JP2014186172A - 光学用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 偏光板としてクロスニコル状態に配置した時に光干渉色の発生が抑制でき、液晶ディスプレイに組み込んだ時に紫外線による液晶の劣化を低減し、かつ高い透明性を維持することができ、例えば、偏光板保護用として好適な光学用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、複屈折性を有する微粒子を少なくとも1種類以上配合し、フィルムの面内リターデーションが1000nm以下であり、ヘーズが4.5%以下であり、内層に紫外線吸収剤を含有し、波長380nmにおける光線透過率が20.0%以下、波長550nmにおける光線透過率が80.0%以上であることを特徴とする光学用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば、偏光板保護フィルム、すなわち、偏光膜に積層することにより、偏光板を保護するために使用されるフィルムに好適に使用することのできる光学用ポリエステルフィルムに関するものである。
液晶ディスプレイに使用される偏光板は、保護フィルム/偏光膜/保護フィルム、または保護フィルム/偏光膜/位相差フィルムの構成からなるのが一般的であり、従来の偏光板の保護フィルムとして、その高い透明性や光学等方性、異物の少なさなどの特徴からTAC(トリアセチルセルロース)フィルムが多く使用されてきた。
しかしながら、TACフィルムは溶液流延法により製膜されているため、耐薬品性、耐擦傷性などの点で十分とは言えないだけでなく、近年液晶ディスプレイの大型化が進むにしたがって、TACフィルムの耐熱性、機械的強度のディスプレイ面内でのばらつきが問題になっている。また、液晶ディスプレイに対するコストダウン要求が強まる中、TACフィルムのコストが高い点が問題になっている。一方、液晶ディスプレイの需要が著しく伸びている中でTACフィルムの供給は不足しがちな状態が続いており、今後の安定供給が懸念されている。
上記のような問題に対して、シクロオレフィンポリマー等の他の素材でTACフィルムを代替する検討も多く行われている(特許文献1、2)。しかしながら、他素材でのフィルムは汎用樹脂を使用していないため、コストが高いという問題がある。
一方、逐次二軸延伸ポリエステルフィルムは、汎用樹脂であるためコスト面での問題はないが、延伸工程でフィルムの幅方向に光学歪みが生じ、リターデーションが幅方向で大きく変動してしまうため、逐次二軸延伸ポリエステルフィルムでは、全幅方向でのリターデーションの低減が困難である。
また、無延伸ポリエステルフィルムは無配向であるため、光干渉色の問題はないが、厚さを100μm未満とするのが困難であり、薄型化要求が強い偏光板の保護フィルムに用いることは好ましくない。
フィルム延伸倍率の縦横の比をバランス化させることで光干渉色の発生を抑制する方法も提案されている(特許文献3)。例えば特許文献3では、縦延伸、横延伸をともに3.7倍で延伸するフィルムの製造方法が提案されている。光干渉色は抑制できているが、延伸倍率をバランス化させることで、リターデーションが幅方向でより大きく変動してしまうという問題があり、実用的ではない。
上記のような問題に対して、複屈折性を有する微粒子を添加する方法が、特許文献4 に記載されている。しかしながら、特許文献4においては、配合量とフィルムの面内リターデーションやヘーズなどとの関係を明確にしておらず、配合量に応じて光干渉色が抑制される一方で、透明性が低下してしまう可能性などについて考慮されていない。
さらに、通常のポリエステルはUV吸収能を有していないため、偏光板保護膜として使用した場合に液晶が劣化してしまう問題がある。液晶ディスプレイにおいて、ポリエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして使用する場合に、紫外線による液晶の劣化を防ぐためにポリエステルフィルムに紫外線吸収剤を配合する方法が知られているが、ポリエステルフィルムの最表層に紫外線吸収剤を配合した場合、紫外線吸収剤がポリエステルフィルムからブリードアウトする場合があり好ましくない。
上記のような問題に対して、少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムの内層に紫外線吸収剤を配合する検討も行われている(特許文献5)。しかし、特許文献5では光干渉色を抑制する方法について考慮されていない。
特開平6−51117号公報 特開2006−227090号公報 特開2011−110718号公報 国際公開2001−025364号 特開2010−243630号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、偏光板としてクロスニコル状態に配置した時に光干渉色の発生が抑制でき、液晶ディスプレイに組み込んだ時に紫外線による液晶の劣化を低減し、かつ高い透明性を維持することができ、例えば、偏光板保護用として好適な光学用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定のポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、複屈折性を有する微粒子を少なくとも1種類以上配合し、フィルムの面内リターデーションが1000nm以下であり、ヘーズが4.5%以下であり、内層に紫外線吸収剤を含有し、波長380nmにおける光線透過率が20.0%以下、波長550nmにおける光線透過率が80.0%以上であることを特徴とする光学用ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、偏光板保護フィルムとして、安価で光学特性に優れたポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明でいうポリエステルフィルムとは、いわゆる押出法に従い押出口金から溶融押出されたシートを延伸したフィルムである。
上記のフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸と、ジオールとからあるいはヒドロキシカルボン酸から重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを指す。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等をそれぞれ例示することができる。
