JP2017132823A - フィルム基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿下における寸法安定性と透明性とに優れるフィルム基板を提供する。
【解決手段】フィルム基板1は、ひも状アルミニウムケイ酸塩4と透明樹脂2とを含む。フィルム基板1では、当該フィルム基板1に占めるひも状アルミニウムケイ酸塩4の含有量が0.5質量%以上50質量%以下であり、ひも状アルミニウムケイ酸塩4のうち、50%以上が、長軸の寸法が200nm以上であり、当該フィルム基板1のヘイズ値が10%未満である。
【選択図】図1

Description

本発明はフィルム基板およびその製造方法に関する。
液晶ディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイでは、支持基板としてガラス基板が用いられている。近年では、薄型化・軽量化・形状の自由度が求められ、ガラス基板に代えて、軽くてフレキシブル性に富むフィルム基板が検討・実用化されるようになってきている。
フィルム基板には用途に応じて種々の機能層が積層され、かかる場合にフィルム基板が熱にさらされるため、フィルム基板では、熱膨張や熱収縮といった寸法安定性が重要な特性となる。線膨張係数を低下させ寸法安定性を向上させる技術として、マトリクス樹脂に対し繊維状の物質を添加する技術があり、その中でも結晶性のセルロースを添加する技術が着目されている(特許文献1、2参照)。
他方、特許文献3には、透明樹脂に対し針状または柱状の無機結晶粒子を添加する技術が開示されており、光拡散効果および輝度向上効果に優れた光学フィルムを提供しようとしている。
特開2008−127540号公報 特開2011−094046号公報 特開2010−117497号公報
しかしながら、特許文献1、2のような、結晶性のセルロースを添加する技術では、高湿環境下において樹脂が吸湿して膨張し、フィルム基板の光学特性に変化が生じてしまう。他方、特許文献3に開示された、針状または柱状の無機結晶粒子を添加する技術は、ヘイズ値が10%以上と高く(請求項1など参照)、透明性を必要とするフィルム基板に適用するのが困難である。
したがって本発明の主な目的は、高温高湿下における寸法安定性と透明性とに優れるフィルム基板およびその製造方法を提供することにある。
以上の課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
ひも状アルミニウムケイ酸塩と透明樹脂とを含むフィルム基板であって、
前記ひも状アルミニウムケイ酸塩と前記透明樹脂とのうち、前記ひも状アルミニウムケイ酸塩の含有量が0.5質量%以上50質量%以下であり、
前記ひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、50%以上が、長軸の寸法が200nm以上であり、
当該フィルム基板のヘイズ値が10%未満であることを特徴とするフィルム基板が提供される。
本発明の他の態様によれば、
ひも状アルミニウムケイ酸塩と透明樹脂とを含むフィルム基板の製造方法であって、
前記ひも状アルミニウムケイ酸塩を水に分散させた分散液を調製する工程と、
前記分散液の溶媒を水から有機溶媒に置換する工程と、
溶媒置換後の前記分散液と前記透明樹脂とを混合して成膜する工程と、
成膜後の混合物から溶媒を除去する工程と、
を有することを特徴とするフィルム基板の製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、
ひも状アルミニウムケイ酸塩と水溶性の透明樹脂とを含むフィルム基板の製造方法であって、
前記ひも状アルミニウムケイ酸塩を水に分散させた分散液を調製する工程と、
前記分散液と前記透明樹脂とを混合して成膜する工程と、
成膜後の混合物から前記分散液の水を除去する工程と、
を有することを特徴とするフィルム基板の製造方法が提供される。
本発明によれば、高温高湿下における寸法安定性と透明性とを向上させることができる。
フィルム基板の概略構成を示す断面図である。 ひも状アルミニウムケイ酸塩のX線回折図である。 ひも状アルミニウムケイ酸塩の走査型電子顕微鏡写真である。 (a)減圧蒸発、(b)限外濾過を説明するための概念図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
なお、本願では、数値範囲を表す「〜」はその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用されている。
《フィルム基板(1)》
図1に示すとおり、フィルム基板1は主に透明樹脂2およびひも状アルミニウムケイ酸塩4から構成され、透明樹脂2中にひも状アルミニウムケイ酸塩4が分散した構成を有している。透明樹脂2には他の添加剤が含有されてもよい。
フィルム基板1では、ヘイズ値が10%未満となっている。
ヘイズ値は、JIS−K7136に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製NDH2000)を用いて測定した値である。
《透明樹脂(2)》
透明樹脂としては、具体的には、例えば、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル系樹脂;ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セロファン、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、シンジオタクティックポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等のビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルケトンイミド樹脂;ポリアミド系樹脂;フッ素系樹脂等を挙げることができる。
これらの中でも、ひも状アルミニウムケイ酸塩の分散性の観点から、好ましくはセルロースエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル系樹脂がよく、より好ましくはセルロースエステル系樹脂がよい。セルロースエステル系樹脂はひも状アルミニウムケイ酸塩との相溶性が良好なため、セルロースエステル系樹脂を使用すれば、フィルム基板のヘイズ値を抑制することができる。
透明樹脂は、上記例示した樹脂を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
《ひも状アルミニウムケイ酸塩(4)》
「アルミニウムケイ酸塩」とは、主な構成元素を、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)および水素(H)とし、多数の≡Si−O−Al≡結合で構成された和水ケイ酸アルミニウムであり、典型的には組成式がSiO・Al・2HOまたは(OH)AlSiOHで表される化合物である。
かかるアルミニウムケイ酸塩の一例として、イモゴライトと称されるひも状のアルミニウムケイ酸塩が知られている。ひも状アルミニウムケイ酸塩としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。ひも状アルミニウムケイ酸塩としては、ひも状アルミニウムケイ酸塩の外径をa、長さをbとしたとき、b/a≧10であることが好ましい。
(1)含有量、特性など
フィルム基板1に占めるひも状アルミニウムケイ酸塩4の含有量は、0.5質量%以上50質量%以下である。
