JP2018084733A - 延伸フィルム - Google Patents

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里花 野北
Rika Nokita
里花 野北
武史 日元
Takeshi Himoto
武史 日元
藤井 博行
Hiroyuki Fujii
博行 藤井
長井 淳
Atsushi Nagai
淳 長井
篤志 池上
Atsushi Ikegami
篤志 池上
中山 喜美男
Kimio Nakayama
喜美男 中山
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Abstract

【課題】虹ムラの発生を抑えたポリエステル系樹脂からなる単層フィルムを提供する。【解決手段】本態様に係る延伸フィルムは、ポリエステル系樹脂からなる単層の延伸フィルムである。ポリエステル系樹脂は、表面に1nm以上の厚みを有する有機層を付着させた炭酸ストロンチウム粒子を含有する。この延伸フィルムは、炭酸ストロンチウム粒子を含有しないポリエステル系樹脂からなる単層の延伸フィルムに対してクロスニコル法によって観測したときに上記単層の延伸フィルムのみで虹ムラの発生が低減されている。【選択図】なし

Description

本発明は、延伸フィルムと、当該延伸フィルムを含む光学フィルム、偏光板、バックライトユニット部材、画像表示装置及びタッチパネルに関する。
偏光板は、液晶や有機EL等の表示パネルを表示素子とする液晶表示装置等に用いられている。偏光板は、通常、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面または両面に接着剤層を介して、酢酸セルロース系樹脂からなる保護フィルムを貼合した構成となっている。しかし、酢酸セルロース系樹脂からなるフィルムを保護フィルムとした偏光板は、その構成要素である保護フィルムの透湿度や吸水率が高いことに起因して、高温多湿のような環境下において、偏光板としての性能が劣化してしまうことがある。
特許文献1は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、偏光フィルムの一方側に接着剤層を介して延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されてなる偏光板を開示する。特許文献1は、酢酸セルロース系樹脂の代わりに低吸水性のポリエチレンテレフタレート樹脂を保護フィルムとして使用することを開示する。一般に、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなるPETフィルムは、光学位相差(複屈折)が大きいため、フィルム延伸時に虹ムラが生じ易い。特許文献1では、PETフィルムの延伸条件(温度や引張弾性率)を限定することによって、液晶表示装置に搭載した際の色ムラが少なく視認性に優れる偏光板を提供することができるとされている。
特許文献2は、ポリエステルフィルムを延伸する際に発生し得る光干渉色(虹ムラ)を抑制するため、炭酸ストロンチウムを含有させたポリエステル層と、シリカを含有させたポリエステル層とを積層することを開示する。
特開2013−200470号公報 特開2014−63084号公報
ポリエチレンテレフタレート等は特性強化や薄膜化のために製造工程にて一般的に延伸して使用されるが、この延伸工程で位相差(複屈折)が他の樹脂より大きく発生するため、虹ムラ(色ムラ、光干渉色)が生じ易い。虹ムラを低減させるためには、フィルム製膜工程において様々な条件を設定しなければならず、製造工程が煩雑になることがある。一方、ポリエチレンテレフタレートフィルムの位相差を極限まで大きくして、擬似的に虹ムラを見えなくする技術もある。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルム等では、製造工程でフィルムサイズを大きくするほどその端に虹ムラが多く発生する可能性もあり、製造の歩留まり低下に繋がることも考えられる。
特許文献2では、炭酸ストロンチウムを含有させたポリエステル層と、シリカを含有させたポリエステル層とを積層させ、逐次2軸延伸することが記載されている。さらに、それぞれの複屈折を有するフィルムを積層させたフィルムの貼り合わせにより虹ムラを低減させる方法が記載されている。しかしながら、複数のポリエステル層を積層させるため、製造工程が煩雑化し、製造コストも増大してしまう。
偏光板を薄膜化、軽量化するためには、構成するフィルム自体の薄膜化が要求される。しかしフィルムが薄くなればなるほど虹ムラが発生しやすく、また虹ムラの抑制も困難であった。
