JP2017506646A - タンパク質調製物のクロマチン含有量をアルキルカチオン処理によって減少させる方法 - Google Patents
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Abstract
標的タンパク質を含む調製物の凝集体含有量を減少させる方法は、調製物をアルキルカチオンと接触させて、混合物を形成するステップ、及び混合物を少なくとも1種の機能性固体と接触させて、過剰のアルキルカチオンを除去するステップを含む。【選択図】なし
Description
本明細書に開示した実施形態は、抗体を含めたタンパク質の精製を高める方法に関する。それらは、特に、凝集体のレベルを低下させる方法に関し、細胞培養収集物の浄化方法と組み合わせることができる。それらは、さらに、これらの性能を別の精製法と統合して所望のタンパク質純度レベルを得ることに関する。
凝集体除去は、タンパク質精製の重要な一態様である。低濃度の黄色蛍光性複素環式色素エタクリジンは、抗体製剤の凝集体含有量を減少させ、この結果が一部はクロマチン除去に起因し得ることが示された(非特許文献1)。エタクリジンは、タンパク質沈殿剤として長い歴史がある。
界面活性剤の臭化セトリモニウムは局所防腐剤として使用される。それは、金 ナノ粒子の製造にも使用され、ヘアケア製品にも広く用いられる。それは、タンパク質分析の分野に使用され、ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びDNA抽出における複雑な糖タンパク質の分割を改善する。それがタンパク質分画の分野に応用されることは知られていない。
ガン(Gan)ら、ジャーナル・オブ・クロマトグラフィA(J.Chromatography A)1291(2013)33〜40
標的タンパク質を含む調製物の凝集体含有量を減少させる方法であって、調製物をアルキルカチオンと接触させて、混合物を形成するステップ、及び混合物を少なくとも1種の機能性固体と接触させて、過剰のアルキルカチオンを除去するステップを含む方法。
本明細書に開示した方法は、試料をアルキルカチオンで処理することによって、所望のタンパク質を含む試料中のタンパク質凝集体を削減する手段を提供する。一部の実施形態においては、複合体及び/又は凝集体の削減は、超低レベルのアルキルカチオンを用いて行うことができる。一部の実施形態においては、試料を(高い塩濃度を用いた)高導電率値において処理することができる。一部の実施形態においては、処理試料を、続いて、アルキルカチオン及び凝集体をタンパク質調製物から選択的に除去する化学成分を有する固体材料に暴露することができる。
さらに、本明細書に開示した方法によるタンパク質の精製のためのキットも提供する。一部の実施形態においては、開示した方法は、抗体又は別のタンパク質の調製物由来の凝集体を、かかる所望のタンパク質と1種以上のアルキルカチオンの接触によって削減する。一部の実施形態においては、開示した方法は、いわゆる生理的条件からかかる条件の最高3倍以上の導電率値までの範囲の導電率レベルで実施することができる。かかる高導電率レベルによって、該方法を酸性タンパク質に、処理中のその沈殿の恐れなしに適用することができ、それによって、開示した方法を適用することができる所望のタンパク質種の多様性を増すことができる。ちなみに、生理学的導電率は、一般に、約12ミリジーメンス/cm(mS/cm)から約17mS/cmの範囲を含むと理解される。
一部の実施形態においては、開示した方法は、その間の任意の値及び範囲を含めて、約0.01%から約0.05%などの超低濃度のアルキルカチオンを用いて実施することができる。一部の実施形態においては、開示した方法は、通常、宿主タンパク質の汚染の削減と並行して、処理されたタンパク質調製物を、凝集体含有量を減少させる処理能力全体を高める固体材料と接触させるステップを提供し、過剰のアルキルカチオンを除去する追加の利点を提供する。一部の実施形態においては、アルキルカチオンは臭化セチルトリメチルアンモニウムである。
一部の実施形態においては、開示した方法は、ホモ凝集体などの所望のタンパク質よりも分子量が高い凝集体のレベルを低下させ、ヘテロ凝集体などの所望のタンパク質よりもわずかしか大きくない流体力学的サイズの凝集体のレベルも低下させる。一部の実施形態においては、凝集体は、所望のタンパク質と混入物のヘテロ凝集体を含み、ある種のかかる実施形態においては、混入物は、核酸、ヌクレオチド、エンドトキシン、金属イオン、タンパク質、脂質又は細胞培地成分である。一部の実施形態においては、所望のタンパク質のホモ凝集体が実質的に存在しなくなる。一部の実施形態においては、所望のタンパク質と混入物のヘテロ凝集体が実質的に存在しなくなる。一部の実施形態においては、所望のタンパク質を含まないホモ及びヘテロ凝集体が実質的に存在しなくなる。
一部の実施形態においては、開示した方法は、さらに、凝集体の削減に加えて、DNA、エンドトキシン、ウイルスレベルなどの混入物も削減する。一部の実施形態においては、開示した方法は、アルキルカチオン自体以外に抗ウイルス剤を追加して実施される。
一部の実施形態においては、目的タンパク質種(例えば、精製すべき所望のタンパク質)は組換え起源であり、タンパク質調製物としては、細胞含有細胞培養収集物、細胞培養上清、浄化された細胞培養上清、クロマトグラフィカラムからの溶出物、又は精製の前段階から得られるタンパク質含有溶液を挙げることができる。一部の実施形態においては、タンパク質調製物は抗体を含み、ある種のかかる実施形態においては、抗体は、IgG、IgM若しくはその断片的形態、又はFc融合タンパク質などの抗体若しくは抗体断片の融合タンパク質である。一部の実施形態においては、所望のタンパク質は、第VIII因子などの凝固タンパク質とすることができる。一部の実施形態においては、所望のタンパク質は、ヒト成長ホルモンなどのペプチドホルモンとすることができる。
