本発明による収納庫は箱体と、ミスト噴霧装置とを有する。箱体は内部に農作物用の貯蔵室を有する。ミスト噴霧装置は貯蔵室内に液体を噴霧してミストを発生させることにより、ミストによって、貯蔵室に収納された農作物の表面に付着した農薬の有害物質を浮き上がらせる、もしくはミストを貯蔵室に収納された農作物の表面に付着した農薬の有害物質に付着させる。これにより、噴霧したミストが農作物表面の微細な凹部に入り込み、凹部に残留している農薬の有害物質をミストが物理的作用、化学的作用の相乗効果により、除去される。もしくはミストを残留農薬等の有害物質に付着させることで少量の水で有害物質を浮き上がらせ除去を容易にする。このような構成は、冷蔵庫の野菜室や、流通におけるコンテナなど農作物を収納する様々な形態に適用できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施の形態において先行する実施の形態の同様の構成をなすものには同じ符号を付して説明し、詳細な説明を省略する。
(実施の形態1)
本発明による収納庫では、箱体として農作物の輸送に使用される輸送コンテナを用いる。これにより貯蔵室に貯蔵された食品を消費先に届ける前に有害物質を除去または浮き上がらせることができる。
一般的に、野菜や果物は収穫後に市場やスーパーマーケット等へ輸送されるが、輸送には長時間必要である。この時間を利用して貯蔵室内に保存されている野菜や果物にミストを噴霧する。これによって、消費者が安心して食生活を送るために、残留農薬の除去を容易にするための前処理を行うことができる。
図1は本発明の実施の形態1における収納庫の側断面図、図2は図1に示す収納庫における水補給部の側断面図である。図3は図1に示す収納庫における補給部の平面断面図である。
収納庫70には箱体60の中に農作物を収納する貯蔵室71が設けられている。また、収納庫70は貯蔵室71の内部にミスト噴霧装置61を有する。箱体60は輸送コンテナであり、自動車62に搭載されて輸送に使用される。これ以外に飛行機や船舶などに搭載して輸送してもよい。
ミスト噴霧装置61は、貯水タンク72と給水経路73と補給部74とを有する。貯水タンク72からは給水経路73が補給部74へ水を供給している。補給部74は貯蔵室71の上部天面に設けられている。補給部74は水を貯留する保持部である貯水槽75と、噴霧部76と、噴霧部76によって発生したミストを貯蔵室71内に送風する送風部77とを有する。
噴霧部76は貯水槽75の底部に位置する金属メッシュ81と金属板82と、外部に設けられた超音波素子80と電源83とを有する。超音波素子80は水を超音波方式で霧化する。金属メッシュ81は所定粒径以下のミストのみを透過する。また、貯水槽75内の貯留水84は給水経路73から供給され、貯水槽75内に貯留されている。また、貯蔵室71の一角には、庫内の温度を検知する温度センサ85が設けられている。
以上のように構成された収納庫の動作、作用を説明する。まず、貯水タンク72内に貯留された水が給水経路73を経由して、貯水槽75内に供給され,貯留水84として貯留される。次に貯留水84は超音波素子80によって霧化される。生じたミストのうち、所定粒子径以下の微細ミストのみが金属メッシュ81から噴霧される。このようにして補給部74内は所定粒子以下のミストが充満した状態となる。補給部74内の微細ミストは送風部77によって貯蔵室71内にミストとなって噴霧される。微細ミストは貯蔵室71内の野菜や果物等の農作物の表面に付着し、農作物の表面の微細な凹部にまで侵入する。残留農薬やワックスなどの有害物質はこの微細ミストの内圧エネルギーによって浮き上がる。このように、有害物質を浮き上がらせることで、使用者が野菜を水洗いした場合に、ミストが付着していない場合と比較してより容易に有害物質が除去される。また、ミストが電荷を帯びている場合には、電気的に農作物表面の微細な凹部にまで進入し、残留農薬やワックスと化学反応する。このため有害物質の親水性が高まり、ミスト中に取り込まれ分解除去される。また、このようにミストが有害物質と化学反応を起こさなくても、例えば、有害物質にミストを付着にさせるだけでもよい。これによりミスト内に有害物質が溶け込んだり、もしくは有害物質内にミストが溶け込んだりして有害物質が希釈される。結果的に使用者が野菜を水洗いした場合に、ミストが付着していない場合と比較してより容易に有害物質が除去される。
なおミストとは、細かく分裂し超微粒子状態となった水のことを示し、その粒子径は目に見える数μmから目には見えない数nmのまで含まれ、液体の性質を持っている。
以上のように、本実施の形態の収納庫70では、貯蔵室71内に保存中の農作物に対し、ミスト噴霧装置61にて細胞間隙の凹部に入り込むことができる微細ミストを適量噴霧する。これにより、噴霧したミストが農作物表面の微細な凹部に入り込むことで、貯蔵室71の内部に収納された農作物表面に付着した残留農薬等の有害物質が浮き上がるか、もしくはミストを有害物質に付着させることにより、使用者が野菜を水洗いした場合に、ミストが付着していない場合と比較してより容易に有害物質が除去される。また、凹部に残留している有害物質を上記のようなミストの物理的作用に加えて、ミストと同時に発生するオゾンやOHラジカルを確実に野菜表面に付着させることにより、物理的作用と化学的作用との相乗効果により、有害物質を除去することが可能となり、有害物質の除去をより効果的に行うことができる。このように少量の水でも、ミストとして噴霧することで、有害物質を浮き上がらせる、もしくはミストを有害物質に付着させ、有害物質の除去が容易になる。
野菜や果物は収穫後に市場やスーパーマーケット等へ輸送されるが、輸送には長時間必要である。この時間を利用して貯蔵室71内に保存されている野菜や果物にミストを噴霧する。これによって、消費者が安心して食生活を送るために、残留農薬の除去を容易にする為の前処理を行うことができる。
また、貯蔵室71内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は輸送中の蒸散によってより萎れやすい。しかしながら箱体60が輸送に使用される輸送コンテナであることにより、貯蔵室71に貯蔵された食品の輸送中の水分蒸散や、栄養成分の低下が防止され、食品は新鮮な状態で輸送される。さらに、今までは萎れが気にならない状態で到着できる場所までしか輸送することができなかった菜系の野菜でも長時間の輸送が可能となる。
また、以上の説明では、水道水を噴霧することを前提として説明しているが、これに限定されない。噴霧する液体として、オゾン水や酸性水あるいはアルカリ水などの機能水を噴霧すれば、野菜や果物表面の微細な孔に機能水ミストが入り込む。そのため、微細な孔の内部の汚れや農薬等の有害物質を浮き上がらせる除去効果や有害物質の酸化分解効果や酸・アルカリ分解効果が高まる。
さらに、貯蔵室71内に付着する汚れや貯蔵室71庫内の臭気の除去、酸・アルカリ分解効果も高まる。特にこのように、振動エネルギーによってミストを生成するタイプの噴霧部76は、高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化する。すなわち、振動エネルギーによってミストを生成するタイプの霧化装置は、水粒子に電気分解等の分解を行わないので、水の成分を変えずにミスト化できる場合がある。このように、振動エネルギーの与え方によって水の成分をそのままミスト化するような装置にした場合には、例えばアルカリイオン水やマイナスイオン水等の純粋な水と比較してなんらかの成分を付加した機能水を用いても、その成分をそのままミスト化することが可能となり、使用者のニーズに応じた任意の水をミストとして供給することができる。
なお、貯蔵室71を冷却する冷却装置を設ければ、温度帯を調節することが可能となり、温度センサ85によって、予め設定していた温度よりも高い温度を検知したときに、冷却装置を運転させれば、夏場などの高温時は冷蔵温度帯で農作物の鮮度を保つことができる。
また、貯蔵室71が湿度90%以上の高湿になると、食品の中でも特に野菜類は蒸散が抑えられる為、貯蔵室71に貯蔵されている食品の劣化スピードが遅くなる。そのため、ミストによる水分補給効率が向上する。このような効果を得るために湿度センサを貯蔵室71内にそなえることで、より貯蔵室71内の空質の変化に応じて噴霧部76を駆動させることで、よりミストによる水分補給効率を向上させることができる。また、前述のように振動エネルギーによってミストを生成するタイプの噴霧部76は、高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化する。そのため、微細ミストの生成時に高電圧を必要とせず、低電圧で微細ミストを得ることができる。これは、特に輸送コンテナ等で輸送車のエンジンにガソリン等の可燃性物質を用いる場合に有効である。すなわち、可燃性物質が万が一貯蔵室71内に漏洩した場合でも、噴霧部76が高電圧を発生しないので爆発等の危険性が低く、ミスト発生に伴う安全性がより高まる。
なお、本実施の形態では、噴霧部76に超音波素子80に金属メッシュ81を用いていることでミストの粒子径を調整しているが、金属メッシュ81に対向する金属板82を設け、電源83によって金属メッシュ81と金属板82との間に高電圧を印加することで、ミストの粒子径をより細粒化することで、ミストの粒子径を調整することも可能である。この場合には、ミストの細粒化と共にミスト粒子には静電付加することも可能である。これにより、マイナスの電荷を付加された微細ミストが、プラスに帯電した庫内壁面や野菜、果物表面等に付着し、庫内壁面や野菜や果物表面の微細な孔にミストが入り込む。そのため、野菜の表面に付着した有害物質を浮き上がらせ除去する効果を高めることもできる。
(実施の形態2)
本発明による収納庫では、箱体として収穫後の農作物の保管に使用される保管コンテナを用いる。これにより貯蔵室に貯蔵された食品を出荷する前に有害物質を除去または浮き上がらせることができる。また保管中の時間を利用して有害物質を除去または浮き上がらせることができる。
図4は本発明の実施の形態2における収納庫の側断面図である。本実施の形態における収納庫90は、箱体63とミスト噴霧装置61とを有する。箱体63は保管コンテナであり、収穫後の農作物の保管に使用される。これ以外の構成は実施の形態1と同様である。
箱体63は、貯蔵室71内に保存されている野菜や果物等の農作物の収穫後の食品の保管に使用される。このような箱体63内の貯蔵室71にミスト噴霧装置61を設けることにより、貯蔵室71に貯蔵されている間の時間を利用して貯蔵室71内に保存されている農作物にミストが噴霧される。これにより、消費者が安心して食生活を送るために、残留農薬の除去を容易にする為の前処理を行うことが可能となる。これによって、例えば店頭で販売する前の保管状態で農薬の除去が可能となり、消費者に対して、より安全性の高い野菜を提供することができる。
霧化するための好ましい液体、ミストへの帯電効果、温度調節機能を付与することによる効果等は実施の形態1と同様である。
次に、実施の形態3から実施の形態10と共に、本発明の収納庫を冷蔵庫に適用した例について説明する。
本発明の収納庫は、箱体とミスト噴霧装置とを有する。箱体は農作物を収納する貯蔵室を有する。ミスト噴霧装置は貯蔵室内に液体を噴霧する噴霧部を有する。ミスト噴霧装置は、発生させたミストによって、農作物表面に付着した残留農薬等の有害物質を浮き上がらせる。もしくはミストを残留農薬等の有害物質に付着させる。これにより、噴霧されたミストが農作物表面の微細な凹部に入り込み、凹部に残留している農薬の有害物質をミストの物理的作用、化学的作用の相乗効果により、除去する。そのため少量の水で農薬等有害物質が浮き上がる、もしくはミストが残留農薬等の有害物質に付着する。そのため有害物質の除去が容易となる。
また本発明の収納庫の箱体には、液体を保持する保持部である貯水槽が設けられている。これにより一定量の貯留水を予め貯めておくことができるのでミスト噴霧装置に任意のタイミングで水を補給することが可能となる。これによって、貯蔵室内の内部に収納された農作物に安定してミストを噴霧することができる。
また本発明の収納庫のミスト噴霧装置は、供給部である貯水タンクを有する。使用者が外部から貯水タンク内に給水することで、貯留水が保持される。これによって使用者が常に新鮮な水を補給できるとともに、一定量の貯留水を予め貯めておくことができる。そのため貯蔵室内の内部に収納された食品が多数の場合でも十分な量の水分補給を行うことができる。
また本発明の収納庫の保持部は、貯蔵室内の空気内に含まれている水分から抽出された水を保持する。このようにして保持された貯留水が、保水装置内に保持される。これによって使用者が外部から水を補給しなくても貯蔵室内の内部に収納された食品に水分補給を行うことができるので、メンテナンスに手間がかからない。
また本発明の収納庫のミスト噴霧部はミストが放出される部分である噴霧先端部を有し、少なくとも噴霧先端部は貯蔵室内に設けられている。そのため農作物が収納されている貯蔵室に対して直接的にミスト粒子を噴霧することができる。また噴霧先端部と農作物との距離をより縮めることができる。そのため例えば貯蔵室外でミストを噴霧してから貯蔵室内へ送り込む場合と比較して、ミスト粒子の気化が防止できる。また、浮遊状態におけるミストの流速を高めることができ、農作物表面へのミストの付着率をより高めることができる。
また本発明の収納庫のミスト噴霧装置における供給部は噴霧部が備えられている区画とは別の区画に設けられている。すなわち、供給部は噴霧部の配置位置に影響されず、貯水槽内への水の補給や貯水槽内の清掃が容易となるような任意の位置に設けることができる。そのため使用者の使い勝手が向上する。
また本発明における噴霧部は粒子径0.003μm〜20μmのミストを発生することにより、農作物表面の微細な凹部に効率よくミストが侵入する。そのため細部にわたるまで農薬等有害物質を浮き上がらせることができる。
また本発明における噴霧部のミスト噴霧量は0.0007〜0.14g/h・Lにすることにより、農薬等有害物質を浮き上がらせるのに必要量が噴霧される。これにより、農薬等有害物質の除去効果と保存性とが両立する。
また本発明におけるミスト噴霧装置にて発生したミストは酸化分解性ミストとすることにより、ミストに酸化分解力を持たせ、農薬等有害物質を酸化分解して親水性を高める。そのため、農薬等有害物質の浮き上がらせる効果が向上する。
また本発明におけるミスト噴霧装置にて発生したミストはオゾンミストとすることにより、農薬等有害物質を強力に酸化分解することとなり、有害物質を分解にて安全な物質に変えることができる。
また本発明におけるミスト噴霧装置にて発生したミストはアルカリ分解性ミストとすることにより、ミストにアルカリ分解性を持たせることにより、農薬等有害物質をアルカリ分解し、安全な物質に変えることができる。
また本発明におけるミスト噴霧装置にて発生したミストはラジカルを含むミストとすることにより、ラジカルの強力な酸化分解力により、農薬等有害物質を分解し、安全な物質に変えることができる。
また本発明における噴霧部は静電霧化方式によってミストを生成する。この方式では高電圧等の電気エネルギーを使って水滴を分裂させ、細分化することによって微細ミストを発生させるので、発生ミストは電荷を帯びている。そのため、その電荷の持つプラスとマイナスの吸着力によってミストが農作物に付着し、より均一に野菜表面にミストが付着する。また電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率がより向上する。結果として、農薬の除去をより効果的に行うことが可能となる。
また本発明における静電霧化方式の噴霧部のミスト噴霧量は0.0007〜0.007g/h・Lとすることが好ましい。静電霧化方式の噴霧部により発生したミストは電荷を帯び、農作物へのミストの付着率が高い。そのため、電荷を帯びていないタイプのミストを噴霧する場合と比較して、同等の付着率が得られ、農薬の除去をより効果的に行うことが可能となる。
また本発明における噴霧部は粒子径0.003〜0.5μmのミストを発生する。静電霧化方式の噴霧部を用いると、ミストの粒子径が大きくなるにつれて帯電している電荷エネルギーが弱くなる。しかし上記粒子径の範囲内で静電霧化方式を用いることで、野菜への付着率を高めるのに十分な電荷を帯びたミストを発生することができ、静電霧化方式による農薬の除去をより効果的に行うことが可能となる。
また本発明においては、超音波霧化方式の噴霧部を用いることができる。このような噴霧部によってミストを生成する場合、高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化する。そのため、微細ミストの生成時に高電圧を必要とせず、低電圧で微細ミストを得ることが可能となる。結果としてミスト発生に伴う安全性をより高めることができるとともに省エネルギー化を図ることが可能となる。
