JPH08311103A - 環状構造を有するグルカンおよびその製造方法 - Google Patents

環状構造を有するグルカンおよびその製造方法

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JPH08311103A
JPH08311103A JP7076946A JP7694695A JPH08311103A JP H08311103 A JPH08311103 A JP H08311103A JP 7076946 A JP7076946 A JP 7076946A JP 7694695 A JP7694695 A JP 7694695A JP H08311103 A JPH08311103 A JP H08311103A
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Hiroki Takada
洋樹 高田
Hiroyasu Nakamura
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、澱粉加工工業における原料、飲食
用または食品添加用組成物、あるいは生物崩壊性プラス
チック用の澱粉の代替物質などに有用な、グルカン、そ
の誘導体、およびそれらの製造方法を提供する。特に、
既存の澱粉などと比較して、水に対する溶解度が非常に
高く、溶解した糊液の粘度が低く、また通常の澱粉に観
察される老化が起こらないという優れた性質を有し、澱
粉の老化防止剤として作用する、グルカン、その誘導
体、およびそれらの製造方法を提供する。 【構成】 少なくとも14個のα−1,4−グルコシド
結合により構成される環状構造を分子内に1つ有するグ
ルカン、その誘導体、およびそれらの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、澱粉加工工業における
原料、飲食用組成物、食品添加用組成物、輸液、接着用
組成物、包接物または吸着物、澱粉の老化防止剤、ある
いは生物崩壊性プラスチック用の澱粉の代替物質として
有用な、グルカン、その誘導体、およびそれらの製造方
法に関する。更に詳しくは、少なくとも14個のα−
1,4−グルコシド結合により構成される環状構造を分
子内に1つ有するグルカン、その誘導体、およびそれら
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、澱粉は、マルトース、水飴
類、またはサイクロデキストリンなどの製造のための原
料、飲食用組成物、食品添加用組成物、あるいは生物崩
壊性プラスチック用素材として用いられている高分子物
質である。
【0003】しかし、既存の澱粉には、上記用途に使用
するに際して、水に対する低溶解度、老化性、および高
い粘性を有するという問題がある。澱粉は、一般的に水
に対する溶解度が低い。従って、澱粉を水に溶解するた
めには、加熱処理、または、有機溶媒、酸、あるいはア
ルカリなどにより処理を行うことが必要である。
【0004】溶解した澱粉もしくは糊化した澱粉は、迅
速に老化し、不溶性の沈澱を形成する。澱粉の老化は、
澱粉溶液の粘弾性、澱粉の接着性などの物性を変化させ
る、あるいは、澱粉質を含有する食品においては、保水
性、保形性、冷凍耐性、または消化性を低下させるなど
の問題を引き起こしている。
【0005】さらに、糊化した澱粉は、高い粘性を有す
る。これは、澱粉中のアミロペクチンが、房状構造が多
数連なった非常に長い分子であることに起因する。糊化
した澱粉は高い粘性を有するため、澱粉を原料として、
マルトースあるいはサイクロデキストリンなどを製造す
る場合に、取り扱いが困難であるという問題がある。例
えば、一定濃度以上の糊化した澱粉をパイプを用いて輸
送する場合には、パイプが詰まることがある。
【0006】このように、既存の澱粉が有する上記性質
(溶解性の低さ、老化性、および高粘度)は、食品およ
びその他の産業において、澱粉の利用を制限するもので
あった。
【0007】そこで、酵素処理、化学処理、物理的処理
を行って澱粉を低分子化させることにより、溶解性およ
び耐老化性を向上させる研究が行われ、ある程度は、老
化を防止し得るようになった。しかし、過剰な分子量低
下を抑えることは困難であり、本来高分子である澱粉の
持つ固有の性質を失うという問題が生じた。さらに、こ
れらの方法では、澱粉の還元力が増加する。従って、タ
ンパク質やアミノ酸など混合して加熱した際に、これら
の物質との反応により、澱粉が着色してしまうため、そ
の用途は制限されていた。
【0008】上記酵素処理の一つとして、いわゆるD酵
素(ディスプロポーショネーティングエンザイム(EC 2.
4.1.25))またはアミロマルターゼ(EC 2.4.1.25)を用い
る方法が知られている。このD酵素は最初、馬鈴薯から
発見されたが、種々の植物、および大腸菌などの微生物
に存在することが知られている。この酵素は、植物由来
の場合には、D酵素と呼ばれ、バクテリア由来の場合に
はアミロマルターゼと呼ばれる。
【0009】D酵素は、マルトオリゴ糖の糖転移反応
(不均一化反応)を触媒すると考えられていた。この酵
素は、供与体分子の非還元末端から、グルコシル基ある
いはマルトシルあるいはマルトオリゴシルユニットを受
容体分子の非還元末端に転移する。従って、酵素反応の
結果、最初に与えられたマルトオリゴ糖の重合度不均一
化がおこる。この不均一化反応は、例えば、可溶性澱粉
あるいはアミロース等の高分子量の澱粉を供与体とし、
グルコースあるいはマルトオリゴ糖を受容体とした時に
起こることが知られている。
【0010】しかし、このD酵素を用いた研究では、澱
粉における上記問題点を解決する糸口すら得られていな
かった。
【0011】他方、上記澱粉の代替物として、D−グル
コースからなる環状の多糖類、すなわち環状グルカンを
使用することが考えられる。
【0012】既存の環状構造を有するグルカンとして
は、α−1,4−グルコシド結合により構成される環状
構造のみを有するグルカンである、サイクロデキストリ
ン類が知られている。これらサイクロデキストリン類
は、澱粉にサイクロデキストリングルカノトランスフェ
ラーゼ(CGTase)を作用させて合成しているが、その重
合度は通常6から8である。Kobayashi(1993) Denpun K
agaku: vol.40 103-116は、これ以上の重合度を有する
α−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造
のみを有するグルカンが、CGTaseにより合成されること
を報告しているが、最も大きなものでも重合度は13で
ある。
【0013】さらに、α−1,4−グルコシド結合によ
り構成される環状構造のみを有する重合度9から13の
グルカンの収率は非常に低く、実用性に乏しい。また、
CGTaseによる反応では、数十、数百という重合度の、α
−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造の
みを有するグルカンの合成は不可能であると思われてい
る。
【0014】このサイクロデキストリン類中の1個また
は複数個のグルコース残基の6位に糖を結合させること
もできるが、結合させる糖の大きさは、通常収率の面か
らマルトテトラオースまでの大きさである。このような
グルカンは、その特殊な構造のために、唾液や膵液など
の消化酵素で、消化されにくいという問題がある。
【0015】他の酵素、例えばD酵素は、α−1,4−
グルコシド結合により構成される環状構造を有するグル
カンの合成には用いられていない。
【0016】酵素による生産以外の方法においても、1
4以上の重合度、さらには、数十、数百という重合度
の、少なくとも14個のα−1,4−グルコシド結合に
より構成される環状構造を有するグルカンの生産につい
ての報告はされていない。すなわち、14以上、さらに
は数十、数百の重合度を有する、少なくとも14個のα
−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造を
有するグルカンはその存在が知られていなかった。
【0017】従って、高い重合度の少なくとも14個の
α−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造
を有するグルカンがどのような性質を有するかは未知で
あり、澱粉の代用ができるとは考えられていなかった。
【0018】そこで、既存の澱粉と比較して、水に対す
る溶解度が高く、溶解した糊液の粘度が低く、また通常
の澱粉に観察される老化が起こらないという優れた性質
を有する、澱粉の代替物質が待望されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決することを目的とするものである。既存の澱粉と
比較して、水に対する溶解度が高く、溶解した溶液の粘
度が低く、そして通常の澱粉に観察される老化が起こら
ないという優れた性質を有し、澱粉の老化を防止するこ
とができる、澱粉の代替物質として有用な、新規な物質
を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、糖の転移反応
を触媒する酵素、特にD酵素が、これまで知られていた
重合度不均化反応に加えて、新規な反応であるα−1,
4−グルカン環状化反応を触媒することを発見し、これ
を利用して本発明を完成させたものである。更に、本発
明者らは前記D酵素が、少なくとも1つのα−1,6−
グルコシド結合を含むα−1,4−グルカン環状化反応
を触媒することを発見し、これを利用して本発明を完成
させたものである。D酵素が、少なくとも14の重合度
の、さらには、数十、数百の重合度のα−1,4−グル
コシド結合により構成される環状構造を分子内に1つ有
するグルカン(すなわち、少なくとも14個のα−1,
4−グルコシド結合により構成される環状構造を分子内
に1つ有するグルカン)の合成反応を行うことは知られ
ておらず、また、容易に想像できたものでもなく、驚く
べき効果である。本発明者らは、新規な化合物である、
本発明のグルカンが、水に対する溶解度が非常に高く、
その溶液の粘度が低く、そして老化が起こらないという
性質を有することを確認し、飲食用組成物、食品添加用
組成物、あるいは、生物崩壊性プラスチック用の澱粉の
代替物質として有用であることを見いだして本発明を完
成した。
【0021】本発明のグルカンは、少なくとも14個の
α−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造
を分子内に1つ有する。
【0022】好適な実施態様においては、本発明のグル
カンは、少なくとも14個のα−1,4−グルコシド結
合により構成される環状構造のみを有する。
【0023】好適な実施態様においては、本発明のグル
カンは、少なくとも17個のα−1,4−グルコシド結
合により構成される環状構造を分子内に1つ有する。
【0024】好適な実施態様においては、本発明のグル
カンは、少なくとも17個のα−1,4−グルコシド結
合により構成される環状構造のみを有する。
【0025】好適な実施態様においては、本発明のグル
カンは、少なくとも14個のα−1,4−グルコシド結
合と少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結合とに
より構成される環状構造を分子内に1つ有する。
【0026】好適な実施態様においては、本発明のグル
カンは、少なくとも14個のα−1,4−グルコシド結
合と少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結合とに
より構成される環状構造のみを有する。
