本発明の請求項1に記載の発明は、断熱区画された貯蔵室を有する断熱箱体と、前記断熱箱体に備えられ微細ミストを噴霧する噴霧手段とを備え、前記貯蔵室内の空気から抽出された水分を用いて前記噴霧手段により微細ミストを発生させ、この微細ミストを前記貯蔵室内に噴霧して前記貯蔵室内の食品および壁面に付着させるものであり、貯蔵室内に噴霧手段より噴霧された微細なミストが、微小粒子であるが故に貯蔵室内に長時間留まり、かつ分散し、食品に確実にミストを供給する。また、樹脂の細孔に入り込むことにより、壁面をミストでコーティングし、防汚を行う。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記噴霧手段は、印加電極と対向電極の間に高電圧をかけて微細ミストを噴霧する静電霧化装置であり、前記静電霧化装置は前記断熱箱体内において前記印加電極の先端を冷却できるよう庫内を仕切る断熱材の厚みを薄くして設けた凹部に配置されるものであり、静電霧化方式によってミスト粒子を帯電させることによって、冷蔵庫内壁面への付着率を高めることができ、ミストの粒子径の至適範囲を拡大させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記噴霧手段で噴霧される微細ミストは、オゾンを含むオゾンミストであるものであり、付着した汚れを酸化分解することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記噴霧手段は粒子径0.003〜0.5μmのミストを発生するものであり、噴霧手段を静電霧化方式とした時に、ミストの粒子径が大きくなるにつれて帯電している電荷エネルギーが弱くなるが、上記粒子径の範囲内で静電霧化方式を用いることで、庫内壁面への付着率を高めるのに十分な電荷を帯びたミストを発生することができ、静電霧化方式による防汚、汚れの除去をより効果的に行うことが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の発明において、前記噴霧手段のミスト噴霧量は0.0007〜0.007g/h・lとするものであり、噴霧手段を静電霧化方式とすることで、発生したミストが電荷を帯び、庫内壁面へのミストの付着率を高めることができる為、電荷を帯びていないタイプのミストを噴霧する場合と比較して、少ない噴霧量にしても、同等の付着率が得られ、防汚、汚れの除去をより効果的に行うことが可能となる。
以下、本発明による冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明による実施の形態1の冷蔵庫の側断面図であり、図2は水補給手段の側断面図である。
図1において冷蔵庫100は、断熱仕切り板101によって上から、冷蔵室102、切り替え室103、野菜室104、冷凍室105と仕切られており、冷蔵室102、野菜室104は冷蔵温度帯に保たれている。冷蔵室102は仕切り板106により仕切られており、さらにドアポケット107を有し、ドアポケット107は合成樹脂で形成されている。冷蔵室102の底面には、製氷用貯水タンク108が備えられ、製氷用貯水タンク108からは給水経路109が製氷室(図示せず)と冷蔵室102とに導かれ水を供給している。冷蔵室102の下部には水補給手段210が備えられている。水補給手段210は、冷蔵室102の下部に設けられ、水を貯留する貯水槽111と、噴霧手段112と、噴霧手段112によって発生したミストを冷蔵室102内に送風する送風手段113とから構成されている。また、噴霧手段112は貯水槽111の内部に位置し、水を超音波方式で霧化する超音波素子114と所定粒径以下のミストのみを透過する金属メッシュ115を具備している。また、貯水槽111内の貯留水118は給水経路109から供給され、貯水槽111内に貯留されている。以上のように構成された冷蔵庫100のミスト生成装置について、以下その動作、作用を説明する。
まず、製氷用貯水タンク108内に貯留された水が給水経路109を経由して、貯水槽111内に供給され、貯留水118として貯留される。
次に水補給手段210の運転が開始される。まず、貯留水118は噴霧手段112である超音波素子114によって霧化されたミストのうち、所定粒子径以下の微細ミストのみが金属メッシュ115から噴霧され、貯水槽111内は水粒子径が所定粒子以下のミストが充満した状態となる。貯水槽111内の微細ミストは送風手段113によって冷蔵室102内にミストとなって噴霧される。噴霧された微細ミストは冷蔵室102の壁面に付着して、樹脂の細孔に侵入し、樹脂表面をミストで覆う事により、汚れをつきにくくすると共に、付着した壁面汚れを落ちやすくする事ができる。また、冷蔵室102のドアポケットは液体の貯蔵物が多い為、ドアポケットは冷蔵庫の中で1番汚れやすく、そして掃除のしにくい箇所である。しかし、噴霧手段112より噴霧された、微細ミストは、掃除しにくい場所でもミストが入り込み汚れを防ぐことができる。
また、本実施の形態では水を超音波方式で霧化する噴霧手段として簡単な装置で多量のミストの噴霧が可能となる超音波素子114を用いたが、超音波方式では、ミストの粒子径が細径の場合、のコントロールが難しい為、所定粒径以下のミストのみを透過する金属メッシュ115を備えることで、ミスト粒子の細径化を図ることができる。
図3は本発明の実施の形態1における冷蔵庫内の汚れ防止効果のミストの水粒子径に対する特性を示した図である。
ミストを用いて行う冷蔵庫庫内の防汚とは、冷蔵庫の庫内の壁面に水粒子が満遍なく付着し、庫内の壁面に直接汚れ物質が付着することを防ぐことである。このように汚れ物質がミスト粒子を介して庫内の壁面に付着している場合には、例えば庫内壁面を拭くだけで、簡単に汚れを落とすことができ、冷蔵庫内の掃除が非常に簡単となる。
防汚効果の確認にあたっては、各粒子径と噴霧量のミストを充満させた冷蔵室内において、一般的な冷蔵庫内の樹脂であるABS樹脂の5cm角の切片を冷蔵室(約5℃)に放置後、各粒子径にてミストを約6時間噴霧後、汚れ試料の液中に10秒間漬けた後に汚れ物質を吹きつけ、24時間後に汚れをふき取り、拭き取り後の切片重量が初期に対し、どれくらい減少したかを測定し、汚れの除去率を評価したものである。この時の噴霧量は0.014g/h・lとした。
このとき、汚れの度合いは主に人間の官能評価で判定し、参考に付着汚れ残存量を示している。
図3より、実験の結果、汚れ除去率は粒子径と反比例の関係があり、粒子径が小さいほど汚れ除去効果が高くなる。汚れの除去率が50%程度が汚れの除去率が官能的な評価で、やや汚れているがに気にならない程度であり、この範囲となる粒子径の上限は20μmであり、除去率が70%程度となる粒子径の上限は0.5μmであった。これは、一般的な樹脂の凹凸が20〜30μmであることから、20μm以上では樹脂の微細な凹部にミストが入り込みにくくなり、汚れをミスト粒子に付着させるもしくはミスト粒子内に取り込みにくくなることが理由であると考えられる。また、粒子径が0.5μmと20μmでは粒子径の小さい0.5μmの方が拡散性が高いことから、ミストと庫内壁面の汚れとの接触頻度も高くなり、汚れ除去率も高くなると考えられる。
以上の結果より、超音波方式にてミストを発生するミスト噴霧装置での汚れ除去率50%以上の性能を有するミスト粒子径は20μm以下であり、また汚れ除去率50%程度の性能を有するミスト粒子径は0.5μmであった。
また、本実験から推定すると、ミスト径を0.5μm以下にすると、より除去率が向上すると考えられるが、現段階の超音波霧化装置では、ミストの粒子径を0.5μm以下までミストの粒子径を小さくすると、高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化するので、高周波数になればなるほど、振動回数が多くなり超音波霧化方式の耐久年数が短くなる傾向があり、現段階では、平均使用年数が10年程度といった家電製品の中でも特に長期間の耐久性を要求される冷蔵庫においては、この0.5μmが超音波霧化装置の耐久性からみた限界と判断して、0.5μmを冷蔵庫適用時の至適範囲の下限とした。
