JP2017115091A - 水性樹脂組成物、その製造方法及び塗装物 - Google Patents

水性樹脂組成物、その製造方法及び塗装物 Download PDF

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Abstract

【課題】
低粘度かつ優れた貯蔵安定性を有する水性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、Fedors法による溶解性パラメーター(SP値)が10.00(cal/cm1/2以下である有機溶剤を60質量%以上含む有機溶剤(I)、α−メチルスチレンダイマー由来の構造を含む重合体(II)及び水を含む水性樹脂組成物である。また本発明は、Fedors法による溶解性パラメーター(SP値)が10.00(cal/cm1/2以下である有機溶剤を60質量%以上含む有機溶剤(I)中でα−メチルスチレンダイマーの存在下にラジカル重合性単量体を重合して重合体(II)を製造する工程を含む水性樹脂組成物の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本願発明は水性樹脂組成物、その製造方法及びその水性樹脂組成物で塗装された塗装物に関する。
近年、塗料分野においては、環境保全、安全衛生の面から、有機溶剤系塗料から水性塗料への転換が図られている。
例えば、特許文献1には、マクロモノマーとノニオン性の親水基を有する重合性不飽和単量体の共重合物を含む水性エポキシ樹脂塗料が開示されている。また、特許文献2は、特定のマクロポリオールを内包した重合体からなる自己乳化型水性樹脂組成物と硬化剤を含有する水性塗料が開示されている。
国際公開第12/033226号 国際公開第13/157479号
しかし、特許文献1及び2に記載されている水性樹脂組成物の貯蔵安定性が不十分であった。また、その水性樹脂組成物は粘度が高く、その使用方法や用途に制限が生じることがあった。
本発明の目的は、低粘度かつ優れた貯蔵安定性を有している水性樹脂組成物、及びその製造方法、並びにそのような水性樹脂組成物で塗装された塗装物を提供することにある。
本発明は、Fedors法による溶解性パラメーターSP値が10.00(cal/cm1/2以下である有機溶剤を60質量%以上含む有機溶剤(I)、α−メチルスチレンダイマー由来の構造を含む重合体(II)及び水を含む水性樹脂組成物である。
また本発明は、Fedors法による溶解性パラメーターSP値が10.00(cal/cm1/2以下である有機溶剤を60質量%以上含む有機溶剤(I)中でα−メチルスチレンダイマーの存在下にラジカル重合性単量体を重合して重合体(II)を製造する工程を含む水性樹脂組成物の製造方法である。
本発明の水性樹脂組成物(以下、本組成物という。)は低粘度かつ優れた貯蔵安定性を有している。また、本発明に水性樹脂組成物の製造方法によれば、低粘度かつ優れた貯蔵安定性を有する水性樹脂組成物を製造できる。
[有機溶剤]
本組成物の成分である有機溶剤(I)は、Fedors法による溶解性パラメーターSP値が10.00(cal/cm1/2以下である有機溶剤を60質量%以上含む。
SP値が10.00(cal/cm1/2以下である有機溶剤を60質量%以上含むことで、本組成物の貯蔵安定性が良好になる。SP値10.00(cal/cm1/2以下の有機溶剤のSP値は、9.50(cal/cm1/2以下が好ましく、9.00(cal/cm1/2以下がより好ましく、8.50(cal/cm1/2以下が特に好ましい。また、全ての有機溶剤に占めるSP値が10.00(cal/cm1/2以下の有機溶剤の含有割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。なお、溶解性パラメーターSP値は、Fedors法(Robert F.Fedors、Polymer Engineering and Science、14、147-154(1974))により算出される値で、下記式(1)を用いて算出することができる。
δ=(E/V)1/2 (1)
式(1)中、δはSP値、Eは凝集エネルギー(cal/mol)、Vはモル体積(cm/mol)を表す。
さらに、有機溶剤(I)は、20℃における水への溶解度が1g/100g以上である有機溶剤を60質量%以上含むことが、得られる水性樹脂組成物の粘度を低く抑えることができるので好ましい。20℃における水への溶解度が1g/100g以上である有機溶剤の水への溶解度は、3g/100g以上であることが好ましく、9g/100g以上であることがより好ましい。また、1g/100g以上である有機溶剤の含有割合は、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
SP値が10.00(cal/cm1/2以下の有機溶剤として好ましい化合物としては、例えば、プロピレングリコールジメチルエーテル(SP値:7.53、20℃における水への溶解度:44g/100g)、エチレングリコールジメチルエーテル(SP値:7.63、20℃における水への溶解度:∞/100g)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値:7.88、20℃における水への溶解度:53g/100g)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値8.07、20℃における水への溶解度:24g/100g)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(SP値:8.10、20℃における水への溶解度:∞/100g)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(SP値:8.18、20℃における水への溶解度:∞/100g)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(SP値:8.37、20℃における水への溶解度:∞/100g)等のエーテル系溶剤;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:8.71、20℃における水への溶解度:19g/100g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:8.73、20℃における水への溶解度:1.6g/100g)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値:9.00、20℃における水への溶解度:∞g/100g)、プロピレングリコールジアセテート(SP値:9.60、20℃における水への溶解度:8g/100g)等のアセテート系溶剤等が挙げられる。