ができると、その空間の熱伝導性が非常に悪くなり、金属ピン134が十分冷却できなくなり、金属ピン134温度および霧化電極135温度がバラツキ、場合によっては、霧化電極先端が結露しにくくなる。
これを防ぐために、組み立て時に確実にテープ194と金属ピン134を密接していることを確認するとともに、仮に空隙が生じる可能性がある場合、空隙埋設部材197dであるブチルブチルや熱拡散コンパウンドなどの熱伝導部材で空隙196を埋めることによりテープ194から金属ピン134への熱伝導を確保することにより、霧化電極135への冷却能力を確保する。
さらに金属ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく、また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断し、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(野菜室107)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
また、加工精度、組み立て精度上でどうしても発生する金属ピンカバー166と金属ピン134の間に生じる空隙発生による伝熱劣化については、ブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保し、冷却能力を確保する。テープ194と金属ピン134の間に生じる空隙196についてもブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保できる。
また、金属ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく構成されているため、発泡スチロールで構成されている断熱材に含水することを防止しているので、断熱材に水が浸透し、浸透部が凍結し、その箇所が水の体積膨張により応力がかかり、亀裂が入り、破損することを防ぐことにより、さらに品質を確保している。
また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断しているので、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(野菜室107)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
これらの冷却により霧化電極135が結露し、対向電極135と霧化電極136間で高圧放電を発生させることにより生じる微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、奥面仕切り壁表面151に設置された孔(噴霧口)192より野菜室107内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、野菜室107内全体に微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、仮に霧化電極135にて異常に結露が発生した場合でも、霧化電極135の下方に湿度供給口138が開口し、その延長線上に奥面仕切り壁にも湿度供給口193が構成されているので、水が霧化部139に貯留され、異常が発生することはない。
以上のように、本実施の形態12においては、霧化部139の凸部134aである金属ピン134の金属ピンカバー166の構成について、断熱材152に貫通孔である貫通部165に金属ピン134を挿入する際、金属ピン134の外周を覆うように金属ピンカバー166を構成し、貫通部165に圧接するように埋設し、また、金属ピンカバー166の金属ピン134の端部134b側の面は開放状態し、貫通部165の開口部167の貼付されているテープと金属ピン間の空隙については、熱伝導部材を構成することにより、それら空隙をなくし、冷却風路もしくは、冷却室からの熱伝導を確保する。
これによって、霧化電極、金属ピンに対しての熱伝導による冷却能力確保もできる。
また、貫通部165の開口部167に貼付されたテープは冷却室110と冷凍室吐出風路141を仕切るための冷却室仕切り板161で押さえつけられ、これによりはがれを防止しているので品質の安定性が確保できる。
また、貫通部165に金属ピンカバー166を圧接しながら設置しているので発泡スチロールである断熱材152への含水を防ぐことにより、断熱材の亀裂発生、破損を防止している。
また、金属ピン134周囲に緩衝材を設けていないが、設けてもよい。これにより貫通孔(貫通部165)と金属ピンカバー166間を密着させることができ、冷気もれを防止できる。
(実施の形態13)
図22は本発明の実施の形態13における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。また、図23は本発明の実施の形態13における別形態の冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。さらに、図24は図23のC−C部の静電霧化装置近傍の詳細平面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から12で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態13は冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に冷凍室108が構成され、冷凍室108のさらに下部に野菜室107が構成されている。
野菜室107と冷凍室108の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁125があり、第二の仕切り壁125の奥側と冷凍室108奥面には仕切り壁551が構成され、仕切り壁551と冷蔵庫の断熱箱体101の間には、冷却器112が設置され、その下部には、冷却器に付着した霜を融解するためのラジアントヒータ114と融解した水を受けるためのドレンパン115が設置され、各室に冷気を搬送するための冷却ファン113を含めこれらで冷却室110を構成している。この冷却室110と野菜室を仕切る第2の仕切り壁125に霧化装置である静電霧化装置131は、図22のように冷却室110の冷却源を利用するように設置されており、特に霧化部139の伝熱接続部材である金属ピン134部については、その第二の仕切り壁125の断熱材が凹形状になっており、その近傍に金属ピンヒータ158が構成されている。
また、野菜室107を冷却するための風路構成は、図22に示すとおり、野菜室107の奥面に冷蔵室からの風路もしくは、冷凍室からの風路を利用した野菜室吐出風路252が構成され、野菜室107よりやや低温の空気が野菜室吐出風路552を経由して、野菜室吐出口124より野菜室107の下段収納容器119の奥面から底面に向けて流出する。そして、その冷気の流れは、下段収納容器119の底面から前面に流れ、収納容器前方の飲料収納部166に流れこみ、さらに、第2の仕切り壁125の下面に設置された野菜室吸込み口126に流れ、野菜室吸込み風路553より冷却器112に循環している。
また、上段収納容器120は、その底面側の一部が下段収納容器119内に配置されており、この下段収納容器119内に配置されている上段収納容器120に複数の空気流通孔171が設けられている。
また、上段収納容器120の底面は、凹凸形状で形成された波型形状としている。
第二の仕切り壁125は、主にABSなどの樹脂で外殻が構成され、その内部には発泡ウレタンや発泡スチロールなどを用い、野菜室107と冷凍室108、冷却室110を断熱しているとともに、貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131を固定している第2の仕切り壁125には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である金属ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための金属ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが第2の仕切り壁125と貯蔵室の背面側の仕切り壁251とが接する角部に嵌めあわされている。
これによって、角部であることで最も断熱壁の厚い壁面に金属ピン134を含む静電霧化装置131を配置することによって、他の部分と比較して断熱壁が厚いことで金属ピンを断熱壁へより深く埋め込むことができ、霧化装置の設置による貯蔵室内容積の減少を抑えることが可能となるのでより霧化装置を備えたより大容量の貯蔵室を実現することが可能となる。
よって、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側は冷却室110側に近接した配置となっている。
ここで、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
静電霧化装置131の霧化部139は蓋体122と上部収納容器120の間隙に設置されており霧化電極先端は、上部収納容器120に向け設置されている。
