JP2017127840A - 高分子凝集剤組成物及びその製造方法並びに該高分子凝集剤組成物を用いる汚泥の脱水方法 - Google Patents

高分子凝集剤組成物及びその製造方法並びに該高分子凝集剤組成物を用いる汚泥の脱水方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ろ過速度及び脱水性が優れる高分子凝集剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アクリレート単量体単位を4mol%以上、メタクリレート単量体単位を6mol%以上含む高分子化合物Aと、アクリレート単量体単位を含んでなり、該アクリレート単量体単位を15mol%以上含む、又はアクリレート単量体単位及びメタクリレート単量体単位を計20mol%以上含む高分子化合物Bと、を含み、高分子化合物A及びBの合計質量に対し、高分子化合物Aを5〜95質量%含み、高分子化合物Aにおけるアクリレート単量体単位のモル分率aと、高分子化合物Bにおけるアクリレート単量体単位のモル分率bと、が0.25以上の差を有する高分子凝集剤組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子凝集剤組成物及びその製造方法並びに該高分子凝集剤組成物を用いる汚泥の脱水方法に関する。詳しくは、所定の単量体単位を有する複数の高分子化合物を混合して成る高分子凝集剤組成物及びその製造方法並びに該高分子凝集剤組成物を用いる汚泥の脱水方法に関する。
生活排水、産業廃水等に含まれる汚泥を凝集・沈降・分離させることを目的として、高分子凝集剤が使用されている。高分子凝集剤としては、カチオン性高分子や両性高分子が多用されている。汚泥の処理において、脱水ケーキの含水率は高分子凝集剤の添加率に密接に関連する。高分子凝集剤の添加率が低い場合は、脱水ケーキの含水率を十分に低下させることができない。また、高分子凝集剤の添加率が高い場合も、脱水ケーキの含水率を十分に低下させることができない。即ち、従来の高分子凝集剤は、その添加率が低過ぎても高過ぎても良好な性能を発揮することができない。従来の高分子凝集剤の最適な添加率は、廃水の性状によって変動する。また、従来の高分子凝集剤は、廃水の処理に適する添加率の幅が狭い。
特許文献1には、無機凝集剤を添加後、pHを5〜8に調節し、次いで両性高分子凝集剤を添加する汚泥の脱水方法が開示されている。しかし、この方法は、処理の対象とする汚泥の性状によっては、十分な効果が得られない場合がある。汚泥の性状はその発生場所に応じて様々であり、1種類の高分子凝集剤を用いて様々な性状の汚泥を処理することは難しいのが現状である。そのため、様々な性状の汚泥に用いることができる高分子凝集剤が求められている。
これらの問題を解決するため、種々の高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法が提案されている(特許文献2−4)。しかし、従来の高分子凝集剤は、処理する汚泥の種類によっては、汚泥に対して多量に添加する必要がある。また、従来の高分子凝集剤を用いると、形成されるフロックの粒径が小さくなり、ろ過速度が低下するため、単位時間当りの汚泥処理量を大きくすることができない。そのため、従来の高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法では、得られる脱水ケーキの含水率を十分に低下させることが困難である。
特開昭63−158200号公報 特開昭62−205112号公報 特開昭53−149292号公報 特開平3−18900号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解決する優れた高分子凝集剤組成物及びその製造方法を提供することである。また、この高分子凝集剤組成物を用いる汚泥の脱水方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アクリレート単量体単位及びメタクリレート単量体単位の構成割合が異なる2種以上の高分子化合物を混合することにより、優れた性能を有する高分子凝集剤組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は以下に記載するものである。
〔1〕 少なくとも以下の高分子化合物A及び高分子化合物Bを含む組成物であって、
前記高分子化合物Aが以下の化学式(1)
Figure 2017127840
(但し、化学式(1)においてRは炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。)
に由来する単量体単位を4mol%以上含むとともに、以下の化学式(2)
Figure 2017127840
(但し、化学式(2)においてRは炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。)
に由来する単量体単位を6mol%以上含む高分子化合物であり、
前記高分子化合物Bが前記化学式(1)に由来する単量体単位を含んで成り、該単量体単位を15mol%以上含む、又は該単量体単位及び前記化学式(2)に由来する単量体単位を合計で20mol%以上含む高分子化合物であり、
前記高分子化合物A及び前記高分子化合物Bの合計質量に対する前記高分子化合物Aの含有割合が5質量%以上95質量%以下であり、
前記高分子化合物Aにおける前記化学式(1)及び前記化学式(2)に由来する単量体単位に対する前記化学式(1)に由来する単量体単位のモル分率aと、
前記高分子化合物Bにおける前記化学式(1)及び前記化学式(2)に由来する単量体単位に対する前記化学式(1)に由来する単量体単位のモル分率bと、
が下記数式(1)
|b−a|≧0.25 ・・・数(1)
を満たすことを特徴とする高分子凝集剤組成物。
