JP2017114943A - ダブル及びシングルアンカー型イソマルトメガロ糖、その製造方法及びその利用 - Google Patents

ダブル及びシングルアンカー型イソマルトメガロ糖、その製造方法及びその利用 Download PDF

Info

Publication number
JP2017114943A
JP2017114943A JP2015248676A JP2015248676A JP2017114943A JP 2017114943 A JP2017114943 A JP 2017114943A JP 2015248676 A JP2015248676 A JP 2015248676A JP 2015248676 A JP2015248676 A JP 2015248676A JP 2017114943 A JP2017114943 A JP 2017114943A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sims
glucopyranose
mixture
dims
anchor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015248676A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6655246B2 (ja
Inventor
淳夫 木村
Atsuo Kimura
淳夫 木村
原 博
Hiroshi Hara
博 原
ビーラヌッチ ラング
Lang Weeranuch
ビーラヌッチ ラング
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokkaido University NUC
Original Assignee
Hokkaido University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokkaido University NUC filed Critical Hokkaido University NUC
Priority to JP2015248676A priority Critical patent/JP6655246B2/ja
Priority to PCT/JP2016/086678 priority patent/WO2017110517A1/ja
Publication of JP2017114943A publication Critical patent/JP2017114943A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6655246B2 publication Critical patent/JP6655246B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L29/00Foods or foodstuffs containing additives; Preparation or treatment thereof
    • A23L29/30Foods or foodstuffs containing additives; Preparation or treatment thereof containing carbohydrate syrups; containing sugars; containing sugar alcohols, e.g. xylitol; containing starch hydrolysates, e.g. dextrin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08BPOLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
    • C08B37/00Preparation of polysaccharides not provided for in groups C08B1/00 - C08B35/00; Derivatives thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/04Polysaccharides, i.e. compounds containing more than five saccharide radicals attached to each other by glycosidic bonds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/18Preparation of compounds containing saccharide radicals produced by the action of a glycosyl transferase, e.g. alpha-, beta- or gamma-cyclodextrins

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)

Abstract

【課題】水難溶性化合物の分子サイズに対する制限がなく、かつ水難溶性化合物と形成された複合体からの水難溶性化合物の解離が容易である、新たな可溶化能力を有する材料を提供する。【解決手段】イソマルトメガロ糖鎖の両末端にアンカー糖鎖をそれぞれ有するダブルアンカー型イソマルトメガロ糖(DIMS)、及びイソマルトメガロ糖鎖の非還元末端にアンカー糖鎖を有するシングルアンカー型イソマルトメガロ糖(N−SIMS)。イソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノース重合度が10〜100の範囲である。還元末端側のアンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースからなり、グルコピラノース重合度が2〜20の範囲である(DIMS)。非還元末端側のアンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースであり、かつグルコピラノースの重合度が1〜50の範囲(DIMS)及び1〜100の範囲(N−SIMS)である。【選択図】なし

