JP2017110619A - 多気筒エンジンの冷却構造 - Google Patents

多気筒エンジンの冷却構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2017110619A
JP2017110619A JP2015247891A JP2015247891A JP2017110619A JP 2017110619 A JP2017110619 A JP 2017110619A JP 2015247891 A JP2015247891 A JP 2015247891A JP 2015247891 A JP2015247891 A JP 2015247891A JP 2017110619 A JP2017110619 A JP 2017110619A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylinder
exhaust
block
intake
intake side
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015247891A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6314966B2 (ja
Inventor
進児 若本
Shinji Wakamoto
進児 若本
幹祐 川口
Mikimasa Kawaguchi
幹祐 川口
智弘 小口
Toshihiro Oguchi
智弘 小口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2015247891A priority Critical patent/JP6314966B2/ja
Publication of JP2017110619A publication Critical patent/JP2017110619A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6314966B2 publication Critical patent/JP6314966B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】シリンダブロックにおいて、その上下方向に温度差が生じるのを抑制すること。【解決手段】気筒列方向におけるシリンダブロックの一端部に形成されウォータジャケットに冷却液を導入する導入部と、気筒列方向におけるシリンダブロックの導入部とは反対側の端部に設けられシリンダヘッドのヘッド側ウォータジャケットにウォータジャケット内の冷却液を導出する導出部と、複数の気筒を囲む様にシリンダブロックに形成されたウォータジャケットと、ウォータジャケットに複数の気筒のシリンダボア壁を囲む様に収容されシリンダボア壁の上部と間隔をあけて対向する周壁を有し、周壁とシリンダボア壁の間に排気側通路及び吸気側通路が形成されるスペーサ部材を備え、スペーサ部材は、周壁のうち、気筒列方向における導入部と同じ側の端部に、導入部と、排気側通路及び吸気側通路と連通する開口部を有し、開口部と導入部は気筒軸方向で異なる位置に配置される。【選択図】図6

Description

本発明は、シリンダブロックおよびシリンダヘッドに設けられたウォータジャケット内をエンジン冷却液が流通する多気筒エンジンの冷却構造に関する。
従来、この種のエンジンの冷却構造として、シリンダブロックに複数の気筒を囲むようにウォータジャケットを形成し、このウォータジャケットにウォータポンプから圧送された冷却液を導入してエンジンを冷却する構造が知られている。
また、冷却性能の向上等を目的として、特許文献1に開示されるように、上記ウォータジャケット内にウォータジャケットの内部空間を区画するスペーサ部材を設けることが提案されている。具体的には、特許文献1には、ウォータジャケットと、ウォータポンプから圧送された冷却液をウォータジャケットに導入するための導入部と、ウォータジャケット内の冷却液を排出するための排出部とがシリンダブロックに設けられるとともに、シリンダボア壁との間に冷却液通路が形成され、その冷却液通路の流路断面積が下部側よりも上部側で大きく設定されるスペーサ部材をウォータジャケット内に配置することが開示されている(図20参照)。
特許第3596438号公報
ところで、特許文献1においては、明示はされていないものの、シリンダブロックの導入部は、スペーサ部材の上方空間に対向して設けられているものと考えられる。この場合には、シリンダブロックの導入部からウォータジャケット内に流入した冷却液が、シリンダボア壁に勢いよく衝突して、四方に流れが散る。冷却液がシリンダボア壁に勢いよく衝突すると、その衝突した箇所が局所的に過冷却される虞がある。また、特許文献1に係る冷却構造は、その四方に流れた冷却液を積極的に整流するような構造になっていないため、シリンダボア壁に衝突した冷却液がウォータジャケットの下部にも勢いよく流入する虞があり、シリンダボア壁を適切に温度調節できない可能性がある。このため、シリンダボア壁においてその上下方向に温度差が生じてシリンダボアが不均一に変形し、ピストンの摺動抵抗が大きくなって燃費が低下する虞がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、シリンダブロックにおいてその上下方向に温度差が生じるのを抑制することができる多気筒エンジンの冷却構造を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、複数の気筒が直列に並ぶ多気筒エンジンの冷却構造であって、前記複数の気筒を囲むようにシリンダブロックに形成されたブロック側ウォータジャケットと、気筒列方向における前記シリンダブロックの一端部に形成され、前記ブロック側ウォータジャケットに冷却液を導入する導入部と、気筒列方向における前記シリンダブロックの他端部に設けられ、前記シリンダブロックに連結されたシリンダヘッドに形成された前記ヘッド側ウォータジャケットに前記ブロック側ウォータジャケット内の冷却液を導出する導出部と、前記ブロック側ウォータジャケットに前記複数の気筒のシリンダボア壁を囲むように収容されるとともに少なくとも前記導入部に対向するように配置される部材であって、前記シリンダボア壁の上部と間隔をあけて対向する周壁を有し、当該周壁と前記シリンダボア壁との間に、前記複数の気筒に対して排気側に位置して前記導入部と前記導出部との間で冷却液を流通させる排気側通路および前記複数の気筒に対して吸気側に位置して前記導入部と前記導出部との間で冷却液を流通させる吸気側通路が形成されるスペーサ部材とを備え、前記スペーサ部材は、前記周壁のうち、気筒列方向における前記導入部と同じ側の端部に、前記導入部と、前記排気側通路および前記吸気側通路と連通する開口部を有し、当該開口部と前記導入部とは前記気筒軸方向において異なる位置に配置されていることを特徴とする、多気筒エンジンの冷却構造を提供する。
