JP2014004498A - 混合液体の分離装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】混合液体から回収対象とする液体を高効率に回収可能な混合液体の分離装置を提供する。
【解決手段】少なくとも第1の液体と第1の液体よりも高い沸点を有する第2の液体とを含む混合液体を噴霧する噴霧装置と、噴霧装置により噴霧された混合液体が送り込まれる噴霧容器と、噴霧容器に第1の液体及び第2の液体のいずれか一方の沸点よりも高い温度の加熱ガスを供給する加熱ガス供給器と、噴霧容器に送り込まれた混合液体と加熱ガス供給器より供給された加熱ガスとを接触させることで気化された第1の液体を少なくとも含む混合ガスを噴霧容器から排出する排出管と、排出管を通って流入した混合ガスから第2の液体を分離手段により分離すると共に、第2の液体を排液する排液口が鉛直方向下側に形成された分離容器とを備え、挿入容器及び分離容器の少なくとも一方における内壁が、第2の液体に対する濡れ性が低い表面を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、混合液体の分離に用いられる混合液体の分離装置に関する。
従来、混合液体から一方の液体を回収するための液−液分離方法としては、蒸留や浸透膜を用いた方法が中心であった。しかし、例えば蒸留の場合、加熱面と蒸発面とが異なり、また、加熱される液体中で対流が生じるなどエネルギーロスがあり、加熱エネルギーから蒸発エネルギーへの変換効率に優れているとはいえない。また、一般的に蒸留で目的物質を分離するためには、混合液体中の目的物質の濃度が10%程度であることが望ましい。さらに浸透膜を用いての目的物質の抽出では高濃度溶液を得ることが難しく、更なる工程が必要となる。このため、これら液−液分離方法は、エネルギー単位量当たりの効率が悪く時間を要する上、分離精度が低いといった問題があった。また、更に大きな設備を必要とすることも多いといった難点があった。
混合液体において、例えば、一方の液体に対して他方の液体が極微量含まれている場合、上述の問題に加えて、蒸留等においては分離作業自体が困難な場合も多い。このような場合に、例えば、ナノ濾過部材等を用い、濃縮・乾燥等をおこなって、濃度95〜99%程度のイオン液体の濃縮液を回収する方法が提案されている(特許文献1参照)。
中国特許出願公開第101224933号明細書
しかし、特許文献1に記載される回収方法であっても、当初イオン液体(第1回目の回収物)の組成質量濃度が30%程度と十分ではなく、より効率的に混合液体中から所定の液体を回収できる分離方法が求められている。
本発明の課題は、前記問題を解決すべく成されたもので、混合液体から回収対象とする液体を高効率に回収可能な混合液体の分離装置を提供することである。
本発明の混合液体の分離装置は、少なくとも第1の液体と前記第1の液体よりも高い沸点を有する第2の液体とを含む混合液体を噴霧する噴霧装置と、
前記噴霧装置により噴霧された前記混合液体が送り込まれる噴霧容器と、
前記噴霧容器に前記第1の液体及び前記第2の液体のいずれか一方の沸点よりも高い温度の加熱ガスを供給する加熱ガス供給器と、
前記噴霧容器に接続され、前記噴霧容器に送り込まれた前記混合液体と前記加熱ガス供給器より供給された加熱ガスとを接触させることで気化された前記第1の液体を少なくとも含む混合ガスを、前記噴霧容器から排出する排出管と、
鉛直方向に延び、水平方向に切断した断面形状が環状とされ、前記排出管を通って流入した前記混合ガスから前記第2の液体を分離手段により分離すると共に、前記第2の液体を排液する排液口が鉛直方向下側に形成された分離容器と、を備え、
前記噴霧容器及び前記分離容器の少なくとも一方における内壁が、前記第2の液体に対する濡れ性が低い表面を有する、
混合液体の分離装置である。
本発明の混合液体の分離装置によれば、少なくとも第1の液体と当該第1の液体よりも高い沸点を有する第2の液体とを含む混合液体を噴霧装置によって噴霧することで、例えば、混合液体の液滴を20μm程度にすることができる。液滴の粒径が20μm程度であると、1リットルの液体に換算した場合には、その表面積はおおよそ3000cm程度となる。
このため、混合液体の分離装置によれば、噴霧装置によって液滴化された混合液体を、噴霧容器内で加熱ガス供給器により供給された少なくとも第1の液体及び第2の液体のいずれか一方の沸点よりも高い加熱ガスと接触させることで、低エネルギー且つ短時間で少なくとも第1の液体を気化させることができる。
さらに、噴霧容器内で気化された第1の液体を含む混合ガスは、排出管を通して分離容器に排出される。排出された混合ガスは、分離容器が備える分離手段により第2の液体が分離され、分離した第2の液体は、分離容器に設けられた排液口から外部に排出される。
ここで、噴霧容器及び分離容器の少なくとも一方における内壁は、第2の液体に対する濡れ性が低い表面を有する。このように、噴霧容器及び分離容器の少なくとも一方における内壁が、第2の液体に対する濡れ性が低い表面を有すると、容器内壁における第2の液体の付着を抑制することができることから、高効率で第2の液体を回収することができる。また、分離された第2の液体の容器内における平均滞留時間を短くできることから、第2の液体が高温の容器内に滞留することにより、第2の液体が熱分解等により劣化することを抑制することができる。これにより、混合液体から第2の液体を回収する回収効率を向上させることができる。
なお、以下では、本発明における第2の液体に対する濡れ性が低い表面を、適宜「低濡れ性表面」と略称して説明する。
本発明における低濡れ性表面とは、第2の液体に対する接触角が、90°以上であることが好ましい。
