JP2017132988A - 微細セルロース繊維含有樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な分散性を有する微細セルロース繊維含有樹脂組成物を提供すること。【解決手段】微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを含む、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、良好な分散性を有する微細セルロース繊維含有樹脂組成物、及びその製造方法に関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、再生可能な循環型資源であるバイオマス資源の利用が注目されている。バイオマス資源の一つである植物繊維は、古くからある循環型資源であるが、紙製品以外への利用は進んでいない。
一方、主材樹脂とガラス繊維又は炭素繊維とを含む繊維含有樹脂組成物は、繊維による強化により軽量で高強度を有するため、自動車、住宅、家電部材などの幅広い分野において使用されている。この繊維含有樹脂組成物において、バイオマス資源である植物繊維の利用が期待されているものの、一部用途以外では利用は進んでいない。
また、物質をナノメートルサイズの大きさにするナノテクノロジーが注目されており、セルロース繊維についても検討されている。例えば、紙に使用されるセルロース繊維の幅は一般的には10〜50μmである。このセルロース繊維の幅を1/100〜1/1000まで微細化(ミクロフィブリル化)すると、通常の紙に使用されているセルロースに比べ、同じ質量において繊維の本数が飛躍的に多くなるため、強度向上や寸法安定性が向上することが見出されている。これは、本来のセルロース繊維の持つ高弾性率及び低熱膨張率の特徴が充分に発揮されたことによると考えられる。このように微細繊維状セルロースの特徴を活用した樹脂への利用が期待されている。
特許文献1には、繊維分散用樹脂中に植物繊維が分散した成形物又は前記成形物の粉砕物と、主材樹脂とを溶融混練することを特徴とする植物繊維含有樹脂組成物の製造方法が記載されている。より具体的には、 植物繊維を含有する繊維スラリーと、繊維分散用樹脂を含有する樹脂エマルションとを混合した混合分散液を用いて前記成形物を作製することが記載されている。特許文献1に記載の方法で製造される植物繊維含有樹脂組成物は高い強度を有するものであるが、分散性については更に改善の余地があった。
国際公開WO2013/137449号公報
本発明は、良好な分散性を有する微細セルロース繊維含有樹脂組成物を提供することを解決すべき課題とする。さらに、本発明は、上記の微細セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、微細セルロース繊維を含有する分散液と第一の熱可塑性樹脂繊維を含有する分散液とを混合して成形し、得られた成形物の粉砕物と第二の熱可塑性樹脂とを混合することによって樹脂組成物を製造した。そして、得られた樹脂組成物の性状を評価した結果、良好な分散性を示し、引張弾性率及び引張強度が高く、熱変形温度も十分に高いことを見出した。本発明は上記の知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを含む、樹脂組成物。
(2) 微細セルロース繊維の数平均繊維幅が1μm以下である、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) 微細セルロース繊維の繊維長が1mm以下である、(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4) 微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物が、微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む混抄シートである、(1)から(3)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(5) 微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物における微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維との質量比が、40:60〜90:10である、(1)から(4)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(6) 第一の熱可塑性樹脂を構成するモノマー単位と、第二の熱可塑性樹脂を構成するモノマー単位とが同一である、(1)から(5)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(7) 第一の熱可塑性樹脂繊維が、ポリオレフィン繊維又はポリアミド繊維である、(1)から(6)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(8) 第二の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂又はポリアミド樹脂である、(1)から(7)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(9) 微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物と
、第二の熱可塑性樹脂との質量比率が、5:95〜70:30である、(1)から(8)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(10) 樹脂組成物が、溶融混練物である、(1)から(9)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(11) JIS K7161に規定される引張弾性率が1000MPa以上7000MPa以下である、(1)から(10)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(12) JIS K7161に規定される引張降伏強度が30MPa以上200MPa以下である、(1)から(11)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(13) JIS K7191−1に規定される1.8MPaの曲げ荷重を加えた時の熱変形温度が70℃以上である、(1)から(12)の何れか一に記載の樹脂組成物。
(14) (a)微細セルロース繊維を含有する分散液と、第一の熱可塑性樹脂繊維を含有する分散液とを混合して成形することにより成形物を製造する工程;及び
(b)工程(a)で得られた成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを混合する工程:
を含む、(1)から(13)の何れか一に記載の樹脂組成物の製造方法。
本発明の微細セルロース繊維含有樹脂組成物は、良好な分散性を有する。
本発明の実施の形態について以下に、説明する。本明細書において、数値範囲「X〜Y」は、特に記載した場合を除き、両端の値を含む。
本発明の樹脂組成物は、微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを含む。微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物を、第二の熱可塑性樹脂に配合することにより、引張弾性率及び引張強度が高く、熱変形温度も高く、さらに良好な分散性を有する樹脂組成物を得ることができる。
<微細セルロース繊維>
微細セルロース繊維は、セルロースを含有する原料(セルロース原料)を微細化して得ることが可能である。例えば、微細セルロース繊維の製造方法としては、セルロース原料を、機械的作用を利用する湿式粉砕で微細化する方法が挙げられる。機械的作用を利用して湿式粉砕する方法としては、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー等を用いる方法が挙げられる。
上記の微細化の前に、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル)酸化、オゾン処理、酵素処理、イオン性置換基の導入などの化学処理を施してもよい。イオン性置換基の導入については後記する。
木材を微粉砕後、脱リグニンなどの処理を行ってセルロース原料を得ることも可能である。
セルロース原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、パガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられるが、特に限定されない。これらの中でも、入手のしやすさという点で、製紙用パルプが好ましいが、特に限定されない。製紙用パルプとしては、化学パルプ、半化学パルプ、機械パルプ、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。化学パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)等が挙げられる。広葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)などが挙げられる。針葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)などが挙げられる。半化学パルプとしては、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等が挙げられる。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等が挙げられる。また、溶解パルプを用いることができる。溶解パルプとしては、前加水分解後、クラフト蒸解して製造した溶解パルプ、亜硫酸蒸解して製造した溶解パルプ、等が挙げられる。これらの中でも、より入手しやすいことから、クラフトパルプ、脱墨パルプ、サルファイトパルプが好ましいが、特に限定されない。セルロース原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
