JP2017116664A - 現像剤回収容器のシール構造、現像剤回収容器及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】搬送部材の接続状態及び搬送部材が取り外された状態において、トナーの漏れを抑制すること。【解決手段】シール構造のシール部材80は、搬送部材の挿入部の挿入方向において重なり合うように配置された上流側の第1のシート部材81及び下流側の第2のシート部材82を有する。第1のシート部材は、第2のシート部材よりも高い摺動性を有する。第1のシート部材には、開口部の中心に対応する位置から放射状に延びる複数のスリット83が形成されて、当該スリット間に可撓片が形成されている。第2のシート部材は、第1のシート部材よりも高い弾性を有する。第2のシート部材には、開口部に対応する位置に、開口穴が形成されている。複数のスリットの外側の端部同士を通る外周円の直径D1、及び開口穴の直径D2は、挿入部の外径をD3とした場合に、下記式(1)を満たす。D2<D3<D1…(1)【選択図】図4
Description
本発明は、現像剤回収容器のシール構造、現像剤回収容器及び画像形成装置に関する。
画像形成装置は、像担持体として感光体ドラムを有し、帯電装置によって電荷を付与することで一様に帯電した感光体ドラムの表面を選択的に露光して静電像を形成する。画像形成装置では、現像剤担持体である現像ローラに担持された現像剤によって、静電像をトナー像として顕像化する。そして、画像形成装置は、感光体ドラムの外周面上に形成されたトナー像を、中間転写体を介して又は介さずに媒体に転写し、媒体上に転写されたトナー像に熱や圧力を加えることでトナー像を媒体に定着させて画像記録を行う。
このような画像形成装置は、像担持体又は中間転写体に残留したトナーを回収する現像剤回収容器(廃トナー回収容器)を有する。像担持体から中間転写体にトナー像を転写した後に像担持体の表面に残留したトナーは、クリーニングユニットによって除去される。同様に、中間転写体から媒体にトナー像を転写した後に像担持体の表面に残留したトナーは、クリーニングユニットによって除去される。そして、クリーニングユニットによって除去された廃トナーは、搬送部材によって搬送されて現像剤回収容器に収容される。
また、画像形成装置の現像方式の例として、現像装置内の現像剤の帯電量を一定に保つため、劣化した現像剤(廃現像剤)を排出し、排出した量分のフレッシュな現像剤を供給する、いわゆるトリクル現像方式がある。このトリクル現像方式では、新しいキャリアが補給され、古いキャリアが排出されるように現像剤が入れ替わる。そして、現像剤回収容器は、トリクル現像によって排出された廃現像剤を回収する。
特許文献1には、現像剤を収容する現像剤回収容器のシール構造が開示されている。このシール構造は、搬送部材が挿入される現像剤回収容器の開口部を開閉する第1のシール部材と第2のシール部材とを備える。これらの第1のシール部材及び第2のシール部材は、スポンジ部材により構成されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、トナーまたは現像剤を搬送する搬送部材の筒状の挿入部が現像剤回収容器の開口部に挿入されて接続された状態において、挿入部の外周面と開口部の内壁面との間の隙間から、現像剤回収容器内の現像剤が外部に漏れ出すおそれがある。また、現像剤回収容器の内部に現像剤が貯められた後、現像剤回収容器を取り外した際に、現像剤回収容器の開口部から現像剤が漏れ出すおそれがある。
本発明は、搬送部材が接続されている状態、及び搬送部材が取り外された状態の両方において、現像剤回収容器からのトナーまたは現像剤の漏れを抑制することを目的とする。
本発明は、トナーまたは現像剤を収容する現像剤回収容器の開口部を開閉するシール構造である。現像剤回収容器の開口部は、トナーまたは現像剤を搬送する搬送部材の挿入部が挿入されて接続される。シール構造は、搬送部材が接続された状態において開口部に挿入された挿入部に密着すると共に、搬送部材が取り外された状態において開口部を閉じるシール部材を備える。シール部材は、挿入部の挿入方向において重なり合うように配置された第1のシート部材及び第2のシート部材を有する。第1のシート部材は、挿入方向において、第2のシート部材よりも上流側に配置されている。第1のシート部材は、第2のシート部材よりも高い摺動性を有する。第1のシート部材は、開口部の中心に対応する位置から放射状に延びる複数のスリットと、当該スリットで区切られた可撓片とを有する。第2のシート部材は、第1のシート部材よりも高い弾性を有する。第2のシート部材には、開口部に対応する位置に、挿入部を挿入可能な開口穴が形成されている。複数のスリットの外側の端部同士を通る外周円の直径D1、及び開口穴の直径D2は、挿入部の外径をD3とした場合に、下記式(1)を満たす。
