JP4133550B2 - 組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性高分子とチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物を製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、水溶性高分子を含む水性溶液中でチューブ状アルミニウムシリケートを生成させて、水溶性高分子中にチューブ状アルミニウムシリケートが均一に分散した組成物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウムシリケートは、ケイ酸塩のケイ素の一部がアルミニウムで置換された構造をしており、鎖状、層状、網状など種々の構造を有するものが知られている。中でもチューブ状アルミニウムシリケートは、その形状から高分子材料の充填材、触媒などの担体、吸着剤、ろ過材などとして期待されている。
【0003】
チューブ状アルミニウムシリケートは、天然においてイモゴライトとして産出する。イモゴライトは、栃木県、岩手県、熊本県などで産出する火山灰由来の土壌に含まれている。しかし、天然のイモゴライトは埋蔵量が少なく、工業的な観点からはその供給性に問題を有する。
【0004】
これに対して、チューブ状アルミニウムシリケートを人工的に合成する方法が検討されている。例えば、単量体ケイ酸化合物とアルミニウム化合物の溶液に、pHが5になるまで水酸化ナトリウム水溶液を添加し、約100℃で加熱することにより、チューブ状アルミニウムシリケートを得る方法が知られている(特許文献1)。
【0005】
さらに、高純度のチューブ状アルミニウムシリケートを低コストで安全に、かつ大量に得ることを可能とする新しい合成方法として、高濃度の無機ケイ素化合物溶液と無機アルミニウム化合物溶液を混合し、得られた溶液から共存イオンを取り除いて溶液中の不要イオン濃度を低下させた後に、その溶液を加熱することにより、高純度のチューブ状アルミニウムシリケートを合成する方法が知られている(特許文献2)。同一発明者らにより、さらに効率の良い大量合成方法も開示されている(特許文献3)。
【0006】
上記したように、チューブ状アルミニウムシリケートの合成には、既に確立された方法が存在する。しかし、チューブ状アルミニウムシリケートを実用に供するには、依然として問題があるというのが実状である。
【0007】
非特許文献1には、ポリビニルアルコール溶液とイモゴライト溶液を別々に調製し、これらの溶液を混合した後、溶媒を除去することにより、ポリビニルアルコールとイモゴライトからなる組成物を調製する方法が示されている。しかしながら、本発明者らの検討によると、この方法ではポリビニルアルコール中にイモゴライトを均一に分散させるのは容易でなく、特に組成物中のイモゴライトの含有率が高くなると、イモゴライトの凝集が著しくなる。
【0008】
非特許文献2には、ポリビニルアルコールとイモゴライトとの界面の接着性を向上させるために、ポリビニルアルコールにリン酸基を導入する方法が記載されている。しかしながら、本発明者らの検討によると、リン酸基が導入されたポリビニルアルコールとイモゴライトが含まれる溶液から溶媒を除去し、ポリビニルアルコールとイモゴライトからなる組成物を調製しても、依然としてポリビニルアルコール中でのイモゴライトの分散性は不十分である。特に組成物中のイモゴライト含有率が高い場合、イモゴライトが凝集していない均一な組成物を得ることは非常に難しい。
【0009】
このように、高分子マトリックス中にチューブ状アルミニウムシリケートを均一に分散させることは難しく、チューブ状アルミニウムシリケートの含有率が高い場合であっても、高分子マトリックス中でチューブ状アルミニウムシリケートが凝集せず、均一に分散している組成物を製造する方法が待望されている。
【0010】
【特許文献1】
特開昭53−124199号公報
【特許文献2】
特許第3146360号公報
【特許文献3】
特許第3163360号公報
【非特許文献1】
Polymer Bulletin、1992年、第29巻、第453〜460頁
【非特許文献2】
The Journal of Adhesion、2002年、第78巻、第591〜602頁