上記〔1〕の高分子凝集剤組成物は、高分子化合物A及び高分子化合物Bを少なくとも含んで成る。高分子化合物Aの含有量は、高分子化合物A及び高分子化合物Bの合計量100質量部に対して5質量%以上95質量%以下である。また、高分子化合物Aと高分子化合物Bとは、高分子化合物を構成する単量体単位が相違している。具体的には、高分子化合物Aは、前記化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位を4mol%以上含み、且つ前記化学式(2)に由来するメタクリレート単量体単位を6mol%以上含む。高分子化合物Bは、前記化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位を含むことを必須とし、該アクリレート単量体単位を15mol%以上含むか、或いは前記化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位及び前記化学式(2)に由来するメタクリレート単量体単位を合計で20mol%以上含む。
且つ、高分子化合物Aと高分子化合物Bとは、前記化学式(1)及び前記化学式(2)に由来する単量体単位に対する前記化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位のモル分率が0.25(25%)以上相違することを特徴とする。
これら高分子化合物Aと高分子化合物Bとの組合せが高い効果を示す理由は明確ではないが、本発明者は以下のように推定している。モノマー反応性比の値の異なる2種類のカチオン性単量体を必須とし、その他の単量体を共重合させた高分子化合物は、特殊な連鎖分布を有し、1種類のカチオン性単量体とその他の単量体を共重合させたものとは連鎖分布の形態が異なる。この特定の連鎖分布を有する高分子化合物Aと、その構成比又は連鎖分布の異なる高分子化合物Bと、を配合することにより、相補的な相乗作用を示す。そのため、同一の単量体組成からなる単一の高分子化合物や、カチオン性単量体が1種類のみからなる高分子化合物を配合したものと比較してより優れた凝集・脱水性能を示すことができる。
〔2〕 前記モル分率aが0.60以下である〔1〕に記載の高分子凝集剤組成物。
〔3〕 前記高分子凝集剤組成物の剤型がエマルションである〔1〕又は〔2〕に記載の高分子凝集剤組成物。
〔4〕 前記高分子凝集剤組成物の剤型が粉末である〔1〕又は〔2〕に記載の高分子凝集剤組成物。
〔5〕 前記化学式(1)で示される単量体を4mol%以上と、
前記化学式(2)で示される単量体を6mol%以上と、
を含んで成る単量体混合物を重合して高分子化合物Aを得、
前記化学式(1)で示される単量体を15mol%以上、又は、前記化学式(1)で示される単量体及び前記化学式(2)で示される単量体を合計で20mol%以上含んで成る単量体混合物を重合して高分子化合物Bを得、
前記高分子化合物A及び前記高分子化合物Bを混合することを特徴とする〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の高分子凝集剤組成物の製造方法。
〔6〕 〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の高分子凝集剤組成物を汚泥に添加して脱水する脱水方法。
本発明の高分子凝集剤組成物は、広い範囲の汚泥と強固に結合できるので、従来脱水が困難であった難処理汚泥に対しても極めて高い凝集作用を発揮する。これを汚泥の処理脱水に用いる場合、形成されるフロックは粒子径が大きく、高強度であるため、ろ過速度が高い。よって、得られる脱水ケーキの含水率も低い。
以下、本発明について詳細に説明する。
(1)高分子凝集剤組成物
本発明の高分子凝集剤組成物は、後述する高分子化合物A及び高分子化合物Bを含む組成物である。高分子化合物A及び高分子化合物Bの合計質量に対する高分子化合物Aの含有割合は5質量%以上95質量%以下である。高分子化合物Aの含有割合の下限値は10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、高分子化合物Aの含有割合の上限値は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。同様に、高分子化合物A及び高分子化合物Bの合計質量に対する高分子化合物Bの含有割合は5質量%以上95質量%以下である。高分子化合物Bの含有割合の下限値は10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、高分子化合物Bの含有割合の上限値は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
本発明の高分子凝集剤組成物の0.5%塩粘度は、5〜200mPa・sであり、10〜150mPa・sであることがさらに好ましく、20〜100mPa・sであることが特に好ましい。0.5%塩粘度が5mPa・s未満の場合、高分子凝集剤としての凝集性能が不足して、フロック径が十分に大きくならなかったり、重力ろ過性が低下することがある。0.5%塩粘度が200mPa・sを超えると、脱水ケーキの含水率が十分に低下しないことがある。
(2)高分子化合物A
本発明において、高分子化合物Aは以下の化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位を4mol%以上含むとともに、以下の化学式(2)に由来するメタクリレート単量体単位を6mol%以上含む。即ち、高分子化合物Aは以下に説明するアクリレート単量体を4mol%以上と、以下に説明するメタクリレート単量体を6mol%以上と、を必須成分として含み、アニオン性単量体及びノニオン性単量体を任意成分とする単量体混合物を重合することにより製造される。
Figure 2017127840
上記化学式(1)においてRは炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。
前記化学式(1)で表されるアクリレート単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のジアルキルアミノアルキルアクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のジアルキルアミノアルキルアクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩が例示される。また、ジアルキルアミノアルキルアクリレートやジアルキルアミノアルキルアクリルアミドの塩化メチル等のハロゲン化アルキル付加物、塩化ベンジル等のハロゲン化ベンジル付加物、硫酸ジメチル等の硫酸ジアルキル付加物等である第4級塩が例示される。
