JP2017130465A - リチウム全固体電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規なリチウム全固体電池を提供する。
【解決手段】全固体リチウム電池、硫化物ベースの固体電解質におけるLiSの遷移金属硫化物との熱電気機械的活性化、およびバルクタイプ全固体鉄硫黄カソードの電気機械的進展が開示される。全固体リチウム電池例は、単体硫黄と混合した遷移金属硫化物を有するカソードを含んで、電気伝導性を高める。固体リチウム電池を動作させるための、硫化物(FeS)および単体硫黄(S)前駆体からの黄鉄鉱(FeS2)のその場電気機械的合成方法の一例では、FeS+S複合体電極は、やや高い温度でサイクルを繰り返させる。
【選択図】図1

Description

政府の権利
本発明は、空軍研究所によって与えられた契約番号第FA8650−08−1−7839号に基づいて、政府の支援を受けて行なわれた。政府は本発明に関して一定の権利を有する。
優先権の主張
本出願は、共にYersakらによる、2012年1月10日に出願された「Lithium all−solid−state battery」と題する米国特許仮出願第61/585,098号、および2012年1月25日に出願された「Thermo−electrochemical activation of solid state electrolyte」と題する米国特許仮出願第61/590,494号の利益を主張するものであり、それぞれ、参照によって、あたかも本明細書において完全に説明されたかのように組み込まれる。
従来型の充電式リチウムイオン電池を消費者製品で使用することは、安全性の問題から、課題である。このような安全性の問題には、限定するものではないが、市販のグレードの液体電解質の溶媒の漏出および可燃性が含まれる。従来の固体電池(液体電解質ではなく、ガラスセラミックから構成される)は、このような安全性リスクを及ぼすことなく、エンドユーザに高い信頼性を提供する。しかしながら、従来の固体電池は、レート能力の乏しさ、イオン伝導度の低さ、界面不安定性、および活物質の容量の少なさに悩まされている。
溶融塩固体電池は、高い動作温度(例えば、400℃以上)を要するため、室温におけるリチウムイオンおよびリチウムポリマー技術を探求する研究は断念された。二硫化鉄は、高エネルギー密度一次セルにおいて、うまく商品化されてきた。不運なことに、硫化物変換の化学作用は、周辺温度からやや高い温度まで不可逆的であり、これらを充電式電池への使用に適さないものにしている。
多くの最新の電池技術は、現行の従来型のLiイオン電池の後継となるべく競い合っている。バルクタイプ全固体リチウム電池(ASSLB)は、それらが、本質的に安全であり、卓越した保存期間を有し、高温で安定して機能し、FeSなどの高容量変換電池材料の可逆性を可能にすることから、この技術競争において競争力を有するという、有力な主張がなされ得る。しかしながら、高出力ASSLBのエネルギー密度は、改善される必要がある。ASSLBアーキテクチャの成功は、高エネルギー密度の全固体複合体カソードにより実現され得る。
周囲温度における可逆的固体カソードの例が開示される。実施例は、リチウム(Li)金属構成におけるものである。電池は、硫化物ガラスセラミック固体電解質を用いて構築され得、そして全固体セルアーキテクチャに組み込まれる。一例では、電池は、M+zSとして特徴づけられ得る。ここで、M=Fe、Co、Mo、=0、1、2、3およびz=0、1/2、1などである。この命名法は、少なくとも以下の系、FeS、FeS、FeS+Sを含むように意図され、さらに、本明細書の教示に通じた後に当業者に理解されるようなその他の適切な代替物を含み得る。なお、金属ナノ粒子の電気化学的合成は、LiSの電気化学的活性を維持する。したがって、電池は、周囲温度における急速な容量低下に以前より関係がある問題に対処する。斜方晶系FeS(白鉄鉱)の電気化学的に行われる合成は、少なくとも部分的に周囲温度で達成され得る。
遷移金属プラス硫化物の周囲温度電池の設計は、少なくとも部分的に、完全充電(2.5V vs.Li/Li)および完全放電(1.0V vs.Li/Li)の際に形成される電気活性種の管理に基づく。2つの種例には、単体鉄(Fe)および多硫化物(S 2−)がある。従来型のセルにおいて、Feナノ粒子の拡散および凝集を抑制する、あるいは完全に阻止するために、様々な高分子電解質が使用されてきたが、限られた効果しか上げていない。
同様の手法は、従来型のLi−S電池における中間の多硫化物の閉じ込めに適用され得る。中間の多硫化物の溶解およびLiSの不可逆性に対処する方法例には、高表面積CMK−3ナノポーラス炭素電極、ポリマー電解質、およびポリアクリロニトリル−硫黄複合体への多硫化物の吸着が含まれる。
別の手法は、FeSセルの電圧の上限および下限の両方、またはいずれか一方を、例えば、およそ2.2Vおよび1.3Vにそれぞれ制限することである。FeおよびS 2−の形成は、完全な放電および充電を回避することによって抑制される。しかしながら、セルの電圧範囲を制限することにより、達成し得るエネルギー密度を減少させ、セルを過充電または過放電のリスクにさらす。
全固体セルアーキテクチャの基本的性質は、電気活性種の閉じ込めを可能にする。例えば、FeSおよびLiFeSは両方とも、全固体アノードとして可逆的に利用され得る。全固体アーキテクチャは、Feの拡散および凝集を抑制する、あるいは完全に阻止する。硫化物ベースのガラス−セラミック固体電解質、および高温で安定なその他の材料は、周囲温度でより高い伝導性を示す。したがって、リチウム金属アノードは、セルの不具合が熱暴走を引き起こさないことから、固体電解質とともに安全に使用され得る。リチウム金属電極は、約3876mAh g−1の理論容量を有し、非分極性であり、達成可能なセルエネルギー密度を高める低い動作電圧を有する。全固体アーキテクチャは、リチウム金属アノードの安全な使用を可能にするだけではなく、カソード材料の可逆的な完全利用もまた可能にする。
図1は、リチウムまたはリチウムイオン全固体電池構造例の高水準の図である。 図2は、電池例に関し、(a)2から3μmの立方体の立方構造を認める、合成FeSの電界放射型走査型電子顕微鏡(FESEM)の顕微鏡写真、および(b)合成黄鉄鉱のX線回折を示す図である。 図3は、液体コインセルおよび全固体構成において、周囲温度(約30℃)およびやや高い温度(60℃)でサイクルを繰り返させたFeSの例として、(a)30℃での固体、(b)60℃での固体、(c)30℃での液体コインセル、(d)60℃での液体コインセル、(e)30℃でサイクルを繰り返させたセルの容量維持率の比較、および(f)60℃でサイクルを繰り返させたセルの容量維持率の比較を示す図である。 図4は、DFTシミュレーション例を示す図である。ここで、(a)は、充電サイクルに沿ったLiFeSの「球棒」表現といわれるものであり、(b)は、Feバルクの値と比較して、各状態における平均Fe−Fe間距離(dFe−Fe)を示している。 図5は、a)固体セルの電量滴定結果を示す図であり、b)固体セルのdQ/dVを示す図であり、c)dQ/dVピークのデコンボリューションを示す図である。 図6は、60℃でサイクルを繰り返させ、20回目の充電後に透過電子顕微鏡(TEM)のために回収した固体セルからの電極材料を示す図である。ここで、(a)は、明視野TEM像、(b)は、高分解能(HR−)TEM像である。 図7は、実施例2に関して取得された実際のデータを示すプロットである。 図8は、実施例2に関して取得された実際のデータを示すプロットである。 図9は、実施例2に関して取得された実際のデータを示すプロットである。 図10は、LiSの活性化は、加えられた熱エネルギーだけでなく、イオンおよび電子伝導率を示すことを示すプロットである。 図11は、C/5およびC/5の充電および放電のレートでサイクルを繰り返させたセルを示すプロットである。 図12の(a)〜(d)は、レート研究例のプロットである。 図13の(a)〜(b)は、リチウム金属セルのサイクルデータを示すプロットである。 図14は、X線回折(XRD)スペクトルである。 図15は、(a)X線回折(XRD)スペクトル、および(b)TEM像を示す図である。 図16は、(a)FeS+S/Li電池のサイクル安定性を示す図、および(b)〜(e)同じ電池の電圧プロファイルを示す図である。 図17は、(a)バルクタイプ全固体Li金属電池のdQ/dVプロファイルを示す図、および(b)〜(e)電池例のdQ/dVプロファイルを示す図である。 図18は、(a)粉砕前後のFeSのXRDを示す図、(b)FeSのFESEM顕微鏡写真を示す図、および(c)機械粉砕後のFe1−xSのFESEM顕微鏡写真を示す図である。 図19は、(a)2つの初期に過充電されるFeS/LiIn電池の電圧プロファイルを示す図、および(b)β型Be試料窓の(100)反射で正規化したXRD測定結果を示す図である。 図20は、FeS/LiIn電池の電圧プロファイルを示す図である。 図21は、(a)電池の放電比容量を流された電流の関数として示す図、および(b)同じ電池の電圧プロファイルを流された電流の関数として示す図である。
