JPH06257933A - 冷蔵庫 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 野菜等を収容する野菜室３１を有する冷蔵庫
において、その野菜室３１を加湿するための超音波加湿
装置５を備えてなるものである。 【効果】 超音波加湿装置により野菜室をすばやく加湿
することができ、したがって、野菜室は常に高湿度に維
持することができ、野菜等の蒸散作用が抑制されて野菜
等の鮮度が確実に保持され、しかも、上記超音波加湿装
置は従来の調湿剤に比べて小型であり、場所を取ること
がない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、野菜等を収容する野菜
室を有する冷蔵庫に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、野菜等の青果物は、新鮮度を長
期間保存するために、これらの青果物からの水分の蒸散
を阻止し得る程度の湿度に保たれた雰囲気に保存するこ
とが望ましい。

【０００３】そこで、従来のこの種の冷蔵庫としては、
特開昭６０−３６８６２号公報に開示の冷蔵庫があり、
この特開昭６０−３６８６２号公報に開示の冷蔵庫は野
菜等の青果物を収容する野菜ケースの内側に調湿材を設
けてなるものである。

【０００４】そして、上記野菜ケース内の湿度が高いと
き、上記調湿材が野菜ケース内の水分を吸湿する一方、
上記野菜ケース内が乾燥状態になったとき、上記吸湿し
た水分を放湿して上記野菜ケース内の調湿を行うように
なっている。またこの調湿材は、例えば、スチレンスル
ホン酸コポリマー等の如く表面に親水性或はイオン性の
基を有する有機高分子粒子からなっている。

【０００５】さらに、特公昭５７−３６５１０号公報に
開示されているように、冷蔵庫内に被解凍物を載置する
容器を設け、この容器に超音波装置を付設して、この超
音波によって容器の内部の被解凍物を直接解凍するもの
がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の冷蔵庫の野菜ケース内に設けられた調湿材は、単位
重量当たりの吸湿量（以下、吸湿率という）が比較的小
さいものであった。そのため、例えば野菜ケース内に収
納された野菜の量が少なくて上記野菜ケース内が乾燥状
態にあるときは、上記調湿材から放湿される水分の量が
少ないため、野菜ケース内を適度に加湿することができ
ないという問題点があった。

【０００７】また被解凍物の解凍には、その被解凍物の
各種の形状に対応して均一に直接解凍するためには出力
容量の大きい超音波装置で広角度に放射することが必要
とする問題点があった。

【０００８】そこで、本発明の目的は、冷蔵庫の野菜室
内をすばやく加湿し、適度に調湿し、加湿用の水の供給
がメンテナンスフリーであり、比較的出力容量の小さい
超音波出力によって自然な解凍ができる実用的な冷蔵庫
を提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の冷蔵庫は上記の
問題点を解決したもので、請求項１に記載の発明は、野
菜等を収容する野菜室を有する冷蔵庫において、その野
菜室を加湿するための超音波加湿装置を備えてなるもの
である。

【００１０】また、請求項２に記載の発明は、上記請求
項１に記載の冷蔵庫の構成に、野菜室の湿度を検出する
湿度センサーを設け、その湿度センサーにて上記超音波
加湿装置の出力を制御するものである。

【００１１】そして、請求項３に記載の発明は、上記請
求項１に記載の冷蔵庫の構成の超音波加湿装置の給水に
除霜水を利用するものである。

【００１２】そしてまた、請求項４に記載の発明は、上
記請求項１に記載の冷蔵庫の構成の野菜室の一部に解凍
室を設け、その解凍室に位置させた被解凍物を上記超音
波加湿装置の噴霧にて解凍するものである。

【００１３】

【作用】本発明の冷蔵庫は上記のような構成で、請求項
１に記載の発明では、超音波加湿装置の噴霧にて野菜室
を加湿し、その野菜室に収容された青果物等からの水分
の蒸散を阻止し得る程度の湿度の雰囲気に保存し、新鮮
度を長期間保持するものである。

【００１４】また請求項２に記載の発明は、野菜室の湿
度を湿度センサーにて検出し、その湿度センサーの出力
信号が制御手段によって所定値と比較されて超音波加湿
装置の出力をＯＮ−ＯＦＦ制御し、上記野菜室内を最適
の状態に調湿するものである。