これらの好ましいアクリレート単量体の中でも、特に高分子凝集剤としての性能に優れ、アクリレート単量体の品質及び貯蔵安定性にも優れることから、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル付加物である第4級塩(DAC)が最も好ましい。
これらのアクリレート単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明において、高分子化合物Aは以下の化学式(2)に由来するメタクリレート単量体単位を6mol%以上含む。
Figure 2017127840
上記化学式(2)においてRは炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。
前記化学式(2)で表されるメタクリレート単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のジアルキルアミノアルキルメタクリレートや、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩が例示される。また、ジアルキルアミノアルキルメタクリレートやジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドの塩化メチル等のハロゲン化アルキル付加物、塩化ベンジル等のハロゲン化ベンジル付加物、硫酸ジメチル等の硫酸ジアルキル付加物等である第4級塩が例示される。
これらの好ましいメタクリレート単量体の中でも、特に高分子凝集剤としての性能に優れ、アクリレート単量体の品質及び貯蔵安定性にも優れることから、ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル付加物である第4級塩(DMC)が最も好ましい。
これらのメタクリレート単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
高分子化合物Aの0.5%塩粘度は、1〜200mPa・sであり、10〜150mPa・sであることがさらに好ましく、25〜100mPa・sであることが特に好ましい。25〜100mPa・sの範囲は、重量平均分子量Mwが概ね100万〜1000万の範囲に相当する。
(3)高分子化合物B
本発明において、高分子化合物Bは前述の化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位を含むことを必須とする。即ち、本発明において、高分子化合物Bは以下に説明するアクリレート単量体を必須成分とし、メタクリレート単量体、アニオン性単量体及びノニオン性単量体を任意成分とする単量体混合物を重合することにより製造される。
高分子化合物Bは、前述の化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位を15mol%以上含むか、又は前述の化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位及び前述の化学式(2)に由来するメタクリレート単量体単位を合計で20mol%以上含む高分子化合物である。高分子化合物Bは前述の化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位を15mol%以上含み、かつ前述の化学式(2)に由来するメタクリレート単量体単位を含まない高分子化合物であることがより好ましい。
高分子化合物Bの0.5%塩粘度は、1〜200mPa・sであり、10〜150mPa・sであることがさらに好ましく、20〜100mPa・sであることが特に好ましい。
本発明の高分子凝集剤組成物は、
高分子化合物Aにおける前述の化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位及び前述の化学式(2)に由来するメタクリレート単量体単位の合計量に対する前述の化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位のモル分率aと、
高分子化合物Bにおける前述の化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位及び前述の化学式(2)に由来するメタクリレート単量体単位の合計量に対する前述の化学式(1)に由来するアクリレート単量体単位のモル分率bと、
が下記数式(1)
|b−a|≧0.25 ・・・数(1)
を満たすことを特徴とする。
|b−a|は0.35以上であることが好ましく、0.50以上であることがより好ましい。
|b−a|が0.25以上であることにより、高分子化合物Aと高分子化合物Bとにおける単量体組成の相違が大きく、幅広い汚泥に対して効果を発揮できる。
|b−a|の上限値は、0.96以下であり、0.90以下であることが好ましく、0.80以下であることがより好ましい。
さらに、モル分率aは0.60以下であることが好ましく、0.50以下であることがより好ましい。モル分率bは0.60以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、1.0であることが特に好ましい。
(4)高分子化合物Aの製造方法
本発明において、高分子化合物Aは前述の化学式(1)で示されるアクリレート単量体と、前述の化学式(2)で示されるメタクリレート単量体とを必須成分とし、アニオン性単量体及びノニオン性単量体を任意成分とする単量体混合物を重合することにより製造される。
単量体混合物中における前述の化学式(1)で示されるアクリレート単量体の含有量は、4〜94mol%であり、6〜80mol%であることが好ましく、10〜60mol%であることがより好ましく、12〜50mol%であることが特に好ましい。
化学式(1)で示されるアクリレート単量体の含有量が4mol%未満である場合、アクリレート単量体の添加効果が小さく、幅広い性状の汚泥に対して効果を発揮し難い。化学式(1)で示されるアクリレート単量体の含有量が94mol%超である場合、メタクリレート単量体の添加効果が小さく、幅広い性状の汚泥に対して効果を発揮し難い。