また、場合によれば、図23および図24に示すように第2の仕切り壁125に霧化電極135を垂直方向に設置するように取り付けてもよい。
この場合、冷凍室108からの熱伝導により金属ピンを冷却するとともに、蓋体122の一部には静電霧化装置131からのミストが上部収納容器に噴霧できるように孔が設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている第二の仕切り壁125の厚さは、冷凍室108および冷却室110と野菜室を断熱区画するための壁厚が必要であるが、その一方、霧化先端部である霧化電極135が固定されている金属ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている壁厚は他の部分より薄く構成されている。さらに金属ピン134が保持されている最深凹部の壁厚はさらに薄く構成されている。そのため、低温である冷却室110からの熱伝導により金属ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することが出来る。ここで、霧化電極135の先端温度を露点以下にすれば、霧化電極135近傍の水蒸気は霧化電極135に結露し、水滴が確実に生成される。
また、外気温度変動により冷凍室108の温調が変動し、霧化電極135が過冷になる場合があるため、霧化電極135近傍に設置された金属ピンヒータ158で霧化電極135の温度を調整することにより霧化電極135先端の水量を最適化する。
このとき、野菜室107の冷気の流れは、野菜室吐出風路552より野菜室より低温である冷気が野菜室吐出口124から吐出され、下部収納容器120の底面の収納容器と断熱箱体間で構成された風路に流れ、前方扉側に流れる。そして下部収納容器110の一部に設けられた空気流通孔554から収納容器内に流入し、飲料収納部の飲料を冷却する。このとき下部収納容器の奥側の区画は間接冷却により冷却される。そして、冷気は第二の仕切り壁125の下面に設置された野菜室吸込み口126に流れ、野菜室吸込み風路553より冷却器112に循環している。これにより、上部収納容器にも冷気の影響が少なくなっており、保鮮性が維持されることになる。
よって、本実施の形態においては、野菜室内の冷気の流れをコントロールし、上手に使いわけている。まず、低温で乾燥した冷気をPETボトル等の飲料が置かれることが多い飲料仕切り板167の手前部分の収納飲料収納部166に多量に入れて、低温冷気を直接触れることで、冷却スピードを確保し、次に野菜室の手前側から流入した冷気が背面側へと流れるにつれて湿度が高くなっていくので、扉側よりも背面側の湿度を相対的高くすることで、背面側に配置された静電霧化装置131周辺は高湿度の雰囲気として静電霧化装置131で空気中の水分が結露しやすい環境にすることができる。さらに、貯蔵室内の水分を結露させた水滴を用いて静電霧化装置131によって噴霧されたミストは、粒子径がナノレベルで細かく拡散性の高い微細ミストとなって上段収納容器120を満たした上で、下段収納容器119へと流入して保湿を行うようにしている。
このように冷気の流れをコントロールすることによって、スピーディーに冷却したい収納物を手前部分の収納飲料収納部166に収納し、比較的低温障害等が起こりにくい一般的な野菜や果物を下段収納容器119へ、より低温障害が起こりやすい野菜や果物を上段収納容器120へと収納することで、それぞれの収納物に合った冷却を行うことができ、より品質が高く保鮮性を向上させた野菜室を提供することが可能となる。
なお、本実施の形態では、ミストを噴霧することを前提としているが、野菜室吐出口124から導入した冷気をPETボトル収納部にまず開放させることで、PETボトルの冷却スピードを速めることができるので、ミスト噴霧装置を設置しない場合においても、PETボトルの冷却スピードを速めた上で上段収納容器120の保湿性を向上させることができる。
よって、ミスト噴霧装置が備えられない場合であっても、本実施の形態のように乾燥した低温空気をまず下段収納容器119の扉側部分の収納飲料収納部166に乾燥した冷気が入るように構成し、その後に野菜等を収納する下段収納容器119を経て上段収納容器120へと流れ込む風路を構成することで、ある程度上段収納容器の保湿化と高温化を図ることができるという効果を奏する。この構成に加え、さらにミスト噴霧を行うことによって低温障害を抑制するという相乗効果が得られることとなる。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部、霧化電極温度およびその周辺湿度などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことが出来る。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、上部収納容器120に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、特に上部収納容器には、低温に弱い果物等の青果物を入れることが多い。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態になるのと同時にミストに含まれているラジカルによって、除菌や低温障害抑制、栄養素増加などの働きやその強い酸化力により農薬を分解し、野菜表面から農薬を除去しやすくすることが可能となる。
以上のように、本実施の形態13は、貯蔵室を区画するための仕切り壁と、貯蔵室の天面側には低温貯蔵室が備えられ、静電霧化装置は天面の仕切り壁に取り付けたことにより、冷却室、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁に設置され、その冷却源で静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので収納容器全体に拡散しやすく、また、人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を分裂させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
また、金属ピン134aが第2の仕切り壁125と貯蔵室の背面側の仕切り壁251とが接する角部に嵌めあわされていることで、角部であることで最も断熱壁の厚い壁面に金属ピン134を含む静電霧化装置131を配置することによって、他の部分と比較して断熱壁が厚いことで金属ピンを断熱壁へより深く埋め込むことができ、霧化装置の設置による貯蔵室内容積の減少を抑えることが可能となるのでより霧化装置を備えたより大容量の貯蔵室を実現することが可能となる。
さらに、また、金属ピン134aが第2の仕切り壁125と貯蔵室の背面側の仕切り壁251とが接する角部に嵌めあわされており、金属ピンを冷却する冷却手段として冷却室110の底面側を用いることで、暖かい空気は上方へと上がり、冷たい空気は下方へと向かう特性から冷却室110の中でも最も温度の低い部分を冷却源とすることができるので、より効率よく金属ピン134aを冷却することが可能となる。
さらに、また、金属ピンを冷却する冷却手段として冷却室110の底面側を用いることで、低温風路の中でもより温度変動の小さい冷却室の底面側を冷却源とすることでより安定して金属ピンの冷却を行うことが可能となる。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
(実施の形態14)
図25は本発明の実施の形態14における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から13で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から13で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態14は冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に冷凍室108が構成され、冷凍室108のさらに下部に野菜室107が構成されている。
野菜室107と冷凍室108の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁125があり、第二の仕切り壁125の奥側と冷凍室108奥面には仕切り壁251が構成され、仕切り壁551と冷蔵庫の断熱箱体101の間には、冷却器112が設置され、その下部には、冷却器に付着した霜を融解するためのラジアントヒータ114と融解した水を受けるためのドレンパン115が設置され、各室に冷気を搬送するための冷却ファン113を含めこれらで冷却室110を構成している。この冷却室110の下部に霧化装置用冷却風路を備え、その風路の一部に静電霧化装置131を、図25のように設置し、特に霧化部139の伝熱接続部材である金属ピン134部については、その風路と極めて隣接しており、その近傍に金属ピンヒータ158が構成されている。
また、上段収納容器120は、その底面側の一部が下段収納容器119内に配置されており、この下段収納容器119内に配置されている上段収納容器120に複数の空気流通孔171が設けられている。