微細セルロース繊維の数平均繊維幅は、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは、2nm以上1000nm以下であり、より好ましくは2nm以上800nm以下であり、さらに好ましくは2nm以上500nm以下である。
セルロース繊維は結晶部分を含むセルロース分子の集合体であり、その結晶構造はI型(平行鎖)である。セルロース繊維の数平均繊維幅は電子顕微鏡で観察して測定することができる。セルロース繊維の平均繊維幅が2nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維状セルロースとしての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。ここで、微細繊維状セルロースがI型結晶構造をとっていることは、回折プロファイルにおいて、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。上記の回折プロファイルとは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルである。
セルロース繊維の電子顕微鏡観察による平均繊維幅の測定は以下のようにして行う。濃度0.05質量%以上0.1質量%以下のセルロース繊維の水系懸濁液を調製し、該懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。セルロース繊維の平均繊維幅はこのように読み取った繊維幅の平均値である。
微細セルロース繊維の繊維長は特に限定されないが、1mm以下が好ましい。微細セルロース繊維の繊維長は、0.1μm以上が好ましく、1μm以上1000μm以下がより好ましく、5μm以上800μm以下がさらに好ましく。繊維長が0.1μm未満になると、膜(シート)を形成し難くなる。1000μmを超えるとセルロース繊維のスラリー粘度が非常に高くなり、扱いづらくなる。繊維長は、繊維長測定装置「FiberLab」で測定して得られる長さ荷重平均繊維長として求めることができる。
繊維のアスペクト比(軸比)(繊維長/繊維幅)は特に限定されないが、20以上10000以下の範囲であることが好ましく、30以上10000以下の範囲であることが好ましく、50以上10000以下の範囲であることがより好ましい。アスペクト比が20以上の場合、製造の際、膜を形成しやすくなる点で好ましい。アスペクト比が10000以下の場合、膜の製造の際のスラリー粘度が低くなる点で好ましい。
セルロース繊維は、イオン性置換基を有していてもよいが、特に限定されず、イオン性置換基を有していなくてもよい。イオン性置換基は、アニオン性又はカチオン性の何れでもよい。
アニオン性置換基の例として、リン酸基またはリン酸基に由来する置換基、カルボキシ基またはカルボキシ基に由来する置換基、硫酸基または硫酸基に由来する置換基、スルホン酸基またはスルホン酸基に由来する置換基が挙げられる。リン酸基またはリン酸基に由来する置換基は、リン酸由来の基ともいう。カルボキシ基またはカルボキシ基に由来する置換基は、カルボン酸由来の基ともいう。硫酸基または硫酸基に由来する置換基は、硫酸由来の基ともいう。スルホン酸基またはスルホン酸基に由来する置換基は、スルホン酸由来の基ともいう。
リン酸基はリン酸からヒドロキシル基を取り除いたものにあたる、2価の官能基である。具体的には−PO3H2で表される基である。リン酸基に由来する置換基には、リン酸基が縮重合した基、リン酸基の塩、リン酸エステル基などの置換基が含まれる。また、リン酸基またはリン酸基に由来する置換基は、下記式(1)で表されるものであってもよい。
Figure 2017132988
式(1)中、a、b、mおよびnはそれぞれ独立に整数を表す(ただし、a=b×mである)。αn(n=1〜nの整数)およびα’はそれぞれ独立にRまたはORを表す。Rは、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、またはこれらの誘導基である。βは有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。
アニオン性置換基は、取扱いの容易さ、製造の際の繊維との反応性から、リン酸由来の基、カルボン酸由来の基および硫酸由来の基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの基は、繊維とエステルまたはエーテルを形成していることがより好ましいが、特に限定されない。
カチオン性置換基の例として、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩などのオニウム塩由来の基が挙げられる。具体的には一級アンモニウム塩、二級アンモニウム塩、三級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩などのアンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムを含む基が挙げられる。カチオン性置換基は、取扱いの容易さ、製造の際の繊維との反応性から、4級アンモニウム塩由来の基、およびホスホニウム塩由来の基の少なくとも一方であることが好ましい。
セルロース繊維原料にイオン性置換基を導入してイオン性置換基導入セルロース繊維を調製し、イオン性置換基導入セルロース繊維を微細化処理してイオン性置換基導入微細繊維状セルロースを調製し、その後に、シートを調製する工程を行うことができる。
セルロース繊維へのイオン性置換基を導入する方法は、特に限定されないが、例えば、酸化処理、セルロース繊維中の官能基と共有結合を形成し得る化合物による処理などが挙げられる。酸化処理とは、セルロース繊維中のヒドロキシ基をアルデヒド基やカルボキシ基に変換する処理である。例えば、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル)酸化処理や各種酸化剤(亜塩素酸ナトリウム、オゾンなど)を用いた処理が挙げられる。
酸化処理の一例としては、Biomacromolecules 8、2485−2491、2007(Saitoら)に記載されている方法を挙げることができるが、特に限定されない。
セルロース繊維中の官能基と共有結合を形成し得る化合物による処理は、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に、セルロース繊維原料と反応するような化合物を混合することにより、セルロース繊維原料に上記置換基を導入することにより実施できる。導入時の反応を促進するため、加熱する方法が特に有効である。置換基の導入における加熱処理温度は特に限定されないが、繊維原料の熱分解や加水分解等が起こりにくい温度帯であることが好ましい。例えば、繊維の熱分解温度の観点から、250℃以下であることが好ましく、繊維の加水分解を抑える観点から、100℃以上170℃以下で加熱処理することが好ましい。
セルロース繊維原料と反応する化合物としては、イオン性置換基を導入するものである限り、特に限定されない。
セルロース繊維原料と反応するような化合物としてリン酸由来の基を有する化合物を用いる場合、特に限定されないが、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸又はこれらの塩またはエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの中でも、低コストであり、扱いやすく、また、セルロース繊維原料にリン酸由来の基を導入して微細化(解繊)効率をより向上できることから、リン酸由来の基を有する化合物が好ましいが、特に限定されない。
リン酸由来の基を有する化合物としては特に限定されないが、リン酸、リン酸のリチウム塩であるリン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウムが挙げられる。更にリン酸のナトリウム塩であるリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムが挙げられる。更にリン酸のカリウム塩であるリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウムが挙げられる。更にリン酸のアンモニウム塩であるリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等が挙げられる。
繊維原料と反応するような化合物として、カルボン酸由来の基を有する化合物を用いる場合、特に限定されないが、カルボン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種である。
