JP2017131136A - 血液由来単球の増殖誘導方法 - Google Patents

血液由来単球の増殖誘導方法 Download PDF

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【課題】効率の良い、改善された末梢血由来の単球の増殖誘導方法、特に、例えば、ドナー依存性が改善された末梢血由来の単球の増殖誘導方法の提供。【解決手段】ヒト末梢血由来の単球の増殖誘導方法であって、単球に、少なくとも以下の3つの遺伝子:cMYC、BMI1、及び、BCL2又はLYL1遺伝子を導入して発現させ、増殖能を有する単球を作製することを含む方法。前記末梢血由来の単球が凍結保存されていない新鮮な単球であることが好ましく、がん患者由来の単球であることがより好ましい、単球の増殖誘導方法。単球の増殖誘導方法により増殖能を有する単球を作製する工程と、前記増殖能を有する単球を培養することにより樹状細胞へと分化誘導する工程と、作製した樹状細胞を任意の抗原で負荷(load)して抗原提示樹状細胞を作製する工程又は、任意の抗原の遺伝子を導入して抗原提示樹状細胞を作製する工程と、を含む、樹状細胞作製方法。【選択図】図1

Description

本発明は、血液、特には末梢血由来の単球の増殖誘導方法に関する。本発明はまた、該増殖誘導方法を用いた単球の大量作製方法に関する。本発明はさらには、免疫療法に用いることができる単球由来樹状細胞を提供する方法であり、また、それらの樹状細胞を用いた免疫療法に関する。
単球(Monocyte:Mo)は、白血球細胞に分類される単核の細胞であり、血液中を循環している未熟な食細胞である。単球は、感染に対する免疫に重要な役割を果たしており、細菌などの異物を細胞内に取り込み、消化する。断片化した異物を、もともと細胞質内に持っていたMHC分子と結合させ、細胞表面に提示し、これをヘルパーT細胞が認識することにより免疫反応が開始される。また単球は、マクロファージ、樹状細胞、破骨細胞に分化することが知られている。
マクロファージは、生体内における主要な異物処理細胞であり、生体内に侵入した感染性微生物等を貪食してこれを分解することにより、生体を感染症から防御する役割を有している。また、生体内では、日々、大量の細胞が死滅しており、マクロファージは、生体内組織中に存在するその残骸物を貪食し分解する。それ以外にも、マクロファージは、生体内で生じる様々な代謝産物を貪食・分解処理することにより、生体の恒常性維持において必須の役割を担っている。また、マクロファージは、悪性腫瘍の局所においてしばしば浸潤が認められる。腫瘍の局所に存在するマクロファージは、腫瘍細胞を攻撃している場合と腫瘍細胞の増殖を促進している場合の両方があると考えられている。これまでに、マクロファージの腫瘍細胞に対する攻撃能力を活用して悪性腫瘍を治療しようとする試みもなされている。
樹状細胞(Dendritic cell:DC)は、Tリンパ球を強力に刺激し活性化する細胞であり、生体内において免疫応答の制御を司っている細胞である。感染性微生物の生体内侵入に際して、樹状細胞は、微生物を貪食しそれに由来する抗原物質をTリンパ球に提示し、抗原特異的なTリンパ球を刺激し活性化することにより、免疫応答を誘導する。樹状細胞が有するTリンパ球を強力に刺激する能力を生かし、樹状細胞を、がんや感染症に対する免疫療法において細胞ワクチンとして用いる試みがなされている。
抗原性ペプチドを用いたワクチン治療はがん患者を治療するために広く用いられている。これらの抗原性ペプチドは、たとえば、アジュバントで乳化されたり、樹状細胞に付加されたりする。過去20年間、がん抗原由来CTLエピトープを同定するためにかなりの努力が払われてきたが、それは、HLAクラスIの共通のアレル、例えば、HLA−A*02:01に限定されたものであり、結果として、HLAクラスIの主要なアレルによって提示されるエピトープに関する膨大な量の情報が累積されている。他方、低頻度のHLAアレルに関しは比較的少ない種類のエピトープが同定されているにすぎない。よって、HLAクラスIの共通のタイプに対してネガティブながん患者は、現在行われている殆どのワクチン療法から除外されている。
HLA−A*02:01は、世界的にみて最も共通のクラスIアレルであるが、HLA−A*02:01の遺伝子頻度は大部分の人種集団で多くても30%である。従って、かなりの数の患者は、ワクチン療法の恩恵を受けられていない。これに加えて、HLA−B拘束性エピトープは、HLA−B遺伝子座において特に優性なアレルが恐らく存在しないためにほとんど同定されていない。しかし、既知のがん抗原を含む多くの有用なHLA−B−拘束性エピトープが存在するはずである。もしHLA−B−拘束性CTLが刺激できれば、抗がんワクチン療法の有効性は実質的に向上すると考えられる。
合成ペプチドベースのワクチン療法に関連した制限を克服するための可能な手段として、遺伝子ベースのワクチン療法、例えば、プラスミドDNAワクチン法や組換えウイルスを用いたワクチン法が考慮されている。しかしながら、プラスミドベースのDNAワクチンは、抗がん免疫を誘導するには十分な効果がない。組換えウイルスを用いた療法は、感染性ウイルスの患者への投与に伴う潜在的リスクが問題となる。がん抗原提示遺伝的改変樹状細胞を用いたワクチン法は、それらに比べて、より効果的でより安全である。
樹状細胞はヒト血液中に極めて少ない数で存在するので、抗がん治療に用いられる樹状細胞は通常は、末梢血中の単球をインビトロで分化させることによって作製する。がん抗原提示樹状細胞を作製するための手段として、ウイルスベクターを用いた単球の遺伝的改変が報告されている(非特許文献1〜3)。しかし、通常、単球は増殖できず、トランスジェニック細胞を選択して増殖されることは実現可能な手段ではない。そこで、樹状細胞又はその前駆体である単球を増殖させる方法が、抗原提示樹状細胞をより効果的に作製するために望まれている。
本発明者は以前、レンチウイルスを用いてBMI1とともにcMYCを形質導入することにより、CD14+単球の増殖を誘導できることを報告した。この結果は、ヒト単球の増幅法を最初に確立したものであり、本発明者は、単球由来の増殖細胞をCD14−MLと名付けた(特許文献1、非特許文献4)。増殖したCD14−MLは、培地へのIL−4の添加により、機能的な樹状細胞(CD14−ML−DCs)へと分化した。この方法の一つの欠点は、増殖誘導はドナー依存性が大きく、CD14+単球の増殖は、報告では健常者12人の血液ドナー中3例(約30%)で成功していない。
WO2012/043651号公報
Su, Z., et al. 2003 Cancer Res. 63: 2127-2133. Kyte, J. A., et al. 2006 Cancer Gene Ther. 13: 905-918. Sundarasetty, B. S., et al. 2015 Gene Ther. doi: 10.1038/gt.2015.43. Haruta, M., et. al. 2013. Hum. Immunol. 74: 1400-1408.