本発明によれば、スペーサ部材が有する開口部とシリンダブロックが有する導入部とは気筒軸方向において異なる位置に配置されているため、その導入部からウォータジャケット内に流入した冷却液が、スペーサ部材における上記開口部より気筒軸方向にずれた部分に衝突する。そして、その衝突した冷却液の一部が、スペーサ部材の外周面に沿って上記開口部まで流動し、冷却液が当該開口部を通じて上記排気側通路および上記吸気側通路に流入する。これにより、導入部からウォータジャケット内に流入した冷却液が、直接的にシリンダボア壁に衝突するのを回避することができ、シリンダボア壁の過冷却を防止することができる。さらに、冷却液がスペーサ部材の外周面に沿って気筒軸方向に流れつつ開口部に流入するので、開口部から内側に流入した冷却液は、吸排気各通路において、シリンダボア璧の上部を下部と比べて十分に冷却することができる。さらに、上記開口部から内側に流入した冷却液が、上記周壁よりも下側に流入してシリンダボア壁の下部が過冷却されるのを抑制することができる。これらの作用により、シリンダブロックにおいてその上下方向に温度差が生じるのを抑制することができる。
本発明においては、前記導入部は、隣接する気筒の中心を結ぶ気筒中心線よりも排気側に位置する排気側導入口と、前記気筒中心線よりも吸気側に位置する吸気側導入口とを有し、前記シリンダブロックは、前記排気側導入口と前記吸気側導入口との間に介在する隔壁部を有することが好ましい。
この構成によれば、ブロック側ウォータジャケットに流入する流量を排気側と吸気側とで調節することが可能になるとともに、排気側通路と吸気側通路とで各々、上下方向に温度差が生じるのをさらに抑制することができる。さらに、隔壁部を設けることにより、導入部周辺の剛性を高めることができ、ガスケットを介してシリンダブロックとシリンダヘッドとの密な結合を確実に行うことができる。つまり、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間のシール性を高めることができる。
本発明においては、前記開口部は、前記気筒中心線よりも排気側に位置するとともに前記排気側導入口と連通する排気側開口部と、前記気筒中心線よりも吸気側に位置するとともに前記吸気側導入口と連通する吸気側開口部とを有し、前記排気側開口部と前記吸気側開口部とは、気筒列直交方向に互いに間隔をあけて形成され、前記排気側開口部は前記排気側導入口の真上に位置し、前記吸気側開口部は前記吸気側導入口の真上に位置していることが好ましい。
この構成によれば、各開口部の開口面積を調節することにより、排気側通路と吸気側通路とで各々、流量を調節することが可能となり、排気側通路の流量を大きくすることによって、排気側通路と吸気側通路との間で温度差が生じるのを抑制することができる。
本発明においては、前記周壁は、前記シリンダボア壁内で上下方向に往復動するピストン上面の上下方向移動範囲のうち、上側の所定範囲を囲む壁であることが好ましい。
この構成によれば、シリンダボア壁のうち、温度が相対的に高い部分をより効果的に冷却することができる。
本発明においては、前記周壁は、その上端部が前記ウォータジャケットの上端部と同じ高さに位置し、前記開口部は、前記周壁の上端部に形成された切欠部であることが好ましい。
この構成によれば、比較的容易に開口部を形成することができる。
以上説明したように、本発明によれば、シリンダブロックにおいてその上下方向に温度差が生じるのを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る多気筒エンジンの冷却構造の全体構成を示す概略図である。 シリンダブロック周辺の概略構成を示す分解斜視図である。 スペーサ部材を吸気側から見た斜視図である。 スペーサ部材を排気側から見た側面図である。 スペーサ部材を吸気側から見た側面図である。 (a)は、ブロック側ウォータジャケットにスペーサ部材を配置した状態のシリンダブロックを、スペーサ部材の上部の高さで切断して示す横断面図であり、(b)は、(a)に示されるシリンダブロックを、ウォータポンプを除去した状態で左側から見た図である。 ブロック側ウォータジャケットにスペーサ部材を配置した状態のシリンダブロックを、スペーサ部材の下部の高さで切断して示す横断面図である。 図6のA−A線断面図である。 図6のB−B線断面図である。 図6のC−C線断面図である。 図6のD−D線断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳述する。
(1)全体の概略構成
本実施形態に係る冷却構造が適用されるエンジン2は、図1に示されるように、4つの気筒(第1〜第4気筒♯1〜♯4)を有する直列4気筒4サイクルガソリンエンジンである。エンジン2は、車両前部のエンジンルーム内で気筒列方向が車幅方向(図1の左右方向)に向くように横置きに配置される横置き型のエンジンである。
なお、本実施形態では、上記直列エンジン2に基づいて説明するが、エンジンの種類は特に限定されるものではなく、V型エンジン、水平エンジンなどクロスフロー式のエンジンに適用可能である。また、気筒数についても複数であればよく、エンジンルーム内で気筒列方向が車両前後方向に向くように縦置きに配置される縦置き型のエンジンであってもよい。エンジンルームは、車両前部に設けられていてもよいし、車両中央部あるいは車両後部に設けられていてもよい。
図1に示されるように、エンジン2は、シリンダブロック3と、シリンダブロック3にガスケット70(図2参照)を介して締結されるシリンダヘッド4とを含んでいる。なお、図1では、ガスケットおよび後述するスペーサ部材の図示を省略している。
エンジン2においては、その吸気系および排気系が気筒列方向と直交する方向の一方側と他方側とにそれぞれ設けられている。
各図において、「IN側」は吸気側、すなわち気筒列方向と直交する方向において、エンジン2の吸気ポートが位置する側(吸気マニホールド等の吸気装置が配置される側)を意味し、「EX側」は排気側、すなわち気筒列方向と直交する方向において、エンジン2の排気ポートが位置する側(排気マニホールド等の排気装置が配置される側)を意味している。
以下の説明では、気筒軸方向を上下方向といい、シリンダブロック3から見てシリンダヘッド側を上、反シリンダヘッド側を下というとともに、この上下方向の位置を高さ位置という場合がある。また、気筒の径方向内側を単に内側、径方向外側を単に外側という場合がある。
なお、図1では、シリンダブロック3は上方から見たもの、シリンダヘッド4は下方から見たものとして示しているため、シリンダブロック3とシリンダヘッド4とで吸気側と排気側との位置関係が逆になっている。シリンダヘッド4は、気筒ごとに、2つの吸気口と、2つの排気口と、中央部に配置された点火プラグ口または燃料噴射ノズル口とを備える。
本実施形態に係る冷却装置は、図1および図2に示されるように、ブロック側ウォータジャケット33が上方に開口した状態で設けられたシリンダブロック3と、このシリンダブロック3にガスケット70を介して締結されるとともにヘッド側ウォータジャケット60が設けられたシリンダヘッド4と、このシリンダヘッド4のヘッド側ジャケット60とブロック側ウォータジャケット33との間で冷却液が流通する管、バルブおよびラジエータを含む図外の冷却液流通部材と、シリンダブロック3に取り付けられ前記冷却液流通部材から流れ込んだ冷却液をブロック側ウォータジャケット33に圧送するウォータポンプ5とを備え、冷却液が循環することによりシリンダブロック3およびシリンダヘッド4を冷却するものとなされている。