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高分子マトリックス中にチューブ状アルミニウムシリケートが凝集することなく均一に分散した組成物、とりわけチューブ状アルミニウムシリケートの含有率が高い組成物を、容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルミニウム化合物およびケイ素化合物を出発原料とし、水溶性高分子を含む水性溶液中でチューブ状アルミニウムシリケートを生成させることにより、上記の課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、アルミニウム化合物およびケイ素化合物を出発原料とし、水溶性高分子を含む水性溶液中でチューブ状アルミニウムシリケートを生成させることを特徴とする水溶性高分子およびチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるアルミニウム化合物は、水性溶媒中に添加したときにアルミニウムイオンを生成するものであればよい。好適なアルミニウム化合物としては、塩化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウム、硝酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウムなどのアルミニウムと酸からなる塩が挙げられる。
【0015】
本発明において、水性溶媒とは水、または水および水溶性の溶媒からなり、水を主成分とする混合溶媒を意味する。水溶性の溶媒としては、メタノール、エタノールなどの水溶性のアルコールなどが挙げられる。
【0016】
本発明で用いるケイ素化合物は、水性溶媒中で上記のアルミニウム化合物と反応してアルミニウムシリケートを生成可能なケイ素化合物であればよい。好適なケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのオルトケイ酸エステル、オルトケイ酸ナトリウムなどのオルトケイ酸塩、メタケイ酸ナトリウムなどのメタケイ酸塩などが挙げられる。
【0017】
本発明で用いる水溶性高分子は、水性溶媒に可溶な高分子であれば特に限定されない。好適な水溶性高分子としては、ビニルアルコール系重合体、ポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、イソブテン−無水マレイン酸共重合体、水溶性の多糖類などが挙げられる。これらの高分子は、水溶性を損なわない範囲で種々のモノマーが共重合されたものでもよい。得られる組成物の耐熱性などが特に優れることから、これらの水溶性高分子の中でもビニルアルコール系重合体が特に好ましい。
【0018】
ビニルアルコール系重合体は、一般に、従来公知の方法に従い、ビニルエステル系単量体を重合してなるビニルエステル系重合体をけん化することによって得られる。ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−メチルプロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられ、通常は酢酸ビニルが用いられる。ビニルアルコール系重合体は、ビニルエステル系単量体以外の単量体を共重合したものであってもよい。ビニルエステル系単量体と共重合される単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィン;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリルアルコール;ビニルトリメチルシランなどが挙げられる。
【0019】
また、ビニルアルコール系重合体は、ビニルアルコール系重合体にリン酸などを反応させて変性したものであってもよく、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下でビニルエステル系単量体を重合し、得られたビニルエステル系重合体をけん化して得られる末端変性物であってもよい。
【0020】
ビニルアルコール系重合体は、水性溶媒に溶解するものであればよく、その重合度およびけん化度は特に限定されない。ビニルアルコール系重合体の水溶性の観点から、ビニルアルコール系重合体のけん化度は、70モル%以上が好ましく、75〜99.9モル%がより好ましい。
【0021】
本発明の製造方法においては、上記のアルミニウム化合物およびケイ素化合物を出発原料として反応させ、水溶性高分子を含む水性溶液中でチューブ状アルミニウムシリケートを生成させる。アルミニウム化合物とケイ素化合物を反応させてチューブ状アルミニウムシリケートを生成させる過程において、水溶性高分子を含む水性溶液中でアルミニウム化合物とケイ素化合物の反応を開始させてもよく、水性溶媒中でアルミニウム化合物とケイ素化合物の反応を開始させてから、その反応溶液に水溶性高分子またはその水性溶液を添加してもよい。
【0022】
アルミニウム化合物とケイ素化合物の反応において、チューブ状構造のアルミニウムシリケートを選択的に生成させるためには、後述する方法でアルミニウム化合物とケイ素化合物を反応させ、チューブ状アルミニウムシリケートの前駆体を生成させた後に、その前駆体の水性溶液に水溶性高分子の水性溶液を加え、反応系を加熱してチューブ状アルミニウムシリケートを生成させることが好ましい。
【0023】
水性溶媒中でアルミニウム化合物とケイ素化合物を反応させる際に、チューブ状構造のアルミニウムシリケートが選択的に生成し易い観点から、反応溶液中のケイ素化合物の濃度は1〜500mmol(ミリモル)/L(リットル)の範囲内であることが好ましく、1〜100mmol/Lの範囲内であることがより好ましい。また、反応溶液中のアルミニウム化合物の濃度は1〜1000mmol/Lの範囲内であることが好ましく、1〜200mmol/Lの範囲内であることがより好ましい。