【0027】さらに、本発明は、上記グルカンの誘導体
を提供する。本発明のグルカン誘導体は、上記のグルカ
ンが有するアルコール性水酸基のうちの少なくとも1つ
が誘導体化されている。
【0028】上記誘導体化は、エーテル化、エステル
化、架橋化、およびグラフト化からなる群から選択され
る。このことにより、上記目的が達成される。
【0029】さらに、本発明は、直鎖のα−1,4−グ
ルカンまたはこれらを含む糖類と、少なくとも14個の
α−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造
を分子内に1つ有するグルカンを生成し得る酵素とを反
応させる工程を包含する、少なくとも14個のα−1,
4−グルコシド結合により構成される環状構造を分子内
に1つ有するグルカンまたはその誘導体の製造方法を提
供する。
【0030】好適な実施態様においては、本発明の製造
方法は、ホスホリラーゼおよびグルコース−1−リン酸
の存在下で行われる。
【0031】好適な実施態様においては、本発明の製造
方法は、α−1,6−グルコシド結合を切断する酵素の
存在下で行われる。
【0032】好適な実施態様においては、本発明の製造
方法において用いられる糖類は、マルトオリゴ糖、アミ
ロース、アミロペクチン、グリコーゲン、澱粉、ワキシ
ー澱粉、ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、デキストリ
ン、澱粉枝きり物、澱粉部分加水分解物、ホスホリラー
ゼによる酵素合成澱粉、およびこれらの誘導体からなる
群から選択される少なくとも1つの、直鎖のα−1,4
−グルカンまたはこれを含む糖類である。
【0033】好適な実施態様においては、本発明の製造
方法に用いられる上記グルカンを生成し得る酵素は、D
酵素である。
【0034】好適な実施態様においては、本発明の製造
方法に用いられる上記グルカンを生成し得る酵素は、固
定化された酵素である。
【0035】また、本発明は、少なくとも14個のα−
1,4−グルコシド結合により構成される環状構造を分
子内に1つ有するグルカンまたはその誘導体を少なくと
も1種含有する、飲食用組成物または食品添加用組成物
を提供する。
【0036】さらに、本発明は、少なくとも14個のα
−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造を
分子内に1つ有するグルカンまたはその誘導体を少なく
とも1種含有する、輸液を提供する。
【0037】さらに、本発明は、少なくとも14個のα
−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造を
分子内に1つ有するグルカンまたはその誘導体を少なく
とも1種含有する、接着用組成物を提供する。
【0038】さらに、本発明は、少なくとも14個のα
−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造を
分子内に1つ有するグルカンまたはその誘導体を少なく
とも1種、および、それらに包接または吸着される化合
物からなる、包接物または吸着物を提供する。
【0039】さらに、本発明は、少なくとも14個のα
−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造を
分子内に1つ有するグルカンまたはそれらの誘導体を、
少なくとも1種含有する、澱粉を提供する。
【0040】また、本発明は、少なくとも14個のα−
1,4−グルコシド結合により構成される環状構造を分
子内に1つ有するグルカンまたはそれらの誘導体を、少
なくとも1種含有する、澱粉の老化防止剤を提供する。
【0041】以上の記載の発明により、上記目的が達成
される。
【0042】以下、本発明を詳細に説明する。
【0043】本発明のグルカンは、少なくとも14個の
α−1,4−グルコシド結合により構成される環状構造
を分子内に1つ有するグルカンであり、具体的には、例
えば、図1に模式的に示される種々のグルカンが挙げら
れる。図1において、水平の直線および曲線は、α−
1,4−グルコシド結合でつながったグルカンの鎖を示
し、垂直の矢印は、α−1,6−グルコシド結合を示す
(以下の模式図における水平の直線および曲線、ならび
に垂直の矢印も同様である)。
【0044】上記のように、本発明のグルカンには、環
状構造のみを有するグルカン(以下、本発明の環状グル
カンという)と、さらに環状構造に加えて非環状構造を
有するグルカンとが含まれる。そしてこの環状構造に
は、α−1,4−グルコシド結合のみで構成される場合
と、α−1,4−グルコシド結合と少なくとも1個のα
−1,6−グルコシド結合で構成される場合とがある。
少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結合を環状構
造内部もしくは非環状構造部分に有するグルカンは、ア
ミロペクチンのような分枝構造を有するグルカンを基質
とした場合に生じる。
【0045】環状構造のみを有するグルカンは、環状構
造に加えて非環状構造を有するグルカンをα−1,4−
グルコシド結合及びα−1,6−グルコシド結合を非還
元性末端から切断するグルコアミラーゼ処理して得られ
る。あるいは直鎖状のα−1,4−グルカンまたは分枝
構造を有するグルカンを基質として用いて、直接得られ
る。
【0046】本発明のグルカンは、以下の性質を有す
る。
【0047】(1)非還元性末端のα−1,4−グルコ
シド結合およびα−1,6−グルコシド結合を加水分解
するエキソ型アミラーゼであるグルコアミラーゼ(東洋
紡(株))を作用させると、それ以上分解されない成分
(グルコアミラーゼ耐性成分)が残る。その成分は、脱
リン酸化酵素(シグマ社)を作用させた後にさらにグル
コアミラーゼを作用させても分解されない。
【0048】(2)上記グルコアミラーゼ耐性成分は、
澱粉中のα−1,6−グルコシド結合を加水分解するイ
ソアミラーゼ(株式会社林原生化学研究所)により、分
解され、グルコアミラーゼの作用を受けるようになる場
合がある。
【0049】(3)上記グルコアミラーゼ耐性成分は、
エンド型アミラーゼであるα−アミラーゼにより分解さ
れる。
【0050】本発明の環状グルカンのうち、α−1,6
−グルコシド結合を有せず、少なくとも14個のα−
1,4−グルコシド結合のみで構成される環状構造のみ
を有するグルカン(以下、本発明のα−1,4−グルコ
シド結合のみを有する環状グルカンという)は、以下の
性質を有する。
【0051】(1)還元性末端、非還元性末端が、いず
れも検出できない。
【0052】(2)非還元性末端のα−1,4−グルコ
シド結合を加水分解するエキソ型アミラーゼであるβ−
アミラーゼ(生化学工業株式会社)およびグルコアミラ
ーゼ(東洋紡(株))では分解されない。
【0053】(3)澱粉中のα−1,6−グルコシド結
合を加水分解するイソアミラーゼ(株式会社林原生化学
研究所)とプルラナーゼ(株式会社林原生化学研究所)
の併用、もしくはイソアミラーゼとプルラナーゼとβ−
アミラーゼの併用でも分解されない。
【0054】(4)澱粉分子内部のα−1,4−グルコ
シド結合を加水分解するエンド型アミラーゼであるα−
アミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社)により完全に
分解される。
【0055】(5)細菌糖化型α−アミラーゼ(ナガセ
生化学工業株式会社)で加水分解し、HPLCで分析す
ると、グルコース、マルトース、及び若干量のマルトト
リオースのみが得られる。すなわち、α−1,4−グル
コシド結合以外の結合は存在しない。
【0056】本発明の環状グルカンのうち、少なくとも
14個のα−1,4−グルコシド結合と少なくとも1つ
のα−1,6−グルコシド結合とにより構成される環状
構造のみを有するグルカン(以下、本発明のα−1,6
−グルコシド結合を有する環状グルカンという)は、以
下の性質を有する。
【0057】(1)還元性末端、非還元性末端が、いず
れも検出できない。
【0058】(2)非還元性末端のα−1,4−グルコ
シド結合を加水分解するエキソ型アミラーゼであるβ−
アミラーゼ(生化学工業株式会社)およびグルコアミラ
ーゼ(東洋紡(株))では分解されない。
【0059】(3)澱粉中のα−1,6−グルコシド結
合を加水分解するイソアミラーゼ(株式会社林原生化学
研究所)により、分解され、グルコアミラーゼの作用を
受けるようになる。
【0060】(4)澱粉中のα−1,4−グルコシド結
合を加水分解するエンド型α-アミラーゼ(ナガセ生化
学工業株式会社製)により、分解され、グルコアミラー
ゼの作用を受けるようになる。また、同エンド型αーア
ミラーゼを、α−1,6−グルコシド結合を有する環状
グルカンに作用させた場合の最小リミットデキストリン
は、イソマルトシルマルトース(IMM)であることが
知られている(Yamamoto,T.Handbook of amylase and
related enzymes, Pergamon press, p40-45(1988))。
上記本発明のα−1,6−グルコシド結合を有する環状
グルカンをエンド型αーアミラーゼで処理することによ
って、IMMが検出される。
【0061】本発明のグルカンの環状構造を構成するグ
ルコースの数は、少なくとも14であり、好ましくは、
14〜約5000個、更に好ましくは、17〜1000
個である。α−1,6−グルコシド結合を有する場合、
その数は少なくとも1個あればよく、通常1〜500
個、好ましくは1〜100個である。
【0062】前記還元性末端の定量は、Hizukuriら(198
1)Carbohydr.Res:94:205-213の改変パークジョンソン法
により、非還元性末端の定量はHizukuriら(1978)Carboh
ydr.Res:63:261-264の迅速スミス分解法により行い得
る。
【0063】前記エキソ型アミラーゼであるβ−アミラ
ーゼおよびグルコアミラーゼ、あるいは、イソアミラー
ゼ、プルラナーゼ、あるいは、エンド型アミラーゼであ
るα−アミラーゼによる分解は、例えば、本発明の少な
くとも14個のα−1,4−グルコシド結合により構成
される環状構造のみを有するグルカンを、0.1%(w/v)と
なるように蒸留水に溶解後、100μlをとり、上記分解酵
素をそれぞれ適当量加え、30ー45℃で数時間反応させ
る。この反応物を、DIONEX社の糖分析システム(送液シ
ステム:DX300、検出器:PAD-2、カラム:CarboPacPA10
0)にかけ、分析し得る。溶出は、例えば、流速:1m1/mi
n,NaOH濃度:150mM,酢酸ナトリウム濃度:0分-50mM、2分-50m
M、37分-350mM、45分-850mM、47分-850mMの条件で行
い、重合度および生じる糖を分析し得る。
【0064】本発明のグルカンまたはその誘導体からの
前記グルコアミラーゼ耐性成分の検出は、次のように行
い得る。例えば、本発明のグルカン100mgを5ml
の蒸留水に溶解させ、グルコアミラーゼを終濃度10単
位/mlとなるように添加し、40℃で一夜反応させ
る。この反応物を100℃で10分間加熱し、不溶物を
遠心分離により除去した後、10倍量のエタノールを添
加し、残存する多糖を遠心分離による沈澱として回収す
る。沈澱をさらに1mlの蒸留水に溶解し、グルコアミ
ラーゼを終濃度50単位/mlとなるように添加し、4
0℃で1時間反応させ、100℃で10分間加熱し、不
溶物を遠心分離により除去する。これに10倍量エタノ
ールを添加し沈澱を得る。本発明のグルカンの原料が一
部リン酸基により修飾されている澱粉などの原料の場合
は、得られた沈澱を10mM 炭酸緩衝液(pH9.
