(第1の実施の形態)
本発明の木製部材の接合構造に係わる第1の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の木製部材の接合構造が適用されたコの字型のサイドテーブル1の一例を表す分解図である。サイドテーブル1は、下側に配される底板11と、上側に配される天板12と、底板11と天板12との間に配され、底板11及び天板12のそれぞれの一方の端部に接合する中板13と、底板11と中板13とを接合するための下側第1接合部材14及び下側第2接合部材15と、天板12と中板13とを接合するための上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17と、を有する。
底板11は、スギからなる厚さ(図1においてz方向長さ)が25mmの平板であり、長さ(図1においてx方向長さ)が350mm、幅(図1においてy方向長さ)が350mmの方形状に成形されている。
天板12は、スギからなる厚さ(図1においてz方向長さ)が25mmの平板であり、長さ(図1においてx方向長さ)が500mm、幅(図1においてy方向長さ)が350mmの方形状に成形されている。
中板13は、スギからなる厚さ(図1においてx方向長さ)が25mmの平板であり、長さ(図1においてz方向長さ)が500mm、幅(図1においてy方向長さ)が350mmの方形状に成形されている。
底板11には、下側第1接合部材14を挿入するための底板第1挿入部11aと、下側第2接合部材15を挿入するための底板第2挿入部11bとが、中板13に接合する側の端(図1において左側の端)から底板11及び中板13の何れにもに直交する方向(図1においてx方向)に設けられている。底板第1挿入部11a及び底板第2挿入部11bは共に、長さ(図1においてx方向長さ)が100mmで、幅(図1においてy方向長さ)が2.5〜3.0mmで、底板11の厚さ方向に貫通して設けられている。なお、底板第1挿入部11aと底板第2挿入部11bとは、200mmの間隔を空けて設けられている。
天板12には、上側第1接合部材16を挿入するための天板第1挿入部12aと、上側第2接合部材17を挿入するための天板第2挿入部12bとが、中板13に接合する側の端(図1において左側の端)から天板12及び中板13の何れにもに直交する方向(図1においてx方向)に設けられている。天板第1挿入部12a及び天板第2挿入部12bは共に、長さ(図1においてx方向長さ)が100mmで、幅(図1においてy方向長さ)が2.5〜3.0mmで、天板12の厚さ方向に貫通して設けられている。なお、天板第1挿入部12aと天板第2挿入部12bとは、200mmの間隔を空けて設けられている。
中板13には、下側第1接合部材14を挿入するための下側第1挿入部13aと、下側第2接合部材15を挿入するための下側第2挿入部13bとが、底板11に接合する側の端(図1において下側の端)から底板11及び中板13の何れにもに直交する方向(図1においてz方向)に設けられている。下側第1挿入部13a及び下側第2挿入部13bは共に、長さ(図1においてz方向長さ)が75mmで、幅(図1においてy方向長さ)が2.5〜3.0mmで、中板13の厚さ方向に貫通して設けられている。なお、下側第1挿入部13aと下側第2挿入部13bとは、200mmの間隔を空けて設けられている。
また、中板13には、上側第1接合部材16を挿入するための上側第1挿入部13cと、上側第2接合部材17を挿入するための上側第2挿入部13dとが、天板12に接合する側の端(図1において上側の端)から天板12及び中板13の何れにもに直交する方向(図1においてz方向)に設けられている。上側第1挿入部13c及び上側第2挿入部13dは共に、長さ(図1においてz方向長さ)が75mmで、幅(図1においてy方向長さ)が2.5〜3.0mmで、中板13の厚さ方向に貫通して設けられている。なお、上側第1挿入部13cと上側第2挿入部13dとは、200mmの間隔を空けて設けられている。
サイドテーブル1が完成した状態において、底板第1挿入部11aと下側第1挿入部13aとは連通し、底板第1挿入部11aと下側第1挿入部13aとでL字状の中空部が形成される。同様に、底板第2挿入部11bと下側第2挿入部13bと、天板第1挿入部12aと上側第1挿入部13cと、及び天板第2挿入部12bと上側第2挿入部13dと、はそれぞれ連通し、L字状の中空部が形成される。
また、底板11には、底板第1挿入部11aに沿って、底板第1注入口11e、底板第2注入口f、及び底板第3注入口11gが略等間隔で設けられている。底板第1注入口11e、底板第2注入口11f、及び底板第3注入口11gは、底板11の厚さ方向に貫通して円柱状に形成されている。なお、底板第1注入口11e、底板第2注入口f、及び底板第3注入口11gのそれぞれの中央部分は、底板第1挿入部11aと重複して形成されている。ここで、底板第1注入口11e、底板第2注入口f、及び底板第3注入口11gの直径は、少なくとも底板第1挿入部11a及び底板第2挿入部11bの幅(2.5〜3.0mm)より大きい(例えば、2〜3倍)。これは、後述するように、底板第1注入口11e、底板第2注入口f、及び底板第3注入口11gから接着剤18を注入し、下側第1接合部材14が挿入された底板第1挿入部11a及び下側第2接合部材15が挿入された底板第2挿入部11bに接着剤18を充分に充填させるためである。
さらに、底板11には、底板第1注入口11e、底板第2注入口11f、及び底板第3注入口11gと同様に、底板第2挿入部11bに沿って、底板第4注入口11h、底板第5注入口11i、及び底板第6注入口11jが設けられている。
また、天板12には、底板第1注入口11e〜底板第3注入口11gと同様に、天板第1挿入部12aに沿って、天板第1注入口12e、天板第2注入口12f、及び天板第3注入口12gが設けられている。さらに、天板12には、天板第1注入口12e〜天板第3注入口12gと同様に、天板第2挿入部12bに沿って、天板第4注入口12h、天板第5注入口12i、及び天板第6注入口12jが設けられている。
また、中板13にも、底板11及び天板12と同様に、下側第1挿入部13aに沿って、下側第1注入口13e、下側第2注入口13f及び下側第3注入口13gが設けられ、下側第2挿入部13bに沿って、下側第4注入口13h、下側第5注入口13i、及び下側第6注入口13jが設けられ、上側第1挿入部13cに沿って、上側第1注入口13k、上側第2注入口13l、及び上側第3注入口13mが設けられ、上側第2挿入部13dに沿って、上側第4注入口13n、上側第5注入口13o、及び上側第6注入口13pが設けられている。
下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17は、それぞれ、炭素繊維強化プラスチック(炭素繊維集成材)からなる厚さが2.0〜2.5mmのL字状の平板であり、外側の各辺の長さが100mmで、幅が25mmに成形されている。このように、下側第1接合部材14は、底板第1挿入部11aと下側第1挿入部13aとで形成されるL字状の中空部より若干薄いL字状に成形されている。また、下側第2接合部材15は、底板第2挿入部11bと下側第2挿入部13bとで形成されるL字状の中空部より若干薄いL字状に成形されている。また、上側第1接合部材16は、天板第1挿入部12aと上側第1挿入部13cとで形成されるL字状の中空部より若干薄いL字状に成形されている。また、上側第2接合部材17は、天板第2挿入部12aと上側第2挿入部13dとで形成されるL字状の中空部より若干薄いL字状に成形されている。このように下側第1接合部材14などが、底板第1挿入部11aと下側第1挿入部13aとで形成されるL字状の中空部などより若干薄く成形されているのは、後述するように、下側第1接合部材14などを、当該中空部などに容易に挿入し、且つ、接着剤18を注入することができる隙間を確保するためである。なお、本実施の形態では、下側第1接合部材14などは、底板第1挿入部11aと下側第1挿入部13aとで形成されるL字状の中空部より若干薄いL字状に成形されているが、下側第1接合部材14などを当該中空部などに容易に挿入し、且つ、接着剤18を注入する隙間を確保することができれば、下側第1接合部材14などと当該中空部などとの大きさの関係は適宜に設定することができる。
下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17の外側及び内側の直角部分(折曲部分)は円弧状に形成されている。これは、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17の直角部分に、後述する接着剤18が確実に浸透し、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17の接着性を向上させるためである。