また本発明における超音波霧化方式の噴霧部のミスト噴霧量は0.014〜0.14g/h・Lとすることが好ましい。超音波霧化方式の噴霧部を用いた場合、高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化するので、噴霧量が小さくなるに従って、発生する振動エネルギーが小さくなり、噴霧されるミストに与えられる運動エネルギーが小さくなる。そのため、ミストの飛距離が小さくなる傾向がある。しかしながら、上記噴霧量の範囲内で超音波霧化方式を用いることで、庫内への拡散性を備え、野菜表面まで到達する飛距離を有するミストを発生することができ、超音波霧化方式による農薬の除去をより効果的に行うことが可能となる。
また本発明における超音波霧化方式の噴霧部のミスト粒子径は0.5〜20μmとすることが好ましい。超音波霧化方式の噴霧部を用いた場合には、ミストの粒子径を小さくするに従って、高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化する必要がある。そのため高周波数になればなるほど、振動回数が多くなり超音波霧化方式の耐久年数が短くなる傾向がある。しかしながら上記粒子径の範囲内で超音波霧化方式を用いることで、平均使用年数が10年程度といった家電製品の中でも特に長期間の耐久性を要求される冷蔵庫においても、十分な耐久性が得られる。そのため超音波霧化方式による農薬の除去の信頼性をより高めることが可能となる。
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3における冷蔵庫の側断面図である。
図6、図7はそれぞれ、図5に示す冷蔵庫におけるミスト噴霧装置の側断面図とA−A線断面図である。
この冷蔵庫では、断熱箱体110が仕切り板111によって、上から冷蔵室112、切替室113、野菜室114、冷凍室115に仕切られている。冷凍室115の奥には蒸発器102が設けられている。蒸発器102は機械室103に設けられた圧縮機104、冷蔵庫の下部に設けられた凝縮器105、図示しない膨張弁とともにパイプで接続されており、これらは内部に封入された冷媒を圧縮、蒸発させることで冷蔵庫内を冷却する冷却装置を構成している。冷蔵室112内、野菜室114内は蒸発器102で生成された冷気が風路229を介して各貯蔵室に搬送されることで冷却されている。切替室113内は、図示しない送風経路を介して蒸発器102により冷却されることで冷凍温度に保たれるか、冷蔵温度に保たれるかを切り替えて使用できる。野菜室114の背面には、風路229と野菜室114を区画するための仕切板111Aが配置されている。仕切板111Aと本体外壁202との間には風路229が設けられている。風路229は例えば蒸発器102で生成された冷気を各貯蔵室に搬送する、もしくは各貯蔵室から熱交換された空気を蒸発器102へ搬送する。すなわち、箱体である断熱箱体110の内部には農作物を貯蔵する貯蔵室である野菜室114が設けられている。冷却装置は野菜室114内部を冷却する。
野菜室114は断熱壁116により構成されており、野菜室114内は約90%RH以上(食品収納時)の湿度に保たれ、4〜6℃に冷却されている。野菜室114の上部天面にはミスト噴霧装置120が設けられている。
ミスト噴霧装置120は、貯留水124を貯留する貯水槽122と、噴霧部123と、噴霧部123が発生したミストを野菜室114内に送風する送風部129とを有する。噴霧部123は貯水槽122の内部に位置している。噴霧部123は毛細管供給構造体133と第1電極である陰極134と第2電極である陽極135と電源128とを有する。毛細管供給構造体133の一端は貯留水124に浸漬され、他端は貯水槽122内で噴霧先端部132を形成している。すなわち噴霧先端部132は野菜室114内に設けられている。陰極134、陽極135は貯水槽122の一画に設置されている。陰極134は貯留水124に負の高電圧を印加する。陽極135は陰極134に対向している。電源128は陰極134と陽極135との間に高電圧を印加する。
以上のように構成されたミスト噴霧装置120について、以下その動作、作用を説明する。まず、貯水槽122内に除霜水が貯留され、貯留水124となる。すなわち、貯水槽122は野菜室114内の空気内に含まれている水分を抽出して保持する保持部である。
次に電源128が陰極134と陽極135との間に高電圧を印加する。すると、噴霧先端部132と陽極135との間に存在する電界によって噴霧先端部132から複数の液糸が引き出される。この液糸はさらには帯電した液滴に分散されて0.1μm以下の微細ミストとなる。また、静電霧化の際、放電が行われるため、ミスト発生時には同時に微量のオゾンとラジカルが発生する。このオゾンはミストと即座に混合して、低濃度のオゾンミストを生じる。なお、ラジカルとは不対電子を有する酸化力が強い分子のことである。
このオゾンミストは送風部129によって、野菜室114内に噴霧される。噴霧されたオゾンミストは静電付加されているため、野菜室114内でプラスに帯電する野菜や果物等の農作物の表面および庫内壁面に電気的に付着する。そして、農作物の表面の微細な凹部にまで侵入する。残留農薬やワックスなどの有害物質は、ミストの内圧エネルギーによって浮き上がる。これによって、結果的に使用者が農作物を水洗いした場合に、ミストが付着していない場合と比較してより容易に農薬が除去される。さらにオゾンの酸化分解作用によって、有害物質は酸化分解除去される。あるいは電気的に微細な凹部に侵入したミストは有害物質と化学反応する。これにより有害物質の親水性が高まり、ミスト中に取り込まれ分解される。
また、このように有害物質と化学反応を起こさなくても、例えば有害物質にミストを付着させるだけで、ミスト内に有害物質が溶け込む。もしくは有害物質内にミストが溶け込んで有害物質が希釈されることで、結果的に使用者が農作物を水洗いした場合に、ミストが付着していない場合と比較してより容易に農薬が除去される。
このように、ミスト噴霧装置120は電気エネルギーを使って水滴を分裂させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。このようにミスト噴霧装置120には静電霧化方式が用いられている。そのため、発生するミストは電荷を帯びており、その電荷の持つプラスとマイナスの吸着力によって農作物に付着する。そのため、農作物表面にミストが均一に付着する。また、電荷を帯びていないミストと比較して農作物への付着率が向上する。そのため、農薬等の有害物質は効果的に除去される。
また、ミストに静電付加することにより、ミスト中の水分子がラジカル化し、OHラジカルが生じる。そのため、オゾンの酸化力に加え、OHラジカルの酸化力が有害物質の分解性能を高める。
なおミストは断熱壁116の微細な孔に侵入し、同様に孔内部の汚れや有害物質を浮き上がらせ、オゾン酸化分解によって分解除去する。
図8は図6に示すミスト噴霧装置120の農薬除去性能を従来の浸漬仕様、及び水洗いと比較した図である。この実験にはマラチオンを約3ppm付着させたミニトマト10個ずつを用い、各仕様で除去処理する。そして処理後の残留マラチオン濃度をガスクロマトグラフィ(GC)にて測定することで、除去率を算出する。
次に各除去処理仕様を説明する。処理Aでは、上述のミニトマト10個を笊に入れ約10秒間流水で洗浄する。処理Bでは、一般的な食物洗浄装置を用いた処理に相当するもので、1ppmのオゾンを含む2Lの水にミニトマト10個を1時間浸漬させ、オゾンによって気泡洗浄する。処理Cでは、ミニトマト10個にミスト噴霧装置120で12時間ミスト噴霧処理する。処理Dでは、ミニトマト10個を12時間ミスト噴霧処理後に笊に入れ約10秒間流水で洗浄する。なお、処理C、処理Dでの庫内オゾンガス濃度は約0.03ppmである。また、処理C、処理Dにおけるミストの粒子径は0.003μm、噴霧量は0.0007g/h・Lである。
図8に示すように、処理Aでの除去率は20%であり、通常家庭での水洗い程度では残留農薬の80%が除去されず、人体に摂取されることがわかる。また処理Bでは、残留農薬の55%が除去されている。
これに対し、処理Cの除去率は50%であり、処理Bとほぼ同等の農薬除去性能が示されている。さらに、処理Dの除去率は70%である。これは、超微細ミストの物理的作用によって、付着農薬が浮きあがり、はがれ落ちやすくなったものと考えられる。以上の結果から、本実施の形態におけるミスト噴霧装置120を有する冷蔵庫は、食物洗浄の専用機とほぼ同等の農薬除去性能を有する。
図9は本実施の形態におけるミスト噴霧装置120の農薬除去効果とミストの水粒子径との関係を示す図である。ミストの噴霧時間、噴霧量は図8の処理C,Dと同様である。
図9から明らかなように、マラチオン除去率が50%程度となるのは、ミストの粒子径は0.5μm以下である。また、マラチオン除去率を70%程度となるのは、ミストの粒子径は0.1μm以下である。これはミストの粒子径が微細になるにつれ、農作物表面の凹凸に入りこみやすくなるためと考えられる。すなわち、ミストの粒子径が微細なほど、有害物質がミスト粒子に付着しやすくなる、あるいはミスト粒子内に有害物質を取り込みやすくなるためと考えられる。
また、ミストの粒子径が0.5μmより大きくなると除去率が低減している。これは、噴霧部123が静電霧化方式の場合、ミストの粒子径が大きくなるにつれて帯電している電荷エネルギーが弱くなるためと考えられる。したがって静電霧化方式を適用する場合、ミストの粒子径を0.5μm以下に制御することで、農作物への付着率を高めるのに十分な電荷を帯びたミストが発生する。
また、マラチオン除去率を50%程度となるのは、ミストの粒子径は0.003μm以上である。また、マラチオン除去率を70%程度となるのは、ミストの粒子径は0.005μm以上である。これは、水粒子径が0.003μm未満の場合、粒子が小さすぎ、マラチオンとの接触頻度が低下し除去効果が低下するためと考えられる。
また、ミストの粒子径が0.1μmを超える場合に比べ、粒子径が0.005μm以上0.1μm以下の場合の方が、除去率が高い。これは、粒子径の小さい場合にラジカル個数が多いためと考えられる。そのため、マラチオンとの反応性が高くなり、除去率が高くなるためと考えられる。
以上の結果より、静電霧化方式のミスト噴霧装置120で農薬除去率を50%以上とするためには、ミスト粒子径を0.003μm以上0.5μm以下とすればよく、農薬除去率を70%以上とするためにはミスト粒子径を0.005μm以上0.1μm以下とすればよい。このようにミスト粒子径を制御するのに、本実験ではミスト噴霧装置120への印加電圧を変化させることにより、粒子径を調整したが、例えば毛細管供給構造体133の直径や長さを変えても粒子径を調整することもできる。これは供給する水のクラスタの大きさを変化させることで、同じエネルギーを与えてもミスト噴霧装置120によって分割された後の粒子径は異なることを利用している。そのため、ほぼ狙いの粒子径が定まっている場合にはこういった方法が簡単な構成で狙いの粒子径のミストを得ることができるので有効である。
図10は本実施の形態におけるミスト噴霧装置120の農薬除去効果とミスト噴霧量との関係を示す図である。ミストの噴霧時間、ミスト粒子径は図8の処理C,Dと同様である。また、本実験において野菜室の容積は70リットル(L)である。
図10より明らかなように、マラチオン除去率を50%程度とするためには、噴霧量は0.0007g/h・L以上である必要があり、農薬除去効果は噴霧量の増加とともに向上している。
また、0.007g/h・Lを超える噴霧量になると農薬除去効果はあるものの発生するオゾン濃度が0.03ppmを越えるため、現時点での静電霧化方式における技術では家庭用冷蔵庫への適用は人体の安全性の観点から難しい。なお、オゾン濃度0.03ppmとはオゾン臭くないレベルであり、野菜に対する組織損傷などの悪影響を生じることなく、農薬分解効果を持つオゾン濃度の上限値である。このように噴霧量の適正範囲は0.0007g/h・L以上0.007g/h・L以下である。ただし、将来的には現段階での技術よりも進み、静電霧化方式でも0.007g/h・Lを超える噴霧量でも、オゾン濃度が0.03ppm以下に抑えることができる場合には、この噴霧量を拡大することができる。また、オゾン濃度を0.03ppm以下にするために、オゾン分解触媒やオゾン分解装置など付加すると、0.007g/h・L以上であっても、オゾン分解触媒やオゾン分解装置などでオゾン濃度を低減できれば、噴霧量を例えば10倍の0.07g/h・Lまで増やしてもよい。この上限値拡大範囲は、付加したオゾン分解触媒の能力に依存する。
以上のように本実施の形態では、簡便な構造で農薬等の有害物質を除去する機能を有する冷蔵庫が得られる。使用者は冷蔵庫に野菜や果物を保存するだけで、簡単に農薬等の有害物質を除去することができる。
また、ミスト噴霧装置120はミストを野菜室114内に噴霧する。これにより、噴霧されたミストが、農作物表面の微細な凹部に入り込み、凹部に残留している農薬等の有害物質を物理的作用、化学的作用の相乗効果により除去する。このように、少量の水で農薬等有害物質を除去することができる。
また、微細ミストと同時に発生するオゾンやOHラジカルが確実に野菜表面に付着する。これにより、微細ミストが微細な凹部に入り込み、凹部に残留している農薬等の有害物質を物理的作用、化学的作用の相乗効果により除去する。このように、少量の水で農薬等有害物質を除去、分解することができる。
また、ミスト噴霧装置120は農作物表面の農薬除去に有用な粒子径のミストを発生する。これにより、ミストが農作物表面の微細な凹部に効率よく侵入し、細部にわたるまで農薬等有害物質が除去される。具体的には、ミストの粒子径は0.003μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
また、ミスト噴霧装置120のミスト噴霧量は0.0007g/h・L以上0.07g/h・L以下とすることが好ましい。これにより、有害物質の除去のために必要な噴霧量が確保され、有害物質の除去効果が発揮されるとともに、農作物の保存性も確保される。
また、微細ミストと農作物の電位差を利用して農作物表面に微細ミストが付着する。そのため効率よくミストが付着する。
上記説明では、静電霧化方式にてミストを発生することで、オゾン含有ミストを発生させる例を説明しているが、オゾン以外の酸化分解性ミスト、またはアルカリ分解性ミストを噴霧してもよい。この場合もオゾン水と同様、農作物表面の農薬等の有害物質の分解効果が高まる。また、庫内に付着する汚れや庫内臭気を除去する効果や分解する効果も高まる。
また、本実施の形態における噴霧部123は静電霧化方式でミストを生成する。これ以外に、実施の形態1における図2のように、超音波素子と金属メッシュとを用いて微細化したミストに静電負荷する噴霧部を用いてもよい。あるいは超音波素子の周波数を上げて微細化したミストに静電負荷する噴霧部を用いても、同様の効果が得られる。
本実施の形態では、噴霧されたミスト中に放電によって発生したオゾンガスが溶存する。これ以外に貯留水をオゾン水あるいは反応性に富む機能水としても同様の効果が得られる。すなわち、貯水槽122はミストを生成するための液体を保持し、必ずしも水を保持するとは限らない。
なお、本実施の形態において、貯留水を保持する保持部は貯水槽122であり、貯水槽122は除霜水である貯留水124を保持している。これ以外に保持部として吸湿剤を用いて、野菜室114内の空気内に含まれている水分を抽出して保持してもよい。吸湿剤としては例えば、シリカゲル、ゼオライト、活性炭等の多孔質材料等を用いることができる。このように除霜水等を用いて、使用者が外部から貯留水を供給することなく貯留水を確保できるものであれば、外部からの水分の補給の手間がかからず使い勝手が向上する。
(実施の形態4)
図11は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の断面図である。図12、図13はそれぞれ、図11に示す冷蔵庫のミスト噴霧装置近傍の縦断面図と正面図である。図14は図12に示すミスト噴霧装置の噴霧部の縦断面と振幅波形とを示す図である。図15は図11に示す冷蔵庫の機能ブロック図である。図16は図15に示す制御部における制御フロー図である。図18は図12に示すミスト噴霧装置による農薬除去効果とミストの水粒子径との関係を示す図である。図19は図12に示すミスト噴霧装置による農薬除去効果とミスト噴霧量との関係を示す図である。
この冷蔵庫が図5に示す冷蔵庫と異なる点は、仕切板111Aにミスト噴霧装置302が設けられ、野菜室114の天面にオゾン発生体323が設けられている点である。それ以外の基本的な構成は図5に示す冷蔵庫と同様である。なお野菜室114には容器228が設置されている。
