JP2017123054A - 警報装置、警報方法、及びプログラム - Google Patents

警報装置、警報方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ドライバに安全かつ安心して手動運転開始の準備をしてもらうことができる警報装置を提供する。【解決手段】自動運転車両に搭載され、自動運転から手動運転への切り替えの際に、ドライバに注意を喚起する警報装置1であって、自動運転制御部10から自動運転終了までの残り時間の情報を取得する残り時間情報取得部2と、自動運転車両に搭載された各種センサ11から取得したセンシング結果に基づいてドライバの状態を求め、手動運転開始までに要する準備時間を求める準備時間算出部3と、残り時間と準備時間との比較結果に基づいて警報の出力タイミングを決定する出力タイミング決定部4と、出力タイミングに警報を出力する警報出力部5と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、自動運転から手動運転への権限委譲に関する技術に関する。
近年では、自動運転システムによって車両の走行制御を自動的に行う自動運転車両が開発されている。こうした自動運転車両の中には、ハンドルもアクセルもない車両の構想も発表されているが、すべて自動運転とするのではなく、一部をドライバによる手動運転で行うことも検討されている(特許文献1〜4)。
特開2015−141560 特開2015−141101 特開2015−185085 特開2015−185088
手動運転と自動運転とを切り替えることができる自動運転車両の場合、自動運転から手動運転への切り替えを適切に行うことが必要である。すなわち、自動運転車両の運転者は、自動運転制御時には自動運転システムに運転を任せているので、手動運転時では当たり前に行われていた周囲環境への認識や自車両の状態把握を欠いている可能性が高い。ところが、運転者がこのような状態であるにもかかわらず、自動運転車両では自動運転制御から手動運転制御へ切り替わることがあるので、運転者は自動運転システムに代わっていつでも運転を引き継げる状態であることが要求されている。
特許文献1には、自動運転を中断する必要がある中断対象事象が存在する場合に、ドライバの状態に基づいて、中断対象事象が存在する地点に達した際に、ドライバが自動運転の継続を要望するか否かを予測し、ドライバが自動運転の継続を要望すると予測された場合に、自動運転の中断タイミングを再設定するナビゲーション装置が記載されている。また、特許文献2には、ドライバが自動運転の継続を要望すると予測された場合に、現在車速よりも遅い制限車速で自動運転を継続するナビゲーション装置が記載されている。しかし、これらの文献が開示しているのは、中断タイミングを変更する技術である。自動運転の中断タイミングが決まっていて、そのタイミングを変更できない場合には適用できない。
特許文献3には、自動運転制御と手動運転制御とを切り換え可能な自動走行車両に用いるものであって、運転者が自動運転制御から手動運転制御へ引き継ぎ可能な状態であることを確認するためにドライバに確認操作行為を実行させ、ドライバによって確認操作行為が適切に実行された場合に、自動運転から手動運転への切り替えを承認する発明が記載されている。また、特許文献4には、確認操作行為として視認行為を実行させることが記載されている。
特許文献3,4では、確認操作行為を行うことをドライバに要求するが、文献3に記載されているように、所定時間の経過毎、あるいは自車両が所定回数の走行制御を行う毎に確認操作行為を要求したのでは、ドライバにとって煩わしく、手動運転開始の準備を行っているドライバの集中力を妨げることになりかねない。
その一方で、手動運転への切り替えの直前になって必要な準備ができているかどうかの確認をされても、例えば、歯磨きなどの別のことをしているドライバがすぐに手動運転に取り掛かることは無理であり、ドライバへ運転権限の委譲を行えない。その結果、車両は路肩等に停車せざるを得なくなってしまう。
本発明は、上記背景に鑑み、ドライバに安全かつ安心して手動運転開始の準備をしてもらうことができる警報装置を提案する。