本明細書におけるさらなる実施例は、FeSなどの高容量変換電池材料のその場(in−situ)電気化学的形成、および、より高い電極全体のエネルギー密度のためのガラスまたはその他の安定な電解質の可逆的利用を開示する。一例では、最良の複合体電極の組成は、わずか約25質量%のSまたはLiSからなる。硫黄の約1672mAh g−1という高い理論比容量は、活物質の質量の容量の乏しさを補って、高い電極全体のエネルギー密度がASSLBにおいて達成され得るようにする。組成を変えることなく、複合体電極のエネルギー密度全体を高めるために、本明細書に説明される技術は、ガラス−セラミック電解質を可逆的に電気化学的に利用する。例えば、μm−Cu粉末、アセチレンブラック、および80LiS:20Pガラス−セラミック電解質を複合体電極に組み込むことにより、ガラス−セラミック電解質の電気化学のLiS成分が利用され得る。より効果的な電解質活性化およびより良い電極可逆性のために、活性金属は、その場電気化学的還元によって提供され得る。
本明細書に説明される実施例は、FeSおよびSなどの高容量変換電池材料のメカノケミカル調整された活物質ナノ複合体を利用することによって、さらに最適化され得る。この材料は、費用のかかるソルボサーマル合成された立方晶系FeS(黄鉄鉱)ベースのカソードに代替を提供する。前駆体(例えば、FeSおよびS)は、比較的安価であり、天然の黄鉄鉱よりもはるかに高い純度で入手され得る。機械粉砕処理もまた、ソルボサーマル法よりもはるかに容易に材料を提供する。
試験の間に、ナノ複合体電極(例えば、FeS+S)の急速に増加する比容量は、試験中、すぐにその理論容量を約94%超える。超過の容量は、セル特性の劣化のない、複合体電極におけるガラス電解質の飛躍的な利用の結果である。電極例は、最大で約1040Wh kg−1のエネルギー密度を示し、これは、バルクタイプ全固体電極で達成された最高のエネルギー密度である。サイクルを繰り返し続けると、複合体電極(例えば、FeS+S)の電気化学反応は、主として硫黄のみに基づく酸化還元化学反応に進展する。結果は、変換活物質およびガラス電解質の間で電気化学的に構成された界面は、良好なレート特性を維持しながら、ASSLBのエネルギー密度を高めるために利用され得ることを示している。
なお、実施例は、説明の目的のためにのみ、特定の材料および処理パラメータに関して本明細書に説明され、限定されるものではない。その他の実施例は、本明細書の教示に通じた後に当業者に理解され、また、特許請求の範囲内に含まれるとして意図される。
なお、先へ進む前に、本明細書で使用される場合、「含む(“includes”および“including”)」の語は、「含む(“includes”および“including”)」および「少なくとも含む(“includes at least”および“including at least”)」を意味するが、限定されるものではない。「基づく(“based on”)」の語は、「基づく(“based on”)」および「少なくとも部分的に基づく(“based at least in part on”)」を意味する。
リチウム全固体電池
図1は、リチウム全固体電池構造100の高水準の図を示す。電池構造100は、カソード101、固体電解質102、およびアノード103を含んで示されている。矢印は、充電および再充電のサイクルを示す。アノードは、リチウム金属、またはグラファイト、またはシリコン、または充電/放電サイクルの間、電子を移動させるその他の活物質、あるいはこれらの組み合わせを含み得る。一例では、リチウムリザーバは、安定化リチウム金属粉末であり得る。
カソード101は、分解図101’により詳細に示されており、ここで、符号110の白色の丸は、遷移金属硫化物(例えば、FeSまたはFeSプラスSの混合物)を表す。符号111の灰色の丸は、固体電解質(SSE)粒子を表す。SSE粒子は、カソード101を出入りするイオン伝導経路を促進する。符号112の黒色の丸は、アセチレンブラックなどの導電性の添加剤を表す。
一例では、遷移金属硫化物(例えば、FeSプラスS)は、機械的に(例えば、ボールミル粉砕またはその他の機械的処理を用いて)混合され得、化学的に化学結合されない。カソードの化学反応は、第1のサイクルで、FeSに近似する。10回またはそれ以上の充電サイクルの後、カソードは、第1のサイクルと類似の挙動を示す。
リチウム全固体電池構造100は、任意の適切な遷移金属硫化物プラス硫化物の組み合わせを用いて実施され得るが、以下では、合成二硫化鉄に基づく具体的な電池構造を説明する。
合成により調整されたFeSは、電界放射型走査型電子顕微鏡(FESEM)およびX線解析で特性を明らかにされる。図2は、(a)2から3μmの立方体の立方構造を認める、合成FeSのFESEM顕微鏡写真、および(b)合成黄鉄鉱のX線回折を示す。図2に示されるFESEM顕微鏡写真は、3μm幅の面を有する立方晶系FeS粒子を明らかにしている。図2(b)に示される合成により調整されたFeSのX線解析は、インデックス付きのピークとよく一致する回折ピークを示す。
全固体および液体セルの両方の構成で合成FeSを試験した。FeSを最大限に利用できるようにするために、セルは、完全放電(1.0V)および完全充電(3.0V)までサイクルを繰り返させる。周囲温度および中程度の温度でのサイクル結果を図3に示す。説明の目的のために、図3は、液体コインセルおよび全固体構成において、周囲温度(約30℃)およびやや高い温度(60℃)でサイクルを繰り返させたFeSを、(a)30℃での固体、(b)60℃での固体、(c)30℃での液体コインセル、(d)60℃での液体コインセル、(e)30℃でサイクルを繰り返させたセルの容量維持率の比較、および(f)60℃でサイクルを繰り返させたセルの容量維持率の比較に関して示す。30℃固体セルを除くすべてのセルについて、C/10の充電および放電レートに相当する144μΑの電流でサイクルを繰り返させた。30℃固体セルは、第1のサイクルについては、C/10のレートで、また、後続のすべてのサイクルでは、C/20(72μΑ)のレートでサイクルを繰り返させた。
両方の固体セルとも、良好な容量維持率および高度なFeS利用を有すると観測された。サイクルに伴う容量の漸増は、良好なFeS利用の結果として観測される。この結論は、微分容量(dQ/dV)解析によって支持されている。20回目のサイクルでは、30℃で試験されたセルは、ほぼ750mAh g−1の放電容量を呈し、他方、60℃で試験されたセルは、理論上の放電容量である約894mAh g−1を呈する。固体電解質の伝導率の温度依存性が、60℃における完全なFeSの利用に貢献するが、30℃ではそうではないという可能性がある。60℃では、77.5LiS−22.5P固体電解質の伝導率は、30℃における9.17×10−4Ω−1cm−1から、4.4×10−3Ω−1cm−1まで増加する。さらに、より高い動作温度は、黄鉄鉱粒子におけるLiの拡散性を高める。立方晶系FeSへのより効率的なLiの挿入はまた、より良いFeS利用につながり得る。
液体セルでは、放電容量は、サイクルを行うと、急速に低下する。20回目のサイクルでは、30℃で試験された液体セルは、たった190mAh g−1の放電容量しか示さず、他方、60℃で試験されたセルには、放電容量が見られない。分解過程が60℃で加速され、第2サイクル後、観察される容量がごくわずかである、このような急速な容量劣化をもたらす。他方、固体FeSセルを60℃でサイクルすることにより、その性能だけが改善されることを示した。60℃では、可逆的なFeSの四電子利用を達成することが可能である。なお、多くの自動車用電池パックは、約60℃近くの温度で動作するように設計されている。高温における本明細書に説明される全固体電池の優れた性能は、大規模な熱管理システムの必要性を低減し得る。
メスバウアー分光法および吸収端近傍X線吸収分光法(XANES)は、FeS還元の生成物が、単体鉄(Fe)およびLiSであることを示す。FeSの初期放電は、2段階で進行する。
各反応は、少なくとも部分的に系の速度に応じて、1つまたは2つの電圧で起こり得る。