なお、将来的に超音波霧化装置を用いて0.5μm以下の粒子径のミストを噴霧しても、長期信頼性が確保できるような超音波霧化装置が実現できた場合には、至適範囲の下限を(例えば10分の1の0.05程度まで)拡大することができる。
次に図4は本発明の実施の形態1における冷蔵庫内の汚れ防止効果のミストの噴霧量に対する特性及び、噴霧量に対する、庫内の官能評価値を示した図である。実験方法は図4の実験と同様である。また、本実験での冷蔵庫庫内は250リットルの冷蔵室とした。
尚、本実験では粒子径0.5μmのミストを噴霧した。
図4より、汚れ除去効果にはミストの噴霧量とは比例関係にあり、噴霧量が多いほど汚れ除去率は高くなる。汚れ除去率が70%以上となる下限は0.014g/h・l前後である。ただし、0.14g/h・l以上の噴霧量になると汚れ除去効果はあるものの庫内壁面に余分な水分が付着し、食品が品質劣化を起こすため不適であるということがわかった。
また、上記実験においては、冷蔵庫内の樹脂であるABS樹脂の5cm角の切片を冷蔵室に鉛直に立てて放置した場合には、重力によって時間経過と共に汚れ物質が下部へと流れ落ちていくことがわかった。よって、適切な粒子径と噴霧量のミスト粒子を冷蔵庫の庫内に噴霧することによって、鉛直方向すなわち重力と平行な冷蔵庫壁面に関しては汚れが付着した場合でも、下部へと汚れ物質が流れ落ちていく為、鉛直方向の冷蔵庫壁面の下端部に汚れ物質を集める汚れ溜まりを設け、その部分のみを掃除すれば鉛直壁面の掃除は不要となるような冷蔵庫を提供することができる。
以上のように、本実施の形態では、冷蔵庫内壁面の汚れに対し、ミスト噴霧手段にて壁面に微細ミストを適量噴霧することにより、ミストが冷蔵庫内壁面の細孔に侵入することとなり、冷蔵庫内をミストでコーティングすることにより、冷蔵庫内を清潔に保つことができ、さらに、庫内に付着する庫内臭気の除去効果も高めることができる。
また、本実施の形態では、貯水槽を設けているので、十分な量の水分補給を行うことができ、より効果的に汚れをつきにくくする事ができる。また、汚れがついた場合でも、噴霧手段より微細なミストを噴霧させる事により、汚れと壁面の隙間にミストが入り込み、汚れをはがしやすくする事ができる。このようにミストでの冷蔵庫内のコーティングをすることで、長期的に防汚効果が劣化することなく持続させることができる。
また、本実施の形態では、オゾンミストを噴霧したが、酸性ミストを噴霧することにより、冷蔵庫内の除菌、殺菌を行うことができる。ここでいう酸性ミストとは、ミストのPH値が酸性であるものを指す。
また、本実施の形態では、オゾンミストを噴霧したが、アルカリ性ミストにすることにより、汚れ成分が油分であっても、油分を加水分解し、乳化させることができるので、汚れを取れ易くすることができる。ここでいうアルカリ性ミストとはミストのPH値がアルカリ性であるものを指す。
また、本実施の形態では、噴霧手段を超音波素子とフィルターを具備するとしたが、必ずしも厳密に細かい粒子径に管理しなくても良い場合には、超音波素子のみにすることにより、構成を簡単にすることとなり、より低コストのミストを生成ことができる。
また、本実施の形態では、噴霧手段に超音波方式を用いたが、静電霧化方式を用いて、ミストに静電負荷することにより、マイナスの電荷を負荷された微細ミストが、プラスに帯電した庫内壁面等に付着し、庫内壁面の微孔にミストが入り込むこととなり、防汚効果を高めることができる。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2における冷蔵室の側断面図である。
図6は本発明の実施の形態2における水補給手段の側断面図である。
図7は本発明の実施の形態2における冷蔵庫内の汚れ防止効果のミストの水粒子径に対する特性を示した図である。
図8は本発明の実施の形態2における冷蔵庫内の汚れ防止効果のミストの噴霧量に対する特性を示した図である。
図5、図6、において、図1、2と同一手段、同一部材は同一番号で示している。
図5、図6において、冷蔵庫100は断熱仕切り板101によって、上から冷蔵室102、切替室103、野菜室104、冷凍室105に仕切られており、1〜6℃に冷却されている。冷蔵室102は仕切り板106により仕切られており、さらにドアポケット107を有し、ドアポケット107は合成樹脂で形成されている。冷蔵室102の下部には水補給手段210が備えられている。水補給手段210は、冷蔵室102の下部に設けられ、水を貯留する貯水槽111と、噴霧手段212と、噴霧手段212によって発生したミストを冷蔵室104内に送風する送風手段113とから構成されている。また、噴霧手段212は貯水槽111の内部に位置し、貯水槽111に貯留された貯留水118にその一端を浸漬するよう位置し、他端を貯水槽111内に噴霧先端部119を形成した毛細管供給構造体120と貯水槽111の一画に設置し、貯水槽111内の貯留水118に負の高電圧を印加する陰極121と貯水槽111の一画に位置し、陰極121に対向するよう位置した陽極122と、陰極121に高電圧を印加する高電圧電源117とから構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫のミスト噴霧手段について、以下その動作、作用を説明する。
まず、貯水槽111内に水が貯留される。この際の貯留水118は除霜水を用いる。次に貯水槽111内の陰極121に負の高電圧を印加すると、噴霧先端部119と陽極122との間に存在する電界によって噴霧先端部119から複数の液糸が引き出され、さらには帯電した液滴に分散されてミストとなる。また、静電霧化の際、放電が行われるため、ミスト発生時には同時に微量のオゾンが発生し、ミストと即座に混合して、低濃度のオゾンミストとなる。この低濃度オゾンミストは送風手段113によって、冷蔵室102内に噴霧される。噴霧されたミストは、静電付加されているため、冷蔵室102内でプラスに帯電する庫内壁面に電気的に付着し、壁面の微細な孔に侵入し、汚れをつきにくくし、さらに汚れが付着してしまっても、細孔内部の汚れを浮き上がらせオゾン酸化分解によって分解除去する。
次に図7は本発明の実施の形態2における噴霧手段で冷蔵庫内の汚れ防止効果のミストの粒子径に対する特性及び、粒子径に対する、庫内の官能評価値を示した図である。実験方法は実施の形態1の実験と同様である。また、本実験での冷蔵庫庫内は250リットルの冷蔵室とした。
至適噴霧水粒子径としては、0.003〜0.5μmであった。これは実施の形態1の時のように通常では水粒子径が1μm以上では大きすぎて、樹脂の細孔に侵入することができないが、静電霧化方式によってミストの冷蔵庫内壁面への付着率が高くなり、0.5μm程度でもミストの帯電によって、樹脂の細孔にふさぐような形で付着しているためと考えられる。また、0.5μm以上になると、汚れの除去率は下がっていく。また、水粒子径が0.003μm以下である0.001μmでの汚れ除去率は25%であった。これは、水粒子径が0.003μm以下の場合、ミスト粒子としての寿命が短くなり、冷蔵庫内壁面まで到達せずに、消滅してしまうため、冷蔵庫内の汚れ防止効果も低くなると考えられる。
次に図8は本発明の実施の形態2における冷蔵庫内の汚れ防止効果のミストの噴霧量に対する特性及び、噴霧量に対する、庫内の官能評価値を示した図である。実験方法は実施の形態1の実験と同様である。また、本実験での冷蔵庫庫内は250リットルの冷蔵室とした。
図8より、冷蔵庫壁面の防汚効果にはミストの至適噴霧量があり、官能的にやや汚れているが気にならないと感じる程度(汚れ除去率50%以上)を至適範囲とした。この至適噴霧量は0.0007〜0.007g/h・lの範囲であった。噴霧量0.0007g/h・l以下では噴霧量が少なくなるにつれて汚れ除去率が低下し、汚れ除去を実感できるレベルではない。また噴霧量0.007g/h・l以上では噴霧手段より発生されるオゾン濃度が高くなり、人体に影響を及ぼすこととなる為、現段階では0.007g/h・lとした。ただし、オゾン濃度を低減することが可能な、オゾン分解装置やオゾン分解触媒を付加すれば、(例えば10倍の0.07g/h・l程度まで)至適範囲の上限を拡大することが可能である。また、将来的にオゾン濃度を低く抑えながら、多量の噴霧量を発生できるような静電霧化装置を備えることが可能となれば、同様に(例えば10倍の0.07g/h・l程度まで)至適範囲の上限を拡大することが可能である。