本発明の警報装置は、自動運転車両に搭載され、自動運転から手動運転への切り替えの際に、ドライバに注意を喚起する警報装置であって、自動運転制御部から自動運転終了までの残り時間の情報を取得する残り時間情報取得部と、前記自動運転車両に搭載されたセンサから取得したセンシング結果に基づいてドライバの状態を求め、手動運転開始までに要する準備時間を求める準備時間算出部と、前記残り時間と前記準備時間との比較結果に基づいて警報の出力タイミングを決定する出力タイミング決定部と、前記出力タイミングに警報を出力する出力部とを備える。
このように自動運転を終了するまでの残り時間と手動運転開始までに要する準備時間との比較結果に基づいて警報の出力タイミングを決定することにより、手動運転開始の準備時間との兼ね合いで、必要なタイミングで警報を出力することができる。したがって、自動運転終了が近づいたからといって闇雲に警報を出すのとは異なり、ドライバの煩わしさを軽減できる。
本発明の警報装置において、前記出力タイミング決定部は、前記残り時間と前記準備時間との差分が所定の閾値以下になったことに応じて、警報の出力タイミングを決定してもよい。
ドライバが警報に応じて即座に手動運転開始の準備に取り掛かるとした場合には、手動運転開始までの準備に要する時間だけ、自動運転終了までの時間が残っていれば足りる。しかし、警報を受けてすぐに手動運転の準備にかかることができない場合もあることに鑑みて、所定の閾値をマージンとして設定することにより、自動運転終了までに、ある程度の余裕を持って手動運転の準備を行うことができる。
本発明の警報装置において、前記出力タイミング決定部は、前記準備時間が前記残り時間を上回った場合には、手動運転への切り替えができないことを前記自動運転制御部に通知してもよい。
自動運転終了までの時間では、手動運転開始の準備が間に合わない場合には、自動運転終了の地点に到達する前に自動運転制御部に通知することにより、自動運転制御部は、車両の速度を落としたり、車両を停車させたりといった適切な処置をとることができる。
本発明の警報装置において、前記準備時間算出部は、ドライバの各部位の状態を求め、各部位の状態に基づいて前記準備時間を求めてもよい。また、前記準備時間算出部は、前記各部位の状態に基づいて全体の状態を求め、前記全体の状態に基づいて前記準備時間を求めてもよい。この構成により、手動運転開始までの準備時間を適切に求めることができる。
本発明の警報装置において、前記準備時間算出部は、所定の時間前から現在の時間までの状態の変化に基づいて、前記準備時間を求めてもよい。このように所定の時間前から現在の時間までの状態の変化に基づくことで、手動運転開始までにかかる準備時間を精度良く求めることができる。
本発明の警報方法は、自動運転車両に搭載された警報装置によって、自動運転から手動運転への切り替えの際に、ドライバに注意を喚起する警報方法であって、前記警報装置が、自動運転制御部から自動運転終了までの残り時間の情報を取得するステップと、前記警報装置が、前記自動運転車両に搭載されたセンサから取得したセンシング結果に基づいてドライバの状態を求め、当該状態から手動運転開始までに要する準備時間を求めるステップと、前記警報装置が、前記残り時間と前記準備時間との比較結果に基づいて警報の出力タイミングを決定するステップと、前記警報装置が、前記出力タイミングに警報を出力するステップとを備える。また、前記警報装置は、手動運転を開始したことを検知するまで、上記した各ステップを繰り返し行って警報を出力してもよい。
本発明のプログラムは、自動運転車両に搭載され、自動運転から手動運転への切り替えの際に、ドライバに注意を喚起するためのプログラムであって、コンピュータに、自動運転制御部から自動運転終了までの残り時間の情報を取得するステップと、前記自動運転車両に搭載されたセンサから取得したセンシング結果に基づいてドライバの状態を求め、当該状態から手動運転開始までに要する準備時間を求めるステップと、前記残り時間と前記準備時間との比較結果に基づいて警報の出力タイミングを決定するステップと、前記出力タイミングに警報を出力するステップとを実行させる。また、前記プログラムは、手動運転を開始したことを検知するまで、上記した各ステップをコンピュータに繰り返し実行させて警報を出力させる構成としてもよい。
本発明は、手動運転開始の準備時間との兼ね合いで、必要なタイミングで警報を出力することができ、手動運転切り替え時にドライバが感じる煩わしさを軽減できる効果がある。