仕切板111Aには超音波霧化方式の噴霧部301を有するミスト噴霧装置302が組み込まれている。仕切板111Aは主に発泡スチロールなどの断熱材で構成されており、その壁厚は30mm程度である。ただし、供給部304の背面では、壁厚は5mmから10mmで構成されている。
供給部304は貯留水を保持し、噴霧部301に貯留水を供給する。供給部304は、水収集板321と加熱部328と送風部317とカバー部材306とを有する。水収集板321は庫内側に設置され、加熱部328は水収集板321の一面に当接して配置されている。加熱部328は例えば、ニクロム線で構成された加熱ヒータなどである。送風部317はボックスファンなどであり、庫内側に配置され水収集板321に庫内の空気を送る。カバー部材306は循環風路307を構成している。
図13に示すように、カバー部材306には循環風路307に関する第1の循環風路開口部(以下、開口部)308と第2の循環風路開口部(以下、開口部)309とが設けられている。さらに、水収集板321には水収集板321表面の温度を検知するための水収集板温度検知部(以下、検知部)327が設置されている。
また図14に示すように、噴霧部301はホーン310と圧電素子311とを有している。ホーン310は切削加工等により略円錐状に形成され、ホーン310の噴霧先端部310Aは少なくとも、野菜室114内に開口している。圧電素子311側には、ホーン310と一体的にフランジ部312が形成されている。またホーン310と圧電素子311とは接着固定されている。ホーン310の形状により、圧電素子311で発生する振動は噴霧先端部310Aで最大振幅となるよう増幅される。
噴霧部301はフランジ部312を介して、冷蔵庫側の取り付け部材である接続部305に取り付けられている。あるいは、直接的に冷蔵庫に取り付けられている。この時、超音波振動の振幅はフランジ部312で振幅の節部となるように設定されている。すなわち圧電素子311が駆動した場合、図14に示す各部位が振動する。
このように伝播する振動の節部であるフランジ部312を接続部305に接続することにより、超音波を発生させる際の振動が冷蔵庫本体へ伝達することが防止される。そのため、冷蔵庫の部品や庫内に備えられた棚等が振動することによる騒音が低減される。すなわち、振動エネルギーによってミストを生成するタイプのミスト噴霧装置302を設けた冷蔵庫の、騒音、振動が抑制される。
ホーン310は熱伝導性の高い材質で構成されている。例えばアルミニウム、チタン、ステンレス等の金属で構成されている。特に、軽量で、熱伝導性が高く、超音波伝達時の振幅の増幅性能の点から、アルミニウムを主成分とする材料で構成することが好ましい。また、長寿命化のためにはステンレスを主成分とする材料で構成することが好ましい。
前述のように、超音波振動の振幅がフランジ部312で振幅の節部に、ホーン310の先端である噴霧先端部310Aで振幅の腹部となるように、ホーン310の寸法が設定されている。またフランジ部312と噴霧先端部310Aとの間の寸法が超音波振動の1/4波長となるように、ホーン310の寸法が設定されている。このように振動の節を冷蔵庫本体に固定した上で、そこから得たい周波数の1/4波長の位置を振幅の腹部となっている。この構造では、フランジ部312と噴霧先端部310Aとの間に腹部が複数ある場合と比べて、振動エネルギー損失を大幅に低減することができ、振動に要する電力を抑えることができる。このようにホーン310を設計することで、低入力でかつ高出力が得られるとともに、ホーン310が小型になる。
近年の家庭用冷蔵庫においては、外形寸法が従来のままで庫内容量をより大きくすることで使用者の使い勝手を向上させるという傾向がある。このようなタイプの冷蔵庫において、断熱壁は高断熱化することでより薄くなり、背面側の機器収納空間等もよりコンパクトとなっている。このように、高出力で小型のホーン310を用いることで、庫内へのミスト噴霧装置302の延出を防いだ上で、十分な量の発生ミストが得られ、冷蔵庫の使い勝手が向上する。
またホーン310の長さは、発生ミストの粒子径と圧電素子311の発振周波数、それにホーン310の材質により決定される。例えば、ミスト粒子径を約10μmとする場合、ホーン310の材質がアルミニウムで、圧電素子311の発振周波数は約270kHzであれば、ホーン310の長さは約6mmとなる。また、ミスト粒子径を約15μmとする場合、ホーン310の材質がアルミニウムで、圧電素子311の発振周波数が約146kHzであればホーン310の長さは約11mmとなる。これらの一連の理論計算値まとめを(表1)に記載する。
また、この冷蔵庫には内部を冷却するための冷却装置が搭載されている。実施の形態3で述べたように、冷却装置は圧縮器104、凝縮器105、膨張弁やキャピラリチューブなどの減圧装置(図示せず)、蒸発器102などを有する。また、冷媒には、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンを用いられている場合もある。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。図11に示す冷蔵庫において、野菜室114は、冷気の配分や加熱部などのON・OFF運転により4℃から6℃になるように調整され、一般的には庫内温度検知部をもたないものが多い。また、野菜室114内は、食品からの水分の蒸散と扉開閉による水蒸気の侵入等により高湿である。ある程度の冷却能力を確保するために、仕切板111Aは他の部分より薄く構成されている。
ここで、水収集板321の表面温度を露点温度以下にすれば、水収集板321近傍の水蒸気は水収集板321に結露し、水滴が確実に生成される。具体的には、制御部314が水収集板321に設置されている検知部327により水収集板321表面の温度状態を把握する。そして制御部314が送風部317、加熱部328をON/OFF制御またはDuty制御する。これにより、水収集板321の表面温度が露点温度以下に調整され、送風部317により庫内より送られた高湿空気に含まれる水分が水収集板321で結露する。
なお図15に示すように、野菜室114内に野菜室温度検知部(以下、検知部)325や野菜室湿度検知部(以下、検知部)326などを設けてもよい。この構成では、あらかじめ決められた演算により厳密に露点温度が庫内環境下の変化に応じて割り出すことができる。水収集板321表面で氷や霜が生成した場合でも、制御部314は、加熱部328を駆動して融解温度まで水収集板321表面温度を上昇させることが可能なので適度に水を生成することができる。ここで、送風部317が運転されると野菜室114の空気の影響により水収集板321表面温度は上昇し、送風部317が停止している場合に低下する。供給部304の背面での仕切板111Aの壁厚が10mmを超えると、送風部317が運転時、加熱部328がOFFでも水収集板321表面温度は露点温度以上になり、結露量が調整できない。逆に壁厚が5mm未満の場合は、水収集板321表面温度が低すぎるので常時、加熱部328がONの状態になりエネルギー効率が悪くなる。よって、水収集板321背面での仕切板111Aの厚みは5mm以上10mm以下にすることが好ましい。これにより水収集板321の表面温度が制御可能になるとともに、加熱部328の消費エネルギーが最小になる。
また、結露を促進させるためには、より湿度の高い野菜室114内の空気を循環させる必要がある。そこで、送風部317により空気を取り込む際に、例えば開口部309より高湿の空気をとりこむ。そして水収集板321で結露させた後、開口部308より庫内に空気を吐出し、野菜室114内の空気を循環させる。このようにすれば結露が促進される。
水収集板321表面で結露した水滴は徐々に成長し、自重によりポンプなどの動力を使わずに下方に流れ、噴霧部301近傍の貯水槽313に集まる。貯水槽313は断熱箱体110内に設けられ、液体を保持する保持部である。集まった結露水は、給水部303によりホーン310先端に供給される。
ホーン310先端に供給された水は、超音波振動子311の振動により粒子径の小さいミストとして野菜室114内に噴霧される。ホーン310は、噴霧先端部310A付近で振動による発熱を生じるが、ホーン310が高熱伝導性材料であるため、この熱はホーン310全体へ拡散される。
また、少なくとも噴霧先端部310Aは野菜室114内に設けられている。そのため、野菜等の農作物が収納されている野菜室114に対して直接的にミスト粒子が噴霧される。すなわち、噴霧先端部310Aと農作物との距離が短い。この構成は、例えば野菜室114外でミストを噴霧してから野菜室114内へ送り込む場合と比較して、ミスト粒子の気化が防止され、浮遊状態における流速が高まる。そのため、農作物表面へのミストの付着率が高まる。
また、噴霧部301には、電気エネルギーによる電歪現象を利用した圧電素子311が用いられている。噴霧部301は、高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化することができる。そのため、微細ミストの生成時に高電圧を必要とせず、低電圧で微細ミストを得ることが可能となる。よって、ミスト発生に伴う安全性が高まるとともにエネルギー消費が低減される。また、水粒子に電気分解等の分解を行わないので、水の成分を変えることなく、そのままミスト化することができる。そのため、供給部304の代わりに貯水タンク等から機能水を噴霧部301に供給しても、振動エネルギーによってミストを生成するタイプの霧化装置は、水粒子に電気分解等の分解を行わないので、水の成分を変えずにミスト化できる場合がある。このように、振動エネルギーの与え方によって水の成分をそのままミスト化するような装置にした場合には、例えばアルカリイオン水やマイナスイオン水等、純粋な水と比較してなんらかの成分を付加した機能水を用いても、その成分をそのままミスト化することが可能となり、使用者のニーズに応じた任意の水をミストとして供給することができる。
なお、噴霧部301には圧電振動子311を用いることに限定されない。振動子として磁力のエネルギーによる磁歪現象を利用した磁歪振動子を用いてもよい。その場合でも、上記と同様の効果が得られる。
また、噴霧部301は、超音波振動によりミストを生成する。超音波の周波数は、一般に振動による騒音が定常音として人の耳に聞こえない周波数帯にある。このように例えば2万ヘルツ以上の周波数を用いることで、家庭用の冷蔵庫に適用した場合でも、振動による騒音が定常音として人の耳に聞こえない。そのため、低騒音で、品位の高いミスト噴霧装置302を有する冷蔵庫が得られる。
次に図15に示す機能ブロック図と、図16の制御フロー図とを用いて制御部314による制御を説明する。図15において、制御部314には検知部325、326、327とドア開閉検知部(以下、検知部)330とからの情報信号が入力される。制御部314は噴霧部301と加熱部328と圧縮機104と送風部317とオゾン発生体323とを制御する。加熱部328は噴霧部301に給水する水量を調整する。例えば、検知部325が庫内温度を5℃、検知部326が庫内湿度を90%、検知部327が水収集板321の表面温度を4℃と検知する。この場合、制御部314は、噴霧部301のON/OFFと、加熱部328の動作とを決定する。つまり、水収集板321の表面温度は、露点温度以下に冷却する必要がある。そのために制御部314は例えば、加熱部328をOFFもしくは入力を低下させる。そして冷気の温度を低下させるため、圧縮機104の回転数を増加させるか、もしくは送風部317の回転数を低下させる。また制御部314は、検知部330により扉が閉まっていると検知されたときのみ噴霧部301を動作させる。これにより、扉開時の外部へのミストもれが防止される。
次に図16を用いて制御フローを詳細に説明する。まずステップ21では、検知部327が水収集板327の表面温度t℃を検知する。制御部314は、t℃があらかじめ決められたtA℃とtB℃の範囲にある場合、農薬除去を作動させることを判断し制御はステップ22に進む。t℃がtA℃とtB℃の範囲にない場合に、制御はステップ21に戻って温度検知と判断とが繰り返される。
ステップ22では、制御部314が噴霧部301を運転し、野菜室114内にミストを噴霧する。次にステップ23にて、噴霧部301の積算運転時間TAがあらかじめ決められたT1以上なれば、制御部314はステップ24にてオゾン発生体323を動作させ、制御はステップ25に進む。TAがT1未満の場合、引き続きステップ23にて制御部314は噴霧時間を判断する。
ステップ25では、噴霧部301の運転積算時間TAがあらかじめ決められたT2以上になれば、制御部314はステップ26にて噴霧部301を停止してミスト噴霧を終了する。同時に制御部314はオゾン発生体323もOFFにし制御はステップ27に進む。TAがT2未満の場合、引き続きステップ25にて制御部314は噴霧時間を判断する。
次にステップ27で噴霧部301の停止時間TBがあらかじめ決められたT3以上になれば、制御部314はステップ28によりTA、TBを初期値に戻し、再びステップ21に戻る。TBがT3未満の場合、引き続きステップ27にて制御部314は噴霧部301の停止時間を判断する。
次に、供給部304、給水部303の代わりに、噴霧部301にミストを発生させるための水等の液体を供給する構成について説明する。図17は噴霧部301近傍の縦断面図である。
この構成では、冷蔵庫の扉400A側から庫内仕切り奥面に向けて、貯水タンク425Bと噴霧部301とが設けられてミスト噴霧装置302Aを構成している。ミスト噴霧装置302Aは野菜室114の天面を構成する仕切板111Bに固定されている。貯水タンク425Bの底面は傾斜しており、奥面底部には、給水調整部444が設けられている。
以上のように構成されたミスト噴霧装置の動作・作用を説明する。貯水タンク425Bは人が着脱しやすいように野菜室114の扉400A側、すなわち前面側に設置され、水道水や結露水などが蓄えられている。あるいは、貯水タンク425Bに様々な機能水を注入してもよい。機能水はたとえば酸性水、アルカリ水、またはビタミンなどを含んだ栄養水などである。このような機能水を野菜室114内に噴霧することにより、野菜室114に様々な新しい機能が追加される。このようにすれば噴霧部301は様々な機能水を噴霧することができる。
貯水タンク425Bの底面は冷蔵庫奥面に向けて傾斜しており、注水された水は、奥側に流れるように工夫されている。また、この奥側底面には給水調整部444が設けられている。給水調整部444は例えば開閉弁からなる。給水調整部444は、開の時のみ噴霧部301に給水する。
以上のように、図17の構成では、貯水タンク425Bが扉400A側に、噴霧部301が貯水タンク425Bより奥側に設けられているので、使い勝手が向上する。貯水タンク425Bの底面が噴霧部301側に傾斜しているので、貯水タンク425Bの水が効率よく利用される。また、給水調整部444により噴霧部301に対して適切な量の水が供給される。
なお、貯水タンク425Bは仕切板111Bに固定されているが、着脱式でもよい。これにより、水の交換、追加、清掃が容易となり使い勝手が向上する。
図18はミスト噴霧装置302の農薬除去効果とミスト粒子径との関係を示す図である。この実験においても、実施の形態3と同様に、マラチオンを約3ppm付着させたミニトマト10個を用いる。そしてミスト噴霧装置302で発生させたミストを12時間連続噴霧処理した後、ミニトマトの残留マラチオン濃度をGCにて測定し、除去率を算出する。なお、このときの噴霧量は0.03g/h・Lである。ミストの粒子径は前述のように、圧電素子311の振動数とホーン310の寸法とにより決定される。
図18に示されているように、マラチオン除去率を50%程度とするためには、粒子径を20μm以下に制御する必要がある。また、マラチオン除去率を70%程度とするためには、粒子径を0.5μm以下に制御する必要がある。これは、一般的な野菜の凹凸が20〜30μmであることから、20μm以上では野菜の微細な凹部にミストが入り込みにくくなり、有害物質をミスト粒子に付着させるもしくはミスト粒子内に取り込むみにくくなるためと考えられる。また、粒子径0.5μmのミストの方が、粒子径20μmのミストよりも拡散性が高いことから、ミストと野菜表面の農薬との接触頻度も高くなり、農薬除去率も高くなると考えられる。
以上の結果より、超音波方式にてミストを発生するミスト噴霧装置での農薬除去率50%以上の性能を有するミスト粒子径は20μm以下であり、また農薬除去率70%以上の性能を有するミスト粒子径は0.5μm以下である。