【0024】
アルミニウム化合物とケイ素化合物の混合比率は特に限定されない。チューブ状アルミニウムシリケートの生成率が高くなること、およびチューブ状構造以外の異種構造の生成が抑制されることから、アルミニウム/ケイ素のモル比が1/1〜3/1の範囲内であることが好ましく、1.5/1〜2.5/1の範囲内であることがより好ましい。アルミニウム/ケイ素のモル比が2/1に近づくほどチューブ状アルミニウムシリケートの生成率が高くなり、チューブ状構造以外の異種構造の生成が抑制される傾向にある。
【0025】
反応溶液中の水溶性高分子の濃度は、反応溶液中のアルミニウム化合物の濃度、ケイ素化合物の濃度、およびアルミニウム化合物とケイ素化合物との混合比率に応じて適宜調整される。得られる組成物の耐熱性、ならびに引張り強伸度および耐衝撃性などの力学的物性の観点から、水溶性高分子およびチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物中の無機成分の含有量が、0.1〜80重量%の範囲内となるようにすることが好ましく、5〜70重量%の範囲内となるようにすることがより好ましく、10〜60重量%の範囲内となるようにすることがさらに好ましい。
【0026】
水性溶媒中でアルミニウム化合物とケイ素化合物を反応させる際には、まずアルミニウム化合物の水性溶液とケイ素化合物の水性溶液を混合し、室温で撹拌して均一な水性溶液を調製した後、その水性溶液のpHを調整しながら反応を継続させ、チューブ状アルミニウムシリケートの前駆体を生成させることが好ましい。
【0027】
以下に、チューブ状アルミニウムシリケートの前駆体の好適な調製方法を説明する。まず、アルミニウム化合物の水性溶液とケイ素化合物の水性溶液とを混合した後、得られる水性溶液の均一性および生産性の観点から、その混合溶液を室温で好ましくは1分間〜3時間、より好ましくは5分間〜2時間撹拌して均一な水性溶液を調製する。次に、塩基を添加して、その水性溶液のpHを5〜6の範囲内になるように調整した後、その水性溶液を好ましくは1分間〜3時間、より好ましくは2分間〜1時間撹拌する。さらに、得られた水性溶液に対して、好ましくは0.1〜10mmol/L、より好ましくは0.5〜6mmol/Lの酸を加えることにより、チューブ状アルミニウムシリケートの前駆体が生成する。水性溶液のpHを調整するのに用いられる塩基としては水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アンモニアなどが好ましく、酸としては塩酸、酢酸などが好ましい。これらの塩基および酸は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
チューブ状アルミニウムシリケートの前駆体の水性溶液を加熱し、反応を進行させるとチューブ状アルミニウムシリケートが生成する。このときの反応温度は40℃以上、好ましくは80℃以上である。反応温度を90℃以上にして、反応溶液を還流させながら反応させるのがさらに好ましい。反応時間は好ましくは5〜300時間、より好ましくは12〜200時間、さらに好ましくは20〜150時間の範囲である。
【0029】
反応終了後、得られた水性溶液を1/3〜1/10、好ましくは1/4〜1/8程度に濃縮した後、用いた水溶性高分子の貧溶媒に添加し、析出物をろ過などにより分取し、乾燥させることにより、目的とする水溶性高分子とチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物が得られる。ここで水溶性高分子がビニルアルコール系重合体の場合、メタノール、エタノールなどの低級アルコールが貧溶媒として好適に用いられる。乾燥の温度は水溶性高分子の種類によって適宜選択することができ、通常は室温から200℃、好ましくは室温から120℃、さらに好ましくは室温から80℃の範囲である。乾燥時の雰囲気は真空または不活性ガス雰囲気が好ましいが、水溶性高分子が熱劣化しない範囲であれば空気雰囲気下でも差し支えない。
【0030】
得られた組成物中においてチューブ状アルミニウムシリケートが生成していることは、組成物のX線回折測定、IR測定を行い、チューブ状アルミニウムシリケートに特徴的なX線回折ピーク、IR吸収ピークがみられることにより確認することができる。
【0031】
本発明の製造方法によれば、組成物中のチューブ状アルミニウムシリケートの含有率が高い場合でも、水溶性高分子中にチューブ状アルミニウムシリケートを均一に分散させることができる。そのため、本発明の製造方法により得られる水溶性高分子とチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物は、力学的物性、耐熱性などに優れており、フィルム、シートなどの成形体、積層体、繊維などに有用である。また、本発明の製造方法において得られる組成物の水性溶液は、紙や樹脂成形体などに対するコーティング剤などに有用である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例において「%」および「部」は特に断りのない限り、「重量%」および「重量部」を意味する。