カルボン酸由来の基を有する化合物としては特に限定されないが、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸等のジカルボン酸化合物やクエン酸、アコニット酸等トリカルボン酸化合物が挙げられる。
カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物としては特に限定されないが、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。
カルボン酸由来の基を有する化合物の誘導体としては特に限定されないが、カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては特に限定されないが、マレイミド、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。
カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては特に限定されない。例えば、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。
セルロース繊維原料と反応するような化合物として、硫酸由来の基を有する化合物を用いる場合、特に限定されないが、無水硫酸、硫酸ならびにこれらの塩およびエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの中でも、低コストであり、また、セルロース繊維原料に硫酸基を導入して微細化(解繊)効率をより向上できることから、硫酸が好ましいが、特に限定されない。
イオン性置換基を導入する場合におけるイオン性置換基の導入量は、特に限定されないが、シートとしての置換基導入量を考慮して、決定することができる。アニオン性置換基の場合、置換基の導入量(滴定法による。)は、繊維1g(質量)あたり0.005α〜0.11αが好ましく、0.01α〜0.08αがより好ましい。置換基の導入量が0.005α以上であれば、繊維原料の微細化(解繊)が容易になり、置換基の導入量が0.11α以下であれば、繊維の溶解が抑制できる。ただし、αは繊維材料と反応する化合物が反応しうる官能基、例えばヒドロキシ基やアミノ基が繊維材料1gあたりに含まれる量(単位:mmol/g)である。イオン性置換基の導入量は、伝導度滴定法により測定することができる。
導入されている置換基が、リン酸由来の基、カルボン酸由来の基および硫酸由来の基からなる群より選択される少なくとも1種である場合、置換基導入量は、特に限定されないが、0.001mmol/g以上5.0mmol/g以下とすることができる。0.05mmol/g以上4.0mmol/g以下としてもよく、0.1mmol/g以上2.0mmol/g以下としてもよい。
カチオン性置換基は、例えばセルロース繊維原料にカチオン化剤およびアルカリ化合物を添加して反応させることにより、繊維原料に導入することができる。カチオン化剤としては、4級アンモニウム基と、セルロースのヒドロキシ基と反応する基とを有するものを用いることができる。セルロースのヒドロキシ基と反応する基としては、エポキシ基、ハロヒドリンの構造を有する官能基、ビニル基、ハロゲン基等が挙げられる。
カチオン化剤の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどのグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド或いはそのハロヒドリン型の化合物が挙げられる。
カチオン化工程に使用するアルカリ化合物は、カチオン化反応の促進に寄与するものである。アルカリ化合物は、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。
無機アルカリ化合物としては、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩またはアルカリ土類金属のリン酸塩が挙げられる。
有機アルカリ化合物としては、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム、複素環式化合物およびその水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等が挙げられる。例えば、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム等が挙げられる。
上記アルカリ化合物は1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
上記アルカリ化合物の中でも、カチオン化反応がより起こりやすくなり、且つ、低コストであることから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。アルカリ化合物の量はアルカリ化合物の種類に応じて異なるが、例えば、パルプ絶乾質量に対して1質量%以上10質量%以下の範囲内とされる。
カチオン化剤およびアルカリ化合物は、パルプに容易に添加できることから、溶液化することが好ましい。溶液化する場合に使用する溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよいが、極性溶媒(水、アルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
必要に応じ、イオン性置換基導入繊維を得る工程の後に、酸処理又はアルカリ処理を行うことができる。酸処理は、例えば、塩酸、硝酸および硫酸からなる群より選択される1種または2種以上を用いて行うことができる。アルカリ処理は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムからなる群より選択される1種または2種以上を用いて行うことができる。
酸処理またはアルカリ処理の方法は、例えば、酸溶液またはアルカリ溶液中に、イオン性置換基導入セルロース繊維を浸漬することにより実施できる。酸溶液またはアルカリ液における溶媒は、水および有機溶媒の少なくとも一方を用いることができる。極性のあるもの(水、アルコール等の極性有機溶剤)が好ましく、水を含む水系溶媒がより好ましい。酸溶液の特に好ましい例は塩酸であり、アルカリ溶液の特に好ましい例は水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液である。
酸処理の場合、酸溶液の25℃におけるpHは、適宜とすることができるが、4以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましい。アルカリ処理の場合、塩基溶液の25℃におけるpHは、適宜とすることができるが、9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることがさらに好ましい。
酸またはアルカリの使用量を減らすために、酸処理またはアルカリ処理工程の前に、イオン性置換基を有するセルロース繊維を洗浄してもよい。洗浄には、水および有機溶剤の少なくとも一方を用いることができる。また、酸処理またはアルカリ処理後に、処理済みのイオン性置換基を有するセルロース繊維を、水および有機溶剤の少なくとも一方で洗浄してもよい。いずれの場合も、洗浄操作は繰り返し行うことができる。
セルロース繊維原料は解繊処理に供することにより微細化してもよく、微細化処理により、数平均繊維幅が2nm以上1000nm以下の微細繊維状セルロースを得ることができる。解繊処理工程では、解繊処理装置を用いて、原料を解繊処理して、微細繊維分散液を得ることができる。
微細化(解繊)処理に際し、繊維は溶媒に分散される。溶媒の種類は、微細化(解繊ということもある。)処理が適切に行える限り特に限定されないが、水系溶媒(水、または水と有機溶媒を混合したもの)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。さらにアセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。有機溶媒は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
分散濃度は、0.05質量%以上20質量%以下が好ましく、0.05質量%以上10質量%以下がより好ましい。分散濃度が前記下限値以上であれば、処理の効率が向上し、前記上限値以下であれば、解繊処理装置内での閉塞を防止できるからである。
解繊処理装置としては特に限定されない。例えば、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、クレアミックス、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナーが挙げられる。また、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーター等、湿式粉砕する装置等を適宜使用することができる。
微細化処理は、所望の平均繊維幅の繊維が得られるまで行うことができる。微細化処理により、微細セルロース繊維の分散液(スラリー)が得られる。得られた微細繊維の分散液は、繊維幅が1000nmを超える繊維を含んでいてもよいが、繊維幅が1000nmを超える繊維を含まないほうが好ましい。ここでの微細繊維の濃度は特に限定されないが、例えば0.1質量%以上20質量%以下であり、また0.5質量%以上10質量%以下でもよい。