第1の実施の形態の警報装置の構成を示す図である。 データベースに記憶されたデータの例を示す図である。 第1の実施の形態における準備時間の算出の例を示す図である。 残り時間と準備時間と、警報の出力タイミングとの関係を示す図である。 第1の実施の形態の警報装置の動作を示すフローチャートである。 警報出力の一つのシナリオを示す図である。 第2の実施の形態の警報装置によって準備時間を求める処理の例を示す図である。 第2の実施の形態の変形例に係る警報装置によって準備時間を求める処理の例を示す図である。 第3の実施の形態の警報装置におけるデータベースに記憶されたデータの例を示す図である。 第3の実施の形態の警報装置の動作を示すフローチャートである。 第3の実施の形態の警報装置によって準備時間を求める例を示す図である。 第4の実施の形態の警報装置によって準備時間を求める例を示す図である。 第4の実施の形態の変形例に係る警報装置によって準備時間を求める一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態の警報装置について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の警報装置1の構成を示す図である。第1の実施の形態の警報装置1は、自動運転車両に搭載して用いられる。警報装置1は、自動運転を制御する自動運転制御部10に接続されている。また、警報装置1は、車両に搭載された各種センサ11に接続されており、各種センサ11にて検出したセンシング結果のデータを取得する。
警報装置1は、残り時間情報取得部2と、準備時間算出部3と、出力タイミング決定部4と、警報出力部5と、手動運転検知部6とを有している。警報装置1は、ハードウェアとしては、電子制御ユニット(ECU)によって構成される。このようなECUを制御するためのプログラムも本発明の範囲に含まれる。
残り時間情報取得部2は、自動運転中に、自動運転を終了するまでの残り時間(以下、単に「残り時間」ともいう)の情報を取得する機能を有する。自動運転を終了するタイミングは、ドライバがあらかじめ設定しておくことができる。例えば、手動運転への切り替えポイントとして、有料道路の出口のランプウェイ、料金所等を設定しておく。
自動運転制御部10は、ドライバにより設定された経路に基づいて、所定の目的地へ向かうように自動運転車両の走行制御を行う。自動運転制御部10は、経路上に、有料道路の出口や料金所等の手動運転への切り替えポイントがあることを検知し、それらのポイントに到着するのに、どのくらいの時間がかかるかを計算することができる。残り時間情報取得部2は、自動運転制御部10にて計算した時間の情報を自動運転制御部10から取得する。
準備時間算出部3は、自動運転中のドライバの状態から手動運転を開始するのに要する準備時間(以下、単に「準備時間」ともいう)を算出する機能を有する。準備時間算出部3は、自動運転車両に搭載された各種のセンサからセンシング結果の情報を取得し、センシング結果に基づいてドライバの各部位の状態を求める。例えば、車内カメラ12にて撮影したドライバの映像から、ドライバの顔向きや視線方向を求める。ステアリングセンサ14のセンシング結果からドライバの手がハンドルに触れているかどうかを検出し、触れていない場合には、車内カメラ12の映像からドライバが手でエアコンやラジオなどの車載機器を操作しているのか、あるいはスマホをいじっているのか等を求める。また、車両のシートに設けられた重量センサ13からのセンシング結果に基づいて、ドライバがシートに座っているのか、あるいは重心の位置の情報からドライバが横や後ろを向いているか等の体位を求める。また、ペダルセンサ15からのセンシング結果に基づいて、ブレーキペダルやアクセルペダルに足がかかっているのかどうか等を求める。これらの状態検知は、公知の技術を用いて行うことができる。
準備時間算出部3は、ドライバの顔向き・視線、手の位置、体位を含む体の位置、足の位置等の各部位の情報に基づいて、手動運転を開始するまでに要する準備時間を算出する。警報装置1は、各部位の状態と準備時間とを対応付けたデータベース7を有しており、準備時間算出部3は、このデータベース7を参照して準備時間を決定する。
図2は、データベース7に記憶されたデータの例を示す図である。図2(a)は、顔向き・視線の状態と準備時間との関係を示す図である。例えば、種別E1のように、自動車の挙動と直接関係のない景色や看板等を見ている場合には、手動運転の開始に要する時間は2秒であることが記憶されている。図2(b)は、手の状態と準備時間との関係を示す図であり、図2(c)は足・体の動きと準備時間との関係を示す図である。これらのデータベース7のデータは、全ドライバに共通の汎用のデータを準備してもよいし、ドライバ固有の動作に基づいて学習をしてカスタマイズしてもよい。