以上のように本実施の形態では、貯水槽内の水を静電霧化方式にて、ミストに静電負荷することにより、マイナスの電荷を負荷された微細ミストが、プラスに帯電した冷蔵庫内壁面に電気的に付着し、冷蔵庫内壁面の細孔にミストが入り込みもしくは細孔をおおうような形で、冷蔵庫内壁面をミストでコーティングし、冷蔵庫内を清潔に保持することができる。
また、本実施の形態では、静電霧化方式にて、ミストに静電負荷することにより、マイナスの電荷を負荷された微細ミストが、プラスに帯電した庫内壁面に付着し、庫内壁面の樹脂の微孔にミストが入り込むこととなり、付着した細孔の汚れを浮き上がらせ、除去効果を高めることができる。
また、本実施の形態では静電霧化方式にて、オゾンを含むミストを冷蔵室内に噴霧することにより、庫内壁面の付着臭あるいは庫内臭をオゾンミストによって酸化分解することとなり、冷蔵室内の脱臭を行うことができる。
また、本実施の形態では冷蔵室に水供給手段を設けたが、野菜室、低温室、切替室に水供給手段を設けることによって、これらの貯蔵室内壁面をミストでコーティングし、冷蔵庫内を清潔に保持することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3による冷蔵庫では、以上説明した実施の形態3、実施の形態4における各ミスト噴霧装置120、302を組み合わせて用いる。このように装置の形態に依存せず、適切なミストの粒子径および噴霧量を把握することを目的とした。これらによって、ミスト噴霧装置による農薬除去効果と、野菜室114に貯蔵される農作物の保鮮効果、野菜室114内の壁面の防汚効果について、ミストの粒子径と噴霧量との観点から説明する。
図9は本実施の形態3におけるミストの粒子径と噴霧量と、それぞれの効果との相関関係を示す図である。図9により、実施の形態3,4によるミストの粒子径と噴霧量と、それぞれの効果とには、それぞれ適正な範囲があり、互いに目的に応じて範囲が異なっていることがわかる。
まず、野菜の蘇生について説明する。野菜の水分含有量を高めるためには、気孔が最大に開いた状態での気孔径以下の粒子径になっていないと、噴霧するミストが野菜の内部に物理的に入りこむことができない。気孔は野菜の表面にあり水分の調節を行っている。また、実験の結果によると、光を照射しない場合、ミストの粒子径が細胞間隙幅以下であれば水分含有量復元率が高くなる。すなわち、ミストが細胞間隙から活発に侵入し、野菜の水分含有量復元効果が大きくなる。逆にミスト径が小さくなりすぎると、ミストと気孔との接触頻度が少なくなり、野菜の蘇生率が低くなる。
一方、ミストの噴霧量は、野菜室内の相対湿度を野菜内部の湿度と平衡状態に保てる量以上とする必要がある。ただし、噴霧量が多すぎると野菜が水腐れなどにより品質が低下する。噴霧量はこのような状況を生じない量以下とする必要がある。
また、静電負荷されたミストと野菜とには電位差が生じ、ミストの野菜付着率が高くなる。そのため同一粒子径の場合、静電負荷したミストを多く含む方が、少ない噴霧量でも野菜の蘇生率が高い。
次に野菜表面の農薬等の有害物質の除去について説明する。
ミスト粒子径については、野菜の凹凸幅以下で、かつ拡散性のある微細粒子である場合に農薬除去効果が高い。粒子径が小さすぎると、農薬との接触頻度が少なくなり、除去率が低くなる。一方、野菜の蘇生と同様、静電負荷されたミストと野菜との接触頻度は高いため、静電負荷されたミストの割合が多いほど少量の噴霧量で除去効果がある。またこの場合、野菜の蘇生のように野菜の内部までミストを供給する必要はなく、ミストの供給は野菜表面に限られる。そのため、必要な噴霧量も野菜蘇生より少ない。また、除去効果の大きさは噴霧量よりもミスト中のオゾンやOHラジカル等の分解能力を有する物質の量に左右される。静電霧化方式にて発生されたミストは、微細になるほどラジカル個数は増える。そのため静電負荷したミストを多く含む方が、農薬除去効果も高くなる。
次に冷蔵庫庫内の防汚効果について説明する。冷蔵庫の庫内の壁面にミストの水粒子が満遍なく付着すると、庫内の壁面に直接汚れ物質が付着することが防止される。冷蔵庫庫内の防汚効果とは、このような効果を意味する。このように汚れ物質が水粒子を介して庫内の壁面に付着している場合には、例えば庫内壁面を拭くだけで、簡単に汚れを落とすことができ、冷蔵庫内の掃除が非常に簡単となる。
防汚効果の確認については、各粒子径で所定の噴霧量のミストを充満させた貯蔵室内において、一般的な冷蔵庫内の樹脂であるABS樹脂に汚れ物質を吹きつける。その後、一定時間後に汚れをふき取った際に、官能的に汚れが気にならない範囲を適正範囲としている。
図9に示すように、庫内樹脂の凹凸幅以下の粒子径で、かつ拡散性のある微細粒子は防汚効果が高い。また、庫内壁面にミストが付着した際に水滴として目に見える粒子径では結露を生じ、食品が品質劣化を起こす可能性がある。そのため、噴霧するミストの粒子径は壁面に付着したミストが目に見えないレベルの水滴となる粒子径である必要がある。また、噴霧量は野菜蘇生や農薬除去の噴霧量よりも多い。これは、防汚効果を発揮するためには、壁面に満遍なく水粒子を付着する必要があり、多量のミストを噴霧する必要があるためである。ミストを静電霧化方式にて発生させた場合、農薬等の除去効果と同様、粒子径が小さいほど、酸化分解力の高いラジカル個数が多くなる。そのためミストの酸化分解能力が高くなるとともに、汚れとの接触頻度が上がり、付着する汚れの分解効果が高くなると考えられる。しかし、粒子径が小さすぎるとミストの壁面到達率が低下し、防汚効果が低くなる。
このようにミストの粒子径と噴霧量との関係によって、冷蔵庫の庫内における様々な有用な効果が得られる。すなわち、得たい効果が複数実現されるようなミスト噴霧を行うことで、冷蔵庫の使い勝手がより向上する。
次に、このように複合型のミスト噴霧装置を用いた場合のミスト粒子径の適切な範囲について説明する。
図10(a)は本実施の形態における汚れ除去効果とミストの水粒子径との関係を示す図である。なおこの実験においても、実施の形態3と同様の実験方法であり、このときの噴霧量は0.03g/h・Lである。
図10(a)から明らかなように、汚れ除去率を50%以上とするためには、ミスト粒子径を0.003μm以上20μm以下とする必要がある。庫内壁面の凹凸幅以下のミスト粒子径で、かつ拡散性のある微細ミスト粒子が、高い汚れ除去効果を有する。そのため、ミスト粒子径は20μm以下であることが好ましい。なお粒子径が小さくなりすぎ0.003μm未満になると、汚れとの接触頻度が少なくなり、除去率が低くなると考えられる。
次に、このように複合型のミスト噴霧装置を用いた場合のミスト粒子径、噴霧量の適切な範囲について説明する。
図10(b)は本実施の形態における汚れ除去効果とミスト噴霧量との関係を示す図である。
図10(b)より明らかなように、汚れの除去効果はミスト噴霧量が多いほど高くなる。汚れ除去率を50%以上とするためには、噴霧量は0.0007g/h・L以上に制御する必要がある。この下限値は静電霧化方式でミスト噴霧した場合に得られた値と同じである。すなわち、下限値は静電霧化方式により決定される。
一方、噴霧量が0.14g/h・Lを超えると汚れ除去効果はあるものの庫内壁面に余分な水分が付着し、食品の品質が低下する。
(実施の形態4)
図11は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の側断面図である。
図12は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の超音波霧化装置近傍の側断面図である。
図13は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の超音波霧化装置近傍の正面図である。
図14は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の超音波霧化装置の縦断面図である。
図15は本発明の実施の形態4における機能ブロック図である。
図16は本発明の実施の形態4における制御フロー図である。