微細セルロース繊維の分散液における微細セルロース繊維の濃度は特に限定されないが、0.05質量%以上20質量%以下が好ましく、0.05質量%以上10質量%以下がより好ましい。
<第一の熱可塑性樹脂繊維>
本発明で用いる成形物は、微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む。第一の熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリアクリル、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂)、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、フッ素樹脂などが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン、ブテン、イソプレン、クロロプレン、イソブチレン又はイソプレンの単独重合体又は共重合体、及びノルボルネン骨格を有する環状ポリオレフィン等が挙げられるが、特に限定されない。
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン116、ナイロン4、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられるが特に限定されない。
第一の熱可塑性樹脂繊維は、好ましくは、ポリオレフィン繊維又はポリアミド繊維である。
第一の熱可塑性樹脂繊維は、1種単独でもよいし、2種以上の併用でもよい。
本発明の特徴の一つは、熱可塑性樹脂の繊維を使用することにある。
熱可塑性樹脂の繊維を調製する方法は特に限定されない。例えば、原料の熱可塑性樹脂をエクストルーダー等で溶融し、吐出孔より吐出した後、適当な濃度のポリビニルアルコール溶液を吹き付けつつ空冷することにより未延伸糸を得ることができる。この未延伸糸を、温水中において1〜数回(好ましくは1〜3回)延伸することにより、熱可塑性樹脂の繊維を調製することができる。
熱可塑性樹脂繊維は、例えば、熱可塑性樹脂繊維の分散液として調製することが好ましい。熱可塑性樹脂繊維の分散液は、熱可塑性樹脂を、溶媒に分散することにより調製することができる。熱可塑性樹脂繊維の分散液における熱可塑性樹脂繊維の濃度は特に限定されないが、0.05質量%以上20質量%以下が好ましく、0.05質量%以上10質量%以下がより好ましい。
熱可塑性樹脂繊維の分散液は、微細化(解繊)処理に供してもよい。繊維は溶媒に分散される。溶媒の種類は、微細化(解繊ということもある。)処理が適切に行える限り特に限定されないが、水系溶媒(水、または水と有機溶媒を混合したもの)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。さらにアセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。有機溶媒は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
解繊処理装置としては特に限定されない。例えば、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、クレアミックス、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナーが挙げられる。また、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーター等、湿式粉砕する装置等を適宜使用することができる。
解繊処理を行う場合、解繊処理後の熱可塑性樹脂繊維の分散液における熱可塑性樹脂繊維の濃度は特に限定されないが、0.05質量%以上20質量%以下が好ましく、0.05質量%以上10質量%以下がより好ましい。
<微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物>
本発明においては、微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物を調製する。成形物の種類は特に限定されないが、シート(混抄シートなど)、塊状物、ペレット状物等が好ましく、上記の中でもシートがより好ましい。即ち、微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物としては、微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む混抄シートが好ましい。
微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含むシートは、微細セルロース繊維の分散液と、第一の熱可塑性樹脂繊維の分散液とから調製することができる。シートの調製方法は、特に限定されないが、典型的には、抄紙法を挙げることができる。また、上記成形物の粉砕物を使用する場合には、上記の成形物を裁断すること等により粉砕物を調製することができる。
微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物における微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維との質量比は、特に限定されないが、好ましくは40:60〜90:10であり、より好ましくは50:50〜85:15である。
<第二の熱可塑性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、上記した成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを含む。
第二の熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリアクリル、ABS樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、フッ素樹脂などが挙げられる。ポリオレフィン及びポリアミドの具体例は、第一の熱可塑性樹脂についての説明と同義である。
第二の熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリオレフィン樹脂又はポリアミド樹脂である。
第二の熱可塑性樹脂繊維は、1種単独でもよいし、2種以上の併用でもよい。
好ましくは、第一の熱可塑性樹脂を構成するモノマー単位と、第二の熱可塑性樹脂を構成するモノマー単位とが同一である。例えば、第一の熱可塑性樹脂としてポリオレフィン樹脂を用いる場合、第二の熱可塑性樹脂としてポリオレフィン樹脂を用いる。第一の熱可塑性樹脂を構成するモノマー単位と、第二の熱可塑性樹脂を構成するモノマー単位とが同一とすることは、樹脂同士の分散性を考慮する必要が無くなるので、好ましい。
<本発明の樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物における、「微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物」と「第二の熱可塑性樹脂」との質量比率は、特に限定されないが、好ましくは5:95〜70:30である。上記比率は、より好ましくは、8:92〜60:40である。上記比率を5:95以上にすることにより微細セルロース繊維による強化作用が十分に発揮されるようになるので好ましい。上記比率を70:30以下にすることにより得られる樹脂組成物の靭性低下を抑制できるので、好ましい。
本発明の樹脂組成物は、好ましくは溶融混練物である。
本発明の樹脂組成物のJIS K7161に規定される引張弾性率は、好ましくは1000MPa以上7000MPa以下であり、より好ましくは1500MPa以上6000MPa以下である。
本発明の樹脂組成物のJIS K7161に規定される引張降伏強度は、好ましくは30MPa以上200MPa以下であり、より好ましくは35MPa以上150MPa以下である。
本発明の樹脂組成物のJIS K7191−1に規定される1.8MPaの曲げ荷重を加えた時の熱変形温度は、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは73℃以上である。上記熱変形温度の上限は特に限定されないが、一般的には200℃以下である。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、填料、顔料、染料、帯電防止剤、滑剤、可塑剤などの添加剤を含んでもよい。
本発明の樹脂組成物は、主に成形用の材料として使用される。本発明の樹脂組成物の成形方法としては特に制限されず、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形などを適用することができる。
<本発明の樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、
(a)微細セルロース繊維を含有する分散液と、第一の熱可塑性樹脂繊維を含有する分散液とを混合して成形することにより成形物を製造する工程;及び
(b)工程(a)で得られた成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを混合する工程:
により製造することができる。
(成形物を製造する工程(a))
成形物を製造する工程は、微細セルロース繊維を含有する分散液と、第一の熱可塑性樹脂繊維を含有する分散液とを混合して得た混合分散液から、成形物を製造する工程である。成形物がシートである場合には、混合分散液を抄紙することによって成形物を製造する