4、10mMのMgCl2および0.3mMのZnC12
を含む)に溶解し、20単位の脱リン酸化酵素(ウシ由
来、Sigma製)を添加し、40℃で24時間反応さ
せた後、10倍量エタノールを添加し、沈澱を回収す
る。再度蒸留水に溶解し、グルコアミラーゼを終濃度5
0単位/mlとなるように添加し、40℃で1時間反応
させ、10倍量のエタノールを添加し、グルコアミラー
ゼ耐性成分を沈澱として得ることができる。
【0065】本発明のグルカン中の非環状構造部分、α
−1,6−グルコシド結合を有する環状構造部分、およ
びα−1,4−グルコシド結合のみを有する環状構造部
分の定量は、以下のように行い得る。試料グルカン10
mgを1mlのDMSOに溶解した後、100mMの酢
酸ナトリウム緩衝液8mlを用いてすばやく希釈する。
この希釈液を900μlずつ4試料採り、それぞれの試
料に、100μlの蒸留水、グルコアミラーゼ液、枝切
り酵素とグルコアミラーゼとの混合液、およびエンド型
α−アミラーゼとグルコアミラーゼとの混合液をそれぞ
れ加えて、40℃で4時間反応させる。反応終了後、生
じたグルコースを、市販のグルコース定量キットを用い
て測定することにより、試料グルカン中の非環状構造部
分、α−1,6−グルコシド結合を有する環状構造部
分、およびα−1,4−グルコシド結合のみを有する環
状構造部分を計算により求めることができる。詳細は、
実施例で説明する。
【0066】本発明のグルカンの環状構造部分の重合度
は、クロマトグラフィーを用いて測定し得る。一般的
に、環状多糖は同じ重合度の直鎖多糖とはクロマトグラ
フィーにおける挙動が異なることが知られており、この
性質を用いて、環状であることの証明、及び環状多糖の
重合度の決定が行われ得る。例えば、D酵素を用いて反
応させて得られた本発明のα−1,4−グルコシド結合
のみを有する環状グルカンを上記のDIONEX社の糖分析シ
ステムで分離し、シングルピークの画分を取得し得る。
得られた画分を、例えば、0.1NのHClで100℃、30分間処
理し、この環状構造部分を部分的に加水分解したのち、
分解により生じた種々の重合度の直鎖のグルカンをDION
EX社の糖分析システムを用いて分析し、重合度を決定し
得る。詳細な分析方法は、実施例で述べる。
【0067】本発明のグルカンは、直鎖のα−1,4−
グルカンまたはこれらを含む糖類と、少なくとも14個
のα−1,4−グルコシド結合により構成される環状構
造を分子内に1つ有するグルカンを生成し得る酵素とを
反応させて得られる。このような活性を有する酵素であ
れば、いかなる酵素も使用し得る。本発明においては、
D酵素を用いることが好ましい。
【0068】D酵素は最初、馬鈴薯から発見されたが、
種々の植物、および大腸菌などの微生物に存在している
ことがわかっている。従って、D酵素はその起源は問わ
ず、植物由来の酵素をコードする遺伝子を大腸菌などの
宿主をもちいて発現せしめたものであっても使用し得
る。ここでは、馬鈴薯および大腸菌からのD酵素の精製
方法を例として開示するが、これに限られない。
【0069】馬鈴薯から、D酵素を精製する方法は、Ta
kahaら、J.Biol.Chem. vol.268, 1391-1396 (1993)に記
載されている。まず、馬鈴薯塊茎を5mMのメルカプトエ
タノールを含む適当な緩衝液中でホモジナイズし、遠心
分離して、0.45μmのメンブレンを通した後、Q-Sepharo
seカラムにかけ、例えば、5mM 2ーメルカプトエタノール
を含む20mMTris-HCl(pH7.5)(緩衝液A)に150mM NaCl
を含む緩衝液で洗浄する。D酵素は、450mMのNaClを含
む緩衝液Aに溶出する。これを、緩衝液Aに対して透析
し、500mM 硫酸アンモニウムを含む溶液をPhenyl Toyop
earl 650M(Toso)カラムにロードし、緩衝液A中の硫酸
アンモニウム濃度を500mMから0mMに変化させることによ
り溶出を行い、D酵素活性画分を集め、緩衝液Aに対し
て透析を行う。透析内液を緩衝液Aで平衡化したPL-SAX
カラム(Polymer Laboratory U.K.)にロードし、緩衝
液A中のNaCl濃度を150mM-400mMに変化させて溶出し、
D酵素活性画分を集める。上記の方法で馬鈴薯からD酵
素を精製し得る。酵素活性の測定は、実施例において詳
述する。
【0070】前出のTakahaら、J.Biol.Chem.vol.268,13
91-1396 (1993)には、馬鈴薯D酵素のcDNA配列(同1
394頁、Fig.3)、D酵素の組換プラスミドの作成(同1392
頁)、該組換えプラスミドの大腸菌における発現、およ
び組換え大腸菌からのD酵素の精製が開示されており、
組換え法で作成されるD酵素も当然に使用され得る。大
腸菌からD酵素を精製する方法は、例えば、まず、D酵
素の生産株である大腸菌TG−1株をLB液体培地を用
いて37℃で対数増殖期まで培養後、マルトースを終濃
度1%(w/v)となるように添加し、さらに37℃で
2時間培養する。遠心分離で集めた菌体を、前記緩衝液
Aに懸濁して超音波処理、遠心分離を行い、菌体抽出液
を得る。次に、例えば、緩衝液Aで平衡化したQ-Sephar
ose Fast Flow(Pharmacia)カラムにロードし、緩衝液A
中のNaCl濃度を0mMから500mMに変化させて溶出を行い、
D酵素活性画分を集める。活性画分に、終濃度1Mにな
るように硫酸アンモニウムを加えて放置し、遠心分離で
不溶性の沈澱を除去し、上清を1Mの硫酸アンモニウム
を含む緩衝液Aで平衡化したPhenyl Toyopearl 650M(To
so)カラムにロードする。緩衝液A中の硫酸アンモニウ
ム濃度を1Mから0mMに変化させることにより溶出を行
い、D酵素活性画分を集める。この画分を、緩衝液Aに
対して透析後、透析内液を緩衝液Aで平衡化したRes
ource Qカラム(Pharmacia)にロードし、緩衝液
Aの中のNaCl濃度を0mMから500mMに変化させることによ
り溶出を行い、D酵素を精製する。
【0071】D酵素は、上記のようにして精製され得る
が、澱粉分子内のα−1,4−グルコシド結合に作用す
るエンド型のアミラーゼ類が検出されなければ、上記い
ずれの精製段階の粗酵素であっても、本発明のグルカン
の合成に使用し得る。
【0072】また、本発明に用いる酵素は、精製酵素、
粗酵素を問わず、固定化されたものでも反応に使用し
得、反応の形式は、バッチ式でも連続式でもよい。固定
化の方法としては、担体結合法、(たとえば、共有結合
法、イオン結合法、あるいは物理的吸着法)、架橋法あ
るいは包括法(格子型あるいはマイクロカプセル型)が
使用され得る。
【0073】本発明のα−1,4−グルコシド結合のみ
を有する環状グルカンのみを得たい場合には、アミロー
ス、澱粉枝切り物、ホスホリラーゼによる酵素合成アミ
ロース、マルトオリゴ糖などのα−1,4−グルコシド
結合のみからなる直鎖のα−1,4−グルカンに、本発
明のグルカンに使用し得る上記酵素、例えばD酵素を作
用させて製造し得る。
【0074】また、アミロペクチン、グリコーゲン、澱
粉、ワキシー澱粉、ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、
デキストリン、澱粉加水分解物、ホスホリラーゼによる
酵素合成アミロペクチンなどのα−1,6−分岐構造を
有する糖類を原料にする場合で、本発明のα−1,4−
グルコシド結合のみを有する環状グルカンのみを得たい
場合には、本発明のグルカンに使用し得る上記酵素、例
えば、D酵素を直接原料に反応させて製造し得る。ある
いは、α−1,6−グルコシド結合を切断するが、α−
1,4−グルコシド結合を切断しない酵素、例えばイソ
アミラーゼ、プルラナーゼの存在下または非存在下で、
上記糖類を本発明のグルカンに使用し得る上記酵素、例
えばD酵素と反応させて製造し得る。
【0075】例えば、図2に示すように、還元末端(1
1)を有するアミロース(12)とD酵素とを反応させ
て、上記α−1,4−グルコシド結合のみを有する環状
グルカン(13)を作成した後、グルコアミラーゼを添
加して、非環状グルカンを非還元末端から順次加水分解
する。次にエタノールを加えて環状グルカンを沈澱とし
て回収したのち凍結乾燥し、α−1,4−グルコシド結
合のみを有する環状グルカン(13)を得る。
【0076】あるいは、還元末端(11)を有するアミ
ロペクチン(14)とα−1,6−グルコシド結合を切
断するイソアミラーゼとD酵素とを同時に反応させて、
上記α−1,4−グルコシド結合のみを有する環状グル
カン(13)を作成した後、グルコアミラーゼを添加し
て非還元末端から順次加水分解を行う。次にエタノール
を加えて環状グルカンを沈澱として回収したのち凍結乾
燥し、α−1,4−グルコシド結合のみを有する環状グ
ルカン(13)を得る。
【0077】あるいは、還元末端(11)を有するアミ
ロペクチン(14)にD酵素を反応させることにより、
α−1,4−グルコシド結合のみを有する環状グルカン
(13)と、α−1,4−グルコシド結合のみにより構
成される環状構造と非環状構造部分とを有するグルカン
(18)と、少なくとも14個のα−1,4−グルコシ
ド結合および少なくとも1個のα−1,6−グルコシド
結合により構成される環状構造を分子内に1つ有するグ
ルカン(15)とを調製した後、グルコアミラーゼ、イ
ソアミラーゼを反応させる。さらに、プルラナーゼを反
応させ得る。次いで、エタノールを添加して、環状グル
カンを沈殿させ、この沈殿を回収した後凍結乾燥するこ
とにより、α−1,4−グルコシド結合のみを有する環
状グルカン(13)を得る。
【0078】さらに、本発明の少なくとも14個のα−
1,4−グルコシド結合と少なくとも1個のα−1,6
−グルコシド結合により構成される環状構造を分子内に
1つ有するグルカン(以下、本発明のα−1,6−グル
コシド結合を有するグルカンという)は、アミロペクチ
ン、グリコーゲン、澱粉、ワキシー澱粉、ハイアミロー
ス澱粉、可溶性澱粉、デキストリン、澱粉加水分解物、
ホスホリラーゼによる酵素合成アミロペクチンなどのα
−1,6−分岐構造を有する原料に、本発明のグルカン
に使用し得る上記酵素、例えばD酵素を作用させて製造
し得る。
【0079】例えば、図3に示すように、還元末端(1
1)を有するアミロペクチン(14)にD酵素を反応さ
せて、上記の少なくとも14個のα−1,4−グルコシ
ド結合と少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結合
により構成される環状構造を分子内に1つ有するグルカ
ン(15)と、α−1,4−グルコシド結合のみを有す