単量体混合物中における前述の化学式(2)で示されるメタクリレート単量体の含有量は、6〜96mol%であり、8〜93mol%であることが好ましく、10〜90mol%であることが特に好ましい。
化学式(2)で示されるメタクリレート単量体の含有量が6mol%未満である場合、メタクリレート単量体の添加効果が小さく、幅広い性状の汚泥に対して効果を発揮し難い。化学式(2)で示されるメタクリレート単量体の含有量が96mol%超である場合、アクリレート単量体の添加効果が小さく、幅広い性状の汚泥に対して効果を発揮し難い。
アニオン性単量体としては、下記化学式(3)で表される(メタ)アクリル酸及びこれらの塩類の他、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸等及びこれらの塩類を挙げることができる。これらのアニオン性単量体の中でも、カチオン性単量体との共重合性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記化学式(3)で表される(メタ)アクリル酸及びそれらの塩類が好ましい。塩類としては、アンモニウム塩並びにナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
CH=CR−CO−OM ・・・化(3)
但し、上記化学式(3)中のRは水素原子又はメチル基であり、Mは水素原子、アンモニウム基又はアルカリ金属原子を表す。
これらの(メタ)アクリル酸及びそれらの塩類の中でも、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、アクリル酸(AA)及びそのアンモニウム塩が最も好ましい。
これらのアニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物中におけるアニオン性単量体の配合量は、0〜50mol%であることが好ましく、1〜40mol%であることがより好ましく、1〜30mol%であることがより好ましい。即ち、高分子化合物Aは、アニオン性単量体単位を0〜50mol%で含むことが好ましく、1〜40mol%で含むことがより好ましく、1〜30mol%で含むことが特に好ましい。
ノニオン性単量体としては、下記化学式(4)で表される(メタ)アクリルアミド系化合物の他、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等を挙げることができる。これらのノニオン性単量体の中でも、カチオン性単量体との共重合性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記化学式(4)で表される(メタ)アクリルアミド系化合物が好ましい。
CH=CR−CO−NR ・・・化(4)
但し、上記化学式(4)中のRは水素原子又はメチル基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
これらの(メタ)アクリルアミド系化合物の中でも、水溶性であり、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、アクリルアミド(AM)が最も好ましい。
これらのノニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物中におけるノニオン性単量体の配合量は、0〜90mol%であることが好ましく、5〜90mol%であることがより好ましく、10〜90mol%であることがより好ましい。即ち、高分子化合物Aは、ノニオン性単量体単位を0〜90mol%で含むことが好ましく、5〜90mol%で含むことがより好ましく、10〜90mol%で含むことが特に好ましい。
単量体混合物中には、得られる高分子化合物の水溶性を損なわない範囲で架橋性単量体を含んでいても良い。
架橋性単量体としては、下記化学式(5)で表される(メタ)アクリロイル基を、1分子中に2個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体(以下、単に「架橋性単量体」又は「架橋剤」と略記することもある)を挙げることができる。
CH=CR−CO− ・・・化(5)
但し、上記化学式(5)中のRは水素原子又はメチル基であり、−CO−はカルボニル基を表す。
前記架橋性単量体の1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上である。2〜5個であるものが好ましく、2〜3個であるものがさらに好ましい。1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数が5個を超えても、(メタ)アクリロイル基の数に相応の高分子凝集剤としての性能向上の効果が得られない場合がある。
このような架橋性単量体としては、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、エチレン又はポリエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の、アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、モノ及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリメチロールアルカンポリ(メタ)アクリレートが例示される。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
単量体混合物中に架橋性単量体を含む場合、その配合量は0.0001〜0.01モル%であることが好ましく、0.0002〜0.008モル%であることがより好ましく、0.0005〜0.007モル%であることが特に好ましい。架橋性単量体の添加量が0.0001〜0.01モル%である場合、架橋型水溶性高分子同士の相互作用が弱いため粘性が低く、ハンドリングが優れる。また、粘性が低いことから、汚泥との反応が速やかに進行し、強固なフロックを形成することができる。また、架橋性単量体の添加量が0.01モル%を超えると、架橋反応が進み過ぎることがあり、これは、特に水溶液重合の場合では不溶解量が増加し、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減るため、凝集効果を十分に発揮できない。また、エマルションの場合は、処理に必要な添加量が増え、処理コストが増大する。