かかるポリマーの代表的なものとして、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンー2、6ナフタレート等が例示される。
本発明におけるポリエステルフィルムには、取り扱いを容易にするために透明性を損なわない条件で粒子を含有させてもよい。本発明で用いる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子や、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。また粒子を添加する方法としては、原料とするポリエステル中に粒子を含有させて添加する方法、押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用してもよく、2つの方法を併用してもよい。
用いる粒子の粒径は、通常0.05〜5.0μm、好ましくは0.1〜4.0μmである。平均粒径が5.0μmより大きいと、フィルムのヘーズが大きくなりフィルムの透明性が低下することがある。平均粒径が0.1μmより小さいと、表面粗度が小さくなりすぎてフィルムの取り扱いが困難になる場合がある。
粒子含有量は、ポリエステルに対し、通常0.001〜30.0重量%であり、好ましくは0.01〜10.0重量%である。粒子含有量が多いとヘーズが大きくなり、フィルムの透明性が低下することがあり、粒子含有量が少ないとフィルムの取り扱いが困難になる場合がある。
ポリエステルに粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混錬押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混錬押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
また、本発明においては、光学フィルムのリターデーションを調整するために、ベースフィルムの複屈折性とは逆符号の複屈折性を有する複屈折性微粒子を添加している。複屈折性微粒子としては、国際公開WO01/0253643 号あるいは特開2004−109355号に記載のものを用いることができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸亜鉛、炭酸バリウムなどの種々の炭酸塩、酸化チタンに代表される種々の酸化物、MgSO・5Mg(OH)・3HO、6CaO・6SiO・HO、9Al・2Bなどの複屈折性ウィスカーなどが挙げられる。特に、正方晶系、六方晶系および菱面体晶系は一軸性複屈折性結晶、斜方晶系、単斜晶系および三斜晶系の結晶が好ましく用いられる。これらは、単結晶であっても良いし、多結晶であっても良い。また、ポリスチレンあるいはアクリル樹脂の棒状もしくは短繊維状粒子なども好ましく用いられる。例えばポリスチレン樹脂あるいはアクリル樹脂を有し、極細繊維を細かく切断して製造した短繊維状の粒子であってもよい。これらの繊維は製造過程で延伸されていることが複屈折性を発現しやすくなるため好ましい。また、これらの粒子に含まれている樹脂は架橋されていることが好ましい。しかし、これらに限られるわけではなく、大きさ、形状、針状比などの要件を満たせば、種々のものが利用可能である。これらの複屈折性微粒子は長径が10〜500nm 、針状比が1:2 以上であることが好ましく、特に針状比が1:2〜1:100であることが好ましく、1:3〜1:30であることが好ましい。針状比は、粒子の絶対最大長と対角幅から下式(1) によって求められる。これは微粒子もしくはフィルム中に含まれる微粒子を電子顕微鏡で観察して得られる画像データから求めることができる。これらの複屈折性微粒子は1種類、または、2種類以上併用して用いることができる。
針状比=絶対最大長/対角幅 …(1)
ここで対角幅とは、絶対最大長に平行な2本の直線で投影された粒子の像をはさんだときの2直線間の最短距離のことである。
また、複屈折性微粒子は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などにより表面処理されていることが好ましい。
複屈折性微粒子の複屈折性は、次のように定義する。複屈折性微粒子の長径方向に偏光した光に対する屈折率をnpr、長径方向に直交する方向に偏光した光に対する平均屈折率をnvtとする。複屈折性微粒子の複屈折Δnは、下記の式で定義される。
Δn=npr−nvt
すなわち、複屈折性微粒子の長径方向の屈折率が、それに直交する方向の平均屈折率よりも大きければ正の複屈折、その逆であれば負の複屈折となる。
本発明で使用される複屈折性微粒子の持つ複屈折の絶対値には特に制限はないが、0.01〜0.3であることが好ましく、0.05〜0.3であることがさらに好ましい。正の複屈折性を有する複屈折性結晶としては、MgSO・5Mg(OH)・3HO、6CaO・6SiO・HO、9Al・2Bが挙げられる。負の複屈折性を示す複屈折性結晶としては、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなどが挙げられる。針状結晶の場合は結晶の長い方向の屈折率がそれとは直交する方向の屈折率よりも小さい材料を意味する。