特に本実施形態では、ひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、50%以上が、長軸の寸法が200nm以上であり、好ましくは300nm以上である。
長軸の寸法が上記範囲にあれば、ひも形状の効果を得ることができ、線膨張抑制効果や表面強度向上効果を得ることができる。
長軸の寸法の測定については特に限定されない。
本実施形態では、走査型電子顕微鏡写真(SEM画像)を用いて、SEM画像上に糸状の構造体(ひも状アルミニウムケイ酸塩)を確認し、画像処理を用いて解析することで長軸の寸法を測定する。この際、任意に300個のひも状アルミニウムケイ酸塩を測定し、長軸の寸法分布を算出して200nm以上の存在率(50%以上か否か)を決定する。
(2)ひも状アルミニウムケイ酸塩の製造方法
ひも状アルミニウムケイ酸塩を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、特開2011−42520号公報に記載される方法等によって製造することができるが、下記の方法を用いることでひも状アルミニウムケイ酸塩を効率良く製造することができる。
まず、無機ケイ素化合物溶液をイオン交換体で処理することで、電気伝導率5〜500μS/cm、pH3.5〜7.5のオルトケイ酸溶液を調製する(第1工程)。次に、調製したオルトケイ酸溶液、無機アルミニウム化合物溶液及び尿素又はアンモニアを混合し、混合液をpH2.8〜7.5に調整した後に加熱する(第2工程)。そして、加熱処理後の混合物を溶媒置換し(第3工程)、目的のひも状アルミニウムケイ酸塩(分散液)を得ることができる。
このような製造方法で用いられる各材料や条件等について、以下説明する。
(2.1)無機ケイ素化合物溶液
無機ケイ素化合物溶液を構成するケイ素源としては、溶媒和した際にケイ酸イオンが生じるものであれば特に制限されない。そのようなケイ素源としては、例えば、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、水ガラス等が挙げられる。
溶媒としては、原料であるケイ酸源と溶媒和しやすいものを適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、水、アルコール類等を使用することができる。塩の溶解性及び加熱時の取扱い易さの観点から、水を用いることが好ましい。
また、イオン交換時にケイ酸からポリケイ酸が生成することを抑制する観点から、イオン交換時の無機ケイ素化合物溶液のケイ素濃度は20mM以下であることが好ましい。
(2.2)イオン交換体
無機ケイ素化合物溶液のイオン交換処理に用いられるイオン交換体は、陰イオン交換体や陽イオン交換体が用いられる。陰イオン交換体としては、陰イオン交換膜等が挙げられ、陽イオン交換体としては、陽イオン交換樹脂、陽イオン交換膜等が挙げられ、特に限定されるものではないが、イオン交換能が高いことやケイ素の濃度管理が容易なことから陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。具体的には、処理後に得られるオルトケイ酸溶液の電気伝導率を5〜500μS/cm、pHを3.5〜7.5とすることができるものであれば、従来公知のいずれのイオン交換体を用いても良い。
陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂のいずれを用いても良く、複数組み合わせて用いるものとしても良い。
強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライトIR120B(オルガノ社製)、アンバーライトIR124(オルガノ社製)、アンバーライト200CT(オルガノ社製)、アンバーライト252(オルガノ社製)、ダイヤイオンSK104(三菱化学社製)、ダイヤイオンSK110(三菱化学社製)、ダイヤイオンSK112(三菱化学社製)、ダイヤイオンPK212(三菱化学社製)、ダイヤイオンPK216(三菱化学社製)、ダイヤイオンPK228(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK08(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK10(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK12(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK510L(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK530(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK550(三菱化学社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライトFPC3500(オルガノ社製)、アンバーライトIRC76(オルガノ社製)、ダイヤイオンWK10(三菱化学社製)、ダイヤイオンWK11(三菱化学社製)、ダイヤイオンWK100(三菱化学社製)、ダイヤイオンWK40L(三菱化学社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イオン交換樹脂を用いた場合、無機ケイ素化合物溶液のイオン交換処理の方法としては、例えば、バッチ法やカラム法等が用いられる。
バッチ法の場合、コンディショニング済みのイオン交換樹脂を容器に投入し、これに濃度調整した無機ケイ素化合物溶液を加え、イオン交換樹脂が浮遊する程度の強さで撹拌又は振盪しながら2時間程度反応させた後、イオン交換樹脂を濾別し、濾過液を回収することでオルトケイ酸溶液を得る。なお、マグネチックスターラーを使用すると、イオン交換樹脂の種類によってはイオン交換樹脂が破壊される場合があるので、混合の際には振盪を行うことが望ましい。ここで、コンディショニングとは、イオン交換樹脂をイオン交換能が発揮できる状態に復帰させることをいう。
カラム法の場合、コンディショニング済みのイオン交換樹脂をカラムに充填し、濃度調整した無機ケイ素化合物溶液をカラム内に一定の流速で流入し、カラムから流出される溶液を回収することでオルトケイ酸溶液を得る。
得られるオルトケイ酸溶液の電気伝導率は、バッチ法の場合には、撹拌又は振盪の程度、反応時間等により調整でき、カラム法の場合には、カラム内を流れる試料の流速、カラムの体積(半径や長さ等)、イオン交換樹脂の充填量等により調整できる。つまり、オルトケイ酸溶液の電気伝導率は、無機ケイ素化合物溶液とイオン交換体との接触時間及び接触面積を適宜変更することで、調整することができる。
また、得られるオルトケイ酸溶液のpHは、使用するイオン交換樹脂の種類、イオン交換樹脂と無機ケイ素化合物溶液の接触時間等により調整することができる。具体的には、陽イオン交換樹脂を用いる場合、イオン交換が進む程、得られるオルトケイ酸溶液のpHは低くなるため、イオン交換率の高い強酸性陽イオン交換樹脂を使用するとオルトケイ酸溶液のpHはより低くなり、イオン交換率の低い弱酸性陽イオン交換樹脂を使用するとオルトケイ酸溶液のpHは高いままとなる。
また、本発明においては、上記したように、イオン交換体としてイオン交換膜を用いても良い。イオン交換膜は、イオン交換樹脂を膜状に成形したもので、異符号のイオンの通過を阻止し、同符号のイオンのみを通過させる性質を有するイオン濾過膜である。