単量体混合物中には、得られる高分子化合物の性能を損なわない範囲でその他の共重合可能な他の成分を含んでいても良い。
(5)高分子化合物Bの製造方法
本発明において、高分子化合物Bは前述の化学式(1)で示されるアクリレート単量体を必須成分とし、前述の化学式(2)で示されるメタクリレート単量体、アニオン性単量体及びノニオン性単量体を任意成分とする単量体混合物を重合することにより製造される。
単量体混合物中における前述の化学式(1)で示されるアクリレート単量体の含有量は、15〜100mol%であり、20〜100mol%であることが好ましい。
化学式(1)で示されるアクリレート単量体の含有量が15mol%未満である場合、アクリレート単量体の添加効果が小さく、幅広い性状の汚泥に対して効果を発揮し難い。
単量体混合物中における前述の化学式(2)で示されるメタクリレート単量体の含有量は、0〜85mol%であり、メタクリレート単量体を含まないことは特に好ましい。
化学式(2)で示されるメタクリレート単量体の含有量が85mol%超である場合、アクリレート単量体の添加効果が小さく、幅広い性状の汚泥に対して効果を発揮し難い。
アニオン性単量体の種類は前述の通りである。
単量体混合物中におけるアニオン性単量体の配合量は、0〜50mol%であり、アニオン性単量体を含まないことが好ましい。即ち、高分子化合物Bは、アニオン性単量体単位を0〜50mol%で含み、アニオン性単量体単位を含まないことが好ましい。
ノニオン性単量体の種類は前述の通りである。
単量体混合物中におけるノニオン性単量体の配合量は、0〜85mol%であり、ノニオン性単量体を含まないことが好ましい。即ち、高分子化合物Bは、ノニオン性単量体単位を0〜85mol%で含み、ノニオン性単量体単位を含まないことが好ましい。
単量体混合物中には、高分子化合物Aと同様に架橋性単量体や共重合可能な他の成分を含んでいても良い。
(6)高分子化合物A及び高分子化合物Bの重合方法
高分子化合物A及び高分子化合物Bを得るための重合の方法は、ラジカル重合であること以外には特に制限されないが、本発明に適用可能なラジカル重合の具体的な形態として、水溶液重合や懸濁重合、エマルション重合等が例示される。これらの中でも操作方法が簡便且つ原料及び製品の取扱いが容易であり、工業的な生産における生産コストの面でも有利な水溶液重合やエマルション重合が好ましい。また、エマルション重合で水層や油層を揮発させて粉末化させても良い。
(6−1)水溶液重合
水溶液重合は、上記単量体混合物の水溶液をラジカル重合開始剤の存在下で重合する方法である。水溶液重合の場合、前記単量体混合物の濃度は、25〜85質量%とすることが好ましく、30〜65質量%とすることが特に好ましい。単量体混合物の水溶液のpHは2〜5に調整することが好ましい。
重合反応の際に用いられるラジカル重合開始剤は特に制限されない。水溶液重合の場合は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス系開始剤及び光重合開始剤等を適宜利用できる。これらのラジカル重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合開始温度は、通常0〜35℃が好ましい。重合時間は、通常0.1〜3時間が好ましい。また、重合反応は酸素の存在しない不活性雰囲気で行うことが好ましい。これらの重合条件は公知である。重合反応終了後には、必要に応じて適宜熱処理や乾燥、粉砕等の後処理を行う。これらの後処理も公知の方法を適用できる。
前記水溶液重合による製造方法の中でも、得られる高分子化合物の物性や品質のバラツキが少なく、安定した生産が可能であり、物性の調整が容易である等の理由から、光照射重合が特に好ましい。光照射重合の具体例としては、光重合開始剤及び連鎖移動剤の存在下、前記単量体混合物の水溶液に光を照射して重合を行う方法が例示される。
光照射重合に用いられる光重合開始剤は特に制限されない。好ましい光重合開始剤として、アセトフェノン系光重合開始剤やアゾ系開始剤等が例示される。その中でも単量体混合物の水溶液への溶解度が高く、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易である等の理由から、水溶性のアゾ系開始剤が特に好ましい。
水溶性アゾ系開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が例示される。
これらの光重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の添加量は特に制限されない。光重合開始剤の種類、単量体組成及び残存単量体の含有量に応じて、適宜調整すればよい。水溶性アゾ系開始剤の場合、通常、単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、質量基準で100〜3000ppmが好ましい。
分子量を調節する目的で連鎖移動剤を使用しても良い。その種類は特に制限されない。本発明で使用可能な連鎖移動剤としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、メチルアミン、ジメチルアミン等のアミン類、メタンチオール、エタンチオール等のチオール類、メタリルスルホン酸メルカプトエタノール及びメルカプトプロピオン酸等のチオール化合物や、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸水素ナトリウム及び次亜リン酸ナトリウム等の還元性無機塩類等や、メタリルスルホン酸等の有機系スルホン酸化合物等が挙げられる。これらの中でも単量体混合物の水溶液への溶解度が高く、少量の添加量でも効果が高く、架橋型水溶性高分子の分子量を容易に調整できる等の理由から、亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。