Description

本発明は、ダブルアンカー型イソマルトメガロ糖(以下、DIMSと称する)、その製造方法及びその利用に関する。さらに本発明は、イソマルトメガロ糖鎖の非還元末端にアンカー糖鎖を有するシングルアンカー型イソマルトメガロ糖(以下、N−SIMSと称する)、その製造方法及びその利用に関する。
低分子マルトオリゴ糖には難水溶性化合物の水への可溶化能はなく、また、鎖長の比較的長いマルトオリゴ糖には可溶化作用はあるが、非常に弱い。難水溶性化合物の可溶化に関する従来の技術として、「シクロデキストリン(環状オリゴ糖;マルトオリゴ糖が環状化した糖質でグルコース・サイズが6〜8が代表例)」がある。但し、シクロデキストリン自体が難溶性で、また包接作用がサイズに依存するため、適用できるBCSクラス2化合物は限定され、さらに鎖長の異なるα、β、γ−シクロデキストリンを使い分ける必要性がある。
直鎖のマルトオリゴ糖には、フラボノイドやイブプロフェンに対する可溶化能はほとんどない。また、環状マルトオリゴ糖の一種であるシクロデキストリンには、これら化合物に対する可溶化能はあるが、次に示す2つの課題がある。
(1)水難溶性化合物の分子サイズが限定的である。シクロデキストリンはその環状構造で水難溶性化合物を捉える(包接)。一方、環サイズは決まっているため、分子サイズが合致しない水難溶性化合物とは複合体を形成できない。(分子量が過大や過小な化合物とは複合体形成しない。)
(2)複合体の解離が困難である。難溶性化合物を包接した複合体は安定で、また消化酵素であるα-アミラーゼによる加水分解を受けにくい。そのため、腸内では対象化合物(フラボノイドなどのBCSクラス2化合物)は放出されにくく、生体利用性がかえって悪くなる場合がある。
シングルアンカーイソマルトメガロ糖を用いた可溶化技術が知られている(非特許文献1及び2)。鎖長の比較的長いマルトオリゴ糖には可溶化作用がある。しかし、非常に弱いものである。
Shinoki A, Lang W, Thawornkuno C, Kang HK, Kumagai Y, Okuyama M, Mori H, Kimura A, Ishizuka S, Hara H: A novel mechanism for promotion of quercetin glycoside absorption by megalo α-1,6-glucosaccharide in the rat small intestine. Food Chemistry 136(2):293-296, 2013. Lang W, Kumagai Y, Sadahiro J, Maneesan J, Okuyama M, Mori H, Sakairi N, Kimura A: Different molecular complexity of linear isomaltomegalosaccharides and β-cyclodextrin for enhancing a solubility of azo ethyl red: towards the dye biodegradation. Bioresource Technology 169:518-524, 2014.
鎖長の比較的長いイソマルトオリゴ糖には共存する物質を水に対して可溶化する作用があり、非特許文献1及び2に記載されているようにイソマルトメガロ糖鎖の非還元末端にアンカー糖鎖を付加したシングルアンカーイソマルトメガロ糖(R−SIMS)を用いた可溶化の提案がなされている。しかし、このシングルアンカーイソマルトメガロ糖は、いくつかの難水溶性化合物については可溶化能を示さず、その可溶化能は総じて非常に弱いものである。
本発明は、シクロデキストリンのように、水難溶性化合物の分子サイズに対する制限がなく、かつ水難溶性化合物と形成された複合体からの水難溶性化合物の解離が容易である、新たな可溶化能力を有する材料を提供することを目的とする。さらに、本発明は、この可溶化能力を有する材料を用いた、水難溶性化合物の溶解促進剤及び水難溶性化合物の水溶液の調製方法、及び可溶化能力を有する材料を用いた、水難溶性化合物を含む水溶液含有組成物を提供することも目的とする。
本発明は以下のとおりである。
[1]
イソマルトメガロ糖鎖の両末端にアンカー糖鎖をそれぞれ有するダブルアンカー型イソマルトメガロ糖(以下、DIMSと称する)であって、
前記イソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲であり、
前記イソマルトメガロ糖鎖の還元末端側の前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が2〜20の範囲であり、
前記イソマルトメガロ糖鎖の非還元末端側の前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースであり、かつグルコピラノースの重合度が1〜50の範囲である、DIMS。
[2]
前記イソマルトメガロ糖鎖及び2つのアンカー糖鎖のグルコピラノースの重合度の合計は、13〜170の範囲である[1]に記載のDIMS。
[3]
[1]〜[2]のいずれか1項に記載の少なくとも2種のDIMSの混合物であって、平均重合度が13〜170の範囲である、前記混合物。
[4]
イソマルトメガロ糖鎖の非還元末端にアンカー糖鎖を有するシングルアンカー型イソマルトメガロ糖(以下、N−SIMSと称する)であって、
前記イソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲であり、かつ
前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースであり、かつグルコピラノースの重合度が1〜100の範囲である、N−SIMS。
[5]
前記イソマルトメガロ糖鎖及びアンカー糖鎖のグルコピラノースの重合度の合計は、11〜200の範囲である[4]に記載のN−SIMS。
[6]
[4]〜[5]のいずれか1項に記載の少なくとも2種のN−SIMSの混合物であって、平均重合度が11〜200の範囲である、前記混合物。
[7]
[1]〜[2]のいずれか1項に記載の少なくとも1種のDIMS及び[4]〜[5]のいずれか1項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物であって、平均重合度が11〜200の範囲である、前記混合物。
[8]
[1]〜[3]のいずれか1項に記載のDIMS又はその混合物の製造方法であって、
イソマルトメガロ糖鎖の還元末端にアンカー糖鎖を有するシングルアンカー型イソマルトメガロ糖(以下、R−SIMSと称する)と、糖供与体基質とを、糖質の転移活性を示す酵素による糖転移反応に供して、DIMS又はその混合物を得る、
但し、前記R−SIMSのイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲であり、
前記R−SIMSの前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が2〜20の範囲である、
ことを含む方法。
[9]
[4]〜[6]のいずれか1項に記載のN−SIMS又はその混合物の製造方法であって、
イソマルトメガロ糖(以下、IMSと称する)と糖供与体基質とを、糖質の転移活性を示す酵素による糖転移反応に供して、N−SIMS又はその混合物を得る、
但し、前記IMSのイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲である、
ことを含む方法。
[10]
[1]〜[3]のいずれか1項に記載の少なくとも1種のDIMS及び[4]〜[6]のいずれか1項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物の製造方法であって、R−SIMS及びIMSと、糖供与体基質とを、糖質の転移活性を示す酵素による糖転移反応に供して、DIMS及びN−SIMSの混合物を得る、
但し、前記R−SIMSのイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲であり、
前記R−SIMSの前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が2〜20の範囲であり、
前記IMSのイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲である、
ことを含む方法。
[11]
前記糖供与体基質がシクロデキストリンであり、かつ前記糖質の転移活性を示す酵素が、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTaseと略称)である[8]〜[10]のいずれか1項に記載の方法。
[12]
前記シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリンから成る群から選ばれる1種または2種以上である、[11]に記載の製造方法。
[13]
前記供与体基質がオリゴ糖及び多糖から成る群から選ばれる少なくとも1種であり、
かつ前記糖質の転移活性を示す酵素が、α−グルコシダーゼ、D−酵素(不均一化酵素)、アミラーゼ及びアミロスクラーゼから成る群から選ばれる少なくとも1種の酵素及びCGTaseである[8]〜[10]のいずれか1項に記載の方法。
[14]
水難溶性化合物の水溶液を製造する方法であって、
水難溶性化合物と(i)[1]〜[3]のいずれか一項に記載のDIMS若しくはその混合物、(ii)[4]〜[6]のいずれか一項に記載のN−SIMS若しくはその混合物、又は(iii)[1]〜[3]のいずれか一項に記載の少なくとも1種のDIMS及び[4]〜[6]のいずれか一項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物とを水又は水を含有する溶媒中で混合することを含む、前記方法。
[15]
前記水を含有する溶媒は、水及び少なくとも1種の有機溶媒から成る溶媒であり、前記有機溶媒は可食性有機溶媒である、[14]に記載の製造方法。
[16]
