JP2017130883A - ループアンテナアレイ群 - Google Patents
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Abstract
【課題】直線的かつ明瞭な通信エリアの境界を形成できるループアンテナアレイを提供する。【解決手段】ループアンテナアレイは、2つのループアンテナ1、2を備える。ループアンテナ1、2には、互いに逆方向の電流が流れる。つまり、各ループアンテナ1、2を貫通する方向に見て、交流電源Eの信号端子がプラス電圧のタイミングでは、ループアンテナ1に時計回りの電流が流れ、ループアンテナ2には反時計回りの電流が流れる。逆に、交流電源Eの信号端子がマイナス電圧のタイミングでは、ループアンテナ1に反時計回りの電流が流れ、ループアンテナ2には時計回りの電流が流れる。【選択図】図1
Description
本発明は、直線的かつ明瞭な通信エリアの境界を形成できるループアンテナアレイに関する。
近年では、意図的に通信エリアを限定した無線通信(エリア限定無線)に対するニーズが高まっている。例えば、下記の特許文献1に開示された「電界通信システム」は、エリア限定無線を実現するための一手段である。
電界通信では、環境に設置されたアクセスポイント装置の近傍のエリアに存在する端末装置だけが、アクセスポイント装置との通信を行うことができる。しかし、アクセスポイント装置の近傍の電界分布は設置環境やユーザの姿勢などに大きく依存するため、電界によって直線的かつ明瞭な通信エリアの境界を実現することが困難であった。したがって、通信すべき位置に存在している端末装置が通信できなかったり、その逆のケースも生じたり、安定で信頼性の高いエリア限定無線システムを構築することができなかった。
このような困難が生じる原因の一つは、通信媒体として電界を用いていることであると考えられる。なぜならば、電界分布は周囲に存在する導体や誘電体の影響を強く受けるためである。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、直線的かつ明瞭な通信エリアの境界を形成できるループアンテナアレイを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明のループアンテナアレイは、互いに逆方向の電流が流れる2つのループアンテナを備える。
本発明のループアンテナアレイによれば、互いに逆方向の電流が流れる2つのループアンテナを備えるので、直線的かつ明瞭な通信エリアの境界を形成できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態のループアンテナアレイは、磁界アンテナである。例えば、低周波(およそ10MHz以下)磁界は、人体や周囲環境との相互作用が電界と比べて著しく低いという特徴を有する。したがって、課題を解決する一つの手段として、通信媒体として低周波磁界を用いることが考えられる。そして、通信エリアの境界で磁界強度が急激に減衰するような、「シャープな磁界分布」を創り出すことができれば、信頼性の高いエリア限定無線システムを構築することが可能である。
しかし、一般的に磁界エリアの形成に使用されている、巻数が1のループアンテナ(図8)では、磁界の減衰率が60dB/decとなるうえに、図9に示すように、形成する磁界エリアの形状が曲面になってしまう。このため、直線的かつ明瞭な通信エリアの境界を形成することが困難である。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態のループアンテナアレイの一例を示す図である。図2は、図1のループアンテナアレイが形成する磁界エリアを示す図である。
図1は、第1の実施の形態のループアンテナアレイの一例を示す図である。図2は、図1のループアンテナアレイが形成する磁界エリアを示す図である。
図1に示すように、ループアンテナアレイは、2つのループアンテナ1、2を備える。各ループアンテナ1、2は、導体をループ状に形成したものであり、例えば、図示しない基板(同一平面)上に形成される。各ループアンテナ1、2は、例えば、同一形状(円)であり、ループアンテナに囲まれたエリアの面積は同一であり、巻数は共に1である。
ループアンテナ1、2は、例えば、連続した導線LNで形成される。導線LNの一方端である+端子は、交流電源Eの信号端子に接続され、導線LNの他方端である−端子は、交流電源EのGND端子に接続される。