図11において、冷蔵庫221は断熱性を有する仕切り222によって、上から冷蔵室223、切替室224、野菜室225、冷凍室226に区画されている。冷蔵室223には食品を収納し、湿度約80%RH以上(食品収納時)、4〜6℃に冷却されている。冷蔵室223の背面には風路229と冷蔵室223を区画するための庫内仕切り230が備えられている。庫内仕切り230には超音波霧化装置301が備えられている。さらに、冷蔵室内の庫内仕切り230には、特定の波長を選択した光を照射する照射手段323と庫内全体に光を拡散させるための拡散板324が備えられている。
図12において、庫内仕切り230と本体外壁202との間には風路229があり、例えば冷却器242で生成された冷気を各貯蔵室に搬送する、もしくは各貯蔵室から熱交換された空気を冷却器242へ搬送するために設けられている。ここで、庫内仕切り230には超音波霧化装置301が組み込まれている。庫内仕切り230は主に発泡スチロールなどの断熱材で構成されており、その壁厚は30mm程度であるが、貯留水保持手段304の背面については壁厚は5mmから10mmで構成されている。貯留水保持手段304の中には、水収集板321が庫内側に設置されている。水収集板321の一面には例えば、ニクロム線で構成された加熱ヒータなどの加熱手段328が当接し、庫内側にはBOXファンなどの送風手段317と循環風路307を構成するためのカバー部材306が設置されている。また、庫内天面にはオゾン発生体が設置されている。
さらに、図13において、カバー部材306には循環風路307に関する第1の循環風路開口部308と第2の循環風路開口部309が設けられている。さらに、水収集板321には水収集板321表面の温度を検知するための温度検知手段327が水収集板321に設置されている。
さらに、図14において、超音波霧化装置301はホーン310と圧電素子311で構成され、ホーン310は切削加工等により略円錐状に加工され、ホーン310の噴霧先端部310aは少なくとも、庫内の貯蔵室内に開口するように備えられている。また、ホーン310の圧電素子311側にホーン310と一体的にフランジ部312が形成されている。またホーン310と圧電素子311とは接着固定されて、圧電素子311で発生する振動をホーン先端で最大振幅となるよう増幅されるように構成されている。また、超音波霧化装置301はフランジ部312を取り付け位置とし、冷蔵庫やその取り付け部材の接続部305に取り付けられている。この時、超音波の振動の振幅はフランジ部312で振幅の節部となるように設定されており、このフランジ部312を冷蔵庫への接続部305とすることで、超音波の振動が冷蔵庫本体へ伝達するのを防ぎ、冷蔵庫の部品や庫内に備えられた棚等が振動することによる騒音を低減することができる。
ホーン3310は熱伝導性の高い材質としており、例えばアルミニウム、チタン、ステンレス等の金属が挙げられる。特に、軽量で、熱伝導性が高く、超音波伝達時の振幅の増幅性能の点からするとアルミニウムを主成分とするもの選択することが好ましい。また、長寿命化のためにはステンレスを主成分とするものを選択することが望ましい。
また、超音波の振動の振幅はフランジ部312で振幅の節部に、ホーン310の先端で振幅の腹部となるように、またフランジ部312とホーン310の噴霧先端部310aの間を1/4波長で振動するように設定されている。このように振動の節を冷蔵庫本体に固定した上で、そこから得たい周波数の1/4波長の位置を振幅の腹部とすることで、高出力を得ながらホーン310の小型化を実現することができる。近年の家庭用冷蔵庫においては、外形寸法が従来のままで庫内容量をより大きくすることで使用者の使い勝手を向上させるという傾向があり、このようなタイプの冷蔵庫においては、断熱壁は高断熱化を図ることでより薄くなり、背面側の機器収納空間等もよりコンパクトとなるが、このように、高出力で小型のホーンを備えることで、庫内への噴霧装置の延出を防いだ上で、十分な量の発生ミストが得られ、冷蔵庫の使い勝手を向上させることができる。
またホーン310の長さは、発生ミストの霧化粒子径と圧電素子311の発振周波数及びホーン310の材質で決まるものである。例えば、霧化粒子径は約10μmとする場合、ホーン310の材質がアルミニウムで、圧電素子311の発振周波数は約270kHzの時にホーン310の長さBは約6mmとなる。また、霧化粒子径は約15μmとする場合、ホーン310の材質がアルミニウムで、圧電素子311の発振周波数は約146kHzの時にホーン310の長さBは約11mmとなる。これらの一連の理論計算値まとめを表1に記載する。
また、冷蔵庫221には冷蔵庫を冷却するため、圧縮器241、凝縮器(図示せず)、膨張弁やキャピラリチューブなどの減圧装置、蒸発器242などの冷凍サイクルが構成されている。また、冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンを用いられている場合もある。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
冷蔵庫221の場合、冷却器242で熱交換された冷気を攪拌ファン(図示せず)などにより冷蔵室223、切替室224、冷蔵室223、冷凍室226、製氷室227などに冷気を配分し、所定の温度を維持するようにON・OFF運転するものが一般的である。冷蔵室223は、冷気の配分や加熱手段などのON・OFF運転により4℃から6℃になるように調整され、一般的には庫内温度検知手段をもたないものが多い。
また、冷蔵室223は、食品からの水分の蒸散と扉開閉による水蒸気の侵入等により高湿である。庫内仕切り230の厚さは、ある程度の冷却能力が必要なので他の部分より薄く構成されている。ここで、水収集板321の表面温度を露点温度以下にすれば、水収集板321近傍の水蒸気は水収集板321に結露し、水滴が確実に生成される。
具体的には、水収集板321に設置されている温度検知手段327により表面の温度状態を把握し、制御手段314により送風手段317、加熱手段328をON/OFF制御もしくはDuty制御を行い、水収集板321の表面温度を露点温度以下に調整、送風手段317により庫内より送られた高湿空気に含まれる水分を水収集板321に結露させる。
特にここでは図示しないが、庫内に庫内温度検知手段325や庫内湿度検知手段326などがあれば、あらかじめ決められた演算により厳密に露点温度が庫内環境下の変化に応じて割り出すことができる。仮に水収集板321表面で氷や霜となった場合でも、加熱手段328において融解温度まで水収集板321表面温度を上昇させることが可能なので適度に水を生成することができる。
ここで、送風手段317が運転すると野菜室25の空気の影響により水収集板321表面温度は上昇し、送風手段317が停止の場合には低下する。壁厚が10mm以上では、送風手段317が運転時、加熱手段328がOFFでも水収集板321表面温度は露点温度以上になり、結露量が調整できなくなる。逆に壁厚が5mm以下の場合は、常時、加熱手段328がONの状態になりエネルギー効率が悪くなる。よって、水収集板321背面の庫内仕切り30の厚みは5mmから10mmにすることにより水収集板321の表面温度を制御しながら加熱手段328のエネルギーを最小化することができる。
また、結露を促進させるためにはより湿度の高い冷蔵室223内の空気を循環させる必要がある。そこで、送風手段317により空気を取り込む。例えば、送風手段317により第2の循環風路開口部309より高湿の空気をとりこみ、水収集板321で結露させた後、第1の循環風路開口部308より庫内に空気を吐出し、冷蔵室223内の空気を循環させることにより結露を促進させる。
水収集板321表面で結露した水滴は徐々に成長し、自重によりポンプなどの動力を使わずに下方に流れ、超音波霧化装置301近傍に集まる。集まった結露水は、給水手段303によりホーン310先端に供給される。
ホーン310先端に供給された水は、超音波振動子311の振動により粒子径の小さいミストとして冷蔵室228内に噴霧される。
また、ホーン310は、ホーン310先端付近で振動による発熱を生じるが、ホーン310が高熱伝導性材料であるため、ホーン全体310への熱伝導の働きもなしている。