また、上段収納容器120の底面は、凹凸形状で形成された波型形状としている。
霧化装置用冷却風路555は、ABSやPPなどの樹脂と発泡スチロールなどの断熱材で製作されており、その風路を流れる冷気は−15〜−25℃と比較的低温であり、野菜室107の奥面で上段収納容器と下段収納容器の間隙近傍の霧化装置用冷却風路に対向する仕切板に金属ピン134を含む静電霧化装置を設置している。これにより野菜室の構成においては、実施例1とほぼ同一の構成となる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている仕切り壁251側に形成される霧化装置用冷却風路555は、霧化先端部である霧化電極135が固定されている金属ピン134を冷却するための冷却能力があれば、収納野菜等からの蒸散により、静電霧化装置131近傍は高湿状態となり、霧化電極先端は、水滴が確実に生成される。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、上部収納容器120と下部収納容器119の間に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、特に上部収納容器には、低温に弱い果物等の青果物を入れることが多い。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態になるのと同時にミストに含まれているラジカルによって、除菌や低温障害抑制、栄養素増加などの働きやその強い酸化力により農薬を分解し、野菜表面から農薬を除去しやすくすることが可能となる。
以上のように、本実施の形態14は、貯蔵室を区画するための仕切り壁と、霧化電極を冷却するための霧化装置用冷却風路が備えられ、静電霧化装置はその風路部に取り付けたことにより、冷却室、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の区画が上部にある場合、それらの冷熱源を野菜室背面まで風路により搬送し、その冷却源で静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させることができるので、安定した噴霧が可能となり、また、奥面に設置することにより人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を分裂させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
また、金属ピン134を冷却する冷却手段として通常の貯蔵室を冷却する冷却風路とは独立した霧化装置用冷却風路を備えることで、冷却風路の状態からの温度変動をより抑えることができ、低温風路の中でもより温度変動の小さい冷却室の底面側を冷却源とすることでより安定して金属ピンの冷却を行うことが可能となる。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
なお、本実施の形態では、冷熱源の搬送に霧化装置用風路を用いたが、アルミや銅の固体物の熱伝導を利用したもの、ヒートパイプやヒートレーンなどの熱搬送手段を利用してもよい。これにより、風路面積が不必要となるので庫内容積への影響が少なくなる。
(実施の形態15)
図26は本発明の実施の形態15における冷蔵庫の断面図である。また、図27は本発明の実施の形態15における冷蔵庫の簡易的な冷却サイクル図である。さらに、図28は静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から14で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から14で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態15は、冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に5℃前後の野菜室温度にも可変できる変温室601が構成され、変温室601のさらに下部に冷凍室108が構成されている。変温室601は、冷蔵室104と変温室601の温度帯を区切るために断熱性を確保した第一の仕切り壁605と、変温室601の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁606と、変温室601の奥面の変温室奥面仕切り壁613と、扉118で区画されている。
冷蔵室104は、冷蔵室奥面の内壁に収められた高温側蒸発器604を冷却源とし、変温室601と冷凍室108は、冷凍室108の奥面に設置され、冷却室110に備えられている低温側蒸発器603を冷却源としており、低温側蒸発器603で生成された冷気を送風するために低温側蒸発器603の上方に冷却ファン113が設置されている。
また、変温室601の奥面には変温室冷却風路611とその風路内にダンパ602が構成され、変温室601の温度調整を行い、また、変温室奥面仕切り壁613には変温室601にミストを噴霧するための静電霧化装置131が構成されている。
また、本発明の冷却サイクルは、圧縮機109から吐出された冷媒が、凝縮器607で凝縮され、三方弁608にて複数の流路を切り替えている。一方は、高温側キャピラリ610で減圧され、高温側蒸発器604で熱交換後、低温側蒸発器603、アキュームレータを経由し、再度、圧縮機109へ戻る冷蔵室・冷凍室同時冷却サイクルを構成し、他方は、低温側キャピラリ609で減圧され、低温側蒸発器603にて熱交換し、アキュームレータを介して、圧縮機109へ戻る冷凍室単独冷却サイクルを構成している。
したがって、変温室601は低温側蒸発器603の冷気を利用し、冷却ファン113とダンパ602の動作、圧縮機109、三方弁608の動作により適温されている。
変温室601の背面の仕切り壁は、主にABSなどの樹脂で外殻が構成され、その内部には発泡スチロールなどを用い、変温室601と変温室冷却風路611を区画断熱しているとともに、変温室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部を設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131を固定している変温室奥面仕切り壁613には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である金属ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための金属ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが変温室奥面仕切り壁613に嵌めあわされている。
よって、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側は冷凍温度帯の温度である変温室冷却風路611に近接した配置となっている。
ここで、伝熱接続部材である金属ピン134の冷却は、冷却室110で生成され、冷却ファン113によって送風された冷気を用いており、金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、低温側蒸発器603で生成された冷気からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
その下流側にダンパ602が設置されている。
静電霧化装置131の霧化部139は下段収納容器119と上部収納容器120の間隙に設置されており霧化電極先端は、その間隙に向け設置されている。
静電霧化装置131が設置されている変温室奥面仕切り壁613は、凹部が構成され、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131の金属ピン134は、その外周を覆うように断熱性がありかつ防水性の高い材料であるPSやPPなどの樹脂で成形された金属ピンカバー166が取り付けられた状態で断熱材152の貫通部165に嵌め合わせされる。
このとき金属ピンカバー166は、周囲の断熱材152と圧接状態になっており、金属ピン134に水が付着したとき、断熱材152が付着し、断熱材内部に浸透、凍結、破損することを防止している。
ただし、金属ピン134の端部134bについては、背面からの冷却能力を確保するため、金属ピンカバー166の形状は、円筒状で構成されており、金属ピン134の端部134bのみ開放状態となり、貫通部165の開口部167は、アルミテープなどのテープ194を断熱材152に貼り付け、冷気を遮断している。
ここで、金属ピン134の端部134bはテープ194の密着するように張り合わせされ、熱伝導性を確保している。
なお、金属ピンカバー166は断熱性を持った絶縁テープなどでも構わない。
ただし、ある程度の寸法誤差等が存在するため、金属ピン134と金属ピンカバー166の間にはある程度の空隙196が存在し、その空隙196を埋めるために比較的熱伝導性が優れ、空間の空隙を埋める空隙埋設部材197dとしてブチルや熱拡散コンパウンドなどの熱伝導保持材が金属ピン134と金属ピンカバー166に埋設されている。