本発明の目的は、本発明者らにより報告されている従来の方法の改良方法を提供することである。より具体的には、より効率の良い、改善された末梢血由来の単球の増殖誘導方法を提供することである。そのような方法は、例えば、ドナー依存性が改善された末梢血由来の単球の増殖誘導方法である。
本発明の目的はまた、増殖能を持つ単球より抗原提示が可能な樹状細胞を提供することであり、さらには、そのような樹状細胞を含む医薬品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、本発明者らの従来の方法の効率化及び改善を試みた結果、単球にcMYCとBMI1と共に、BCL2又はLYL1を導入することが非常に有利であることが判り、本発明を完成した。さらに本発明者らは、特定の抗原性ペプチドを用いて、或いは、遺伝子改変技術を用いて、抗原提示樹状細胞の作製にも成功した。
すなわち、本発明は以下の態様を含むものである。
[1]ヒト末梢血由来の単球の増殖誘導方法であって、
単球に、少なくとも以下の3つの遺伝子:cMYC、BMI1、及び、BCL2又はLYL1遺伝子を導入して発現させることにより、増殖能を有する単球を作製することを含む方法。
[2]前記末梢血由来の単球が凍結保存されていない新鮮な単球である前記[1]に記載の単球の増殖誘導方法。
[3]前記単球が、がん患者由来の単球である前記[1]又は[2]に記載の単球の増殖誘導方法。
[4]ヒト末梢血由来の単球から樹状細胞を作製する方法であって、以下の工程:
(a)前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の単球の増殖誘導方法により増殖能を有する単球を作製する工程、及び
(b)前記増殖能を有する単球を(分化誘導因子とともに)培養することにより樹状細胞へと分化誘導する工程、
を含む樹状細胞作製方法。
[5]さらに、前記工程(b)で作製した樹状細胞を任意の抗原で負荷(load)して抗原提示樹状細胞を作製することを含む、前記[4]に記載の樹状細胞作製方法。
[6]さらに、前記工程(b)で作製した樹状細胞に任意の抗原の遺伝子を導入して抗原提示樹状細胞を作製することを含む、前記[4]に記載の樹状細胞作製方法。
[7]前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の単球の増殖誘導方法により作製した増殖能を有する単球を含む医薬。
[8]前記[4]〜[6]のいずれか一つに記載の方法で作製した樹状細胞を含む医薬。
[9]前記医薬が、がんの治療又は予防のために用いるための医薬である前記[8]に記載の医薬。
[10]前記[5]又は[6]で作製した抗原提示樹状細胞を、末梢血由来のCD4+T細胞又はCD8+T細胞と共培養することにより、該抗原特異的なCD4+Tセルライン又はCD8+Tセルラインを樹立する方法。
[11]増殖能を有するヒト末梢血由来の単球であって、
少なくとも以下の3つの外因性(exogeneous)遺伝子:
cMYC、BMI1、及び、BCL2又はLYL1遺伝子
を有し、それらが強制的に発現している単球。
[12]前記末梢血由来の単球が凍結保存されていない新鮮な単球である前記[11]に記載の単球。
[13]前記単球が、がん患者由来の単球である前記[11]又は[12]に記載の単球。
[14]前記[11]〜[13]のいずれか一つに記載の単球から分化誘導した樹状細胞。
[15]任意の抗原で負荷(load)されて該抗原を提示する、前記[14]に記載の樹状細胞。
[16]任意の抗原の遺伝子を有しそれが強制的に発現されることにより該抗原を提示する前記[14]に記載の樹状細胞。
[17]前記[11]〜[13]のいずれか一つに記載の単球を含む医薬。
[18]前記[14]〜[16]のいずれか一つに記載の樹状細胞を含む医薬。
[19]前記医薬が、がんの治療又は予防のために用いるための医薬である前記[18]に記載の医薬。
本発明の改良法を用いることにより、細胞ドナーの身体的負荷を伴うことなく、増殖能を有する単球(以下、増殖性単球という場合がある)を大量に、かつ、安定して供給することが可能になる。また本発明によれば、健常者やがん患者を含む様々なサンプルから増殖性単球を得ることができる。さらに、本発明の方法を用いて樹立した増殖性単球胞(本明細書では、CD14−MLという)は、機能的に成熟した樹状細胞へと分化できる(CD14−MLを分化誘導して作製した樹状細胞を、本明細書では、CD14−ML−DCという)。よって、本発明の方法によれば、例えば、ワクチン治療などに必要な十分な数の単球及び/又は樹状細胞を、少量の末梢血から作製できる。
また、本発明の方法に従って作製した増殖性単球(CD−14−ML)や樹状細胞(CD−14−ML−DC)の一部のものは、その目的に応じ、これに限定されないが、例えば、以下のように利用することができる。例えば、任意の抗原性ペプチドを負荷すれば抗原提示樹状細胞を作製できる。例えば、がん抗原由来ペプチドを負荷すればがん抗原提示CD14−ML−DCを作製でき、さらには、それを用いてインビトロにて末梢血T細胞を刺激すると、そのペプチドを認識するCD4+セルラインやCD8+ Tセルラインが樹立できる。また、CD14−MLは1ヵ月以上にわたり増殖するので、遺伝子改変も容易に行うことができる。例えば、抗原をコードする遺伝子を導入して抗原提示樹状細胞を作製することもできる。
さらには、本発明の一部の態様の方法によれば、T細胞エピトープに関する情報がなくても抗原提示樹状細胞を作製することが可能となる。このことは、T細胞エピトープに関する情報が、がん抗原提示CD14−ML−DCを用いたワクチン法において不必要となり、従って、HLAタイプに関係なくすべての患者に対して、本発明を用いた抗がん治療が有用となる。
図1は、実施例で用いた末梢血単球が由来するドナー(健常者ドナー10人、がん患者ドナー2人)の年齢、性別、及びヒト白血球抗原(HLA)血清型、並びに増殖性CD14−MLの作製の結果を示した図である。”NT”=Not Tested。 本発明の方法により作製したCD14ML及びCD14−ML−DCの形態観察の結果である。位相差顕微鏡画像(A及びB,C:左図)及びMay-Grunwald Giemsa 染色像(B,C:右図)を示している。(A):本発明の方法(MYC、BMI1、及びLYL1を導入)で作製したCD14−MLの形態である。(B)及び(C):本発明の方法(MYC、BMI1、及びBCL2を導入)で作製したCD14−MLの形態である。(B)ヒト単球及びヒト単球由来ミエロイドセルライン(CD14−ML)の形態を示している。(C)OK432で刺激したmo−DCs及びCD14−ML−DCsの形態を示している。 CD14−ML−DCsの細胞表面分子とCD14−ML−DCによるIL−12p70の生産の結果である。(A)OK432による処置の前後のCD14−ML−DCについて、CD40、CD80、CD83、CD86、HLAクラスI及びHLAクラスIIの発現について分析した結果である。コントロールとして、OK432で刺激したmo−DC(単球由来DC)の分析の結果を示した。特定のmAb(太線で示す)及びアイソタイプがマッチしたコントロールmAb(影領域)の染色プロファイルを示している。(B)CD14−ML−DCs及びmo−DCsの60時間後の培地上清中のIL−12p70の濃度をELISAで測定した結果である。データは、2回の実験の結果である。 CD14−ML−DCsによるT細胞刺激と抗原提示を示している。(A)CD14−ML(菱形)、IL−4(正方形)又はOK432(三角形)で刺激した結果である。(B)示した数のCD−14−ML−DCsを、GAD65111-131ペプチド(菱形)で負荷し、或いはそのまま負荷しなかった(正方形)場合の、T細胞の増殖反応を、最後の16時間の培養での[3H]−メチルチミジンの取り込みで測定した結果である。実験は、2人の異なるドナー由来のCD14−MLで行った。(C)CD14−ML−DCsを、組み換えGST融合GAD65タンパク質又はGSTタンパク質で16時間パルスした場合のT細胞の増殖反応を分析した結果である。実験は、2人の異なるドナー由来のCD14−MLで行った。 CD14−ML−DCsによるガン抗原反応性CD8+Tセルラインの誘導の結果である。(A)CD14−ML−DCsによるガン抗原特異的CD8+T細胞の誘導プロトコルを示している。(B)21日目に、CD8+T細胞を生産しているIFN−γの数をELISPOTアッセイにより分析した結果である(Day 21)。刺激培養前のT細胞の結果もまた示す(Day 0)。(C)21日目に、T細胞を回収し、抗CD8 mAb、及びHLA−A*24:02/CDCA156-64又はHLA−A*24:02/LY6K177-186 tetramerで染色した結果である。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のtetramerで染色されたCD8+T細胞のパーセンテージを示している(Day 21:右図)。刺激培養前のT細胞の結果もまた示す(Day 0:左図)。 CD14−ML−DCsによるガン抗原反応性CD8+Tセルラインの誘導の結果である。(A)CD8+T細胞を生産しているIFN−γの数をELISPOTアッセイにより分析した結果である。(B)T細胞を回収し、抗CD8 mAb、及びHLA−A*02:01/MART126-35 dextramer、HLA−A*02:01/CDCA1351-359 tetramer、又はHLA−A*02:01/IMP3515-523 tetramerで染色した結果である。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のdextramer又はtetramerで染色されたCD8+T細胞のパーセンテージを示している(右図)。刺激培養前のT細胞の結果もまた示す(Day 0:左図) CD14−ML−DCsによるがん抗原反応性CD4+Tセルラインの誘導を結果である。