なお、上記バルブは、シリンダヘッド4の気筒列方向一端部(図1における左側端部)に形成された導出部62に設けられており、運転条件等に応じて開閉される。このバルブが開/閉されることで、ヘッド側ジャケット60から外部への冷却液の導出ひいてはブロック側ジャケット33およびヘッド側ジャケット60内の冷却液の流通が実行/停止される。例えば、暖機運転中において早期にエンジン2の温度を高めたい場合等には、このバルブが閉じられ冷却液の流通が停止されて、冷却液によるエンジン2の冷却が禁止される。
本実施形態に係る冷却構造は、上記冷却装置のうち、シリンダブロック3における冷却構造を言い、ブロック側ウォータジャケット33と、導入部36と、導出部37と、スペーサ部材40とを備える。
以下、上記冷却装置の各構成要素について詳細に説明する。
(2)シリンダブロック
図2,6,7に示されるように、シリンダブロック3は、気筒♯1〜♯4を規定するシリンダボア壁32と、ブロック側ウォータジャケット33と、このブロック側ウォータジャケット33に冷却液を導入する導入部36と、ブロック側ウォータジャケット33から冷却液を導出する導出部37とを備えている。
なお、本実施形態においては、後述するように、導入部36は、気筒列方向と直交する方向に互いに離間して設けられる排気側導入口36aと吸気側導入口36bとを有している。そして、シリンダブロック3は、これら排気側導入口36aと吸気側導入口36bとが離間配置される結果、それらの間に隔壁部38(図1、2、6(b)参照)が備えられている。
この隔壁部38は、シリンダブロック3における排気側導入口36aおよび吸気側導入口36b付近の剛性を高める機能を有している。そのような機能を発揮するために、この隔壁部38は、シリンダブロック3における排気側導入口36aおよび吸気側導入口36b付近に応力が作用したときに、その応力による排気側導入口36aおよび吸気側導入口36b付近の変形を抑制し、これによりシリンダブロック3とシリンダヘッド4とが、ガスケット70を介して密に接合されるような大きさを有している。この隔壁部38を設けることにより、シリンダブロック3の上面とシリンダヘッド4の下面との間の高いシール性が確保される。
各気筒♯1〜♯4のシリンダボア壁32は、隣接するもの同士が気筒列方向に互いに結合されており、各気筒♯1〜♯4のシリンダボア壁32が気筒列方向に一体的に連続している。
図1,6,7に示されるように、ブロック側ウォータジャケット33は、冷却液が流通する経路(空間)である。図2,6,7に示されるように、ブロック側ジャケット33は、4つの気筒♯1〜♯4を囲むようにシリンダブロック3に形成されている。すなわち、ブロック側ジャケット33は、シリンダボア壁32の外周面と、シリンダボア壁32を間隔を隔てて囲むシリンダブロック外周壁34の内周面との間に形成されている。以下の説明では、シリンダブロック外周壁34を「ブロック外周壁34」という。
ブロック側ジャケット33は、シリンダブロック3の上面31に開口する、いわゆるオープンデッキ式のウォータジャケットである。ブロック側ジャケット33は、ピストン(図示略)が上下方向に往復動するときのピストン上面の上下方向移動範囲全体に沿って形成されている。ブロック側ジャケット33内には、ブロック側ジャケット33内を区画するスペーサ部材40が挿入されている。このスペーサ部材40の詳細については後述する。
また、図2,6,7に示されるように、シリンダブロック3は、シリンダブロック3の気筒列方向他端部(第4気筒♯4側端部)において、ブロック側ジャケット33と連通しブロック側ウォータジャケット33から外側(反気筒側、すなわち、気筒列方向において第4気筒♯4から離間する方向)に膨出する空間である膨出部35を有している。膨出部35は、シリンダブロック3の上面31に開口している。膨出部35の気筒列直交方向の幅は、ブロック側ウォータジャケット33における排気側端部と吸気側端部との気筒列直交方向の間隔よりも小さく設定されている。また、膨出部35の深さは、ブロック側ウォータジャケット33の深さと同じに設定されている。
図2、6、7に示されるように、導入部36は、シリンダブロック3の気筒列方向一端部(図2における右側端部)に形成された貫通孔(導入口)であり、案内部22を介してウォータポンプ5の吐出口と連通している。導入部36は、単一の導入口から構成されてもよいし、或いは、複数の導入口から構成されてもよいが、本実施形態では、2つの導入口、具体的には、隣接する気筒の中心を結ぶ気筒中心線よりも排気側に位置する排気側導入口36aと、上記気筒中心線よりも吸気側に位置する吸気側導入口36bとから構成されている。なお、導入部36を単一の導入口で構成する場合には、当該導入口は、上記気筒中心線よりも排気側に位置する部分と、上記気筒中心線よりも吸気側に位置する部分とを有するように形成される。
排気側導入口36aと吸気側導入口36bとは、気筒列直交方向に互いに間隔をあけてシリンダブロック3に形成されており、ブロック側ウォータジャケット33の気筒列直交方向中央部に対して互いに反対側に開口している。排気側導入口36aの開口面積と吸気側導入口36bの開口面積とは、略同じに設定されている。
図2、6、7に示されるように、導出部37は、膨出部35の上端開口部(シリンダブロック3の上面31に開口する部分)により形成されている。つまり、導出部37は、シリンダブロック3の気筒列方向他端部(図2における左側端部)に形成されており、ブロック側ウォータジャケット33に連通するとともに、ヘッド側ウォータジャケット60にガスケット70の連通孔72a,72bとシリンダヘッド4に形成された排気側導入口61a及び吸気側導入口61b を介して連通している。導出部37は、本実施形態では、排気側に位置する排気側導出部37aと、吸気側に位置する吸気側導出部37bとを有している。排気側導出部37aおよび吸気側導出部37bは、上記膨出部35がスペーサ部材40の仕切壁50(後述する)によって気筒列直交方向において排気側と吸気側の2つの空間に仕切られることにより形成され、その一方の空間が排気側導出部37aとされ、他方の空間が吸気側導出部37bとされている。排気側導出部37aは、ガスケット70に形成された連通孔72aと排気側導入口61aを介してヘッド側ウォータジャケット60と連通し、吸気側導出部37bは、ガスケット70に形成された連通孔72bと吸気側導入口61bを介してヘッド側ウォータジャケット60と連通している。
(3)ガスケット
図2に示されるように、ガスケット70は、シリンダブロック3とシリンダヘッド4との間に介在して、シリンダブロック3とシリンダヘッド4との間をシールする部材である。ガスケット70の材質は特に限定されるものではないが、例えば金属製であり、具体的には、複数の金属板を重ね合わせた後これら金属板の複数個所をかしめて一体化することで形成される。シリンダブロック3とシリンダヘッド4とは、このガスケット70を間に挟んだ状態で複数のヘッドボルト(図示略)により互いに締結される。なお、シリンダブロック3およびガスケット70には、これらヘッドボルトが挿通、螺合するボルト穴が形成されているが、図示は省略している。