D2<D3<D1…(1)
D2<D3<D1…(1)
このシール構造では、第1のシート部材において、現像剤回収容器の開口部の中心から放射状に延びる複数のスリットが形成されている。これにより、第1のシート部材には、開口部の中心に対応する位置を先端として径方向外側に延びる複数の可撓片が形成されている。換言すれば、第1のシート部材では、スリットの外側の端部側を基端として、開口部の径方向内側に延びる可撓片が開口部の周方向に複数形成されている。
このシール構造では、搬送部材の挿入部を現像剤回収容器の開口部に挿入する際に、挿入部が第1のシート部材の複数の可撓片に当たり、複数の可撓片の先端が押し広げられる。複数の可撓片は挿入部の外周面に沿って開口部側に傾倒し開口部の内部に侵入する。複数のスリットの外側の端部同士を通る外周円の直径D1が挿入部の外径よりも大きいので、可撓片が撓んで挿入部を通過させることができる。また、第1のシート部材は第2のシート部材より高い摺動性を有するので、挿入部が可撓片に当たった際に、挿入部を円滑に摺動させることができる。そのため、挿入部を開口部に挿入させる際の摩擦抵抗を減らすことができるので、可撓片が挿入の妨げにならない。
また、弾性を有する第2のシート部材の開口穴の直径D2が挿入部の外径D3よりも小さくなっている。そのため、挿入部が開口穴に挿入される際に、開口穴の周縁部は挿入部によって押されて、挿入部の外周面に沿って撓んで開口部の内部に進入すると共に開口穴の内径が広がる。これにより、挿入部は開口穴に挿入されると共に開口部に挿入される。また、第2のシート部材は第1のシート部材より高い弾性を有し、開口穴の直径D2が挿入部の外径D3より小さいので、開口穴の周縁部は、第1のシート部材の可撓片を挟んで挿入部の外周面に密着し、挿入部の外周面と現像剤回収容器の開口部の内壁面との間の隙間を埋める。これより、搬送部材の挿入部が現像剤回収容器の開口部に接続されている状態において、現像剤回収容器の内部に収容されたトナーまたは現像剤が挿入部の外周面と開口部の内壁面との間の隙間から漏れ出すことが抑制される。
また、現像剤回収容器から挿入部を引き抜く際には、第2のシート部材の開口穴の周縁部が挿入部の外周面に密着した状態が維持された状態で挿入部が引き抜かれる。そのため、挿入部を引き抜く際において、現像剤回収容器の内部に収容されたトナーまたは現像剤の漏れを抑制することができる。
また、現像剤回収容器から挿入部が引き抜かれた後、開口穴の周縁部が元の状態に復帰し、この際に第1のシート部材の可撓片を押し戻すので、開口穴の周縁部と共に可撓片が元の位置に復帰する。これにより、複数の可撓片により現像剤回収容器の開口部が閉じられた状態となる。そのため、現像剤回収容器から搬送部材が取り外された状態において、現像剤回収容器の開口部からのトナーまたは現像剤が漏れ出すことが抑制される。すなわち、現像剤回収容器の内部のトナーまたは現像剤が貯まった後に現像剤回収容器を交換する場合において、現像剤回収容器の開口部は第1のシート部材の可撓片によって覆われた状態となり、現像剤回収容器の内部に収容されているトナーまたは現像剤の漏れが抑制される。
また、第1のシート部材と挿入部の外周面との間の動摩擦係数は0.6以下とすることができる。これにより、挿入部を現像剤回収容器の開口部に挿入する際に、挿入部の外周面と第1のシート部材の可撓片との摩擦抵抗を抑制し、挿入部を第1のシート部材に当てて円滑に移動させることができる。
また、第2のシート部材の挿入部に対する締付け力が0.01[N/mm]以上であってもよい。これにより、挿入部を現像剤回収容器の開口部に挿入した際に、第2のシート部材の開口穴の周縁部が挿入部の外周面に確実に密着する。そのため、搬送部材が現像剤回収容器に接続された状態において、現像剤回収容器からのトナーまたは現像剤の漏れを抑制することができる。
また、第1のシート部材は、第2のシート部材よりも薄くなっている。これにより、第1のシート部材の可撓片を撓み易くすることができる。また、撓んだ状態の可撓片は第2のシート部材の開口穴の周縁部によって押されて確実に復帰する。また、挿入部を引き抜く際には、第1のシート部材の可撓片が撓み易く引き抜き易くなる。