なおミスト粒子径を0.5μm未満にしてさらに小さくすれば、より農薬除去率が向上すると考えられる。噴霧部301では高周波数の振動エネルギーを用いて水滴を細粒化する。そのため超音波霧化方式の噴霧部301では、ミストの粒子径を0.5μm未満まで小さくするために振動周波数を高く必要がある。しかしながら振動周波数を高くするほど、振動回数が多くなり現状の超音波霧化方式を採用した噴霧部301の耐久年数が短くなる傾向がある。冷蔵庫は、家電製品の中でも特に使用年数が長く、平均使用年数は10年程度であるので、特に長期間の耐久性が要求される。そのため、現段階の技術において超音波霧化方式を用いてミスト発生させる場合には、ミスト粒子径の下限値を0.5μmとすることが好ましい。
以上のように、超音波霧化方式の噴霧部301を用いたミスト粒子径は0.5μm以上20μm以下の範囲とすることが好ましい。ただし、将来的に0.5μmよりも小さい粒子径のミストを超音波霧化方式を用いて発生させた場合でも、長期の信頼性を確保することが可能な超音波霧化方式であれば、さらにこのミスト粒子径の下限値を例えば1/10の0.05μm程度まで拡大することが可能である。
図19はミスト噴霧装置302の農薬除去効果とミスト噴霧量との関係を示す図である。本実験では粒子径10μmのミストを70Lの野菜室114内に噴霧する。噴霧時間は図18の実験と同様、12時間である。また噴霧量は本実験においては噴霧部301への印加電圧を変化させることにより制御する。これ以外に噴霧先端部310Aの開口面積を変化させることで、噴霧量の調整を行うことも可能である。
図19より明らかなように、農薬であるマラチオンの除去効果はミスト噴霧量が多いほど高くなる。マラチオン除去率を50%以上とするためには、噴霧量は0.014g/h・L以上に制御する必要がある。一方、噴霧量が0.14g/h・Lを超えると農薬除去効果はあるものの野菜表面に余分な水分が付着し、水腐れを生じ、野菜の品質が低下する。したがって超音波霧化方式の噴霧部301を用いたミスト噴霧量は0.014g/h・L以上0.14g/h・L以下の範囲とすることが好ましい。ただし、噴霧量が0.14g/h・Lを超えても、野菜を振動させて、余分な水分を落とさせるなど、水腐れを防止できれば噴霧量を増加させてもよい。その場合でも野菜の品質維持の観点から、噴霧量は0.5g/h・L以下とすることが好ましい。
以上のように、本実施の形態における、冷却装置を有する収納庫である冷蔵庫は、断熱箱体110を断熱区画して形成された貯蔵室である野菜室114を有する。またこの冷蔵庫は、液体のミストを噴霧する超音波霧化方式の噴霧部301を含むミスト噴霧装置302を有する。そして野菜室114を有する本実施の形態による冷蔵庫では、比較的低温である各貯蔵室へ低温冷気を搬送するため風路229を利用している。そして風路229側からの熱伝導により、噴霧部301に水を供給するための水収集板321が冷却される。水収集板321が露点以下に温度調整されることにより、空気中の水分を確実に生成し、給水部303などによりホーン310の噴霧先端部310Aに水が供給される。
また、噴霧部301が超音波霧化方式なため、水の供給が十分であれば、噴霧量は十分確保される。そのためON/OFF運転による噴霧量の調整が可能となり、さらに、実使用での運転時間が短縮され、構成部品の寿命信頼性が向上する。そして農作物表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で浮き上がらせ除去できるので水が節約される。
また、噴霧部301が超音波霧化方式なため、ミスト発生時にオゾンが発生せず、OHラジカルのみが発生する。そのため、特にオゾンに対する対策行わなくてもよく、部品構成と制御内容とが簡素になる。オゾンを用いる場合は、本実施の形態のようにオゾン発生体323を別途設ければよい。
また、噴霧部301に液体を供給する貯水タンク425Bを設けることにより噴霧部301は様々な機能水を噴霧することができる。機能水はたとえば酸性水、アルカリ水、またはビタミンなどを含んだ栄養水などである。このような機能水を野菜室114内に噴霧することにより、野菜室114に様々な新しい機能が追加される。
また、噴霧されるミスト粒子径を0.5μm以上20μm以下とすることにより、農作物表面の微細な凹部にミストが効率よく進入する。そのため、細部にわたるまで、農薬等の有害物質が除去される。
また、ミスト噴霧量を0.014g/h・L以上0.14g/h・L以下とすることにより、有害物質が効率的に除去されるとともに、農作物の水分が保持される。また、農作物の水腐れも防止される。
また、本実施の形態では噴霧するミスト中に放電によって発生するオゾンガスを溶存させるが、貯留水をオゾンあるいは反応性に富む機能水としても同様の効果が得られる。
また、本実施の形態においては、超音波霧化方式の噴霧部301を用いているので、ミストを微粒子化する際に高電圧を必要としない。そのため、冷却装置の冷媒にイソブタンやプロパンなどの可燃性冷媒を用いた場合で、万が一冷却装置から冷媒が漏れた場合にも安全性が保たれ、冷却装置の構成部品の配置に対して特別な工夫を行う必要がない。また、防爆対応などの特別な対応も必要がない。よって可燃性冷媒を用いた冷蔵庫に、振動エネルギーによってミストを生成するタイプの噴霧部301を適用することは、家庭用の冷蔵庫における安全性を損なわない。
また、本実施の形態においては、水収集板321を野菜室114内に設けることにより、外部から水を供給しなくてもよい。さらに加熱部328や送風部317を設けることにより結露量が調整できる。同時に、水収集板321の温度を変化させることにより庫内湿度も調整できる。
また、噴霧部301は、略円錐状に形成されたホーン310と、圧電素子311とを有する。圧電素子311はホーン310の一端面に接着されて一体化されている。このような超音波霧化方式の噴霧部301を含むミスト噴霧装置302は小型であり、かつ低入力で作動する。したがって野菜室114内に配置することが可能である。近年主流の冷蔵庫では、外形寸法が従来のままで庫内容量がより大きく設計されている。このようにして使用者の使い勝手が向上している。ホーン310は小型なため、このような冷蔵庫にも適用でき、ミスト噴霧装置302が庫内に延出することなく配置できる。そのため、庫内容量の減少を最小限にしながら、低入力かつ高出力のミスト噴霧装置302を設けることができる。これにより、省エネを図りつつ、冷蔵庫の使い勝手を向上させることができる。またミスト噴霧装置302の設置制約が少なく、冷蔵庫の設計に自由度を持たせることができる。また、ミスト噴霧装置302は低入力であるため消費電力の増加が抑えられるとともに、制御基板が小型でかつ低コストになる。
また、ミスト噴霧装置302自体の発熱量が抑制されるので、野菜室114内の温度上昇が抑制される。また欠水が生じた場合の異常発熱も抑制されるので、噴霧部301は長寿命になり、信頼性が向上する。さらに冷蔵庫内は低温雰囲気下であるため、噴霧部301の温度上昇が抑制される。その結果からも、噴霧部301は長寿命になる。
また、給水部303を設けることにより、効率的にかつ安定してホーン310の先端に水が供給される。そのため、噴霧部301は常時安定して噴霧し、野菜室114内にはミストが噴霧される。また、安定してホーン310の先端に水が供給されることで、ホーン310の先端での欠水が防止され、噴霧部301は長寿命になり、信頼性が向上する。
また、給水部303は、供給部304の近傍に設けられている。そのため、供給部304から給水部303によりホーン310の先端に水が補給される。これにより、効率よく野菜室114内に噴霧される。また、供給部304と給水部303とが近傍に位置しているので、供給部304からホーン310先端までの水の経路がコンパクトに、かつ簡素になり、設計自由度が向上する。
また、供給部304は、水を収集するために野菜室114内の空気中水分を結露させる水収集板321を有する。結露により生じた結露水は供給部30にて集められ、集められた結露水は給水部303によりホーン310の先端に常時安定して供給される。そのため、効率よく貯蔵空間にミストが噴霧される。
また、ホーン310は高熱伝導性の材質で構成されているので、ホーン310の先端部での発熱がホーン310全体に拡散する。また冷蔵庫内は低温雰囲気下であるため、噴霧部301の温度上昇が抑制される。その結果、噴霧部301は長寿命になり信頼性が向上する。
また、ホーン310の先端部が振動の腹部近傍に、圧電素子311の接着された面側に設けられたフランジ部312が振動の節部近傍に配置されている。そしてフランジ部312と直接的または間接的に冷蔵庫本体とが接続されている。そのため、振動の振幅が大きい腹部、すなわちホーン310の先端部でホーン先端に補給された液体を効率よく霧化させることができる。一方、振動の節部、すなわちフランジ部312では振幅が小さいため、直接的または間接的に接続された冷蔵庫への振動伝達が低減される。
また、ホーン310の噴霧先端部310Aとフランジ部312との間の長さを1/4波長とするモードで、圧電素子311が振動する。これにより、ミストを発生する噴霧先端部310Aとフランジ部312との間に、振動の腹部と節部とが1つとなる。このように振動の腹部と節部とが複数存在しないため、ホーン310の小型化が可能である。またエネルギーの分散や減衰が低減されるため、効率が向上する。また、小型のホーン310の設置制約は少なく、設計自由度が得られるとともに、貯蔵空間が大きくなる。具体的には、ホーン310の長さを1mmから20mmとすることができる。このように、ホーン310を小さくすれば、冷蔵庫の設計自由度を得られ、貯蔵空間が大きくなる。
また、ミスト噴霧装置302周辺にカバー部材306を設けることにより、使用者がミスト噴霧装置302の内部に直接触れることがない。そのため、安全性が向上する。
なお、噴霧部301におけるホーン310は略円錐状に形成されている例を説明したが、これに限定されない。先端での振動の振幅を増幅させる形状であれば同様の効果が得られる。例えば、圧電素子311側から先端に向け先細り形状として、ホーンの先端部において略長方形形状にすることも可能である。この構成ではミストを噴霧させる面積が円形状に比べて大きくなるので、噴霧範囲が拡大され拡散性が向上する。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5による冷蔵庫では、以上説明した実施の形態3、実施の形態4における各ミスト噴霧装置120、302を組み合わせて用いる。このような複合型のミスト噴霧装置による農薬除去効果と、野菜室114に貯蔵される農作物の保鮮効果、野菜室114内の壁面の防汚効果について、ミストの粒子径と噴霧量との観点から説明する。
図20は本実施の形態におけるミストの粒子径と噴霧量と、それぞれの効果との相関関係を示す図である。図20は、70Lの野菜室を5℃の雰囲気温度に保った上で、静電霧化方式と超音波方式でミストの粒子径と噴霧量を可変させてそれぞれの効果が現れる範囲を示している。実施の形態3、4によるミスト噴霧装置120、302の能力を調整することで、両者の粒子径と噴霧量との適正数値がオーバーラップしたような範囲がカバーされる。図20により、実施の形態3,4によるミストの粒子径と噴霧量と、それぞれの効果とには、それぞれ適正な範囲があり、互いにずれていることがわかる。
まず、野菜の蘇生について説明する。野菜の水分含有量を高めるためには、気孔が最大に開いた状態での気孔径以下の粒子径になっていないと、噴霧するミストが野菜の内部に物理的に入りこむことができない。気孔は野菜の表面にあり水分の調節を行っている。また、実験の結果によると、光を照射しない場合、ミストの粒子径が細胞間隙幅以下であれば水分含有量復元率が高くなる。すなわち、ミストが細胞間隙から活発に侵入し、野菜の水分含有量復元効果が大きくなる。逆にミスト径が小さくなりすぎると、ミストと気孔との接触頻度が少なくなり、野菜の蘇生率が低くなる。
一方、ミストの噴霧量は、野菜室114内の相対湿度を野菜内部の湿度と平衡状態に保てる量以上とする必要がある。ただし、噴霧量が多すぎると野菜が水腐れなどにより品質が低下する。噴霧量はこのような状況を生じない量以下とする必要がある。
また、静電負荷されたミストと野菜とには電位差が生じ、ミストの野菜付着率が高くなる。そのため同一粒子径の場合、静電負荷したミストを多く含む方が、少ない噴霧量でも野菜の蘇生率が高い。
次に野菜表面の農薬等の有害物質の除去について説明する。なお本実験にあたっては、一般的な野菜の農薬であるマラチオンを野菜表面に付着させオゾンミスト雰囲気の中に12時間置く。一方、同量のマラチオンを野菜表面に付着させ12時間ミスト雰囲気でない通常の野菜室に置く。これらを、それぞれ笊に入れて10秒間流水洗浄を行い、マラチオンの除去率がミスト雰囲気でない通常の野菜室に置いたものに比べて50%以上のものを適正範囲として表示している。
ミスト粒子径については、野菜の凹凸幅以下で、かつ拡散性のある微細粒子である場合に農薬除去効果が高い。粒子径が小さすぎると、農薬との接触頻度が少なくなり、除去率が低くなる。一方、野菜の蘇生と同様、静電負荷されたミストと野菜との接触頻度は高いため、静電負荷されたミストの割合が多いほど少量の噴霧量で除去効果がある。またこの場合、野菜の蘇生のように野菜の内部までミストを供給する必要はなく、ミストの供給は野菜表面に限られる。そのため、必要な噴霧量も野菜蘇生より少ない。また同一量噴霧した場合、粒子径による農薬除去効果の差はほとんどない。除去効果の大きさは噴霧量よりもミスト中のオゾンやOHラジカル等の分解能力を有する物質の量に左右される。静電霧化方式にて発生されたミストは、微細になるほどラジカル個数は増える。そのため静電負荷したミストを多く含む方が、農薬除去効果も高くなる。
次に冷蔵庫庫内の防汚効果について説明する。冷蔵庫の庫内の壁面にミストの水粒子が満遍なく付着すると、庫内の壁面に直接汚れ物質が付着することが防止される。冷蔵庫庫内の防汚効果とは、このような効果を意味する。このように汚れ物質が水粒子を介して庫内の壁面に付着している場合には、例えば庫内壁面を拭くだけで、簡単に汚れを落とすことができ、冷蔵庫内の掃除が非常に簡単となる。
防汚効果の確認については、各粒子径で所定の噴霧量のミストを充満させた70Lの野菜室114内において、一般的な冷蔵庫内の樹脂であるABS樹脂に汚れ物質を吹きつける。その後、一定時間後に汚れをふき取った際に、汚れ物質が残らない範囲を適正範囲としている。
図20に示すように、庫内樹脂の凹凸幅以下の粒子径で、かつ拡散性のある微細粒子は防汚効果が高い。また、庫内壁面にミストが付着した際に水滴として目に見える粒子径では結露を生じ、庫食品が品質劣化を起こす可能性がある。そのため、噴霧するミストの粒子径は壁面に付着したミストが目に見えないレベルの水滴となる粒子径である必要がある。また、噴霧量は野菜蘇生や農薬除去の噴霧量よりも多い。これは、防汚効果を発揮するためには、壁面に満遍なく水粒子を付着する必要があり、多量のミストを噴霧する必要があるためである。ミストを静電霧化方式にて発生させた場合、農薬等の除去効果と同様、粒子径が小さいほど、酸化分解力の高いラジカル個数が多くなる。そのためミストの酸化分解能力が高くなるとともに、汚れとの接触頻度が上がり、付着する汚れの分解効果が高くなると考えられる。しかし、粒子径が小さすぎるとミストの壁面到達率が低下し、防汚効果が低くなる。
このようにミストの粒子径と噴霧量との関係によって、冷蔵庫の庫内における様々な有用な効果が得られる。すなわち、得たい効果が複数実現されるようなミスト噴霧を行うことで、冷蔵庫の使い勝手がより向上する。
次に、このように複合型のミスト噴霧装置を用いた場合のミスト粒子径の適切な範囲について説明する。図21Aは本実施の形態における農薬除去効果とミストの水粒子径との関係を示す図である。なおこの実験においても、実施の形態3と同様に、マラチオンを約3ppm付着させたミニトマト10個を用いる。そしてミスト噴霧装置で発生させたミストを24時間連続噴霧処理した後、ミニトマトの残留マラチオン濃度をGCにて測定し、除去率を算出する。なお、このときの噴霧量は0.03g/h・Lである。
図21Aから明らかなように、農薬除去率を50%以上とするためには、ミスト粒子径を0.003μm以上20μm以下とする必要がある。農作物の凹凸幅以下のミスト粒子径で、かつ拡散性のある微細ミスト粒子が、高い農薬除去効果を有する。そのため、ミスト粒子径は20μm以下であることが好ましい。なお粒子径が小さくなりすぎ0.003μm未満になると、農薬との接触頻度が少なくなり、除去率が低くなると考えられる。
次に、このように複合型のミスト噴霧装置を用いた場合のミスト粒子径、噴霧量の適切な範囲について説明する。図21Bは本実施の形態における農薬除去効果とミスト噴霧量との関係を示す図である。
図21Bは本発明の実施の形態5による農薬除去効果のミストの噴霧量に対する特性を示した図である。本実験では粒子径0.5μmのミストを70Lの野菜室114内に噴霧する。噴霧時間は図21Aの実験と同様、12時間である。