これらの連鎖移動剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の添加量は特に制限されない。亜硫酸水素ナトリウムの場合、通常、単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、質量基準で5〜500ppmが好ましく、10〜300ppmがさらに好ましく、15〜200ppmが最も好ましい。亜硫酸水素ナトリウムの添加量が5ppm未満では、不溶解物の発生を抑制できない場合がある。その場合、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減る。また、高分子凝集剤を水に溶解した溶解液を送液するポンプを閉塞させるトラブルの原因になることがある。亜硫酸水素ナトリウムの添加量が500ppmを超えると、重合体の分子量が低くなり過ぎることがある。その場合、高分子凝集剤としての汚泥に対する凝集力が低下し、フロック径が大きくならない。また、ろ過速度が低下したり、汚泥中の微細な固形物がろ液に抜けて、ろ液の透明性が悪化する場合がある。
光照射重合に用いられる光の波長、照射強度、照射時間等の光照射条件は特に制限されない。使用する光重合開始剤の種類及び添加量並びに重合体の物性及び性能に応じて、適宜調整すればよい。光重合開始剤として、前記水溶性アゾ系開始剤を使用する場合、波長365nm付近の光が好ましく、照射強度は365nm用のUV照度計による0.1〜10.0mW/cmが好ましい。照射時間は、通常0.1〜3時間が好ましい。
(6−2)エマルション重合
エマルション重合は、所定の単量体、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤等を含有する水相と、非混和性の炭化水素からなる油状物質と、油中水滴型エマルションを形成させる有効量の界面活性剤と、を用いて油中水滴型エマルションを形成させ、このエマルションの液滴内で単量体を重合させる方法である。
油状物質としては、パラフィン類、各種鉱油、パラフィン類や各種鉱油と同等の特性を有する炭化水素系油、及びこれらの混合物を挙げることができる。油状物質の含有量は、油中水滴型エマルション全量に対して15〜50質量%の範囲であり、20〜40質量%であることが好ましい。
界面活性剤は、HLBが3〜11であることが好ましい。そのような界面活性剤の例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート等のノニオン性界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤の添加量は、油中水滴型エマルション全量に対して0.3〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
エマルション重合を行う場合の重合条件は、使用する単量体や開始剤、重合体の物性に応じて適宜設定される。重合温度は5〜90℃が好ましい。単量体の重合濃度は20〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。重合時間は1〜10時間が好ましく、2〜6時間がより好ましい。重合反応は酸素のない不活性雰囲気で行うことが好ましい。
エマルション重合を行う場合の平均粒子径は、0.03〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましい。平均粒子径は、レーザー回折法により測定される体積平均値をいう。
重合反応終了後には、必要に応じて適宜熱処理や乾燥、粉砕等の後処理を行う。これらの後処理も公知の方法を適用できる。
本発明の高分子凝集剤組成物は、高分子化合物A及び高分子化合物Bを粉末の状態で混合しても良いし、水溶液とした後に混合しても良い。
本発明の高分子凝集剤組成物は、高分子化合物A及び高分子化合物B以外の他の高分子成分を含んでいても良い。また、必要に応じて、スルファミン酸、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸などのようなpH調整剤;食塩、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、塩化カルシウムなどのような溶解助剤を含んでも良い。
(7)汚泥の脱水方法
本発明の高分子凝集剤組成物を用いる汚泥の脱水方法では、下水処理、し尿処理及び生活廃水処理等で発生する汚泥の他、食品工場、食肉加工及び化学工場等の各種産業廃水処理で発生する汚泥、養豚場等の畜産関係で発生する生し尿及びその廃水処理で発生する汚泥、パルプ又は製紙工業で発生する汚泥等の各種汚泥が処理対象になる。汚泥の種類にも制限はなく、初沈汚泥、余剰汚泥及びこれらの混合汚泥、濃縮汚泥及び嫌気性微生物処理した消化汚泥等がいずれも処理対象になる。
本発明の汚泥の脱水方法は、上記各種廃水に、本発明の高分子凝集剤組成物を添加して脱水することを特徴とする。脱水方法の具体例としては、各種廃水に本発明の高分子凝集剤組成物を添加し、公知の方法で撹拌及び/又は混合することで汚泥中の懸濁物と高分子凝集剤組成物を作用させて、汚泥フロックを形成させる。形成された汚泥フロックを公知の手段により機械的に脱水処理することで、処理水と脱水ケーキに分離する。
脱臭、脱リン及び脱窒等を目的とする場合は、汚泥のpHを5未満にすることが好ましい。
本発明の廃水処理方法は、無機凝集剤を添加しなくても十分に汚泥の脱水を行うことができる。
脱水装置としては、特に制限されないが、スクリュープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリューデカンター、多重円盤脱水機、ロータリープレスフィルター等が例示される。
以下、実施例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。各種物性の測定方法は以下の通りである。以下に記載のない項目は、「JIS K0102 工場排水試験法」に準じて測定した。各種物性の測定における温度条件は、特に断りのない限り25℃である。