一部の実施形態においては、開示した方法は、試料の導電率が十分に高いレベルであり、所望のタンパク質が試料から実質的に沈殿しないように実施される。導電率は、当該技術分野で公知の方法に従って塩又は希釈剤の添加によって調節することができる。一部の実施形態においては、導電率は、所望のタンパク質が実質的に沈殿しないようにするのに必要であると判断されるレベルよりも5mS/cm、10mS/cm、15mS/cm又は20mS/cm高い。一部の実施形態においては、導電率は、20mS/cmを超え、25mS/cm、30mS/cm、35mS/cm、40mS/cm、45ms/cmであり、又は45mS/cmを超える。混入物の大部分を高い導電率において除去する方法の能力は、開示した方法の驚くべき特徴の一つである。というのは、これらの系における電荷相互作用は、高い導電率では低下することが知られているからである。例えば、25mS/cm以上の導電率では、少数の負に帯電したタンパク質しか電気陽性表面に結合しないことが知られている。本方法を除いては、IgG抗体の調製物に対する大部分の電気陽性薬剤の適用は、5mS/cm未満の導電率で行われ、通常、アルカリ性pHという追加の操作要件が加わる。かかる操作pHは、本方法の要件ではない。高い導電率は、凝集体内部の静電結合を弱める効果を有することができ、それによって凝集体を解離させる方法、及び/又は所望のタンパク質に付随する混入物を除去する方法の能力を増大させ得ることが、当業者に明らかになるはずである。
一部の実施形態においては、アルキルカチオンは、臭化セチルトリメチルアンモニウム(IUPAC名:臭化N,N,N−トリメチル−1−ヘキサデカンアミニウム、その類似体又は塩である。臭化セチルトリメチルアンモニウムは、臭化セトリモニウムとしても知られる。類似体としては、分枝構造でも線状構造でもよい、炭素残基の数が異なる、かかる12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24個の炭素を有するアルキルカチオンが挙げられる。カチオン基は、トリス(2−アミノエチル)アミンなどによって例示される、第四級アミン、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、又は正電荷の組合せからなり得る。
一部の実施形態においては、アルキルカチオンは、凝集体の所望の減少度を高めるのに十分な実質的に最低の濃度で供給される。一部の実施形態においては、アルキルカチオンの濃度は、1%、0.5%、0.25%、0.1%、0.05%、0.04%、0.025%又は0.001%未満(重量/体積基準)とすることができる。一部の実施形態においては、電気陽性有機添加剤は、濃度0.01〜0.04%又は0.02〜0.025%で供給される。
一部の実施形態においては、開示した方法は、試料中の凝集体の量を削減しつつ、所望のタンパク質の沈殿を回避又は制限するように選択されるpHレベルで実施することができる。pHレベルは、従来の手段によって調節することができ、導電率の選択と併せて選択することができる。一部の実施形態においては、試料のpHは、約4から約9、約5から約8、又は約6から約7.5である。
一部の実施形態においては、試料を、さらに、アルキルカチオン自体以外に抗ウイルス剤と接触させる。ある種のかかる実施形態においては、抗ウイルス剤は、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、エタクリジン、リン酸トリ(n−ブチル)などの非多価有機カチオンである。かかる抗ウイルス剤は、約1%(w/v)未満、約0.1%(w/v)未満、又は約0.01%(w/v)未満、又は約0.001%未満の量で存在することができる。
一部の実施形態においては、該方法は、さらに、ウレイドが試料に不溶であるのに十分な量のウレイドと試料を接触させるステップを含む。次いで、所望のタンパク質を含む上清を、沈殿混入物を含む試料の残りから分離することができる。ある種のかかる実施形態においては、試料を電気陽性有機添加剤と接触させるステップの前にウレイドを供給し、別の実施形態においては、試料を電気陽性有機添加剤と接触させるステップとほぼ同時にウレイドを供給し、更に別の実施形態においては、試料を電気陽性有機添加剤と接触させるステップの後にウレイドを供給する。ある種のかかる実施形態においては、ウレイドは、尿酸、ヒダントイン(イミダゾリジン−2,4−ジオン)、アルクロキサ、アルジオキサ、ヘモカン(hemocane)、ウレイドヒダントイン、5−ウレイドヒダントイン、グリオキシルウレイド、グリオキシル酸ジウレイド、2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル尿素(アラントイン)、イミダゾリジニル尿素、ジイミダゾリジニル尿素及びプリンのいずれかとすることができる。一部の実施形態においては、ウレイドはアラントインであり、一部のかかる例においては、アラントインは、0.56%(w/v)、1%、1.5%、2%以上の濃度で存在する。一部の実施形態においては、ウレイドは尿酸であり、一部のかかる例においては、尿酸は、0.0025%(w/v)、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、1%以上よりも高濃度で存在する。