イオン交換膜を用いる場合には、陰イオン交換膜と陽イオン交換膜とを併用することが好ましいが、他の方法と組み合わせることでそれぞれを単独で用いるものとしても良い。
陰イオン交換膜は、膜に陽イオン基が固定されているため正に帯電しており、陽イオンを反発して通過させず、陰イオンのみを通過させる。このような陰イオン交換膜は、例えば、海水濃縮製塩、金属イオンの濃縮・除去、放射性イオン/物質の除去等に利用されている。このような陰イオン交換膜を用いることにより、無機ケイ素化合物溶液中の陰イオンのみを透過させて、目的のオルトケイ酸溶液を調製することができる。
また、陽イオン交換膜は、膜に陰イオン基が固定されているため負に帯電しており、陰イオンを反発して通過させず、陽イオンのみを通過させる。
(2.3)オルトケイ酸溶液のpH
イオン交換体による処理条件は、イオン交換体による処理で調製されたオルトケイ酸溶液のpHが3.5〜7.5となるように設定されている。pHが7.5以下であると、溶液中のオルトケイ酸が重合してポリケイ酸が生成してしまうことを抑制することができ、pHが3.5以上であると、第2工程のpH調整におけるアルカリ添加量を低減することができる。
pH測定は、一般的なガラス電極を用いたpHメーターによって測定できる。具体的には、例えば、MODEL(F−71S)(株式会社堀場製作所)を使用することができる。オルトケイ酸溶液のpHは、フタル酸塩pH標準液(pH:4.01)と、中性リン酸塩pH標準液(pH:6.86)と、ホウ酸塩pH標準液(pH:9.18)とをpH標準液として用い、pHメーターを3点校正した後、pHメーターの電極をオルトケイ酸溶液に入れて、5分以上経過して安定した後の値を読み取ることで得られる。このとき、pH標準液とオルトケイ酸溶液の液温は、例えば25℃とすることができる。
(2.4)オルトケイ酸溶液の電気伝導率σ
イオン交換体による処理条件は、イオン交換体による処理で調製されたオルトケイ酸溶液の電気伝導率が5〜500μS/cmとなるように設定されている。特に、陽イオン交換樹脂を用いてカラム法によりイオン交換処理する場合には、カラムの流速を調整することで、電気伝導率を調整することが可能である。オルトケイ酸溶液の電気伝導率としては、好ましくは5〜100μS/cmであり、更に好ましくは5〜15μS/cmである。
オルトケイ酸溶液の電気伝導率が500μS/cm以下であると、第2工程で調製される混合液への塩の混入が抑えられ、高収率でひも状アルミニウムケイ酸塩を製造することができる。また、オルトケイ酸溶液の電気伝導率が5μS/cm以上であると、イオン交換体による処理時間を短縮でき、生産性を向上させることができる。
理論純水の電気伝導率は、約0.055μS/cmの絶縁体であるため、特にオルトケイ酸溶液の溶媒が水の場合、電気伝導率は溶液中の全イオン量を示す指標といえる。
オルトケイ酸溶液の電気伝導率は、一般的な電気伝導率計によって測定でき、具体的には、例えば、ES−51(株式会社堀場製作所)を用いて、常温(25℃)で測定される。
(2.5)無機アルミニウム化合物溶液
無機アルミニウム化合物溶液を構成するアルミニウム源としては、溶媒和した際にアルミニウムイオンが生じるものであれば特に制限されない。そのようなアルミニウム源としては、例えば、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミニウムsec−ブトキシド等が挙げられる。
溶媒としては、原料であるアルミニウム源と溶媒和しやすいものを適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、水、アルコール類等を使用することができる。塩の溶解性及び加熱時の取扱い易さの観点から、水を用いることが好ましい。
また、第2工程において、オルトケイ酸水溶液に対する無機アルミニウム化合物溶液の仕込み量を調整することにより、製造されるひも状アルミニウムケイ酸塩の組成比を変更することができる。
(2.6)尿素又はアンモニア
尿素又はアンモニアとしては、いずれか一方を用いれば良く、所定の濃度に調整された溶液として添加することが取扱い性の観点から好ましい。
(2.7)混合液のpH調整
第2工程においては、オルトケイ酸溶液、無機アルミニウム化合物溶液及び尿素又はアンモニアを混合した混合液は、pH2.8〜7.5に調整する。pHを当該範囲に調整するためには、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の塩基性溶液を添加する方法や、例えば、塩酸、酢酸、硝酸等の酸性溶液を添加する方法等が挙げられる。
(2.8)加熱処理
第2工程においては、pH調整後の混合液を加熱する処理を行う。このときの加熱温度は特に限定されないが、より高純度なひも状アルミニウムケイ酸塩を得る観点から80〜120℃であることが好ましい。
加熱温度が120℃以下であると、副生成物であるベーマイト(一水和アルミニウム酸化物)の析出を抑制することができる傾向がある。なお、尿素を用いる場合には、加熱温度が高すぎると加熱開始初期で急速な熱分解が起き、混合液中のアンモニア濃度が急上昇してpHがアルカリ性側に近似する可能性があるため、中性〜弱酸性で形成されるひも状アルミニウムケイ酸塩の製造には不向きだと考えられる。
また、加熱温度が80℃以上であると、尿素の熱分解とそれに続くひも状アルミニウムケイ酸塩の合成速度が向上し、生産性を向上させることができる。
加熱時間は特に制限されないが、ひも状アルミニウムケイ酸塩を効率良く得る観点から12時間以上、100時間以内であることが好ましい。
(2.9)溶媒置換
加熱処理後の混合液を水分散液として、本実施形態では、加熱処理後の当該混合液から水を除去し、溶媒を水から有機溶媒に置換する。
上記混合液から水を除去する手法としては、混合液を減圧蒸発させる方法や、混合液を限外濾過する方法などがある。
減圧蒸発は、混合液を減圧下で加熱し、混合液の蒸発を促進させ、溶媒を除去する方法である。
具体的に本実施形態では、混合液を減圧下で加熱し(減圧蒸発させ)、混合液中の水を除去する。例えば、図4(a)に示すように、ロータリーエバポレーター10が使用可能であり、凝縮器12を介してナスフラスコ16を減圧した状態で、ナスフラスコ16を回転させながらバス18で加熱して混合液を蒸発させ、蒸発した分散媒(水)を、凝縮器12内の冷却水14で冷却して受けフラスコ20に貯留させる。その後、水除去後の混合液に対し、置換を行う有機溶媒を加えて再度減圧蒸発させ水を除去し、有機溶媒を加えてこれと同様の操作を繰り返す。
減圧蒸発では、分散媒が完全に除去されてしまうと、ひも状アルミニウムケイ酸塩の凝集が生じるため、分散媒がひも状アルミニウムケイ酸塩に対して10重量部以上残っている状態を下限として、水の除去を行う。
限外濾過は、混合液を流通させながら加圧(または吸圧)して強制的に濾過膜を透過させ、溶媒を除去する方法である。
例えば、図4(b)に示すように、限外濾過装置30の濾過器32に対し混合液を循環させ、その途中で混合液を加圧(または吸圧)して濾過膜34を強制的に透過させ、水を除去する。その後、水除去後の混合液に対し、置換を行う有機溶媒を加えて再度限外濾過して水を除去し、有機溶媒を加えてこれと同様の操作を繰り返す。
限外濾過では、例えば、Sartorius stedim社製ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)の特性を有する濾過器を用いて、流速300ml/min(分)、液圧1bar、室温の条件で、濾過を行うことができる。