また、隣り合う複数のスリットが交差する鋭角である角度は、72[deg]以下とすることができる。すなわち、複数のスリットによって区切られた可撓片は、5(=360/72)分割、以上とすることができる。これにより、複数の可撓片は、根元部(基端部)近傍まで撓み易くなり確実に押し広げられて、挿入部を挿入させ易くすることができる。
また、第2のシート部材の開口穴の直径D2は、第1のシート部材のスリットの外側の端部同士を通る外周円の直径D1の80%以下である。これにより、第2のシート部材の開口穴の周縁部は、現像剤回収容器の開口部の径方向において、スリットの外側の端部よりも内側に張り出すことになる。第2のシート部材の開口穴の周縁部の張り出し量を適切にすることができる。そのため、第1のシート部材を通り抜けた挿入部を第2のシート部材の開口穴の周縁部に確実に当てて、開口部の周縁部を挿入部の外周面に密着させることができる。
第1のシート部材は、ウレタンフィルムを含み、第2のシート部材は、天然ゴムを含む構成でもよい。これにより、第1のシート部材は、第2のシート部材より高い摺動性を有し、第2のシート部材は、第1のシート部材より高い弾性を有する。
本発明の現像剤回収容器は、上記のシール構造を有する。この現像剤回収容器は、開口部を有し、粉体が収容される収容部と、開口部に装着されたシール部材と、を備える。
本発明の画像形成装置は、上記の現像剤回収容器を備える。この画像形成装置は、静電像担持体を有し、静電像担持体の表面に静電像を現像するための現像装置と、静電像担持体の表面に残留する粉体を除去するクリーニングユニットと、クリーニングユニットで除去された粉体を搬送する搬送部材と、を備える。
本発明によれば、搬送部材が接続されている状態、及び搬送部材が取り外された状態の両方において、現像剤回収容器からのトナーまたは現像剤の漏れを抑制することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第1実施形態に係る画像形成装置1は、マゼンダ、イエロー、シアン、ブラックの各色を用いてカラー画像を形成する装置である。図1に示されるように、画像形成装置1は、媒体Pを搬送する媒体搬送ユニット10と、静電潜像を現像する現像装置20と、トナー像を媒体Pに二次転写する転写ユニット30と、表面に画像が形成される静電潜像担持体である感光体ドラム40と、トナー像を媒体Pに定着させる定着装置50と、を備えている。
媒体搬送ユニット10は、画像が形成される記録媒体としての媒体Pを収容すると共に、媒体Pを搬送経路R1上に搬送する。媒体Pは、カセットKに積層されて収容される。媒体搬送ユニット10は、媒体Pに転写されるトナー像が二次転写領域R2に到達するタイミングで、媒体Pを搬送経路R1を介して二次転写領域R2に到達させる。
現像装置20は、各色ごとに4個設けられている。各現像装置20は、トナーを感光体ドラム40に担持させる現像ローラ21を備えている。現像装置20では、トナーとキャリアとが混合撹拌されて十分に帯電された後、トナーとキャリアとの混合によって生成される現像剤を現像ローラ21に担持させる。そして、現像ローラ21の回転により現像剤が感光体ドラム40と対向する領域まで搬送されると、現像ローラ21に担持された現像剤のうちのトナーが感光体ドラム40の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像が現像される。
転写ユニット30は、現像装置20で形成されたトナー像を媒体Pに二次転写する二次転写領域R2に搬送する。転写ユニット30は、転写ベルト31と、転写ベルト31を懸架する懸架ローラ31a,31b,31c,31dと、感光体ドラム40と共に転写ベルト31を挟持する一次転写ローラ32と、懸架ローラ31dと共に転写ベルト31を挟持する二次転写ローラ33とを備えている。
転写ベルト31は、懸架ローラ31a,31b,31c,31dにより循環移動する無端状のベルトである。一次転写ローラ32は、転写ベルト31の内周側から感光体ドラム40を押圧するように設けられる。二次転写ローラ33は、転写ベルト31の外周側から懸架ローラ31dを押圧するように設けられる。
感光体ドラム40は、色ごとに4個設けられている。各感光体ドラム40は、転写ベルト31の移動方向に沿って設けられている。感光体ドラム40の周上には、現像装置20と、帯電ローラ41と、露光ユニット42と、クリーニングユニット43と、が設けられている。
帯電ローラ41は、感光体ドラム40の表面を所定の電位に均一に帯電させる。露光ユニット42は、帯電ローラ41によって帯電した感光体ドラム40の表面を、媒体Pに形成する画像に応じて露光する。これにより、感光体ドラム40の表面のうち露光ユニット42により露光された部分の電位が変化し、静電潜像が形成される。4個の現像装置20は、それぞれの現像装置20に対向して設けられたトナータンク22から供給されたトナーによって感光体ドラム40に形成された静電潜像を現像し、トナー像を生成する。各トナータンク22内には、それぞれ、マゼンダ、イエロー、シアン及びブラックのトナーが充填されている。