一部の実施形態においては、該方法は、さらに、ウレイドが十分に溶解する量のウレイドと試料を接触させるステップを含む。ある種のかかる実施形態においては、可溶性ウレイドは、尿素、イミダゾリジナル尿素(imidazolydinal urea)、又は別のウレイドとすることができる。一部の実施形態においては、ウレイドは尿素であり、一部のかかる例においては、尿素は、0.5Mを超える、又は1Mを超える、又は2Mを超える、又は4Mを超える、又は6Mを超える、又は8Mを超える濃度で存在する。これも、該方法の驚くべき性質を強調するものであり、沈殿の回避は、該方法の特別な一目的である。尿素などの可溶性の高いウレイドは、多数の化合物の溶解性を高める一般的効果を有し、すなわち、その存在が沈殿の形成を阻止する。
一部の実施形態においては、開示した方法の有用性は、それらが細胞培養収集物中の細胞片の沈降も加速し、DNA、エンドトキシン及びウイルスが存在するときにはそのレベルを大きく低下させることによって高くなる。実験データの示唆するところによれば、凝集体、エンドトキシン及びウイルスと優先的に相互作用する一部のウレイドの能力は、これらの結果に寄与し、低レベルの溶解ウレイドは、ウレイドの非存在下での多価カチオンによる処理に比べてそれらが支持するより高い抗体回収に寄与し得る。処理後、固体材料を沈降又はろ過によって除去することができ、実質的に凝集体を含まないタンパク質が上清中に残る。
一部の実施形態においては、開示した方法は、非イオン性有機ポリマー、有機溶媒、界面活性剤、ウレイドなどの可溶性有機調節物質と試料を接触させる追加のステップと一緒に実施することができる。ある種のかかる実施形態においては、試料を有機調節物質と接触させるステップは、試料を電気陽性有機添加剤と接触させるステップの前に行われる。別の実施形態においては、試料を有機調節物質と接触させるステップは、試料を電気陽性有機添加剤と接触させるステップとほぼ同時に行われる。更に別の実施形態においては、試料を有機調節物質と接触させるステップは、試料を電気陽性有機添加剤と接触させるステップの後に行われる。一部の実施形態においては、有機調節物質は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどの非イオン性有機ポリマーであり、ある種のかかる実施形態においては、非イオン性有機ポリマーは平均分子量が約1000D以下、500D以下、250D以下又は100D以下である。一部の実施形態においては、有機調節物質は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール、またはフェノキシエタノールなどの有機溶媒である。一部の実施形態においては、有機調節物質を約1%(w/v)以上の濃度で供給する。一部の実施形態においては、有機調節物質は、Tween、トリトン(triton)、CHAPS、CHAPSO、またはオクチルグルコシドなどの界面活性剤であり、ある種のかかる実施形態においては、界面活性剤を約1%(w/v)以下、約0.1%以下又は約0.02%(w/v)以下の濃度で供給する。一部の実施形態においては、有機調節物質は、亜飽和量で供給されるウレイドであり、ある種のかかる実施形態においては、ウレイドは尿素、ヒダントイン又はアラントインである。
一部の実施形態においては、開示した方法は、開示した方法のある種の方法の簡便な実施のためのキットを提供する。かかるキットは、開示した方法の実施に有用である試薬、多価有機カチオン、ウレイド、有機調節物質、抗ウイルス剤、及び導電率の調節試薬のかかる1種以上を提供することができる。キットは、タンパク質の精製に使用される開示した方法の実施に適合した量及び濃度の材料を提供することができる。かかるキットは、IgG又はIgM抗体などのある種のタンパク質と一緒に使用されるように作製することができ、ある規模のタンパク質調製及び精製に適した量に適合させることができる。
一部の実施形態においては、開示した方法は、追加の処理の前に固体が過剰のアルキルカチオン又は別の試料成分を試料から選択的に除去する効果を有することを意図して、試料と固体材料の接触がその後に続くことができる。
一部の実施形態においては、開示した方法は、より高い精製レベルを得るために、又は他の混入物を除去するために、従来のタンパク質精製法と組み合わせることができる。例えば、開示した方法は、沈殿、クロマトグラフィ及び液体−液体抽出法を含む従来の精製法に備えて実施することができる。これらの方法に適切な条件を構築し、それらを本明細書に記載の開示方法と統合して、生成物の所望の精製を行うことは当業者の能力の範囲内である。
一部の実施形態においては、操作条件は、凝集体が減少する程度、及び所望のタンパク質が溶液中に残る程度を調節するために、pHに関して、及び/又はキレート化剤、有機ポリマー若しくは溶媒、界面活性剤、カオトロープ、及び様々な種類の塩の存在によって、変更することができる。
一部の実施形態においては、標的タンパク質を含む調製物の凝集体含有量を減少させる方法であって、調製物をアルキルカチオンと接触させて、混合物を形成するステップ、及び混合物を少なくとも1種の機能性固体と接触させて、過剰のアルキルカチオンを除去するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態においては、方法は、さらに、混合物をアリールカチオンと接触させるステップを含むことができる。一部のかかる実施形態においては、アリールカチオンをエタクリジン又はメチレンブルーとすることができる。一部の実施形態においては、アルキルカチオンとアリールカチオンの混合濃度は、アルキルカチオンを単独で使用するときの濃度と同じにすることができる。かかる実施形態においては、アルキルカチオンは、ゼロでない量で存在する。