SP値が10.00(cal/cm1/2以下の有機溶剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本組成物中の有機溶剤(I)の含有量は、貯蔵安定性や環境保全、安全衛生の観点から、重合体(II)100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、5〜35質量部がより好ましい。
[重合体(II)]
本組成物の成分である重合体(II)は、ラジカル重合性単量体を重合してなる重合体で、α−メチルスチレンダイマー由来の構造を含む。
α−メチルスチレンダイマー
α−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン;以下、「MSD」と言う場合がある。)は付加開裂型連鎖移動剤として知られている(特開平7−2954号公報)。MSDの存在下にラジカル重合性単量体を重合すると末端にMSD由来の不飽和基を有する重合体が得られる。この重合体の存在下にラジカル重合性単量体を重合すると、この単量体から成るポリマー鎖がグラフト化された重合体を得ることができる。このようにして得られた重合体はMSD由来の構造を含むので重合体(II)として用いることができる。
ラジカル重合性単量体
重合体(II)は、後述する硬化剤と反応させる目的と、本組成物の貯蔵安定性の観点から、水酸基を有していることが好ましい。水酸基は水酸基含有ラジカル重合性単量体(a)を共重合して導入することができる。水酸基含有ラジカル重合性単量体(a)の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−メチル−4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−メチル−4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、アリルグリコール、等が挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
水酸基含有ラジカル重合性単量体(a)の使用量は、重合体(II)の原料となる単量体の総量に対して5〜50質量%が好ましい。5質量%以上であれば、得られる水性樹脂組成物は貯蔵安定性に優れ、50質量%以下であれば、得られる塗膜は耐水性や耐湿性に優れる。より好ましくは、7〜45質量%であり、最も好ましくは10〜40質量%である。
さらに、貯蔵安定性の観点からカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(b)を共重合することが好ましい。カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(b)の具体例としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ブチルエステルなどが挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体(b)の使用量は、重合体(II)の原料となる単量体の総量に対して0.5〜5質量%が好ましい。0.5質量%以上であれば、得られる水性樹脂組成物は貯蔵安定性に優れ、5質量%以下であれば、得られる塗膜は耐水性や耐湿性に優れる。より好ましくは、0.5〜3質量%である。
重合体(II)の原料となりうる前記単量体(a)及び(b)以外のラジカル重合性単量体(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類;N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ置換アミド類;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和塩基性単量体類等が挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。また、得られる水性樹脂組成物の貯蔵安定性の観点から、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体類を含むことが好ましい。エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体類の使用量は、重合体(II)の原料となる単量体の総量に対して0.01〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
重合工程
本願発明の重合体(II)は、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等の既知の重合法により製造することができるが、なかでも溶剤として有機溶剤(I)を用いた溶液重合法で製造することが好ましい。
また、重合体(II)の重合工程には、以下に示す工程(1)と工程(2)を含むことが好ましい。
<工程(1)>
有機溶剤(I)中でラジカル重合性単量体(A)を重合して得られる重合体(P)を含む分散液を得る工程。
<工程(2)>
前記重合体(P)を含む分散液中でラジカル重合性単量体(B)を重合して重合体(Q)を含む分散液を得る工程。
工程(1)の重合は、MSDの存在下で行うことが好ましい。MSDの存在により末端にMSD由来の不飽和基を有する重合体(P)が得られる。この重合体(P)を用いて工程(2)の重合を行うと、重合体(P)に重合体(Q)をグラフト化した重合体(II)が得られるので、水性樹脂組成物の貯蔵安定性を一層向上させることができる。