また、少なくともホーン310の噴霧先端部310aは貯蔵室内である庫内に設けられるものであり、貯蔵室に対して直接的にミスト粒子を噴霧することができ、噴霧先端部310aと野菜との距離をより縮めることができ、例えば貯蔵室外でミストを噴霧してから貯蔵室内へ送り込む場合と比較して、ミスト粒子の気化を防ぐとともに、浮遊状態における流速を高めることができるので、庫内壁面へのミストの付着率をより高めることができる。
圧電素子311が駆動した場合、図15に示す実線Aのように各部位が振動する。ホーン310のフランジ部312側が超音波霧化装置301内を伝播する音波の節部となり、その節部にあたるホーン310のフランジ部312で、例えば庫内仕切り230と直接的または取り付け部材を介して間接的に接続して設置する。伝播する音波の節部で接続するので、超音波を発生させる際の振動が冷蔵庫221の本体へ伝播し、冷蔵庫221の部品が振動することや、これらの振動に伴う騒音を防ぐことができ、振動エネルギーによってミストを生成するタイプの霧化装置を冷蔵庫に備えた場合でも、騒音、振動を抑えた冷蔵庫を提供することができる。
また、ホーン310の先端とフランジ部312との長さが1/4波長である構造をもてば、超音波霧化装置301の全長が短くすることができる。さらに、ホーン310の先端とフランジ部312の間に腹部が複数ある場合と比べて、振動エネルギー損失を大幅に低減することができ、振動に要する電力を抑えることができる。
このように振動の節を冷蔵庫本体に固定した上で、そこから得たい周波数の1/4波長の位置を振幅の腹部とすることで、振動に要する電力を抑えることで低入力でかつ高出力を得て、さらにホーン310の小型化をも実現することが可能となる。
また、本発明の超音波霧化装置は、振動子として電気エネルギーを用いた電歪現象を利用した圧電素子311を用いたが、振動子として磁力のエネルギーを用いた磁歪現象を利用した磁歪振動子を用いた場合でも、高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化することができるので、微細ミストの生成時に高電圧を必要とせず、低電圧で微細ミストを得ることが可能となるので、ミスト発生に伴う安全性をより高めることができるとともに省エネルギー化を図ることが可能となる。
このように、振動エネルギーによってミストを生成するタイプの霧化装置は、高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化するので、微細ミストの生成時に高電圧を必要とせず、低電圧で微細ミストを得ることが可能となるので、ミスト発生に伴う安全性をより高めることができるとともに省エネルギー化を図ることが可能となる。また、水粒子に電気分解等の分解を行わないので、振動エネルギーの与え方によっては、水の成分を変えることなく、そのままミスト化することができるので、例えばアルカリイオン水やマイナスイオン水等の純粋な水と比較してなんらかの成分を付加した機能水を用いても、その成分をそのままミスト化することが可能となり、使用者のニーズに応じた任意の水をミストとして供給することができる。
また、振動エネルギーによってミストを生成するタイプの霧化装置の中でも、本実施の形態のように一般的に超音波と言われる振動による騒音が定常音として人の耳に聞こえない周波数帯である(例えば2万ヘルツ以上の)周波数を用いることで、家庭用の冷蔵庫に適用した場合でも、振動による騒音が定常音として人の耳に聞こえないので、より低騒音で、品位の高い霧化装置を備えた冷蔵庫を提供することができる。
次に図15の機能ブロック図を説明する。超音波霧化装置301の動作と超音波霧化装置301に給水する水量を調整するため動作させる加熱手段328や送風手段317などと照射手段323の動作を調整するため、水収集板温度検知手段327と野菜室温度検知手段325と野菜室湿度検知手段326と扉開閉検知手段330の情報信号を制御手段に入力する。例えば、庫内温度が5℃、庫内湿度が90%、水収集板表面温度が4℃と検知した場合、制御手段314により、超音波霧化装置のON/OFF、加熱手段328の動作を決定する。つまり、この場合、水収集板表面温度は、露点温度以下に冷却する必要があり、例えば、加熱手段をOFFもしくは入力低下、冷気の温度を低下させるため圧縮機の回転数を増加、もしくは送風手段の回転数を低下させる制御を行う。また、扉開閉検知手段330が扉閉と検知したときのみ超音波霧化装置301を動作させることにより、扉開閉時の外部へのミストもれを防ぐ。
次に図16の制御フロー図を説明する。
まず、ステップ21により水収集板表面温度検知手段327により表面温度t℃があらかじめ決められたtA℃とtB℃の範囲に検知温度がある場合、汚れ除去と判断し、ステップ22で超音波霧化装置301を運転し、貯蔵室にミストを噴霧する。次にステップ23にて超音波霧化装置301の積算運転時間TAがT1以上なれば、オゾン発生体を動作させる。ステップ25で超音波霧化装置301の運転積算時間TAがT2以上になれば、ミスト噴霧を終了し、同時にオゾン発生体もOFFさせる。次にステップ27で超音波霧化装置301の停止時間がT3になればステップ28によりタイマーTA、TBを初期値に戻し、再び水収集板表面温度を検知する。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室を有する断熱箱体と液体を噴霧する噴霧手段として超音波霧化装置とを備え、比較的低温である各貯蔵室へ低温冷気を搬送するため風路を利用して、風路側からの熱伝導により超音波霧化装置に水を供給するための水収集板を冷却し、水収集板を露点以下に温度調整することにより、空気中の水分を確実に生成し、給水手段などにより超音波霧化装置の振動子先端に水を供給することができる。
また、本実施の形態においては、噴霧手段を超音波霧化装置としたことにより水の供給が十分であれば、噴霧量は十分確保することができ、そのためON/OFF運転による噴霧量の調整が可能となり、さらに、実使用での運転時間が短縮でき、構成部品等の寿命信頼性が向上する。
また、本実施の形態では、噴霧手段を超音波霧化装置としたため十分に霧化量を確保できるので庫内壁面に付着する汚れなどを極めて少ない水量で浮き上がらせ除去できるので節水ができる。
また、本実施の形態においては、噴霧手段を超音波霧化装置としたためミスト発生時にオゾンが発生せず、OHラジカルのみが発生するので、特にオゾンに対する対策を用いなくてよく、部品構成ならび制御内容が簡素化できる。
また、霧化粒子径が4μmから20μmであることにより、庫内壁面の微細な凹部に効率よく進入することとなり、細分にわたるまで、汚れを除去することができる。
また、本実施の形態では、噴霧手段の噴霧量は0.014〜0.14g/h・lにすることにより、汚れの除去のため、必要量噴霧することとなり、汚れの除去効果と食品の水分保持など保存性の両立を図ることができる。
また、本実施の形態では噴霧するミスト中に放電によって発生するオゾンガスを溶存させたが、貯留水をオゾンあるいは反応性に富む機能水としても同様の効果が得られる。
また、本実施の形態においては、超音波霧化装置を用いたことにより冷凍サイクルの冷媒にイソブタンやプロパンなどの可燃性冷媒を用いた場合においても、ミストを微粒子化する際に高電圧を必要としない為、万が一冷凍サイクルから可燃性冷媒が漏れた場合を考慮して冷凍サイクルの構成部品の配置に対して特別な工夫を行うことを必ずしも必要とせず、また、防爆対応などの特別な対応も備えなくてもよい。よって可燃性冷媒を用いた冷蔵庫には振動エネルギーによってミストを生成するタイプの霧化装置を適用することは、家庭用の冷蔵庫における安全性をより向上させることができ、実際の製品への適用において有効な手段である。
また、本実施の形態においては、水収集板を貯蔵室内に備えたことにより加熱手段や送風手段により結露量を調整できると同時に、水収集板の温度を可変させることにより庫内湿度も調整できる。
