JP5251973B2 - 光学フィルム、偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、取り扱い性に優れ、また高温高湿下でも寸法安定性に優れた光学フィルムおよびその光学フィルムを用いた偏光板に関する。
液晶表示装置には、位相差フィルム、偏光板保護フィルム等、種々の光学フィルムが使用されており、その光学フィルムには、スリット性、光学フィルム同士のスベリ性付与、搬送適性、巻品質、貼り付き故障防止等の取り扱い性のために粒子、例えばシリカ等を添加することが通常行なわれる(特許文献1)。
また、粒子の分散性や濾過性等、添加するにあたっての生産性向上をねらい、シリカ表面を疎水化処理する(特許文献2)、表面に正の荷電を有する二酸化ケイ素を用いる(特許文献3)等の技術も開示されている。
一方、シリカ粒子を含有させた光学フィルムは、高温高湿下における寸法安定性に劣るという課題が最近明らかとなってきた。
特開2002−194106号公報 特開平7−11055号公報 特開2004−359736号公報
本発明の目的は、スリット性等の取り扱い性に優れ、高温高湿下の保存においても寸法安定性に優れた光学フィルムを提供することを目的とする。もう一つの目的は、支持体として用いた場合でもハジキ故障の少ない塗布性に優れた光学フィルムを提供することを目的とする。
またこの光学フィルムを用いた、長期使用においても性能劣化のない偏光板を提供することを目的とする。
さらに詳しくは、溶融混練時の混練機詰まりを解消し、作成ペレットの品質に優れた、生産性の高い光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明の目的は、下記の構成によって達成された。
1.ヘイズ値が0.0〜0.5の範囲にある光学フィルムにおいて、少なくとも1種の金属元素をドープしたシリカ粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
2.前記金属元素が、アルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、マグネシウムから選ばれることを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
3.前記1または2に記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
本発明によって、スリット性等の取り扱い性に優れ、高温高湿下の保存においても寸法安定性に優れた光学フィルムを提供することを目的とする。もう一つの目的は、支持体として用いた場合でもハジキ故障の少ない塗布性に優れた光学フィルムを提供することができた。
またこの光学フィルムを用いた、長期使用においても性能劣化のない偏光板を提供することができた。
さらに詳しくは、溶融混練時の混練機詰まりを解消し、作成ペレットの品質に優れた、生産性の高い光学フィルムを提供することができた。
本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法を実施する装置の1つの実施形態を示す概略フローシートである。 図1の製造装置の要部拡大フローシートである。
符号の説明
1 押出し機
2 フィルター
3 スタチックミキサー
4 流延ダイ
5 回転支持体(第1冷却ロール)
6 挟圧回転体(タッチロール)
7 回転支持体(第2冷却ロール)
8 回転支持体(第3冷却ロール)
9、11、13、14、15 搬送ロール
10 フィルム
12 延伸機
16 巻き取り装置
<光学フィルムの基本構成>
本発明の光学フィルムは、基本的な構成としてフィルムを形成するポリマーと金属元素、特に、アルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の元素をドープしたシリカ粒子(以下、金属ドープシリカ粒子と略す)とからなることを特徴とする。
本発明の金属ドープシリカ粒子が、光学フィルムの高温高湿下での寸法安定性の劣化を抑制する機構は次のように推定している。
シリカ粒子表面は、シラノール基が存在し、そのシラノール基が大気中の水分を取り込み、その取り込まれた水分は、フィルムを形成するポリマーに作用し寸法を変化させる。
本発明の金属ドープシリカ粒子は、ドープされた金属がシラノール基に作用し、大気中から水分を取り込む作用を低下させるため、フィルムを形成するポリマーへの水分の作用が小さくなり、結果として光学フィルムの寸法変化が小さくなる。
この金属ドープシリカ粒子は、粒子表面に存在するシラノール基がドープした金属によって変性されているため、ドープされていないシリカ粒子に比較して、分散した場合の二次粒径の分布が狭く、光学フィルムの透明性にも寄与する。
通常、シリカ等の粒子を添加することによってヘイズは上昇するが、本発明の金属ドープシリカ粒子では、光学フィルムの取り扱い性を維持しながら光学フィルムのヘイズを0.0〜0.5とすることができる。
<金属ドープシリカ粒子>
本発明の金属ドープシリカ粒子を作製する方法としては、一旦作成した純シリカ粒子にアルミニウム、亜鉛やチタンのキレート化合物等を乾式や湿式で反応させる方法や、シリカの原料としてのケイ酸塩にチタン酸やジルコン酸などを微量混在させる方法などが考えられる。
本発明で最も好ましい作製方法は、燃焼により気相法シリカを作成する際に、上記金属の塩化物を共燃焼させるものである。特開2004−143028号公報に記載の方法を参考にすることができる。
具体的にアルミニウムの場合では、アルミナドープシリカ粒子を製造する方法としては、塩化アルミニウムを含む溶液中にシリカ粒子を入れて、シリカ粒子表面に塩化アルミニウム溶液をコートし、これを乾燥して焼成する方法や、ハロゲン化アルミニウム化合物とハロゲン化ケイ素化合物をガス化し、その混合ガスを火炎中で反応させる方法がある。
本発明のアルミナドープシリカ粒子は熱分解法と火炎加水分解法とを組み合わせた方法によって製造したものを用いることができる。
この方法によれば微量のアルミナをシリカ粒子表面に均一にドープすることができる。この方法は、ガス化したハロゲン化ケイ素(SiCl4 CH3SiHCl2 HSiCl3 CH3SiCl3など)を酸素水素火炎バーナ中に送り、火炎中でエアロゾルと反応させる。
エアロゾルとしてはアルミニウム化合物、例えば塩化アルミニウムなどが用いられる。このエアロゾルはアルミニウム化合物を含む溶液あるいは分散液をエアロゾル発生器、例えば超音波発生器により噴霧状にすることにより調製する。
このエアロゾルを上記バーナ中に気化したハロゲン化ケイ素と一緒に導入され反応させる。これにより表面がアルミナでドープされたアルミナドープシリカが生成される。副生物としてハロゲン化水素ガスが生成するので、これと分離して回収する。
このようにして生成されるアルミナドープシリカはアルミナとシリカが別々の粒子として生成されることなく、また一つの粒子中にアルミナとシリカが混合した混合酸化物とは異なり、シリカ粒子の表面層にアルミナがドープされた粒子となる。
その他の金属においても同様に作製することができ、例えば、特開2007−137984号公報、特開平03−75302号公報、同07−53268号公報、同07−54008号公報記載の微粒子の製造方法を参考にすれば異種の酸化物を複合した微粒子を製造することができる。本発明の金属ドープシリカとしてこれらも含む。
