JP2017110105A - 感温性遮光シート及び農業用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オレフィン系樹脂(A)95〜30質量%、及び、無機系充填材(B)5〜70質量%を含む樹脂組成物からなる感温性遮光シート。無機系充填材(B)としては、珪酸、ホウ酸、アルミナ、酸化亜鉛、及び酸化カルシウムのいずれかを主成分としてなるガラスフィラーが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明の感温性遮光シート及びこの感温性遮光シートを含む感温性積層遮光シートは、オレフィン系樹脂に無機系充填剤を配合してなる樹脂組成物を用いて低コストで効率的に製造することができ、得られるシートの機械物性等にも優れる。
なお、以下において、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
本発明に用いるオレフィン系樹脂(A)は20〜60℃での屈折率の温度依存性が大きいものが望ましい。オレフィン系樹脂(A)の20〜60℃での屈折率の差は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上である。前記オレフィン系樹脂(A)の屈折率差をかかる範囲にすることで、より顕著な遮光性を得ることができる。
ここで、オレフィン系樹脂(A)の屈折率は、厚み100μmに成形したサンプルについてアタゴ社製アッベ屈折計を用いて、ナトリウムD線(589nm)を光源とし、JIS K7142(2008年)に基づき所定の雰囲気温度で測定した値である。
オレフィン系樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いる無機系充填材(B)は、20〜60℃での屈折率の温度依存性が小さいものが望ましい。無機系充填材(B)の20〜60℃での屈折率の差は、好ましくは0.01未満、より好ましくは0.005未満である。無機系充填材(B)の屈折率差をかかる範囲にすることで、より顕著な遮光性を得ることができる。
ここで、無機系充填材(B)の粒径とは、無機系充填材(B)が球状の場合、その直径に該当し、その他の形状の場合は、当該無機系充填材(B)を2枚の平行な板で挟んだときに、その距離が最も長くなる位置の長さに相当する。無機充填剤(B)の粒径は、レーザー回折法により測定されるD50の値を示すものであり、大塚電子製粒度分布計ELS−Zを用いて測定することができる。
本発明に係る樹脂組成物中の前記オレフィン系樹脂(A)と前記無機充填材(B)の比率としては、95:5〜30:70質量%の範囲であり、90:10〜40:60質量%の範囲であることが好ましく、85:15〜70:30質量%の範囲であることがより好ましく、80:20〜70:30質量%の範囲であることが更に好ましい。
前記樹脂組成物中の前記オレフィン系樹脂(A)と前記無機充填材(B)の比率がかかる範囲であれば、機械物性や成形性を損ねることなく、室温での透明性と高温時の遮光性により優れる感温性遮光シートが得られる。
本発明の感温性遮光性シートは上述の樹脂組成物を成形して製造される。
本発明の感温性遮光シートは、単層でもよいし、耐熱性や耐候性、機械強度の向上を目的として他の樹脂シートと積層した感温性積層遮光シートであってもよい。前記感温性遮光シートに積層する樹脂シートの樹脂としては特に限定されないが、例えば、前記オレフィン系樹脂(A)、ポリスチレン、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、環状ポリオレフィン、超高分子量ポリエチレン、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
恒温器(PH−102、エスペック社製)の中にシートサンプルを置き、測光検出器(MCPD−6800、大塚電子社製)を用いて各温度における全光線透過率を測定した。20℃における全光線透過率(T20)と60℃における全光線透過率(T60)の差(T20−T60)が13%以上の場合を合格(○)、13%未満の場合を不合格(×)とした。なお、測定波長は550nmとした。
(A)−1: タフマーA4085S(三井化学、エチレン/1−ブテン=82/18質量%、融点=66℃、屈折率(20℃):1.4981、屈折率(60℃):1.4757)
(A)−2: タフマーA4050S(三井化学、エチレン/1−ブテン=72/28質量%、融点=40℃、屈折率(20℃):1.4857、屈折率(60℃):1.4630)
(A)−3:エバフレックスEV460(三井・デュポンポリケミカル、エチレン/酢酸ビニル=81/19質量%、融点=84℃、屈折率(20℃):1.4979、屈折率(60℃):1.4727)
(A)−4:エバフレックスEV170(三井・デュポンポリケミカル、エチレン/酢酸ビニル=67/33質量%、融点=62℃、屈折率(20℃):1.4850、屈折率(60℃):1.4592)
(B)−1:CF0093(日本フリット、ガラスフィラー、成分:珪酸、アルミナ、ホウ酸、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、フッ素、屈折率:1.50、平均粒径:20μm)