また、本実施の形態においては、略円錐状に形成されたホーンと、圧電素子とを備え、前記ホーンの一端面に前記圧電素子を接着して一体化している超音波霧化装置を貯蔵室内に配置することにより、小型化され、かつ低入力の超音波霧化装置を冷蔵庫に適用することが可能となる。特に、近年主流の外形寸法が従来のままで庫内容量をより大きくすることで使用者の使い勝手を向上させ、さらに省エネを図ったタイプの冷蔵庫においては、このように、小型のホーンを備えることで霧化装置、庫内への噴霧装置の延出を防ぐことで庫内容量の減少を防いだ上で、低入力でかつ高出力の霧化装置で省エネを図ることができるので、冷蔵庫の使い勝手を向上させることができる。設置制約が少なく、設計に自由度を持たせることができる。また、低入力であるため消費電力を低減することができるとともに、制御基板を小型・低コスト化することができる。
また、超音波霧化装置自体の発熱量が抑制できるので、貯蔵室内の温度上昇を抑制できる。また特に欠水が生じた場合の異常発熱も抑制することができるので、超音波霧化装置の寿命が長期化し、信頼性が向上する。さらに冷蔵庫という低温雰囲気下で使用するため、発熱が抑制され、超音波霧化装置の長寿命化にもなる。
また、給水手段を設けたことにより、効率的にかつ安定してホーン先端に水分を供給するので、超音波霧化装置から常時安定して噴霧され、貯蔵室空間を高湿に維持することができる。また、安定してホーン先端に水分を供給することで、ホーン先端での欠水を防止できるので、超音波霧化装置の寿命が長期化し、信頼性が向上する。
また、給水手段は、貯留水保持手段近傍に設けられていることにより、貯留水保持手段から給水手段によりホーン先端に水分が補給されるため、効率よく貯蔵室空間に噴霧でき、貯蔵室空間を高湿に維持することができる。また、貯留水保持手段と給水手段が近傍に位置しているので、貯留水保持手段からホーン先端までの水分経路の構成をコンパクト化、簡素化でき、設計自由度が向上する。
また、貯留水保持手段には、水収集手段として貯蔵室内の空気中水分を結露させる手段を有し、前記結露水を給水手段によりホーン先端に供給することにより、結露手段により生じた結露水を貯留水保持手段に集水し、集水された結露水を供給手段によりホーン先端に水分を常時安定して供給できるため、効率よく貯蔵空間にミストを噴霧でき、貯蔵室空間を高湿に維持することができる。
また、ホーンは、高熱伝導性の材質であることより、ホーン先端部で発熱をホーン全体に拡散し、かつ貯蔵空間が低温環境であるため、超音波霧化装置自体の温度上昇が抑制できるので、長寿命化し信頼性が向上する。
また、ホーン先端部を振動の腹部近傍に、前記ホーンの圧電素子接着面側に形成したフランジ部を振動の節部近傍にするとともに、前記フランジ部と直接的または間接的に冷蔵庫本体とを接続することにより、振動の振幅が大きい腹部、すなわちホーン先端部でホーン先端に補給された水分を効率よく霧化させることができ、振動の節部、すなわちホーンに形成したフランジ部では振幅が小さいため、直接的または間接的に接続した接続部から冷蔵庫への振動伝達を低減することができる。
また、超音波霧化装置は、ホーン先端とフランジ部との長さを1/4波長モードで振動する構造を有することにより、霧化面となるホーンの先端と接続部となるホーンに形成したフランジ部との間に腹部と節部が1つで複数存在しないため、ホーンの小型化が可能であり、エネルギーの分散や減衰が低減されるため、効率の向上が可能となる。また、小型化できるので、設置制約が少なく、設計に自由度を持たせることができ、貯蔵空間を大きくすることができる。
また、ホーンの長さが1mmから20mmとすることにより、ホーンが小さくなるため、冷蔵庫設計に自由度を持たせることができ、貯蔵空間を大きくすることができる。
また、超音波霧化装置周辺にカバー部材を設けることにより、直接触れることができなくなるため、安全性の向上が可能とすることができる。
本実施の形態2において、超音波霧化装置を略円錐状に形成されたホーンを使用したもので説明したが、略円錐状の形状でなく、先端での振動の振幅を増幅させる形状であれば同様の効果が得られる。例えば、圧電素子側から先端に向け先細り形状として、先端部において略長方形形状にすることも可能である。このことによりミストを噴霧させる面積が円形状に比べて大きくなるので、噴霧範囲が拡大され拡散性が向上する。
(実施の形態5)
図17は本発明の実施の形態5における噴霧手段近傍の側断面図である。
図17において冷蔵庫221の仕切り222には冷蔵庫の扉側から庫内仕切り奥面に向けて、貯水槽315、噴霧手段である静電霧化装置304が備えられ、貯水槽315の中に貯留水316があり、静電霧化装置304の周辺には食品や人が触れないように孔の開いたカバー部材501が構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
貯水槽315は人が着脱しやすいように野菜室の扉側前面に設置され、噴霧手段に供給する為の貯留水316が蓄えられている。この貯留水316を噴霧手段である静電霧化装置304へ給水するために給水手段521と給水経路522を備えてある。給水手段521は例えば、ギアポンプや圧電ポンプ、キャピラリなどであり、静電霧化装置304の印加電極先端やその周囲の保水材に給水する。ここで、給水量は冷蔵室に噴霧される量とほぼ等しい。例えば、冷蔵室に噴霧が必要と判断したとき、まず、給水手段521を動作させ、給水経路を利用して印加電極先端に給水する。ここで、印加電極306は先端に水があることを確認し、印加電極と対向電極間に高電圧をかけ、微細ミストを発生させて、貯蔵室内に噴霧する。
また、静電霧化装置304は天面部の仕切り222に設けられた凹部222aに埋め込み、また、貯蔵室の天面奥部に設置し、カバー部材501を周囲に設置するなどして、安全を保持している。このとき、引き出し式の扉によって前後に可動する野菜容器228の可動動作に影響を与えないよう、たとえば、カバー部材501の底面部501aは、貯水槽の底面315aよりも上部に備えられるような配慮がなされている。
また、静電霧化方式で微細ミストを生成することにより、微細ミスト発生時と同時に微量のオゾンが発生し、ミストと即座に混合して、低濃度のオゾンミストとなる。また、ミストに静電付加することにより、ミスト中の水分子をラジカル化し、OHラジカルを生成することとなり、オゾンの酸化力に加え、OHラジカルの酸化力に保持することにより、帯電する庫内壁面に電気的に付着し、庫内壁面の微細な凹部にまで侵入し、食品の汚れを微細ミストの内圧エネルギーによって、浮き上がらせ、オゾンの酸化分解作用によって、酸化分解除去するか、あるいは電気的に庫内壁面の微細な凹部にまで進入し、食品汚れと化学反応し、汚れの親水性を高め、ミスト中に取り込み分解除去するという効果も奏する。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵庫の冷蔵室223の下面に位置する仕切り222に貯水槽315が扉側すなわち使用者からみて前面側に備えられているので、特に貯水槽315が着脱式のものである場合には、水の交換、追加、清掃が容易となり使い勝手が向上する。また、静電霧化装置304を貯水槽315よりも奥側に備えることで、使用者が噴霧手段の特に噴霧先端部306aに触れるのを防止し、安全性をより高めることができる。さらに、噴霧手段である静電霧化装置304の下端部304a貯水槽よりも奥側でかつ貯水槽の下端面である底面よりも上部に備えられていることで、使用者から噴霧装置が見えにくい為に、貯蔵室内の美観を損なうことなく貯蔵室に噴霧装置を備えることができるとともに、使用者が静電霧化装置304により触れにくくなる為に、使用者の安全性を高めるとともに、噴霧手段への食品や人の接触に外力の付加による信頼性の低下を防ぐことができる。
また、噴霧手段の庫内への出っ張りをより抑える為に、静電霧化装置304は下面部の仕切り222に設けられた凹部222aに埋め込まれており、これによって、より庫内容積を減少させることなく、食品の収納に影響を与えない上で、貯蔵室内に噴霧手段を設けることが可能となる。
さらに、噴霧手段である静電霧化装置304にカバー部材501を備えることで、食品や人が接触することをより防止することができる。