さらに、水性樹脂組成物の貯蔵安定性の観点から、ラジカル重合性単量体(A)は、水酸基含有ラジカル重合性単量体(a)とエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体類を含み、ラジカル重合性単量体(B)は、カルボキシル基含有ラジカル単量体(b)を含むことが好ましい。このようにすることで重合体(P)にはエポキシ基が、重合体(Q)にはカルボキシル基が導入されるので、このエポキシ基とカルボキシル基との反応により、重合体(P)に重合体(Q)をグラフト化した重合体(II)が得られるので、水性樹脂組成物の貯蔵安定性を一層向上させることができる。
工程(1)においてMSDの存在下に重合させる際の反応温度は、MSDの反応効率等の観点から、110℃〜200℃の範囲で重合を行うのが好ましい。また、重合時間は通常1時間〜10時間が好ましく、さらに好ましくは1時間〜6時間である。
重量平均分子量
重合体(II)は重量平均分子量が3000〜10万であることが好ましく、3000〜5万がより好ましく、5000〜2万がさらに好ましい。重量平均分子量は大きいほど得られる塗膜は耐水性、耐湿性、耐候性、耐溶剤性などの各種耐久性に優れ、小さいほど水への分散性に優れ、得られる塗膜は高い光沢を有する。
なお、本明細書において、重合体(II)の重量平均分子量はテトラヒドロフラン可溶成分をGPC法によるポリスチレン換算値として以下の条件で測定された重量平均分子量を意味する。
測定装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−8320
カラム:東ソー(株)製、TSKgelSuperHZM−M、HZM−M、HZ2000
オーブン温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.3重量%
流速:0.35mL/分
注入量:10μL
開始剤
開始剤としては、一般的にラジカル重合に用いられるものが使用可能であり、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)およびその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}およびその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)およびその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]およびその塩類等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類が挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
その他の連鎖移動剤
分子量を調整する場合には、分子量調整剤として、MSD以外のn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物などの公知の連鎖移動剤も用いることができ、これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
[水分散工程]
溶液重合等で得られた有機溶剤(I)と重合体(II)を含む重合体溶液から本発明の水性樹脂組成物を得る方法としては、重合体(II)に含まれるカルボキシル基の全てもしくはその一部を塩基性化合物で中和した後に水を添加して水中に分散するか、または、水に中和した重合体溶液を添加し水中に分散することが好ましい。また、塩基性化合物を含む水に重合体溶液を添加して分散させることも可能である。
重合体(II)のカルボキシル基の中和に用いる塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
塩基性化合物の使用量は、中和度、即ち、塩基性化合物のカルボキシル基に対するモル比が40〜150%、好ましくは60〜120%、より好ましくは80〜110%となるようにする。
また、水分散時の温度は、得られる水性樹脂組成物の貯蔵安定性の観点から、90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
[その他の配合剤]
重合体(II)が水酸基を有する場合、本組成物には水酸基と架橋性を有する架橋剤を配合してもよい。架橋剤の配合によって、耐水性、耐湿性、耐候性、耐溶剤性などの各種耐久性に優れた塗膜を得ることができる。架橋剤としてはメラミン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系等の化合物が挙げられる。安定性等の観点から、メラミン系、イソシアネート系架橋剤が好ましい。また、架橋剤の使用量は、重合体(II)に含まれる水酸基1当量に対して、イソシアネートなどの架橋性化合物当量が0.3〜2当量となるような範囲内で用いるのが好ましい。より好ましくは0.5〜1.1当量である。
さらに、コーティング材料として優れた性能を発現させる点から、本組成物には各種顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、造膜助剤等の各種添加剤を配合してもよい。
さらに、本組成物には、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂等の他の水分散性樹脂や水溶性樹脂が配合してもよい。
[塗装物]
本発明の水性樹脂組成物は水性被覆材として好適であり、各種の基材に塗装して塗装物とすることができる。基材としては、例えば、鉄、アルミニウム等の金属基材、各種プラスチックなどの有機基材、ガラスやセメントモルタルなどの無機基板などを挙げることができる。
本組成物を各種基体の表面に塗布する方法としては、例えば、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法等の各種塗装法を適宜選択することができる。
塗布後は、常温乾燥、または常温以上200℃以下で加熱乾燥することで塗膜を得ることができる。
以下に本発明の実施例を示す。なお、本実施例における「部」は「質量部」を意味する。
[実施例1]