これらの金属ドープシリカ粒子は、さらに疎水化処理することが好ましい。疎水化剤としてはトリメチルシリルクロライド、エポキシシラン等のシランカップリング剤、ポリジメチルシロキサン等のシリコーンオイル、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン等が用いられ、この疎水化処理剤を1種または2種以上混合して用いることができる。
またアミノ基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シリコーンオイルは、電荷調整剤としても使用することができる。
疎水化処理の方法は、例えば、撹袢装置を備えた容器に微粉末を入れ、窒素雰囲気下で撹袢し、疎水化剤を単独にあるいは疎水化剤と電荷調整剤を必要に応じて溶剤と共に滴下もしくは噴霧し、または疎水化剤等を加熱気化させ、微粉末と十分に分散させた後、加熱し、その後、冷却する乾式処理法によって本発明の疎水化シリカ粒子を得ることができる。
金属元素の好ましいドープ量は金属の種類によって異なるが、ケイ素に対する元素モル比率で0.5〜40%の範囲が好ましい。
明確な効果を発揮するためには0.5%以上であり、分散性および透明性を維持するためには40%以下であることが好ましい。
本発明のシリカ粒子の平均1次粒径は透明性の点から5〜100nmが好ましい。本発明の金属ドープ粒子としては、アエロジルMOX170、80(日本アエロジル(株)製)等の市販品を使用することもできるが、光学フィルムの特性に応じて適宜ドープする金属の種類・添加量を変化させることが好ましい。
<フィルムを形成するポリマー>
本発明の光学フィルムを形成するポリマーとしては、光学用途として使用することができフィルムを形成することが可能な通常のポリマーを使用することができるが、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、アクリル系重合体含有セルロースエステルおよびポリシクロオレフィンから選ばれるものが好ましく、特に光学フィルムとした場合の位相差を調整することが容易である、セルロースエステル、ポリシクロオレフィン、ポリアクリレート、アクリル系重合体含有セルロースエステルおよびポリカーボネートから選択されることが好ましい。
これらのポリマーは通常の公知の製造方法によって作製されたもの、市販のものを使用することができる。
本発明のポリアクリレートとしては、例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
市販のポリシクロオレフィンとしては、例えば、ゼオネックス、ゼオノア(日本ゼオン(株)製)、アートン(JSR(株)製)、トーパス(TICONA(株)製)、APEL(三井化学(株)製)が挙げられる。
本発明のセルロースエステルとしては、後述のセルロースエステルが挙げられる。
<光学フィルムの特性>
本発明の光学フィルムは、フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたときに、下記であるような位相差を有する光学フィルムであることが好ましい。
膜厚 :20〜70μm
0nm≦Ro≦330nm
−200nm≦Rt≦500nm
1.1≦Rt/Ro≦10
なお、Ro、Rtの測定波長は590nm、Ro=(nx−ny)×d、Rt={(nx+ny)/2−nz}×dであり、dは光学フィルムの膜厚(nm)を表す。
本発明の光学フィルムにおいて位相差を上記のように調整する方法としては、下記の方法が挙げられる。
例えば、ポリシクロオレフィンフィルムは、適当な延伸処理を施すことが好ましい。
例えば、セルロースエステルフィルムは、適当な延伸処理を施すことが好ましく、さらには下記数式(1)で表される棒状分極率異方性が300×10-25cm3以上2000×10-25cm3以下であり分子の末端間距離が2nm以上10nm以下の化合物、数式(2)で表される平面分極率異方性が300×10-25cm3以上1500×10-25cm3以下であり分子の末端間距離が2nm以上10nm以下の化合物、アクリル系重合体、およびピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物、を少なくとも1種含有するセルロースエステルフィルムであることが好ましい。
数式(1):Δα1=αx−(αy+αz)/2
数式(2):Δα2=(αx+αy)/2−αz
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
〈数式(1)または(2)で表される化合物〉
本発明の数式(1)または(2)で表される化合物は、いわゆるセルロースエステルのレターデーションを上昇させるレターデーション上昇剤として作用する。
本発明のレターデーション上昇剤の末端間距離は、その機能発現のためには2nm以上10nm以下であることが必要である。
末端間距離は、分子軌道法または密度汎関数法を用いた計算によって、最適化された分子構造より求めることができる。
本発明で使用するレターデーション上昇剤は2種類に大別される。第1は、分子の棒状分極率異方性が大きい数式(1)で表されるタイプのものであり、第2は分子の平面分極率異方性が大きい数式(2)で表されるものである。
これらの化合物については、特開2006−193724号公報に記載の化合物を参考にすることができる。
分子の平面分極率異方性の大きいレターデーション上昇剤は、少なくともその1種を、セルロースに対して0.1〜30質量%添加することが必要であり、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。2種類以上を用いる場合には、その合計量が、上記の範囲を満たしていることが好ましい。
また、本発明の分子の棒状分極率異方性の大きいレターデーション上昇剤と、分子の平面分極率異方性の大きいレターデーション上昇剤は、併用して使用するとブリードアウトがより効果的に抑制され、特に好ましい。
併用する場合には、その合計量が、上記の1種類の場合と同じ数値範囲を満たしていることが好ましい。これらレターデーション上昇剤の混合比は、分子の棒状分極率異方性の大きいレターデーション上昇剤1質量部に対して、平面分極率異方性の大きいレターデーション上昇剤0.01〜100質量部が好ましく、0.1〜10質量部がさらに好ましい。
〈アクリル系重合体〉
本発明の光学フィルムにはアクリル系重合体を含有しても良い。なお、ここでアクリル系重合体にはメタクリル系重合体も含まれる。光学フィルムにおける樹脂のうち全量をアクリル系重合体としても良いし、他の樹脂と併用してもよく、その含有率は0〜100%の範囲で任意に選択できる。本発明ではセルロースエステルと併用することが最も好ましい。
本発明に用いられるアクリル系重合体としては、セルロースエステルフィルムと併用した場合、機能として延伸方向に対して負の複屈折性を示すことが好ましく、特に構造が限定されるものではないが、エチレン性不飽和モノマーを重合して得られた重量平均分子量が500以上1000000以下である重合体を、適宜選択したものであることが好ましい。
アクリル系重合体の適正な分子量範囲が上記の通りであるが、30質量%以上含有させる場合は、セルロースエステルとの相溶性の点から重量平均分子量が80000〜1000000であることが好ましい。