ガスケット70は、その全体形状がシリンダブロック3の上面31に対応する形状に形成されており、ガスケット70には、4つの気筒♯1〜♯4に対応する位置に4つの円孔71が形成されている。
ガスケット70の気筒列方向一端部(図2における左側端部)には、その厚み方向に貫通して、ブロック側ジャケット33とヘッド側ジャケット60とを相互に連通させる2つの連通孔72a、72bが形成されている。連通孔72aの開口面積は、連通孔72bの開口面積よりも大きく設定されている。
(4)スペーサ部材
ブロック側ジャケット33内に収容されるスペーサ部材40の詳細構造について、図2〜11を参照しつつ説明する。
図2、6、7に示されるように、スペーサ部材40は、スペーサ本体部41と、下端フランジ49と、突条部54a〜54dと、仕切壁50とを備えている。スペーサ部材40は、熱伝導率がシリンダブロック3の素材(例えばアルミニウム合金)よりも小さい素材で構成されればよいが、本実施形態では合成樹脂で構成される。
スペーサ本体部41は、各気筒♯1〜♯4に対応するシリンダボア壁32の外周全体を囲むとともにブロック外周璧34の導入部36と対向するように配置される部材であって、シリンダボア壁32に沿って平面視で4つの円が若干オーバーラップしてつながり、当該オーバーラップ部分が除去されたような筒状部材である。具体的には、図8に示されるように、スペーサ本体部41は、各気筒♯1〜♯4に対応するシリンダボア壁32の上部(本実施形態では、ピストン上面の上下方向移動範囲のうち、上側約1/3の部分)を囲む上部壁43(本発明の「周壁」に相当する)と、上部壁43の下端に連設されて径方向内側に突出する段部42と、段部42の内側端部に連設され、上部壁43の下側に位置する下部壁44とを有し、図2に示されるように、上部壁43に対して下部壁44が内側に縮小した異形筒状体を呈している。なお、上部壁43の高さ位置は、上記の高さ位置(ピストン上面の上下方向移動範囲のうち、上側約1/3の部分)に限定されず、例えば、ピストン上面の上下方向移動範囲のうち、上側約1/2の部分であってもよい。
図8〜11に示されるように、スペーサ本体部41は、シリンダブロック3の上面31から突出しないような高さを有している。つまり、スペーサ本体部41は、ブロック側ジャケット33の深さと同等もしくはブロック側ジャケット33の深さよりも低い高さを有している。本実施形態では、図6(b)に示されるように、スペーサ本体部41の上端の高さ位置が、シリンダブロック3の上面31とほぼ同じ高さ位置で、かつ、シリンダブロック3の排気側導入口36aおよび吸気側導入口36bの高さ位置よりも上側に設定されている。これに伴い、ブロック側ジャケット33は、その全体にわたってスペーサ本体部41により内側(気筒側)と外側(反気筒側)とに区画されている。
図6、8に示されるように、上部壁43は、上下方向に延びる筒状壁であり、ブロック側ジャケット33内に配置された状態で、その内周面がシリンダボア壁32の上部に対して所定の間隔L1(図8参照)を隔てて対向し、かつ、その外周面がブロック外周壁34の上部と近接して(上記間隔L1よりも十分に小さい距離を隔てて)対向するように構成されている。図6、8に示されるように、上部壁43とシリンダボア壁32との間には、4つの気筒♯1〜♯4に対して排気側に位置する排気側通路33aと、4つの気筒♯1〜♯4に対して吸気側に位置する吸気側通路33bとが形成される。なお、上部壁43は、ブロック側ジャケット33内に配置された状態で、ブロック外周壁34と密着するような大きさに設定されていてもよい。
図2〜6に示されるように、上部壁43のうち、気筒列方向における導入部36側の端部には、シリンダブロック3の導入部36、排気側通路33a、および吸気側通路33bと連通するとともに、上記導入部36よりも上側に位置する開口部53が形成されている。
開口部53は、単一の開口部から構成されてもよいし、或いは、複数の開口部から構成されてもよいが、本実施形態では、2つの開口部、具体的には、図6(b)に示されるように、上記気筒中心線よりも排気側に位置する排気側開口部53aと、上記気筒中心線よりも吸気側に位置する吸気側開口部53bとから構成されている。なお、開口部53を単一の開口部で構成する場合には、当該開口部は、上記気筒中心線よりも排気側に位置する部分と、上記気筒中心線よりも吸気側に位置する部分とを有し、上記導入部36を単一の導入部で構成した場合にその単一の導入部の真上に位置するように形成される。
本実施形態では、図6(b)に示されるように、排気側開口部53aと吸気側開口部53bとは、気筒列直交方向に互いに間隔をあけて形成されている。排気側開口部53aは、シリンダブロック3に形成された排気側導入口36aの真上に位置し、吸気側開口部53bは、シリンダブロック3に形成された吸気側導入口36bの真上に位置している。排気側導入口36aの上端から排気側開口部53aの下端までの上下方向距離および吸気側導入口36bの上端から吸気側開口部53bの下端までの上下方向距離は、冷却液流れを上向きに整流する効果を高める点で大きい程好ましいが、特に限定はされない。
本実施形態では、排気側開口部53aおよび吸気側開口部53bは、上部壁43の上端から段部42までを切り欠くように形成されている。冷却液が吸気側通路33bよりも排気側通路33aで多く流れるように、排気側開口部53aの開口面積は、吸気側開口部53bの開口面積よりも大きく設定されている。
また、図2〜6に示されるように、上部壁43のうち、気筒列方向における導出部37側の端部には、上部壁43の上端から段部42までを切り欠くように導出側開口部53c、53dが形成されている。
図7、8に示されるように、下部壁44は、上下方向に延びる筒状壁であり、ブロック側ジャケット33内に配置された状態で、その内周面がブロック外周壁34に対して所定の間隔L2(図8参照)を隔てて対向し、かつ、その外周面がシリンダボア壁32の上下方向中央部と近接して(上記間隔L2よりも十分に小さい距離を隔てて)対向するように構成されている。図7、8に示されるように、下部壁44がブロック側ジャケット33内に配置された状態で、下部壁44とシリンダボア壁32との間には、4つの気筒♯1〜♯4に対して排気側に位置する排気側通路33cと、4つの気筒♯1〜♯4に対して吸気側に位置する吸気側通路33dとが形成される。なお、下部壁44は、ブロック側ジャケット33内に配置された状態で、シリンダボア壁32と密着するような大きさに設定されていてもよい。
上記間隔L1と間隔L2との大小関係は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、同じに設定される。なお、L1をL2よりも大きい値に設定することや、L2をL1よりも大きく設定することも可能である。
