JP2017115751A - 鞍乗型車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】異物が除去されたきれいな潤滑油を変速機に供給することのできる鞍乗型車両を提供する。【解決手段】鞍乗型車両1は、第1クランクウェブ31の第1側壁31aに固定され、一部が第1側壁31aから離間した環状プレート47を備える。第1側壁31aと環状プレート47とにより、径方向の外方が閉鎖されかつ径方向の内方が開放された遠心フィルタ50が形成されている。鞍乗型車両1は更に、遠心フィルタ50に潤滑油を導く第1油路81と、遠心フィルタ50からコンロッド19とクランクピン36との間の隙間に潤滑油を導く第2油路とを備える。変速機の前端はシリンダの後端よりも後方に位置する。変速機は遠心フィルタ50の後方に配置されている。車両正面視において、変速機の一部は遠心フィルタ50と重なっている。【選択図】図4
Description
本発明は、内燃機関を備えた鞍乗型車両に関する。
従来から、クランクケースの内部に配置された内燃機関と、クランクケースの外部に配置されたVベルト式無段変速機とを備えた鞍乗型車両が知られている。また、クランクケースの内部に配置された内燃機関と、クランクケースの内部に配置された複数のギアを有する変速機とを備えた鞍乗型車両が知られている。このような鞍乗型車両では、変速機がクランクケースの内部に配置されているので、変速機の摩耗によって生じる異物がクランクケースの内部の潤滑油に混入する場合がある。そのため、このような鞍乗型車両では、変速機がクランクケースの外部に配置された鞍乗型車両に比べて、潤滑油に対する異物の混入(コンタミネーション(contamination))の量が多くなりやすい。
特許文献1には、クランク軸の内部に形成された第1油路と、クランク軸の内部に形成された第2油路と、クランク軸に取り付けられた遠心フィルタとを備えた鞍乗型車両が開示されている。遠心フィルタは第1連通孔を通じて第1油路と連通し、第2連通孔を通じて第2油路と連通している。この鞍乗型車両によれば、第1油路を流れる潤滑油に異物が混入していた場合、この異物は遠心フィルタによって除去される。第2油路には、異物が除去されたきれいな潤滑油が供給される。
上記鞍乗型車両では、遠心フィルタにより異物が除去された潤滑油は、クランク軸の内部の第2油路内を流れ、コンロッドの大端部に導かれる。遠心フィルタ内の潤滑油を遠心力に打ち勝ってクランク軸の内部の第2油路に流入させるために、遠心フィルタ内の潤滑油を加圧する必要がある。そのため、遠心フィルタの内部空間は、第1連通孔および第2連通孔以外は封止されている。また、クランク軸の内部の第2油路に流入した潤滑油は、コンロッドの大端部および小端部などの摺動部分の潤滑およびピストンの冷却に利用される。ここで、コンロッドの小端部の潤滑やピストンの冷却は、潤滑油がコンロッドの大端部とクランクウェブとの間から上方に向かって噴出されることで行われる。
上記鞍乗型車両のように、クランク軸に遠心フィルタが設けられている場合、オイルフィルタが設けられている車両よりもフィルタのメンテナンス性は良い。しかし、クランク軸に遠心フィルタが設けられている場合、遠心フィルタにより異物が除去されたきれいな潤滑油を変速機に供給することは困難である。なぜなら、遠心フィルタにより異物が除去された潤滑油の全ては、第2油路に流入し、シリンダ内のピストンおよびコンロッドを潤滑・冷却した後、自由落下してオイルパンに回収されるが、潤滑油の自由落下の経路中に変速機は配置されていないからである。加えて、クランク軸に遠心フィルタが設けられている場合、オイルパンから変速機までの潤滑油の経路の途中には、メッシュ状のフィルタ等、簡易的なオイルフィルタのみ設けられていることが多い。その場合、メッシュサイズ以上の大きさの大きい異物は除去されるが、比較的細かい異物は除去しきれない。そのため、上記鞍乗型車両では、遠心フィルタにより、より細かい異物も除去されたきれいな潤滑油を変速機に供給することはできない。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、異物が除去されたきれいな潤滑油を変速機に供給することのできる鞍乗型車両を提供することである。
本発明に係る鞍乗型車両は、クランクケースと、シリンダと、クランク軸と、変速機と、コンロッドと、ピストンと、軸受と、環状プレートと、第1油路と、第2油路とを備える。前記クランクケースは、孔が形成された壁を有している。前記シリンダは、前記クランクケースに接続され、少なくとも一部が前記クランクケースの上方に位置している。前記クランク軸は、第1側壁および前記第1側壁と逆側の第2側壁を含む第1クランクウェブと、前記第1クランクウェブの前記第2側壁に対向する第2クランクウェブと、前記第1クランクウェブおよび前記第2クランクウェブに接続されたクランクピンと、前記第1クランクウェブの前記第1側壁に設けられた第1シャフトと、を有し、前記クランクケースの内部に配置されている。前記変速機は、第1回転軸と、第2回転軸と、前記第1回転軸に設けられた複数の第1ギアと、前記第2回転軸に設けられ、それぞれ前記第1ギアと噛み合う複数の第2ギアと、を有し、前記クランクケースの内部に配置されている。前記コンロッドは、前記クランクピンが挿入されたピン孔を有する大端部と、小端部とを有している。