JP2018108560A - 高分子凝集剤及びその製造方法、並びに該高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法、並びに高分子凝集剤の凝集性能の評価方法 - Google Patents

高分子凝集剤及びその製造方法、並びに該高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法、並びに高分子凝集剤の凝集性能の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ろ過速度及び脱水性が優れる高分子凝集剤、その製造方法、及び該高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法を提供する。また、この高分子凝集剤の凝集性能の評価方法の提供。【解決手段】少なくともカチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む単量体混合物をラジカル重合して得られる共重合体であって、動的粘弾性測定装置を用いてせん断速度0.02(s−1)以下で測定される0.1質量%水溶液の25℃における粘度Vz(Pa・s)が下記数式(1)を満たし、かつ、全単量体単位に対するカチオン性単量体単位のモル分率M(mol%)と、せん断速度10,000(s−1)で測定される25℃における第一法線応力NS(Pa)と、前記粘度Vz(Pa・s)とが、下記数式(2)を満たす共重合体を含んで成る高分子凝集剤。1.0<Vz<30・・・数(1)、3,000≦NS/Vz×M≦9,000・・・数(2)【選択図】なし

Description

本発明は、高分子凝集剤及びその製造方法、並びに該高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法、並びに高分子凝集剤の凝集性能の評価方法に関する。詳しくは、水溶液が所定の粘弾性を有する高分子凝集剤及びその製造方法、並びに該高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法、並びに高分子凝集剤の凝集性能の評価方法に関する。
生活排水、産業廃水等に含まれる汚泥を凝集・沈降・分離させることを目的として、高分子凝集剤が使用されている。高分子凝集剤としては、カチオン性高分子や両性高分子が多用されている。これらの高分子凝集剤の種類を特徴づける因子としては、従来、単量体の種類とそのモル分率、及びその平均分子量が主であった。単量体の種類とモル分率とは、処理の対象となる排水性状や汚泥性状により適正な組合せが選定されている。
高分子凝集剤の凝集力は、分子量は高い方が優れるとされている。そのため、凝集力を高めるために、重合処方的に分子量を増加させる事が手段の一つとして挙げられる。分子量の直接的測定は困難なので、分子量の増加により上昇することが知られている水溶液粘度が代替指標のひとつとされている。しかし、無為に水溶液粘度が高くなるように重合しても、必ずしも凝集性能が高くなるとは限らなかった。
高分子凝集剤の水溶液を調製する場合、攪拌槽に水を張り、攪拌機を回転させながら、粉末高分子凝集剤を徐々に投入するのが一般的である。この溶解時に、攪拌機のシャフトに溶解液が這い上がってくる現象があり、この現象をワイゼンベルグ効果と呼んでいる。ワイゼンベルグ効果は、ずり平面(回転軸に直角な水平面)内で、流れの方向と直角で回転軸に向う方向に発生する応力に由来する。この応力を一般的に第一法線応力と言う。第一法線応力が大きい場合、汚泥との凝集反応の際に、粘性抵抗となり、凝集反応が進行せず、凝集不十分となるケースがある。つまり、凝集性能改善のために、単に水溶液粘度を上げる処方としても、それが第一法線応力を上げる効果に偏ることなく純粋に凝集剤の分子量を上昇させていなければ、凝集性能は改善され難い。
特許文献1には、塩化ナトリウム水溶液における粘度とイオン交換水における粘度との比が所定の範囲にある高分子凝集剤が開示されている。しかし、単にこれらの粘度の関係を制御しても凝集性能が不十分な場合があった。
そのため、従来の高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法では、塩粘度の値にかかわらず、得られる脱水ケーキの含水率を十分に低下させることが困難である場合があった。
特開2008−104908号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解決する優れた高分子凝集剤及びその製造方法、並びに該高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法、並びに高分子凝集剤の凝集性能の評価方法を提供することである。
本発明者らは、重合開始剤の種類や投入量、反応形態や反応条件を変えて調製した種々のカチオン性高分子化合物を得、該高分子化合物の水溶液の粘弾性及び汚泥に対する脱水性能について様々な評価を行った。具体的には、高分子凝集剤水溶液の第一法線応力NSと、低せん断時における粘度Vzと、の関係に着目した。そして、第一法線応力NSを低せん断時における粘度Vzで除した値(NS/Vz)が小さいほど、高分子凝集剤を構成する重合体の分子量分布が狭く、その結果、高い凝集性能を有する重合体の含有割合が高い傾向があることを見出した。また、NS/Vzの値の好適な範囲は、カチオン性単量体単位のモル分率Mが高くなるほど小さくなることを見出した。そして、NS/Vzにカチオン性単量体のモル分率M(mol%)を乗じることにより、高分子凝集剤の凝集性能を定量的に評価できることを見出した。即ち、水溶液の粘弾性が所定の関係を有する高分子凝集剤は優れた性能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は以下に記載するものである。