る環状グルカン(13)と、α−1,4−グルコシド結
合のみにより構成される環状構造と非環状構造部分とを
有するグルカン(18)とを作成した後、ゲル濾過クロ
マトグラフィーにより、上記の少なくとも14個のα−
1,4−グルコシド結合と少なくとも1個のα−1,6
−グルコシド結合とにより構成される環状構造を分子内
に1つ有するグルカン(15)を分離し得る。このグル
カン(15)に、グルコアミラーゼを添加して非環状構
造部分を非還元末端から順次加水分解する。加水分解後
に、エタノールを加えて環状グルカンを沈澱として回収
したのち凍結乾燥し、少なくとも1個のα−1,6−グ
ルコシド結合を有する環状構造のみで形成されるグルカ
ン(16)を得る。
【0080】本発明に用いられ得る直鎖のα−1,4−
グルカンまたはこれを有する糖類としては、マルトトリ
オース、マルトテトラオース、マルトペンタオースなど
のマルトオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン、グリ
コーゲン、澱粉、ワキシー澱粉、ハイアミロース澱粉、
可溶性澱粉、デキストリン、澱粉枝きり物、澱粉部分加
水分解物、ホスホリラーゼによる酵素合成澱粉、および
これらの誘導体などが挙げられる。これらは、単独でも
よく、あるいは組み合わせても使用し得る。ここで、澱
粉枝きり物とは、澱粉にあるα−1,4−グルコシド結
合以外の結合を酵素的に全部あるいは一部を切断して得
られる物をいう。また、澱粉部分加水分解物とは、澱粉
にあるα−1,4−グルコシド結合の一部を酵素的に、
もしくは化学的に切断して得られるものをいい、例え
ば、重合度が100程度以上のアミロペクチン、重合度
が20程度以上のアミロースなどが原料として用いられ
得る。
【0081】また、本発明に用いられ得る直鎖のα−
1,4−グルカンまたはこれを有する糖類と、少なくと
も14個のα−1,4−グルコシド結合により構成され
る環状構造を分子内に1つ有するグルカンを生成し得る
酵素との反応は、ホスホリラーゼおよびグルコース−1
−リン酸の存在下で行い得る。ホスホリラーゼは、グル
コース−1−リン酸が過剰に存在する場合には、α−
1,4−グルカン鎖の伸張反応を触媒する。このため、
上記原料のα−1,4−グルカン鎖が、上記酵素の環状
化反応を受けるには充分な長さを有していない場合に
は、ホスホリラーゼおよびグルコース−1−リン酸を共
存させることにより、本発明のグルカンの収量を増加さ
せることが可能である。
【0082】さらに、原料には、上記澱粉あるいは澱粉
の部分分解物の誘導体も用い得る。例えば、上記澱粉の
アルコール性の水酸基の少なくとも1つが、エーテル化
(カルボキシメチル化、ヒドリキシアルキル化等)、エ
ステル化(リン酸化、アセチル化、硫酸化等)、架橋化
またはグラフト化された誘導体なども用いられ得る。さ
らに、これらの2種以上の混合物も原料として用い得
る。
【0083】上記原料と本発明に使用し得る酵素との反
応は、本発明のグルカンが生成するpH、温度などの条
件であれば、いずれをも使用し得る。
【0084】D酵素を例にとれば、反応のpHは、通
常、3から10、反応速度、効率、酵素の安定性などの点
から、好ましくは4から9、さらに好ましくは、6から8で
ある。温度は、約10℃から90℃、反応速度、効率、酵素
の安定性などの点から、好ましくは約20℃から60℃、さ
らに好ましくは、30℃から40℃の範囲である。耐熱性の
微生物などから得られる酵素を用いる場合は、50℃から
90℃の高温で使用し得る。上記原料の濃度(基質濃度)
も、使用する基質の重合度、反応条件を考慮して決定し
得る。通常、0.1%から30%程度、反応速度、効率、基
質溶液の取り扱い易さなどの点から、好ましくは0.1%
から10%、さらに好ましくは溶解度などを考慮すると0.5
%から5%である。使用する酵素の量は、反応時間、基
質の濃度との関係で、決定され、通常は、約1時間から
48時間で反応が終了するように酵素量を選ぶのが好ま
しく、基質1gあたり、通常50〜10,000単位、
好ましくは70〜2,500単位、より好ましくは40
0〜2,000単位である。
【0085】本発明のグルカンは、それ自体は公知の手
法を適用して分離、精製し得る。例えば、本発明のグル
カンは、上記の反応が終了した後、溶媒による沈澱、膜
による分離、クロマトグラフィーによる分離などによ
り、分離、精製され得る。好ましくは、反応液を加熱し
て、あるいはそのまま精製する。本発明のα−1,4−
グルコシド結合のみを有する環状グルカンは、エキソ型
のβ−アミラーゼあるいはグルコアミラーゼを添加し
て、残存する直鎖のα−1,4−グルカンを分解して得
られる。澱粉などの分枝多糖を原料として用いた場合に
は、エキソ型のβ−アミラーゼあるいはグルコアミラー
ゼと、α−1,6−グルコシド結合を切断する酵素とを
併用して、環状α−1,4−グルカンのみが残るように
反応させる。その後、溶媒を用いる沈澱、膜分離、クロ
マト分離などの分離、精製手段が適用され得る。
【0086】また、本発明のグルカンは、容易に、エー
テル化、エステル化、架橋化、およびグラフト化するこ
とができ、誘導体とし得、上記目的、用途に使用し得
る。誘導体化の方法としては、通常、澱粉の修飾に用い
られる方法が用いられ得る(生物化学実験法19,「澱
粉・関連糖質実験法」:中村ら、学会出版センター、19
86年 273〜303頁)。リン酸化の例としては、本発明の
グルカンをジメチルホルムアミド中でオキシ塩化リンと
反応させることにより、リン酸化した本発明のグルカン
の誘導体を得る。
【0087】以上のようにして得られた新規な化合物で
ある本発明のグルカンは、既存の澱粉、アミロース、お
よびアミロペクチンと比べて、水に対する溶解度が大き
く改善されており、その水溶液は、既存の澱粉、アミロ
ース、およびアミロペクチンの水溶液において観察され
る老化が起こらないという優れた性質を有する。また本
発明のグルカンは、既存の澱粉の老化を抑制し、もしく
は防止する効果を有する。さらに、その水溶液は既存の
澱粉などの水溶液に比較して、粘度が低いという優れた
性質を有する。さらに、本発明のグルカンは反応性が低
いためタンパク質やアミノ酸と混合して加熱したとき、
既存の水飴、およびデキストリンと比較して、着色しに
くいという優れた性質を有している。また、本発明のグ
ルカンは様々な物質を包接もしくは吸着するという優れ
た性質を有している。また本発明のグルカンはグルコー
スがα−1,4−およびα−1,6−グルコシド結合で
連結しただけの、通常の澱粉とおなじ基本的構造を持つ
ことから、生体内の酵素により容易にグルコースに分解
されることができるため、消化性に優れ、エネルギー変
換効率が高い。
【0088】これらの性質により、本発明のグルカン
は、従来澱粉、デキストリンなどが使用できる食品のす
べてに使用することが可能であり、ほとんど全ての飲食
用組成物または食品添加物用組成物に使用することがで
きる。この飲食用組成物とは、ヒトの食品、動物飼料、
ペットフードを総称するものである。すなわち、コーヒ
ー、紅茶、日本茶、ウーロン茶、ジュース、スポーツド
リンクなどの液体および粉末の飲料類、パン、クッキ
ー、クラッカー、ビスケット、ケーキ、ピザ、パイなど
のベーカリー類、スパゲッテイー、マカロニなどのパス
タ類、うどん、そば、ラーメンなどの麺類、キャラメ
ル、ガム、チョコレートなどの菓子類、おかき、ポテト
チップス、スナックなどのスナック菓子類、アイスクリ
ーム、シャーベットなどの冷菓類、クリーム、マーガリ
ン、チーズ、粉乳、練乳、乳飲料などの乳製品、ゼリ
ー、プリン、ムース、ヨーグルトなどの洋菓子類、饅
頭、ういろ、モチ、おはぎなどの和菓子類、醤油、た
れ、麺類のつゆ、ソース、ダシの素、シチューの素、ス
ープの素、複合調味料、カレーの素、マヨネーズ、ドレ
ッシング、ケチャップなどの調味料類、カレー、シチュ
ー、スープ、どんぶりの素などのレトルトもしくは缶詰
食品、ハム、ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、ピ
ラフ、おにぎりなどの冷蔵食品および冷凍食品、ちく
わ、かまぼこなどの水産加工食品、おにぎり、弁当のご
飯、寿司めし等の米飯類、その他、餃子の皮、シュウマ
イの皮にも効果的に利用できる。さらに、消化性の高さ
を利用して、乳児用ミルク、離乳食、ベビーフード、ペ
ットフード、動物用飼料、スポーツ飲料、スポーツ食
品、栄養補助食品などに使用し得る。
【0089】本発明のグルカンは、輸液に使用すること
ができる。
【0090】本発明のグルカンは、接着用組成物に使用
することができる。本発明のグルカンは、接着性および
粘着性を有する。従って、従来、澱粉あるいはデキスト
リン又はこれらの誘導体が使用される接着分野に利用可
能である。接着用組成物には、例えば、製紙、紙加工業
における表面サイズ剤、コーティング剤、層間接着剤な
ど、食品工業における結着剤など、繊維、建材工業にお
ける糊剤、粘結剤などが含まれる。
【0091】本発明のグルカンは様々な物質を包接ある
いは吸着する。サイキロデキストリンや既存のアミロー
スにも包接、吸着能力を有するが、本発明のグルカンは
水に対する溶解度がアミロースやサイクロデキストリン
に比べて著しく高いため、より広い応用範囲が期待でき
る。さらにサイクロデキストリンよりも重合度が著しく
高いため、サイクロデキストリンとは異なるゲスト特異
性を有していると考えられる。物質はアミロースやサイ
クロデキストリンに包接もしくは吸着されることにより
その性質が変化したり、新たな性質を獲得したりでき
る。例えば、溶解度の向上、揮発性物質の不揮発化、不
安定物質の安定化、不快臭のマスキングなどがよく知ら
れている。本発明のグルカンに吸着あるいは包接させる
物質としては特に制限なく、たとえばわさび、醤油、お
茶、さんしょ、ゆず、香料、調味料、色素などの食品、
メントール、リノール酸などの医薬品がある。このよう
にしてできた包接物または吸着物は食品、医薬品として
用いることができる。例えば、上記のような食品、およ
び入浴剤、飲み薬、粉末薬などの医薬品に利用可能であ
る。
【0092】本発明のグルカンは、糊液の粘度の低さに
注目して、生物崩壊性プラスチックの原料や、澱粉から
たとえばサイクロデキストリンを製造する際の中間物質
など、澱粉加工工業における原料として使用することが
できる。
【0093】
【実施例】以下に、本発明のグルカンについて、実施例
を挙げて具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実
施例に限定されるものではない。
【0094】(実施例1:D酵素の調製)Takahaら、J.