前記ピストンは、前記シリンダの内部に配置され、前記コンロッドの前記小端部に接続されている。前記軸受は、前記クランクケースの前記壁の前記孔に配置され、前記第1シャフトを回転自在に支持している。前記環状プレートは、前記第1クランクウェブの前記第1側壁に固定され、一部が前記第1側壁から離間している。前記第1側壁と前記環状プレートとにより、径方向の外方が閉鎖されかつ径方向の内方が開放された遠心フィルタが形成されている。前記第1油路は、前記遠心フィルタに連通し、前記遠心フィルタに潤滑油を導くように構成されている。前記第2油路は、前記遠心フィルタと、前記コンロッドと前記クランクピンとの間の隙間とを連通している。前記第2油路は、前記クランクピンの内部に形成されかつ前記クランクピンの軸方向に延びる第1流路孔と、前記クランクピンの内部に形成されかつ前記クランクピンの径方向に延び、前記第1流路孔と連通する第2流路孔と、を含んでいる。前記変速機の前端は前記シリンダの後端よりも後方に位置している。前記変速機は前記遠心フィルタの後方に配置されている。車両正面視において、前記変速機の一部は前記遠心フィルタと重なっている。
上記鞍乗型車両によれば、第1油路から遠心フィルタに導かれた潤滑油に異物が混入していた場合、回転に伴う遠心力により、異物は遠心フィルタの径方向の外方に集められる。その結果、異物は潤滑油から分離され、異物が除去されたきれいな潤滑油が遠心フィルタから第2油路に送られる。コンロッドとクランクピンとの間の隙間には、異物が除去されたきれいな潤滑油が供給される。上記鞍乗型車両では、シリンダの少なくとも一部はクランクケースの上方に配置され、変速機の前端はシリンダの後端よりも後方に位置する。そのため、コンロッドとクランクピンとの間の隙間から自由落下する潤滑油は、変速機に供給されにくい。ところが、上記鞍乗型車両によれば、遠心フィルタの径方向の内方は開放されているので、遠心フィルタにより異物が除去された潤滑油の全てが第2油路に流入する訳ではない。遠心フィルタにより異物が除去されたきれいな潤滑油の一部は、遠心フィルタから溢れ、遠心力によりクランク軸の径方向の外方に飛散する。変速機は遠心フィルタの後方に配置されているので、遠心フィルタから飛散した上記潤滑油は、変速機に供給される。したがって、上記鞍乗型車両によれば、遠心フィルタにより異物が除去されたきれいな潤滑油を変速機に供給することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1クランクウェブの前記第1側壁は、前記第1シャフトよりも径方向の外方に位置する外縁壁と、前記外縁壁よりも径方向の内方に位置しかつ前記外縁壁から凹んだ凹壁と、を含んでいる。前記環状プレートは、前記凹壁の少なくとも一部から離間している。前記凹壁と前記環状プレートとにより、前記遠心フィルタが形成されている。
上記態様によれば、凹壁と環状プレートとにより、好適な遠心フィルタを構成することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記遠心フィルタは、前記第1側壁と前記環状プレートとに仕切られたオイル貯留空間を有している。
上記態様によれば、上記オイル貯留空間内において、遠心力を利用して潤滑油から異物が除去される。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記環状プレートは、前記軸受から径方向の外方に離間した内周縁を有している。
上記態様によれば、簡単な構成により、径方向の外方が閉鎖されかつ径方向の内方が開放された遠心フィルタを形成することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1油路は、前記クランクケースの前記壁に形成され、少なくとも一部が前記環状プレートの前記内周縁よりも径方向の内方に位置する開口を含んでいる。
上記態様によれば、クランクケースの壁に形成された開口を通じて遠心フィルタに潤滑油を導くことができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1シャフトの内部には、潤滑油が流れる油路が形成されていない。
上記態様によれば、第1シャフトの内部に油路を加工する必要がないので、加工コストの低減および第1シャフトの小径化が可能となる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1油路は、前記第1シャフトに形成され、前記環状プレートの前記内周縁よりも径方向の内方であって、かつ、前記クランク軸の軸方向に関して前記環状プレートと前記第1側壁との間に位置する開口を含んでいる。
上記態様によれば、第1シャフトに形成された開口を通じて遠心フィルタに潤滑油を導くことができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記環状プレートの前記内周縁と前記軸受との間の径方向の間隔は、前記軸受の径方向の寸法よりも小さい。
上記態様によれば、コンロッドとクランクピンとの間の隙間および変速機に対してきれいな潤滑油を供給できる好適な遠心フィルタが得られる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記環状プレートの前記内周縁と前記軸受との間の径方向の間隔は、前記環状プレートの前記内周縁と外周縁との径方向の寸法よりも小さい。