ことができる。
微細セルロース繊維を含有する分散液と、第一の熱可塑性樹脂繊維を含有する分散液とを含む混合分散液には、公知の製紙用薬品を適宜使用することができる。製紙用薬品としては、紙力剤、湿潤紙力剤、歩留剤、凝結剤、濾水剤、嵩高剤、粘度調整剤、消泡剤等の各種薬品が挙げられる。
この中でもセルロース繊維同士の水素結合を阻害する嵩高剤を配合すると樹脂より溶融混練する際にセルロース繊維の分散性が向上する。嵩高剤としては例えば化合物で例示すると油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン界面活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、高級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン不可物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン不可物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン不可物、脂肪酸ポリアミドアミン、ポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロルヒドリン重縮合物などが上げられる。配合量としては0.05%〜10%が好ましく、0,1%〜8%がより好ましい。
混合分散液は、通常の抄紙で用いられる長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙装置、又はこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙装置、あるいは手抄き等公知の抄紙方法で抄紙し、シート化することが可能である。
連続抄紙装置は、ワイヤーパートによる脱水セクションと、プレスパートによる搾水セクションと、ドライヤーパートによる乾燥セクションとを具備する。なお、本明細書では、「脱水」は水を除くことだけでなく、有機溶媒を除くことを意味として含み、「搾水」は水を搾ることだけでなく、有機溶媒を絞ることを意味として含む。
脱水セクションとしては、長網抄紙のような紙の製造で通常に使用している公知の脱水方法が使用することができる。
脱水時に使用するワイヤーとしては、一般の抄紙で適用されるワイヤーを用いることができる。具体的には、ステンレス、ブロンズなどの金属ワイヤーやポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンなどのプラスチックワイヤーが挙げられる。また、セルロースアセテート基材などのメンブレンフィルターをワイヤーとして使用しても構わない。
ワイヤーの目開きとしては0.2〜200μmが好ましく、0.4〜100μmがよりに好ましい。目開きが前記下限値以上であれば、充分な脱水速度が得られ、前記上限値以下であれば、微細繊維状セルロースの歩留りが高くなる。
搾水セクションとしては、ロールプレスやシュープレスなどで脱水する公知の方法が使用することができる。
乾燥セクションとしては、紙の製造で用いられている公知の方法を採用することができる。例えば、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、熱風乾燥、赤外線ヒーターなどの乾燥装置を用いた方法が挙げられる。
シートの坪量は1.0〜1000g/m2が好ましく、5.0〜500g/m2がより好ましく、10.0〜100g/m2がさらに好ましい。コンポジットシートの坪量が前記下限値以上であれば、充分なシート強度を確保でき、連続生産しやすくなり、前記上限値以下であれば、脱水時間が短くなり、コンポジットシートの生産性が高くなる。
シートの厚さは1〜1000μmが好ましく、5.0〜500μmがより好ましく、10.0〜100μmがさらに好ましい。シートの厚さが前記下限値以上であれば、充分なシート強度を確保でき、連続生産しやすくなり、前記上限値以下であれば、脱水時間が短くなり、シートの生産性が高くなる。
成形物(例えば、シート)またはその粉砕物(例えば、シート粉砕物)の含水率は特に限定するものではないが、0〜80質量%が好ましく、0.1〜70質量%がより好ましく、0.3〜15質量%がさらに好ましい。最も好ましい範囲は0.5〜10質量%である。0質量%に近づくほど乾燥に時間がかかり、非効率的である。含水率が高すぎると、第二の熱可塑性樹脂と溶融混練した際に樹脂中に水分の蒸発による気泡を発生させてしまい機械物性が劣ることがある。上記含水率はJIS P−8127:2010に準じて測定することができる。
成形物の製造工程においては、得られた成形物を粉砕して、細かい成形物の粉砕物を得ることもできる。成形物を粉砕することにより、第二の熱可塑性樹脂に対して微細セルロース繊維をより容易に分散させることができ、得られる樹脂組成物の強度をより向上させることができる。
粉砕においては、微小セルロース繊維の形状を損なわない程度に粉砕することが好ましい。粉砕の方法は特に限定されないが、公知の粉砕機、例えば、サンプルミル、ハンマーミル、ターボミル、アトマイザー、カッターミル、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、ジェットミルなどを使用することができる。またシュレッダーにより細片化してもよい。
成形物の粉砕物の面積は0.1〜2500mm2であることが好ましく、0.2〜1000mm2であることがより好ましい。
粉砕物の面積が前記下限値未満、前記上限値超のいずれであっても、後述する溶融混練工程において、第二の熱可塑性樹脂との混合が不均一になるおそれがあり、また、溶融混練装置への供給が困難になることがある。
粉砕後には、スクリーンにより粉砕物の形状、大きさを篩い分けてもよい。篩い分けすると、第二の熱可塑性樹脂と均一に混合しやすくなる。篩い分けに使用されるスクリーンの口径は、第二の熱可塑性樹脂の種類や形状等に応じて適宜選択される。
(成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを混合する工程(b))
工程(b)は、成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを混合する工程である。好ましくは、工程(b)は、成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを混合し、溶融混練する工程である。第二の熱可塑性樹脂との混合には、成形物をそのまま用いてもよいし、上記のように成形物を粉砕した成形物の粉砕物を用いてもよいが、シート粉砕物を用いることが好ましい。即ち、工程(b)においては、具体的には、成形物の粉砕物と第二の熱可塑性樹脂とを各々計量して所定の割合で混合し、溶融混練装置を用いて溶融混練することが好ましい。また、溶融混練後には、ダイより棒状に吐出させ、冷却し、裁断して、ペレット状にすることが好ましい。
成形物又はその粉砕物と第二の熱可塑性樹脂との混合に際しては、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサーなどを使用することができる。また、成形物又はその粉砕物および第二の熱可塑性樹脂の混合と同時に、本明細書中上記した各種添加剤を混合してもよい。
溶融混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられる。これらの中でも、微細セルロース繊維の分散性がより高くなることから、二軸押出機が好ましい。シート又はその粉砕物、又は第二の熱可塑性樹脂が水分等の揮発分を含む場合には、溶融混練装置に脱揮装置を取り付けることが好ましい。
溶融混練時の温度は、第二の熱可塑性樹脂の溶融温度に応じて適宜設定されるが、例え
ば、90〜300℃の範囲内とすることができる。
本発明では、成形物又はその粉砕物に含まれる水分を調節することにより、該成形物又はその粉砕物に含まれる水が亜臨界状態となる温度及び圧力条件下で第二の熱可塑性樹脂と溶融混練することでセルロース繊維含有樹脂組成物を得ることもできる。なお、水の臨界点は374℃、22.1MPaであり、この温度及び圧力以上の状態の水を超臨界水といい、臨界点よりもやや低い領域にある高温、高圧の状態のことを亜臨界状態という。水の亜臨界状態としては、例えば、温度が100℃以上374℃未満、圧力が0.1MPa以上22.1MPa未満の状態が挙げられるが、特に限定されない。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明の範囲は、実施例によって限定され
ない。
(実施例1)
(セルロース繊維分散液Aの調製)
針葉樹晒クラフトパルプ(王子製紙社製、水分50質量%)を濃度4.0質量%になるように水を加えて、分散した後、ダブルディスクレファイナーで5.5時間連続循環叩解をおこなった。得られたセルロース繊維の長さ荷重平均繊維長は0.48mm、繊維幅は330nmであった。得られたセルロース繊維分散液Aのセルロース繊維含有濃度は3.95質量%であった。
(ポリエチレン(PE)繊維の作製)
高密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ製、J311)をエクストルーダーで溶融し、240℃で溶融して円形の吐出孔より吐出した後、濃度1質量%のポリビニルアルコール溶液を吹き付けつつ空冷して未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中において3.00倍で延伸し、引き続いて85℃の温水中において、2.2倍で延伸した後5mmの繊維長にカットしてPE繊維を得た。