クリーニングユニット43は、感光体ドラム40上に形成されたトナー像が転写ベルト31に一次転写された後に、転写ベルト31に転写されずに感光体ドラム40上に残存したトナーを回収する。
また、転写ユニット30は、転写ベルト31上に残像したトナーを回収するクリーニングユニット34を備えている。クリーニングユニット34は、転写ベルト31上に形成されたトナー像が媒体Pへ二次転写された後に、媒体Pに転写されずに転写ベルト31上に残存したトナーを回収する。
定着装置50は、転写ベルト31から媒体Pへ二次転写されたトナー像を媒体Pに定着させる。定着装置50は、媒体Pを加熱する加熱ローラ51と、加熱ローラ51を押圧する加圧ローラ52とを備えている。加熱ローラ51及び加圧ローラ52は円筒状に形成されている。加熱ローラ51と加圧ローラ52との間には接触領域である定着ニップ部54aが設けられ、定着ニップ部54aに媒体Pを例えば搬送方向に通過させることにより、トナー像を媒体Pに溶融定着させる。加熱ローラ51は、内部に発熱体を有し、この発熱体による熱が加熱ローラ51の外周面に伝熱される。加熱ローラ51は、例えば鋼管によって形成されたローラでもよく、無端状ベルトによって形成されたローラでもよく、その他の材質から形成されたローラでもよい。また、加圧ローラ52の外周側の表層には、弾性体(例えばゴムなど)が配置されている。なお、加圧ローラ52は、外周側の表層に弾性体が配置されていないものでもよい。
また、画像形成装置1には、定着装置50によりトナー像が定着された媒体Pを装置外部へ排出するための排出ローラ61及び62が設けられている。
次に、画像形成装置1の動作について説明する。画像形成装置1に被記録画像の画像信号が入力されると、画像形成装置1の制御部は、受信した画像信号に基づいて、帯電ローラ41により感光体ドラム40の表面を所定の電位に均一に帯電させる。その後、露光ユニット42により感光体ドラム40の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。
一方、現像装置20では静電潜像が現像されてトナー像が形成される。こうして形成されたトナー像は、感光体ドラム40と転写ベルト31とが対向する領域において、感光体ドラム40から転写ベルト31へ一次転写される。転写ベルト31には、4個の感光体ドラム40上に形成されたトナー像が順次積層されて、1つの積層トナー像が形成される。そして、積層トナー像は、懸架ローラ31dと二次転写ローラ33とが対向する二次転写領域R2において、媒体搬送ユニット10から搬送された媒体Pに二次転写される。
積層トナー像が二次転写された媒体Pは、定着装置50へ搬送される。媒体Pを加熱ローラ51と加圧ローラ52との間で熱及び圧力を加えながら通過させることにより、積層トナー像を媒体Pへ溶融定着させる。その後、媒体Pは、排出ローラ61及び62によって画像形成装置1の外部へ排出される。
ここで、画像形成装置1は、図2〜図6に示されるように、クリーニングユニット34,43で除去されたトナー(粉体)を回収する現像剤回収装置(トナー回収装置)70を備えている。現像剤回収装置70は、クリーニングユニット34,43で除去されたトナーを搬送する搬送部材71と、搬送部材71で搬送されたトナーを回収する現像剤回収容器(トナー回収容器)72とを有する。
画像形成装置1は、図2に示されるように、現像装置20及び感光体ドラム40を一体化したプロセスカートリッジ25を備える。プロセスカートリッジ25は、クリーニングユニット43及び搬送部材71を一体的に備える。搬送部材71は、図示しない搬送スクリューを有する。搬送部材71には、図2〜図4に示されるように、搬送されたトナーを排出する筒状の排出部(挿入部)73が設けられている。
また、プロセスカートリッジ25は、いわゆるトリクル現像方式の画像形成装置1において、トリクル現像装置から排出された廃現像剤を搬送する搬送部材71を備える構成でもよい。廃現像剤を搬送する搬送部材71は、搬送スクリュー76及び筒状の排出部(挿入部)73を有する。
トリクル現像装置は、当該現像装置内の現像剤の帯電量を一定に保つため、劣化した現像剤(廃現像剤)を排出する。このトリクル現像装置には、排出した量分の新しい現像剤(キャリア+トナー)が補給され、廃現像剤が排出される。搬送部材71は、トリクル現像装置から排出された廃現像剤についても搬送することができる。