〔1〕 少なくともカチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む単量体混合物をラジカル重合して得られる共重合体であって、
動的粘弾性測定装置を用いてせん断速度0.02(s−1)以下で測定される0.1質量%水溶液の25℃における粘度Vz(Pa・s)が下記数式(1)
1.0< Vz <30 ・・・数(1)
を満たし、かつ、
全単量体単位に対するカチオン性単量体単位のモル分率M(mol%)と、せん断速度10,000(s−1)で測定される25℃における第一法線応力NS(Pa)と、前記粘度Vz(Pa・s)とが、下記数式(2)
3,000≦ NS/Vz×M ≦9,000 ・・・数(2)
を満たす共重合体を含んで成ることを特徴とする高分子凝集剤。
上記〔1〕の高分子凝集剤は、カチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む共重合体から成る高分子凝集剤である。この高分子凝集剤は、その水溶液の粘弾性が所定の関係を有することを特徴とする。
上記数式(1)及び(2)を満たす高分子凝集剤が高い凝集性能を有する理由は明確ではないが、本発明者らは以下のように推定している。
一般に高分子化合物の水溶液は、擬塑性粘性を示す非ニュートン流体であるが、せん断速度が極めて低い場合(せん断速度0.02(s−1)以下である場合)においてはニュートン流体としての挙動を示す。低せん断時の粘度が同一である場合、第一法線応力が低い高分子化合物は、第一法線応力が高い高分子化合物と比較して、その分子量分布が狭いと考えられる。分子量分布が広い高分子化合物は、凝集性能を有さない低分子量の化合物を多く含んでいる。一方、分子量分布が狭い高分子化合物は、低分子量の化合物をほとんど含まない。そのため、低せん断時の粘度が同一である場合、第一法線応力が低いほど高い凝集性能を有すると考えられる。
上記〔1〕に記載の発明は、以下の〔2〕〜〔7〕に記載の発明を含む。
〔2〕 下記数式(3)
3,000≦ NS/Vz×M ≦6,000 ・・・数(3)
を満たす〔1〕に記載の高分子凝集剤。
〔3〕 下記数式(4)
5≦ M ≦40 ・・・数(4)
を満たす〔1〕に記載の高分子凝集剤。
〔4〕 前記カチオン性単量体が、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル第4級塩である〔1〕に記載の高分子凝集剤。
〔5〕 前記ノニオン性単量体が、アクリルアミドである〔1〕に記載の高分子凝集剤。
〔6〕 前記共重合体が、水溶液ゲル重合体又はその乾燥品である〔1〕に記載の高分子凝集剤。
〔7〕 前記共重合体が、W/O型エマルション又はその乾燥品である〔1〕に記載の高分子凝集剤。
〔8〕 少なくともカチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む単量体混合物を、光開始剤を用いて水溶液重合して水溶液ゲル重合体を得、
該水溶液ゲル重合体を乾燥することを特徴とする〔1〕に記載の高分子凝集剤の製造方法。
〔9〕 少なくともカチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む単量体混合物をエマルション重合してW/O型エマルションを得、
該W/O型エマルションを乾燥することを特徴とする〔1〕に記載の高分子凝集剤の製造方法。
〔10〕 〔1〕乃至〔7〕の何れかに記載の高分子凝集剤を汚泥に添加することを特徴とする汚泥の脱水方法。
〔11〕 前記汚泥が製紙汚泥である〔10〕に記載の汚泥の脱水方法。
〔12〕 せん断速度10,000(s−1)で測定される25℃における第一法線応力NS(Pa)を、せん断速度0.02(s−1)以下で測定される0.1質量%水溶液の25℃における粘度Vz(Pa・s)で除した値から、高分子凝集剤の凝集性能を評価することを特徴とする高分子凝集剤の凝集性能の評価方法。
本発明の高分子凝集剤は、その水溶液の粘弾性が所定の関係を有する。即ち、狭い分子量分布を有し、凝集性能が高い高分子化合物を多く含むため、極めて高い凝集作用を発揮する。
本発明の高分子凝集剤の凝集性能の評価方法は、第一法線応力と低せん断時の粘度とを用いる。この評価方法は、各種粘度を用いる従来の評価方法と比べて、現実の凝集性能に良く一致する。
以下、本発明について詳細に説明する。
(1)高分子凝集剤
本発明の高分子凝集剤は、後述するカチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む単量体混合物をラジカル重合して得られる共重合体含む組成物である。全単量体単位に対するカチオン性単量体単位のモル分率Mは、5〜40(mol%)であることが好ましく、10〜35(mol%)であることがより好ましい。
本発明の高分子凝集剤に含まれる共重合体は、動的粘弾性測定装置(レオメーター)を用いてせん断速度0.02(s−1)以下で測定される0.1質量%水溶液の25℃における粘度Vz(Pa・s)%が、下記数式(1)
1.0< Vz <30 ・・・数(1)
を満たす。