本発明のアクリル系重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
アクリル系重合体は、後述するドープ液を構成する素材として直接添加、溶解するか、もしくはセルロースエステルを溶解する有機溶媒にあらかじめ溶解した後ドープ液に添加することができる。
〈ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物〉
本発明のセルロースエステルフィルムは、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物を含むことを特徴とする。
エステル化の割合としては、ピラノース構造またはフラノース構造内に存在するOH基の70%以上であることが好ましい。
本発明においては、エステル化合物を総称して、糖エステル化合物とも称す。
本発明のエステル化合物の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクローあるいはトース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。
例としてはスクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、さらに好ましくは、スクロースである。
具体的には、グルコースペンタアセテート、グルコースペンタプロピオネート、グルコースペンタブチレート、サッカロースオクタアセテート、サッカロースオクタベンゾエート等を好ましく挙げることができ、この内、サッカロースオクタアセテート、サッカロースオクタベンゾエートがより好ましく、サッカロースオクタベンゾエートが特に好ましい。
市販品としてはモノペットSB(第一工業製薬(株)製)等を使用することができる。
本発明のセルロースエステルフィルムは、位相差値の変動を抑制して、表示品位を安定化するために、本発明のエステル化合物を、セルロースエステルフィルムの1〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜30質量%含むことが好ましい。
〈セルロースエステル〉
本発明のセルロースエステルとしては、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、芳香族カルボン酸のエステルでもよく、特に炭素数が6以下の低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐してもよく、また環を形成してもよい。さらに別の置換基が置換してもよい。同じ置換度である場合、前記炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましい。前記セルロースエステルとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
具体的には、セルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。
なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。本発明において好ましく用いられるセルロースエステルとしては、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレートが好ましく用いられる。
本発明に好ましいセルロースアセテートフタレート以外のセルロースエステルとしては、下記式(1)および(2)を同時に満足するものが好ましい。
式(1) 2.0≦X+Y≦3.0
式(2) 0≦Y≦1.5
式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基、もしくはその混合物の置換度である。
また、目的に叶う光学特性を得るために置換度の異なる樹脂を混合して用いても良い。混合比としては100:0〜50:50(質量比)が好ましい。
この中で特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートでは、1.0≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦1.5、2.0≦X+Y≦3.0であることが好ましい。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
本発明に用いられるセルロースエステルの重量平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。さらに75000〜280000のものが好ましく用いられる。
〈その他の添加剤〉
(可塑剤)
本発明のセルロースエステルフィルムは、本発明の効果を得る上で必要に応じて可塑剤を含有することができる。
可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤および多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。
そのうち、可塑剤を2種以上用いる場合は、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
(酸化防止剤)
本発明では、酸化防止剤としては、通常知られているものを使用することが好ましい。特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、金属原子を有しないリン系化合物のものを好ましく用いることができる。
本発明のラクトン系化合物としては、チバ・ジャパン(株)からHP−136という商品名で市販されているものが好ましい。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えば、チバ・ジャパン(株)、”Irganox1076”、”Irganox1010”、”IrgafosXP40”、”IrgafosXP60”、(株)ADEKA”アデカスタブAO−50”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記金属原子を有しないリン系化合物は、例えば、住友化学(株)から、”SumilizerGP”、(株)ADEKAからADK STAB PEP−24G”、”ADK STAB PEP−36”、”ADK STAB 2112”および”ADK STAB 3010”、チバ・ジャパン(株)から”IRGAFOS P−EPQ”、堺化学工業(株)から“GSY−P101”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、チバ・ジャパン(株)から、”Tinuvin144”および”Tinuvin770”、(株)ADEKAから”ADK STAB LA−52”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学(株)から、”Sumilizer TPL−R”および”Sumilizer TP−D”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記二重結合系化合物は、住友化学(株)から、”Sumilizer GM”および”Sumilizer GS”という商品名で市販されているものが好ましい。