図3(a)および図3(c)にみられるように、セルが30℃でサイクルを繰り返される場合、1つの平坦域を有し、図3(b)および図3(d)にみられるように、60℃で2つの平坦域を有する放電プロファイルを観測した。より低い温度では、ミクロンサイズのFeS粒子内へのLiの拡散性が低いことによって反応は制限される。30℃では、上記化学反応式(1)および(2)に相当する反応は、1.5V vs.Li/Liで同時に進行する。やや高い温度では、ミクロンサイズのFeS粒子内へのLiの拡散性が高いために、化学反応式(1)および(2)は、それぞれ1.7Vおよび1.5Vで進行し得る。図3(c)にみられるような周囲温度の液体セルにおける1.3Vのショルダは、FeS中間体の有機電解質との不可逆的な副反応に起因する。なお、FeSセルの初期放電プロファイルは、後続の放電プロファイルとはかなり異なる。放電プロファイルの違いは、立方晶系μmFeSと比べて改善された充電生成物の反応速度に起因し得る。より良い速度は、FeS粒子形態の変化、および斜方晶系−FeS(白鉄鉱)などのFeSの異なる化学量論的な相の電気化学的形成に起因し得る。
固体の場合に観測される優れた性能は、電気活性種の閉じ込めに起因するものと考えられている。固体電解質によるFeの閉じ込めは、より良い性能を部分的に説明する。Feは、超常磁性原子または直径3.6nmの原子の小さな集合体の形態を取る。Feのナノ粒子は高い反応性を有するが、これは、ナノ粒子の大きな表面積に関係している。Fe粒子が、より小さな全表面積でより大きな粒子へと凝集するならば、これらの粒子は、より低い反応性を有する。理論によって限定されることを意図するものではないが、Feナノ粒子の高い反応性がLiSの電気活性を維持しているのかもしれない。当然、その他の理論もまたあり得る。
しかし、Feは、サイクルの際の連続的な凝集の影響を受けやすい。Feの凝集は、LiS種の分離をもたらし、また、セルが定電圧に放電される時に容量低下が観測される。全固体アーキテクチャは、Feナノ粒子の凝集を抑制する、あるいは完全に阻止し得る。Feナノ粒子とLiSとの原子が近いことによって、S/LiSベースの電池において、過剰な量の導電性添加剤を必要とすることなく、LiSの電気活性が維持される。
全固体アーキテクチャはまた、完全充電の際に存在する電気活性種が還元される場合に形成される多硫化物S 2−の閉じ込めに成功している。周囲温度から中程度の温度まででは、FeSは、FeおよびLiSの四電子酸化によって再形成されない。しかし、溶融塩FeSセルはそうではなく、これは、温度400℃を上回る温度で可逆的に動作する。
概して、後続の充電および放電サイクルは、以下の反応によって進行し得る。
しかしながら、化学反応式(5)は、以下に概略が説明される結果に基づいて、化学反応式(6)によってより良く表され得る。
したがって、後続の放電の際のLiによる硫黄の直接還元は、中間多硫化物(S 2−)を系内に導入する。液体セルでは、多硫化物は、電解質に溶解し、そして、急速な容量低下および自己放電をもたらす寄生的な「シャトル」反応機構に関与する。「シャトル」反応機構は、硫黄ベースのセルにおいて生じる主な劣化プロセスである。多硫化物は、固体電解質には溶解できない。したがって、全固体セルの多硫化物の閉じ込めは、「シャトル」反応機構を抑制する。
30から60℃での充電生成物は、斜方晶系FeS、磁硫鉄鉱などの不定比FeS相、および単体硫黄のナノ粒子の多相混合物であり得る。どのような場合でも、連続的な充電サイクルの結果として生じる電気化学的に活性な生成物は、FeS化学反応を再現し、電極内に電気伝導性を提供して、必要とされる導電性添加剤の量を低減する。この結論は、図4から図6に示されるDTFシミュレーションの結果によって支持されている。
図4は、材料のアモルファス化およびx=4についてFe凝集を示す、リチオ化LiFeSのDFTシミュレーション例を示す。ここで、(a)は、x=4からX=0までの充電サイクルに沿ったLiFeSの「球棒」表現といわれるものであり、(b)は、Feバルクの値と比較して、各状態における平均Fe−Fe間距離(dFe−Fe)を示している。
図5は、a)60℃でサイクルを繰り返される固体セルの1回目、第2回目、および10回目の放電プロファイルと比較される、60℃で滴定された固体セルの電量滴定結果、b)30℃でサイクルを繰り返される固体セルのdQ/dV、ならびにc)2.1および2.2VでのdQ/dVピークのデコンボリューションを、近似ピークおよび残差と共に示す。
図6は、60℃でサイクルを繰り返させ、20回目の充電後に透過電子顕微鏡(TEM)解析のために回収した固体セルからの電極材料を示す。ここで、(a)は、20回目のサイクルの試料の明視野TEM像であり、暗い部分は、ナノ結晶の斜方晶系FeSに対応し、明るい部分は、FeSおよび単体硫黄からなるアモルファス領域に対応し、また(b)は、20回目のサイクルの試料の高分解能(HR−)TEM像である。FFT解析は、[−110]晶帯軸に沿う斜方晶系FeSと一致する。
先の仮定に反して、後続の放電は、同じ初期反応経路を主にたどる。そのかわりに、初期および後続の放電プロファイルの間の差は、粒子形態において、またより開いた斜方晶系FeS(白鉄鉱)の形成において変化し得る。したがって、化学反応式(6)は、後続のサイクルの化学反応をより正確に記述している。
ある研究は、電量滴定を用いて、立方晶系FeSが電気化学的に生成されないことを示した。しかしながら、FeS電極が平衡に達するのに要した時間は、その研究で許された24時間よりもはるかに長いものであった。FeSセルが初期放電の間に平衡に達するのに最大約144時間までかかる場合、セルの開路電圧(OCV)は、図5(a)に示されるように、適切な反応配位(x)の後続の放電の電圧に近づく。この結果は、初期放電プロファイルおよび後続の放電プロファイルの間の差が、速度論によって説明され得ることを示す。差は、異なる反応経路の結果ではない。2から3μm黄鉄鉱の内核内へのLiの拡散は、FeS還元の反応レートを大幅に制限する。電気化学的に生成されたFeS粒子がナノ結晶である場合、大幅に増加した界面の表面積は、Liの拡散が乏しくとも、速い反応レートを促進する。Liの拡散はまた、立方晶系FeS以外の相を再生することによって改善され得る。例えば、斜方晶系FeSは、立方晶系FeSよりも開いた構造を有する。立方晶系FeSの代わりに斜方晶系FeSを形成することは、より速いLiの拡散をもたらし、ひいては、還元反応速度をさらに速くする。
高分解能透過電子顕微鏡(HR−TEM)は、充電の際の斜方晶系FeSナノ粒子の直接観察を通じてこの理解を支持するために用いられ得る。一例では、電極材料は、図3(b)に示すように、20番目の充電の完了時に、60℃でサイクルを繰り返させた固体セルから回収される。このセルは、FeSを最大限に利用しているため、20番目の充電のころには、大量の電気化学的に不活性の合成立方晶系FeSがセルに残っていることはありそうもない。
図6(a)は、20回目のサイクルの充電されたFeS固体電極の明視野(BF)TEM像を示す。この像は、アモルファス材料(明るい色)に包まれた直径100から200nmのナノ結晶ドメイン(暗い色)を表している。HR−TEM像の高速フーリエ変換(FFT)解析は、図6(b)に示すように、[−110]晶帯軸に沿う斜方晶系FeSとよく一致する。
高分解能TEMイメージングは、大量のアモルファス材料がFeSドメインを包んでいることを示す。この問題をさらに追及するために、図5(b)および図5(c)に示すように、30℃でサイクルを繰り返させた全固体セルの微分容量を調べた。図5(b)に示されるピークは、全固体硫黄セルにおけるLiSの酸化、およびSの還元に相当する。紫色のピークは、30℃でサイクルを繰り返させた固体FeSセルにおいて観測される反応平坦域に相当する。
固体FeSセルが充電される際、LiSの酸化に相当するピークは観測されない。しかしながら、放電の際には、ピークが2.2Vで観測され、これは硫黄のLiSへの直接還元に相当する。この結果は、より高い電圧でのFeS全固体セルの放電および充電が、少なくともいくらか上記化学反応式(5)に従うことを示す。これは、硫黄がLiFeSの不均化によって電気化学的に生成されることを示している。このことから、アモルファス領域は、単体硫黄および非定比FeSの混合物であり得る。
充電の際に生成された単体硫黄の量を定量化するため、すべての単体硫黄が、2.2VでLiSに直接還元されると考えられている。30℃でサイクルを繰り返させた固体セルは、9回目の放電の際に、約737mAh g−1の放電容量を示した。2.1および2.2Vにあるピークが、充電生成物と2つの電子との反応に相当する場合、1.6Vおよび2.5Vの間でdQ/dV曲線を積分すると、このセルの容量368mAh g−1を得る。これら2つのピークがデコンボリューションされ、フォークトプロファイルでフィッティングされた場合、計算される全面積から、図5(c)に示すように、約342.2mAh g−1の容量が与えられる。この値は、予測された容量である約368mAh g−1とよく一致する。