Vzの下限値は、3.0以上であることが好ましく、5.5以上であることがより好ましい。Vzの上限値は、27以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。Vzの下限値が1.0以下である場合、共重合体の分子量が小さ過ぎて凝集性能が不足し、フロック径が十分に大きくならず、重力ろ過性が低下することがある。Vzの上限が30以上である場合、脱水ケーキの含水率が十分に低下しないことがある。
0.02(s−1)以下のせん断速度においては、共重合体の水溶液がニュートン流体として振る舞う。即ち、粘度Vzは、共重合体の水溶液がニュートン流体として振る舞う範囲のせん断速度で測定すれば良い。用いる測定機器により設定できるせん断速度の範囲は相違するが、例えば、後述する実施例のように0.0147(s−1)等に設定することもできる。
本発明の高分子凝集剤に含まれる共重合体は、動的粘弾性測定装置を用いてせん断速度10,000(s−1)で測定される25℃における第一法線応力NS(Pa)と、前記粘度Vz(Pa・s)と、全単量体単位に対するカチオン性単量体単位のモル分率M(mol%)とが、下記数式(2)
3,000≦ NS/Vz×M ≦9,000 ・・・数(2)
を満たす。
NS/Vz×Mの上限値は、8,500以下であることが好ましく、8,000以下であることがより好ましく、6,000以下であることがより好ましい。NS/Vz×Mの上限値が9,000を超える場合、共重合体の分子量分布が広過ぎるため、低分子量の共重合体を多く含む。そのため、凝集性能が不足する。なお、法線応力とは、加えたせん断応力に対して垂直方向に作用する力である。
本発明の高分子凝集剤に含まれる共重合体の0.5%塩粘度は、5〜200mPa・sであり、10〜150mPa・sであることがさらに好ましく、20〜100mPa・sであることが特に好ましい。0.5%塩粘度が5mPa・s未満の場合、高分子凝集剤としての凝集性能が不足して、フロック径が十分に大きくならなかったり、重力ろ過性が低下したりすることがある。0.5%塩粘度が200mPa・sを超えると、脱水ケーキの含水率が十分に低下しないことがある。
本発明の高分子凝集剤に含まれる共重合体の全単量体単位に対するカチオン性単量体単位のモル分率M(mol%)は、下記数式(4)
5≦ M ≦40 ・・・数(4)
を満たすことが好ましく、下記数式(5)
10≦ M ≦35 ・・・数(5)
を満たすことがより好ましい。
本発明の高分子凝集剤に含まれる共重合体の全単量体単位に対するノニオン性単量体単位のモル分率は、60〜95(mol%)であることが好ましく、65〜90(mol%)であることがより好ましい。
(2)カチオン性単量体
本発明において、カチオン性単量体は以下の化学式(1)に由来する(メタ)アクリレート単量体であることが好ましい。
Figure 2018108560
上記化学式(1)において、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは酸素原子又はNH、Yは水素原子又はメチル基、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。
上記化学式(1)で表される(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩が例示される。また、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートやジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル等のハロゲン化アルキル付加物、塩化ベンジル等のハロゲン化ベンジル付加物、硫酸ジメチル等の硫酸ジアルキル付加物等である第4級塩が例示される。
これらの(メタ)アクリレート単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらの好ましい(メタ)アクリレート単量体の中でも、特に高分子凝集剤としての性能に優れ、アクリレート単量体の品質及び貯蔵安定性にも優れることから、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル第4級塩(以下、「DAC」と略記する場合がある)を用いることが最も好ましい。
(3)ノニオン性単量体
本発明において、ノニオン性単量体は特に限定されないが、例えば下記化学式(2)で表される(メタ)アクリルアミド系化合物の他、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニルを挙げることができる。これらのノニオン性単量体の中でも、カチオン性単量体との共重合性に優れており、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記化学式(2)で表される(メタ)アクリルアミド系化合物が好ましい。
CH=CR−CO−NR ・・・化(2)
但し、上記化学式(2)において、Rは水素原子又はメチル基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
これらの(メタ)アクリルアミド系化合物の中でも、水溶性であり、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、アクリルアミド(以下、「AM」と略記する場合がある)が最も好ましい。
これらのノニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