【0033】
また、以下の実施例における測定および評価は、次に示す方法(1)〜(4)により行った。
【0034】
(1)X線回折測定
粉末X線回折装置RINT−2500V(リガク株式会社製)を用い、試料を測定フォルダに固定し、室温、大気中にてX線回折測定を行った。X線源はCuKα線(波長0.154nm)、加速電圧は40kV、加速電流は200mAであった。
【0035】
(2)IR測定
赤外分光分析装置Spectrum One(PerkinElmer Japan,Co.,Ltd.製)を用い、KBr錠剤法でIR測定を行った。乾燥した試料をKBr粉末と混合し、ディスク状に成型して室温、大気中で測定した。
【0036】
(3)熱重量測定
熱重量測定装置TG50Thermo balance(METTLER社製)を用い、乾燥した組成物について、空気を100mL/分で流し、50℃〜800℃の温度範囲を10℃/分の速度で昇温して、熱重量測定を行った。測定後、組成物は白色固体になっており、有機成分は完全に熱分解され除かれていた。800℃での重量を測定し、組成物中の無機成分の含有率を求めた。
【0037】
(4)耐熱性の評価
水溶性高分子とチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物の水溶液を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上にキャストし、50℃の乾燥機中で乾燥して厚さ100μmのキャストフィルムを作成した。このキャストフィルムから5mm×30mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置DVE RHEO SPECTOLER V4(RHEOLOGYC.,LTD製)を用い、周波数11kHz、昇温速度3℃/分の条件で、この試験片の貯蔵弾性率の温度依存性を測定した。耐熱性は、20℃における貯蔵弾性率に対する100℃における貯蔵弾性率の割合から下記の基準に従い評価した。
保持率(%)=(100℃における貯蔵弾性率)/(20℃における貯蔵弾性率)×100
◎:保持率40〜100%、○:保持率30%以上40%未満、△:保持率20%以上30%未満、×:保持率20%未満
【0038】
参考例1
濃度2.4mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液1.0Lと濃度1.2mmol/Lのテトラエトキシシラン水溶液1.0Lを混合し、室温で1時間撹拌した。得られた混合水溶液に1規定の水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下し、混合水溶液のpHを5〜6の範囲に調整した。さらにこの混合水溶液に1規定の塩酸2mLと1規定の酢酸4mLを滴下した。混合水溶液を撹拌しながら96℃に昇温し、還流させながら96℃で120時間反応させた。反応後、混合水溶液を室温まで冷却し、1規定のアンモニア水を加えてpHを9〜10に調整し、生成したゲル状物をろ過して採取し、水で洗浄した。ゲル状物に蒸留水を2.0L加え、0.1規定の塩酸でpHを4.0に調整し、30分間超音波処理(42KHz、100W)を行った。その後、上澄み液を回収して凍結乾燥し、白色粉末を得た。得られた白色粉末についてX線回折測定を行い、2.3〜1.5nm、0.98nm、0.33nmにチューブ状アルミニウムシリケートに特有の回折ピークを確認した。測定結果を図1に示す。
【0039】
参考例2
参考例1で得られた粉末状のチューブ状アルミニウムシリケート2gおよび粉末状のポリビニルアルコール((株)クラレ製ポバールPVA105、粘度平均重合度500、けん化度98%以上)8gを混合し、窒素雰囲気下で溶融させ、1分間撹拌した。その後窒素雰囲気下で冷却し、得られた組成物を粉砕、乾燥し、IR測定を行った。測定結果を図2に示す。
【0040】
実施例1
濃度2.4mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液1.0Lと濃度1.2mmol/Lのテトラエトキシシラン水溶液1.0Lを混合し、室温で1時間撹拌した。得られた混合水溶液に1規定の水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下し、混合水溶液のpHを5〜6の範囲に調整した。この混合水溶液を5分間撹拌した後、1規定の塩酸2mLと1規定の酢酸4mLを滴下し、さらに濃度10g/Lのポリビニルアルコール((株)クラレ製ポバールPVA105、粘度平均重合度500、けん化度98%以上)水溶液0.065Lを加えた。混合水溶液を撹拌しながら96℃に昇温し、還流させながら96℃で120時間反応させた。反応後、混合水溶液の液量が0.4Lになるまでエバポレータで混合水溶液を濃縮した。濃縮した混合水溶液を16Lのエタノール中に徐々に加え、生成した沈殿物をろ過して採取し、水で洗浄した後、40℃で真空乾燥してPVAとチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物を得た。