2.2Vのピークの面積は、約57.14mAh g−1であり、他方、2.1Vのピークの面積は、約285.79mAh g−1である。(2−y)Sが、LiSに直接還元される場合、残りの容量は、FeSに起因し得る。yの値は、約0.085と求められ得る。後続の放電が化学反応式(5)に従うならば、FeSの化学式は、約FeS1.92となる。FeSが主にFeの形態(磁硫鉄鉱)を取るならば、後続のサイクル化学反応は、化学反応式(6)に従い得る。
充電生成物は、ナノ結晶斜方晶系FeS、FeSの硫黄欠損相、および単体硫黄の多相混合物であり得る。したがって、充電生成物は、アモルファス硫黄欠損FeSおよび硫黄に包まれたナノ結晶斜方晶系FeSであると考えられている(図6(a)参照)。
電量滴定は、初期放電は、速度論的に制限されており、後続の放電は、同様の反応経路をたどることを示している(図5(a)参照)。ナノ結晶斜方晶系FeSは、より速い反応レートを可能にする。
硫黄の還元は、充電の際、約2.2Vで観測されたが、図5(b)に示すように、充電の際、LiSの酸化は観測されなかった。FeS相および単体硫黄は、高分解能TEM像において観測されるアモルファスドメインを説明し得る。硫黄欠損FeS相の存在と、斜方晶系FeSの観測とは、矛盾しない。斜方晶系FeSは、非常に弱い温度非依存性の常磁性を呈する。このことから、先述の研究で用いられた57Feメスバウアー分光法は、斜方晶系FeSと、FeSおよび立方晶系FeSなどのその他の強い温度依存性の常磁性相とを区別できなかったこともあり得る。例として、Feは、フェリ磁性であり、他方、FeSは常磁性である。なお、フェリ磁性の効果は、はるかに強力である。
図4に示されるDFT解析の結果は、極めて反応性に富むFeの原子の粒子の形成を示す。完全に放電されたアモルファス状のLiFeSモデル(図4(a))は、FeナノクラスターのLiSからのナノスケールの分離を示す。完全放電、x=4の際の平均Fe−Fe原子間距離(dFe−Fe)は、バルクのFeよりもはるかに短い(図4(b))。より短いdFe−Feは、Feが強い触媒活性であることを示す。結果はまた、充電生成物として単体硫黄の存在を示す。x=0では、この原子モデルは、比較的開いた構造でのある程度のFeS結晶化を表す(図4a)。x=0モデルはまた、S二量体の存在を表す。これは、本シミュレーションにおいて、FeSの完全な結晶化を抑制する単体硫黄の存在である。観測されるFeS2−yナノクラスターは、立方晶系FeSではなく、斜方晶系FeSへと結晶化し得ることがあり得るが、これは、前者の密度の方が低いためである。
先へ進む前に、上記および特定の実施例を参照して以下にさらに説明される周囲温度における可逆的金属リチウム硫化鉄(FeS)固体電池例の記述は、説明の目的のために提供されるのであり、限定するものではないことに注意されたい。これらおよびその他の材料の両方、またはいずれか一方を用いる、その他の装置および装置構成の両方、またはいずれか一方は、本明細書の教示に通じた後に当業者に理解されるように利用され得る。
実施例1
この例では、上述の電池は、Sigma Aldrichから市販されているポリビニルピロリドン(PVP、Mw,avg=10,000)およびFeCl・4HO(>99%)、Mallinckrodt Backer Inc.から入手したエチレングリコール(99%)、ならびにFischer Scientificから入手した硫黄を用いて、実験室規模の解析用として作成した。HPLCグレードの水、分析用NaOH、および無水エタノールをさらなる精製なしで用いた。FeS合成法は、ソルボサーマル反応条件を用いた。反応用誘電加熱は、マイクロ波反応器を設けた。その高い再現性および自動化能力のために、マイクロ波加熱を選択し、この方法を高スループット合成に適合させた。
反応のために、磁気撹拌子を有する35mL電子レンジ対応フラスコ内において、17mLのエチレングリコールを600mgのPVPに加えた。次いで、127mgのFeCl・4HO(0.64mmol)を導入した。次に、8mLの1M NaOHを加えたところ、暗緑色を生じた。最後に、180mgの硫黄を加えた。色を緑色から黒色に変えながら、この溶液を20分間撹拌した。このプロセスの間、一部の硫黄は溶解せずに残った。次いで、反応用フラスコの蓋を閉め(完全の70%)、電子レンジへ入れた。
この実施例では、Discover SP(CEM Inc)電子レンジを用いた。赤外線で検出して190℃になるまで、試料を75Wの電力で照射した。加熱には約7分を要し、この温度で12時間保った。約690kPaの自生圧力が生じた。反応完了後、生成物を圧縮空気により冷却した。
結果として得られる銀色の沈殿物を遠心分離によって分離した後、エタノール中で超音波処理することによって、3回洗浄した。次いで、沈殿物をエタノール中に格納し、電池を利用のために、50℃で一晩真空乾燥した。Cu−ΚαX線回折(XRD)測定、FESEM顕微鏡法(JEOL−7401F)、およびラマン分光法(Jasco−3100)によって、合成FeSの特性を明らかにした。
この実施例のためのセルの製作およびセルの試験は、不活性アルゴンガス環境下で行った。本研究で用いた全固体セルは、77.5LiS−22.5P二元固体電解質を基礎とした。複合体陽極は、合成により調整されたFeS、77.5LiS−22.5P、およびカーボンブラック(Timcal Super C65)がそれぞれ、10:20:2の質量比の混合物を有した。複合体陽極は、瑙製乳鉢および乳棒を用いて混合した。安定化リチウム金属粉末(SLMP)を陰極(FMC Lithium Corp.)として用いた。固体セルの構造は、チタン−ポリアリルエーテルエチルケトン(PEEK)試験セルダイを利用した。200mgの固体電解質粉末をPEEKセルダイにおいて1メートルトンで押圧した。次いで、5mgの複合体陽極および安定化リチウム金属粉末を5メートルトンで押圧することにより、固体電解質層の反対側に取り付けた。
合成FeS、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)バインダー(Alfa Aesar)およびアセチレンブラック(Alfa−Aesar、50%圧縮)がそれぞれ6:2:2の質量比の電極スラリーを塗布することにより、液体セルを製作した。まず、PVDFバインダーをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(Alfa−Aesar)溶媒に溶解した。次いで、FeSおよびアセチレンブラックをPVDFバインダー中に撹拌しながら投入した。アルミニウム箔(ESPI Metals、0.001インチ厚)上に50μm厚のスラリー層を塗布し、単壁重力対流式オーブン(Blue M)において60℃で5時間乾燥させた。良好な電子的な接触を確保するために、次いで、電極シートをDurston製圧延装置で全厚さの75%まで圧延した。直径9/16インチの電極を打ち抜いて、アルゴン環境中において200℃で一晩熱処理した。次いで、FeS電極を、リチウム箔陰極(Alfa−Aesar、0.25mm厚)および1M LiPF電解質と共に、コインセルに組立てた。
セルは、Arbin BT2100電池試験機を用いて、室温(30℃)および高温(60℃)で、定電流でサイクルを繰り返させた。表記されているCレートは、FeSの理論容量である894mAh g−1に基づいている。反応平衡は、定電流間欠滴定法(galvanostatic intermittent titration technique、GITT)で検討した。
実施例2
図7から図9は、実施例2に関して取得された実際のデータを示すプロットである。具体的には、図7は、マイクロ波合成で作られた固体リチウム電池におけるFeSの充電/放電プロファイルを示す。図8は、遊星ボールミル粉砕(C/10でサイクルを繰り返させた)によって組み合わされたFeS+SのサイクルにおけるFeSのその場形成の充電/放電プロファイルを示す。図9の上のプロットは、FeSの特性を示しているが、著しく容量が低下しており、後述の化学反応式7および8に相当する電圧の平坦域が存在していない。室温での放電の際には、セル内の内部抵抗に起因してわずかな電圧低下が観測され、また同様に充電でも若干電圧が高くなる。可逆性の著しい低下もまた観測され、1回目のサイクルのクーロン効率は、室温および高温のFeSセルで両方とも75%未満である。図8の下のプロットは、(a)室温および(b)高温でのFeSの1回目のサイクルを示す。