上記態様によれば、変速機にきれいな潤滑油を供給できる好適な遠心フィルタが得られる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記クランクケースは、潤滑油が流れる油路と前記油路につながりかつ前記変速機に向けて開口する吐出口とが形成された他の壁を有している。前記吐出口は、前記クランク軸の軸方向に関して、前記変速機の一部と同一の位置に配置されている。
上記態様によれば、変速機に対し、遠心フィルタから溢れた潤滑油だけでなく、クランクケースの壁に形成された吐出口からも潤滑油を供給することができる。よって、変速機に対して十分な量の潤滑油を供給することができる。
本発明によれば、異物が除去されたきれいな潤滑油を変速機に供給することのできる鞍乗型車両を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の一形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る車両は、乗員が跨がって乗車する鞍乗型車両の一例である自動二輪車1である。ただし、本発明に係る車両は自動二輪車1に限定されず、例えば乗員が跨がって乗車する三輪車両、不整地走行車両(ATV)、スノーモービルなどの他の鞍乗型車両であってもよい。
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、自動二輪車1が水平面上に直立した状態で静止しているときにシート4に着座した乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。また、特に断らない限り、前方、後方とは、それぞれ車両前後方向の前方、後方を意味する。上方、下方とは、それぞれ車両上下方向の上方、下方を意味する。左方、右方とは、それぞれ車両左右方向の左方、右方を意味する。
図1に示すように、自動二輪車1は、ヘッドパイプ12を有する車体フレーム2と、車体フレーム2に支持されたパワーユニット3と、前輪20と、後輪30とを備えている。ヘッドパイプ12には、ステアリングシャフト13が回転可能に支持されている。ステアリングシャフト13の上部にはハンドルバー11が固定され、ステアリングシャフト13の下部にはフロントフォーク14が固定されている。前輪20はフロントフォーク14に取り付けられている。パワーユニット3の上方には燃料タンク10が配置されている。燃料タンク10の後方にシート4が配置されている。パワーユニット3は、チェーン26(図1では図示せず。図2参照)等の伝動部材を介して後輪30に連結されている。
次に、パワーユニット3の構成を説明する。図2に示すように、パワーユニット3は内燃機関5を備えている。パワーユニット3は、内燃機関5の動力により後輪30を駆動する。本実施形態では、内燃機関5は単一のシリンダ6を有する単気筒の内燃機関である。ただし、内燃機関5は、複数のシリンダを有する多気筒の内燃機関であってもよい。
パワーユニット3は、クランクケース7と、クランクケース7に固定されたシリンダブロック8と、シリンダブロック8に固定されたシリンダヘッド9と、シリンダヘッド9に固定されたシリンダヘッドカバー15とを備えている。シリンダブロック8の内部にシリンダ6が形成され、シリンダ6の内部にピストン16が配置されている。なお、シリンダ6はシリンダブロック8の一部分であるが、本実施形態では、シリンダ6はシリンダブロック8の他の部分と別体のシリンダスリーブにより構成されている。ただし、これに限定されない。シリンダ6はシリンダブロック8の他の部分と一体物であってもよい。例えば、シリンダブロック8の円孔の壁面にめっき処理を施すこと等により、シリンダ6を形成することも可能である。ピストン16とシリンダ6とシリンダヘッド9とにより、燃焼室17が区画されている。シリンダブロック8の少なくとも一部は、クランクケース7の上方に配置されている(図3参照)。よって、シリンダ6の少なくとも一部は、クランクケース7の上方に配置されている。
クランクケース7の内部には、クランク軸18が配置されている。クランク軸18とピストン16とは、コンロッド19により連結されている。ピストン16は、コンロッド19の小端部19aに接続されている。クランク軸18は、コンロッド19の大端部19bに接続されている。小端部19aは大端部19bよりも上方に配置されている。クランク軸18の左端部には、発電機21が取り付けられている。クランク軸18の右端部には、ギア28が配置されている。
また、クランクケース7の内部には、メイン軸23と、ドライブ軸24とが配置されている。メイン軸23、ドライブ軸24は、それぞれ「第1回転軸」、「第2回転軸」の一例である。メイン軸23およびドライブ軸24は、クランク軸18と平行に配置されている。メイン軸23には、複数の変速ギア25Aが設けられている。ドライブ軸24には、変速ギア25Aと噛み合う変速ギア25Bが設けられている。変速ギア25A、25Bは、それぞれ「第1ギア」、「第2ギア」の一例である。メイン軸23、変速ギア25A、変速ギア25B、およびドライブ軸24は、クランクケース7の内部に配置された変速機35を構成している。ドライブ軸24の左端部24aはクランクケース7の外部に配置されている。ドライブ軸24の左端部24aには、チェーン26が巻かれたスプロケット26Aが固定されている。