図21Bより明らかなように、農薬であるマラチオンの除去効果はミスト噴霧量が多いほど高くなる。マラチオン除去率を50%以上とするためには、噴霧量は0.0007g/h・L以上に制御する必要がある。この下限値は静電霧化方式でミスト噴霧した場合に得られた値と同じである。すなわち、下限値は静電霧化方式により決定される。
一方、噴霧量が0.14g/h・Lを超えると農薬除去効果はあるものの野菜表面に余分な水分が付着し、水腐れを生じ、野菜の品質が低下する。ただし、噴霧量が0.14g/h・Lを超えても、野菜を振動させて、余分な水分を落とさせるなど、水腐れを防止できれば噴霧量を増加させてもよい。その場合でも野菜の品質維持の観点から、噴霧量は0.5g/h・L以下とすることが好ましい。このように上限値は超音波振動方式により決定される。
(実施の形態6)
図22は本発明の実施の形態6における冷蔵庫の断面図である。図23は図22に示す冷蔵庫のミスト噴霧装置近傍の縦断面図である。なお、図23は、ミスト噴霧装置の制御系のブロック図を兼ねており、電圧印加部409や制御部414の位置を示しているわけではない。
図22に示す冷蔵庫が図5に示す冷蔵庫と異なっている点は、野菜室114の天面の仕切板111Bに設けられた噴霧部431の構成である。これ以外の基本的な構成は図5に示す冷蔵庫と同様である。
図23に示すようにミスト噴霧装置404は静電霧化方式の噴霧部431を有する。噴霧部431の外郭は円柱形のホルダー405で構成されている。ホルダー405の中には印加電極406が設置されている。印加電極406の周囲は保水材407で覆われている。保水材407は結露水を保持し、印加電極406は球状先端まで含水状態となっている。すなわち、保水材407はミスト噴霧装置404を構成する印加電極406に供給される水を保持する保持部である。保水材407はホルダー405の庫内側開口部には中心に開口を有する板状の対向電極408が配置されている。対向電極408は印加電極406の先端と一定距離を保つように取り付けられている。高電圧を発生する電圧印加部409の負極側は印加電極406に、正極側は対向電極408にそれぞれ電気的に接続されている。
また、噴霧部431には、印加電極406の先端温度を検知するための温度検知部412が配置されている。制御部414は温度検知部412からの信号などを受信し、あらかじめ決められた演算を行い、構成部品を動作させる。印加電極406背面には、印加電極406の先端温度を制御する加熱部413が設けられている。
仕切板111Bは主に発泡スチロールなどの断熱材で構成されており、その厚さは30mm程度であるが、噴霧部431の背面では5mmから10mmの厚さに構成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
実施の形態4で述べたように、野菜室114は、蒸発器102からの冷気の配分等により4℃から6℃になるように調整され、一般的には庫内温度検知部をもたない。また、野菜室114内部は、食品からの蒸散と扉開閉による水蒸気の侵入により高湿である。
この冷蔵庫では、野菜室114の上に切替室113や図示しない製氷室が設けられている。これらの貯蔵庫内の温度は野菜室114内の温度より低い。噴霧部431が設置されている仕切板111Bの厚さは、印加電極406を冷却するための冷却能力が必要である。そのため、噴霧部431が設けられている箇所の壁厚は他の部分より薄く構成されている。ここで、印加電極406の先端温度を露点温度以下にすれば、印加電極406近傍の水蒸気は印加電極406に結露し、水滴が確実に生成される。具体的には、制御部414が印加電極406近傍に設置されている温度検知部412により先端温度の状態を把握する。そして制御部414は加熱部444をON/OFF制御もしくはDuty制御を行い、印加電極406の先端温度を露点温度以下に調整する。このようにして高湿空気に含まれる水分が印加電極406上に結露する。なお、図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などがあれば、制御部414はあらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点温度を割り出すことができる。また印加電極406先端に氷や霜がついた場合でも、制御部414は加熱部444により印加電極406先端の温度を融解温度まで上昇させる。このように噴霧部431では霜や氷を融解することにより適度に水が生成する。
印加電極406は保水材407に覆われている。そのため、印加電極406表面は一定量の含水状態となる。この状態で印加電極406を負電圧側、対向電極408を正電圧側として、電圧印加部409がこの電極間に高電圧(例えば4.6kV)を印加させる。このとき例えば3mmの距離に設定された電極間でコロナ放電が起こる。これにより印加電極406上の水が先端から霧化し、微細ミストとなる。このミストは電荷をもち、目視できない1μm未満のナノレベル粒子径である。またミストの生成に付随して、オゾンやOHラジカルなどが発生する。発生したオゾンはミストと即座に混合され、低濃度のオゾンミストとなる。
発生したミストは、野菜室114内に噴霧される。このミストはマイナスの電荷を帯びている。野菜室114内に収納された農作物は通常、プラスの電荷をもつ。よって、ミストは農作物表面に集まりやすい。またミストには、オゾンやOHラジカルなどが含まれている。そのため、ミストが農作物表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解する。
以上のように、本実施の形態における、冷却装置を有する収納庫である冷蔵庫は、断熱箱体110を断熱区画して形成された貯蔵室である野菜室114を有する。またこの冷蔵庫は、液体のミストを噴霧する静電霧化方式の噴霧部431を含むミスト噴霧装置404を有する。噴霧部431は水に電圧を印加する印加電極406と、印加電極406に対向する位置に配された対向電極408と、印加電極406と対向電極408との間に電圧を印加する電圧印加部409とを有する。
そして比較的低温である別の貯蔵室の低温冷気を冷却源として、熱伝導により印加電極406が冷却される。また、加熱部413により印加電極406の先端温度が露点以下に温度調整されている。これにより、空気中の水分が確実に印加電極406先端に結露する。すなわち、印加電極406は野菜室114内の空気から水分を抽出する水収集部として機能する。
また、印加電極406の背面に設けられた加熱部413により印加電極406の先端温度を微調整することにより、結露の発生量が調整される。また、印加電極406の先端に氷や霜が生成しても、加熱部413がこれらを融解することより水滴にすることができ、確実に噴霧部431内に水が供給される。
また、収集した水は保水部407により印加電極406の先端に供給される。そしてその水は印加電極406により野菜室114に微細ミストとして噴霧され、確実に農作物表面に付着する。その際、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより農作物表面の有害物質が除去される。また野菜室114内の脱臭や防汚などの効果が高まる。
また、保水材407自体には直接、風が流れにくい。そのため保水材407の乾燥が防止され、保水材407は印加電極406の先端に十分な水を供給する。
また、噴霧されたミストは直接、野菜室114内の農作物に噴霧される。そのため、ミストと農作物との電位差を利用して農作物表面にミストを付着させることができる。したがって少量の水で効率よく農薬等の有害物質が除去される。
さらに、水収集部である印加電極406は、噴霧部431の上部から吊られるように設置されている。そのため印加電極406で捕捉された結露水は、重力により自然落下して先端方向へ向かう。これによりポンプやキャピラリなどの送水部を用いずにミスト噴霧装置404に水を安価に供給することが可能となる。
さらに、印加電極406の周囲に保水材407が配設されている。これにより、結露水が印加電極406の周囲に保持され、印加電極406に適時に供給される。さらに、保水材407を振動させないので材料の収縮による劣化が防止される。
また結露水は水道水のようにミネラル成分や不純物を含まない。そのため、保水材407の劣化や目詰まりによる保水性の低下が防止される。
なお、ミスト発生時にオゾンも発生するが、ミスト噴霧装置404のON/OFF運転により、野菜室114内のオゾン濃度は調整される。このようにしてオゾン濃度を適度に調整することにより、オゾン過多による野菜の黄化などの劣化が防止されるとともに、野菜表面の殺菌、抗菌作用が高まる。
次に、噴霧部404にミストを発生させるための水等の液体をより確実に供給する構成について説明する。図24は本実施の形態における噴霧部近傍の他の構成を示す縦断面図である。
野菜室114の天面を構成する仕切板111Bには冷蔵庫の扉400A側から庫内仕切り奥面に向けて、貯水タンク425、噴霧部431が順に設けられている。貯水タンク425の中には供給水426が貯留されている。噴霧部431の周辺には食品や人が触れないように孔の開いたカバー部材501が設けられている。このようにしてミスト噴霧装置404Aが構成されている。
貯水タンク425は人が着脱しやすいように野菜室114の扉400A側、すなわち前面側に設置されている。貯水タンク425には噴霧部431に供給するための供給水426が蓄えられている。また供給水426を噴霧部431へ給水するために給水部441と給水経路442が設けられている。給水部441は例えば、ギアポンプや圧電ポンプ、キャピラリなどであり、噴霧部431の印加電極406の先端やその周囲の保水材407に給水する。ここで、給水量は野菜室114に噴霧される量とほぼ等しい。なお図24には図示していないが、図23と同様に制御部414と電圧印加部409が設けられている。制御部414はさらに給水部441の動作をも制御する。
以上のように構成されたミスト噴霧装置404Aの動作・作用を説明する。例えば、野菜室114に噴霧が必要と判断されたとき、制御部414は、まず給水部441を動作させ、給水経路442を利用して印加電極406の先端に給水する。野菜室114への噴霧の必要性は、野菜室114内の湿度を検知する野菜室湿度検知部(図示せず)により制御部414が行う。あるいは使用者が判断してミスト噴霧装置404Aの作動スイッチ(図示せず)により制御部414に伝える。印加電極406の先端に水が供給されると、電圧印加部409は印加電極406と対向電極408との間に高電圧をかける。これにより発生する微細ミストが野菜室114内に噴霧される。
噴霧部431は天面部の仕切板111Bに設けられた凹部420に埋め込まれている。また、噴霧部431は野菜室114の天面奥部に設置され、カバー部材501がその周囲に設置されている。このように使用者が噴霧部431に触れないようにして、安全性が確保されている。また底面部501Aが、貯水タンク425の底面425Aよりも上になるように、カバー部材501が配置されている。このように構成されたカバー部材501は、引き出し式の扉400Aによって前後に可動する野菜容器228の可動動作に影響を与えない。
容器228内には農作物である野菜が収納されている。特に緑の菜っ葉ものや果物等が保存されている場合、これらの青果物は通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧されたミストは野菜室114内を高湿にすると同時に青果物の表面に付着する。このように帯電する農作物の表面および庫内壁面にミストが電気的に付着する。さらに、ミストは農作物の表面の微細な凹部にまで侵入し、残留農薬やワックスなどの有害物質をその内圧エネルギーによって浮き上がらせる。
また、静電霧化方式で微細ミストを生成することにより、ミスト発生時と同時に微量のオゾンが発生する。このオゾンはミストと即座に混合して、低濃度のオゾンミストが生成される。また、ミストに静電付加することにより、ミスト中の水分子がラジカル化し、OHラジカルが生成される。そのためオゾンの酸化力に加え、OHラジカルの酸化力により、浮き上がった有害物質はオゾンの酸化分解作用によって、酸化分解除去される。あるいはミストが電気的に農作物表面の微細な凹部にまで進入した後、ミストに含まれるオゾンやOHラジカルは残留農薬やワックスと化学反応する。そのため残留農薬やワックスの親水性が高まり、ミスト中に取り込まれ分解除去される。
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵庫の野菜室114の天面に位置する仕切板111Bに貯水タンク425が扉400A側に設けられている。すなわち使用者からみて前面側に貯水タンク425が設けられている。特に貯水タンク425が着脱式である場合には、水の交換、追加、清掃が容易となり使い勝手が向上する。また、噴霧部431が貯水タンク425よりも奥側に設けられているため、使用者が噴霧部431、特に噴霧先端部406Aに触れることが防止され、安全性が高まる。さらに、噴霧部431の下端431Aが貯水タンク425よりも奥側でかつ貯水タンク425の下端面である底面425Aよりも上に配置されている。そのため使用者から噴霧部431が見えにくく、野菜室114内の美観が損なわれない。また使用者が噴霧部431により触れにくくなるので、使用者の安全性がより高まる。また、噴霧部431への食品や人の接触が防止されるので、外力による信頼性の低下が防止される。
また、噴霧部431の庫内への出っ張りをより抑えるために、噴霧部431は仕切板111Bに設けられた凹部420に埋め込まれている。これによって、庫内容積を減少させることなく、かつ食品の収納に影響を与えずに、野菜室114内に噴霧部431が設けられる。
さらに、噴霧部431を覆うカバー部材501を設けることで、食品や人が接触することがより防止される。
また、噴霧部431をカバー部材501で覆った場合でも、底面部501Aは、貯水タンク425の底面425Aより上に配置されている。これによって庫内容積の減少を防いだ上で、より噴霧部431を設けられた野菜室114の美観と安全性とが向上する。
なお、貯水タンク425は着脱式として説明しているが、これに限定されない。貯水タンク425が固定式であって、例えば水道水、もしくは冷蔵庫内の水分を利用して生成した貯留水等を自動で供給してもよい。このようなタイプのミスト噴霧装置404Aでも、上記のように噴霧部431を貯水タンク425よりも奥側に配置することが好ましい。これにより使用者が噴霧部431に触れることが防止され、安全性が高まる。さらに、貯水タンク425よりも奥側でかつ貯水タンク425の底面425Aよりも上に噴霧部431を配置することで、使用者から噴霧部431が見えにくくなる。そのため、野菜室114内の美観を損なうことなく野菜室114に噴霧部431を設けることができる。また、より使用者が噴霧部431に触れにくくなるので、使用者への安全性が高まる。そして、噴霧部431への食品や人の接触が防止されるので、外力による信頼性の低下が防止される。
なお、本実施の形態では静電霧化方式の噴霧部431を用いているが、これに限定されない。超音波霧化方式等の別方式の噴霧部を用いてもよい。その場合も、貯水タンク425と噴霧部との配置関係を上記と同様にすることにより、冷蔵庫の使い勝手や安全性が向上する。
以上のように図24の構成では、印加電極406周辺をより高湿にすることにより、印加電極406と対向電極408間の空気放電が抑制される。そのため発生オゾン濃度が低減され、家庭用の冷蔵庫等に適用した場合でも、使用者への安全性が確保される。
また図24の構成では、噴霧部431が仕切板111Bに設けられた凹部420に埋め込まれて、他の部分より仕切板111Bの厚みが薄い。そのため印加電極406の先端が冷却されて結露が容易になる。ただし、図24に示すように貯水タンク425を設けて印加電極406に給水する場合、印加電極406上で結露させなくてもよい。その場合、温度検知部412や加熱部420等を設けなくてもよい。
また図24の構成では、静電霧化方式の噴霧部431を用いているが、超音波霧化方式の噴霧部を用いた場合には、特に噴霧先端部が乾燥すると、噴霧部がヒートアップする。そのため信頼性の低下が懸念される。このように超音波霧化方式の噴霧部を用いる場合でも、給水部441の動作後に噴霧部を駆動することで、噴霧先端部の乾燥が防止され、ミスト噴霧装置の信頼性が向上する。
(実施の形態7)
図25は本発明の実施の形態7における冷蔵庫の野菜室近傍の正面図である。図26は図25に示す冷蔵庫の野菜室近傍のA−A線での縦断面図である。
野菜室114には、野菜や果物を貯蔵するための容器228Aが配置されている。冷蔵庫外郭には容器228Aを保持するレール部材512が設けられている。レール部材512に保持された容器228Aは、扉400Aの開閉に合せて前後に動く。さらに、野菜室114内には、容器228とほぼ別区画に仕切られた特定容器228Bが配置されている。扉400Aの閉時にのみ、蓋514は特定容器228Bをほぼ密閉している。蓋514は光透過性の素材からなり、一部に孔が開いている。なお、図26では容器228Aを省略している。蓋514は図26に示すように、扉400A側は特定容器228Bの内側に、庫内奥側は特定容器228Bよりも奥になるよう配置されている。