この実施例では、図7に示されるように、室温(25℃)および高温(60℃)の両方の環境において、高い伝導性を持つ硫化物ベースの固体電解質を利用する固体電池をFeS電極の可逆的サイクリングに用いた。さらに、高温試験では、C/8までレートを上げても容量の損失がないことが示された。1回目のサイクルは、1.0VまでのLiSおよびFeの形成の反応を示す。可逆的サイクリングは、極めて反応性に富む鉄によって可能になり、LiSの脱リチオ化を成功させ、充電プロファイルにおいて視認し得る以下の化学反応式による、後続の様々なLi−Fe−S化合物の形成を可能にする。
第1のサイクルの後、明確な電圧平坦域が存在して、充電の際のFeS(放電から)の形成の成功、および放電の際の後続の特定の可逆的Li−Fe−S相の形成を示す。
FeSは、その他の材料の定比の組み合わせを用いて、第1のサイクルの間にその場形成される(またさらに、多くのサイクルの過程にわたって生じる)。FeSとSは、乳鉢および乳棒での粉砕、またはボールミル粉砕によって混合して、FeSを形成することなく、単純に両方を加えたものである活物質を生成した。
第1の放電の後、FeSおよびSに相当する平坦域が存在し、マイクロ波合成によって作られたFeSと同様の容量となった。比較すると(図8)、FeSとFeS+Sとの電極の放電プロファイル間に違いがあることが分かる。しかしながら、これら両方とも、LiSの可逆的サイクリングを可能にする同じ極めて反応性に富む鉄種を生じた。FeSの同様のピークに相当する電圧平坦域が、充電の間に、FeS+S電極(図8)に生じた。後続の放電(2回目のサイクル)は、これらが高い可逆性およびFeS/S電極からのFeSの反応平坦域を呈することを示す。この理解に基づいて、別の電位系が、ボールミル粉砕または手で混合された単体鉄および硫黄からのFeSの電気化学的形成を含むことにさらに注意されたい。
固体電解質の熱電気化学的活性化
本明細書において、固体電解質の熱電気化学的活性化も説明される。セルのエネルギー密度を高めるために、限定されるものではないが、xLiS−(100−x)Pを含む、硫化物ベースの固体電解質における固体電解質(例えば、LiS)を熱的に活性化することが望ましいこともある。セルを最初に高温で充電すると、一例では、セルのエネルギー密度は、50%を上回って増加する。
説明の目的のために、2つの異なる複合体電極、すなわち、それぞれ20:1の質量比の80LiS−20P:アセチレンブラック複合体と、それぞれ10:20:1質量比のTiS:80LiS−20P:アセチレンブラック複合体とを調べた。この実施例におけるセルは、In金属陰極を有する。しかしながら、特許請求の範囲は、これらの電極に限定されるものではなく、本明細書の教示に通じた後に当業者に理解されるように、適切な代替物が用いられ得る。
図10は、LiSの活性化は、加えられた熱エネルギー(例えば、約60℃)だけでなく、TiSのイオンおよび電子の両方の伝導率に基づくことを示すプロットである。図10に示される充電比容量は、TiS固体電解質およびアセチレンブラックの全質量に基づく。高温でさえ、固体電解質のみを有する複合体は容量が見られない。同様に、TiSを有する複合体はまた、室温で充電される場合、容量が見られない。
しかしながら、TiSを有する複合体電極は、約60℃の高温で充電される場合、13mAh g−1の充電容量を呈した。これは、TiS質量に基づけば、約40mAh g−1の充電比容量に相当する。これらのセルがリチウムイオン構成を有し、TiSが既に充電状態にあることから、これらのセルの唯一のリチウム源は、LiSであった。高温で電流が流された状況において、TiSの高いイオンおよび電子伝導特性によってその他の場合は不活性なLiSイオンが活性化されたと考えられている。その他の遷移金属硫化物は、TiSと同様の材料特性を有し、同様のLiS活性化処理において有用であり得る。
図11は、ナノLiTiSを用いるLiSの熱電気化学的活性化の結果を示す。図11は、C/5およびC/5の充電および放電のレートでサイクルを繰り返させた、10:20:1質量%のナノLiTiS:80LiS−20P:アセチレンブラック複合体電極を有するセルを示すプロットである。下方のデータ系列(四角)は、30℃で(熱電気化学的活性化なしで)サイクルを繰り返させたセルを示し、上方のデータ系列(三角)は、室温にする前に60℃で最初に充電されたセルを示す。LiNの分解を含む、機械−化学粉砕処理を用いて、ナノLiTiSを合成した。複合体電極は、ナノLiTiS:80LiS−20P:アセチレンブラックが10:20:1質量比の混合物である。
この実施例におけるセルは、In金属陰極を有し、C/5の充電および放電レートでサイクルを繰り返させる。しかしながら、初期充電および放電サイクルは、両方ともC/10のレートで行う。提示された充電比容量は、複合体電極に最初に存在しているTiSの質量に基づく。
室温でサイクルを繰り返させた第1のセルは、40サイクル後、約230mAh g−1の非常に安定な容量を示した。第2のセルは、60℃で初期高温活性化充電を経る。次いで、1回目の放電および以降のすべてのサイクルに向けて、室温(約30℃)に移行する。このセルは、約40回目のサイクルの後、345mAh g−1の放電容量を示す。これは、LiTiSの理論容量226mAh g−1に対して、約119mAh g−1(あるいは約53%)の容量増加を表す。
ナノLiTiSで観測された容量増加は、TiS−80LiS:P−アセチレンブラック複合体で達成された40mAh g−1の超過容量よりもはるかに大きい。ナノLiTiS粒子のより広い表面積が、固体電解質におけるLiSの活性化をより容易に促進すると考えられる。先の発見を支持するために、ナノLiTiS複合体電極のレート特性を図12に示す。
図12(a)から図12(d)は、10:20:1質量%LiTiS:80LiS−20P:アセチレンブラック複合体電極の説明のためのレート研究のプロットであり、ここで、図12(a)および図12(b)は、30℃、図12(c)および図12(d)は、60℃におけるものである。図12(a)から図12(d)におけるプロットは、図11に示された結果の再現性を裏付ける。高温でサイクルを繰り返させたセルは、LiTiSの理論容量226mAh g−1よりも160mAh g−1上回る放電容量を呈する。
この実施例におけるセルは、Li金属陰極を有して、高速なイオン移動を可能にする。なお、高温でサイクルを繰り返されたセルは、C/2のレートで、ほぼ390mAh g−1の放電比容量を呈し、他方、室温でサイクルを繰り返されたセルは、C/2で、210mAh g−1のみを呈する。高温での繰り返し充電が、固体電解質におけるLiSを活性化し、超過容量を提供する。
図13(a)および図13(b)は、リチウム金属セルのサイクルデータを示すプロットである。プロットは、60℃でサイクルを繰り返させた10:20:1質量%Fe8/7+S:77.5LiS−22.5P:アセチレンブラック複合体カソードを有するリチウム金属セルのサイクルデータを示す。高温では、セルは、最初の10サイクルの間に容量を増す。容量増加は、S/LiS酸化還元反応に起因する。過剰な硫黄の活性化が、約2.2Vでの電圧平坦域の発生に貢献している。セルは、第1の放電では約807mAh g−1の放電比容量を有するが、9回目のサイクルでは1341mAh g−1の放電比容量を有することが分かる。このことは、約534mAh g−1の活性化を示している。活性化された容量は、2.2VでのS/LiS還元平坦域の発生に起因する。
上述のように、この実施例における特定の固体電解質系は、xLiS−(100−x)Pである。しかしながら、本技術は、任意のLiS含有硫化物ベースの電解質系に適用可能であり、LiS−GeS−PまたはLiS−SiSに限定されない。これらの固体電解質は、ガラスセラミックとして知られている。電解質合成(例えば、溶融急冷法またはメカノケミカル粉砕)の間、LiSは、GeS、P、およびSiSに限定されないガラス形成体に組み込まれる。超イオン伝導結晶相はまた、後続の熱処理の際にガラス状マトリクスに沈殿する。これらの結晶相が分解し、一部の超過容量をもたらすこともある。
図14は、80LiS−20P固体電解質例、10:20:1質量%LiTiS:80LiS−20P:アセチレンブラック複合体電極例、およびLi1.0TiSおよびLiSのインデックス付きスペクトルのX線回折(XRD)スペクトルである。この図の固体電解質のXRDスペクトルは、約27度および約31.2度でLiSのピーク形成を示し、固体電解質にいくらかのLiSドメインが依然として存在していることを示す。追加の容量は、固体電解質における超過LiSの反応の結果であると考えられている。77.5LiS−22.5P固体電解質は、活性化反応に関与する超過LiSが少ないと予測される。
25℃での充電の際、CuS形成およびLiS分解の証拠が存在する。この実施例におけるセルは、最大約150mAh g−1の初期充電容量を呈する傾向がある。Cuを持たない複合体は、容量を持たない傾向があり、Cuが固体電解質における反応種であることを示す。