低濡れ性表面の好適な態様としては、例えば、含フッ素化合物を含む材料により構成された表面、微細な凹凸構造を有する表面が挙げられる。低濡れ性表面を、含フッ素化合物を含む材料により構成された表面、又は、微細な凹凸構造を有する表面とすることで、さらに第2の液体の回収効率を向上させることができる。
本発明の混合液体の分離装置においては、加熱ガス供給手段における加熱ガスの温度を、第1の液体の沸点よりも高く且つ第2の液体の沸点よりも低くなるようにすることができる。
噴霧装置によって液滴化された混合液体に、第1の液体の沸点よりも高く且つ第2の液体の沸点よりも低い温度の加熱ガスを接触させることで、低エネルギー且つ短時間で第1の液体を気化させつつ、さらに、効率良く第1の液体と第2の液体とを分離させることができる。
また、噴霧容器の排出口における混合ガスの温度(以下、「出口温度」と称することがある。)を、第1の液体を気化された状態に保つことが出来るように設定することができる。このように出口温度を設定することで、混合ガスが容器から排出される際に、第1の液体を気化された状態で維持することができる。当該出口温度は、第1及び第2の液体の沸点や排出口付近におけるガスの流速によって適宜設定することができるが、例えば、第1の液体の沸点よりも高く且つ第2の液体の沸点よりも低いように設定することもできる。
本発明の混合液体の分離装置においては、分離容器に、前記混合ガスを冷却し、前記混合ガスから前記第2の液体を分離する冷却器を設けることができる。
このように、分離容器に設けられた冷却器で混合ガスを冷却することで、例えば、液体状態のままの第2の液体と気化した第1の液体を含む混合ガスとが同時に噴霧容器から排出された際に、混合ガスと第2の液体とを分離することができる。
本発明の混合液体の分離装置においては、第1の液体及び第2の液体の少なくとも一方が、無機溶媒及び有機溶媒のいずれか一方の溶媒であってもよい。第1の液体及び第2の液体の両者を溶媒とする際には、第1の液体及び第2の液体は、それぞれ沸点の異なる溶媒となる。これにより、例えば、第1の溶媒/第2の溶媒の混合液体を、第1の溶媒と第2の溶媒とに分離することができる。
本発明の混合液体の分離装置においては、第1の液体及び第2の液体の一方を有機溶媒とし、他方を水とすることができる。これにより、有機溶媒/水の混合液体を水と有機溶媒とに分離することができる。
本発明の混合液体の分離装置において、第1の液体及び第2の液体の少なくとも一方が有機溶媒である場合、該有機溶媒をイオン液体とすることができる。これにより、例えば、イオン液体/水の混合液体をイオン液体と水とに分離することができる。
以上説明したように、本発明によれば、混合液体から回収対象とする液体を高効率に回収可能な混合液体の分離装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る混合液体の分離装置の一例を示した全体構成図である。 本発明の実施形態に係る混合液体の分離装置の一例を用いて第1の液体と第2の液体とを分離する際の工程を示した工程図である。 本発明に係る接触角を説明する図である。
本発明の混合液体の分離装置は、少なくとも第1の液体と前記第1の液体よりも高い沸点を有する第2の液体とを含む混合液体を噴霧する噴霧装置と、
前記噴霧装置により噴霧された前記混合液体が送り込まれる噴霧容器と、
前記噴霧容器に前記第1の液体及び前記第2の液体のいずれか一方の沸点よりも高い温度の加熱ガスを供給する加熱ガス供給器と、
前記噴霧容器に接続され、前記噴霧容器に送り込まれた前記混合液体と前記加熱ガス供給器より供給された加熱ガスとを接触させることで気化された前記第1の液体を少なくとも含む混合ガスを、前記噴霧容器から排出する排出管と、
鉛直方向に延び、前記排出管を通って流入した前記混合ガスから前記第2の液体を分離手段により分離すると共に、前記第2の液体を排液する排液口が鉛直方向下側に形成された分離容器と、を備え、
前記挿入容器及び前記分離容器の少なくとも一方における内壁が、前記第2の液体に対する濡れ性が低い表面を有する、
混合液体の分離装置である。
本発明の混合液体の分離装置によれば、混合液体から回収対象である液体を高効率に回収することができる。
以下では、先ず、本発明における低濡れ性表面に関する事項について説明した後、本発明の混合液体の分離装置の実施形態にについて説明する。
本発明における低濡れ性表面は、噴霧容器及び分離容器における少なくとも一方の内壁が有していればよい。第2の液体の回収効率向上の観点からは、少なくとも分離容器における内壁が低濡れ性表面を有することが好ましく、噴霧容器及び分離容器の双方における内壁が低濡れ性表面を有することが好ましい。
内壁が低濡れ性表面を有する噴霧容器又は分離容器においては、当該容器の内壁における少なくとも一部の表面が低濡れ性表面であればよい。第2の液体の回収効率を向上させる観点からは、容器の内壁に表面全部が、低濡れ性表面であることがより好ましい。
本発明における低濡れ性表面としては、第2の液体に対する接触角が、90°以上である表面が好ましい。ここで、接触角とは、図3に示すように、噴霧容器又は分離容器の内壁表面Aに対して第2の液体を滴下したときに、第2の液体の液滴30と内壁表面Aとの界面の端点における液滴30の接線が内壁表面Aと成す角であって、液滴30を含む側の角θである。接触角は、接触角計を用いて測定することができる。本発明における接触角は、JIS R 3257(1999)に記載の静滴法によって測定できる。
噴霧容器又は分離容器の内壁を低濡れ性表面とする方法には特に限定はなく、例えば、容器の内壁を第2の液体に対して撥液性を示す材料を用いて形成する方法、容器の内壁の表面形状を第2の液体に対して撥液性を示す形状に加工する方法、など種々の方法を適用することができる。