〔0.5%塩粘度〕
純水500mLに塩化ナトリウム20.8g、及び試料(重合体)の0.50質量%となる量を加えて十分に溶解し、試料溶液を調製した。液温を25±1℃に調整し、M1ローターを付けた東機産業社製TV−10M型B型粘度計を用いて30rpm、3分間回転後の値を読み取り、これを0.5%溶液粘度とした。粘度がM1ローターの測定上限を超えた場合は、M2ローターを使用した。
〔フロック径〕
目視により測定した。
〔ろ過速度〕
内径75mm、深さ100mm、目開き80meshのステンレス製篩に、凝集した汚泥を一気にそそぎ込み、重力ろ過した。このとき、ろ液が200mLのメスシリンダーに入るようにロートをセットしておき、汚泥投入後、5秒、10秒、20秒、30秒経過後のろ液の容量を計測して、重力ろ過性を評価した。このうち、10秒経過後のろ液の容量を10秒後ろ液量(mL)とした。
〔ケーキ含水率〕
前記のろ過速度測定後にステンレス製篩上に残った汚泥の含水ケーキを全量取り出し、ベルトプレス用ろ布(ポリエステル製、杉綾織)に挟んで卓上試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3分間圧搾することで脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキから中心の一部をサンプリングしてアルミパンに秤量し、105℃の熱風乾燥機で16時間乾燥した後、乾燥後の質量を測定し、乾燥による減少量と乾燥前の質量の質量比から含水率を求めた。
<製造例1>
ステンレス製反応容器に、78質量%ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル水溶液(以下、「DMC」と略記する)及び50質量%アクリルアミド水溶液(以下、「AM」と略記する)を加え、さらに蒸留水を加えて全質量を1.0kgにして均一に混合した。各単量体は、表1に示した配合比とし、全単量体の合計濃度は40質量%とした。この溶液をpH=4に調整し、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら、溶液温度を5℃に調節した。その後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(以下、「V−50」と略記する)及びNaHSOを、各単量体の合計質量に対して固形分換算で、それぞれ1500ppm、20ppmとなるように加えた。次いで、反応容器の上方からこの溶液に光照射して重合を行い、含水ゲル状の重合体を得た。光照射には13Wブラックライトを用いた。照射強度は0.4mW/cmで、照射時間は60分間である。得られた含水ゲル状の重合体を、容器から取り出して細断した。これを温度80℃で5時間乾燥後、粉砕して粉末状の重合体を得た。この重合体の0.5%塩粘度を測定した。その結果を表1に示した。
<製造例2〜16>
単量体組成を表1又は表2に記載のように変更した以外は、製造例1と同様に操作して重合体を得た。これらの重合体の0.5%塩粘度を測定した。その結果を表1又は表2に示した。
Figure 2017127840

Figure 2017127840

〔廃水処理試験1〕
(実施例1〜2、比較例1〜4)
表3に記載の割合で高分子化合物A及び高分子化合物Bを混合した。
製紙工場から採取した製紙汚泥を用い、凝集及び脱水性能を評価した。使用した汚泥は、pH=6.60、全蒸発残留物(TS)=30,200(mg/L)、強熱減量(VTS)=51.0(%TS)、浮遊物質(SS)=14,800(mg/L)である。この汚泥200mLを300mLのビーカーに入れ、各高分子凝集剤組成物を添加した。添加率(凝集剤の固形分として)は表3に記載した。この汚泥を、ジャーテスターを用いて200rpmで30秒間攪拌し、フロックを形成させ、10秒ろ過速度を測定した。ろ布上の汚泥を採取し、試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3.0分間圧搾して脱水ケーキを得、ケーキ含水率を測定した。これらの結果を表3に示した。
Figure 2017127840

実施例1及び2の高分子凝集剤組成物は所定の単量体単位を有しているため、良好な性能を示した。これに対して、比較例1及び3は高分子化合物Bを含んでいない。特に、比較例3で用いた高分子凝集剤は、実施例1で用いた高分子凝集剤と同一の単量体組成を有しているものの、高分子化合物Aと高分子化合物Bとをブレンドして得られた高分子凝集剤ではない。比較例2は高分子化合物AがDACに由来する単量体単位を含んでいない。比較例4は高分子化合物Aが本発明で規定する範囲外である。いずれの比較例も、ろ過速度が不十分であり、ケーキ含水率が高かった。
〔廃水処理試験2〕
(実施例3〜4、比較例5〜9)
表4に記載の割合で高分子化合物A及び高分子化合物Bを混合した。
下水処理場から採取した消化汚泥を用い、凝集及び脱水性能を評価した。使用した汚泥は、pH=7.46、全蒸発残留物(TS)=16,800(mg/L)、強熱減量(VTS)=73.8(%TS)、浮遊物質(SS)=14,600(mg/L)、m−アルカリ度=2,250(CaCO mg/L)である。この汚泥200mLを300mLのビーカーに入れ、各高分子凝集剤組成物を添加した。添加率(凝集剤の固形分として)は表4に記載した。この汚泥を、ジャーテスターを用いて200rpmで30秒間攪拌し、フロックを形成させ、10秒ろ過速度を測定した。ろ布上の汚泥を採取し、試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3.0分間圧搾して脱水ケーキを得、ケーキ含水率を測定した。これらの結果を表4に示した。
Figure 2017127840

実施例3及び4の高分子凝集剤組成物は所定の単量体単位を有しているため、良好な性能を示した。これに対して、比較例5及び9は高分子化合物Bを含んでいない。特に、比較例9で用いた高分子凝集剤は、実施例3で用いた高分子凝集剤と同一の単量体組成を有しているものの、高分子化合物Aと高分子化合物Bとをブレンドして得られた高分子凝集剤ではない。比較例6及び8はモル分率bとモル分率aとの差が0.25未満である。比較例7は高分子化合物AがDMCに由来する単量体単位を含んでおらず、且つ高分子化合物BがDACに由来する単量体単位を含んでいない。いずれの比較例も、ろ過速度が不十分であるか、ケーキ含水率が高かった。