さらにこのPE繊維を水中に濃度4質量%となるように分散し、ダブルディスクレファイナーで6時間連続循環叩解をおこなった。得られたPE繊維分散液Aの繊維径は0.28μmであった。PE繊維分散液AのPE繊維含有濃度は3.8質量%であった。
(セルロース繊維/PE繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPE繊維の質量比率が8:2となるようにセルロース繊維分散液A20kgとPE繊維分散液5.2kgを混合した。更に嵩高剤(荒川化学製、DL-FA20)を1質量%に希釈したものを4.94kg添加した後、水を添加して330kgに希釈した。
このようにして得られたセルロース繊維/PE繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量35g/m2の混抄シートAを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートAを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物10質量部と高密度ポリエチレン(J321)90質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(実施例2)
(PE繊維の作製)
高密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ製、J311)をエクストルーダーで溶融し、240℃で溶融して円形の吐出孔より吐出した後、濃度1質量%のポリビニルアルコール溶液を吹き付けつつ空冷して未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中において3.00倍で延伸し、引き続いて85℃の温水中において、1.8倍で延伸した後5mmの繊維長にカットしてPE繊維を得た。
さらにこのPE繊維を水中に濃度4質量%となるように分散し、ダブルディスクレファイナーで6時間連続循環叩解をおこなった。得られたPE繊維分散液Aの繊維径は1.8μmであった。PE繊維分散液BのPE繊維含有濃度は3.8質量%であった。
(セルロース繊維/PE繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPE繊維の質量比率が6:4となるように実施例1で得られたセルロース繊維分散液A15.2kgとPE繊維分散液10.53kgを混合した。更に嵩高剤(荒川化学製、DL-FA20)を1質量%に希釈したものを2.0kg添加した後、水を添加して330kgに希釈した。
このようにして得られたセルロース繊維/PE繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量25g/m2の混抄シートBを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートBを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物30質量部と高密度ポリエチレン(J321)70質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(実施例3)
(セルロース繊維/PE繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPE繊維の質量比率が6:4となるように実施例1で得られたセルロース繊維分散液A15.2kgとPE繊維分散液B10.53kgを混合した。このようにして得られたセルロース繊維/PE繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量20g/m2の混抄シートCを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートCを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物30質量部と高密度ポリエチレン(J321)70質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(実施例4)
(PE繊維の作製)
高密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ製、J311)をエクストルーダーで溶融し、240℃で溶融して円形の吐出孔より吐出した後、濃度1質量%のポリビニルアルコール溶液を吹き付けつつ空冷して未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中において3.00倍で延伸し、引き続いて85℃の温水中において、1.2倍で延伸した後5mmの繊維長にカットしてPE繊維を得た。
さらにこのPE繊維を水中に濃度4質量%となるように分散し、ダブルディスクレファイナーで6時間連続循環叩解をおこなった。得られたPE繊維分散液Cの繊維径は12μmであった。PE繊維分散液BのPE繊維含有濃度は3.8質量%であった。
(セルロース繊維/PE繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPE繊維の質量比率が5:5となるように実施例1で得られたセルロース繊維分散液A12.7kgとPE繊維分散液13.2kgを混合した。更に嵩高剤(荒川化学製、DL-FA20)を1質量%に希釈したものを2.0kg添加した後、水を添加して330kgに希釈した。
このようにして得られたセルロース繊維/PE繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量25g/m2の混抄シートDを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートDを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物30質量部と高密度ポリエチレン(J321)70質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(実施例5)
(PP(ポリプロピレン)繊維の作製)
ポリプロピレン(サンアロマー、PM900C)をエクストルーダーで溶融し、240℃で溶融して円形の吐出孔より吐出した後、濃度1%のポリビニルアルコール溶液を吹き付けつつ空冷して未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中において3.00倍で延伸し、引き続いて85℃の温水中において、2倍で延伸した後5mmの繊維長にカットしてPP繊維を得た。
さらにこのPP繊維を水中に濃度4質量%となるように分散し、ダブルディスクレファイナーで6時間連続循環叩解をおこなった。得られたPP繊維分散液Aの繊維径は0.35μmであった。PP繊維分散液AのPP繊維含有濃度は3.7質量%であった。
(セルロース繊維/PP繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPP繊維の質量比率が7:3となるように実施例1で得られたセルロ
ース繊維分散液A17.7kgとPP繊維分散液8.1kgを混合した。更に嵩高剤(荒川化学製、DL-FA20)を1質量%に希釈したものを4.0kg添加した後、水を添加して330kgに希釈した。
このようにして得られたセルロース繊維/PP繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量30g/m2の混抄シートEを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートEを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物20質量部とポリプロピレン(PM900C)80質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(実施例6)
(PP繊維の作製)
ポリプロピレン(サンアロマー、PM900C)をエクストルーダーで溶融し、240℃で溶融して円形の吐出孔より吐出した後、濃度1質量%のポリビニルアルコール溶液を吹き付けつつ空冷して未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中において3.00倍で延伸し、引き続いて85℃の温水中において、1.5倍で延伸した後5mmの繊維長にカットしてPP繊維を得た。
さらにこのPP繊維を水中に濃度4質量%となるように分散し、ダブルディスクレファイナーで6時間連続循環叩解をおこなった。得られたPP繊維分散液Aの繊維径は1.1μmであった。PP繊維分散液BのPP繊維含有濃度は3.7質量%であった。
(セルロース繊維/PP繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPP繊維の質量比率が6:4となるように実施例1で得られたセルロース繊維分散液A15.2kgとPP繊維分散液B10.8kgを混合した。更に嵩高剤(荒川化学製、DL-FA20)を1質量%に希釈したものを2.0kg添加した後、水を添加して330kgに希釈した。