図3,7に示されるように、下部壁44は、気筒列方向他端部において、排気側と吸気側とに相互に分離されており、排気側の下部壁44と吸気側の下部壁44との間に、仕切壁50が介在している。排気側の下部壁44および吸気側の下部壁44は、仕切壁50と一体に形成されている。
図2〜5に示されるように、下端フランジ49は、スペーサ本体部41の下端部において、スペーサ本体部41の外周面から全周にわたってブロック外周壁34に向かって突出するように形成されている。スペーサ部材40は、この下端フランジ49がブロック側ジャケット33の底面に当接した状態でブロック側ジャケット33内に収容されている。
図2〜7に示されるように、仕切壁50は、上下方向に延びる直方体状の壁である。仕切壁50は、気筒列方向他端部における排気側の下部壁44と吸気側の下部壁44との間に位置して、下部壁44の下端と同じ高さから上側に延びて、さらに導出部37内で上部壁43の上端と同じ高さまで延びている。仕切壁50の内側(気筒側)の側面は、下部壁44の内周面とは面一となっている。また、仕切壁50の外側(反気筒側)の側面は、下部壁44の外周面および上部壁43の外周面よりも外側に突出している。
図6,7に示されるように、仕切壁50は、その気筒列直交方向の幅が膨出部35の気筒列直交方向の幅よりも小さく設定され、膨出部35内に配置される。これにより、膨出部35のうち、仕切壁50よりも排気側の部分には、排気側通路33a,33c内の冷却液をヘッド側ジャケット60に導出する排気側導出部37aが形成され、膨出部35のうち、仕切壁50よりも吸気側の部分には、吸気側通路33b,33d内の冷却液をヘッド側ジャケット60に導出する吸気側導出部37bが形成される。なお、本実施形態では、仕切壁50は、当該仕切壁50が気筒列直交方向における膨出部35の中央部に配置されている。排気側導出部37aは、ガスケット70に形成された連通孔72aと排気側導入口61aを介してヘッド側ウォータジャケット60と連通している。また、この吸気側導出部37bは、ガスケット70に形成された連通孔72bと吸気側導入口61bを介してヘッド側ウォータジャケット60と連通している。
また、図6に示されるように、仕切壁50の気筒列直交方向の幅は、導出部37の気筒列直交方向の幅よりも小さく設定されている。この導出部37内に仕切壁50が位置している。導出部37は、仕切壁50によって排気側と吸気側とに仕切られる。排気側に位置する導出側開口部53cは、吸気側に位置する導出側開口部53dよりも開口面積が大きく設定されている。なお、各導出側開口部53c、53dの開口面積は略同じでもよい。
図11に示されるように、スペーサ部材40がブロック側ジャケット33内に配置された状態で、仕切壁50の外側(反気筒側)の側面は、その全長に亘ってブロック外周壁34に近接(上記間隔L2よりも十分に小さい間隔を隔てて)もしくは密着して対向する。さらに、仕切壁50の内側(気筒側)の側面は、その全長に亘ってシリンダボア壁32に近接(上記間隔L1よりも十分に小さい間隔を隔てて)もしくは密着して対向する。
このように、仕切壁50は、その全長に亘ってシリンダボア壁32およびブロック外周壁34と近接もしくは密着するように配置されることにより、排気側通路33aと吸気側通路33bとが上下方向全体に亘って仕切られるとともに、排気側通路33cと吸気側通路33dとが上下方向全体に亘って仕切られ、さらに、膨出部35が排気側と吸気側とに仕切られる。なお、排気側通路33aと排気側通路33cとは、導出側開口部53c(仕切壁50よりも排気側に位置する部分)を介して連通し、吸気側通路33bと吸気側通路33dとは、導出側開口部53d(仕切壁50よりも吸気側に位置する部分)を介して連通している。
図3、4、8に示されるように、排気側突条部54aは、下部壁44の上下方向中央部において、下部壁44の排気側の外周面から外側に突出するとともに下部壁44に沿って導入部36側から導出部37側に延びて、排気側通路33cを排気側突条部54aよりも上側に規定する。つまり、排気側突条部54aは、排気側通路33cの上下方向範囲を規定する。なお、排気側突条部54aおよび吸気側突条部54bは、気筒列方向一端部(図2における右側端部)および気筒列方向他端部(図2における左側端部)には形成されていない。
排気側突条部54aの突出高さは、下部壁44に対する上部壁43の径方向への拡大量と同じ程度とされる。これにより、スペーサ部材40をブロック側ジャケット33内に配置した状態で、排気側突条部54aの突出端がブロック外周壁34と近接もしくは密着して対向する。排気側突条部54aが設けられる高さ位置は、本実施形態では気筒♯1〜♯4の上下方向中央部とされる。
図5、8に示されるように、吸気側突条部54bは、下部壁44の上下方向中央部において、下部壁44の吸気側の外周面から外側に突出するとともに下部壁44に沿って導入部36側から導出部37側に延びて、吸気側通路33dを吸気側突条部54bよりも上側に規定する。つまり、吸気側突条部54bは、吸気側通路33dの上下方向範囲を規定する。吸気側突条部54bの突出高さは、下部壁44に対する上部壁43の径方向への拡大量と同じ程度とされる。これにより、スペーサ部材40をブロック側ジャケット33内に配置した状態で、吸気側突条部54bの突出端がブロック外周壁34と近接もしくは密着して対向する。吸気側突条部54bが設けられる高さ位置は、本実施形態では気筒♯1〜♯4の上下方向中央部とされる。
図2,4に示されるように、斜め方向突条部54cは、下部壁44の外周面から外側に突出するように形成されており、排気側突条部54aにおける導入部36側の端部から気筒列方向における導入部36側に斜め下向きに延びている。排気側突条部54aの傾斜角度は鋭角であり、好ましくは約45°である。
図3、5に示されるように、気筒軸方向突条部54dは、下部壁44の外周面から径方向外側に突出するように形成されており、吸気側突条部54bにおける導入部36側の端部から気筒軸方向下側に延びている。
(5)シリンダヘッド
図1に示されるように、シリンダヘッド4は、各気筒♯1〜♯4の排気ポートおよび吸気ポートの周辺および燃焼室周辺を冷却するヘッド側ウォータジャケット60と、シリンダヘッド4の気筒列方向他端部(図1における右側端部)に形成され、ヘッド側ウォータジャケット60と連通するとともにシリンダブロック3の導出部37からガスケット70の連通孔72a,72bを介してヘッド側ウォータジャケット60に冷却液を導入する排気側導入口61a及び吸気側導入口61bと、シリンダヘッド4の気筒列方向一端部(図1における左側端部)に形成され、ヘッド側ウォータジャケット60から冷却液を上記冷却液流通部材に導出する導出部62とを備えている。
(6)ウォータポンプ
ウォータポンプ5は、エンジン2により強制的に駆動されるポンプであり、シリンダブロック3の気筒列方向一端部(図1における左側端部)に取り付けられている。ブロック側ジャケット33およびヘッド側ジャケット60には、このウォータポンプ5により冷却液が圧送される。詳細には、ウォータポンプ5は、エンジン2のクランクシャフト(図示略)に連結されており、クランクシャフトの回転すなわちエンジン2の回転に伴って冷却液を圧送する。また、ウォータポンプ5は、シリンダブロック3の気筒列方向一端部(図1における左側端部)のうち、排気側部分に配置されている。