また、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17には、中心線に沿って、第1孔14a、15a、16a、17a、第2孔14b、15b、16b、17b、第3孔14c、15c、16c、17c、及び第4孔14d、15d、16d、17dが略等間隔で設けられている。これは、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17の内部に接着剤18が浸透し、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17の接着性を向上させるためである。
各接合部材14〜17は、パン系又はピッチ系等の多数の炭素繊維を含有する炭素繊維強化プラスチックで構成されている。接合部材14〜17において、多数の炭素繊維が立体的に平行に束ねられている。接合部材14〜17における炭素繊維の繊維方向は、主に2方向である。一方の繊維方向は、接合部材14〜17の外側の直角部分と内側の直角部分とを結ぶ斜め45度方向(以下、「第1方向」という)であり、他方の繊維方向は、当該第1方向に直交する方向(以下、「第2方向」という)である。
各接合部材14〜17における第2方向の炭素繊維は、サイドテーブル1の底板11及び天板12に垂直方向成分の荷重が作用した場合などにサイドテーブル1の隅角部分(底板11と中板13との接合部分、天板12と中板13との接合部分)に発生する曲げモーメント(引張力及び圧縮力)に抵抗する役割を担う。一方、各接合部材14〜17における第1方向の炭素繊維は、接合部材14〜17に含まれる第2方向の炭素繊維がばらけないように接合部材14〜17の第2方向の繊維を結束する役割を担う。本実施の形態では、各接合部材14〜17に含まれる炭素繊維のうちで、第1方向の炭素繊維が30%を占め、第2方向の炭素繊維が70%を占めている。なお、接合部材14〜17における炭素繊維の方向の種類、及び各方向の炭素繊維の構成比率はこの第1の実施の形態の例に限られず、上記の曲げモーメントに耐えうる範囲内において適宜に設定することができる。
また、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17の表面は、凹凸加工により粗く仕上げられている。これは、表面積を大きくし、アンカー効果を図るためである。
下側第1接合部材14は、底板第1挿入部11a及び下側第1挿入部13aで形成されるL字状の中空部に収まった状態で挿入されており、底板11と中板13とに渡って埋め込まれている。そして、下側第1接合部材14が挿入された底板第1挿入部11a及び下側第1挿入部13aには、エポキシ樹脂などの二液性硬化タイプ、且つ、蜂蜜状の浸透性の高い液状タイプの接着剤18が充填され、下側第1接合部材14と底板11及び中板13とが接着剤18によって接着されている(図4(d)参照)。エポキシ樹脂などの二液性硬化タイプ、且つ、蜂蜜状の浸透性の高い液状タイプの接着剤18が用いられるのは、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17と、底板11、天板12、及び中板13との隙間が非常に少ないため、木工用接着剤を使用すると、木工用接着剤の水分の蒸発が極めて遅くなり、硬化に非常に長い時間を要することになるからである。
下側第1接合部材14と同様に、下側第2接合部材15が、底板第2挿入部11b及び下側第2挿入部13bで形成されるL字状の中空部に収まった状態で挿入されており、底板11と中板13とに渡って埋め込まれている。また、下側第1接合部材14と同様に、上側第1接合部材16が、天板第1挿入部12a及び上側第1挿入部13cで形成されるL字状の中空部に収まった状態で挿入されており、天板12と中板13とに渡って埋め込まれている。また、下側第1接合部材14と同様に、上側第2接合部材17が、天板第2挿入部12b及び上側第2挿入部13dで形成されるL字状の中空部に収まった状態で挿入されており、天板12と中板13とに渡って埋め込まれている。
そして、下側第1接合部材14が収まっている底板第1挿入部11a及び下側第1挿入部13a、下側第2接合部材15が収まっている底板第2挿入部11b及び下側第2挿入部13b、上側第1接合部材16が収まっている天板第1挿入部12a及び上側第1挿入部13c、並びに上側第2接合部材17が収まっている天板第2挿入部12b及び上側第2挿入部13dには、接着剤18が充填されており、下側1接合部材14と底板11及び中板13とが接着剤18によって接着され、下側第2接合部材15と底板11及び中板13とが接着剤18によって接着され、上側第1接合部材16と天板12及び中板13とが接着剤18によって接着され、上側第2接合部材17と天板12及び中板13とが接着剤18によって接着されている。
このように、底板11、天板12、及び中板13と、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17とが接着剤18によって接着されることで、底板11と中板13とが強固に接合されると共に、天板12と中板13とが強固に接合される。換言すれば、底板11と中板13との接合部分、及び、天板12と中板13との接合部分が、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17及び接着剤18によって補強されている。
ここで、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側接合部材16及び上側接合部材17が、底板11、天板12及び中板13の表面に対して垂直な状態で、挿入部11a〜11b、12a〜12b、13a〜13dに挿入されて(差し込まれて)接着されているので、底板11及び天板12に対する垂直方向成分の荷重などが作用した場合にサイドテーブル1の隅角部分(底板11と中板13との接合部分、天板12と中板13との接合部分)に発生する曲げモーメント(引張力)に対して、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側接合部材16及び上側接合部材17の直角部分ののど厚方向に並設された第2方向の炭素繊維による下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側接合部材16及び上側接合部材17自体の強度で効果的に抵抗することができる。
また、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側接合部材16及び上側接合部材17の両表面の面積分、接着剤18による接着力(付着強度)が働くので、底板11と中板13との接合強度、及び天板12と中板13との接合強度も十分に確保することができる。
さらに、下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側接合部材16及び上側接合部材17が、底板11、天板12及び中板13に埋め込まれて収納された状態であるので、サイドテーブル1の全体をスッキリとさせ、サイドテーブル1のデザイン性を高めることができる。また、底板11と中板13との接合、及び天板12と中板13との接合に、軽量な炭素繊維強化プラスチックからなる下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17が用いられているので、軽量化を図ることができる。
以上のように、底板11と中板13との接合構造及び天板12と中板13との接合構造により、すなわち、炭素繊維強化プラスチックからなる下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側接合部材16及び上側接合部材17が、底板11、天板12及び中板13に埋め込まれて接着されているので、サイドテーブル1は、そのテーブルとしての機能を発揮するための強度を保持しつつ、全体的な重量を抑えると共に、デザイン性の低下を抑えることができる。
次に、サイドテーブル1における底板11と中板13との接合方法及び天板12と中板13との接合方法について説明する。
最初に、図2(a)に示すように、上記の底板第1挿入部11a及び底板第2挿入部11b、並びに底板第1注入口11e〜底板第6注入口11jが形成されていない底板11と、上記の天板第1挿入部12a及び天板第2挿入部12b、並びに天板第1注入口12e〜天板第6注入口12jが形成されていない天板12と、上記の下側第1挿入部13a、下側第2挿入部13b、上側第1挿入部13c、及び上側第2挿入部13d、下側第1注入口13e〜下側第6注入口13j、並びに、上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pが形成されていない中板13と、が用意されている。