準備時間算出部3は、ドライバの各部位の状態とデータベース7に記憶された準備時間のデータとに基づいて、手動運転の開始までに要する準備時間を算出する。
図3は、準備時間の算出の一例を示す図である。図3では、「状態」の列の記載を省略しているが、図2に示す情報と同じである。図3に示す例では、顔向き・視線の状態がE1(自動車の挙動と直接関係ないもの(景色、看板等)を見ている)であり、これに対応する準備時間は2秒である。手の状態はH4(車の設備外(歯ブラシ、髭剃り等)であり、これに対応する準備時間は8秒である。足・体の動きの状態はB1(運転席に着座している)であり、これに対応する準備時間は0秒である。
準備時間算出部3は、これらの準備時間の最大値をとって、手動運転開始までに要する時間は8秒であると算出する。なお、ここでは、各部位の状態から関連付けられた準備時間の最大値をもって手動運転開始までに要する準備時間としたが、準備時間の算出方法は最大値を用いる手法に限定されるわけではなく、例えば、各部位の準備時間の合計をとってもよいし、平均をとってもよい。
出力タイミング決定部4は、自動運転の終了までの残り時間と、手動運転開始までに要する準備時間とに基づいて警報の出力タイミングを決定する。具体的には、自動運転終了までの残り時間と手動運転開始までに要する準備時間との差分が所定の閾値以下となったときに、警報の出力タイミングであると判定する。
図4は、自動運転終了までの残り時間と手動運転の準備時間と、警報の出力タイミングとの関係を示す図である。自動運転終了までの残り時間で手動運転の準備を行えればよいので、残り時間=準備時間のラインBが自動運転から手動運転への切り替えが可能か否か、すなわち、運転の権限をドライバに委譲することが可能か否かの境界である。ラインBよりも右側は、手動運転の準備が間に合わないので権限委譲不可能である。出力タイミング決定部4は、残り時間が減少してラインBに近づいたときに、ラインBを超えないように、警報を出力するタイミングを決定する。
自動運転終了までの残り時間がラインBに到達してからでは余裕がないので、本実施の形態では、ラインBに対して所定の閾値αだけマージンを持たせている。出力タイミング決定部4は、残り時間がラインBに対して所定の閾値α以上に接近したとき、換言すれば、(残り時間)−(準備時間)≦αとなったときに、警報の出力タイミングであると決定する。図4に見られるように、本実施の形態においては、所定の閾値αは準備時間によって異なり、準備時間が大きいほど閾値αも大きい。図4では、閾値αは準備時間によって異なる例を挙げたが、一定(ラインBと平行)としてもよい。
警報出力部5は、出力タイミング決定部4にて決定されたタイミングで警報を出力する機能を有する。警報は手動運転の準備を促すものであればよく、あらかじめ設定した高さの音や、あらかじめ決めたメロディーでもよいし、「まもなく自動運転が終了します」「手動運転の準備をしてください」等のメッセージでもよい。
手動運転検知部6は、ステアリングセンサ14やペダルセンサ15からのセンシング結果を得て、ドライバが手動運転を開始したか否かを判定する。手動運転検知部6にて手動運転の開始を検知した場合には、警報装置1は警報の出力を停止する。なお、警報装置1は、ドライバが手動運転を開始するまでは、出力タイミングの決定を繰り返し行い、出力タイミングであると決定されたタイミングで警報を出力する。
図5は、警報装置1の動作を示すフローチャートである。警報装置1は、自動運転制御部10から自動運転終了までの残り時間の情報を取得する(S10)。警報装置1は、自動運転車両に搭載された各種センサ11から、センシング結果の情報を取得する(S11)。続いて、警報装置1は、各種センサ11のセンシング結果の情報に基づいてドライバの各部位の状態を検知し(S12)、ドライバの各部位の状態に基づいて手動運転開始までに要する準備時間を算出する(S13)。
次に、警報装置1は、残り時間と準備時間とに基づいて、出力タイミングを決定する。すなわち、警報装置1は、残り時間と準備時間との差分が所定の閾値α以下となったときに(S14でYES)、警報の出力タイミングであると判定し、警報を出力する(S15)。差分が所定の閾値α以下でないときには、警報の出力タイミングではないと判定し(S14でNO)、各種センサ11のセンシング結果の情報を取得するステップS11に戻る。