特定容器228B内には、着脱可能な貯水タンク425Cが扉400A側、すなわち前面側に設けられている。そして仕切板11Bの奥側には噴霧部431が取り付けられている。静電霧化方式の噴霧部431の基本的な構成は実施の形態6と同様である。蓋514の、噴霧部431近辺には、噴霧部431の外形寸法より若干大きめの孔517が設けられている。この構成により、蓋514は噴霧部431に対して移動が制限されている。蓋514は、扉400Aの開閉に伴って動く。扉400Aの閉時には、蓋514は特定容器228Bをほぼ密閉する。また扉400Aの開時には、特定容器228Bから外れ、本体側に保持される。そのため扉400Aを開けた状態では特定容器228Bの上面は開口されている。
容器228Aには、特定容器228Bを保持するための保持部515が設けられている。保持部515は特定容器228Bに設けられた突起部516を保持する。図26では特定容器228Bが庫内奥側まで設けられているが、特定容器228Bの奥行きが容器228Aの奥行きよりも充分小さい場合には、保持部515は特定容器228Bを引き出す際の、レールとして機能する。
仕切板111Bには、照射部523と拡散板524とが設けられている。照射部523は特定波長の光を特定容器228B内に照射して、特定容器228B内の農作物に影響を与える。拡散板524は、特定容器228B内を均一に照射し、かつ、光源である照射部523をカバーしている。照射部523は、特定容器228B上方の投影面に設置され、特定容器228B内に透明な蓋514を通して光を照射する。
以上のように構成された冷蔵庫の野菜室114の動作・作用を説明する。野菜室114に収納される食品は、近年、多岐にわたる。例えば、ペットボトルのような高湿を必要としない飲料品も収納され、その用途は千差万別である。野菜の中にも、ほうれん草などの葉野菜は、比較的、低温高湿を好むが、しいたけなどは高湿度を好まない。また、ジャガイモなどの穀物は、10℃前後を好む。本実施の形態では、特定容器228Bが容器228A内に設けられている。これにより保存野菜に応じた空間環境が提供される。また、特定容器228Bと蓋514とはほぼ閉じられた空間を形成している。そして貯水タンク425Cからの水の蒸発により、特定容器228B内は高湿になっており、そのため、ほうれん草などの葉野菜の保存に適した空間になっている。
この高湿化された特定容器228Bの内部空間の上部には、噴霧部431の少なくとも噴霧先端部406Aが設けられている。噴霧部431と貯水タンク425Cとは高湿な空気中の水蒸気を利用して静電霧化方式でミストを噴霧するミスト噴霧装置を構成している。実施の形態6で述べたように、噴霧部431は背面からの冷却を利用して結露させる。そのため、仕切板111Bの、噴霧部431を取り付けられた部分には凹部420Aが設けられている。このような構成により、噴霧部431は電荷をもった目視できないナノレベルの微細ミストを発生し、特定容器228B内に噴霧する。前述のように、静電霧化方式で発生した微細ミストは、発生時に電荷をもつと同時に微量のオゾンとOHラジカルなどを発生する。そのため、オゾンの酸化力に加え、OHラジカルの酸化力を有する。ミストは野菜や果物表面の微細な凹部まで浸透し、残留農薬やワックスなどの有害物質をその内圧エネルギーによって、浮き上がらせる。そして、オゾンの酸化分解作用によって、酸化分解除去する。ミストは場合によっては、電気的に野菜や果物表面の微細な凹部にまで進入し、残留農薬やワックスと化学反応し、残留農薬やワックスの親水性を高め、ミスト中に取り込み分解除去する。
このように、少なくとも噴霧先端部406Aは特定容器228B内に設けられている。そのため農作物が収納されている特定容器228Bに対して直接的にミスト粒子が噴霧される。このように噴霧先端部406Aと農作物との距離が短い。そのため、例えば特定容器228B外でミストを噴霧してから特定容器228B内へ送り込む場合と比較して、ミスト粒子の気化が防止される。また浮遊状態におけるミストの流速が高まるので、農作物表面へのミストの付着率が高まる。
また、噴霧先端部406Aは特定容器228B内に設けられるとともに、貯水タンク425Cは噴霧部431が設けられている区画とは別の区画に設けられている。すなわち、貯水タンク425Cは断熱箱体110の、噴霧先端部406Aとは別の区画内に設けられ、水を保持して噴霧部431に水蒸気を供給する供給部である。この構成では、貯水タンク425Cの配置位置が噴霧部431の配置位置に影響されない。そのため、貯水タンク425C内への水の補給や貯水タンク425C内の清掃が容易となるような任意の位置に貯水タンク425Cを設けることができる。このように使用者の使い勝手が向上する。
このように噴霧部と貯水タンクとの配置を離すことによって、使用者の使い勝手が向上する。このような効果は、本実施の形態のような噴霧部431以外の、例えば超音波霧化方式の噴霧部やその他の霧化方式を用いても、同様に得られる。
また、同じ野菜室114の内部で、ミストを噴霧する区画である特定容器228Bと、ミスト噴霧を行わない容器228Aとが配置されている。これにより、保存野菜に応じた空間環境が提供される。使用者は用途に応じて野菜室114の機能を使用することができるので、冷蔵庫の使い勝手と農作物の保存性とが大きく向上する。
照射部523は、ミストが噴霧されて高湿度となる特定容器228Bの外部に設けられている。これによって、照射部523の周辺は高湿度にならず、照射部523への結露による信頼性の低下が防止される。
図25、図26では、照射部523は特定容器228Bの上側に設けられている。照射部523と特定容器228Bとの間に位置する蓋514は光透過性の材質で構成されている。これ以外の位置に照射部523を設けてもよい。例えば、照射部523は特定容器228Bの側面部や底面部に設けてもよい。そのような場合、少なくとも照射部523と特定容器228B内の空間との間に位置する部分の特定容器228Bの素材を光透過性の材質で形成する。これにより特定容器228Bの上側以外に配置されても、照射部523は特定容器228B内の野菜に光照射を行うことができる。
次に照射部523の種類とその効果について説明する。まず、照射部523が400nm以上500nm以下の波長を含んだ青色光を発する場合について説明する。この場合、例えば照射部523を青色発光ダイオード(LED)により構成する。これにより、蓋514を通して光照射された、特定容器228B内の農作物野菜は、光刺激により生態活動が促される。具体的には気孔が開孔し、表面についたミストや水滴を吸収する。これにより農作物の水分含有量と重量とが増加し、みずみずしさが維持される。
また、照射部523に紫外線領域を含む波長を有するLEDを用いる。この場合には、噴霧されるミストが殺菌されるとともに食品表面も殺菌される。そのため、食品の安全性が高まる。このような光を照射することで、特定容器228B内の壁面や食品の表面に付着している微生物の増殖機能が不活性化する。そのため、微生物によって生じる食品の変色や腐敗臭、貯蔵品表面のネト発生が遅れる。すなわち、特定容器228B内部の衛生性が保たれる。さらに、光源として発熱量の小さいLEDを用いているので、野菜室114内の温度上昇が防止され、食品の保存性が安定する。
また、特定容器228B内は噴霧部431を動作させずに、照射部523のみを動作させることも可能である。例えば、きのこ類や魚類には、骨や歯の成長に欠かせないビタミンDの前駆物質を多く含むものがある。それらを保存する場合に紫外線を照射すると、分子が励起され、ビタミンDへと変換される。よって、紫外光を含む光源を野菜室114内に設けることで、野菜室114内の特定の食品、例えばしらすぼしのビタミンD含有量を保存前と比較して高めることができる。保存される食品は農作物に限らず、このように熟成を目的とした食品を保存することで特定容器228Bを、熟成機能を持つ空間として利用することも可能である。
以上のように、本実施の形態においては、野菜室114内に特定容器228Bとその空間を略密閉するための蓋514とが設けられている。特定容器228B内の前面には貯水タンク425Cが設けられ、奥面上方に、ミスト噴霧装置に含まれる静電霧化方式の噴霧部431を有する。これにより、特定容器228B内に保存された農作物にミストが噴霧され、有害物質が浮き上がり、また分解される。また高湿環境を好む農作物に対してのみ加湿より保鮮性を向上させることができる。このように野菜室114内部で、野菜の種類によって最適な保存環境を提供することができる。
また、照射部523によって、特定の波長を選択した光を照射し、かつ噴霧部431にて気孔を通過できる微細ミストを適量噴霧する。これにより、さらに特定容器228B内の保存環境の幅が広がり、使用者のニーズおよび保存野菜に応じた空間環境を提供することができる。
また、特定容器228Bの前面に貯水タンク425Cが設けられているため、水の補給、水の交換、追加、清掃が容易などの使い勝手がよい。また、噴霧部431は人が触りにくい奥面上方に設置されているため、安全性が高い。しかも、扉400Aが閉まっている状態においては、蓋514が噴霧部431を覆っているので、野菜室114内の冷気に直接さらされないためさらに安全性が高い。
また、照射部523は特定容器228Bの外に設置されているため、結露による配線不良などを起こす可能が低くなり、信頼性が向上する。また、蓋514は、光透過性の材質で構成されていることにより照射部523の発する光を容器内に通すことができる。
また、本実施の形態では、特定容器228Bがほぼ密閉空間になっている。そのため野菜室114等の貯蔵室内を冷却する冷却装置冷媒にイソブタンやプロパンなどの可燃性冷媒を用いた場合でも安全である。すなわち、万が一冷媒が漏洩した場合でも、特定容器228B内がほぼ密閉されているため可燃濃度に到達することがない。また、噴霧部431が上部に配置されていれば、特に空気より比重の重い可燃性冷媒を用いた場合に安全性が損なわれない。これは万が一冷媒が漏洩した場合でも、漏洩したイソブタンは下部に滞留するためである。
なお、照射部523は青色光を発する以外に、紫外線を発してもかまわない。この場合、噴霧されるミストを殺菌するとともに食品表面も殺菌でき、食品の安全性を高めることができる。さらに、後述する実施の形態のように、農作物に付着した有害物質の分解が促進される。
なお、本実施の形態においては、特定容器228Bは野菜室114内のミスト噴霧を行わない容器228Aと隣接して設けられたが、例えば特定容器228Bはミストを行わない容器228Aの上部でかつ野菜室114の高さの半分程度の容器で設けられることもある。その場合、ミストを行わない容器228Aに収納した野菜を取り出す場合には、上部に位置する特定容器228Bを後方へスライドさせることができ、ミスト噴霧される特定容器228Bの深さを浅くすることで、ミストが底部に溜まることを避けることで、野菜の隅々までミストを行き届かせることができる。また、野菜室114に一般的な野菜を入れる場合に、野菜室114の上下の空間を2段の容器で有効に使うことができ、野菜室114の収納量を増加させ、使用者の使い勝手を向上させることが可能となる。
(実施の形態8)
図27Aは本発明の実施の形態8における冷蔵庫の側断面図である。図27Bは図27Aに示す冷蔵庫の概略を示す部分正面図である。
この冷蔵庫が実施の形態3の図5に示す冷蔵庫と異なる点は、噴霧部123に代えて実施の形態1の図1に示す噴霧部76を有する点である。噴霧部76は、野菜室114の天面に設けられている。また噴霧部76に給水する貯水タンク72Aが冷蔵室112内の背面側に設けられている。なお、図27Bに示すように、切替室113の隣には製氷室227が設けられている。貯水タンク119から給水経路73が製氷室227と野菜室114とへ水を供給している。これ以外の基本的な構成は図5に示す冷蔵庫と同様である。
以上のように構成された冷蔵庫では製氷用の貯水タンク72Aから給水経路73を利用して噴霧部76へ水が送られる。そのため、専用のタンクを設けなくても噴霧部76に水を供給することができる。そして野菜室114と別の貯蔵室である冷蔵室112内に貯水タンク72Aが設けられているので、野菜室114の内容積に影響せず、食品収納量に影響しない。また、使用者が外部から水を供給する必要のあるタンクが製氷用とミスト噴霧用とで一つとなる。これにより、ミスト噴霧専用の貯水タンクを別個に設ける場合と比べて、使用者の貯留水の供給の手間を省くことができる。また貯水タンク72Aの水切れの可能性が低くなる。
なお、本実施の形態においては、貯水タンク72Aを設け、外部から供給された貯留水が噴霧部76に供給される。これ以外に、何らかの方法で野菜室114内の空気内に含まれている水分を抽出して噴霧部76に供給してもよい。例えば、噴霧部76を野菜室114の奥に配置し、実施の形態4で説明した供給部304を設けてもよい。このように冷蔵庫の除霜水や庫内の結露水等を用いて、貯留水を確保できれば、使用者が外部から貯留水を供給する手間がかからず使い勝手がより向上する。
また、本実施の形態では、噴霧部76への給水経路73は貯水タンク72Aから水を吸い上げ、その後分岐して、製氷室227と野菜室114との両室に送水する。そのため、部品点数の少ない、簡単な構成で両室に給水することができる。
なお、製氷用の貯水タンク72Aをミスト噴霧用と兼用した上で、製氷室227用、野菜室114用にそれぞれ独立した給水経路を設けてもよい。その場合には、それぞれの必要応じたタイミングで随時水補給を行うことが可能となる。例えば両室同時に給水が必要な時にでも任意に水を供給することができる。
また、噴霧部76を野菜室114天面の奥側に配置することで、貯水タンク72Aを製氷用と兼用する場合でも、冷蔵庫の奥側で給水経路73を構成することができる。例えば、給水経路73を取り外して洗浄が可能な構成の場合でも、給水経路73が短く、略垂直状といった簡単な経路とすることができる。このように簡略に構成されるので、給水経路73は洗浄しやすく、衛生性が高い。また、噴霧部76を野菜室114天面の奥側に配置することで、噴霧部76と庫内収納食品との接触が防止される。そのため、噴霧先端部の汚れ付着が防止され、噴霧先端部の噴霧能力が長寿命になる。また安易に使用者が触れられないため、使用者への安全性が向上する。
なお、実施の形態6と同様に、噴霧部76の野菜室114内への露出部分にカバーを設けることで、さらに汚れ付着防止効果や、安全性が向上する。
(実施の形態9)
図28、図29は本発明の実施の形態9における冷蔵庫の野菜室付近の側面断面図と正面断面図である。図30は図29におけるA−A断面を示す要部断面図、図31はB−B断面を示す要部断面図である。図32は本実施の形態において噴霧されるミストの粒子径分布割合を示すグラフである。
この冷蔵庫の断熱箱体617には、野菜室114と貯蔵室619、620が設けられている。野菜室114の前面開口部は扉400Aで外気の流入が無いように閉塞されている。
野菜室114内部の背面と底面とには循環ダクト624が設けられている。循環ダクト624と断熱箱体617との間には循環風路625が形成されている。循環風路625内において、野菜室114の背面にあたる部分にはミストを噴霧する噴霧部626が設けられている。また噴霧部626の上方には拡散部627が配置されている。噴霧部626は例えば先行する実施の形態に開示されたいずれかの噴霧部である。あるいは一般的な噴霧器でもよい。拡散部627はたとえば送風ファンである。循環ダクト624の垂直面上部には複数の吐出口628が設けられている。一方、底面には複数の吸入口629が設けられている。
循環風路625と、循環風路625を構成する循環ダクト624と、循環ダクト624に設けられた吐出口628と吸入口629と、拡散部627とはミスト循環部630を構成している。また、ミストの粒子径を選択する選択部631は、拡散部627と噴霧部626により構成されている。選択部631はミスト噴霧装置でもある。
噴霧部626の下方には、循環風路625から断熱箱体617外へ余剰な水を排出するドレン632が設けられている。野菜室114の天面と循環ダクト624の底部には、それぞれ温度センサ633、634が設けられている。循環ダクト624の底部には野菜室114の下部を加温するヒータ638が設けられている。
扉400Aには左右2対で野菜室114内に延伸された板状のスライドレール635が設けられており、食品収納容器(以下、容器)636が載置されている。スライドレール635により、扉400Aは水平方向に引き出して開閉される。吐出口628は容器636の外縁部よりも高い位置にあり、ミストが必ず容器636に入るようになっている。また、容器636の底面には複数の通気口637が設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫の動作、作用を説明する。野菜室114の上下には、野菜室114よりも低い温度帯に設定された貯蔵室619、620が配置されている。野菜室114はこれらの貯蔵室619、620により自然に冷却されている。