そして、図2(a)に示す底板11、天板12及び中板13に、後述する挿入部形成工程で使用される電動丸鋸の丸鋸歯の歯幅の2〜3倍の直径を有する電動ドリルなどを用いて、図2(b)に示すように、底板第1注入口11e〜底板第6注入口11j、天板第1注入口12e〜天板第6注入口12j、下側第1注入口13e〜下側第6注入口13j、並びに上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pを形成する。詳細には、底板11の底板第1挿入部11a及び底板第2挿入部11bが形成される範囲に応じて、底板第1注入口11e〜底板第3注入口11g、及び底板第4注入口11h〜底板第6注入口11jを形成する。また、同様に、天板12の天板第1挿入部12a及び天板第2挿入部12bが形成される範囲に応じて、天板第1注入口12e〜天板第3注入口12g、及び天板第4注入口12h〜天板第6注入口12jを形成する。さらに、中板13の下側第1挿入部13a及び下側第2挿入部13bが形成される範囲に応じて、下側第1注入口13e〜下側第3注入口13g、及び下側第4注入口13h〜第6注入口13jを形成し、中板13の上側第1挿入部13c及び上側第2挿入部13dが形成される範囲に応じて、上側第1注入口13k〜上側第3注入口13m、及び上側第4注入口13n〜第6注入口13pを形成する(注入口形成工程)。
次に、注入口形成工程が行われた底板11、天板12、及び中板13の所定位置に、例えば、電動丸鋸などを用いて、図3に示すように、溝幅が2.5〜3.0mmの底板第1挿入部11a及び底板第2挿入部11b、天板第1挿入部12a及び天板第2挿入部12b、下側第1挿入部13a及び下側第2挿入部13b、並びに、上側第1挿入部13c及び上側第2挿入部13dを形成する(挿入部形成工程)。
なお、第1の実施の形態では、注入口形成工程を行った後に、挿入部形成工程を行っているが、挿入部形成工程を行った後に、注入口形成工程を行うことも可能である。また、底板第1挿入部11a及び底板第2挿入部11b、天板第1挿入部12a及び天板第2挿入部12b、下側第1挿入部13a及び下側第2挿入部13b、並びに、上側第1挿入部13c及び上側第2挿入部13dが予め形成されている底板11、天板12、及び中板13が既製品として用意されており、注入口形成工程のみを行うこともできる。すなわち、挿入部形成工程は、例えば工場などの異なる場所で既に行われており、現場において注入口形成工程から開始することもできる。また、反対に、予め、底板第1注入口11e〜底板第6注入口11j、第1天板注入口12e〜天板第6注入口12j、下側第1注入口13e〜下側第6注入口13j、並びに上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pが形成されている底板11、天板12、及び中板13が既製品として用意されており、挿入部形成工程のみを行うこともできる。すなわち、注入口形成工程は、例えば工場などの異なる場所で既に行われており、現場において挿入部形成工程から開始することもできる。また、注入口形成工程及び挿入部形成工程が既に行われており、底板挿入部11aなど及び底板第1注入口11eなどが形成された底板11などが既製品として用意されており、次に説明する接合部材挿入工程から現場で開始するようにすることもできる。
次に、図4(a)に示すように、底板第1挿入部11aと下側第1挿入部13aと、及び底板第2挿入部11bと下側第2挿入部13bとを合わせるように、底板11と中板13とを接合する。そして、連通する第1挿入部11aと下側第1挿入部13aとで形成されるL字状の中空部に、下側第1接合部材14を挿入して嵌め込む。同様に、底板第2挿入部11bと下側第2挿入部13bとで形成されるL字状の中空部に、下側第2接合部材15を挿入して嵌め込む。また、天板第1挿入部12aと上側第1挿入部13cと、及び底板第2挿入部12bと上側第2挿入部13dとを合わせるように、天板12と中板13とを接合する。そして、連通する天板第1挿入部12aと上側第1挿入部13cとで形成されるL字状の中空部に、上側第1接合部材16を挿入して嵌め込む。同様に、天板第2挿入部12bと上側第2挿入部13dとで形成されるL字状の中空部に上側第2接合部材17を挿入して嵌め込む。(接合部材挿入工程)。
次に、例えば、底板第1挿入部11a及び下側第1挿入部13aと、底板第2挿入部11b及び下側第2挿入部13bとを塞ぎ、且つ、底板第1注入口11e〜底板第6注入口11j、及び下側第1注入口13e〜下側第6注入口13jが露出するように、粘着テープを、底板11及び中板13の外側から、底板11と中板13とに貼り付ける。さらに、底板第1挿入部11a及び下側第1挿入部13aと、底板第2挿入部11b及び下側第2挿入部13bとを塞ぎ、且つ、底板第1注入口11e〜底板第6注入口11j、及び下側第1注入口13e〜下側第6注入口13jを塞ぐように、粘着テープを、底板11及び中板13の内側から、底板11と中板13とに貼り付ける。なお、一度、粘着テープを、底板11及び中板13の内側から、底板11と中板13とに貼り付けて、底板第1挿入部11aと下側第1挿入部13a、及び底板第2挿入部11bと下側第2挿入部13b、並びに、底板第1注入口11e〜底板第6注入口11j、並びに下側第1注入口13e〜下側第6注入口13jを塞いだ後に、粘着テープの底板第1注入口11e〜底板第6注入口11j、及び下側第1注入口13e〜下側第6注入口13jを塞いでいる部分に孔を空けて、底板第1注入口11e〜底板第6注入口11j、並びに下側第1注入口13e〜下側第6注入口13jを露出させてもよい(接着剤流出防止工程)。
また、天板第1挿入部12a及び上側第1挿入部13cと、天板第2挿入部12b及び上側第2挿入部13dとを塞ぎ、且つ、天板第1注入口12e〜天板第6注入口12j、及び上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pが露出するように、粘着テープを、天板12及び中板13の外側から、天板12と中板13とに貼り付ける。さらに、天板第1挿入部12a及び上側第1挿入部13cと、天板第2挿入部12b及び上側第2挿入部13dとを塞ぎ、且つ、天板第1注入口12e〜天板第6注入口12j、及び上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pを塞ぐように、粘着テープを、天板12及び中板13の内側から、天板12と中板13とに貼り付ける。なお、一度、粘着テープを、天板12及び中板13の内側から、天板12と中板13とに貼り付けて、天板第1挿入部12aと上側第1挿入部13c、及び天板第2挿入部12aと上側第2挿入部13d、並びに、天板第1注入口12e〜第6注入口12j、並びに上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pを塞いだ後に、粘着テープの天板第1注入口12e〜天板第6注入口12j、及び上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pを塞いでいる部分に孔を空けて、天板第1注入口12e〜天板第6注入口12j、及び上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pを露出させてもよい(接着剤流出防止工程)。
次に、図4(b)に示すように、露出した底板第1注入口11e〜底板第6注入口11j、天板第1注入口12e〜天板第6注入口12j、下側第1注入口13e〜下側第6注入口13j、及び、上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pから、例えば、注射器のような注入器具で接着剤18を注入し、底板第1挿入部11a、底板第2挿入部11b、天板第1挿入部12a、天板第2挿入部12b、下側第1挿入部13a、下側第2挿入部13b、上側第1挿入部13c、上側第2挿入部13d、底板第1注入口11e〜底板第6注入口11j、天板第1注入口12e〜天板第6注入口12j、下側第1注入口13e〜下側第6注入口13j、及び、上側第1注入口13k〜上側第6注入口13pに接着剤18を充填させる(接着剤注入工程)。