次に、警報装置1は、残り時間と準備時間とを比較し(S16)、準備時間が残り時間以下の場合には(S16でYES)、警報装置1は各種センサ11のセンシング結果に基づいて手動運転が開始されたか否かを判定し(S17)、手動運転が開始された場合には(S17でYES)、警報の処理を終了する。手動運転が開始されていない場合には(S17でNO)、各種センサ11のセンシング結果の情報を取得するステップS11に戻り、決定された出力タイミングに警報を出力する処理を繰り返す。
ステップS16で準備時間が残り時間以下でない場合(S16でNO)、すなわち、準備時間の方が残り時間より大きい場合には、ドライバへの運転権限の委譲不可である旨を自動運転制御部10に通知し(S18)、警報の処理を終了する。
図6は、警報出力の一つのシナリオを示す図である。図6において、ドライバは最初歯磨きをしており(i)、手動運転の準備時間t1を要する。時間の経過により、徐々に残り時間が少なくなってきて、残り時間−準備時間≦αになった時点(ii)で警報の出力タイミングであると判定し、警報装置1は警報を出力する。これを受けてドライバは歯ブラシを片付け、これに伴って準備時間の方も減少するが(iii)、今度は脇見をする(iv)。脇見の場合には、手動時間の準備時間t2を要する。時間の経過により残り時間が少なくなって、残り時間−準備時間≦αになった時点(v)で警報の出力タイミングであると判定し、警報装置1は警報を出力する。これを受けてドライバは、手動運転の準備を行い(vi)、手動運転を開始する(vii)。これにより、自動運転が終了する前に、手動運転の準備が間に合う。
以上、第1の実施の形態の警報装置1の構成及び動作について説明した。第1の実施の形態の警報装置1は、自動運転終了までの残り時間と手動運転の開始に要する準備時間との兼ね合いによって、手動運転の準備に要する時間から見て警報が必要と判定されたタイミングで警報を出力する。これにより、自動運転終了が近づいても無闇に警報を出力するのではなく、ドライバの状態を見て必要な場合に警報を出力するので、煩わしさが軽減される。図6に示す例で説明すると、時点(ii)になる以前から手動運転の切り替え準備を開始するように繰り返し警報されると煩わしいが、本実施の形態の警報装置1によれば、時点(ii)まで警報が出力されないので、煩わしさが軽減されている。また、時点(ii)や時点(v)では警報が出力されるので、手動運転の準備が間に合わなくなることもない。
また、本実施の形態の警報装置1は、準備時間の方が残り時間より大きい場合には、ドライバへの運転権限の委譲不可である旨を自動運転制御部10に通知する(S18)ので、自動運転制御部10は、早い段階で車両を路肩に移動して停車する等の処置を行うことができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の警報装置について説明する。第2の実施の形態の警報装置の基本的な構成は第1の実施の形態の警報装置1と同じであるが、第2の実施の形態の警報装置は、ドライバの過去から現在までの状態の変化に基づいて、準備時間を算出する点が異なる。第2の実施の形態では、過去の状態における準備時間と現在の状態における準備時間とを平均して、各部位の状態から準備時間を求め、それぞれの部位の準備時間のうちの最大の時間を、手動運転開始までに要する準備時間とする。
図7は、第2の実施の形態の警報装置によって準備時間を求める処理の例を示す図である。なお、図7において「状態」の列の記載を省略しているが、図2に示す情報と同じである。第2の実施の形態の警報装置では、現在から所定の時間(例えば2秒)だけ過去を「直前」としている。なお、どの程度を「直前」とするかは調整可能とする。
顔向き・視線の状態は、直前においてはE1(自動車の挙動と直接関係ないもの(景色、看板等)を見ている)であり、これに対応する準備時間は2秒であり、この状態は直前から現在まで変わっていない。直前と現在の状態から、顔向き・視線に対応する準備時間は2秒である。
手の状態は、直前においてはH1(ハンドルに手を添えている)であり、これに対応する準備時間は0秒であるが、現在はH4(車の設備外(歯ブラシ、髭剃り等)に触れている)に変化している。これに対応する準備時間は8秒である。この場合、直前と現在の準備時間の平均をとって手の状態に関する準備時間は4秒と判定する。ここでは平均をとったが、平均ではなく、直前の状態と現在の状態との組み合わせに関連付けて準備時間を記憶したテーブルを備え、当該テーブルを参照して準備時間を求めてもよい。