【００１５】そして、請求項３に記載の発明は、超音波
加湿装置への給水を除霜水を利用して行ない、給水の手
間を省けるようにしたものである。

【００１６】そしてまた、請求項４に記載の発明は、解
凍室内に載置された被解凍物に超音波加湿装置によって
微細な水滴を噴霧し、その水滴の持つ顕熱および潜熱に
よってすみやかに且つ効率よく解凍するものである。

【００１７】

【実施例】以下添付図面を参照して、本発明の冷蔵庫を
具体化した実施例につき説明する。なお、以下の実施例
は、本発明の冷蔵庫を具体化した一例であって、本発明
の技術的範囲を限定する性格のものではない。

【００１８】ここに、図１は本発明の冷蔵庫の一実施例
における野菜保存室の部分を側面より視た要部断面図、
図２は図１における超音波加湿装置の要部を示す拡大斜
視図、図３は図１における超音波加湿装置と除霜水ホー
スの接続部を示す要部拡大断面図、図４は図１における
超音波加湿装置の噴霧器を示す要部拡大断面図、図５は
野菜保存室の野菜ケースの庫内湿度とこの野菜ケース内
に１週間保存後の野菜の重量保持率の関係を示す特性
図、図６は解凍時における時間と被解凍物の内部温度の
関係を示す特性図である。また、図７は本発明の冷蔵庫
の他の実施例における野菜保存室を側面より視た要部断
面図である。

【００１９】本発明実施例における冷蔵庫の野菜保存室
（野菜室）３１は、図１に示すように、冷蔵庫３０の本
体ケース３６の最下部に設けられ、その前面開口が開閉
自在に引き出される引き出し扉３２により閉止されるよ
うになっている。また、上記野菜保存室３１は仕切り板
２によりその上方の冷蔵室（図示省略）と仕切られてい
る。

【００２０】上記引き出し扉３２の内面に固定ハンガ３
３が固設され、この固定ハンガ３３に野菜等の食品を収
納する野菜ケース１が搭載されている。上記野菜ケース
１の上面開口は蓋３により封止されるようになってい
る。、上記野菜ケース１の内部には解凍室４が設けられ
ている。上記解凍室４には超音波加湿装置５が備えられ
ている。

【００２１】そして、上記超音波加湿装置５には、図２
に示すように、霧吹き出し口６と貯水容器７と湿度セン
サー８とホース受け９が備えられている。上記貯水容器
７は、上記ホース受け９により除霜水ホース１０に接続
されている。除霜水ホース１０には、その一部に除霜水
を清浄するための浄化フィルター１１が備えられてい
る。上記超音波加湿装置５の水分の供給には除霜水を利
用しているため、冷蔵庫運転時に消費者が上記超音波加
湿装置５に水分を補給する手間が要らない。引き出し扉
３２の開閉には、図３に示すように、上記ホース受け９
と上記除霜水ホース１０の脱着も行われる。

【００２２】上記湿度センサー８は、上記霧吹き出し６
のＯＮ−ＯＦＦを制御する。野菜ケース１の湿度がある
所定の湿度よりも低いときは加湿を行い、野菜ケース１
の湿度が別の所定の湿度よりも高いときは加湿を止め
る。

【００２３】上記霧吹き出し６の内部には、図４に示す
ように、噴霧器１２が備えられている。上記噴霧器１２
は高さが約３０ｍｍと小型である。上記噴霧器１２のア
クチュエーター１３は、その中心を細孔１８（直径０．
５ｍｍ）が貫いていて、上記アクチュエーター１３の周
囲は２つのランジェバン型の圧電素子１４ａと１４ｂに
よって囲まれている。上記圧電素子１４ａと１４ｂは２
つの固定ナット１５によって隙間なく挟み込まれてい
る。

【００２４】上記アクチュエーター１３の吹き出し口の
先端には霧化フィルター１６が備えられていて、その周
囲をカウリング１７によって囲まれている。上記霧化フ
ィルター１６の孔径は、０．２〜０．３ｍｍであり、厚
みは８０〜１００μｍである。