接着剤流出防止工程によって、底板第1注入口11eなどが露出した状態で、底板第1挿入部11aなどの両面が粘着テープで塞がれているので、接着剤18を効率的に底板第1挿入部11aなどに注入すると共に、底板第1挿入部11aなどから接着剤18が流出することを防止することができる。また、露出している底板第1注入口11eなどから接着剤18の注入状況を確認することができ、さらには、接着剤18の注入時に底板第1注入口11eなどからエアー抜きが行われるので、接着剤18を確実に底板第1挿入部11aなどに注入することができる。
接着剤注入工程の後は、接着剤注入工程により注入された接着剤18が硬化するまで、当該接着剤18を養生する(接着剤養生工程)。
接着剤18が硬化すると、粘着テープを剥がす(接着剤流出防止解除工程)。接着剤流出防止解除工程を行うことによって、図4(c)に示すように、底板11と中板13との接合、及び天板12と中板13との接合が完了し、底板11と中板13との接合構造、及び天板12と中板13との接合構造が完成する。
以上、挿入部形成工程、注入口形成工程、接合部材挿入工程、接着剤流出防止工程、接着剤注入工程、接着剤養生工程、及び接着剤流出防止解除工程からなる木製部材の接合方法によれば、炭素繊維強化プラスチックからなる下側第1接合部材14、下側第2接合部材15、上側第1接合部材16及び上側第2接合部材17が、底板11、天板12及び中板13の内部に収納された状態で埋め込まれて接着されているので、サイドテーブル1は、そのテーブルとしての機能を発揮するための強度を保持しつつ、全体的な重量を抑えると共に、デザイン性の低下を抑えることができる。
なお、接着剤流出防止工程及び接着剤流出防止解除工程は、必ずしも行わなくても良い。また、底板第1注入口11eなどの接着剤18を注入するための注入口の形状、設置箇所、及び個数は第1の実施の形態に限られず、適宜に変更することができる。また、底板第1注入口11eなどの接着剤18を注入するための注入口が形成されていない底板11などを用いてサイドテーブル1を製造することもできる。また、底板11、天板12、及び中板13の材質も、スギに限られず、他の種類の木材であっても良い。
(第2の実施の形態)
本発明の木製部材の接合構造に係わる第2の実施の形態について図面を参照して説明する。図5は、本発明の木製部材の接合構造が適用された木造構造物2における継手接合及び隅角接合の部分を拡大した分解図である。木造構造物2は、下側に配される下パネル21と、下パネル21の上に載置される左パネル23及び右パネル24と、左パネル23及び右パネル24の上で、下パネル21と鉛直方向に並設されるように載置される上パネル22と、下パネル21と左パネル23及び右パネル24と上パネル22とを接合するための接合部材25と、を有する。接合部材25によって、下パネル21と左パネル23、下パネル21と右パネル24とが隅角接合され、左パネル23と上パネル22、及び、右パネル24と上パネル22のそれぞれが隅角接合され、左パネル23と右パネル24とが継手接合されている。
下パネル21、左パネル23、右パネル24、及び上パネル22は、スギからなる厚さが200mmの平板である。
下パネル21には、接合部材25を挿入するための下挿入部21aが、左パネル23及び右パネル24に接合される側(上側)の端から左パネル23及び右パネル24に直交する方向(図5においてZ方向)に形成されている。下挿入部21aは、長さ(図5においてZ方向長さ)が100mmで、幅(図5においてY方向長さ)が6mmで、下パネル21の厚さ方向(図5においてX方向)に貫通して形成されている。
上パネル22には、接合部材25を挿入するための上挿入部22aが、左パネル23及び右パネル24に接合される側(下側)の端から左パネル23及び右パネル24に直交する方向(図5においてZ方向)に形成されている。上挿入部22aは、長さ(図5においてZ方向長さ)が100mmで、幅(図5においてY方向長さ)が6mmで、上パネル22の厚さ方向(図5においてX方向)に貫通して形成されている。
左パネル23には、接合部材25を挿入するための左挿入部23aが、右パネル24に接合される側(右側)の端から下パネル21及び上パネル22に直交する方向(図5においてX方向)に形成されている。左挿入部23aは、長さ(図5においてX方向長さ)が100mmで、幅(図5においてY方向長さ)が6mmで、左パネル23の厚さ方向(図5においてZ方向)に貫通して形成されている。
右パネル24には、接合部材25を挿入するための右挿入部24aが、左パネル23に接合される側(左側)の端から下パネル21及び上パネル22に直交する方向(図5においてX方向)に形成されている。右挿入部24aは、長さ(図5においてX方向長さ)が100mmで、幅(図5においてY方向長さ)が6mmで、右パネル24の厚さ方向(図5においてZ方向)に貫通して形成されている。
木造構造物2が完成された状態において、下挿入部21aと左挿入部23aと右挿入部24aと上挿入部22aとは連通しており、下挿入部21aと左挿入部23aと右挿入部24aと上挿入部22aとで矩形状の中空部が形成されている。
また、下パネル21には、下挿入部21aに沿って、下第1注入口21e及び下第2注入口21fが所定間隔(第2の実施の形態では、50mm)を空けて設けられている。下第1注入口21e及び下第2注入口21fは、下パネル21の厚さ方向(図5においてX方向)に、断面円形状で貫通して設けられている。
また、上パネル22には、上挿入部22aに沿って、上第1注入口22e及び上第2注入口22fが所定間隔(第2の実施の形態では、50mm)を空けて設けられている。上第1注入口22e及び上第2注入口22fは、上パネル22の厚さ方向(図5においてX方向)に、断面円形状で貫通して設けられている。
また、左パネル23には、左挿入部23aに沿って、左第1注入口23e及び左第2注入口23fが所定間隔(第2の実施の形態では、50mm)を空けて設けられている。左第1注入口23e及び左第2注入口23fは、左パネル23の厚さ方向(図5においてZ方向)に、断面円形状で貫通して設けられている。
また、右パネル24には、右挿入部24aに沿って、右第1注入口24e及び右第2注入口24fが所定間隔(第2の実施の形態では、50mm)を空けて設けられている。右第1注入口24e及び右第2注入口24fは、右パネル24の厚さ方向(図5においてZ方向)に、断面円形状で貫通して設けられている。
なお、下第1注入口21e及び下第2注入口21f、上第1注入口22e及び上第2注入口22f、左第1注入口23e及び左第2注入口23f、並びに、右第1注入口24e及び右第2注入口24fの直径は、少なくとも下挿入部21a、上挿入部22a、左挿入部23a及び右挿入部24aの幅(6mm)より大きい(例えば、2倍)。
接合部材25は、厚さが5mmの炭素繊維強化プラスチック(炭素繊維集成材)からなり、短辺の長さが200mmで、長辺の長さが400mmの矩形状に成形されている。すなわち、接合部材25は、下挿入部21a、左挿入部23a、右挿入部24a、及び上挿入部22aで形成される矩形状の中空部より若干薄い矩形状で成形されている。
接合部材25は、パン系又はピッチ系等の多数の炭素繊維を含有する炭素繊維強化プラスチックで構成されている。接合部材25において、多数の炭素繊維が立体的に平行に束ねられている。接合部材25における炭素繊維の繊維方向は、2方向である。一方の繊維方向は、正面視で右斜め上に45度で傾斜する方向(以下、「第3方向」という)、他方の繊維方向は、正面視で左斜め上に45度で傾斜する方向(以下、「第4方向」という)である。
接合部材25における第3方向の炭素繊維は、例えば、右パネル24に対する垂直方向成分荷重が作用した場合に下パネル21と右パネル24との隅角接合部分に発生する曲げモーメント引張力及び圧縮力)や、上パネル22に対する垂直方向成分荷重が作用した場合に上パネル22と左パネル23との隅角接合部分に発生する曲げモーメント(引張力及び圧縮力)に抵抗する役割を担う。一方、接合部材25における第4方向の炭素繊維は、例えば、左パネル23に対する垂直方向成分荷重が作用した場合に下パネル21と左パネル23との隅角接合部分に発生する曲げモーメント(引張力及び圧縮力)や、上パネル22に対する垂直方向成分荷重が作用した場合に上パネル22と右パネル24とで形成される隅角接合部分に発生する曲げモーメント(引張力及び圧縮力)に抵抗する役割を担う。本実施の形態では、接合部材25に含まれる炭素繊維のうちで、第3方向の炭素繊維が50%を占め、第4方向の炭素繊維が50%を占めている。なお、接合部材25における炭素繊維の方向の種類、及び各方向の炭素繊維の構成比率はこの第2の実施の形態の例に限られず、本実施の形態で想定されている曲げモーメントに耐えうる範囲内において適宜に設定することができる。