(4)その他の物質
本発明の高分子凝集剤に含まれる共重合体を製造するための単量体混合物は、前述のカチオン性単量体及びノニオン性単量体を必須成分とするが、本発明の効果を損なわない限り、その他の物質を含むことができる。その他の物質としては、例えば以下のアニオン性単量体や架橋性単量体が挙げられる。
アニオン性単量体としては、下記化学式(3)で表される(メタ)アクリル酸及びこれらの塩類の他、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸等及びこれらの塩類を挙げることができる。これらのアニオン性単量体の中でも、カチオン性単量体との共重合性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記化学式(3)で表される(メタ)アクリル酸及びそれらの塩類が好ましい。塩類としては、アンモニウム塩並びにナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
CH=CR−CO−OM ・・・化(3)
但し、上記化学式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Mは水素原子、アンモニウム基又はアルカリ金属原子を表す。
これらの(メタ)アクリル酸及びそれらの塩類の中でも、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、アクリル酸(以下、「AA」と略記する場合がある)及びそのアンモニウム塩が特に好ましい。
これらのアニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物中におけるアニオン性単量体の配合量は、0〜50mol%であることが好ましく、1〜40mol%であることがより好ましく、1〜30mol%であることがより好ましい。即ち、本発明の高分子凝集剤に含まれる共重合体は、アニオン性単量体単位を0〜50mol%で含むことが好ましく、1〜40mol%で含むことがより好ましく、1〜30mol%で含むことが特に好ましい。
架橋性単量体としては、下記化学式(4)で表される(メタ)アクリロイル基を、1分子中に2個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体(以下、単に「架橋性単量体」又は「架橋剤」と略記することもある)を挙げることができる。
CH=CR−CO− ・・・化(4)
但し、上記化学式(4)において、Rは水素原子又はメチル基であり、−CO−はカルボニル基を表す。
前記架橋性単量体の1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上である。2〜5個であるものが好ましく、2〜3個であるものがさらに好ましい。1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数が5個を超えても、(メタ)アクリロイル基の数に相応の高分子凝集剤としての性能向上の効果が得られない場合がある。
このような架橋性単量体としては、メチレンビスアクリルアミド(以下、「MBA」と略記する場合がある)、エチレン又はポリエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の、アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、モノ及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリメチロールアルカンポリ(メタ)アクリレートが例示される。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
単量体混合物中に架橋性単量体を含む場合、その配合量は0.0001〜0.01モル%であることが好ましく、0.0002〜0.008モル%であることがより好ましく、0.0005〜0.007モル%であることが特に好ましい。架橋性単量体の添加量が0.0001〜0.01モル%である場合、架橋型水溶性高分子同士の相互作用が弱いため粘性が低く、ハンドリングが優れる。また、粘性が低いことから、汚泥との反応が速やかに進行し、強固なフロックを形成することができる。また、架橋性単量体の添加量が0.01モル%を超えると、架橋反応が進み過ぎることがあり、これは、特に水溶液重合の場合では不溶解量が増加し、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減るため、凝集効果を十分に発揮できない。また、エマルションの場合は、処理に必要な添加量が増え、処理コストが増大する。
(5)高分子凝集剤の製造方法
本発明の高分子凝集剤に含まれる共重合体は、カチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む単量体混合物をラジカル重合することにより製造される。
単量体混合物の全単量体に対するカチオン性単量体のモル分率m(mol%)は、下記数式(6)
5≦ m ≦40 ・・・数(6)
を満たすことが好ましく、下記数式(7)
10≦ m ≦35 ・・・数(7)
を満たすことがより好ましい。
単量体混合物の全単量体に対するノニオン性単量体のモル分率は、60〜95(mol%)であることが好ましく、65〜90(mol%)であることがより好ましい。ノニオン性単量体のモル分率が上記範囲外である場合、幅広い性状の汚泥に対して効果を発揮し難い。