Biol.Chem. vol.268, 1391-1396 (1993)に記載されてい
る方法でD酵素を精製した。まず、馬鈴薯塊茎を5mMの
2−メルカプトエタノールを含む20mMTrisーHCl(pH7.
5)緩衝液(緩衝液A)中でホモジナイズし、遠心分離
して、0.45μmのメンブレンを通した後、Q-Sepharoseカ
ラム(16X100mm ファルマシア)にかけ、150mM NaClを含む緩
衝液Aで洗浄した。D酵素は、450mMのNaClを含む緩衝
液Aに溶出した。溶出後、緩衝液Aに対して透析し、最
終濃度が500mMとなるように硫酸アンモニウムを加え
た。この溶液をPhenyl Toyopearl 650M(Toso)カラム(1
0X100mm)にロードし、緩衝液A中の硫酸アンモニウム
濃度を500mMから0mMに変化させることにより溶出を行っ
た。D酵素活性画分を集め、緩衝液Aに対して透析を行
い、透析液をAmicon Centricon 30マイクロコンセント
レーターを用いて濃縮し、PL-SAX HPLCカラム(Polymer
Laboratory U.K.)にかけ、緩衝液A中150ー400mMのNaC
l直線濃度勾配をかけて溶出し、活性画分を集めて上記A
miconCentricon 30マイクロコンセントレーターで濃縮
した。
【0095】酵素活性の測定は、100mMTris-HCl(pH7.
0)、5mM 2-メルカプトエタノール、1%(W/V)マルト
トリオース、および酵素を含む100μlの反応混合液を37
℃、10分間、反応させ、反応液を沸騰水中で3分間加熱
して、反応を停止し、反応により遊離したグルコースを
グルコースオキシダーゼを用いる方法(Barhamら(1972)
Analyst97:142)により定量した。1分間に1μmolのグル
コースを生じる酵素量を1単位とした。
【0096】(実施例2:本発明のα−1,4−グルコ
シド結合のみを有する環状グルカンの調製)市販のアミ
ロース(平均分子量30,000)500mgを1N-NaOH 10mlに完
全に溶解させた後、1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)10ml、蒸留
水20ml、1N-塩酸10mlを順に加えアミロース溶液をつく
った。このアミロース溶液に馬鈴薯由来D酵素200単位
を加えて30℃において24時間反応させた。
【0097】反応液を遠心分離後、上清を100℃、5分間
処理し、再び遠心分離して変性した酵素蛋白質を除い
た。上清にβアミラーゼ約100単位およびグルコアミラ
ーゼ100単位を加えて50℃において3時間反応させた後、
10倍量のエタノールを加えて、沈澱させた。この沈澱
を凍結乾燥し、粉末約400mgを得た。
【0098】(実施例3:本発明のα−1,4−グルコ
シド結合のみを有する環状グルカンの調製)市販の可溶
性澱粉500mgを1N-NaOH 10mlに完全に溶解させた後、1M
トリス塩酸緩衝液(pH7.5) 10ml、蒸留水20ml、1N-塩酸1
0mlを順に加え澱粉溶液をつくった。この澱粉溶液に市
販のイソアミラーゼ10単位と馬鈴薯由来D酵素200単位と
を加えて30℃において24時間反応させた。
【0099】反応液を遠心分離後、上清を100℃、5分間
処理し、再び遠心分離して変性した酵素蛋白質を除い
た。上清にβアミラーゼ約100単位およびグルコアミラ
ーゼ100単位を加えて50℃において3時間反応させた後、
10倍量のエタノールを加えて、環状アミロースを沈澱
させた。この沈澱を凍結乾燥し、α−1,4−グルコシ
ド結合のみを有する環状グルカンの粉末約150mgを得
た。
【0100】(実施例4:本発明のα−1,4−グルコ
シド結合のみを有する環状グルカンの調製)市販のアミ
ロース(平均分子量320000)20mgをDMSO
1mlに完全に溶解させた後、実施例1で精製したD酵
素68単位を含む20mMクエン酸緩衝液(pH.7.
0)9mlを添加し、30℃で10分、20分、30
分、2時間、6時間、および18時間反応させた。反応
液を100℃で10分間加熱した後、遠心分離により変
性した酵素タンパク質を除いた。上清1mlに5単位の
グルコアミラーゼを添加し40度で4時間反応させ非環
状のアミロースを除いた。再び反応液を100℃で10
分間加熱したのち、遠心分離により変性した酵素タンパ
クを除き、その上清250μlに10倍量のエタノール
を加えて環状グルカンを沈殿させた。
【0101】(実施例5:α−1,4−グルコシド結合
のみを有する環状グルカンであることの確認) (1)還元性末端、非還元性末端の定量 実施例2で得られた粉末の還元性末端の定量は、Hizuku
riら(1981)Carbohydr.Res:94:205-213のパークジョンソ
ン変法により行った。非還元性末端の定量は、Hizukuri
ら(1978)Carbohydr.Res:63:261-264の迅速スミス分解法
により行った。その結果、還元性末端、非還元性末端
は、両者とも検出できなかった。
【0102】(2)エキソ型酵素およびα−1,6−グル
コシド結合分解酵素による消化 実施例2で得られた粉末を、0.1%(w/v)となるように蒸
留水に溶解後、本物質水溶液100μlに、以下に示した澱粉
分解酵素それぞれ1単位を加え40℃で2時間反応させた。
この反応物をDIONEX社の糖分析システム(送液システ
ム:DX300、検出器:PAD-2、カラム:CarboPacPA100)によ
り分析した。溶出は流速:1m1/min,NaOH濃度:150mM,酢酸ナ
トリウム濃度:0分-50mM、2分-50mM、37分-350mM(Gradient
curve No.3)、45分-850mM(Gradient curve No.7)、4
7分-850mMの条件で行った。その結果を図4に示す。
【0103】図4に示したように、実施例2で得られた
粉末は、澱粉分子の非還元性末端のα−1,4−グルコ
シド結合を加水分解するエキソ型アミラーゼであるβ−
アミラーゼ(生化学工業株式会社)およびグルコアミラ
ーゼ(Toyobo Co.,Ltd.)では分解されなかった。ま
た、澱粉中のα−1,6−グルコシド結合を加水分解す
るイソアミラーゼ(株式会社林原生化学研究所)とプル
ラナーゼ(株式会社林原生化学研究所)の併用、もしく
はイソアミラーゼとプルラナーゼとβ−アミラーゼとの
併用でも分解されなかった。しかしこの粉末は、澱粉分
子内部のα−1,4−グルコシド結合を加水分解するエ
ンド型アミラーゼであるα−アミラーゼ(ナガセ生化学
工業株式会社)により完全に分解された。
【0104】(3)エンド型酵素による消化 実施例2で得られた粉末を0.1%(W/V)となるように蒸留
水に溶解後、この水溶液100μlに、細菌糖化型α−アミ
ラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社)1単位を加え、40
℃で2時間反応させた。この反応物をHPLCで分析したと
ころ、グルコース、マルトース、および若干量のマルト
トリオースのみが得られた。このことから、上記実施例
2で得られた粉末には、α−1,4−グルコシド結合以
外の結合は存在しないことが証明され、得られた粉末
が、α−1,4−グルコシド結合のみを有する環状グル
カンであることがわかった。
【0105】同様の確認を行った結果、実施例3および
4で得られた粉末も、α−1,4−グルコシド結合のみ
を有する環状グルカンであることがわかった。
【0106】(実施例6:α−1,4−グルコシド結合
のみを有する環状グルカンの重合度の測定)一般的に、
環状多糖は同じ重合度の直鎖多糖と種々のクロマトグラ
フィーにおける挙動が異なることが知られている。この
性質を用いて、環状であることの証明および環状多糖の
重合度の決定を行った。
【0107】(1)特定の重合度を有するα−1,4−グ
ルコシド結合のみを有する環状グルカンの精製 実施例
2で得られた物質は種々の重合度のα−1,4−グルコ
シド結合のみを有する環状グルカンの混合物であると考
えられるので、上記特定の重合度を有する環状グルカン
の精製を行った。
【0108】図5−1には、実施例2で得られた物質10
0μgを、DIONEX社の糖分析システム(装置および溶出条
件は前記と同じ)により分析した際の溶出パターンを示
す。図5−2には、同じ溶出条件における、直鎖α−
1,4−グルカンの溶出パターンを示す。
【0109】この図5−1に示される検出可能な最も早
く溶出されたピークをA、それに続くピークをそれぞれ
B、C、D・・・Lとし、このうちGからLのピークを
分取し、精製した。
【0110】(2)酸加水分解物の分析 分取したGからLのピークをそれぞれ0.1NのHClで100
℃、30分間、加水分解した。この条件は部分加水分解の
条件である。分解物をDIONEX社の糖分析システム(装置
および溶出条件は実施例5と同じ)で分析した。図6
に、これらの結果を示す。
【0111】上記ピークGの画分は、酸による部分加水
分解を受け、グルコースおよび重合度2から23の直鎖
α−1,4−グルカンに分解された。
【0112】酸分解前のピークGは、直鎖のα−1,4
−グルカンの重合度20の当りに溶出されており、分解
物の方が分解前の物より高重合度の位置に溶出されると
いう現象が見いだされた。この現象はそのほかのHから
Lのピークにおいても見いだされ、このことは、Gから
Lのピークがα−1,4−グルコシド結合のみを有する
環状グルカンであることを示唆していると考えられる。
【0113】前述の部分加水分解の実験において検出さ
れた最も重合度の大きな直鎖のα−1,4−グルカン
が、それぞれのピークのα−1,4−グルコシド結合の
みを有する環状グルカンの重合度をあらわすと考えられ
る。従って、ピークのG、H、I、J、K、Lの重合度
は、順にそれぞれ、23、24、25、26、27およ
び28であることが解った。また、この結果から推定す
ると、最小の重合度のα−1,4−グルコシド結合のみ
を有する環状グルカンであるピークAの重合度は、17