一部の実施形態においては、本明細書に開示した方法は、さらに、混合物を、同時に又は順次、少なくとも1種の電気陽性固体と接触させて、調製物の凝集体含有量を更に減少させるステップを含むことができる。
一部の実施形態においては、アルキルカチオンは、セトリモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−ヘキサデカンアンモニウム、N,N,N−トリメチル(trimentyl)−1−ヘプタデカンアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−オクタデカンアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−ペンタデカンアンモニウム及びN,N,N−トリメチル−1−テトラデカンアンモニウムからなる群から選択される第四級アンモニウムカチオンの臭化物又は塩化物塩を含む。
一部の実施形態においては、アルキルカチオンは、(a)約0.001%から約1%、(b)約0.01から約1%、及び(c)約0.02から約0.03%からなる群から選択される濃度範囲で存在する。
一部の実施形態においては、アラントインは、(a)約0.6から約50%、(b)約1から約10%、及び(c)約1から約2%からなる群から選択される濃度範囲で存在する。
一部の実施形態においては、操作導電率は、(a)約0.1から約50mS/cm、(b)約1から約30mS/cm、及び(c)約5から約15mS/cmからなる群から選択される範囲内である。
一部の実施形態においては、操作pHは、(a)約4から約10、(b)約5から約9、及び約6から約8からなる群から選択される範囲である。
一部の実施形態においては、混合物は、さらに、アルキルカチオンではない抗ウイルス剤を含み、抗ウイルス剤は、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、メチレンブルー、エタクリジン及びリン酸トリ(n−ブチル)からなる群から選択される。
一部の実施形態においては、少なくとも1種の機能性固体の表面が、静電相互作用、疎水性相互作用、水素結合及び金属親和性からなる群から選択される化学相互作用を促進する。
一部の実施形態においては、少なくとも1種の機能性固体は粒子である。
一部の実施形態においては、標的タンパク質は、組換えタンパク質、抗体、成長ホルモン及び凝固因子からなる群から選択される一種を含む。
一部の実施形態においては、タンパク質調製物は、細胞含有細胞培養収集物、実質的に無細胞の細胞培養収集物、及び部分精製タンパク質からなる群から選択される一種である。
一部の実施形態においては、本明細書に開示した方法の簡便な実施のためのキットを提供する。かかるキットは、説明書と一緒に、該方法を実施するのに必要な全試薬を含むことができる。
以下の用語は、開示した方法をより容易に理解できるように定義されている。追加の定義は、詳細な説明全体を通して記載されている。
「凝集体(単数又は複数)」とは、生理的条件で安定であり、広範囲のpH及び導電率条件で安定なままであり得る2個以上の分子の結合を指す。凝集体は、タンパク質、核酸、脂質などの少なくとも1種類の生体分子、及び別の分子又は金属イオンを含むことが多い。結合は、化学相互作用の任意のタイプ又は任意の組合せを介して起こり得る。抗体の凝集体は、2つのカテゴリに分類することができる。すなわち、「ホモ凝集体」とは、同一組成の2個以上のタンパク質の安定な結合を指し、「ヘテロ凝集体」とは、場合によっては1個以上の非タンパク質分子と結合した、同一又は異なる組成の1個以上のタンパク質の安定な結合を指す。非タンパク質成分は、ヌクレオチド、エンドトキシン、金属イオン、脂質又は細胞培地成分からなる群からのもう一つの実体からなり得る。
「抗体」とは、免疫グロブリン、その複合体又は断片的形態を指す。この用語は、天然形態、又はヒト化、ヒト、単鎖、キメラ、合成、組換え、ハイブリッド、変異、移植、インビトロで産生された抗体などの遺伝子改変形態を含めて、ヒト又は他のほ乳動物細胞系から誘導されるクラスIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMのポリクローナル又はモノクローナル抗体を含むことができるが、それだけに限定されない。「抗体」は、免疫グロブリン部分を含む融合タンパク質を含めて、ただしそれだけに限定されない複合形態を含むこともできる。「抗体」は、抗原結合機能を保持するか否かにかかわらず、Fab、F(ab’)2、Fv、scFv、Fd、dAb、Fc、別の組成物などの抗体断片を含むこともできる。
「エンドトキシン」とは、溶解によって細胞から放出されるグラム陰性菌の外膜に存在する有毒な耐熱性リポ多糖物質を指す。
「非イオン性有機ポリマー」とは、荷電基がない連結繰り返し有機サブユニットで構成された天然又は合成炭化水素を指す。それは、線状、幾らかの枝分れを含む主に線状、又は主に分枝とすることができる。開示した方法を実施するのに適切な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール及びポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられるが、それだけに限定されない。PEGの構造式はHO−(CH2−CH2−O)n−Hである。例としては、平均ポリマー分子量が100ダルトン未満から1000ダルトンを超える範囲の組成物が挙げられるが、それだけに限定されない。