【0041】
乾燥した組成物のX線回折測定の結果を図1に示す。PVAの回折ピーク以外に2.0nm、0.98nmおよび0.33nmの回折ピークが確認され、これはチューブ状アルミニウムシリケートの存在を示唆する。さらに、乾燥した組成物のIR測定の結果を図2に示す。参考例2のIRスペクトルとほぼ同一であり、チューブ状アルミニウムシリケート特有のSi−O−Al結合に由来する995cm−1および935cm−1の吸収ピークが確認された。乾燥した組成物の熱重量分析を空気雰囲気下で行った結果、組成物中の無機成分の含有率は20.5重量%であった。
【0042】
乾燥した組成物に固形分濃度が10重量%となるように蒸留水を加え、撹拌しながら80℃に加熱し、組成物を溶解させた。得られた水溶液を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上にキャストし、50℃の乾燥機中で乾燥して厚さ100μmの完全に透明なフィルムを得た。得られたフィルムの耐熱性の評価結果を表1に示す。
【0043】
実施例2
濃度2.4mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液1.0Lと濃度1.2mmol/Lのテトラエトキシシラン水溶液1.0Lを混合し、室温で1時間撹拌した。得られた混合水溶液に1規定の水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下し、混合水溶液のpHを5〜6の範囲に調製し、5分間撹拌した。この混合水溶液に1規定の塩酸2mLと1規定の酢酸4mLを滴下し、さらに濃度10g/Lのポリビニルアルコール((株)クラレ製ポバールPVA105、粘度平均重合度500、鹸化度98%以上)水溶液0.037Lを加えた。混合水溶液を撹拌しながら96℃に昇温し、還流させながら96℃で120時間反応させた。反応後、混合水溶液の液量が0.4Lになるまでエバポレータで混合水溶液を濃縮した。濃縮した混合水溶液を16Lのエタノール中に徐々に加え、生成した沈殿物をろ過して採取し、水で洗浄した後、40℃で真空乾燥してPVAとチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物を得た。
【0044】
乾燥した組成物のX線回折測定の結果、PVAの回折ピーク以外に2.0nm、0.98nm、および0.33nmの回折ピークが確認され、これはチューブ状アルミニウムシリケートの存在を示唆する。さらに、乾燥した組成物のIR測定の結果からもチューブ状アルミニウムシリケートの存在が確認された。組成物中の無機成分の含有率は30.2重量%であった。
【0045】
乾燥した組成物に固形分濃度が10重量%となるように蒸留水を加え、撹拌しながら80℃に加熱し、組成物を溶解させた。得られた水溶液を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上にキャストし、50℃の乾燥機中で乾燥して厚さ100μmの完全に透明なフィルムを得た。得られたフィルムの耐熱性の評価結果を表1に示す。実施例2で得られたフィルムは、実施例1で得られたフィルムに比べて耐熱性が高い。
【0046】
実施例3
濃度2.4mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液1.0Lと濃度1.2mmol/Lのテトラエトキシシラン水溶液1.0Lを混合し、室温で1時間撹拌した。得られた混合水溶液に1規定の水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下し、混合水溶液のpHを5〜6の範囲に調整した。この混合水溶液に1規定の塩酸2mLと1規定の酢酸4mLを滴下し、さらに濃度10g/Lのポリエチレングリコール(Wako Pure Chemical Industries.,Ltd製、数平均重合度20000)水溶液0.065Lを加えた。混合水溶液を撹拌しながら96℃に昇温し、還流させながら96℃で120時間反応させた。反応後、混合水溶液の液量が0.4Lになるまでエバポレータで混合水溶液を濃縮した。濃縮した混合水溶液を16Lのエタノール中に徐々に加え、生成した沈殿物をろ過して採取し、水で洗浄した後、40℃で真空乾燥してポリエチレングリコールとチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物を得た。
【0047】