本明細書に説明されるプロセスは、類似であるが、いくらか異なるものでもある。すなわち、Cuは反応して、CuSを形成する一方、TiSは化学的/構造的に安定のままである。TiSは、挿入電極材料であるが、CuSは、変換電池材料である。TiSは、超過LiSを電気化学的に活性化することに成功するが、これは、イオンおよび電子の両方の伝導性が高いためである。本明細書に説明されるプロセスは、室温で超過容量が観測されない、高温での初期充電に基づく。
本明細書に開示される硫化鉄(FeS、FeS、またはFeS+S)系は、むしろCuS電極に近い。リチオ化(還元)の間、FeSは、TiSのように化学的/構造的に安定ではない。かわりに、FeSは、4Liと変換反応において反応して、Feおよび2LiSの完全に還元された生成物を形成する。Feは、LiSの酸化のための触媒として作用する。酸化生の成物は、FeSの様々な電気化学的な導電相を含む。次いで、これらの層は、固体電解質に存在する超過LiSを電気化学的に活性化するのを助ける。
バルクタイプ全固体鉄硫黄カソードの電気化学的進展
上述のリチウム全固体電池はまた、上述のように熱的に活性化されるが、高容量変換電池材料(例えば、FeS)等価物を用いて作られ得る。FeS相のその場電気化学的形成、および、より高い電極全体のエネルギー密度のためのガラス電解質の可逆的利用として、以下の議論で実施例が説明される。しかしながら、リチウム全固体電池は、そうした実施に限定されるものではない。
以下に示す結果は、変換活物質およびガラス電解質の間で電気化学的に構成された界面は、良好なレート特性を維持しながら、ASSLBのエネルギー密度を高めるために利用され得ることを示している。
説明の目的のために、鉄硫黄ベースの全固体複合体電極の合成は、3段階遊星ボールミル粉砕手順(Across International、PQ−N2)によってなされ得る。77.5LiS−22.5P(モル比)ガラス電解質は、約0.832gのLiS(Aldrich、99.999%、試薬用グレード)および約1.168gのP(Aldrich、99%)を、500mLステンレススチールバイアル(Across International)中で、2個のステンレススチールボール(直径約16mm)および20個のステンレススチールボール(直径約10mm)と共に、約400rpmで約20時間粉砕することによって調整され得る。
モル比1:1のFeS:S活物質複合体(FeS+Sと記す)は、約0.733gのFeS(Aldrich、産業用グレード)および約0.267gの硫黄(Aldrich、99.98%)を、100mL瑪瑙製ジャー(Across International)中で、5個の瑪瑙製ボール(直径約10mm)および50個の瑪瑙製ボール(直径約6mm)と共に、約400rpmで約20時間粉砕することによって調整され得る。
複合体電極は、ある割合の調整されたFeS+S、77.5LiS−22.5Pおよびカーボンブラック導電性添加剤(Timcal、C65)を、100mL瑪瑙製ジャー中で、5個の瑪瑙製ボール(直径約10mm)および50個の瑪瑙製ボール(直径約6mm)と共に、約400rpmで約18時間粉砕することによって合成され得る。
一例では、セルの製作およびセルの試験は、不活性アルゴンガス環境下で行ったが、その他の環境もまた利用され得る。作用電極は、約5mgの機械的に調整されたFeS+S複合体電極である。この例では、約5mgのリチウム金属粉末(SLMP)を対極として用いた(FMC Lithium Corp、Lectro Max Powder100)。固体電池のシェルは、チタン−ポリアリルエーテルエチルケトン(PEEK)試験セルダイであった。各セルを製作するために、まずPEEKセルダイ内において、ガラス電解質粉末を約5メートルトンで圧縮して、セパレータペレットを形成した。この例では、次いで、約5メートルトンの力で、約5mgの複合体陽極およびSLMPをガラス電解質ペレットの反対側に取り付けた。
FeS+S/Li電池の電気化学反応の特性を明らかにするために、様々な異なる電池を製作した。さらにその他の実施例も意図されており、本明細書に説明された実施例は単に説明のためである。一例では、これらの電池のFeSは、約2gのFeSを、100mL瑪瑙製ジャー(Across International)中で、5個の瑪瑙製ボール(直径約10mm)および50個の瑪瑙製ボール(直径約6mm)と共に、約400rpmで約20時間機械的に粉砕することによって調製した。サイクルを繰り返させたXRD試料を電気化学的に調製するために用いたセルは、165mgのFeS複合体カソードと、InLi合金アノードとを有した。これらのセルは、InLi合金の電位が約0.62V vs.Li/Liであることから、より低い電位で動作する。
これらの例では、すべてのセルは、Arbin BT2000電池試験機を用いて、約60℃で定電流定電圧(CCCV)条件下においてサイクルを繰り返させた。FeS電極の全容量が移動目標であることから、レート特性は、Cレートではなく電流で説明される。特段の記載の無い限り、比容量は、複合体電極の全質量に対して与えられる。材料は、電界放射型走査型電子顕微鏡(FESEM、JEOL JSM−7401F)およびCu−ΚαX線(XRD)測定で特性を明らかにされる。
図15は、(a)FeS+S複合体活物質およびFeS前駆体のXRDを、FeおよびFeSのインデックス付き反射と共に示す。FeS前駆体は、FeSおよび鉄欠損Fe1−xS相の多相混合物であり得る。メカノケミカル粉砕の後、FeSおよびSの反射のみが観測され、これは、FeSを形成する固体反応が生じなかったことを示す。また、(b)は、FeS+S複合活物質のFESEM顕微鏡写真である。
図15(a)に示されるXRD測定結果は、FeS前駆体が部分的にFeSからなることを示す(トロイリ鉱)。しかしながら、前駆体はまたフェリ磁性を呈し、これは、FeSおよびFe(磁硫鉄鉱)などの鉄欠損相の多相混合物であり得ることを示す。44.64°の未同定のピークは、その他の相もまた存在し得ることを示唆している。
Sとの機械粉砕後、FeSの反射は、強度が低下し、広がって観測される。このことは、機械的研磨作用による平均粒子サイズの低下と一致する。さらに、新しい反射は観測されず、これは、単体FeSおよびSのナノ複合体が、均質な混合物であること示唆している。37.1°のピークは、S前駆体の強い(317)反射に起因し得る(JCPDS#832285)。図15(b)は、FeS+Sナノ複合体は、サブミクロンサイズの粒子からなることを裏付ける。
FeS+S複合体電極の経時的な電気化学的挙動は、複雑である。図16は、(a)FeS+S/Li電池のサイクル安定性を示す。FeS+Sの活物質組成が、900mAh g−1の理論上の比容量を有すると仮定すると、電極の比容量は、281mAh g−1を超えないはずである。超過容量は、77.5LiS−22.5Pガラス電解質成分の電気化学的利用の証拠である。そして、図16(b)から図16(e)は、同じ電池のサイクル1、2、10、20、30、40、60、および150の電圧プロファイルである。サイクル数に対する電圧プロファイルの変動性は、電気化学的反応の進展を示唆している。
図16(a)は、144μAの電流で60℃でサイクルを繰り返させた、5mg電極のサイクル安定性を示す。電極は、初期放電320mAh g−1、またはFeS+Sナノ複合体活物質の質量分率のみに基づけば1020mAh g−1を呈する。FeS+Sの理論容量は、およそ900mAh g−1だけのはずであるが、FeS前駆体に存在するその他の鉄欠損相が実際の理論値に影響する。初期放電後、電極は、最大容量550mAh g−1まで急速に容量を増し、最大エネルギー密度1040Wh kg−1は、16回目のサイクルで達成される。この最大値の後には、68回目の−サイクルで電極の容量が330mAh g−1で安定するまで、容量低下の長い段階が続く。初期放電および150回目のサイクルの両方とも、320mAh g−1に非常に近い比容量を呈するが、これらのサイクルのエネルギー密度はそれぞれ、470および600Wh kg−1である。類似の比容量にもかかわらず、エネルギー密度における食い違いは、電圧プロファイルのより高い電位への進展の反映である。図2(b−e)は、それぞれ、1回目および2回目、10回目および20回目、30回目および40回目、ならびに60回目および150回目のサイクルの電圧プロファイルを提示する。