水難溶性化合物を、この化合物の融点以上に加熱すること、及び加熱溶解した水難溶性化合物を、(i)DIMS若しくはその混合物、(ii)N−SIMS若しくはその混合物、又は(iii)少なくとも1種のDIMS及び少なくとも1種のN−SIMSの混合物を含有する溶媒と混合すること、を含む[14]又は[15]に記載の製造方法。
[17]
水難溶性化合物が、BCSクラス2に分類される化合物である、[14]〜[16]のいずれか一項に記載の製造方法。
[18]
水難溶性化合物、及び(i)[1]〜[3]のいずれか一項に記載のDIMS若しくはその混合物、(ii)[4]〜[6]のいずれか一項に記載のN−SIMS若しくはその混合物、又は(iii)[1]〜[3]のいずれか一項に記載の少なくとも1種のDIMS及び[4]〜[6]のいずれか一項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物を含む組成物。
[19]
可食性有機溶媒をさらに含む[18]に記載の組成物。
[20]
水難溶性化合物が薬効成分であり、前記組成物は有効量の前記水難溶性化合物を含有する医薬用組成物である[18]又は[19]に記載の組成物。
[21]
水難溶性化合物が飲食品用成分であり、前記組成物は飲食品用組成物又は飲食品用原料組成物である[18]又は[19]に記載の組成物。
[22]
[1]〜[3]のいずれか一項に記載のDIMS若しくはその混合物、又は[4]〜[6]のいずれか一項に記載のN−SIMS若しくはその混合物、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の少なくとも1種のDIMS及び[4]〜[6]のいずれか一項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物を含有する、水難溶性化合物を水溶液化するための溶解促進剤。
[23]
水難溶性化合物が、BCSクラス2に分類される化合物である、[22]に記載の溶解促進剤。
本発明によれば、ダブルアンカー型イソマルトメガロ糖(DIMS)による難溶性化合物の可溶化技術を提供することができる。この可溶化技術は、包接作用によるものではなく、α-1,6鎖による比較的緩い相互作用によるものである(若干のα-1,4鎖の寄与もある)と考えられる。また複合体形成を安定化しているアンカー構造は、比較的容易にα-アミラーゼにより分解・短鎖長化され、腸内で対象物質をより放出しやすくする性質を持っている。さらに本発明は、イソマルトメガロ糖鎖の還元末端にアンカー糖鎖を有するシングルアンカー型イソマルトメガロ糖(R−SIMS)による難溶性化合物の可溶化技術も提供することができる。
長鎖シングルアンカーを還元末端に有するR−SIMSのアノメリック プロトンのNMRシグナルを示す。 短鎖シングルアンカーを還元末端に有するR−SIMSのアノメリック プロトンのNMRシグナルを示す。 DIMS(合計平均重合度26)のアノメリック プロトンのNMRシグナルを示す。 DIMS(合計平均重合度62)のアノメリック プロトンのNMRシグナルを示す。 実施例2で得られた4種類のN-SIMSのNMRシグナルを示す。 実施例2で得られた4種類のN-SIMSのNMRシグナルを示す。 実施例2で得られた4種類のN-SIMSのNMRシグナルを示す。 実施例2で得られた4種類のN-SIMSのNMRシグナルを示す。 DIMSによるフラボノイド可溶化結果を示す。(より強く可溶化されるフラボノイド類) (Control: MQ水、Single+: 20 mM R-SIMS (DP=12)、Single-: 20 mM R-SIMS (DP=14)、Double: 20 mM SIMS (DP=17.6)) DIMSによるフラボノイド可溶化結果を示す。(より強く可溶化されるフラボノイド類) (Control: MQ水、Single+: 20 mM R-SIMS (DP=12)、Single-: 20 mM R-SIMS (DP=14)、Double: 20 mM SIMS (DP=17.6)) DIMSによるフラボノイド可溶化結果を示す。(より強く可溶化されるフラボノイド類) (Control: MQ水、Single+: 20 mM R-SIMS (DP=12)、Single-: 20 mM R-SIMS (DP=14)、Double: 20 mM SIMS (DP=17.6)) DIMSによるフラボノイド可溶化結果を示す。(より強く可溶化されるフラボノイド類) (Control: MQ水、Single+: 20 mM R-SIMS (DP=12)、Single-: 20 mM R-SIMS (DP=14)、Double: 20 mM SIMS (DP=17.6)) DIMSによるフラボノイド可溶化結果を示す。(より強く可溶化されるフラボノイド類) (Control: MQ水、Single+: 20 mM R-SIMS (DP=12)、Single-: 20 mM R-SIMS (DP=14)、Double: 20 mM SIMS (DP=17.6)) DIMSによるフラボノイド可溶化結果を示す。(より強く可溶化されるフラボノイド類) (Control: MQ水、Single+: 20 mM R-SIMS (DP=12)、Single-: 20 mM R-SIMS (DP=14)、Double: 20 mM SIMS (DP=17.6)) DIMSによるフラボノイド可溶化結果を示す。(ダブルアンカー型のみで可溶化されるフラボノイド類)(Control: MQ水、Single+: R-SIMS (DP=12)、Single-: 20 mM R-SIMS (DP=14)、Double: 20 mM SIMS (DP=17.6)) DIMSによるフラボノイド可溶化結果を示す。(ダブルアンカー型のみで可溶化されるフラボノイド類)(Control: MQ水、Single+: R-SIMS (DP=12)、Single-: 20 mM R-SIMS (DP=14)、Double: 20 mM SIMS (DP=17.6)) DIMS等各種メガロ糖(5.0 mM)によるイブプロフェンの相対溶解度を示す。 4種類のN-SIMS(1〜10 mM)によるイブプロフェンの相対溶解度(水を対照)を示す。黄四角, N-SIMS(25-7); 黒丸, N-SIMS(24-19); 赤三角, N-SIMS(24-32); 白逆三角, N-SIMS(22-53)。N-SIMSの構造をN-SIMS(X-Y)で表示したが、Xはイソマルトメガロ糖鎖の平均重合度を、Yは非還元末端アンカー糖鎖の平均重合度を表す。
<ダブルアンカー型イソマルトメガロ糖(DIMS)>
本発明は、イソマルトメガロ糖鎖の両末端にアンカー糖鎖をそれぞれ有するDIMSに関する。このDIMSにおける前記イソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲である。このグルコピラノースの重合度の下限は、例えば、10、15、20、25、30、35、40、45又は50であることができる。このグルコピラノースの重合度の上限は、例えば、100、95、90、85、80、75、70、65、60又は55であることができる。
DIMSにおける前記イソマルトメガロ糖鎖の還元末端側の前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が2〜20の範囲である。このグルコピラノースの重合度の下限は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であることができる。このグルコピラノースの重合度の上限は、例えば、20、19、18、17、16、15、14、13、12又は11であることができる。
DIMSにおける前記イソマルトメガロ糖鎖の非還元末端側の前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースであり、かつグルコピラノースの重合度が1〜50の範囲である。このグルコピラノースの重合度の下限は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20又は25であることができる。このグルコピラノースの重合度の上限は、例えば、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、35、又は30であることができる。
本発明のDIMSにおけるイソマルトメガロ糖鎖及び2つのアンカー糖鎖のグルコピラノースの重合度の合計は、13〜170の範囲であることができる。この重合度の合計の下限は、例えば、13、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、又は70であることができる。この重合度の合計の上限は、例えば、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、又は75であることができる。
本発明のDIMSは、1種類の化合物であることもできるが、2種以上のDIMSの混合物であることもできる。混合物に含まれるDIMSは、イソマルトメガロ糖鎖及び2つのアンカー糖鎖のいずれか1つ又は2つが共通で,残りの糖鎖が異なる場合と、イソマルトメガロ糖鎖及び2つのアンカー糖鎖の全てが異なる場合があり得る。
DIMSが2種以上のDIMSの混合物である場合、混合物の平均重合度は、例えば、13〜170の範囲であることができる。
この混合物の平均重合度の下限は、例えば、13、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65又は70であることができる。この混合物の平均重合度の上限は、例えば、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、又は75であることができる。
<シングルアンカー型イソマルトメガロ糖(N−SIMS)>