ウォータポンプ5の吐出口には、冷却液をブロック側ウォータジャケット33に案内する案内部22が接続されている。案内部22は、ウォータポンプ5の吐出口からシリンダブロック3の吸気側に延びつつシリンダブロック3の側面の一部を覆うカバー部材である。この案内部22とシリンダブロック3の側面との間に、気筒列直交方向に延びる直線状の通路が形成され、この通路の中途部が、排気側導入部36aおよび吸気側導入部36bを介してブロック側ウォータジャケット33と連通している。
(7)本実施形態の作用効果
次に、本実施形態に係るエンジンの冷却構造の作用効果について説明する。
本実施形態では、まず、図7に示されるように、ウォータポンプ5から圧送された冷却液が、案内部22および排気側導入口36aを通じて排気側通路33c内に流入するとともに、案内部22および吸気側導入口36bを通じて吸気側通路33d内に流入する。
本実施形態では、図6(b)に示されるように、スペーサ部材40が有する排気側開口部53aが、シリンダブロック3が有する排気側導入口36aよりも気筒軸方向の上側(シリンダヘッド4側)に位置し、吸気側開口部53bが、吸気側導入口36bよりも気筒軸方向の上側に位置している。このため、その排気側導入口36aを通じて排気側通路33c内に流入した冷却液が、図3,4,9に示されるように、下部壁44の外周面のうち上記排気側開口部53aの真下の部分に衝突し、吸気側導入口36bを通じて吸気側通路33d内に流入した冷却液が、図3,5,9に示されるように、下部壁44の外周面のうち上記吸気側開口部53bの真下の部分に衝突する。これにより、吸排気側各導入口36b,36aからウォータジャケット33内に流入した冷却液が、直接的にシリンダボア壁32に衝突するのを回避することができ、シリンダボア壁32の過冷却を防止することができる。そして、排気側で衝突した冷却液の一部が、下部壁44の外周面に沿って排気側開口部53aまで上昇し、その上方に指向する流れ成分を有する冷却液が当該排気側開口部53aを通じて排気側通路33aに流入する。また、吸気側で衝突した冷却液の一部が、下部壁44の外周面に沿って吸気側開口部53bまで上昇し、その上方に指向する流れ成分を有する冷却液が当該吸気側開口部53bを通じて吸気側通路33bに流入する。これにより、排気側開口部53aから排気側通路33aに流入した冷却液、および、吸気側開口部53bから吸気側通路33bに流入した冷却液は、上側が下側に比べて流速が速くなる。つまり、図3〜5,9において太い白抜き矢印で示す流速が相対的に高い部分(単位面積当たりの流量が多い部分)が、吸排気側各通路33b,33aの上部に形成されるとともに、同図において細い白抜き矢印で示す流速が相対的に低い部分(単位面積当たりの流量が少ない部分)が、吸排気側各通路33b,33aの下部に形成される。これにより、吸排気側各通路33b,33aにおいて、シリンダボア璧32の上部を下部と比べて十分に冷却することができる。これらの作用により、シリンダブロック3の排気側部分および吸気側部分の各々において、上下方向に温度差が生じるのを抑制することができる。
なお、ブロック側ジャケット33における排気側導入口36aと吸気側導入口36bとの間の区間では、排気側導入口36aから流入した冷却液の一部が吸気側に流れ、吸気側導入口36bから流入した冷却液の一部が排気側に流れるが、これらの冷却液が互いに流れを相殺するため、この区間にはほとんど流れが生じない。また、ブロック側ジャケット33における排気側開口部53aと吸気側開口部53bとの間の区間では、排気側開口部53aから流入した冷却液の一部が吸気側に流れ、吸気側開口部53bから流入した冷却液の一部が排気側に流れるが、これらの冷却液が互いに流れを相殺するため、この区間にはほとんど流れが生じない。
また、本実施形態では、冷却液が吸気側通路33bよりも排気側通路33aで多く流れるように、排気側開口部53aの開口面積が吸気側開口部53bの開口面積をよりも大きく設定されているため、冷却液が吸気側通路33bよりも排気側通路33aで多く流れる。これにより、シリンダブロック3を吸気側よりも排気側で効率よく冷却することができる。
さらに、排気側突条部54aにおける導入部36側の端部には斜め方向突条部54cが一体形成され、吸気側突条部54bにおける導入部36側の端部には気筒軸方向突条部54dが一体形成されている。冷却液が斜め方向突条部54cから受ける抵抗力よりも、冷却液が気筒軸方向突条部54dから受ける抵抗力の方が大きいため、冷却液を吸気側通路33dよりも排気側通路33cにより多く流入させることができる。これにより、シリンダブロック3を吸気側よりも排気側で効率よく冷却することができる。
次いで、排気側通路33a内を導出部37側の端部まで流れた冷却液が、仕切壁50に衝突して上側に流れるとともに、排気側通路33c内を導出部37側の端部まで流れた冷却液が、仕切壁50に衝突して上側に流れる。排気側通路33aからの冷却液と排気側通路33cからの冷却液とが合流して排気側導出部37aに流入し、その合流した冷却液がガスケット70の連通孔72aと排気側導入口61aを通じてヘッド側ジャケット60内に流入する。
同様に、吸気側通路33b内を導出部37側の端部まで流れた冷却液が、仕切壁50に衝突して上側に流れるとともに、吸気側通路33d内を導出部37側の端部まで流れた冷却液が、仕切壁50に衝突して上側に流れる。吸気側通路33bからの冷却液と吸気側通路33dからの冷却液とが合流して吸気側導出部37bに流入し、その合流した冷却液がガスケット70の連通孔72bと吸気側導入口61bを通じてヘッド側ジャケット60内に流入する。
本実施形態では、仕切壁50が排気側通路33aと吸気側通路33bとを仕切るとともに、排気側通路33cと吸気側通路33dとを仕切っているため、吸気側通路33bを流れる冷却液が排気側通路33aを流れる冷却液に干渉することが防止されるとともに、吸気側通路33dを流れる冷却液が排気側通路33cを流れる冷却液に干渉することが防止される。これにより、排気側通路33a,33cおよび吸気側通路33b,33dを流れる冷却液を、各々、スムーズにヘッド側ジャケット60に流入させることができ、ブロック側ジャケット33において排気側と吸気側とで適切に流量調整を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、スペーサ部材40が有する開口部53が、シリンダブロック3が有する導入部36よりも上側に位置しているため、導入部36からウォータジャケット33内に流入した冷却液が、直接的にシリンダボア壁32に衝突するのを回避することができ、シリンダボア壁32の過冷却を防止することができる。さらに、上方を指向する流れ成分を有する冷却液が開口部53に流入するので、開口部53から吸排気側各通路33b,33aに流入した冷却液は、上側が下側と比べて流速が速くなり(図3〜5,9の太い白抜き矢印を参照)、吸排気各通路33b,33aにおいて、シリンダボア璧32の上部を下部と比べて十分に冷却することができる。さらに、上記開口部53から内側に流入した冷却液が、上記上部壁43よりも下側に流入してシリンダボア壁32の下部が過冷却されるのを抑制することができる。これらの作用により、シリンダブロック3においてその上下方向に温度差が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、シリンダブロック3が、排気側導入口53aと吸気側導入口53bとの間に設けられる隔壁部38を備えているため、排気側導入口53aおよび吸気側導入口53b周辺の剛性を高めることができ、ガスケット70を介してシリンダブロック3とシリンダヘッド4との密な結合を確実に行うことができる。つまり、シリンダブロック3とシリンダヘッド4との間のシール性を高めることができる。