足・体の動きの状態は、直前においてはB1(運転席に着座している)であり、これに対応する準備時間は0秒であり、この状態は直前から現在まで変わっていない。直前と現在の状態から、足・体の動きの状態に対応する準備時間は0秒である。
次に、直前と現在の各部位の状態から求めた準備時間2秒、4秒、0秒の中で、最大の時間である4秒を、最終的な準備時間として求める。なお、ここでは最大の時間を採用したが、例えば、各部位の準備時間の合計をとってもよいし、平均をとってもよいことは、第1の実施の形態の場合と同じである。
以上のように、直前の状態と現在の状態との平均をとることで、直前から現在までの状態の変化に基づいて、手動運転開始までに要する準備時間の算出精度を高めることができる。例えば、上に示した例では、現在は歯ブラシに手を触れている状態であるが、直前までハンドルに手を添えていたことからすると、現在は歯ブラシを手に取ったところであると考えられ、すぐに歯ブラシを離して運転に戻ることができる。このように同じ歯ブラシに触れているという状態であっても、歯ブラシを手にとったところと、現に歯を磨いているのとでは、手動運転の準備に要する時間が異なる。第2の実施の形態では、ドライバの状態をよりきめ細かく推定し、手動運転の準備期間をより精度良く求めることができる。
なお、第2の実施の形態では、直前の状態と現在の状態とに基づいて準備時間を求めるに際し、各部位からみた準備時間を求めた後に、各部位の準備時間のうちの最大値をとったが、図8に示す方法も考えられる。
図8に示す例では、直前の各部位の状態から求めた準備時間(2秒、0秒、0秒)から、直前の状態での準備時間を2秒と求め、現在の各部位の状態から求めた準備時間(2秒、8秒、0秒)から、現在の状態での準備時間を8秒と求め、過去の状態の準備時間と現在の状態の準備時間の平均をとって、準備時間を5秒と求める。
ここでは、直前の状態における準備時間と現在の状態における準備時間の平均をとったが、現在の状態における準備時間の方に重みをつけてもよい。また、過去の状態に関しては、直前だけではなく、3秒前、2秒前、1秒前といったように、刻々と変化する複数の状態における準備時間を求め、現在に近くなるにしたがって大きくなる重みを付けて準備時間を計算してもよい。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態の警報装置について説明する。第3の実施の形態の警報装置の基本的な構成は、第1の実施の形態の警報装置1と同じであるが、第3の実施の形態では、準備時間を求める際に、ドライバの各部位の状態からドライバの全体の状態を求め、全体の状態に対応する準備時間を求める。
図9は、第3の実施の形態の警報装置が準備時間を求める際に参照するデータベース7に記憶されたデータの例を示す図である。図9(a)は、各部位の状態を規定したデータであり、図2で説明した状態のデータと同じである。ただし、図9(a)に示す例では、各部位の状態に、準備時間のデータは対応付けられてはいない。
図9(b)は、各部位の状態の組み合わせと全体の状態との関係を規定したデータである。例えば、顔向き・視線の状態がE1(自動車の挙動と直接関係ないもの(景色、看板等)を見ている)であって、手の状態がH4(車の設備外(歯ブラシ、髭剃り等)に触れている)である場合には、全体状態は「髭剃り/歯ブラシ」状態である。図9(c)は、全体状態に対応する準備時間を規定している。例えば、「髭剃り/歯ブラシ」状態の場合、準備時間は8秒である。
図10は、第3の実施の形態の警報装置の動作を示すフローチャートである。第3の実施の形態の警報装置の基本的な動作は、第1の実施の形態と同じであるが、第3の実施の形態では、各部位の状態を検知した後(S22)、各部位の状態に対応する全体の状態を検知し(S23)、全体の状態に対応する準備時間を算出する点(S24)が異なっている。
図11は、第3の実施の形態における警報装置によって準備時間を求める一例を示す図である。顔向き・視線の状態がE1(自動車の挙動と直接関係ないもの(景色、看板等)を見ている)であり、手の状態がH4(車の設備外(歯ブラシ、髭剃り等)に触れている)であり、足・体の状態がB1(運転席に着座している)である場合に、図9(b)に示すテーブルを参照して、ドライバは「髭剃り/歯ブラシ」状態であると判断され、この場合の準備時間は、図9(c)に示すテーブルを参照して8秒であると算定される。