現像剤回収容器72は、トナーを収容する収容部本体74を備える。収容部本体74は、箱形を成し、搬送部材71で搬送されたトナーを収容する。収容部本体74には、図6に示されるように、開口部75が設けられている。開口部75は、収容部本体74の壁体74aを貫通している。搬送部材71の排出部73は、この開口部75に挿入される。これにより、搬送部材71と現像剤回収容器72が接続される。
また、現像剤回収容器72は、開口部75を開閉するシール構造を有する。シール構造は、複数のシート状の部材が積層されて形成されたシール部材80を備える。シール部材80は、排出部73を挿入可能であると共に、排出部73が引き抜かれた状態において開口部75を閉じるように構成されている。
シール部材80は、図4及び図6に示されるように、搬送部材71の搬送方向(挿入部の挿入方向)において、上流側に配置された第1のシート部材81と、下流側に配置された第2のシート部材82と、を有する。
図7及び図8に示されるように、第1のシート部材81には、開口部75の中心(中央部)O75に対応する位置(中心O81)から放射状に延びる複数のスリット83が形成されている。第1のシート部材81では、例えば8本のスリット83が形成され、隣り合うスリット83同士が交差する角度θが45〔deg〕となっている。隣り合うスリット83同士が交差する角度θとは、2本のスリット83が交差する角度θのうち、小さい方の角度であり、鋭角となる角度である。
複数のスリット83は、第1のシート部材81の厚み方向において貫通している。第1のシート部材81は、複数のスリット83によって区切られた複数(8枚)の可撓片84を有する。スリット83が交差する中心O81が可撓片84の頂点となる。第1のシート部材81では、スリット83の外側の端部83a側を基端(根元)として、中心O81に向かって延びる可撓片84が開口部75の周方向に複数形成されている。
第2のシート部材82には、厚み方向に貫通する開口穴85が形成されている。開口穴85は円形を成し、開口穴85の中心O85は開口部75の中心O75に対応して配置される。
第1のシート部材81は、第2のシート部材82よりも高い摺動性を有する。第2のシート部材82は、第1のシート部材81よりも高い弾性を有する。第1のシート部材82は、例えば、ウレタンフィルムから形成されている。第2のシート部材82は、例えば、天然ゴムから形成されている。
第2のシート部材82の開口穴85の内径D2は、第1のシート部材81のスリット83の外側の端部83a同士を通る外周円86の直径D1より大きい。
D2<D1…(2)
第1のシート部材81において、中心O81から延びるスリット83が複数本形成されており、中心O81を挟んで対向する2本のスリット83が同一直線上に配置されている場合には、このスリット83の2本分の長さが、直径D1となる。
D2<D1…(2)
第1のシート部材81において、中心O81から延びるスリット83が複数本形成されており、中心O81を挟んで対向する2本のスリット83が同一直線上に配置されている場合には、このスリット83の2本分の長さが、直径D1となる。
第1のシート部材81と第2のシート部材82とを重ね合せた状態において、開口穴85の周縁部は、第1のシート部材81の可撓片84の根元(外周円86)よりも内側に配置されている。
また、第2のシート部材82の開口穴85の直径D2は、第1のシート部材81のスリット83に係る外周円86の直径D1の80%以下の長さであることが好ましい。これにより、第2のシート部材82の開口穴85の周縁部は、収容部本体74の開口部75の径方向において、スリット83の外側の端部83aよりも内側に張り出すことになる。
また、第1のシート部材81のスリット83の外側の端部83a同士を通る外周円86の直径D1は、搬送部材71の排出部73の外径D3(図3及び図10参照)より大きい。なお、外径D3は、排出部73の長手方向において、収容部本体74の開口部75に対応する位置の外径である。
D3<D1…(3)
D3<D1…(3)
また、第2のシート部材82の開口穴85の直径D2は、搬送部材71の排出部73の外径D3より小さい。
D2<D3…(4)
D2<D3…(4)
すなわち、第1のシート部材81のスリット83の外側の端部83a同士を通る外周円86の直径D1、開口穴85の直径D2、及び排出部73の外径D3の関係は、下記式(5)を満たしている。
D2<D3<D1…(5)
D2<D3<D1…(5)