「アルキルカチオン」とは、少なくとも1個の正電荷を有する、連続直線又は分枝構造の12個以上の炭素原子からなる有機カチオンを指し、正電荷は、追加の炭素原子を含むことができる。一例は、臭化セチルトリメチルアンモニウムである。アルキルカチオンは、とりわけ、臭化物、塩化物及びステアリン酸塩を含めて、塩として使用することができる。
「アリールカチオン」とは、窒素原子又は硫黄原子を介して発現され得る少なくとも1個の正電荷を有する、同一平面上に配置された3個の環からなる有機カチオンを指す。例としては、エタクリジン(7−エトキシアクリジン−3,9−ジアミン;2−ヒドロキシプロパン酸)及びメチレンブルー(7−(ジメチルアミノ)フェノチアジン−3−イリデン]−ジメチルアザニウム(dimethylazanium))、並びにそれらの類似体、誘導体及び塩が挙げられる。
「有機溶媒」とは、液体状態で存在する天然又は合成有機化合物を指す。開示した方法を実施するのに適切な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、エタノール及びフェノキシエタノールが挙げられるが、それだけに限定されない。
「有機ポリマー」とは、有機モノマーの天然または合成高分子を指す。例としては、とりわけ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、デキストラン又はセルロースが挙げられるが、それだけに限定されない。
「ポリヌクレオチド」とは、鎖状に共有結合された複数のヌクレオチドモノマーで構成される生体高分子を指す。DNA(デオキシリボ核酸)及びRNA(リボ核酸)はポリヌクレオチドの例である。
「タンパク質」とは、炭素、水素、酸素、窒素、及び通常硫黄を含む複雑な有機巨大分子のグループのいずれかを指し、ペプチド結合によって連結された1個以上のアミノ酸鎖で主に構成される。タンパク質は、天然又は組換え起源とすることができる。タンパク質は、グリコシル化、PEG化、別の化学部分との複合化などによって、非アミノ酸部分で修飾することができる。タンパク質の例としては、抗体、凝固因子、酵素及びペプチドホルモンが挙げられるが、それだけに限定されない。
「不溶ウレイド」とは、特定のタンパク質調製物において一般的な条件下でその最大溶解性を超える量のウレイドを含有する溶液を指す。一部の実施形態においては、開示した方法は、かかるウレイドの一部が試料中に溶解していない形で存在するように、かかる試料の条件下でかかる試料中のかかるウレイドの溶解性を超える量で存在するウレイドを試料に供給する。
「界面活性剤」は、それらが両親媒性と称されるゆえんである疎水性部分と親水性部分を一般に含むあるクラスの有機分子などの「表面活性剤」を含む。水溶液における十分な濃度では、界面活性剤は、自己会合してクラスターを形成することができ、疎水性部分は中央に濃縮されて、水との接触が最小限に抑えられ、親水性部分は外向きに放射状に広がって水との接触を最大にする。生物学的調製物、特に、疎水性を有する、又は疎水性の領域を有する材料を含む生物学的調製物の存在下では、界面活性剤の疎水性部分が、界面活性剤の親水性部分の影響によって、疎水性材料の一部と自発的に会合し、その溶解性を高める傾向がある。それらを使用して、どちらも水系溶媒に溶解した異なる疎水性材料間の疎水性相互作用を調節することもできる。開示した方法の一部の実施形態の実施に適した界面活性剤の例としては、ポリソルベート界面活性剤(例えば、Tween20、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート、及びTween80、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート)、Triton(例えば、ポリエチレングリコールp−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニルエーテル)などの非イオン界面活性剤、及びCHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート)、CHAPSO(3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホナート)、オクチルグルコシド(例えば、(2R,3S,4S,5R,6R)−2−(ヒドロキシメチル)−6−オクトキシオキサン−3,4,5−トリオール)などの両性イオン性界面活性剤が挙げられるが、それだけに限定されない。
「ウイルス」又は「ビリオン」とは、生きている宿主、主に細菌、植物及び動物の細胞内でのみ複製する極微の(直径ほぼ20から300nm)代謝的に不活性な感染病原体を指し、RNA又はDNAコア、タンパク質外被、及びより複雑なタイプでは、周囲のエンベロープで構成される。
一部の実施形態に係る開示した方法の使用に備えて、アルキルカチオンを選択する必要がある。実験データは、臭化セチルトリメチルアンモニウムが、凝集体を削減するその有効性、さらに、ウイルスを不活性化するその能力から望ましいことを示している。抗マラリア薬及びメトヘモグロビン血症(methemoglobinenia)治療薬としてのその使用は、インビボでヒトに使用することとのその適合性を強調するものであり、それは米国薬局方に記載されている。