また、変温室601は冷凍温度からワイン貯蔵温度まで切り替えることが可能とするので、たとえば、区画周辺に温度調整用のヒータ(図示せず)を設置している場合もある。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器607である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体(断熱箱体101)の側面や背面、また冷蔵庫本体(断熱箱体101)の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体(断熱箱体101)の結露を防止しながら凝縮液化し、三方弁608に至る。ここで三方弁608は冷蔵庫100の制御基板からの動作信号によりその流路が決定され、低温側キャピラリ609もしくは高温側キャピラリのいずれかもしくは両方に冷媒を流す。三方弁608の流路が高温側キャピラリ側に開のときは、その後高温側キャピラリ610で低温低圧化された液冷媒となって高温側蒸発器604に至る。
ここで、高温側蒸発器604内の低温低圧の液冷媒は、−10℃〜―20℃程度の温度になり、これが直接もしくは間接的に冷蔵室104の空気と熱交換され、高温側蒸発器604内の冷媒の一部は蒸発気化する。その後、更に冷媒配管を流れ低温側蒸発器603に至る。
そして、更に冷媒は、アキュームレータ(図示せず)を通り、再び圧縮機109に戻る冷却サイクル運転を行う。
一方、三方弁608の流路が低温側キャピラリ310側に開のときは、その後低温側キャピラリ310で低温低圧化された液冷媒となって低温側蒸発器603に至る。
ここで、低温低圧の液冷媒は、−20℃〜―30℃程度の温度になり、冷却室の空気が冷却ファン113により対流することにより熱交換され、低温側蒸発器603内の冷媒のほとんどが蒸発気化する。これらの冷気は冷却ファン113により冷凍室108もしくは変温室601に送風される。その後、熱交換された冷媒は、アキュームレータを通り、再び圧縮機109に戻る。
一方、冷却室110にある低温側蒸発器603においては、冷却ファン113によって冷気を吐出させ、冷凍室奥面仕切り壁614内の冷凍室冷却風路612を通過し、吐出口より冷凍室108へ吐出される。吐出した冷気は冷凍室ケースと熱交換した後、冷凍室奥面仕切り壁614の下部より吸い込まれ、再び低温蒸発器303のある冷却室110に戻る。
さらに、冷却ファン113によって吐出された冷気の一部は変温室奥面仕切り壁613内の変温室冷却風路611へ流入していく。変温室冷却風路611に流入した冷気は、ダンパ602を通過し、吐出口より変温室601内に吐出され、変温室601内と熱交換した後、背面にあるダクトより吸い込まれ、冷却室110へ戻される。このとき、ダンパ602は変温室601内に設置された温度検知手段により、その開閉動作が決定されており、これによりダンパを通過する冷気量をコントロールし、変温室601の温度を一定に保っている。
ここで、変温室601は任意の温度が設定できる部屋であり、−20℃程度の冷凍温度帯から5℃程度の野菜室および12℃前後のワイン室まで切り替えることが可能である。よって、青果物などの保存するための野菜室として使用される場合がある。
そこで、変温室601の温度設定が野菜保存温度程度、例えば、2℃以上の設定になっている場合、静電霧化装置131を動作させ、収納物の保鮮度を向上させる。
ここで変温室601の変温室奥面仕切り壁613の比較的高湿度環境である箇所の一部について、断熱材が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、金属ピン134の後方は最深凹部111bが構成されている。これにより、変温室奥面仕切り壁613は凹部111aが構成され、この凹部111aの最背面の最深凹部111bに金属ピン134の凸部134aが突出した形状の静電霧化装置131が嵌めこまれて、取り付けられている。
金属ピン134背面にある変温室冷却風路611には、冷却システムの運転により低温側蒸発器603側で生成し、冷却ファン113により−15〜−25℃程度の冷気が流れ、風路表面からの熱伝導で伝熱冷却部材である金属ピン134が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、金属ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、金属ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
ここで、ダンパ602が開のときは、冷気がそのまま変温室601に流れるため、変温室は低湿状態になる。また、ダンパ602が閉の時は、乾燥空気が変温室に流れないので変温室は比較的高湿になるとともに、金属ピン134の背面の変温室冷却風路の温度もある程度低温に維持されている。
ここで、変温室601の温度設定が野菜室設定の場合、温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、静電霧化装置131の霧化先端部である霧化電極135は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着する。
水滴が付着した霧化先端部である霧化電極135に負電圧、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化先端部である霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー分裂により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μAレベルであり、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
具体的には、霧化電極135を基準電位側(0V)、対向電極136を高電圧側(+7kV)とすると、霧化電極135先端に付着した結露水は、霧化電極135と対向電極136間の空気絶縁層が破壊され、静電気力で放電が起こる。このとき結露水は帯電し、微細な粒子となる。さらに対向電極136がプラス側のため帯電した微細ミストは引き寄せられ、液滴がさらに微粒化され、ラジカルを含んだ数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストが対向電極136に引き寄せられ、その慣性力により、貯蔵室(変温室601)に向けて、微細ミストが噴霧される。
ここで、金属ピン134は変温室冷却風路611からテープ194、空隙埋設部材197dを介して冷却、もしくは金属ピン側面の断熱材から冷却されている。ここで、テープ194を介して二重構造で間接的に冷却するとき、金属ピンカバー166とテープ194との間には、加工精度上、空隙196ができる可能性があり、仮に空隙196ができると、その空間の熱伝導性が非常に悪くなり、金属ピン134が十分冷却できなくなり、金属ピン134温度および霧化電極135温度がバラツキ、場合によっては、霧化電極先端が結露しにくくなる。
これを防ぐために、組み立て時に確実にテープ194と金属ピン134を密接していることを確認するとともに、仮に空隙が生じる可能性がある場合、空隙埋設部材197dとしてブチルや熱拡散コンパウンドなどの熱伝導保持部材で空隙196を埋めることによりテープ194から金属ピン134への熱伝導を確保することにより、霧化電極135への冷却能力を確保する。
さらに金属ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく、また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断し、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(変温室601)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
また、加工精度、組み立て精度上でどうしても発生する金属ピンカバー166と金属ピン134の間に生じる空隙発生による伝熱劣化については、ブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保し、冷却能力を確保する。テープ194と金属ピン134の間に生じる空隙196についてもブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保できる。
また、金属ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく構成されているため、発泡スチロールで構成されている断熱材に含水することを防止しているので、断熱材に水が浸透し、浸透部が凍結し、その箇所が水の体積膨張により応力がかかり、亀裂が入り、破損することを防ぐことにより、さらに品質を確保している。
また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断しているので、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(変温室601)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