(B)−2:CF0018(日本フリット、ガラスフィラー、成分:珪酸、アルミナ、ホウ酸、酸化カルシウム、酸化亜鉛、屈折率:1.52、平均粒径:20μm)
(N)−1:アクリペットMD001(三菱レイヨン、ポリメチルメタクリレート樹脂、屈折率(20℃):1.4992、屈折率(60℃):1.4949)
(N)−2:MX−150(綜研化学、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、平均粒径:1.5μm、屈折率:1.49)
(A)−1及び(B)−1を混合質量比75:25の割合でラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて200℃、60回転で5分間混練した。その後、得られた樹脂組成物を熱プレス機で200℃にてプレスし、厚み1mmのシートを作製した。得られたシートについて、全光線透過率の評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−2と(B)−2を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−3と(B)−1を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−4と(B)−2を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−1と(B)−1を混合質量比90:10の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−1と(B)−1を混合質量比60:40の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−1のみを用いてシートサンプルを作製した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−1と(B)−1を混合質量比20:80の割合で混練したところ、材料が脆すぎてシートサンプルを採取できなかった。
(A)−1と(N)−1を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−1と(N)−2を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1はオレフィン系樹脂のみを使用しており、20〜60℃の環境温度変化によって全光線透過率の差がでていない。
比較例2は無機充填材の比率が多過ぎるため、プレスをした時に厚みが均一なシートが得られない。
比較例3は、分散性に劣るアクリル系樹脂を使用しているため、20〜60℃の環境温度変化による全光線透過率の差が生じにくい。
比較例4の光線拡散率を用いたものでも、20〜60℃の環境温度変化による全光線透過率の差は十分とは言えない。
Claims (11)
- オレフィン系樹脂(A)95〜30質量%、及び、無機系充填材(B)5〜70質量%を含む樹脂組成物からなる感温性遮光シート。
- 全光線透過率の測定波長を550nmとしたとき、20℃における全光線透過率と60℃における全光線透過率の差が13%以上である請求項1に記載の感温性遮光シート。
- 前記オレフィン系樹脂(A)が、エチレン・酢酸ビニル共重合体、または、エチレン・α−オレフィン共重合体、または、これらの混合物のいずれかであることを特徴とする、請求項1または2に記載の感温性遮光シート。
- 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニル成分の比率が、10〜40質量%であることを特徴とする、請求項3に記載の感温性遮光シート。
- 前記エチレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィン成分の比率が、10〜40質量%であることを特徴とする、請求項3に記載の感温性遮光シート。
- 前記無機充填材(B)が、珪酸、ホウ酸、アルミナ、酸化亜鉛、及び酸化カルシウムのいずれか1種以上を主成分としてなるガラスフィラーであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の感温性遮光シート。
- 前記無機充填材(B)が、珪酸を主成分としてなるガラスフィラーであることを特徴とする、請求項6に記載の感温性遮光シート。
- 前記無機充填材(B)の平均粒径が、0.1μm以上、50μm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の感温性遮光シート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の感温性遮光シートを少なくとも1層備えた感温性積層遮光シート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の感温性遮光シートからなる農業用シート。
- 請求項9に記載の感温性積層遮光シートからなる農業用シート。
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