(A)CD14−ML−DCsによるガン抗原特異的CD4+T細胞の誘導プロトコルを示している。(B,C)刺激後(3回より多く)、各ペプチドに反応するCD4+T細胞の数をIFN−γELISPOTアッセイで分析した結果である(Day 28)。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。ジメチルスルホキシドをコントロールとして用いた。健常者ドナー3(B)及びドナー2(C)の結果を示す。 HNC患者から得られたCD14−ML−DCsによるがん抗原反応性CD8+Tセルラインの誘導の結果である。(A、C)、21日目に、ペプチドに反応するCD8+T細胞の数をIFN−γ ELISPOTアッセイにより分析した結果である。HIVペプチドをコントロールペプチドとして用いた。(B,D)21日目に、T細胞を回収し、抗CD8 mAb、及びHLA−A*24:02/CDCA156-64、HLA−A*24:02/KIF20A66-75又はHLA−A*24:02/LY6K177-186 tetramerで染色した結果である。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のtetramerで染色されたCD8+細胞のパーセンテージを示している。がん患者1(A、B)とがん患者2(C、D)の結果を示す。 HNC患者から得たCD14−ML−DCsによるがん抗原反応性CD4+Tセルラインの誘導の結果である。刺激後(3回より多く)、各ペプチドに反応したCD4+T細胞の数をELISPOTアッセイにより分析した結果を示す。がん患者1(A)とがん患者2(B)の結果を示す。 抗原性タンパク質を発現するCD14−ML−DCsによるがん抗原反応性CD8+Tセルラインの誘導の結果である。(A)CMVpp65(EF−CMV−IP)及びMART1(EF−MART1−IP)のレンチウイルス構築物を示す。(B)CD14−ML/CMVによるCMVpp65の発現をフローサイトメトリーで分析した結果である。特定のmAb(太線で示す)とアイソタイプがマッチしたコントロールmAb(影領域)の染色プロフェイルを示す。(C)9日目に、CMVpp65341-349ペプチドに反応性のT細胞の数をELISPOTアッセイにより分析した結果を示す。HIVペプチドをコントロールペプチドとして用いた。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。(D)9日目に、T細胞を回収し、抗CD8 mAb及びHLA−A*24:02/CMVpp65341-349複合体のtetramerで染色した結果を示す。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のtetramerで染色されたCD8+T細胞のパーセンテージを示している(Day 9:右図)。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0:左図)。(E)9日目のCD8+T細胞を生産するIFN−γの数をELISPOTアッセイにより分析した結果である。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。 MART1/Melan−A提示CD14−ML−DCsの作製の結果である。(A)CD14−ML/MART1によるMART1の発現をフローサイトメトリー分析した結果である。特定のmAb(太線で示す)とアイソタイプがマッチしたコントロールmAb(影領域)の染色プロファイルを示す。(B)HLA−A*02:01ポジティブな健常者ドナーから得られたCD8+T細胞を同一ドナー由来のCD14−ML−DC−MART1と共培養し、21日目に、MART126-35に反応するCD8+T細胞の頻度をELISPOTアッセイにより分析した結果である。HIVペプチドをコントロールペプチドとして用いた。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。(C)21日目に、抗CD8 mAb及びHLA−A*02:01/MART126-35 dextramerで染色した結果を示す。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のdextramerで染色されたCD8+T細胞のパーセンテージを示している(Day 21:右図)。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0:左図)。(D)MART1に反応性のCD8+T細胞の頻度を、刺激物質としてCD14−ML−DC及びCD14−ML−DC/MART1を用いてELISPOTアッセイにより分析した結果である。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。
以下、本発明を、例示的な実施態様を例として、本発明の実施において使用することができる好ましい方法および材料とともに説明する。
なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等または同様の任意の材料および方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。
また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中で引用されるすべての刊行物および特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。
(ヒト末梢血からの単球の分離)
本発明において、原料となる単球は末梢血から採取される。ヒトの末梢血中の単球(末梢血中のCD14分子を発現する細胞)を分離・調製する方法は公知であり、それらの方法を制限なく本発明においても用いることができる。これに限定されないが、例えば、以下の方法が例示できる。
ヒトの末梢血を採血する。抗凝固剤としては、ヘパリンあるいはクエン酸などを用いる。採血した血液を等量の生理的食塩水、リン酸緩衝生理的食塩水、あるいは、ハンクス緩衝溶液などを用いて希釈する。次に、希釈した血液を、あらかじめ遠心チューブ(BD−Falcon 352070等)中に分注しておいたフィコール液(GE ヘルスケア社)の上に重層する。そして、遠心分離装置を用いて、遠心力500gで20分間遠心した後、界面付近に存在する単核細胞分画(リンパ球と単球を含む)を回収する。
単球は、単核細胞中からCD14分子の発現を指標として、磁気ビーズ法などにより分離することができる。例えば、CD14マイクロビーズ(ミルテニー社 130−050−201)等を用いることにより分離することが可能である。あるいは、単核細胞分画を、細胞培養用の表面処理がなされた細胞培養容器を用いて6−16時間ほど培養し、容器に付着した細胞を回収することにより、単球あるいはそれに由来するマクロファージを得ることも可能である。通常、健康な成人の末梢血10mlから、200,000−500,000個の単球を回収することができる。
本発明で用いる末梢血由来の単球は、好ましくは凍結保存されていない新鮮な単球である。
また、ヒト末梢血由来の単球は市販もされておりそれを用いることもできる。
(末梢血由来単球への増殖能力の付与)
本発明の方法は、末梢血単球において、少なくとも以下の3つの遺伝子:cMYC遺伝子、BMI1遺伝子、及び、BCL2遺伝子又はLYL1遺伝子を強制的に発現させることにより、単球に長期増殖能を付与することを特徴とする。前記遺伝子を強制的に発現させるための方法として、例えば、外来の遺伝子を単球に導入することによりこれら遺伝子の強制的な発現を行っても良い。遺伝子の効率的かつ高レベルの発現を達成し、単球に長期増殖能を確実に付与する観点から、遺伝子工学技術を用いて外来遺伝子を単球に導入する方法が好ましい。
本発明において、「増殖能を有する単球」とは、上記の通り、末梢血由来の単球において上記遺伝子を強制的に発現させることにより長期増殖能が付与された単球を意味する。本発明の「増殖能を有する単球」は、上記遺伝子が導入されていない、対照となる単球(つまり、出発材料として用いた末梢血由来単球)と比較して、より長期に渡り増殖することが可能となり、例えば、上記遺伝子を強制的に発現させた時点(上記遺伝子を細胞に導入した時点)から2週間以上、好ましくは1ヶ月以上増殖することが可能である。
cMYC遺伝子の具体例としては、ヒトのcMYC遺伝子(NM_002467)を挙げることができる。BMI1遺伝子の具体例としては、ヒトのBMI1遺伝子(NM_005180)を挙げることができる。BCL2遺伝子の具体例としては、ヒトのBCL2遺伝子(NM_000633)を挙げることができる。LYL1遺伝子の具体例としては、ヒトのLYL1遺伝子(NM_005583)を挙げることができる。それぞれの括弧内は、NCBI accession番号を示す。
cMYC遺伝子、BMI1遺伝子、BCL2遺伝子、LYL1遺伝子は、ヒトを含む哺乳類動物において共通して存在する遺伝子であり、本発明において任意の哺乳類動物由来(例えばヒト、マウス、ラット、サルなどの哺乳類動物由来)の遺伝子を用いることができる。また、野生型の遺伝子に対して、数個(例えば1〜30個、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1から3個)の塩基が置換、挿入及び/又は欠失した変異遺伝子であって、野生型の遺伝子と同様の機能を有する遺伝子を使用することもできる。また、野生型の遺伝子と同等あるいはそれ以上の機能を有する限りにおいて、該遺伝子の産物が他のタンパク質あるいはペプチドとの融合タンパク質として発現されるように人為的に修飾を加えた遺伝子でも良い。
cMYC遺伝子、BMI1遺伝子、BCL2遺伝子、LYL1遺伝子を末梢血由来単球に導入する方法は、導入されたこれら遺伝子が発現して単球に長期増殖能を付与できる限り、特に限定されるものではない。例えば、導入遺伝子を含む発現ベクターを用いて該遺伝子を単球に導入することができる。また、一つの発現ベクターに複数の遺伝子を組み込んで、該発現ベクターを単球に導入してもよいし、各遺伝子を別々に組み込んだ発現ベクターを用意して、それらを単球に導入してもよい。