本発明は、イソマルトメガロ糖鎖の非還元末端にアンカー糖鎖を有するN−SIMSも包含する。N−SIMSの前記イソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲である。このα1−6結合で連結したグルコピラノースの重合度は、DIMSの場合と同様であることができる。前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースであり、かつグルコピラノースの重合度が1〜100の範囲である。α1−4結合で連結したグルコピラノースの重合度下限は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20又は25であることができる。このグルコピラノースの重合度の上限は、例えば、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、又は30であることができる。N−SIMSの前記イソマルトメガロ糖鎖及びアンカー糖鎖のグルコピラノースの重合度の合計は、例えば、11〜200の範囲であることができる。
本発明のN−SIMSは、1種類の化合物であることもできるが、2種以上のN−SIMSの混合物であることもできる。混合物に含まれるN−SIMSイソマルトメガロ糖鎖及びアンカー糖鎖のいずれか一方の糖鎖が異なる場合と、イソマルトメガロ糖鎖及びアンカー糖鎖の両方が異なる場合があり得る。
N−SIMSが2種以上のN−SIMSの混合物である場合、N−SIMSの混合物の平均重合度は、例えば、11〜200の範囲であることができる。
<DIMSとN−SIMSの混合物>
本発明は、DIMSとN−SIMSの混合物も包含する。DIMS及びN−SIMSは、それぞれ単独の化合物であっても、それぞれ混合物であっても良い。DIMSとN−SIMSの混合物の平均重合度は、例えば、11〜200の範囲であることができる。
<製造方法>
本発明は、上記本発明のDIMS又はその混合物の製造方法を包含する。この製造方法は、イソマルトメガロ糖鎖の還元末端にアンカー糖鎖を有するR−SIMSと、糖供与体基質とを、糖質の転移活性を示す酵素(糖質転移酵素)による糖転移反応に供して、R−SIMSの非還元末端にアンカー糖鎖を付加したDIMS又はその混合物を得る、ことを含む。
さらに本発明は、上記本発明のN−SIMS又はその混合物の製造方法を包含する。この製造方法は、イソマルトメガロ糖(IMS)と糖供与体基質とを、糖質転移酵素による糖転移反応に供して、IMSの非還元末端にアンカー糖鎖を付加したN−SIMS又はその混合物を得る、ことを含む。
さらに本発明は、上記本発明のDIMS及びN−SIMSの混合物の製造方法であって、R−SIMS及びIMSと、糖供与体基質とを、糖質の転移活性を示す酵素による糖転移反応に供して、DIMS及びN−SIMSの混合物を得る、ことを含む。
以下にDIMS及びN−SIMSの製造方法を例に、反応スキームで示す。
黒丸はα1-6結合で連結するグルコピラノース残基を示す。
白丸はα1-4結合で連結するグルコピラノース残基を示す。
斜線を付した白丸及び黒丸は還元末端のグルコピラノース残基を示す。
生産はCGTaseなどの糖転移活性を有する酵素によってなされる。
DIMS又はその混合物の製造方法における一方の原料は、R−SIMSである。前記のR−SIMSを構成するイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲である。R−SIMSを構成するイソマルトメガロ糖鎖の還元末端側のアンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が2〜20の範囲である。これらイソマルトメガロ糖鎖及びアンカー糖鎖は、DIMSにおいて説明したものと同義である。原料として用いるR−SIMSは、例えば、非特許文献1及び2に記載の化合物であることができる。
N−SIMS又はその混合物の製造方法における一方の原料はIMSであり、IMSのイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲である。IMSのイソマルトメガロ糖鎖は、N−SIMSにおいてN−SIMSのイソマルトメガロ糖鎖として説明したものと同義である。
DIMS及びN−SIMSの混合物の製造方法における一方の原料は、R−SIMS及びIMSであり、いずれも、上記DIMSの製造方法、及びN−SIMSの製造方法で説明したものと同様である。
他方の原料は、糖供与体基質である。糖供与体基質は、例えば、シクロデキストリンである。シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリンから成る群から選ばれる1種のシクロデキストリン、または2種以上のシクロデキストリンの混合物であることができる。シクロデキストリンは、いずれかのシクロデキストリンを単独で使用することもできるが、2種以上のシクロデキストリンの混合物を用いることもできる。使用するシクロデキストリンの種類を選択することで、非還元末端に付加されるアンカー糖鎖の重合度を制御することができる。また、2種以上のシクロデキストリンの混合物を用いる場合も同様であり、混合物中のシクロデキストリンの種類や混合割合などで非還元末端に付加されるアンカー糖鎖の重合度を制御することができる。
糖質転移酵素は、糖供与体基質がシクロデキストリンの場合、例えば、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase)であることができる。CGTaseは、シクロデキストリンを基質として、R−SIMS又はIMSの非還元末端に、シクロデキストリンが開環した糖鎖をアンカー糖鎖として付加することができ、DIMS又はその混合物、N−SIMA又はその混合物をそれぞれ生成させることができる。シクロデキストリンが開環した糖鎖は、少なくとも1つ付加することで、DIMS又はその混合物、N−SIMA又はその混合物を生成させることができる。シクロデキストリンが開環した糖鎖は、既に非還元末端にアンカー糖鎖が付加した、DIMS又はN−SIMAの非還元末端に、さらに付加することもできる。シクロデキストリンが開環した糖鎖の多重の付加の程度により、非還元末端のアンカー糖鎖の重合度は、変化する。また、原料として使用するシクロデキストリンの種類によっても、非還元末端のアンカー糖鎖の重合度は、変化する。シクロデキストリンが複数のシクロデキストリンの混合物である場合には、シクロデキストリンの種類により決まる重合度とシクロデキストリンが開環した糖鎖の多重の付加の程度により決まる重合度の2つの重合度により決まる。
CGTaseを用いる場合は、CGTaseの至適pH及び至適温度を考慮して、例えば、pH5〜6を含む安定域の範囲、温度30〜60℃の範囲、好ましくは40〜60℃で、R−SIMSに対するシクロデキストリンのモル比を例えば1〜10倍(例として、R−SIMSを0.01〜0.1mol/L)を含有する水溶液中で1〜12時間、好ましくは1〜6時間反応させることで実施できる。
R−SIMSに対してモル比で1〜10倍のシクロデキストリン(例えば、R−SIMSを0.01〜0.1mol/L)を含有する水溶液中で1〜12時間、好ましくは1〜6時間経過させることで実施できる。
シクロデキストリン以外の糖供与体基質の例としては、オリゴ糖(例えば、スクロース又はマルトオリゴ糖)又は多糖(例えば、澱粉)などを用いることができる。糖供与体基質として、オリゴ糖(例えば、スクロース又はマルトオリゴ糖)又は多糖(例えば、澱粉)などを用いる場合には、糖質転移酵素としては、α−グルコシダーゼ、D−酵素(不均一化酵素)、アミラーゼ及びアミロスクラーゼから成る群から選ばれる少なくとも1種の酵素及びCGTaseを用いることができる。これらの場合の反応も、用いる糖供与体基質の種類と、糖質転移酵素の種類を考慮して適宜決定することができる。
<水難溶性化合物の水溶液製造方法>
本発明は、水難溶性化合物の水溶液を製造する方法を包含する。この方法は、水難溶性化合物と本発明の(i)DIMS若しくはその混合物、(ii)N−SIMS若しくはその混合物、又は(iii)少なくとも1種のDIMS及び少なくとも1種のN−SIMSの混合物、とを水又は水を含有する溶媒中で混合することを含む。上記(i)〜(iii)のアンカー型イソマルトメガロ糖類を以下A−IMS類と称する。
水難溶性化合物は、水や水を含有する溶媒(例えば、緩衝液や細胞培養液等)に対する溶解性が低い化合物であれば制限はない。水難溶性化合物は、例えば、BCSクラス2に分類される化合物であることができる。BCSとは、Biopharmaceutics Classification Systemの略語であり、医薬品の有効成分と成り得る化合物の溶解性と膜透過性のそれぞれの高低に応じてクラス分けを行い、各クラスに対応した化合物の生体吸収特性を整理する方法である。BCSクラス2は、低い溶解性と高い膜透過性を有する化合物が分類されるクラスである。化合物の溶解性に関しては、DMSO析出法及びShake flask法による評価が知られている。化合物の膜透過性に関しては、人工膜を用いた方法や培養細胞を用いた透過性評価が知られている。本発明において、溶解の対象とする水難溶性化合物がBCSクラス2に属するか否かを判断するための評価方法は、特に制限はない。また、BCSクラス2に分類されない化合物であっても、水に対する溶解性の低い化合物は、本発明においては、水難溶性化合物として本発明のA−IMS類を用いる水溶液の製造に用いることができる。
使用する本発明のA−IMS類は、水難溶性化合物の種類に応じて適宜決定することができる。使用するA−IMS類を決定するに当たっては、事前に、水溶液化したい水難溶性化合物に対する、本発明のA−IMS類の可溶化能力を試験することもできる。例えば、DIMSの水難溶性化合物に対する可溶化能力は、イソマルトメガロ糖鎖の重合度、2つのアンカー糖鎖のそれぞれの重合度により変化する。また、DIMSの混合物を用いる場合には、混合物に含まれるDIMSの種類(イソマルトメガロ糖鎖の重合度、2つのアンカー糖鎖のそれぞれの重合度により変化)及び含まれるDIMSの組成比により、水難溶性化合物に対する可溶化能力は変化し得る。N−SIMSの水難溶性化合物に対する可溶化能力は、イソマルトメガロ糖鎖の重合度、アンカー糖鎖の重合度により変化する。また、N−SIMSの混合物を用いる場合には、混合物に含まれるN−SIMSの種類(イソマルトメガロ糖鎖の重合度、アンカー糖鎖の重合度により変化)及び含まれるN−SIMSの組成比により、水難溶性化合物に対する可溶化能力は変化し得る。DIMS及びN−SIMSの混合物については、DIMS及びN−SIMSの種類や組成比等により水難溶性化合物に対する可溶化能力は変化し得る。