さらに、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物として、EPON 815C、米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物を含有させることも可能である。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤は、一種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えば、ラクトン系、リン系、フェノール系および二重結合系化合物の併用は好ましい。
本発明において好ましい態様のセルロースエステルは、貧溶媒による懸濁洗浄時に酸化防止剤存在下で洗浄することも好ましい。
使用される酸化防止剤は、フィルムを形成するポリマーに発生したラジカルを不活性化する、あるいはフィルムを形成するポリマーに発生したラジカルに酸素が付加したことが起因のフィルムを形成するポリマーの劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができる。
フィルムを形成するポリマーの懸濁洗浄に使用する酸化防止剤は、洗浄後フィルムを形成するポリマー中に残存していてもよい。残存量は0.01〜2000ppmがよく、より好ましくは0.05〜1000ppmである。さらに好ましくは0.1〜100ppmである。
本発明において有用な酸化防止剤としては、酸素によるフィルム成形材料の劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、なかでも有用な酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、金属原子を有しないリン系化合物、イオウ系化合物、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でも、特にフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、金属原子を有しないリン系化合物、が好ましい。
これらの化合物を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、熱や熱酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤は、前述のフィルムを形成するポリマー同様に、製造時から持ち越される、あるいは保存中に発生する残留酸、無機塩、有機低分子等の不純物を除去することが好ましく、より好ましくは純度99%以上である。残留酸および水としては、0.01〜100ppmであることが好ましく、フィルムを形成するポリマーを溶融流延製膜する上で、熱劣化を抑制でき、製膜安定性、フィルムの光学物性、機械物性が向上する。
本発明においては、これらの酸化防止剤は、フィルムを形成するポリマーに対して各々0.01〜10質量%添加することが好ましく、さらに0.1〜5質量%添加することが好ましく、さらに0.2〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
本発明光学フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、偏光板保護フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、偏光板保護フィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%がさらに好ましい。
<本発明の光学フィルムの製造方法>
本発明の光学フィルムの製造方法としては、公知の方法を使用することができ、例えばフィルムを形成するポリマーを溶媒に溶解したドープを作製し、それを無端ベルト上に流延する溶液流延製膜法と、フィルムを形成するポリマーを熱により溶融しそれをロール等でフィルム状に形成する溶融流延製膜法が代表的な方法として挙げられる。
これらの方法は、フィルムを形成するポリマーの種類により適宜選択することができる。
ポリカーボネートでは、溶液流延製膜法が好ましく、セルロースエステル、ポリシクロオレフィンでは溶液流延製膜法および溶融流延製膜法のいずれも採用することができるが、生産のエネルギー効率から溶融流延製膜法であることが好ましい。
以下、セルロースエステルを具体例として説明する。
<セルロースエステルフィルムの溶融流延製膜>
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法は、少なくとも、セルロースエステル、本発明のシリカ粒子および可塑剤を混合溶融してダイから押出し、冷却ロール上に流延するセルロースエステルフィルムの製造方法である。
以下、製造方法の全体について述べる。
〈溶融ペレット製造工程〉
溶融押出に用いるセルロースエステル、本発明のシリカ粒子、可塑剤およびその他の添加剤の混合物は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥セルロースエステルや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出機に供給し1軸や2軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷または空冷し、カッティングすることでできる。
原材料は、押出する前に乾燥しておくことが原材料の分解を防止する上で重要である。特にセルロースエステルは吸湿しやすいので、除湿熱風乾燥機や真空乾燥機で70〜140℃で3時間以上乾燥し、水分率を200ppm以下、さらに100ppm以下にしておくことが好ましい。
添加剤は、押出機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
酸化防止剤の混合は、固体同士で混合してもよいし、必要により、酸化防止剤を溶剤に溶解しておき、セルロースエステルに含浸させて混合してもよく、あるいは噴霧して混合してもよい。
真空ナウターミキサなどが乾燥と混合を同時にできるので好ましい。また、フィーダー部やダイからの出口など空気と触れる場合は、除湿空気や除湿したN2ガスなどの雰囲気下にすることが好ましい。
押出機は、せん断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。ペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
〈溶融混合物をダイから冷却ロールへ押し出す工程〉
作製したペレットを1軸や2軸タイプの押出機を用いて、押し出す際の溶融温度Tmを200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどでろ過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ロール上で固化し、弾性タッチロールと押圧しながら流延する。
供給ホッパーから押出機へ導入する際は真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。なお、Tmは、押出機のダイ出口部分の温度である。