また、接合部材25の表面は、第1の実施の形態における下側第1接合部材14などと同様に、凹凸加工により粗く仕上げられている。
図5、図6(a)及び図6(b)に示すように、接合部材25は、下挿入部21a、左挿入部23a、右挿入部24a、及び上挿入部22aで形成される矩形状の中空部に収まった状態で挿入されており、下パネル21、左パネル23、右パネル24、及び上パネル22に渡って挿入され、埋め込まれている。そして、接合部材25が挿入された下挿入部21a、左挿入部23a、右挿入部24a、及び上挿入部22aには、エポキシ樹脂などの二液性硬化タイプ、且つ蜂蜜状の浸透性の高い液状タイプの接着剤26が充填されている。
上述したように、接合部材25が、下挿入部21a、左挿入部23a、右挿入部24a、及び上挿入部22aに挿入され、当該下挿入部21a、左挿入部23a、右挿入部24a、及び上挿入部22aに接着剤26が充填されて硬化することで、下パネル21、左パネル23、右パネル24、及び上パネル22と、接合部材25とが接着剤26によって接着されるので、下パネル21と左パネル23、下パネル21と右パネル24、左パネル23と右パネル24、上パネル22と左パネル23、及び上パネル22と右パネル24が、強固に接合される。換言すれば、下パネル21と左パネル23との接合部分、下パネル21と右パネル24との接合部分、上パネル22と左パネル23との接合部分、上パネル22と右パネル24との接合部分、及び左パネル23と右パネル24との接合部分、すなわち、下パネル21と左パネル23と右パネル24と上パネル22との接合部分が、接合部材25及び接着剤26によって補強されている。
ここで、接合部材25が、下パネル21、左パネル23、右パネル24、及び上パネル22の表面に対して垂直な状態で、下パネル21、左パネル23、右パネル24、及び上パネル22に挿入されて接着されているので、下パネル21、左パネル23、右パネル24、及び上パネル22に対する垂直方向成分の荷重が作用した場合に木造構造物2の隅角部分(下パネル21と左パネル23及び右パネル24との隅角接合部分、上パネル22と左パネル23及び右パネル24との隅角接合部分)に発生する曲げモーメント(引張力)に対して、接合部材25の第3方向、及び第4方向に配された炭素繊維による接合部材25自体の強度で効率的に抵抗することができる。
また、接合部材25の両表面の面積分、接着剤26による接着力が働くので、木造構造物2の隅角部分の接合強度及び継手部分(左パネル23と右パネル24との継手接合部分)の接合強度も十分に確保することができる。
以上のように、炭素繊維強化プレスチックからなる接合部材25が、下パネル21と左パネル23と右パネル24と上パネル22とに埋め込まれて接着される接合構造により、木造構造物2は、その構造物としての機能を発揮するための強度を保持しつつ、全体的な重量を抑えると共に、デザイン性の低下を抑えることができる。
また、本実施の形態では、接合部材25は矩形状で形成されているが、接合部材25の形状はこれに限られず、例えば、縦が600mmで、横が400mmで、幅が200mmの十字状であっても良い。また、本実施の形態では、接合部材25は一つの部材から構成されているが、接合部材25が縦又は横に2分割で構成されているなど、複数の部材で構成されていても良い。
また、接合部材25には、第1の実施の形態の第1孔14a〜第4孔14dのような接着剤との接着性を向上させるための孔が設けられていないが、このような孔が設けられていてもよい。例えば、接合部材25の下挿入部21aに挿入する部分の中心位置と、接合部材25の上挿入部22aに挿入する部分の中心位置と、接合部材25の左挿入部23aに挿入する部分の中心位置と、接合部材25の右挿入部24aに挿入する部分の中心位置とに、断面円形状などの所定の断面形状を有する孔が貫通して設けられるようにすることもできる。
次に、木造構造物2における下パネル21と左パネル23と右パネル24と上パネル22との接合方法について説明する。なお、本実施の形態では、図5に示すように、下挿入部21a、下第1注入口21e、及び下第2注入口21fが形成された下パネル21、上挿入部22a、上第1注入口22e、及び上第2注入口22fが形成された上パネル22、左挿入部23a、左第1注入口23e、及び左第2注入口23fが形成された左パネル23、並びに右挿入部24a、右第1注入口24e、及び右第2注入口24fが形成された右パネル24が予め用意されているものとする。
最初に、下パネル21の厚さ方向両端と、接合部材25の短辺方向両端とが一致するように、接合部材25を下挿入部21aに差し込む(挿入する)。下挿入部21aに接合部材25を差し込むと、下パネル21の上端面から接合部材25が突出する(本実施の形態では、300mm突出する)。この接合部材25の突出した部分の左側半分に左パネル23の左挿入部23aを嵌め込む(接合部材25の突出した部分の左側半分を左挿入部23aに挿入する)と共に、接合部材25の突出した部分の右側半分に右パネル24の右挿入部24aを嵌め込み(接合部材25の突出した部分の右側半分を左挿入部23aに挿入し)、左パネル23及び右パネル24を下パネル21に載置する(第1接合部材挿入工程)。左挿入部23a及び右挿入部24aに接合部材25が挿入されると、左パネル23及び右パネル24の上端面から接合部材25が突出する(本実施の形態では、100mm突出する)。
次に、下挿入部21aを塞ぎ、且つ、下第1注入口21e及び下第2注入口21fが露出するように、粘着テープを下パネル21の両側面に貼り付ける。また、左挿入部23a、左第1注入口23e及び左第2注入口23fを塞ぐように、粘着テープを左パネル23の底面に貼り付ける。さらに、右挿入部24a、右第1注入口24e及び右第2注入口24fを塞ぐように、粘着テープを右パネル24の底面に貼り付ける(第1接着剤流出防止工程)。
次に、露出した下第1注入口21e、下第2注入口21f、左第1注入口23e、左第2注入口23f、右第1注入口24e、及び右第2注入口24fから、例えば、注射器のような注入器具で接着剤26を注入し、下挿入部21a、左挿入部23a、右挿入部24a、下第1注入口21e、下第2注入口21f、左第1注入口23e、左第2注入口23f、右第1注入口24e、及び右第2注入口24fに接着剤26を充填させる(第1接着剤注入工程)。
次に、接合部材25の左パネル23及び右パネル24の上端面から突出した部分に、上パネル22の上挿入部22aを嵌め込む(左パネル23及び右パネル24の上端面から突出した接合部材25を上挿入部22aに挿入する)(第2接合部材挿入工程)。
次に、上挿入部22aを塞ぎ、且つ、上第1注入口22e及び上第2注入口22fが露出するように、粘着テープを上パネル22の両側面に貼り付ける。(第2接着剤流出防止工程)。
次に、露出した上第1注入口22e及び上第2注入口22fから、例えば、上記注入器具で接着剤26を注入し、上挿入部22a、上第1注入口22e及び上第2注入口22fに接着剤26を充填させる(第2接着剤注入工程)。
第1接着剤注入工程及び第2接着剤注入工程の後は、第1接着剤注入工程及び第2接着剤注入工程によって注入された接着剤26が硬化するまで、当該接着剤26を養生する(接着剤養生工程)
接着剤26が硬化すると、粘着テープを剥がす(接着剤流出防止解除工程)。
以上、第1接合部材挿入工程、第1接着剤流出防止工程、第1接着剤注入工程、第2接合部材挿入工程、第2接着剤流出防止工程、第2接着剤注入工程、接着剤養生工程、及び接着剤流出防止解除工程からなる木製部材の接合方法によれば、炭素繊維集強化プラスチックからなる接合部材25が、下パネル21、上パネル22、左パネル23、及び右パネル24に渡って収まった状態で埋め込まれて接着されているので、木造構造物2は、その構造物としての機能を発揮するための強度を保持しつつ、全体的な重量を抑えると共に、デザイン性の低下を抑えることができる。
なお、第2の実施の形態では、第1接合部材挿入工程、第1接着剤流出防止工程及び第1接着剤流入工程によって、下挿入部21a、左挿入部23a、及び右挿入部24aに接着剤26を流入したが、最初に、下挿入部21aに接合部材25を挿入し、下パネル21に粘着テープを貼り付けて、下挿入部21a、下第1注入口21b及び下第2注入口21cに接着剤26を注入した後に、左挿入部23a及び右挿入部24aに接合部材25を挿入し、左パネル23及び右パネル24に粘着テープを貼り付けて、左挿入部23a、右挿入部24a、左第1注入口23b、左第2注入口23c、右第1注入口24b、及び右第2注入口24cに接着剤26を注入するようにすることもできる。