限外濾過では、濾過器(濾過膜)の分画分子量と濾過の流速とを変更(調整)することで、ひも状アルミニウムケイ酸塩の長軸の寸法を変更(制御)することができる。
例えば、濾過膜の分画分子量を小さくすると、長軸寸法が大きいひも状アルミニウムケイ酸塩のみが捕捉され、長軸寸法が大きいひも状アルミニウムケイ酸塩の濃度が高くなる。かかる場合、濾過の流速を遅くするほど、長軸寸法が小さいひも状アルミニウムケイ酸塩を取り除くことが可能となる。当該流速の例としては、好ましくは20〜500ml/min(分)である。
他方、濾過膜の分画分子量を大きくすると、長軸寸法が大きいひも状アルミニウムケイ酸塩を捕捉できないため、長軸寸法が小さいひも状アルミニウムケイ酸塩と大きいひも状アルミニウムケイ酸塩とが混合した状態となる。かかる場合、濾過の流速を速くすれば、収率が低下するのを防止しうるため、当該流速は好ましくは50〜500ml/min(分)とするのがよい。
(3)ひも状アルミニウムケイ酸塩の同定
上記のような方法で製造されたひも状アルミニウムケイ酸塩は、X線回折による測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)による測定によって同定することができる。
(3.1)X線回折による測定
図2に、ひも状アルミニウムケイ酸塩のX線回折図を示す。図2に示すように、ひも状アルミニウムケイ酸塩が形成されている場合には、ひも状アルミニウムケイ酸塩に特有のピーク値が2θ=4,10,14付近に得られ、これによりひも状アルミニウムケイ酸塩の生成を確認することができる。
(3.2)走査型電子顕微鏡による測定
図3に、ひも状アルミニウムケイ酸塩の走査型電子顕微鏡写真(SEM画像)を示す。図3に示すように、ひも状アルミニウムケイ酸塩が形成されている場合には、SEM画像上に糸状の構造体を確認することができ、これによりひも状アルミニウムケイ酸塩の生成を確認することができる。
《フィルム基板の製造方法》
(1)製造方法A
フィルム基板の製造方法Aでは、
ひも状アルミニウムケイ酸塩を水に分散させた分散液を調製する工程と、
分散液の溶媒を水から有機溶媒に置換する工程と、
溶媒置換後の分散液と透明樹脂とを混合して成膜する工程と、
成膜後の混合物から溶媒を除去する工程と、
を有している。
前半の2工程の処理は上記したとおりである。
後半の2工程の処理は、特に限定されないが、着色抑制、異物欠点の抑制などの観点から、好ましくは流延法による溶液流延法、溶融流延法を用いるのがよい。
(1.1)溶液流延法
溶液流延法では主に、溶解工程、流延工程および溶媒蒸発工程の処理がなされる。
(1.1.1)溶解工程
溶解工程では、溶解釜中で、ひも状アルミニウムケイ酸塩分散液、透明樹脂および溶媒を混合し、混合液を攪拌しながら透明樹脂を溶解させる。
透明樹脂の溶解には、常圧で行う方法、溶媒の沸点以下で行う方法、溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができる。
有用な溶媒は、ひも状アルミニウムケイ酸塩を良好に分散することができ、透明樹脂を溶解するものであれば、制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒や非塩素系有機溶媒を用いることができる。
塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン(メチレンクロライド)などがある。
非塩素系有機溶媒としては、N-メチルピロリドン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、乳酸エチル、乳酸、アルコール類、水、などを挙げることができる。
これら溶媒の中でも、好ましくは、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、乳酸エチルなどがよい。
透明樹脂と溶媒との混合量としては、透明樹脂を10〜45質量%溶解させた組成物であることが好ましい。
(1.1.2)流延工程
流延工程では、溶解工程後の混合液を、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットから流延し成膜する。
ダイとしては、ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイを用いるのがよい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。
(1.1.3)溶媒蒸発工程
溶媒蒸発工程では、流延工程後の混合液を、流延用支持体上に流延して加熱し溶媒を蒸発させ、成膜後の混合物から溶媒を除去する。
溶媒を蒸発させるには、成膜物側から風を吹かせる方法及び/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等がある。裏面液体伝熱方法は乾燥効率が良く、かかる方法を用いるのが好ましい。又、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。
流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下として、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風を成膜物表面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
以上の工程の処理後に、金属支持体上で溶媒が蒸発し製造されたフィルム基板を、剥離位置で剥離し使用する。
なお、製造方法Aの溶液流延法では、溶媒蒸発工程と流延工程とを入れ替え、溶解工程後の混合液から溶媒を除去し、溶媒除去後の混合物を成膜してもよい。
流延工程と溶媒蒸発工程とをこの順に実施し、先に成膜してその後に溶媒を除去すれば、溶媒の除去が単なる乾燥で済むため、フィルム基板の作製が容易である。他方、溶媒蒸発工程と流延工程とを入れ替え、先に溶媒を除去してその後に成膜すれば、溶媒を除去するための大掛かりな装置が不要となる。
(1.2)溶融流延法
溶融流延法では主に、溶融ペレット工程および押出工程の処理がなされる。
(1.2.1)溶融ペレット工程
溶融ペレット工程では、ひも状アルミニウムケイ酸塩分散液、透明樹脂および溶媒を混合し、混合液をあらかじめ混錬してペレット化する。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、ひも状アルミニウムケイ酸塩分散液、乾燥した透明樹脂、および溶媒を混合し、溶媒を乾燥させた後で、フィーダーで押出機に供給し、1軸や2軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることでできる。
この時混練に用いる溶媒は前述したものを用いる。
フィーダー部やダイからの出口など、空気と触れる場合は、除湿空気や除湿したN2ガスなどの雰囲気下にすることが好ましい。
押出機は、せん断力を抑え、透明樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いて成膜を行う。
(1.2.1)押出工程