以上の背景に鑑み、本発明の目的は、ポリエステル系樹脂を有するフィルムの光学特性を向上させることにある。
本願発明者は、創意工夫の結果、ポリエステル系樹脂に、表面に有機層を付着させた炭酸ストロンチウム粒子を含有させることによって、単層の延伸フィルムのみで虹ムラを抑えることができることを見出した。
一態様に係る延伸PETフィルムは、ポリエステル系樹脂からなる単層の延伸フィルムである。ポリエステル系樹脂は、表面に1nm以上の厚みを有する有機層を付着させた炭酸ストロンチウム粒子を含有する。この延伸フィルムは、炭酸ストロンチウム粒子を含有しないポリエステル系樹脂からなる単層の延伸フィルムに対してクロスニコル法によって観測したときに単層の延伸フィルムのみで虹ムラの発生が低減されている。
好ましい一態様によれば、前記炭酸ストロンチウム粒子の平均長径が200nm以下であり、前記炭酸ストロンチウム粒子の平均アスペクト比が1.5以上である。
好ましい一態様によれば、前記延伸フィルムは、2軸に延伸されたフィルムであって、第1方向と前記第1方向に直交する第2方向の両方の延伸倍率が1.1倍以上である。
好ましい一態様によれば、前記ポリエステル系樹脂に対する前記炭酸ストロンチウム粒子の添加量が60質量%以下である。
好ましい一態様によれば、前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートのいずれか、又はそれらの組み合わせである。
好ましい一態様によれば、前記延伸フィルムの厚みは100μm以下である。
一態様に係る光学フィルムは、上述した延伸フィルムを含む。
一態様に係る偏光板は、上記の光学フィルムを含む。
一態様に係るバックライトユニット部材は、上記の偏光板を含む。
一態様に係る画像表示装置は、上記の偏光板を含む。
一態様に係るタッチパネルは、上記の偏光板と、人の指のタッチ位置を検出可能な検出パネルと、を含む。
一態様に係るコーティングフィルムは、上記の延伸フィルムを含む。
ポリエステル系樹脂からなる単層の延伸フィルムの虹ムラを抑制することができる。
以下、一実施形態に係る延伸フィルムについて説明する。一実施形態に係る延伸フィルムは、ポリエステル系樹脂からなる単層の延伸フィルムである。ポリエステル系樹脂は、表面に1nm以上の厚みを有する有機層を付着させた炭酸ストロンチウム粒子を含有する。延伸フィルムは、クロスニコル法によって観測したときに上記単層の延伸フィルムのみで虹ムラの発生が低減されている。すなわち、この延伸フィルムは、炭酸ストロンチウム粒子を含有しない点を除き同じ組成のポリエステル系樹脂からなる単層の延伸フィルムと比較して虹ムラの発生が低減されている。
炭酸ストロンチウム粒子がポリエステル系樹脂の配向を抑制し、また、位相差の発現を不均一化にすることで、虹ムラが抑えられていると考えられる。特に、延伸フィルムは、好ましくは、ポリエステル系樹脂の第1方向(MD方向)と第2方向(CD方向)の両方に延伸された二軸延伸フィルムである。この場合、炭酸ストロンチウム粒子が、ポリエステル系樹脂中で不均一な配向(樹脂の延伸方向に左右されて点在する)をすることにより、ポリエステル系樹脂の配向を抑制し、位相差の発現を不均一化し易い。これにより、虹ムラが抑えられると考えられる。また、この効果を発揮するためには、炭酸ストロンチウム粒子が樹脂中で高い分散性を有することが重要である。このため、炭酸ストロンチウムの1次粒子の表面に1nm以上の厚みを有する界面活性剤(分散剤)としての有機層が付着していることが必要である。
ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートのいずれか、またはそれらの組み合わせであってよい。ここで、耐熱性、耐溶剤性、寸法安定性、低吸湿性、コスト面等の観点から、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
延伸フィルムの厚みは100μm以下である。このように延伸フィルムが薄い場合であっても、虹ムラの発生を抑えることができる。
ポリエステル系樹脂に対する炭酸ストロンチウム粒子の添加量が、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。これにより、延伸フィルムの透明性を維持し易くなる。また、ポリエステル系樹脂に対する炭酸ストロンチウム粒子の添加量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。これにより、炭酸ストロンチウム粒子による虹ムラの低減の効果をよりよく発揮させることができる。