一部の実施形態に使用されるアルキルカチオンの評価の過程においては、適用条件を以下のように調べることができる。アルキルカチオンの使用は、一部の実施形態において該方法の実施に使用され得る条件に幾つかの制約を潜在的に課している。例えば、アルキルカチオンと目的タンパク質の強い相互作用を実質的に阻止する条件を採用することが望ましい場合もある。かかる条件の概略を得る単純な方法は、目的タンパク質をアニオン交換体に接触させ、それを塩勾配で溶出させることである。タンパク質が溶出するしきい値のすぐ上の塩濃度は、該方法を最も効果的に実施することができる最小導電率を大まかに決定するものである。この濃度はpHによって影響され、同じ手段によってモデル化することができる。該方法を細胞培養上清に適用する場合、IgG抗体は、多大な損失を回避するために塩の添加やpHの変更がなくてもよい。IgM抗体は、塩の添加を必要とすることもあり、更には30mS/cm(生理学的導電率の約2倍)に近い導電率値までの塩の添加を必要とすることもある。不溶ウレイド及び電気陽性有機添加剤の使用を含む一部の実施形態においては、IgGの適用は、場合によっては1mS/cm以下の値を含めて、生理学的導電率未満で行われ得る。その場合、かなりの量の宿主タンパク質が解離凝集体と併せて除去され得る。かかる適用は、宿主タンパク質との結合によって失われる量を補うために、アルキルカチオン濃度を増加する必要があり得る。かかる状況における操作導電率が低いと、DNA、エンドトキシン及びウイルスの除去も増強され得る。一部の実施形態においては、開示した方法は、一般に、95%を超える、通常98〜99%の抗体回収を支持する。試料の導電率及びpH条件は、一般に、ウレイド又はアルキルカチオンの添加前に確立すべきである。
一部の実施形態においては、IgGモノクローナル抗体を含む浄化された細胞培養上清の条件を評価する有効な一手段は、0.01から0.1%アルキルカチオンの範囲、及び生理学的導電率の半分から2倍の範囲の導電率を含むことである。これらの範囲は、そうすることが役立ち得ると結果が示す場合、拡張することができ、又は狭くしてより細かい増分で評価することができる。
一部の実施形態においては、浄化された細胞培養上清に対して開示方法に従って精製手順を開発するための好都合な出発点は、0.025%臭化セチルトリメチルアンモニウムを使用することである。
一部の実施形態においては、電気陽性有機添加剤を添加する前にタンパク質調製物中に有機調節物質を分散させることによって開始することが有利であり得る。というのは、その実施が抗体回収を改善し得るからである。電気陽性有機添加剤の添加前の長いインキュベーションは、不必要であるように見える。15分以下で十分であるが、インキュベーションを長くしても不利になるようには見えない。実験データは、一般に、約1%の過飽和量のアラントインの添加が、IgGの回収を増加させることを示している。
一部の実施形態においては、アルキルカチオンは、それを試料に添加する前に、例えば水又は緩衝剤中に、溶解させて、タンパク質調製物全体にわたるその急速な分配を促進することが推奨される。例えば溶解アルキルカチオンを十分に混合されている懸濁液中に徐々に注入することによって、持続的な局所的過剰を回避するように注意すべきである。インキュベーション時間は、少なくとも15分間、好ましくは30とすべきであるが、60分を超える期間が著しく有益であるようには見えない。
該方法は、一般に、周囲温度で実施できるが、それよりも高い又は低い温度、例えば4から37℃で実施することもできる。実験データの示すところによれば、温度は、得られる結果を実質的に変えず、タンパク質の安定性要件は、操作温度の選択における決定的要因のままである。
一部の実施形態においては、アルキルカチオンを、例えば水又は緩衝剤中に、溶解又は分散させ、それを試料に添加する前にpHを調節する。これは、遊離塩基形態などのアルキルカチオンのある種の調製物がアルカリ性であり、実験条件を意図せずにかなり変える可能性があるからである。
過飽和ウレイドとアルキルカチオンの両方を使用する一部の実施形態においては、一般に、アルキルカチオンを添加する前にタンパク質調製物中にウレイドを分散させることによって開始することが有利であり得る。というのは、ウレイドのアラントインを用いた経験によれば、この実施によって抗体回収を改善できるからである。電気陽性有機添加剤の添加前の長いインキュベーションは、不必要であるように見える。15分以下で十分であるが、インキュベーションを長くしても不利になるようには見えない。
方法開発中であろうと製造中であろうと、該方法によってなされる凝集体の解離又は除去をモニターする複数の選択肢が存在する。最も単純には、適切な選択性のカラム上で分析的サイズ排除クロマトグラフィを実施し、280nmのUV波長でモニターすることである。これは、HMW(high molecular weight:高分子量)凝集体を明らかにすることができる。というのは、それらは、通常、複数の非凝集生成物サイズに適度に一致した流体力学的寸法を示すからである。ヘテロ凝集体は、一般に、この方法によって見落とされる。というのは、それらの流体力学的寸法は、非凝集生成物のそれをわずかしか超えない可能性があるからである。かかる例においては、凝集体の異形組成物(heteromorphic composition)を、254nmのUV吸光度と280nmの吸光度の比を計算し、次いで随伴混入物が全くないと考えられる精製タンパク質の吸光度比とその値を比較することによって明らかにすることができる。例えば、DNAを含むヘテロ凝集体は、254/280の高い比によって示される。
一部の実施形態においては、開示した方法は、後続の精製の前に、アルキルカチオン及び場合によっては試料の別の成分を除去する処理と統合することができる。かかる処理は、それによってアルキルカチオンを試料の残りから隔離する目的で、その性質がアルキルカチオンの特性と相補的である化学成分を有する固体への試料の暴露を含むことができる。アルキルカチオンは、正に帯電し、疎水性であると理解されるので、疎水性の負に帯電した表面を含めて、負に帯電した表面は、したがって、過剰のアルキルカチオンを隔離するのに特に有用であるはずである。試料の別の成分を隔離する別の表面組成の固体を含むことができる。