炭酸塩微粒子は、均一沈殿法あるいは炭酸ガス化合法などによって製造することができる。例えば、特開平3−88714号公報、特公昭55−51852号公報、特開昭59−223225号公報等の方法で製造することができる。炭酸ストロンチウム結晶は、水に溶解したストロンチウムイオンと炭酸イオンとを接触させて得ることができる。炭酸イオンは、ストロンチウム化合物を含有する溶液中に炭酸ガスをバブリングする方法などによって添加したり、もしくは炭酸イオンを発生する物質を添加したり、反応もしくは分解させて得ることができる。例えば、特開2004−35347号公報に記載の方法で炭酸ストロンチウム結晶微粒子を製造することができ、この方法で得られた炭酸ストロンチウム微粒子が複屈折性微粒子として好ましく用いることができる。炭酸ガスを発生させる物質としては尿素が挙げられ、尿素の加水分解酵素を併用して発生した炭酸ガスイオンとストロンチウムイオンとを反応させて炭酸ストロンチウム微粒子を得ることができる。微細な結晶を得るためには、できるだけ温度を下げて反応させることが好ましい。氷点下以下に冷却することが微細な結晶粒子を得ることができるため好ましい。例えば、凝固点降下物質としてエチレングリコール類などの有機溶媒を添加することも好ましく、凝固点が氷点下5℃ を下回るように添加することが好ましい。これによって、長径方向の平均粒径が500nm 以下の炭酸ストロンチウムの微粒子を得ることができる。炭酸ストロンチウムは二軸性の複屈折結晶であり、特開2004−35347号公報によれば、それぞれの光学軸方向の屈折率は、n(na,nb,nc)=(1.520,1.666,1.669)であり、針状結晶の長軸方向は、屈折率1.520の光学軸方向とほぼ一致することが報告されている。そのため、針状結晶の配向方向に対して負の複屈折効果を持つ。この炭酸ストロンチウム結晶微粒子は、針状(棒状)の形態であるため、粘性のある媒体内に分散させた状態で応力を作用させることにより、統計的に所定の方向に配向させることができる。
複屈折性微粒子をポリエステルフィルムに配合する方法として、複屈折性微粒子を押出機に直接添加する方法、あらかじめ複屈折性微粒子を練り込んだポリエステル樹脂を押出機に添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用してもよく、2つの方法を併用してもよい。
また本発明では、ポリエステルフィルムが紫外線吸収剤を積層ポリエステルフィルムの内層に含有している必要がある。紫外線吸収剤は液晶ディスプレイの液晶等の紫外線による劣化を防止するために配合される。ポリエステルフィルム中に含有される紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤および無機系紫外線吸収剤が挙げられる。
有機系紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、例えば、フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等、ベンゾフェノン系、例えば、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−オクトキベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等、ベンゾトリアゾール系、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’5’−ジ−t−ブチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等、天然物系、例えば、オリザノール、シアバター、バイカリン等、生体系、例えば、角質細胞、メラニン、ウロカニン酸等が挙げられる。これら有機系紫外線吸収剤は1種類、または2種類以上併用して用いることができる。これらの有機系紫外線吸収剤には紫外線安定剤として、ヒンダードアミン系化合物を併用することができる。
無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン系複合酸化物、酸化亜鉛系複合酸化物、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)等が挙げられる。酸化チタン系複合酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナをドープした酸化亜鉛等が挙げられる。これらの無機系紫外線吸収剤は1種類、または、2種類以上併用して用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤を併用しても構わない。550nmにおける光線透過率を80.0%以上とするためには、有機系紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
紫外線吸収剤をポリエステルフィルムに配合する方法として、紫外線吸収剤を押出機に直接添加する方法、あらかじめ紫外線吸収剤を練り込んだポリエステル樹脂を押出機に添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用してもよく、2つの方法を併用してもよい。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、波長380nmにおける光線透過率が20.0%以下、好ましくは10.0%以下である。波長380nmにおける光線透過率が20.0%より大きくなると、液晶の劣化が促進されるため、好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、波長550nmにおける光線透過率が80.0%以上である。波長550nmにおける光線透過率が80.0%より小さくなると、偏光板としての光線透過率が低下し、好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、ヘーズが4.5%以下、好ましくは3.0%以下である。ヘーズが4.5%より大きい場合には、偏光板の透明度が低下し、視認性が低下してしまう。
本発明のポリエステルフィルムを保護フィルムとして使用した偏光板において、光干渉色の発生を防ぐためには、ポリエステルフィルムにおける面内リターデーションが1000nm以下である。フィルムの面内リターデーションが1000nmより大きい場合には、光の干渉色が強くなり、液晶ディスプレイにおいて、画像本来の色彩が得られない。
本発明のポリエステルフィルムの厚さは4〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは4〜38μmである。フィルムの厚さが4μmより薄いとフィルムの製膜が困難となったり、フィルムの取り扱いが難しくなったりすることがある。フィルムの厚さが50μmより厚い場合には偏光板が厚くなり実用上問題となることがある。
本発明におけるポリエステルフィルムの延伸倍率は縦横の比をアンバランスにすることが好ましい。例えば、縦延伸、横延伸をともに3.7倍で延伸したフィルムでは、リターデーションが幅方向で大きく変動してしまうという問題があり、実用的ではない。