炭酸ストロンチウム粒子の平均長径は、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、いっそう好ましくは75nm以下である。本願では炭酸ストロンチウム粒子は上記のようなナノサイズの微粒子を含むものとして定義する。炭酸ストロンチウム粒子の平均長径を小さくすることによって、延伸フィルムのヘイズの増大を抑制することができる。
炭酸ストロンチウム粒子の平均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上である。また、炭酸ストロンチウム粒子の平均アスペクト比は、10.0以下であってよい。平均アスペクト比を大きくすることによって、ポリエステル系樹脂の配向を抑制し易く、虹ムラの発生を抑制する効果が得られ易い。
ここで、平均長径は、炭酸ストロンチウム粒子からなる粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を目視又は画像処理する方法で測定することができる。炭酸ストロンチウム粒子単体の長径は、炭酸ストロンチウム粒子を長方形とみなしたときの長手方向の長さ(長辺の長さ)として測定することができる。また、炭酸ストロンチウム粒子の短径は、炭酸ストロンチウム粒子を長方形と見立てたときの短手方向の長さ(短辺の長さ)として測定することができる。
具体的には画像中で、炭酸ストロンチウム粒子に外接する、最少の面積を持つ長方形を算出し、その長方形の長辺と短辺の長さから長径と短径が求められる。さらに、「平均」とは、統計学上の信頼性のある個数(N数)の炭酸ストロンチウム粒子を測定して得られた平均値を意味する。その個数(N数)としては通常は300以上、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上である。
また、炭酸ストロンチウム粒子の粉末の平均アスペクト比は、特に限定されないが、例えば1.0〜5.0の範囲内であってよい。なお、ここでいうアスペクト比とは、粒子の「長径/短径」を意味する。また、平均アスペクト比とは、アスペクト比の平均値を意味する。すなわち、平均アスペクト比は、複数の粒子のアスペクト比を測定し、複数の粒子から得られたアスペクト比の平均値によって算出される。なお、平均値を算出するための粒子数(N数)は、上述したとおりである。
上述した炭酸ストロンチウム粒子の表面に、界面活性剤のような有機層が付着していることが好ましい。有機層によって、ポリエステル系樹脂中の炭酸ストロンチウム粒子の分散性を向上させることができる。
有機層の種類は、特には限定されないが、アニオン型界面活性剤が好ましい。アニオン型界面活性剤は、親水性基と疎水性基とを含み、かつ水中でアニオンを形成する基を有する化合物であることがより好ましい。親水性基は、炭素原子数が1〜15のオキシアルキレン基を含むポリオキシアルキレン基、もしくはアリール基であることが好ましい。疎水性基は、アルキル基又はアリール基が好ましい。アルキル基及び/又はアリール基は置換基を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、好ましくは3〜30であり、より好ましくは10〜18の範囲内である。アリール基の炭素原子数は6〜30であってよい。水中でアニオンを形成する基は、カルボン酸基(−COOH)、硫酸基(−OSOH)、リン酸基(−OPO(OH)、−OPO(OH)O−)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酸基であることが好ましい。これらの酸基に含まれる水素原子は、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンで置換されていてもよい。
樹脂組成物中、又は樹脂組成物に混入する前の溶媒中での炭酸ストロンチウム粒子の分散性の観点から、界面活性剤は、ポリカルボン酸系のアニオン型界面活性剤又はポリリン酸系のアニオン型界面活性剤が好ましい。水性媒体中での炭酸ストロンチウム粒子の分散性をより向上させる観点から、界面活性剤は、ポリカルボン酸系のアニオン型界面活性剤であることがより好ましい。
ポリカルボン酸系のアニオン型界面活性剤としては、下記の式(I)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2018084733
ここで、「R」は置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を意味する。「E」は、炭素原子数が1〜8の範囲内にあるアルキレン基を意味する。「a」は、1〜20、好ましくは2〜6の範囲内の正数を意味する。なお、「R」は、炭素原子数が10以上、好ましくは10〜18の範囲内にあるアルキル基であることが好ましい。