単量体混合物を重合する方法は、ラジカル重合であること以外には特に制限されないが、本発明に適用可能なラジカル重合の具体的な形態として、水溶液重合や懸濁重合、エマルション重合等が例示される。これらの中でも操作方法が簡便且つ原料及び製品の取扱いが容易であり、工業的な生産における生産コストの面でも有利な水溶液重合やエマルション重合が好ましい。また、エマルション重合後に水層や油層を揮発させて粉末化させても良い。
(5−1)水溶液重合
水溶液重合は、上記単量体混合物の水溶液をラジカル重合開始剤の存在下で重合する方法である。水溶液重合の場合、前記単量体混合物の濃度は、25〜85質量%とすることが好ましく、30〜65質量%とすることが特に好ましい。単量体混合物の水溶液のpHは2〜5に調整することが好ましい。
重合反応の際に用いられるラジカル重合開始剤は特に制限されない。水溶液重合の場合は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス系開始剤及び光重合開始剤等を適宜利用できる。これらのラジカル重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合開始温度は、通常0〜35℃が好ましい。重合時間は、通常0.1〜3時間が好ましい。また、重合反応は酸素の存在しない不活性雰囲気で行うことが好ましい。これらの重合条件は公知である。重合反応終了後には、必要に応じて適宜熱処理や乾燥、粉砕等の後処理を行う。これらの後処理も公知の方法を適用できる。
前記水溶液重合による製造方法の中でも、得られる高分子化合物の物性や品質のバラツキが少なく、安定した生産が可能であり、本発明で規定する粘弾性の共重合体を得やすい等の理由から、光重合法が特に好ましい。光重合法の具体例としては、光重合開始剤及び連鎖移動剤の存在下、前記単量体混合物の水溶液に光を照射して重合を行う方法が例示される。
光重合に用いられる光重合開始剤は特に制限されない。好ましい光重合開始剤として、アセトフェノン系光重合開始剤やアゾ系開始剤等が例示される。その中でも単量体混合物の水溶液への溶解度が高く、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易である等の理由から、水溶性のアゾ系開始剤が特に好ましい。
水溶性アゾ系開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が例示される。
これらの光重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の添加量は特に制限されない。光重合開始剤の種類、単量体組成及び残存単量体の含有量に応じて、適宜調整すればよい。水溶性アゾ系開始剤の場合、通常、単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、質量基準で100〜3,000ppmが好ましい。
分子量を調節する目的で連鎖移動剤を使用しても良い。その種類は特に制限されない。本発明で使用可能な連鎖移動剤としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、メチルアミン、ジメチルアミン等のアミン類、メタンチオール、エタンチオール等のチオール類、メタリルスルホン酸メルカプトエタノール及びメルカプトプロピオン酸等のチオール化合物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及び次亜リン酸ナトリウム等の還元性無機塩類等や、メタリルスルホン酸等の有機系スルホン酸化合物等が挙げられる。これらの中でも単量体混合物の水溶液への溶解度が高く、少量の添加量でも効果が高く、架橋型水溶性高分子の分子量を容易に調整できる等の理由から、亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。
これらの連鎖移動剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の添加量は特に制限されない。亜硫酸水素ナトリウムの場合、通常、単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、質量基準で5〜500ppmが好ましく、10〜300ppmがさらに好ましく、15〜200ppmが最も好ましい。亜硫酸水素ナトリウムの添加量が5ppm未満では、不溶解物の発生を抑制できない場合がある。その場合、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減る。また、高分子凝集剤を水に溶解した溶解液を送液するポンプを閉塞させるトラブルの原因になることがある。亜硫酸水素ナトリウムの添加量が500ppmを超えると、重合体の分子量が低くなり過ぎることがある。その場合、高分子凝集剤としての汚泥に対する凝集力が低下し、フロック径が大きくならない。また、ろ過速度が低下したり、汚泥中の微細な固形物がろ液に抜けて、ろ液の透明性が悪化する場合がある。
光重合に用いられる光の波長、照射強度、照射時間等の光照射条件は特に制限されない。使用する光重合開始剤の種類及び添加量並びに重合体の物性及び性能に応じて、適宜調整すればよい。光重合開始剤として、前記水溶性アゾ系開始剤を使用する場合、波長365nm付近の光が好ましく、照射強度は365nm用のUV照度計による0.1〜10.0mW/cmが好ましい。照射時間は、通常0.1〜3時間が好ましい。