本発明における低濡れ性表面は、フッ素含有樹脂により容器自体を形成すること、容器の内壁表面に、フッ素含有樹脂、フッ素含有シランカプリング剤などのフッ素含有化合物を用いて被覆層を形成すること、などにより好適に得ることができる。
フッ素含有樹脂としては、含フッ素モノマーの単独又は共重合体が挙げられる。その具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられ、テフロン(登録商標)樹脂として市販されるものを適用することができる。フッ素含有シランカップリング剤としては、フルオロアルキル基を有するシランカップリング剤が好適に挙げられる。
フッ素含有樹脂により容器を形成する場合には、フッ素含有樹脂及び必要に応じて併用される添加成分を含む材料を用いて、噴霧容器又は分離容器を形成すればよい。容器の成形方法としては、押出成形、射出成形、トランスファー成形、ブロー成形、回転成形などの樹脂容器の製造に適用される公知の成形方法を用いることができる。
また、容器の内壁表面にフッ素含有化合物を用いて被覆層を形成する場合には、フッ素含有樹脂、フッ素含シランカプリング剤などのフッ素含有化合物、及び、必要に応じて併用される添加成分を含む被覆層用組成物を調製し、該被覆層用組成物を用いて噴霧容器又は分離容器の内壁表面に被覆層を形成すればよい。
容器内壁の表面に被覆層を形成する場合、容器を構成する基材としては、所定の工程に耐えうる程度の強度を有し、当該強度を発揮する材質で構成され、中空の基材であれば適宜用いることができる。基材としては、有機物又は無機物のいずれであってもよく、例えば、樹脂、金属、ガラス等の基材を用いることができる。
被覆層の厚みは、特に制限は無いが、例えば、10μm〜1000μmの範囲とすることができる。
本発明における低濡れ性表面は、微細な凹凸構造を有することが好ましい。該微細な凹凸構造の幅及び高さの範囲はとしては、10nm〜800μmが好ましく、50nm〜300μmがより好ましい。凹凸構造は均一であっても均一でなくともよい。凹凸構造としては、鱗片状、角柱状、円柱状、角錐状、円錐状、針状などのいずれであってもよい。また、それらの形状が複雑に組み合わさってできた、2以上3未満のフラクタル次元をもつフラクタル構造又は自己アフィン構造であってもよい。微細な凹凸構造としては、フラクタル構造であることが特に好ましい。
ここで、フラクタル構造とは、次第に微細となる構造において自己相似形の性質と非整数次元の特徴を有する幾何学的な図形の構造をいい、具体的な形状、大きさ等は特に限定されるものではない。その例としては、例えば、りん片状、角柱状、円柱状、角錐状、円錐状、針状等のいずれか、及びこれらの形状が複雑に組み合わさってなるフラクタル構造を挙げることができる。
噴霧容器又は分離容器の内壁表面に形成される被覆層の好適な例としては、撥液性、耐熱性及び耐溶剤性の観点から、例えば、i)特開平2008−18705号公報の記載に準じて形成される、フッ素含有樹脂を含み且つ微細な凹凸構造を有する被覆層、ii)特開平2007−196383号公報の記載に準じて形成される、疎水性基を有するポリマーを含み且つ微細な凹凸構造を有する下層と、フッ素含有シランカップリング剤を用いて形成された上層とからなる被覆層が挙げられる。
〜前記i)の態様の被覆層〜
前記i)の態様の被覆層は、例えば、分子内にフッ素含有疎水基と重合性基を有する反応性モノマー又はオリゴマーを、容器内壁を構成する基材の表面において重合させることで得ることができる。フッ素含有疎水基としては、水素原子の少なくとも一部をフッ素原子に置換したフッ素含有のアルキル基、又は、水素原子の少なくとも一部をフッ素原子に置換したフッ素含有のアルケニル基を挙げることができる。疎水基は、炭素数8〜20のアルキル又はアルケニル基であることが好ましい。フッ素の含有量は、アルキル基の場合、少なくとも末端のメチル基がトリフルオロメチル基であればよく、末端から3個〜10個の炭素鎖がフッ化炭素(パーフルオロアルキル又はパーフルオロアルケニル)であることが望ましい。
重合性基は、酸化重合性基であるピロール基とする。従って、より好ましいモノマー又はオリゴマーとしては炭素数8〜20のフッ素含有アルキル又はフッ素含有アルケニル基とピロール基とを有するモノマー又はオリゴマーが挙げられる。更に好ましい反応性モノマーとしては、特開平2008−18705号公報において、式(1)及び(2)で表わされる化合物が挙げられる。
また、反応性モノマー又はオリゴマーを重合させる方法としては、触媒等を用いて重合させる方法、電解酸化重合及び電解還元重合が挙げられるが、基材表面で選択的に重合させるという観点及び微細な凹凸構造を形成するという観点から電解酸化重合が好ましい。
前記i)の態様の被覆層の形成に適用される反応性モノマー又はオリゴマーに関する更なる詳細、重合方法などの層形成の具体的な態様については、特開平2008−18705号公報に記載される事項に準じることができる。
〜前記ii)の態様の被覆層〜
前記ii)の態様の被覆層は、例えば、分子内に疎水基を有する反応性モノマー又はオリゴマーを、容器内壁を構成する基材の表面において重合させて下層を形成した後、該下層上に、フッ素含有シランカップリング剤を用いて上層を形成することにより得ることができる。分子内に疎水基を有する反応性モノマー又はオリゴマーを重合させることで得られる。分子内に疎水基を有する反応性モノマー又はオリゴマーとしては、アルキル基、アルケニル基に代表される疎水基と重合性基とを有する重合性モノマー及びそのオリゴマーが挙げられる。ここで、疎水基としては、炭素数8〜20のアルキル又はアルケニル基が好ましい。