ダイに傷や可塑剤の凝結物等の異物が付着するとスジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥のことをダイラインとも呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押出機からダイまでの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。
押出機やダイなどの溶融樹脂と接触する内面は、表面粗さを小さくしたり、表面エネルギーの低い材質を用いるなどして、溶融樹脂が付着し難い表面加工が施されていることが好ましい。具体的には、ハードクロムメッキやセラミック溶射したものを表面粗さ0.2S以下となるように研磨したものが挙げられる。
本発明の冷却ロールには特に制限はないが、高剛性の金属ロールで内部に温度制御可能な熱媒体または冷媒体が流れるような構造を備えるロールであり、大きさは限定されないが、溶融押し出されたフィルムを冷却するのに十分な大きさであればよく、通常冷却ロールの直径は100mmから1m程度である。
冷却ロールの表面材質は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。さらに表面の硬度をあげたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。
冷却ロール表面の表面粗さは、Raで0.1μm以下とすることが好ましく、さらに0.05μm以下とすることが好ましい。ロール表面が平滑であるほど、得られるフィルムの表面も平滑にできるのである。もちろん表面加工した表面はさらに研磨し上述した表面粗さとすることが好ましい。
本発明の弾性タッチロールとしては、特開平03−124425号、特開平08−224772号、特開平07−100960号、特開平10−272676号、WO97−028950、特開平11−235747号、特開2002−36332号、特開2005−172940号や特開2005−280217号に記載されているような表面が薄膜金属スリーブ被覆シリコンゴムロールを使用することができる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
〈延伸工程〉
本発明では、上記のようにして得られたフィルムは冷却ロールに接する工程を通過後、さらに少なくとも1方向に1.01〜3.0倍延伸することが好ましい。延伸によりスジの鋭さが緩やかになり高度に矯正することができるのである。
好ましくは縦(フィルム搬送方向)、横(巾方向)両方向にそれぞれ1.1〜2.0倍延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。特に光学フィルムが、偏光板保護フィルムを兼ねる位相差フィルムの場合は、延伸方向を巾方向とすることで偏光フィルムとの積層がロール形態でできるので好ましい。
巾方向に延伸することで光学フィルムの遅相軸は巾方向になる。一方、偏光フィルムの透過軸も通常巾方向である。偏光フィルムの透過軸と偏光板保護フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した偏光板を液晶表示装置に組み込むことで、良好な視野角が得られるのである。
本発明のセルロースエステルフィルムを光学補償機能を有するフィルムとして用いる場合は、所望のレターデーション特性が得られるように温度、倍率を選ぶことができる。
通常、延伸倍率は1.1〜3.0倍、好ましくは1.2〜1.5倍であり、延伸温度は、通常、フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+50℃、好ましくはTg〜Tg+40℃の温度範囲で行なわれる。
延伸は、幅手方向で制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
上記の方法で作製したセルロースエステルフィルムのレターデーション調整や寸法変化率を小さくする目的で、フィルムを長手方向や幅手方向に収縮させてもよい。
長手方向に収縮するには、例えば、巾延伸を一時クリップアウトさせて長手方向に弛緩させる、または横延伸機の隣り合うクリップの間隔を徐々に狭くすることによりフィルムを収縮させるという方法がある。
本発明のセルロースエステルフィルムのフィルムの面内レターデーション(Ro)、厚み方向レタデーション(Rt)は適宜調整することができるが、Roは0〜200nm、Rtは−150〜400nmが好ましい。
なお、フィルムの遅相軸方向の屈折率Nx、進相軸方向の屈折率Ny、厚み方向の屈折率Nz、フィルムの膜厚をd(nm)とすると、
Ro=(Nx−Ny)×d
Rt={(Nx+Ny)/2−Nz}×d
として表される。(測定波長590nm)
レターデーションのバラツキは小さいほど好ましく、通常±10nm以内、好ましくは±5nm以下、より好ましくは±2nm以下である。
遅相軸方向の均一性も重要であり、フィルム巾方向に対して、角度が−5〜+5°であることが好ましく、さらに−1〜+1°の範囲にあることが好ましく、特に−0.5〜+0.5°の範囲にあることが好ましく、特に−0.1〜+0.1°の範囲にあることが好ましい。これらのばらつきは延伸条件を最適化することで達成できる。
本発明のセルロースエステルフィルムは、隣接する山の頂点から谷の底点までの高さが300nm以上であり、傾きが300nm/mm以上の長手方向に連続するスジがないことが好ましい。
スジの形状は、表面粗さ計を用いて測定したもので、具体的には、ミツトヨ製SV−3100S4を使用して、先端形状が円錐60°、先端曲率半径2μmの触針(ダイヤモンド針)に測定力0.75mNの加重をかけながら、測定速度1.0mm/secでフィルムの巾方向に走査し、Z軸(厚み方向)分解能0.001μmとして断面曲線を測定する。
この曲線から、スジの高さは、山の頂点から谷の底点までの垂直距離(H)を読み取る。スジの傾きは、山の頂点から谷の底点までの水平距離(L)を読み取り、垂直距離(H)を水平距離(L)で除して求める。
<清掃設備>
本発明の製造装置には、ベルトおよびロールを自動的に清掃する装置を付加させることが好ましい。清掃装置については特に限定はないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール、粘着ロール、ふき取りロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、レーザーによる焼却装置、あるいはこれらの組み合わせなどがある。
清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
<セルロースエステルフィルムの溶液流延製膜>
1)溶解工程
セルロースエステルに対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中でセルロースエステル、本発明のシリカ粒子およびその他の添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいはセルロースエステル溶液に、本発明のシリカ粒子およびその他の添加剤溶液を混合して主溶解液であるドープを形成する工程である。
セルロースエステルの溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のセルロースエステルは、計15〜45質量%の範囲であることが好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解および分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