ポリリン酸系のアニオン型界面活性剤としては、下記の式(II)で示される化合物(モノ体)、下記の式(III)で示される化合物(ジ体)、又は式(II)で示される化合物と式(III)で示される化合物の混合物を挙げることができる。
Figure 2018084733
ここで、「R」は、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を意味する。「E」は、炭素原子数が1〜8の範囲内にあるアルキレン基を意味する。「b」は、1〜20、好ましくは2〜6の範囲内の正数を意味する。なお、「R」は、炭素原子数が10以上、好ましくは10〜18の範囲内にあるアルキル基であることが好ましい。
Figure 2018084733
ここで、「R」及び「R」は、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を意味する。「R」と「R」は、互いに異なっていてもよい。「E」及び「E」は、炭素原子数が1〜8の範囲内にあるアルキレン基を意味する。「E」と「E」は、互いに異なっていてもよい。「c」及び「d」は、1〜20、好ましくは2〜6の範囲内の正数を意味する。「c」と「d」は、互いに異なる数であってもよい。なお、「R」及び「R」は、いずれも炭素原子数が10以上、好ましくは10〜18の範囲内にあるアルキル基であることが好ましい。
界面活性剤は、例えば国際公開第2015/60438号、国際公開第2015/141817号、又は国際公開第2016/047757号に開示されるものを用いてもよい。
炭酸ストロンチウム粒子に対して、1種類の界面活性剤が単独で用いられてもよく、2種類以上の界面活性剤が混合して用いられてもよい。また、界面活性剤は、炭酸ストロンチウム粒子の表面に1層のみ付着させてもよく、2層以上を付着させてもよい。2層以上の界面活性剤を付着させる場合、同一種の界面活性剤を各層に用いてもよく、異なる種類の界面活性剤を各層に用いてもよい。なお、炭酸ストロンチウム粒子の表面に界面活性剤が付着しているかどうかは、フーリエ変換赤外分光測定装置(FT−IR)を用い、粒子表面の赤外吸収スペクトルを測定することにより確認することができる。また、本願炭酸ストロンチウム粒子は、TEM写真での画像解析により、1次粒子の表面に1nm以上の厚みで界面活性剤が付着されて成ることが分かった。
炭酸ストロンチウム粒子の製造方法は、アルカリ土類金属化合物が水性溶媒に分散されてなる分散液(第一分散液)を準備する工程と、溶媒中での粒子分散性を向上させるための界面活性剤の存在下、せん断力を付与することで水性溶媒中に前記アルカリ土類金属化合物の一次粒子を分散させつつ、この一次粒子と界面活性剤とを接触させることで分散液(第二分散液)を得る分散工程と、この第二分散液を100〜300℃の温度で加熱乾燥させて粉末状にする乾燥工程とを備えていてよい。表面処理を行う前の炭酸ストロンチウム粒子の製造方法は、特には限定されず、任意の方法を利用することができる。
例えば、略球状の炭酸ストロンチウム粒子を製造する方法は、国際公開第2011/052680号に記載されているとおりであってよい。さらには、上記略球状の炭酸ストロンチウム粒子を所定の温度、時間で熟成させることにより針状の炭酸ストロンチウム粒子に粒成長させることができる。
また、溶媒中での高い分散性を付与するため、炭酸ストロンチウム粒子の表面に前述した界面活性剤のような有機層を付与してもよい。この場合、例えば上記熟成後の水性スラリーに対して、撹拌羽根ミキサーなど公知の撹拌装置でせん断力を与えながら水性スラリーに界面活性剤を添加する。これにより、水性スラリー中に炭酸ストロンチウム粒子を含む一次粒子を分散させて、該一次粒子と該界面活性剤とを接触させる。
そして、上記方法で得られた水性スラリーを、ドラムドライヤー、スプレードライヤーなどの熱乾燥機を用いた乾燥方法によって加熱乾燥させて高分散性の炭酸ストロンチウム粒子の乾燥物を得ることができる。
前述したポリエステル系樹脂と炭酸ストロンチウム粒子とは、溶融混練することによって混ぜ合わされ、ストランド状に形成し、マスターバッチを作成後、フィルム化、シート化する。もしくは溶融混練後に直接フィルム化又はシート化する。
例えば、ポリエステル系樹脂のペレットもしくは粉砕したポリエステル系樹脂粉末に炭酸ストロンチウム粉末を添加して、2軸混錬機で押出することで、直接フィルムを得ることができる。もしくは、2軸混錬機で押出したストランドをカットすることでマスターバッチを作製し、マスターバッチをポリエステル系樹脂のペレットに混ぜて押出し成形してフィルムを得ることもできる。マスターバッチ中に含まれる炭酸ストロンチウムの濃度は、ポリエステル系樹脂に対して70質量%以下であってよい。なお、成形されたフィルムは、延伸されることによって延伸フィルムとされる。