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置および滴下ポンプを備えたフラスコに下記の有機溶剤を仕込み、フラスコの内温を120℃に昇温した後に単量体、開始剤及び連鎖移動剤を含む下記の第1混合物を3時間かけて滴下した。滴下中は内温を120℃に維持した。
有機溶剤:
DMFDG(ジプロピレングリコールジメチルエーテル) 25.0部
第1混合物:
単量体(a):
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.8部
単量体(c):
スチレン 6.0部
メチルメタクリレート 17.0部
n−ブチルメタクリレート 46.2部
開始剤:
2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 2.0部
連鎖移動剤:
α−メチルスチレンダイマー 4.0部
滴下終了後、内温を130℃に昇温した後に単量体及び開始剤を含む下記の第2混合物を1.5時間かけて滴下した。滴下中は内温を130℃に維持した。
第2混合物:
単量体(a):
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 6.2部
単量体(b):
アクリル酸 2.0部
メタクリル酸 0.5部
単量体(c):
n−ブチルメタクリレート 6.3部
開始剤:
パーブチルO(商品名、日本油脂(株)製) 1.5部
次いで、内温を80℃まで冷却し、ジメチルエタノールアミン3.2部を0.25時間かけて滴下し、引き続いて純水94部を0.5時間かけて滴下した。室温まで冷却し、水性樹脂組成物を得た。固形分は45.0%であった。得られた水性樹脂組成物を用いて次の方法で粘度と貯蔵安定性を評価した。その結果を表1に示す。
[評価方法]
(1)初期粘度
水性樹脂組成物をガラス瓶に封入し、25℃の雰囲気下での粘度(B型粘度、60rpm)を測定し、以下の基準に従って評価した。
「○」:1000mPa・s未満
「△」:1000mPa・s以上、5000mPa・s未満
「×」:5000mPa・s以上
(2)貯蔵安定性
水性樹脂組成物をガラス瓶に封入し、40℃の雰囲気下で所定の期間貯蔵した後、初期粘度と同じ方法で粘度を測定した。貯蔵後粘度/貯蔵前粘度×100で算出した粘度変化率と外観により、以下の基準に従って評価した。
「◎」:3ヶ月貯蔵後の粘度変化率が80%〜120%
「○」:「◎」に該当せず、1ヶ月貯蔵後の粘度変化率が80%〜120%
「△」:「◎」および「○」に該当せず、2週間貯蔵後の粘度変化率が80%〜120%
「×」:「◎」、「○」および「△」のいずれにも該当しない、もしくは、2週間貯蔵後に分離などの外観異常が見られる。
[実施例2〜6、比較例1〜4]
有機溶剤、第1単量体混合物を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして水性樹脂組成物を得て、評価を行った。その結果を表1に示す。
表1中の略号は、以下の化合物を示す。また、表1中の単位は、評価結果以外は全て質量部である。
DMFDG :ジプロピレングリコールジメチルエーテル
DMDG :ジエチレングリコールジメチルエーテル
DEDG :ジエチレングリコールジエチルエーテル
DMTG :トリエチレングリコールジメチルエーテル
PMA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
BDG :ジエチレングリコールモノブチルエーテル
ブチセロ :エチレングリコールモノブチルエーテル
2−HEMA :2−ヒドロキシエチルメタクリレート
St :スチレン
MMA :メチルメタクリレート
n−BMA :n−ブチルメタクリレート
AA :アクリル酸
MAA :メタクリル酸
AMBN :2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
αMSD :α−メチルスチレンダイマー
実施例1〜6の水性樹脂組成物はいずれも粘度が低く、貯蔵安定性も良好であり、水性被覆材に適したものであった。一方、比較例1の水性樹脂組成物は、重合体(II)がMSD由来の構造を含まないため、貯蔵安定性が不足していた。比較例2〜4の水性樹脂組成物は、有機溶剤(I)が、Fedors法による溶解性パラメーター(SP値)が10.00(cal/cm1/2以下である有機溶剤を60質量%以上含まないため、貯蔵安定性が不足していた。

Claims (8)

  1. Fedors法による溶解性パラメーターSP値が10.00(cal/cm1/2以下である有機溶剤を60質量%以上含む有機溶剤(I)、α−メチルスチレンダイマー由来の構造を含む重合体(II)及び水を含む水性樹脂組成物。
  2. Fedors法による溶解性パラメーターSP値が10.00(cal/cm1/2以下である有機溶剤を60質量%以上含む有機溶剤(I)中でα−メチルスチレンダイマーの存在下にラジカル重合性単量体を重合して重合体(II)を製造する工程を含む水性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記重合体(II)を製造する工程が、次の工程(1)及び工程(2)を含む請求項2に記載の水性樹脂組成物の製造方法。
    ・工程(1):前記有機溶剤(I)中でラジカル重合性単量体(A)を重合して重合体(P)を含む分散液を得る工程。
    ・工程(2):前記重合体(P)を含む分散液中でラジカル重合性単量体(B)を重合して重合体(Q)を含む分散液を得る工程。
  4. 前記工程(1)におけるラジカル重合性単量体(A)の重合をα−メチルスチレンダイマーの存在下に行う請求項3に記載の水性樹脂組成物の製造方法。
  5. さらに硬化剤を含む請求項1に記載の水性樹脂組成物。
  6. 有機溶剤(I)と重合体(II)を含む重合体溶液に硬化剤を配合する工程をさらに含む請求項2〜4のいずれか一項に記載の水性樹脂組成物の製造方法。
  7. 基材の少なくとも一部の表面を請求項5に記載の水性樹脂組成物で塗装してなる塗装物。
  8. 基材の少なくとも一部の表面を請求項6に記載の方法で製造した水性樹脂組成物で塗装する塗装物の製造方法。
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