押出工程では、まず、作製したペレットを、1軸や2軸タイプの押出機を用いて、押し出す際の温度を溶融温度程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどでろ過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に共押出し、冷却ロール上で固化させ、弾性タッチロールと押圧しながら流延することでフィルム状とする。供給ホッパーから押出機へ導入する際は、真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
なお、製造方法Aの溶融流延法では、溶融ペレット工程で混合物から溶媒を除去し、押出工程で溶媒除去後の混合物を成膜している。
(2)製造方法B
フィルム基板の製造方法Bでは、
ひも状アルミニウムケイ酸塩を水に分散させた分散液を調製する工程と、
分散液と透明樹脂とを混合して成膜する工程と、
成膜後の混合物から分散液の水を除去する工程と、
を有する。
前半の1工程の処理は上記したとおりである。
後半の2工程の処理では、透明樹脂として水溶性の透明樹脂を使用し、それ以外は製造方法Aと同様の処理を実行すればよい。
以上の本実施形態によれば、フィルム基板1には、一定のひも状アルミニウムケイ酸塩4が一定量含有されており、当該ひも状アルミニウムケイ酸塩4が無機物であってその構造上互いに絡み合って存在しているため(図1上部拡大図参照)、高温環境下でも膨張し難く、高温環境下における寸法安定性を向上させることができる。
ひも状アルミニウムケイ酸塩4は中空状を呈しており、比表面積が大きく高い吸湿性を有するため、高湿環境下でも透明樹脂に浸透した水分をも吸湿し、高湿環境下における寸法安定性も向上させることができる。なお、ひも状アルミニウムケイ酸塩4は、高い放湿性をも有し、外部の湿度環境に応じて吸湿と放湿を繰り返すことが可能であるため、飽和状態に達すると吸湿性が低下してしまう一般的な吸湿材とは異なり、恒久的に高い防湿性を維持しうる。
ひも状アルミニウムケイ酸塩4は、水分散液から水を除去して溶媒置換され、乾燥工程を経ずに(粉体とされることなく)、溶媒置換後の分散液中での分散状態が維持されたまま透明樹脂2と混合されるから、ヘイズ値を10%未満とすることが達成され、透明性を向上させることができる。
以上から、高温高湿下における寸法安定性と透明性とに優れる基板フィルム1を提供することができる。
さらにフィルム基板1中では、上記のとおり、無機物で強靭なひも状アルミニウムケイ酸塩4が互いに絡み合っているため(図1上部拡大図参照)、フィルム基板1自体の硬度が飛躍的に向上し、フィルム基板1の基本的な特性として表面強度も向上させることができる。
(1)サンプルの作製
(1.1)サンプル1
日本製紙ケミカル株製の針葉樹クラフトパルプNDP-T25質量部に、メチレンクロライド75質量部を混合し、高圧ホモジナイザーで解砕処理を行い、セルロースファイバーの分散液(固形分25質量%)を得た。当該分散液を乾燥させ、セルロースファイバーの長軸の寸法を測定したところ、測定対象のセルロースファイバーのうち、50%が200nm以上であった。
なお、長軸の寸法の測定では、走査型電子顕微鏡写真(SEM画像)上でセルロースファイバーを確認して任意に300個を選択し、その寸法分布を算出して200nm以上のセルロースファイバーの割合を算出した(かかる長軸の寸法の測定は他のサンプルでも同様とした。)。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 100質量部(固形分25質量部)
トリアセチルセルロース 75質量部
メチレンクロライド 100質量部
その後、80℃で5時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、セルロースファイバー含有のフィルム基板を作製した。
(1.2)サンプル2
まず、オルトケイ酸ナトリウムをイオン交換水に溶解し、3.0mMオルトケイ酸ナトリウム水溶液を10L調製した。調製したオルトケイ酸ナトリウム水溶液を、カラムに充填した陽イオン交換樹脂に流入してイオン交換処理し、3.0mMのオルトケイ酸水溶液を得た。カラムの流速は、得られるオルトケイ酸水溶液の電気伝導率が500μS/cm以下になるように設定した。
なお、オルトケイ酸水溶液の電気伝導率は、電気伝導率計ES−51(堀場製作所社製)を用いて、25℃で測定した。また、陽イオン交換樹脂としては、オルトケイ酸水溶液のpHが5.0になるように、強酸性陽イオン交換樹脂であるアンバーライトIR120B(オルガノ社製)を使用した。オルトケイ酸水溶液のpHは、MODEL(F−71S)(株式会社堀場製作所)を用いて上記方法により測定した。
次に、得られた3.0mMのオルトケイ酸水溶液を2L、12mMの硝酸アルミニウム水溶液を1L、28mMの尿素水溶液を1L、3.8mMのNaOH水溶液を1L、イオン交換水2Lを混合して、SiとAlのモル濃度が1:2の比になるように混合液を調製した。更に、混合液のpHが3.5になるように4MのNaOH水溶液を滴下した。調製した混合液のpHは上記と同様の方法により測定した。調製した混合液を充分に撹拌した後、この混合液をオートクレーブにて100℃で80時間加熱した。
得られた混合液(ひも状アルミニウムケイ酸塩を水に分散させた分散液)を、Sartorius stedim社製ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量10000)を用いて、流速300ml/min(分)、液圧1bar、室温で限外濾過を行い、ひも状アルミニウムケイ酸塩分散液を得た。濾過後の濃度は、2.5質量%となるように調整した。
作製した2.5質量%の分散液200mlに対し200mlのメタノールを加え、再度限外濾過を行ない、液量が200mlになったところで、再度200mlのメタノールを加え限外濾過を行い、200mlとなるまで濃縮した。
この操作を合計5回行い、分散液のほぼすべての溶媒を水からエタノールに置換した。
次に、同様の操作をメチレンクロライドで行ない、分散液のほぼすべての溶媒をメタノールからメチレンクロライドに置換し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液を作製した。当該分散液を乾燥させ、ひも状アルミニウムケイ酸塩の長軸の寸法を測定したところ、測定対象のひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、40%が200nm以上であった。
その後、作製した2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液を濃縮し、10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液を作製した。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 250質量部(固形分25質量部)
トリアセチルセルロース 75質量部
その後、80℃で5時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.3)サンプル3
サンプル2において、限外濾過の濾過膜をSartorius stedim社製ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を作製した。当該分散液を乾燥させ、ひも状アルミニウムケイ酸塩の長軸の寸法を測定したところ、測定対象のひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、50%が200nm以上であった。