濾過は捕集粒子径0.5〜5μmでかつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることが好ましい。
この方法では、粒子分散時に残存する凝集物や主ドープ添加時発生する凝集物を、捕集粒子径0.5〜5μmでかつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることで凝集物だけ除去できる。主ドープでは粒子の濃度も添加液に比べ十分に薄いため、濾過時に凝集物同士がくっついて急激な濾圧上昇することもない。
その後主ドープ液は主濾過器にて濾過され、場合により本発明のシリカ粒子分散物がインライン添加される。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。返材には本発明のシリカ粒子が含まれることがある、その場合には返材の添加量に合わせてシリカ粒子添加液の添加量をコントロールすることが好ましい。
返材とは、本発明のセルロースエステルフィルムを細かく粉砕した物で、製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトした原反が使用される。
また、あらかじめ混練してペレット化したものも、好ましく用いることができる。
2)流延工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法および/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が乾燥効率が良く好ましい。又、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。
流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃であり、さらに好ましくは11〜30℃である。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生したりし易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
ウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mであるが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましく、さらには、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは最低張力〜100N/mで剥離することである。
本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
5)乾燥および延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置35、またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥は概ね40〜250℃で行なわれる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
尚、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。
この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向ともに×1.01倍〜×1.5倍の範囲でとることができる。
テンターを行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になる迄テンターを掛けながら乾燥を行うことが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜150℃が好ましく、50〜120℃がさらに好ましく、70〜100℃が最も好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
6)巻き取り工程
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
<本発明の光学フィルムを偏光板保護フィルムとして使用した偏光板>
本発明の光学フィルムは、偏光子と偏光子を挟む2枚の偏光板保護フィルムとからなる本発明の偏光板において、該偏光板保護フィルムの少なくとも一枚とすることができる。
偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光子の膜厚は5〜30μmが好ましく、特に10〜20μmであることが好ましい。
また、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。
なかでも熱水による切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。このフィルムのTD方向に5cm離れた二点間の熱水による切断温度の差が1℃以下であることが、色斑を低減させるうえでさらに好ましく、フィルムのTD方向に1cm離れた二点間の熱水による切断温度の差が0.5℃以下であることが、色斑を低減させるうえでさらに好ましい。
このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能および耐久性能に優れているうえに、色斑が少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
本発明の偏光板は一般的な方法で作製することができる。つまり本発明の光学フィルムであるセルロースエステルフィルムの偏光子側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に貼合することが好ましい。
貼合する際に用いられる接着剤としては、PVA(ポリビニルアルコール)系の接着剤やウレタン系の接着剤などを挙げることができるが、なかでもPVA系の接着剤が好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とが直交または45°に貼合することが好ましい。この角度は、液晶表示装置の適性におでき適宜選択することができる。
ここで軸が直交する、45°または、平行若しくは水平であるとは、厳密な角度に対して±7度の範囲にあることをいい、好ましくは±4度であることをいう。
もう一方の面には該光学フィルムを用いても、また他の偏光板保護フィルムで貼合することが好ましい。
例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタオプト(株)製)も好ましく用いられる。
表示装置の表面側に用いられる偏光板保護フィルムには、等方性層あるいはクリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層、バックコート層を有することが好ましい。
<本発明の偏光板を使用した液晶表示装置>
本発明の光学フィルムおよび偏光板は、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。
特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、環境変動が少なく、光漏れが低減された、色味むら、正面コントラストなど視認性に優れ液晶表示装置を得ることができる。