また、本実施形態によれば、上部壁43の上端部がウォータジャケット33の上端部と同程度の高さに位置し、排気側導入口53aおよび吸気側導入口53bは、上部壁43の上端部に形成された切欠部であるため、比較的容易に排気側導入口53aおよび吸気側導入口53bを形成することができる。
なお、上記実施形態においては、導入部36が、2つの導入口(排気側導入口36aと吸気側導入口36b)から構成されているが、1つの導入口から構成してもよい。具体的には、排気側開口部53aおよび吸気側開口部53bよりも下側で、かつ、これら排気側開口部53aと吸気側開口部53bの気筒列直交方向の中間部に対向する位置に一つの導入口を形成してもよい。この場合には、冷却液が1つの導入口を通じて排気側通路33cと吸気側通路33dとの間に流入し、その冷却液の一部が上側に流れて、排気側開口部53aおよび吸気側開口部53bに流入する。この場合においても、シリンダブロック3の排気側部分および吸気側部分においてその上下方向に温度差が生じるのを抑制することができる。
また、上記実施形態においては、排気側開口部53aおよび吸気側開口部53bが、各々、切欠部として形成されているが、上部壁43の上下方向中央部を厚み方向に貫通する貫通孔であってもよい。この場合においては、排気側の貫通孔は、排気側導入口36aの真上に形成され、吸気側の貫通孔は、吸気側導入口36bの真上に形成される。また、貫通孔の開口面積は、吸気側よりも排気側で大きく設定される。
なお、上記実施形態においては、導入部36が、排気側開口部53aおよび吸気側開口部53bよりも下側(反シリンダヘッド側)に位置しているが、これに替えて、スペーサ部材40の段部42が気筒軸方向において略中央位置に形成された際は、貫通孔に形成された排気側開口部53aおよび吸気側開口部53bが下側に位置し、導入部36が上側(シリンダヘッド側)に位置するように配置することも可能である。
2 エンジン
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
32 シリンダボア壁
33 ブロック側ウォータジャケット
33a、33c 排気側通路
33b、33d 吸気側通路
36 導入部
36a 排気側導入部
36b 吸気側導入部
40 スペーサ部材
43 上部壁(周壁)
53 開口部
53a 排気側開口部
53b 吸気側開口部

Claims (5)

  1. 複数の気筒が直列に並ぶ多気筒エンジンの冷却構造であって、
    前記複数の気筒を囲むようにシリンダブロックに形成されたブロック側ウォータジャケットと、
    気筒列方向における前記シリンダブロックの一端部に形成され、前記ブロック側ウォータジャケットに冷却液を導入する導入部と、
    気筒列方向における前記シリンダブロックの他端部に設けられ、前記シリンダブロックに連結されたシリンダヘッドに形成された前記ヘッド側ウォータジャケットに前記ブロック側ウォータジャケット内の冷却液を導出する導出部と、
    前記ブロック側ウォータジャケットに前記複数の気筒のシリンダボア壁を囲むように収容されるとともに少なくとも前記導入部に対向するように配置される部材であって、前記シリンダボア壁の上部と間隔をあけて対向する周壁を有し、当該周壁と前記シリンダボア壁との間に、前記複数の気筒に対して排気側に位置して前記導入部と前記導出部との間で冷却液を流通させる排気側通路および前記複数の気筒に対して吸気側に位置して前記導入部と前記導出部との間で冷却液を流通させる吸気側通路が形成されるスペーサ部材とを備え、
    前記スペーサ部材は、前記周壁のうち、気筒列方向における前記導入部と同じ側の端部に、前記導入部と、前記排気側通路および前記吸気側通路と連通する開口部を有し、当該開口部と前記導入部とは前記気筒軸方向において異なる位置に配置されていることを特徴とする、多気筒エンジンの冷却構造。
  2. 前記導入部は、隣接する気筒の中心を結ぶ気筒中心線よりも排気側に位置する排気側導入口と、前記気筒中心線よりも吸気側に位置する吸気側導入口とを有し、
    前記シリンダブロックは、前記排気側導入口と前記吸気側導入口との間に介在する隔壁部を有することを特徴とする、請求項1に記載の多気筒エンジンの冷却構造。
  3. 前記開口部は、前記気筒中心線よりも排気側に位置するとともに前記排気側導入口と連通する排気側開口部と、前記気筒中心線よりも吸気側に位置するとともに前記吸気側導入口と連通する吸気側開口部とを有し、前記排気側開口部と前記吸気側開口部とは、気筒列直交方向に互いに間隔をあけて形成され、
    前記排気側開口部は前記排気側導入口の真上に位置し、前記吸気側開口部は前記吸気側導入口の真上に位置していることを特徴とする、請求項2に記載の多気筒エンジンの冷却構造。
  4. 前記周壁は、前記シリンダボア壁内で上下方向に往復動するピストン上面の上下方向移動範囲のうち、上側の所定範囲を囲む壁であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の多気筒エンジンの冷却構造。
  5. 前記周壁は、その上端部が前記ウォータジャケットの上端部と同じ高さに位置し、
    前記開口部は、前記周壁の上端部に形成された切欠部であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の多気筒エンジンの冷却構造。
JP2015247891A 2015-12-18 2015-12-18 多気筒エンジンの冷却構造 Expired - Fee Related JP6314966B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015247891A JP6314966B2 (ja) 2015-12-18 2015-12-18 多気筒エンジンの冷却構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015247891A JP6314966B2 (ja) 2015-12-18 2015-12-18 多気筒エンジンの冷却構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017110619A true JP2017110619A (ja) 2017-06-22
JP6314966B2 JP6314966B2 (ja) 2018-04-25

Family