本発明では必要に応じて他にも添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、例えば、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、染料、顔料、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明においては、公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移点以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化することが好ましい。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に80〜130℃で1.3〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で1.3〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
偏光板として、PVAの接着剤との密着させるため、あるいはハードコートとの密着性を向上させるために少なくとも片面に塗布層を設けることが好ましい。
また、塗布層は、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤の塗布方法としては、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない恐れがある。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる。
なお、必要に応じてフィルムの製造後にコートするオフラインコートと呼ばれる方法でコートしてもよい。コーティングの材料としては、オフラインコートの場合は水系および/または溶剤系いずれでもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、種々の諸物性、特性は以下のように測定、または定義されたものである。実施例中、「%」は「重量%」を意味する。
(1)面内リターデーションの測定
大塚電子株式会社製、セルギャップ検査装置RETS−1100Aを用い、フィルム幅方向に20mm間隔で面内リターデーションを測定することで最大値と最小値を得た。フィルムの面内リターデーションの測定には光干渉法を用い、アパーチャ径5mmとし23℃で行った。
(2)ヘーズの測定
JIS−K−7136に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−20Dにより、フィルムヘーズを測定した。
(3)視認性の評価
ポリビニルアルコール(PVA)フィルム((株)クラレ製、重合度2400)を用いて、第1浴(ヨウ素、KI水溶液−30℃)で3倍延伸後、第2浴(ホウ酸、KI水溶液−55℃)中でトータル延伸倍率を6倍まで延伸して偏光子を得た。その後、PVA系接着剤を用いて、片面に厚さ40μmのTACフィルムを、片面にポリエステルフィルムを貼り合わせ偏光板を作製した。当該偏光板をTACフィルム側が液晶側になるようにバックライトユニット側の偏光板としてモバイル用の液晶パネルに実装し視認性を確認した。偏光板保護用フィルムとして最も優れているものを◎、優れているものを○、不十分なものを×とした。
◎:透明性に優れ、光干渉色がなく良好である
○:透明性の低下が少しあるが、光干渉色がなく問題ない
×:透明性の低下、あるいは、光干渉色がみられ、本来の色調とは異なる画像となる
(4)光線透過率の測定
分光光度計(株式会社島津製作所UV−3100PC型)により、スキャン速度を低速、サンプリングピッチを2nm、波長300〜700nm領域で連続的に光線透過率を測定し、380nmおよび550nmの波長での光線透過率を検出した。
(5)総合評価
視認性、380nmおよび550nmの波長での光線透過率を総合的に評価し、偏光板保護用フィルムとして最も優れているものを◎、優れているものを○、不十分なもの×とした。
以下の実施例および比較例で使用した原料は、以下のようにして準備した。
(ポリエステルAの製造方法)
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(A)を得た。得られたポリエステルチップの溶液粘度IVは、0.66であった。
(ポリエステルBの製造方法)
上記ポリエステル(A)を製造する際、平均粒径3.2μmの非晶質シリカを6000ppm添加し、ポリエステル(B)を作成した。
(ポリエスエルCの製造方法)
上記ポリエステル(A)を製造する際、紫外線吸収剤として2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]を10%濃度となるように添加してポリエステル(C)を作成した。
(ポリエスエルDの製造方法)
上記ポリエステル(A)に、紫外線吸収剤として酸化亜鉛の微粒子を10%濃度となるように混合しポリエステル(D)を作成した。
実施例1:
上記ポリエステル(A)、(B)、そして複屈折性微粒子として、それぞれの光学軸方向の屈折率がn(na,nb,nc)=(1.520,1 .666,1 .669)である炭酸ストロンチウムの針状結晶(長径方向の平均粒径が200nm)を(E)とした時、それぞれを84.9%、15%、0.1%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した原料をB層用の原料とした。A層およびB層用原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出することで、(A/B/A)の2種3層積層の無定形シートを得た。ついで、冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、90℃にて縦方向に3.4倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て90℃で横方向に4.0倍延伸、230℃で10秒間の熱処理を行い、厚さ38μm(A層:5.0μm、B層:28.0μm)のポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。得られたポリエステルフィルムは、液晶パネルに組み込んだ際の透明性の低下や光干渉色もなく良好であり、耐UV性能にも優れていた。