これらの冷却により霧化電極135が結露し、対向電極135と霧化電極136間で高圧放電を発生させることにより生じる微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、変温室601に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、変温室601全体に微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、変温室601にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
ただし、噴霧可能であれば、上記温度に限定されることはない。例えば、変温室601が−2℃程度のパーシャル温度や、0℃程度の氷温、1℃前後のチルド温度帯に設定されていても、静電霧化装置131が噴霧可能と判定できれば、噴霧することにより、生鮮食料品表面に微細ミストが付着することにより除菌性が向上するのでより長期間保存することが可能になる。
また、変温室601がワイン温度に設定されているときは、ほとんどダンパ602は閉の状態となり、貯蔵室内は比較的湿度高い状態となるがカビ等が繁殖する可能性がでてくるが、酸化力の強いラジカルをもったミストを噴霧することにより、それを防止できる。
また、変温室601が冷凍設定など噴霧不可能と判定できる温度帯、もしくは手動ボタン等で静電霧化装置131の動作を任意に停止させることができる場合には、静電霧化装置を停止させることができる。
また、静電霧化装置131の動作をダンパ開閉動作で判定することにより、効率よく静電霧化装置131を動作させることができる。
また、静電霧化装置131の金属ピン134近傍に温度調整用のヒータを配置することにより、霧化電極の温度制御、霧化先端部の水量調整を可能にするのでより安定した霧化状態を実現できる。
以上のように、本実施の形態15は、複数の蒸発器を備えた冷蔵庫において、温度が可変する変温室とその貯蔵室を区画するための仕切り壁と、変温室を冷却するための変温室冷却風路が備えられ、静電霧化装置はその風路部と貯蔵室を区切る奥面仕切り壁に取り付けたことにより、変温室の温度設定が野菜室温度設定程度の場合、変温室に流れこむ風路からの熱伝導で霧化電極を冷却し、結露させることができるので、安定した噴霧が可能となり、また、奥面に設置することにより人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態において、ダンパが閉であっても変温室背面の風路の温度はダンパの上流側となるので比較的低温を維持することができるので、霧化電極を十分冷却でき、よって、霧化電極先端に結露させ、ミストは発生することができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を分裂させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
なお、本実施の形態のダンパを電動式ダンパにすることにより、特に、機械式ダンパで制限のある設定温度(動作温度)の制約がなくなり、変温室を任意温度にコントロールすることができ、様々な食品に適した温度を作り出すことが可能となる。さらに、機械式ダンパでは不可能であった強制閉が可能となり、変温室を使用しない場合は、変温室に冷気を循環する必要がなくなり、強制的に電動式ダンパを閉じることにより、無駄な冷却を防止し、消費電力量を抑制できる。また、冷却室内の低温側蒸発器を除霜する際、電動式ダンパを強制閉することにより、変温室への暖湿気侵入を防止することができ、着霜防止及び、除霜効率向上による消費電力量抑制が可能となると同時に霧化電極の加温もできるので霧化電極の乾燥手段となり、信頼性を向上させることができる。
なお、本実施の形態のダンパを回転数可変可能な保温室ファンにすることにより、変温室への冷気量を調整し、機械式ダンパであった設定温度(動作温度)の制約がなくなり、変温室601を任意温度にコントロールすることも可能となり、様々な食品に適した温度を作り出すことが可能となる。また、急速冷却、緩慢冷却等の冷却速度もコントロールでき、さらなる食品の保鮮度向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、静電霧化装置が設置されている貯蔵室を変温室としたが、より温度帯を限定した野菜室でもかまわない。これにより温度変動範囲がすくなくなり、より簡素な制御仕様なる。
(実施の形態16)
図29aは本発明の実施の形態16における冷蔵庫の断面図である。また、図29bは本発明の実施の形態16における静電霧化装置近傍の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から15で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から15で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態16は、冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に5℃前後の野菜室温度にも可変できる変温室601が構成され、変温室601のさらに下部に冷凍室108が構成されている。
変温室601は、冷蔵室104と変温室601の温度帯を区切るための仕切り板621と、変温室601の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁と、変温室601の奥面の内箱103と、扉118で区画されている。
冷蔵室104と変温室601は、冷蔵室奥面および変温室奥面の内壁に収められた高温側蒸発器604を冷却源とし、冷凍室108は、冷凍室108の奥面に設置され、冷却室110に備えられている低温側蒸発器603を冷却源としており、低温側蒸発器603で生成された冷気を送風するために低温側蒸発器603の上方に冷却ファン113が設置されている。
また、変温室601の奥面には変温室601にミストを噴霧するための静電霧化装置131が構成されている。
また、本発明の冷却サイクルは、圧縮機109から吐出された冷媒が、凝縮器607で凝縮され、三方弁608にて複数の流路を切り替えている。一方は、高温側キャピラリ610で減圧され、高温側蒸発器604で熱交換後、低温側蒸発器603、アキュームレータを経由し、再度、圧縮機109へ戻る冷蔵室・冷凍室同時冷却サイクルを構成し、他方は、低温側キャピラリ609で減圧され、低温側蒸発器603にて熱交換し、アキュームレータを介して、圧縮機109へ戻る冷凍室単独冷却サイクルを構成している。
したがって、変温室601は高温側蒸発器604を利用し、冷蔵室温度検知手段(図示せず)もしくは、変温室温度検知手段(図示せず)、圧縮機109、三方弁608により適温されている。
変温室601の背面の内箱103は、主にABSなどの樹脂で構成され、その内箱の一部に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131を固定している内箱103には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である金属ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための金属ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが内箱103の一部に凹部が構成され、嵌めあわされている。
よって、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側の高温側蒸発器604に近接した配置となっている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器607である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体(断熱箱体101)の側面や背面、また冷蔵庫本体(断熱箱体101)の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体(断熱箱体101)の結露を防止しながら凝縮液化し、三方弁608に至る。ここで三方弁608は冷蔵庫100の制御基板からの動作信号によりその流路が決定され、低温側キャピラリ609もしくは高温側キャピラリのいずれかもしくは両方に冷媒を流す。三方弁608の流路が高温側キャピラリ側に開のときは、その後高温側キャピラリ610で低温低圧化された液冷媒となって高温側蒸発器604に至る。
ここで、高温側蒸発器604内の低温低圧の液冷媒は、−10℃〜―20℃程度の温度になり、これが直接もしくは間接的に冷蔵室104もしくは変温室601の空気と熱交換され、高温側蒸発器604内の冷媒の一部は蒸発気化する。その後、更に冷媒配管を流れ低温側蒸発器603に至る。
そして、更に冷媒は、アキュームレータ(図示せず)を通り、再び圧縮機109に戻る冷却サイクル運転を行う。
一方、三方弁608の流路が低温側キャピラリ609側に開のときは、その後低温側キャピラリ609で低温低圧化された液冷媒となって低温側蒸発器603に至る。