であると考えられる。
【0114】他方、より高重合度のα−1,4−グルコ
シド結合のみを有する環状グルカンの重合度は、ゲル濾
過クロマトグラフィーにより分析し得る。実施例4にお
いて、それぞれの反応時間に得られた、α−1,4−グ
ルコシド結合のみを有する環状グルカンの粉末を250
ulの蒸留水に溶解し、その全量をSuperose6
(φ1cm×30cm、ファルマシア製)とSuper
ose30(φ1cm×30cm、ファルマシア製)を
連結したカラムにロードし、150mM酢酸ナトリウム
水溶液を用いて溶出させた。
【0115】その結果、図7に示したように、D酵素の
反応時間が10分のサンプルでは、生成されたα−1,
4−グルコシド結合のみを有する環状グルカンの平均分
子量は約70,000であった。D酵素の反応時間が長
くなるにつれ、生成されているα−1,4−グルコシド
結合のみを有する環状グルカンの分子量は低下してい
る。しかし、反応時間6時間以降は、平均分子量が約1
5000から変化しておらず、これ以上の低分子化は起
こらなかった。なお、環状グルカンの分子量は、酵素合
成アミロースをスタンダードとして用いて算出した値で
ある。
【0116】このように、D酵素により生成されるα−
1,4−グルコシド結合のみを有する環状グルカンの重
合度は、基質として用いるアミロースの重合度、D酵素
量、反応時間により、17から数百の範囲で任意にコン
トロールが可能であることがわかった。
【0117】(実施例7:本発明のグルカンの調製)市
販のワキシーコーンスターチ40mgを2mlのDMS
O(ジメチルスルフォキシド)に懸濁した後、実施例1
で精製したD酵素680単位を含む20mMクエン酸緩
衝液(pH7.0)18mlを添加し、30℃で40時
間反応させた。
【0118】反応液を100℃で10分間加熱した後、
遠心分離により変性した酵素タンパクを除去した。上清
に10倍量のエタノールを添加し、グルカンを沈澱させ
た。次いで、得られた沈殿を凍結乾燥し、本発明のグル
カンの粉末約40mgを得た。この粉末は、本発明のα
−1,4−グルコシド結合のみを有するグルカンと、本
発明のα−1,6−グルコシド結合を有するグルカン
と、本発明のα−1,4−グルコシド結合のみで構成さ
れた環状構造と非環状構造部分とを有するグルカンとの
混合物であった。
【0119】(実施例8:本発明の少なくとも1個のα
−1,6−グルコシド結合を環状構造部分または非環状
構造部分に有するグルカンの調製)実施例7で得た沈澱
をゲル濾過クロマトグラフィーで分画した。沈澱を25
0μlの蒸留水に溶解し、Superose6(φ1c
m×30cm、ファルマシア製)とSuperdex3
0(φ1cm×30cm、ファルマシア製)を連結した
カラムにその全量をロードした。次いで、150mM酢
酸ナトリウム水溶液を用いて溶出を行った。図8に示す
ように、ボイドボリュームに溶出されていたアミロペク
チンはD酵素の反応により低分子化され、平均分子量が
約30000であるピークIおよび平均分子量が約30
00であるピークIIの2種類の成分が生成した。このう
ち分子量約3000であるピークIIは、主としてα−
1,4−グルコシド結合のみを有する環状グルカンであ
った。一方、平均分子量が約30000であるピークI
は、α−1,6−グルコシド結合を有するグルカンであ
った。ピークIの画分を分取し、これに10倍量のエタ
ノールを加えてα−1,6−グルコシド結合を有するグ
ルカンを沈澱させた。沈澱は遠心分離して回収後、凍結
乾燥した。このようにしてα−1,6−グルコシド結合
を有するグルカン20mgを得た。なお、環状グルカン
の分子量は、酵素合成アミロースをスタンダードとして
用いて算出した値である。
【0120】(実施例9:本発明のα−1,4−グルコ
シド結合のみを有する環状グルカンの調製)5mMのア
デノシンモノフォストフェートを含む100mMクエン
酸緩衝液(pH7.0)10mlにマルトヘキサオース
20mgおよびグルコース1リン酸200mgを溶解さ
せ、さらに、実施例1で調製したD酵素20単位とホス
ホリラーゼa(Sigma)1mgとを加えて30℃で
2時間反応させた。
【0121】反応液を遠心分離後、上清を100℃で5
分間処理し、再び遠心分離して変性した酵素タンパク質
を除いた。上清にグルコアミラーゼ50単位を加えて、
直鎖状のアミロースをグルコースまで分解した後、10
倍量のエタノールを加えて、環状アミロースを沈殿させ
た。この沈殿には、約30mgのα−1,4−グルコシ
ド結合のみを有する環状グルカンが含まれていた。さら
に、ゲル濾過クロマトグラフィーを行うことにより、こ
の沈殿中に存在するグルコース1リン酸を除去した。
【0122】(実施例10:実施例8の物質が少なくと
も1個のα−1,6−グルコシド結合を有する環状構造
部分を含むことの確認)グルコアミラーゼは、澱粉など
のグルカンの非還元末端から順次α−1,4−グルコシ
ド結合を加水分解する酵素である。速度は遅いが、非還
元末端からα−1,6−グルコシド結合を加水分解し得
ることが知られている。図9に示したように、環状構造
を有しないアミロースおよびアミロペクチンは、グルコ
アミラーゼにより完全にグルコース(17)にまで分解
される。しかし、分子内に環状構造を有するグルカン
(15)および(13)は、その非環状構造部分のみが
グルコアミラーゼにより分解され、環状構造のみがグル
コアミラーゼにより分解され、環状構造部分は、グルコ
アミラーゼでは分解を受けない物質(以下、グルコアミ
ラーゼ耐性成分という)として残る。さらに、このグル
コアミラーゼ耐性成分は、澱粉枝切り酵素に対する感受
性によって、α−1,6−グルコシド結合を有する環状
グルカン(16)とα−1,4−グルコシド結合のみを
有する環状グルカン(13)とに分類することができ
る。即ち、枝切り酵素およびグルコアミラーゼの併用に
よって分解されないグルコアミラーゼ耐性成分は、α−
1,4−グルコシド結合のみを有する環状グルカン(1
3)であると考えられる。一方、枝切り酵素およびグル
コアミラーゼの併用によって分解されるグルコアミラー
ゼ耐性成分は、α−1,6−グルコシド結合を有する環
状グルカン(16)であると考えられる。しかし、枝切
り酵素およびグルコアミラーゼの併用によって分解され
ない、α−1,4−グルコシド結合のみを有する環状グ
ルカン(13)は、エンド型α−アミラーゼとグルコア
ミラーゼを併用することにより完全にグルコースまで分
解され得る。これらの性質を利用することにより、試料
グルカンの中の非環状構造部分、α−1,6−グルコシ
ド結合を有する環状構造部分、およびα−1,4−グル
コシド結合のみを有する環状構造部分を定量することが
可能となる。
【0123】この方法を用いて、実施例8で得られたグ
ルカンおよびアミロペクチンの環状構造の定量を行っ
た。表1に、この方法を用いて、実施例8で得られたグ
ルカンおよびアミロペクチンの環状構造の定量を行った
結果を示す。
【0124】
【表1】
【0125】実施例8で得られた物質10mgまたはア
ミロペクチン10mgを、1mlのDMSOに溶解した
後、100mMの酢酸ナトリウム緩衝液8mlを用い
て、すばやく希釈した。この希釈液を900μlずつ4
本のチューブに分注した。次いで、それぞれのチューブ
に(1)蒸留水、(2)グルコアミラーゼ液、(3)枝
切り酵素とグルコアミラーゼの混合液、および(4)エ
ンド型α−アミラーゼとグルコアミラーゼの混合液をそ
れぞれ100μl加えて40℃、4時間反応させた。反
応終了後、生成したグルコースを市販のグルコース定量
キットを用いて測定した。そして、試料グルカン中の非
環状構造部分、α−1,6−グルコシド結合を有する環
状構造部分およびα−1,4−グルコシド結合のみを有
する環状構造部分を、それぞれ以下の計算式により求め
た。
【0126】
【数1】
【0127】ここで、c、x、y、およびzはそれぞ
れ、(1)、(2)、(3)、および(4)の反応液か
ら生じたグルコース量である。この結果から、実施例8
で得られた物質は、少なくとも1個のα−1,6−グル
コシド結合を含む環状構造を有するグルカンを含んでい
ることがわかった。
【0128】(実施例11:実施例8の物質の環状構造
部分の重合度の測定)実施例8で得た物質10mgを1
mlのDMSOに溶解させた後、1M酢酸ナトリウム緩
衝液(pH5.5)1ml、蒸留水8ml、および20
0単位のグルコアミラーゼを添加し、40℃で1時間反
応させた。100℃で10分間加熱した後、変性した酵
素を遠心分離によって除去した。上清に10倍のエタノ
ールを添加して多糖を沈澱させた後、沈殿を乾燥した。
得られた多糖を1mlの蒸留水に溶解させた。この溶液
に50単位のグルコアミラーゼを添加し、40℃で1時
間反応させた。反応液を100℃で10分間加熱した
後、変性した酵素を遠心分離により除去した。上清に1
0倍量のエタノールを添加し、生じた沈澱を乾燥させ
て、グルコアミラーゼ耐性成分(環状構造部分)の粉末
1.1mgを得た。
【0129】上記のようにして得られたグルコアミラー
ゼ耐性成分を、0.4%(w/v)になるように蒸留水
に溶解した後、Dionex社の糖分析システム(送液システ
ム:DX300、検出器:PAD−2、カラム:CarboP
acPA100)を用いて分析した。溶出は、流速:1ml/
min、NaOH濃度:150mM、酢酸ナトリウム濃
度:0分-50mM、2分-50mM、37分-350m
M(Gradient curve No.3)、45分-850mM(Gra
dient curve No.7)、47分-850mMの条件で行っ
た。
【0130】重合度を比較するためのマーカーとして、
直鎖のα−1,4−グルカン、および、実施例2で得ら
れたα−1,4−グルコシド結合のみを有するグルカン
も同じ条件で分析した。
【0131】図10に示したように、得られたグルコア
ミラーゼ耐性成分では、直鎖のα−1,4−グルカンお
よびα−1,4−グルコシド結合のみを有するグルカン