例えば、水難溶性化合物であるケルセチン配糖体と、DIMSの還元末端及び非還元末端のアンカー糖鎖の重合度の違いによる溶解性の変化を以下の表に示す。具体的な実験方法及び条件は実施例4に示す。下記の表は、還元末端のアンカー糖鎖の重合度を一定で、非還元末端のアンカー糖鎖の重合度を変化させると、非還元末端のアンカー糖鎖の重合度が大きくなることで、ケルセチン配糖体(表ではQ3G)の溶解性が増すことが分かる。
水を含有する溶媒は、水及び少なくとも1種の物質を含有する溶媒であり、前記物質の種類や濃度等には特に制限はない。例えば、無機塩、有機酸塩、あるいは緩衝剤、さらには有機溶媒から成る溶媒等も挙げることができる。また、前記有機溶媒は可食性有機溶媒であることができる。可食性有機溶媒は、例えば、エタノール、酢酸、乳酸等であることができる。
本発明の方法は、水難溶性化合物を、この化合物の融点以上に加熱すること、及び加熱溶解した水難溶性化合物を、A−IMS類を含有する溶媒と混合すること、を含むことができる。加熱溶解した水難溶性化合物を、A−IMS類を含有する溶媒と混合することで、水難溶性化合物の溶解を促進することができる。但し、加熱溶解した水難溶性化合物を用いるか否かは化合物の種類に応じて適宜選択できる。全ての操作を常温で実施することもできる。
<溶解促進剤>
本発明は、前記本発明のA−IMS類を含有する、水難溶性化合物を水溶液化するための溶解促進剤を包含する。A−IMS類は前述のとおりである。水難溶性化合物は、例えば、BCSクラス2に分類される化合物であるが、それに限定される意図ではない。本発明の溶解促進剤は、例えば、上記本発明の水難溶性化合物の水溶液の製造方法で説明した方法で使用できる。
<組成物>
本発明は、水難溶性化合物、及び本発明のA−IMS類を含む組成物を包含する。水難溶性化合物は、上記製造方法での説明と同義であり、本発明のA−IMS類は、前述の本発明のA−IMS類の説明と同義である。
本発明の組成物は、溶媒をさらに含むことができる。溶媒は、例えば、水又は水及び少なくとも1種の物質を含有する溶媒であることができ、前記本発明の水難溶性化合物の水溶液の製造方法で説明した、水及び少なくとも1種の物質を含有する溶媒と同義である。溶媒の種類及び使用量は、本発明の組成物の使用目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の組成物は、水難溶性化合物が薬効成分であり、前記組成物は有効量の前記水難溶性化合物を含有する医薬用組成物であることができる。
本発明の組成物は、水難溶性化合物が飲食品用成分であり、前記組成物は飲食品用組成物又は飲食品用原料組成物であることができる。
本発明の組成物における、本発明のA−IMS類の種類及び濃度、水難溶性化合物の種類及び濃度は、本発明の組成物の使用目的に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
実施例1
ダブルアンカー型イソマルトメガロ糖(DIMS)の合成
最初にシングルアンカー体を調製し、それにα-1,4グルコース鎖を付加させることでダブルアンカー体を作製した。まず、シングルアンカー体の調製について述べるが、その生産をGluconobacter oxydans ATCC 11894が産するデキストリンデキストラナーゼ(DDaseと略称; EC 2.4.1.2)を用いて行った。
(1)菌体からのDDase:
本菌を5%フラクトースと0.5%酵母エキスからなる培地(pH 5.95;合計1 L)中で30℃、2日間震盪培養した(600 nmの吸収から求めた濁度は約2)。菌体を遠心分離(11,300 xg、4℃、20分間)で回収し、50 mLの25 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.2)で洗浄した。菌体に結合したDDaseの遊離を1% マルトトリオース(日本食品化工(株)、東京)による処理で行い [50 mLの25 mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.2);30℃;3時間で200 rpmの撹拌]、遠心分離(11,300 xg、4℃、20分間)でDDaseを回収した。
(2)還元末端のアンカー部分が長いシングルアンカー体:
次にアンカー部分が長いシングルアンカー体(Single-と表記)の調製方法を説明する。前項で得られた酵素液 [50 mL;25 mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.2)] を当該シングルアンカー体の調製に用いた。反応液の組成は、200 mM マルトヘキサオースとマルトへプタオースからなる糖質 [G6/G7と略称;日本食品化工(株)、東京]、25 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.2)およびDDase(1.5 U/mL;酵素単位Uの定義は下記の*を参照)であり、45℃で4〜5日間の撹拌反応(100 rpm)で行った。100℃で20分間の加熱処理で反応を停止させ、加熱変性した酵素蛋白を遠心分離(5,800 xg、4℃、20分間)で除いた。
*酵素活性(1 U)は、DDaseが15 mMマルトテトラオースに作用し [25 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.2);35℃;80μLの反応液]、その不均一化反応で1分間に1μmol のマルトトリオースを遊離させる酵素量とした。
反応液にメタノールを加え終濃度40%とし、副生成する多糖のデキストランを4℃で30分間の静置と遠心分離(13,000 xg、4℃、10分間)で除いた。上清にメタノールの追加で終濃度を90%とし、シングルアンカー体を沈殿回収した。すなわち、4℃で30分間の静置沈殿の後に遠心分離(13,000 xg、4℃、10分間)を行った。得られた沈殿に対し「少量の水による可溶化/90%メタノール添加/静置沈殿/遠心分離」を3回以上繰り返した。その後、さらに4℃に冷却した90%メタノールで沈殿を1回洗浄した。(90%メタノール分画の目的は、オリゴ糖や単糖の除去である)以上のアルコール分画で単離したアンカー部分が長いシングルアンカー体を濃縮し、イオン交換樹脂(Amberlite MB-4;オルガノ(株)、東京)に供することで塩を除き、凍結乾燥した(粉末標品の調製)。
得られたアンカー部分が長いシングルアンカー体(Single-)の構造式は前記の通りである。アノメリック プロトンのNMRシグナルを図1に示す。図中、H1(→4)、H1(→6)、H1αおよびH1βは、α1−4およびα1−6結合したグルコース残基と還元末端グルコースのα-アノマーとβ-アノマーのアノメリック プロトンをそれぞれ示す。試料は、α1−6結合部分の平均重合度が11の長鎖シングルアンカー体である。
(3)還元末端のアンカー部分が短いシングルアンカー体:
次に、アンカー部分が短いシングルアンカー体(Single+と表記)の調製を述べる。製法は「アンカー部分が長いシングルアンカー体にα-アミラーゼを作用させ、アンカー部分の切断」により作製した。反応液の組成は、25%アンカー部分が長いシングルアンカー体、50 mM マレイン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.9)、0.5%ブタ膵臓α-アミラーゼ(タイプI-A;Sigma-Aldrich Chemie Gmbh., Steinheim, Germany)、0.01% CaCl2であり、37℃で一晩の反応を行った。α-アミラーゼは100℃で10分間の加熱処理で失活させ、遠心分離(5,800 xg、4℃、20分間)で除いた。目的のアンカー部分が短いシングルアンカー体の精製(切断したアンカー部分との分離)は、前項で述べた90%メタノール分画の手法で行った。本糖の粉末標品は、凍結乾燥により調製した。
得られたアンカー部分が短いシングルアンカー体(Single+)の構造式は前記の通りである。アノメリック プロトンのNMRシグナルを図2に示す。H1(→4)、H1(→6)、H1αおよびH1βは、α1−4およびα1−6結合したグルコース残基と還元末端グルコースのα-アノマーとβ-アノマーのアノメリック プロトンをそれぞれ示す。 試料は、α1−6結合部分の平均重合度が11の短鎖シングルアンカー体である。
(4)ダブルアンカー体:
ダブルアンカー体は、アンカー部分が短鎖あるいは長鎖のシングルアンカー体にCGTase(天野エンザイム、名古屋)が触媒する糖転移反応を用いて作製した。
黒丸はα1-6結合で連結するグルコピラノース残基を示す。
白丸はα1-4結合で連結するグルコピラノース残基を示す。
斜線を付した白丸は還元末端のグルコピラノース残基を示す。
反応液の組成は、200 mM α-シクロデキストリン(αCDと略称;和光純薬工業(株)、大阪)、40 mMアンカー部分が短鎖あるいは長鎖のシングルアンカー体、50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.5)および1.74 U/mLのCGTaseであり、55℃で1時間あるいは4時間の反応を行った。100℃で20分間の加熱で反応停止させた。未反応のシングルアンカー体はデキストラングルコシダーゼ [α-1,6グルコシド結合のみを切断するエキソ型酵素;0.5 U/mL;50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.3);37℃;一晩]の処理で分解させ、上記と同様の加熱処理で反応を停止した。αCD・オリゴ糖・単糖の除去をゲル濾過法および分画分子量サイズ8,000のセルロース膜(Spectrum Laboratories, Inc., Rancho Dominguez, CA, USA)を用いた透析(純水に対し)により行った。凍結乾燥により粉末標品を得た。なお、CGTaseの1時間反応でゲル濾過法分離のダブルアンカー体(合計平均重合度26)はフラボノイド可溶化実験に用い、CGTase 4時間反応でセルロース膜分画のダブルアンカー体(合計平均重合度62)はイブプロフェン可溶化実験に使用した。