【００２５】上記圧電素子１４ａと１４ｂに６〜１２
Ｖ、１００〜１２０ｋＨｚの交流電圧が印加されると、
アクチュエーター１３の内部に約８０〜１２０ｋＨｚの
主に縦方向の共振が発生し、上記細孔１８に霧吹き出し
口６側に向かう軸方向の起振力が生じる。それによっ
て、水吸い込み口１９から吸い込まれた水は、上記細孔
１８の中を連続して順に移動し、上記貯水容器の霧化フ
ィルター１６の共振と合わせて、粒子径が８〜１０μｍ
の微細な水滴となって噴霧される。

【００２６】次に、上記のように構成してなる冷蔵庫の
動作について説明する。

【００２７】上記した構成の冷蔵庫３０によれば、この
冷蔵庫３０上部の熱交換冷却器（図示省略）により冷却
された冷却空気は、図１に示すように、送気口３４から
野菜保存室３１内に吹き込まれて野菜ケース１及び蓋３
の外面を流通した後、排気口３５から冷蔵室に吹き出さ
れる。これによって、野菜ケース１が冷却されて内部に
収容された野菜等が冷やされる。

【００２８】また、冷蔵庫運転時の除霜時に上記熱交換
冷却器から発生する除霜水は、除霜水ホース１０を通過
するときに浄化フィルター１１によって清浄されて、超
音波加湿装置５の貯水容器７に給水される。これによっ
て、冷蔵庫運転時に上記超音波加湿装置５に水分を補給
する手間が不要となる。

【００２９】なお、野菜等の青果物は収穫後の葉等の表
面から呼吸作用や蒸散作用を営んでいる。そして、上記
野菜ケース１内の湿度が低ければ、図４に示すように、
これら野菜等からの水分の蒸散量は激しくなり、上記野
菜等の重量保持率（ここでは１週間後の重量／保存当初
の重量）は悪くなり、上記野菜等の鮮度が落ちる。同図
にて明らかなように、上記重量保持率を高くすることに
より野菜等の鮮度を良好に保持するためには、上記野菜
ケース１内の湿度を高く保持しておく必要がある。

【００３０】一方、上記野菜ケース１内に比較的多くの
量の野菜等が保存された場合、上記蒸散作用により上記
野菜ケース１内の湿度が高くなる。そして、上記野菜ケ
ース１内の水分の一部は上記蓋３と上記野菜ケース１と
の接合部の隙間からケース外に飛散する。

【００３１】このとき、上記野菜ケース１内の湿度は、
例えば９０％以上になるため、野菜等の蒸散作用が抑制
されて鮮度が保持される。同時に、上記野菜ケース１内
の湿度が高くなると、超音波加湿装置５は、湿度センサ
ー８が働いて過剰な加湿を止める。

【００３２】他方、野菜等を取り出すために、引出し扉
３２を引き出して蓋３を開いた場合、一時的に野菜ケー
ス１内の湿度が低くなる。また、収容されている野菜等
の量が少ない場合も、上記野菜等からの水分の蒸散量よ
りも上記接合部の隙間からの飛散量の方が多くなり、上
記野菜ケース１内の湿度が低くなる。

【００３３】このとき、上記野菜ケース１内の湿度は、
例えば８０％以下になるため、上記超音波加湿装置５
は、上記湿度センサー８が働いてすみやかに加湿を始め
る。これによって、上記野菜ケース１内に収容された野
菜等の量の多少に関わらず、上記野菜ケース１内の雰囲
気を、野菜等を新鮮に保持するための適度の湿度に調湿
することが可能となり、極めて実用的な冷蔵庫３０を提
供することができる。

【００３４】また、上記解凍室４で冷凍食品の解凍を行
う場合、上記解凍室４が高湿度のため多量の水蒸気が冷
凍食品に均一に結露し、さらに、上記超音波加湿装置５
から噴霧される水滴も冷凍食品に付着する。水蒸気が結
露するときに冷凍食品に凝縮潜熱が与えられ、例えば５
℃の水が０℃の水になるときに冷凍食品に顕熱が与えら
れ、０℃の水が０℃の氷になるときに冷凍食品に凝固潜
熱が与えられる。

【００３５】このため、水の潜熱および顕熱を利用して
冷凍食品を均一に自然に解凍することができる。また、
解凍速度についても、図６に示すように、上記解凍室４
での高湿解凍の方が冷蔵室（図示省略）での自然解凍よ
りも約４０％ぐらい解凍速度が速くなる。