なお、接着剤流出防止工程及び接着剤流出防止解除工程は、必ずしも行わなくても良い。また、下第1注入口22eなどの接着剤26を注入するための注入口の形状、設置箇所、及び個数は第2の実施の形態に限られず、適宜に変更することができる。また、下第1注入口22eなどの接着剤26を注入するための注入口が形成されていない下パネル21などを用いて木造構造物2を製造することもできる。また、下パネル21、上パネル22、左パネル23、及び右パネル24の材質も、スギに限られず、他の種類の木材であっても良い。
(第3の実施の形態)
本発明の木製部材の接合構造に係わる第3の実施の形態について図面を参照して説明する。図7(a)は、本発明の木製部材の接合構造が適用された直階段3の一例を示す斜視図である。直階段3では、床Fから立設された木製の壁Wに複数の木製のステップS1、S1、S1、・・・が接合されている。ここで、壁Wと各ステップS1との接合構造について説明する。
図7(b)に示すように、ステップS1と壁Wは、L字状の接合部材31を介して接合されている。L字状の接合部材31は、壁Wに設けられた壁挿入部WaとステップS1に設けられたステップ挿入部S1aとに挿入している。
接合部材31が挿入している壁挿入部Wa及びステップ挿入部S1aには、エポキシ樹脂などの二液性硬化タイプ、且つ蜂蜜状の浸透性の高い液状タイプの接着剤32が充填されており、接合部材31と壁Wとが接着剤32によって接着されていると共に、接合部材31とステップS1とが接着剤32によって接着されている。なお、以下において、接合部材31の壁挿入部Waに挿入する部分を壁挿入部分31Aと称し、接合部材31のステップ挿入部S1aに挿入する部分をステップ挿入部分31Bと称する。
壁Wの中で各ステップS1と接合する範囲には、壁挿入部Waが2つ設けられている(図8(a))。一方、ステップS1にも、ステップ挿入部S1aが2つ設けられている(図8(b))。すなわち、本実施の形態では、壁Wと1つのステップS1とは、2つの接合部材31によって接合されている。
図8(c)に示すように、接合部材31は厚さが5mmの略L字状に成形されており、本実施の形態では、壁挿入部分31Aの長さL3=90mm、ステップ挿入部分31Bの長さL4=270mm、壁挿入部分31Aの幅W3=45mm、ステップ挿入部分31Bの幅W4=30mmに設定されている。なお、本実施の形態において、ステップ挿入部分31Bの長さL4は、ステップS1の張り出し方向長さLS1の約1/2に設定されているが、ステップ挿入部分31Bの長さL4を、ステップS1の張り出し方向長さLS1の約1/3に設定するなど、ステップ挿入部分31Bの長さL4とステップS1の張り出し方向長さLS1との関係はこれに限られず適宜に設定することができる。
壁挿入部Waは、壁Wの壁面から形成された溝で構成されている。壁挿入部Waの長さL1、幅W1及び深さは、壁挿入部分31Aの長さL3、厚さ及び幅W3を1〜2mm程度大きくしたものである。
ステップ挿入部S1aは、ステップS1の底面において、ステップS1の壁Wに接合される側の端面から、壁Wの表面及びステップS1の底面の何れにも直交する方向に形成された溝で構成されている。ステップ挿入部S1aの長さL2、幅W2及び深さは、ステップ挿入部分31Bの長さL4、厚さ及び幅W4を1〜2mm程度大きくしたものである。
このように、壁挿入部Wa及びステップ挿入部S1aが、壁挿入部分31A及びステップ挿入部分31Bより1〜2mm程度大きく形成されているのは、壁挿入部Wa及びステップ挿入部S1aに接合部材31を容易に挿入させ、且つ、接合部材31が挿入された壁挿入部Wa及びステップ挿入部S1aに接着剤32を注入するための隙間を確保するためである。なお、壁挿入部Wa及びステップ挿入部S1aに接合部材31を容易に挿入させ、且つ、接合部材31が挿入された壁挿入部Wa及びステップ挿入部S1aに接着剤32を注入するための隙間を確保することができれば、壁挿入部Wa及びステップ挿入部S1aの大きさと、壁挿入部分31A及びステップ挿入部分31Bの大きさとの関係は上述の例に限られず適宜に設定することができる。
接合部材31は、パン系又はピッチ系等の多数の炭素繊維を含有する炭素繊維強化プラスチックで構成されている。接合部材31において、多数の炭素繊維が立体的に平行に束ねられている。接合部材31における炭素繊維の繊維方向は、主に2方向であり、一方は、図8(c)において、正面視で右斜め上に45度で傾斜する方向(以下、「第5方向」という)であり、他方は、当該第5方向に直交する方向(以下、「第6方向」という)である。
接合部材31における第5方向の炭素繊維は、直階段3のステップS1に垂直な荷重が作用した場合に壁WとステップS1との接合部分に発生する曲げモーメント(引張力及び圧縮力)に抵抗する役割を担う。一方、接合部材31における第6方向の炭素繊維は、接合部材31に含まれる第5方向の炭素繊維がばらけないように接合部材31の第5方向の繊維を結束する役割を担う。本実施の形態では、接合部材31に含まれる炭素繊維のうちで、第5方向の炭素繊維が70%を占め、第6方向の炭素繊維が30%を占めている。
また、接合部材31の表面は、第1の実施の形態における下側第1接合部材14などと同様に、凹凸加工により粗く仕上げられている。
上述したように、接合部材31が、壁挿入部Wa及びステップ挿入部S1aに挿入され、当該壁挿入部Wa及びステップ挿入部S1aに接着剤32が充填されて硬化することで、壁W及びステップS1と接合部材31とが接着剤32によって接着されるので、壁W及びステップS1とが強固に接合される。換言すれば、壁WとステップS1との接合部分が、接合部材31及び接着剤32によって補強されている。
ここで、接合部材31が、壁Wa及びステップS1の表面に対して垂直な状態で、壁Wa及びステップS1に挿入されて接着されているので、ステップS1に対する垂直方向成分の荷重が作用した場合に直階段3の隅角部分(壁WaとステップS1との隅角接合部分)に発生する曲げモーメント(引張力)に対して、接合部材31の第5方向に配された炭素繊維による接合部材31自体の強度で効率的に抵抗することができる。
また、接合部材31の両表面の面積分、接着剤32による接着力が働くので、壁WaとステップS1との隅角接合部分の接合強度も十分に確保することができる。
さらに、接合部材31が、壁Wa及びステップS1に埋め込まれて収納された状態であるので、直階段3全体をスッキリとさせ、直階段3のデザイン性を高めることができる。また、壁WaとステップS1との接合に、軽量な炭素繊維強化プラスチックからなる接合部材31が用いられているので、軽量化を図ることができる。
このように壁W及びステップS1の内部に挿入された(埋め込まれた)状態で接着されている接合部材31によって、ステップS1が壁Wに支持されているので、直階段3の階段としての機能を保持しつつ、外観を簡素化し、デザイン性を向上させることができる。
なお、壁W及び壁Wに接合されているステップS1の表面には、装飾用のシート(図示なし)が貼り付けられており、ステップS1の表面がシートで覆われている。これは、ステップ挿入部31aはステップS1の底面で開口して設けられており、装飾用のシートで覆われなければ、ステップ挿入部31aに挿入している接合部材31及びステップ挿入部31aに充填されている接着剤32が露呈し、直階段3のデザイン性が低下することになるからである。また、壁挿入部Waは壁Wの表面で開口して設けられており、装飾用のシートで覆われなければ、壁挿入部Waに挿入している接合部材31及び壁挿入部Waに充填されている接着剤32が露呈し、直階段4のデザイン性が低下することになるからである。
なお、直階段3の壁W及びステップS1には、第1の実施の形態における下第1注入口11eのように接着剤を注入するための注入口が設けられていないが、壁Wの壁挿入部Wa及びステップS1のステップ挿入部S1aに沿って当該注入口を設けても良い。
また、第3の実施の形態においては、接合部材31のステップ挿入部分31Bが、ステップS1において、ステップS1の張り出し方向に対して約半分埋め込まれているので、接合部材31が、壁WとステップS1との隅角接合部分の補強のみならず、ステップS1の反り・たわみを防止する機能も果たしている。ここで、接合部材31によって、壁WとステップS1との隅角接合部分の補強及びステップS1の反り・たわみの防止の何れも行わせるのではなく、壁WとステップS1との隅角接合部分の補強と、ステップS1の反り・たわみの防止とを分けて行うようにすることもできる。