また、噴霧手段にカバー部材501を備えた場合においても、本実施の形態では、カバー部材501の下端部501aは、貯水槽の下端部である底面315aより上に配置しており、これによって庫内容積の減少を防いだ上でより、噴霧手段を備えた貯蔵室の美観および安全性を向上させることができる。
なお、本実施の形態では貯水槽315を着脱式のものとしたが、貯水槽315が着脱式ではなく、固定式であって、例えば水道水、もしくは冷蔵庫内の水分を利用して生成した貯留水等を自動で供給するタイプの噴霧手段である場合でも、上記のように静電霧化装置を貯水槽よりも奥側に備えることで、使用者が噴霧手段に触れるのを防止し、安全性をより高めることができ、さらに、貯水槽よりも奥側でかつ貯水槽の下端面である底面よりも上部に備えられていることで、使用者から噴霧装置が見えにくい為に、貯蔵室内の美観を損なうことなく貯蔵室に噴霧装置を備えることができるとともに、より使用者が噴霧手段に触れにくくなる為に、使用者の安全性を高めるとともに、噴霧手段への食品や人の接触に外力の付加による信頼性の低下を防ぐことができるという同様の効果を奏する。
なお、本実施の形態では噴霧手段を静電霧化装置304としたが、超音波霧化装置等の別方式の噴霧手段であっても、貯水槽315と噴霧手段との配置関係による冷蔵庫の使用者の使い勝手および安全性向上に関する上記の効果は同様に得られるので、他方式の噴霧手段を用いた場合でも、同様の効果を奏する。
本実施の形態では、静電霧化装置304によって貯蔵室内を高湿化し、保鮮性を確保することで、印加電極から発生する微細ミストにより保鮮性が向上するのと同時に、微量オゾンやOHラジカルなどにより冷蔵庫内壁面に付着している食品汚れを酸化分解反応により取れ易くするまたは、つきにくくすることができる。
また、本実施の形態では、印加電極をより高湿にすることにより、特に、印加電極と対向電極間の空気放電が抑制させるのでオゾン濃度を低減でき、家庭用の冷蔵庫等に適用した場合でも、使用者の安全性を確保することができる。
また、本実施の形態では、静電霧化装置304を仕切り222に設けられた凹部222aに埋め込んでいることで、他の部分より断熱材の厚みを薄くしているので印加電極先端を冷却する必要である印加電極の冷却が可能である。
また、本実施の形態では、給水手段の動作後、噴霧装置を駆動し、印加電極と対向電極間に高電圧をかけるため、空気放電によるオゾンの発生を抑制できると同時にミストを安全に発生できる。
なお、本実施の形態では噴霧手段を静電霧化装置304としたが、特に噴霧先端部が乾燥すると、噴霧装置がヒートアップする為に信頼性の低下が懸念される超音波霧化装置においても、このように給水手段の動作後に噴霧装置を駆動することで、噴霧先端部の乾燥を防ぐことができ、噴霧装置の信頼性を向上させることができる。
(実施の形態6)
図18は本発明の実施の形態6における噴霧手段近傍の側断面図である。
図18において冷蔵庫の扉側から庫内仕切り奥面に向けて、貯水槽315、超音波霧化装置401が備えられている。貯水槽315の底面は傾斜しており、奥面底部には、給水調整手段524が構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
貯水槽315は人が着脱しやすいように野菜室の扉側前面に設置され、水道水や結露水などが蓄えられている。ここで貯水槽315は冷蔵庫奥面に向けて、底面が傾斜しており、注水された水の最後は、奥側になるように工夫されている。また、この奥側底面には、給水調整手段524、例えば、開閉弁などが備えられおり、開の時のみ噴霧手段である超音波霧化装置401のミスト発生部に給水される。
以上のように、本実施の形態においては、貯水槽315が扉側、超音波霧化装置401を貯水槽315より奥側に備えたことにより使い勝手が向上する。
また、本実施の形態では、貯水槽の底面を噴霧手段側に傾斜させることにより、貯水槽315の水を効率よく使うことができる。
また、本実施の形態では、給水調整手段を備えたことにより噴霧手段に対して適切な水量を供給することができる。
なお、本実施の形態では、貯水槽は仕切りに固定されているが、着脱式の貯水槽でもかまわない。これにより、手軽に水の交換、追加、清掃が容易となり使い勝手が向上する。
(実施の形態7)
図19は本発明の実施の形態7における冷蔵庫の側断面図である。
図19において、冷蔵庫100は仕切り板116によって、上から冷蔵室132、切替室133、野菜室134、冷凍室135に仕切られている。冷蔵室132の背面には、貯水槽である製氷用貯水タンク119が備えられ、製氷用貯水タンク119からは水給水経路120が製氷室(図示せず)と冷蔵室132とに導かれ水を供給している。このように、製氷用貯水タンクとミストの噴霧手段へ供給する水を保持するタンクを兼用し、これらのタンクからの水給水経路は1つの経路で、途中で分岐させて製氷室と野菜室の両室に送水する。また、冷蔵室132の上面には水補給手段121が備えられている。水補給手段121は、冷蔵室132の上面に設けられ、水を貯留する貯留水保持手段である貯水槽122と、噴霧手段124と、噴霧手段123によって発生したミストを冷蔵室132内に拡散する拡散手段である送風ファン129とから構成されている。また、また、噴霧手段123は貯水槽122の内部に位置し、水を超音波方式で霧化する超音波素子125を具備している。また、貯水槽122内の貯留水124水は水給水経路120から供給され、貯水槽122内に貯留されている。
以上のように構成された冷蔵庫のミスト生成装置について、以下その動作、作用を説明する。
まず、製氷用貯水タンク119内に貯留された水が水給水経路120を経由して、貯水槽122内に供給され,貯留水124として貯留される。
次に水補給手段121の運転が開始される。まず、貯留水124は噴霧手段123である超音波素子125によって霧化されたミストが噴霧される。貯水槽122内の微細ミストは送風ファン129によって冷蔵室132内にミストとなって噴霧される。
以上のように、本実施の形態では、貯水槽への水供給手段としては、製氷用貯水タンクから水経路を利用して貯水槽へ水を送水するため、専用のタンクを備えなくても噴霧手段に水を供給することができ、冷蔵室と別の貯蔵室に貯水槽を備えている為、冷蔵室の内容積に影響しないので食品収納量に影響しない。また、使用者が外部から貯留水を供給する必要のあるタンクが製氷用とミスト噴霧用で一つとなることにより、ミスト用の貯水槽を別タンクで備える場合と比べて、使用者の貯留水の供給の手間を省くことができ、また貯水槽の水切れとなる可能性を低くすることが可能となる。
なお、本実施の形態においては、貯留水保持手段を貯水槽とし、外部から供給された貯留水が保持されるものとしたが、必ずしも貯留水を外部から供給しなくても、何らかの方法で貯蔵室内の空気内に含まれている水分を抽出して保持するものでもよく、また、冷蔵庫の除霜水や庫内の結露水等を用いて、使用者が外部から貯留水を供給することなく貯留水を確保できるものであれば、外部からの水分の補給の手間がかからず使い勝手をより向上させた冷蔵庫を提供することができる。
また、本実施の形態では、貯水槽への水給水経路は1つの経路で貯水槽から吸い上げ、その後給水経路を分岐させて、製氷室と冷蔵室との両室に送水するため、部品点数の少ない、簡単な構成で両室に給水することができる。
尚、本実施の形態では、貯水槽を製氷用貯水タンクと兼用し、これらのタンクからの水給水経路は1つの経路で、途中で分岐させて製氷室と野菜室の両室に送水するとしたが、貯水槽を製氷用貯水タンクと兼用した上で、製氷室用、冷蔵室用にそれぞれ独立した給水経路を備えてもよく、その場合には、それぞれの必要応じたタイミングで随時水補給を行うことが可能となるので、例えば両室同時に給水が必要な時にでも任意に水を供給することができ、さらに使用者が外部から貯留水を供給する必要のあるタンクが製氷用とミスト噴霧用で一つとなることにより、ミスト用の貯水槽を別タンクで備える場合と比べて、使用者の貯留水の供給の手間を省くことができ、また貯水槽の水切れとなる可能性を低くすることが可能となる。
また、本実施の形態では、ミスト噴霧装置を冷蔵室下面奥側に配置することで、製氷用貯水タンクと兼用して貯水槽を設ける場合でも、冷蔵庫の奥側で給水経路を構成することができ、例えば、給水経路を取り外して洗浄が可能とする場合でも、給水経路が短く、略垂直状といった簡単な経路とすることがで、給水経路を簡略に構成できるので、洗浄が行いやすく、衛生性の高い給水経路を備えることができる。