このようにして得られたセルロース繊維/PP繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量30g/m2の混抄シートFを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートBを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物30質量部とポリプロピレン(PM900C)70質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(実施例7)
(PP繊維の作製)
ポリプロピレン(サンアロマー、PM900C)をエクストルーダーで溶融し、240℃で溶融して円形の吐出孔より吐出した後、濃度1質量%のポリビニルアルコール溶液を吹き付けつつ空冷して未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中において3.00倍で延伸し、引き続いて85℃の温水中において、1.1倍で延伸した後5mmの繊維長にカットしてPP繊維を得た。
さらにこのPP繊維を水中に濃度4%となるように分散し、ダブルディスクレファイナーで6時間連続循環叩解をおこなった。得られたPP繊維分散液Cの繊維径は15μmであった。PP繊維分散液CのPP繊維含有濃度は3.7質量%であった。
(セルロース繊維/PP繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPP繊維の質量比率が5:5となるように実施例1で得られたセルロース繊維分散液A12.7kgとPP繊維分散液C13.5kgを混合した。更に嵩高剤(荒川化学製、DL-FA20)を1%に希釈したものを1.0kg添加した後、水を添加して330kgに希釈した。
このようにして得られたセルロース繊維/PP繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量30g/m2の混抄シートGを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートBを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物50質量部とポリプロピレン(PM900C)50質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(実施例8)
(セルロース繊維/PP繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPP繊維の質量比率が5:5となるように実施例1で得られたセルロース繊維分散液A12.7kgとPP繊維分散液C13.5kgを混合し、水を添加して330kgに希釈した。
このようにして得られたセルロース繊維/PP繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量30g/m2の混抄シートHを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートBを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物50質量部とポリプロピレン(PM900C)50質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(実施例9)
(セルロース繊維分散液Bの調製)
実施例1で調製したセルロース繊維分散液Aを濃度2質量%に希釈し、エムテクニックス社製クレアミックス11Sにて2時間解繊処理を行ってセルロース繊維分散液Bを得た。得られたセルロース繊維の長さ荷重平均繊維長は0.4mm、繊維幅は220nmであった。
セルロース繊維分散液Bの固形分濃度は1.9質量%であった。
(PA6繊維の作製)
PA6(UBEナイロン、1013B)をエクストルーダーで溶融し、260℃で溶融して円形の吐出孔より吐出した後、濃度1%のポリビニルアルコール溶液を吹き付けつつ空冷して未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中において3.00倍で延伸し、引き続いて85℃の温水中において、2倍で延伸した後5mmの繊維長にカットしてPA6繊維を得た。
さらにこのPA6繊維を水中に濃度4質量%となるように分散し、ダブルディスクレファイナーで6時間連続循環叩解をおこなった。得られたPA6繊維分散液Aの繊維径は0.18μmであった。PA6繊維分散液AのPA6繊維含有濃度は3.7質量%であった。
(セルロース繊維/PA6繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPA6繊維の質量比率が85:15となるように実施例1で得られたセルロース繊維分散液B44.7kgとPA6繊維分散液4.1kgを混合した。更に嵩高剤(荒川化学製、DL-FA20)を1質量%に希釈したものを5.0kg添加した後、水を添加して330kgに希釈した。
このようにして得られたセルロース繊維/PA6繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量40g/m2の混抄シートIを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートBを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物8質量部とPA6(UBEナイロン、1013B)92質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(実施例10)
(PA6繊維の作製)
PA6(UBEナイロン、1013B)をエクストルーダーで溶融し、260℃で溶融して円形の吐出孔より吐出した後、濃度1%のポリビニルアルコール溶液を吹き付けつつ空冷して未延伸糸を得た。この未延伸糸を75℃の温水中において3.00倍で延伸し、引き続いて85℃の温水中において、1.3倍で延伸した後5mmの繊維長にカットしてPA6繊維を得た。
さらにこのPA6繊維を水中に濃度4%となるように分散し、ダブルディスクレファイナーで6時間連続循環叩解をおこなった。得られたPA6繊維分散液Aの繊維径は12μmであった。PA6繊維分散液BのPA6繊維含有濃度は3.8質量%であった。
(セルロース繊維/PA6繊維混抄シートの作製)
セルロース繊維とPA6繊維の質量比率が50:50となるように実施例1で得られたセルロース繊維分散液A12.7kgとPA6繊維分散液13.2kgを混合した。更に嵩高剤(荒川化学製、DL-FA20)を1質量%に希釈したものを1.0kg添加した後、水を添加して330kgに希釈した。
このようにして得られたセルロース繊維/PA6繊維分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量35g/m2の混抄シートJを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートBを鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物8質量部とPA6(UBEナイロン、1013B)92質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例1)
実施例1で得られたセルロース繊維A分散液を濃度0.3重量%になるように希釈して330kgを長網抄紙機にて抄紙して坪量20g/m2のセルロース繊維シートAを作成し、鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物8質量部と高密度ポリエチレン(J321)92質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例2)
比較例1で得られたセルロース繊維シートA粉砕物18質量部と高密度ポリエチレン(J321)82質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例3)
比較例1で得られたセルロース繊維シートA粉砕物30質量部と高密度ポリエチレン(J321)70質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例4)
(セルロース繊維/PEエマルション混抄シートの作製)
セルロース繊維AとPEエマルション(三井化学製、商品名:ケミパールW700、エマルション濃度5質量%)の質量比率が8:2となるようにセルロース繊維分散液A20.3kgとPEエマルション4.0kgを混合し水を添加して330kgに希釈した。このようにして得られたセルロース繊維/PEエマルション分散液を長網抄紙機にて抄紙して坪量30g/m2の混抄シートKを得た。
(セルロース繊維含有樹脂組成物の製造)
混抄シートKを鋏で2mm角に裁断した。この粉砕物10質量部と高密度ポリエチレン(J321)90質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例5)
比較例4で作製した混抄シートKの粉砕物22.5質量部と高密度ポリエチレン(J321)77.5質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例6)
比較例4で作製した混抄シートKの粉砕物37.5質量部と高密度ポリエチレン(J321)62.5質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度160℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例7)