乾燥した組成物のX線回折測定の結果、チューブ状アルミニウムシリケートの存在を示唆する回折ピークが確認された。さらに、乾燥した組成物のIR測定の結果からもチューブ状アルミニウムシリケートの存在が確認された。乾燥した組成物の熱重量分析を空気雰囲気下で行った結果、組成物中の無機成分の含有率は20.5重量%であった。
【0048】
乾燥した組成物に固形分濃度が10重量%となるように蒸留水を加え、撹拌しながら80℃に加熱し、組成物を溶解させた。得られた水溶液を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上にキャストし、50℃の乾燥機中で乾燥して厚さ100μmの完全に透明なフィルムを得た。得られたフィルムの耐熱性の評価結果を表1に示す。
【0049】
比較例1
参考例1で得られたチューブ状アルミニウムシリケートの濃度0.5重量%の水溶液2000mLと、濃度5重量%のポリビニルアルコール((株)クラレ製ポバールPVA105、粘度平均重合度500、けん化度98%以上)水溶液800mLとを混合し、80℃に加熱して60分間以上撹拌した。得られた水溶液を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上にキャストし、50℃の乾燥機中で乾燥して厚さ100μmのフィルムを得た。得られたフィルムはその全体が僅かに白化し、また部分的に激しく白化しており、チューブ状アルミニウムシリケートの分散性は不良であった。得られたフィルムの耐熱性の評価結果を表1に示す。
【0050】
比較例2
参考例1で得られたチューブ状アルミニウムシリケートの濃度0.5重量%の水溶液2000mLと、濃度5重量%のポリエチレングリコール(Wako Pure Chemical Industries.,Ltd製、数平均重合度20000)水溶液800mLとを混合し、80℃に加熱して60分間以上撹拌した。得られた水溶液を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上にキャストし、50℃の乾燥機中で乾燥して厚さ100μmのフィルムを得た。得られたフィルムはその全体が僅かに白化し、また部分的に激しく白化しており、チューブ状アルミニウムシリケートの分散性は不良であった。得られたフィルムの耐熱性の評価結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004133550
PVA:(株)クラレ製ポバールPVA105、粘度平均重合度500、けん化度98%以上
ポリエチレングリコール:Wako Pure Chemical Industries.,Ltd製、数平均重合度20000
【0052】
実施例1と比較例1、実施例3と比較例2をそれぞれ比較すると、本発明の製造方法で得られた組成物は、従来の製法で調製したチューブ状アルミニウムシリケートと水溶性高分子とを混合して得られた組成物に比べて透明性に優れ、さらに耐熱性も向上していることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、組成物中のチューブ状アルミニウムシリケートの含有率が高い場合でも、水溶性高分子中にチューブ状アルミニウムシリケートが均一に分散した組成物が得られる。本発明の製造方法により得られる組成物は、力学的物性、耐熱性などに優れ、水溶性高分子の用途を広めるものであり、工業的にも非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1のチューブ状アルミニウムシリケートおよび実施例1の組成物についてのX線回折の測定結果。
【図2】参考例2の組成物および実施例1の組成物についてのIR測定結果。

Claims (4)

  1. アルミニウム化合物およびケイ素化合物を出発原料とし、水溶性高分子を含む水性溶液中でチューブ状アルミニウムシリケートを生成させることを特徴とする水溶性高分子およびアルミニウムシリケートからなる組成物の製造方法であって、水溶性高分子およびチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物中の無機成分の含有量が10〜60重量%である組成物の製造方法
  2. アルミニウム化合物およびケイ素化合物を反応させてチューブ状アルミニウムシリケートの前駆体を生成させ、水溶性高分子を含む水性溶液中で該チューブ状アルミニウムシリケートの前駆体からチューブ状アルミニウムシリケートを生成させる請求項1に記載の製造方法。
  3. 水溶性高分子およびチューブ状アルミニウムシリケートからなる組成物中のアルミニウム/ケイ素のモル比が1/1〜3/1の範囲内である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 水溶性高分子がビニルアルコール系重合体である請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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