重合性基としては、酸化重合性基、例えばピロール、チオフェン、アニリン、カルバゾール、フェノール又はビニル基が挙げられる。従って、より好ましいモノマー又はオリゴマーとしては炭素数8〜20のアルキル又はアルケニル基とピロール、チオフェン、アニリン、カルバゾール、フェノール又はビニル基とを有するモノマー又はオリゴマーが挙げられる。更に好ましい反応性モノマーとしては、特開平2007−196383号公報において、式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)又は(7)で表される化合物が挙げられる。
下層の形成に適用される重合方法としては、触媒等を用いて重合させる方法、電解酸化重合及び電解還元重合が挙げられるが、基材表面で選択的に重合させるという観点及び微細な凹凸構造を形成するという観点から電解酸化重合が好ましい。
上層は、フッ素含有シランカップリング剤を溶媒に溶解及び/又は分散させた溶液を、下層上に塗布し、溶媒を蒸発させることで形成することができる。
前記ii)の態様の被覆層の形成に適用される反応性モノマー又はオリゴマーに関する更なる詳細、上層及び下層の形成方法の具体的な態様については、特開平2007−196383号公報に記載される事項に準じることができる。
本発明における低濡れ性表面が微細な凹凸構造を有する表面である場合、既述の如く、該表面はフラクタル構造を有する表面であることが特に好ましい。前記フラクタル構造の形成方法としては、例えば、特開2006−257170号公報に記載される方法に準じて、フラクタル微粒子又はその集合体からなる鋳型の周囲を、該フラクタル微粒子とは異なる充填物質で埋め、該鋳型内で該充填物質を硬化させる工程、及び硬化させて充填物質からなる物体と鋳型とを分離する工程により形成する方法も、本発明に好適に適用することができる。本発明においては、噴霧容器及び/又は分離容器の内壁表面に、該微細多孔構造を備えることにより、フラクタル構造を有する低濡れ性表面を好適に形成することができる。
次に、本発明の第1実施形態に係る混合液体の分離装置の一例を、図1に従って説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る混合液体の分離装置の一例について全体構成が示されている。また、図2には、混合液体の分離装置によって実施される混合液体の分離方法の流れを説明するための工程図が示されている。なお、各図に示す矢印UPは、鉛直方向上方を示す。
(全体構成)
図1に示されるように、混合液体の分離装置(以下、「分離装置」という)100は、第1の液体とこの第1の液体と沸点の異なる第2の液体とを含む混合気体から一方の液体(本実施形態では第2の液体)を分離するための装置である。
より詳細には、分離装置100は、混合液体を噴霧する噴霧装置の一例としての噴霧ノズル8と、混合液体の流れ方向下流側で噴霧された混合液体を吸引するブロワ10と、噴霧された混合液体を加熱ガスと接触させて少なくとも第1の液体を気化させる噴霧容器の一例としてのチャンバ12と、チャンバ12に加熱ガスを供給する加熱ガス供給器13と、チャンバ12に供給する加熱ガスを所望の温度に加熱するためのヒータ15と、気化された第1の液体を含む混合ガスから第2の液体を分離する分離容器16と、第2の液体が回収される回収容器18と、を主な構成部品としている。
分離装置100においては、チャンバ12及び分離容器16の少なくとも一方における内壁が低濡れ性表面を有する。低濡れ性表面に関する詳細は、既述した通りである。
<噴霧ノズル>
図1に示されるように、噴霧ノズル8には、混合液体が貯留される試料容器2から混合液体(第1の液体と第2の液体とを含む液体)が供給されるための供給管3が混合器9を介して接続されている。また、この供給管3には混合液体を送液する送液ポンプ4が備えられている。なお、供給管3には、混合液体中の不純物や固形物を除去するためのフィルターを設けることもできる。
さらに、噴霧ノズル8には、ニードル弁6が備えられた噴霧気体供給管7が混合器9を介して接続されており、図示しないコンプレッサ等から供給される圧力空気を試料容器2から供給される混合液体と共に噴霧ノズル8に供給できるように構成されている。噴霧ノズルの先端部8Aの径(ノズル径)は特に限定はないが、所望の液滴の粒径に合わせて適宜選択することができる。ノズル径としては、例えば、400〜700μmが好ましく、500〜700μmがさらに好ましい。
噴霧ノズル8では、混合液体が液滴化され噴霧される。これにより、混合液体の分離方法における噴霧工程(ステップS100)が実施される(図2参照)。混合液体の液滴の粒径としては、特に限定はないが、20〜700μmが好ましく、400〜500μmがさらに好ましい。この際、噴霧ノズル8のノズル径や噴霧圧力などは、混合液体の液滴の粒径を基準に適宜設定することができる。また、ノズルの目詰まりや噴霧効率を高めるために、噴霧ノズル8から混合液体を噴霧する前にフィルター等によって混合液体中の不純物や固形物を除去する工程を設けることもできる。
混合液体に含まれる第1の液体及び第2の液体は沸点の異なる液体である。また、第1の液体には、第2の液体よりも沸点の低い液体が選択される。なお、混合液体については後に詳述する。
<チャンバ>
チャンバ12は、鉛直方向上下方向に延びて設けられ、チャンバ12の鉛直方向上方の一端側(以下、単に「入口側」と称する場合がある。)には、噴霧ノズル8が配置されると共に、加熱ガス供給器13に設けられた加熱ガス供給路14の先端部14Aが接続されている。加熱ガス供給路14の先端部14Aは、噴霧ノズル8を中心としてその周りを加熱ガスが流通できるように構成されており、加熱ガス供給路14中に備えられたヒータ15で温度制御された加熱ガスが先端部14Aを介してチャンバ12内に供給できるように構成されている。
ヒータ15は、加熱ガスを所望の温度にまで加熱できる装置であれば特に限定されず、例えば、公知の電熱線等を用いることができる。また、加熱ガス供給路14には、温度センサ20が備えられており、ヒータ15で加熱された加熱ガス供給路14中のチャンバ12内に供給される際の加熱ガスの温度(入口温度)をモニタリングすることができる。さらに、噴霧ノズル8に流通した混合液体は、ノズルを構成する金属等の伝熱体を介して加熱ガスからの熱を混合液体に伝えることができ、混合液体を噴霧ノズル8先端の混合液体供給側である入口側に達するまでの間に必要な温度まで加熱することができる。
チャンバ12は、その内部に噴霧された混合液体と別に供給される加熱ガスとを接触させるための容器である。前述のように、チャンバ12の入口側には、噴霧ノズル8と加熱ガス供給路14とが接続されており、チャンバ12内に混合液体を噴霧し、さらに加熱ガスを供給できるように構成されている。
チャンバ12では、チャンバ12内に噴霧された混合液体を加熱ガスと接触させて少なくとも第1の液体を気化させる気化工程(ステップS200)が実施される(図2参照)。実際には、噴霧ノズル8において噴霧された混合液体は噴霧と同時に加熱ガスと接触するため、噴霧ノズル8による噴霧工程と気化工程とはほぼ同時に行われることとなる。
また、気化工程において、気化された第1の液体及び/又は第2の液体は、チャンバ12内で加熱ガスと混合されて混合ガスとなる。本実施形態では、加熱ガス供給器13は、加熱ガスをチャンバ12の外部から供給しているが、これに代えて、チャンバ12内に備えられた加熱機によってチャンバ12内の気体を加温して混合ガスを供給する態様とすることもできる。
また、チャンバ12の他端側(以下、単に「出口側」と称することがある。)には、混合ガスをチャンバ12の外部に排出するための排出口12Aが設けられている。本実施形態では、チャンバ12の鉛直方向下部の側壁に排出口12Aが設けられている。本装置においては、液滴状の第2の液体が、気化された第1の液体を含む混合ガスと共に、排出口12Aからチャンバ12外に排出されるように設計されている。これにより、混合液体の分離方法における排出工程(ステップS300)が実施される(図2参照)。
また、チャンバ12は混合ガスとならず液体のままで存在している第2の液体を回収するための回収容器としても使用でき、必要に応じてチャンバ12の任意の場所(例えば底部)に第2の液体を排出するための第2の排出口を設けることもできる。例えば、質量差を利用して第2の液体がチャンバ12の下部に設けられた第2の排出口から回収できるように装置を構成してもよい。チャンバ12の内壁が低濡れ性表面を有することで、第2の排出口から回収される第2の液体の回収効率を向上させることができる。
チャンバ12は特に限定はないが、所定の工程に耐えうる程度の強度を有し、当該強度を発揮する材質で構成され、中空のものであれば適宜用いることができる。また、チャンバ12の容積は、混合液体の処理量に応じて適宜選択される。また、チャンバ12の内圧も特に限定されるものではないが、例えば、0.05〜0.15MPa程度が好ましく、0.08〜0.10MPaがさらに好ましい。また、チャンバ12内の温度は、加熱ガスによって、第1の沸点よりも高く、且つ、第2の沸点よりも低い温度に維持されることが好ましい。
チャンバ12は、加熱ガス供給器13から供給される加熱ガスで満たされている。加熱ガスはそのガス温度が供給時点で少なくとも一方の液体の沸点よりも高いものであれば特に限定なく用いることができる。但し、混合液体に対して反応性の少ないガスを用いることが好ましく、例えば、空気、窒素ガス、又は、不活性ガス等を用いることができる。また、チャンバ12に対する加熱ガスの供給量及び供給速度は特に限定はないが、チャンバ12内にかかる圧力を所望の程度に保つことができる程度の流量として、0m/minを超えて1.0m/min以下であることが好ましく、さらに0.1m/min以上0.7m/min以下であることがさらに好ましい。また、加熱ガスの供給口は1つに限らず、複数箇所からの流入でもよく、流入場所についても特に制限は無い。
加熱ガスの温度は、例えば、チャンバ12に供給される際の加熱ガスの温度(以下、「入口温度」と称する場合がある。)を、入口温度及び出口温度の両者において、ガス温度(チャンバ12内の温度)が少なくともいずれかの液体の沸点よりも高いように(好ましくは、第1の液体の沸点よりも高く且つ第2の液体の沸点よりも低いように)ヒータ15を用いて制御することもできる。加熱ガスの温度の制御は、例えば、水と他の液体とを含む混合液体を分離する場合には、出口温度を水の沸点を基準に設定することができる。
さらに、チャンバ12の排出口12Aの周辺には、温度センサ22が備えられており、チャンバ12内から排出される際の混合ガスの温度(出口温度)をモニタリングすることができる。また、チャンバ12の排出口12Aには、排出管24を介して分離容器16が接続されている。
この際、温度センサ22でモニタリングした温度を加熱ガスの温度へフィードバックして、入口温度と出口温度とが一定に保たれるようにヒータ15等において加熱温度を制御できるよう構成してもよい。また、チャンバ12の排出口12Aにおける混合ガスの温度(出口温度)は、第1の液体が気化された状態を保つことが出来る程度に設定することができる。このように出口温度を設定することで、混合ガスがチャンバ12から排出される際に、第1の液体が気化された状態を維持することができる。当該出口温度は、第1及び第2の液体の沸点や排出口付近におけるガスの流速によって適宜設定することができるが、例えば、第1の液体の沸点よりも高く且つ第2の液体の沸点よりも低いように設定することもできる。
<分離容器>
分離容器16は、混合ガスと第2の液体とを分離するために用いられる。
分離容器16は、鉛直方向に延び、水平方向に切断した断面形状が環状とされており、混合ガスから第2の液体を分離する分離手段を備える。分離容器16の内部には、分離手段の一例として、排出管24から流入された混合気体が分離容器16の内壁面に沿って流れることで、螺旋状に気流が旋回するように形成されている。これにより、分離容器16の内部では、ブロワ10(図1参照)の吸引によって竜巻状の気流(サイクロン)が生じ、遠心力によって混合ガスから第2の液体を分離できるように構成されている。
また、分離容器16の鉛直方向下側には分離した第2の液体を回収する回収容器18が接続されており、混合ガスから分離された第2の液体を回収できるように構成されている。これにより、混合液体の分離方法における分離工程(液−気分離工程:ステップS400)が実施される(図2参照)。分離容器16の内壁が低濡れ性表面を有することで、第2の排出口から回収される第2の液体の回収効率を向上させることができる。
また、分離容器16には、冷却手段の一例としての冷却器17が設けられている。冷却器17は、配管内に冷媒を循環させた構成を有しており、分離容器16内の混合ガスを冷却することで第2の液体の分離(回収)効率を高めることができように構成されている。この冷却器の設置は任意である。
<排気管>
図1に示されるように、分離容器16の鉛直方向上側には、分離容器16によって第2の液体と分離された混合ガスを排出する排気管(ガス通路部)26が接続されている。側面視にて排気管26は、分離容器16の上面部から上方側に延在されると共に、上部が略U字状に屈曲されて下方側に延びている。さらに、排気管26のガス流れ方向の下流側端部には、ブロワ10が接続されており、ブロワ10による吸引によって、第2の液体と分離された混合ガスが分離容器16から排出されるように構成されている。さらに、ブロワ10による吸引によって、混合ガスの温度が低下するため第2の液体をより効率よく回収することができるように構成されている。
<混合液体>
次に、分離装置100で用いられる混合液体について説明する。混合液体に含まれる第1の液体及び第2の液体は沸点の異なる液体である。また、第1の液体には、第2の液体よりも沸点の低い液体が選択される。本実施形態の分離装置100によれば、混合液体から第1の液体のみを気化させた状態で第1の液体と第2の液体とを分離することで、効率よく第1の液体と第2の液体とを分離することができる。
ここで、「液体」とは、1気圧・25℃において一定の体積を持ち、流動性を有している液体状態の化合物を意味し、詳細には、消防危第11号に示された、消防法の危険物の規制に関する政令等の一部を改正する政令(危険物の試験及び性状に係る部分)並びに危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年2月公布)において別添2で示された方法に記載される手順に従って確認されるものを意味する。
また、「沸点」とは、1気圧における沸点を意味し、詳細には、JISK2233:1984に規定される方法で測定される沸点を意味する。なお、「沸点」を有しない液体(例えばイオン液体)の場合には、ここでは便宜上「分解点」を「沸点」として加熱温度等の基準として使用する。即ち、本発明において「沸点」には、沸点を有さない液体の場合における当該液体の「分解点」が含まれる。ここで「分解点」とは熱重量測定装置(TGA)を用いて昇温速度を10℃/分で測定を行う際に、液体の分子構造が変化して液体の重量が10%減少する温度を指す。さらに、「気体」とは、物質の状態の一つで、自ら広がろうとする性質を持ち、従って一定の形や体積を持たず、容器全体に広がろうとする性質を持つ状態を意味する。
第1の液体と第2の液体との組合せは、沸点が異なる液体同士であれば特に限定はないが、例えば、少なくとも一方に溶媒を用いてもよく、第1の液体及び第2の液体の両者を溶媒としてもよい。第1及び第2の液体の両者を溶媒とした場合には、それぞれ沸点の異なる溶媒を用いることとなる。また、上記溶媒は無機溶媒もしくは有機溶媒のいずれであってもよい。このため、第1及び第2の液体の組合せとしては、有機溶媒同士、無機溶媒同士若しくは有機溶媒と無機溶媒との組合せや、具体的には、有機溶媒と水との組合せ、有機溶媒とイオン液体との組合せ、水とイオン液体との組合せ、イオン液体同士の組合せ等が挙げられる。この際、沸点の低いものが第1の液体となる。ここで、「イオン液体」とは、塩より構成される化学物質であって1気圧・25℃において液体状態の有機化合物を意味し、水(HO)は含まない。
上記有機溶媒としては、N−メチルモルフォリンオキシド(NMMO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、エタノール、イソプロピルアルコール、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(C2mimAc)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルフォスフェイト(C2mimDEP)、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム塩化物(AmimCl)、1−エチルピリジニウム塩化物、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ポリエチレングリコール(PEG)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルフォネート、ジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられる。
また、このうち、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(C2mimAc)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルフォスフェイト(C2mimDEP)、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム塩化物(AmimCl)、1−エチルピリジニウム塩化物、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルフォネートが上記イオン液体に該当する。
また、上記無機溶媒としては、例えば、水(HO)や溶融塩等を用いることができる。
具体的な第1の液体と第2の液体との組合せは特に限定されるものではないが、例えば、水(沸点:約100℃)とC2mimAc(沸点(分解点)約210℃)との組合せ、水とC2mimDEP(沸点(分解点)約255℃)との組合せ、水とAmimCl(沸点(分解点)約245℃)との組合せ、水とNMMO(沸点120℃)との組合せ、水とTHF(沸点約66℃)との組合せ、水とピリジン(沸点約115.2℃)との組合せ、水とポリエチレングリコール(沸点約250℃以上)との組合せ、水とDMSO(沸点約189℃)との組合せ、水とDMF(沸点約153℃)との組合せ等が挙げられる。
尚、以上の組合せにおいては沸点(分解点)の高い液体が第2の液体に該当する。
また、本実施形態の分離装置100によれば、第1の液体及び第2の液体の含有比率に影響されず、高い分離効率を達成することができる。例えば、第2の液体の含有量が1質量%以下の場合であっても、高い効率(回収率)で第2の液体を分離・回収することができる。
また、第1の液体と第2の液体との組合せとしては、混合した際に共沸混合物を構成しない組合せが好ましい。例えば、共沸混合物を構成する液体の組合せとしては水とエタノールとの組合せや、水とイソプロピルアルコールとの組合せなどが挙げられる。ここで「共沸」とは、液体の混合物から沸騰する際に液相と気相とが同じ組成になる現象を言う。
第1の液体及び第2の液体間の沸点の差は特に限定されないが、例えば、第1の液体と第2の液体とは沸点の差が20〜200℃のものが好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。
(分離方法)
次に、分離装置100を用いた混合液体の分離方法について説明する。
以下の例においては、水(沸点約100℃:第1の液体)中に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(C2mimAc)(分解点:210℃:第2の液体)を約0.4%含む混合液体を用いた例について説明するが、本発明はこの態様に限定されるものではない。
<噴霧工程>
図1に示されるように、ステップS100の噴霧工程(図2参照)では、試料容器2中の混合液体が、送液ポンプ4によって噴霧ノズル8に送流される。また、同時に図示しないコンプレッサ等から加圧空気がニードル弁6を通して圧力を調整されながら噴霧ノズル8に供給される。噴霧ノズル8に供給された混合液体と加圧空気とは、噴霧ノズル8に接続された混合器9にて混合され、先端部8Aからチャンバ12内に噴霧される。この際、噴霧条件は、出口温度を監視しながら適宜決定され、例えば、噴霧圧力は0.08MPa〜0.1MPa、送液速度は8〜10g/min程度とされている。
混合液体が噴霧される際、チャンバ12内は既に常圧付近に保たれた加熱ガスで満たされている。ヒータ15は、ブロワ10からの吸引によって外部から吸引したガス(例えば、窒素ガス)を加熱する。この際、加熱ガスの温度は温度センサ20によって監視されており、加熱ガス供給路14中に配設されたヒータ15にて所望の入口温度にまで加熱される。ヒータ15にて加熱された加熱ガスは、加熱ガス供給路14の先端部14Aを介してチャンバ12内に供給される。この際、加熱ガスの入口温度は、おおよそ220℃程度であり、第1の液体(水)と第2の液体(C2mimAc)との沸点の間に設定されている。また、噴霧ノズル8は加熱ガス供給路14の先端部14Aによって加熱可能なように構成されており、噴霧ノズル8中の混合液体を加熱することができる。これにより噴霧ノズル中の混合液体の粘度を低くすることができ、効率良く送液を行うことができる。
<気化工程>
ステップS200の気化工程(図2参照)では、混合液体中の第1の液体(水)が蒸発して気化する。具体的には、チャンバ12内に噴霧された混合液体は、粒径20μm程度の液滴となる。液滴化した混合液体が、チャンバ12内に供給された加熱ガスと接触すると、混合液体中の第1の液体(水)が蒸発して気化する。この際、混合液体の噴霧によって、液滴化した混合液体と加熱ガスとの接触面積は非常に大きくなっているため、極めて短い時間で第1の液体は気化する。
<排出工程>
ステップS300の排出工程(図2参照)では、気化された第1の液体(水)を含む混合ガスがチャンバ12の外部に排出される。具体的には、チャンバ12内で気化した第1の液体(水)は、加熱ガスや噴霧に用いられたガスと混合され混合ガスとなる。この際、ブロワ10の吸引によってチャンバ12内の混合ガスは排出口12Aから排出されるが、液滴化された第2の液体(C2mimAc)も気化はしていないが微細な液滴として混合ガスに混ざって共に排出口12Aから排出される。
この際、排出口12Aにおける混合ガスの温度(出口温度)は、温度センサ22によって監視されており、ガス温度(出口温度)が、第1の液体(水)と第2の液体(C2mimAc)との沸点の間となるように制御される。出口温度は、例えば、60〜110℃となるように設定することができるが、第1の液体が水の場合には100℃前後とすることが好ましい。前記出口温度の制御は、例えば、チャンバ12に供給される加熱ガスの温度が入口温度からチャンバ内でどの程度下がるかを計測しておき、これを基準としてヒータ15にて加熱ガスの入口温度をある程度高めに設定して出口温度が所望の温度となるようにコントロールすることができる。
<分離工程>
ステップS400の分離工程(図2参照)では、混合ガスから液滴状の第2の液体を分離する。具体的には、チャンバ12の排出口12Aから排出された混合ガスと液滴状の第2の液体とはブロワ10の吸引によって排出管24を通って分離容器16に供給される。分離容器16内では、螺旋状に気流が旋回するように分離容器16が形成されているため、竜巻状の気流(サイクロン)が生じている。この竜巻状の気流(サイクロン)によって生じる遠心力及び冷却器17によって第2の液体が凝集することで、混合ガスから第2の液体(C2mimAc)を分離する。その後分離された第2の液体(C2mimAc)は、重力により落下して、分離容器16の鉛直方向下側に設けられた回収容器18に回収される。なお、回収容器18には、第2の液体から固形物等を除去するフィルターを設けてもよい。
第2の液体が分離した混合ガスは、気化された第1の液体(水)を含んだまま排気管26を通して装置外に排出される。
以上の例によれば、例えば、C2mimAcを0.4%程度含む水溶液からC2mimAcを低エネルギー且つ短時間で回収することができ、さらに、回収されたC2mimAcの組成質量濃度も約95%以上と高効率で回収することができる。
なお、上述の例においては、加熱ガスの入口温度を第1の液体(水)との沸点と第2の液体(C2mimAc)との分解点の間の温度となるように設定したが、本発明の混合液体の分離装置100はこれに限定されず、出口温度が第1の液体が気化状態を保てる温度となるように構成されていればよく、加熱ガスの入口温度が第2の液体の沸点を超えるものであってもよい。
また、上述の例においては、第1の液体を含む混合ガスを装置外に排出する構成としているが、回収容器など別途第1の液体を回収する回収手段を設けてもよい。この場合、回収手段は、例えば回収容器の温度を第1の液体の沸点以下の温度(上記例の場合には、約30℃など)としたり、冷却器を設けてこれと接触させることで、混合ガスから第1の液体を回収し、回収後の混合ガスを装置外に排出することができる。特に、第1の液体として、水以外の液体(例えば、有機溶媒等)を用いた場合には、このように第1の液体を回収する回収工程を別途設けることが好ましい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
8 噴霧ノズル(噴霧装置の一例)
12 チャンバ(噴霧容器の一例)
13 加熱ガス供給器
16 分離容器
17 冷却器
24 排出管
24A 流入口
26 排気管
26A 排気口
40 排液口

Claims (9)

  1. 少なくとも第1の液体と前記第1の液体よりも高い沸点を有する第2の液体とを含む混合液体を噴霧する噴霧装置と、
    前記噴霧装置により噴霧された前記混合液体が送り込まれる噴霧容器と、
    前記噴霧容器に前記第1の液体及び前記第2の液体のいずれか一方の沸点よりも高い温度の加熱ガスを供給する加熱ガス供給器と、
    前記噴霧容器に接続され、前記噴霧容器に送り込まれた前記混合液体と前記加熱ガス供給器より供給された加熱ガスとを接触させることで気化された前記第1の液体を少なくとも含む混合ガスを、前記噴霧容器から排出する排出管と、
    鉛直方向に延び、水平方向に切断した断面形状が環状とされ、前記排出管を通って流入した前記混合ガスから前記第2の液体を分離手段により分離すると共に、前記第2の液体を排液する排液口が鉛直方向下側に形成された分離容器と、を備え、
    前記挿入容器及び前記分離容器の少なくとも一方における内壁が、前記第2の液体に対する濡れ性が低い表面を有する、
    混合液体の分離装置。
  2. 前記第2の液体に対する濡れ性が低い表面は、前記第2の液体に対する接触角が90°以上である請求項1に記載の混合液体の分離装置。
  3. 前記第2の液体に対する濡れ性が低い表面は、フッ素含有化合物を含む材料により構成されている請求項1又は請求項2に記載の混合液体の分離装置。
  4. 前記第2の液体に対する濡れ性が低い表面は、微細な凹凸構造を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の混合液体の分離装置。
  5. 前記加熱ガス供給手段における前記加熱ガスの温度が、前記第1の液体の沸点よりも高く且つ前記第2の液体の沸点よりも低い請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の混合液体の分離装置。
  6. 前記分離容器には、前記混合ガスを冷却し、前記混合ガスから前記第2の液体を分離する冷却器が設けられる請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の混合液体の分離装置。
  7. 前記第1の液体及び前記第2の液体は、少なくとも一方が、無機溶媒及び有機溶媒のいずれか一方の溶媒である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の混合液体の分離装置。
  8. 前記第1の液体及び前記第2の液体は、一方が有機溶媒であり、他方が水である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の混合液体の分離装置。
  9. 前記有機溶媒がイオン液体である請求項7又は請求項8に記載の混合液体の分離装置。
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