発現ベクターの種類は特に限定されず、ウイルスベクターでもプラスミドベクターでもよいが、好ましくはウイルスベクターであり、特に好ましくは導入した遺伝子が単球の染色体に組み込まれるようなウイルスベクターである。本発明で使用できるウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなどを挙げることができる。
組み換えウイルスベクターを作製するために用いるパッケージング細胞としては、ウイルスのパッケージングに必要なタンパク質をコードする遺伝子の少なくとも1つを欠損している組換えウイルスベクタープラスミドの該欠損するタンパク質を補給できる細胞であれば任意の細胞を用いることができる。例えばヒト腎臓由来のHEK293細胞、マウス線維芽細胞NIH3T3に基づくパッケージング細胞を用いることができる。
組換えウイルスベクタープラスミドをパッケージング細胞に導入することで組換えウイルスベクターを生産することができる。上記パッケージング細胞への上記ウイルスベクタープラスミドの導入法は、特に限定されず、リン酸カルシウム法、リポフェクション法又はエレクトロポレーション法などの公知の遺伝子導入法で行うことができる。さらに、プラスミドを導入したパッケージング細胞の培養上清から、遠心分離法、あるいはウイルス精製用として市販されているカラムを用いる濃縮する方法などにより遺伝子組換えウイルスを濃縮した溶液を回収することができる。
ヒトから採取した末梢血単球に対して、培養容器の中で、前記のようにして調整した遺伝子組換えウイルスを含む溶液を添加することにより、ウイルスを感染させ、目的とする遺伝子を導入する。
(増殖能を有する単球の増殖方法)
上記のようにして作製した生体外で増殖する能力を有する単球は、M−CSFを含む細胞培養液を用いて培養することができる。培養液中のマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)の含有量は、25〜100ng/mlの範囲とすることができる。あるいは、レンチウイルスベクター等を用いてM−CSF遺伝子を細胞自身に導入することにより単球自身にM−CSFを産生させることも可能である。この場合は、M−CSFを添加していない細胞培養液を用いて培養し、増殖させることが可能である。
(単球からの樹状細胞への分化)
本発明の方法により作製した生体外で増殖する能力を有する単球から、樹状細胞を作製することが可能である。例えば、これに限定されないが、本発明の長期増殖能を有する単球を、M−CSF、GM−CSF及びインターロイキン4(IL−4)の存在下で培養することにより、樹状細胞を作製することができる。培養液中のM−CSF及びGM−CSFの含有量は、これに限定されないが、例えば、50〜200ng/mlの範囲、IL−4の含有量は、これに限定されないが、例えば、5〜20ng/mlの範囲とすることができる。また、さらに成熟誘導物であるOK432(ペニシリン殺菌したStreptococcus pyogenes)の存在下で培養することにより、樹状細胞の成熟を誘導することができる。培養中のOK432の含有量は、これに限定されないが、例えば、5〜50μ/mlの範囲とすることができる。本発明において、「樹状細胞」とは、形態、細胞表面分子、T細胞刺激能力という点で、自然の(遺伝子改変が行われていない)単球由来樹状細胞等と類似した性質を有する細胞である。このような樹状細胞の作製方法、及び該方法により作製した樹状細胞もまた本発明の一部である。
(単球からの抗原提示樹状細胞の作製)
本発明の方法により作製した樹状細胞に、抗原となり得る任意の物質、例えばペプチドをパルスすることにより、該抗原を提示する樹状細胞を作製することができる。該抗原としては、抗原として提示出来るものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、これに限定されないが、がん特異的ペプチドあるいはタンパク質をあげることができる。がん特異的ペプチドあるいはタンパク質をパルスして作製されたがん特異的抗原提示樹状細胞は、がんのワクチン療法においての抗がん医薬として有用である。
抗原をパルスする方法は、常法に従って行うことができ、本発明の方法を用いて作製したCD14−ML−DCを抗原候補物質とともに培養することにより行うことができる。公知の方法として、例えば、Haruta, M., et. al. 2013. Hum. Immunol. 74: 1400-1408 を参照することができ、これらの公知の方法に適宜修正を加えて行うことができる。これに限定されないが、例えば、抗原となるペプチドあるいはタンパク質を1〜20μMの濃度になるように添加した培養液中で、3〜24時間培養する方法をあげることができる。
また、本発明の方法により作製した単球に、特定のタンパク質を発現する遺伝子を導入して培養することにより、該タンパク質を発現する樹状細胞を作製することができる。遺伝子の導入は、公知の遺伝子導入方法を用いることができ、これに限定されないが、例えば、導入遺伝子を含む発現ベクターを用いて行うことができる。
発現ベクターの種類は特に限定されず、ウイルスベクターでもプラスミドベクターでもよいが、好ましくはウイルスベクターである。本発明で使用できるウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなどを挙げることができる。プラスミドベクターを用いる場合には、導入効率の高い方法を用いるべきであり、電気穿孔法による導入が好ましい。
ウイルスベクターの導入方法、及び遺伝子が導入された細胞の選択方法は常法に従って行うことができ、公知の方法を用いることができる。
(抗原特異的なCD4+Tセルライン又はCD8+Tセルラインの樹立)
さらに、本発明の方法により作製した抗原提示樹状細胞を用いて、同一ドナー由来のCD4+T細胞又はCD8+T細胞と共培養することにより、抗原特異的なCD4+Tセルライン又はCD8+Tセルラインを樹立することができる。
CD4+Tセルライン又はCD8+Tセルラインの樹立の手順については、既に多くの報告がなされており、それらの方法を用いて行うことができる。例えば、Harao M., et al., Int J Cancer 2008;123:2616-25に記載の方法やTomita., et al., 2013 Int J Cancer 134:352-66に記載の方法をあげることができ、これら方法に適宜修正を加えて用いることができる。
(細胞医薬)
本発明の方法により作製した単球は、生体内に存在するマクロファージ等と同様の性質をもっており、感染症や悪性腫瘍に対する免疫細胞療法を行うための細胞医薬を提供することができる。また、本発明の単球は、アルツハイマー病、プリオン病、アミロイドーシス、或いはある種の代謝性疾患など、体内に特定の物質が蓄積することに起因する疾患の治療に用いるための細胞医薬を提供することもできる。また、本発明の長期増殖能を有する単球に由来する樹状細胞は、悪性腫瘍や感染症の治療に用いるための細胞ワクチンとして使用することができる。さらに、本発明の樹状細胞は、自己免疫疾患や臓器移植に伴う拒絶反応等を治療する目的で、免疫応答の抑制的制御に用いるための細胞医薬を提供することができる。
本発明の細胞医薬の製造の際には、本発明の長期増殖能を有する単球、及びそれに由来する樹状細胞を安定に保持しうることを目的として、前記したもの以外の助剤、例えば、培地等を適宜用いてもよい。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(材料及び方法)
1.細胞サンプル及びドナー
本試験は、熊本大学大学院医学教育部の倫理委員会の承認を得て行った。末梢血単球細胞(PBMC)サンプルは、インフォームドコンセントを得た健常者ドナー又は頭頸部がん(HNC)患者から得た。CD14+単球は、タカラバイオから購入して使用した。全体で、10人の健常者(healthy donor)及び2人のがん患者(cancer patient)から得た単球を用いた。それぞれのドナーに関する情報を図1に示す。
2.組み換えレンチウイルスの作製
ヒトcMYCのcDNAフラグメントは、PCRにより得て、pENTR−TOPOベクター(Invitrogen、米国)中にクローン化した。BMI1、BCL2及びLYL1のそれぞれのcDNAは、理研バイオリソースセンター(筑波、日本)から提供をうけた。CMVpp65及びMART1/MelanAのそれぞれのcDNAは、遺伝子合成によって作製した(GenScript、米国)。それらのcDNAは、LR Clonase System(Invitrogen)を用いて、レンチウイルスベクター、pCSII−EF又はpCSIIEF−IRES−PuroRに導入した。pCSII−EF、及びレンチウイルスベクターパッケージのプラスミド、pCMV−VSV−G−RSV−RevとpCAG−HIVgpは、三好博士(理研バイオリソースセンター)から提供を受けた。プラスミッド構築物は、リポフェクチン(Lipofectamine 2000、Invitrogen)を用いて293T細胞に導入し、3日後に、組み換えレンチウイルスを、遠心分離(50,000×g、2h)した培養上清から回収した。
3.単球からの増殖性ミエロイド系統細胞の作製
単球は、抗ヒトCD14 MicroBeads(Miltenyi Biotec、ドイツ)を用いたポジティブ選択により、Ficoll−Plaque(GE Healthcare UK、英国)を使って健常者のドナーから単離したPBMCから精製し、ポリブレン(8ng/ml)存在下で、レンチウイルスを用いて形質導入した。細胞は、20% FCS、50ng/mlのM−CSF、及び50ng/mlのGM−CSFを含有したα−MEMで培養した。培養4−5週後に、増殖性細胞(CD14−ML)が出現した。CD14−MLのDCへの分化を誘導するために、細胞を、M−CSF(50ng/ml)、GM−CSF(50ng/ml)及びIL−4(20ng/ml)の存在下で3日間培養した。成熟を誘導するために、CD14−ML−DCを、ペニシリンで殺菌したStreptococcus pyogenes(10μg/ml)で2日間刺激した。