以上、第3の実施の形態の警報装置の構成及び動作について、第1の実施の形態の警報装置1との相違を中心に説明した。第3の実施の形態の警報装置は、ドライバの全体の状態を求めた上で準備時間を算出するので、準備時間を精度よく求めることができる。また、第1の実施の形態の警報装置1と同様に、自動運転終了までの残り時間と手動運転の開始に要する準備時間との兼ね合いによって、手動運転の準備に要する時間から見て警報が必要と判定されたタイミングで警報を出力することで、ドライバが感じる煩わしさが軽減される。
なお、本実施の形態では、ドライバの各部位の状態から全体の状態を求めるために、図9(b)に示すテーブルを用いる例を説明したが、全体の状態を求める方法としては、例えば、ベイジアンネット等の学習推論アルゴリズムを用いてもよい。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態の警報装置について説明する。第4の実施の形態の警報装置の基本的な構成は第3の実施の形態の警報装置と同じであるが、第3の実施の形態の警報装置は、ドライバの直前から現在までの状態の変化に基づいて、準備時間を算出する点が異なる。ここで、直前とは例えば2秒前というようにあらかじめ規定しておく。どの程度を直前とするかは、調節できるようにする。第4の実施の形態では、直前の状態と現在の状態とに基づいて各部位の状態を求め、各部位の状態からドライバの全体の状態を求め、全体の状態に対応する準備時間を算出する。
図12は、第4の実施の形態の警報装置によって準備時間を求める例を示す図である。顔向き・視線の状態は、直前においてはE1(自動車の挙動と直接関係ないもの(景色、看板等)を見ている)であり、この状態は直前から現在まで変わっていない。手の状態は、直前においてはH1(ハンドルに手を添えている)であり、現在はH4(車の設備外(歯ブラシ、髭剃り等)に触れている)に変化している。足・体の動きの状態は、直前においてはB1(運転席に着座している)であり、この状態は直前から現在まで変わっていない。
これらの各部位の直前から現在までの状態の変化から、ドライバの全体状態は、「髭剃り/歯ブラシ準備中」であると判断される。そして、「髭剃り/歯ブラシ準備中」に対応する準備時間をデータベース7(図示せず)から読み出して、5秒と判定する。
以上のように、直前と現在の各部位の状態から現在のドライバの状態を求めることで、直前から現在までの状態の変化に基づいて、手動運転開始までに要する準備時間の算出精度を高めることができる。例えば、上に示した例では、現在の状態は、歯ブラシに手を触れているが、直前までハンドルに手を添えていたことからすると、現在は歯ブラシを手に取ったところであると考えられ、すぐに歯ブラシを離して運転に戻ることができる。このように同じ歯ブラシに触れているという状態であっても、歯ブラシの準備中と、現に歯を磨いているのとでは、手動運転の準備に要する時間が異なる。第4の実施の形態では、ドライバの状態をよりきめ細かく推定し、手動運転の準備期間をより精度良く求めることができる。
なお、第4の実施の形態では、直前と現在の状態から先に各部位の状態を求める例について説明したが、図13に示すように、先に、直前の各部位の状態から直前の全体の状態を求めると共に、現在の各部位の状態から現在の全体の状態を求める構成とする変形例も考えられる。その上で、直前の全体の状態と現在の全体の状態とに基づいて、ドライバの状態を求め、求めた状態に対応する準備時間を算出してもよい。
以上、本発明の警報装置及び警報方法について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明の警報装置は上記した実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態において準備時間を求める方法のいくつかのバリエーションを挙げたが、各種センサのセンシング結果を用いて算出する方法であればよく、準備時間を求める方法は上記した方法に限定されるものではない。ドライバによって準備に要する時間は異なるので、警報から手動運転開始までの過去のデータに基づいて、準備時間を学習することとしてもよい。