ID=59081731

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015247891A Expired - Fee Related JP6314966B2 (ja) 2015-12-18 2015-12-18 多気筒エンジンの冷却構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6314966B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108757139A (zh) * 2018-06-21 2018-11-06 浙江吉利控股集团有限公司 一种发动机冷却方法及发动机、车辆
JP2019015284A (ja) * 2017-07-07 2019-01-31 マツダ株式会社 エンジンの冷却構造
JP2020037910A (ja) * 2018-09-04 2020-03-12 トヨタ自動車株式会社 内燃機関
JP2021038711A (ja) * 2019-09-04 2021-03-11 マツダ株式会社 エンジンの冷却装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5546713U (ja) * 1978-09-19 1980-03-27
JP2008025474A (ja) * 2006-07-21 2008-02-07 Toyota Motor Corp 内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材、内燃機関冷却構造及び内燃機関冷却構造形成方法
JP2009264286A (ja) * 2008-04-25 2009-11-12 Toyota Motor Corp 内燃機関の冷却構造
JP2014009621A (ja) * 2012-06-29 2014-01-20 Daihatsu Motor Co Ltd 液冷式内燃機関
JP2015108346A (ja) * 2013-12-05 2015-06-11 マツダ株式会社 多気筒エンジンの冷却構造
JP2015224627A (ja) * 2014-05-30 2015-12-14 マツダ株式会社 多気筒エンジンの冷却構造

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5546713U (ja) * 1978-09-19 1980-03-27
JP2008025474A (ja) * 2006-07-21 2008-02-07 Toyota Motor Corp 内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材、内燃機関冷却構造及び内燃機関冷却構造形成方法
JP2009264286A (ja) * 2008-04-25 2009-11-12 Toyota Motor Corp 内燃機関の冷却構造
JP2014009621A (ja) * 2012-06-29 2014-01-20 Daihatsu Motor Co Ltd 液冷式内燃機関
JP2015108346A (ja) * 2013-12-05 2015-06-11 マツダ株式会社 多気筒エンジンの冷却構造
JP2015224627A (ja) * 2014-05-30 2015-12-14 マツダ株式会社 多気筒エンジンの冷却構造

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019015284A (ja) * 2017-07-07 2019-01-31 マツダ株式会社 エンジンの冷却構造
CN108757139A (zh) * 2018-06-21 2018-11-06 浙江吉利控股集团有限公司 一种发动机冷却方法及发动机、车辆
CN108757139B (zh) * 2018-06-21 2019-12-20 浙江吉利控股集团有限公司 一种发动机冷却方法及发动机、车辆
JP2020037910A (ja) * 2018-09-04 2020-03-12 トヨタ自動車株式会社 内燃機関
JP7115158B2 (ja) 2018-09-04 2022-08-09 トヨタ自動車株式会社 内燃機関
JP2021038711A (ja) * 2019-09-04 2021-03-11 マツダ株式会社 エンジンの冷却装置
JP7338333B2 (ja) 2019-09-04 2023-09-05 マツダ株式会社 エンジンの冷却装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6314966B2 (ja) 2018-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6299737B2 (ja) 多気筒エンジンの冷却構造
JP6176188B2 (ja) 多気筒エンジンの冷却構造
JP4446989B2 (ja) シリンダブロックおよび内燃機関
JP6384492B2 (ja) 多気筒エンジンの冷却構造
JP4788236B2 (ja) シリンダヘッドの冷却構造
JP6314966B2 (ja) 多気筒エンジンの冷却構造
EP3470654B1 (en) Cooling structure of engine
US7520257B2 (en) Engine cylinder head
US10808595B2 (en) Engine cooling system for vehicle
US20190345891A1 (en) Water jacket structure
KR20160057297A (ko) 실린더 블록
JP6977590B2 (ja) 車載内燃機関
JP2011208527A (ja) 内燃機関の冷却構造
JP6716723B2 (ja) シリンダヘッド及びエンジン
JP7119735B2 (ja) 内燃機関
JP6996321B2 (ja) 内燃機関
JP2001234807A (ja) シリンダヘッド
JP5118729B2 (ja) 内燃機関の冷却通路構造
JP6985679B2 (ja) 多気筒エンジンの冷却構造
JP2017193971A (ja) シリンダヘッド
JP2004225582A (ja) エンジンの冷却構造
JP7110816B2 (ja) 内燃機関
JP2016125465A (ja) シリンダヘッド
JP3885259B2 (ja) エンジンの冷却装置
JP2005120945A (ja) シリンダブロックの冷却構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171031

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180312

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6314966

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees