JP2017125324A - 免震構造物 - Google Patents

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【課題】耐震性能に優れた免震構造物を提供する。【解決手段】それぞれ免震装置3、4で支持され、自立して構築される一方の免震構造体1と他方の免震構造体2を備え、バネ要素5aと減衰要素5bを備えてなる制振装置5で一方の免震構造体1と他方の免震構造体2を連結する。且つ、一方の免震構造体1と他方の免震構造体2のいずれかを支持する免震装置3を滑り支承とする。【選択図】図1

Description

本発明は、免震建物などの免震構造物に関する。
積層ゴム支承などの免震装置で支持することにより、免震性能を付与した免震建物(免震構造物)も1995年の兵庫県南部地震以降急激に増加しているが、長周期地震動や巨大地震が発生した際に免震装置(免震層)の変形が過大となると、擁壁に衝突したり、積層ゴム支承が破断する可能性がある。
ここで、免震層変位を低減するだけであれば、免震層に付加する減衰量を増加することで解決できるが、減衰量を増加するだけでは逆に加速度が増加し居住性が損なわれてしまう。すなわち、変位と加速度はトレードオフ関係にあり、加速度の増加を抑制しながら変位を低減できるようにすることが重要である。
これに対し、例えば、建物の固有周期をより長周期化させるために、積層ゴム支承だけでなく滑り支承を併用した免震建物や、共通の免震基礎上に複数の建物を構築し、これら建物同士を制振装置を備えた連結架構で連結する構造などが提案、実用化されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
また、TMD(Tuned Mass Damper)と称する制振装置を建物の頂部側(屋上など)に設置し、建物の地震時応答を低減させることも実用化されている。
TMDは、例えば、付帯フレームに振り子(錘体(重錘))を取り付け、錘体が往復振動する1自由度振動系として構成されている。そして、建物の1次固有周期と同調させて、建物の振動と逆方向に錘体を振動させることにより、すなわち、錘体が振動することによる慣性抵抗力(慣性質量効果)を利用することにより、建物に作用した地震エネルギーを減衰させ、建物の応答を低減させることができる。
特開2013−177744号公報 特開2010−203192号公報 特開2003−56204号公報
ここで、TMD機構を利用した制震構造は数多く提案され、多くの実建物にも適用されているが、上記の通り、建物頂部にTMDを設置するのが一般的である。また、免震建物に対しては、現在においてTMD機構を採用したものは実存しない。
ちなみに、上記の特許文献1に開示された免震機構は、免震層に同調質量ダンパーを設置し、上部構造の2次モード以上の高次モードに同調させる機構であり、免震建物の主な応答である1次モードには同調していない。その理由は、1次モードに同調させるためには、より大きな質量が必要となることや接続するばね要素の剛性を小さくすることで錘自体の応答変位が大きくなる懸念があるからである。また、TMDとして使用する錘が錘のみの用途であり、建築用途として使用できる提案とはなっていない。
本発明は、上記事情に鑑み、耐震性能に優れた免震構造物を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の免震構造物は、それぞれ免震装置で支持され、自立して構築される一方の免震構造体と他方の免震構造体を備え、バネ要素と減衰要素を備えてなる制振装置で前記一方の免震構造体と前記他方の免震構造体が連結され、且つ、前記一方の免震構造体と前記他方の免震構造体のいずれかを支持する前記免震装置が滑り支承であることを特徴とする。
また、本発明の免震構造物においては、前記一方の免震構造体と前記他方の免震構造体のいずれかを支持する前記免震装置が傾斜滑り支承であることが望ましい。
本発明の免震構造物においては、一方の免震構造体と他方の免震構造体をそれぞれ免震装置で支持するとともに、これら一方の免震構造体と他方の免震構造体をバネ要素と減衰要素によって最適剛性、最適減衰で連結し、且ついずれかの免震装置として滑り支承を採用することにより、一方の免震構造体/他方の免震構造体の応答加速度の増加を抑制しながら応答変位を大きく低減することが可能になる。
また、滑り支承として復元機能を有する滑り支承(傾斜滑り支承)を適用することにより、復元機能を備えない滑り支承と同等の加速度応答の低減効果を発揮しつつ、残留変形をなくし、且つ一方の免震構造体と他方の免震構造体の相対変形を低減することが可能になる。
このように一方の免震構造体又は他方の免震構造体の残留変位をなくすことができることにより、一方の免震構造体と他方の免震構造体の相対変形も小さくなるため、建築計画の自由度を広げることができる。
また、免震構造物の一部(一方の免震構造体又は他方の免震構造体)をTMDの錘として用いることにより、錘質量を大きくでき、多くの振動モードに同調させることが可能になる。
さらに、滑り支承/傾斜滑り支承のみで免震構造体を支持することにより、一方の免震構造体と他方の免震構造体ともに応答加速度を200cm/s以下に抑制することが可能になり、双方の免震構造体を居住空間として十分使用することができる。
本発明の第1実施形態に係る免震構造物を示す図である。 図1のX1−X1線矢視図である。 本発明の第1実施形態に係る免震構造物の解析モデルを示す図である。 シミュレーションで用いた入力地震動の応答スペクトルを示す図である。 シミュレーション結果であり、各ケースの建物周囲部(他方の免震構造体)の応答変位と応答加速度の比を示す図である。 シミュレーション結果であり、建物周囲部(他方の免震構造体)の変位波形を示す図である。 シミュレーション結果であり、建物中央部(一方の免震構造体)と建物周囲部(他方の免震構造体)の相対変形波形を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る免震構造物を示す図である。 図8のX1−X1線矢視図である。 本発明の第2実施形態に係る免震構造物の解析モデルを示す図である。 シミュレーション結果であり、各ケースの他方の免震構造体の応答変位と応答加速度の比を示す図である。 シミュレーション結果であり、他方の免震構造体の変位波形を示す図である。 シミュレーション結果であり、一方の免震構造体と他方の免震構造体の相対変形波形を示す図である。
以下、図1から図7を参照し、本発明の第1実施形態に係る免震構造物について説明する。
本実施形態の免震構造物Aは、免震建物であり、図1及び図2に示すように、それぞれ自立した建物中央部(中央コア部/一方の免震構造体)1と、建物中央部1を囲繞するように周囲に配設された建物周囲部(他方の免震構造体)2を備えている。
また、建物中央部1と建物周囲部2はそれぞれ下部に免震層を備え、本実施形態では、建物中央部1が滑り支承(免震装置)3、建物周囲部2が積層ゴム支承(免震装置)4にそれぞれ支持されて立設されている。
さらに、建物中央部1と建物周囲部2は、バネ要素5aと減衰要素5b(バネ要素5aと減衰要素5bを備えた制振装置5)を介して連結されている。すなわち、1つの免震構造物Aの中で、積層ゴム支承4で支持された建物周囲部2と滑り支承3で支持された建物中央部1の免震構造同士をバネ要素5aと減衰要素5bで連結する構造としている。これにより、建物中央部1(建物中央部1と建物周囲部2の相互)がTMDの錘要素として機能することになる。
このように構成することによって、本実施形態の免震構造物Aは、通常の免震建物と比較し、建物周囲部2の免震層の応答加速度の増加を抑えながら応答変位を低減させることが可能になる。
より具体的に、本実施形態の免震構造物Aは、建物の一部である建物中央部(一方の免震構造体)1をTMDの錘として使用したものである。建物の一部をTMDの錘として使用するため、比較的大きな質量(最大質量比100%程度まで)とすることができ、建物周囲部(他方の免震構造体)2の1次モードを含む多くの振動モードに同調することが可能になる。これにより、別途新たに錘を設置する必要がない。ちなみに、一般的なTMDの錘は建物重量の0.5〜1.0%程度である。
また、TMDの錘として機能する建物中央部1を滑り支承3で支持することにより、建物中央部1も居住空間として使用することが可能になる。
すなわち、建物中央部1に免震機能が付与されることで地震時に応答加速度が一定の大きさで打ち切られる。このため、建物中央部1に大きな加速度が伝達されることがなく、さらに、滑り支承3として傾斜滑り支承を用いればその傾斜による復元機能によって残留変形を少なくすることができ、且つ建物周囲部2との相対変形を小さくすることができる。このように建物中央部1の応答加速度を抑えることができることにより、錘としての用途だけでなく居住空間として使用することが可能になる。
なお、傾斜滑り支承3の摩擦係数μは0.05〜0.10程度、傾斜角は1/100〜1/30程度にすることが好ましい。
また、1つの建物の中で、積層ゴム支承4で支持された建物周囲部2と傾斜滑り支承3で支持された建物中央部1を連結、すなわち免震構造体同士をバネ要素5aと減衰要素5bで連結する構造としたことにより、通常の免震建物と比較し、建物周囲部2の免震層の応答加速度の増加を抑えながら応答変位を低減させることが可能になる。
ここで、図3に示す1質点系連結モデルを用いて時刻歴応答解析を行うことにより、本実施形態の免震構造物Aの応答低減効果を検証したシミュレーションについて説明する。
まず、解析モデルを次のように設定した。
建物周囲部(他方の免震構造体)2は積層ゴム支承4で支持された構造とし、TMDの錘に相当する建物中央部(一方の免震構造体)1は傾斜滑り支承3で支持された構造とした。また、建物周囲部2と建物中央部1は、kとcのバネ要素5aと減衰要素5bによって連結した。kとcの諸元は、図3中に点線で囲んだ範囲において定点理論を適用して算出した。
表1に解析に使用した具体的な解析モデルの諸元を示す。なお、本シミュレーションで用いた解析諸元はあくまで一例である。
TMDとしての最適剛性kと最適減衰係数cは次のように設定した。建物周囲部2の固有周期をT、M’とkから構成される固有周期をT、建物周囲部2と建物中央部1の質量比をξとすると、下記の式(1)からTが算出され、最適剛性kが求まる。
ここで、本シミュレーションでは、建物周囲部2の質量を10000t、建物中央部1の質量を5000tに設定し、ξ=0.5とした。
Figure 2017125324
Figure 2017125324
また、下記の式(2)から最適減衰定数hoptを算出し、最適減衰係数cが求められる。
Figure 2017125324
そして、本シミュレーションにおいて、建物周囲部2は質量を10000t、免震周期4秒、減衰定数20%の免震建物とし、積層ゴム支承が線形の天然ゴムであるものとしてモデル化した。
建物中央部1は建物周囲部2の半分の質量とし、傾斜滑り支承3によって支持されているものとした。傾斜滑り支承3の摩擦係数は0.05とし、傾斜角度は1/70とした。
建物周囲部2と建物中央部1はバネ要素kと減衰要素cによって連結し、これらの諸元は、前述の通り、定点理論(式(1)、式(2))により設定した。
また、本シミュレーションでは、Case1、Case2、Case3の3ケースを比較することによって、本発明に係る建物の優位性の検証を行った。
ここで、Case1は建物周囲部2のみで構成したものとした。
Case2は、建物中央部1をTMDの錘とした時の最適同調したバネ要素5aと減衰要素5bで建物周囲部2と建物中央部1を連結し、さらに建物中央部1に傾斜滑り支承3を用いて構成したものとした。
Case3は、Case2における傾斜滑り支承3の傾斜角をなくし、単純な滑り支承として構成したものとした。
次に、本シミュレーションの時刻歴応答解析に用いた入力地震動を表2に示す。また、図4は各地震動の加速度応答スペクトルと変位応答スペクトルを示している(減衰20%時)。また、EL CENTRO波と八戸波は50cm/s(Lv2相当)に基準化して入力した。
Figure 2017125324
次に、解析結果について説明する。
表3は、Case1〜Case3の建物周囲部2の最大変位と最大加速度を示している。さらに、図4(a)と図4(b)はそれぞれ、Case3とCase2のCase1に対する応答比率を示している。
Figure 2017125324
まず、Case1とCase3を比較すると、Case3の建物周囲部2は、表3と図5(a)より、EL CENTROを入力した場合に応答加速度が13%増加しているが、その他の地震動においては加速度の増加を抑制しながら変位を低減できることが確認された。特に、八戸、3Bにおいては、加速度と変位の両方を低減することが可能であった。
また、表4から、建物中央部1の応答を見ると、Case3では滑り支承3により建物中央部1に伝達される力が小さくなり、全ての地震動において一般的な免震建物の応答目標とされる200cm/s以下に抑制できることが確認された。
Figure 2017125324
一方、Case3は、免震装置に復元機能(傾斜角)がないため、残留変形(最大で10.7cm)が生じることも確認された。
次に、傾斜角を付けた傾斜滑り支承3を採用したCase2の応答について説明する。
建物周囲部2の応答は、表3と図5(b)のCase2のCase1に対する応答比から、免震装置に傾斜角がある分Case3よりも加速度が数%増加する地震動があるものの、変位の低減効果はCase3とほぼ同等であることが確認された。
一方、建物中央部1の応答加速度は、免震装置に傾斜がある場合であっても全ての地震動に対して200cm/s以下となることが確認された。また、表4から、残留変形がほとんど生じないことが確認された。
次に、Case2の建物周囲部2と建物中央部1の相対変形は、Case3と比較すると3Bで約23%減少することが確認できたが、他の地震動では大きな差は認められなかった。
ここで、図6、図7に3Bを入力した際のCase2とCase3の建物中央部1の変位波形と、建物周囲部2と建物中央部1の相対変形波形を重ねて示す。
図6から、免震装置に傾斜があることによって建物中央部1の変位が減少し、残留が生じないことが確認された。また、図7から、相対変形もCase2の方がCase3よりも減少することが確認された。
したがって、本実施形態の免震構造物Aにおいては、建物周囲部2と建物中央部1をそれぞれ免震装置で支持するとともに最適剛性、最適減衰で連結し、且つ建物中央部1を支持する免震装置として滑り支承3を採用することにより、建物周囲部2の応答加速度の増加を抑制しながら応答変位を大きく低減することが可能になる。
また、滑り支承3として復元機能を有する滑り支承(傾斜滑り支承)を適用することにより、復元機能を備えない滑り支承と同等の加速度応答の低減効果を発揮しつつ、残留変形をなくし、且つ建物周囲部2との相対変形を低減することが可能になる。
このように建物中央部1の残留変位をなくすことができることにより、建物中央部1と建物周囲部2の相対変形も小さくなるため、建築計画の自由度を広げることができる。
また、建物の一部をTMDの錘として用いることにより、錘質量を大きくでき、建物周囲部2の1次モードを含めた多くの振動モードに同調することが可能になる。
さらに、傾斜滑り支承3のみで建物中央部1を支持することにより、建物周囲部2、建物中央部1ともに応答加速度を200cm/s以下に抑制することができ、建物周囲部2だけでなく建物中央部1も居住空間として十分使用することが可能になる。
以上、本発明に係る免震構造物の第1実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
次に、図8から図13を参照し、本発明の第2実施形態に係る免震構造物について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様の構成に対して同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
ここで、本実施形態の免震構造物Bは、免震建物であり、図8及び図9に示すように、一方の免震構造体1と他方の免震構造体2を連結して構成したものである。
具体的に、本実施形態の免震構造物Bは、隣り合う一方の免震構造体1と他方の免震構造体2(複数の免震構造体)を制振装置5で連結して構成されている。
一方の免震構造体1は、下端部に免震層を備え、復元機能を持つ滑り支承(傾斜滑り支承:免震装置)3のみで支持され、自立して構築されている。
他方の免震構造体2は、同じく下端部に免震層を備え、積層ゴム支承(免震装置)4のみで支持され、自立して構築されている。
そして、これら隣り合う免震構造体1、2同士がバネ要素5aと減衰要素5bを備えた制振装置5で連結されている。
このように構成した本実施形態の免震構造物Bにおいては、通常の免震建物と比較し、他方の免震構造体2の免震層の応答加速度の増加を抑えながら応答変位を低減させることが可能になる。
また、一方の免震構造体1に免震機能が付与され、応答加速度が一定の大きさで打ち切られるため、一方の免震構造体1に大きな加速度が伝達されることはなく、さらに傾斜による復元機能を有するため、残留変形を少なくでき、他方の免震構造体2との相対変形を小さくすることが可能になる。
なお、傾斜滑り支承3の摩擦係数μは0.05〜0.10程度、傾斜角は1/100〜1/30程度にすることが好ましい。
ここで、第1実施形態と同様、図10に示す1質点系連結モデルを用いて時刻歴応答解析を行うことにより、本実施形態の免震構造物Bの応答低減効果を検証したシミュレーションについて説明する。
まず、解析モデルを次のように設定した。
隣り合う一方の免震構造体1は傾斜滑り支承3で支持された構造とし、他方の免震構造体2は積層ゴム支承4で支持された構造とした。また、一方の免震構造体1と他方の免震構造体2はkとcのバネ要素5aと減衰要素5bによって連結した。
解析に使用した解析モデルの諸元は前述の表1と同様である。なお、本シミュレーションで用いた解析諸元はあくまで一例である。
そして、本シミュレーションにおいて、他方の免震構造体2は質量を10000t、免震周期4秒、減衰定数20%の免震建物とし、積層ゴム支承4が線形の天然ゴムであるものとしてモデル化した。
一方の免震構造体1は他方の免震構造体2の半分の質量とし、傾斜滑り支承3によって支持されているものとした。傾斜滑り支承3の摩擦係数は0.05とし、傾斜角度は1/70とした。
また、本シミュレーションでは、Case1、Case2、Case3の3ケースを比較することによって、本発明に係る免震構造物Bの優位性の検証を行った。
ここで、Case1は他方の免震構造体2のみで構成したものとした。
Case2は、一方の免震構造体1と他方の免震構造体2をバネ要素5aと減衰要素5bで連結し、さらに一方の免震構造体1に傾斜滑り支承3を用いて構成したものとした。
Case3は、Case2における傾斜滑り支承3の傾斜角をなくし、単純な滑り支承として構成したものとした。
次に、本シミュレーションの時刻歴応答解析に用いた入力地震動は、第1実施形態と同様である(表2、図4参照)。
次に、解析結果について説明する。
表5は、Case1〜Case3の他方の免震構造体2の最大変位と最大加速度を示している。さらに、図11(a)と図11(b)はそれぞれ、Case3とCase2のCase1に対する応答比率を示している。また、表6は、Case3とCase2における一方の免震構造体1の応答変位と応答加速度、残留変形、他方の免震構造体2との相対変形を示している。
Figure 2017125324
Figure 2017125324
まず、Case1とCase3を比較すると、Case3の他方の免震構造体2は、表5と図11(a)より、EL CENTROを入力した場合に応答加速度が13%増加しているが、その他の地震動においては加速度の増加を抑制しながら変位を低減できることが確認された。特に、八戸、3Bにおいては、加速度と変位の両方を低減することが可能であった。
また、表6から、一方の免震構造体1の応答を見ると、Case3では滑り支承3により一方の免震構造体1に伝達される力が小さくなり、全ての地震動において一般的な免震建物の応答目標とされる200cm/s以下に抑制できることが確認された。
一方、Case3は、免震装置に復元機能(傾斜角)がないため、残留変形(最大で10.7cm)が生じることも確認された。
次に、傾斜角を付けた傾斜滑り支承3を採用したCase2の応答について説明する。
他方の免震構造体2の応答は、表5と図11(b)のCase2のCase1に対する応答比から、免震装置に傾斜角がある分Case3よりも加速度が数%増加する地震動があるものの、変位の低減効果はCase3とほぼ同等であることが確認された。
一方の免震構造体1の応答は、免震装置に傾斜がある場合であっても全ての地震動に対して200cm/s以下となることが確認された。また、表6から、残留変形がほとんど生じないことが確認された。
次に、Case2の一方の免震構造体1と他方の免震構造体2の相対変形は、Case3と比較すると3Bで約23%減少することが確認できたが、他の地震動では大きな差は認められなかった。
ここで、図12、図13に3Bを入力した際のCase2とCase3の他方の免震構造体の変位波形と、一方の免震構造体1と他方の免震構造体2の相対変形波形を重ねて示す。
図12から、免震装置に傾斜があることによって一方の免震構造体1の変位が減少し、残留が生じないことが確認された。また、図13から、相対変形もCase2の方がCase3よりも減少することが確認された。
したがって、本実施形態の免震構造物Bにおいては、一方の免震構造体1と他方の免震構造体2をそれぞれ免震装置で支持するとともにバネ要素5aと減衰要素5bで連結することにより、他方の免震構造体2の応答加速度の増加を抑制しながら応答変位を大きく低減することが可能になる。
また、一方の免震構造体1を支持する滑り支承3として復元機能を有する滑り支承(傾斜滑り支承)を適用することにより、復元機能を備えない滑り支承と同等の加速度応答の低減効果を発揮しつつ、残留変形をなくし、且つ他方の免震構造体2との相対変形を低減することが可能になる。
このように一方の免震構造体1の残留変位をなくすことができることにより、他方の免震構造体2と一方の免震構造体1の相対変形も小さくなるため、建築計画の自由度を広げることができる。
さらに、傾斜滑り支承3のみで一方の免震構造体1を支持することにより、他方の免震構造体2、一方の免震構造体1ともに応答加速度を200cm/s以下に抑制することができ、居住空間として十分使用することが可能になる。
以上、本発明に係る免震構造物の第2実施形態について説明したが、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 一方の免震構造体
2 他方の免震構造体
3 滑り支承(免震装置)
4 積層ゴム支承(免震装置)
5 制振装置
5a バネ要素
5b 減衰要素
A 免震構造物
B 免震構造物

Claims (2)

  1. それぞれ免震装置で支持され、自立して構築される一方の免震構造体と他方の免震構造体を備え、
    バネ要素と減衰要素を備えてなる制振装置で前記一方の免震構造体と前記他方の免震構造体が連結され、且つ、前記一方の免震構造体と前記他方の免震構造体のいずれかを支持する前記免震装置が滑り支承であることを特徴とする免震構造物。
  2. 請求項1記載の免震構造物において、
    前記一方の免震構造体と前記他方の免震構造体のいずれかを支持する前記免震装置が傾斜滑り支承であることを特徴とする免震構造物。
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