電圧プロファイルの進展は、電極の容量の増加、低下および安定化に関連付けられ得る。FeS+S電極の挙動を理解するために、dQ/dV解析を用いて、対応する酸化還元化学反応を定性的に同定した。図17は、(a)FeS、合成FeS、およびSの複合体カソードを有するバルクタイプ全固体Li金属電池のdQ/dVプロファイル、および(b)−(e)サイクル1、2、10、20、30、40、60および150のFeS+S/Li電池例のdQ/dVプロファイルを示す。3つの対応する酸化還元化学反応の進展は、電池容量変化の要因であることが観測される。2.13−2.19および1.56−1.51Vの間の電圧範囲の還元ピークを対にすることは、FeS相のその場電気化学的形成の証拠を提供する。
図17aは、ASSLBにおけるFeS、FeS、およびSの特徴的挙動を示す。FeS化学反応は、2.20、2.14および1.49Vの主要な還元ピークによって特徴付けられ、他方、Sは、2.2Vの還元ピークによって、またFeSは、1.55Vのピークで特徴付けられる。1回目および2回目のサイクルに関する図17bのdQ/dVプロファイルは、FeSおよびSのみの還元の証拠を示す。セルの容量が増えると、同様に電圧プロファイルの複雑さも増す。10回目および20回目のサイクルでは、図17cのdQ/dVプロファイルは、FeS、SおよびFeSの還元の証拠を示す。2.14−2.19Vおよび1.51−1.56Vの電圧範囲の還元ピークを対にすると、FeSの還元は明らかである。FeSのその場電気化学的形成の証拠が提示されたのはこれが最初である。
次に、容量低下は、Fe⇔Fe2+の還元および酸化に関係するピークの下降に関連づけされる。容量低下段階の間、30回目および40回目のサイクルに関する図17dのdQ/dVプロファイルは、Feの酸化還元ピークが消失し、Sの酸化還元ピークが比較的安定して残っていることを示す。60回目のサイクルでは、図17eのdQ/dVプロファイルは、電極は、ある程度の安定性に至っている。長期間のサイクルの容量低下は、Feの酸化還元ピークの連続的な低下およびSの酸化還元ピークの低下に関係する。
77.5LiS:22.5Pガラス電解質の電気化学的利用は、FeSベースの電極の域外(ex−situ)XRD測定を参照して理解され得る。この例では、FeS+Sの代わりにFeSを用いて、解析を簡便にした。セラミック電解質回折パターンがないこともまた解析を簡便にすることから、ガラス電解質を用いた。FeS+S活物質のナノサイズの形態を模倣するために、この実験で用いたFeSは、機械的に粉砕した。
図18は、(a)粉砕中に相変化がないことを示す粉砕前後のFeSのXRD、(b)製造供給元から受け取った際のFeSのFESEM顕微鏡写真、および(c)機械粉砕後のFe1−xSのFESEM顕微鏡写真を示す。XRDおよびFESEM解析は、機械粉砕は必要な粒径減少を提供することを裏付ける。ナノFeSの利用は、ガラス電解質と良好な接触を得るのに役立つ。
図19(a)は、2つの初期に過充電されるFeS/LiIn電池の電圧プロファイルを示す。完全な過充電(実線)および完全放電(点線)の後、XRDのために複合体電極を回収した。図19(a)に見られるように、初期過充電(実線)後、および完全放電後(点線)にFeS複合体電極を回収した(図4a)。
図19(b)では、すべてのXRD測定結果は、β型Be試料窓(点線)の(100)反射で正規化されている。LiS反射は、点線で示され、Fe1−xS反射は、実線で示される。初期完全放電までサイクルさせたXRD試料は、低い容量を呈するが、これは、電極複合体が機械的にではなく、手で混合されたためである。FeSはすでに完全に充電された状態にあるため、これらのセルの電荷容量は、ゼロを示すべきである。かわりに、両方のセルは、約100mAh g−1の過充電容量を達成する。
図19(b)のサイクルさせたFeS複合体電極のXRDから、この容量が、複合体電極のガラス電解質成分における超過LiSの利用に関係することが分かる。ガラス電解質の回折パターン1950は、LiSの反射を含む(点線)。予想されるように、未サイクルの複合体電極の回折パターン1951は、LiSおよびFeSの反射を含む(実線)。初期過充電の後1952、LiSの反射は消失する。電極が初期過充電の後に放電される場合1953、FeSの反射は消失し、LiSの弱い反射が再び検出される。この試料におけるLiSの反射の強度の低下は、電気化学的に沈殿されたLiS粒子のサイズが小さいことに起因すると考えられている。
超過容量がガラス電解質における超過LiSの利用の結果であると考えることがどの程度妥当であるかを判断するために、図16および図17に示されるセル内で酸化されたLiSの割合は、FeS+Sのすべてが電気化学的に利用されると仮定することによって、また、達成される最高の容量は2.8mAhであることを踏まえて推定し得る。この容量のほんの一部は、図21に示されるように、電極/ガラス電解質セパレータ界面におけるガラス電解質の利用に起因し得る。
図20は、1回目から17回目までのFeS/LiIn電池の電圧プロファイルを示す。ここで、カソードは、全体に5mgのナノFeSから構成される。通常、FeSは、可逆的に単一の平坦域のみを呈するはずである。しかしながら、サイクルを繰り返すと、この電池は、およそ1.4V vs.InLiにおいて、より高い電圧平坦域を生じる。第2の平坦域の発生は、電極/ガラス電解質セパレータ界面におけるガラス電解質のLiSの電気化学的利用に起因し得る。17回目のサイクルでは、最大300μAhまでの容量は、ガラス電解質セパレータの利用に起因し得る。この界面利用効果は、比容量の過大評価につながり、観察される超過容量に寄与し得る。
ガラス電解質セパレータの利用は、特に、このケースのように電極が非常に小さい場合、比容量の過大評価につながり、観察される超過容量に寄与し得る。FeS+S成分は、最大容量の1.45mAhを占め得る。ガラス電解質セパレータの利用を考慮することなしで、残りの容量は、ガラス電解質におけるLiS1.16mg、または86%が電気化学的に利用されることを示す。
このような大きな割合のLiS成分は、複合体電極のイオン移動を減らさなければ、おそらく酸化されない。さらに、別のFeS+S電極について、5サイクルの活性化の後、60℃でレート試験を行い、良好な特性が観測された。
図21は、(a)流された電流の関数として、電池の放電比容量、また(b)流された電流の関数として、同じ電池の電圧プロファイルを示す。電極は、約2.40mAの電流を流した状態で、200mAh g−1の比容量を維持する。良好なイオン移動を維持するためには、ガラス電解質のP成分もまた電気化学的に利用され得ることがあり得る。Pの利用は、超過LiSが最初にSに酸化される充電サイクルの間だけではなく、放電サイクルの間に容量が増加する理由を説明する。
なお、図16および図17に示されるセルの初期放電比容量が、図20のものと類似する一方で、各セルの容量活性化の程度およびレートは、かなり異なる。5回目のサイクルでは、第1のセルは、約488mAh g−1の比容量を呈する一方で、レート試験に用いられたセルは、たった約400mAh g−1の比容量を呈する。レートセルの最大容量はまた、第1のセルで達成されたものよりも約15%低い。
これら2つの試料の電極は、別々に調整されており、ガラス電解質の品質に対する電解質活性化の感度を証明する。電解質感度は、電解質利用がみられなかった別の研究の結果によって強調される。本研究と同様、ナノFeSを活物質として用い、LiSを電解質のための前駆体であった。しかしながら、電解質が異なる組成、すなわち、チオLISICON Li3.25Ge0.250.75であり、メカノケミカル粉砕のかわりに、溶融急冷法により調整された。先の研究もまた、ガラス電解質の電気化学的活性化の証拠を示さなかった。本研究では、合成FeSの3つの5ミクロンの立方晶を活物質として用いた。このような大きな粒子サイズは、ガラス電解質および活物質の間の接触が不良になり、電解質利用を妨げる。立方晶FeSはまた、本研究で用いたフェリ磁性Fe1−xS前駆体よりもはるかに低い電子伝導性を備える半導体である。
なお、μmCu粉末をSまたはLiSと機械的に組み合わせる設計は、さらに改善され得る。例えば、変換材料、FeFおよびCuFは、還元された金属ナノ粒子のナノ構造ネットワークが良好な可逆性のために利用され得ることを示唆する。したがって、ミクロンレベルの活物質粒子での機械的混合は、良好な可逆性または良好な電解質利用には理想的ではない。かわりに、電気化学的に還元されたナノ活性金属粒子は、電解質だけでなくその他の還元種に対するそれらの良好な原子近接性に起因して用いられて、さらに可逆性および効果的な電解質利用を強化し得る。
本明細書に図示および説明された実施例は、説明の目的のためにのみ提供されたものであり、限定するものではない。さらにその他の実施例もまた企図される。
本明細書に図示および説明された実施例は、説明の目的のためにのみ提供されたものであり、限定するものではない。さらにその他の実施例もまた企図される。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)単体硫黄と混合した遷移金属硫化物を有するカソードを備える全固体リチウム電池において、