において得られたようにきれいな分離パターンが得られ
なかった。これは、このグルコアミラーゼ耐性成分が様
々な個数のα−1,6−グルコシド結合を含んでいるこ
とを示唆している。しかし、最も小さいと考えられるピ
ーク(矢印)が、直鎖のα−1,4−グルカンの重合度
15の位置に対応すること、および実施例6で示したよ
うに、環状構造を有するグルカンは同じ重合度の直鎖状
グルカンよりも速く溶出されることを考えると、最も小
さいと考えられる、少なくとも1つのα−1,6結合を
有する環状構造部分の重合度は、少なくとも15である
と考えられた。
【0132】(実施例12:本発明のグルカンの溶解
性)実施例2および実施例8で得られたグルカン、なら
びに、比較品であるアミロース、ワキシーコーンスター
チ、および可溶性澱粉(和光純薬)を、それぞれ10%
(w/v)となるように蒸留水に懸濁し、vortexミキサ
ーにて激しく撹拌した後、遠心分離し、0℃、30℃、
60℃、100℃で上清に溶解した糖濃度を測定した。
結果を表2に示す。
【0133】
【表2】
【0134】従来の澱粉にくらべ、実施例のグルカンは
いずれも顕著に溶解性が高いことが示された。
【0135】(実施例13:本発明のグルカンの老化性
試験)実施例2および実施例8で得られたグルカン、な
らびに、比較品であるアミロース、ワキシーコーンスタ
ーチ、および可溶性澱粉(和光純薬)を、それぞれ20
0mgをスクリューバイアルに入れ、水10mlを加え
た後、煮沸して溶解した。それぞれ4検体を4℃に放置
し、0時間後、3時間後、6時間後、および20時間後
に、それぞれのサンプル1mlを遠心管に移して遠心分
離を行い、上清に溶解している糖濃度を測定した。結果
を表3に示す。
【0136】
【表3】
【0137】従来の澱粉にくらべ、実施例のグルカンは
いずれも顕著に老化性が低いことが示された。
【0138】(実施例14:本発明のグルカンによる、
澱粉の老化抑制効果)完全に加熱湖化した4%(W/V)可
溶性澱粉水溶液を4℃に保存すると、可溶性澱粉は速や
かに老化し、湖液は白濁する。この系を用いて本願発明
のグルカンの、澱粉老化抑制効果について検討した。実
施例8で得られたグルカンをそれぞれ終濃度で、0%
(W/V)、2%(W/V)、および4%(W/V)となるよう
に、4%(W/V)の可溶性澱粉水溶液に添加し、これを
4℃に保存した。一定時間おきにサンプリングを行い、
660nmの吸光度で、白濁度を測定した。結果を、図
11に示す。
【0139】実施例6のグルカンは、澱粉の老化抑制効
果を有することが示された。
【0140】(実施例15:本発明のグルカンの粘性)
実施例8で得られたグルカン、比較として従来のワキシ
ーコーンスターチ、可溶性澱粉(和光純薬製)、および
パインデックス(Pinedex)#1(松谷化学株式会社製)
を、それぞれ1.6gとり、バイアルに入れ、蒸留水8
mlを加えて分散させた後、ジメチルスルフォキシド7
2mlを加え、室温で十分に攪拌することにより各グル
カンを完全に溶解した。それぞれの粘度を、Digital Vi
scometerDVL−B(TOKYO KEIKI 製、ローター:No.
1、回転数:60rpm、10秒間測定)により測定した。
【0141】対照として、蒸留水8mlにジメチルスル
フォキシド72mlを加えた溶液(90%DMSO溶
液)についても測定した。なお、ここで用いたパインデ
ックス#1は、上記可溶性澱粉よりも強くα−アミラー
ゼで加水分解した澱粉である。結果を表4に示す。
【0142】
【表4】
【0143】従来の澱粉に比べ、実施例の糊液の粘性が
顕著に低いことが示された。
【0144】(実施例16:本発明のグルカンの反応
性)実施例2および実施例8で得られたグルカン、比較
として可溶性澱粉(和光純薬製)、およびパインデック
ス(Pinedex)#1(松谷化学株式会社製)それぞれ20
mgを、蒸留水1mlに溶解させ、還元力をジニトロサ
リチル酸法(福井作蔵著、生物化学実験法1 還元等の
定量法、学会出版センター)により、グルコースを標準
として調べた。その結果を表5に示す。
【0145】
【表5】
【0146】従来の澱粉に比べ、反応性が顕著に低いこ
とが示された。
【0147】(実施例17:本発明のグルカンのリン酸
化)実施例2および実施例8で得られたグルカンを8m
gを、ジメチルホルムアミド1ml中に懸濁し、オキシ
塩化リン46mgとを反応させた。この反応液にアセト
ン9mlを加えて、リン酸化したグルカン8mgをそれ
ぞれ得た。
【0148】(実施例18:本発明のグルカンの包接性
1)8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸(AN
S)は水溶液中では非常に弱い蛍光しか示さないが、サ
イクロデキストリンの空洞内に包接されることにより強
い蛍光を示すことが知られている。本発明のグルカン
が、ANSを包接して、その蛍光を増大させるかどうか
を確認するために、実施例2で得られたα−1,4−グ
ルコシド結合のみを有する環状グルカン、α−サイクロ
デキストリン、プルラン、およびデキストランのそれぞ
れ20mgを、100mMリン酸緩衝液1mlに溶解し
た。次いで400μMのANS水溶液を添加し、よく撹
拌した後、蛍光分光光度計を用いて蛍光スペクトルを測
定した。図12に示すように、包接性のないプルランお
よびデキストランの存在下、ANSの蛍光強度は増大し
なかった。包接性を有するα−サイクロデキストリンの
存在下、ANSの蛍光強度が増大した。実施例2で得ら
れたグルカンの存在下、ANSの蛍光強度はα−サイク
ロデキストリン以上に増大し、本発明のグルカンがAN
Sを包接する性質を有していることが示された。
【0149】(実施例19:本発明のグルカンの包接性
2)実施例2で得られたα−1,4−グルコシド結合の
みを有する環状グルカン、市販のアミロース、および可
溶性澱粉をそれぞれ2%となるように蒸留水に溶解し
た。次いで、1/10量の高級アルコール(1−オクタ
ノールなど)および高級脂肪酸(オレイン酸など)を加
え、激しく撹拌し、その時の様子を目視により以下のよ
うに評価した。結果を表6に示す。表6において、○は
多量の沈殿が形成された場合、△は少量の沈殿が形成さ
れた場合、×は沈殿が形成されなかった場合を示す。
【0150】
【表6】
【0151】表6に示したように、実施例2で得られた
α−1,4−グルコシド結合のみを有する環状グルカン
は大量の白色沈澱を生じた。このことから、本発明のグ
ルカンが包接能力を有することがわかった。
【0152】(実施例20:本発明のグルカンを含むス
ポーツドリンク)本発明のグルカンを用いたスポーツド
リンクを、表7の割合で配合した。
【0153】
【表7】
【0154】得られたスポーツドリンクは消化性に優
れ、エネルギー変換効率の高い飲料であった。
【0155】(実施例21:本発明のグルカンとリノー
ル酸との包接複合体)実施例2で得られたα−1,4−
グルコシド結合のみを有する環状グルカン100部に水
900部を加え、撹拌し溶解させた。この溶液にリノー
ル酸100部を添加し、よく撹拌した。撹拌後、生成し
た白色沈澱画分を凍結乾燥し、本発明のグルカンとリノ
ール酸とを含む包接複合体の粉末を得た。
【0156】(実施例22:本発明のグルカンとメント
ールとの包接複合体)実施例2で得られたα−1,4−
グルコシド結合のみを有する環状グルカン100部に水
900部を加え、撹拌し溶解させた。この溶液を加温
し、あらかじめ溶解したメントール100部を加え、よ
く撹拌した。撹拌後、生成した白色沈澱画分を凍結乾燥
し、グルカンとメントールとを含む包接複合体の粉末を
得た。
【0157】(実施例23:本発明のグルカンを含む接
着性組成物)実施例8の少なくとも1つのα−1,6−
グルコシド結合を有するグルカン40部に水60部を加
え、加熱溶解させた。この溶液は、良好な接着性を示し
た。
【0158】(実施例24:本発明のα−1、4−グル
コシド結合のみを有する環状グルカンの調製)蒸留水で
洗浄した酵素固定化用担体キトパールBCW−3503
(富士紡績(株))1gと、20mMのトリス塩酸緩衝
液(pH7.0)を含む精製D酵素液130単位(5ml)
を室温で2時間、ゆるやかに攪拌しながらインキュベー
トし、D酵素を担体に吸着させた。反応液をろ過してろ
液のD酵素活性を測定したところ、D酵素活性はほとん
ど検出されなかった。従って、大部分のD酵素は、担体
に結合したものと考えられた。このD酵素結合担体に、
0.5%(W/V)酵素合成アミロース(AS−30)溶
液10mlを加え、pH7の条件下、30℃、24時間反
応させた。反応液を遠心分離して、上清を100℃、5
分間処理し、再び遠心分離した。上清にグルコアミラー
ゼ10単位を加えて、50℃、3時間反応させた後、1
0倍量のエタノールを加えて、環状グルカンを沈澱させ
た。この沈澱を凍結乾燥し、30mgの粉末状のグルカ
ンを得た。実施例5と同様の方法で、α−1、4−グル
コシド結合のみを有する環状グルカンが得られたことが
確認された。
【0159】
【発明の効果】以上のようにして得られた新規な化合物
である本発明のグルカンおよびその誘導体は、既存の澱
粉、アミロース、およびアミロペクチンと比べて、水に
対する溶解度が大きく改善されており、その水溶液は、
既存の澱粉、アミロース、およびアミロペクチンの水溶
液において観察される老化が起こらないという優れた性
質を有する。更に、本発明のグルカンは、澱粉の老化防
止剤としても作用する。またその水溶液は既存の澱粉な
どの水溶液に比較して、粘度が低いという優れた性質を
有する。さらに、本発明のグルカンおよびその誘導体は
反応性が低いため、タンパク質やアミノ酸と混合して加
熱したとき、既存の水飴、およびデキストリンと比較し
て、着色しにくいという優れた性質を有している。ま
た、本発明のグルカンおよびその誘導体は様々な物質を
包接もしくは吸着するという優れた性質を有している。
また本発明のグルカンおよびその誘導体は、グルコース
がα−1,4−グルコシド結合およびα−1,6−グル