(実施の形態8)
図20は、本発明の実施の形態8における冷蔵庫の側断面図である。
図21は、同実施の形態における冷蔵庫の正面断面図である。
図22は、図21におけるA−A断面を示す要部断面図である。
図23は、図21におけるB−B断面を示す要部断面図である。
図24は、同実施の形態における噴霧されるミストの粒子径分布割合を示すグラフである。
図20、図21、図22、図23において、冷蔵庫本体2の断熱箱体17は貯蔵室18、19、20を有しており、その前面開口部は夫々開扉可能な扉21、22、23にて外気の流入が無いように閉塞されている。
貯蔵室18内部の背面及び底面には循環ダクト24が設けられており、断熱箱体17との間に循環風路25を形成している。この循環風路25内において、貯蔵室18の背面にあたる部分にはミストを噴霧する噴霧手段26が設けられており、さらに噴霧手段26の上方には拡散手段27が配置されている。また、循環ダクトの垂直面上部には複数の吐出口28が設けられており、さらに底面には複数の吸入口29が設けられている。
これらの循環風路25と、循環風路25を構成する循環ダクト24と、循環ダクト24に設けられた吐出口28及び吸入口29と、拡散手段27によりミスト循環手段30が構成されている。また、ミストの粒子径を選択する選択手段31は、拡散手段27と噴霧手段26により構成されている。
噴霧手段26の下方には、循環風路25から断熱箱体17外へ余剰な水を排出するドレン32が設けられている。
貯蔵室18の天面と循環ダクト24の底部には、夫々温度センサ33、34が設けられている。貯蔵室18は、食品を収納する為の仕切り棚35により仕切られている。
循環ダクト24の底部には貯蔵室18の下部を加温するヒータ38が設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
貯蔵室18の上下には、貯蔵室18よりも低い温度帯に設定された貯蔵室19、20が配置されており、貯蔵室18はこれらの貯蔵室19、20により自然に冷却されている。
扉21を開け、仕切り棚35に食品を入れた後扉21を閉めると、扉開放検知手段(図示せず)により閉扉状態を検知し、噴霧手段26がミストの噴霧を開始する。噴霧されたミストは、噴霧手段26の上方に配置された拡散手段27により上方に向かって上昇し、吐出口28を通り貯蔵室18内に拡散噴霧される。
噴霧手段26には、例えば超音波により水を微粒子化して噴霧するものを用いればよく、噴霧されるミストの粒子径は図24に示すように分布する。貯蔵室18内に万遍なくミストを拡散しようとする場合には、その一つの手段としてミストの貯蔵室18内での滞空時間をなるべく長時間にし、空気の循環による拡散が確実に行われるようにすることが考えられる。ミストが貯蔵室18内に留まる時間を延ばそうとした場合、その粒子径は比較的小さいものである必要がある。図24においては、例えば得たい効果に応じた所定の粒子径X以下の水粒子を取り出して拡散噴霧すればよい。
噴霧手段26により噴霧されたミストは、粒子径がX以上のものはその自重により下方に落下していき、比較的軽量な粒子径X以下のものが拡散手段27により上昇していくこととなる。これにより、一定の直径以下のミスト粒子を選択的に取り出すことが可能になる。なお、狙いとする粒子径Xは自由に設定することができ、噴霧手段26の運転度合い、拡散手段27の運転度合い、噴霧手段26と拡散手段27との距離によって調整することが可能である。この運転度合いとは、例えば噴霧手段26に超音波発生器を用いた場合の振動周波数や、拡散手段27に送風ファンを用いた場合のファン回転数のことを指す。また、下方に落下した粒子径X以上のミストはドレン32から貯蔵室18外に排出される。
吐出口28は仕切り棚35の間にあるため、吐出口28より貯蔵室18内に噴霧されたミストは、仕切り棚35を通り、貯蔵室18すべてに行き渡ることができる。
貯蔵室18の底面には複数の吸入口29が設けられており、貯蔵室18内のミストはこの吐出口28から貯蔵室18の下部へ抜けていく。従って、貯蔵室18内に停留することはなく、貯蔵室18全体へミストを行き渡らせることができる。これは、図の矢印で示すように、例えば、最上段の仕切り棚の上部の貯蔵空間と、中段の仕切り棚の上部貯蔵空間は吐出口28より吐出されたミストが噴霧され、最下段の貯蔵空間は吸入口29へと流れるミストが流入することで、すべての仕切り棚の間の貯蔵空間にもミストが充満する。通気口37を通過したミストは、吸入口29より循環風路25内に戻り、その一部は拡散手段27によって再び貯蔵室18内に噴霧される。また、一部は大きな水滴となり、ドレン32から貯蔵室18外に排出される。この排水を効率良く行うため、図20に示すように循環風路25の下部はドレン32に向けて傾斜を設けている。なお、循環ダクト24の吸入口29と食品収納容器36の通気口37は略同一位置に開口していれば循環の抵抗が少なく効率がよい。
なお、噴霧手段26には水を連続的に供給する必要があるが、これには給水タンクを設けて定期的に水を補充する方法や、貯蔵室内の水分を結露回収する水回収構造をとるとよい。さらには、給水タンクと水回収構造を併用して用いてもよい。
夜間などで扉21の開閉がない場合は湿度の低下度合いは緩やかであり、ミストの噴霧を一定時間停止しても差支えない。この場合、扉開放検知手段(図示せず)により扉閉から一定時間経過したことを判断すると、噴霧手段26の運転と拡散手段27の運転を停止させ、同時に循環ダクト24に設けられたヒータ38に通電し貯蔵室18の下部を加温する。ヒータ38の加温制御は、貯蔵室18天面に設けられた温度センサ33と、循環ダクト24底部に設けられた温度センサ34の温度差がある一定値になるように制御される。これらのことにより、貯蔵室18の上部と下部に温度差が付き、空気の自然対流が促進される。なお、ヒータ38は広範囲に略均一に発熱するヒータであればよく、線状ヒータやシート状ヒータが考えられる。また、温度差を設ける手段はヒータに限定されるものではなく、貯蔵室19の温度を貯蔵室20よりも低く制御してもよい。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室を有する断熱箱体と、貯蔵室内に設けられたミストを噴霧する噴霧手段と、噴霧されたミストを拡散させる拡散手段を備え、噴霧されたミストを拡散手段によって貯蔵室内に拡散噴霧することにより、貯蔵室内のミスト濃度を均一化するものであり、貯蔵室内の全体へと万遍なくミストを行き渡らすことができるので、庫内の壁面や貯蔵棚全体を均一にミストでコーティングすることで、壁面の防汚効果をより高めることができる。
また、本実施の形態では、貯蔵室内にミスト循環手段を設けたことにより、さらにミストを貯蔵室内の隅々まで供給することができるようになり、ミストの噴霧量を低減することができる。
また、本実施の形態では、ミスト循環手段を循環風路と、循環風路を構成する循環ダクトと、循環ダクトに設けられた吐出口及び吸入口と、拡散手段とから構成したことにより、ミスト循環量と分布の調整が容易になり、よりミストの噴霧量を低減することができる。
また、本実施の形態では、吸入口の位置を貯蔵室内に収納された食品よりも下方に設けたものであり、貯蔵室底部まで確実にミストを供給することができる。
また、本実施の形態では、噴霧手段により噴霧されたミストの内、一定の直径以下の粒子を選択する選択手段を備えたものであり、噴霧されたミストは微小粒子であるが故に貯蔵室内に長時間留まり、かつ分散し、食品に確実にミストを供給することができる。
また、本実施の形態では、選択手段として、拡散手段の下方に噴霧手段を設けたものであり、噴霧されたミストの内、一定の直径以下の軽い粒子を選択的に取り出し噴霧することができる。
また、本実施の形態では、貯蔵室の上部と下部に温度差を設けたものであり、貯蔵室内空気の自然対流を促進させ、噴霧されたミストが貯蔵室内に拡散しやすくなる。また、同時に噴霧手段、拡散手段の一時停止が可能となり、デバイスの信頼性を向上させることができる。