完全放電の際、前記カソードが変換反応を経て、遷移金属+リチウム硫化物を形成し、
完全充電の際、前記カソードが変換反応を経て、遷移金属硫化物+リチウム+電子を形成する、全固体リチウム電池。
(2)前記遷移金属硫化物が、モノスルフィド、ジスルフィド、およびトリスルフィドから選択される、(1)に記載の電池。
(3)遷移金属硫化物が機械的に組み合わされる、(1)に記載の電池。
(4)前記カソードが、固体電極(SSE)粒子と、導電性添加剤とを備える、(1)に記載の電池。
(5)前記カソードおよびアノードの間に固体電極(SSE)層をさらに備える、(1)に記載の電池。
(6)リチウム金属、グラファイト、またはシリコンベースの活物質を含むアノードをさらに備える、(1)に記載の電池。
(7)前記カソードが、FeS またはFeS の等価物から選択される、(1)に記載の電池。
(8)硫化鉄(FeS)および単体硫黄(S)前駆体からの黄鉄鉱(FeS )のその場電気化学的合成方法であって、
中程度の温度でFeS+S複合体電極をサイクリングするステップを備え、
充電生成物が、以下の化学反応式、
で記述される、硫化鉄(FeS)および単体硫黄(S)前駆体からの黄鉄鉱(FeS )のその場電気化学的合成方法。
(9)FeS+Sで、あるいはFeS の等価物として構築された電池セルにおいてFeS を示す電圧平坦域を生成するステップをさらに備える、(8)に記載の方法。
(10)さらなるサイクリングに応じて、前記電圧平坦域がより明確になる、(9)に記載の方法。
(11)前記中程度の温度が約60℃である、(8)に記載の方法。
(12)FeS の初期放電が2つの段階、すなわち、
で進行する、(8)に記載の方法。
(13)後続の充電および放電サイクルが、以下の反応、すなわち、
にしたがって進行する、(12)に記載の方法。
(14)固体リチウム電池であって、
固体電解質と、
活性化剤とを備え、
前記活性化剤が、前記固体電解質において超過Li Sを活性化して、改善された充電容量を実現する、固体リチウム電池。
(15)固体電解質が硫化物ベースである、(14)に記載の電池。
(16)前記活性化剤が、FeS、TiS 、FeS 、および/または、FeS の等価物などの遷移金属硫化物である、(14)に記載の電池。
(17)前記活性化剤が、高いイオン伝導特性および電子伝導特性の両方、またはいずれか一方を有する、(14)に記載の電池。
(18)前記活性化剤の前記高いイオン伝導特性および電子伝導特性が、前記固体電解質を活性化する、(17)に記載の電池。
(19)前記活性化剤が、前記固体電解質において他の不活性超過Li Sを活性化する、(18)に記載の電池。
(20)前記改善された充電容量が、高温での単一の充電イベントの後に実現される、(14)に記載の電池。
(21)前記高温が約60℃である、(20)に記載の電池。
(22)前記改善された充電容量が、約50%よりも大きい、(20)に記載の電池。
(23)前記硫化物ベースの固体電解質が、xLi S−(100−x)P である、(14)に記載の電池。
(24)複合体電極をさらに備える、(14)に記載の電池。
(25)前記複合体電極が、80Li S−20P :アセチレンブラックである、(24)に記載の電池。
(26)前記複合体電極が、TiS :80Li S−20P :アセチレンブラックである、(24)に記載の電池。
(27)In金属陰極をさらに備える、(24)に記載の電池。
(28)固体リチウム電池活性化方法であって、改善された充電容量を実現するために、固体電解質において超過Li Sを熱電気化学的に活性化するステップを備える、固体リチウム電池活性化方法。
(29)前記改善された充電容量が、高温での単一の充電イベントの後に実現される、(28)に記載の方法。
(30)前記高温が約60℃である、(29)に記載の方法。
(31)前記改善された充電容量が、約50%よりも大きい、(29)に記載の方法。
(32)FeS 等価カソードをさらに備える、(29)に記載の方法。

Claims (32)

  1. 単体硫黄と混合した遷移金属硫化物を有するカソードを備える全固体リチウム電池において、
    完全放電の際、前記カソードが変換反応を経て、遷移金属+リチウム硫化物を形成し、
    完全充電の際、前記カソードが変換反応を経て、遷移金属硫化物+リチウム+電子を形成する、全固体リチウム電池。
  2. 前記遷移金属硫化物が、モノスルフィド、ジスルフィド、およびトリスルフィドから選択される、請求項1に記載の電池。
  3. 遷移金属硫化物が機械的に組み合わされる、請求項1に記載の電池。
  4. 前記カソードが、固体電極(SSE)粒子と、導電性添加剤とを備える、請求項1に記載の電池。
  5. 前記カソードおよびアノードの間に固体電極(SSE)層をさらに備える、請求項1に記載の電池。
  6. リチウム金属、グラファイト、またはシリコンベースの活物質を含むアノードをさらに備える、請求項1に記載の電池。
  7. 前記カソードが、FeSまたはFeSの等価物から選択される、請求項1に記載の電池。
  8. 硫化鉄(FeS)および単体硫黄(S)前駆体からの黄鉄鉱(FeS)のその場電気化学的合成方法であって、
    中程度の温度でFeS+S複合体電極をサイクリングするステップを備え、
    充電生成物が、以下の化学反応式、
    で記述される、硫化鉄(FeS)および単体硫黄(S)前駆体からの黄鉄鉱(FeS)のその場電気化学的合成方法。
  9. FeS+Sで、あるいはFeSの等価物として構築された電池セルにおいてFeSを示す電圧平坦域を生成するステップをさらに備える、請求項8に記載の方法。
  10. さらなるサイクリングに応じて、前記電圧平坦域がより明確になる、請求項9に記載の方法。
  11. 前記中程度の温度が約60℃である、請求項8に記載の方法。
  12. FeSの初期放電が2つの段階、すなわち、
    で進行する、請求項8に記載の方法。
  13. 後続の充電および放電サイクルが、以下の反応、すなわち、
    にしたがって進行する、請求項12に記載の方法。
  14. 固体リチウム電池であって、
    固体電解質と、
    活性化剤とを備え、
    前記活性化剤が、前記固体電解質において超過LiSを活性化して、改善された充電容量を実現する、固体リチウム電池。
  15. 固体電解質が硫化物ベースである、請求項14に記載の電池。
  16. 前記活性化剤が、FeS、TiS、FeS、および/または、FeSの等価物などの遷移金属硫化物である、請求項14に記載の電池。
  17. 前記活性化剤が、高いイオン伝導特性および電子伝導特性の両方、またはいずれか一方を有する、請求項14に記載の電池。
  18. 前記活性化剤の前記高いイオン伝導特性および電子伝導特性が、前記固体電解質を活性化する、請求項17に記載の電池。
  19. 前記活性化剤が、前記固体電解質において他の不活性超過LiSを活性化する、請求項18に記載の電池。
  20. 前記改善された充電容量が、高温での単一の充電イベントの後に実現される、請求項14に記載の電池。
  21. 前記高温が約60℃である、請求項20に記載の電池。
  22. 前記改善された充電容量が、約50%よりも大きい、請求項20に記載の電池。
  23. 前記硫化物ベースの固体電解質が、xLiS−(100−x)Pである、請求項14に記載の電池。
  24. 複合体電極をさらに備える、請求項14に記載の電池。
  25. 前記複合体電極が、80LiS−20P:アセチレンブラックである、請求項24に記載の電池。
  26. 前記複合体電極が、TiS:80LiS−20P:アセチレンブラックである、請求項24に記載の電池。
  27. In金属陰極をさらに備える、請求項24に記載の電池。
  28. 固体リチウム電池活性化方法であって、改善された充電容量を実現するために、固体電解質において超過LiSを熱電気化学的に活性化するステップを備える、固体リチウム電池活性化方法。
  29. 前記改善された充電容量が、高温での単一の充電イベントの後に実現される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記高温が約60℃である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記改善された充電容量が、約50%よりも大きい、請求項29に記載の方法。
  32. FeS等価カソードをさらに備える、請求項29に記載の方法。
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