ループアンテナ1、2には、互いに逆方向の電流が流れる。つまり、各ループアンテナ1、2を貫通する方向(z方向)に見て、交流電源Eの信号端子がプラス電圧のタイミングでは、ループアンテナ1に時計回りの電流が流れ、ループアンテナ2には反時計回りの電流が流れる。逆に、交流電源Eの信号端子がマイナス電圧のタイミングでは、ループアンテナ1に反時計回りの電流が流れ、ループアンテナ2には時計回りの電流が流れる。
なお、各ループアンテナ1、2に+端子と−端子を設け、すなわち、連続した導線で形成せず、ループアンテナ1の+端子とループアンテナ2の−端子を交流電源Eの信号端子に接続し、ループアンテナ1の−端子とループアンテナ2の+端子を交流電源EのGND端子に接続することで、互いに逆方向の電流が流れるようにしてもよい。
または、各ループアンテナ1、2に+端子と−端子を設けるとともに、2つの交流電源を設け、ループアンテナ1の+端子と−端子をそれぞれ一方の交流電源の信号端子とGND端子に接続し、ループアンテナ2の+端子と−端子をそれぞれ他方の交流電源の信号端子とGND端子に接続することで、互いに逆方向の電流が流れるようにしてもよい。この場合、一方の交流電源の信号端子がプラス電圧のとき、他方の交流電源の信号端子がマイナス電圧となるように同期をとればよい。
図2に示すように、2つのループアンテナから構成されるループアンテナアレイでは、単一のループアンテナの場合(図9)に比べて通信エリアの境界を平坦化できる。
好ましくは、ループアンテナ1の中心1cとループアンテナ2の中心2cとを結ぶ中心間直線分Lの中点PLからループアンテナを貫通する方向(z方向)に所定の距離aだけ離れた点Paを通る磁界強度の等高線が中心間直線分Lに交差しないとの条件がある場合において、中心間直線分Lの長さ(中心1c、2c間の距離)をdとすると、d/2<aになっている。つまり、dはaの2倍未満(d<2a)になっている。
図2に示すように、中点PLからz方向に所定の距離d/2(<a)だけ離れた点Pa’を通る磁界強度の等高線は中心間直線分Lに交差しない。よって、d<2aとすることで、点Pa’よりも中点PLから遠い点Paを通る磁界強度の等高線が中心間直線分Lに交差しないとの条件を必ず満たすことができる。
点Paを通る磁界強度の等高線は、中心間直線分Lにほぼ平行な部分を有する。すなわち、この平行な磁界強度の等高線の部分は、直線的かつ明瞭な通信エリアの境界として使用できる。
一般に、ループアンテナが遠方に生成する磁界の振幅は、磁気双極子モーメントベクトルmの大きさに比例する。mは次式で与えられる。
m=N・I・S
Nはループアンテナの巻数、Iはループアンテナを流れる電流値で、Sはループアンテナに囲まれたエリアの面積であり、m(ベクトル)の方向は、電流の回転方向に対して右ネジの方向である。
Nはループアンテナの巻数、Iはループアンテナを流れる電流値で、Sはループアンテナに囲まれたエリアの面積であり、m(ベクトル)の方向は、電流の回転方向に対して右ネジの方向である。
第1の実施の形態では、逆方向に電流が流れるので、例えば、各ループアンテナ1、2の形状、面積、巻数を同一とすれば、向きを考慮したmの総和がゼロとなる。
すなわち、図7に示すように、第1の実施の形態のループアンテナアレイは、巻数が1のループアンテナ(減衰率は60dB/dec)を逆向きに並べて得た4重極子とみなすことができ、その磁界の減衰率は80dB/decとなる。
すなわち、第1の実施の形態によれば、巻数が1のループアンテナよりシャープな磁界エリア(通信エリア)を形成できる。
なお、磁界エリアの形状は、ループアンテナの形状には依存せず、よって形状は、円形でなく、正方形、長方形、楕円形、扇形、三角形、半円形、螺旋形、弦巻線形でもよい。ただし、形状はこれらに限定されない。形状は、電流を流した際に磁気双極子モーメントベクトルが形成されるものであればよい。
また、巻数は1に限らない。また、各ループアンテナ1、2のN×S (巻数×面積)を等しくし、形状は異ならせてもよい。
[第2の実施の形態]
図3は、第2の実施の形態のループアンテナアレイの一例を示す図である。図4は、図3のループアンテナアレイが形成する磁界エリアを示す図である。
図3は、第2の実施の形態のループアンテナアレイの一例を示す図である。図4は、図3のループアンテナアレイが形成する磁界エリアを示す図である。
第2の実施の形態のループアンテナアレイは、第1の実施の形態のループアンテナアレイ(図1)を複数(2個)備える。つまり、ループアンテナ1、2をそれぞれ2個備える。全てのループアンテナは同一平面上に配置されている。便宜上、一方のループアンテナ1をループアンテナ3、一方のループアンテナ2をループアンテナ4という。
ループアンテナアレイでは、ループアンテナの総数が2のn乗(n=2)=4となっている。