例えば、図11(a)及び図11(b)に示すように、ステップ挿入部分31Bの長さL4が45mmに短くなったステップ挿入部分31B’と壁挿入部分31Aとからなる略L字状の接合部材31’が、上述した接合部材31と同様に、壁挿入部Wa及び外観の寸法がステップS1と同一のステップS1’のステップ挿入部S1a’に挿入し、収納された状態で埋め込まれている。なお、ステップ挿入部分31B’の幅及び厚さは、ステップ挿入部分31Bの幅W4及び厚さと同一であり、接合部材31に含まれる炭素繊維の方向の種類及び方向の割合は、接合部材31と同一である。また、ステップS1’において接合部材31’が挿入するステップ挿入部31a’については、ステップ挿入部分31B’の長さがステップS31Bの長さL4から短くなった分だけ短くなっている他は同一である。
ステップS1’には、ステップS1’の反り・たわみを防止するための反りたわみ防止部材34が2枚、ステップ挿入部分31B’の幅方向の外側で、ステップ挿入部分31B’と平行に1枚ずつ挿入されている。反りたわみ防止部材34は厚さが5mmの矩形状に成形されており、本実施の形態では、長辺方向長さL9=560mm、短辺方向長さ(幅)W9=30mmに設定されている。なお、本実施の形態において、反りたわみ防止部材34の長辺方向長さL9は、ステップS1’の張り出し方向長さLS1の約2/3に設定されているが、反りたわみ防止部材34の長さL9とステップS1’の張り出し方向長さとの関係はこれに限られず適宜に設定することができる。
ステップS1’には、反りたわみ防止部材34が挿入する反りたわみ防止部材挿入部S1b’が形成されている。反りたわみ防止部材挿入部S1b’は、ステップS1’の底面において、ステップS1’の壁Wに接合される側の端面から、壁Wの表面及びステップS1’の底面の何れにも直交する方向に形成された溝で構成されている。反りたわみ防止部材挿入部S1b’の長さ、幅及び深さは、反りたわみ防止部材34の長さL9、厚さ及び幅W9を1〜2mm程度大きくしたものである。反りたわみ防止部材34が挿入している反りたわみ防止部材挿入部S1b’には、接着剤32が充填されており、反りたわみ防止部材34とステップS1‘とが接着されている。
反りたわみ防止部材34は、パン系又はピッチ系等の多数の炭素繊維を含有する炭素繊維強化プラスチックで構成されている。反りたわみ防止部材34において、多数の炭素繊維が立体的に平行に束ねられている。反りたわみ防止部材34における炭素繊維の繊維方向は1方向であり、図11(b)において、ステップS1’の張り出し方向に平行(反りたわみ防止部材34の長辺方向)である。
また、反りたわみ防止部材34の表面は、第1の実施の形態における下側第1接合部材14などと同様に、凹凸加工により粗く仕上げられている。
反りたわみ防止部材34に含まれる炭素繊維の繊維方向が、ステップS1’の張り出し方向に平行であり、反りたわみ防止部材34が、接合部材31’のステップ挿入部分31B’よりもステップS1’の張り出し方向に長く張り出して設けられているので、ステップS1’の反り・たわみが防止される。
このように、壁WとステップS1との隅角接合部分の補強を接合部材31’が担い、ステップS1の反り・たわみの防止を反りたわみ防止部材34で担い、役割を分けることで、汎用性が高まる。
(第4の実施の形態)
本発明の木製部材の接合構造に係わる第4の実施の形態について図面を参照して説明する。図9(a)は、本発明の木製部材の接合構造が適用された螺旋階段4の一例を示す斜視図である。螺旋階段4では、床Fから立設された木製の円柱Cに複数の木製のステップS2、S2、S2、・・・と、各ステップS2に一対で木製のリブR、R、R、・・・が接合されている。ここで、円柱Cと一対のステップS2及びリブRとの接合構造について説明する。
図9(b)に示すように、円柱CとステップS2とリブRとは、接合部材41を介して接合されている。接合部材41は、円柱Cに設けられた円柱挿入部Caと、ステップS2に設けられたステップ挿入部S2aと、リブRに設けられたリブ挿入部Raとに挿入しており、円柱C、ステップS2及びリブRに渡って接着されている。
接合部材41が挿入している円柱挿入部Ca及びステップ挿入部S2aには、エポキシ樹脂などの二液性硬化タイプ、且つ蜂蜜状の浸透性の高い液状タイプの接着剤42が充填されており、接合部材41と円柱C及びステップS2とが接着剤42によって接着されている。また、接合部材41とリブRとは、接着剤42と同一又は異なる所定の接着剤により接着されている。
接合部材41は、円柱挿入部Caに挿入して円柱Cに接着する部分の矩形状の円柱接着部分41Aと、ステップ挿入部S2aに挿入してステップS2に接着する部分の矩形状のステップ接着部分41Bと、リブ挿入部Raに挿入してリブRに接着する部分の略台形状のリブ接着部分41Cと、に区分けされている。円柱接着部分41Aの一方の長辺側の縁部の上端にステップ接着部分41Bの一方の短辺側の端部が繋がっており、円柱接着部分41Aとステップ接着部分41BとでL字状を呈している。
本実施の形態では、円柱Cと、一対のステップS2及びリブRとが、1つの接合部材41によって接合されている。第3の実施の形態と異なって、本実施の形態において、円柱Cと1つのステップS2とが、1つの接合部材41によって接合されているのは、円柱Cの形状上、円柱CとステップS2との接地面積が小さく、第3の実施の形態のように、接合部材41を挿入させる円柱挿入部Caを2つ水平方向に並設することができないからである。
接合部材41は厚さが5mmに成形されており、本実施の形態では、接合部材41における円柱接着部分41Aの長さL7=130mm、円柱接着部分41Aの幅W7=70mm、接合部材41におけるステップ接着部分41Bの長さL8=420mm、ステップ接着部分41Bの幅W8=30mmに設定されている。なお、本実施の形態において、ステップ接着部分41Bの長さL8は、ステップS2の張り出し方向長さLS2の約1/2に設定されているが、ステップ接着部分41Bの長さL8は、ステップS2の張り出し方向長さLS2の約1/3に設定するなど、ステップ接着部分41Bの長さL8とステップS2の張り出し方向長さLS2との関係はこれに限られず適宜に設定することができる。
図10(a)に示すように、円柱Cの中で各ステップS2及びリブRと接合する範囲には、円柱挿入部Caが1つ設けられている。円柱挿入部Caは、円柱Cの壁面から形成された溝で構成されている。円柱挿入部Caの長さL5、幅W5及び深さは、円柱接着部分41Aの長さL7、厚さ及び幅W7を1〜2mm程度大きくしたものである。
図10(b)に示すように、ステップS2にも、ステップ挿入部S2aが1つ設けられている。ステップ挿入部S2aは、ステップS2の底面において、ステップS2の円柱Cに接合される側の端面から、当該接合する円柱Cの表面及びステップS2の底面の何れにも直交する方向に形成された溝で構成されている。ステップ挿入部S2aの長さL6、幅W6及び深さは、ステップ接着部分41Bの長さL8、厚さ及び幅W8を1〜2mm程度大きくしたものである。
また、図10(c)に示すように、リブRは、左右対称の構造からなる一対の第1リブ部材R1と第2リブ部材R2とが、貼り合わされてなる。正面視左側に配される第1リブ部材R1には、リブ接着部分41Cの厚さ方向の一方の半分が嵌合する第1嵌合凹部R1aが形成されている。一方、正面視右側に配される第2リブ部材R2には、リブ接着部分41Cの厚さ方向の他方の半分が嵌合する第2嵌合凹部R2aが形成されている。すなわち、第1嵌合凹部R1aと第2嵌合凹部R2aとでリブ挿入部Raが構成されている。
そして、リブ接着部分41Cが第1嵌合凹部R1a及び第2嵌合凹部R2に嵌合した状態で、リブ接着部分41Cと第1リブ部材R1及び第2リブ部材R2とが上記の所定の接着剤で接着され、第1リブ部材R1と第2リブ部材R2の対向する表面同士が上記の所定の接着剤で接着されることで、図10(d)及び図10(e)に示すように、接合部材41と第1リブ部材R1及び第2リブ部材R2とが一体化されている。以下において、一体化された接合部材41と第1リブ部材R1及び第2リブ部材R2とを、ユニットリブUという。
ユニットリブUでは、接合部材41の円柱接着部分41A及びステップ接着部分41Bが突出して露出している。本実施の形態では、例えば、工場などにおいて、円柱Cの各円柱挿入部CaにユニットリブUを円柱接着部分41Aから挿入し、当該円柱挿入部Caに接着剤42を注入し、当該接着剤42を養生して硬化したもの(以下、「ユニットリブ付き円柱」という)を現場に運搬して設置する。そして、現場では、ユニットリブ付き円柱の各ユニットリブUから突出しているステップ接着部分41Bに、ステップS2のステップ挿入部S2aを嵌め込み(ステップ接着部分41Bをステップ挿入部S2aに挿入し)、該ステップ挿入部S2aから接着剤42が流出しない適当な措置を施しつつ、該ステップ挿入部S2aに接着剤42を注入し、該接着剤42を養生することで螺旋階段4を完成させる。