ここで、低温低圧の液冷媒は、−20℃〜―30℃程度の温度になり、冷却室の空気が冷却ファン113により対流することにより熱交換され、低温側蒸発器603内の冷媒のほとんどが蒸発気化する。これらの冷気は冷却ファン113により冷凍室108に送風される。その後、熱交換された冷媒は、アキュームレータを通り、再び圧縮機109に戻る。
一方、冷却室110にある低温側蒸発器603においては、冷却ファン113によって冷気を吐出させ、冷凍室奥面仕切り壁614内の冷凍室冷却風路612を通過し、吐出口より冷凍室108へ吐出される。吐出した冷気は冷凍室ケースと熱交換した後、冷凍室奥面仕切り壁614の下部より吸い込まれ、再び低温蒸発器303のある冷却室110に戻る。
三方弁のより高温側キャピラリ610へ流路が開となり、冷蔵室104と変温室601の冷却を行う。このとき、冷蔵室104もしくは変温室601内に設置された温度検知手段により、三方弁の開閉が決定されており、これにより冷蔵室104、変温室601の温度を一定に保っている。
ここで、変温室601は任意の温度が設定できる部屋であり、−2℃程度のパーシャル温度帯から5℃程度の野菜室および12℃前後のワイン室まで切り替えることが可能である。よって、青果物などの保存するための野菜室として使用される場合がある。
そこで、変温室601の温度設定が野菜保存温度程度、例えば、2℃以上の設定になっている場合、静電霧化装置131を動作させ、収納物の保鮮度を向上させる。
ここで変温室601の奥面の内箱103の比較的高湿度環境である箇所の一部に静電霧化装置131が設置されており、特に、金属ピン134の後方は高温側蒸発器604と近接している。
金属ピン134背面にある高温側蒸発器604には、冷却システムの運転によりその冷媒管もしくはフィンなどの熱伝導部材は−15〜−25℃程度の温度となり、それらからの熱伝導で伝熱冷却部材である金属ピン134が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、金属ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、金属ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
このように、金属ピン134は蒸発器からの直接の熱伝導によって冷却される。
よって、金属ピン134を冷却する冷却手段として風路からの低温空気ではなく、蒸発温度がほぼ一定に保たれた蒸発器からの直接の熱伝導を用いることで、より安定して金属ピンの冷却を行うことが可能となる。
ここで、三方弁608が高温側キャピラリの流路を開の状態になるように設定された場合、冷蔵室104と変温室601が冷却モードとなり変温室は低湿状態になる。また、三方弁608が高温側キャピラリの流路を閉の状態になるように設定された場合、変温室は比較的高湿になるとともに、金属ピン134の背面の高温側蒸発器604の温度もある程度低温に維持されている。
ここで、変温室601の温度設定が野菜室設定の場合、温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、静電霧化装置131の霧化先端部である霧化電極135は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着し、高圧印加によりラジカルを有した微細ミストを発生することが可能となる。
この微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、変温室601に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、変温室601全体微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、変温室601にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
ただし、噴霧可能であれば、上記温度に限定されることはない。例えば、変温室が−2℃程度のパーシャル温度や、0℃程度の氷温、1℃前後のチルド温度帯に設定されていても、静電霧化装置131が噴霧可能と判定できれば、噴霧することにより、生鮮食料品表面に微細ミストが付着することにより除菌性が向上するのでより長期間保存することが可能になる。
また、三方弁608の動作と静電霧化装置131の動作を連動させることにより効率のよいミスト噴霧を実現できる。
また、静電霧化装置131の金属ピン134近傍に温度調整用のヒータを配置することにより、霧化電極の温度制御、霧化先端部の水量調整を可能にするのでより安定した霧化状態を実現できる。
以上のように、本実施の形態16は、複数の蒸発器を備えた冷蔵庫において、温度が可変する変温室と、変温室を冷却するための蒸発器が備えられ、変温室の冷却は、冷蔵室を冷却する蒸発器を利用するように構成されている場合、静電霧化装置は変温室奥面の内箱の一部に取り付けたことにより、変温室の温度設定が野菜室温度設定程度の場合、高温側蒸発器からの熱伝導で霧化電極を冷却し、結露させることができるので、安定した噴霧が可能となり、また、奥面に設置することにより人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができ、さらに部品点数を少なくすることができるのでより安価に構成することができる。
(実施の形態17)
図30は実施の形態17における冷蔵庫の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から16で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から16で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態17は、冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に5℃前後の野菜室温度にも可変できる変温室601が構成され、変温室601のさらに下部に冷凍室108が構成されている。
変温室601は、冷蔵室104と変温室601の温度帯を区切るための仕切り板621と、変温室601の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁と、変温室601の奥面の仕切り板621と、扉118で区画され、仕切り板621の一部に変温室吐出口325が設けられている。
冷蔵室104と変温室601の奥面には冷蔵室仕切り板623が備えられ、この仕切りは変温室601奥面まで構成され、隔てて冷蔵室風路624が構成され、その一端には変温室吸込口626を構成されている。その中に高温側蒸発器604が備えられ、高温側蒸発器604の上方には冷蔵室用ファン622が設置され、冷蔵室に冷気を送付している。
また、変温室601の奥面の仕切り板621の一部には変温室601にミストを噴霧するための静電霧化装置131が構成されている。
変温室601の背面の仕切り板621は、主にABSなどの樹脂と発砲スチロールなどの断熱材で構成され、その内箱の一部に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131を固定している仕切り板621には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である金属ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための金属ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが仕切り板621の一部に凹部が構成され、嵌めあわされている。
このとき、伝熱接続部材である金属ピン134の背面側は、高温側蒸発器604に近接した配置となっている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
三方弁が高温側キャピラリ610へ流路が開の時、冷蔵室104と変温室601の冷却を行う。このとき、冷蔵室104もしくは変温室601内に設置された温度検知手段により、三方弁の開閉、冷蔵室用322ファンの動作が決定されており、これにより冷蔵室104、変温室601の温度を一定に保っている。
ここで、変温室601は任意の温度が設定できる部屋であり、−2℃程度のパーシャル温度帯から5℃程度の野菜室および12℃前後のワイン室まで切り替えることが可能である。よって、青果物などの保存するための野菜室として使用される場合がある。
そこで、変温室601の温度設定が野菜保存温度程度、例えば、2℃以上の設定になっている場合、静電霧化装置131を動作させ、収納物の保鮮度を向上させる。
ここで変温室601の奥面の仕切り板621の比較的高湿度環境である箇所の一部に静電霧化装置131が設置されており、特に、金属ピン134の後方は高温側蒸発器604と近接している。