本実施形態では、D1は17mm、D2は13mm、D3は14.3mmとなっている。また、排出部73の外径D3に対する開口穴85の直径D2の比率は、例えば、85%以上95%以下となっている。
また、第1のシート部材81の可撓片84の表面と排出部73の外周面との間の動摩擦係数は、例えば0.6以下となっている。これにより、排出部73の外周面と可撓片84とが接触した際の摩擦抵抗を低く抑えることができる。
第2のシート部材82の排出部73に対する締付け力は、例えば0.01[N/mm]以上となっている。なお、締付け力は、例えば、計算により算出してもよく、引っ張り試験によって算出してもよい。
第1のシート部材81は、第2のシート部材82よりも薄くなっている。第1のシート部材81の厚さは、例えば0.3mmであり、第2のシート部材82の厚さは、例えば0.5mmである。
また、シール部材80は、図9に示されるように、第1のシート部材81及び第2のシート部材82の他に、第3のシート部材87及び複数の両面テープ88を備えている。本実施形態では、シール部材80は、3枚の両面テープ88を有する。第3のシート部材87及び両面テープ88には、排出部73を挿通可能な開口部87a,88aがそれぞれ設けられている。開口部87a,88aの内径は、排出部73の外径D3より若干大きくなっている。また、第3のシート部材87の開口部87aの直径D4は、下記式(4)を満たしている。開口部87aの直径D4は、開口穴85の直径D2よりも大きく、且つ、スリット83の外側の端部83a同士を通る外周円86の直径D1以上となっている。
D2<D1≦D4…(6)
D2<D1≦D4…(6)
第3のシート部材87は、搬送部材71による搬送方向において第1のシート部材81より上流側に配置されている。第3のシート部材87は、第1のシート部材81及び第2のシート部材81の形状を維持する機能を有する。第3のシート部材87は、例えばPETフィルムにより形成され、第1のシート部材81及び第2のシート部材82より硬くなっている。これにより、シール部材80の強度を向上させることができる。そのため、シール部材80の変形を抑制することができ、シール部材80を収容部本体74に取付ける際の作業性を向上させることができる。
また、複数の両面テープ88は、第2のシート部材82の収容部本体74側の面、第2のシート部材82と第1のシート部材81との間、第1のシート部材81と第3のシート部材87との間にそれぞれ配置されている。複数の両面テープ88は、複数のシート部材81,82,87を接着すると共に、これらのシート部材81,82,87を収容部本体74に接着する。シール部材80は、収容部本体74側から順に、両面テープ88、第2のシート部材82、両面テープ88、第1のシート部材81、両面テープ88、第3のシート部材87が積層されて一体的に構成されている。
そして、シール部材80は、収容部本体74の壁体74aの外面において、開口部75に対応する位置に貼り付けられている。開口部75の中心と、開口穴85の中心と、スリット83の交点とが重なるように、シール部材80が配置されている。
次に、現像剤回収容器72のシール構造の作用について説明する。
搬送部材71は、画像形成装置1の使用状態において、現像剤回収容器72に対して接続されている。搬送部材71を現像剤回収容器72に接続する際には、図10に示されるように、排出部73をシール部材80に対して挿入する。この挿入の際に、排出部73が第1のシート部材81の複数の可撓片84に当たり、複数の可撓片84の先端側が押し広げられる。複数の可撓片84は排出部73の外周面に沿って開口部75側に傾倒し、開口部75の内部に進入する。複数のスリット83の外側の端部83a同士を通る外周円86の直径D1が排出部73の外径D3よりも大きいので、可撓片84が撓んで排出部73を挿入させることができる。また、第1のシート部材81は第2のシート部材82より高い摺動性を有するので、排出部73が可撓片84に当たった際に、排出部73を円滑に滑らせて移動させることができる。そのため、排出部73を開口部75に挿入させる際の摩擦抵抗を減らすことができるので、可撓片84が挿入の妨げにならない。