次に、当該分散液にメチレンクロライドを加えて濃度調整し、0.3質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液とした。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 100質量部(固形分0.3質量部)
トリアセチルセルロース 99.7質量部
メチレンクロライド 200質量部
その後、80℃で5時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.4)サンプル4
サンプル3において、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を濃縮し、10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液を作製した。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 520質量部(固形分52質量部)
トリアセチルセルロース 48質量部
その後、80℃で5時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.5)サンプル5
サンプル3において、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を希釈し、0.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液を作製した。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 100質量部(固形分0.5質量部)
トリアセチルセルロース 99.5質量部
メチレンクロライド 200質量部
その後、80℃で5時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.6)サンプル6
サンプル4における、10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を準備した。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 500質量部(固形分50質量部)
トリアセチルセルロース 50質量部
その後、80℃で5時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.7)サンプル7
サンプル4における、10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を準備した。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 250質量部(固形分25質量部)
トリアセチルセルロース 75質量部
その後、80℃で5時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.8)サンプル8
サンプル4における、10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を準備した。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合物を80℃で加熱して当該混合物から十分に溶媒(メチレンクロライド)を除去し、樹脂混合物を得た。
分散液 250質量部(固形分25質量部)
トリアセチルセルロース 75質量部
その後、当該樹脂混合物を230℃に加熱して溶融させ、その溶融物を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、フィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
その後(冷却した後)、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.9)サンプル9
日本製紙ケミカル株製の針葉樹クラフトパルプNDP-T25質量部に、水75質量部を混合し、高圧ホモジナイザーで解砕処理を行い、セルロースファイバーの分散液(固形分25質量%)を得た。当該分散液を乾燥させ、セルロースファイバーの長軸の寸法を測定したところ、測定対象のセルロースファイバーのうち、50%が200nm以上であった。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 100質量部(固形分25質量部)
日本酢ビ・ポバール株式会社製PVA JF-17 75質量部
水 100質量部
その後、100℃で3時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、セルロースファイバー含有のフィルム基板を作製した。
(1.10)サンプル10
サンプル2において、限外濾過の濾過膜をSartorius stedim社製ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩分散液(水分散液)を作製した。サンプル9では、分散液の有機溶媒への置換は行なわず、水分散液をそのまま用いた。
その後、当該分散液を濃縮し、10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液とした。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 250質量部(固形分25質量部)
日本酢ビ・ポバール株式会社製PVA JF-17 75質量部
その後、100℃で3時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.11)サンプル11
サンプル2において、限外濾過の濾過膜をSartorius stedim社製ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩分散液(水分散液)を作製した。サンプル11では、分散液の有機溶媒への置換は行なわず、水分散液をそのまま用いた。
その後、当該分散液を濃縮し、10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液とした。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合物を100℃で加熱して当該混合物から溶媒(水)を除去し、樹脂混合物を得た。
分散液 250質量部(固形分25質量部)
日本酢ビ・ポバール株式会社製PVA JF-17 75質量部
その後、当該樹脂混合物を230℃に加熱して溶融させ、その溶融物を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、フィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
その後(冷却した後)、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.12)サンプル12
サンプル1における、セルロースファイバーの分散液(メチレンクロライド分散液)を準備した。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 100質量部(固形分25質量部)
三菱レイヨン社製アクリル樹脂BR85 75質量部
メチレンクロライド 100質量部
その後、80℃で5時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、セルロースファイバー含有のフィルム基板を作製した。