得られたダブルアンカー体(合計平均重合度26:フラボノイド可溶化実験に使用)の構造式は以下の通りである。アノメリック プロトンのNMRシグナルを図3に示す。H1(→4)、H1(→6)、H1αおよびH1βは、α1−4およびα1−6 結合したグルコース残基と還元末端グルコースのα-アノマーとβ-アノマーのアノメリック プロトンをそれぞれ示す。
得られたダブルアンカー体(合計平均重合度62:イブプロフェン可溶化実験に使用)の構造式は以下の通りである。アノメリック プロトンのNMRシグナルを図4に示す。H1(→4)、H1(→6)、H1αおよびH1βは、α1−4およびα1−6 結合したグルコース残基と還元末端グルコースのα-アノマーとβ-アノマーのアノメリック プロトンをそれぞれ示す。
実施例2
(1)非還元末端シングルアンカー型イソマルトメガロ糖(N-SIMS)の製造方法
黒丸はα1-6結合で連結するグルコピラノース残基を、
白丸はα1-4結合で連結するグルコピラノース残基を、
斜線を付した黒丸は還元末端のグルコピラノース残基を示す。(以下同様)
反応液の組成は、100 mM α-シクロデキストリン(αCD; 和光純薬工業(株)、大阪)、20 mMイソマルトメガロ糖(平均重合度7、19および32(Pharmacosmos, Holbaek, Denmark)あるいは平均重合度53(Amersham Biosciences AB, Uppsala, Sweden))、50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 6.0)および1.74 U/mLのCGTaseであり、20℃で3時間の反応を行った。100℃で20分間の加熱で反応停止させた。未反応のイソマルトメガロ糖はデキストラングルコシダーゼ(α-1,6グルコシド結合のみを切断するエキソ型酵素; 6.25 U/mL; 50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.3); 37℃; 一晩)の処理で分解させ、100℃で10分間の加熱処理で反応を停止した。熱変性した酵素蛋白質を遠心分離(12,000 x g, 4℃で20分)で除いた。N-SIMSからのαCD・オリゴ糖・単糖の分離を90%エタノール分画(2回)および透析(分画分子量サイズ2,000のセルロース膜(Spectrum Laboratories, Inc., Rancho Dominguez, CA, USA))により行った。イオン交換樹脂処理(MB4; オルガノ、東京)で塩を除き、凍結乾燥により粉末標品を得た。
(2)構造解析
CGTaseの受容体基質に使用した4種類のイソマルトメガロ糖(平均重合度7、19、32および53)をNMR分析に供すると、α1−6結合のみが存在した。一方、N-SIMSには22〜25残基のα1−4グルコシド糖鎖が見出され、β-アミラーゼの消化実験も本糖鎖が非還元末端に位置することを支持した。得られた4種類のN-SIMSのNMRシグナルを示す(図5-1〜図5-4)。なお、平均重合度7、19、32および53のイソマルトメガロ糖から得られたN-SIMSの非還元末端アンカー重合度(平均値)はそれぞれ25、24、24および22であった。各々をN-SIMS(25-7)、N-SIMS(24-19)、N-SIMS(24-32)およびN-SIMS(22-53)と称する。
図5-1中、H1(→4)、H1(→6)、H1αおよびH1βは、α1−4およびα1−6結合したグルコース残基と還元末端グルコースのα-アノマーとβ-アノマーのアノメリック プロトンをそれぞれ示す。 試料は、α1−6結合部分の平均重合度7および非還元末端α1−4結合部分の平均重合度25のシングルアンカー体である。
図5-2中、H1(→4)、H1(→6)、H1αおよびH1βは、α1−4およびα1−6結合したグルコース残基と還元末端グルコースのα-アノマーとβ-アノマーのアノメリック プロトンをそれぞれ示す。試料は、α1−6結合部分の平均重合度19および非還元末端α1−4結合部分の平均重合度24のシングルアンカー体である。
図5-3中、H1(→4)、H1(→6)、H1αおよびH1βは、α1−4およびα1−6結合したグルコース残基と還元末端グルコースのα-アノマーとβ-アノマーのアノメリック プロトンをそれぞれ示す。 試料は、α1−6結合部分の平均重合度32および非還元末端α1−4結合部分の平均重合度24のシングルアンカー体である。
図5-4中、H1(→4)、H1(→6)、H1αおよびH1βは、α1−4およびα1−6結合したグルコース残基と還元末端グルコースのα-アノマーとβ-アノマーのアノメリック プロトンをそれぞれ示す。試料は、α1−6結合部分の平均重合度53および非還元末端α1−4結合部分の平均重合度22のシングルアンカー体である。
実施例3
フラボノイド可溶化試験法
(1) 終濃度0, 5, 10, 20 mMのアンカー型メガロ糖(実施例1で調製)を100μLずつ分注
(2) フラボノイドは終濃度が1, 5, 10 mMとなるよう、MQ水を添加、
超音波洗浄機で5 min、超音波破砕で30 sec処理して懸濁
(3) メガロ糖100μLが入ったチューブに添加
(4) 37℃ 30 min incubation
(5) 遠心分離(20℃, 5 min, 9300 g), 上清回収
(6) 50% MeOHで希釈し、LC-MSで測定
ダブルアンカー型メガロ糖(実施例1で調製)
DP=12 (非還元側のα-1,4結合); DP=11 (α-1,6結合); DP=3 (還元側のα-1,4結合)。ゲル濾過法による単離、CGTase反応時間は1 hr。
シングルアンカー型メガロ糖(Sngle+):DP=11 (α-1,6結合); DP=3 (還元側のα-1,4結合)。
可溶化を検討したフラボノイド 15種類
イソフラボン: Genistein-7-glucoside (Genistin)
Daidzein-7-glucoside (Daidzin)
Genistein*
Daidzein*
フラボン: Apigenin-7-glucoside
Luteolin-7-glucoside
フラボノール: Quercetin*
Quercetin-3-glucoside (Isoquercitrin)
Quercetin-4'-glucoside
Kaempferol-3-glucoside
Myricetin 3-rhamnoside (Myricitrin)
フラバノン: Naringenin-7-rhamnoglucoside (Naringin)
Hesperetin*
Hesperetin-7-rhamnoglucoside (Hesperidin)
スチルベン: Resveratrol*
* aglycone
ダブルアンカー型直鎖イソマルトメガロ糖によるフラボノイド可溶化結果を図6−1〜6−6、並びに図7−1及び7−2に示す。図6−1〜6−6は、ダブルアンカー型直鎖イソマルトメガロ糖により、シングルアンカー型直鎖イソマルトメガロ糖に比べて、より強く可溶化されるフラボノイド類の例である。図7−1及び7−2は、ダブルアンカー型のみで可溶化されるフラボノイド類の例を示す。
実施例4
イブプロフェン可溶化実験
(1) シングルアンカー体R-SIMA及びダブルアンカー体DIMS
シングルアンカー体R-SIMA(5.0 mM)やダブルアンカー体DIMS(5.0 mM)を含む水溶液を100℃で10分間予備加熱し、0.1 mLを過剰量の粉末イブプロフェン(1 mg;ナトリウム塩;融点は77℃;ナカライテスク(株)、京都)に加えた。その後、80℃で1時間保持し、4℃に冷却した。12,000 xg(4℃、10分間)の遠心分離を行い、難溶性のイブプロフェンを沈殿除去した。上清を回収し、イブプロフェンの溶解量を264 nmの吸収から求めた(吸光度測定における希釈は50 mM炭酸ナトリウム緩衝液 (pH 11)を用いて行った)。
ダブルアンカー体: DP=42 (非還元側のα-1,4結合); DP=17 (α-1,6結合); DP=3 (還元側のα-1,4結合)。膜分離(分子量分画8,000)による単離、CGTase反応時間は4 hr。
シングルアンカー型メガロ糖(Sngle+):DP=17 (α-1,6結合); DP=3 (還元側のα-1,4結合)。
イブプロフェンの相溶解度の測定法を以下のスキームに示す。
各種メガロ糖(5.0 mM)によるイブプロフェンの相対溶解度を図8に示す。水のみに対するイブプロフェンの溶解度は0.82 mMである(コントロール値で、縦軸の1.0に相当)
(2) シングルアンカー体N-SIMA
イブプロフェン可溶化実験の方法は、(1)と同じである。但し、4種類のN-SIMS をそれぞれ1〜10mMの範囲の濃度とした。可溶化結果を図9に示す。N-SIMS(32-24)が最も高い水溶化能を示し、その他はほぼ同じ値であった。
イブプロフェン可溶化実験(1)及び(2)の結果(イブプロフェン相対溶解度、メガロ糖:5.0 mM)のまとめを以下の表に示す。
イブプロフェン相対溶解度はDIMSが最も高く、次にN-SIMSであった。その相対溶解度はR-SIMS(表中Single-及びSingle+)を上回り、N-SIMSで3〜3.5倍及びDIMSで6〜7倍であった。
実施例6
実施例3と同様に、25mMアンカー型イソマルトメガロ糖(下記)と終濃度が10mM相当になるケルセチン配糖体を用いて、HPLC(UV吸収)で遠心上清中のケルセチン配糖体濃度を測定することでケルセチン配糖体の水可溶化を試験した。結果を以下の表に示す。
水難溶性化合物であるケルセチン配糖体と、DIMSの還元末端及び非還元末端のアンカー糖鎖の重合度の違いによる溶解性の変化の結果を以下の表に示す。下記の表から、還元末端のアンカー糖鎖の重合度を一定で、非還元末端のアンカー糖鎖の重合度が大きくなることで、ケルセチン配糖体の溶解性が増すことが分かる。
本発明は、飲食品用成分や医薬品等の難溶解性化合物の溶解促進を必要とする分野に有用である。