(5−2)エマルション重合
エマルション重合は、所定の単量体、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤等を含有する水相と、非混和性の炭化水素からなる油状物質と、油中水滴型(W/O型)エマルションを形成させる有効量の界面活性剤と、を用いて油中水滴型エマルションを形成させ、このエマルションの液滴内で単量体を重合させる方法である。
油状物質としては、パラフィン類、各種鉱油、パラフィン類や各種鉱油と同等の特性を有する炭化水素系油、及びこれらの混合物を挙げることができる。油状物質の含有量は、油中水滴型エマルション全量に対して15〜50質量%の範囲であり、20〜40質量%であることが好ましい。
界面活性剤は、HLBが3〜11であることが好ましい。そのような界面活性剤の例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート等のノニオン性界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤の添加量は、油中水滴型エマルション全量に対して0.3〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
エマルション重合を行う場合の重合条件は、使用する単量体や開始剤、重合体の物性に応じて適宜設定される。重合温度は5〜90℃が好ましい。単量体の重合濃度は20〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。重合時間は1〜10時間が好ましく、2〜6時間がより好ましい。重合反応は酸素のない不活性雰囲気で行うことが好ましい。
エマルション重合を行う場合の平均粒子径は、0.03〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましい。平均粒子径は、レーザー回折法により測定される体積平均値をいう。
重合反応終了後には、必要に応じて適宜熱処理や乾燥、粉砕等の後処理を行う。これらの後処理も公知の方法を適用できる。
本発明の高分子凝集剤は、前述の共重合体以外の他の成分を含んでいても良い。また、必要に応じて、スルファミン酸、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸などのようなpH調整剤;食塩、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、塩化カルシウムなどのような溶解助剤を含んでも良い。
(6)汚泥の脱水方法
本発明の高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法では、下水処理、し尿処理及び生活廃水処理等で発生する汚泥の他、食品工場、食肉加工及び化学工場等の各種産業廃水処理で発生する汚泥、養豚場等の畜産関係で発生する生し尿及びその廃水処理で発生する汚泥、パルプ又は製紙工業で発生する汚泥等の各種汚泥が処理対象になる。汚泥の種類にも制限はなく、初沈汚泥、余剰汚泥及びこれらの混合汚泥、濃縮汚泥及び嫌気性微生物処理した消化汚泥等がいずれも処理対象になる。
本発明の汚泥の脱水方法は、上記各種廃水に、本発明の高分子凝集剤を添加して脱水することを特徴とする。脱水方法の具体例としては、各種廃水に本発明の高分子凝集剤を添加し、公知の方法で撹拌及び/又は混合することで汚泥中の懸濁物と高分子凝集剤とを作用させて、汚泥フロックを形成させる。形成された汚泥フロックを公知の手段により機械的に脱水処理することで、処理水と脱水ケーキに分離する。
脱臭、脱リン及び脱窒等を目的とする場合は、汚泥のpHを5未満にすることが好ましい。
本発明の廃水処理方法は、無機凝集剤を添加しなくても十分に汚泥の脱水を行うことができる。
脱水装置としては、特に制限されないが、スクリュープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリューデカンター、多重円盤脱水機、ロータリープレスフィルター等が例示される。
(7)高分子凝集剤の凝集性能の評価方法
本発明の高分子凝集剤の凝集性能の評価方法は、高分子凝集剤の水溶液の粘弾性を用いて評価することを特徴とする。この評価方法は、
(イ)せん断速度0.02(s−1)以下で測定される0.1質量%水溶液の25℃における粘度Vz
(ロ)せん断速度10,000(s−1)で測定される25℃における第一法線応力NSをせん断速度0.02(s−1)以下で測定される0.1質量%水溶液の25℃における粘度Vzで除した値と、全単量体単位に対するカチオン性単量体単位のモル分率Mと、の積(即ち、NS/Vz×M)
によって凝集性能を評価する。この(イ)及び(ロ)の2つの値を用いる評価方法は、現実に評価する凝集性能の評価結果とよく一致する。
以下、実施例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。各種物性の測定方法は以下の通りである。以下に記載のない項目は、「JIS K0102 工場排水試験法」に準じて測定した。各種物性の測定における温度条件は、特に断りのない限り25℃である。
〔粘度Vz〕
動的粘弾性測定装置(レオメーター)(アントンパール社製のレオメーターMCR-302)を用いてせん断速度0.0147(s−1)で、0.1質量%水溶液の25℃における粘度を測定した。
〔第一法線応力NS〕
上記動的粘弾性測定装置を用いてせん断速度10,000(s−1)で、0.1質量%水溶液の25℃における第一法線応力を測定した。
〔0.5%塩粘度〕
純水500mLに塩化ナトリウム20.8g、及び試料(重合体)の0.50質量%となる量を加えて十分に溶解し、試料溶液を調製した。液温を25±1℃に調整し、M1ローターを付けた東機産業社製TV−10M型B型粘度計を用いて30rpm、3分間回転後の値を読み取り、これを0.5%塩粘度とした。粘度がM1ローターの測定上限を超えた場合は、M2ローターを使用した。
〔フロック径〕
目視により測定した。
〔ろ過速度〕
内径75mm、深さ100mm、目開き80meshのステンレス製篩に、凝集した汚泥を一気にそそぎ込み、重力ろ過した。このとき、ろ液が200mLのメスシリンダーに入るようにロートをセットしておき、汚泥投入後、5秒、10秒、20秒、30秒経過後のろ液の容量を計測して、重力ろ過性を評価した。このうち、10秒経過後のろ液の容量を10秒後ろ液量(mL)とした。
〔ろ液外観〕
目視により測定した。
○: 濾液中にリークするSSが目視でほとんどなく濾液が透明
△: 濾液中にリークするSSが若干目視で確認出来る
×: 濾液中にリークするSSが目視でかなり目立つ
〔手絞り〕
ろ過速度を測定した後のケーキを採取し、手絞り具合を評価した。
悪:1回目の手絞りで指の間より汚泥が漏れる
やや良:2回目の手絞りで指の間から汚泥が漏れる
極良:3回目の手絞りで指の間から汚泥が漏れる
<製造例1>
ステンレス製反応容器に、78質量%ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル水溶液(以下、「DAC」と略記する)及び50質量%アクリルアミド水溶液(以下、「AM」と略記する)を加え、さらに蒸留水を加えて全質量を1.0kgにして均一に混合した。各単量体は、表1に示した配合比とし、全単量体の合計濃度は40質量%とした。この溶液をpH=4に調整し、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら、溶液温度を5℃に調節した。その後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(以下、「V−50」と略記する)及びNaHSOを、各単量体の合計質量に対して固形分換算で、それぞれ1500ppm、20ppmとなるように加えた。次いで、反応容器の上方からこの溶液に光照射して重合を行い、含水ゲル状の重合体を得た。光照射には13Wブラックライトを用いた。照射強度は0.4mW/cmで、照射時間は60分間である。得られた含水ゲル状の重合体を、容器から取り出して細断した。これを温度80℃で5時間乾燥後、粉砕して粉末状の重合体を得た。この重合体の各種物性を測定した。その結果を表1に示した。
<比較製造例1>
NaHSOを用いない他は製造例1と同様に操作して重合体を得た。この重合体の各種物性を測定した。その結果を表1に示した。
<比較製造例2>
付着防止塗装を施した金属製デュワー瓶に、79質量%DAC水溶液を88.3g、50質量%AM水溶液を461g投入してモノマー組成比をDAC/AM=10/90mol%とし、さらに蒸留水を451g加え、全単量体の合計濃度が30質量%で全質量が1.0kgとなる重合液を得た。この溶液をpH=4に調整し、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液温度を7℃に調節した。その後、V−50および、過硫酸アンモニウム(以下「APS」と略記する)の水溶液を、各単量体の合計質量に対して固形分換算で、それぞれ2000ppm、20ppmとなるように加えた。次いで、NaHSOの水溶液を各単量体の合計質量に対して固形分換算で20ppmとなるように加え、素早く撹拌したのち密閉して重合を進行させた。反応温度の上昇が停止した後、60分間保持し、含水ゲル状の重合体を得た。得られた含水ゲル状の重合体を、容器から取り出して細断した。これを温度80℃で5時間乾燥後、粉砕して粉末状の高分子化合物(B1と略記する。以下同様)を得た。B1の0.5%塩粘度、低せん断時粘度および第一法線応力を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1中、「---」は連鎖移動剤を配合しなかったことを意味する。また、表1中、「20/20」の記載は過硫酸アンモニウム(APS)と重亜硫酸ナトリウム(NaHSO)とがそれぞれ20ppmの添加量であることを意味する。
<製造例2〜16>
単量体組成及び連鎖移動剤の配合を表1に記載のように変更した以外は、製造例1と同様に操作して重合体を得た。この重合体の各種物性を測定した。その結果を表1に示した。
<比較製造例3〜11>
単量体組成及び連鎖移動剤の配合を表1に記載のように変更した以外は、比較製造例2又は製造例1と同様に操作して重合体を得た。この重合体の各種物性を測定した。その結果を表1に示した。
<製造例17>
1000ml四つ口セパラブルフラスコにDAC、AM、連鎖移動剤としてイソプロピルアルコール(単量体に対して2.0質量%)、及び蒸留水を投入し、濃硫酸でpHを4に調整した。その後、V−50を0.04g含む20gの水溶液を添加し、全量が400gとなるように蒸留水を加えて単量体水溶液を調製した。各単量体は、表1に示した配合比とし、全単量体の合計濃度は56質量%とした。さらに、この単量体水溶液を、HLB 8.0のノニオン性界面活性剤10.0gを溶解したパラフィン油 155gに加え、ホモジナイザーを用いて約1分間高速攪拌し乳化した。その後、フラスコに窒素ガス吹き込み管、還流冷却器、温度計を取り付け、攪拌機を通常の化学反応用の攪拌機に代え、攪拌しながらこの乳化液中に30分間窒素ガスを通して脱気した。その後、50℃に昇温して、窒素ガス雰囲気下で重合を行った。重合終了後、HLBが13.0のノニオン性界面活性剤17.2gを加えてエマルション型高分子化合物を得た。この重合体の各種物性を測定した。その結果を表1に示した。
<比較製造例12>
連鎖移動剤としてのイソプロピルアルコールを配合しないこと以外は、製造例17と同様に操作して重合体を得た。これらの重合体の各種物性を測定した。その結果を表1に示した。
Figure 2018108560

〔廃水処理試験1〕
(実施例1〜13、比較例1〜10)
製紙工場から採取した製紙汚泥を用い、凝集及び脱水性能を評価した。使用した汚泥は、pH=6.99、全蒸発残留物(TS)=40,600(mg/L)、強熱減量(VTS)=40.6(%TS)、浮遊物質(SS)=37,400(mg/L)である。この汚泥200mLを300mLのビーカーに入れ、各高分子凝集剤を表2に記載の割合で添加した。添加率(凝集剤の固形分として)は表2に記載した。この汚泥を、ジャーテスターを用いて200rpmで30秒間攪拌し、フロックを形成させ、10秒ろ過速度を測定した。これらの結果を表2に示した。
比較例1〜10は、高分子凝集剤のNS/Vz×Mが本発明の範囲外である。いずれの比較例も、フロック径が大きくならず、濾過速度も低く、手絞り具合も悪かった。
Figure 2018108560


〔廃水処理試験2〕
(実施例14〜20、比較例11〜18)
製紙工場から採取した製紙汚泥を用い、凝集及び脱水性能を評価した。使用した汚泥は、pH=6.6、全蒸発残留物(TS)=28,400(mg/L)、強熱減量(VTS)=46.9(%TS)、浮遊物質(SS)=31,100(mg/L)である。この汚泥200mLを300mLのビーカーに入れ、各高分子凝集剤を表3に記載の割合で添加した。添加率(凝集剤の固形分として)は表3に記載した。この汚泥を、ジャーテスターを用いて200rpmで30秒間攪拌し、フロックを形成させ、10秒ろ過速度を測定した。これらの結果を表3に示した。
比較例11〜18は、高分子凝集剤のNS/Vz×Mが本発明の範囲外である。いずれの比較例も、フロック径が大きくならず、濾過速度も低く、手絞り具合も悪かった。
Figure 2018108560

Claims (12)

  1. 少なくともカチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む単量体混合物をラジカル重合して得られる共重合体であって、
    動的粘弾性測定装置を用いてせん断速度0.02(s−1)以下で測定される0.1質量%水溶液の25℃における粘度Vz(Pa・s)が下記数式(1)
    1.0< Vz <30 ・・・数(1)
    を満たし、かつ、
    全単量体単位に対するカチオン性単量体単位のモル分率M(mol%)と、せん断速度10,000(s−1)で測定される25℃における第一法線応力NS(Pa)と、前記粘度Vz(Pa・s)とが、下記数式(2)
    3,000≦ NS/Vz×M ≦9,000 ・・・数(2)
    を満たす共重合体を含んで成ることを特徴とする高分子凝集剤。
  2. 下記数式(3)
    3,000≦ NS/Vz×M ≦6,000 ・・・数(3)
    を満たす請求項1に記載の高分子凝集剤。
  3. 下記数式(4)
    5≦ M ≦40 ・・・数(4)
    を満たす請求項1に記載の高分子凝集剤。
  4. 前記カチオン性単量体が、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル第4級塩である請求項1に記載の高分子凝集剤。
  5. 前記ノニオン性単量体が、アクリルアミドである請求項1に記載の高分子凝集剤。
  6. 前記共重合体が、水溶液ゲル重合体又はその乾燥品である請求項1に記載の高分子凝集剤。
  7. 前記共重合体が、W/O型エマルション又はその乾燥品である請求項1に記載の高分子凝集剤。
  8. 少なくともカチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む単量体混合物を、光開始剤を用いて水溶液重合して水溶液ゲル重合体を得、
    該水溶液ゲル重合体を乾燥することを特徴とする請求項1に記載の高分子凝集剤の製造方法。
  9. 少なくともカチオン性単量体及びノニオン性単量体を含む単量体混合物をエマルション重合してW/O型エマルションを得、
    該W/O型エマルションを乾燥することを特徴とする請求項1に記載の高分子凝集剤の製造方法。
  10. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の高分子凝集剤を汚泥に添加することを特徴とする汚泥の脱水方法。
  11. 前記汚泥が製紙汚泥である請求項10に記載の汚泥の脱水方法。
  12. せん断速度10,000(s−1)で測定される25℃における第一法線応力NS(Pa)を、せん断速度0.02(s−1)以下で測定される0.1質量%水溶液の25℃における粘度Vz(Pa・s)で除した値から、高分子凝集剤の凝集性能を評価することを特徴とする高分子凝集剤の凝集性能の評価方法。
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