4.フローサイトメトリー分析
以下のFITC又はPEコンジュゲートmAbは、BD Pharmingen(米国)、eBioscience(米国)、R&D Systems(米国)、Abcam(英国)又はMiltenyi Biotec(ドイツ)から購入した:抗HLAクラスII(クローンTU39、マウスIgG2a)、抗HLAクラスI(クローンG46−2.6、マウスIgG1)、抗CD80(クローンL307.4、マウスIgG1)、抗CD83(クローンHB15e、マウスIgG1)、抗CD86(クローンFUN−1、マウスIgG1)、抗CD40(クローン5C3、マウスIgG1)、及び抗CD8(クローンT8、マウスIgG1)。マウスIgG2a(クローンG155−178)、マウスIgG2b(クローン27−35)、マウスIgG1(クローンMOPC−21)、アフィニティ精製マウスIgM(eBioscience)、及びラットIgG2a(クローンeBR2a)は、アイソタイプがマッチした対照として使用した。細胞サンプルは、Fcレセプタブロッキング試薬(Miltenyi Biotec)で10分間処理し、蛍光色素コンジュゲートmAbで30分間染色し、次いで、2% FCSを含んだPBSで3回洗浄した。染色された細胞サンプルは、FACScan(BD Biosciences、米国)フローサイトメトリーで分析した。
5.IL−12p70生産の定量
mo−DCs、及びCD14−ML−DCsによるIL−12p70の生産を分析するために、細胞をOK432(10μg/ml)存在下、96ウェル平底培養プレートで培養した(1×105細胞/200μl培養液/ウェル)。培養60時間後、上清を回収し、ELISAキット(eBioscience)を用いてIL−12p70の濃度を測定した。
6.T細胞増殖分析。
T細胞は、Pan T細胞分離キットII(Miltenyi Biotec)を用いてネガティブ選択でPBMCから精製し、96ウェル丸底培養プレートで、5%の非動化(decomplemented)ヒト血漿を添加した200μlのAIM−V(Life Technologies、米国)中で、段階的な数の、X線照射(45 Gy)した同種異系刺激細胞(mo−DC,CD14−ML又はCD14−ML−DC)とともに5日間培養した。培養液に[3H]−メチルチミジン(247.9 Gbq/mmol)を加え0.037Mbq/ウェルとし、16時間培養した。[3H]−メチルチミジンの取り込みは、シンチレーションカウンターで測定した。段階的な数のCD14−ML−DCは、グルタミン酸脱炭酸酵素65(GAD65)111-131ペプチド(LQDVMNILLQYVVKSFDRSTK(配列番号1)、10μM)で3時間パルスし、X線照射し(45 Gy)、次いで、96ウェル平底培養プレートで、3日間、5%の非動化ヒト血漿を添加した200μlのAIM−V中で、GAD65特異的HLA−DR53拘束性ヒトCD4+T細胞(3×104細胞/ウェル)とともに培養した。T細胞の増殖反応は、[3H]−メチルチミジンの取り込みで測定した。タンパク質抗原の自然なプロセッシングを調べるために、CD14−ML−DCs(2×104cell/ウェル)を、96ウェル平底培養プレートで、16時間、組み換え型グルタチオンS−転移酵素(GST)を融合したGAD65タンパク質又はGSTタンパク質でパルスし、X線照射し、次いで、5%のヒト補完的血漿が添加された200μlのAIM−V中のGAD65特異的T細胞(3×104cells/ウェルズ)に加えた。T細胞の増殖反応は、[3H]−メチルチミジンの取り込みで測定した。
7.がん抗原反応性CD8+Tセルラインの作製
血液サンプルのHLA−A、DRB1、及びDPB1遺伝子タイピングは、PCR−SSOP(配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ)法に基づいてHLA Laboratory(日本)で行った。抗原特異的CD8+T細胞の誘導は、以前の報告(Harao M., et al., Int J Cancer 2008;123:2616-25)に若干の変更を加えて行った。要約すると、CD8+T細胞は、磁気マイクロビーズ(Miltenyi Biotec、米国)を用いてポジティブ選択によりPBMCsから精製した。CD14−ML−DCを刺激細胞として用いて、抗原特異的CD8+Tセルラインを誘導した。CDCA1351-359(KLATAQFKI)(配列番号2)、KIF20A809-817(CIAEQYHTV)(配列番号3)、MART126-35(EAAGIGILTV)(配列番号4)及びIMP3515-523(NLSSAEVVV)(配列番号5)は、HLA−A*02:01拘束性エピトープと同定された。CDCA156-64(VYGIRLEHF)(配列番号6)、KIF20A66-75(KVYLRVRPLL)(配列番号7)、LY6K177-186(RYCNLEGPPI)(配列番号8)とIMP−3508-516(KTVNELQNL)(配列番号9)は、HLA−A*24:02拘束性エピトープと同定された。T細胞−刺激培養の開始(0日目)に、OK432で前処理したCD14−ML−DCs(1×105/ウェル)を、これらの9−mer又は10−merペプチド10μgで3時間パルスし、X線照射し(45 Gy)、次いで、24ウェル培養プレートにて、5%の非動化ヒト血漿と10ng/mlの組み換え型ヒトIL−7(rhIL−7)が添加された2mlのAIM−V中で、CD8+T細胞(2×106/ウェル)をともに培養した。7日目と14日目に、各培養から培地の半分を除去し、ペプチド(10μg/ml)及び10ng/mlのrhIL−7で前もって負荷した、照射(45 Gy)を受けたCD14−ML−DCs(OK432で刺激していない、1×104/ウェル)を含む新鮮な培地(1ml/ウェル)を加えた。9日目に、rhIL−2を各ウェルに、20IU/mlとなるように添加した。培養の終わりに、刺激されたCD8+T細胞をIFN−γELISPOT分析にて特異性を分析し、PEラベルしたHLA−A*02:01/CDCA1351-359、HLA−A*02:01/IMP3515-523、HLA−A*24:02/CDCA156-64又はHLA−A*24:02/LY6K177-186ペプチド複合体のtetramer(MBL、日本)、又はPEラベルしたHLA−A*24:01/MART126-35ペプチド複合体のdextramer(Immunodex、デンマーク)で染色し、FITCラベルした抗ヒトCD8 mAb(クローンT8;Beckman Coulter、米国)との組合せで、フローサイトメトリーで分析した
8.抗原反応性CD4+Tセルラインの作製
抗原特異的CD4+T細胞の誘導は、Tomitay., et al., 2013 Int J Cancer 134:352-66に記載の方法にいくつかの変更を加えて行った。CD4+T細胞は、磁気マイクロビーズ(Miltenyi Biotec、米国)を用いたポジティブ選択によって得たPBMCsから精製した。CD14−ML−DCsは、抗原特異的CD4+T細胞を誘導するためのAPCsとして用いた。CDCA139-64(NPKPEVLHMIYMRALQIVYGIRLEHF)(配列番号10)、CDCA155-78(IVYGIRLEHFYMMPVNSEVMYPHL)(配列番号11)、KIF20A60-84(DSMEKVKVYLRVRPLLPSELERQED)(配列番号12)、KIF20A809-833(CIAEQYHTVLKLQGQVSAKKRLGTN)(配列番号13)、LY6K119-142(KWTEPYCVIAAVKIFPRFFMVAKQ)(配列番号14)及びLY6K172-191(KCCKIRYCNLEGPPINSSVF)(配列番号15)は、以前の研究で、ヒトCD4+T細胞のエピトープとして同定されている。0日目に、OK432で前処理したCD14−ML−DCs(1×104細胞/ウェル)を、ペプチドの混合物(各々10μg/ml)で3時間パルスし、X線照射し(45 Gy)、次いで、96ウェル平底培養プレートで、5%の非動化ヒト血漿を添加した200μlのAIM−V中で、CD4+T細胞(3×104細胞/ウェル)と共培養した。7日目に、培地の半分を除き、ペプチド(10μg/ml)及びrhIL−7(5ng/ml)で前もって負荷した、照射(45 Gy)を受けたCD14−ML−DCs(OK432で刺激していない、1×104細胞/ウェル)を含む新鮮な培地(100μl/ウェル)を加えた。9日目に、rhIL−2を各ウェルに添加した(10 IU/ml)。14日目に、IFN−γELISPOT分析に基づいてペプチド特異的反応性について、各ウェルのCD4+T細胞を分析した。同族のペプチドに特異的な反応を示すT細胞を、24ウェルプレートに移し、ペプチドで負荷した照射を受けたCD14−ML−DCs(OK432で刺激されていない、1×105細胞/ウェル)で一週間おきに再刺激した。次いで、rhIL−2(20 IU/ml)とrhIL−7(5ng/ml)が添加された培地を加えた。28日目に、刺激されたCD4+T細胞を集めて洗浄して、ELISPOT分析によってIFN−γのペプチド特異的産生を分析した。拘束性HLA分子を決定するために、抗HLA−DP mAb(B7/21、Abcam)、抗HLA−DQ mAb(SPV−L3、Abcam)又は抗HLA−DR mAb(L243、BioLegend)を、ELISPOPTプレート中の刺激細胞(同一ドナー由来のPBMC)に加えた(すべてのmAbの濃度は5μg/mLとした)。1時間のインキュベーション後、ペプチド及びT細胞を加えた。スポット数は、16時間の共培養後に計測した。