また、本実施形態のシール構造では、弾性を有する第2のシート部材82の開口穴85の直径D2が排出部73の外径D3よりも小さくなっている。そのため、排出部73が開口穴85に挿入される際に、開口穴85の周縁部は排出部73によって押されて、排出部73の外周面に沿って撓んで開口部75の内部に進入すると共に開口穴85の内径が広がる。これにより、排出部73は開口穴85に挿入されると共に開口部75に挿入される。また、第2のシート部材82は第1のシート部材81より高い弾性を有し、開口穴85の直径D2が排出部73の外径D3より小さいので、開口穴85の周縁部は、第1のシート部材81の可撓片84を挟んで排出部の外周面に密着し、排出部73の外周面と収容部本体74の開口部75の内壁面との間の隙間を埋める。これより、搬送部材71の排出部73が収容部本体74の開口部75に接続されている状態において、収容部本体74の内部に収容されたトナーまたは現像剤が排出部73の外周面と開口部75の内壁面との間の隙間から漏れ出すことが抑制される。
また、収容部本体74から排出部73を引き抜く際には、第2のシート部材82の開口穴85の周縁部が排出部73の外周面に密着した状態が維持された状態で排出部73が引き抜かれる。これにより、排出部73の外面にトナー等が付着している場合には、排出部73が引き抜かれる際に、第2のシート部材82に当たり、収容部本体74内に落下することになる。そのため、排出部73を引き抜く際において、収容部本体74の内部に収容されたトナーまたは現像剤の漏れを抑制することができる。
シール部材80では、第1のシート部材81が第2のシート部材82よりも薄くなっている。これにより、第1のシート部材81の可撓片84を撓み易くすることができる。撓んだ状態の可撓片84は第2のシート部材82の開口穴の周縁部によって押されて確実に復帰する。また、排出部73を引き抜く際には、可撓片84が撓み易く引き抜き易くなる。
また、収容部本体74から排出部73が引き抜かれた後、第2のシート部材82の開口穴85の周縁部が元の状態に復帰し、この際に第2のシート部材82が第1のシート部材81の可撓片84を押し戻すので、開口穴85の周縁部と共に可撓片84が元の位置に復帰する。これにより、複数の可撓片84により収容部本体74の開口部75が閉じられた状態となる。そのため、収容部本体74から搬送部材71が取り外された状態において、収容部本体74の開口部75からのトナーまたは現像剤が漏れ出すことが抑制される。すなわち、収容部本体74の内部のトナーまたは現像剤が満杯となった後に現像剤回収容器72を交換する場合において、収容部本体74の開口部75は第1のシート部材81の可撓片84によって覆われた状態となり、現像剤回収容器72の内部に収容されているトナーまたは現像剤の漏れが抑制される。
次に、第1のシート部材81の複数のスリット83の交差角θとシール部材80の性能との関係について説明する。複数のスリット83の交差角θ(45、60、72、90〔deg〕)が異なる第1のシート部材81を用いて、性能を評価した。シール部材(実施例1〜3、比較例1)を装着した現像剤回収容器72を画像形成装置1に搭載して、性能評価を行った。表1に評価結果を示す。
実施例1,2のシール部材では、廃トナーの漏れ、飛散が無かった。また、使用後の第1のシート部材81において、塑性変形は認められなかった。実施例3のシール部材では、廃トナーの漏れ、飛散が無かった。また、使用後の第1のシート部材81において、若干の塑性変形が認められた。
比較例1では、第1のシート部材の可撓片が機能せず、第1のシート部材がスリットに沿って破損し、使用不可能であった。
次に、スリットの寸法(直径D1)に対する開口穴の直径D2の比率と、シール部材の性能との関係について説明する。第1のシート部材81のスリット83の外側の端部83a同士を通る外周円86の直径D1と、第2のシート部材82の開口穴85の直径D2との比率が異なるシール部材を用いて、性能を評価した。シール部材(実施例4,5)を装着した現像剤回収容器72を画像形成装置1に搭載して、性能評価を行った。表2に評価結果を示す。
実施例5のシール部材では、廃トナーの漏れ、飛散が無かった。実施例4のシール部材では、廃トナーの漏れ、飛散が少ないが、若干の漏れがあった(実用上問題なし)。また、実施例4,5において、排出部73の挿入はスムーズであった。実施例5は、直径D2が直径D1の80%以下であり、実施例4と比較して良好な評価結果であった。
次に、第1のシート部材81及び第2のシート部材82の材質の組み合わせとシール部材80の性能との関係について説明する。表3に示す通り、材質の組み合わせが異なるシール部材を用いて性能を評価した。シール部材を装着した現像剤回収容器72を画像形成装置1に搭載して、性能評価を行った。表3に評価結果を示す。
第1のシート部材にウレタンフィルムを使用し、第2のシート部材に天然ゴムを使用した場合に、廃トナーの漏れ、飛散が無かった。また、使用後の第1のシート部材81において、塑性変形は認められなかった。