金属ピン134背面にある高温側蒸発器604には、冷却システムの運転によりその冷媒管もしくはフィンなどの熱伝導部材は−15〜−25℃程度の温度となり、それらからの熱伝導で伝熱冷却部材である金属ピン134が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、金属ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、金属ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
ここで、三方弁608が高温側キャピラリの流路を開の状態になるように設定された場合、冷蔵室104と変温室601が冷却モードとなり変温室は低湿状態になる。また、三方弁608が高温側キャピラリの流路を閉の状態になるように設定された場合、変温室は比較的高湿になるとともに、冷蔵室用ファン622を動作させ、高温側蒸発器に付着した霜を融解、除霜することが可能であり、そのとき、変温室601は比較的高湿空間になる。 よって、金属ピン134の背面の高温側蒸発器604の温度が上昇しても霧化することが可能となる。
ここで、変温室601の温度設定が野菜室設定の場合、温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、静電霧化装置131の霧化先端部である霧化電極135は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着し、高圧印加によりラジカルを有した微細ミストを発生することが可能となる。
この微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、変温室601に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、変温室601全体微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、変温室601にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
ただし、噴霧可能であれば、上記温度に限定されることはない。例えば、変温室が−2℃程度のパーシャル温度や、0℃程度の氷温、1℃前後のチルド温度帯に設定されていても、静電霧化装置131が噴霧可能と判定できれば、噴霧することにより、生鮮食料品表面に微細ミストが付着することにより除菌性が向上するのでより長期間保存することが可能になる。
また、冷蔵室用ファン622の動作と静電霧化装置131の動作を連動させることにより効率のよいミスト噴霧を実現できる。
また、静電霧化装置131の金属ピン134近傍に温度調整用のヒータを配置することにより、霧化電極の温度制御、霧化先端部の水量調整を可能にするのでより安定した霧化状態を実現できる。
以上のように、本実施の形態17は、複数の蒸発器を備えた冷蔵庫において、温度が可変する変温室と、変温室を冷却するための蒸発器が備えられ、変温室の冷却は、冷蔵室を冷却する蒸発器を利用し、そこで生成された冷気を冷蔵室用ファンで搬送するように構成されている場合、静電霧化装置は変温室奥面の仕切り板の一部に取り付けたことにより、変温室の温度設定が野菜室温度設定程度の場合、高温側蒸発器からの熱伝導で霧化電極を冷却し、結露させることができるので、安定した噴霧が可能となり、また、奥面に設置することにより人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができ、さらに部品点数を少なくすることができるのでより安価に構成することができる。
(実施の形態18)
図31は、本発明の実施の形態18における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜17で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1〜17と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、野菜室107と冷凍室吐出風路141との間の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152とで構成される。
ここで、奥面仕切り壁111の野菜室107側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に良熱伝導部材である金属ピン509が設置されている。
本実施の形態においては、霧化部はエジェクタ方式の霧化装置であり、金属ピン501は、背面の冷凍室吐出風路141から主に熱伝導で冷却され、その霧化先端部502は、樹脂で構成されている。金属ピン501および霧化先端部502には空洞部504、505、506、507、508が形成されている。すなわち、霧化先端部502には、噴霧口132側に形成された狭い径の流路504と、流路504と連通するこれよりも広い径の流路505とが設けられている。また、断熱材152には、金属ピン501の下方に小さなポンプ510が設けられており、一端が野菜室側107に開口し、他端がポンプ510に繋がる流路507が形成されている。さらに、ポンプ510から上方に向かって断熱材152および金属ピン501に連通する流路508が形成されている。さらに、金属ピン501には、流路508の金属ピン501内の端部と霧化先端部502の流路505とを繋ぐ流路506が形成されている。これらにより、野菜室107から、流路507、ポンプ510、流路508、流路506、流路505、そしてこれらより狭い径の流路504が連通して形成される。
金属ピン501の野菜室107側上部には主に野菜室107内の水を収集する水収集部503が形成されている。水収集部503は、断熱材152の金属ピン501の野菜室107側上部に形成された凹部511内の垂直面に形成された金属板からなり、水収集部503の金属板は金属ピン501と熱的に接続されている。
凹部111aによって露出した金属ピン501の野菜室107側上部表面から、流路506に連通する水路509が、金属ピン501内に形成されている。
金属ピン501の冷却室110側端部は、図19に示す実施の形態11と同様に、冷却遮断部材としてのテープ194を介して仕切り板161と結合されている。金属ピン501の周囲は断熱材152で囲われており、凹部111aと金属ピン501の空隙は、空隙埋設部材(図示せず)で埋められている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。伝熱接続部材である金属ピン501は、緩衝材である断熱材152を介して冷却されるので、金属ピン501と熱的に接続している水収集部503に野菜室107の高湿空気が結露し、水512が生成する。この水512は、水路509に導かれ流路505へと流れる。
一方、ポンプ510が動作すると、野菜室107からの空気を吸い込み、流路507、508、506を経由して、流路505から流路504へ比較的早い空気が流れる。流路505では、上記のように水路509から水512が供給されるので、流路506からの早い空気流と混合され、霧化先端部502の噴霧口132からはミスト状の流体が噴霧される。
そして、発生したミストは、野菜室107に噴霧され、その収納食品に潤いをあたえ、これにより保鮮性が向上する。
以上のように、本実施の形態においては、熱伝導部材である金属ピン501を冷凍室吐出風路141で冷却し、これによって水収集部503で水を生成している。生成した水を金属ピン501の内部に形成した流路505へ流しこみ、別の流路506、507、508からポンプで空気を流し、それらと混合してミストを生成している。生成したミストにより、野菜室107を加湿することができ、野菜の保鮮度を向上することができる。
(実施の形態19)
これまでの実施の形態では、静電霧化装置を冷蔵庫に用いた説明をしてきた。しかしながら、上記実施の形態で説明したミストを噴霧する静電霧化装置は、冷蔵庫以外にも、冷却源を備えた冷却機器として空気調和機等にも応用することができる、また、冷却機器に限定せずにミストを噴霧する空間と、金属ピンを備える空間とが大きな温度差を有する場合には同様の技術思想を用いることができ、例えば食器洗浄機、洗濯機、炊飯器、掃除機など、各種機器に用いることができる。
本実施の形態では、静電霧化装置を空気調和機に用いた例を説明する。空気調和機は、通常冷媒配管で互いに接続された室外機と室内機とで構成されており、本実施の形態では、空気調和機の室内機を例に説明する。
図32は本発明の実施の形態19における静電霧化装置を用いた空気調和機の室内機を示す一部切欠斜視図である。図33は図32に示す空気調和機の断面構成図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜18で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1〜18と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
室内機は、本体602に室内空気を吸い込む吸込口として前面吸込口602aおよび上面吸込口602bを有し、前面吸込口602aには開閉自在の可動前面パネル(以下、単に前面パネルという)604を有しており、空気調和機停止時は、前面パネル604は本体602に密着して前面吸込口602aを閉じているのに対し、空気調和機運転時は、前面パネル604は本体602から離反する方向に移動して前面吸込口602aを開放する。