9.抗原性タンパク質提示CD14−ML−DCの作製
CD14−MLは、ポリブレン(8ng/ml)存在下、CMVpp65又はMART1/MelanAをエンコードするレンチウイルスベクターを用いて形質転換した。細胞を、20% FCS、M−CSF(50ng/ml)及びGM−CSF(50ng/ml)を含むα−MEM中で培養した。レンチウィルス導入2日後から、細胞をピューロマイシン(5μg/ml)存在下で2週間培養した。改変したCD14−ML中の抗原性タンパク質の提示は、フローサイトメトリー分析により確認した。次いで、抗原提示CD−14−ML(CD14−ML/CMV又はCD14−ML/MART1)にIL−4(20ng/ml)を加え、DC(CD14−ML−DC/CMV又はCD14−ML−DC/MART1)へと分化させた。
10.CD14−ML−DC/CMVを用いたCD8+T細胞の刺激
CD14−ML−DC/CMVは、2日間TNF−α(5ng/ml)で刺激し、照射をし、そして24ウェル培養プレートに播いた(1×105細胞/ウェル)。同一ドナー由来末梢血CD8+T細胞をウェルに添加した(2×106細胞/ウェル)。細胞を、5%のヒト非動化血漿とrhIL−7(10ng/ml)を含んだAIM−V培地で培養した。rhIL−2(20 U/ml)を2日目に加えた。9日目に、細胞を集め、FITCラベルした抗ヒトCD8mAbを組み合わせて、HLA−A*24:02/CMVpp65341-349(QYDPVAALF)(配列番号16)複合体のPEラベルしたtetramer(MBL、日本)で染色し、フローサイトメトリーで分析した。CMV特異的なT細胞によるIFN−γ生産を分析するために、CD8+T細胞(1×104細胞/ウェル)を、HLA−A*24:02結合性CMV pp65341-349ペプチドで前もってパルスしたCD14−ML/CMV又はC1R−A24(HLA−A*24:02提示C1R細胞(1×104細胞/ウェル)と共培養した。16時間後、培養を終了し、IFN−γ産生細胞を、ELISPOT分析を用い計数した。
11.CD14−ML−DC/MART1を用いたCD8+T細胞の刺激
CD14−ML−DC/MART1を、OK432で刺激し、照射し、次いで、24ウェル培養プレートで、5%のヒト非動化血漿とrhIL−7(10ng/ml)を添加した2mLのAIM−V中で、同一ドナー由来CD8+T細胞(2×106細胞/ウェル)と共培養した。7日目及び14日目に、CD14−ML−DC−MART1とrhIL−7を加え、9日目及び16日目にrhIL−2(20U/ml)を加えた。21日目に、CD8+T細胞を集め、FITCラベルした抗ヒトCD8 mAbと組み合わせて、HLA−A*02:01/MART1ペプチド複合体のPEラベルされたdextramerで染色し、次いで、フローサイトメトリーにより分析した。ELISPOT分析によってIFN−γ生産を分析するために、CD8+T細胞(1×104細胞/ウェル)を、MART126-35ペプチドで前もってパルスした同一ドナー由来のCD14−ML−DC−MART1又はHLA−A*02:01陽性T2細胞(1×104細胞/ウェル)とともに16時間共培養した。
(実施例1)
CD14−MLの改良作製法
発明者らは、以前に、レンチウイルスによってcMYCとBMI1を導入することによりCD14+単球の増殖を誘導出来ることを報告し、CD14−MLを作製した。それにもかかわらず、献血ドナー間において増殖効率にはばらつきがあり、12人の血液ドナー中の3人に由来する単球の増殖は誘導できなかった。そこで、CD14−MLの作製効率の改善を試みた。この目的のため、2つの遺伝要因に加えて、他の要因を研究した。細胞増殖を助ける又は促進するかもしれない要因として、例えば、BCL2,LYL1,BCL−XL,MLLT1,MEIS1,HOXA9,E2F2,E4F1,PHC1,PBX1,CDT1,MLF1,Cyclin D2,MYB,SOX2,CBX5,AURKB,及びBUB1を試した。その結果、以前報告した2つの因子cMYCとBMI1に加えて、BCL2又はLYL1を導入すると、増殖誘導効率を著しく改善した。
cMYC、BMI1、及びBCL2を導入してから3〜5週間後に、細胞の増殖が観察された。すべての提供者からの単球サンプルが顕著な増殖を示した。単球は、凍結融解した単球ではなく、新たに調製した単球を用いた。本実施例で用いたサンプルは、以前の報告でcMYC及びBMI1のみの導入によっては増殖誘導できなかったドナーからのサンプルを含む。増殖の期間、速度、及び程度は、ドナー間でまだばらついているが、本発明の方法では、細胞数は少なくとも100倍に増加した。結果を図1に示す。同様にして、cMYC、BMI1、及びLYL1を用いた場合も細胞数は著しく増加した。
以前の方法(cMYC及びBMI1を導入)で作製されたCD−14−MLと同様に、本発明の方法(cMYC、BMI1、及びBCL2又はLYL1を導入)によるCD14−MLの増殖は、M−CSF及びGM−CSFの両者の存在に依存した。本発明の方法により作製したCD14−MLの形態観察をした結果を図2に示す。図2Bに示されるように、CD14−MLは、単球より大きく、単球様の不規則な核の代わりに丸い核を持っている。
(実施例2)
改良法(cMYC、BMI1、及びBCL2を導入)によって作製されたCD14−MLのDCへの分化
CD14−MLをDCsに分化させるために、IL−4を加えた。3日後に、ヒト単球由来DC(mo−DC)の強力な成熟誘導物であるOK432(ペニシリン殺菌したStreptococcus pyogenes)を加えた。mo−DC及びCD14−ML−DCは2日間OK432で刺激した後、顕微鏡分析をした。結果を図2Cに示す。データは、2回の実験の結果である。以前の方法で作製されたCD14−MLと同様に、本発明の方法により作製されたCD14−MLもまた、典型的なDC様の形態と突起をもったCD14−ML−DCへと分化した(図2C)。
次に、CD14−ML−DCsの細胞表面分子、とCD14−ML−DCによるIL−12p70の生産を確認した。OK432による処置の前後のCD14−ML−DCについて、CD40、CD80、CD83、CD86、HLAクラスI及びHLAクラスIIの発現について分析した。コントロールとして、OK432で刺激したmo−DC(単球由来DC)を用いた。結果を図3Aに示す。CD40、CD80、CD83、CD86、HLAクラスI及びHLAクラスIIの発現は、CD14−ML−DCで検出され、それらの発現はOK432による刺激で増幅された。これらの分子の発現レベルは、mo−DCのそれと殆ど同じであった。
CD14−ML−DCs及びmo−DCsを、OK432(10μg/ml)の存在下で、96穴平底培養プレート(1×105細胞/200μl培地/ウェル)で培養した。60時間後に、培地上清中のIL−12p70の濃度をELISAで測定した。結果を図3Bに示す。データは、2回の実験の結果である。OK432による刺激によって、CD14−ML−DCは、mo−DCより多くの量のIL−12p70を産生した。全体としては、本発明の方法により作製したCD14−MLは、完全に成熟したDCの表現形を持ったCD14−ML−DCへと分化した。
(実際例3)
CD14−ML−DCによるT細胞刺激と抗原提示
一次同種異系(primary allogeneic)T細胞刺激アッセイを用い、CD14−ML−DCについて、ネイティブなT細胞を刺激する能力を確認した。CD14−ML(菱形)、IL−4(正方形)又はOK432(三角形)で刺激したCD14−ML−DCs、或いはmo−DC(円)を、照射し、同一ドナー由来の末梢血T細胞(4×104細胞/ウェル)と共培養した。或いは、CD14−ML−DCs(円)のみを照射し培養した。培養は、96穴丸底培養プレートで、5日間行った。T細胞の増殖は、最後の16時間の培養での[3H]−メチルチミジン取り込みによって測定した。実験は、2人の異なるドナー由来のCD14−MLで行った。結果を図4Aに示す。CD14−ML及びmo−DCに比べて、CD14−ML−DCは、同種異系T細胞の増殖をより顕著に誘導した。OK432による処理は、CD14−ML−DCのT細胞刺激能力をさらに強化した。
次に、CD14−ML−DCsが、HLAクラスIIとの関係で抗原性ペプチドを提示することができるかどうかを確認した。発明者らは以前、レスポンダーとして、GAD65111-131特異的DR53(DRB4*01:03)拘束性ヒトCD4+T細胞のクローンを確立した。DR53ポジティブドナーからのCD14−ML−DCsを、GAD65ペプチドでパルスし、そのT細胞クローンと共に培養した。図中に示した数のCD−14−ML−DCsを、GAD65111-131ペプチド(菱形)で負荷し、或いはそのまま負荷せず(正方形)、X線照射し、次いで、GAD65特異的HLA−DR53拘束性クローンのヒトCD4+T細胞(3×104細胞/ウェル)と3日間、共培養した。T細胞の増殖反応は、最後の16時間の培養での[3H]−メチルチミジンの取り込みで測定した。実験は、2人の異なるドナー由来のCD14−MLで行った。結果を図4Bに示す。T細胞は、特異的な増殖反応を示し、このことは、CD14−ML−DCsが、HLAクラスIIとの関係で抗原性ペプチドを提示し、T細胞を刺激できることを示している。
次に、タンパク質抗原のプロセッシング能力を調べた。CD14−ML−DCを、組み換え型GST融合GAD65タンパク質又はGSTタンパク質の存在下で、16時間培養(パルス)し、X線照射し、次いで、GAD65特異的T細胞を加えた。T細胞の増殖反応を分析した。実験は、2人の異なるドナー由来のCD14−MLで行った。結果を図4Cに示す。GAD65特異的T細胞は、用量依存的に増殖し、このことは、CD14−ML−DCが、タンパク質抗原をプロセッシングし、抗原性ペプチドを提示できることを示している。
(実施例4)
CD14−ML−DCsによる健常者ドナーからの抗原特異的CD8+T細胞の誘導。