第1のシート部材にウレタンフィルムを使用し、第2のシート部材にNBRゴムを使用した場合に、廃トナーの漏れ、飛散が無かった。また、使用後の第2のシート部材81において、若干の塑性変形が認められた。
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
上記の実施形態では、スリットが直線的に形成されているが、スリットは例えば湾曲しているものでもよい。
また、1枚のシール部材を1つの開口部に対して適用してもよく、1枚のシール部材を複数の開口部に対して適用してもよい。
また、上記の実施形態では、両面テープを用いて第1のシート部材及び第2のシート部材を接着しているが、例えば接着剤を用いて、シート部材同士を接着してもよく、その他の方法により、シート部材同士を接合してもよい。
また、第1のシート部材において、複数のスリットは等間隔に配置されていないものでもよい。
1…画像形成装置、43…クリーニングユニット、70…現像剤回収装置(トナー回収装置)、71…搬送部材、72…現像剤回収容器(トナー回収容器)、73…排出部(挿入部)、75…開口部、80…シール部材、81…第1のシート部材、82…第2のシート部材、83…複数のスリット、84…可撓片、85…開口穴、86…外周円、87…第3のシート部材、P…媒体。
Claims (9)
- トナーまたは現像剤を収容する現像剤回収容器の開口部を開閉するシール構造であって、
前記開口部は、前記トナーまたは前記現像剤を搬送する搬送部材の挿入部が挿入されて、前記搬送部材が接続され、
前記シール構造は、前記搬送部材が接続された状態において前記開口部に挿入された前記挿入部に密着すると共に、前記搬送部材が取り外された状態において前記開口部を閉じるシール部材を備え、
前記シール部材は、前記挿入部の挿入方向において重なり合うように配置された第1のシート部材及び第2のシート部材を有し、
前記第1のシート部材は、前記挿入方向において、前記第2のシート部材よりも上流側に配置され、
前記第1のシート部材は、前記第2のシート部材よりも高い摺動性を有し、
前記第1のシート部材は、前記開口部の中心に対応する位置から放射状に延びる複数のスリットと、複数のスリットで区切られた可撓片とを有し、
前記第2のシート部材は、前記第1のシート部材よりも高い弾性を有し、
前記第2のシート部材には、前記開口部に対応する位置に、前記挿入部を挿入可能な開口穴が形成され、
前記複数のスリットの外側の端部同士を通る外周円の直径D1、及び前記開口穴の直径D2は、前記挿入部の外径をD3とした場合に、下記式(1)を満たす現像剤回収容器のシール構造。
D2<D3<D1…(1) - 前記第1のシート部材と前記挿入部の外周面との間の動摩擦係数は0.6以下である請求項1に記載の現像剤回収容器のシール構造。
- 前記第2のシート部材の前記挿入部に対する締付け力が0.01[N/mm]以上である請求項1又は2に記載の現像剤回収容器のシール構造。
- 前記第1のシート部材は、前記第2のシート部材よりも薄い請求項1〜3の何れか一項に記載の現像剤回収容器のシール構造。
- 隣り合う前記複数のスリットが交差する鋭角である角度は、72[deg]以下である請求項1〜4の何れか一項に記載の現像剤回収容器のシール構造。
- 前記第2のシート部材の前記開口穴の前記直径D2は、前記第1のシート部材の前記スリットの外側の端部同士を通る前記外周円の前記直径D1の80%以下である請求項1〜5の何れか一項に記載の現像剤回収容器のシール構造。
- 前記第1のシート部材は、ウレタンフィルムを含み、
前記第2のシート部材は、天然ゴムを含む請求項1〜6の何れか一項に記載の現像剤回収容器のシール構造。 - 前記開口部を有し、前記トナーまたは前記現像剤が収容される収容部と、
前記開口部に装着された前記シール部材と、を備える、
請求項1〜7の何れか一項に記載のシール構造を有する現像剤回収容器。 - 静電像担持体を有し、前記静電像担持体の表面に静電像を現像するための現像装置と、
前記静電像担持体の表面に残留する前記トナーを除去するクリーニングユニットと、
前記クリーニングユニットで除去された前記トナーを搬送する前記搬送部材と、を備える、
請求項8に記載の現像剤回収容器を備えた画像形成装置。
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JP2015250194A JP2017116664A (ja) | 2015-12-22 | 2015-12-22 | 現像剤回収容器のシール構造、現像剤回収容器及び画像形成装置 |
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