(1.13)サンプル13
サンプル2において、限外濾過の濾過膜をSartorius stedim社製ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩分散液(メチレンクロライド分散液)を作製した。
その後、当該分散液を濃縮し、10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液とした。
その後、当該分散液を含む下記化合物を混合し、その混合液を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布した。塗布工程では、乾燥後のフィルム厚が50μmとなるようにバーコーターの条件を調節した。
分散液 250質量部(固形分25質量部)
三菱レイヨン社製アクリル樹脂BR85 75質量部
その後、80℃で5時間乾燥させ完全に溶媒を除去し、ガラス基板上からフィルムを剥離し、そのフィルムを長さ30cm×幅15cmに切断し、ひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.14)サンプル21
サンプル2において、限外濾過の濾過膜をSartorius stedim社製ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)に変更し、かつ、限外濾過の流速を150ml/min(分)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を作製した。当該分散液を乾燥させ、ひも状アルミニウムケイ酸塩の長軸の寸法を測定したところ、測定対象のひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、70%が200nm以上であった。
それ以外はサンプル2と同様の手法でひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.15)サンプル22
サンプル21において、限外濾過の流速を80ml/min(分)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を作製した。当該分散液を乾燥させ、ひも状アルミニウムケイ酸塩の長軸の寸法を測定したところ、測定対象のひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、95%が200nm以上であった。
それ以外はサンプル21と同様の手法でひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.16)サンプル23
サンプル21において、限外濾過の流速を80ml/min(分)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を作製し、これを濃縮して10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液を作製した。
その後、塗布用の混合液を下記のとおり調製した。
分散液 500質量部(固形分50質量部)
トリアセチルセルロース 50質量部
それ以外はサンプル21と同様の手法でひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.17)サンプル24
サンプル10において、限外濾過の流速を150ml/min(分)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(水分散液)を作製した。当該分散液を乾燥させ、ひも状アルミニウムケイ酸塩の長軸の寸法を測定したところ、測定対象のひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、70%が200nm以上であった。
それ以外はサンプル10と同様の手法でひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.18)サンプル25
サンプル24において、限外濾過の流速を80ml/min(分)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(水分散液)を作製した。当該分散液を乾燥させ、ひも状アルミニウムケイ酸塩の長軸の寸法を測定したところ、測定対象のひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、95%が200nm以上であった。
それ以外はサンプル24と同様の手法でひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.19)サンプル26
サンプル24において、限外濾過の流速を80ml/min(分)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(水分散液)を作製し、これを濃縮して10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液を作製した。
その後、塗布用の混合液を下記のとおり調製した。
分散液 500質量部(固形分50質量部)
日本酢ビ・ポバール株式会社製PVA JF-17 50質量部
それ以外はサンプル24と同様の手法でひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.20)サンプル27
サンプル13において、限外濾過の流速を150ml/min(分)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を作製した。当該分散液を乾燥させ、ひも状アルミニウムケイ酸塩の長軸の寸法を測定したところ、測定対象のひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、70%が200nm以上であった。
それ以外はサンプル13と同様の手法でひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.21)サンプル28
サンプル27において、限外濾過の流速を80ml/min(分)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を作製した。当該分散液を乾燥させ、ひも状アルミニウムケイ酸塩の長軸の寸法を測定したところ、測定対象のひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、95%が200nm以上であった。
それ以外はサンプル27と同様の手法でひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(1.22)サンプル29
サンプル27において、限外濾過の流速を80ml/min(分)に変更し、2.5質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液(メチレンクロライド分散液)を作製し、これを濃縮して10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩の分散液を作製した。
その後、塗布用の混合液を下記のとおり調製した。
分散液 500質量部(固形分50質量部)
三菱レイヨン社製アクリル樹脂BR85 50質量部
それ以外はサンプル27と同様の手法でひも状アルミニウムケイ酸塩含有のフィルム基板を作製した。
(2)サンプルの評価
(2.1)ヘイズ値の測定