また、全てのループアンテナ1〜4の中心が同一直線分LL上に配置されている。
また、2の(n−1)乗個(=2個)のループアンテナのまとまりを単位ループアンテナアレイとした場合、ループアンテナ1、2が1つの単位ループアンテナアレイAを構成し、ループアンテナ3、4が他の1つの単位ループアンテナアレイBを構成する。
一方の単位ループアンテナアレイAにおいて同一直線分LLの一方端側(例えば、図面の左側)に位置するループアンテナ1に流れる電流の方向と他方の単位ループアンテナアレイBにおいて前記一方端側(例えば、図面の左側)に位置するループアンテナ3に流れる電流の方向とが互いに逆である。
第2の実施の形態のループアンテナアレイは、第1の実施の形態のループアンテナアレイを複数備え、好ましくは、各ループアンテナアレイでは、d<2aになっている(図2参照)ので、同一直線分LLから距離aだけ離れた磁界強度の等高線は同一直線分LLにほぼ平行な部分を有する。すなわち、この平行な磁界強度の等高線の部分は、直線的かつ明瞭な通信エリアの境界として使用できる。
第2の実施の形態では、電流の向きを上記のようにしたので、例えば、各ループアンテナ1〜4の形状、面積、巻数を同一とすれば、向きを考慮したmの総和がゼロとなる。
すなわち、図7に示すように、第2の実施の形態のループアンテナアレイは、4重極子を逆向きに並べて得た8重極子とみなすことができ、その磁界の減衰率は100dB/decとなる。
すなわち、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態よりシャープな磁界エリア(通信エリア)を形成できる。
なお、第2の実施の形態においても、ループアンテナの形状は円形に限らない。ループアンテナごと、単位ループアンテナアレイごとに異なっていてもよい。巻き数は1に限らない。ループアンテナ1、2が連続した導線で形成されていなくてもよい。また、ループアンテナ2、3が連続した導線で形成されていてもよい。すなわち、異なるループアンテナアレイであっても、隣り合うループアンテナの組が連続した導線で形成されていてもよい。
また、図5に示すように、ループアンテナ1〜4が連続した導線で形成されていてもよい。
[第3の実施の形態]
図6は、第3の実施の形態のループアンテナアレイの一例を示す図である。
図6は、第3の実施の形態のループアンテナアレイの一例を示す図である。
第3の実施の形態のループアンテナアレイは、第1の実施の形態のループアンテナアレイ(図1)を複数(4個)備える。つまり、ループアンテナ1、2をそれぞれ4個備える。全てのループアンテナは同一平面上に配置されている。便宜上、1つループアンテナ1以外のループアンテナ1をループアンテナ3、5、7といい、1つのループアンテナ2以外のループアンテナ2をループアンテナ4、6、8という。
ループアンテナアレイでは、ループアンテナの総数が2のn乗(n=3)=8となっている。
また、全てのループアンテナ1〜4の中心が同一直線分(図示せず)上に配置されている。
また、2の(n−1)乗個(=4個)のループアンテナのまとまりを単位ループアンテナアレイとした場合、ループアンテナ1〜4が1つの単位ループアンテナアレイABを構成し、ループアンテナ5〜8が他の1つの単位ループアンテナアレイCDを構成する。
一方の単位ループアンテナアレイABにおいて同一直線分LLの一方端側(例えば、図面の左側)に位置するループアンテナ1に流れる電流の方向と他方の単位ループアンテナアレイCDにおいて前記一方端側(例えば、図面の左側)に位置するループアンテナ5に流れる電流の方向とが互いに逆である。
第3の実施の形態のループアンテナアレイは、第1の実施の形態のループアンテナアレイを複数備え、好ましくは、各ループアンテナアレイでは、d/2<a(d<2a)になっている(図2参照)ので、各ループアンテナの中心を通る同一直線分から距離aだけ離れた磁界強度の等高線は同一直線分にほぼ平行な部分を有する。すなわち、この平行な磁界強度の等高線の部分は、直線的かつ明瞭な通信エリアの境界として使用できる。
第3の実施の形態では、電流の向きを上記のようにしたので、例えば、各ループアンテナ1〜8の形状、面積、巻数を同一とすれば、向きを考慮したmの総和がゼロとなる。
すなわち、図7に示すように、第3の実施の形態のループアンテナアレイは、8重極子を逆向きに並べて得た16重極子とみなすことができ、その磁界の減衰率は120dB/decとなる。
すなわち、第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態よりシャープな磁界エリア(通信エリア)を形成できる。