図3に示すように、変速機35の前端35fは、シリンダ6の後端6bよりも後方に位置している。なお、変速機35の前端35fは、変速機35のうち車両前後方向の最も前方に位置する部分である。本実施形態では、変速ギア25Aのうち車両前後方向の最も前方に位置する部分が前端35fとなる。シリンダ6の後端6bとは、シリンダ6のうち車両前後方向の最も後方に位置する部分である。このように、変速機35はシリンダ6の真下に配置されていない。変速機35は、シリンダ6から自由落下する潤滑油の経路内に配置されていない。
図2に示すように、メイン軸23の右端部には、クラッチ40が設けられている。本実施形態ではクラッチ40は湿式の多板クラッチであるが、クラッチ40の種類は特に限定されない。クラッチ40は、メイン軸23に回転自在に支持されたクラッチハウジング41と、メイン軸23に回転不能に支持されたクラッチボス42と、クラッチハウジング41に支持されかつクラッチハウジング41と共に回転する複数のプレート27と、クラッチボス42に支持されかつクラッチボス42と共に回転する複数のプレート29と、プレート27およびプレート29を互いに押し付けるプレッシャプレート43と、プレッシャプレート43をプレート27およびプレート29の方に付勢するばね45とを備えている。
クランク軸18は、第1クランクウェブ31と、第2クランクウェブ32と、第1シャフト33と、第2シャフト34とを有する。第1クランクウェブ31と第1シャフト33とは一体成形されており、第2クランクウェブ32と第2シャフト34とは一体成形されている。図4に示すように、第1クランクウェブ31は、第1側壁31aと、第1側壁31aと逆側の第2側壁31bとを含んでいる。第2クランクウェブ32は、第1クランクウェブ31の第2側壁31bに対向している。第1シャフト33は第1クランクウェブ31の第1側壁31aに設けられている。本実施形態では、第1側壁31a、第2側壁31bは、それぞれ第1クランクウェブ31の右側、左側の側壁である。第1シャフト33は第1側壁31aから右方に延びている。第2シャフト34は第2クランクウェブ32から左方に延びている。
第1クランクウェブ31にはピン孔31cが形成され、第2クランクウェブ32にはピン孔32cが形成されている。コンロッド19の大端部19bにはピン孔19cが形成されている。これらのピン孔31c、32c、および19cには、クランクピン36が挿入されている。クランクピン36は、第1クランクウェブ31、コンロッド19の大端部19b、および第2クランクウェブ32に接続されている。第1クランクウェブ31とコンロッド19の大端部19bと第2クランクウェブ32とは、クランクピン36により連結されている。
図2に示すように、クランクケース7は、孔37が形成された壁38と、孔66が形成された壁44とを有している。孔37には、第1シャフト33を回転自在に支持する軸受39と、金属製のスリーブ85とが配置されている。なお、スリーブ85は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。孔66には、第2シャフト34を回転自在に支持する軸受46が配置されている。本実施形態では、軸受39および46はボールベアリングである。ただし、軸受39および46はボールベアリングに限定されない。
図4に示すように、第1クランクウェブ31の第1側壁31aには、環状プレート47が固定されている。第1側壁31aは、第1シャフト33よりも径方向の外方に位置する外縁壁31dと、外縁壁31dよりも径方向の内方に位置しかつ外縁壁31dから凹んだ凹壁31eとを含んでいる。なお、径方向の内方、外方とは、それぞれクランク軸18の軸線18cに近づく方、遠ざかる方を意味する。環状プレート47は、クランク軸18の軸線18cの方向(以下、軸線方向という)に対して垂直な平面部47aと、平面部47aよりも径方向の外方に位置しかつ平面部47aから第1側壁31aの方に凹んだ凹部47bとを有している。本実施形態では、環状プレート47の凹部47bが第1側壁31aと接触している。環状プレート47の平面部47aは、凹壁31eの少なくとも一部から離間している。環状プレート47の平面部47aは、凹壁31eの一部に対し、軸線方向に離間している。ここでは、環状プレート47の平面部47aは、凹壁31eの一部に対し、右方に離間している。平面部47aの最も径方向の内方に位置する部分は、環状プレート47の内周縁47cである。内周縁47cは、軸受39から径方向の外方に離間している。内周縁47cと軸受39との間に隙間が形成されている。
第1側壁31aと環状プレート47とにより、径方向の外方が閉鎖されかつ径方向の内方が開放された遠心フィルタ50が形成されている。なお、本実施形態では、環状プレート47の内周縁47cと軸受39との間の隙間が、遠心フィルタ50の開放部分である。前述したように、本実施形態では、環状プレート47は第1側壁31aの凹壁31eと接触している。そのため、遠心フィルタ50は凹壁31eと環状プレート47とにより形成されている。遠心フィルタ50は、第1側壁31aと環状プレート47とに仕切られたオイル貯留空間51を有している。環状プレート47の内周縁47cと軸受39との間の径方向の間隔G1は特に限定されないが、ここでは間隔G1は軸受39の径方向の幅G2よりも小さい。また、間隔G1は、環状プレート47の内周縁47cと外周縁との径方向の距離G3よりも小さい。