各サンプルのヘイズ値(%)を、JIS−K7136に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製NDH2000)を用いて測定した。
(2.2)平均線膨張係数の測定
各サンプルについて、セイコー電子(株)製EXSTAR TMA/SS6000型熱応力歪測定装置を用いて、窒素雰囲気下、1分間に5℃の割合で温度を30℃から50℃まで上昇させた後、30分間ホールドし、再び1分間に5℃の割合で温度を上昇させて50℃〜150℃の時の値を測定して平均線膨張係数を求めた。荷重を5gにし、引張モードで測定を行い、評価した。
線膨張係数の範囲が10ppm/℃以下であれば、フィルム基板の品質は良好であると判断した。
(2.3)吸湿膨張係数
各サンプルについて吸湿膨張係数を求めた。
吸湿膨張係数は、フィルム基板の可逆的な寸法安定性の重要な尺度である。
ここでの吸湿膨張係数(β)は、23℃における、相対湿度1%RH当たりの寸法変化を示すものであり、下記式により算出される値である。
β(cm/cm・%RH)={(L−L)/L}/(RH−RH
上記式において、Lは、温度23℃、相対湿度RH(55%RH)で24時間放置したフィルム基板の幅(cm)を示し、Lは、温度23℃、相対湿度RH(80%RH)で24時間放置したフィルム基板の幅(cm)を示す。
吸湿膨張係数の範囲が10×10−5/%RH以下であれば、フィルム基板の品質は良好であると判断した。
(2.4)表面強度
各サンプルについて、#0000(極細)のスチールウールに1kg/cmの加重をかけて、フィルム表面を、ストローク100mm、速度30mm/secで10回往復摩擦して表面強度を測定した。測定結果の基準は下記のとおりである。
◎:傷本数が0〜5本
○:傷本数が6〜10本
×:傷本数が10本超
表1、表3中、TAC、PVAおよびPMMAはいずれも透明樹脂の種類を表し、「TAC」はセルロースエステル系樹脂(トリアセチルセルロース)を、「PVA」はポリビニルアルコール樹脂を、「PMMA」はアクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート樹脂)をそれぞれ表している。
(3)まとめ
サンプル1では、添加剤としてセルロースファイバーが含有され、線膨張係数および吸湿膨張係数のいずれも高く、表面強度も劣っている。
サンプル2では、長軸の寸法が200nm以上のひも状アルミニウムケイ酸塩が50%未満と少なく、線膨張係数および吸湿膨張係数のいずれも高く、表面強度も劣っている。
サンプル3では、ひも状アルミニウムケイ酸塩の含有量が0.5%未満と少なく、線膨張係数および吸湿膨張係数のいずれも高く、表面強度も劣っている。
サンプル4では、ひも状アルミニウムケイ酸塩の含有量が50%を超え過剰で、線膨張係数および吸湿膨張係数のいずれも低く、表面強度も優れるものの、ヘイズ値が高く、透明性に劣っている。
これに対し、サンプル5〜7、21〜23では、線膨張係数および吸湿膨張係数のいずれも低く、表面強度にも優れ、ヘイズ値も低い。
これらのことから、高温高湿環境下における寸法安定性と透明性とを向上させるうえでは、(i)添加剤としてひも状アルミニウムケイ酸塩を含有させること、(ii)その含有量を0.5質量%以上50質量%以下とすること、(iii)ひも状アルミニウムケイ酸塩のうち50%以上を長軸の寸法が200nm以上とすること、(iv)ひも状アルミニウムケイ酸塩の凝集を抑制しヘイズ値を10%未満とすることが、有用であることわかる。
なお、サンプル2では、長軸の寸法が200nm以上のひも状アルミニウムケイ酸塩が40%と少なく、針状または柱状のアルミニウムケイ酸塩が多いと考えられ(特許文献3の添加剤に類似すると考えられ)るのに対し、サンプル7のように、長軸の寸法が200nm以上のひも状アルミニウムケイ酸塩を50%とすると、結果が良好となり、ひも状アルミニウムケイ酸塩のうち50%以上を長軸の寸法が200nm以上とすることの有用性が実証されている。
またサンプル7とサンプル8との比較、およびサンプル10とサンプル11との比較から、先に成膜してその後に溶媒を除去しても、先に溶媒を除去してその後に成膜しても、同様の結果が得られることがわかる。
さらにサンプル9と、サンプル10、24〜26との比較から、透明樹脂の種類をセルロースエステル系樹脂から水溶性のポリビニルアルコール系樹脂に対しても、(i)〜(iv)が有用であることがわかるし、サンプル12と、サンプル13、27〜29との比較から、透明樹脂の種類をセルロースエステル系樹脂からアクリル系樹脂に変更しても、(i)〜(iv)が有用であることがわかる。
1 フィルム基板
2 透明樹脂
4 ひも状アルミニウムケイ酸塩
10 ロータリーエバポレーター
12 凝縮器
14 冷却水
16 ナスフラスコ
18 バス
20 受けフラスコ
30 限外濾過装置
32 濾過器
34 濾過膜

Claims (7)

  1. ひも状アルミニウムケイ酸塩と透明樹脂とを含むフィルム基板であって、
    当該フィルム基板に占める前記ひも状アルミニウムケイ酸塩の含有量が0.5質量%以上50質量%以下であり、
    前記ひも状アルミニウムケイ酸塩のうち、50%以上が、長軸の寸法が200nm以上であり、
    当該フィルム基板のヘイズ値が10%未満であることを特徴とするフィルム基板。
  2. 請求項1に記載のフィルム基板において、
    前記アルミニウムケイ酸塩がイモゴライトであることを特徴とするフィルム基板。
  3. 請求項1または2に記載のフィルム基板において、
    前記透明樹脂がセルロースエステル樹脂であることを特徴とするフィルム基板。
  4. ひも状アルミニウムケイ酸塩と透明樹脂とを含むフィルム基板の製造方法であって、
    前記ひも状アルミニウムケイ酸塩を水に分散させた分散液を調製する工程と、
    前記分散液の溶媒を水から有機溶媒に置換する工程と、
    溶媒置換後の前記分散液と前記透明樹脂とを混合して成膜する工程と、
    成膜後の混合物から溶媒を除去する工程と、
    を有することを特徴とするフィルム基板の製造方法。
  5. ひも状アルミニウムケイ酸塩と透明樹脂とを含むフィルム基板の製造方法であって、
    前記ひも状アルミニウムケイ酸塩を水に分散させた分散液を調製する工程と、
    前記分散液の溶媒を水から有機溶媒に置換する工程と、
    溶媒置換後の前記分散液と前記透明樹脂とを混合して溶媒を除去する工程と、
    溶媒除去後の混合物を成膜する工程と、
    を有することを特徴とするフィルム基板の製造方法。
  6. ひも状アルミニウムケイ酸塩と水溶性の透明樹脂とを含むフィルム基板の製造方法であって、
    前記ひも状アルミニウムケイ酸塩を水に分散させた分散液を調製する工程と、
    前記分散液と前記透明樹脂とを混合して成膜する工程と、
    成膜後の混合物から前記分散液の水を除去する工程と、
    を有することを特徴とするフィルム基板の製造方法。
  7. ひも状アルミニウムケイ酸塩と水溶性の透明樹脂とを含むフィルム基板の製造方法であって、
    前記ひも状アルミニウムケイ酸塩を水に分散させた分散液を調製する工程と、
    前記分散液と前記透明樹脂とを混合して前記分散液の水を除去する工程と、
    水除去後の混合物を成膜する工程と、
    を有することを特徴とするフィルム基板の製造方法。
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