Claims (23)

  1. イソマルトメガロ糖鎖の両末端にアンカー糖鎖をそれぞれ有するダブルアンカー型イソマルトメガロ糖(以下、DIMSと称する)であって、
    前記イソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲であり、
    前記イソマルトメガロ糖鎖の還元末端側の前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が2〜20の範囲であり、
    前記イソマルトメガロ糖鎖の非還元末端側の前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースであり、かつグルコピラノースの重合度が1〜50の範囲である、DIMS。
  2. 前記イソマルトメガロ糖鎖及び2つのアンカー糖鎖のグルコピラノースの重合度の合計は、13〜170の範囲である請求項1に記載のDIMS。
  3. 請求項1〜2のいずれか1項に記載の少なくとも2種のDIMSの混合物であって、平均重合度が13〜170の範囲である、前記混合物。
  4. イソマルトメガロ糖鎖の非還元末端にアンカー糖鎖を有するシングルアンカー型イソマルトメガロ糖(以下、N−SIMSと称する)であって、
    前記イソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲であり、かつ
    前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースであり、かつグルコピラノースの重合度が1〜100の範囲である、N−SIMS。
  5. 前記イソマルトメガロ糖鎖及びアンカー糖鎖のグルコピラノースの重合度の合計は、11〜200の範囲である請求項4に記載のN−SIMS。
  6. 請求項4〜5のいずれか1項に記載の少なくとも2種のN−SIMSの混合物であって、平均重合度が11〜200の範囲である、前記混合物。
  7. 請求項1〜2のいずれか1項に記載の少なくとも1種のDIMS及び請求項4〜5のいずれか1項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物であって、平均重合度が11〜200の範囲である、前記混合物。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のDIMS又はその混合物の製造方法であって、
    イソマルトメガロ糖鎖の還元末端にアンカー糖鎖を有するシングルアンカー型イソマルトメガロ糖(以下、R−SIMSと称する)と、糖供与体基質とを、糖質の転移活性を示す酵素による糖転移反応に供して、DIMS又はその混合物を得る、
    但し、前記R−SIMSのイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲であり、
    前記R−SIMSの前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が2〜20の範囲である、
    ことを含む方法。
  9. 請求項4〜6のいずれか1項に記載のN−SIMS又はその混合物の製造方法であって、
    イソマルトメガロ糖(以下、IMSと称する)と糖供与体基質とを、糖質の転移活性を示す酵素による糖転移反応に供して、N−SIMS又はその混合物を得る、
    但し、前記IMSのイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲である、
    ことを含む方法。
  10. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1種のDIMS及び請求項4〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物の製造方法であって、R−SIMS及びIMSと、糖供与体基質とを、糖質の転移活性を示す酵素による糖転移反応に供して、DIMS及びN−SIMSの混合物を得る、
    但し、前記R−SIMSのイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲であり、
    前記R−SIMSの前記アンカー糖鎖は、α1−4結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が2〜20の範囲であり、
    前記IMSのイソマルトメガロ糖鎖は、α1−6結合で連結したグルコピラノースからなり、かつグルコピラノースの重合度が10〜100の範囲である、
    ことを含む方法。
  11. 前記糖供与体基質がシクロデキストリンであり、かつ前記糖質の転移活性を示す酵素が、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTaseと略称)である請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリンから成る群から選ばれる1種または2種以上である、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記供与体基質がオリゴ糖及び多糖から成る群から選ばれる少なくとも1種であり、
    かつ前記糖質の転移活性を示す酵素が、α−グルコシダーゼ、D−酵素(不均一化酵素)、アミラーゼ及びアミロスクラーゼから成る群から選ばれる少なくとも1種の酵素及びCGTaseである請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
  14. 水難溶性化合物の水溶液を製造する方法であって、
    水難溶性化合物と(i)請求項1〜3のいずれか一項に記載のDIMS若しくはその混合物、(ii)請求項4〜6のいずれか一項に記載のN−SIMS若しくはその混合物、又は(iii)請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1種のDIMS及び請求項4〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物とを水又は水を含有する溶媒中で混合することを含む、前記方法。
  15. 前記水を含有する溶媒は、水及び少なくとも1種の有機溶媒から成る溶媒であり、前記有機溶媒は可食性有機溶媒である、請求項14に記載の製造方法。
  16. 水難溶性化合物を、この化合物の融点以上に加熱すること、及び加熱溶解した水難溶性化合物を、(i)DIMS若しくはその混合物、(ii)N−SIMS若しくはその混合物、又は(iii)少なくとも1種のDIMS及び少なくとも1種のN−SIMSの混合物を含有する溶媒と混合すること、を含む請求項14又は15に記載の製造方法。
  17. 水難溶性化合物が、BCSクラス2に分類される化合物である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
  18. 水難溶性化合物、及び(i)請求項1〜3のいずれか一項に記載のDIMS若しくはその混合物、(ii)請求項4〜6のいずれか一項に記載のN−SIMS若しくはその混合物、又は(iii)請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1種のDIMS及び請求項4〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物を含む組成物。
  19. 可食性有機溶媒をさらに含む請求項18に記載の組成物。
  20. 水難溶性化合物が薬効成分であり、前記組成物は有効量の前記水難溶性化合物を含有する医薬用組成物である請求項18又は19に記載の組成物。
  21. 水難溶性化合物が飲食品用成分であり、前記組成物は飲食品用組成物又は飲食品用原料組成物である請求項18又は19に記載の組成物。
  22. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のDIMS若しくはその混合物、又は請求項4〜6のいずれか一項に記載のN−SIMS若しくはその混合物、請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1種のDIMS及び請求項4〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種のN−SIMSの混合物を含有する、水難溶性化合物を水溶液化するための溶解促進剤。
  23. 水難溶性化合物が、BCSクラス2に分類される化合物である、請求項22に記載の溶解促進剤。
JP2015248676A 2015-12-21 2015-12-21 ダブル及びシングルアンカー型イソマルトメガロ糖、その製造方法及びその利用 Active JP6655246B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015248676A JP6655246B2 (ja) 2015-12-21 2015-12-21 ダブル及びシングルアンカー型イソマルトメガロ糖、その製造方法及びその利用
PCT/JP2016/086678 WO2017110517A1 (ja) 2015-12-21 2016-12-09 ダブル及びシングルアンカー型イソマルトメガロ糖、その製造方法及びその利用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015248676A JP6655246B2 (ja) 2015-12-21 2015-12-21 ダブル及びシングルアンカー型イソマルトメガロ糖、その製造方法及びその利用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017114943A true JP2017114943A (ja) 2017-06-29
JP6655246B2 JP6655246B2 (ja) 2020-02-26