比較例1で作製したセルロース繊維シートAの粉砕物8質量部とポリプロピレン(PM900C)92質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例8)
比較例1で作製したセルロース繊維シートAの粉砕物18質量部とポリプロピレン(PM900C)82質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例9)
比較例1で作製したセルロース繊維シートAの粉砕物25質量部とポリプロピレン(PM900C)82質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例10)
実施例9で得られたセルロース繊維B分散液を濃度0.3重量%になるように希釈して330kgを長網抄紙機にて抄紙して坪量20g/m2のセルロース繊維シートBを作成し、鋏で2mm角に裁断した。次いでこの粉砕物20質量部とPA6(UBEナイロン、1013B)80質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(比較例11)
比較例1でセルロース繊維シートA粉砕物20質量部とPA6(UBEナイロン、1013B)80質量部、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1質量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05質量部をドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)にて300rpm、バレル温度200℃にて溶融混練して得られたストランドをカットしてペレットを作製した。得られたペレットを金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、試験片を得た。
(評価方法)
(1)セルロース繊維の平均繊維長
「JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52:2000 パルプ及び紙―繊維長試験方法―光学的自動計測法」に準ずるカヤーニ社製:繊維長測定装置「FiberLab」で測定して得られる長さ荷重平均繊維長を平均繊維長とした。
(2)セルロース繊維の平均繊維径
濃度0.05〜0.1質量%のセルロース繊維水懸濁液をガラス上にキャストした表面を走査型電子顕微鏡にて観察した。この際、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定した場合に少なくとも軸に対し、20本以上の繊維が軸と交差するような試料及び観察条件(倍率等)とする。この条件を満足する観察像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維幅を目視で読み取っていく。こうして最低3枚の重なっていない表面部分の画像を電子顕微鏡で観察し、各々2つの軸の交錯する繊維の繊維幅の値を読み取り(最低20本×2×3=120本の繊維幅)平均値を測定した。
(3)樹脂繊維の平均繊維径
濃度0.05〜0.1質量%の樹脂繊維水懸濁液をガラス上にキャストした表面を走査型電子顕微鏡にて観察した。この際、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定した場合に少なくとも軸に対し、20本以上の繊維が軸と交差するような試料及び観察条件(倍率等)とする。この条件を満足する観察像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維幅を目視で読み取っていく。こうして最低3枚の重なっていない表面部分の画像を電子顕微鏡で観察し、各々2つの軸の交錯する繊維の繊維幅の値を読み取り(最低20本×2×3=120本の繊維幅)平均値を測定した。
(4)坪量の測定
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
(5)引張り弾性率及び引張強度
JIS K 7161を参考に、引張降伏強度および引張弾性率を測定した。引張試験機として株式会社エーアンドディー社製のテンシロン(型式:RTG−1250)を用いた。引張降伏強度測定時の引張速度は1.0mm/分、引張弾性率の引張速度は0.2mm/分とした。
(6)熱変形温度
(熱変形温度(HDT))
JIS K7191−1に準拠して、試験片の中央に一定の曲げ荷重(1.8MPa)を加え(フラットワイズ方向)、等速度で昇温させ、中央部のひずみが0.34mmに達したときの温度(℃)を測定した。熱変形温度測定装置は、(株)東洋精機製作所製HDTテスタ6M−2を用いた。測定は3回測定の平均値である。
(7)分散性評価
試験片をミクロトームで2μmに薄切し200倍で光学顕微鏡にて観察したときに、凝集物が観察される場合を×、1000倍で観察したときに、凝集物が観察される場合を△、凝集物が観察されない場合を○とした。
上記の評価の結果を以下の表に示す。
Figure 2017132988
Figure 2017132988
表1に示す通り、実施例1〜10の樹脂組成物は何れも、良好な分散性を示した。また実施例1〜10の樹脂組成物は、引張弾性率及び引張強度が高く、熱変形温度も高く、良好な物性を示した。一方、表2に示す通り、シートに熱可塑性樹脂繊維を含まない比較例1〜3及び7〜11の樹脂組成物は、分散性の評価が×であり、本発明の樹脂組成物の分散性より大きく劣っていた。熱可塑性樹脂のエマルションを用いた比較例4〜6の樹脂組成物は、分散性の評価が△であり、本発明の樹脂組成物の分散性より劣っていた。

Claims (14)

  1. 微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを含む、樹脂組成物。
  2. 微細セルロース繊維の数平均繊維幅が1μm以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 微細セルロース繊維の繊維長が1mm以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物が、微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む混抄シートである、請求項1から3の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物における微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維との質量比が、40:60〜90:10である、請求項1から4の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 第一の熱可塑性樹脂を構成するモノマー単位と、第二の熱可塑性樹脂を構成するモノマー単位とが同一である、請求項1から5の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 第一の熱可塑性樹脂繊維が、ポリオレフィン繊維又はポリアミド繊維である、請求項1から6の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 第二の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂又はポリアミド樹脂である、請求項1から7の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  9. 微細セルロース繊維と第一の熱可塑性樹脂繊維とを含む成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂との質量比率が、5:95〜70:30である、請求項1から8の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  10. 樹脂組成物が、溶融混練物である、請求項1から9の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  11. JIS K7161に規定される引張弾性率が1000MPa以上7000MPa以下である、請求項1から10の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  12. JIS K7161に規定される引張降伏強度が30MPa以上200MPa以下である、請求項1から11の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  13. JIS K7191−1に規定される1.8MPaの曲げ荷重を加えた時の熱変形温度が70℃以上である、請求項1から12の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  14. (a)微細セルロース繊維を含有する分散液と、第一の熱可塑性樹脂繊維を含有する分散液とを混合して成形することにより成形物を製造する工程;及び
    (b)工程(a)で得られた成形物又はその粉砕物と、第二の熱可塑性樹脂とを混合する工程:
    を含む、請求項1から13の何れか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
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