一部の実施形態においては、開示した方法は、プロテインA及び別の形態の生物学的アフィニティクロマトグラフィ、アニオン交換クロマトグラフィ、カチオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、固定化金属アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイト若しくは別の混合様式のクロマトグラフィ、及び/又は沈殿、液液抽出などの非クロマトグラフィ方法を含めて、ただしそれだけに限定されない1種以上の精製法と統合することができる。種々の方法に適切な条件を構築し、それらを本明細書に開示した方法と統合して、特定の抗体の必要な精製を行うことは当業者の理解の範囲内である。
実施例1 臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB:cetyl trimethyl ammonium bromide)対エタクリジンの個別の効果。IgG1モノクローナル抗体を約2g/Lの濃度で含む細胞培養収集物を遠心分離及び精密ろ過によって浄化した。凝集体含有量は21.2%であり、宿主タンパク質含有量はIgG225,906ppmであった。対照シリーズの実験においては、異なる分量の浄化された収集物を0.01%、0.02%及び0.05%エタクリジンと混合し、2時間撹拌インキュベートした。別のシリーズにおいては、CTABを別々の分量に同じ濃度で添加した。固体を遠心分離によって除去した。CTABは、凝集体は2.5〜2.6%に減少した。エタクリジンは凝集体は1.8〜2.0%に減少した。しかし、エタクリジンでは、軽鎖の亜集団を明白な軽鎖二量体に転化することが一貫して認められたが、CTABでは認められなかった。
実施例2 アラントインと混合され、続いて機能性固体と接触したCTAB。IgG1モノクローナル抗体を約2g/Lの濃度で含む細胞培養収集物を遠心分離及び精密ろ過によって浄化した。凝集体含有量は10.5%であり、宿主タンパク質含有量はIgG277,980ppmであった。アラントインを1%w/vの量で添加した。CTAB臭化物を0.05%の量で添加し、混合物を2時間インキュベートした。凝集体は2.5%に減少し、宿主タンパク質は156,002ppmに減少した。正に帯電した粒子(Bio−Works TREN high)を5%v/vの量で添加し、4時間混合インキュベートした。固体を遠心分離及び精密ろ過によって除去した。凝集体は1.2%に減少し、宿主タンパク質は127,959ppmに減少し、92%のIgG回収率であった。
実施例3 実施例2と同様な、同じ原料物質を用い、0.05%CTABが0.05%メチレンブルーで置換された一実施例においては、凝集体は、CTABによる2.5%に対して5.4%に減少し、宿主タンパク質は、CTABによる156,002ppmに対して223,612ppmに減少した。TREN粒子と接触後、メチレンブルーによって、凝集体は1.2%に減少し、宿主タンパク質は94,780に減少した。
実施例4 実施例2及び3と同様な、同じ原料物質を用い、0.05%CTABが0.025%エタクリジンで置換された一実施例においては、凝集体は、CTABによる2.5%に対して3.5%に減少し、宿主タンパク質は、CTABによる156,002に対して174,210ppmに減少した。TREN粒子と接触後、エタクリジンによって、凝集体は、CTABによる1.2%に対して1.2%に減少し、宿主タンパク質は、CTABによる127,959に対して93,424ppmに減少した。
実施例5 実施例2〜4と同じ原料物質を用い、0.01%CTABを0.04%メチレンブルーと併用した一実施例においては、凝集体は、CTAB単体の2.5%凝集体に対して3.4%に減少し、宿主タンパク質は、CTAB単体の156,002ppmに対して157,483に減少した。TREN粒子と接触後、併用によって、凝集体は、0.05%CTAB単体の凝集体1.2%に対して1.3%に減少し、宿主タンパク質は、0.05%CTAB単体のHCP93,424ppmに対して88,923ppmに減少した。
実施例6 実施例2〜5と同じ原料物質を用い、0.01%CTABを0.025%エタクリジンと併用した一実施例においては、凝集体は、CTAB単体の2.5%凝集体に対して3.2%に減少し、宿主タンパク質は、CTAB単体の156,002ppmに対して155,788に減少した。TREN粒子と接触後、併用によって、凝集体は、0.05%CTAB単体の凝集体1.2%に対して1.2%に減少し、宿主タンパク質は、0.05%CTAB単体のHCP93,424ppmに対して81,669ppmに減少した。
実施例7 実施例2に記載のように0.05%CTABによって生成したTREN後の処理材料(post−TREN treated material)を用いて開始した実施例においては、試料を次いで1対のデプスフィルタ(PB1とPC1、Sartorius)に通した。凝集体は0.2%に減少し、宿主タンパク質は31,987ppmに減少した。
上記実施例に記載のものなどの実験結果を、それらの特定の要件を満たすのに必要などんな体積にでもスケールアップ又はスケールダウンする方法を、当業者は理解されたい。