図3に示すように、変速機35は遠心フィルタ50の後方に配置されている。変速機35の前端35fは、遠心フィルタ50の後端50bよりも後方に配置されている。図5に示すように、車両正面視において、変速機35の一部は遠心フィルタ50と重なっている。なお、図5では、クランク軸18およびコンロッド19の後方に位置する変速機35が分かりやすいように、クランク軸18およびコンロッド19の断面を表すハッチングは省略している。
パワーユニット3は、いくつもの摺動部分を有している。そのため、パワーユニット3は、摺動部分に潤滑油を供給するための給油システム70を備えている。図6は、給油システム70の構成を示す模式図である。図中の矢印は潤滑油の流れを表している。
給油システム70は、オイルパン61と、メッシュ状のオイルフィルタ61Aと、オイルポンプ62と、前述の遠心フィルタ50とを備えている。オイルパン61は、クランクケース7の底部に設けられている。オイルパン61には、パワーユニット3の摺動部分を潤滑した潤滑油が回収される。オイルパン61とオイルポンプ62の吸入部62iとは、油路71により接続されている。オイルフィルタ61Aは油路71に設けられており、オイルパン61からオイルポンプ62に吸い込まれる油を濾過する。オイルポンプ62には、オイルポンプ62によって浄化された油が供給される。オイルポンプ62の吐出部62oには油路72が接続されている。油路72は、油路73と油路76とに分岐している。
油路73は更に、油路74と油路75とに分岐している。油路74は、クランクケース7、シリンダブロック8、およびシリンダヘッド9を経由してシリンダヘッドカバー15に至っている。油路74には、吸気弁67、吸気カム67a(図2参照)、排気弁48、排気カム48a(図2参照)に上方から潤滑油を供給する給油口74a、74bが形成されている。
油路75には、変速機35に潤滑油を供給する吐出口75aが形成されている。図7に示すように、吐出口75aはクランクケース7の壁49に形成されており、変速機35に向けて開口している。油路75は、壁49の内部に形成された油路75bを含んでいる。油路75bは吐出口75aとつながっている。吐出口75aは、クランク軸18の軸方向(図7の左右方向)に関して、変速機35の一部と同一の位置に配置されている。吐出口75aは、変速機35に向けて潤滑油を噴射するように構成されている。本実施形態では、吐出口75aは、1速の変速ギア25Aに向けて開口している。ただし、吐出口75aは、1速以外の変速ギア25Aに向けて開口していてもよい。また、吐出口75aは、メイン軸23、ドライブ軸24、および/または変速ギア25Bに向けて開口していてもよい。吐出口75aの数は何ら限定されない。
図6に示すように、油路76は、遠心フィルタ50に油を導く第1油路81に接続されている。図4に示すように、第1油路81はクランクケース7の壁38の内部に形成されている。第1油路81は、油を吐出する開口81oを含んでいる。開口81oは壁38に形成されている。本実施形態では、開口81oは壁38の孔37のうち、軸受39とスリーブ85との間の隙間によって形成されている。ただし、開口81oの位置および構成は本実施形態のものに限定されない。開口81oの少なくとも一部は、環状プレート47の内周縁47cよりも径方向の内方に位置している。開口81oは第1クランクウェブ31の第1側壁31aに向かって開口している。
コンロッド19の大端部19bとクランクピン36との間には、隙間55が形成されている。隙間55には、クランクピン36とニードルベアリング39Bとの間の隙間55a、ニードルベアリング39Bと大端部19bとの間の隙間55b、および、大端部19bとクランクウェブ31,32との間の隙間55cとが含まれる。遠心フィルタ50と隙間55とは、第2油路82により連通されている。第2油路82は、クランクピン36の内部に形成されかつクランクピン36の軸方向に延びる第1流路孔82aと、クランクピン36の内部に形成されかつクランクピン36の径方向に延びる第2流路孔82bとを含んでいる。第1流路孔82aと第2流路孔82bとは連通されている。なお、ここで、「クランクピン36の軸方向に延びる」には、クランクピン36の軸線方向に延びる場合だけでなく、軸線方向から傾いた方向に延びる場合も含まれる。「クランクピン36の径方向に延びる」には、クランクピン36の軸線方向と垂直な方向に延びる場合だけでなく、軸線方向と垂直な方向から傾いた方向に延びる場合も含まれる。
図2に示すように、クランク軸18の第1シャフト33の内部には、潤滑油が流れる油路は形成されていない。第2シャフト34の内部にも、潤滑油が流れる油路は形成されていない。ただし、第1油路81に加え、第1シャフト33の内部に油路を形成することは可能である。
以上がパワーユニット3の構成である。次に、パワーユニット3における油の循環動作について説明する。
オイルパン61には潤滑油が貯留されている。ただし、オイルパン61に貯留されている潤滑油は、摺動部分(例えば吸気カム67a、排気カム48a、変速機35等)を潤滑した後の潤滑油である。そのため、オイルパン61に貯留されている潤滑油には、異物が含まれている場合がある。オイルパン61に貯留された潤滑油は、オイルポンプ62により油路72に導かれる。油路72内の潤滑油は油路73と油路76とに分流し、油路73内の潤滑油は油路74と油路75とに分流する。