本体602の内部には、前面吸込口602aおよび上面吸込口602bの下流側に設けられ空気中に含まれる塵埃を除去するためのプレフィルタ605と、このプレフィルタ605の下流側に設けられ前面吸込口602aおよび上面吸込口602bから吸い込まれた室内空気と熱交換するための熱交換器606と、熱交換器606で熱交換した空気を搬送するための室内ファン608と、室内ファン608から送風された空気を室内に吹き出す吹出口610を開閉するとともに空気の吹き出し方向を上下に変更する上下羽根612と、空気の吹き出し方向を左右に変更する左右羽根614とを備えている。また、前面パネル604の上部は、その両端部に設けられた複数のアーム(図示せず)を介して本体602の上部に連結されており、複数のアームの一つに連結された駆動モータ(図示せず)を駆動制御することで、空気調和機運転時、前面パネル604は空気調和機停止時の位置(前面吸込口602aの閉塞位置)から前方に向かって移動する。上下羽根612も同様に、その両端部に設けられた複数のアーム(図示せず)を介して本体602の下部に連結されている。
また、熱交換器606の一部には、静電ミストを発生させて室内空気を浄化する空気清浄機能を有する静電霧化装置131が設けられている。
上記のように、図32は前面パネル604および本体602を覆う本体カバー(図示せず)を取り除いた状態を示しており、図33は室内機本体602と静電霧化装置131との接続位置を示している。
図に示されるように、静電霧化装置131は、熱交換器606が吸込み空気と熱交換される下流側に設置されている。
静電霧化装置131は、主に霧化部139、およびABSなどの樹脂で成型された外郭ケース137で構成される。外郭ケース137には、噴霧口132と湿度供給口(図示せず)が形成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135と、霧化電極135を一端部のほぼ中心に固定する金属ピン134と、霧化電極135に電圧を印加する電圧印加部(図示せず)とで構成される。金属ピン134は、アルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる電極接続部材から構成される。
この伝熱接続部材である金属ピン134は、一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱材(図示せず)で覆われていることが望ましい。
また、長期的に霧化電極135と金属ピン134の熱伝導の維持も必要であるので、接続部に湿度などの侵入を防止するためにエポキシ部材などを流しこみ、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極135と金属ピン134を固定する。また、熱抵抗を低下させるために霧化電極135を金属ピン134に圧入などにより固定してもよい。
伝熱接続部材である金属ピン134が外郭ケース137に固定され、金属ピン134自体は外郭から突起した凸部を有して構成されている。この金属ピン134は霧化電極135と逆側に凸部を有する形状で、凸部が熱交換器606の内部に冷媒が流れる配管の一部に接触もしくは固定されている。
また、金属ピン134の冷却手段は、熱交換器606での冷却を用いている。金属ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成してあるので、冷却部は、熱交換器606の内部を冷媒が流れる配管606aからの熱伝導だけで霧化電極135の結露に必要な冷却を行うことができ、霧化部先端に結露生成を行うことが可能となる。
また、本実施の形態において、静電霧化装置131は図26の矢印で示す吐出冷気の風路上に備えるものであり、これによって室内へ吐出される冷気の中でも流速の高い吹き出し冷気に静電付加されたミストを混在させて室内へと噴霧することができるので、より室内でのミストの拡散性が高く、本実施の形態のように静電ミストすなわちOHラジカルを含んだミストを噴霧することでより室内等の噴霧空間における湿度の向上や、拡散性の向上による殺菌性や抗菌効果を向上させることが可能となる。
さらに望ましくは吐出冷気の下流側すなわち室内機内の風路上において、前面吸込口602aおよび上面吸込口602b等の吸込口よりも冷気の吐出口である吹出口610に近い箇所に設けることが望ましく、これによって上記に記載のような風速の大きい冷気にミストを混在させることで室内における拡散性を高めるとともに、より室内までの到達経路において風路抵抗となるような障害物が少ないので、ミストがそのままの形すなわち本実施の形態においては静電ミストすなわちOHラジカルを含んだミストがOHラジカルを失うことなくそのままの形で噴霧されるので、室内等の噴霧空間における湿度の向上や、拡散性の向上による殺菌性や抗菌効果を向上させることが可能となる。
このように簡単な構造で冷却部を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材である金属ピン134および霧化先端部である霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
さらに、霧化部139の近傍に電圧印加部が構成され、高電圧を発生する電圧印加部の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されている。
霧化電極135近傍では、ミスト噴霧のため、常に放電が起こるため、霧化電極135先端では、磨耗を生じる可能性がある。空気調和機も冷蔵庫と同様に、一般に10年以上の長期間に渡って運転することになる。したがって、霧化電極135の表面は、強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
対向電極136は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
電圧印加部は、空気調和機本体の制御部と通信、制御され、空気調和機本体もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
以上のように構成された本実施の形態について、以下その動作、作用を説明する。熱交換器606に静電霧化装置131は固定されており、その冷却源である熱交換器606の内部を冷媒が流れる配管606aからの熱伝達もしくは熱伝導により金属ピン134が冷却され、熱的につながった霧化電極135も冷却され、その先端の水滴が発生する。この霧化電極135の先端の水滴に高圧を印加することにより微細ミストを発生させる。静電霧化装置131で発生したミストは、電荷を保有しているため、熱交換器606に吸い寄せられないように、ミスト発生後はABSなどの樹脂で形成されたサイレンサと兼用した専用風路を介して、被空調室内に放出させるとよい。
放出した微細ミストは、被空調室内に対流し、拡散する。拡散したミストは、被空調室内の衣類や家具などに付着する。このとき、ミストが保持するラジカルにより、除菌や脱臭などが可能なり、室内を快適な空間にする。
ここで、空気調和機の場合、冷房時においては、室内機の熱交換器606を通過した低温の空気は相対湿度が高く、静電霧化装置131の霧化電極135は、周囲環境より温度が若干低ければ、霧化電極135に結露するので、霧化に対して電力は極めて少なくなる。
さらに、静電霧化装置131の周辺には、加熱部を併用することにより霧化電極135の温度調整も可能となる。このことにより、安定した霧化を提供できる。
また、本実施の形態のように金属ピン134を介して熱交換器606の低温配管で霧化先端部である霧化電極135を冷却し結露させるタイプの静電霧化装置131では、熱交換器が低温となっている冷房時にのみ結露が行われるものであるので、冷房時に限定してミスト噴霧を行うこととなる。このように、暖房時においては霧化先端部に対して結露が行われずミスト噴霧が行われない為、例えば静電霧化装置131は停止しておいてもよく、また暖房時においては結露が行われないが、マイナスイオンの発生については静電霧化装置131を動作させることで行うことが可能となるので、暖房時にはマイナスイオン発生器として静電霧化装置131を利用することも可能である。
さらに、加熱部を用いなくても、一定時間、冷却を停止し、ファンのみを運転させることにより、霧化電極を被空調室内の乾燥空気で乾燥させ、過剰結露を防止することもできることにより信頼性を向上することができ、安定した霧化が実現できる。
以上のように、本実施の形態においては、空気調和機の熱交換器606近傍に静電霧化装置131を設置することにより、ミストが被空調室内の衣類や家具などに付着する。このとき、ミストが保持するラジカルにより、除菌や脱臭などが可能なり、室内を快適な空間にできる。
以上のように、静電霧化装置を食器洗浄機、洗濯機、炊飯器、掃除機などの各種機器に用いることにより、省エネルギーでかつ簡単な構成でミスト噴霧による除菌、殺菌、脱臭などの効果を得ることができる。