Family

ID=59090191

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015248676A Active JP6655246B2 (ja) 2015-12-21 2015-12-21 ダブル及びシングルアンカー型イソマルトメガロ糖、その製造方法及びその利用

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6655246B2 (ja)
WO (1) WO2017110517A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021019912A1 (ja) 2019-08-01 2021-02-04 日本食品化工株式会社 α-1,6-グルコシル転移反応を触媒する活性を有するタンパク質
US11505789B2 (en) 2018-02-20 2022-11-22 National University Corporation Hokkaido University Enzyme exhibiting alpha-1,6-glucosyl transfer activity

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110526951A (zh) * 2018-05-24 2019-12-03 青岛海洋生物医药研究院股份有限公司 杨梅素衍生物及在制备治疗降血糖和降血脂药物中的应用
CN114235878B (zh) * 2021-12-17 2022-08-02 浙江大学 基于核磁共振技术的异麦芽酮糖异核长程耦合谱的测试方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56147801A (en) * 1980-04-19 1981-11-17 Hayashibara Biochem Lab Inc Alpha-glycosylpullulan
JPH0614790A (ja) * 1991-12-13 1994-01-25 Ensuiko Sugar Refining Co Ltd α−グルコシル糖化合物の製造方法
JPH06271596A (ja) * 1993-03-17 1994-09-27 Nippon Kagaku Kikai Seizo Kk オリゴ糖およびその製造方法
JP2007181452A (ja) * 2005-12-06 2007-07-19 Hokkaido Univ デキストラン生成酵素遺伝子、デキストラン生成酵素およびその製造方法、デキストランの製造方法
WO2009011125A1 (ja) * 2007-07-19 2009-01-22 National University Corporation Hokkaido University 新規イソマルトオリゴ糖合成酵素
JP2012525840A (ja) * 2009-05-08 2012-10-25 ライクスユニヴェルシタイト・フローニンゲン (α1→4)および(α1→6)グリコシド結合を含むグルコオリゴ糖、その使用、およびそれを提供する方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56147801A (en) * 1980-04-19 1981-11-17 Hayashibara Biochem Lab Inc Alpha-glycosylpullulan
JPH0614790A (ja) * 1991-12-13 1994-01-25 Ensuiko Sugar Refining Co Ltd α−グルコシル糖化合物の製造方法
JPH06271596A (ja) * 1993-03-17 1994-09-27 Nippon Kagaku Kikai Seizo Kk オリゴ糖およびその製造方法
JP2007181452A (ja) * 2005-12-06 2007-07-19 Hokkaido Univ デキストラン生成酵素遺伝子、デキストラン生成酵素およびその製造方法、デキストランの製造方法
WO2009011125A1 (ja) * 2007-07-19 2009-01-22 National University Corporation Hokkaido University 新規イソマルトオリゴ糖合成酵素
JP2012525840A (ja) * 2009-05-08 2012-10-25 ライクスユニヴェルシタイト・フローニンゲン (α1→4)および(α1→6)グリコシド結合を含むグルコオリゴ糖、その使用、およびそれを提供する方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BIOCHEM. BIOPHYS. RES. COMMUN., 2015, VOL. 456, PP. 500-505, JPN6017001809, ISSN: 0004192406 *
BIORESOUR. TECHNOL., 2014, VOL. 169, PP. 518-524, JPN6017001808, ISSN: 0004192405 *
FOOD CHEM., 2013, VOL. 136, PP. 293-296, JPN6017001805, ISSN: 0004192404 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11505789B2 (en) 2018-02-20 2022-11-22 National University Corporation Hokkaido University Enzyme exhibiting alpha-1,6-glucosyl transfer activity
WO2021019912A1 (ja) 2019-08-01 2021-02-04 日本食品化工株式会社 α-1,6-グルコシル転移反応を触媒する活性を有するタンパク質

Also Published As

Publication number Publication date
JP6655246B2 (ja) 2020-02-26
WO2017110517A1 (ja) 2017-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2017110517A1 (ja) ダブル及びシングルアンカー型イソマルトメガロ糖、その製造方法及びその利用
CN102373257B (zh) 低聚异麦芽糖的生产及其用途
WO2010128601A1 (ja) グルクロン酸含有グルカン、その製造法および利用
Rha et al. Simple and efficient production of highly soluble daidzin glycosides by amylosucrase from Deinococcus geothermalis
WO2001073106A1 (fr) Procede de production d'un produit de transfert glycosyle
JP2020510441A (ja) 分岐αグルカン
JPH08311103A (ja) 環状構造を有するグルカンおよびその製造方法
CN103813723B (zh) 可食用组合物
JP4202439B2 (ja) フラボノイド可溶化法、その糖転移法及び高濃度フラボノイド溶液
EP2636749B1 (en) Non-reducing end-modified glucan, method for producing same, and use thereof
Marchesi et al. Enzymatic Building‐Block Synthesis for Solid‐Phase Automated Glycan Assembly
DE69521450T2 (de) Glukane mit cyclischer Struktur und Verfahren zu deren Herstellung
JPH1025305A (ja) 分岐シクロデキストリンおよびその製造方法
JP2886249B2 (ja) ガラクトシル―マルトオリゴ糖誘導体、その製造法およびα―アミラーゼ活性測定方法
Tian et al. Glycosylation of flavonoids by sucrose-and starch-utilizing glycoside hydrolases: A practical approach to enhance glycodiversification
JP4023539B2 (ja) 有効物質の抽出方法および精製方法
JP5858686B2 (ja) 難水溶性ポリフェノール類の糖付加物の製造方法
CA3041417C (en) Chitooligosaccharide of specific structure, preparation method therefor and use thereof
CN110464849A (zh) 芝麻素酚与环糊精的包接复合物及其制备方法
JPH10502068A (ja) 新規オリゴシド誘導体、その調製方法およびその利用
Van Den Bergh et al. Novel insights into the host cell glycan binding profile of human metapneumovirus
JP5953034B2 (ja) 糖質関連酵素を擬似粉末状態の糖質原料と反応させる糖質複合体の製造方法とその生産物
JP3086076B2 (ja) 新規ガラクトシル−分岐シクロデキストリン
JP2863262B2 (ja) 分岐シクロデキストリンの側鎖部分にα―結合でガラクトシル基を転移結合させた新規ヘテロ分岐シクロデキストリン及びその製造方法
JP2021122193A (ja) 糖合成用限外ろ過デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6655246

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250