実施例2:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)、(E)をそれぞれ84.7%、15%、0.3%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。得られたポリエステルフィルムは、液晶パネルに組み込んだ際の透明性の低下や光干渉色もなく良好であり、耐UV性能にも優れていた。
実施例3:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)、(E)をそれぞれ84.5%、15%、0.5%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。得られたポリエステルフィルムは、液晶パネルに組み込んだ際に透明性の低下が少しあるが、光干渉色もなく良好であり、耐UV性能にも優れていた。
実施例4:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)、(E)をそれぞれ84%、15%、1%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。得られたポリエステルフィルムは、液晶パネルに組み込んだ際に透明性の低下が少しあるが、光干渉色もなく良好であり、耐UV性能にも優れていた。
実施例5:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)、(E)をそれぞれ84.5%、15%、0.5%の割合で、B層用の原料として(A)、(C)をそれぞれ85%、15%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。得られたポリエステルフィルムは、液晶パネルに組み込んだ際に透明性の低下が少しあるが、光干渉色もなく良好であり、耐UV性能にも優れていた。
実施例6:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)、(E)をそれぞれ84.5%、15%、0.5%の割合で、B層用の原料として(A)、(C)をそれぞれ95%、5%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。得られたポリエステルフィルムは、液晶パネルに組み込んだ際に透明性の低下が少しあるが、光干渉色もなく良好であり、耐UV性能にも優れていた。
比較例1:
実施例1において、複屈折性微粒子である炭酸ストロンチウムの針状結晶(E)を添加せず、A層用の原料として(A)、(B)をそれぞれ85%、15%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。得られたポリエステルフィルムは、液晶パネルに組み込んだ際に光干渉色があり、本来の色調とは異なる画像となった。
比較例2:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)、(E)をそれぞれ83.8%、15%、1.2%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。得られたポリエステルフィルムは、液晶パネルに組み込んだ際の透明性が著しく低下し、本来とは異なる画像となった。
比較例3:
実施例1において、縦延伸倍率を3.7倍、横延伸倍率を3.7倍にする以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。得られたポリエステルフィルムは、液晶パネルに組み込んだ際に光干渉色があり、本来の色調とは異なる画像となった。
比較例4:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)、(E)をそれぞれ84.5%、15%、0.5%の割合で混合し、B層用の原料を(A)とする以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。得られたポリエステルフィルムは380nmにおける光線透過率が高いものになってしまった。
比較例5:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)、(E)をそれぞれ84.5%、15%、0.5%の割合で混合し、B層用の原料を(A)、(C)をそれぞれ97%、3%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。得られたポリエステルフィルムは380nmにおける光線透過率が高いものになってしまった。
比較例6:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)、(E)をそれぞれ84.5%、15%、0.5%の割合で混合し、B層用の原料を(A)、(D)をそれぞれ95%、5%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。得られたポリエステルフィルムは550nmにおける光線透過率が低く、偏光板保護フィルムとしては適さないものだった。
以上、得られた結果をまとめて下記表1、表2に示す。
Figure 2014186172
Figure 2014186172
本発明のフィルムは、例えば、偏光板保護用フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、複屈折性を有する微粒子を少なくとも1種類以上配合し、フィルムの面内リターデーションが1000nm以下であり、ヘーズが4.5%以下であり、内層に紫外線吸収剤を含有し、波長380nmにおける光線透過率が20.0%以下、波長550nmにおける光線透過率が80.0%以上であることを特徴とする光学用ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018084733A (ja) * 2016-11-25 2018-05-31 宇部興産株式会社 延伸フィルム
JP2018194741A (ja) * 2017-05-19 2018-12-06 大日本印刷株式会社 配向フィルム、並びに、それを用いた透明導電性フィルム、タッチパネル及び表示装置

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