駆動用液晶セルは、通常の液晶表示装置に使用されている、2枚の透明支持体、例えばガラス板、透明樹脂フィルム等に駆動用回路が設けられ液晶が封入された構造を有しているものを、通常の方法で使用することができる。
実施例1
<溶融流延セルロースエステルフィルム>
下記のような、セルロースエステル、本発明のシリカ粒子および各種添加剤の組成を用いて、溶融流延製膜のためのペレットを作製するための混練検討を以下のように行った。
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.6、プロピオニル基置換度1.2、Mn=86,000、Mw/Mn=2.5) 100質量部
ペンタエリスリトールテトラベンゾエート 8.0質量部
IRGANOX1010(チバ・ジャパン(株)製)
0.50質量部
SumilizerGS(住友化学(株)製) 0.20質量部
GSY−P101(堺化学工業(株)製) 0.25質量部
本発明のシリカ粒子 表1に示す。
(疎水化処理は、ヘキサメチルジシラザンで行った)
TINUVIN928(チバ・ジャパン(株)製) 1.5質量部
セルロースエステルを70℃、3時間減圧下で乾燥を行い室温まで冷却した後、添加剤を混合した。
以上の混合物を、2軸式押出し機を用いて230℃で溶融混合しペレット化した。なお、このペレットのガラス転移温度Tgは136℃であった。
混練検討の結果について表1に示す。
<混練機詰まり>
混練機の投入口付近での原料詰まり発生頻度を下記指標により評価した。
○ :連続運転8時間で詰まり発生なし
○〜△:8時間のうち1回の頻度で原料詰まり発生
△ :8時間のうち2〜3回の頻度で原料詰まり発生
△〜×:8時間のうち4〜5回の頻度で原料詰まり発生
× :8時間のうち6回以上の頻度で原料詰まり発生
<粗大粒子>
作成したペレットを薄片にし、TEM観察(日本電子株式会社製JEM−2010F電界放射形電子顕微鏡、倍率2500倍、20μm四方視野、20視野)した。1μm以上の粒子が存在するかどうかをチェックした。
<ペレット粉落ち>
作成したペレットを充填率80%でタンブラーミキサーで振とうし、1mmメッシュのふるいにかけ、落ちた粉の質量をもとのペレットに対する比率で表し、下記の基準で評価した。
○ :0.0〜0.5質量%
○〜△:0.5〜1.0質量%
△ :1.0〜3.0質量%
△〜×:3.0〜10.0質量%
× :10.0質量%以上
上記のように、本発明の金属ドープシリカ粒子を使用したペレットは、混練機詰まり等の評価が高く、ペレット作製の生産性向上に寄与する。
実施例2
実施例1に記載の組成において、本発明のシリカ粒子を表2、表3に記載のものにかえて、ペレットを実施例1と同様に作製し、下記の方法により図1記載の装置を使用し光学フィルムを作製した。
実施例1と同様に作製したペレットを窒素雰囲気下、250℃にて溶融後、ギヤポンプを経由して濾過精度5μmのフィルター(日本精線(株)社製、リーフディスクフィルター)を通過させ、流延ダイ4から第1冷却ロール5上に押出し、第1冷却ロール5とタッチロール6との間にフィルムを挟圧して成形した。
流延ダイ4のギャップの幅がフィルムの幅方向端部から30mm以内では0.5mm、その他の場所では1mmとなるようにヒートボルトを調整した。
タッチロールとしては、タッチロールAを使用し、その内部に冷却水として80℃の水を流した。
流延ダイ4から押し出された樹脂が第1冷却ロール5に接触する位置P1から第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップの第1冷却ロール5回転方向上流端の位置P2までの、第1冷却ローラ5の周面に沿った長さLを20mmに設定した。
その後、タッチロール6を第1冷却ロール5から離間させ、第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tを測定し、その結果温度Tは141℃であった。
なお、第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tは、ニップ上流端P2よりもさらに1mm上流側の位置で、温度計(安立計器(株)製HA−200E)により測定した。
タッチロール6の第1冷却ロール5に対する線圧は14.7N/cmとした。
このフィルムを、ロール周速差を利用して縦方向に熱延伸した。加熱は赤外線ヒータによって行い、延伸倍率は1.5倍とした。さらに、テンターに導入し、巾方向に160℃で1.6倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落とし、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、巻き取り張力220N/m、テーパー40%で巻芯に巻き取った。
なお、フィルムは、厚さが80μmとなるように、押出し量および引き取り速度を調整し、仕上がりのフィルム幅は、1430mm幅になるようにスリットし、巻き取った。
巻芯の大きさは、内径152mm、外径165〜180mm、長さ1550mmであった。
この巻芯母材として、エポキシ樹脂をガラス繊維、カーボン繊維に含浸させたプリプレグ樹脂を用いた。巻芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、表面粗さRaは0.3μmに仕上げた。なお、巻長は2500mとした。
<粒子の濾過性>
フィルター入口の樹脂圧を経時でモニターし、圧力上昇が認められるまでの時間から下記の基準で評価した。
○ :1000時間以上
○〜△:500〜1000時間
△ :200〜500時間
△〜×:20〜200時間
× :20時間未満
<光学フィルムのスリット性>
油圧卓上プレス機に60°の摩耗させた上刃、90°の下刃を30μmの間隔になるようにして取り付けた後、両刃の間に各光学フィルムを置き、上刃の下降速度を6m/分で、幅90cm、長さ100cmの大きさの試料を100本連続して切り出した。裁断した試料の破断面を光学顕微鏡を用いて50倍で観察して、切れ味を比較した。バリや劈開、切断できない、切りくずの発生等何らかの不良が発生したフィルムの発生本数を数え、不良率を計算し、下記の基準に従ってスリット性の評価を行った。
A:不良率が2%未満
B:不良率が2〜5%未満
C:不良率が5〜10%未満
D:不良率が10%以上
ここで、A、Bが実用上問題ないレベルと判断した。
<ヘイズ>
ASTM−D1003−52に従って、東京電色工業(株)製T−2600DAを使用して測定した。
<動摩擦係数>
23℃55%RHの雰囲気下で24時間以上保存した各試料の炭素膜表面の動摩擦係数を、同雰囲気下においてJIS−K−7125−ISO8295に記載の方法に準じて測定した。各試料の炭素膜表面に、重さ200gのステンレス製の検体を載せ、検体の移動速度100mm/分、接触面積80mm×200mmの条件で検体を水平に引っ張り、検体が移動中の平均荷重(F)を測定し、下記式より動摩擦係数(μ)を求めた。
動摩擦係数=F(N)/重りの重さ(N)
<塗布性>
下記組成のハードコート層およびバックコート層を塗設し塗布性を評価した。