図5Aに示される培養プロトコルに従って、抗原性ペプチドを負荷したCD14−ML−DCを用いたインビトロ刺激によって、がん抗原特異的CD8+T細胞をプライム(prime)した。CD14−ML−DCsを作製するために、CD14−MLにIL−4を添加した。3日後、OK432を添加した。CD14−ML−DCsをペプチドで3時間パルスし、X線照射し(45 Gy)、次いで同一ドナー由来のCD8+T細胞を混合した。細胞を、5%の非動化ヒト血漿を含むAIM−V中で、rIL−7(10 ng/ml)と共に培養した。7日目と14日目に、ペプチドでパルスした同一ドナー由来のCD14−ML−DCsで刺激し、9日目と16日目に、rIL−2(20 IU/ml)を添加した。CD14−ML−DCsは、毎回調製し、IL−4のみ添加した(OK432は添加しない)。ペプチド刺激を3サイクル繰り返した後の6日目又は7日目に、IFN−γ ELISPOT分析及びフローサイトメトリー分析を行った。
HLA−A*02:01又はHLA−A*24:02ポジティブの健常者ドナー由来の末梢血CD8+T細胞を、4種類の既に同定されたがん抗原由来ペプチド(HLA−A*24:02に対するCDCA156-64、KIF20A66-75、LY6K177-186及びIMP−3508-516;HLA−A*02:01に対するCDCA1351-359、KIF20A809-817、MART126-35及びIMP3515-523)の混合物で前もって負荷した同一ドナー由来のCD14−ML−DCsと共培養した。ペプチド負荷したDCsを用いたT細胞刺激を週に一度繰り返し、3週間続けた。HIVペプチドをコントロールペプチドとして用いた。21日目に、T細胞を集め、刺激物質としてHLA−A*24:02ポジティブCIR細胞又はHLA−A*02:01ポジティブT2細胞を用いて、ELISPOT分析によって個々のペプチドに対する反応性を分析した。結果を図5B及びCに示す。
健常者ドナー(一人がHLA−A*24:02ポジティブ)からのT細胞から、3週間の誘導培養によりCDCA156-64及びLY6K177-186に反応性のT細胞が誘導された(図5B、C)。HLA−A*24:02/ペプチド複合体のtetramerによる染色により、3週間の刺激培養の間の特定のT細胞の増幅を確認した。
同様にして、HLA−A*02:01ポジティブドナー(ドナー2)から得られた細胞について実験を行った。T細胞刺激のために、4つのペプチド(CDCA1351-359、KIF20A809-817、MART126-35、及びIMP3515-523)を用いた。結果を図6に示す。上記と同様に、CDCA1351-359、MART126-35、及びIMP3515-523に反応性のT細胞は、HLA−A*02:01がポジティブな健常者ドナー2の末梢血CD8+T細胞から誘導された。
これらの結果は、HLAクラスI拘束性ペプチドを負荷したCD14−ML−DCsが、同一ドナー由来のCD8+T細胞集団中の特定のCD8+T細胞を刺激でき、mo−DCと同じようにして、それらの増幅を誘導できることを示唆している。
(実施例5)
CD14−ML−DCsによるがん抗原特異的CD4+T細胞の刺激
次に、CD14−ML−DCの抗原特異的CD4+T細胞を誘導する能力を検討した。図7Aに培養スケジュールを示す。HLA−DR拘束性エピトープとして既に同定されている6種類のがん抗原由来ペプチド(CDCA139-64、CDCA155-78、KIF20A60-84、KIF20A809-833、LY6K119-142及びLY6K172-191)を用いた。CD14−ML−DCsを作製するために、CD14−MLにIL−4を添加した。3日後、OK432を添加した。CD14−ML−DCsを、6つのペプチド(CDCA139-64、CDCA155-78、KIF20A60-84、KIF20A809-833、LY6K119-142、及びLY6K172-191)の混合物で3時間パルスし、X線照射し(45 Gy)、次いで5%の非動化ヒト血漿を含むAIM−V中の同一ドナー由来のCD4+T細胞と混合した。7日目に、ペプチドでパルスした同一ドナー由来のCD14−ML−DCsで刺激し、rIL−7(5 ng/ml)を添加した。2日後に、培地にrIL−2(10 IU/ml)を添加した。CD14−ML−DCsは、IL−4のみ添加した(OK432は添加しない)。14日目に、各ウェルの刺激したCD4+細胞の特性をIFN−γELISPOTアッセイで分析した。同族のペプチドに対する特異的反応性を示すT細胞を24ウェルプレートに移し、ペプチドでパルスした同一ドナー由来のCD14−ML−DCsで再刺激し、次いで、rIL−7(5 ng/ml)及びrIL−2(20 IU/ml)を添加した。21日目に、ペプチドでパルスした同一ドナー由来のCD14−ML−DCsで再刺激し、rIL−7及びrIL−2を添加した。ペプチド刺激を4サイクル繰り返した後の6日目又は7日目に、IFN−γ ELISPOT分析を行った。
結果を図7B及びCに示す。図7Bは、健常者ドナー3から得られたCD4+Tセルラインを、HLA−DR依存的な方法で、CDCA139-64、CDCA155-78、及びLY6K172-191と反応させた結果であり、健常者ドナー2(図7C)と同様の結果が得られた。これらの結果は、ペプチド負荷したCD14−ML−DCsが、インビトロ刺激培養で、抗原特異的CD4+T細胞を誘導できたことを示唆している。
(実施例6)
がん患者から確立したCD14−ML−DCsによるT細胞刺激
がん患者から得た単球は、健常者ドナーからの単球に比べてしばしば生存しづらい。そのような場合、報告されているように、単球からの樹状細胞の作製は非常に困難である。従って、健康なドナーからだけでなくがん患者からもCD14−MLが確立できるのは非常に有用である。そこで、HNC患者から得られた単球からのCD14MLの確立を試みた。CD14−ML−DCsの、抗原特異的CD8+Tセルラインを誘導する能力を試験した。
図5Aに示したのと同様のスケジュールにて、HLA−A*24:02ポジティブなHNC患者から得られた末梢血CD8+T細胞を、ペプチド混合物(CDCA156-64、KIF20A66-75、LY6K177-186及びIMP−3508-516)で前もって負荷した同一ドナー由来のCD14−ML−DCsと共培養し、それらのペプチドに反応性のT細胞を誘導した。7日目と14日目に、CD8+T細胞を、ペプチドを負荷したCD14−ML−DCsで再刺激した。21日目に、ペプチドに反応するCD8+T細胞の数をIFN−γ ELISPOTアッセイにより分析した。HIVペプチドをコントロールペプチドとして用いた。結果を図8A(がん患者1)及び図8B(がん患者2)に示す。
21日目に、T細胞を回収し、抗CD8 mAb、及びHLA−A*24:02/CDCA156-64、HLA−A*24:02/KIF20A66-75又はHLA−A*24:02/LY6K177-186 tetramerで染色した。結果を図8B(がん患者1)及び図8D(がん患者2)に示す。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のtetramerで染色されたCD8+T細胞のパーセンテージを示している。
CD8+T細胞のCDCA156-64、LY6K177-186、及びKIF20A66-75に対する反応性ががん患者で観察された。結果として、2人の患者(がん患者1及び2)から得られた単球から、CD14MLの確立に成功した。そして、得られたCD14MLは、IL−4の刺激によりCD14−ML−DCに分化できた。
同様に、がん患者由来のCD14−ML−DCsを用いてがん抗原特異的CD4+Tセルラインの誘導を試みた。
HNC患者のPBMCsから単離されたCD4+T細胞を、6種類のペプチド(CDCA139-64、CDCA155-78、KIF20A60-84、KIF20A809-833、LY6K119-142、及びLY6K172-191)の混合物でパルスしたCD14−ML−DCsで刺激した。3回サイクルを越える刺激をした後、各ペプチドに反応したCD4+T細胞の数をELISPOTアッセイにより分析した。がん患者からの血液サンプルは少量しか得られないので、アッセイにおいてCD14−ML−DCsを刺激物質として用いた。結果を図9に示す。誘導培養から集めたがん患者1由来のCD4+Tセルラインは、HLA−DQ又はHLA−DR拘束性で、CDCA155-78及びLY6K172-191ペプチドに反応した(図9A)。誘導培養から集めたがん患者2由来のCD4+Tセルラインは、HLA−DQ又はHLA−DR拘束性で、CDCA139-764、CDCA155-78、及びLY6K172-191ペプチドと反応した(図9B)。
上記より、がん患者の単球からのCD14−ML−DCsの作製は実行可能であった。そして、がん患者由来のCD14−ML−DCsは、抗原特異的T細胞反応を誘導するために十分な能力を有していた。
(実施例7)
CD14−MLの遺伝子組換えによるCMVpp65提示CD14ML−DCの作製
合成ペプチドで前もって負荷したCD14−ML−DCsを用いたインビトロ刺激により抗原特異的CD4+又はCD8+Tセルラインが確立できたので、次に、CD14−MLの増殖能を利用することにより、抗原性タンパク質を提示する遺伝子改変CD14−ML−DCsの作製を試みた。
図10Aに、CMVpp65(EF−CMV−IP)及びMART1(EF−MART1−IP)のレンチウイルス構築物を示す。HLA−A*24:02ポジティブドナー由来のCD14−MLを、IRES(内部リボソームエントリーサイト)−ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼカセットを持つCMVpp65のレンチウィルスベクターを用いて形質転換した。細胞を、ピューロマイシン(5μg/ml)の存在下で2週間培養して、導入遺伝子をもつ細胞集団を選択して増殖させ、CD14−ML/CMV及びCD14−ML/MART1を作製した。その後、得られたCD14−ML−DCs(CD14−ML−DC/CMV)のCMVpp65発現を、フローサイトメトリー分析により確認した(図10B)。