前述したポリエステル系樹脂は、必要に応じて、さらに増粘剤、光増感剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。1種類の添加剤が単独で使用されていてもよく、複数種の添加剤が併用して使用されていてもよい。なお、これらの添加剤は、一般に用いられる範囲の量で使用することができる。
前述した延伸フィルムは、光学フィルムやコーティングフィルムのように様々な用途に用いることができる。光学フィルムは、偏光板、バックライトユニット部材、画像表示装置又はタッチパネルなどに好適に適用することができる。タッチパネルは、上記延伸フィルムを含む偏光板と、人の指のタッチ位置を検出可能な検出パネルと、を含み、画像表示用のユニットの前面に設けられるパネルである。コーティングフィルムとしては、例えば保護フィルム、ハードコートフィルム、導電性フィルム、防眩層、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層、及びアンチグレア層などがある。
次に、実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)実施例1
(溶融混練)
有機層としてリン酸系界面活性剤で表面処理を施した炭酸ストロンチウム粒子の粉末20g(平均長径60nm、平均アスペクト比2.6、およびポリエチレンテレフタレート樹脂に対して10重量%)とポリエチレンテレフタレート樹脂粉末(帝人化成(株)社製TRN−8550FF)200gを乾式にて混合した。混合した粉末を東洋精機製ラボプラストミル4C100と二軸セグメント押出機2D15Wを用いて、溶融混練を行った。混練温度は270℃、混練速度は90rpm、フィード量は10g/minとし、フィード口より窒素ガスを流しつつ窒素雰囲気下で混練を行った。二軸セグメント押出機から吐出した樹脂組成物は、水冷しストランドとして回収した。
(真空加熱プレス)
真空加熱プレス機(テスター産業製、SA-303S型)を用いて、混練したストランドを、100mm×100mmのサイズで500μmの膜厚に成型した。成型温度は270℃であり、混練したストランドは、−0.1MPa(ゲージ圧)の真空下にて40MPaでプレスした。
(ポリエチレンテレフタレートシートの二軸延伸)
ポリエチレンテレフタレートシートを65mm角(15mmは掴みシロ)にカットし、フィルム延伸装置(井元製作所製、IMC−1A8D型)にて、85℃で逐次二軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。延伸倍率は、二軸ともに2倍であった。
(延伸フィルムの虹ムラ評価)
軸方向を互いに直交させた2枚の偏光板の間に上記延伸フィルムを配置し、クロスニコル法によって観測したときに、この単層の延伸フィルムのみでの虹ムラの評価を行った。目視にて虹ムラが見えたものを「×」と記し、虹ムラが生じないものを「○」と記した。その結果を表1に示す。
(2)実施例2
逐次二軸延伸の延伸倍率を3倍とした点以外は、実施例1と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
(3)実施例3
有機層で表面処理を施した炭酸ストロンチウム粒子の粉末を40g(ポリエチレンテレフタレート樹脂に対して20重量%)とした点以外は、実施例1と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
(4)実施例4
逐次二軸延伸の延伸倍率を3倍とした点以外は、実施例3と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
(5)実施例5
(二軸押出機による溶融押出製膜)
幅60mm、スリットギャップ0.58mmを有するTダイを二軸セグメント押出機(2D15W)に設置し、水冷ロールにて冷却しながらシートを得た点以外は、実施例1と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
(6)実施例6
逐次二軸延伸の延伸倍率を3倍とした点以外は、実施例5と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
(7)実施例7
有機層で表面処理を施した炭酸ストロンチウム粒子を40gとした点以外は、実施例5と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