このように、ユニットリブ付き円柱は、コンパクトな形状であり、且つ、木材のみで構成されたものとほぼ同程度の重量であるので、容易に現地に設置することができる。また、現場では、ステップS2をユニットリブUに取り付ける作業だけで済むので、作業効率が向上する。なお、この螺旋階段4の製造方法は一例であるので、例えば、工場などで予めユニットリブUにステップS2を取り付けて、ユニットリブUとステップS2とを一体化させておき、現場で円柱Cを設置した後に、この一体化したものを円柱Cに設置するようにすることもできる。
接合部材41は、パン系又はピッチ系等の多数の炭素繊維を含有する炭素繊維強化プラスチックで構成されている。接合部材41において、多数の炭素繊維が立体的に平行に束ねられている。接合部材41における炭素繊維の繊維方向は、主に2方向であり、一方は、図9(b)における接合部材41に係るハッチングの方向(右斜め上に45度傾斜する方向:第7方向)であり、他方は、当該第7方向に直交する方向(以下、「第8方向」という)である。
接合部材41における第7方向の炭素繊維は、螺旋階段4のステップS2に垂直な荷重が作用した場合に円柱CとステップS2との接合部分に発生する曲げモーメント(引張力及び圧縮力)に抵抗する役割を担う。一方、接合部材41における第8方向の炭素繊維は、接合部材41に含まれる第7方向の炭素繊維がばらけないように接合部材41の第7方向の繊維を結束する役割を担う。本実施の形態では、接合部材41に含まれる炭素繊維のうちで、第7方向の炭素繊維が70%を占め、第8方向の炭素繊維が30%を占めている。
このように、円柱CとステップS2及びリブRとの内部に挿入された(埋め込まれた)状態で接着されている接着部剤41によって、ステップS2が円柱C及びリブRに支持されているので、螺旋階段4の階段としての機能を保持しつつ、外観を簡素化、デザイン性を向上させることができる。
なお、第4の実施の形態においては、リブRはデザイン性の観点から用いられているので、必ずしも螺旋階段4の構成要素に含める必要はない。リブRを螺旋階段4の構成要素から除く場合、露出する接合部材41のリブ接着部分41Cのデザイン性を高めるために、適宜にその形状を加工すると共に、表面処理を行うことが望ましい。
なお、螺旋階段4の円柱C及びステップS2には、第1の実施の形態における下第1注入口11eのように接着剤を注入するための注入口が設けられていないが、円柱Cの円柱挿入部Ca及びステップS2のステップ挿入部S2aに沿って当該注入口を設けても良い。
以上、サイドテーブル1、木造構造物2、直階段3及び螺旋階段4に適用された本発明の接合構造及び接合方法によれば、母材である木製部材と、炭素繊維強化プラスチック(炭素繊維集成材)からなる接合部材とが接着剤によって複合化されている。ここで、炭素繊維強化プラスチックの比重は1.6であり、炭素繊維強化プラスチックの強度は鋼材の約6倍であることから、炭素繊維強化プラスチックが鋼材(例えば、ねじやボルトなど)と同程度の強度を得るために必要な重量は、鋼材の約30分の1で済むので、母材への負担が大きく軽減される。また、本発明の接合構造及び接合方法によれば、炭素繊維強化プラスチックからなる接合部材が、接合対象となる木製部材の接合方向に沿って内部に差し込まれた状態で接着接合されているので、母材の断面欠損を防ぐと共に、金属のような腐食を避けることができるため、構造上の安定化を図ることができる。さらに、本発明の接合構造及び接合方法によれば、接合部材が、接合対象となる接合部材の内部に収まった状態で接着接合されているので、力学的に余分な断面を増やすことなくスッキリとしたデザインとなる。
なお、サイドテーブル1を構成する底板11、天板12及び中板13、木造構造物2を構成する下パネル21、上パネル22、左パネル23及び右パネル24、直階段3を構成する壁W及びステップSS1、並びに螺旋階段4を構成する円柱C及びステップS2の形状・寸法・構造・材料などは、上述したものに限られず、本発明の技術的範囲において適宜に変更することができる。
また、下側第1接合部材13、下側第2接合部材14、上側第1接合部材15、上側第2接合部材16、接合部材25、31、41の形状・寸法・構造・材料などは、上述したものに限られず、本発明の技術的範囲において適宜に変更することができる。例えば、下側第1接合部材13、下側第2接合部材14、上側第1接合部材15、及び上側第2接合部材16などの接合部材の材料としては、炭素繊維強化プラスチックではなく、ガラス繊維を用いたガラス繊維強化プラスチック等の樹脂製の繊維強化プラスチックであっても良い。さらに、炭素繊維とガラス繊維となど複数の繊維を含んで複合化された樹脂製の繊維強化プラスチックであっても良い。ただし、少なくとも、これら下側第1接合部材13などの強度が、母材である底板11などの強度より高いことが条件となる。
また、接着剤18、26、32、及び42の材料もエポキシ樹脂などの二液性硬化タイプ、且つ蜂蜜状の浸透性の高い液状タイプに限られない。木製部材の接着に使用されるために規格された所定の接着剤を用いることもできる。
また、第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、本願発明の木製部材の接合構造及び接合方法が、木製部材が0度で接合(継手接合)及び90度で接合(隅角接合)する場合に適用されているが、接合する角度はこれに限られず、木製部材が例えば、30度や60度など他の角度で接合する場合にも適用することができる。この場合、接合部材の形状、その角度に沿った形状となる。
また、接合対象となる木製部材に用いられる接合部材の厚さ、形状、枚数、含有する繊維の量、繊維の材料、繊維の方向、及び繊維の方向の数も、第1の実施の形態〜第4の実施の形態に限られず、所望の接合強度を得るために、接合部材の厚さ、形状、枚数、含有する繊維の量、繊維の材料、繊維の方向、及び繊維の方向の数の組み合わせを適宜に変更することができる。
また、本発明の接合構造は、上述したサイドテーブル1、木造構造物2、直階段3及び螺旋階段4の他に、例えば、図9に示す螺旋階段4の手摺Tの曲線部分や直線部分に適用することもできる。例えば、図12に示すように、手摺Tの一方の部分と他方の部分とに渡って、接合部材51を挿入させて接着剤52により接着させることでに手摺Tの一方の部分と他方の部分とを継手接合することもできる。また、本発明の接合構造を、椅子の肘掛け部分などの他の家具や、家などの他の木造構造物に適用することも可能である。
しかしながら、ねじやボルト等を使用するために母材である木製部材に穴を開け、母材に断面欠損が生じてしまうという不都合、接合金物とねじやボルト等が腐食するという不都合、及び全体の重量が大きくなるという不都合がある。
本発明に係る木製部材の接合構造は、木製の第1部材と、木製の第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを継ぎ合わす際に用いられる接合部材と、を備え、前記接合部材は、繊維状部材を含む板状のプラスチック複合材料からなり、前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれ前記接合部材を取付可能な取付面を有し、各前記取付面に跨るように前記接合部材を接着材で接着することのみによって接合されることを特徴とする。
本発明に係る他の木製部材の接合構造は、木製の第1部材と、木製の第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とに接合される接合部材と、を備え、前記接合部材は、繊維状部材を含む板状のプラスチック複合材料からなり、前記第1部材は、前記接合部材が挿入される第1挿入部を有し、前記第2部材は、前記接合部材が挿入される第2挿入部を有し、前記第1挿入部と前記第2挿入部とは連通し、前記第1部材及び前記第2部材は、前記第1挿入部と前記第2挿入部とに渡って挿入された前記接合部材を、前記第1部材及び前記第2部材の双方に接着剤で接着することのみによって接合されることを特徴とする。
また、本発明に係る木製部材の接合方法は、木製の第1部材と木製の第2部材とを接合部材を介して継ぎ合わせる接合工程を備え、前記接合部材は、繊維状部材を含む板状のプラスチック複合材料からなり、前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれ、前記接合部材を取付可能な取付面を有し、前記接合工程は、前記第1部材及び前記第2部材の各前記取付面に前記接合部材を接着剤で接着する接着工程を含み、前記第1部材及び前記第2部材は、前記接合部材を前記接着剤で接着することのみによって接合されることを特徴とする。