<製造例17>
1000ml四つ口セパラブルフラスコにDMCを203.6g、連鎖移動剤としてイソプロピルアルコール(単量体に対して2.0質量%)、及び蒸留水を投入し、濃硫酸でpHを4に調整した。その後、V−50を0.04g含む20gの水溶液を添加し、全量が400gとなるように蒸留水を加えて単量体水溶液を調製した。さらに、この単量体水溶液を、HLB 8.0のノニオン性界面活性剤10.0gを溶解したパラフィン油 155gに加え、ホモジナイザーを用いて約1分間高速攪拌し乳化した。その後、フラスコに窒素ガス吹き込み管、還流冷却器、温度計を取り付け、攪拌機を通常の化学反応用の攪拌機に代え、攪拌しながらこの乳化液中に30分間窒素ガスを通して脱気した。その後、50℃に昇温して、窒素ガス雰囲気下で重合を行った。重合終了後、HLBが13.0のノニオン性界面活性剤17.2gを加えてエマルション型高分子化合物を得た。この重合体の0.5%塩粘度を測定した。その結果を表5に示した。
<製造例18〜23>
単量体組成を表5に記載のように変更した以外は、製造例17と同様に操作して重合体を得た。これらの重合体の0.5%塩粘度を測定した。その結果を表5に示した。
Figure 2017127840

〔廃水処理試験3〕
(実施例5〜8、比較例10〜14)
表6に記載の割合で高分子化合物A及び高分子化合物Bを混合した。
養豚場から採取した畜産汚泥を用い、凝集及び脱水性能を評価した。使用した汚泥は、pH=7.59、全蒸発残留物(TS)=13,200(mg/L)、強熱減量(VTS)=52.7(%TS)、浮遊物質(SS)=10,800(mg/L)である。この汚泥200mLを300mLのビーカーに入れ、各高分子凝集剤組成物を添加した。添加率(凝集剤の固形分として)は表6に記載した。この汚泥を、ジャーテスターを用いて200rpmで30秒間攪拌し、フロックを形成させ、10秒ろ過速度を測定した。ろ布上の汚泥を採取し、試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3.0分間圧搾して脱水ケーキを得、ケーキ含水率を測定した。これらの結果を表6に示した。
Figure 2017127840

実施例5〜8の高分子凝集剤組成物は所定の単量体単位を有しているため、良好な性能を示した。これに対して、比較例10及び14は高分子化合物Bを含んでいない。特に、比較例14で用いた高分子凝集剤は、実施例5で用いた高分子凝集剤とほぼ同一の単量体組成を有しているものの、高分子化合物Aと高分子化合物Bとをブレンドして得られた高分子凝集剤ではない。比較例11はモル分率bとモル分率aとの差が0.25未満である。比較例12は高分子化合物BがDACに由来する単量体単位を含んでいない。比較例13は高分子化合物AがDMCに由来する単量体単位を含んでいない。いずれの比較例も、ろ過速度が不十分であり、ケーキ含水率が高かった。

Claims (6)

  1. 少なくとも以下の高分子化合物A及び高分子化合物Bを含む組成物であって、
    前記高分子化合物Aが以下の化学式(1)
    Figure 2017127840

    (但し、化学式(1)においてRは炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。)
    に由来する単量体単位を4mol%以上含むとともに、以下の化学式(2)
    Figure 2017127840

    (但し、化学式(2)においてRは炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。)
    に由来する単量体単位を6mol%以上含む高分子化合物であり、
    前記高分子化合物Bが前記化学式(1)に由来する単量体単位を含んで成り、該単量体単位を15mol%以上含む、又は該単量体単位及び前記化学式(2)に由来する単量体単位を合計で20mol%以上含む高分子化合物であり、
    前記高分子化合物A及び前記高分子化合物Bの合計質量に対する前記高分子化合物Aの含有割合が5質量%以上95質量%以下であり、
    前記高分子化合物Aにおける前記化学式(1)及び前記化学式(2)に由来する単量体単位に対する前記化学式(1)に由来する単量体単位のモル分率aと、
    前記高分子化合物Bにおける前記化学式(1)及び前記化学式(2)に由来する単量体単位に対する前記化学式(1)に由来する単量体単位のモル分率bと、
    が下記数式(1)
    |b−a|≧0.25 ・・・数(1)
    を満たすことを特徴とする高分子凝集剤組成物。
  2. 前記モル分率aが0.60以下である請求項1に記載の高分子凝集剤組成物。
  3. 前記高分子凝集剤組成物の剤型がエマルションである請求項1又は2に記載の高分子凝集剤組成物。
  4. 前記高分子凝集剤組成物の剤型が粉末である請求項1又は2に記載の高分子凝集剤組成物。
  5. 前記化学式(1)で示される単量体を4mol%以上と、
    前記化学式(2)で示される単量体を6mol%以上と、
    を含んで成る単量体混合物を重合して高分子化合物Aを得、
    前記化学式(1)で示される単量体を15mol%以上、又は、前記化学式(1)で示される単量体及び前記化学式(2)で示される単量体を合計で20mol%以上含んで成る単量体混合物を重合して高分子化合物Bを得、
    前記高分子化合物A及び前記高分子化合物Bを混合することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高分子凝集剤組成物の製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高分子凝集剤組成物を汚泥に添加して脱水する脱水方法。
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