扉400Aを手前方向水平に引き出し、容器636に農作物を入れた後、扉400Aを閉めると、扉開放検知部(図示せず)により閉扉状態が検知され、噴霧部626がミストを噴霧し始める。噴霧されたミストは、噴霧部626の上方に配置された拡散部627により上方に向かって上昇し、吐出口628を通り野菜室114内に拡散噴霧される。
噴霧部626には、例えば超音波により水を微粒子化して噴霧するものを用いればよい。噴霧されるミストの粒子径は図32に示すように分布する。野菜室114内に万遍なくミストを拡散させるには、例えば、野菜室114内でのミストの滞空時間をなるべく長時間にすることが考えられる。このようにすれば、空気の循環による拡散が確実に行われる。野菜室114内でのミストの滞空時間延ばすためには、ミスト粒子径を比較的小さくする必要がある。図32に示すように、例えばある効果を得たい場合、その効果に応じた所定の粒子径X以下の水粒子を取り出して拡散噴霧すればよい。すなわち、例えば野菜室114内に収納された農作物表面の有害物質を除去するためには、実施の形態5で述べたように粒子径が0.003μm以上20μm以下のミストを選択的に取り出せばよい。
噴霧部626により噴霧されたミストのうち、粒子径がXを超える粒子はその自重により下方に落下する。そして粒子径X以下の比較的軽量な粒子が拡散部627により上昇する。これにより、一定の粒子径以下のミスト粒子を選択的に取り出すことが可能になる。なお、所望する粒子径Xは自由に設定することができ、噴霧部626の運転度合い、拡散部627の運転度合い、噴霧部626と拡散部627との距離によって調整することが可能である。この運転度合いとは、例えば噴霧部626に超音波振動方式の噴霧装置を用いた場合の振動周波数や、拡散部627に送風ファンを用いた場合のファン回転数のことを指す。また、下方に落下した粒子径Xを超えるミストはドレン632から野菜室114外に排出される。
吐出口628は容器636よりも上方にあるため、野菜室114内に噴霧されたミストは容器636の上方、すなわち収納された農作物の上方から降り注ぐ。噴霧されたミストは、容器636と農作物との間隙、あるいは農作物と農作物との間隙を下方に落下していく。ここで、複数の吐出口628の端部間距離は、容器636の横幅と同等程度の寸法に設定されている。そのため、横方向へのミスト濃度の分布バラツキが抑制される。
容器636の底面には複数の通気口637が設けられている。容器636内のミストは通気口637から野菜室114の下部へ抜けていく。したがって、ミストの凝集した水は容器636内に停留することはなく、底部には水が溜まらない。なお、本実施の形態では、底面に通気口637が設けられているが、底面のみならず容器636の側壁面に設けられてもよい。
通気口637を通過したミストは、吸入口629より循環風路625内に戻り、その一部は拡散部627によって再び野菜室114内に噴霧される。また、一部は大きな水滴となり、ドレン632から野菜室114外に排出される。この排水を効率良く行うため、図28に示すように循環風路625の下部はドレン632に向けて傾斜を設けられていることが好ましい。なお、吸入口629と通気口637とは実質的に同一位置に設けられて連通していれば循環の抵抗が少なく効率がよい。
なお、容器636内のミスト分布を最適化し最も均一にするためには、拡散部627の運転度合いを調整したり、吐出口628、通気口637、吸入口629の位置と面積とを調整したりことが有効である。
なお、噴霧部626には水を連続的に供給する必要がある。これには貯水タンクを設けて定期的に水を補充する方法や、貯蔵室内の水分を結露回収する水回収構造を構築すればよい。これらの構成は先行する実施の形態で例示されている。さらには、貯水タンクと水回収構造とを併用して用いてもよい。
夜間などで扉400Aの開閉がない場合は湿度の低下度合いは緩やかであり、ミストの噴霧を一定時間停止しても差支えない。この場合、図示しない扉開放検知部により扉閉から一定時間経過したことを判断すると、噴霧部626の運転と拡散部627の運転とを停止させる。同時に循環ダクト624に設けられたヒータ638に通電し野菜室114の下部を加温する。ヒータ638の加温制御は、野菜室114天面に設けられた温度センサ633と、循環ダクト624底部に設けられた温度センサ634の温度差がある一定値になるように制御される。これらのことにより、野菜室114の上部と下部に温度差ができ、空気の自然対流が促進される。なお、ヒータ638は広範囲に、実質的に均一に発熱するヒータであればよく、線状ヒータやシート状ヒータが適用可能である。また、温度差を設ける方法はヒータ638を用いることに限定されない。貯蔵室19の温度を貯蔵室20の温度よりも低く制御してもよい。
以上のように、本実施の形態の冷蔵庫は、断熱箱体617と霧部626と拡散部627とを有する。断熱箱体617は、断熱区画された貯蔵室619,620と野菜室114とを有する。噴霧部626は野菜室114内に設けられ、ミストを噴霧する。拡散部627は噴霧されたミストを拡散させる。噴霧部626と拡散部627とはミスト噴霧装置を構成している。噴霧されたミストが拡散部627によって野菜室114内に拡散噴霧されることにより、野菜室114内のミスト濃度が均一化される。これにより農作物の周囲に効率よくミストが供給される。そのためミストの噴霧量が最小限に抑えられる。よって結露を防ぐことができ、かつ農作物からの有害物質除去も同時に行うことができる。
また、野菜室114内にミスト循環部630が設けられている。これにより、さらにミストが野菜室114内の隅々まで供給され、ミストの噴霧量が低減される。また、ミスト循環部630が循環風路625と、循環風路625を構成する循環ダクト624と、循環ダクト624に設けられた吐出口628と吸入口629と、拡散部627とから構成されている。そのため、ミスト循環量と分布との調整が容易になり、よりミストの噴霧量が低減される。
また、吐出口628が野菜室114内に収納された農作物よりも高い位置に設けられることが好ましい。これにより、常に農作物の上方からミストが噴霧され、農作物の量にかかわらず農作物全体にミストが供給される。また、吸入口629が野菜室114内に収納された農作物よりも下方に設けられることが好ましい。これにより、容器228Cの底部まで確実にミストが供給される。
また、選択部631は、噴霧部626により噴霧されたミストの内、一定の粒子径以下のミストを選択する。これにより、微小ミストが選択的に噴霧される。そのため野菜室114内にミストが長時間留まり、かつ分散し、農作物に確実に供給される。また、選択部631は、拡散部627の下方に噴霧部626を設けることにより構成されている。これにより噴霧されたミストの内、一定の粒子径以下の軽い粒子が選択的に取り出されて野菜室114内に噴霧される。
また、本実施の形態の冷蔵庫では、野菜室114の上部と下部とに温度差を設けられている。これにより、野菜室114内の空気の自然対流が促進され、噴霧されたミストが野菜室114内に拡散しやすくなる。また、同時に噴霧部626、拡散部627の一時停止が可能となり、構成部品の信頼性が向上する。
(実施の形態10)
図33は本発明の実施の形態10における冷蔵庫の野菜室の側断面図である。図34はその野菜室の側断面図で、図35はそのミスト噴霧装置の要部拡大図である。図36は図33に示す冷蔵庫におけるオゾン水ミストの農薬除去性能を示す図である。
この冷蔵庫が実施の形態3の図5に示す冷蔵庫と異なる点は、野菜室114の上部背面にミスト噴霧装置21が設けられている点である。それ以外の基本的な構成は図5に示す冷蔵庫と同様である。
ミスト噴霧装置21はオゾン水を貯水する貯水槽22と、オゾン水をエジェクタ方式で噴霧する噴霧ノズル(以下、ノズル)23と貯水槽22に液体を供給する供給部である貯水タンク72を有する。ノズル23は噴霧先端部を構成している。貯水槽22は断熱箱体110内に設けられ、液体である水を保持する保持部である。貯水槽22上部にはオゾン水供給口24が設けられている。高電圧方式でオゾンを発生するオゾン発生体25は野菜室114の近傍に設けられ、オゾン水経路27に連結されている。オゾン水経路27には貯水タンク72より配管された水供給経路28が設けられている。また、ノズル23の先端近傍には高電圧を印加するための環状の電極29と、電源30とが設けられている。ノズル23と電極29と電源30とは噴霧部を構成している。また、貯水タンク72は、断熱箱体110の、噴霧先端部が設けられた区画である野菜室114とは別の区画である冷蔵室112内に設けられている。
以上のように構成されたミスト噴霧装置21の動作、作用を説明する。まず、オゾン発生体25によってオゾンガスが生成される。貯水タンク72から水供給経路28を介して供給された水と、生成されたオゾンガスとは混合されオゾン水となる。このオゾン水はオゾン水経路27を経て、オゾン水供給口24より貯水槽22内に供給され貯えられる。貯水槽22内のオゾン水はノズル23より野菜室114内にミストとなって噴霧される。その際、ノズル23の先端近傍に設けられた環状の電極29に対して電源30より高電圧が印加される。これによりノズル23より噴霧されたオゾン水ミストには静電付加される。
図36はこの構成における、トマト付着農薬のオゾン水ミストによる除去効果を示している。実験は以下のような方法により行う。マラチオンを3〜5ppm濃度となるよう付着させたミニトマトを野菜室114内に保存する。その際、オゾン水ミストを20分間隔で10秒間噴霧する間欠噴霧にて、12時間噴霧する。このような噴霧処理後のミニトマトに残留するマラチオン濃度をガスクロマトグラフィーにて測定し、除去率を算出する。なお比較のため、同様にマラチオンを付着させ、ミスト噴霧装置なしの野菜室にて保存したミニトマトについて同様にマラチオン濃度を測定する。
図36に示すように、比較実験での除去率が20%であるのに対し、ミスト噴霧した場合は除去率が40%であり、約2倍の除去効果を示している。
以上のように、図33〜図35に示す構成では、野菜室114近傍でオゾンと水とを混合して生成したオゾン水をミスト噴霧装置21にて野菜室114内に静電付加されたミストを噴霧する。これにより、噴霧された微細ミストが野菜室114壁面と野菜や果物表面に均一に付着し、壁面や野菜や果物表面の微細な孔にミストが入り込む。そして微細な孔の内部の汚れや有害物質を浮き上がらせるので、汚れや有害物質の除去効果が高まる。また、野菜表面の有害物質の酸化分解効果を高めるとともに、野菜の保湿性も向上させる。
また、オゾンミストに静電付加することにより、オゾンミスト中の水分子がラジカル化し、OHラジカルが生成する。そのため、オゾンの酸化力に加え、OHラジカルの酸化力によって、除菌や脱臭及び有害物質分解性能が高まる。
貯水タンク72は噴霧部が設けられた区画である野菜室114とは別の区画である冷蔵室112内に設けられている。この構成では、貯水タンク72の配置が噴霧部の配置に影響されない。そのため、貯水タンク72内への水の補給や貯水タンク72内の清掃が容易となるような任意の位置に貯水タンク72を設けることができる。このように使用者の使い勝手が向上する。これは実施の形態8の貯水タンク72Aについても同様である。
上記構成では、オゾン水経路27で水とオゾンとを混合してオゾン水を生成する。これ以外に、ミスト噴霧装置21の近傍にオゾン発生体を設けてオゾンを発生させ、ノズル23内で水と混合してオゾン水ミストとして噴霧してもよい。あるいは、貯水槽22内にオゾン発生部25を設けてもよい。そのような構成について説明する。図37は本発明の実施の形態10における他のミスト噴霧装置の要部拡大図である。高電圧方式でオゾンを発生するオゾン発生体25は貯水槽22内の一画に設けられている。それ以外の構成は図33〜図35と同様である。
以上のように構成された冷蔵庫のミスト噴霧装置について、以下その動作、作用を説明する。まず、水が貯水タンク72から給水され、水供給口31より貯水槽22内に供給され、貯留される。次にオゾン発生体25に高電圧が印加され、放電によって水中溶存酸素が電子との衝突により酸素原子に解離される。そして、酸素原子は溶存酸素分子と結合してオゾンが発生するとともに、水分子と反応してOHラジカルを同時に生成する。発生したオゾンは貯留水に溶存し、オゾン水を生成する。このようにして生成したオゾン水はノズル23より野菜室114内にミストとなって噴霧される。その際、ノズル23の先端近傍に設けられた環状の電極29に対して電源30より高電圧が印加され、ノズル23より噴霧されたオゾン水ミストは静電付加される。
以上のように図37の構成では、放電方式でオゾンを発生するオゾン発生部25が貯水槽22内の貯留水中に浸漬されている。これにより、貯水槽22内の貯留水中の溶存酸素を解離して、オゾンとOHラジカルとが発生する。原料酸素が水中溶存酸素のため、オゾン生成量は空中放電に比べ、はるかに少ないことから、発生したオゾンは貯留水中に溶存した状態となる。このように特殊材料を必要としない簡便な構造で、人体に安全でかつオゾン臭くない低濃度のオゾンと、オゾンよりも酸化力の強いOHラジカルとを含むオゾン水を生成し、噴霧することができる。
次に、本実施の形態におけるさらに異なるミスト噴霧装置について説明する。図38は本発明の実施の形態10における別の冷蔵庫のミスト噴霧装置の要部拡大図である。
ミスト噴霧装置21は貯水槽22と貯留水供給部40と毛細管供給構造体42と電極43とを有する。貯水槽22はオゾン水や酸性水といった機能水あるいは水を貯留する。貯留水供給部40は貯水槽22に貯留水を供給する。毛細管供給構造体42の一端は貯水槽22内に位置し、他端は野菜室114内に噴霧先端部41として形成されている。電極43は貯水槽22に接続され、貯水槽22内の貯留水に高電圧を印加する。
以上のように構成されたミスト噴霧装置21について、以下その動作、作用を説明する。まず、貯水槽22内に機能水あるいは水が貯留水供給部40から供給され貯留される。次に貯水槽22内の電極43に高電圧が印加されると、噴霧先端部41とその周囲との間に存在する電界によって噴霧先端部41から複数の液糸が引き出される。さらには帯電した液滴に分散されてミストとなり野菜室114内に噴霧される。
以上のように図38の構成では、貯水槽22内の貯留水に直接高電圧を印加して、静電付加された貯留水が噴霧される。これにより、ミストの静電付加率が増加し、ミストの微細化と食品表面への付着率が向上する。
また、機能水を微細化することによりミストの大気中での滞空時間が長くなる。これにより、機能水微細ミストの庫内浮遊菌や庫内拡散臭気物質との接触機会が増加し、除菌、脱臭性能が高まる。
なお、本実施の形態において、水は貯水タンク72より供給される。これ以外に、冷蔵庫のドレン水を利用し、貯水槽内にドレン水を給水する構成とすれば、貯水タンク72に水を入れる手間を省くことができる。
次に、実施の形態11と共に、本発明の収納庫を冷蔵庫に適用した例について説明する。
本発明の収納庫は、箱体とミスト噴霧装置に加え、分解部を有する。ミスト噴霧装置はミストを発生させ、箱体内の貯蔵室の内部に収納された野菜表面に付着した残留農薬等の有害物質を浮き上がらせる。分解部は、この浮き上がった有害物質を分解する。この構成では、噴霧したミストが野菜や果物表面の微細な凹部に入り込み、凹部に残留している農薬や有害物質を物理的作用により、少量の水で農薬等有害物質を浮き上がらせる。そして浮き上がった農薬等の有害物質を分解部が酸化分解するので、食品安全性が向上する。
また本発明の収納庫は、箱体とミスト噴霧装置と分解部を有し、ミスト噴霧装置は酸化分解性ミストを噴霧する。この酸化分解性ミストによって野菜表面に付着した残留農薬等の有害物質が分解される。分解部は、このようにして生成された分解生成物や、酸化分解性ミストとの未反応物である残留農薬等の有害物質を分解する。これにより、分解生成物や未反応の有害物質を無害にすることができるので、安全性が向上する。
また本発明の収納庫における分解部は、紫外線を貯蔵庫内の農作物に照射する。これにより、野菜に悪影響を与えることなく残留農薬等の有害物質を無害にすることができる。また簡単な構成で分解部が構成される。そのため構成部品を少なくすることができ、小スペースで分解効果を実現することができる。
また本発明の収納庫における分解部は、波長が220nm以上400nm以下の紫外線を照射する。これにより、酸化分解速度が向上する。