油路74内の潤滑油は、給油口74aから吸気カム67aおよび吸気弁67に供給され、吸気口74bから排気カム48aおよび排気弁48に供給される。それらの潤滑油は重力によって流れ落ち、吸気カム67a、吸気弁67、排気カム48a、および排気弁48を潤滑し、更にカムチェーン54等に供給された後、オイルパン61に回収される。
油路75内の潤滑油は、吐出口75aから変速機35に供給される。吐出口75aから噴射された潤滑油は、霧状となって変速機35に供給される。これにより、変速機35の潤滑および冷却が行われる。変速機35に供給された油は重力を受けて落下し、オイルパン61に回収される。
油路76内の潤滑油は第1油路81を流れ、開口81oから遠心フィルタ50に導かれる。遠心フィルタ50に導かれた潤滑油に異物が混入している場合、比重の大きい異物は径方向の外方に集まる。そのため、遠心フィルタ50において、異物は潤滑油から分離される。遠心フィルタ50は、径方向の外方が閉鎖されている。そのため、異物は遠心フィルタ50の径方向の外方部分に捕捉されることになる。異物が除去されたきれいな潤滑油の一部は、第2油路82を流れ、コンロッド19とクランクピン36との間の隙間55に供給される。この潤滑油により、コンロッド19およびクランクピン36が潤滑される。隙間55を流れた潤滑油の一部は、ピストン16に向かって飛散する。ピストン16に向かって飛散した潤滑油は、ピストン16およびシリンダ6を潤滑し、また、ピストン16を冷却する。この潤滑油は重力を受けて落下し、オイルパン61に回収される。
遠心フィルタ50の径方向の内方は開放されているため、オイル貯留空間51から溢れた潤滑油は、第1クランクウェブ31の周囲に飛散する。第1クランクウェブ31は回転しているので、飛散する油は径方向の外方に飛散する。また、コンロッド19の大端部19bとクランクウェブ31,32との間の隙間55cからも油が飛散する。図3に示すように、遠心フィルタ50の後方には変速機35が配置されている。図5に示すように、車両正面視において、遠心フィルタ50は変速機35と重なっている。そのため、遠心フィルタ50の径方向の内方から溢れたきれいな潤滑油の一部は、変速機35に供給される。上記潤滑油は、変速機35に直接供給される。よって、変速機35には、油路75の吐出口75aから潤滑油が供給されるとともに、遠心フィルタ50からきれいな潤滑油が供給される。
以上のように、本実施形態に係る自動二輪車1によれば、第1油路81から遠心フィルタ50に導かれた潤滑油に異物が混入していた場合、クランク軸18の回転に伴う遠心力により、異物は遠心フィルタ50の径方向の外方に集められる。その結果、異物は潤滑油から分離され、異物が除去されたきれいな油が遠心フィルタ50から第2油路82に送られる。コンロッド19とクランクピン36との間の隙間55には、異物が除去されたきれいな潤滑油が供給される。自動二輪車1では、シリンダ6の少なくとも一部はクランクケース7の上方に配置され、変速機35の前端35fはシリンダ6の後端6bよりも後方に位置する。そのため、コンロッド19とクランクピン36との間の隙間55から自由落下する油は、変速機35に供給されにくい。ところが、遠心フィルタ50の径方向の内方は開放されているので、遠心フィルタ50により異物が除去されたきれいな潤滑油の一部は、遠心フィルタ50から溢れ、遠心力によりクランク軸18の径方向の外方に飛散する。変速機35は遠心フィルタ50の後方に配置されているので、遠心フィルタ50から飛散した上記潤滑油は変速機35に供給される。したがって、本実施形態に係る自動二輪車1によれば、遠心フィルタ50により異物が除去されたきれいな潤滑油を変速機35に供給することができる。
また、本実施形態によれば、第1クランクウェブ31の第1側壁31aの凹壁31eと環状プレート47とにより遠心フィルタ50が形成されている。このように簡単な構成により、遠心フィルタ50を形成することができる。
また、本実施形態によれば、クランクケース7の壁38に第1油路81の開口81oが形成されている。クランクケース7の壁38に形成された開口81oを通じて、第1油路81から遠心フィルタ50に油を導くことができる。本実施形態によれば、クランク軸18の第1シャフト33の内部に、潤滑油が流れる油路は不要である。本実施形態によれば、第1シャフト33の内部に油路を加工する必要がないので、加工コストの低減および第1シャフト33の小径化が可能となる。
また、本実施形態によれば、環状プレート47の内周縁47cと軸受39との間の径方向の間隔G1は、軸受39の径方向の寸法G2よりも小さい。また、上記間隔G1は、環状プレート47の内周縁47cと外周縁との径方向の寸法G3よりも小さい。間隔G1を比較的小さくすることにより、コンロッド19とクランクピン36との間の隙間55および変速機35の両方に対して、きれいな潤滑油を良好に供給することができる。
また、本実施形態によれば、クランクケース7の壁49に吐出口75aおよび油路75bが形成されており、吐出口75aはクランク軸18の軸方向に関して変速機35の一部と同一の位置に配置されている。そのため、変速機35に対し、遠心フィルタ50からだけでなく、吐出口75aからも油を供給することができる。よって、変速機35に対して十分な量の油を供給することができる。