CD14−ML培養にIL−4を添加し、そして、刺激物質として得られたHLA−A*24:02がポジティブな健常者ドナーに由来するCD14−ML−DC/CMVを用いて、同一ドナー由来の末梢血CD8+T細胞からのCMV特異的CD8+Tセルラインの誘導を行った。CMV特異的反応を調べるために、HLA−A*24:02拘束性CMVpp65由来エピトープ(CMVpp65341-349)でパルスしたC1R細胞と一晩共培養したのち、IFN−γ生成細胞を調べた。9日目に、CMVpp65341-349ペプチドに反応性のT細胞の数をELISPOTアッセイにより分析した。図10Cに示される結果は、CMVpp65341-349反応性CD8+Tセルラインの誘導が成功したことを示している。
また、9日目に、T細胞を回収し、抗CD8 mAb及びHLA−A*24:02/CMVpp65341-349複合体のtetramerで染色した。図10Dに示されるように、CMVpp65341-349反応性CD8+T細胞はまた、tetramerで染色することにより検出された。
次に、HLA−A*26:01にホモである他の血液ドナー(HLA−A*24:02ネガティブな健常者ドナー)からのCMV−pp65反応性CD8+Tセルラインの作成を試みた。このHLA−AアレルについてのCMV由来エピトープに関する情報はなかった。CMVpp65提示CD14−ML−DCsの作製と同一ドナー由来のCD8+T細胞との共培養は、上記と同じ手順によって行った。CMVpp65に対する反応性を検出するために、得られたT細胞を、CMVpp65の導入遺伝子の有無の条件で、同一ドナー由来のCD14−MLと共培養した。9日目に、CD8+T細胞を生産するIFN−γの数を、刺激物質としてCD14−MLとCD14−ML/CMVを用いて、ELISPOTアッセイにより分析した。図10Eに示されるように、pp65タンパク質への反応がこの分析において観察された。CD14−ML−DC/CMVpp65で刺激したT細胞をさらに活性化し、刺激培養前のT細胞を比較した。この反応は、抗HLAクラスIブロッキング抗体の添加でブロックされ、このことは、この反応がHLAクラスIによって制限されていたことを示している。このドナーのエピトープは同定していないが、エピトープに関する情報が利用可能か否かにかかわらず、抗原特異的CD8+T細胞の刺激が可能であることが証明された。
(実施例8)
MART1/Melan−A提示CD14−ML−DCsの作製
次いで、上記と同様の方法により、MART1/Melan−A提示CD14−ML−DCを作製した。CD14−ML−DC/MART1は、2人の血液ドナーから作製した。一人(健常者ドナー2)はHLA−A*02:01がポジティブであり、他の一人(健常者ドナー4)はHLA−A*02:01がネガティブであった。得られたCD14−ML−DCs(CD14−ML−DC/MART1)におけるMART1タンパク質の発現は、特異的抗体による染色とそれに続くフローサイトメトリー分析によって確認した。結果を図11Aに示す。
CD14−ML−DC−MART1を、同一ドナー由来の末梢血CD8+T細胞と共培養した。CD8+T細胞は、一週間に一度、CD14−ML−DC/MART1で刺激し、3週間培養を続けた。21日目に、培養T細胞のMART1に対する反応性を分析した。HLA−A*02:01ポジティブドナーからの培養T細胞を、既知のHLA−A*02:01拘束性エピトープ(MART126-35)で負荷したHLA−A02*:01提示T2細胞と共培養した。図11Bに示される結果は、HLA−A*02:01拘束性エピトープに反応性のT細胞の誘導を示している。
21日目に、T細胞を回収し、抗CD8 mAb及びHLA−A*02:01/MART126-35 dextramerで染色し、HLA−ペプチド複合体のdextramerで染色されたCD8+T細胞の割合を調べた。結果を図11Cで示されるように、T細胞の38.1%が、HLA−A*02:01/MART126-35複合体のdextramerで染色された。
次いで、HLA−A*02:01ネガティブドナーから誘導された回収されたCD8+T細胞を、同一ドナー由来のCD14ML−DC/MART1又は同一ドナー由来のCD14−ML−DCsと共培養した。21日目に、MART1に反応性のCD8+T細胞の頻度を、刺激物質としてCD14−ML−DC及びCD14−ML−DC/MART1を用いてELISPOTアッセイにより分析した。図11Dに示された結果は、T細胞がMART1に反応したこと、及びその反応がHLA−クラスI拘束性であったことを示している。
以上の結果より、従来方法を改善した本発明の方法により、全ての健康な人及びがん患者からの単球の増殖を誘導できた。この方法によって調製したCD14−MLは、本発明者らの従来の方法によって調製したCD14−MLに比べてより活発に増殖した。この方法により作製したCD14−MLの性質は、形態、細胞表面分子、GM−CSF及びM−CSFへの依存性、樹状細胞への分化能力という点においては、本発明者らの従来の方法によって作成されたCD14−MLと区別がなかった。
また、本発明の方法を用いて、抗原性タンパク質を発現する遺伝子改変したCD14−ML−DCが作製できることが判った。そして、本発明の方法で作製した抗原発現CD14−ML−DCは、それを用いた末梢血T細胞のインビトロ刺激によりCMVpp65又はMART1/MelanAに反応性のCD8+Tセルラインの誘導に成功したことより、抗原特異的T細胞を誘導する能力を有していることが示された。これらの結果は、ワクチン治療への適用を示唆している。
そして、本発明のCD14−ML技術に基づいて、抗原性タンパク質を発現している機能的DCを容易に作製でき、より重要なことは、抗原提示DCsを用いて、HLA−拘束性エピトープの情報が入手できない場合でも、抗原特異的なT細胞を誘導することができることである。
上記の詳細な記載は、本発明の目的及び対象を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲から離れることなしに、記載された実施態様に対しての、種々の変更及び置換は、本明細書に記載された教示より当業者にとって明らかである。
本発明の方法によれば、ドナーに依存することがなく、増殖能を有する末梢血単球を大量に効率良く提供できる。また、本発明の方法により提供される単球は、機能的な樹状細胞へと分化できる。単球は、感染症や悪性腫瘍に対する細胞療法、アルツハイマー病、アミロイドーシス、あるいは、ある種の代謝性疾患など、体内に特定の物質が蓄積することに起因する疾患に対する細胞医薬として用いることができ、本発明の方法により提供される単球はそれらの用途に用いることができる。さらに、樹状細胞は、悪性腫瘍、感染症などに対する細胞ワクチンとして用いられており、本発明の方法により提供される樹状細胞は、それらの用途に用いることができる。

Claims (19)

  1. ヒト末梢血由来の単球の増殖誘導方法であって、
    単球に、少なくとも以下の3つの遺伝子:cMYC、BMI1、及びBCL2又はLYL1遺伝子を導入して発現させることにより、増殖能を有する単球を作製することを含む方法。
  2. 前記末梢血由来の単球が凍結保存されていない新鮮な単球である請求項1に記載の単球の増殖誘導方法。
  3. 前記単球が、がん患者由来の単球である請求項1又は2に記載の単球の増殖誘導方法。
  4. ヒト末梢血由来の単球から樹状細胞を作製する方法であって、以下の工程:
    (a)請求項1〜3のいずれか一つに記載の単球の増殖誘導方法により増殖能を有する単球を作製する工程、及び
    (b)前記増殖能を有する単球を培養することにより樹状細胞へと分化誘導する工程、
    を含む樹状細胞作製方法。
  5. さらに、前記工程(b)で作製した樹状細胞を任意の抗原で負荷(load)して抗原提示樹状細胞を作製することを含む、請求項4に記載の樹状細胞作製方法。
  6. さらに、前記工程(b)で作製した樹状細胞に任意の抗原の遺伝子を導入して抗原提示樹状細胞を作製することを含む、請求項4に記載の樹状細胞作製方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の単球の増殖誘導方法により作製した増殖能を有する単球を含む医薬。
  8. 請求項4〜6のいずれか一つに記載の方法で作製した樹状細胞を含む医薬。
  9. 前記医薬が、がんの治療又は予防のために用いるための医薬である請求項8に記載の医薬。
  10. 請求項5又は6で作製した抗原提示樹状細胞を、末梢血由来のCD4T細胞又はCD8T細胞と共培養することにより、該抗原特異的なCD4Tセルライン又はCD8Tセルラインを樹立する方法。
  11. 増殖能を有するヒト末梢血由来の単球であって、
    少なくとも以下の3つの外因性(exogeneous)遺伝子:
    cMYC、BMI1、及びBCL2又はLYL1遺伝子
    を有し、それらが強制的に発現している単球。
  12. 前記末梢血由来の単球が凍結保存されていない新鮮な単球である請求項11に記載の単球。
  13. 前記単球が、がん患者由来の単球である請求項11又は12に記載の単球。
  14. 請求項11〜13のいずれか一つに記載の単球から分化誘導した樹状細胞。
  15. 任意の抗原で負荷(load)されて該抗原を提示する、請求項14に記載の樹状細胞。
  16. 任意の抗原の遺伝子を有しそれが強制的に発現されることにより該抗原を提示する請求項14に記載の樹状細胞。
  17. 請求項11〜13のいずれか一つに記載の単球を含む医薬。
  18. 請求項14〜16のいずれか一つに記載の樹状細胞を含む医薬。
  19. 前記医薬が、がんの治療又は予防のために用いるための医薬である請求項18に記載の医薬。
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