また本発明の収納庫は制御部をさらに有し、制御部はミスト噴霧装置が動作後に分解部を動作させる。これにより、ミスト噴霧装置から噴霧されたミストが剥離した農薬等の有害物質や、未反応物のみにエネルギーが使用される。そのため分解効率が向上する。特にミスト噴霧装置が酸化分解性ミストを発生する場合には、酸化分解性ミストにより酸化分解しきれなかった未反応物を分解部が分解する。そのため収納庫としての酸化分解効率が向上する。
また本発明の収納庫は、貯蔵室の開口を覆う扉と、その扉の開閉を検知する検知部と、制御部とをさらに有する。制御部は、検知部が扉の開放を検知した時に分解部の動作を停止する。これにより、扉を開けた時に、人が直接紫外線の照射を見ることが防止され、安全性が向上する。
また本発明の収納庫は、分解部を動作させるスイッチをさらに有している。これにより、人が動作させたことを認知したときのみ分解部を動作させることができるので、安全性が向上する。
また本発明の収納庫には、分解部の周囲に遮光板が設けられている。これにより、人が直接紫外線を目にすることなく、貯蔵室内の農作物にのみ紫外線を照射する。そのため、安全性が向上する。
(実施の形態11)
図39は本発明の実施の形態11における冷蔵庫の側断面図である。図40は図39に示す冷蔵庫における制御系のブロック図である。
図39に示す冷蔵庫が実施の形態3における図5に示す冷蔵庫と異なる点は、野菜室114の上部天面にミスト噴霧装置120とともに分解部121が設けられている点と、壁面が紫外線劣化に強い材料からなる点である。この紫外線劣化に強い材料とは、ステンレスや、紫外線劣化に強い樹脂材料等である。分解部121はピーク波長250nm近辺の紫外線を照射する紫外線ランプである。また、図40に示すようにミスト噴霧装置120と分解部121との動作を制御する制御部106が設けられている。これ以外の構成は図5〜図7に示す構成と同様であるので詳細な説明を省略する。
以上のように構成された冷蔵庫のミスト噴霧装置120と分解部121の動作、作用について説明する。まず、貯水槽122内に水が貯留される。この際の貯留水124は除霜水である。次に電源128が貯水槽122内の陰極134に負の高電圧を印加すると、噴霧先端部132と陽極135との間に存在する電界によって噴霧先端部132から複数の液糸が引き出される。さらには帯電した液滴に分散されてミストとなる。このミストは送風部129により野菜室114内へ送られる。このように静電霧化の際、放電が行われてミストに静電付加されているため、ミストは野菜室114内でプラスに帯電する野菜や果物の表面に電気的に付着する。そして野菜や果物の表面の微細な凹部にまで侵入し、残留農薬やワックスなどの有害物質を微細ミストの内圧エネルギーによって、浮き上がらせる。分解部121から照射される紫外線は、その分解作用によって、有害物質を分解除去する。また、ミストに静電付加することにより、ミスト中の水分子がラジカル化し、OHラジカルが生成する。そのため、放電によって発生したオゾンの酸化力に加え、OHラジカルの酸化力が、農薬等有害物質の分解性能を高める。
図41は図39に示す冷蔵庫における農薬除去性能を従来の浸漬仕様、及び水洗いと比較した図である。この実験にはマラチオンを約3ppm付着させたミニトマト10個ずつを用い、各仕様で除去処理する。そして処理後の残留マラチオン濃度をガスクロマトグラフィ(GC)にて測定することで、除去率を算出する。
次に各除去処理仕様を説明する。処理Aでは、上述のミニトマト10個を笊に入れ約10秒間流水で洗浄する。処理Bでは、1ppmのオゾンを含む水にミニトマト10個を1時間浸漬する。この処理は一般的な食物洗浄装置を用いた処理に相当する。処理Cでは、ミニトマト10個にミスト噴霧装置120で12時間ミスト噴霧処理する。処理Eでは、ミニトマト10個を12時間ミスト噴霧処理後に分解部121によってピーク波長250nm、1600μW/cm2の紫外線を1時間照射する。なお、処理C、処理Eでの庫内オゾンガス濃度は約0.03ppmである。
図41に示すように、処理Aでの除去率は20%であり、通常家庭での水洗い程度では残留農薬の80%が除去されず、人体に摂取されることがわかる。また処理Bでは、残留農薬の55%が除去されている。
これに対し、処理Cの除去率は50%であり、処理Bとほぼ同等の農薬除去性能が示されている。一方、処理Eの除去率は70%である。これは、超微細ミストの物理的作用によって、付着農薬が浮きあがり、紫外線により分解されたためと考えられる。以上の結果から、本実施の形態におけるミスト噴霧装置120と分解部121とを有する冷蔵庫は、食物洗浄の専用機以上の農薬除去性能を有する。
図42は図39に示す冷蔵庫のミスト噴霧装置120での農薬除去後に水洗いした水中の残存マラチオン量と、従来の浸漬仕様での農薬洗浄後の水中の残存マラチオン量とを比較した図である。
この実験でも、上述と同様にマラチオンを約3ppm付着させたミニトマト10個ずつを前述の各処理仕様で除去処理する。そして最終処理時の10秒間水道水を採取し、その水道水中のマラチオン濃度をGCにて測定する。この結果と、図41の結果とから、各処理によって除去されたマラチオン量に対して、水道水中に含まれるマラチオン量の比率を算出する。
次に各除去処理仕様を説明する。処理Aでは、上述のミニトマト10個を笊に入れ約10秒間流水で洗浄する。処理B’では、1ppmのオゾンを含む水にミニトマト10個を1時間浸漬する。その後、笊に入れ約10秒間流水で洗浄する。この処理は一般的な食物洗浄装置を用いた処理に相当する。処理C’では、ミニトマト10個にミスト噴霧装置120で12時間ミスト噴霧処理する。その後、笊に入れ約10秒間流水で洗浄する。処理E’では、ミニトマト10個を12時間ミスト噴霧処理後に分解部121によってピーク波長250nm、1600μW/cm2の紫外線を1時間照射する。その後、笊に入れ約10秒間流水で洗浄する。なお、処理C’、処理E’での庫内オゾンガス濃度は約0.03ppmである。
図42に示すように、処理Aでの水道水中のマラチオン量は除去したマラチオン量の100%である。すなわち、水道水洗浄ではマラチオンは分解されない。また、処理Bでの水道水中のマラチオン量は、除去されたマラチオン量の約20%である。
一方、処理C’での水道水中のマラチオン量も除去されたマラチオン量の20%である。このようにマラチオン分解能力に関してもミスト噴霧装置120と専用器は同等の分解性能である。そして、処理E’では、除去率が70%であるにも関わらず、水道水中のマラチオン量は検出限界以下である。これは紫外線により除去されたマラチオンがほぼ100%分解されるためと考えられる。このように、ミスト噴霧装置120と分解部121とを有する冷蔵庫は、野菜等の農薬を除去できる上に、除去した農薬を分解する能力を有する。
以上のように、図39に示す冷蔵庫は、ミスト噴霧装置120と、分解部121とを有する。ミスト噴霧装置120は貯水槽122と、貯留水124を噴霧する噴霧部123とを有する。本実施の形態による冷蔵庫はこのような簡便な構造で農薬等の有害物質を除去、分解する機能を有する。そのため消費者は冷蔵庫に野菜や果物を保存するだけで、簡単に農薬等の有害物質を除去することができる。
また、本実施の形態による冷蔵庫では、超微細なミストが野菜室114内に噴霧される。これにより、噴霧されたミストが野菜や果物表面の微細な凹部に入り込み、凹部に残留している農薬等の有害物質を物理的作用により除去する。そしてこの有害物質が紫外線により分解される。すなわち少量の水で農薬等有害物質を除去、分解することができる。
また、本実施の形態による冷蔵庫では、静電霧化方式の噴霧部123を用いているが、これに限定されない。噴霧部に超音波素子を用いた場合には、静電霧化方式と比較して大量の噴霧量を発生させることができる。そのため、噴霧量の増量が必要な場合には特に効果的である。また、他の噴霧方式を用いても、上記のような超微細なミストを発生させことが可能であれば、それぞれの装置の特性に応じて農薬等の有害物質を除去、分解できる。
なお、本実施の形態による冷蔵庫では、貯水槽122に除霜水を貯留し、使用者が外部から貯留水を供給することなく貯留水124が確保される。この構成では外部からの水分の補給の手間がかからず使い勝手をより向上させた冷蔵庫が得られる。これ以外に、貯水タンク等を用いて外部から水を供給してもよい。このような構成では貯水タンクのメンテナンスが容易である上、ミストを大量噴霧することができる。
また、貯留水124を保持する保持部には、貯水槽122を用いることに限定されない。保水装置としての吸湿剤(例えば、シリカゲル、ゼオライト、活性炭等の多孔質材料等)を用いて、野菜室114内の空気内に含まれている水分を抽出して保持させてもよい。
さらに、貯蔵室内の一部分に強制的に温度差をつけることで貯蔵室内の空気に含まれている水分を結露させるような結露発生部を設けると、任意のタイミングで必要な量の貯留水を提供することができ、さらに噴霧量においても結露部を制御することにより必要な噴霧量を確保することができるので、外部からの水分の補給の手間がかからず使い勝手をより向上させる上に、さらに必要な時に必要な量の貯留水を供給することができる。以下、超音波素子と貯水タンクとを有する冷蔵庫の例について説明する。
図43は本実施の形態における他の冷蔵庫の側断面図である。図44は図43に示す冷蔵庫における制御系のブロック図である。図43に示す冷蔵庫は超音波素子80を含む噴霧部74と、噴霧部74に給水経路73を介して給水する貯水タンク72と、分解部200とを有する。噴霧部74の構成は実施の形態1における図2、図3と同様である。噴霧部74と給水経路73と貯水タンク72とはミスト噴霧装置61を構成している。また、図44に示すようにミスト噴霧装置61と分解部200との動作を制御する制御部107が設けられている。それ以外の構成は図39の構成と同様であるので詳細な説明を省く。以下の説明では図2、図3も参照しながら説明する。
噴霧部74と分解部200とは、野菜室114の上部天面には設けられている。分解部200はピーク波長380nm近辺の紫外線を照射する紫外線LEDである。
以上のように構成された冷蔵庫のミスト噴霧装置61と分解部200との動作、作用について説明する。まず、貯水タンク72内に貯留された水が給水経路73を経由して、貯水槽75内に供給される。
次に噴霧部74の運転が開始される。貯留水84は噴霧部74である超音波素子80によって霧化される。その際、超音波素子80によって生じた微小気泡の高速膨張と圧縮破壊現象とが水分子を分解し、OHラジカルを含んだ酸化分解性ミストが作られる。酸化分解性ミストのうち、所定粒子径以下の微細ミストのみが金属メッシュ81と金属板82との間の電場によって金属メッシュ81から噴霧される。このようにして噴霧部74内には、所定粒子径以下のミストが充満した状態となる。この微細ミストは送風部77によって野菜室114内に噴霧される。噴霧された微細ミストは野菜室114内の野菜や果物の表面に付着し、野菜等の表面に付着した農薬等の有害物質を酸化分解する。このように制御部107は、ミスト噴霧部61の超音波素子80と電源83とに通電した後、分解部200に通電して紫外線を照射させる。これにより、酸化分解性ミストによって酸化分解された分解生成物は、断熱壁116を劣化させることなく、完全に無害化される。
図45は図43に示す冷蔵庫における農薬除去性能と処理時間の関係を示す図である。この実験にはマラチオンを約3ppm付着させたミニトマト10個ずつを用い、ミスト噴霧装置61にて12時間処理した後、分解部200により照射時間を変えて紫外線を照射処理する。その後、GCにてマラチオン濃度を測定し、マラチオンの除去率を算出する。
図45から明らかなように、図39の構成における紫外線ランプからなる分解部121の1時間処理と同等の性能を発揮するためには、12時間必要であることがわかる。
以上のように、図43に示す冷蔵庫はミスト噴霧装置61と分解部200とを有する。ミスト噴霧装置61は貯水タンク72と、貯留水84を噴霧する噴霧部74とを有する。分解部200は紫外線LEDで構成されている。分解部200により農作物に紫外線を長時間照射すれば、紫外線ランプと同等の酸化分解性が得られる。また、紫外線による断熱壁116の劣化も生じない。そのため、断熱壁116の材料費が低減され、断熱壁116が長寿命になる。また、分解部200の照射波長を350nm近辺にすることにより、紫外線による人体への影響を問題とならない範囲とすることができる。
次に、分解部を設けた冷蔵庫のさらに好ましい構成について述べる。図46は本発明の実施の形態11におけるさらに他の冷蔵庫の側断面図である。図47は図46に示す冷蔵庫における制御系のブロック図である。
図46に示す冷蔵庫が図39に示す冷蔵庫と異なる点は、ドア開閉検知部(以下、検知部)330が野菜室114の開口を覆う扉400Aに設けられ、スイッチ403が冷蔵室112の開口を覆う扉400Bに設けられている点である。さらに、野菜室114の上部天面に分解部121を囲うようにステンレスで作られた遮光板402が設けられている点も異なる。また図47に示すように、検知部330やスイッチ403からの入力により分解部121とミスト噴霧装置120との動作を制御する制御部108が設けられている。検知部330は扉400Aの開閉を検知する。検知部330は例えばマイクロスイッチや感圧センサからなる。それ以外は図39に示す構成と同様である。
以上のように構成された冷蔵庫のミスト噴霧装置120、分解部121、制御部108の動作、作用について説明する。まず、貯水槽122内に水が貯留される。以下、ミスト噴霧装置120の発生するミストによって野菜室114内の農作物表面から残留農薬やワックスなどの有害物質を浮き上がらせる作用は図39の構成についての説明と同様である。
次に使用者がスイッチ403をONすることにより、制御部108がこれを受け、分解部121に通電される。このようにスイッチ403を設けることにより、使用者が分解部121を動作させたことを認知したときのみ動作させることができる。そのため安全性が向上する。さらに、人が必要とした時のみ動作させることができるため、連続運転で使用する時よりも使用エネルギーの削減を図ることができるので、電気代の節約につながる。なお、スイッチ403をONすることによってミスト噴霧装置120の運転開始からの一連の動作を開始するようにしてもよい。
以下、分解部121の作用により、浮き上がった農薬等有害物質が分解される。
また制御部108は、扉400Aの閉状態を検知部330により検知した時のみ、分解部121に通電する。このように使用者が紫外線に触れることが防止され、安全性が向上する。さらに、分解部121の周囲に遮光板402を設けることにより、分解部121からの紫外線の光が扉400A側に照射されるのを防ぐ。そのため、使用者が扉400Aを開けた際、直接紫外線を目にすることなく、野菜室114内の貯蔵物にのみ紫外線が照射される。このように、安全性が向上する。さらに、遮光板402は、野菜室114内の農作物に照射する紫外線のエネルギーを分散させないので、有害物質の分解効率が向上する。
なお、上記説明では、分解部121を動作させるスイッチ403をON/OFFの切り替えのみとしている。これ以外に、ON/OFFの切り替え機能に加え、紫外線の光量を使用者が選択できるようなスイッチであることが好ましい。この場合、使用者が必要な時に必要な紫外線の光量を選択できるので、使用エネルギーが削減される。
また、遮光板402はステンレス以外に、紫外線による劣化の少ない金属、ガラスでもよい。また断熱壁116はステンレスで構成する以外に、紫外線による劣化の少ない金属、ガラスでもよい。
本実施の形態において、分解部121、200は野菜室114の天面に配置されている。これ以外に、野菜室114内の容器228を透明にすれば、野菜室114内であればどこへ配置しても同様の効果が得られる。
本実施の形態では野菜室114が、冷凍室115の上段に配置されている。これ以外に、野菜室114を最下段に配置すれば、野菜室114を使用する際に、紫外線が直接使用者の目に入ることなく、より安全に野菜室114を使用することができる。
また、分解部121、200は、ミスト噴霧装置120、61の動作後に通電される。制御部106,107,108はいずれもそのように制御する。そのためミスト噴霧装置120、61から噴霧されたミストにより剥離された農薬等の有害物質や未反応物の分解にのみエネルギーを使用することができ、分解効率が向上する。
また分解部121、200が発する紫外線は、220nm以上400nm以下の波長であることが好ましい。これにより、農薬等の有害物質の酸化分解速度が向上する。
以上、本発明による種々の実施の形態について説明したが、各実施の形態固有の構造、特徴は可能な範囲で他の実施の形態に適用することも可能である。特に、実施の形態1、実施の形態2におけるコンテナに実施の形態3以下における冷蔵庫の特徴を適用してもよい。また本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。