なお、第3の実施の形態においても、ループアンテナの形状は円形に限らない。ループアンテナごと、単位ループアンテナアレイごとに異なっていてもよい。巻き数は1に限らない。また、ループアンテナ2、3の組、ループアンテナ4、5の組、ループアンテナ6、7の組のいずれか1組以上について、各組が連続した導線で形成されていてもよい。すなわち、異なるループアンテナアレイであっても、隣り合うループアンテナの組が連続した導線で形成されていてもよい。また、ループアンテナ1〜8が連続した導線で形成されていてもよい。
また、図7に示すように、n(=k)は4以上としてもよい。kは4以上とし、ループアンテナを直線状に並べることにより、2の(k+1)乗重極子が形成され、20(k+3)dB/decの減衰率を得ることが可能となる。つまり、n(=k)が大きいほどシャープな磁界エリア(通信エリア)を形成できる。
1〜8 ループアンテナ
A、B、AB、CD 単位ループアンテナアレイ
A、B、AB、CD 単位ループアンテナアレイ
上記の課題を解決するために、本発明のループアンテナアレイは、互いに逆方向の電流が流れる2つのループアンテナを備えるループアンテナアレイを複数備え、かつ、前記ループアンテナの総数が2のn乗(nは2以上の整数)であり、かつ、全ての前記ループアンテナの中心が同一直線分上に配置され、かつ、2の(n−1)乗個の前記ループアンテナのまとまりを単位ループアンテナアレイとした場合、一方の単位ループアンテナアレイにおいて前記同一直線分の一方端側に位置するループアンテナに流れる電流の方向と他方の単位ループアンテナアレイにおいて前記一方端側に位置するループアンテナに流れる電流の方向とが互いに逆である。
Claims (9)
- 互いに逆方向の電流が流れる2つのループアンテナを備えることを特徴とするループアンテナアレイ。
- 請求項1記載のループアンテナアレイを複数備え、かつ、前記ループアンテナの総数が2のn乗(nは2以上の整数)であり、かつ、全ての前記ループアンテナの中心が同一直線分上に配置され、かつ、2の(n−1)乗個の前記ループアンテナのまとまりを単位ループアンテナアレイとした場合、一方の単位ループアンテナアレイにおいて前記同一直線分の一方端側に位置するループアンテナに流れる電流の方向と他方の単位ループアンテナアレイにおいて前記一方端側に位置するループアンテナに流れる電流の方向とが互いに逆であることを特徴とするループアンテナアレイ。
- 全ての前記ループアンテナが同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のループアンテナアレイ。
- 全ての前記ループアンテナの磁気モーメントの総和がゼロであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のループアンテナアレイ。
- 前記各ループアンテナアレイの形状が正方形、円形、長方形、楕円形、扇形、三角形、半円形、螺旋形、弦巻線形のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のループアンテナアレイ。
- 全ての前記ループアンテナアレイの形状が同一であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のループアンテナアレイ。
- 隣り合う2つの前記ループアンテナからなる少なくとも1組のループアンテナにおいて、一方のループアンテナと他方のループアンテナが連続した導線で形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のループアンテナアレイ。
- 全ての前記ループアンテナが連続した導線で形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のループアンテナアレイ。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載のループアンテナアレイであって、
2つのループアンテナを備えるループアンテナアレイについては、一方のループアンテナの中心と他方のループアンテナの中心とを結ぶ中心間直線分の中点からループアンテナを貫通する方向に所定の距離だけ離れた点を通る磁界強度の等高線が前記中心間直線分に交差しないとの条件がある場合において、前記中心間直線分の長さは前記距離の2倍未満であることを特徴とするループアンテナアレイ。
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