コシド結合で連結しただけの、通常の澱粉と同じ基本的
構造を持つことから、生体内の酵素により容易にグルコ
ースに分解されることができるため、消化性に優れ、エ
ネルギー変換効率が高い。
【0160】本発明のグルカンおよびその誘導体の製造
方法は、原料である澱粉、澱粉の部分分解物、これらの
誘導体、あるいはこれらの混合物と、少なくとも14個
のα−1,4−グルコシド結合により構成される環状構
造を分子内に1つ有するグルカンを生成し得る酵素とを
反応させる工程を包含すればよく、非常に容易に、本発
明のグルカンおよびその誘導体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグルカンの模式図である。
【図2】アミロースまたはアミロペクチンにD酵素を作
用させ、α−1,4−グルコシド結合のみを有する環状
グルカンを得る一連の過程を示す模式図である。
【図3】アミロペクチンにD酵素を反応させ、少なくと
も1個のα−1,6−グルコシド結合を持つ環状構造の
みで形成されるグルカンを得る一連の過程を示す模式図
である。
【図4】本発明のα−1,4−グルコシド結合のみを有
する環状グルカンを種々の糖分解酵素で消化したときの
溶出パターンである。
【図5】5−1は、実施例2で得られたα−1,4−グ
ルコシド結合のみを有する環状グルカンの溶出パターン
であり、5−2は、直鎖のα−1,4−グルカンの溶出
パターンである。各ピーク状の数字は、重合度を示す。
【図6】各ピークG−Lの部分加水分解および非分解物
の溶出パターンである。各ピーク状の数字は、重合度を
示す。
【図7】実施例4で得られたα−1,4−グルコシド結
合のみを有する環状グルカンのゲル濾過による溶出パタ
ーンである。
【図8】D酵素を作用させる前、および、作用させた後
のワキシーコーンスターチのゲル濾過による溶出パター
ンである。
【図9】実施例8で得られたグルカン中の非環状構造部
分、少なくとも1つのα−1,6−グルコシド結合を有
する環状構造部分、およびα−1,4−グルコシド結合
のみを有する環状構造部分を定量する過程を示す模式図
である。
【図10】実施例8で得られた少なくとも1つのα−
1,6−グルコシド結合を有するグルカンの環状構造部
分、直鎖のα−1,4−グルカン、および実施例2で得
られたα−1,4−グルコシド結合のみを有する環状グ
ルカンの溶出パターンである。各ピーク状の数字は、重
合度を示す。
【図11】実施例8で得られたα−1,6−グルコシド
結合を有するグルカンによる、澱粉の老化抑制効果を示
す図である。
【図12】実施例2で得られたα−1,4−グルコシド
結合のみを有する環状グルカン(実線)、α−サイクロ
デキストリン(破線)、プルラン(1点破線)、デキス
トリン(2点破線)が存在する条件下、およびコントロ
ール(点線)条件下におけるANSの蛍光スペクトルで
ある。横軸は、波長(nm)であり、縦軸は、スペクト
ル強度である。
【符号の説明】
11 還元末端 12 アミロース 13 α−1,4−グルコシド結合のみを有する環状グ
ルカン 14 アミロペクチン 15 少なくとも14個のα−1,4−グルコシド結合
と少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結合により
構成される環状構造を分子内に1つ有するグルカン 16 少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結合に
より構成される環状構造のみで形成されるグルカン 17 グルコース 18 α−1,4−グルコシド結合のみにより構成され
る環状構造と非環状構造部分とを有するグルカン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 105/00 JAD C09J 105/00 JAD C12N 9/44 C12N 9/44 C12P 19/14 C12P 19/14 Z (72)発明者 中村 弘康 兵庫県尼崎市水堂町1−30−33 江和寮内 (72)発明者 藤井 和俊 兵庫県尼崎市水堂町1−30−33 江和寮内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも14個のα−1,4−グルコ
    シド結合により構成される環状構造を分子内に1つ有す
    るグルカン。
  2. 【請求項2】 少なくとも14個のα−1,4−グルコ
    シド結合により構成される環状構造のみを有する、請求
    項1に記載のグルカン。
  3. 【請求項3】 少なくとも17個のα−1,4−グルコ
    シド結合により構成される環状構造を分子内に1つ有す
    る、請求項1に記載のグルカン。
  4. 【請求項4】 少なくとも17個のα−1,4−グルコ
    シド結合により構成される環状構造のみを有する、請求
    項1に記載のグルカン。
  5. 【請求項5】 少なくとも14個のα−1,4−グルコ
    シド結合と少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結
    合とにより構成される環状構造を分子内に1つ有する、
    請求項1に記載のグルカン。
  6. 【請求項6】 少なくとも14個のα−1,4−グルコ
    シド結合と少なくとも1個のα−1,6−グルコシド結
    合とにより構成される環状構造のみを有する、請求項1
    に記載のグルカン。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のグルカンの誘導体であ
    って、該グルカンが有するアルコール性水酸基のうちの
    少なくとも1つが誘導体化されている、グルカンの誘導
    体。
  8. 【請求項8】 前記誘導体化が、エーテル化、エステル
    化、架橋化、およびグラフト化からなる群から選択され
    る誘導体化である、請求項7に記載のグルカンの誘導
    体。
  9. 【請求項9】 直鎖のα−1,4−グルカンまたはこれ
    らを含む糖類と、少なくとも14個のα−1,4−グル
    コシド結合により構成される環状構造を分子内に1つ有
    するグルカンを生成し得る酵素とを反応させる工程を包
    含する、少なくとも14個のα−1,4−グルコシド結
    合により構成される環状構造を分子内に1つ有するグル
    カンまたはその誘導体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記工程が、ホスホリラーゼおよびグ
    ルコース−1−リン酸の存在下で行われる、請求項9に
    記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記工程が、α−1,6−グルコシド
    結合を切断する酵素の存在下で行われる、請求項9また
    は請求項10に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記直鎖のα−1,4−グルカンまた
    はこれらを含む糖類が、マルトオリゴ糖、アミロース、
    アミロペクチン、グリコーゲン、澱粉、ワキシー澱粉、
    ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、デキストリン、澱粉
    枝きり物、澱粉部分加水分解物、ホスホリラーゼによる
    酵素合成澱粉、およびこれらの誘導体からなる群から選
    択される、少なくとも1つの直鎖のα−1,4−グルカ
    ンまたはこれを含む糖類である、請求項9から請求項1
    1のいずれかに記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記グルカンを生成し得る酵素が、D
    酵素である、請求項9から請求項12のいずれかに記載
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 固定化された酵素を用いる請求項9か
    ら請求項13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1から請求項6に記載のグルカ
    ン、および請求項7および請求項8に記載のグルカンか
    らなる群から選択される、少なくとも一つのグルカンま
    たはグルカンの誘導体を含有する、飲食用組成物または
    食品添加用組成物。
  16. 【請求項16】 請求項1から請求項6に記載のグルカ
    ン、および請求項7および請求項8に記載のグルカンか
    らなる群から選択される、少なくとも一つのグルカンま
    たはグルカンの誘導体を含有する、輸液。
  17. 【請求項17】 請求項1から請求項6に記載のグルカ
    ン、および請求項7および請求項8に記載のグルカンか
    らなる群から選択される、少なくとも一つのグルカンま
    たはグルカンの誘導体を含有する、接着用組成物。
  18. 【請求項18】 請求項1から請求項6に記載のグルカ
    ン、および請求項7および請求項8に記載のグルカンか
    らなる群から選択される、少なくとも一つのグルカンま
    たはグルカンの誘導体、および、それらに包接または吸
    着される化合物を含有する、包接物または吸着物。
  19. 【請求項19】 請求項1から請求項6に記載のグルカ
    ン、および請求項7および請求項8に記載のグルカンか
    らなる群から選択される、少なくとも一つのグルカンま
    たはグルカンの誘導体を含有する、澱粉。
  20. 【請求項20】 請求項1から請求項6に記載のグルカ
    ン、および請求項7および請求項8に記載のグルカンか
    らなる群から選択される、少なくとも一つのグルカンま
    たはグルカンの誘導体を含有する、澱粉の老化防止剤。
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