(8)実施例8
逐次二軸延伸の延伸倍率を3倍とした点以外は、実施例7と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
なお、実施例3〜4に用いた延伸フィルムを、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH5000)を用いて、その延伸フィルム単体のへイズを測定すると、5%以下であった。
(9)比較例1
炭酸ストロンチウム粒子を混合せず、ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉末のみで混練を行った点以外は、実施例1と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
(10)比較例2
炭酸ストロンチウム粒子を混合せず、ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉末のみで混練を行った点以外は、実施例2と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
(11)比較例3
炭酸ストロンチウム粒子を混合せず、ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉末のみで混練を行った点以外は、実施例5と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
(12)比較例4
炭酸ストロンチウム粒子を混合せず、ポリエチレンテレフタレート樹脂の粉末のみで混練を行った点以外は、実施例6と同様の方法を使用した。その結果を表1に示す。
Figure 2018084733
表1に示されているように、実施例1〜8の延伸フィルムでは、虹ムラの発生が確認できなかった。一方で、比較例1〜4の延伸フィルムでは、虹ムラが生じていた。
上述の実施形態及び実施例を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態及び実施例に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。

Claims (12)

  1. ポリエステル系樹脂からなる単層の延伸フィルムであって、
    前記ポリエステル系樹脂は、表面に1nm以上の厚みを有する有機層を付着させた炭酸ストロンチウム粒子を含有し、前記炭酸ストロンチウム粒子を含有しない前記ポリエステル系樹脂からなる単層の延伸フィルムに対してクロスニコル法によって観測したときに前記単層の延伸フィルムのみで虹ムラの発生が低減されている、延伸フィルム。
  2. 前記炭酸ストロンチウム粒子の平均長径が200nm以下であり、前記炭酸ストロンチウム粒子の平均アスペクト比が1.5以上であることを特徴とする、請求項1に記載の延伸フィルム。
  3. 前記延伸フィルムは、2軸に延伸されたフィルムであって、
    第1方向と前記第1方向に直交する第2方向の両方の延伸倍率が1.1倍以上である、請求項1又は2に記載の延伸フィルム。
  4. 前記ポリエステル系樹脂に対する前記炭酸ストロンチウム粒子の添加量が60質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の延伸フィルム。
  5. 前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートのいずれか、又はそれらの組み合わせである、請求項1〜4のいずれかに記載の延伸フィルム。
  6. 前記延伸フィルムの厚みは100μm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の延伸フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の延伸フィルムを含む光学フィルム。
  8. 請求項7に記載の光学フィルムを含む偏光板。
  9. 請求項8に記載の偏光板を含むバックライトユニット部材。
  10. 請求項8に記載の偏光板を含む画像表示装置。
  11. 請求項8に記載の偏光板と、人の指のタッチ位置を検出可能な検出パネルと、を含むタッチパネル。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載の延伸フィルムを含むコーティングフィルム。
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