本明細書で引用する全ての参考文献は、個々の刊行物又は特許又は特許出願が参照によりその全体が援用されるように具体的かつ個々に示されたと同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に援用される。参照により援用する刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示に矛盾する範囲では、本明細書は、こうした矛盾を無効にし、及び/又は矛盾に優先するものとする。
本明細書及び特許請求の範囲で使用する成分量、クロマトグラフィ条件などを表すすべての数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されることを理解されたい。したがって、それに反しない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、開示した方法によって得ようとする所望の性能に応じて変わり得る近似値である。
当業者には明らかなように、この開示した方法の多数の改変及び変更をその精神及び範囲から逸脱することなく成すことができる。本明細書に記載した具体的実施形態は、単なる例示にすぎず、何ら限定することを意味するものではない。本明細書及び実施例は単なる例示と考えられるものであり、開示した方法の正確な範囲及び精神は以下の特許請求の範囲によって示されるものである。
Claims (15)
- 標的タンパク質を含む調製物の凝集体含有量を減少させる方法であって、
前記調製物をアルキルカチオンと接触させて、混合物を形成するステップ、及び
前記混合物を少なくとも1種の機能性固体と接触させて、過剰のアルキルカチオンを除去するステップ
を含む方法。 - 前記混合物をアリールカチオンと接触させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記アリールカチオンがエタクリジン又はメチレンブルーである、請求項2に記載の方法。
- 前記混合物を、同時に又は順次、少なくとも1種の電気陽性固体と接触させて、前記調製物の凝集体含有量を更に減少させるステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アルキルカチオンが、セトリモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−ヘキサデカンアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−ヘプタデカンアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−オクタデカンアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−ペンタデカンアンモニウム及びN,N,N−トリメチル−1−テトラデカンアンモニウムからなる群から選択される第四級アンモニウムカチオンの臭化物又は塩化物塩を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アルキルカチオンが、(a)約0.001%から約1%、(b)約0.01から約1%、及び(c)約0.02から約0.03%からなる群から選択される濃度範囲で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- アラントインが、(a)約0.6から約50%、(b)約1から約10%、及び(c)約1から約2%からなる群から選択される濃度範囲で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 操作導電率が、(a)約0.1から約50mS/cm、(b)約1から約30mS/cm、及び(c)約5から約15mS/cmからなる群から選択される範囲内である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 操作pHが、(a)約4から約10、(b)約5から約9、及び約6から約8からなる群から選択される範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記混合物が、前記アルキルカチオンではない抗ウイルス剤をさらに含み、前記抗ウイルス剤がクロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、メチレンブルー、エタクリジン及びリン酸トリ(n−ブチル)からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記少なくとも1種の機能性固体の表面が、静電相互作用、疎水性相互作用、水素結合及び金属親和性からなる群から選択される化学相互作用を促進する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記少なくとも1種の機能性固体が粒子である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記標的タンパク質が、組換えタンパク質、抗体、成長ホルモン及び凝固因子からなる群から選択される一種を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
- タンパク質調製物が、細胞含有細胞培養収集物、実質的に無細胞の細胞培養収集物、及び部分精製タンパク質からなる群から選択される一種である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1から14のいずれか一項に記載の方法の簡便な実施のために提供されるキット。
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