以上、本発明の実施の一形態について説明したが、本発明が前記実施形態に限定されないことは勿論である。次に、いくつかの他の実施形態を説明する。
前記実施形態に係る自動二輪車1は、クランクケース7の壁38に第1油路81を形成したものであるが、第1油路81が形成される部材は特に限定されない。例えば、クランクケース7の壁38に形成される第1油路81に代えて、図8に示すように、クランク軸18の第1シャフト33に第1油路81を形成してもよい。以下の説明では、前記実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、それらの説明は省略することとする。
図8に示す他の実施形態に係る自動二輪車1では、第1油路81は、第1シャフト33の軸方向に延びる油路81aと、油路81aにつながりかつ第1シャフト33の径方向に延びる油路81bとを含んでいる。なお、「第1シャフト33の軸方向に延びる」には、第1シャフト33の軸方向に延びる場合と、軸方向から傾いた方向に延びる場合との両方が含まれる。「第1シャフト33の径方向に延びる」には、第1シャフト33の軸方向に対して垂直な方向に延びる場合と、軸方向に対して垂直な方向から傾いた方向に延びる場合との両方が含まれる。第1油路81は、潤滑油を吐出する開口81oを含んでいる。開口81oは油路81bの下流端に設けられている。開口81oは第1シャフト33の外周面に形成されている。開口81oは、環状プレート47の内周縁47cよりも径方向の内方であって、かつ、クランク軸18の軸方向に関して環状プレート47と第1側壁31aとの間に位置している。遠心フィルタ50には、第1油路81の開口81oから潤滑油が供給される。
本実施形態では、環状プレート47の内周縁47cは、軸受39の径方向の外端よりも径方向の内方に位置している。本実施形態においても、遠心フィルタ50は第1クランクウェブ31の第1側壁31aと環状プレート47とにより形成されている。遠心フィルタ50の径方向の外方は閉鎖され、径方向の内方は開放されている。
本実施形態においても、遠心フィルタ50から飛散した潤滑油が変速機35に供給される。したがって、遠心フィルタ50により異物が除去されたきれいな潤滑油を変速機35に供給することができる。また、簡単な構成により、径方向の外方が閉鎖されかつ径方向の内方が開放された遠心フィルタ50を形成することができる。
前記実施形態では、クランクケース7の壁38の孔37に配置されかつ第1シャフト33を回転自在に支持する軸受39は、ボールベアリングである。しかし、軸受39の種類はボールベアリングに限定されない。例えば、図9に示すように、軸受39は円筒ころ軸受であってもよい。
前記実施形態では、第1クランクウェブ31の第1側壁31aに凹壁31eが形成されている。しかし、第1側壁31aと環状プレート47とにより遠心フィルタ50を形成できればよく、凹壁31eは必ずしも必要ではない。
図2に示すように、前記実施形態では、遠心フィルタ50はシリンダ軸線CAよりも右方に配置されている。しかし、前記実施形態の構成を、シリンダ軸線CAを含みかつクランク軸18と垂直な面を基準として左右対称に配置することが可能である。また、第2クランクウェブ32の第2シャフト34が設けられた側の側壁に環状プレート47を取り付け、当該側壁と環状プレート47とにより遠心フィルタ50を形成してもよい。その場合、第1油路81は、例えばクランクケース7の壁44または第2シャフト34に形成すればよい。
前述の説明では、自動二輪車1が水平面上に直立した状態で静止しているときにシート4に着座した乗員から見た方向に基づいて、パワーユニット3の各部の位置関係等を説明した。言い換えると、パワーユニット3が車体フレーム2に支持された状態(すなわち車載状態)を前提として、パワーユニット3の各部の位置関係等を説明した。しかし、パワーユニット3の車載状態は前記実施形態のものに限定されない。例えば、パワーユニット3を前記実施形態よりも水平面に対して傾いた姿勢で車体フレーム2に支持させることも可能である。パワーユニット3の車体状態が前記実施形態と異なる場合であっても、前述の前方、後方、左方、右方、上方、下方を、それぞれ「クランク軸18が左右方向に延び、かつ、変速機35がクランク軸18の後方に位置する姿勢で、パワーユニット3のクランクケース7の底部を水平面上に置いたときの前方、後方、左方、右方、上方、下方」とそれぞれ読み替えることにより、車載状態に拘わらずパワーユニット単体について各部の位置関係を一義的に特定することができる。
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
6 シリンダ
7 クランクケース
16 ピストン
18 クランク軸
19 コンロッド
23 メイン軸(第1回転軸)
24 ドライブ軸(第2回転軸)
25A 変速ギア(第1ギア)
25B 変速ギア(第2ギア)
31 第1クランクウェブ
31a 第1側壁
31b 第2側壁
32 第2クランクウェブ
33 第1シャフト
35 変速機
36 クランクピン
37 孔
38 壁
39 軸受
47 環状プレート
50 遠心フィルタ
81 第1油路
82 第2油路
82a 第1流路孔
82b 第2流路孔
6 シリンダ
7 クランクケース
16 ピストン
18 クランク軸
19 コンロッド
23 メイン軸(第1回転軸)