【００３６】なお、上記実施例では、超音波加湿装置５
を解凍室４の背面に設けたが、これに限定されず、上記
超音波加湿装置５を図４に示すように上記野菜ケース１
の背面に設けたり、または、上記超音波加湿装置５を上
記野菜ケース１内の他の場所に設けることも可能であ
り、いずれも上記実施例と略同等の効果を有する。

【００３７】また、本発明の説明では、図２のように湿
度センサーは超音波加湿装置の霧吹き出し口の近くに設
けたが、調湿のための最適な場所として野菜保存室内の
いずれの場所でもよい。そして、本発明の冷蔵庫の一実
施例では野菜保存室を図１に示すように構成した場合に
ついて説明したが、図７に示すように野菜保存室を構成
にしてもよく、特に上記実施例に限定されるものではな
い。

【００３８】

【発明の効果】本発明の冷蔵庫は上記のような構成であ
るから、請求項１に記載の発明は超音波加湿装置によ
り、野菜室内をすばやく加湿することができ、したがっ
て、野菜室は常に高湿度となり、野菜等の蒸散作用が抑
制されて野菜等の鮮度が保持されしかも、上記超音波加
湿装置は従来の調湿剤に比べて小型であり、場所を取る
ことがないという効果を奏する。

【００３９】また、請求項２に記載の発明は超音波加湿
装置を制御する湿度センサーを備えているので、野菜室
内の湿度を食品の保存に適した湿度に調節することがで
き、極めて実用的な冷蔵庫を得ることができるという効
果を奏する。

【００４０】そしてまた、請求項３に記載の発明は超音
波加湿装置の水の供給に除霜水を利用しているので、消
費者による水の補給の手間が不要となり、メンテナンス
フリーにすることができるという効果を奏する。

【００４１】さらに請求項４に記載の発明においては解
凍室では水の潜熱および顕熱を利用した解凍が行われる
ので均一で失敗のない自然な解凍をすることができると
いう効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の冷蔵庫の一実施例における野菜保存室
の部分を側面より視た要部断面図である。

【図２】図１における超音波加湿装置の要部を示す拡大
斜視図である。

【図３】図１における超音波加湿装置の噴霧器と除霜水
ホースの接続部を示す要部拡大断面図である。

【図４】図１における超音波加湿装置の噴霧器を示す要
部拡大断面図である。

【図５】本発明の冷蔵庫の一実施例の野菜ケースの庫内
湿度と野菜重量保持率の関係を示す特性図である。

【図６】本発明の冷蔵庫の一実施例の解凍時における時
間と被解凍物の内部温度との関係を示す特性図である。

【図７】本発明の冷蔵庫の他の実施例を示す野菜保存室
の要部断面図である。

【符号の説明】

１ 野菜ケース ２ 仕切り板 ３ 蓋 ４ 解凍室 ５ 超音波加湿（ミストフロー）装置 ６ 霧吹き出し口 ７ 貯水容器 ８ 湿度センサー ９ ホース受け １０ 除霜水ホース １１ 浄化フィルター １２ 噴霧器 １３ アクチュエーター １４ａ 圧電素子 １４ｂ 圧電素子 １５ 固定ナット １６ 霧化フィルター １７ カウリング １８ 細孔 １９ 水吸い込み口 ３０ 冷蔵庫 ３１ 野菜保存室 ３２ 引き出し扉 ３３ 固定ハンガ ３４ 送風口 ３５ 排気口 ３６ 本体ケース

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 野菜等を収容する野菜室を有する冷蔵庫
   において、その野菜室を加湿するための超音波加湿装置
   を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
2. 【請求項２】 上記野菜室の湿度を検出する湿度センサ
   ーを設け、その湿度センサーにて上記超音波加湿装置の
   出力を制御することを特徴とする請求項１記載の冷蔵
   庫。
3. 【請求項３】 上記超音波加湿装置の給水に除霜水を利
   用することを特徴とする請求項１記載の冷蔵庫。
4. 【請求項４】 上記野菜室の一部に解凍室を設け、その
   解凍室に位置させた被解凍物を上記超音波加湿装置の噴
   霧にて解凍することを特徴とする請求項１記載の冷蔵
   庫。