上記した実施の形態において、準備時間>残り時間の場合には、自動運転制御部に権限委譲不可である旨の通知をすることとしたが、これを受けて、自動運転制御部が速度を落とす制御を行った場合には、警報装置は警報の処理を再開してもよい。例えば、ある地点で自動運転を終了する場合、時速100kmで走行していると、自動運転終了地点の手前約1.7kmで自動運転の残り時間が1分になる。しかし、時速80kmに速度を落とすことにより、同じ地点から自動運転の終了地点までの残り時間は1分15秒になり、手動運転開始までの準備が間に合う可能性が出てくる。
本発明は、自動運転と手動運転を切り替えることができる自動運転車両等に有用である。
1 警報装置
2 残り時間情報取得部
3 準備時間算出部
4 出力タイミング決定部
5 警報出力部
6 手動運転検知部
7 データベース
10 自動運転制御部
11 各種センサ
12 車内カメラ
13 重量センサ
14 ステアリングセンサ
15 ペダルセンサ

Claims (10)

  1. 自動運転車両に搭載され、自動運転から手動運転への切り替えの際に、ドライバに注意を喚起する警報装置であって、
    自動運転制御部から自動運転終了までの残り時間の情報を取得する残り時間情報取得部と、
    前記自動運転車両に搭載されたセンサから取得したセンシング結果に基づいてドライバの状態を求め、当該状態から手動運転開始までに要する準備時間を求める準備時間算出部と、
    前記残り時間と前記準備時間との比較結果に基づいて警報の出力タイミングを決定する出力タイミング決定部と、
    前記出力タイミングに警報を出力する出力部と、
    を備える警報装置。
  2. 前記出力タイミング決定部は、前記残り時間と前記準備時間との差分が所定の閾値以下になったことに応じて、警報の出力タイミングを決定する請求項1に記載の警報装置。
  3. 前記出力タイミング決定部は、前記準備時間が前記残り時間を上回った場合には、手動運転への切り替えができないことを前記自動運転制御部に通知する請求項1又は2に記載の警報装置。
  4. 前記準備時間算出部は、ドライバの各部位の状態を求め、各部位の状態に基づいて前記準備時間を求める請求項1乃至3のいずれかに記載の警報装置。
  5. 前記準備時間算出部は、前記各部位の状態に基づいて全体の状態を求め、前記全体の状態に基づいて前記準備時間を求める請求項4に記載の警報装置。
  6. 前記準備時間算出部は、所定の時間前から現在の時間までの状態の変化に基づいて、前記準備時間を求める請求項4又は5に記載の警報装置。
  7. 自動運転車両に搭載された警報装置によって、自動運転から手動運転への切り替えの際に、ドライバに注意を喚起する警報方法であって、
    前記警報装置が、自動運転制御部から自動運転終了までの残り時間の情報を取得するステップと、
    前記警報装置が、前記自動運転車両に搭載されたセンサから取得したセンシング結果に基づいてドライバの状態を求め、当該状態から手動運転開始までに要する準備時間を求めるステップと、
    前記警報装置が、前記残り時間と前記準備時間との比較結果に基づいて警報の出力タイミングを決定するステップと、
    前記警報装置が、前記出力タイミングに警報を出力するステップと、
    を備える警報方法。
  8. 前記警報装置が、手動運転を開始したことを検知するまで、請求項7に記載した各ステップを繰り返し行って警報を出力する警報方法。
  9. 自動運転車両に搭載され、自動運転から手動運転への切り替えの際に、ドライバに注意を喚起するためのプログラムであって、コンピュータに、
    自動運転制御部から自動運転終了までの残り時間の情報を取得するステップと、
    前記自動運転車両に搭載されたセンサから取得したセンシング結果に基づいてドライバの状態を求め、当該状態から手動運転開始までに要する準備時間を求めるステップと、
    前記残り時間と前記準備時間との比較結果に基づいて警報の出力タイミングを決定するステップと、
    前記出力タイミングに警報を出力するステップと、
    を実行させるプログラム。
  10. 前記プログラムは、
    手動運転を開始したことを検知するまで、請求項9に記載した各ステップをコンピュータに繰り返し実行させて警報を出力させるプログラム。
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