24 ドライブ軸(第2回転軸)
25A 変速ギア(第1ギア)
25B 変速ギア(第2ギア)
31 第1クランクウェブ
31a 第1側壁
31b 第2側壁
32 第2クランクウェブ
33 第1シャフト
35 変速機
36 クランクピン
37 孔
38 壁
39 軸受
47 環状プレート
50 遠心フィルタ
81 第1油路
82 第2油路
82a 第1流路孔
82b 第2流路孔
Claims (10)
- 孔が形成された壁を有するクランクケースと、
前記クランクケースに接続され、少なくとも一部が前記クランクケースの上方に位置するシリンダと、
第1側壁および前記第1側壁と逆側の第2側壁を含む第1クランクウェブと、前記第1クランクウェブの前記第2側壁に対向する第2クランクウェブと、前記第1クランクウェブおよび前記第2クランクウェブに接続されたクランクピンと、前記第1クランクウェブの前記第1側壁に設けられた第1シャフトと、を有し、前記クランクケースの内部に配置されたクランク軸と、
第1回転軸と、第2回転軸と、前記第1回転軸に設けられた複数の第1ギアと、前記第2回転軸に設けられ、それぞれ前記第1ギアと噛み合う複数の第2ギアと、を有し、前記クランクケースの内部に配置された変速機と、
前記クランクピンが挿入されたピン孔を有する大端部と、小端部とを有するコンロッドと、
前記シリンダの内部に配置され、前記コンロッドの前記小端部に接続されたピストンと、
前記クランクケースの前記壁の前記孔に配置され、前記第1シャフトを回転自在に支持する軸受と、
前記第1クランクウェブの前記第1側壁に固定され、一部が前記第1側壁から離間した環状プレートと、を備え、
前記第1側壁と前記環状プレートとにより、径方向の外方が閉鎖されかつ径方向の内方が開放された遠心フィルタが形成され、
前記遠心フィルタに連通し、前記遠心フィルタに潤滑油を導く第1油路と、
前記遠心フィルタと、前記コンロッドと前記クランクピンとの間の隙間とを連通する第2油路と、を備え、
前記第2油路は、前記クランクピンの内部に形成されかつ前記クランクピンの軸方向に延びる第1流路孔と、前記クランクピンの内部に形成されかつ前記クランクピンの径方向に延び、前記第1流路孔と連通する第2流路孔と、を含み、
前記変速機の前端は前記シリンダの後端よりも後方に位置し、
前記変速機は前記遠心フィルタの後方に配置され、
車両正面視において、前記変速機の一部は前記遠心フィルタと重なっている、鞍乗型車両。 - 前記第1クランクウェブの前記第1側壁は、前記第1シャフトよりも径方向の外方に位置する外縁壁と、前記外縁壁よりも径方向の内方に位置しかつ前記外縁壁から凹んだ凹壁と、を含み、
前記環状プレートは、前記凹壁の少なくとも一部から離間しており、
前記凹壁と前記環状プレートとにより、前記遠心フィルタが形成されている、請求項1に記載の鞍乗型車両。 - 前記遠心フィルタは、前記第1側壁と前記環状プレートとに仕切られたオイル貯留空間を有している、請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
- 前記環状プレートは、前記軸受から径方向の外方に離間した内周縁を有している、請求項1〜3のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
- 前記第1油路は、前記クランクケースの前記壁に形成され、少なくとも一部が前記環状プレートの前記内周縁よりも径方向の内方に位置する開口を含んでいる、請求項4に記載の鞍乗型車両。
- 前記第1シャフトの内部には、潤滑油が流れる油路が形成されていない、請求項5に記載の鞍乗型車両。
- 前記第1油路は、前記第1シャフトに形成され、前記環状プレートの前記内周縁よりも径方向の内方であって、かつ、前記クランク軸の軸方向に関して前記環状プレートと前記第1側壁との間に位置する開口を含んでいる、請求項4に記載の鞍乗型車両。
- 前記環状プレートの前記内周縁と前記軸受との間の径方向の間隔は、前記軸受の径方向の寸法よりも小さい、請求項4〜7のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
- 前記環状プレートの前記内周縁と前記軸受との間の径方向の間隔は、前記環状プレートの前記内周縁と外周縁との径方向の寸法よりも小さい、請求項4〜8のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
- 前記クランクケースは、潤滑油が流れる油路と前記油路につながりかつ前記変速機に向けて開口する吐出口とが形成された他の壁を有し、
前記吐出口は、前記クランク軸の軸方向に関して、前記変速機の一部と同一の位置に配置されている、請求項1〜9のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
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WO2019049849A1 (ja) * | 2017-09-08 | 2019-03-14 | 本田技研工業株式会社 | 内燃機関 |
CN111094719A (zh) * | 2017-09-08 | 2020-05-01 | 本田技研工业株式会社 | 内燃机 |
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