上記作製したセルロースエステルフィルム上に、下記のハードコート層組成物を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターにより塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm2で、照射量を0.1J/cm2として塗布層を硬化させ、ドライ膜厚7μmのハードコート層を形成しハードコートフィルムを作製した。
(ハードコート層組成物)
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物とした。
ウレタンアクリレート系樹脂:B420(新中村化学工業(株)製)
220質量部
イルガキュア184(チバ・ジャパン(株)製) 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 110質量部
酢酸エチル 110質量部
更に、下記バックコート層組成物をウェット膜厚10μmとなるように押し出しコーターで塗布し、85℃にて乾燥し巻き取り、バックコート層を設けた。
〈バックコート層組成物〉
アセトン 54質量部
メチルエチルケトン 24質量部
メタノール 22質量部
ジアセチルセルロース 0.6質量部
超微粒子シリカ2%アセトン分散液(日本アエロジル(株)製アエロジル200V)
0.2質量部
(塗布性評価)
ハードコート層側の塗膜を観察し、発生したハジキ故障を数えて次のように判定した。
◎:0個/100m2
○:1〜3個/100m2
△:4〜10個/100m2
×:10個以上/100m2
上記のように本発明の金属ドープシリカ粒子は、粒子の濾過性もよく、またフィルムに含有させた場合、スリット性、動摩擦係数が小さく生産性向上に寄与し、光学的特性であるヘイズも小さい。さらに、塗布性に優れた支持体として有用である。
実施例3
実施例2で作製した光学フィルムを偏光板保護フィルムとした偏光板を以下のようにして作製し評価した。結果を表4に示す。
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフイルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で5倍に搬送方向に延伸して偏光子を作った。
次に、この偏光子の両面にアルカリケン化処理した本発明のセルロースエステルフィルムをポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼合、乾燥し偏光板を作製した。
<寸法安定性:偏光板寸法変化(60℃80%RH1000h)>
作製した偏光板をそれぞれ120mm×120mmサイズに断裁し、該偏光板表面に、流延方向(MD方向)と垂直な方向(TD方向)におよそ100mm間隔でカミソリ等の鋭利な刃物で十文字型の印を付ける。
該偏光板を23℃55%RHの雰囲気下で24時間以上調湿し、顕微鏡で処理前のTD方向の印間距離L1を測定する。
次に、該試料を、電気恒温槽を用いて60℃80%RHの雰囲気下で、1000時間処理をした。
次いで、高温高湿処理済み試料を、再び23℃55%RHの雰囲気下で24時間調湿し、顕微鏡で処理後のTD方向の印間距離L2を測定した。
この処理前後の変化率を次式によって求め、TD方向の寸法変化率を算出した。
偏光板寸法変化率(%)=(L2−L1)/L1×100
<偏光板耐光性>
強制劣化前試料の全光線透過率T0と、23℃55%RHの雰囲気下キセノンランプ70KLUXで200時間照射後の全光線透過率T200を、日本電色工業(株)製濁度計NDH2000を用いて測定、比較しT200/T0を偏光板耐光性とした。
上記のように、本発明の金属ドープシリカ粒子を含有させたセルロースエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして偏光板は、寸法安定性、耐光性にも優れている
施例5
<ポリシクロオレフィンフィルム>
ポリシクロオレフィン系重合体(ノルボルネン系単量体の開環共重合体の水素化物、日本ゼオン(株)製、商品名:ZEONOR 1430、ガラス転移温度(Tg)=145℃)100質量部に対して、0.2質量部のフェノール系熱安定剤ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕および本発明のシリカ粒子0.05質量部とを混合し、二軸混練機で混練し、ストランド(棒状の溶融樹脂)を、ストランドカッターを通してペレットを得た。
上記で得たペレットを、空気を流通させた熱風乾燥機を用いて110℃で、4時間乾燥した。
そしてこのペレットを、リーフディスク形状のポリマーフィルター(ろ過精度30μm)を設置した65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機を使用し、内面に表面粗さRa=0.15μmのクロムメッキを施した350mm幅のT型ダイスを用いて溶融樹脂温度260℃およびダイス温度260℃で押出し、押し出されたシート状のノルボルネン系重合体を、第1冷却ドラム(直径250mm、温度:135℃、周速度R1:10.05m/分)に密着させ、次いで第2冷却ドラム(直径250mm、温度:125℃、周速度R2:10.05m/分)、次いで第3冷却ドラム(直径250mm、温度:100℃、周速度R3:9.98m/分)に順次密着させて移送し、長さ300m、膜厚40μmのポリシクロオレフィンフィルムを押出成形した。得られた長尺のポリシクロオレフィンフィルムは、ロール状に巻き取った。
また、このポリシクロオレフィンフィルムの揮発性成分の含有量は0.01質量%以下、飽和吸水率は0.01質量%以下であった。
このようにして作製したポリシクロオレフィンフィルムについて、実施例2と同様に評価した。
上記のように本発明の金属ドープシリカ粒子は、粒子の濾過性もよく、またフィルムに含有させた場合、スリット性、動摩擦係数が小さく生産性向上に寄与し、光学的特性であるヘイズも小さい。さらに、塗布性に優れた支持体として有用である。
実施例6
実施例5で作製した光学フィルムを偏光板保護フィルムとした偏光板を以下のようにして作製し評価した。
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフイルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で5倍に搬送方向に延伸して偏光子を作った。
次に、この偏光子の両面にアクリル接着剤を用いて、作製した光学フィルムにコロナ処理を施したのち、貼合した。
上記のように、本発明の金属ドープシリカ粒子を含有させたポリシクロオレフィンフィルムを偏光板保護フィルムとして偏光板は、寸法安定性、耐光性にも優れている

Claims (3)

  1. ヘイズ値が0.0〜0.5の範囲にある光学フィルムにおいて、少なくとも1種の金属元素をドープしたシリカ粒子を含有し、単層で用いられるか、または、支持体として塗布層が形成されて用いられることを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記金属元素が、アルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、マグネシウムから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
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